以下、本発明の実施形態に係る空気調和装置について、図面を参照して説明する。図1は、本実施形態に係る空気調和装置の概略構成を示す図である。本実施形態に係る空気調和装置は、暖房運転及び冷房運転を実施することができるように構成される。暖房運転の実施により室内が暖房され、冷房運転の実施により室内が冷房される。図1に示すように、本実施形態に係る空気調和装置1は、複数の室外機(GHP室外機10及びEHP室外機30)と、室内機40と、制御装置60とを備える。
GHP室外機10は、ガスエンジン11(内燃機関)と、コンプレッサと、冷媒回路を構成する複数の配管と、空調に必要な各機器を有する。各機器には、室外熱交換器、四方弁(切換弁)、室外機ファン、アキュムレータ、サブ熱交換器、流量調整弁、ホットガスバイパス弁が含まれる。本実施形態において、GHP室外機10に備えられる配管、コンプレッサ、室外熱交換器、四方弁、室外機ファン、流量調整弁、アキュムレータに、接頭語として「GHP」が付与される。従って、GHP室外機10は、ガスエンジン11、GHPコンプレッサ12、GHP室外熱交換器13、複数のGHP配管(15a〜15h)、GHP四方弁16、GHP室外機ファン17、GHPアキュムレータ18、サブ熱交換器19、GHP流量調整弁(GHP第一流量調整弁20a、GHP第二流量調整弁20b)、ホットガスバイパス弁21を備えることになる。
ガスエンジン11は、GHPコンプレッサ12を作動させるための駆動源である。ガスエンジン11は、例えばプロパンガス等の可燃性ガスを燃料として駆動する。ガスエンジン11は出力軸11aを備える。ガスエンジン11が駆動すると、出力軸11aが回転する。ガスエンジン11の出力軸11aにGHPコンプレッサ12が接続される。
GHPコンプレッサ12は、ガスエンジン11が駆動して出力軸11aが回転することにより作動する。GHPコンプレッサ12は、第一吸入口12a及び第一吐出口12bを有する。GHPコンプレッサ12が作動すると、第一吸入口12aから低圧のガス冷媒を吸入し、吸入したガス冷媒を圧縮する。そして、圧縮した高圧のガス冷媒を第一吐出口12bから吐出する。
GHPコンプレッサ12の第一吐出口12bは、GHP第一配管15aを介してGHP四方弁16に接続される。GHP四方弁16は、4つのポート(第一ポート161、第二ポート162、第三ポート163、第四ポート164)を有する中空状の本体部と、本体部内を移動可能な可動部とを備える。可動部によって特定の2つのポートとそれ以外の2つのポートが接続されるように、本体部内の空間が仕切られる。また、可動部が移動することにより、接続されるポートが切り換えられる。GHP四方弁16の切換状態(接続ポートの切換状態)は、制御装置60により制御される。GHP四方弁16の第一ポート161にGHP第一配管15aが接続される。
GHP四方弁16の第二ポート162は、GHP第二配管15bを介してGHP室外熱交換器13に接続される。GHP室外熱交換器13は、第一入出力ポート13a及び第二入出力ポート13bを備える。第一入出力ポート13aにGHP第二配管15bが接続される。また、GHP室外熱交換器13は、第一入出力ポート13aと第二入出力ポート13bを接続する熱交換チューブ及び熱交換チューブの回りに配設された熱交換フィンを備える。GHP室外熱交換器13は、熱交換チューブ内を流れる冷媒を外気と熱交換させる機能を有する。
また、GHP室外熱交換器13に近接した位置にGHP室外機ファン17が設置される。GHP室外機ファン17にはファンモータが取り付けられており、このファンモータの駆動によりGHP室外機ファン17が回転する。GHP室外機ファン17が回転することにより、GHP室外熱交換器13に外気が供給される。
GHP室外熱交換器13の第二入出力ポート13bは、GHP第三配管15cの一方端に接続される。図1からわかるように、GHP第三配管15cは、途中で2つの配管(L1,L2)に分岐した部分を有する。一方の配管L1にはGHP第二流量調整弁20bが介装され、他方の配管L2には逆止弁20cが介装される。暖房運転時には冷媒は配管L1を流れ、冷房運転時には冷媒は配管L2を流れる。配管L1に介装されたGHP第二流量調整弁20bは、開度調整可能に構成された膨張弁ており、配管L1(GHP第三配管15c)を通ってGHP室外熱交換器13に流入する冷媒の流量を調整する。また、逆止弁20cは、GHP室外熱交換器13側から流出する側の冷媒の流れを許容し、GHP室外熱交換器13に流入する側の冷媒の流れを遮断する。GHP第三配管15cの他方端は、例えば、GHP室外機10のハウジングに設けられた液管ジョイント10aに接続される。
GHP四方弁16の第三ポート163は、GHP第四配管15dを介してGHPアキュムレータ18に接続される。GHPアキュムレータ18には、GHP第四配管15dからの冷媒が流入する。GHPアキュムレータ18に流入した冷媒はGHPアキュムレータ18内で気液分離される。また、GHPアキュムレータ18は、GHP第五配管15eを介してGHPコンプレッサ12の第一吸入口12aに接続される。GHPアキュムレータ18内の気相冷媒は、GHP第五配管15eを通ってGHPコンプレッサ12の第一吸入口12aに供給される。
GHP四方弁16の第四ポート164は、GHP第六配管15fの一方端に接続される。GHP第六配管15fの他方端は、例えば、GHP室外機10のハウジングに設けられたガス管ジョイント10bに接続される。
また、GHP第三配管15cのうち液管ジョイント10aから配管L1,L2に分岐した部分までの間の部分と、GHP第四配管15dとが、GHP第七配管15gにより接続される。このGHP第七配管15gにサブ熱交換器19が介装される。従って、サブ熱交換器19には、GHP第七配管15gを流れる冷媒が流入する。サブ熱交換器19には、ガスエンジン11を冷却して加熱された冷却水も供給される。そして、サブ熱交換器19にて、冷媒と冷却水が熱交換する。斯かる熱交換により、サブ熱交換器19内を流れる冷媒が、加熱された冷却水から熱を受け取る。つまり、サブ熱交換器19にて、ガスエンジン11の駆動により得られる熱(冷却水の熱)により冷媒が加熱される。また、GHP第七配管15gにはGHP第一流量調整弁20aが介装される。GHP第一流量調整弁20aは開度調整可能に構成されており、GHP第七配管15gを流れる冷媒の流量、すなわちサブ熱交換器19に流入する冷媒の流量を調節する。
また、GHP第一配管15aとGHP第四配管15dが、ホットガスバイパス配管15hにより接続される。ホットガスバイパス配管15hにより、GHPコンプレッサ12の第一吐出口12bと第一吸入口12aが接続される。また、ホットガスバイパス配管15hに、ホットガスバイパス弁21が介装される。ホットガスバイパス弁21は開閉弁である。ホットガスバイパス弁21は、開閉作動することによりホットガスバイパス配管15h内の冷媒の流通を許可又は遮断する。ホットガスバイパス弁21が開弁作動すると、GHPコンプレッサ12の第一吐出口12bから吐出されてGHP第一配管15aに流出した冷媒の一部がホットガスバイパス配管15hを経由してGHP第四配管15dに流れ、さらにGHP第四配管15dからGHPアキュムレータ18に流入する。そして、GHPアキュムレータ18からGHP第五配管15eを通ってGHPコンプレッサ12の第一吸入口12aに戻される。
EHP室外機30は、モータ31(電動機)と、コンプレッサと、冷媒回路を構成する複数の配管と、空調に必要な各機器を有する。各機器には、室外熱交換器、四方弁、室外機ファン、アキュムレータ、流量調整弁が含まれる。本実施形態において、EHP室外機30に備えられる配管、コンプレッサ、室外熱交換器、四方弁、室外機ファン、アキュムレータに、接頭語として「EHP」が付与される。従って、EHP室外機30は、モータ31、EHPコンプレッサ32、EHP室外熱交換器33、複数のEHP配管(35a〜35f)、EHP四方弁36、EHP室外機ファン37、EHPアキュムレータ38、EHP流量調整弁39を備えることになる。
モータ31は、EHPコンプレッサ32を作動させるための駆動源である。モータ31は、例えば商用電源Cから電力が供給されることにより駆動する。モータ31は出力軸31aを備える。モータ31の出力軸31aには、EHPコンプレッサ32が接続される。
EHPコンプレッサ32は、モータ31が駆動して出力軸31aが回転することにより作動する。EHPコンプレッサ32は、第二吸入口32a及び第二吐出口32bを有する。EHPコンプレッサ32が作動すると、第二吸入口32aから低圧のガス冷媒を吸入し、吸入したガス冷媒を圧縮する。そして、圧縮した高圧のガス冷媒を第二吐出口32bから吐出する。
EHPコンプレッサ32の第二吐出口32bは、EHP第一配管35aを介してEHP四方弁36に接続される。EHP四方弁36は、4つのポート(第一ポート361、第二ポート362、第三ポート363、第四ポート364)を有する中空状の本体部と、本体部内を移動可能な可動部とを備える。可動部によって特定の2つのポートとそれ以外の2つのポートが接続されるように、本体部内の空間が仕切られる。また、可動部が移動することにより、接続されるポートが切り替えられる。このようなEHP四方弁36の切換状態(接続ポートの切換状態)は、制御装置60により制御される。EHP四方弁36の第一ポート361にEHP第一配管35aが接続される。
EHP四方弁36の第二ポート362は、EHP第二配管35bを介してEHP室外熱交換器33に接続される。EHP室外熱交換器33は、第一入出力ポート33a及び第二入出力ポート33bを備え、第一入出力ポート33aにEHP第二配管35bが接続される。また、EHP室外熱交換器33は、第一入出力ポート33aと第二入出力ポート33bを接続する熱交換チューブ及び熱交換チューブの回りに配設された熱交換フィンを備える。EHP室外熱交換器33は、熱交換チューブ内を流れる冷媒を外気と熱交換させる機能を有する。
また、EHP室外熱交換器33に近接した位置にEHP室外機ファン37が設置される。EHP室外機ファン37にはファンモータが取り付けられており、このファンモータの駆動によりEHP室外機ファン37が回転する。EHP室外機ファン37が回転することにより、EHP室外熱交換器33に外気が供給される。
EHP室外熱交換器33の第二入出力ポート33bは、EHP第三配管35cの一方端に接続される。EHP第三配管35cにEHP流量調整弁39が介装される。EHP流量調整弁39は、開度調整可能に構成された膨張弁であり、EHP第三配管35cからEHP室外熱交換器33に流入する冷媒の流量、或いは、EHP室外熱交換器33からEHP第三配管35cに流出する冷媒の流量を調整する。EHP第三配管35cの他方端は、例えば、EHP室外機30のハウジングに設けられた液管ジョイント30aに接続される。
EHP四方弁36の第三ポート363は、EHP第四配管35dを介してEHPアキュムレータ38に接続される。EHPアキュムレータ38には、EHP第四配管35dからの冷媒が流入する。EHPアキュムレータ38に流入した冷媒はEHPアキュムレータ38内で気液分離される。また、EHPアキュムレータ38は、EHP第五配管35eを介してEHPコンプレッサ32の第二吸入口32aに接続される。EHPアキュムレータ38内の気相冷媒は、EHP第五配管35eを通ってEHPコンプレッサ32の第二吸入口32aに供給される。
EHP四方弁36の第四ポート364は、EHP第六配管35fの一方端に接続される。EHP第六配管35fの他方端は、例えば、EHP室外機30のハウジングに設けられたガス管ジョイント30bに接続される。
室内機40は、一つ又は複数の室内熱交換器と、それぞれの室内熱交換器に対応して設けられるとともに冷媒回路を構成する配管(室内側第一配管42a、室内側第二配管42b)と、それぞれの室内熱交換器に対応して設けられている室内側膨張弁43及び室内機ファン44とを備える。図1においては、3台の室内熱交換器41A,41B,41C及びこれらに対応する各配管及び各機器が例示される。例示された3台の室内熱交換器を総称して、室内熱交換器41と呼ぶ。
室内熱交換器41は、第一入出力ポート41aと第二入出力ポート41bとを備える。室内熱交換器41は、第一入出力ポート41aと第二入出力ポート41bとを接続する熱交換チューブ及び熱交換チューブの回りに配設された熱交換フィンを備える。室内熱交換器41は、熱交換チューブ内を流れる冷媒を室内空気と熱交換させる機能を有する。
室内熱交換器41の第一入出力ポート41aは、室内側第一配管42aの一方端に接続される。室内側第一配管42aの他方端は、例えば、室内機40のハウジングに設けられた液管ジョイント40aに接続される。また、室内熱交換器41の第二入出力ポート41bは、室内側第二配管42bの一方端に接続される。室内側第二配管42bの他方端は、例えば、室内機40のハウジングに設けられたガス管ジョイント40bに接続される。
また、室内側第一配管42aに、室内側膨張弁43が介装される。室内側膨張弁43は、開度調整可能な流量弁であり、室内熱交換器41を流通する冷媒の流量を調整するとともに、室内熱交換器41から流出した冷媒又は室内熱交換器41に流入した冷媒を膨張させる機能を有する。
室内熱交換器41に近接して室内機ファン44が設置される。室内機ファン44にはファンモータが取り付けられており、このファンモータの駆動により室内機ファン44が回転する。室内機ファン44が回転することにより、室内熱交換器41に室内空気が供給される。
また、図1に示すように、GHP室外機10のハウジングに設けられた液管ジョイント10aと室内機40のハウジングに設けられた液管ジョイント40aが、第一液管51により接続される。上述したように、GHP室外機10の液管ジョイント10aはGHP第三配管15cの他方端に接続されており、第三配管15cの一方端はGHP室外熱交換器13の第二入出力ポート13bに接続されている。また、室内機40の液管ジョイント40aは室内側第一配管42aの他方端に接続されており、室内側第一配管42aの一方端には室内熱交換器41が接続されている。従って、室内熱交換器41とGHP室外熱交換器13は、GHP第三配管15c、第一液管51、室内側第一配管42aを介して接続されることになる。
また、第一液管51には、第二液管53の一方端が連通する。この第二液管53の他方端は、EHP室外機30のハウジングに設けられた液管ジョイント30aに接続される。EHP室外機30の液管ジョイント30aは、EHP第三配管35cの他方端に接続され、EHP第三配管35cの一方端は、EHP室外熱交換器33の第二入出力ポート33bに接続される。従って、室内熱交換器41とEHP室外熱交換器33は、EHP第三配管35c、第二液管53、第一液管51、室内側第一配管42aを介して接続されることになる。
また、GHP室外機10のハウジングに設けられたガス管ジョイント10bと室内機40のハウジングに設けられたガス管ジョイント40bが、第一ガス管52により接続される。また、第一ガス管52は、第二ガス管54の一方端に連通する。この第二ガス管54の他方端は、EHP室外機30のハウジングに設けられたガス管ジョイント30bに接続される。
制御装置60は、CPU,ROM,RAMを備えるマイクロコンピュータを主要構成としており、GHP室外機10、EHP室外機30、室内機40を制御する。すなわち制御装置60は、空気調和装置1の動作(運転)を制御する。例えば、制御装置60は、空気調和装置1の運転状態に応じて、GHP四方弁16及びEHP四方弁36の切換状態、ガスエンジン11の回転数(GHPコンプレッサ12の回転数)、モータ31の回転数(EHPコンプレッサ32の回転数)、室内側膨張弁43の開度、各流量調整弁(20a,20b,39)の開度、ホットガスバイパス弁21の開閉状態、各ファンの回転数、等を、制御する。また、制御装置60は、空気調和装置1の起動時に起動制御処理を実行する。
また、GHP室外機10、EHP室外機30、室内機40の各所にセンサが設けられていて、それらのセンサの検出信号が制御装置60に入力される。制御装置60は、各種のセンサから入力した信号に基づいて、空気調和装置1の動作を制御する。各種のセンサとして、ガスエンジン11(又はGHPコンプレッサ12)及びモータ31(又はEHPコンプレッサ)の回転数を検出する回転数検出センサ、GHPコンプレッサ12及びEHPコンプレッサ32から吐出される冷媒の温度を検出する吐出温度センサ、GHPコンプレッサ12及びEHPコンプレッサ32に吸入される冷媒の温度を検出する吸入温度センサ、GHPコンプレッサ12及びEHPコンプレッサ32に吸入される冷媒の圧力を検出する圧力センサ、GHP室外熱交換器13及びEHP室外熱交換器33を流れる冷媒の温度を検出する温度センサ、GHP室外熱交換器13内及びEHP室外熱交換器33内を流通する冷媒の温度を検出する温度センサ、各種ファンの回転数を検出する回転数検出センサ、室内側膨張弁43及び各流量調整弁(20a,20b,39)の開度を検出する開度検出センサ、外気温を検出する温度センサ、等を例示することができるが、この限りでない。図1においては、GHPコンプレッサ12から吐出される冷媒の圧力を検出するGHP吐出圧力センサ71、GHPコンプレッサ12に吸入される冷媒の圧力を検出するGHP吸入圧力センサ72、EHPコンプレッサ32から吐出される冷媒の圧力を検出するEHP吐出圧力センサ73、EHPコンプレッサ32に吸入される冷媒の圧力を検出するEHP吸入圧力センサ74、GHP室外熱交換器13を流れる冷媒の温度を検出するGHP室外熱交換器温度センサ75、EHP室外熱交換器33を流れる冷媒の温度を検出するEHP室外熱交換器温度センサ76、が、示される。
次に、上記構成の空気調和装置1の暖房運転時(暖房モード)及び冷房運転時(冷房モード)の動作について、説明する。まず、暖房運転時の動作について説明する。暖房運転時には、制御装置60は、GHP四方弁16及びEHP四方弁36の切換状態が、暖房時接続状態となるように、それぞれの四方弁(16,36)を制御する。ここで、GHP四方弁16及びEHP四方弁36は、その切換状態が、暖房時接続状態と後述する冷房時接続状態とに切換可能であるように構成される。暖房時接続状態とは、四方弁(16,36)の第一ポート(161,361)と第四ポート(164,364)が連通するとともに第二ポート(162,362)と第三ポート(163,363)が連通する切換状態である。従って、暖房運転時、すなわち四方弁(16,36)の切換状態が暖房時接続状態であるとき、四方弁(16,36)の第一ポート(161,361)に接続された第一配管(15a,35a)が第四ポート(164,364)に接続された第六配管(15f、35f)に接続され、四方弁(16,36)の第二ポート(162,362)に接続された第二配管(15b、35b)が第三ポート(163,363)に接続された第四配管(15d、35d)に接続されることになる。
なお、後述する説明からわかるように、GHP四方弁16の切換状態が暖房時接続状態であるとき、GHP室外熱交換器13がGHPコンプレッサ12の第一吸入口12aに接続され、GHP四方弁16の切換状態が冷房時接続状態であるとき、GHP室外熱交換器13がGHPコンプレッサ12の第一吐出口12bに接続される。従って、GHP四方弁16は、GHP室外熱交換器13とGHPコンプレッサ12との接続状態を、GHP室外熱交換器13がGHPコンプレッサ12の第一吸入口12aに接続される暖房時接続状態とGHPコンプレッサ12の第一吐出口12bに接続される冷房時接続状態とに切換可能に構成されていると言える。同様に、EHP四方弁36の切換状態が暖房時接続状態であるとき、EHP室外熱交換器33がEHPコンプレッサ32の第二吸入口32aに接続され、EHP四方弁36の切換状態が冷房時接続状態であるとき、EHP室外熱交換器33がEHPコンプレッサ32の第二吐出口32bに接続される。従って、EHP四方弁36は、EHP室外熱交換器33とEHPコンプレッサ32との接続状態を、EHP室外熱交換器33がEHPコンプレッサ32の第二吸入口32aに接続される暖房時接続状態とEHPコンプレッサ32の第二吐出口32bに接続される冷房時接続状態とに切換可能に構成されていると言える。
また、暖房運転時には、GHP四方弁16の切換状態が暖房時接続状態にされた状態で、ガスエンジン11が駆動する。すると、GHPコンプレッサ12が作動して、GHP第五配管15e内の低圧ガス冷媒を第一吸入口12aから吸入するとともに吸入した低圧ガス冷媒を圧縮して高温高圧ガス冷媒を生成する。そして、生成した高温高圧ガス冷媒を第一吐出口12bから吐出する。第一吐出口12bから吐出された高温高圧ガス冷媒はGHP第一配管15aを流れてGHP四方弁16に流入する。
暖房運転時には、GHP四方弁16にてGHP第一配管15aがGHP第六配管15fに接続されているから、GHP第一配管15aからGHP四方弁16に流入した高温高圧ガス冷媒はGHP四方弁16からGHP第六配管15fに流入する。GHP第六配管15fに流入した高温高圧ガス冷媒は、さらに、GHP室外機10のガス管ジョイント10b、第一ガス管52、室内機40のガス管ジョイント40b、室内側第二配管42bをこの順に流れる。そして、室内側第二配管42bに接続した室内熱交換器41にその第二入出力ポート41bから流入する。
室内熱交換器41に流入した高温高圧ガス冷媒は室内熱交換器41の熱交換チューブを流通する間に室内空気と熱交換し、室内空気に熱を吐き出して凝縮する。つまり、室内熱交換器41は暖房運転時に凝縮器として機能する。このとき高温高圧ガス冷媒から吐き出された熱によって室内空気が暖められて、室内が暖房される。
室内熱交換器41にて室内空気に熱を吐き出して凝縮した冷媒は一部液化し、室内熱交換器41の第一入出力ポート41aから室内側第一配管42aに流出する。そして、室内側第一配管42aの途中に介装された室内側膨張弁43で膨張することにより蒸発しやすいように低圧化される。室内側膨張弁43で膨張された冷媒は、さらに、室内側第一配管42aから室内機40の液管ジョイント40a、第一液管51、GHP室外機10の液管ジョイント10a、GHP第三配管15c、配管L1及びGHP第二流量調整弁20bを経由して、GHP室外熱交換器13にその第二入出力ポート13bから流入する。GHP室外熱交換器13に流入した冷媒はGHP室外熱交換器13の熱交換チューブを流通する間に外気と熱交換し、外気の熱を奪って蒸発する。つまり、GHP室外熱交換器13は暖房時に蒸発器として機能する。
GHP室外熱交換器13にて外気の熱を奪って蒸発した冷媒は一部気化し、GHP室外熱交換器13の第一入出力ポート13aからGHP第二配管15bに流出する。そして、GHP第二配管15bからGHP四方弁16に入る。暖房運転時にはGHP四方弁16にてGHP第二配管15bがGHP第四配管15dに接続されているから、GHP第二配管15bからGHP四方弁16に流入した冷媒はGHP四方弁16からGHP第四配管15dに流入し、さらにGHPアキュムレータ18に流入する。GHPアキュムレータ18では流入した冷媒が気液分離される。そして、低温低圧のガス冷媒のみがGHPアキュムレータ18からGHP第五配管15eに流出される。GHPアキュムレータ18からGHP第五配管15eに流出した冷媒がGHPコンプレッサ12の第一吸入口12aに帰還する。上記の冷媒の流れからわかるように、GHP四方弁16の切換状態が暖房時接続状態である暖房運転時には、GHP室外熱交換器13は、GHP第二配管15b、GHP第四配管15d、GHP第五配管15eを介して、GHPコンプレッサ12の第一吸入口12aに接続される。
また、暖房運転時には、必要に応じて、GHP第一流量調整弁20aの開度が制御される。GHP第一流量調整弁20aが開いている場合、室内熱交換器41及び室内側膨張弁43を経由してGHP第三配管15cに流入した冷媒の一部が、GHP第七配管15gに流れる。GHP第七配管15gに流れた冷媒は、サブ熱交換器19に導入される。このサブ熱交換器19にて、冷媒が冷却水と熱交換することにより、冷媒が加熱される。サブ熱交換器19で加熱された冷媒は、GHP第七配管15gからGHP第四配管15dに流出し、その後、GHPアキュムレータ18に供給される。
また、暖房運転時には、EHP四方弁36の切換状態が暖房時接続状態にされた状態で、モータ31が駆動する。すると、EHPコンプレッサ32が作動して、EHP第五配管35e内の低圧ガス冷媒を第二吸入口32aから吸入するとともに吸入した低圧ガス冷媒を圧縮して高温高圧ガス冷媒を生成する。そして、生成した高温高圧ガス冷媒を第二吐出口32bから吐出する。第二吐出口32bから吐出された高温高圧ガス冷媒はEHP第一配管35aを流れてEHP四方弁36に流入する。
暖房運転時には、EHP四方弁36にてEHP第一配管35aがEHP第六配管35fに接続されているから、EHP第一配管35aからEHP四方弁36に流入した高温高圧ガス冷媒はEHP四方弁36からEHP第六配管35fに流入する。EHP第六配管35fに流入した高温高圧ガス冷媒は、さらに、EHP室外機30のガス管ジョイント30b、第二ガス管54、第一ガス管52、室内機40のガス管ジョイント40b、室内側第二配管42bをこの順に流れる。そして、室内側第二配管42bに接続した室内熱交換器41にその第二入出力ポート41bから流入する。
室内熱交換器41に流入した高温高圧ガス冷媒は室内熱交換器41の熱交換チューブを流通する間に室内空気と熱交換し、室内空気に熱を吐き出して凝縮する。このとき高温高圧ガス冷媒から吐き出された熱によって室内空気が暖められて、室内が暖房される。
室内熱交換器41にて室内空気に熱を吐き出して凝縮した冷媒は一部液化し、室内熱交換器41の第一入出力ポート41aから室内側第一配管42aに流出する。そして、室内側第一配管42aの途中に介装された室内側膨張弁43で膨張することにより蒸発しやすいように低圧化される。室内側膨張弁43で膨張された冷媒は、さらに、室内機40の液管ジョイント40a、第一液管51、第二液管53、EHP室外機30の液管ジョイント30a、EHP第三配管35c及びEHP流量調整弁39を経由して、EHP室外熱交換器33にその第二入出力ポート33bから流入する。EHP室外熱交換器33に流入した冷媒はEHP室外熱交換器33内の熱交換チューブを流通する間に外気と熱交換し、外気の熱を奪って蒸発する。つまり、EHP室外熱交換器33は暖房時に蒸発器として機能する。
EHP室外熱交換器33にて外気の熱を奪って蒸発した冷媒は一部気化し、EHP室外熱交換器33の第一入出力ポート33aからEHP第二配管35bに流出する。そして、EHP第二配管35bからEHP四方弁36に入る。暖房運転時にはEHP四方弁36にてEHP第二配管35bがEHP第四配管35dに接続されているから、EHP第二配管35bからEHP四方弁36に流入した冷媒はEHP四方弁36からEHP第四配管35dに流入し、さらにEHPアキュムレータ38に流入する。EHPアキュムレータ38では流入した冷媒が気液分離される。そして、低温低圧のガス冷媒のみがEHPアキュムレータ38からEHP第五配管35eに流出される。EHPアキュムレータ38からEHP第五配管35eに流出した冷媒がEHPコンプレッサ32の第二吸入口32aに帰還する。上記の冷媒の流れからわかるように、EHP四方弁36の切換状態が暖房時接続状態である暖房運転時には、EHP室外熱交換器33は、EHP第二配管35b、EHP第四配管35d、EHP第五配管35eを介して、EHPコンプレッサ32の第二吸入口32aに接続される。図1において、暖房運転時における冷媒の流れが、実線の矢印により示される。
また、暖房運転時、すなわち四方弁(16,36)の切換状態が暖房時接続状態であるときにおける冷媒の流れからわかるように、四方弁(16,36)の切換状態が暖房時接続状態であるとき、GHPコンプレッサ12の第一吐出口12bに、GHP第一配管15a、GHP第六配管15f、第一ガス管52、室内側第二配管42bを介して、室内熱交換器41が接続される。同様に、四方弁(16,36)の切換状態が暖房時接続状態であるとき、EHPコンプレッサ32の第二吐出口32bに、EHP第一配管35a、EHP第六配管35f、第二ガス管54、第一ガス管52、室内側第二配管42bを介して、室内熱交換器41が接続される。すなわち、四方弁(16,36)の切換状態が暖房時接続状態であるとき、複数の室外機(10,30)がそれぞれ有する複数のコンプレッサ(12,32)の吐出口(12b、32b)に室内熱交換器41が接続される。
次に、冷房運転について説明する。冷房運転時には、制御装置60は、GHP四方弁16及びEHP四方弁36の切換状態が、冷房時接続状態となるように、それぞれの四方弁を制御する。ここで、冷房時接続状態とは、四方弁(16,36)の第一ポート(161,361)と第二ポート(162,362)が連通するとともに第三ポート(163,363)と第四ポート(164,364)が連通する切換状態である。従って、冷房運転時、すなわち四方弁(16,36)の切換状態が冷房時接続状態であるとき、四方弁(16,36)の第一ポート(161,361)に接続された第一配管(15a,35a)が第二ポート(162,362)に接続された第二配管(15b、35b)に接続され、第三ポート(163,363)に接続された第四配管(15d、35d)が第四ポート(164,364)に接続された第六配管(15f、35f)に接続されることになる。
また、冷房運転時には、GHP四方弁16の切換状態が冷房時接続状態にされた状態で、ガスエンジン11が駆動する。すると、GHPコンプレッサ12が作動して、GHP第五配管15e内の低圧ガス冷媒を第一吸入口12aから吸入するとともに吸入した低圧ガス冷媒を圧縮して高温高圧ガス冷媒を生成する。そして、生成した高温高圧ガス冷媒を第一吐出口12bから吐出する。第一吐出口12bから吐出された高温高圧ガス冷媒はGHP第一配管15aを流れてGHP四方弁16に流入する。
冷房運転時には、GHP四方弁16にてGHP第一配管15aがGHP第二配管15bに接続されているから、GHP第一配管15aからGHP四方弁16に流入した高温高圧ガス冷媒はGHP四方弁16からGHP第二配管15bに流入する。GHP第二配管15bに流入した高温高圧ガス冷媒は、GHP第二配管15bに接続したGHP室外熱交換器13にその第一入出力ポート13aから流入する。GHP室外熱交換器13に流入した冷媒はGHP室外熱交換器13の熱交換チューブを流通する間に外気と熱交換し、外気に熱を吐き出して凝縮する。つまり、GHP室外熱交換器13は冷房時に凝縮器として機能する。
GHP室外熱交換器13にて外気に熱を吐き出して凝縮した冷媒は一部液化し、GHP室外熱交換器13の第二入出力ポート13bからGHP第三配管15cに流出する。GHP第三配管15cに流出した冷媒は、配管L2、逆止弁20c、GHP室外機10の液管ジョイント10a、第一液管51、室内機40の液管ジョイント40aを経由して、室内側第一配管42aに至り、この室内側第一配管42aの途中に介装された室内側膨張弁43で膨張することにより蒸発しやすいように低圧化される。室内側膨張弁43で膨張された冷媒は、室内熱交換器41にその第一入出力ポート41aから流入する。室内熱交換器41に流入した冷媒は室内熱交換器41の熱交換チューブを流通する間に室内空気と熱交換し、室内空気の熱を奪って蒸発する。つまり、室内熱交換器41は冷房時に蒸発器として機能する。このとき冷媒に熱が奪われることによって室内空気が冷却されて、室内が冷房される。
室内熱交換器41にて室内空気の熱を奪って蒸発した冷媒は一部気化し、室内熱交換器41の第二入出力ポート41bから室内側第二配管42bに流出する。室内側第二配管42bに流出した冷媒は、室内機40のガス管ジョイント40b、第一ガス管52、GHP室外機10のガス管ジョイント10b、GHP第六配管15fを経由して、GHP四方弁16に入る。冷房運転時にはGHP四方弁16にてGHP第六配管15fがGHP第四配管15dに接続されているから、GHP第六配管15fからGHP四方弁16に流入した冷媒はGHP四方弁16からGHP第四配管15dに流入し、さらにGHPアキュムレータ18に流入する。GHPアキュムレータ18では流入した冷媒が気液分離される。そして、低温低圧のガス冷媒のみがGHPアキュムレータ18からGHP第五配管15eに流出される。GHPアキュムレータ18からGHP第五配管15eに流出した冷媒がGHPコンプレッサ12の第一吸入口12aに帰還する。上記の冷媒の流れからわかるように、GHP四方弁16の切換状態が冷房時接続状態である冷房運転時には、GHP室外熱交換器13は、GHP第二配管15b及びGHP第一配管15aを介して、GHPコンプレッサ12の第一吐出口12bに接続される。
また、冷房運転時には、EHP四方弁36の切換状態が冷房時接続状態にされた状態で、モータ31が駆動する。すると、EHPコンプレッサ32が作動して、EHP第五配管35e内の低圧ガス冷媒を第二吸入口32aから吸入するとともに吸入した低圧ガス冷媒を圧縮して高温高圧ガス冷媒を生成する。そして、生成した高温高圧ガス冷媒を第二吐出口32bから吐出する。第二吐出口32bから吐出された高温高圧ガス冷媒はEHP第一配管35aを流れてEHP四方弁36に流入する。
冷房運転時には、EHP四方弁36にてEHP第一配管35aがEHP第二配管35bに接続されているから、EHP第一配管35aからEHP四方弁36に流入した高温高圧ガス冷媒はEHP四方弁36からEHP第二配管35bに流入する。EHP第二配管35bに流入した高温高圧ガス冷媒は、EHP第二配管35bに接続したEHP室外熱交換器33にその第一入出力ポート33aから流入する。EHP室外熱交換器33に流入した冷媒はEHP室外熱交換器33の熱交換チューブを流通する間に外気と熱交換し、外気に熱を吐き出して凝縮する。つまり、EHP室外熱交換器33は冷房時に凝縮器として機能する。
EHP室外熱交換器33にて外気に熱を吐き出して凝縮した冷媒は一部液化し、EHP室外熱交換器33の第二入出力ポート33bからEHP第三配管35cに流出する。EHP第三配管35cに流出した冷媒は、EHP流量調整弁39、EHP室外機30の液管ジョイント30a、第二液管53、第一液管51、室内機40の液管ジョイント40aを経由して、室内側第一配管42aに至り、この室内側第一配管42aの途中に介装された室内側膨張弁43で膨張することにより蒸発しやすいように低圧化される。室内側膨張弁43で膨張された冷媒は、室内熱交換器41にその第一入出力ポート41aから流入する。室内熱交換器41に流入した冷媒は室内熱交換器41の熱交換チューブを流通する間に室内空気と熱交換し、室内空気の熱を奪って蒸発する。このとき冷媒に熱が奪われることによって室内空気が冷却されて、室内が冷房される。
室内熱交換器41にて室内空気の熱を奪って蒸発した冷媒は一部気化し、室内熱交換器41の第二入出力ポート41bから室内側第二配管42bに流出する。室内側第二配管42bに流出した冷媒は、室内機40のガス管ジョイント40b、第一ガス管52、第二ガス管54、EHP室外機30のガス管ジョイント30b、EHP第六配管35fを経由して、EHP四方弁36に入る。冷房運転時にはEHP四方弁36にてEHP第六配管35fがEHP第四配管35dに接続されているから、EHP第六配管35fからEHP四方弁36に流入した冷媒はEHP四方弁36からEHP第四配管35dに流入し、さらにEHPアキュムレータ38に流入する。EHPアキュムレータ38では流入した冷媒が気液分離される。そして、低温低圧のガス冷媒のみがEHPアキュムレータ38からEHP第五配管35eに流出される。EHPアキュムレータ38からEHP第五配管35eに流出した冷媒がEHPコンプレッサ32の第二吸入口32aに帰還する。上記の冷媒の流れからわかるように、EHP四方弁36の切換状態が冷房時接続状態である冷房運転時には、EHP室外熱交換器33は、EHP第二配管35b及びEHP第一配管35aを介して、EHPコンプレッサ32の第二吐出口32bに接続される。図1において、冷房運転時における冷媒の流れが、破線の矢印により示される。
また、冷房運転時、すなわち四方弁(16,36)の切換状態が冷房時接続状態であるときにおける冷媒の流れからわかるように、四方弁(16,36)の切換状態が冷房時接続状態であるとき、室内熱交換器41は、室内側第二配管42b、第一ガス管52、GHP第六配管15f、GHP第四配管15d、GHP第五配管15eを介して、GHPコンプレッサ12の第一吸入口12aに接続される。同様に、四方弁(16,36)の切換状態が冷房時接続状態であるとき、室内熱交換器41は、室内側第二配管42b、第一ガス管52、第二ガス管54、EHP第六配管35f、EHP第四配管35d、EHP第五配管35eを介して、EHPコンプレッサ32の第二吸入口32aに接続される。すなわち、四方弁(16,36)の切換状態が冷房時接続状態であるとき、複数の室外機(10,30)がそれぞれ有する複数のコンプレッサ(12,32)の吸入口(12a、32a)に室内熱交換器41が接続される。
上記したような空気調和装置1の暖房運転中及び冷房運転中に、制御装置60は、空調制御処理を実行する。空調制御処理では、制御装置60は、室内機40から要求される空調負荷に応じて、GHP室外機10及びEHP室外機30を制御する。例えば、要求される空調負荷が大きい場合、制御装置60は、GHP室外熱交換器13及びEHP室外熱交換器33の双方に冷媒が流れるように、GHP室外機10及びEHP室外機30を制御することができる。また、要求される空調負荷が小さい場合、制御装置60は、GHP室外熱交換器13とEHP室外熱交換器13のいずれか一方に冷媒が流れるように、GHP室外機10及びEHP室外機30を制御することができる。
また、制御装置60が空調制御処理を実行した場合、作動中(運転中)の室内熱交換器41の熱交換量が空調負荷に見合う量になるように、室外機(10,30)及び/又は室内機40を制御する。例えば、制御装置60は、GHP室外機10のガスエンジン11の回転数(GHPコンプレッサ12の回転数)、EHP室外機30のモータ31の回転数(EHPコンプレッサ32の回転数)、室内機40の室内側膨張弁43の開度、室内機ファン44の回転数、等を制御することにより、作動中の室内熱交換器41の熱交換量を制御する。
また、上記した暖房運転中及び冷房運転中において、ホットガスバイパス弁21は、通常は閉じている。このホットガスバイパス弁21は、必要に応じて開作動する。例えば、GHPコンプレッサ12に吸入される冷媒の圧力が低くなり、低圧異常が発生して空調運転が停止する虞がある場合に、ホットガスバイパス弁21が開く。これにより、高圧のガス冷媒がGHPコンプレッサ12に吸入され、その結果、低圧異常が回避される。
ところで、上記した制御装置60による空調制御処理は、空気調和装置1の起動制御処理の実行後に実行される。つまり、制御装置60は、起動信号の入力によってまず起動制御処理を実行し、起動制御処理が完了した後に、空調制御処理を実行するように構成される。
図2は、制御装置60が実行する起動制御処理ルーチンの流れを示すフローチャートである。このルーチンは、空気調和装置1に備えられるリモコン等に設けられている冷房スイッチ或いは暖房スイッチがユーザーによって操作されて、空気調和装置1を所定の運転モード(暖房モード或いは冷房モード)で運転させるための起動信号が入力されたときに、起動する。このルーチンが起動すると、制御装置60は、まず、図2のS100にて、各室外機(GHP室外機10、EHP室外機30)が有する四方弁(16,36)の切換状態が正しいか否かを判断する必要があるか否かを判断する。
例えば、空気調和装置1の前回の運転モード(運転状態)が暖房モード(暖房運転状態)であり、今回の運転モードが冷房モード(冷房運転状態)である場合、或いは、前回の運転モードが冷房モードであり、今回の運転モードが暖房運転モードである場合、四方弁(16,36)の切換状態を変更する必要がある。四方弁(16,36)の切換状態を変更した場合、変更後の四方弁(16,36)の切換状態が正しいか否かを判断する必要がある。つまり、前回の空気調和装置1の運転モードと今回の空気調和装置1の運転モードが異なる場合、制御装置60は、四方弁(16,36)の切換状態の正否の判断が必要であると判断する。また、前回の空気調和装置1の運転中に停電が発生し、或いは異常が発生して空気調和装置1が緊急停止した場合、制御装置60は前回の空気調和装置1の運転モードを認識していない可能性がある。このような場合も、制御装置60は、四方弁(16,36)の切換状態の正否の判断が必要であると判断する。一方、前回の空気調和装置1の運転モードと今回の空気調和装置1の運転モードが同じである場合、制御装置60は、四方弁(16,36)の切換状態の正否の判断が不必要であると判断する。
S100にて、四方弁(16,36)の切換状態の正否の判断が不必要であると判断した場合(S100:No)、制御装置60は、S200に処理を進めて、第一起動制御処理を実行する。この第一起動制御処理では、四方弁(16,36)の切換状態の正否の判断を行うことなく、室外機(10,30)の初期制御が実行される。第一起動制御処理の実行後、制御装置60は、このルーチンを終了する。一方、S100にて、四方弁(16,36)の切換状態の正否の判断が必要であると判断した場合(S100:Yes)、制御装置60は、S300に処理を進めて、第二起動制御処理を実行する。この第二起動制御処理では、四方弁(16,36)の切換状態の正否の判断及び室外機(10,30)の初期制御が実行される。第二起動制御処理の実行後、制御装置60は、このルーチンを終了する。以下、第一起動制御処理及び第二起動制御処理について説明する。
まず、第一起動制御処理について説明する。図3は、第一起動制御処理ルーチンの流れを示すフローチャートである。このルーチンが起動すると、制御装置60は、まず、図3のS201にて、システム起動制御を行う。これにより、室外機(10,30)及び室内機40が作動可能な状態、すなわちスタンバイ状態にされる。次いで、S202にて、GHP室外機10及びEHP室外機30のうち、作動させるべき室外機を選択する。この場合、制御装置60は、空気調和装置1の初期設定条件、或いは、ユーザーの設定条件に基づいて、作動させるべき室外機を選択することができる。例えば、空気調和装置1の初期設定条件に、優先的にGHP室外機10を作動させるという条件が含まれている場合、或いは、電力消費を抑えるためにユーザーが予めGHP室外機10を優先的に作動させるという設定条件を入力しているような場合、S202ではGHP室外機10が選択される。
次いで、制御装置60は、S203にて、選択した室外機を作動させるとともに初期制御を開始する。この初期制御では、選択した室外機(例えばGHP室外機10)の室外機ファン(例えばGHP室外機ファン17)を所定時間だけ回転させる。これにより室外機内が換気される。また、初期制御では、選択した室外機のコンプレッサ(例えばGHPコンプレッサ12)を所定回転数で作動させるとともに流量調整弁(例えばGHP第一流量調整弁20a及びGHP第二流量調整弁20b)の開度を予め定められた初期開度に設定する。これにより、冷媒回路内に冷媒が循環される。
次に、制御装置60は、S204にて、選択した室外機の初期制御が完了したか否かを判断する。ここで、初期制御が完了したか否かは、選択した室外機において、室外機ファンが所定回転数で作動している時間が所定時間に達したか否か、コンプレッサが所定回転数で作動している時間が所定時間に達したか否か、流量調整弁の開度が初期開度にされているか否か、に基づいて判断される。選択した室外機の初期制御が完了していない場合(S204:No)、選択した室外機の初期制御が完了するまで待ち、選択した室外機の初期制御が完了した場合(S204:Yes)、制御装置60は、システム(空気調和装置1)の起動が完了して、空調制御処理による空調運転を実行し得る状態にされたことを認識する(S205)。その後、制御装置60は、このルーチンを終了する。
第一起動制御処理が終了した場合、制御装置60は、続いて空調制御処理を実行する。この空調制御処理では、上述したように、空調負荷に応じて、選択した室外機のコンプレッサの回転数等が制御される。また、空調運転中に空調負荷が増大した場合、制御装置60は、選択されていない室外機について上記した第一起動制御処理を実行した後に、空調制御処理を実行する。
次に、第二起動制御処理について説明するが、本実施形態における第二起動制御処理について説明する前に、従来から実施されている第二起動制御処理が空気調和装置1に適用される場合についての例を説明する。図6は、従来から実施されている第二起動制御処理ルーチンの流れを示すフローチャートである。このルーチンが起動すると、制御装置60は、まず、図6のS351にて、システム起動制御を実行する。これにより、室外機(10,30)及び室内機40がスタンバイ状態にされる。次に、制御装置60は、S352にて、全ての室外機(GHP室外機10及びEHP室外機30)の初期制御を同時に開始する。
次いで、制御装置60は、各室外機(10,30)に、四方弁(16,36)の切換指令を出力する(S353)。これにより、各室外機(10,30)の四方弁(16,36)の切換状態が、暖房時接続状態及び冷房時接続状態のうち、今回の運転モード(要求される運転モード)に対応した切換状態に変更或いは維持される。なお、空気調和装置1の前回の運転モードと今回の運転モードが異なる場合、S353の処理の実行によって四方弁(16,36)の切換状態が変更される。また、制御装置60が空気調和装置1の前回の運転モードを認識していない場合、S353の処理の実行によって、四方弁(16,36)の切換状態が変更される場合もあり、維持される場合もある。
続いて、制御装置60は、S354にて、全ての室外機(10,30)の初期制御が完了したか否かを判断する。全ての室外機(10,30)の初期制御が完了していない場合(S354:No)、全ての室外機(10,30)の初期制御が完了するまで待つ。全ての室外機(10,30)の初期制御が完了した場合(S354:Yes)、制御装置60は、システム(空気調和装置1)の起動が完了して、空調運転を実行し得る状態にされたことを認識する(S355)。
制御装置60は、システムの起動完了を認識した後に、S356に処理を進めて、四方弁(16,36)の切換状態が正しいか否かを判断する。この場合、以下の項目についての判断がなされる。
(1)各室外機(10,30)の四方弁(16,36)の切換状態が、同一の切換状態であるか否か
(2)各室外機(10,30)の四方弁(16,36)が中間ロックしていないか否か
(3)各室外機(10,30)の四方弁(16,36)が、要求された運転モードに対応する切換状態にされているか否か
上記(1)に示す判断に関し、一方の室外機の四方弁の切換状態と他方の室外機の四方弁の切換状態が異なっていると、一方の室外機のコンプレッサの吐出口と他方の室外機のコンプレッサの吸入口が連通することになる。従って、上記(1)に示す判断は、一方の室外機のコンプレッサの吐出圧力と他方の室外機のコンプレッサの吸入圧力との圧力差が所定の圧力差以上であるか否かに基づいて、判断することができる。具体的には、上記(1)の判断においては、GHP吐出圧力センサ71により検出された吐出圧力とEHP吸入圧力センサ74により検出された吸入圧力との圧力差、及び、EHP吐出圧力センサ73により検出された吐出圧力とGHP吸入圧力センサ72により検出された吸入圧力との圧力差、が、それぞれ所定の圧力差以上である場合に、各室外機(10,30)の四方弁(16,36)の切換状態が同一の切換状態であると判断される。
また、上記(2)に示す判断に関し、四方弁が中間ロック状態(四方弁の可動部が移動の途中で動かなくなっている状態)になると、コンプレッサから吐出された冷媒が中間ロックした四方弁を介してそのままコンプレッサの吸入口に戻ることになる。従って、上記(2)に示す判断は、各室外機のコンプレッサの吐出圧力と吸入圧力との圧力差が所定の圧力差以上であるか否かに基づいて判断することができる。具体的には、上記(2)の判断においては、GHP吐出圧力センサ71により検出された吐出圧力とGHP吸入圧力センサ72により検出された吸入圧力との圧力差、及び、EHP吐出圧力センサ73により検出された吐出圧力とEHP吸入圧力センサ74により検出された吸入圧力との圧力差、が、それぞれ所定の圧力差以上である場合に、四方弁(16,36)が中間ロックしていないと判断される。
また、上記(3)に示す判断に関し、例えば四方弁の切換状態が冷房接続状態の場合には、室外熱交換器に高温高圧のガス冷媒が流入するために、室外熱交換器を流れる冷媒の温度及び圧力が高い。また、四方弁の切換状態が暖房接続状態の場合には、室外熱交換器を流れる冷媒の温度及び圧力は低い。従って、上記(3)に示す判断は、各室外機を流れる冷媒の温度又は圧力に基づいて判断することができる。具体的には、上記(3)の判断においては、冷房モードであるときに、GHP室外熱交換器温度センサ75により検出された冷媒温度及びEHP室外熱交換器温度センサ76により検出された冷媒温度が所定温度以上である場合、及び、暖房モードであるときに、GHP室外熱交換器温度センサ75により検出された冷媒温度及びEHP室外熱交換器温度センサ76により検出された冷媒温度が所定温度以下である場合に、各室外機(10,30)の四方弁(16,36)が、要求された運転モードに対応する切換状態にされていると判断される。なお、室内機40に設けられたセンサを用いて、上記(3)に示す判断を行うことも可能である。例えば、室内機40のガス管(52,54)や液管(51,53)の温度を検出する温度センサによって上記(3)に示す判断を行うことが可能である。或いは、室内機40から室内に吹き出される空気の温度(吹き出し温度)を検出する温度センサの検出値に基づいて、上記(3)に示す判断を行うことも可能である。
また、上記(1)に示す判断を行う際には、上記したように、一の室外機のコンプレッサの吐出圧力と、他の室外機のコンプレッサの吸入圧力との圧力差を求めなければならない。従って、四方弁の切換状態の正否を判断するためには、全ての室外機(本実施形態ではGHP室外機10及びEHP室外機30)を共に作動させておかなければならない。
S356にて、四方弁(16,36)の切換状態が正しくないと判断した場合(S356:No)、制御装置60は、システムの起動を停止する(S357)。これにより、空気調和装置1の駆動が停止する。一方、S356にて、四方弁(16、36)の切換状態が正しいと判断した場合(S356:Yes)、制御装置60は、このルーチンを終了する。
図7は、上記した従来の第二起動制御処理を実行した場合における、制御装置60の処理と各室外機(GHP室外機10、EHP室外機30)の動作の一例とを時系列的に示すタイムチャートである。図7に示すように、制御装置60がシステム(空気調和装置1)を起動させると、GHP室外機10及びEHP室外機30が同時に初期制御を開始する。その後、制御装置60が四方弁(16,36)の切換指令を出力すると、例えば各室外機(10,30)の四方弁(16,36)の切換状態が変更される。その後、両室外機(10,30)の初期制御が完了すると、制御装置60がシステムの起動完了を認識する。その後に制御装置60は、各室外機(10,30)の四方弁(16,36)の切換状態が正しいか否かを判断する。つまり、従来の第二起動制御処理によれば、全ての室外機の初期制御が完了した後(システムの起動が完了した後に)に、四方弁(16,36)の切換状態が正しいか否かが判断される。
また、図7に示すようにEHP室外機30の初期制御が開始されてから初期制御が完了するまでの時間は、GHP室外機10の初期制御が開始されてから初期制御が完了するまでの時間よりも長い。これは、GHP室外機10は熱源としてのガスエンジン11を有しているのに対し、EHP室外機30は熱源を有していないことに起因する。
室外機の初期制御が完了するためには、室外機が有するコンプレッサを所定の回転数で作動させた場合に運転に支障がないことが要求される。また、コンプレッサは、冷媒を圧縮して吐出するが、このときコンプレッサを潤滑するための潤滑オイルも冷媒とともに吐出される。吐出された潤滑オイルはオイルセパレータで冷媒と分離される。冷媒と分離された潤滑オイルがコンプレッサに再び吸入される。
潤滑オイルの温度が低い状態でコンプレッサを高回転で作動させた場合、コンプレッサで圧縮された高温のガス冷媒が潤滑オイルによって冷やされるために、冷媒が液化する。液化した冷媒は、潤滑オイルに溶け込む。これにより潤滑オイルが希釈される。希釈された潤滑オイルがコンプレッサに吸入された場合、潤滑オイルの量が相対的に少ないことに起因してコンプレッサの潤滑不良が引き起こされて、コンプレッサが故障する虞がある。なお、EHP室外機に用いられる一般的なコンプレッサは、内部に潤滑オイルを貯留するコンプレッサである。従って、貯留された潤滑オイルに冷媒が溶け込む可能性が極めて高い。
この点に関し、GHP室外機10はガスエンジン11を有するため、ガスエンジン11の熱により速やかに潤滑オイルを加熱することができる。そのためGHPコンプレッサ12を比較的早く所定の回転で作動させた場合でも、潤滑オイルの温度が速やかに上昇するので、潤滑オイルにより冷媒が冷やされることによる冷媒の液化を防止することができる。これに対し、EHP室外機30はエンジンのような熱源を有しないので、潤滑オイルの温度を速やかに上昇させることができない。そのため、上記した不具合の発生を防止するために、EHP室外機30の初期制御における初期段階ではEHPコンプレッサ32を低回転数で作動させ、十分に潤滑オイルの温度が上昇してから所定の回転で作動させる必要がある。このため、EHP室外機30の初期制御においては速やかにEHPコンプレッサ32を所定の回転数で作動させることができず、これにより、EHP室外機30の初期制御に要する時間が長くなるのである。
従って、GHP室外機10とEHP室外機30とを有する空気調和装置1の初期制御においては、GHP室外機10の初期制御の完了のタイミングは、EHP室外機30の初期制御の完了のタイミングよりも早い。
GHP室外機10の初期制御が、EHP室外機30の初期制御よりも先に完了するため、GHP室外機10は、その初期制御が完了してからEHP室外機30の初期制御が完了するまで待たなければならない。この間、GHPコンプレッサ12は、予め定められた最低回転数で作動している。
GHPコンプレッサ12が最低回転数で作動している場合、GHPコンプレッサ12の吸入圧力が十分に低下しないので、GHPコンプレッサ12の第一吸入口12aに接続される蒸発器(室内熱交換器41又はGHP室外熱交換器13)にて冷媒を十分に蒸発させることができない。このため蒸発器からGHPアキュムレータ18に流入する液冷媒量が増加する。これにより、GHPアキュムレータ18内での液冷媒の貯留量が増加し、やがて、GHPアキュムレータ18から液冷媒がオーバーフローする。GHPアキュムレータ18からオーバーフローした液冷媒は、GHPコンプレッサ12に吸入される。これによりGHPコンプレッサ12が液圧縮を起こして破損してしまう。
このように、従来の第二起動制御を実施した場合、先に初期制御が完了した室外機のコンプレッサが後に初期制御が完了する室外機の初期制御完了まで最低回転数で作動し続けることに起因した不具合の発生が起こる可能性がある。
この点について、本実施形態に係る第二起動制御処理は、上記した不具合の発生を防止するように構成されている。以下、本実施形態に係る第二起動制御処理について説明する。
図4A及び図4Bは、本実施形態に係る第二起動制御処理ルーチンの流れを示すフローチャートである。このルーチンが起動すると、制御装置60は、まず、図4AのS311にて、システム起動処理を行う。これにより、室外機(10,30)及び室内機40がスタンバイ状態にされる。次いで、S312にて、制御装置60は、全ての室外機(10,30)を作動させるとともに、全ての室外機(10,30)の初期制御を同時に開始する(初期制御開始処理)。
続いて、制御装置60は、S313にて、各室外機(10,30)に、四方弁(16,36)の切換指令を出力する(切換指令出力処理)。この切換指令は、複数の室外機(GHP室外機10及びEHP室外機30)がそれぞれ有する四方弁(GHP四方弁16及びEHP四方弁36)の切換状態が、暖房時接続状態及び冷房時接続状態のうち、今回の運転モード(要求される運転モード)に対応する切換状態になるように、制御装置60が各四方弁(16,36)に出力する切換状態に関する指令である。これにより、各室外機(10,30)の四方弁(16,36)の切換状態が、今回の運転モードに対応した切換状態になるように、変更或いは維持される。
その後、制御装置60は、S314にて、四方弁(16,36)の切換状態が正しいか否かを判断する(切換状態判断処理)。この判断については上記したので、その詳細についての説明は省略する。
S314にて、四方弁の切換状態が正しくないと判断した場合(S314:No)、制御装置60は、S328に処理を進めて、システム起動停止処理を実行する。これにより、空気調和装置1の駆動が停止する。その後、制御装置60はこのルーチンを終了する。
一方、S314にて、四方弁の切換状態が正しいと判断した場合(S314:Yes)、制御装置60は、S315に処理を進めて、初期制御が完了した室外機の有無を判断する。つまり、S315では、複数の室外機(10,30)のうちいずれか一の室外機の初期制御が完了したか否かを判断する(初期制御完了判断処理)。初期制御が完了した室外機が無い場合(S315:No)、再度この処理を実行する。そして、初期制御が完了した室外機が有る場合(S315:Yes)、制御装置60はS316に処理を進める。
S316では、制御装置60は、タイマτ1のカウントを開始する。その後、制御装置60は、S317に処理を進めて、タイマτ1の計測時間が第一閾値時間τ1th以上であるか否かを判断する。タイマτ1の計測時間が第一閾値時間τ1th未満である場合(S317:No)、制御装置60はS317の処理を繰り返す。そして、タイマτ1の計測時間が第一閾値時間τ1th以上である場合(S317:Yes)、制御装置60は、図4BのS318に処理を進めて、全ての室外機(10、30)の初期制御が完了したか否かを判断する。全ての室外機(10、30)の初期制御が完了している場合(S318:Yes)、制御装置60は、S319に処理を進めて、システムの起動が完了したと認識する。その後、制御装置60は、このルーチンを終了する。
一方、S318にて、全室外機(10,30)の初期制御が完了していないと判断した場合(S318:No)、すなわち、初期制御が未完了の室外機が存在する場合、制御装置60は、S320に処理を進めて、システムの起動停止指令を出力する(作動停止処理)。これにより、全ての室外機(10,30)及び室内機40の作動が停止し、それに伴いGHPコンプレッサ12及びEHPコンプレッサ32の作動も停止する。つまり、S320の作動停止処理は、S315の初期制御完了判断処理にていずれか一の室外機の初期制御が完了したと判断したときから所定時間τ1thが経過した時点で全ての室外機の初期制御が完了していない場合に、初期制御が完了している室外機を含めて全ての室外機の作動を停止させる処理である。
その後、制御装置60は、タイマτ2のカウントを開始し(S321)、タイマτ2の計測時間が第二閾値時間τ2th以上であるか否かを判断する(S322)。タイマτ2の計測時間が第二閾値時間τ2未満である場合(S322:No)、S322の処理を繰り返す。そして、タイマτ2の計測時間が第二閾値時間τ2th以上になった場合(S322:Yes)、制御装置60は、システムの再起動指令を出力する(S323)。これにより、各室外機(10,30)及び室内機40がスタンバイ状態にされる。
次いで、制御装置60は、S324にて、再起動すべき室外機を選択し、S325にて選択した室外機を作動させるとともに、作動させた室外機の初期制御を開始させる(再起動処理)。その後、制御装置60は、選択した室外機の初期制御が完了したか否かを判断する(S326)。選択した室外機の初期制御が完了していない場合(S326:No)、初期制御が完了するまで待つ。そして、選択した室外機の初期制御が完了した場合(S326:Yes)、制御装置はシステムの起動が完了したと認識する(S327)。その後、制御装置60は、このルーチンを終了する。
図5は、上記した本実施形態に係る第二起動制御処理を実行した場合における。制御装置60の処理と各室外機(GHP室外機10、EHP室外機30)の動作の一例とを時系列的に示すタイムチャートである。図5に示すように、制御装置60がシステムを起動させると、GHP室外機10及びEHP室外機30が同時に初期制御を開始する。その後、制御装置60が四方弁の切換指令を出力すると、例えば各室外機(10,30)の四方弁(16,36)の切換状態が変更される。その後、直ちに、四方弁(16,36)の切換状態が正しいか否かが判断される。
四方弁(16,36)の切換状態が正しいか否かが判断された後に、例えばGHP室外機10の初期制御が完了する。また、GHP室外機10の初期制御が完了したと制御装置60が判断したときから第一閾値時間τ1thが経過してもEHP室外機30の初期制御が完了しない場合、その時点で制御装置60はシステムの起動停止指令を出力する。これにより、両室外機(10,30)の作動が停止し、それに伴い両コンプレッサ(12,32)の作動が停止する。そして、システムの起動停止から第二閾値時間τ2thが経過した時点で、システムが再起動する。すると、例えばGHP室外機10が作動するとともに、再度、初期制御が開始される。ここで、再起動時には既にGHP四方弁16の切換状態の正否が判断されている。従って、再起動後のGHP室外機10の初期制御においては、GHP四方弁16の切換状態の正否の判断は行われない。そして、GHP室外機10の初期制御が完了すると、制御装置60はシステムの起動完了を認識する。なお、図5の例では、制御装置60がシステムの起動完了を認識した時点で、EHP室外機30が作動していない。EHP室外機30は、その後の空調制御処理において、空調負荷の増大に伴いEHP室外機30の作動が必要になったときに、作動する。この場合、EHP室外機30が作動されるとともに、再度、初期制御が開始される。なお、このときには既にEHP四方弁36の切換状態の正否が判断されているので、再度の初期制御においては、EHP四方弁36の切換状態の正否は判断されない。そして、初期制御が完了した後に、EHP室外機30を含めた空調制御処理が実行される。
図5と図7とを比較してわかるように、本実施形態に係る第二起動制御処理によれば、全ての室外機の初期制御が同時に開始された後に、各室外機(10,30)の四方弁(16,36)の切換指令が出力され、その後、室外機(10,30)の初期制御の完了を待つことなく、四方弁(16,36)の切換状態が正しいか否かが判断される。
また、本実施形態に係る第二起動制御処理によれば、例えば先にGHP室外機10の初期制御が完了した場合、完了時点から第一閾値時間τ1thが経過するまでは、GHPコンプレッサ12が最低回転で作動しているが、第一閾値時間τ1thの経過時点でEHP室外機30の初期制御が完了していない場合、その時点でGHP室外機10の作動が停止する。このためGHPコンプレッサ12の作動も停止する。よって、EHP室外機30の初期制御が完了するまでGHPコンプレッサ12が最低回転で作動し続けることによってGHPアキュムレータ18に貯留された液冷媒がオーバーフローすること、及び、GHPアキュムレータ18からオーバーフローした液冷媒がGHPコンプレッサ12に吸入されること、が効果的に防止される。その結果、GHPコンプレッサ12の液圧縮による破損を防止することができる。なお、上記したようにGHP室外機10の初期制御が完了してから第一閾値時間τ1が経過するまでは、GHPコンプレッサ12が最低回転数で作動しているので、第一閾値時間τ1thが長すぎると、GHPアキュムレータ18に貯留された液冷媒がオーバーフローする虞がある。従って、第一閾値時間τ1thは、GHPアキュムレータ18に貯留された液冷媒がオーバーフローしない程度の時間に設定されるのがよい。
このように、本実施形態に係る空気調和装置1が備える制御装置60は、四方弁(16,36)の切換状態の正否の判断を伴う第二起動制御処理を実行し得るように構成される。そして、第二起動制御処理では、四方弁(16,36)の切換状態の正否を判断し、その後、室外機の初期制御が完了したか否かを判断する。また、先に初期制御が完了したGHP室外機10の初期制御完了から所定時間経過してもEHP室外機30の初期制御が完了していない場合、所定時間経過の時点で両室外機(10,30)の作動が停止され、これに伴い両コンプレッサ(12,32)の作動も停止される。このため、先に初期制御が完了したGHP室外機10が備えるGHPコンプレッサ12が、EHP室外機30の初期制御が完了するまで最低回転数で作動し続けることに起因する不具合の発生(液圧縮による破損)を効果的に防止することができる。
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は、上記実施形態に限定されるべきものではない。例えば、上記実施形態においては、GHP室外機10及びEHP室外機30を備える空気調和装置1を示したが、複数のGHP室外機のみ、或いは複数のEHP室外機のみ、を備える空気調和装置1にも本発明を適用することができる。この場合、各室外機に備えられるコンプレッサの能力或いは仕様が異なる場合に、本発明の効果がより発揮される。また、上記実施形態では、各室外機(10,30)に一台のコンプレッサ(12,32)が備えられる例を示したが、各室外機に備えられるコンプレッサの台数は二台以上であってもよい。また、上記実施形態では、二台の室外機を備える空気調和装置を示したが、三台以上の室外機を備える空気調和装置に本発明を適用することもできる。また、上記実施形態では、作動停止処理(S320)にて全ての室外機(10,30)の作動を停止する例について説明したが、少なくとも初期制御が完了している室外機のみ(上記の例ではGHP室外機10のみ)を停止するように、作動停止処理を構成することもできる。
また、上記実施形態では、制御装置60が、GHP室外機10及びEHP室外機30を制御する例について説明したが、複数の制御装置によってこれらの室外機を制御するように構成してもよい。例えば、制御装置60は、制御装置A、制御装置B、制御装置C、の3つに分かれて構成されていて、各制御装置が連係して両室外機(10,30)を制御してもよい。この場合の一例として、制御装置Aは、GHP室外機10に搭載され、各室外機(10,30)に必要な空調能力(例えばコンプレッサ12,32の回転数)、及び各四方弁(16,36)の切換モード(暖房接続状態と冷房接続状態との切換)に関する指示等を制御装置B及び制御装置Cに出力するように構成される。制御装置Bは、GHP室外機10に搭載され、制御装置Aからの指示に基づいてGHP室外機10の各補器類を制御するように構成される。制御装置Cは、EHP室外機30に搭載され、制御装置Aからの指示に基づいてEHP室外機30の各補器類を制御するように構成される。このような構成によれば、上記実施形態にて説明した制御装置60から各四方弁(16,36)への切換指令は、制御装置Aから制御装置B及び制御装置Cを経由して、各四方弁(16,36)に伝達されることになる。このように、本発明は、その趣旨を逸脱しない限りにおいて、変形可能である。