以下では、本発明の実施形態を、添付図面を参照して詳細に説明する。
以下では、特に断りがない限り、水平な路面Rs上に配置された基準姿勢の鞍乗型車両1について説明する。基準姿勢は、鞍乗型車両1が直進する直進位置(図3に示すステアリングハンドル14の位置)にステアリングハンドル14が配置され、後輪Rwの回転中心C1が水平な姿勢である。
以下の説明における前後方向、上下方向、および左右方向は、特に断りがない限り、基準姿勢の鞍乗型車両1に基づいて定義される。左右方向は、車幅方向に相当する。車両中央WOは、ヘッドパイプ3の中心線を通り、後輪Rwの回転中心C1に直交する鉛直面に相当する。以下の説明における平面視および側面視は、特に断りがない限り、それぞれ、鞍乗型車両1の平面視および側面視を意味する。以下の説明における「上端」は、ある部材の中で最も上方に位置する部分を意味する。つまり、「上端」は、最上端を意味する。下端、前端、後端、右端、左端、外端、および内端についても同様である。
図1は、本発明の一実施形態に係る鞍乗型車両1を示す左側面図である。図2、図3、および図4は、それぞれ、外装カバー39、シート11、および収納ボックス12が取り外された鞍乗型車両1を示す左側面図、平面図、および右側面図である。図1中の矢印Uおよび矢印Fは、それぞれ、鞍乗型車両1の上方向および前方向を示している。図2中の矢印Lは、鞍乗型車両1の左方向を示している。他の図についても同様である。
図1に示すように、鞍乗型車両1は、例えば、スクーターである。鞍乗型車両1は、外装カバー39で覆われた車体フレーム2を備えている。車体フレーム2は、後方かつ上方に斜めに延びるヘッドパイプ3を含む。図2に示すように、車体フレーム2は、さらに、ヘッドパイプ3から後方かつ下方に斜めに延びるダウンフレーム4と、ダウンフレーム4から後方かつ上方に斜めに延びる一対のロワーフレーム5とを含む。ダウンフレーム4およびロワーフレーム5は、例えば中空の金属部材である。一対のロワーフレーム5の前端は、ヘッドパイプ3よりも下方に配置されている。一対のロワーフレーム5は、側面視で互いに重なっている。
図1に示すように、鞍乗型車両1は、運転者が座る鞍型のシート11と、シート11の下方に配置された収納ボックス12とを含む。図1は、運転者が座るメインシート11mと同乗者が座るタンデムシート11tとが、シート11に設けられている例を示している。シート11は、一人乗り用であってもよい。シート11および収納ボックス12は、ヘッドパイプ3の後方に配置されている。収納ボックス12の上端部に設けられた開口は、シート11によって開閉される。図1は、収納ボックス12の開口がシート11によって閉じられた閉位置にシート11が配置されている状態を示している。
シート11は、収納ボックス12を介して車体フレーム2に連結されている。図3に示すように、車体フレーム2は、右方のロワーフレーム5から左方のロワーフレーム5に延びるクロスメンバ6と、クロスメンバ6から前方に延びる一対のフロントステー7と、一対のロワーフレーム5から後方に延びる一対のリアステー(右リアステー8および左リアステー9)とを含む。収納ボックス12は、複数のボルトによって取り外し可能にフロントステー7、右リアステー8、および左リアステー9に固定されている。
フロントステー7は、右リアステー8および左リアステー9よりも前方に配置されている。車幅方向における一対のフロントステー7の間隔は、車幅方向における右リアステー8および左リアステー9の間隔よりも狭い。フロントステー7は、右リアステー8および左リアステー9よりも車幅方向における内方に配置されている。フロントステー7は、平面視で後輪Rwの前方に配置されている。右リアステー8および左リアステー9は、後輪Rwよりも車幅方向における外方に配置されている。
右リアステー8および左リアステー9は、いずれも、例えば金属製である。右リアステー8は、右方のロワーフレーム5から後方に延びており、左リアステー9は、左方のロワーフレーム5から後方に延びている。右リアステー8の後端2rは、左リアステー9の後端9rよりも後方に配置されている。右リアステー8の後端2rは、車体フレーム2のうちで最も後方に位置する車体フレーム2の後端2rに相当する。車体フレーム2の後端2rは、後輪Rwの回転中心C1よりも前方に配置されている。これとは反対に、シート11の後端11rは、後輪Rwの回転中心C1よりも後方に配置されている。
図2に示すように、鞍乗型車両1を操舵するステアリング装置13は、運転者によって操作されるステアリングハンドル14と、前輪Fwを回転可能に支持するフロントフォーク16とを含む。前輪支持部材の一例であるフロントフォーク16は、前輪Fwの右方および左方にそれぞれ配置された一対のフォークパイプ17と、ヘッドパイプ3に挿入されたステアリングシャフト15とを含む。前輪Fwは、路面Rs上を転がるゴム製のタイヤTと、タイヤTに取り囲まれた金属製のホイールWとを含む。ホイールWは、タイヤTに取り囲まれた環状のリムRと、リムRに取り囲まれた環状のハブHと、ハブHからリムRに延びる複数のスポークSとを含む。後輪RwもタイヤTおよびホイールWを含む。
ステアリングシャフト15は、ヘッドパイプ3の上端部から上方に突出している。ステアリングハンドル14は、ステアリングシャフト15の上端部に連結されている。ステアリングハンドル14は、ヘッドパイプ3の上方に配置されている。ステアリングハンドル14が操作されると、前輪Fwは、ステアリングハンドル14およびフロントフォーク16とともに、ヘッドパイプ3の中心線まわりに左右に回動する。これにより、鞍乗型車両1が操舵される。
鞍乗型車両1は、車体フレーム2に対して上下に揺動可能なスイングユニット21を含む。スイングユニット21は、鞍乗型車両1を走行させるパワーユニットの一例である。スイングユニット21は、後輪Rwを回転させる動力を発生するエンジン22と、エンジン22の動力を後輪Rwに伝達する伝達機構23とを含む。伝達機構23は、エンジン22から後方に延びている。後輪Rwは、伝達機構23によって回転可能に支持されている。エンジン22は、防振リンク24を介して車体フレーム2に取り付けられている。後輪Rwおよびスイングユニット21は、防振リンク24を車幅方向に通過する水平なピボット軸線Ap1およびAp2まわりに車体フレーム2に対して上下に揺動可能である。
図3に示すように、後輪Rwは、スイングユニット21の右方に配置されている。鞍乗型車両1は、後輪Rwの右方に配置されたリアアーム25と、スイングユニット21の振動を吸収するリアサスペンション26とを備えている。後輪Rwは、車幅方向におけるスイングユニット21およびリアアーム25の間に配置されている。後輪Rwは、スイングユニット21およびリアアーム25に回転可能に支持されている。
図4に示すように、リアサスペンション26の上端部は、車体フレーム2に取り付けられており、リアサスペンション26の下端部は、リアアーム25を介してスイングユニット21に取り付けられている。リアサスペンション26は、後輪Rwよりも右方に配置されている。したがって、リアサスペンション26は、後輪Rwに対して伝達機構23とは反対側に配置されている。
鞍乗型車両1に備えられたリアサスペンション26の数は1つである。言い換えると、鞍乗型車両1には、リアサスペンション26が1つしか設けられていない。リアサスペンション26は、側面視で後輪Rwに重なっている。リアサスペンション26の全体は、後輪Rwの回転中心C1よりも前方に配置されている。リアサスペンション26は、側面視で収納ボックス12の下方に配置されている。リアサスペンション26のいずれの部分も、側面視で収納ボックス12に重なっていない。リアサスペンション26の少なくとも一部は、側面視で収納ボックス12に重なっていてもよい。
図2に示すように、鞍乗型車両1は、エンジン22に供給される燃料を貯留する燃料タンク27を含む。燃料タンク27は、車体フレーム2に取り付けられている。燃料タンク27は、後述するフットボード44(図1参照)の下に配置されている。燃料タンク27は、フットボード44の下の空間以外の位置に配置されていてもよい。燃料タンク27は、車幅方向における一対のロワーフレーム5の間に配置されている。燃料タンク27は、平面視でエンジン22の前方に配置されている。給油口を開閉するフィラーキャップ29は、車幅方向におけるヘッドパイプ3の外方に配置されている。給油口に流入した燃料は、燃料タンク27から上方に延びる燃料配管28によって燃料タンク27に導かれる。
図3に示すように、鞍乗型車両1は、エンジン22に供給される空気から異物を除去するエレメントEを収容したエアクリーナーボックス30と、エアクリーナーボックス30からエンジン22に空気を案内する吸気管31とを備えている。鞍乗型車両1は、さらに、エンジン22で生成された排気ガスを大気に放出するエキゾーストシステム32を備えている。エキゾーストシステム32は、エンジン22から排出された排気ガスを下流に案内する排気管33と、排気管33によって案内された排気ガスを大気中で開口する排気口34pから放出するサイレンサー34とを含む。
エアクリーナーボックス30は、伝達機構23の上方に配置されている。エンジン22は、平面視でエアクリーナーボックス30の前方に配置されている。吸気管31は、エアクリーナーボックス30から前方に延びている。図4に示すように、排気管33は、エンジン22から後方に延びている。サイレンサー34は、排気管33から後方に延びている。排気管33およびサイレンサー34は、リアアーム25の右方に配置されており、側面視でリアアーム25に重なっている。排気管33の前端部は、エンジン22に取り付けられている。サイレンサー34は、リアアーム25に取り付けられている。エキゾーストシステム32は、後輪Rwおよびスイングユニット21とともに車体フレーム2に対して上下に揺動可能である。
図1に示すように、鞍乗型車両1は、前方に光を発するヘッドランプ35と、運転者の操作に応じて点滅する2つのフロントフラッシャー36とを含む。鞍乗型車両1は、さらに、後方に光を発するテールランプ37と、運転者の操作に応じて点滅する2つのリアフラッシャー38とを含む。ヘッドランプ35およびフロントフラッシャー36は、シート11よりも前方に配置されている。テールランプ37およびリアフラッシャー38は、後輪Rwの前端Rfよりも後方に配置されている。
鞍乗型車両1の外装カバー39は、ステアリングハンドル14の前方および後方に配置されたハンドルカバー40と、ヘッドパイプ3の前方に配置されたフロントカバー41と、ヘッドパイプ3の後方に配置されたレッグシールド42とを含む。レッグシールド42は、前後方向におけるヘッドパイプ3とシート11との間に配置されている。外装カバー39のフロントフェンダー43は、前輪Fwの上方に配置されている。フロントフェンダー43は、前輪Fwとともに左右に回動する。ハンドルカバー40は、ステアリングハンドル14とともに左右に回動する。
外装カバー39は、一対のロワーフレーム5の上方に配置されたフットボード44と、一対のロワーフレーム5の右方および左方にそれぞれ配置された一対のアンダーサイドカバー45と、シート11の下方に配置されたロワーカバー46とを含む。ロワーカバー46は、レッグシールド42の後方に配置されている。外装カバー39は、シート11に着座している運転者の足および脚が配置されるレッグスペースSLを前後方向におけるレッグシールド42とロワーカバー46との間に形成している。
シート11に着座している運転者の足は、フットボード44の上面に設けられたフラット面44sに置かれる。フラット面44sは、鞍乗型車両1の右端から鞍乗型車両1の左端まで車幅方向に延びている。フラット面44sは、凹凸のない完全な平面であってもよいし、足を置くのに支障のない程度の凹部または凸部(例えば、1〜2cm程度の凹部または凸部)が設けられた実質的な平面であってもよい。シート11に着座している運転者の足がフラット面44sに置かれているとき、運転者の脚は、レッグシールド42の後方に配置される。
外装カバー39は、収納ボックス12の右方および左方にそれぞれ配置された一対のリアサイドカバー47と、後輪Rwの上方および後方に配置されたリアフェンダー49とを含む。リアフェンダー49は、収納ボックス12から後方に延びるステー48を介して収納ボックス12に支持されている。リアフェンダー49は、ステー48から下方に延びている。2つのリアフラッシャー38は、リアフェンダー49に取り付けられている。テールランプ37は、収納ボックス12を介して車体フレーム2に取り付けられている。テールランプ37は、収納ボックス12の後方に配置されている。
図4に示すように、ロワーフレーム5は、フットボード44(図1参照)の下方に配置されたフロントフレーム51と、シート11(図1参照)の下方に配置されたリアフレーム53と、フロントフレーム51からリアフレーム53に延びるコーナーフレーム52とを含む。フロントフレーム51は、ダウンフレーム4から斜め上方向に後方に延びており、リアフレーム53は、コーナーフレーム52から斜め上方向に後方に延びている。
リアフレーム53は、側面視でエンジン22に重なっている。リアフレーム53は、側面視でリアサスペンション26の前方に配置されている。リアサスペンション26は、リアフレーム53に固定された右リアステー8から斜め下方向に後方に延びている。リアフレーム53が側面視で後方に倒れている一方で、リアサスペンション26は、側面視で前方に倒れている。リアフレーム53およびリアサスペンション26は、前後方向に離れている。後述する冷却ファン78は、前後方向におけるリアフレーム53およびリアサスペンション26の間に配置されている。図3に示すように、リアサスペンション26は、冷却ファン78よりも上方に配置されており、平面視で冷却ファン78に重なっている(図5も参照)。
図4に示すように、排気管33は、側面視でリアフレーム53およびリアサスペンション26の下方に配置されている。排気管33の前端部は、側面視でエンジン22の下方に配置されている。排気管33の後端部は、側面視でリアサスペンション26の下方に配置されている。冷却ファン78は、側面視で排気管33の上方に配置されている。冷却ファン78は、側面視においてリアフレーム53、リアサスペンション26、および排気管33によって囲まれた三角形状の空間内に配置されている。
リアフレーム53の上端は、ロワーフレーム5の上端5uに相当する。リアフレーム53の後端は、ロワーフレーム5の後端5rに相当する。右リアステー8は、リアフレーム53から後方に延びている。右リアステー8の後端2rは、ロワーフレーム5の後端5rよりも後方に配置されている。右リアステー8の後端2rは、車体フレーム2の後端2rに相当する。車体フレーム2の後端2rは、ロワーフレーム5の後端5rよりも下方に配置されている。
ロワーフレーム5の上端5uは、ヘッドパイプ3の下端3Lよりも下方に配置されている。ロワーフレーム5の上端5uは、後述するシリンダ57よりも上方に配置されている。ロワーフレーム5の上端5uは、後述するクランクシャフト55の回転軸線Acよりも上方に配置されている。ロワーフレーム5の後端5rは、クランクシャフト55の回転軸線Acよりも後方に配置されている。ロワーフレーム5の後端5rは、リアサスペンション26の上端26uよりも上方に配置されている。ロワーフレーム5の後端5rは、後輪Rwの上端Ruよりも上方に配置されている。ロワーフレーム5の後端5rは、後輪Rwの前端Rfよりも前方に配置されている。
車体フレーム2の後端2rは、ヘッドパイプ3の下端3Lよりも下方に配置されている。車体フレーム2の後端2rは、シリンダ57(図5参照)よりも上方に配置されている。車体フレーム2の後端2rは、クランクシャフト55の回転軸線Acよりも上方に配置されている。車体フレーム2の後端2rは、クランクシャフト55の回転軸線Acよりも後方に配置されている。車体フレーム2の後端2rは、後輪Rwの上端Ruよりも上方に配置されている。車体フレーム2の後端2rは、後輪Rwの回転中心C1よりも前方に配置されている。車体フレーム2の後端2rは、リアサスペンション26の上端26uよりも上方に配置されている。
次に、スイングユニット21について説明する。
図5は、スイングユニット21の内部を示す断面図である。
エンジン22は、燃料の燃焼に伴って往復するピストン54と、ピストン54を収容するシリンダ57と、ピストン54の往復に伴って回転するクランクシャフト55と、ピストン54とクランクシャフト55とを接続するコネクティングロッド56とを含む。図5は、シリンダ57の中心線Lcが平面視で前後方向に延びており、クランクシャフト55の回転軸線Acが平面視で左右方向に延びている例を示している。シリンダ57の中心線Lcおよびクランクシャフト55の回転軸線Acの方向はこれに限られない。
シリンダ57は、ピストン54を収容するシリンダボディ59と、空気と燃料の混合気が燃焼する燃焼室60をピストン54およびシリンダボディ59とともに形成するシリンダヘッド58とを含む。エンジン22は、燃焼室60内で混合気に着火する点火プラグ61と、燃焼室60の内面で開口する吸気ポートを開閉する吸気バルブと、燃焼室60の内面で開口する排気ポートを開閉する排気バルブとを含む。空気は、吸気ポートを介して燃焼室60に供給され、排気ガスは、排気ポートを介して燃焼室60から排出される。
伝達機構23は、エンジン22から伝達された回転の速度を連続的に変更しながら当該回転を後輪Rwの方に伝達するベルト式のCVT62(Continuously Variable Transmission)を含む。CVT62は、クランクシャフト55とともに回転するドライブプーリ63と、ドライブプーリ63の後方に配置されたドリブンプーリ65と、ドライブプーリ63およびドリブンプーリ65に掛け渡されたエンドレスベルト64と、遠心クラッチ66を介してドリブンプーリ65に連結されたセカンダリーシャフト67とを含む。クランクシャフト55の回転は、ドライブプーリ63、エンドレスベルト64、およびドリブンプーリ65によってその速度が連続的に変更されながら、ドリブンプーリ65に伝達される。これにより、クランクシャフト55の回転がセカンダリーシャフト67に伝達される。
伝達機構23は、さらに、CVT62から伝達された回転の速度を低下させながら当該回転を後輪Rwの方に伝達する減速機68を含む。減速機68は、セカンダリーシャフト67とともに回転するドライブギア69と、ドライブギア69に噛み合わされたカウンターギア70と、カウンターギア70に噛み合わされたドリブンギア71とを含む。セカンダリーシャフト67の回転は、ドライブギア69およびカウンターギア70を介してドリブンギア71に伝達される。車幅方向に延びる車軸72は、ドリブンギア71に挿入されており、ドリブンギア71とともに回転する。車軸72は、後輪RwのハブHを車幅方向に貫通しており、アクスルナットNaによって後輪RwのホイールWに固定されている。これにより、クランクシャフト55の回転が後輪Rwに伝達される。
エンジン22は、クランクシャフト55を収容するクランクケース73を含む。伝達機構23は、CVT62を収容するCVTケース74を含む。遠心クラッチ66および減速機68も、CVTケース74に収容されている。CVTケース74は、クランクケース73の左方に配置されたメインケース75と、メインケース75の左方に配置されたサイドケース76とを含む。メインケース75およびサイドケース76は、CVT62を収容している。クランクケース73は、メインケース75から右方に延びている。シリンダボディ59は、クランクケース73から前方に延びている。
車軸72は、CVTケース74のメインケース75から車幅方向に突出している。車軸72の両端部は、リアアーム25およびCVTケース74に支持されている。リアアーム25は、後輪Rwの右方に配置されている。CVTケース74は、後輪Rwの左方に配置されている。後輪Rwは、車幅方向におけるリアアーム25およびCVTケース74の間に配置されている。後輪Rwは、車軸72を介してリアアーム25およびCVTケース74に支持されている。
スイングユニット21は、クランクシャフト55の回転に伴って発電する発電機77(例えばフライホイールマグネトウ)と、クランクシャフト55とともに回転する冷却ファン78と、発電機77および冷却ファン78を収容するシュラウド79とを含む。発電機77、冷却ファン78、およびシュラウド79は、クランクケース73に対して伝達機構23とは反対側に配置されている。発電機77および冷却ファン78は、車幅方向におけるクランクケース73およびシュラウド79の間に配置されている。冷却ファン78は、車幅方向における発電機77の外方に配置されている。発電機77および冷却ファン78は、クランクシャフト55を取り囲んでいる。
次に、防振リンク24について説明する。
図6Aは、防振リンク24を上方向に見た模式図である。図6Bは、図6Aに示す切断線VIB−VIBに沿う防振リンク24の断面を示す断面図である。図6Cは、図6Aに示す切断線VIC−VICに沿う防振リンク24の断面を示す断面図である。
図6Aに示すように、防振リンク24は、車体フレーム2とスイングユニット21との間に介在するリンク部材82と、スイングユニット21の振動を吸収する少なくとも一つのダンパーユニットとを含む。図6Aは、車体フレーム2とリンク部材82との間に介在する一対のフロントダンパーユニットDfと、リンク部材82とスイングユニット21との間に介在する一対のリアダンパーユニットDrとが、防振リンク24に設けられている例を示している。リンク部材82は、一対のフロントダンパーユニットDfを介して車体フレーム2に連結されており、一対のリアダンパーユニットDrを介してスイングユニット21に連結されている。
スイングユニット21は、車幅方向に延びる前ピボット軸線Ap1まわりに車体フレーム2に対して揺動可能であり、車幅方向に延びる後ピボット軸線Ap2まわりに車体フレーム2に対して揺動可能である。一対のフロントダンパーユニットDfは、前ピボット軸線Ap1上に配置されている。一対のリアダンパーユニットDrは、後ピボット軸線Ap2に配置されている。前ピボット軸線Ap1は、後ピボット軸線Ap2よりも前方に配置されている。前ピボット軸線Ap1は、後ピボット軸線Ap2よりも上方に配置されている。前ピボット軸線Ap1および後ピボット軸線Ap2は、クランクシャフト55の回転軸線Acよりも前方に配置されている(図4参照)。前ピボット軸線Ap1および後ピボット軸線Ap2は、クランクシャフト55の回転軸線Acよりも下方に配置されている。
一対のフロントダンパーユニットDfは、リンク部材82に保持されている。一対のリアダンパーユニットDrは、スイングユニット21に保持されている。リンク部材82は、一対のフロントダンパーユニットDfを保持する一対のフロントホルダー部83を含む。スイングユニット21は、一対のリアダンパーユニットDrを保持する一対のリアホルダー部86を含む。一対のフロントダンパーユニットDfは、車体フレーム2に保持されていてもよい。一対のリアダンパーユニットDrは、リンク部材82に保持されていてもよい。
リンク部材82は、一対のフロントホルダー部83に加えて、車幅方向における一対のリアホルダー部86の間に配置されたベース部85と、ベース部85から一対のフロントホルダー部83に延びるアーム部84とを含む。リンク部材82の一対のフロントホルダー部83は、車体フレーム2に設けられた一対のロワーステー81の間に配置されている。一対のロワーステー81は、それぞれ、一対のロワーフレーム5から下方に延びている(図4参照)。ロワーステー81は、ロワーフレーム5に固定されている。
図6Bに示すように、フロントダンパーユニットDfは、ゴム製または樹脂製の筒状の弾性体Deと、弾性体Deに取り囲まれたインナーチューブDiと、弾性体Deを取り囲むアウターチューブDoとを含む。リアダンパーユニットDrなどの他のダンパーユニット(後述する上ダンパーユニットDuおよび下ダンパーユニットDL)も、弾性体De、インナーチューブDi、およびアウターチューブDoを備えている。インナーチューブDiの外周面は、接着等によって弾性体Deの内周面に結合されており、アウターチューブDoの内周面は、接着等によって弾性体Deの外周面に結合されている。インナーチューブDiおよびアウターチューブDoを相対的に回転させる力が加わると、弾性体Deが弾性変形し、インナーチューブDiおよびアウターチューブDoが相対的に回転する。
フロントダンパーユニットDfのアウターチューブDoは、フロントホルダー部83に挿入されており、フロントホルダー部83に固定されている。フロントダンパーユニットDfは、車幅方向におけるロワーステー81の内方に配置されている。ボルトB1は、ロワーステー81を車幅方向に貫通しており、フロントダンパーユニットDfのインナーチューブDiに挿入されている。ナットN1は、車幅方向におけるフロントダンパーユニットDfの内方に配置されており、ボルトB1にねじ止めされている。フロントダンパーユニットDfのインナーチューブDiは、ボルトB1およびナットN1によって車幅方向に挟まれている。これにより、フロントダンパーユニットDfのインナーチューブDiがロワーステー81に固定されている。
図6Cに示すように、リアダンパーユニットDrのアウターチューブDoは、リアホルダー部86に挿入されており、リアホルダー部86に固定されている。ボルトB2は、一対のリアダンパーユニットDrとリンク部材82のベース部85とを車幅方向に貫通している。ナットN2は、ボルトB2にねじ止めされている。一対のリアダンパーユニットDrのインナーチューブDiは、ボルトB2およびナットN2によって車幅方向に挟まれている。リンク部材82のベース部85は、一対のリアダンパーユニットDrのインナーチューブDiによって車幅方向に挟まれている。これにより、リンク部材82のベース部85が一対のリアダンパーユニットDrのインナーチューブDiに固定されている。
次に、エアクリーナーボックス30およびリアアーム25について説明する。
図7は、外装カバー39、シート11、および収納ボックス12が取り外された鞍乗型車両1の後部を示す右側面図である。図8は、外装カバー39、シート11、および収納ボックス12が取り外された鞍乗型車両1の後部を示す平面図である。図9は、外装カバー39、シート11、および収納ボックス12に加えて、リアサスペンション26およびエキゾーストシステム32が取り外された鞍乗型車両1の後部を示す右側面図である。
図8に示すように、エアクリーナーボックス30は、車幅方向に並んだセンターボックス91およびサイドボックス92を含む。センターボックス91およびサイドボックス92は、エレメントEを収容している。センターボックス91およびサイドボックス92は、後輪Rwの回転中心C1よりも前方に配置されている。サイドボックス92は、センターボックス91の左方に配置されている。サイドボックス92は、CVTケース74の上方に配置されており、平面視でCVTケース74に重なっている。
センターボックス91は、平面視でシリンダ57の後方に配置されている。吸気管31は、センターボックス91から前方に延びている。センターボックス91は、CVTケース74および後輪Rwの上方に配置されており、平面視でCVTケース74および後輪Rwに重なっている。センターボックス91は、さらに、クランクケース73の上方に配置されており、平面視でクランクケース73に重なっている。
エアクリーナーボックス30は、後輪Rwの前方に配置されたフロント部93と、後輪Rwの側方に配置されたサイド部94とを含む。フロント部93およびサイド部94は、センターボックス91の一部である。サイド部94は、車幅方向における後輪Rwの外方に配置されている。サイド部94は、車幅方向における後輪Rwおよびサイドボックス92の間に配置されている。フロント部93は、サイド部94から右方に延びている。
フロント部93の側面は、エアクリーナーボックス30の側面30sに相当する。エアクリーナーボックス30の側面30sは、後輪Rwよりも右方に配置されている。図7に示すように、リアサスペンション26は、エアクリーナーボックス30の右方に配置されており、側面視でエアクリーナーボックス30の側面30sに重なっている。
図9に示すように、リアアーム25は、クランクケース73から後方に延びている。リアアーム25は、取り外し可能にクランクケース73に固定されている。車軸72は、リアアーム25に支持されている。リアアーム25は、クランクケース73に固定された少なくとも一つの固定部と、車軸72を支持する車軸支持部96とを含む。図9は、2つの固定部(上固定部95uおよび下固定部95L)がリアアーム25に設けられている例を示している。
上固定部95uおよび下固定部95Lは、2つのボルトB3によってクランクケース73に固定されている。上固定部95uおよび下固定部95Lは、クランクシャフト55の回転軸線Acよりも後方に配置されている。上固定部95uおよび下固定部95Lは、後輪Rwの回転中心C1よりも前方に配置されている。上固定部95uは、クランクシャフト55の回転軸線Acおよび後輪Rwの回転中心C1よりも上方に配置されている。下固定部95Lは、クランクシャフト55の回転軸線Acおよび後輪Rwの回転中心C1よりも下方に配置されている。上固定部95uは、後輪Rwの上端Ruよりも下方に配置されている。
車軸支持部96は、上固定部95uおよび下固定部95Lよりも後方に配置されている。車軸支持部96は、後輪Rwの右方に配置されている。車軸72は、車軸支持部96を左右方向に貫通する貫通穴に挿入されている。車軸72は、車軸72と車軸支持部96との間に配置されたベアリングを介して車軸支持部96に支持されている。図8に示すように、車軸支持部96は、車幅方向における後輪Rwおよびサイレンサー34の間に配置されている。
サイレンサー34は、リアアーム25に取り付けられている。同様に、リアサスペンション26は、リアアーム25に取り付けられている。リアアーム25は、エキゾーストシステム32が取り付けられた少なくとも一つのサイレンサー取付部と、リアサスペンション26が取り付けられたサスペンション取付部99とを含む。図9は、3つのサイレンサー取付部(前サイレンサー取付部97f、後サイレンサー取付部97r、および下サイレンサー取付部97L)がリアアーム25に設けられている例を示している。
図8に示すように、サイレンサー34の前ブラケット98fは、リアアーム25の前サイレンサー取付部97fの側面に重ねられている。前ブラケット98fを前サイレンサー取付部97fに固定するボルトB4は、前ブラケット98fおよび前サイレンサー取付部97fを左右方向に貫通する貫通穴に挿入されている。前ブラケット98fは、ボルトB4および前サイレンサー取付部97fによって左右に挟まれている。これにより、前ブラケット98fが前サイレンサー取付部97fに固定されている。同様に、サイレンサー34の後ブラケット98rは、後サイレンサー取付部97rに固定されており、サイレンサー34の下ブラケット98Lは、下サイレンサー取付部97Lに固定されている。
図9に示すように、サスペンション取付部99は、全ての固定部(上固定部95uおよび下固定部95L)よりも後方に配置されている。サスペンション取付部99は、クランクシャフト55の回転軸線Acおよび後輪Rwの回転中心C1よりも上方に配置されている。サスペンション取付部99は、車軸支持部96よりも前方に配置されている。サスペンション取付部99は、全てのサイレンサー取付部(前サイレンサー取付部97f、後サイレンサー取付部97r、および下サイレンサー取付部97L)よりも前方に配置されている。下ダンパーユニットDLは、サスペンション取付部99内に保持されている。リアサスペンション26は、下ダンパーユニットDLを介してサスペンション取付部99に取り付けられている。
次に、リアサスペンション26について説明する。
図10は、外装カバー39、シート11、および収納ボックス12が取り外された鞍乗型車両1の後部を示す右側面図である。図11は、外装カバー39、シート11、および収納ボックス12に加えて、エアクリーナーボックス30が取り外された鞍乗型車両1の後部を示す平面図である。図12は、リアサスペンション26の内部を示す断面図である。図13は、リアサスペンション26に設けられた油圧ダンパー103の内部を示す断面図である。図14は、リアサスペンション26の傾き角度について説明するための右側面図である。図15は、リアサスペンション26の反力について説明するための模式図である。図10では、ボルトBuおよびボルトBL(図11参照)の図示を省略している。
図10および図11に示すように、リアサスペンション26は、車体フレーム2に取り付けられた上マウントブラケット101と、リアアーム25を介してスイングユニット21に取り付けられた下マウントブラケット102とを含む。図12に示すように、リアサスペンション26は、上マウントブラケット101と下マウントブラケット102との間に配置された油圧ダンパー103を含む。リアサスペンション26は、さらに、油圧ダンパー103を取り囲むコイルスプリング104と、コイルスプリング104を支持する上ストッパー105および下ストッパー106と、油圧ダンパー103およびコイルスプリング104を取り囲む筒状のサスペンションカバー107とを含む。
上マウントブラケット101は、油圧ダンパー103の上端部に連結されている。下マウントブラケット102は、油圧ダンパー103の下端部に連結されている。上ストッパー105は、上マウントブラケット101に設けられている。下ストッパー106は、油圧ダンパー103に設けられている。油圧ダンパー103は、コイルスプリング104内に挿入されている。コイルスプリング104は、上ストッパー105および下ストッパー106によって油圧ダンパー103の軸方向Daに挟まれている。
油圧ダンパー103は、油圧ダンパー103の軸方向Daに伸縮可能である。図13に示すように、油圧ダンパー103は、オイルを収容するシリンダチューブ108と、シリンダチューブ108の内部を油圧ダンパー103の軸方向Daに移動するピストンバルブ110と、油圧ダンパー103の軸方向Daにシリンダチューブ108から突出しており、ピストンバルブ110とともに油圧ダンパー103の軸方向Daに移動するピストンロッド109とを含む。図13は、油圧ダンパー103がツインチューブ型のダンパーであり、ピストンロッド109がシリンダチューブ108から上方に突出している例を示している。油圧ダンパー103は、モノチューブ型のダンパーであってもよい。ピストンロッド109は、シリンダチューブ108から下方に突出していてもよい。
図13に示すように、油圧ダンパー103がツインチューブ型のダンパーである場合、シリンダチューブ108は、ピストンバルブ110を取り囲む内筒108iと、内筒108iを取り囲む外筒108oとを含む。内筒108iの内部空間は、ピストンバルブ110によって、油圧ダンパー103の軸方向Daに離れた2つのオイル室O1およびオイル室O2に仕切られている。内筒108iと外筒108oとの間に形成された流体室F1は、ベースバルブ111を介してオイル室O2に接続されている。オイル室O1およびオイル室O2にはオイルが収容されており、流体室F1にはオイルおよびガス(窒素ガスなど)が収容されている。
油圧ダンパー103が単筒式および複筒式のいずれであっても、オイル室O1、オイル室O2、および流体室F1は、シリンダチューブ108の外の空間から隔離された閉空間となっている。したがって、シリンダチューブ108内の流体(オイルまたはガス)は、シリンダチューブ108の外に流出できない。このように、リアサスペンション26は、油圧ダンパー103とは別体のリザーブタンク(サブタンクとも呼ばれる)を備えていないので、リアサスペンション26を小型化および軽量化できる。
図12に示すように、上マウントブラケット101は、上ダンパーユニットDuを介して車体フレーム2に取り付けられている。上マウントブラケット101を車体フレーム2に取り付けるボルトBu(図11参照)は、上マウントブラケット101を車幅方向に貫通する上ボルト挿入穴Huに挿入される。上ダンパーユニットDuは、上ボルト挿入穴Hu内に挿入されており、上マウントブラケット101に保持されている。上ダンパーユニットDuは、車体フレーム2に保持されていてもよい。上マウントブラケット101は、車幅方向に延びる上ボルト挿入穴Huの中心線まわりに車体フレーム2に対して回転可能である。
下マウントブラケット102は、下ダンパーユニットDLを介してリアアーム25に取り付けられている。下マウントブラケット102をリアアーム25に取り付けるボルトBL(図11参照)は、下マウントブラケット102を車幅方向に貫通する下ボルト挿入穴HLに挿入される。下ダンパーユニットDLは、リアアーム25に設けられた保持穴Hr(図9参照)内に保持されている。下ダンパーユニットDLは、下マウントブラケット102に保持されていてもよい。下マウントブラケット102は、車幅方向に延びる下ボルト挿入穴HLの中心線まわりにリアアーム25に対して回転可能である。
図10に示すように、上マウントブラケット101は、側面視で下マウントブラケット102よりも上方に配置されている。上マウントブラケット101は、側面視で下マウントブラケット102よりも前方に配置されている。上マウントブラケット101および下マウントブラケット102は、側面視でクランクシャフト55の回転軸線Acよりも後方に配置されている。上マウントブラケット101は、側面視でクランクシャフト55の回転軸線Acよりも上方に配置されている。下マウントブラケット102の少なくとも一部は、側面視でクランクシャフト55の回転軸線Acよりも下方に配置されている。上マウントブラケット101および下マウントブラケット102は、側面視でピボット軸線Ap1およびAp2よりも後方に配置されている。上マウントブラケット101および下マウントブラケット102は、側面視でピボット軸線Ap1およびAp2よりも上方に配置されている。
上マウントブラケット101は、側面視で後輪Rwの前端Rfよりも上方に配置されている。上マウントブラケット101は、側面視で後輪Rwの前端Rfよりも前方に配置されている。下マウントブラケット102は、側面視で後輪Rwの前端Rfよりも後方に配置されている。下マウントブラケット102は、側面視で後輪Rwに重なっている。上マウントブラケット101は、側面視でCVTケース74よりも上方に配置されている。下マウントブラケット102は、側面視でCVTケース74に重なっている。下マウントブラケット102は、側面視でCVTケース74の上面74s(図11参照)よりも下方に配置されている。
上マウントブラケット101は、側面視で車体フレーム2の後端2rよりも前方に配置されている。下マウントブラケット102は、側面視で車体フレーム2の後端2rよりも後方に配置されている。上マウントブラケット101および下マウントブラケット102は、側面視で車体フレーム2の後端2rよりも下方に配置されている。上マウントブラケット101および下マウントブラケット102は、側面視でヘッドパイプ3の下端3L(図4参照)よりも下方に配置されている。
図11に示すように、上マウントブラケット101は、右リアステー8の下方に配置されており、平面視で右リアステー8に重なっている。同様に、サスペンションカバー107は、右リアステー8の下方に配置されており、平面視で右リアステー8に重なっている。クランクケース73の後端73rは、平面視で上マウントブラケット101よりも後方に配置されている。下マウントブラケット102は、平面視で車幅方向における排気管33の内方に配置されている。
図10に示すように、上ボルト挿入穴Huは、側面視で下ボルト挿入穴HLよりも上方に配置されている。上ボルト挿入穴Huは、側面視で下ボルト挿入穴HLよりも前方に配置されている。上ボルト挿入穴Huおよび下ボルト挿入穴HLは、側面視でクランクシャフト55の回転軸線Acよりも後方に配置されている。上ボルト挿入穴Huは、側面視でクランクシャフト55の回転軸線Acよりも上方に配置されている。下ボルト挿入穴HLは、側面視でクランクシャフト55の回転軸線Acよりも下方に配置されている。上ボルト挿入穴Huおよび下ボルト挿入穴HLは、側面視でピボット軸線Ap1およびAp2よりも後方に配置されている。上ボルト挿入穴Huおよび下ボルト挿入穴HLは、側面視でピボット軸線Ap1およびAp2よりも上方に配置されている。
上ボルト挿入穴Huおよび下ボルト挿入穴HLは、後輪Rwの回転中心C1よりも上方に配置されている。上ボルト挿入穴Huは、側面視で後輪Rwの前端Rfよりも前方に配置されている。下ボルト挿入穴HLは、側面視で後輪Rwの前端Rfよりも後方に配置されている。上ボルト挿入穴Huは、側面視で車体フレーム2の後端2rよりも前方に配置されている。下ボルト挿入穴HLは、側面視で車体フレーム2の後端2rよりも後方に配置されている。上ボルト挿入穴Huおよび下ボルト挿入穴HLは、側面視で車体フレーム2の後端2rよりも下方に配置されている。上ボルト挿入穴Huおよび下ボルト挿入穴HLは、側面視でヘッドパイプ3の下端3L(図4参照)よりも下方に配置されている。
図12に示すように、油圧ダンパー103の中心線は、リアサスペンション26の中心線Lsに相当する。リアサスペンション26の中心線Lsは、前方に傾いている。図14に示すように、側面視でリアサスペンション26の中心線Lsのいずれの部分も通る直線を、リアサスペンション26の延長線Leと定義する。リアサスペンション26の延長線Leは、リアサスペンション26の中心線Lsの延長線に相当する。リアサスペンション26の中心線Lsは、リアサスペンション26の延長線Le上に配置されており、リアサスペンション26の延長線Leに含まれる。リアサスペンション26の延長線Leは、側面視において、後輪Rwの前端Rfよりも後方でかつ後輪Rwの後端Rrよりも前方の位置(交点Piの位置)で路面Rsに交わる。
図14に示すように、後輪Rwの全長の範囲R1を、側面視で後輪Rwの前端Rfを通る鉛直線と路面Rsとの交点Pfから側面視で後輪Rwの後端Rrを通る鉛直線と路面Rsとの交点Prまでの範囲と定義する。リアサスペンション26の延長線Leと路面Rsとの交点Piは、後輪Rwの全長の範囲R1内に位置している。つまり、リアサスペンション26の位置および傾き角度は、交点Piが後輪Rwの全長の範囲R1内に位置するように設定されている。さらに、リアサスペンション26の延長線Leは、側面視において、運転者の臀部および太股に接するシート11の座面11sに交わっている。図14は、リアサスペンション26の延長線Leがメインシート11mに座る運転者の胴体を通る例を示している。
図15に示すように、リアサスペンション26がその軸方向に縮められると、リアサスペンション26が反力を発生し、リアサスペンション26の軸方向の反力がスイングユニット21および防振リンク24に加わる。リアサスペンション26が前方に斜めに傾いている場合、スイングユニット21に加わる反力は、鉛直方向の成分Fvと水平方向の成分Fhとに分解される。スイングユニット21および防振リンク24は、水平方向の成分Fhによって後方に引っ張られる。
水平反力(反力の水平方向の成分Fh)は、水平面に対するリアサスペンション26の傾き角度が減少するにしたがって増加する。水平反力が大きいと、スイングユニット21および防振リンク24は、水平反力によって後方に引っ張られる。この場合、スイングユニット21は、ピボット軸線Ap1およびAp2まわりに自由に揺動し難くなる。したがって、水平反力が大きいと、防振リンク24による振動低減効果が損なわれ、エンジン22の振動が車体フレーム2に伝達され易くなる。
前述のように、リアサスペンション26の延長線Leは、側面視で、後輪Rwの前端Rfよりも後方で、かつ、後輪Rwの後端Rrよりも前方の位置で、路面Rsに交わる。加えて、この延長線Leは、側面視でシート11の座面11sに交わる。この場合、水平面に対するリアサスペンション26の傾き角度が増加し、防振リンク24に加わる水平反力が減少する。これにより、エンジン22にバランサーを設けなくても、後輪Rwおよびスイングユニット21の振動を、防振リンク24およびリアサスペンション26によって効果的に低減できる。
さらに、リアサスペンション26の上端26uが前方に移動しているので、リアサスペンション26からシート11に至る変位の伝達経路が短くなる。つまり、図15において二点鎖線で示すリアサスペンション26のように、リアサスペンション26の上端26uが後方に配置されている場合は、伝達経路において車体フレーム2が占める範囲が長くなる。図15に示す例では、矢印Xの分だけ車体フレーム2が占める範囲が長くなる。
リアサスペンション26の変位は、車体フレーム2、収納ボックス12(図14参照)、およびシート11に、この順番で伝達される。これらの部品は弾性変形する。伝達経路における弾性変形の総量が大きいと、リアサスペンション26の伸縮がシート11に反映されるまでの時間が増加する。したがって、伝達経路を短くすることにより、リアサスペンション26の伸縮を短時間でシート11に反映でき、シート11に座る運転手の乗り心地を良好にできる。
加えて、リアサスペンション26の延長線Leが側面視でシート11の座面11sに交わるので、この延長線Leは、側面視でシート11に座る運転手の胴体を通る。したがって、シート11に座る運転手の重心は、リアサスペンション26の延長線Le上か、その近傍に配置される。これにより、リアサスペンション26の伸縮をダイレクトに運転手に伝達することができ、シート11に座る運転手の乗り心地をさらに良好にできる。
以上のように本実施形態では、エンジン22および伝達機構23を含むスイングユニット21が、防振リンク24を介して車体フレーム2に連結されている。後輪Rwは、スイングユニット21に支持されている。後輪Rwおよびスイングユニット21は、車体フレーム2に対して上下に揺動可能である。リアサスペンション26の上マウントブラケット101は、車体フレーム2に連結されており、リアサスペンション26の下マウントブラケット102は、スイングユニット21に連結されている。スイングユニット21の振動は、リアサスペンション26によって吸収される。
伝達機構23の少なくとも一部が後輪Rwの右方または左方に配置されている一方で、リアサスペンション26は、車幅方向において後輪Rwに対して伝達機構23とは反対側に配置されている。したがって、リアサスペンション26の配置や角度が伝達機構23によって制限され難い。これにより、リアサスペンション26の配置や角度の自由度が高まるので、リアサスペンション26の上マウントブラケット101を後輪Rwの前端Rfよりも前方に配置できる。その結果、リアサスペンション26の上端26uが前方に移動する。
このように、従来の鞍乗型車両に比べてリアサスペンション26の上端26uが前方に移動するので、車両後部(鞍乗型車両1の後部)の構造がリアサスペンション26によって制限され難い。言い換えると、従来の鞍乗型車両に比べて車両後部における設計の自由度が高まる。したがって、車両後部の機能を、多様化したユーザーや市場に応じて柔軟に拡張および変更できる。例えば、収納ボックス12の大きさや配置をこれらに応じて変更できる。荷台またはキャリアボックスを車両後部に設ける場合は、荷台等の高さがリアサスペンション26によって制限され難いので、荷台等の位置を下げることができる。これにより、ユーザーの好みや市場の要望に応じた鞍乗型車両1を提供できる。
また、リアサスペンション26は、クランクシャフト55の回転軸線Acまわりにクランクシャフト55とともに回転する冷却ファン78よりも上方に配置されている。リアサスペンション26の少なくとも一部は、平面視で冷却ファン78に重なっている。リアサスペンション26が、冷却ファン78よりも車幅方向における外方に配置されており、平面視で冷却ファン78に重なっていない場合、鞍乗型車両1の最大幅(幅の最大値)が増加する。したがって、最大幅の増加を防止しながら、運転手の乗り心地を良好にできる。
本実施形態では、リアサスペンション26の下マウントブラケット102が、後輪Rwを支持する車軸72よりも側面視で前方に配置されている。したがって、リアサスペンション26の上マウントブラケット101も、側面視で車軸72よりも前方に配置されている。このように、上マウントブラケット101および下マウントブラケット102が側面視で車軸72よりも前方に配置されるようにリアサスペンション26の上端26uが前方に移動しているので、車両後部における設計の自由度を高めることができる。
本実施形態では、ステアリングハンドル14とともに回転するステアリングシャフト15が、車体フレーム2のヘッドパイプ3に挿入されている。リアサスペンション26の上マウントブラケット101は、側面視でヘッドパイプ3の下端3Lよりも下方に配置されている。言い換えると、リアサスペンション26の上端26uは、前方に移動しているだけでなく、下方にも移動している。したがって、シート11や収納ボックス12の高さがリアサスペンション26によって制限され難い。これにより、車両後部の構造を柔軟に拡張および変更できる。
本実施形態では、リアサスペンション26の上マウントブラケット101が、後輪Rwの前端Rfよりも前方に配置されているだけでなく、クランクシャフト55を収容するクランクケース73の後端73rよりも前方に配置されている。これにより、リアサスペンション26の延長線Leと路面Rsとの交点Piを側面視で後輪Rwの全長の範囲R1内に位置させながら、リアサスペンション26の上端26uをさらに前方に移動させることができる。したがって、スイングユニット21の振動を防振リンク24で効果的に吸収しながら、車両後部における設計の自由度を高めることができる。
本実施形態では、リアサスペンション26の上マウントブラケット101が、側面視で後輪Rwの前端Rfよりも前方に配置されている一方で、リアサスペンション26の下マウントブラケット102は、側面視で後輪Rwの前端Rfよりも後方に配置されている。観点を変えると、上マウントブラケット101が側面視で後輪Rwの前端Rfよりも前方に配置され、下マウントブラケット102が側面視で後輪Rwの前端Rfよりも後方に配置されるように、リアサスペンション26の上端26uが前方に移動している。これにより、リアサスペンション26から防振リンク24までの距離を確保しながら、車両後部における設計の自由度を高めることができる。
本実施形態では、リアサスペンション26の上マウントブラケット101が、側面視でクランクシャフト55の回転軸線Acよりも上方に配置されている一方で、リアサスペンション26の下マウントブラケット102の全部または一部が、側面視でクランクシャフト55の回転軸線Acよりも下方に配置されている。このように、リアサスペンション62の位置が下げられているので、リアサスペンション26の上端26uの位置を変えずに、リアサスペンション26をその軸方向に長くできる。もしくは、リアサスペンション26の上端26uの位置を下げることができる。
本実施形態では、エンジン22の回転を伝達するCVT62が、CVTケース74に収容されている。リアサスペンション26の下マウントブラケット102は、下マウントブラケット102がCVTケース74の上面74sよりも下方に配置されるように下げられている。これにより、リアサスペンション26の上端26uの位置を変えずに、リアサスペンション26をその軸方向に長くできる。もしくは、リアサスペンション26の上端26uの位置を下げることができる。
本実施形態では、リアサスペンション26および後輪Rwが車幅方向に並んでおり、リアサスペンション26が側面視で後輪Rwに重なっている。観点を変えると、リアサスペンション26が側面視で後輪Rwに重なる範囲内で、リアサスペンション26が前方に移動している。これにより、リアサスペンション26から防振リンク24までの距離を確保しながら、車両後部における設計の自由度を高めることができる。
本実施形態では、車体フレーム2が前後方向に小型化されており、車体フレーム2の後端2rが、後輪Rwの回転中心C1よりも前方に配置されている。このように、車体フレーム2の後端2rが前方に移動しているので、車両後部の構造は、リアサスペンション26だけでなく、車体フレーム2にも制限され難い。したがって、車両後部における設計の自由度をさらに高めることができる。
本実施形態では、車体フレーム2の後端2rの位置が下げられており、車体フレーム2の後端2rが側面視でヘッドパイプ3の下端3Lよりも下方に配置されている。車体フレーム2の後端2rの位置が高いと、それに応じてシート11や荷台の位置も上がる。車体フレーム2の後端2rの位置を下げれば、シート11や荷台の高さが車体フレーム2の後端2rに制限され難い。これにより、車両後部における設計の自由度を高めることができる。
本実施形態では、後輪Rwが車幅方向におけるリアアーム25および伝達機構23の間に配置されている。リアアーム25は、スイングユニット21に連結されている。リアアーム25は、少なくとも、後輪Rwを支持する車軸72まで後方に延びている。リアサスペンション26の下マウントブラケット102は、リアアーム25に取り付けられている。したがって、スイングユニット21から車軸72までの範囲内の任意の位置に下マウントブラケット102を配置できる。
本実施形態では、上マウントブラケット101が側面視で後輪Rwの前端Rfよりも前方に配置されており、上マウントブラケット101の少なくとも一部が側面視で防振リンク24のピボット軸線Ap1よりも後方に配置されている。この場合、水平面に対するリアサスペンション26の傾き角度が小さいと、リアサスペンション26の延長線Leは、側面視でシート11の座面11sに交わらない。したがって、水平面に対するリアサスペンション26の傾き角度を大きくすることができ、上下方向への車体フレーム2の振動を効果的に減らすことができる。
本実施形態では、上マウントブラケット101が側面視で後輪Rwの前端Rfよりも前方に配置されており、上マウントブラケット101の少なくとも一部が側面視でクランクシャフト55の回転軸線Acよりも後方に配置されている。この場合、水平面に対するリアサスペンション26の傾き角度が小さいと、リアサスペンション26の延長線Leは、側面視でシート11の座面11sに交わらない。したがって、水平面に対するリアサスペンション26の傾き角度を大きくすることができ、上下方向への車体フレーム2の振動を効果的に減らすことができる。
本実施形態では、シュラウド79が、冷却ファン78よりも車幅方向における外方に配置されており、側面視で冷却ファン78の少なくとも一部に重なっている。リアサスペンション26は、側面視でシュラウド79に重なっていない。言い換えると、リアサスペンション26のいずれの部分も車幅方向におけるシュラウド79の外方に配置されておらず、リアサスペンション26およびシュラウド79が車幅方向に並んでいない。したがって、鞍乗型車両1の最大幅の増加を防止できる。
本実施形態では、運転者の両足が置かれるフラット面44sが、鞍乗型車両1に設けられている。フラット面44sは、鞍乗型車両1の右端から鞍乗型車両1の左端まで車幅方向に延びている。この場合、アンダーボーンフレームが車体フレーム2として用いられる。一般的に、スポーツタイプの自動二輪車で用いられるクレードルフレームなどの他の種類のフレームに比べて、アンダーボーンフレームは、剛性を確保することが難しく、鞍乗型車両1の前方からの荷重が加わった際に撓み易い。このような車体フレーム2であっても、前記のように、運転者に伝達される振動をリアサスペンション26によって効果的に低減できるので、車体フレーム2の撓みに起因する乗り心地の悪化を最小限に止めることができる。
他の実施形態
本発明は、前述の実施形態の内容に限定されるものではなく、種々の変更が可能である。
例えば、シート11は、収納ボックス12以外の部材を介して車体フレーム2に取り付けられていてもよい。もしくは、シート11は、収納ボックス12などの中間部材を介して車体フレーム2に取り付けられるのではなく、車体フレーム2に直接取り付けられていてもよい。
鞍乗型車両1は、後輪Rwの上方に配置される荷台またはキャリアボックスをさらに備えていてもよい。この場合、荷台またはキャリアボックスは、収納ボックス12などの中間部材を介して車体フレーム2に取り付けられていてもよいし、車体フレーム2に直接取り付けられていてもよい。
鞍乗型車両1は、車両中央WOの右方および左方にそれぞれ配置された2本のリアサスペンション26を備えていてもよい。
リアサスペンション26の上マウントブラケット101の少なくとも一部が、側面視でヘッドパイプ3の下端3Lよりも上方に配置されていてもよい。
リアサスペンション26の上マウントブラケット101の少なくとも一部が、クランクケース73の後端73rよりも後方に配置されていてもよい。
リアサスペンション26の上マウントブラケット101の少なくとも一部が、側面視でピボット軸線Ap2よりも前方に配置されていてもよい。この場合、上マウントブラケット101の少なくとも一部が、側面視で前後方向におけるピボット軸線Ap1とピボット軸線Ap2との間に配置されていてもよいし、側面視でピボット軸線Ap1よりも前方に配置されていてもよい。
リアサスペンション26の上マウントブラケット101の少なくとも一部が、側面視でクランクシャフト55の回転軸線Acよりも前方に配置されていてもよい。
リアサスペンション26の下マウントブラケット102の少なくとも一部が、側面視で車軸72よりも後方に配置されていてもよい。
リアサスペンション26の下マウントブラケット102の少なくとも一部が、側面視で後輪Rwの前端Rfよりも前方に配置されていてもよい。
リアサスペンション26の下マウントブラケット102の全体が、側面視でクランクシャフト55の回転軸線Acよりも上方に配置されていてもよい。
リアサスペンション26の下マウントブラケット102の少なくとも一部が、側面視でCVTケース74の上面74sよりも上方に配置されていてもよい。
リアサスペンション26は、側面視で後輪Rwに重なっていなくてもよい。つまり、リアサスペンション26の全体が、側面視で後輪Rwの前端Rfよりも前方に配置されていてもよい。
リアサスペンション26は、冷却ファン78以外の回転部に平面視で重なっていてもよい。例えば、リアサスペンション26は、回転部の他の例である発電機77に平面視で重なっていてもよい。発電機77および冷却ファン78は、クランクシャフト55と同軸であり、クランクシャフト55とともにクランクシャフト55の回転軸線Acまわりに回転する。
リアサスペンション26は、側面視でシュラウド79に重なっていてもよい。
車体フレーム2の後端2rは、後輪Rwの回転中心C1よりも後方に配置されていてもよい。車体フレーム2の後端2rは、ヘッドパイプ3の下端3Lよりも上方に配置されていてもよい。
スイングユニット21が鞍乗型車両1に設けられるのであれば、鞍乗型車両1は、スクーター以外の自動二輪車であってもよい。また、鞍乗型車両1は、3つ以上の車輪を備える車両であってもよい。
前述の全ての構成の2つ以上が組み合わされてもよい。
その他、特許請求の範囲に記載された事項の範囲で種々の設計変更を施すことが可能である。