(発明が解決しようとする課題)
特許文献1に記載の空気調和装置によれば、バイパス配管を通る冷媒はアキュムレータのみをバイパスする。従って、圧力損失の低減効果が低い。さらに特許文献1に記載の空気調和装置によれば、アキュムレータ入口配管を流れる冷媒が気液二相冷媒である場合にバイパス開閉弁が閉じるので、このような場合に圧力損失の低減効果を得ることができない。
本発明は、冷媒の圧力損失を大きく低減することができる空気調和装置を提供することを目的とする。
(課題を解決するための手段)
本発明は、吸入口(11a)及び吐出口(11b)を備える圧縮機(11)と、第1ポート(13a)、第2ポート(13b)、第3ポート(13c)、及び第4ポート(13d)を有し、第1ポートが圧縮機の吐出口に第1配管(31)を介して接続された四方弁(13)と、四方弁の第2ポートに第2配管(32)を介して接続された室内熱交換器(22)と、四方弁の第3ポートに第3配管(33)を介して接続された室外熱交換器(14)と、四方弁の第4ポートにアキュムレータ入口配管(35)を介して接続されるとともに、アキュムレータ出口配管(36)を介して圧縮機の吸入口に接続されたアキュムレータ(18)と、室内熱交換器と室外熱交換器とを接続する中間配管(34)と、空調モードが暖房モードであるときに第1ポートと第2ポートが連通するとともに第3ポートと第4ポートが連通し、空調モードが冷房モードであるときに第1ポートと第3ポートが連通するとともに第2ポートと第4ポートが連通するように、四方弁を制御する弁制御装置(40)と、第2配管とアキュムレータ出口配管とを接続するバイパス配管(38)と、を備える、空気調和装置を提供する。
本発明に係る空気調和装置によれば、冷房運転(冷房モードによる運転)時に圧縮機から吐出された冷媒が第1配管を流れ、さらに四方弁を介して第3配管に流れる。第3配管に流れた冷媒は室外熱交換器に流入し、その後、中間配管を経由して室内熱交換器に流入する。室内熱交換器を流通した冷媒は第2配管内に流入する。ここで、第2配管は、バイパス配管によりアキュムレータ出口配管に接続されている。従って、第2配管を流れる冷媒のうちのガス冷媒はバイパス配管を流れてアキュムレータ出口配管に流入し、さらにアキュムレータ出口配管から圧縮機の吸入口に吸入される。一方、第2配管内の液冷媒はアキュムレータに導入される。
このように、第2配管内のガス冷媒がバイパス配管を経由してアキュムレータ出口配管内に流れ、さらにアキュムレータ出口配管から圧縮機の吸入口に吸入されるため、室内熱交換器を流出したガス冷媒は、四方弁及びアキュムレータをバイパスする。このためガス冷媒がアキュムレータのみをバイパスする場合と比較して、冷媒の圧力損失の低減効果が大きい。すなわち、本発明によれば、冷媒の圧力損失を大きく低減することができる空気調和装置を提供することができる。
また、本発明に係る空気調和装置は、バイパス配管に介装されたバイパス開閉弁(61)を備える。そして、弁制御装置は、冷房運転時にバイパス開閉弁が開き、暖房運転時にバイパス開閉弁が閉じるように、バイパス開閉弁の開閉動作を制御する。これによれば、冷房運転時にバイパス開閉弁が開くことにより、冷房運転時に常にガス冷媒がバイパス配管を通って四方弁及びアキュムレータをバイパスする。このため冷房運転時における圧力低減効果を高めることができる。また、暖房運転(暖房モードによる運転)時にバイパス開閉弁が閉じることにより、第2配管内の冷媒が室内熱交換器及び室外熱交換器を通らずにバイパス配管及びアキュムレータ出口配管を経由して圧縮機の吸入口に吸入されることを防止することができる。
また、弁制御装置は、冷房運転の停止時にバイパス開閉弁が開くように、バイパス開閉弁の開閉動作を制御する。冷房運転の停止時、すなわち空調モードが冷房モードにされている状態のまま空調運転が停止されている時に、バイパス開閉弁が開いている場合、第2配管とアキュムレータ出口配管がバイパス配管を介して連通する。また、空調モードが冷房モードであるときは、第2配管が四方弁を介してアキュムレータ入口配管に連通している。従って、冷房運転の停止時にバイパス開閉弁を開くことにより、アキュムレータ入口配管とアキュムレータ出口配管が、バイパス配管及び第2配管を介して連通する。このため、アキュムレータ入口配管に通じるアキュムレータ内の圧力と、圧縮機の吸入口に通じるアキュムレータ出口配管内の圧力とを、同じ圧力にすることができる。つまり、冷房運転の停止時にバイパス開閉弁を開くことにより、アキュムレータ内圧とアキュムレータ出口配管内圧との均圧化を図ることができる。
ここで、空調運転の停止時に本発明のようにアキュムレータ内圧とアキュムレータ出口配管内圧とを同圧にすることによる効果、すなわち均圧化の必要性について説明する。例えば特許文献3の図2に示すように、アキュムレータ出口配管の一部はアキュムレータ内に配設されている。アキュムレータ出口配管のうちアキュムレータ内に配設された部分には、アキュムレータの下方に溜まるオイルを圧縮機に戻すためのオイル戻し孔が設けられている。冷房運転或いは暖房運転が停止された場合、このオイル戻し孔等からアキュムレータ内の冷媒がアキュムレータ出口配管内に進入する。このため空調運転が停止(すなわち圧縮機が停止)されたときには、アキュムレータ内の空間とアキュムレータ出口配管内の空間のうち圧縮機の吸入口に通じる空間との連通は、アキュムレータ出口配管内に進入した液冷媒により遮断される。このとき外気温等によりアキュムレータ内の圧力が上昇すると、アキュムレータ出口配管内に進入した冷媒がアキュムレータ内圧により押圧される。そして、アキュムレータ内圧とアキュムレータ出口配管内圧(アキュムレータ出口配管内の空間のうち圧縮機の吸入口に通じている空間の圧力)との差圧が、アキュムレータ出口配管内に進入した冷媒をアキュムレータ出口配管の最も高い位置にまで押し上げるために必要な圧力を越えた場合に、アキュムレータ出口配管内の冷媒が圧縮機の吸入口の手前にまで流れ込む。こうした圧縮機の吸入口側への液冷媒の流れ込みが起きた場合、次回の圧縮機の駆動時に圧縮機が液圧縮し、それにより圧縮機が破損する虞がある。このような不具合に対し、本発明によれば、冷房運転の停止時にバイパス開閉弁を開くことによりアキュムレータ内圧とアキュムレータ出口配管内圧とが同圧にされる。このため、アキュムレータ内圧とアキュムレータ出口配管内圧との差圧が0になる。よって、アキュムレータ内圧が上昇した場合であってもアキュムレータ内圧とアキュムレータ出口配管内圧との差圧が0であるから、アキュムレータ内の液冷媒がアキュムレータ出口配管を流れて圧縮機の吸入口の手前にまで流れ込むことが効果的に防止されるのである。
また、本発明によれば、上述したように、バイパス配管が運転停止時における均圧管としての機能をも兼ね備えるため、特許文献3に示すような専用の均圧管を設ける必要がない。よって、専用の均圧管を設ける場合と比較して、空気調和装置のコストを低減することができる。また、本発明によれば、特許文献2に示すように、アキュムレータ出口配管のうちアキュムレータ内に配設される部分に均圧孔等を設ける必要もないことから、アキュムレータ出口配管のうちアキュムレータ内に配設される部分の設置スペースを削減することができる。これにより、アキュムレータの小型化を図ることができる。
また、本発明に係る空気調和装置は、第1配管とアキュムレータ入口配管とを接続するホットガスバイパス配管(39)と、ホットガスバイパス配管に介装されたホットガスバイパス開閉弁(62)と、を備えるのがよい。そして、弁制御装置は、暖房運転の停止時にバイパス開閉弁及びホットガスバイパス開閉弁が開くように、バイパス開閉弁及びホットガスバイパス開閉弁の開閉動作を制御するのがよい。
暖房運転の停止時、すなわち空調モードが暖房モードにされている状態のまま空調運転が停止されている時に、バイパス開閉弁及びホットガスバイパス開閉弁が開いた場合、第2配管がバイパス配管を介してアキュムレータ出口配管に連通するとともに、第1配管がホットガスバイパス配管を介してアキュムレータ入口配管と連通する。また、空調モードが暖房モードであるときには、第1配管と第2配管が四方弁を介して連通している。従って、暖房運転の停止時にバイパス開閉弁及びホットガスバイパス開閉弁を開くことにより、アキュムレータ入口配管は、ホットガスバイパス配管、第1配管、第2配管、を介して、アキュムレータ出口配管に連通する。このため、アキュムレータ入口配管に通じるアキュムレータ内の圧力と、圧縮機の吸入口に通じるアキュムレータ出口配管内の圧力とを、同じ圧力にすることができる。つまり、暖房運転の停止時にバイパス開閉弁及びホットガスバイパス開閉弁を開くことにより、アキュムレータ内圧とアキュムレータ出口配管内圧との均圧化を図ることができる。よって、暖房運転の停止時にアキュムレータ内圧が上昇した場合にアキュムレータ内の液冷媒がアキュムレータ出口配管を流れて圧縮機の吸入口の手前にまで流れ込むことを防止することができる。
また、本発明に係る空気調和装置は、圧縮機、四方弁、室外熱交換器、アキュムレータ、第1配管、第2配管、第3配管、アキュムレータ入口配管、アキュムレータ出口配管、中間配管、バイパス配管、及びバイパス開閉弁を有する複数の室外機(10a,10b)と、室内熱交換器を有する複数の室内機(20a,20b,20d,20d)を備え、それぞれの室外機に備えられる第2配管が互いに連通するとともに、それぞれの室外機に備えられる中間配管が互いに連通しているように構成されていてもよい。この場合、弁制御装置は、ある室外機の暖房運転が停止した時であって且つ他の室外機の少なくとも1台が暖房運転中である場合に、外気温度Toutと、停止した室外機に備えられる圧縮機の吸入口側の冷媒圧力に対応する冷媒飽和温度TLとの温度差(Tout−TL)が、予め定められた閾値温度差αよりも高いか否かを判断する判断処理(S23)と、判断処理にて温度差(Tout−TL)が閾値温度差αよりも高いと判断したときに、停止した室外機に備えられるバイパス開閉弁を開くようにバイパス開閉弁を制御する開制御処理(S24)と、判断処理にて温度差(Tout−TL)が閾値温度差α以下であると判断したときに、停止した室外機に備えられるバイパス開閉弁を閉じるようにバイパス開閉弁を制御する閉制御処理(S25)と、を実行するとよい。
これによれば、複数の室外機のうちのある室外機の暖房運転が停止したときであって、且つ他の室外機の少なくとも1台が暖房運転中であるときに、弁制御装置は、暖房運転を停止した室外機(停止室外機)に備えられるバイパス開閉弁を制御する。このとき、弁制御装置は、外気温度Toutと停止室外機の圧縮機の吸入口側における冷媒圧力(吸入圧力)に対応する冷媒飽和温度TLとの温度差(Tout−TL)が閾値温度差αよりも高いときにのみ、バイパス開閉弁を開き、それ以外の場合にはバイパス開閉弁を閉じるように、バイパス開閉弁を制御する。
温度差(Tout−TL)は、アキュムレータ内の圧力と圧縮機の吸入口に通じるアキュムレータ出口配管内の圧力との圧力差を表す。従って、温度差(Tout−TL)が閾値温度差αよりも高い場合、アキュムレータ内圧の上昇によりアキュムレータ内の液冷媒がアキュムレータ出口配管を通って圧縮機の吸入口の手前にまで流れ込む虞がある。よって、このような場合にバイパス開閉弁を開くことにより、他の運転している室外機(運転室外機)に備えられる第2配管から高圧のガス冷媒が停止室外機の第2配管及びバイパス配管を経由してアキュムレータ出口配管に流れる。これによりアキュムレータ出口配管側の圧力が高められる。こうしてアキュムレータ出口配管内圧が高められることにより、アキュムレータ内の液冷媒がアキュムレータ出口配管を流れて圧縮機の吸入口の手前にまで流れ込むことが防止される。また、それ以外の場合に停止室外機のバイパス開閉弁を閉じておくことにより、運転室外機内のガス冷媒が不必要に停止室外機の冷媒回路内を流れることが防止される。この場合において、閾値温度差αは任意に定めることができるが、アキュムレータ内の液冷媒がアキュムレータ出口配管を流れて圧縮機の吸入口の手前にまで流れ込むような温度差よりも低い温度差として予め定められているとよい。
また、バイパス配管は、第2配管に直交する方向から第2配管に接続されているとよい。第2配管内を流れる冷媒が気液二相冷媒である場合、バイパス配管内に液冷媒が進入する虞がある。バイパス配管内に多量の液冷媒が進入すると、バイパス配管及びアキュムレータ出口配管を経由して液冷媒が圧縮機の吸入口に吸入される。圧縮機の吸入口に液冷媒が吸入された場合、圧縮機が液圧縮するため圧縮機が破損する虞がある。これに対し、バイパス配管が第2配管に直交する方向から第2配管に接続されていれば、第2配管内からバイパス配管内への液冷媒の進入量を低減することができる。特に、第2配管内の気液二相冷媒の流速が速い場合、第2配管内の空間のうち中心部分の空間を液冷媒が流れ、周壁付近の空間をガス冷媒が流れる。このとき第2配管に直角にバイパス配管を接続することにより、第2配管内の周壁付近を流れるガス冷媒が優先的にバイパス配管に送り込まれる。その結果、第2配管内からバイパス配管内への液冷媒の進入量を低減することができる。また、このようにバイパス配管を第2配管に接続することにより、第2配管内の冷媒が気液二相冷媒である場合でもバイパス開閉弁を閉じる必要がないため、圧力損失を低減することができる運転領域を従来よりも大きくすることができる。
また、バイパス配管は、第2配管の中心位置と高さ方向において同じ位置または中心位置よりも高さ方向において上側の位置にて第2配管に接続されているのがよい。第2配管内を流れる冷媒が気液二相冷媒である場合、上述したようにバイパス配管内に液冷媒が進入する虞があるが、バイパス配管が第2配管の中心位置と同じ高さ位置または中心位置よりも上側の高さ位置にて第2配管に接続されていれば、第2配管内からバイパス配管内への液冷媒の進入量を低減することができる。特に、第2配管内の気液二相冷媒の流速が遅い場合、第2配管内の空間のうち下側の空間を液冷媒が流れ、上側の空間をガス冷媒が流れる。従って、第2配管の中心と同じ高さ位置またはそれよりも上側の高さ位置にてバイパス配管が第2配管に接続されることにより、第2配管内の空間の上側部分を流れるガス冷媒が優先的にバイパス配管に送り込まれる。その結果、第2配管内からバイパス配管内への液冷媒の進入量を低減することができる。また、このようにバイパス配管を第2配管に接続することにより、第2配管内の冷媒が気液二相冷媒である場合でもバイパス開閉弁を閉じる必要がないため、圧力損失を低減することができる運転領域を従来よりも大きくすることができる。
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。図1は、本実施形態に係る空気調和装置の概略構成を示す図である。図1に示すように、本実施形態に係る空気調和装置1は、複数の室外機10a,10bと、複数の室内機20a,20b,20c,20dとを備える。これらの室外機10a,10b及び室内機20a,20b,20c,20dが、冷媒配管30により接続される。
冷媒配管30は、冷媒液配管30a及び冷媒ガス配管30bを有する。冷媒液配管30a内には、凝縮された液冷媒或いは気液二相冷媒が流れ、冷媒ガス配管30b内には、蒸発されたガス冷媒或いは気液二相冷媒が流れる。
冷媒液配管30aと冷媒ガス配管30bは、それぞれの室外機10a,10b及びそれぞれの室内機20a,20b,20c,20d内にて連通する。さらに、それぞれの室外機10a,10bに設けられる冷媒液配管30a及びそれぞれの室内機20a,20b,20c,20dに設けられる冷媒液配管30aは、図1に示すように連通しており、それぞれの室外機10a,10bに設けられる冷媒ガス配管30b及びそれぞれの室内機20a,20b,20c,20dに設けられる冷媒ガス配管30bは、図1に示すように連通している。従って、複数の室外機10a,10b及び複数の室内機20a,20b,20c,20dは、同一系統の冷媒配管30によって連結される。そして、運転中の室外機及び運転中の室内機並びにこれらを接続する冷媒配管により冷媒回路が構成され、冷媒回路内に冷媒が流れることにより、空調が実施される。
冷媒液配管30aは、後述する中間配管34であり、冷媒ガス配管30bは、後述する第2配管32である。従って、それぞれの室外機に備えられる第2配管32が互いに連通しているとともに、それぞれの室外機に備えられる中間配管34が互いに連通している。
図2は、空気調和装置1に備えられる室外機10a,10bの内部構成及び室内機20a,20b,20c,20dの内部構成を示す図である。図2に示すように、室外機10a,10bは、それぞれ、圧縮機11と、オイルセパレータ12と、四方弁13と、室外熱交換器14と、室外側電子膨張弁15と、サブ熱交換器16と、過冷却コイル17と、アキュムレータ18とを備える。また、室内機20a,20b,20c,20dは、それぞれ、室内側電子膨張弁21と、室内熱交換器22とを備える。これらの構成要素が、冷媒配管としての第1配管31、第2配管32、第3配管33、中間配管34、アキュムレータ入口配管35及び、アキュムレータ出口配管36により接続される。
圧縮機11は例えばガスエンジン等の動力源に接続されており、動力源からの駆動力を受けて作動する。圧縮機11は吸入口11a及び吐出口11bを有する。圧縮機11は、吸入口11aから冷媒ガスを吸入し、内部で冷媒ガスを圧縮し、圧縮した冷媒ガスを吐出口11bから吐出するように作動する。なお、図2には2台の圧縮機が示されているが、1つの室外機に備えられる圧縮機の個数は1個でもよいし、3個以上でもよい。
圧縮機11の吐出口11bは第1配管31の一端に接続される。第1配管31の途中にオイルセパレータ12が介装される。オイルセパレータ12は、圧縮機11の吐出口11bから吐出されたオイルを回収する。回収されたオイルは圧縮機11の吸入口11a側に戻される。
第1配管31の他端に四方弁13が接続される。四方弁13は、第1ポート13a、第2ポート13b、第3ポート13c、及び、第4ポート13dを有する。圧縮機11の吐出口11bは、四方弁13の第1ポート13aに第1配管31を介して接続される。四方弁13の第2ポート13bには第2配管32を介して室内機側に設置された室内熱交換器22が接続される。四方弁13の第3ポート13cには第3配管33を介して室外熱交換器14が接続される。そして、四方弁13の第4ポート13dには、アキュムレータ入口配管35を介してアキュムレータ18が接続される。
四方弁13は、第1ポート13aが第2ポート13bに連通するとともに第3ポート13cが第4ポート13dに連通する暖房時切換状態と、第1ポート13aが第3ポート13cに連通するとともに第2ポート13bが第4ポート13dに連通する冷房時切換状態とを、選択的に実現することができるように構成される。
第3配管33を介して四方弁13の第3ポート13cに接続された室外熱交換器14は、その内部を流通する冷媒と外気とを熱交換させる。室外熱交換器14は中間配管34により室内熱交換器22に接続される。室内熱交換器22は、その内部を流通する冷媒と室内空気とを熱交換させる。また、中間配管34の途中には、過冷却コイル17が介装される。過冷却コイル17は、内部を通る冷媒を過冷却させる。
中間配管34の位置Aから位置Bまでの間の部分は、2つの配管(配管L1、配管L2)に分岐している。配管L1には一方向弁19が介装され、配管L2には室外側電子膨張弁15が介装される。冷房運転時には冷媒は配管L1を流れ、暖房運転時には冷媒は配管L2を流れる。室外側電子膨張弁15は、そこを流れる冷媒を膨張させる。また、室外側電子膨張弁15は開度調整可能な流量調整弁でもあり、中間配管34を流れる冷媒の流量を調整することができる。
アキュムレータ入口配管35を介して四方弁13の第4ポート13dに接続されたアキュムレータ18は、さらにアキュムレータ出口配管36を介して圧縮機11の吸入口11aに接続される。このアキュムレータ18は、アキュムレータ入口配管35側から冷媒を導入し、導入した冷媒を気液分離する。アキュムレータ18内で液冷媒から分離されたガス冷媒が、アキュムレータ出口配管36を経由して圧縮機11の吸入口11aに供給される。
また、アキュムレータ入口配管35と中間配管34が分岐配管37により接続される。分岐配管37にサブ熱交換器16が介装される。分岐配管37を流れる冷媒は、サブ熱交換器16に入り、サブ熱交換器16にて、例えば圧縮機11の動力源たるガスエンジンを冷却した冷却水と熱交換する。
また、第2配管32とアキュムレータ出口配管36がバイパス配管38により接続される。このバイパス配管38にはバイパス開閉弁61が介装される。さらに、第1配管31とアキュムレータ入口配管35がホットガスバイパス配管39により接続される。このホットガスバイパス配管39にホットガスバイパス開閉弁62が介装される。
また、本実施形態に係る空気調和装置1は、制御装置40を備える。制御装置40は、CPU,ROM,RAM等からなるマイクロコンピュータを主要構成とし、少なくとも、圧縮機11の駆動、四方弁13の切換動作、バイパス開閉弁61の開閉動作、ホットガスバイパス開閉弁62の開閉動作を制御する。
また、冷媒回路の各所に温度センサ及び圧力センサが取り付けられる。これらの各種センサのうち、吐出温度センサ51は第1配管31に取り付けられており、圧縮機11から吐出された冷媒の温度(吐出温度)を検出する。吸入温度センサ52はアキュムレータ出口配管36に取り付けられており、圧縮機11に吸入される冷媒の温度(吸入温度)を検出する。また、液管温度センサ53は、中間配管34に取り付けられており、中間配管34の温度(液管温度)を検出する。また、吸入圧力センサ54はアキュムレータ出口配管36に取り付けられており、圧縮機11の吸入口11aに通じるアキュムレータ出口配管36内の圧力、すなわち圧縮機11の吸入口11a側の冷媒圧力(吸入圧力)PLを検出する。また、外気温度センサ55は、室外機のハウジングに取り付けられており、外気温度Toutを検出する。各センサにより検出された温度情報或いは圧力情報は、制御装置40に入力される。
次に、上記構成の空気調和装置1の空調動作について説明する。本実施形態に係る空気調和装置1は、空調モードが暖房モードであるか冷房モードであるかをユーザがリモコンなどを操作することにより設定することができるようにされている。そして、設定された空調モードに従って、室外機が空調運転する。この場合、各室外機は必要な空調能力に応じて個別に運転を開始し且つ個別に運転を停止するが、運転中及び停止中において、すべての室外機が同一の空調モードにされる。
また、空気調和装置1の空調モードが暖房モードであるときに、四方弁13の切換状態が暖房時切換状態になるように、制御装置40が四方弁13の切換動作を制御する。また、空気調和装置1の空調モードが冷房モードであるときに、四方弁13の切換状態が冷房時切換状態になるように、制御装置40が四方弁13の切換動作を制御する。なお、図2において、冷房運転(冷房モードによる運転)時における冷媒の流れが実線の矢印により示され、暖房運転(暖房モードによる運転)時における冷媒の流れが点線の矢印により示される。
まず、暖房運転について説明する。ガスエンジンなどの動力源の駆動により圧縮機11が作動すると、圧縮機11は、アキュムレータ出口配管36内の低圧ガス冷媒を吸入口11aから吸入するとともに吸入した低圧ガス冷媒を圧縮して高温高圧ガス冷媒を生成する。そして、生成した高温高圧ガス冷媒を吐出口11bから吐出する。吐出口11bから吐出された高温高圧ガス冷媒は第1配管31を流れる。
第1配管31の途中にオイルセパレータ12が改装されている。このオイルセパレータ12によって、オイルが回収される。また、第1配管31の途中にはホットガスバイパス配管39が接続されている。ホットガスバイパス配管39に介装されたホットガスバイパス開閉弁62は、空気調和装置1の運転中に、例えば冷媒回路内の冷媒圧力が高すぎるようなときに開くように、制御装置40によりその開閉動作が制御される。ホットガスバイパス開閉弁62が開いている場合、第1配管31内の一部のガス冷媒はホットガスバイパス配管39を流れてアキュムレータ入口配管35に至り、さらにアキュムレータ入口配管35からアキュムレータ18に導入される。ホットガスバイパス開閉弁62が閉じている場合、第1配管31内のガス冷媒は四方弁13の第1ポート13aに入る。
四方弁13は、空気調和装置1の空調モードが暖房モードであるときには暖房時切換状態になるように制御装置40によりその切換動作が制御されているから、暖房運転時には、四方弁13の第1ポート13aが第2ポート13bに連通する。そのため第1配管31から四方弁13の第1ポート13aに入った高温高圧ガス冷媒は、第2ポート13bから四方弁13を流出して第2配管32に流れる。
第2配管32の途中にはバイパス配管38が接続されている。バイパス配管38に改装されたバイパス開閉弁61は、暖房運転時に閉じるように制御装置40によりその開閉動作が制御される。従って、暖房運転時には、第2配管32内の冷媒は、バイパス配管38を流れることなく室内機側の室内熱交換器22に流入する。室内熱交換器22に流入した高温高圧ガス冷媒は室内熱交換器22内を流通する間に室内に熱を吐き出して凝縮する。つまり、暖房運転時には室内熱交換器22が凝縮器として機能する。このとき高温高圧ガス冷媒から吐き出された熱によって室内空気が暖められて、室内が暖房される。
室内空気に熱を吐き出して凝縮した冷媒は一部液化し、室内熱交換器22から中間配管34に流出する。そして、中間配管34の途中に介装された室内側電子膨張弁21で膨張することにより中圧化される。その後、室外機側の過冷却コイル17を通過することにより過冷却される。過冷却コイル17を流出した冷媒の一部は、中間配管34に接続されている分岐配管37を流れる。そして、分岐配管37に設けられているサブ熱交換器16に入り、このサブ熱交換器16によって、例えばエンジン冷却水と熱交換する。サブ熱交換器16で熱交換した冷媒は、分岐配管37からアキュムレータ入口配管35を流れてアキュムレータ18に導入される。
一方、中間配管34から分岐配管37に流れなかった冷媒は、配管L2を流れ、配管L2に介装された室外側電子膨張弁15を通る。室外側電子膨張弁15を通ることにより冷媒が低圧化される。室外側電子膨張弁15を通った冷媒は、室外熱交換器14に流入する。室外熱交換器14に流入した冷媒は室外熱交換器14内を流通する間に外気の熱を奪って蒸発する。つまり、暖房運転時には室外熱交換器14が蒸発器として機能する。
外気の熱を奪って蒸発した冷媒は一部気化して室外熱交換器14から第3配管33に流出し、その後、四方弁13の第3ポート13cに入る。空調モードが暖房モードであるときには、四方弁13の第3ポート13cが第4ポート13dに連通しているから、第3配管33から四方弁13の第3ポート13cに入った冷媒は第4ポート13dから四方弁13を流出してアキュムレータ入口配管35を流れる。アキュムレータ入口配管35を流れた冷媒はアキュムレータ18に導入される。アキュムレータ18では導入された冷媒が気液分離され、液冷媒から分離された低温低圧のガス冷媒がアキュムレータ出口配管36に流出する。そして、アキュムレータ出口配管36内のガス冷媒が圧縮機11の吸入口11aに帰還する。このような冷媒の循環サイクルが繰り返されることにより、室内暖房が継続される。
次に、冷房運転について説明する。圧縮機11が作動すると、圧縮機11の吐出口11bから第1配管31に高温高圧ガス冷媒が吐出される。高温高圧ガス冷媒は第1配管31を流れ、オイルセパレータ12を経由して四方弁13の第1ポート13aに入る。
四方弁13は、空気調和装置の空調モードが冷房モードであるときには冷房時切換状態になるように制御装置40によりその切換動作が制御されているから、冷房運転時には、四方弁13の第1ポート13aが第3ポート13cに連通する。そのため第1配管31から四方弁13の第1ポート13aに入った高温高圧ガス冷媒は、第3ポート13cから四方弁13を流出して第3配管33に流れる。第3配管33に流れた高温高圧ガス冷媒は室外熱交換器14に流入する。室外熱交換器14に流入した冷媒は室外熱交換器14内を流通する間に外気に熱を吐き出して凝縮する。つまり、冷房運転時には室外熱交換器14が凝縮器として機能する。
外気に熱を吐き出して凝縮した冷媒は一部液化し、室外熱交換器14から中間配管34に流出する。中間配管34に流出した液冷媒(或いは気液二相冷媒)は、配管L1を通過する。その後、一部の冷媒が分岐配管37を流れ、分岐配管37に設けられているサブ熱交換器16にて熱交換する。サブ熱交換器16で熱交換した冷媒は、分岐配管37からアキュムレータ入口配管35を流れてアキュムレータ18に導入される。
分岐配管37を流れなかった冷媒は、中間配管34に介装されている過冷却コイル17を通過し、その後、室内機側の室内側電子膨張弁21を通る。この室内側電子膨張弁21で冷媒が膨張することにより蒸発しやすいように低圧化される。その後、冷媒は室内熱交換器22に流入する。室内熱交換器22に流入した冷媒は室内熱交換器22内を流通する間に室内空気の熱を奪って蒸発する。つまり、室内熱交換器22は冷房運転時に蒸発器として機能する。このとき冷媒が室内空気の熱を奪うことによって室内空気が冷やされて、室内が冷房される。
室内空気の熱を奪って蒸発した冷媒は一部気化し、室内熱交換器22から第2配管32に流出する。ここで、上述したように、第2配管32は、バイパス配管38によりアキュムレータ出口配管36に接続されている。また、冷房運転時には、制御装置40は、バイパス配管38に介装されたバイパス開閉弁61が開くように、バイパス開閉弁61の開閉動作を制御する。従って、第2配管32内の冷媒のうち主にガス冷媒が、バイパス配管38を経由してアキュムレータ出口配管36に流入する。一方、第2配管32内の液冷媒は、基本的にはバイパス配管38を通らずに、四方弁13に向かう。そして、四方弁13の第2ポート13bに入る。空調モードが冷房モードであるときには、四方弁13の第2ポート13bが第4ポート13dに連通しているから、第2配管32から四方弁13の第2ポート13bに入った冷媒は、第4ポート13dから四方弁13を流出してアキュムレータ入口配管35に流入する。アキュムレータ入口配管35を流れた冷媒はアキュムレータ18に導入される。アキュムレータ18では導入された冷媒が気液分離され、分離された低温低圧のガス冷媒がアキュムレータ出口配管36に流出する。そして、アキュムレータ18からアキュムレータ出口配管36内に流入したガス冷媒、及び、バイパス配管38を経由してアキュムレータ出口配管36内に流入したガス冷媒が、圧縮機11の吸入口11aに帰還する。このような冷媒の循環サイクルが繰り返されることにより、室内冷房が継続される。
上記の説明からわかるように、本実施形態においては、冷房運転時にバイパス開閉弁61が開く。このため室内熱交換器22(蒸発器)を流出して第2配管32内を流れる冷媒のうちのガス冷媒は、バイパス配管38を流れることにより四方弁13及びアキュムレータ18をバイパスする。このようにしてガス冷媒が四方弁13及びアキュムレータ18をバイパスすることにより、これらの構成要素を通過する際に生じる圧力損失を低減することができる。
また、本実施形態においては、冷房運転時に室内熱交換器22(蒸発器)を流出して第2配管32に流入した冷媒のうち、液冷媒がバイパス配管38に進入し難くなるような工夫がなされている。図3は、室外機内に配設された複数の配管の配設状態を斜め上方から見た模式図である。図3の部分Aにて示すように、バイパス配管38は、第2配管32に直交する方向から第2配管32に接続している。すなわち、第2配管32内を流れる冷媒の流れ方向に対して直角にバイパス配管38が第2配管32に接続されている。
図4は、第2配管32とバイパス配管38との接続状態を、第2配管32の軸方向から見た概略断面図である。図4に示すように、バイパス配管38は、第2配管32の中心位置Oの高さと同じ高さ位置にて第2配管32に接続されている。さらに、バイパス配管38は、第2配管32との接続位置から水平方向(高さ方向に垂直な方向)に延びている。
第2配管32内を流れる冷媒が気液二相である場合、第2配管32に直交する方向からバイパス配管38を第2配管32に接続することにより、第2配管32内の液冷媒がバイパス配管38に進入することをできるだけ回避することができる。特に、第2配管32内の冷媒の流れが速い場合、第2配管32内の空間のうち、中心付近の空間を液冷媒が流れ、周壁付近の空間をガス冷媒が流れる。このような流れに対して鋭角状にバイパス配管38を接続した場合、第2配管32からバイパス配管38に入る冷媒の流れ方向はあまり変化しない。それ故に、第2配管32内の液冷媒がバイパス配管38内に進入しやすい。これに対し、第2配管32に対して直交するようにバイパス配管38を接続した場合、第2配管32内の冷媒は、バイパス配管38に進入するために大きく流れ方向を変化させなければならない。バイパス配管38の中央付近を流れる液冷媒は、このような大きな流れの変化に追従することができないため、液冷媒はバイパス配管38内に流れることはできない。このような理由によって、第2配管32内の冷媒が気液二相であっても、バイパス配管38にはガス冷媒が優先的に送り込まれる。よって、バイパス配管38内への液冷媒の進入量を低減することができる。
また、第2配管32内を流れる冷媒が気液二相である場合、第2配管32の中心位置Oと同じ高さ位置、または中心位置Oよりも上側の高さ位置にて、バイパス配管38を第2配管32に接続することにより、第2配管32内の液冷媒がバイパス配管38に進入することをできるだけ回避することができる。特に、第2配管32内の冷媒の流れが遅い場合、第2配管32内の空間のうち、下側の空間を液冷媒が流れ、上側の空間をガス冷媒が流れる。従って、第2配管32の中心位置Oと同じ高さ位置または中心位置Oよりも上側の高さ位置にてバイパス配管38を第2配管32に接続することにより、第2配管32の上側を流れるガス冷媒が優先的にバイパス配管38に送り込まれる。よって、バイパス配管38内への液冷媒の進入量を低減することができる。
また、図2に示すように、制御装置40は、停止処理部41を備える。この停止処理部41は、複数の室外機のうちのいずれかの室外機の運転が停止されたときに、その室外機の停止処理を実行する。以下、停止処理が実行される室外機を停止室外機と呼ぶ。図5は、停止処理部41が実行する停止処理ルーチンを示すフローチャートである。このルーチンが起動すると、停止処理部41は、まず、図5のステップ(以下、ステップ番号をSと略記する)1にて、全ての室外機の運転が停止しているか否かを判断する。
全ての室外機の運転が停止している場合(S1:Yes)、すなわち単独で運転していた室外機が停止したような状況である場合、停止処理部41はS10にて均圧処理を実行する(S10)。その後、このルーチンを終了する。一方、他の室外機のうちの少なくとも1台が運転中である場合(S1:No)、停止処理部41は、S2に処理を進め、空気調和装置1の空調モードが冷房モードであるか否かを判断する。空調モードが冷房モードである場合(S2:Yes)、停止処理部はS10にて均圧処理を実行する。その後、このルーチンを終了する。一方、空調モードが冷房モードでない場合(S2:No)、すなわち空調モードが暖房モードである場合、停止処理部41はS20にて高圧ガス冷媒導入処理を実行する。その後、このルーチンを終了する。
以上の処理からわかるように、ある室外機の運転が停止することによって全ての室外機の運転が停止する場合(単独運転していた室外機の運転が停止した場合)、及び、ある室外機の運転が停止したときに他の室外機が運転中であって且つ空気調和装置1の空調モードが冷房モードである場合、停止処理部41は停止室外機に対して均圧処理を実行する。一方、ある室外機の運転が停止したときに他の室外機が運転中であって且つ空気調和装置1の空調モードが暖房モードである場合、停止処理部41は停止室外機に対して高圧ガス冷媒導入処理を実行する。
図6は、停止処理部41が図5のS10にて実行する均圧処理ルーチンを示すフローチャートである。この均圧処理ルーチンによれば、停止処理部41は、まず図6のS11にて、停止室外機のバイパス開閉弁61に開作動信号を出力する。これにより停止室外機のバイパス開閉弁61が開く。なお、バイパス開閉弁61が既に開いている場合には、バイパス開閉弁61はその状態を維持する。次いで、停止処理部41は、空気調和装置1の空調モードが冷房モードであるか否かを判断する(S12)。冷房モードである場合(S12:Yes)、停止処理部41は均圧処理ルーチンを終了する。一方、冷房モードでない場合(S12:No)、すなわち空気調和装置1の空調モードが暖房モードである場合、停止処理部41はS13に処理を進め、停止室外機のホットガスバイパス開閉弁62に開作動信号を出力する。これにより停止室外機のホットガスバイパス開閉弁62が開く。その後、停止処理部41は均圧処理ルーチンを終了する。
上記した均圧処理からわかるように、停止処理部41は、冷房運転の停止時、すなわち空調モードが冷房モードにされている状態のまま空調運転が停止された時に、停止室外機のバイパス開閉弁61が開くように、停止室外機のバイパス開閉弁61の開閉動作を制御する。これにより、アキュムレータ出口配管36がバイパス配管38を介して第2配管32に連通する。また、冷房モードであるときは、四方弁13の第2ポート13bと第4ポート13bが連通しているから、第2ポート13bに接続された第2配管32は、第4ポート13dに接続されたアキュムレータ入口配管35に連通する。つまり、空調モードが冷房モードであるときにバイパス開閉弁61が開くことにより、アキュムレータ入口配管35は、第2配管32、バイパス配管38を介してアキュムレータ出口配管36に連通する。このため、アキュムレータ入口配管35に通じるアキュムレータ18内の圧力と圧縮機11の吸入口11aに通じるアキュムレータ出口配管36内の圧力が等しくされる。つまり、アキュムレータ18の入口側と出口側が均圧される。
空調モードが冷房モードであるときにアキュムレータ18の入口側と出口側が均圧された場合、冷房運転の停止後に外気温の影響によってアキュムレータ内圧が上昇しても、それとともにアキュムレータ出口配管内圧も上昇する。つまり、アキュムレータ内圧が上昇しても、アキュムレータ内圧とアキュムレータ出口配管内圧との差圧は0である。よって、アキュムレータ内圧の上昇によってアキュムレータ18内の液冷媒がアキュムレータ出口配管36を経由して圧縮機11の吸入口11aの手間にまで流れ込むことが防止される。
また、上記した均圧処理からわかるように、停止処理部41は、暖房運転の停止時、すなわち空調モードが暖房モードにされている状態のまま空調運転が停止された時に、停止室外機のバイパス開閉弁61及びホットガスバイパス開閉弁62が開くように、停止室外機のバイパス開閉弁61及びホットガスバイパス開閉弁62の開閉動作を制御する。バイパス開閉弁61が開くことによって、アキュムレータ出口配管36がバイパス配管38を介して第2配管32に連通する。また、ホットガスバイパス開閉弁62が開くことによって、第1配管31がホットガスバイパス配管39を介してアキュムレータ入口配管35に連通する。また、空調モードが暖房モードであるときには、四方弁13の第1ポート13aと第2ポート13bが連通しているから、第1ポート13aに接続された第1配管31と第2ポート13bに接続された第2配管32が連通する。従って、バイパス開閉弁61及びホットガスバイパス開閉弁62が開いたときは、アキュムレータ入口配管35は、ホットガスバイパス配管39、第1配管31、第2配管32、バイパス配管38を介して、アキュムレータ出口配管36に連通する。このため、アキュムレータ内圧とアキュムレータ出口配管内圧が等しくされる。よって、暖房運転の停止時に外気温の影響等によってアキュムレータ内圧が上昇しても、それとともにアキュムレータ出口配管内圧も上昇する。よって、アキュムレータ内圧の上昇によってアキュムレータ内の液冷媒がアキュムレータ出口配管を経由して圧縮機の吸入口の手間にまで流れ込むことが防止される。
因みに、空気調和装置1の空調モードが暖房モードであるときに停止処理部41が均圧処理を実行する場合は、全ての室外機が停止している場合である。つまり、単独で暖房運転していた室外機の暖房運転が停止されたときに、停止処理部41が均圧処理を実行して、停止室外機のバイパス開閉弁61及びホットガスバイパス開閉弁62を開く。ここで、もし仮に、他の室外機が暖房運転中であるときにある室外機の暖房運転が停止したような状況において、停止処理部41が停止室外機に対して均圧処理を実行した場合、運転中の室外機(運転室外機)内の冷媒が停止室外機の第2配管32に導入されて、停止室外機の冷媒回路を循環することになる。停止室外機の冷媒回路に運転室外機の冷媒回路内の冷媒が循環した場合、運転室外機の能力が低下する。これを防止するために、ある室外機の暖房運転が停止した時であって且つ他の室外機が運転中であるときは、停止処理部41は、均圧処理ではなく、高圧冷媒ガス導入処理を実行する。
図7は、停止処理部41が図4のS20にて実行する高圧ガス導入処理ルーチンを示すフローチャートである。この高圧ガス導入処理ルーチンによれば、停止処理部41は、図7のS21にて、吸入圧力センサ54により検出した圧力(吸入圧力PL)を入力する。次いで、吸入圧力PLに対応する冷媒飽和温度、すなわち、冷媒の圧力が吸入圧力PLであるときの冷媒飽和温度TLを演算する(S22)。続いて、外気温度センサ55により検出された外気温度ToutとS22にて演算した冷媒飽和温度TLとの温度差(Tout−TL)が、予め定められる閾値温度差αよりも高いか否かを判断する(S23:判断処理)。
ここで、アキュムレータ18内の圧力は外気温度Toutに依存する。また、圧縮機11の吸入口11aに通じるアキュムレータ出口配管36内の圧力は、吸入圧力PLに等しいため、アキュムレータ出口配管36内の圧力はS22にて演算した冷媒飽和温度TLに依存する。従って、S23の判断処理は、アキュムレータ内圧とアキュムレータ出口配管内圧との差圧が予め定められた閾値圧力差よりも高いか否かを判断することと等しい。
上記閾値温度差αは任意に定めることができる。ここで、上記閾値温度差αを設定するに当たり、外気温度と吸入圧力に対応する冷媒飽和温度との温度差がどの程度まで大きくなると、アキュムレータ18内の液冷媒がアキュムレータ出口配管36を流れて圧縮機11の吸入口11aの手前にまで流れ込むかを調査しておくとよい。そして、閾値温度差αを、調査により得られた温度差よりも僅かに小さい温度に設定するとよい。
S23にて、温度差(Tout−TL)が閾値温度差αよりも高いと判断した場合(S23:Yes)、停止処理部41はバイパス開閉弁61に開作動信号を出力する(S24:開制御処理)。これによりバイパス開閉弁61が開く。なお、既にバイパス開閉弁61が開いている場合は、バイパス開閉弁61はその状態を維持する。その後、停止処理部はS26に処理を進める。一方、S23にて、温度差(Tout−TL)が閾値温度差α以下であると判断した場合(S23:No)、停止処理部41はバイパス開閉弁61に閉作動信号を出力する(S25:閉制御処理)。これによりバイパス開閉弁61が閉じる。なお、既にバイパス開閉弁61が閉じている場合は、バイパス開閉弁61はその状態を維持する。その後、停止処理部41はS26に処理を進める。
S26では、停止処理部41は、停止室外機に始動指令が入力されたか否かを判断する。始動指令信号が入力されていない場合(S26:No)、停止処理部41はS21に処理を戻す。一方、始動指令信号が入力された場合(S26:Yes)、停止処理部41はこのルーチンを終了する。
温度差(Tout−TL)が閾値温度差αよりも高いときは、アキュムレータ内圧がアキュムレータ出口配管内圧(圧縮機11の吸入口11a側の圧力)よりもかなり高い。そのため、近い将来に、アキュムレータ18内の液冷媒がアキュムレータ出口配管36を通って圧縮機11の吸入口11aの手前まで流れ込む虞がある。本制御では、このような虞があるときに、バイパス開閉弁61が開くように、停止処理部41がバイパス開閉弁61の開閉動作を制御する。バイパス開閉弁61が開いた場合、他の運転室外機の冷媒回路中の高圧のガス冷媒が停止室外機の第2配管32に導入される。第2配管32に導入された高圧のガス冷媒は、第2配管32からバイパス配管38を経由してアキュムレータ出口配管36に流入する。こうしてアキュムレータ出口配管36内に高圧のガス冷媒が流入することによって、アキュムレータ出口配管内圧が高められる。このため、アキュムレータ内圧上昇によりアキュムレータ18内の液冷媒がアキュムレータ出口配管36を流れて圧縮機11の吸入口11aの手前まで流れ込むことが防止される。
また、他の運転室外機から高圧のガス冷媒が停止室外機のアキュムレータ出口配管36に供給されてアキュムレータ出口配管内圧が上昇した場合、吸入圧力センサ54により検出される吸入圧力PLが上昇する。従って、吸入圧力PLに基づいて演算される冷媒飽和温度TLも上昇する。冷媒飽和温度TLが上昇してS23の判定結果がYesからNoに切り替わった場合、バイパス開閉弁61が閉じる。このように、必要なときにだけバイパス開閉弁61を開き、必要でないときにはバイパス開閉弁61を閉じるように、停止処理部41がバイパス開閉弁61の開閉動作を制御する。
このように、暖房運転の停止時において、他の室外機が暖房運転中であるときは、停止処理部41は、必要なときだけ、すなわちアキュムレータ18の内圧上昇に伴ってアキュムレータ18内の液冷媒がアキュムレータ出口配管36を流れて圧縮機11の吸入口11aの手前にまで流れ込む虞が高いときだけ、停止室外機のバイパス開閉弁61が開くようにバイパス開閉弁61の開閉動作を制御する。よって、アキュムレータ内圧の上昇に伴う液冷媒の圧縮機吸入側への流れ込みを効果的に防止することができる。
以上の説明のように、本実施形態に係る空気調和装置1は、吸入口11a及び吐出口11bを備える圧縮機11と、第1ポート13a、第2ポート13b、第3ポート13c、及び第4ポート13dを有し、第1ポート13aが圧縮機11の吐出口11bに第1配管31を介して接続された四方弁13と、四方弁13の第2ポート13bに第2配管32を介して接続された室内熱交換器22と、四方弁13の第3ポート13cに第3配管33を介して接続された室外熱交換器14と、四方弁13の第4ポート13dにアキュムレータ入口配管35を介して接続されるとともに、アキュムレータ出口配管36を介して圧縮機11の吸入口11aに接続されたアキュムレータ18と、室内熱交換器22と室外熱交換器14とを接続する中間配管34と、空調モードが暖房モードであるときに第1ポート13aと第2ポート13bが連通するとともに第3ポート13cと第4ポート13dが連通し、空調モードが冷房モードであるときに第1ポート13aと第3ポート13cが連通するとともに第2ポート13bと第4ポート13dが連通するように、四方弁13を制御する制御装置40と、第2配管32とアキュムレータ出口配管36とを接続するバイパス配管38と、を備える。
本実施形態に係る空気調和装置1によれば、冷房運転時に第2配管32内のガス冷媒が、バイパス配管38を経由してアキュムレータ出口配管36内に流れることにより四方弁13及びアキュムレータ18をバイパスする。このためガス冷媒がアキュムレータのみをバイパスする場合と比較して、冷媒の圧力損失の低減効果が大きい。すなわち、本実施形態によれば、冷媒の圧力損失を大きく低減することができる空気調和装置を提供することができる。
また、本実施形態に係る空気調和装置1は、バイパス配管38に介装されたバイパス開閉弁61を備える。そして、制御装置40は、冷房運転時にバイパス開閉弁61が開き、暖房運転時にバイパス開閉弁61が閉じるように、バイパス開閉弁61の開閉動作を制御する。これによれば、冷房運転時にバイパス開閉弁61が開くことにより、冷房運転時に常にガス冷媒がバイパス配管38を通って四方弁13及びアキュムレータ18をバイパスする。このため冷房運転時における圧力低減効果を高めることができる。また、暖房運転時にバイパス開閉弁61が閉じることにより、第2配管32内の冷媒が室内熱交換器22および室外熱交換器14を通らずにバイパス配管38及びアキュムレータ出口配管36を経由して圧縮機11の吸入口11aに吸入されることを防止することができる。
また、制御装置40の停止処理部41は、冷房運転の停止時にバイパス開閉弁61が開くように、バイパス開閉弁61の開閉動作を制御する。冷房運転の停止時、すなわち空調モードが冷房モードにされている状態のまま空調運転が停止されている時に、バイパス開閉弁61が開くことにより、アキュムレータ入口配管35とアキュムレータ出口配管36が、バイパス配管38及び第2配管32を介して連通する。このため、アキュムレータ入口配管35に通じるアキュムレータ18内の圧力と、圧縮機11の吸入口11aに通じるアキュムレータ出口配管36内の圧力とを、同じ圧力にすることができる。よって、冷房運転の停止後にアキュムレータ内圧が上昇した場合であってもアキュムレータ18内の液冷媒がアキュムレータ出口配管36を流れて圧縮機11の吸入口11aの手前にまで流れ込むことを効果的に防止することができる。また、このようにしてバイパス配管38が運転停止時における均圧管としての機能をも兼ね備えるため、別途専用の均圧管を設ける必要がない。よって、専用の均圧管を設ける場合と比較して、空気調和装置のコストを低減することができる。さらに、アキュムレータ出口配管36のうちアキュムレータ18内に配設される部分に均圧孔等を設ける必要もないことから、アキュムレータ出口配管36のうちアキュムレータ18内に配設される部分の設置スペースを削減することができる。これにより、アキュムレータ18の小型化を図ることができる。
また、本実施形態に係る空気調和装置1は、第1配管31とアキュムレータ入口配管35とを接続するホットガスバイパス配管39と、ホットガスバイパス配管39に介装されたホットガスバイパス開閉弁62と、を備える。そして、制御装置40の停止処理部41は、暖房運転の停止時にバイパス開閉弁61及びホットガスバイパス開閉弁62が開くように、バイパス開閉弁61及びホットガスバイパス開閉弁62の開閉動作を制御する。
これによれば、暖房運転の停止時、すなわち空調モードが暖房モードにされている状態のまま空調運転が停止されている時に、バイパス開閉弁61及びホットガスバイパス開閉弁62が開くことにより、アキュムレータ入口配管35が、ホットガスバイパス配管39、第1配管31、四方弁13、第2配管32、を介して、アキュムレータ出口配管36に連通される。このため、アキュムレータ入口配管35に通じるアキュムレータ18内の圧力と、圧縮機11の吸入口11aに通じるアキュムレータ出口配管36内の圧力とを、同じ圧力にすることができる。よって、暖房運転の停止後にアキュムレータ内圧が上昇した場合であってもアキュムレータ18内の液冷媒がアキュムレータ出口配管36を流れて圧縮機11の吸入口11aの手前にまで流れ込むことを効果的に防止することができる。
また、本実施形態に係る空気調和装置1は、複数の室外機(10a,10b)と、複数の室内機(20a,20b,20d,20d)を備え、それぞれの室外機に備えられる第2配管32が互いに連通するとともに、それぞれの室外機に備えられる中間配管34が互いに連通しているように構成されている。そして、制御装置40の停止処理部41は、ある室外機の暖房運転が停止した時であって且つ他の室外機の少なくとも1台が暖房運転中である場合に、外気温度Toutと、停止室外機に備えられる圧縮機11の吸入圧力PLに相当する冷媒飽和温度TLとの温度差(Tout−TL)が、予め定められた閾値温度差αよりも高いか否かを判断する判断処理(S23)と、判断処理にて温度差(Tout−TL)が閾値温度差αよりも高いと判断したときに、停止した室外機に備えられるバイパス開閉弁61を開くようにバイパス開閉弁61を制御する開制御処理(S24)と、判断処理にて温度差(Tout−TL)が閾値温度差α以下であると判断したときに、停止した室外機に備えられるバイパス開閉弁61を閉じるようにバイパス開閉弁61を制御する閉制御処理(S25)と、を実行する。
これによれば、停止室外機におけるアキュムレータ18の内圧上昇によりアキュムレータ内の液冷媒がアキュムレータ出口配管36を流れて圧縮機11の吸入口11aの手前に流れ込む虞が高いとき、すなわち上記判断処理による判断結果がYesであるときに、停止室外機のバイパス開閉弁61を開くことにより、運転室外機に備えられる第2配管から高圧のガス冷媒が停止室外機の第2配管32及びバイパス配管38を経由してアキュムレータ出口配管36に流れる。これによりアキュムレータ出口配管36側の圧力が高められる。こうしてアキュムレータ出口配管内圧が高められることにより、アキュムレータ18内の液冷媒がアキュムレータ出口配管36を流れて圧縮機の吸入口の手前にまで流れ込むことが防止される。また、それ以外の場合に停止室外機のバイパス開閉弁61が閉じることにより、運転室外機内のガス冷媒が不必要に停止室外機の冷媒回路内を流れることが防止される。
また、バイパス配管38は、第2配管32に直交する方向から第2配管32に接続されている。さらに、バイパス配管38は、第2配管32の中心位置と高さ方向において同じ位置にて第2配管32に接続されている。このため、第2配管32内のガス冷媒が優先的にバイパス配管38に送り込まれる。よって、第2配管32内からバイパス配管38内への液冷媒の進入量を低減することができる。また、第2配管32内の冷媒が気液二相冷媒である場合でもバイパス開閉弁61を閉じる必要がないため、圧力損失を低減することができる運転領域を従来よりも大きくすることができる。
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるべきものではない。例えば、上記実施形態においては、図4に示すように、バイパス配管38が第2配管32の中心位置Oと高さ方向において同じ位置にて第2配管32に接続されている例を示したが、図8に示すように、バイパス配管38が第2配管32の中心位置Oよりも高さ方向において上側の位置にて第2配管32に接続されていてもよい。このように、本発明は、その趣旨を逸脱しない限りにおいて、変形可能である。