以下、図面を参照しながら本実施形態に係わるX線コンピュータ断層撮影装置及び架台装置を説明する。
図1は、本実施形態に係わるX線コンピュータ断層撮影装置の構成を示す図である。図1に示すように、本実施形態に係るX線コンピュータ断層撮影装置は、架台装置10とコンソール50とを有する。例えば、架台装置10はCT検査室に設置され、コンソール50はCT検査室に隣接する制御室に設置される。架台装置10とコンソール50とは互いに通信可能に有線又は無線で接続されている。架台装置10は、被検体Sを立位状態でX線コンピュータ断層撮影(以下、X線CT撮影と呼ぶ)するための構成を有するスキャン装置である。コンソール50は、架台装置10を制御するコンピュータである。
架台装置10は、架台本体11と支柱部13とを有する。図2は、架台本体11が最高高さに位置する場合の架台装置10の外観を示す図である。図3は、架台本体11が最低高さに位置する場合の架台装置10の外観を示す図である。なお、以下、鉛直方向をY方向に規定し、開口15の中心軸R1に水平に直交する水平軸R2に平行する方向をX方向に規定し、Y方向及びX方向に直交する方向をZ方向に規定する。
図2と図3とに示すように、架台本体11は、撮影空間(field of view)をなす開口15が形成された略円筒形状の構造体である。図1に示すように、架台本体11は、開口15を挟んで対向するように配置されたX線管17とX線検出器19とを収容する。
より詳細には、架台本体11は、アルミ等の金属により形成されたメインフレーム(図示せず)と、メインフレームにより中心軸R1回りに軸受等を介して回転可能に支持された回転フレーム21とを更に有している。メインフレームの回転フレーム21との接触部には環状電極(図示せず)が設けられている。メインフレームの当該接触部には環状電極に摺り接触するように導電性の摺動子(図示せず)が取り付けられている。回転フレーム21は、アルミ等の金属により円環形状に形成された金属枠であり、例えば、X線管17とX線検出器19とが取付けられている。X線管17とX線検出器19とは、例えば、回転フレーム21に形成された凹部に嵌め込まれても良いし、ネジ等の締結具により締結されても良い。
回転フレーム21は、回転駆動装置23からの動力を受けて中心軸R1回りに一定の角速度で回転する。回転駆動装置23は、架台制御回路25からの制御に従って回転フレーム21を回転させるための動力を発生する。回転駆動装置23は、架台制御回路25からの駆動信号のデューティ比等に応じた回転速度で駆動することにより動力を発生する。回転駆動装置23は、例えば、ダイレクトドライブモータやサーボモータ等のモータにより実現される。回転駆動装置23は、例えば、架台本体11に収容されている。
図2及び図3に示すように、支柱部13は、架台本体11を床面から離反して支持する基体である。支柱部13は、具体的には、大型化を回避しつつ被検体Sの全身のX線CT撮影を可能とするために上側支柱27と下側支柱29との2段構造を有する。
上側支柱27は、架台本体11を上側支柱27の長手方向D1に関してスライド可能に支持する構造体である。上側支柱27は、例えば、円柱形状や角柱形状等の柱状形状を有する。上側支柱27は、例えば、プラスチックや金属等の任意の物質により形成される。上側支柱27は、架台本体11の側面部に取付けられる。上側支柱27は、被検体Sを立位状態でX線CT撮影するため、開口15の中心軸R1が鉛直Y方向を向くように架台本体11を支持可能な構造を有する。
下側支柱29は、上側支柱27を下側支柱29の長手方向D2に関してスライド可能に支持する構造体である。より詳細には、下側支柱29は、上側支柱27が立向姿勢を維持するように支持する。下側支柱29は、例えば、円柱形状や角柱形状等の柱状形状を有する。下側支柱29は、立向姿勢を維持するように床面に設置される。下側支柱29は、例えば、プラスチックや金属等の任意の物質により形成される。下側支柱29は、上側支柱27と架台本体11とを支えるために頑強な構造を有する。また、下側支柱29は、上側支柱27を構造的にガイドするために、上側支柱27を収容可能な形状を有する。例えば、下側支柱29は、角柱形状を有する上側支柱27の三側面を機械的にガイドするように、図2及び3に示すように、U字形状を有しても良いし、上側支柱27の四側面を機械的にガイドするように、鉛直Y方向に形成された凹部を有しても良い。上側支柱27と下側支柱29とは、長手方向D1と長手方向D2とがY方向に一致するように配置される。
典型的には、上側支柱27と下側支柱29とは二組設けられる。片側の上側支柱27と下側支柱29とは架台本体11のX方向に関する片方の側部に接続され、他の側の上側支柱27と下側支柱29とは架台本体11のX方向に関する他の側部に接続される。しかしながら、本実施形態はこれに限定されない。例えば、一組の上側支柱27と下側支柱29とが架台本体11の両側部のうちの片側のみに接続されても良い。また、支柱部13は柱状形状を有するとしたが、本実施形態はこれに限定されない。例えば、支柱部13は、架台本体の少なくとも一方の側部を支持可能であれば、U字形状等の如何なる形状を有していても良い。
なお、上側支柱27は、中心軸R1が鉛直Y方向を向くように架台本体11を固定している必要はない。すなわち、上側支柱27は、水平軸R2回りに回転可能に架台本体11を支持するように構成されても良い。具体的には、上側支柱27と架台本体11とは、架台本体11が水平軸R2回りに回転可能に軸受等を介して接続されている。以下、上側支柱27は、架台本体11を長手方向D1に関してスライド可能に支持し且つ水平軸R2回りに回転(チルト)可能に支持するものとする。上側支柱27が架台本体11を水平軸R2回りに支持する構造を有することにより、図2に示すような立位状態でのX線CT撮影と図4に示すような臥位状態でのX線CT撮影とを一台の架台装置10で行うことができる。臥位状態でのX線CT撮影を行う場合、上側支柱27を下側支柱29に収納させることにより、架台本体11を通常の臥位専用のX線コンピュータ断層撮影装置の架台本体と同様の高さに配置することが可能となる。これにより、本実施形態に係るX線コンピュータ断層撮影装置及び架台装置10は、従来装置と変わりなく臥位状態のX線CT撮影を行うことができる。
また、上側支柱27は、架台本体11を中心軸R1がY方向を維持する姿勢又は中心軸R1がZ方向を維持する姿勢をとるように支持できることに留まらず、中心軸R1が水平軸R2回りの如何なる角度を向くように静止されても良い。
図1に示すように、上側支柱27には架台本体11のY方向に関するスライドのための駆動装置(以下、上側支柱駆動装置と呼ぶ)31と架台本体11のチルトのための駆動装置(以下、チルト駆動装置と呼ぶ)33とが収容されている。上側支柱駆動装置31は、駆動制御回路35からの制御に従って、架台本体11を長手方向D1に関してスライドするための動力を発生する。具体的には、上側支柱駆動装置31は、駆動制御回路35からの駆動信号のデューティ比等に応じた回転速度で駆動することにより動力を発生する。上側支柱27は、上側支柱駆動装置31からの動力を受けて、上側支柱27に対して架台本体11を長手方向D1に関してスライドする。チルト駆動装置33は、駆動制御回路35からの駆動信号に従って、架台本体11を水平軸R2回りに回転するための動力を発生する。具体的には、チルト駆動装置33は、駆動制御回路35からの駆動信号のデューティ比等に応じた回転速度で駆動することにより動力を発生する。上側支柱27は、チルト駆動装置33からの動力を受けて架台本体11を水平軸R2回りに回転する。下側支柱29には上側支柱27のY方向に関するスライドのための駆動装置(以下、下側支柱駆動装置と呼ぶ)37が収容されている。下側支柱駆動装置37は、駆動制御回路35からの制御に従って上側支柱27を長手方向D2に関してスライドするための動力を発生する。具体的には、下側支柱駆動装置37は、駆動制御回路35からの駆動信号のデューティ比等に応じた回転速度で駆動することにより動力を発生する。下側支柱29は、下側支柱駆動装置37からの動力を受けて、下側支柱29に対して上側支柱27を長手方向D2に関してスライドする。上側支柱駆動装置31、チルト駆動装置33、及び下側支柱駆動装置37は、例えば、サーボモータ等のモータにより実現される。
駆動制御回路35は、架台制御回路25からの制御に従い上側支柱駆動装置31、チルト駆動装置33、及び下側支柱駆動装置37を制御する。例えば、駆動制御回路35は、架台本体11を最高高さから最低高さまでの任意の範囲において昇降するために上側支柱駆動装置31と下側支柱駆動装置37とを制御する。ハードウェア資源として、駆動制御回路は、CPU(Central Processing Unit)やMPU(Micro Processing Unit)等の処理装置(プロセッサ)とROM(Read Only Memory)やRAM(Random Access Memory)等の記憶装置(メモリ)とを有する。また、駆動制御回路35は、特定用途向け集積回路(Application Specific Integrated Circuit:ASIC)やフィールド・プログラマブル・ゲート・アレイ(Field Programmable Gate Array:FPGA)、他の複合プログラマブル論理デバイス(Complex Programmable Logic Device:CPLD)、単純プログラマブル論理デバイス(Simple Programmable Logic Device:SPLD)により実現されても良い。処理装置は、記憶装置に保存されたプログラムを読み出して実行することで上記機能を実現する。なお、記憶装置にプログラムを保存する代わりに、処理装置の回路内にプログラムを直接組み込むように構成しても構わない。この場合、処理装置は、当該回路内に組み込まれたプログラムを読み出して実行することで上記機能を実現する。
図1に示すように、X線管17は、高電圧発生器39からの高電圧の印加を受けてX線を発生する。高電圧発生器39は、例えば、回転フレーム21に取付けられている。高電圧発生器39は、架台本体11の電源装置(図示せず)から環状電極を介して供給された電力から、架台制御回路25による制御に従いX線管17に印加する高電圧を発生する。高電圧発生器39とX線管17とは高圧ケーブル(図示せず)を介して接続されている。高電圧発生器39により発生された高電圧は、高圧ケーブルを介してX線管17に印加される。
X線検出器19は、X線管17から発生され被検体Sを透過したX線を検出する。X線検出器19は、二次元湾曲面に配列された複数のX線検出素子(図示せず)を搭載する。各X線検出素子は、X線管17からのX線を検出し、検出されたX線の強度に応じた波高値を有する電気信号に変換する。各X線検出素子は、例えば、シンチレータと光電変換器とを有する。シンチレータはX線を受けて蛍光を発生する。光電変換器は、発生された蛍光を電荷パルスに変換する。電荷パルスはX線の強度に応じた波高値を有する。光電変換器としては、具体的には、光電子増倍管やフォトダイオード(Photo Diode)等の光子を電気信号に変換する機器が用いられる。なお、本実施形態に係るX線検出器19としてはX線を一旦蛍光に変換してから電気信号に変換する間接検出型の検出器に限定されず、X線を直接的に電気信号に変換する直接検出型の検出器であっても良い。
データ収集回路41は、被検体Sにより減弱されたX線の強度を示すデジタルのデータをビュー毎に収集する。データ収集回路41は、例えば、複数のX線検出素子の各々について設けられた積分回路とA/D変換器とが並列して実装された半導体集積回路により実現される。データ収集回路41は、架台本体11内においてX線検出器19に接続されている。積分回路は、X線検出素子からの電気信号を所定のビュー期間に亘り積分し、積分信号を生成する。A/D変換器は、生成された積分信号をA/D変換し、当該積分信号の波高値に対応するデータ値を有するデジタルデータを生成する。変換後のデジタルデータは、生データと呼ばれている。生データは、生成元のX線検出素子のチャンネル番号、列番号、及び収集されたビューを示すビュー番号により識別されたX線強度のデジタル値のセットである。生データは、例えば、架台本体11に収容された非接触データ伝送装置(図示せず)を介してコンソール50に供給される。
なお、架台本体11には、上記のX線管17、X線検出器19、回転フレーム21、メインフレーム、電源装置、高電圧発生器39、及びデータ収集回路41だけでなく、CT撮影に必要なその他の種々の装置を収容しても良い。例えば、回転フレーム21にはX線管を冷却する冷却装置が取付けられても良い。また、空調のためのファンが架台本体11に取付けられても良い。
架台制御回路25は、コンソール50のシステム制御回路61からの制御に従い高電圧発生器39、回転駆動装置23、及び駆動制御回路35を制御する。架台制御回路25は、ハードウェア資源として、CPUやMPU等の処理装置(プロセッサ)とROMやRAM等の記憶装置(メモリ)とを有する。また、架台制御回路25は、ASICやFPGA、CPLD、SPLD等により実現されても良い。当該処理装置は、当該記憶装置に保存されたプログラムを読み出して実現することで上記機能を実現する。なお、当該記憶装置にプログラムを保存する代わりに、当該処理装置の回路内にプログラムを直接組み込むように構成しても構わない。この場合、当該処理装置は、当該回路内に組み込まれたプログラムを読み出して実行することで上記機能を実現する。
なお、駆動制御回路35と架台制御回路25とは、個別の基板に実装されても良いし、単一の基板に実装されても良い。駆動制御回路35と架台制御回路25とは、架台本体11の支柱部13に設けられても良いし、コンソール50に設けられても良い。なお、駆動制御回路35が上側支柱駆動装置31、チルト駆動装置33、及び下側支柱駆動装置37に近い位置に設置されほど、駆動制御回路35に起因するノイズを低減することができる。よって当該ノイズを低減するため駆動制御回路35は支柱部13、すなわち、上側支柱27又は下側支柱29に収容されると良い。しかしながら、駆動制御回路35が支柱部13に収容される場合、支柱部13の体積が増大する。よって支柱部13の体積の増大を防止するため駆動制御回路35は、支柱部13とは別の装置、例えば、コンソール50や専用の装置に収容されても良い。駆動制御回路35と架台制御回路25とは、同一の装置に設けられている必要はなく、別々の装置に設けられても良い。
図1に示すように、コンソール50は、バス(bus)を介して接続された画像再構成装置51、画像処理装置53、表示機器55、入力機器57、主記憶回路59、及びシステム制御回路61を有する。画像再構成装置51、画像処理装置53、表示機器55、入力機器57、主記憶回路59、及びシステム制御回路61間のデータ通信は、バスを介して行われる。
画像再構成装置51は、コンソール50からの生データに基づいて被検体Sに関するCT画像を再構成する。具体的には、画像再構成装置51は、前処理部511、投影データ記憶部513、及び再構成演算部515を有する。前処理部511は、架台装置10からの生データに前処理を施す。前処理としては、対数変換やX線強度補正、オフセット補正等の各種の補正処理を含む。前処理後の生データは、投影データと呼ばれている。投影データ記憶部513は、前処理部511により生成された投影データを記憶するHDDやSSD、集積回路記憶装置等の記憶装置である。再構成演算部515は、投影データに基づいて被検体Sに関するCT値の空間分布を表現するCT画像を発生する。画像再構成アルゴリズムとしては、FBP(filtered back projection)法やCBP(convolution back projection)法等の解析学的画像再構成法や、ML−EM(maximum likelihood expectation maximization)法やOS−EM(ordered subset expectation maximization)法等の統計学的画像再構成法等の既存の画像再構成アルゴリズムが用いられれば良い。
画像再構成装置51は、ハードウェア資源として、CPUやMPU、GPU(Graphics Processing Unit)等の処理装置(プロセッサ)とROMやRAM等の記憶装置(メモリ)とを有する。また、画像再構成装置51は、ASICやFPGA、CPLD、SPLDにより実現されても良い。当該処理装置は、当該記憶装置に保存されたプログラムを読み出して実行することで前処理部511と再構成演算部515との機能を実現する。なお、当該記憶装置にプログラムを保存する代わりに、当該処理装置の回路内にプログラムを直接組み込むように構成しても構わない。この場合、当該処理装置は、回路内に組み込まれたプログラムを読み出して実行することで前処理部511と再構成演算部515との機能を実現する。また、上記前処理部511として機能する専用のハードウェア回路と再構成演算部515として機能する専用のハードウェア回路とが画像再構成装置に実装されても良い。
画像処理装置53は、画像再構成装置51により再構成されたCT画像に種々の画像処理を施す。例えば、画像処理装置53は、CT画像がボリュームデータの場合、当該CT画像にボリュームレンダリングや、サーフェスボリュームレンダリング、画素値投影処理、MPR(Multi-Planer Reconstruction)処理、CPR(Curved MPR)処理等の3次元画像処理を施して表示画像を発生する。画像処理装置53は、ハードウェア資源として、CPUやMPU、GPU等の処理装置(プロセッサ)とROMやRAM等の記憶装置(メモリ)とを有する。また、画像処理装置53は、ASICやFPGA、CPLD、SPLDにより実現されても良い。
表示機器55は、2次元のCT画像や表示画像等の種々の情報を表示する。表示機器55としては、例えば、CRTディスプレイや液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイ、LEDディスプレイ、プラズマディスプレイ、又は当技術分野で知られている他の任意のディスプレイが適宜利用可能である。
入力機器57は、ユーザからの各種指令や情報入力を受け付ける。入力機器57としては、キーボードやマウス、各種スイッチ等が利用可能である。なお、入力機器57は、コンソール50に設けられても良いし、架台装置10に設けられても良い。
主記憶回路59は、種々の情報を記憶するHDDやSSD、集積回路記憶装置等の記憶装置である。また、主記憶回路59は、CD−ROMドライブやDVDドライブ、フラッシュメモリ等の可搬性記憶媒体との間で種々の情報を読み書きする駆動装置等であっても良い。例えば、主記憶回路59は、本実施形態に係るCT撮影に関する制御プログラム等を記憶する。
システム制御回路61は、ハードウェア資源として、上記の処理装置と記憶装置とを有する。システム制御回路61は、本実施形態に係るX線コンピュータ断層撮影装置の中枢として機能する。具体的には、システム制御回路61は、主記憶回路59に記憶されている制御プログラムを読み出してメモリ上に展開し、展開された制御プログラムに従ってX線コンピュータ断層撮影装置の各部を制御する。
画像再構成装置51、画像処理装置53、及びシステム制御回路61は、コンソール50内の単一の基板に集約されても良いし、複数の基板に分散して実装されても良い。
以下、本実施形態に係るX線コンピュータ断層撮影装置の詳細について説明する。
図5は、架台装置10の横断面図である。なお架台本体11の内部の図示は省略している。また、図5においては、架台装置10の片方の上側支柱27と下側支柱29との組合せのみを図示しているが、他方の上側支柱27と下側支柱29との組合せも同様の構造を有している。
図5に示すように、上側支柱27の筐体(以下、上側支柱筐体と呼ぶ)71の内部には架台本体11を長手方向D1に関してスライドするためのスライド機構(以下、上側スライド機構と呼ぶ)73が収容されている。上側スライド機構73は、例えば、ボールねじにより実現される。すなわち、上側スライド機構73は、ねじ軸731とスライダ733とを有する。ねじ軸731は、軸心が長手方向D1に平行するように上側支柱筐体71内に設置される。ねじ軸731の一端は、支持体75により回転可能に支持されている。支持体75は、例えば、上側支柱筐体71の一端部に設けられる。ねじ軸731の他端は、上側支柱駆動装置(モータ)31に接続されている。上側支柱駆動装置31は、上側支柱筐体71内の支持体75に対向する他端部に設けられる。例えば、図5に示すように、支持体75が上側支柱筐体71の下部に設けられ上側支柱駆動装置31が上側支柱筐体71の上部に設けられても良いが、支持体75と上側支柱駆動装置31との位置関係は上記に限定されず、例えば、支持体75が上側支柱筐体71の上部に設けられ上側支柱駆動装置31が上側支柱筐体71の下部に設けられても良い。スライダ733は、ねじ軸731のねじ溝(雄ねじ)に螺合するねじ溝(雌ねじ)が形成された貫通孔を有している。スライダ733は、ねじ軸731にねじ込まれている。ねじ軸731は、上側支柱駆動装置31の回転軸の回転に連動して回転し、スライダ733は、ねじ軸731の回転に伴ってねじ軸731の軸心方向(すなわち、長手方向D1)に沿ってスライドする。
上側スライド機構73のスライダ733には架台本体11を水平軸R2回りに回転可能に支持するためのチルト機構77が取付けられている。チルト機構77は、例えば、軸部材により実現される。軸部材77は、軸心が水平軸に一致するようにスライダ733に設けられる。軸部材77はスライダ733に締結具等により直接的に取付けられても良いし、既存の機械要素を介して取付けられても良い。軸部材77の一端はチルト駆動装置(モータ)33に接続されている。チルト駆動装置33は、例えば、スライダ733に設けられる。軸部材77は、チルト駆動装置33の回転軸の回転に連動して回転する。チルト駆動装置33と軸部材77とは直接的に接続されているとしたが、これに限定されず、例えば、ギア等の機械要素を介して間接的に接続されても良い。チルト駆動装置33は、スライダ733に設けられるとしたが、本実施形態はこれに限定されず、軸部材77に直接的又は間接的に接続されていれば、上側支柱筐体71の如何なる場所に設けられても良い。上側支柱筐体71には、上側支柱駆動装置31の回転軸の回転に連動して軸部材77が長手方向D1に関してスライド可能なように、長手方向D1に沿ってスリット79(図2、図3、又は図4に図示)が設けられる。これにより、上側支柱駆動装置31の回転軸の回転に連動して軸部材77が上側支柱筐体71等の機械的干渉なく長手方向D1に関してスライドすることができる。
図5に示すように、下側支柱29の筐体(以下、下側支柱筐体と呼ぶ)81の内部には上側支柱27を長手方向D2に関してスライドするためのスライド機構(以下、下側スライド機構と呼ぶ)83が収容されている。下側スライド機構83は、上側スライド機構73と同様に、例えば、ボールねじにより実現される。すなわち、下側スライド機構83は、ねじ軸831とスライダ833とを有する。ねじ軸831は、軸心が長手方向D2に平行するように下側支柱筐体81内に設置される。ねじ軸831の一端は、支持体85により回転可能に支持されている。支持体85は、例えば、下側支柱筐体81の一端部に設けられる。ねじ軸831の他端は、下側支柱駆動装置(モータ)37に接続されている。下側支柱駆動装置37は、下側支柱筐体81内の支持体85に対向する他端部に設けられる。例えば、図5に示すように、支持体85が下側支柱筐体81の下部に設けられ下側支柱駆動装置37が下側支柱筐体81の上部に設けられても良いが、支持体85と下側支柱駆動装置37との位置関係は上記に限定されず、例えば、支持体85が下側支柱筐体81の上部に設けられ下側支柱駆動装置37が下側支柱筐体81の下部に設けられても良い。
スライダ831は、ねじ軸のねじ溝(雄ねじ)に螺合するねじ溝(雌ねじ)が形成された貫通孔を有している。スライダ831は、上側支柱27との接続部分831zを有し、接続部分831zは下側支柱筐体81から延出して上側支柱筐体71に接続される。具体的には、接続部分831zと上側支柱筐体71とは、強固に接続されるのであれば如何なる態様に接続されても良く、例えば、ネジ等の締結具により締結されても良いし溶接されても良いしこれらの組合せであっても良い。また、接続部分831zが上側支柱筐体71の下部を覆うように、上側支柱筐体71の下部に接続されると良い。スライダ831は、ねじ軸833にねじ込まれている。ねじ軸833は、下側支柱駆動装置37の回転軸の回転に連動して回転する。スライダ831は、ねじ軸833の回転に伴ってねじ軸833の軸心方向(すなわち、長手方向D2)に沿ってスライドする。下側支柱筐体81には、下側支柱駆動装置37の回転軸の回転に連動して接続部分831zが長手方向D2に関してスライド可能なように、長手方向D2に沿ってスリット(図示せず)が設けられる。これにより、下側支柱駆動装置37の回転軸の回転に連動して接続部分831zが長手方向D2に関してスライドすることができる。
上側支柱27のスライドを効率的に行うため、下側スライド機構83による上側支柱27の長手方向D1に関するスライドを案内するガイドレール(図示せず)が下側支柱筐体81等に設けられても良い。なお、下側支柱筐体81が上側支柱筐体71に嵌合可能な形状を有する場合、下側支柱筐体81が構造的に上側支柱筐体71を案内可能なため当該ガイドレールは設けられなくても良い。
上側スライド機構73と下側スライド機構83とのボールねじのリードピッチは同一に設計されても良いし、異なるように設計されても良い。また、上側支柱駆動装置31と下側支柱駆動装置37とのモータ容量は同一に設計されても良いし、異なるように設計されても良い。
上側支柱27と下側支柱29との長手方向D1、D2に関する長さは、同一に設計されても良いし、異なるように設計されても良い。同一に設計されている場合、最も効率良く架台本体11を昇降させることができる。
また、上側スライド機構73と下側スライド機構83とはボールねじにより実現されるとしたが、本実施形態はこれに限定されない。例えば、上側スライド機構73と下側スライド機構83とは、スライドレール等の如何なるスライド機構により実現されても良い。
また、上記の架台装置10の構造は一例であって、これに限定されない。例えば、上記の架台装置10においては、上側支柱27と下側支柱29との各々にボールねじが設けられるとした。しかしながら、上側支柱27と下側支柱29との各々にボールねじが設けられる必要はなく、例えば、上側支柱27のみにボールねじが設けられても良い。以下、この構造を有する架台装置10−2について説明する。
図6は、本実施形態に係る他の構造を有する架台装置10−2の分解斜視図である。図7は、図6の架台装置10−2の斜視図である。図6及び図7に示すように、架台装置10−2は、架台リンク部91、上側支柱27及び下側支柱29を有する。架台リンク部91は、架台本体11と上側支柱27とを接続する構造体である。架台リンク部91は、枠体92を有する。枠体92は、ギア93を装備する金属等のフレームである。枠体92には架台本体11と上側支柱27とが取付けられる。ギア93は、円筒体の外周に多数の歯が形成された機械要素である。ギア93は、当該歯が枠体93から露出するように枠体92に取付けられている。ギア93は、後述の上側支柱27のねじ72に係合する。ギア93は、図示しない上側支柱駆動装置31からの動力を受けて回転する。
図6及び図7に示すように、下側支柱29は、下側支柱筐体81を有している。下側支柱筐体81にはギア82が取付けられている。ギア82は、円筒体の外周に多数の歯が形成された機械要素である。ギア82は、当該歯が下側支柱筐体81から露出するように下側支柱筐体81に取付けられている。ギア82は、後述の下側支柱29のねじ72に係合する。ギア82は、図示しない下側支柱駆動装置37からの動力を受けて回転する。
図6及び図7に示すように、上側支柱27は、上側支柱筐体71を有している。上側支柱筐体71は、枠形状を有し、ねじ72、第1の直動ガイド74及び第2の直動ガイド76を装備する。ねじ72は、上側支柱筐体71の開口部において、上側支柱筐体71の長軸に沿って設けられ、円柱体の表面に螺旋状の溝が形成された機械要素である。ねじ72は、その長軸がY軸に平行するように、すなわち、鉛直に向くように設けられる。ねじ72は、当該溝が上側支柱筐体71から露出するように上側支柱筐体71に取付けられている。ねじ72の架台リンク部91側は、架台リンク部91のギア93に係合する。ねじ72の下側支柱29側は、下側支柱29のギア82に係合する。ねじ72は、如何なるねじでも良いが、例えば、台形のねじ山が形成された高強度の台形ねじが適当である。
図6及び図7に示すように、第1の直動ガイド74には架台リンク部91の枠体92が取付けられる。具体的には、第1の直動ガイド74は、ねじ72の長軸に沿って設けられたレール(図示せず)と、当該レールにスライド可能に取付けられたブロックとを有する。当該ブロックに架台リンク部91の枠体92が取付けられる。第2の直動ガイド76には下側支柱29の下側支柱筐体81が取付けられる。具体的には、第2の直動ガイド76は、ねじ72の長軸に沿って設けられたレール(図示せず)と、当該レールにスライド可能に取付けられたブロックとを有する。当該ブロックに下側支柱29の下側支柱筐体81が取付けられる。第1の直動ガイド74と第2の直動ガイド76とは個別にスライド可能に上側支柱筐体71に設けられている。
入力機器57等を介して上昇指示が入力された場合、図示しない下側支柱駆動装置37によりギア82がねじ72に噛み合いながら順方向に回転しつつ、第2の直動ガイド76により上側支柱27が上方にスライドする。また、入力機器57等を介して上昇指示が入力された場合、図示しない上側支柱駆動装置31によりギア93がねじ72に噛み合いながら順方向に回転しつつ、第1の直動ガイド74により架台リンク部91が上方にスライドする。入力機器57等を介して下降指示が入力された場合、図示しない下側支柱駆動装置37によりギア82がねじ72に噛み合いながら逆方向に回転しつつ、第2の直動ガイド76により上側支柱27が下方にスライドする。また、入力機器57等を介して下降指示が入力された場合、図示しない上側支柱駆動装置31によりギア93がねじ72に噛み合いながら逆方向に回転しつつ、第1の直動ガイド74により架台リンク部91が下方にスライドする。
なお、架台リンク部91に設けられるギア93は一個に限定されない。設計に応じて複数個のギア93が架台リンク部91に設けられても良い。同様に、下側支柱29に設けられるギア82は一個に限定されず、設計に応じて複数個のギア82が下側支柱29に設けられても良い。
図8は、架台本体11が最低高さに位置するときの架台装置10−2の斜視図である。図9は、架台本体11が中間高さに位置するときの架台装置10−2の斜視図である。図10は、架台本体11が最高高さに位置するときの架台装置10−2の斜視図である。なお、最低高さは、架台リンク部91が第2の直動ガイド76の可動範囲の下限に位置し且つ上側支柱27が第1の直動ガイド74の可動範囲の上限に位置するときの架台本体11の高さである。中間高さは、架台リンク部91が第2の直動ガイド76の可動範囲の下限に位置し且つ上側支柱27が第1の直動ガイド74の可動範囲の下限に位置するときの架台本体11の高さである。最高高さは、架台リンク部91が第2の直動ガイド76の可動範囲の上限に位置し且つ上側支柱27が第1の直動ガイド74の可動範囲の下限に位置するときの架台本体11の高さである。なお、中間高さは、図7に示すように、架台リンク部91が第2の直動ガイド76の可動範囲の上限に位置し且つ上側支柱27が第1の直動ガイド74の可動範囲の上限に位置するときの架台本体11の高さにより規定されても良い。
図8、図9及び図10に示すように、架台装置10−2の構造であっても、架台リンク部91に設けられるギア93と下側支柱29に設けられるギア82とを任意に駆動することにより、架台本体11を最高高さから最低高さまでの任意の高さに配置させることが可能である。
なお、架台本体11を昇降させる場合の上側支柱駆動装置31と下側支柱駆動装置37との駆動順序は任意で良い。例えば、図8の最低高さから図10の最高高さまで架台本体11を上昇させる場合について説明する。第1の方法の場合、駆動制御回路35は、まず、下側支柱駆動装置37を駆動して架台本体11を図8の最低高さから図9の中間高さに上昇し、次に上側支柱駆動装置31を駆動して架台本体11を図9の中間高さから図10の最高高さに上昇する。第2の方法の場合、駆動制御回路35は、まず、上側支柱駆動装置31を駆動して架台本体11を図8の最低高さから図9の中間高さに上昇し、次に下側支柱駆動装置37を駆動して架台本体11を図9の中間高さから図10の最高高さにまで上昇する。
図10の最高高さから図8の最低高さまで架台本体11を下降させる場合についても同様である。すなわち、図10の最高高さから図9の中間高さを経由して図8の最低高さまで移動させても良いし、図10の最高高さから図7の中間高さを経由して図8の最低高さまで移動させても良い。
上記の通り、本実施形態に係る他の架台装置10−2は、上側支柱27のみにねじ72が設けられている。従ってボールねじが上側支柱27と下側支柱29との各々に設けられる場合に比して、本実施形態に係る他の架台装置10−2は、省スペース化が可能である。また、一本のねじ72で上側支柱27と下側支柱29とを移動させることができるので、複数のねじが必要な場合に比して動作精度を確保することができる。
次に、本実施形態に係る架台装置10及び架台装置10−2の動作例について詳細に説明する。なお、以下に説明する動作例は、架台装置10及び架台装置10−2に共通である。説明を具体的に行うため、以下に説明する動作例は、特に言及しない限り架台装置10を例に挙げて説明する。
図11は、本実施形態に係る架台本体11の可動範囲を示す図であり、架台本体11が最高高さに位置する場合の架台装置10の外観を示す図である。図12は、本実施形態に係る架台本体11の可動範囲を示す図であり、架台本体11が最低高さに位置する場合の架台装置10の外観を示す図である。図11及び図12に示すように、上側支柱27は架台本体11を長手方向D1に関してスライド可能に支持し、下側支柱29は上側支柱27を長手方向D2に関してスライド可能に支持する。上記の構造により、駆動制御回路35は、上側支柱駆動装置31と下側支柱駆動装置37とを制御し、上側支柱27を下側支柱29に対して鉛直上向きにスライドして支柱部13を伸ばし、上側支柱27を下側支柱29に対して鉛直下向きにスライドして支柱部13を縮ますことができる。
上側支柱27による架台本体11の長手方向D1に関する可動範囲MR1は、上側スライド機構73によるスライダ733の移動可能範囲に対応する。下側支柱29による上側支柱27の長手方向D2に関する可動範囲MR2は、下側スライド機構83によるスライダ833の移動可能範囲に対応する。ここで、架台本体11が可動範囲MR1の上限高さに配置され且つ上側支柱27が可動範囲MR2の上限高さに配置された場合の架台本体11の床面からの高さを最高高さHaとし、架台本体11が可動範囲MR1の下限高さに配置され且つ上側支柱27が可動範囲MR2の下限高さに配置された場合の架台本体11の床面からの高さを最低高さHcとする。また、架台本体11が可動範囲MR1の上限高さに配置され且つ上側支柱27が可動範囲MR2の下限高さに配置された場合の架台本体11の床面からの高さを中間高さHbとする。なお、架台本体11の床面からの高さとは、架台本体11の水平軸R2の床からの高さであるとする。
X線CT撮影の撮影範囲は、架台制御回路25やシステム制御回路等61により最高高さHaと最低高さHcとの間の任意の範囲に設定される。撮影範囲は、入力機器57を介して任意の値に設定されても良いし、架台制御回路25やシステム制御回路61等により撮影部位や撮影モード等に応じて自動的に決定されても良い。
撮影範囲において架台本体11を昇降するために駆動制御回路35は、上側支柱駆動装置31と下側支柱駆動装置37とを同期的に制御する。駆動制御回路35による上側支柱駆動装置31と下側支柱駆動装置37とについての制御態様としては、撮影範囲の観点から言えば、全身撮影モードと部分撮影モードとに区分することができる。
全身撮影モードは、典型的には、架台本体11を上昇又は下降させながら被検体Sの全身をX線CT撮影するモードである。全身撮影モードの撮影範囲は、上側支柱27による架台本体11の可動範囲MR1と下側支柱29による上側支柱27の可動範囲MR2とのうちの何れかの可動範囲よりも広い範囲に設定される。このように撮影範囲が上側スライド機構73による可動範囲MR1又は下側スライド機構83による可動範囲MR2よりも広い場合、駆動制御回路35は、上側支柱駆動装置31と下側支柱駆動装置37とを順番に駆動し架台本体11を昇降させる。
部分撮影モードは、架台本体11を上昇若しくは下降させながら、又は架台本体11を所定高さに固定させ被検体Sの一部分をX線CT撮影するモードである。部分撮影モードの撮影範囲は、上側支柱27による架台本体11の可動範囲MR1内又は下側支柱29による上側支柱27の可動範囲MR2とのうちの何れかの可動範囲よりも狭い範囲に設定される。このように撮影範囲が上側スライド機構73による可動範囲MR1に包含される場合、駆動制御回路35は、上側支柱駆動装置31を駆動して架台本体11を昇降させる。
また、上記制御態様は、架台本体11の昇降速度の観点から言えば、個別駆動モードと同時駆動モードとに区分することができる。個別駆動モードとは、上側支柱駆動装置31と下側支柱駆動装置37とを選択的に駆動するモードである。同時駆動モードとは、個別駆動モードに比して架台本体11を高速に昇降することを目的として、上側支柱駆動装置31と下側支柱駆動装置37とを同時に駆動するモードである。
以下、全身撮影モードと部分撮影モードとに分けて架台装置10の動作例を説明する。
(実施例1)
以下、全身撮影モードについて説明する。
全身撮影の準備段階において架台本体11は、撮影開始位置に配置される。また、被検体Sは架台本体11の開口15の通過経路内に立つ。全身撮影の準備が整うと、例えば、入力機器57等を介してユーザにより全身撮影の実行が指示される。実行指示を受けた架台制御回路25は、高電圧発生器39と回転駆動装置23と駆動制御回路35とを同期的に制御して被検体Sの全身撮影を行う。すなわち、架台制御回路25は、回転駆動装置23を制御して回転フレーム21を中心軸R1に回転させるとともに駆動制御回路35を制御して架台本体11を撮影範囲内において昇降させ、回転フレーム21の回転と架台本体11の昇降との実行中、高電圧発生器39を制御してX線管17からX線を発生させる。X線管17から発生されたX線は被検体Sを透過してX線検出器19に検出される。X線検出器19により検出されたX線に対応する生データがデータ収集回路41により収集される。収集された生データは、非接触データ伝送装置により画像再構成装置51に伝送される。画像再構成装置51は、生データに基づいて被検体Sの全身に関するボリュームデータを再構成する。再構成されたボリュームデータは、画像処理装置53により2次元の表示画像に変換され表示機器55に表示される。
なお、架台本体11の撮影開始位置までの昇降は、ユーザにより入力機器57を介した指示に従い手動的に行われても良いし、撮影開始位置への位置決めのための動作シーケンス(以下、位置決めシーケンスと呼ぶ)に従い自動的に行われても良い。
手動の場合、ユーザは、コンソール50又は架台装置10に設けられた入力機器57を介して架台本体11の昇降指示を行う。駆動制御回路35は、昇降指示に応じた方向に架台本体11を上昇又は下降するように上側支柱駆動装置31と下側支柱駆動装置37とを順番に駆動する。なお、架台装置10に設けられた入力機器57を介して昇降指示を行う場合、昇降指示の都度ユーザが制御室に行く必要がなくなりユーザの労力を削減することができる。コンソール50に設けられた入力機器57を介して昇降指示を行う場合、ユーザの安全を確保することができる。
自動の場合、駆動制御回路35は、ユーザによる入力機器57を介した全身撮影の開始指示を受けて、所定の撮影開始位置まで架台本体11を上昇又は下降するように上側支柱駆動装置31と下側支柱駆動装置37とを順番に駆動する。
以下、全身撮影における駆動制御回路35の動作例について、個別駆動と同時駆動とに分けて詳述する。全身撮影の撮影範囲は、上記の通り、単独の可動範囲MR1,MR2よりも広ければ、最高高さHaと最低高さHcとの間の任意の範囲に設定可能であるが、以下の説明を具体的に行うため、最高高さHaと最低高さHcとの間の全範囲であるとする。また、X線CT撮影は、架台本体11を下降させながら行っても良いし、上昇させながら行っても良い。被検体Sを撮影位置に配置するときは架台本体11が最高高さHaに配置されているため、架台本体11を下降させながらX線CT撮影を行う方が、撮影時間を短縮することができる。一方、架台本体11を上昇させながらX線CT撮影を行う場合、被検体Sが架台本体11に挟まれる危険を回避することができる。以下、説明を具体的に行うため、X線CT撮影は、架台本体11を下降させながら行うものとする。すなわち、撮影開始位置は高さHaであり、撮影終了位置は高さHcである。また、以下の説明においては、特に言及のない限り、上側スライド機構73と下側スライド機構83とのボールねじのリードピッチは同一に設計され、上側支柱駆動装置31と下側支柱駆動装置37とのモータ容量は同一に設計されているものとする。なお、リードピッチとモータ容量とが異なる場合であっても駆動制御回路35の制御態様に違いはない。
まずは、個別駆動での全身撮影について説明する。
図13は、駆動制御回路35による全身撮影モードにおける動作シーケンスを示す図である。図14は、図13の動作シーケンスに係る架台本体11の移動過程を示す図である。図13の縦軸は上側スライド機構73、下側スライド機構83、架台本体11の速度に規定され、横軸は架台本体11の床面からの高さ位置に規定されている。下側スライド機構73の速度は下側スライド機構83による上側支柱27のスライドの絶対速度を示し、架台本体11の速度は架台本体11の昇降の絶対速度を示す。上側スライド機構73の速度は、上側支柱27から観測された、上側スライド機構73による架台本体11のスライドの相対速度を示す。なお、上側支柱27が停止している場合、上側スライド機構73の速度は、上側スライド機構73による架台本体11のスライドの絶対速度に等しい。
全身撮影の実行指示を受けて架台制御回路25は、駆動制御回路35に全身撮影のための動作シーケンス(以下、全身撮影シーケンスと呼ぶ)の実行のための指示信号を供給する。当該指示信号を受けて駆動制御回路35は、全身撮影シーケンスに従い上側支柱駆動装置31と下側支柱駆動装置37とを同期的に制御する。全身撮影シーケンスにおいて駆動制御回路35は、架台本体11が最高高さHaから最低高さHbまで一定速度Vconで下降するように上側支柱駆動装置31と下側支柱駆動装置37とを選択的に駆動させる。すなわち、撮影範囲内において上側スライド機構73による可動範囲MR1と下側スライド機構83による可動範囲MR2とはオーバラップしない。なお、駆動制御回路35は、動作中、下側スライド機構83のスライダ833の高さ位置、すなわち、床面から見た上側支柱27の高さ位置と、上側スライド機構73のスライダ733の高さ位置、すなわち、スライダ733から見た架台本体11の高さ位置とをロータリーエンコーダやポテンショメータ等の位置検出器により監視している。
具体的には、図13に示すように、駆動制御回路35は、まず、下側支柱駆動装置37を駆動して下側スライド機構83を介して上側支柱27を長手方向D2に沿ってスライドさせる。上側支柱27と架台本体11とは、下側支柱駆動装置37により所定の速度Vconで下降される。駆動制御回路35は、上側支柱27が可動範囲MR1の下限まで下降したこと、すなわち、架台本体11が中間高さHbまで下降したことを契機として下側支柱駆動装置37を停止し、上側支柱駆動装置31を駆動する。これにより、架台本体11は、上側支柱駆動装置31により所定の速度Vconで下降される。駆動制御回路35は、架台本体11が可動範囲MR2の下限まで下降したこと、すなわち、架台本体11が最低高さHcまで下降したことを契機として上側支柱駆動装置31を停止する。
また、架台本体11が最低高さHcまで下降したことを契機として架台制御回路25は、回転駆動装置23を制御して回転フレーム21を停止させ、高電圧発生器39を制御してX線管17からのX線の発生を停止させる。
これにより個別駆動による全身撮影が終了する。上記の通り、架台装置10は、上側支柱駆動装置31と下側支柱駆動装置37との駆動を切り替えることにより、上側スライド機構73又は下側スライド機構83単独では賄えない広範な撮影範囲をX線CT撮影することができる。また、個別駆動モードは、上側支柱駆動装置31と下側支柱駆動装置37とを同時に駆動する同時駆動モードとは異なり、上側支柱駆動装置31と下側支柱駆動装置37との何れか一方を駆動するため、各可動範囲MR1、R2における架台本体11の昇降速度を高精度に調節することができる。
なお、上記の動作例においては、まず下側支柱駆動装置37により上側支柱27が下降され、次に上側支柱駆動装置31により架台本体11が下降されるものとした。しかしながら、本実施形態はこれに限定されない。例えば、上側支柱駆動装置31により架台本体11が下降され、次に下側支柱駆動装置37により上側支柱27が下降されても良い。
上記の個別駆動においては、上側支柱27が下側スライド機構83の可動範囲MR2の下限に到達したとき(例えば、上記の実施例においては、架台本体が中間高さHbに到達したとき)に下側支柱駆動装置37から上側支柱駆動装置31に駆動を切替えるとした。下側支柱駆動装置37から上側支柱駆動装置31に駆動が瞬間的に切替えられない場合、中間高さHbにおいて架台本体11の速度に乱れが生じる可能性がある。
図15は、駆動制御回路35による全身撮影モードにおける他の動作シーケンスを示す図であり、下側支柱駆動装置37から上側支柱駆動装置31への駆動の切り替に伴う速度の乱れを低減するための動作シーケンスを示す図である。
下側支柱駆動装置37から上側支柱駆動装置31への駆動の切替に伴う速度の乱れを低減するため、駆動制御回路35は、架台本体11が上側スライド機構73の可動範囲MR1の上限に配置され且つ上側支柱27が下側スライド機構83の可動範囲MR2の下限に配置されたときの架台本体11の床面からの高さ(中間高さHb)を含み、撮影範囲よりも狭い所定の範囲(以下、移行範囲と呼ぶ)2αにおいて、下側支柱駆動装置37と上側支柱駆動装置31との駆動を緩やかに移行させる。すなわち、撮影範囲内において上側スライド機構73による可動範囲MR1と下側スライド機構83による可動範囲MR2とは移行範囲2αに限定してオーバラップする。移行範囲においては架台本体11が一定速度Vconを保つように下側支柱駆動装置37と上側支柱駆動装置31との出力が制御される。移行範囲は、下側支柱駆動装置37と上側支柱駆動装置31との性能に応じて決定されれば良い。なお、移行範囲の長さは、ユーザにより入力機器57を介して任意の値に設定可能である。
具体的には、図15に示すように、駆動制御回路35は、まず、下側支柱駆動装置37のみを駆動して上側支柱27と架台本体11とを最高高さHaから所定の速度Vconで下降させる。駆動制御回路35は、中間高さHbから移行範囲の半分α上の距離まで下降したこと、すなわち、架台本体が高さHb+αまで下降したことを契機として下側支柱駆動装置37から上側支柱駆動装置31への駆動の移行を開始する。移行は、上側支柱27が可動範囲MR1の下限に到達したこと、すなわち、架台本体11が高さHb−αまで下降するまでに完了する。具体的には、架台本体11が高さHb+αまで下降したことを契機として駆動制御回路35は、架台本体11が移行範囲2αだけ下降する間に下側スライド機構83の速度がVconから0まで減速するように下側支柱駆動装置37の出力を緩やかに減少するとともに、上側スライド機構73の速度が0からVconまで加速するように上側支柱駆動装置31の出力を緩やかに増大する。すなわち、移行範囲2αにおいては上側支柱27の速度が上がりつつ下側支柱29の速度が下がるように上側支柱駆動装置31と下側支柱駆動装置37とが同期的に制御される。なお、架台本体11を上昇させながらX線CT撮影を行う場合、移行範囲2αにおいて上側支柱27の速度が下がりつつ下側支柱29の速度が上げるように上側支柱駆動装置31と下側支柱駆動装置37とが同期的に制御されることとなる。速度は線形に変化させても良いし、非線形に変化させても良い。なお、下側支柱駆動装置37と上側支柱駆動装置31との出力の調整は駆動制御回路35からの駆動信号のデューティ比の調整により行われても良いし、減速機により調整されても良い。
架台本体11が移行範囲の終端高さHb−αに到達すると駆動制御回路35は、上側支柱駆動装置31のみを駆動させて架台本体11を下降させている。駆動制御回路35は、架台本体11が下側スライド機構83の可動範囲MR2の下限まで下降したこと、すなわち、架台本体11が最低高さHcまで下降したことを契機として、上側支柱駆動装置31を停止する。
これにより移行範囲2αを用いた個別駆動による全身撮影が終了する。上記の通り、移行範囲2αを設けることにより、上側支柱駆動装置31と下側支柱駆動装置37との駆動を緩やかに移行することができる。このため撮影範囲内において架台本体11を高精度に一定速度で昇降させること可能となる。これにより、速度の乱れに起因する画像アーチファクトの発生を防止することができる。
次に、同時駆動での全身撮影について説明する。
図16は、駆動制御回路35による同時駆動での全身撮影モードにおける動作シーケンスを示す図である。全身撮影を同時駆動モードで行う場合、駆動制御回路35は、架台本体11が最高高さHaから最低高さHbまで一定速度2・Vconで下降するように上側支柱駆動装置と下側支柱駆動装置とを同時に駆動させる。すなわち、撮影範囲内において上側スライド機構73による可動範囲MR1と下側スライド機構83による可動範囲MR2とはオーバラップする。速度2・Vconは、上側スライド機構73の速度Vconと下側スライド機構83の速度Vconとの合計である。
具体的には、図16に示すように、駆動制御回路35は、まず、上側支柱駆動装置31と下側支柱駆動装置37とを同時に駆動して、上側スライド機構73のスライダ733と下側スライド機構83のスライダ833とを速度Vconで下降させる。これにより架台本体11が速度2・Vconで下降する。駆動制御回路35は、架台本体11が最低高さHcまで下降したことを契機として上側支柱駆動装置31と下側支柱駆動装置37とを停止する。
これにより同時駆動による高速撮影が可能となり撮影時間の短縮が実現する。また、個別駆動に比して撮影時間が短くなるので、被検体Sの被曝量も低減する。
なお、上記の説明においては、上側スライド機構73と下側スライド機構83とのボールねじのリードピッチは同一であり、上側支柱駆動装置31と下側支柱駆動装置37とのモータ容量も同一であるとした。しかしながら、上側スライド機構73と下側スライド機構83とのボールねじのリードピッチが異なり、上側支柱駆動装置31と下側支柱駆動装置37とのモータ容量も異なっても良い。この場合において全身撮影を行う場合、可動範囲MR1と可動範囲MR2とで架台本体11の速度が異なるため、速度差に起因するムラが画像に生じてしまう。そのため、可動範囲MR1又は可動範囲MR2よりも広い範囲を撮影する場合、駆動制御回路35は、上側支柱駆動装置31と下側支柱駆動装置37とを同時に動かすと良い。これにより、駆動制御回路35は、広範な撮影範囲において架台本体11を一定の速度で昇降させることができるため、速度差に起因するムラを低減することができる。
(実施例2)
次に部分撮影について説明する。
上記の通り、部分撮影モードは、上側スライド機構73の可動範囲MR1内又は下側スライド機構83の可動範囲MR2とのうちの何れかの可動範囲よりも狭い範囲をX線CT撮影するモードである。部分撮影モードにおいては、撮影範囲によっては必ずしもX線CT撮影中に架台本体11を昇降させる必要はない。しかしながら、以下の説明においては、架台本体11を昇降させるものとする。なお、部分撮影モードにおいても、上側スライド機構73と下側スライド機構83とのボールねじのリードピッチは同一でも異なっても良く、上側支柱駆動装置31と下側支柱駆動装置37とのモータ容量も同一でも異なっても良い。しかしながら、以下の説明においては、上側スライド機構31と下側スライド機構37とのボールねじのリードピッチが異なり、上側支柱駆動装置73と下側支柱駆動装置83とのモータ容量も異なるものとする。より詳細には、上側スライド機構73は下側スライド機構83よりもリードピッチが長く、上側支柱駆動装置31は下側支柱駆動装置37よりもモータ容量が大きいものとする。以下、上側スライド機構73により上側支柱27は速度Vhighでスライドし、下側スライド機構83により下側支柱29は速度Vlowでスライドする。なお、リードピッチとモータ容量とが異なる場合であっても駆動制御回路35の制御態様に違いはない。
図17A及びBは、駆動制御回路35による部分撮影モードにおける動作シーケンスを示す図である。図17Aの縦軸は速度に規定され、横軸は時間に規定される。図17Bの縦軸は高さ位置に規定され、横軸は時間に規定される。上側スライド機構73は速度Vhighで動作し、下側スライド機構83は速度Vhighよりも遅い速度Vlowで動作可能であるとする。また、撮影開始位置が高さHsであり撮影終了位置が高さHeであるとする。また、位置決め動作の開始時刻Tpeにおいて架台本体11は高さHcに配置されているものとする。
図17A及びBに示すように、部分撮影モードにおいて駆動制御回路35は、下側支柱駆動装置37を駆動して下側スライド機構83により上側支柱27を低速度Vlowで昇降して位置決め動作を行い、位置決め完了後、上側支柱駆動装置31を駆動して上側スライド機構73により架台本体11を高速度Vhighで昇降して撮影動作を行う。このように位置決めにおいては低速度Vlowで架台本体11を昇降させることにより被検体Sの挟み込みや不安感を低減させることができる。また、X線CT撮影時においては高速度Vhighで架台本体11を昇降させることにより被検体Sの被曝量を低減することが可能となる。以下、詳細に説明する。
図17A及びBに示すように、時刻Tpeにおいて入力機器57を介して位置決め指示が入力されると、架台制御回路25は、駆動制御回路35に位置決め動作を開始させる。位置決め動作において駆動制御回路35は、上側支柱駆動装置31を駆動して上側スライド機構73により架台本体11を高速度Vhighで上昇させ、架台本体11を撮影開始位置Hsに配置する。架台本体11の撮影開始位置Hsまでの移動は、ユーザにより入力機器57を介した指示に従い手動的に行われても良いし、位置決めシーケンスに従い自動的に行われても良い。
架台本体11が撮影開始位置に配置されると(時刻Tpe)、駆動制御回路35は、下側支柱駆動装置37の駆動を停止する。なお、部分撮影モードにおいては撮影開始位置Hsと撮影終了位置Heとの間において、上側支柱駆動装置31と下側支柱駆動装置37との駆動の切替を行う必要がないように撮影範囲が設定されると良い。具体的には、駆動制御回路35は、撮影範囲の中心高さが上側スライド機構73の可動範囲MR1内の中心高さに一致するように、架台本体11及び上側支柱27の位置決めを行う。
X線CT撮影の準備が整うとユーザは、入力機器57を介して撮影指示を入力する(時刻Tss)。撮影指示が入力されると架台制御回路25は、高電圧発生器39と回転駆動装置23と駆動制御回路35とを同期的に制御して被検体Sの部分撮影を行う。すなわち、架台制御回路25は、回転駆動装置23を制御して回転フレーム21を中心軸R1回りに回転させるとともに駆動制御回路35を制御して架台本体11を撮影範囲内において上昇させ、回転フレーム21の回転と架台本体11の上昇との実行中、高電圧発生器39を制御してX線管17からX線を発生させる。X線管17から発生されたX線は被検体Sを透過してX線検出器19に検出される。X線検出器19により検出されたX線に対応する生データがデータ収集回路41により収集される。収集された生データは、非接触データ伝送装置により画像再構成装置51に伝送される。画像再構成装置51は、生データに基づいて被検体Sの撮影部位に関するボリュームデータを再構成する。再構成されたボリュームデータは、画像処理装置53により2次元の表示画像に変換され表示機器55に表示される。
駆動制御回路35による撮影動作について具体的に説明する。架台制御回路25から撮影指示がなされると駆動制御回路35は、上側支柱駆動装置31を駆動して上側スライド機構73を介して架台本体11を撮影開始位置Hsから撮影終了位置Heまで速度Vhighで上昇させる。駆動制御回路35は、架台本体11が撮影終了位置Heに到達すると上側支柱駆動装置31を停止させる。
これにより部分撮影が終了する。なお、上記の実施例において駆動制御回路35は、部分撮影の撮影範囲において上側支柱駆動装置31のみを駆動させるものとした。しかしながら、本実施形態はこれに限定されない。すなわち、駆動制御回路35は、部分撮影の撮影範囲において上側支柱駆動装置31と下側支柱駆動装置37とを同時に駆動して高速撮影を行うことも可能である。また、位置決め動作において駆動制御回路35は、下側支柱駆動装置37のみを駆動させるものとした。しかしながら、本実施形態はこれに限定されない。すなわち、架台本体11による被検体Sへの挟み込みの危険性が少ないのであれば、上側支柱駆動装置31と下側支柱駆動装置37とを同時に駆動して高速移動しても良い。
上記の通り、架台装置10は、全身撮影だけでなく部分撮影も可能である。上側スライド機構73と下側スライド機構83との速度を変えることにより、上側スライド機構73と下側スライド機構83との用途を変えることもできる。例えば、上側スライド機構73を下側スライド機構83よりも高速にスライドさせることにより、上側スライド機構73を撮影用、下側スライド機構83を位置決め用に特化させることができる。これにより、位置決め時における架台本体11による被検体Sの挟み込みを防止しつつ、撮影時における被検体Sの被曝量を低減することができる。
以上で本実施形態に係る架台装置10の動作例の説明を終了する。
次に、本実施形態に係る架台装置10が有する構造の効果について詳述する。立位CTを実現するためには、架台本体を天井付近まで上昇させることが必要である。このための架台装置として、図18に示す柱固定型の架台装置と図19に示す柱収納型の架台装置とが挙げられる。柱固定型の架台装置は、床面から天井まで延在する支柱を有し、当該支柱が架台本体をスライドする。柱固定型の架台装置は、立位状態の被検体の全身撮影を可能にするが、床面から天井まで延在する大型の支柱を装備する必要があり、被検体に圧迫感を与えてしまう。天井まで延在する支柱は、天井に設置するインジェクタ等の装置の取り回しの自由度を下げ、また、病院への搬入を困難にすることとなる。図19に示す柱収納型の架台装置は、上側支柱と下側支柱との2段構造を有し、下側支柱が上側支柱をスライドすることにより架台本体の昇降を行う。図19に示す柱収納型の架台装置は、下側支柱に上側支柱を収納できるが、架台本体を床面まで下降することができないため、立位状態の被検体の上半身のみしか撮影することができない。
一方、本実施形態に係る架台装置10は、上記の通り、架台本体11を長手方向に関してスライド可能に支持する上側支柱27と、上側支柱27を長手方向に関してスライド可能に支持する下側支柱29とを有する。よって、図18に示す柱固定型の架台装置に比して、床面から天井まで延在する支柱を装備する必要がなく、図19に示す柱収納型の架台装置に比して、架台本体を床面まで下降することができる。すなわち、本実施形態に係る架台装置によれば、従来の臥位専用の架台装置と同様の大きさで立位の全身撮影をすることができる。
よって、本実施形態に係る架台装置10及びX線コンピュータ断層撮影装置は、上記の構造により、架台装置10の大型化を回避しつつ、被検体Sの全身撮影をすることができる。また、本実施形態に係る架台装置は、従来の臥位専用の架台装置と同等の大きさであるため、設置のために検査室のレイアウトを変更することもなく、搬入時に壁や天井を取り外す必要もない。
なお、上記の説明において支柱部13は上側支柱27と下側支柱29との2段構造を有するとした。しかしながら、本実施形態はこれに限定されず、多段構造を有しても良い。この場合、下側支柱29は、入れ子構造を有する複数の下側支柱を有することとなる。各下側支柱は、長手方向にスライド可能に内側の下側支柱を支持することとなる。これにより下側支柱29の高さをより低減することができる。
かくして本実施形態によれば、立位状態の被検体をX線コンピュータ断層撮影するためのX線コンピュータ断層撮影装置及び架台装置において大型化を回避しつつ全身撮影を可能とすることが実現する。
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。