JP4249380B2 - 空気調和機 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、空気調和装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来の空気調和装置として、減圧器と室内側熱交換器との間に気液分離器を設け、減圧器により減圧した低圧冷媒を気液分離し(約20%がガス冷媒で残り約80%が液冷媒となる)、この分離したガス冷媒(このガス冷媒は潜熱を持たないため冷凍能力にはあまり寄与しない)を直接圧縮機の吸入側に流通させ、室内側熱交換器へはガス冷媒を流通させずに液冷媒のみを流通させ、このようにすることにより室内側熱交換器および接続配管などの低圧側配管での圧力損失を低減して、冷凍能力の向上を図ったものがある。このような従来の空気調和装置としては、例えば、特開平9−310925号公報に記載されたものが知られている。
この空気調和装置では、同公報に記載されているように気液分離器から圧縮機吸入側の低圧ガス配管と間にバイパス配管を設け、このバイパス配管中にバイパスされるガス冷媒と室外側熱交換器出口の液冷媒とが熱交換する熱交換器(熱回収熱交換器)を設け、さらにその下流側にキャピラリーチューブを設けている。なお、この熱交換器は、バイパス配管を流通する低圧ガス冷媒により高圧液冷媒を冷却して、液冷媒を過冷却させて熱回収し、冷凍能力を向上するものである。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、この従来の空気調和装置では、気液分離器からガス冷媒に混じって液冷媒が流出した場合、その液冷媒は熱交換器で蒸発してガス冷媒となり、キャピラリーチュ−ブにはガス冷媒のみが流通することになる。また、冷媒の単位体積あたりの圧力損失は、図13に示すように、乾き度が0.05から0.3の範囲で大きく、乾き度が1.0近くになると小さくなっている。したがって、バイパス配管を流通する冷媒の流通抵抗は、気液分離器からガス冷媒のみが流出している場合と気液分離器から液冷媒が混入して流出する場合とでは、あまり変わらないといえる。このため、従来のものでは、気液分離器からバイパス配管に液冷媒が流出し始めた場合、この液冷媒は熱回収熱交換器で気化されてガス冷媒となってキャピラリーチューブに流通し、バイパス配管の冷媒流通抵抗がそれほど増加せず、バイパス配管への液冷媒の流出を止めることができない。したがって、この液冷媒の流出分、冷凍能力の向上を図ることができないという問題のあることが分かった。
【0004】
この発明は、このような従来技術に存在する問題点に着目してなされたものである。その目的とするところは、液冷媒が気液分離器から圧縮機の低圧側にバイパスすることを防止して、冷凍能力のより一層の向上を図った空気調和装置を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明は、圧縮機、凝縮器、第1冷媒流量制御装置、蒸発器を主な構成部品として備え、これら構成部品を順次主配管で接続した空気調和装置であって、第1冷媒流量制御装置と蒸発器との間に接続した気液分離器と、第2冷媒流量制御装置を備え、かつ、この第2冷媒流量制御装置の一端を気液分離器に接続し、その他端を蒸発器から圧縮機に至る主配管に接続した第1バイパス配管とを備え、第1バイパス配管における第2冷媒流量制御装置の下流側に、凝縮器を流出した後の冷媒とこの第1バイパス配管を流通する冷媒とを熱交換する熱回収熱交換器を設け、この熱回収熱交換器から第1冷媒流量制御装置に至る主配管と、第2冷媒流量制御装置から熱回収熱交換器に至る第1バイパス配管との間に第2バイパス配管を設け、この第2バイパス配管中に第3冷媒流量制御装置を設けたものである。
【0007】
また、前記気液分離器は、本体容器を有し、前記第1冷媒流量制御装置からこの気液分離器に至る配管の接続部が前記本体容器に対し水平または上向きとなるように形成してもよい。
【0008】
また、前記気液分離器は、本体容器を有し、この気液分離器から前記蒸発器に至る配管の接続部が前記本体容器の下部に接続されているように形成しても良い。
【0009】
また、前記気液分離器は、本体容器を有し、この本体容器内における前記第1冷媒流量制御装置からこの気液分離器に至る配管の接続部とこの気液分離器から前記蒸発器に至る配管の接続部との間に、気液分離部材を有するように構成したものでも良い。
【0010】
また、前記気液分離器は、前記第1バイパス配管の接続部と前記気液分離器から前記蒸発器に至る配管の接続部とを上下に連結し、この連結部に対し、第1冷媒流量制御装置からこの気液分離器に至る配管の接続部を水平方向に接続したものとしても良い。
【0011】
【発明の実施の形態】
実施形態1.
以下、この発明を具体化した実施の形態1について図1および図2に基づいて説明する。なお、図1は実施の形態1に係る空気調和装置の冷媒回路図であり、図2はこの空気調和装置についての動作を説明するための圧力−エンタルピ線図である。
【0012】
図1に示す空気調和器は、圧縮機2、凝縮器3、第1冷媒流量制御装置(この場合膨張弁)4、複数個の熱交換器からなる蒸発器5を主な構成部品とし、これら構成部品を主配管6で順次接続したものである。
【0013】
また、この空気調和装置において、10は第1冷媒流量制御装置4と蒸発器5との間に接続した気液分離器であり、11は第1バイパス配管である。この第1バイパス配管11は、第2冷媒流量制御装置(この場合キャピラリーチューブ)12を有し、この第2冷媒流量制御装置の一方を気液分離器10に接続し、他方を蒸発器5から圧縮機2に至る主配管6に接続し、気液分離器10内のガス冷媒を圧縮機2の吸入側にバイパスさせるためのものである。
【0014】
次に、このように構成された空気調和装置の動作を、図2を参照しながら説明する。
圧縮機2から吐出された高温高圧のガス冷媒(図中a)は、凝縮器3で空気などの冷却流体と熱交換して凝縮し、高温高圧の液冷媒(図中b)に変化する。そして、第1冷媒流量制御装置4により低温低圧の湿り蒸気(気液混合の冷媒)に変化(図中c)し、気液分離器10に流入する。気液分離器10に流入した湿り蒸気は液冷媒(図中d)とガス冷媒(図中e)に分離され、液冷媒(図中d)は主配管6を通り蒸発器5に供給され、蒸発器5における圧力損失によって圧力が低下しながら空気などの被冷却物と熱交換して蒸発気化し、圧縮機2に戻る(図中f)。一方、第1バイパス配管11に流入したガス冷媒(図中e)は、第2冷媒流量制御装置12でわずかに減圧され、蒸発器5出口の低圧ガス冷媒と合流して圧縮機2に戻る(図中f)。
【0015】
上記のようなサイクルにおいて、気液分離器10で十分に液冷媒とガス冷媒の分離ができず、ガス冷媒と液冷媒との混合流体が第1バイパス配管11に流入した場合には、前記図13で説明したように乾き度0.05から0.3において冷媒の流通抵抗が大きくなるため、第2冷媒流量制御装置12における冷媒の圧力損失は、上記混合流体の場合の方がガス冷媒のみの場合よりも大きくなる。したがって第1バイパス配管11に液冷媒が流出した場合、第2冷媒流量制御装置12において急激な圧力損失を生じ、第1バイパス配管11を流れる冷媒流量が急激に低下し、気液分離器10から第1バイパス配管11への液冷媒の流出が抑制される。
【0016】
この実施の形態1では、蒸発器5は被冷却物が空気である場合について説明したが、この被冷却物は空気のみに限定されない。例えば、安価な夜間電力を利用して、水を冷却して氷を生成し、昼間この氷の冷熱を利用して冷房を行う氷蓄熱装置における製氷用熱交換器のように水を被冷却物とするものでも良い。
【0017】
実施の形態2.
次に、実施の形態2について図3および図4に基づき説明する。なお、図3は実施の形態2に係る空気調和装置の冷媒回路図であり、図4はこの空気調和装置についての動作を説明するための圧力−エンタルピ線図である。
【0018】
図3において、主配管6の経路は、前記実施の形態1の場合と同一であって、圧縮機2、凝縮器3、第1冷媒流量制御装置(この場合膨張弁)4、蒸発器5を主な構成部品とし順次接続されている。また、実施の形態1の場合と同様に、第1冷媒流量制御装置4と蒸発器5との間に気液分離器10が設けられ、さらに、気液分離器10と蒸発器5から圧縮機2に至る主配管6との間に第2冷媒流量制御装置(この場合キャピラリーチューブ)21を介装した第1バイパス配管20が設けられている。
【0019】
ただし、この第1バイパス配管20における第2冷媒流量制御装置21の下流側には、実施の形態1の場合と異なり、第1バイパス配管中を流通する低圧低温の冷媒と凝縮器3から流出した高圧高温の液冷媒とが熱交換する熱回収用熱交換器22が設けられている。なお、この熱回収熱交換器22は、第1バイパス配管内を流通する低圧低温の冷媒により凝縮器3から流出した高圧高温の液冷媒を過冷却して、バイパスされる低圧冷媒の冷熱を回収し、冷凍能力を向上させるものである。
【0020】
また、この実施の形態2では、主配管6における熱回収熱交換器22から第1冷媒流量制御装置4に至る配管と、第1バイパス配管20における第2冷媒流量制御装置21から熱回収熱交換器22に至る配管との間に、第2バイパス配管23を設け、この第2バイパス配管23中に第3冷媒流量制御装置(この場合膨張弁)24を設けている。
【0021】
次に、このような構成を有する第2実施の形態に係る空気調和装置の動作を図4を参照しながら説明する。
圧縮機2から吐出された高温高圧のガス冷媒(図中a)は、凝縮器3で空気などの冷却流体と熱交換して凝縮し、高温高圧の液冷媒(図中b)に変化する。この液冷媒は熱回収熱交換器22で過冷却された後(図中c)、大半の冷媒は第1冷媒流量制御装置4に流通し、この第1冷媒流量制御装置4により低温低圧の液冷媒とガス冷媒とが混合した湿り蒸気に変化(図中d)し、気液分離器10に流入する。そして、気液分離器10に流入した湿り蒸気は、ガス冷媒(図中f)と液冷媒(図中e)に分離され、液冷媒(図中e)は主配管6を通り蒸発器5に供給され、蒸発器5における圧力損失によって圧力が下がりながら空気などと熱交換して蒸発し、低温低圧のガス冷媒に変化し、圧縮機2ヘ流れる(図中i)。
【0022】
一方、凝縮器3を流出した液冷媒(図中c)の残部は、第2バイパス配管23に流入し、第3冷媒流量制御装置24により低温低圧の湿り蒸気に変化し(図中g)、第1バイパス配管20を流れるガス冷媒と合流する(図中h)。
また、気液分離器10で気液分離されたガス冷媒(図中f)は、第1バイパス配管20に流入し、第2冷媒流量制御装置21でわずかに減圧され(図中j)、第2バイパス配管23から流入する湿り蒸気(図中g)と合流する(図中h)。そして、熱回収熱交換器22で主配管6を流れる液冷媒と熱交換しながら蒸発し(図中i)、主配管6を流通する冷媒と合流して(図中i)、圧縮機2に戻る(図中i)。
【0023】
実施の形態2では以上のように構成されているため、実施の形態1における場合と同様、気液分離器10で十分に液冷媒とガス冷媒とに分離できず、ガス冷媒と液冷媒との混合流体が第1バイパス配管20に流入した場合には、第2冷媒流量制御装置21で急激な圧力損失を生じ、気液分離器10から第1バイパス配管20への液冷媒の流出が防止される。
【0024】
また、気液分離器10からのガス冷媒のみを熱回収用熱交換器22に流通させる場合と比較すると、この実施の形態2のように熱回収熱交換器22に液冷媒をバイパスさせた場合には、熱回収熱交換器22内での冷媒の流速が増加し、熱交換性能が向上し、蒸発器5仁尾くる冷媒量を少なくすることによる圧損低減とバイパスによる能力損失分の回収を両立するための熱回収熱交換器22の小型化が図れる。
【0025】
この実施の形態2では、蒸発器5は被冷却物が空気である場合について説明したが、この被冷却物は空気のみに限定されない。例えば、安価な夜間電力を利用して、水を冷却して氷を生成し、昼間この氷の冷熱を利用して冷房を行う氷蓄熱装置における製氷用熱交換器のように水を被冷却物とするものでも良い。
【0026】
【実施例】
次に、上記実施の形態1および実施の形態2に適用される気液分離器の具体的な構造について説明する。
【0027】
実施例1.
実施例1に係る気液分離器を図5に示す。図5において、10aは第1冷媒流量制御装置4から気液分離器10に至る配管の接続部、10bは気液分離器10から蒸発器5に至る配管の接続部、10cは第1バイパス配管11、20の接続部であり、10dは円筒状の本体容器である。また、これら接続部10a、10b、10cに付した矢印はそれぞれにおける冷媒の流通方向を示す。この構造の気液分離器10では、蒸発器5への冷媒が気液分離器10の下部(すなわち、本体容器10dの下部)から下向きに流出するように導出されているので、蒸発器5に流通する冷媒中にガス冷媒が混ざりにくいという効果がある。
【0028】
実施例2.
実施例2に係る気液分離器を図6に示す。図中に付された符号および矢印は実施例1と同様である。この場合は、第1冷媒流量制御装置4から気液分離器10に至る配管の接続部10aを下方から導入するとともに、気液分離器10から蒸発器5に至る配管の接続部10bを本体容器10dの下部から下向きに導出しているので、実施例1と同様の効果があるとともに、気液分離器10における気液分離効果が向上する。
【0029】
実施例3.
実施例3に係る気液分離器を図7に示す。図中に付された符号および矢印は実施例1と同様である。この場合は、第1冷媒流量制御装置4から気液分離器10に至る配管の接続部10aを横方向から本体容器10dに導入するとともに、気液分離器10から蒸発器5に至る配管の接続部10bを本体容器10dの下部から下向きに導出し、第1バイパス配管11、20の接続部10cを気液分離器10の上部(すなわち、本体容器10dの上部)から上方に向けて導出しているので、実施例1と同様の効果があるとともに、気液分離器10における気液分離効果がより向上する。
【0030】
実施例4.
実施例4に係る気液分離器を図8に示す。図中に付された符号および矢印は実施例1と同様である。この実施例4は、側断面図は実施例3と同様である。すなわち、気液分離器10から蒸発器5に至る配管の接続部10bを本体容器10dの下部から下向きに導出し、第1バイパス配管11、20の接続部10cを本体容器10dの上部から上方に向けて導出し、さらに、第1冷媒流量制御装置4から気液分離器10に至る配管の接続部10aを本体容器10dに対し横方向から導入する点では実施例3と同様であるが、この接続部10aを気液分離器10の円筒状本体10dの内壁の接線方向とすることにより、第1冷媒流量制御装置4から気液分離器10に導入される気液混合の湿り蒸気を本体容器10d内で旋回させることにより、気液分離効果をより一層向上させたものである。
【0031】
実施例5.
実施例5に係る気液分離器を図9に示す。図中に付された符号および矢印は実施例1と同様である。この実施例5は、第1冷媒流量制御装置4から気液分離器10に至る配管の接続部10a、気液分離器10から蒸発器5に至る配管の接続部10b、および第1バイパス配管11、20の接続部10cの構成は実施例1と同様であるが、気液分離器10内(すなわち、本体容器10d内)の中間より下方の高さ部に水平断面全体にわたる多孔板、邪魔板、多孔質材料などからなり、衝突効果により湿り冷媒中の液滴を分離する気液分離部材25を設けたものである。したがって、この実施例5の場合には、先の実施例1に比しより一層気液分離効果を向上させることができる。
【0032】
実施例6.
実施例6に係る気液分離器を図10に示す。図中に付された符号および矢印は実施例1と同様である。この実施例6は、第1冷媒流量制御装置4から気液分離器10に至る配管の接続部10a、気液分離器10から蒸発器5に至る配管の接続部10b、および第1バイパス配管11、20の接続部10cの構成は実施例2と同様であるが、気液分離器10内の下部において、第1冷媒流量制御装置4から気液分離器10に至る配管の接続部10aと気液分離器10から蒸発器5に至る配管の接続部10bとの間に、多孔板、邪魔板、多孔質材料などからなる衝突効果により気液分離作用をなす気液分離部材26を立設したものである。したがって、この実施例6の場合には、先の実施例2に比しより一層気液分離効果を向上させることができる。
【0033】
実施例7.
実施例7に係る気液分離器を図11に示す。図中に付された符号および矢印は実施例1と同様である。この実施例7は、第1冷媒流量制御装置4から気液分離器10に至る配管の接続部10a、気液分離器10から蒸発器5に至る配管の接続部10b、および第1バイパス配管11、20の接続部10cを図示のごとくT字型に組み合わせることにより気液分離器10を構成したものものである。すなわち、この実施例7の気液分離器10は、第1バイパス配管11、20の接続部10cと気液分離器10から蒸発器5に至る配管の接続部10bとを直立状の配管に構成し、その分岐点に水平方向から第1冷媒流量制御装置4から気液分離器10に至る配管の接続部10aを接続したものである。
【0034】
このように構成することにより、第1冷媒流量制御装置4から流れてきた気液混合冷媒(湿り冷媒)が接続部10bおよび10cを構成する管壁に衝突して気液分離され、液冷媒がこの接続部10b内の管壁に沿って下方に流れて蒸発器5に流出し、また、ガス冷媒が接続部10c内を上昇して第1バイパス配管11、20へ流出する。
したがって、この実施例7の場合には、先の実施例1〜6の容器型気液分離器の場合に比し気液分離効果を低下させることなく、コストを低減することができる。
【0035】
実施例8.
実施例8に係る気液分離器を図12に示す。図中に付された符号および矢印は実施例1と同様である。この実施例8は、第1冷媒流量制御装置4から気液分離器10に至る配管の接続部10a、気液分離器10から蒸発器5に至る配管の接続部10b、および第1バイパス配管11、20の接続部10cを図示のごとくT字型に組み合わせることにより気液分離器10を構成したものものである。すなわち、この実施例8の気液分離器10は、第1冷媒流量制御装置4から気液分離器10に至る配管の接続部10aと第1バイパス配管11、20の接続部10cとを直立状の配管に構成し、気液分離器10から蒸発器5に至る配管の接続部10bをこの直立状の配管部における接続部10bと10cとの接合点から水平に分岐したものである。
【0036】
このように構成することにより、第1冷媒流量制御装置4から流れてきた気液混合冷媒の流れは、液冷媒が接続部10a内の管壁に沿って流れ、ガス冷媒が接続部10a内の管中央を流れる環状流となり、液冷媒を多く含む冷媒が水平方向に分岐された気液分離器10から蒸発器5に至る配管の接続部10b内に流出されていく。
したがって、この実施例8の場合には、先の実施例1〜6の容器型気液分離器の場合に比し、また、先の実施例7の場合に比し、気液分離効果は低下するが、コストを低減できる点は実施例7の場合と同様である。また、他の要素部品の配置等から先の実施例7を採用できない場合に必要となることが想定される。
【0037】
実施例9.
実施例9に係る気液分離器を図13に示す。この実施例9は、実施例7における第1バイパス配管11、20の接続部10c内に多孔板、邪魔板、多孔質材料などからなり、衝突効果により湿り冷媒中の液滴を分離する気液分離部材27を設けたものであって、その他の構成は実施例7と同一であり、実施例7と共通する部分には同一の符号および矢印付している。
したがって、この実施例9によれば、気液分離器10からバイパスされる冷媒は、気液分離部材27を通して流出することになるので、実施例7に比し、気液分離器10における気液分離効果がさらに向上する。
【0038】
実施例10.
実施例10に係る気液分離器を図14に示す。この実施例10は、実施例7において、第1冷媒流量制御装置4から気液分離器10に至る配管の接続部10a、気液分離器10から蒸発器5に至る配管の接続部10b、および第1バイパス配管11、20の接続部10cをT字型に結合する結合部に、多孔板、邪魔板、多孔質材料などからなり、衝突効果により湿り冷媒中の液滴を分離する気液分離部材28を設けたものであって、その他の構成は実施例7と同一であり、実施例7と共通する部分には同一の符号および矢印付している。
したがって、この実施例10によれば、前記接続部10aから流入する湿り冷媒は、この気液分離部材27における衝突効果による気液分離作用により気液分離され、この気液分離部材27を通して分岐されて流出することになるので、実施例7に比し、気液分離器10における気液分離効果がさらに向上する。
【0039】
【発明の効果】
この発明は以上のように構成されているため、次のような効果を奏する。
本発明によれば、圧縮機、凝縮器、第1冷媒流量制御装置、蒸発器を主な構成部品として備え、これら構成部品を順次主配管で接続した空気調和装置であって、第1冷媒流量制御装置と蒸発器との間に接続した気液分離器と、第2冷媒流量制御装置を備え、かつ、この第2冷媒流量制御装置の一端を気液分離器に接続し、その他端を蒸発器から圧縮機に至る主配管に接続した第1バイパス配管とを備えたものであるので、ガス冷媒が蒸発器に流出されることを防止するとともに、液冷媒が気液分離器から圧縮機の低圧側にバイパスされることを防止して、高効率で信頼性の高い運転を行うことができる。
また、第1バイパス配管における第2冷媒流量制御装置の下流側に、凝縮器を流出した後の冷媒とこの第1バイパス配管を流通する冷媒とを熱交換する熱回収熱交換器を設け、この熱回収熱交換器から第1冷媒流量制御装置に至る主配管と、第2冷媒流量制御装置から熱回収熱交換器に至る第1バイパス配管との間に第2バイパス配管を設け、この第2バイパス配管中に第3冷媒流量制御装置を設けたものであるので、第1の発明と同様の効果を奏することができながら、凝縮器から流出する液冷媒を効率良く過冷却させて冷凍能力を向上させることができる。
【0041】
また、前記気液分離器は、本体容器を有し、前記第1冷媒流量制御装置からこの気液分離器に至る配管の接続部が前記本体容器に対し水平または上向きとなるように形成されているので、気液分離器における気液分離効率が向上し、冷凍能力が向上する。
【0042】
また、前記気液分離器は、本体容器を有し、この気液分離器から前記蒸発器に至る配管の接続部が前記本体容器の下部に接続されているので、気液分離器における分離効率が向上し、気液分離器における気液分離効率が向上し、冷凍能力が向上する。
【0043】
また、前記気液分離器は、本体容器を有し、この本体容器内における前記第1冷媒流量制御装置からこの気液分離器に至る配管の接続部とこの気液分離器から前記蒸発器に至る配管の接続部との間に、気液分離部材を有するので、気液分離器における分離効率が向上し、冷凍能力が向上する。
【0044】
また、前記気液分離器は、前記第1バイパス配管の接続部と前記気液分離器から前記蒸発器に至る配管の接続部とを上下に連結し、この連結部に対し、第1冷媒流量制御装置からこの気液分離器に至る配管の接続部を水平方向に接続してなるので、気液分離器における分離効率が向上し、冷凍能力が向上する。また、気液分離器は簡易な構造となるのでコストを低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 実施の形態1に係る空気調和装置の冷媒回路図である。
【図2】 実施の形態1に係る空気調和装置についての動作を説明するための圧力−エンタルピ線図である。
【図3】 実施の形態2に係る空気調和装置の冷媒回路図である。
【図4】 実施の形態1に係る空気調和装置についての動作を説明するための圧力−エンタルピ線図である。
【図5】 実施例1に係る気液分離器の構造図である。
【図6】 実施例2に係る気液分離器の構造図である。
【図7】 実施例3に係る気液分離器の構造図である。
【図8】 実施例4に係る気液分離器の構造図である。
【図9】 実施例5に係る気液分離器の構造図である。
【図10】 実施例6に係る気液分離器の構造図である。
【図11】 実施例7に係る気液分離器の構造図である。
【図12】 実施例8に係る気液分離器の構造図である。
【図13】 実施例9に係る気液分離器の構造図である。
【図14】 実施例10に係る気液分離器の構造図である。
【図15】 冷媒がR22である場合の単位体積あたりの圧力損失を乾き度との関係で示した図である。
【符号の説明】
2 圧縮機、3 凝縮器、4 第1冷媒流量制御装置、5蒸発器、6 主配管、10 気液分離器、10a 第1冷媒流量制御装置から気液分離器に至る配管の接続部、10b 気液分離器から蒸発器に至る配管の接続部、10c 第1バイパス配管の接続部、10d 円筒状本体、11、20 第1バイパス配管、12、24 第2冷媒流量制御装置、21 第2冷媒流量制御装置、22 熱回収熱交換器、23 第2バイパス配管、24 第3冷媒流量制御装置、25、26、27,28 気液分離部材。
Claims (5)
- 圧縮機、凝縮器、第1冷媒流量制御装置、蒸発器を主な構成部品として備え、これら構成部品を順次主配管で接続した空気調和装置であって、
前記第1冷媒流量制御装置と蒸発器との間に接続した気液分離器と、
第2冷媒流量制御装置を備え、かつ、この第2冷媒流量制御装置の一端を前記気液分離器に接続し、その他端を前記蒸発器から前記圧縮機に至る前記主配管に接続した第1バイパス配管とを備え、
前記第1バイパス配管における前記第2冷媒流量制御装置の下流側に、前記凝縮器を流出した後の冷媒とこの第1バイパス配管を流通する冷媒とを熱交換する熱回収熱交換器を設け、
この熱回収熱交換器から前記第1冷媒流量制御装置に至る前記主配管と、前記第2冷媒流量制御装置から前記熱回収熱交換器に至る前記第1バイパス配管との間に第2バイパス配管を設け、この第2バイパス配管中に第3冷媒流量制御装置を設けたことを特徴とする空気調和装置。 - 前記気液分離器は、本体容器を有し、前記第1冷媒流量制御装置からこの気液分離器に至る配管の接続部が前記本体容器に対し水平または上向きとなるように形成されていることを特徴とする請求項1に記載の空気調和装置。
- 前記気液分離器は、本体容器を有し、この気液分離器から前記蒸発器に至る配管の接続部が前記本体容器の下部に接続されていることを特徴とする請求項1に記載の空気調和装置。
- 前記気液分離器は、本体容器を有し、この本体容器内における前記第1冷媒流量制御装置からこの気液分離器に至る配管の接続部とこの気液分離器から前記蒸発器に至る配管の接続部との間に、気液分離部材を有することを特徴とする請求項1に記載の空気調和装置。
- 前記気液分離器は、前記第1バイパス配管の接続部と前記気液分離器から前記蒸発器に至る配管の接続部とを上下に連結し、この連結部に対し、第1冷媒流量制御装置からこの気液分離器に至る配管の接続部を水平方向に接続してなることを特徴とする請求項1に記載の空気調和装置。
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