JP6931538B2 - マスクブランクス及びフォトマスク - Google Patents
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また、大気中に暴露された場合の経時変化による酸化、フォトマスク形成プロセス(遮光膜のエッチャント、レジストのリムーバー)やフォトマスク洗浄プロセス(硫酸等の強酸)における薬液による劣化によって、帯電防止膜の導電性が低下するという問題もあった。
本発明の請求項2に記載のマスクブランクスは、透明基板と、前記透明基板の一方の主面上に、導電層、遮光層、フォトレジスト層が順に、重ねて配されてなるマスクブランクスであって、前記導電層は、チタンと酸素に加えて、第三元素としてNbを含む透明導電膜であり、シート抵抗が100kΩ/□以下であると共に、波長436nmにおける透過率が70%以上、かつ、波長365nmにおける透過率が75%以上であり、前記導電層は、405nmの入射光の波長において、透過率が80%以上となる光学膜厚が0.458以上0.491以下であることを特徴とする。
本発明の請求項3に記載のマスクブランクスは、請求項1または請求項2において、前記導電層は、Ti1−xNbxO2により表記される透明導電膜であり、x[atm%]の範囲が0.1以上20以下である、ことを特徴とする。
本発明の請求項4に記載のフォトマスクは、請求項1乃至3のいずれか一項に記載のマスクブランクスにマスクパターンが形成されたことを特徴とする。
請求項4に記載の発明(フォトマスク)は、上述したマスクブランクスにマスクパターンが形成された構成からなる。ゆえに、本発明は、露光波長域(365nm〜436nm)において高い透過率を備え、かつ、優れた耐薬品性も有する、フォトマスクをもたらす。
図2は本発明に係るマスクブランクスの一例を示す断面図であり、図3は本発明に係るフォトマスクの一例を示す断面図である。
本発明のマスクブランクス10は、透明基板(たとえばガラス基板)1(S)と、この透明基板の一方の主面上に、帯電防止用の導電層4、遮光用の遮光層5、フォトレジスト層6Rが順に、重ねて配されている。
図3に示すように、本発明のフォトマスクは、上述したマスクブランクスにマスクパターンが形成されたものである。ゆえに、本発明のフォトマスク20も、マスクブランクス10と同様に、フォトマスクに求められる露光波長域(365nm〜436nm)において高い透過率を備え、かつ、優れた耐薬品性も有するものとなる。
本発明に係る導電層及び遮光層を形成するために用いた、スパッタリング装置について、図1を参照して説明する。ただし、スパッタリング装置は図1の構造に限定されるものではない。
真空槽51の内部空間において、ターゲット54と基板52(S)との間には、シャッター53が配置され、点線矢印の方向へ移動することにより、ターゲット54から基板52に向けて飛翔するスパッタ粒子を遮断可能とされている。
図4は、第1工程を示す断面図である。基板1(S)上に、導電層4、遮光層5、フォトレジスト層6Rが順に重ねて設けてなる、マスクブランクス10を表している。
図5は、図4の次工程である第2工程を示す断面図である。マスクブランクス10にマスクパターンを描画し、フォトレジストを露光・現像した状態を表している。
図6は、図5の次工程である第3工程を示す断面図である。遮光膜をエッチングした状態を表している。
図7は、図6の次工程である第4工程を示す断面図である。フォトレジストを剥離し、洗浄することにより、フォトマスクパターンが形成されてなる、フォトマスク20を表している。
本例では、ガラス基板56(S)としては、厚さ4.8mmの石英ガラスを用いたが、これに限定されるものではない。ガラスとしては他に、ソーダライムガラス(青板)、無アルカリガラス、硼珪酸ガラス、白板、など種々のガラスを用いることができる。ガラス基板は必要に応じて研磨したものを用いることができる。たとえば、酸化セリウム、その後に、さらにコロイダルシリカを用いて研磨される。成膜前に、ガラス基板を洗剤、純水を用いて洗浄し、乾燥を行った。洗剤以外に、たとえば、塩酸過水、アンモニア過水、塩酸、フッ酸等を用いてもよい。
導電層の形成工程では、たとえば、スパッタリング法に代表される物理気相蒸着(PVD)法を用いて導電層を形成することが好ましい。また、PVD法として、たとえばパルスレーザー堆積(Pulsed Laser Deposition:PLD)法によって形成してもよい。あるいは、CVD法、ゾルゲル法、化学溶液法等の溶液から合成プロセスによる成膜法を用いて、導電層を形成してもよい。
以下では、スパッタリング法により導電層を形成する方法について説明する。スパッタリング装置としては、公知のDCスパッタリング装置またはRFスパッタリングが使用できる。
スパッタリングガスとして、酸素(O2 )ガスおよび不活性ガス(Ar、He、Ne、Kr、Xe)を真空槽53内に導入し、所定のスパッタ圧力に調整する。
本例では、Nb:TiO2 焼結体の金属酸化物からなるターゲットを用い、Ti1−xNbxO2により表記される透明導電膜を、基板56(S)上に成膜した。
導電層4が形成された基板1(S)に対して、所定の洗浄処理を行う。この洗浄処理を経た導電層付きのガラス基板を用い、導電層の表面上に遮光層を形成する。遮光層の形成には、図1に示すスパッタリング装置を用いた。遮光層としては、クロム(Cr)、タングステン(W)、モリブデンシリサイド(MoSi)の単層膜またはこれらの積層膜が形成される。ただし、必要に応じて、遮光層の上に反射防止層を設けてもよい。
遮光層5を覆うように、フォトレジスト6Rを塗布・プリベークすることにより、マスクブランク10とした(図2、図4)。
パターンの形成工程は、マスクブランクス10にマスクパターンを描画し、フォトレジストを露光・現像する(図5)。次いで、遮光膜をエッチングする(図6)。その後、フォトレジストを剥離し、洗浄することにより、フォトマスクパターンを形成する(図7)。この一連の工程を経ることにより、フォトマスク20が得られる。
実施例1が基本となる形成条件の場合である。実施例2および実施例3は、実施例1のバリエーションである。
実施例1は、ガラス基板(石英)上に導電層を形成した。実施例1では、導電層の形成は、基板加熱なしにて行った。使用したターゲットは、Nbを6原子%含有するNb:TiO2 焼結体(φ8インチ)である。ターゲットに投入したDC電力は2kW、スパッタ圧力は1Paであり、スパッタガスはO2 及びArの混合ガスを用いた。O2 /(Ar+O2 )の割合は0.35%とした。導電層の膜厚Tは74nmであり、導電層を形成した後、アニールを行った。アニール雰囲気は、H2 ガス、1atmであり、アニール温度は500℃、アニール時間は1時間とした。
導電層付きガラス基板を熱濃硫酸(濃度、温度、時間)に浸漬させた後、シート抵抗、透過率を測定し、変化が無いことを確認した。
なお、帯電防止膜のない一般的なフォトマスク上に、本発明の導電膜からなる帯電防止膜を設けた構成としてもよい。
実施例2は、導電層の膜厚を74nm、アニール無し、とした以外は、実施例1と同じ条件とした。
この結果、導電層の電気特性は、抵抗率が5.0×10−1Ω・cmであり、シート抵抗値が68kΩ/□となった。導電層の光学特性は、ガラス基板込みの透過率の値が、波長365nmにおいて84%、波長436nmにおいて87%であった。
導電層の上に、クロムからなる遮光膜、酸化クロムからなる反射防止膜を順に、スパッタリング法により成膜した。次いで、レジスト塗布を行い、帯電防止膜付きのマスクブランクスとした。マスクブランクスは一般的なフォトリソグラフィによりフォトマスクに加工される。
なお、帯電防止膜のない一般的なフォトマスク上に、本発明の導電膜からなる帯電防止膜を設けた構成としてもよい。
実施例3は、導電層の形成条件として、使用したターゲットは、Nbを6原子%含有するNb:TiO1.95 焼結体(φ2インチ)である。ターゲットに投入したRF電力は100W、スパッタ圧力は1Paであり、スパッタガスはO2 及びArの混合ガスを用いた。
まず、O2 /(Ar+O2 )の割合が1%にて、膜厚が10nmのシード層を、基板温度250℃にて形成した。その後、64nmの導電層を、O2 /(Ar+O2 )の割合が0.05%として、基板温度400℃にて形成した。
以下では、TNO膜(チタンと酸素に加えて第三元素としてNbを含む透明導電膜)の屈折率、消衰係数から、膜厚をパラメータにてシミュレーションを行った結果について説明する。
まず、リファレンス(Ref.)に石英ガラスの透過率をとり、物理的に意味のある、高圧水銀ランプの輝線スペクトルであるi線、h線、g線(波長365nm〜436nm)の範囲において高透過率(90%程度)となるTNO膜の膜厚を調べた。実プロセスにおいては、スループットを上げるため、この3波長の混成光が使用されている。
図8より、以下の点が明らかになった。
(A1)TNO膜は単層であり、その膜厚が10nmでも、波長365nm〜436nmの範囲において透過率が90%より低い値を示した。膜厚が10nm以下では導電性が確保されないので、目的とする解は無いと判断した。
(A2)膜厚が70nmの場合、波長400nm前後の範囲(二点鎖線で囲んだメッシュ領域)において、透過率が90%を越えることが分かった。
図9は、導電層(TNO膜)の膜厚を70nm、74nm、78nmとした場合における、波長と透過率との関係を示すグラフである。
図9より、膜厚74nmとした場合に、目的とした解(波長365nm〜436nmの範囲で90%以上の透過率が得られる)があることが分かった。
図10より、以下の点が明らかとなった。
(B1)区切りの良い数値として、80%透過率を基準とするならば、図10の横軸においてA〜Bの範囲が、その条件を満たすことが分かる。
(B2)上記A〜Bの範囲を満たす膜厚は、69nm〜74nmである。
以上の結果より、透過率80%、膜厚69nm〜74nmのTNO膜が選定された。
n値に波長依存性があるため、FWOC値には波長依存性がある。図11は、図10の条件を満たす光学膜厚を示すシミュレーション結果を示す一覧表である。
図11より、h線(405nm)に代表させて、FWOC値を求めた。その結果、69nmにおけるFWOC値は0.458であり、74nmにおけるFWOC値は0.492であることが分かった(図11の表におけるメッシュ領域)。
ゆえに、h線波長において、FWOC値が0.458〜0.492の範囲を満たすことにより、本発明の目的とする解が得られることが確認された。
Claims (4)
- 透明基板と、前記透明基板の一方の主面上に、導電層、遮光層、フォトレジスト層が順に、重ねて配されてなるマスクブランクスであって、
前記導電層は、チタンと酸素に加えて、第三元素としてNbを含む透明導電膜であり、シート抵抗が100kΩ/□以下であると共に、波長436nmにおける透過率が70%以上、かつ、波長365nmにおける透過率が75%以上であり、
前記導電層は、入射光の波長[nm]が365〜436の範囲において、透過率が80%以上となる膜厚[nm]が69以上74以下であることを特徴とするマスクブランクス。 - 透明基板と、前記透明基板の一方の主面上に、導電層、遮光層、フォトレジスト層が順に、重ねて配されてなるマスクブランクスであって、
前記導電層は、チタンと酸素に加えて、第三元素としてNbを含む透明導電膜であり、シート抵抗が100kΩ/□以下であると共に、波長436nmにおける透過率が70%以上、かつ、波長365nmにおける透過率が75%以上であり、
前記導電層は、405nmの入射光の波長において、透過率が80%以上となる光学膜厚が0.458以上0.491以下であることを特徴とするマスクブランクス。 - 前記導電層は、Ti1−xNbxO2により表記される透明導電膜であり、x[atm%]の範囲が0.1以上20以下である、
ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載のマスクブランクス。 - 請求項1乃至請求項3のいずれか一項に記載のマスクブランクスにマスクパターンが形成されたことを特徴とするフォトマスク。
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