JP6924657B2 - 電池用正極活物質に用いられる遷移金属複合水酸化物粒子の製造方法 - Google Patents

電池用正極活物質に用いられる遷移金属複合水酸化物粒子の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、電池用正極活物質に用いられる遷移金属複合水酸化物粒子の製造方法、特に、結晶性が小さく、比表面積の大きい遷移金属複合水酸化物粒子を得ることができる、電池用正極活物質に用いられる遷移金属複合水酸化物粒子の製造方法に関するものである。
近年、携帯機器や動力源として電気を使用または併用する車両等、広汎な分野で蓄電池が使用されている。蓄電池の正極活物質としては、例えば、ニッケルを含む水酸化物粒子等の遷移金属複合水酸化物粒子が使用されている。
また、近年、蓄電池に対して、さらなる高出力化の要求がされており、電池用正極活物質に用いられる遷移金属複合水酸化物粒子には、出力特性とサイクル特性のさらなる向上が求められている。
そこで、例えば、アルカリ蓄電池用正極活物質として、少なくともマグネシウムを固溶状態で含む水酸化ニッケル粒子と、水酸化ニッケル粒子の表面を被覆するコバルト化合物層と、を有し、コバルト化合物層は、自身に含まれるコバルトの平均価数が、2.6以上3.0以下であり、自身の全質量に対し0.10質量% より少ない割合でナトリウムを含み、当該正極活物質を39.2MPaで加圧した状態での導電率が、1.0×10−5S/cmより小さい正極活物質が提案され、該正極活物質の製造方法として、水酸化ニッケル粒子を含む水溶液中に、水酸化ナトリウム水溶液を供給して液温25℃基準におけるpHを11.5〜13.5の範囲に保ちつつコバルトイオンを含む水溶液を供給すると共に、空気を供給して、上記水酸化ニッケル粒子の表面に上記コバルト化合物層を形成するコバルト化合物層形成工程を有する製造方法が提案されている(特許文献1)。
特許文献1のアルカリ蓄電池用正極活物質の製造方法にて、良好な出力特性とサイクル特性を有するアルカリ蓄電池用正極活物質を得ることができるものの、アルカリ蓄電池用正極活物質だけではなく他の電池用正極活物質であっても、簡易な工程にて、良好な出力特性とサイクル特性を有する正極活物質を製造する点で、改良の余地があった。一方で、出力特性とサイクル特性を向上させるには、結晶性が小さく、比表面積の大きい特性を有する正極活物質が有用である。
特開2006−48954号公報
上記事情に鑑み、本発明は、簡易な工程にて、結晶性が小さく、比表面積の大きい特性を有する電池用正極活物質に用いられる遷移金属複合水酸化物粒子の製造方法を提供することを目的とする。
本発明の態様は、一般式NiCo(OH)2+a(式中、x+y+z=1、0.5≦x≦0.95、0≦y≦0.25、0≦z≦0.5、0≦a≦0.5、Mは、Mg、Ca、Al、Ti、Mn、Zr及びZnからなる群から選択された少なくとも1種の元素を意味する。)で表される、電池用正極活物質に用いられる遷移金属複合水酸化物粒子の製造方法であって、前記遷移金属複合水酸化物粒子の組成に応じた原料液を調製する原料液調製工程と、調製された前記原料液とアンモニウムイオン供給体を反応槽に供給し、前記反応槽内の溶液を、液温25℃基準におけるpH値を10.0〜14.0の範囲、且つアンモニウムイオン濃度を1.0g/L〜20g/Lの範囲に維持しながら、マイクロバブル発生装置から発生する酸素を含む気体を反応系に供給することにより形成された酸素濃度5.0容量%以上の酸化性雰囲気下にて、前記反応槽内の溶液を酸化触媒と接触させながら撹拌して、前記遷移金属複合水酸化物粒子を含むスラリーを得る工程と、を含む遷移金属複合水酸化物粒子の製造方法である。
本発明の態様は、前記酸素を含む気体を前記反応槽内の溶液に供給する、電池用正極活物質に用いられる遷移金属複合水酸化物粒子の製造方法である。
本発明の態様は、前記酸化触媒が、鉄、鉄イオン、ニッケル、ニッケルイオン、クロム及びクロムイオンからなる群から選択された少なくとも1種を含む、電池用正極活物質に用いられる遷移金属複合水酸化物粒子の製造方法である。
本発明の態様は、前記酸素を含む気体の平均直径が、1.0μm〜100μmである、電池用正極活物質に用いられる遷移金属複合水酸化物粒子の製造方法である。
本発明の態様によれば、マイクロバブル発生装置から発生する酸素を含む気体を、遷移金属複合水酸化物粒子を製造するための反応系に供給して、酸素濃度5.0容量%以上の酸化性雰囲気を形成した状態で、原料液を含む溶液を酸化触媒とともに撹拌することで、結晶性が小さく、比表面積の大きい特性を有する電池用正極活物質に用いられる遷移金属複合水酸化物粒子を製造することができる。また、本発明の態様では、酸素を含む気体の供給手段として、マイクロバブル発生装置を使用するので、既存の製造設備を有効利用できることから、製造装置の複雑化を防止、すなわち、簡易な工程にて電池用正極活物質に用いられる遷移金属複合水酸化物粒子を製造することができる。
本発明の態様によれば、マイクロバブル発生装置から発生する酸素を含む気体を、上記反応系のうち反応槽内の溶液に供給することで、酸素を含む気体を円滑に反応系に供給できる。
以下に、本発明の電池用正極活物質に用いられる遷移金属複合水酸化物粒子の製造方法について、詳細を説明する。
電池用正極活物質に用いられる遷移金属複合水酸化物粒子は、下記一般式
NiCo(OH)2+a
(式中、x+y+z=1、0.5≦x≦0.95、0≦y≦0.25、0≦z≦0.5、0≦a≦0.5、Mは、Mg、Ca、Al、Ti、Mn、Zr及びZnからなる群から選択された少なくとも1種の元素を意味する。)で表される。従って、上記遷移金属複合水酸化物粒子は、電池用正極活物質として広汎な用途、例えば、リチウムイオン二次電池の正極活物質の前駆体、アルカリ蓄電池の正極活物質として使用することができる。
本発明の電池用正極活物質に用いられる遷移金属複合水酸化物粒子の製造方法は、前記遷移金属複合水酸化物粒子の組成に応じた原料液を調製する原料液調製工程と、調製された原料液とアンモニウムイオン供給体を反応槽に供給し、反応槽内の原料液を含む溶液(母液)を、液温25℃基準におけるpH値を10.0〜14.0の範囲、且つアンモニウムイオン濃度を1.0g/L〜20g/Lの範囲に維持しながら、マイクロバブル発生装置から発生する酸素を含む気体を遷移金属複合水酸化物粒子製造の反応系に供給することにより形成された酸素濃度5.0容量%以上の酸化性雰囲気下にて、反応槽内の母液を酸化触媒と接触させながら撹拌して、遷移金属複合水酸化物粒子を含むスラリーを得る工程と、を含む。
原料液調製工程について
ニッケルの塩溶液(例えば、硫酸塩溶液)、遷移金属複合水酸化物粒子がコバルトを含む場合には、コバルトの塩溶液(例えば、硫酸塩溶液)、遷移金属複合水酸化物粒子がMg、Ca、Al、Ti、Mn、Zr及びZnからなる群から選択された少なくとも1種の元素(以下、「添加元素」ということがある。)を含む場合には、添加元素の塩溶液(例えば、硫酸塩溶液)を、混合することで原料液を調製する。このとき、ニッケル、コバルト、添加元素のそれぞれの濃度が、遷移金属複合水酸化物粒子の組成に対応したモル比となるように調整して、原料液を調製する。
遷移金属複合水酸化物粒子を含むスラリーを得る工程について
遷移金属複合水酸化物粒子を含むスラリーを得るには、例えば、晶析反応によって遷移金属複合水酸化物粒子を作製する共沈法を使用する。共沈法では、まず、上記のようにして調製した原料液を反応槽に連続的に供給する。また、反応槽に供給された原料液には、さらに、アンモニウムイオン供給体を連続的に添加する。アンモニウムイオン供給体は錯化剤として機能する。上記原料液に加えて、さらに錯化剤を反応槽に連続して供給すると、ニッケル、並びにコバルト及び/または添加元素が反応し、後述するように、コバルト及び/または添加元素が固溶した遷移金属複合水酸化物粒子を含むスラリーを得ることができる。溶媒としては、例えば、水が使用される。
アンモニウムイオン供給体としては、反応槽内の原料液を含む溶液に溶解することでアンモニウムイオンを供給できる化合物であれば、特に限定されないが、例えば、アンモニウム塩を挙げることができる。アンモニウム塩としては、例えば、硫酸アンモニウム、塩化アンモニウム、炭酸アンモニウム、弗化アンモニウム等を挙げることができる。これらは単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
反応槽内の原料液を含む溶液のアンモニウムイオン濃度が1.0g/L〜20g/Lの範囲に保持されるように、アンモニウムイオン供給体を反応槽内の原料液を含む溶液に供給する。
共沈法において、ニッケル、並びにコバルト及び/または添加元素を反応させる際に、反応槽内の原料液を含む溶液の液温25℃基準におけるpH値を、10.0〜14.0の範囲に調整する。従って、必要に応じて、反応槽内の原料液を含む溶液のpH値を調整するために、アルカリ金属水酸化物を反応槽内の原料液を含む溶液に添加する。アルカリ金属水酸化物としては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等を挙げることができる。これらは単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。pH値を調整する際の温度は、特に限定されないが、例えば、0〜80℃が好ましく、10〜70℃がより好ましく、20〜60℃が特に好ましい。
反応槽としては、形成された遷移金属複合水酸化物粒子を分離するためにオーバーフローさせる、連続式を挙げることができる。反応槽における遷移金属複合水酸化物粒子の滞留時間は、特に限定されないが、例えば、遷移金属複合水酸化物粒子の適度な成長の点から10〜40時間が好ましく、15〜30時間が特に好ましい。また、反応槽の容積は、特に限定されず、例えば、反応槽における遷移金属複合水酸化物粒子の滞留時間や生産量等に応じて適宜選択可能であり、具体例としては、10〜30000Lが挙げられる。
本発明の製造方法では、さらに、酸素を含む気体を、遷移金属複合水酸化物粒子を製造するための反応系へ供給する。また、酸素を含む気体の供給手段として、マイクロバブル発生装置を使用する。本明細書中、「マイクロバブル発生装置」とは、平均直径1.0μm〜100μmの範囲の微細な気泡を発生させる装置を意味する。
本発明の製造方法では、例えば、マイクロバブル発生装置から発生した酸素を含む気体を、反応槽内の気相部ではなく、反応系の溶液中(すなわち、反応系の液相部)へ供給することが好ましい。つまり、マイクロバブル発生装置から発生した、酸素を含む平均直径1.0μm〜100μmの微細な気泡を、反応系の溶液中へ直接供給することが好ましい。また、マイクロバブル発生装置から発生した酸素を含む気体の供給先である反応系の溶液としては、特に限定されないが、例えば、反応槽の母液、原料液調製工程にて調製された原料液等が挙げられる。
電池用正極活物質に用いられる遷移金属複合水酸化物粒子に固溶したコバルト(Co)が存在する場合、マイクロバブル発生装置から発生した酸素を含む気体を、遷移金属複合水酸化物粒子を製造するための反応系へ供給することで、コバルト(Co)は効率的に2価(Co2+)から3価(Co3+)へ酸化される。また、電池用正極活物質に用いられる遷移金属複合水酸化物粒子に固溶した添加元素(M)が存在する場合、マイクロバブル発生装置から発生した酸素を含む気体を、遷移金属複合水酸化物粒子を製造するための反応系へ供給することで、添加元素は効率的に酸化される。
マイクロバブル発生装置から発生させる酸素を含む気体としては、所定量の酸素を含む気体であれば、特に限定されないが、例えば、酸素(酸素からなる気体)、空気等の酸素と他の元素とを含む気体を挙げることができる。
反応槽内の気相部の酸素濃度が5.0容量%以上の酸化性雰囲気下となるように、遷移金属複合水酸化物粒子を製造するための反応系の溶液中へ、酸素を含む気体を供給する。反応槽内の気相部の酸素濃度は5.0容量%以上であれば、特に限定されないが、その下限値は、遷移金属複合水酸化物粒子に固溶したコバルト及び/または固溶した添加元素がより効率的に酸化される点から5.5容量%が好ましく、6.0容量%が特に好ましい。一方で、反応槽内の気相部の酸素濃度の上限値は、特に限定されず、遷移金属複合水酸化物粒子に固溶したコバルト及び/または固溶した添加元素の効率的な酸化の点から高いほど好ましいが、生産性と効率的な酸化とのバランスの点から30容量%が好ましく、25容量%が特に好ましい。
マイクロバブル発生装置から発生する酸素を含む気体(気泡)の平均直径は1.0μm〜100μmの範囲であれば、特に限定されないが、遷移金属複合水酸化物粒子に固溶したコバルト及び/または固溶した添加元素をより効率的に酸化させる点から、平均直径1.0μm〜50μmの範囲が好ましく、平均直径2.0μm〜30μmの範囲がより好ましい。
マイクロバブル発生装置としては、例えば、エンバイロ・ビジョン社のYJノズルを挙げることができる。
また、本発明の製造方法では、酸素を含む気体を、遷移金属複合水酸化物粒子を製造するための反応系へ供給するにあたり、さらに、反応槽内の原料液を含む溶液を、酸化触媒と接触させながら撹拌する。反応槽内の原料液を含む溶液を、酸化触媒と接触させることで、遷移金属複合水酸化物粒子に固溶したコバルト及び/または固溶した添加元素の酸化を促進させることができる。酸化触媒としては、例えば、鉄、鉄合金、ニッケル、ニッケル合金、クロム、クロム合金等の金属や、鉄イオン、ニッケルイオン、クロムイオンを含む化合物を挙げることができる。これら酸化触媒の具体例として、ステンレス鋼(SUS)を挙げることができる。これらは単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
上記のように、本発明の製造方法では、共沈法において、ニッケル、並びにコバルト及び/または添加元素を反応させるにあたり、マイクロバブル発生装置から発生する酸素を含む気体を反応系へ供給し、反応槽内の原料液を含む溶液を酸化触媒と接触させながら撹拌することで、遷移金属複合水酸化物粒子を含むスラリーを得ることができる。
本発明の製造方法では、遷移金属複合水酸化物粒子に固溶したコバルトが、2価から3価へ酸化されることで、結晶性が小さく、比表面積の大きい特性を有する電池用正極活物質に用いられる遷移金属複合水酸化物粒子を製造することができると考えられる。また、本発明の製造方法では、遷移金属複合水酸化物粒子に固溶した添加元素が酸化されることで、結晶性が小さく、比表面積の大きい特性を有する電池用正極活物質に用いられる遷移金属複合水酸化物粒子を製造することができると考えられる。従って、本発明の製造方法では、良好な出力特性とサイクル特性を有する、電池用正極活物質に用いられる遷移金属複合水酸化物粒子を製造することができる。
また、本発明の製造方法では、酸素を含む気体の供給手段として、マイクロバブル発生装置を設置すればよいので、製造装置の複雑化を防止でき、簡易な工程にて電池用正極活物質に用いられる遷移金属複合水酸化物粒子を製造することができる。
なお、必要に応じて、遷移金属複合水酸化物粒子を含むスラリーを、固相と液相に分離して、液相から分離された固相を乾燥する工程を、さらに含んでもよい。また、固相を乾燥する前に、必要に応じて、固相を弱アルカリ水で洗浄してもよい。
次に、本発明の実施例を説明するが、本発明はその趣旨を超えない限り、これらの例に限定されるものではない。
硫酸ニッケル水溶液、硫酸コバルト水溶液、硫酸亜鉛水溶液、硫酸マグネシウム水溶液、硫酸マンガン水溶液、硫酸アルミニウム水溶液を混合して、下記表1に示す所定のモル比を有する原料液を調製した。調製した該原料液を500Lの容積を有する反応槽へ連続的に供給した。
反応槽の母液のpH調整剤として、32質量%の水酸化ナトリウムを用いた。32質量%の水酸化ナトリウムを反応槽の母液へ適宜添加して、母液の液温25℃基準におけるpHを12.4に保持した。また、pH調整剤と共に、錯化剤として100g/Lの硫酸アンモニウムを反応槽の母液へ適宜添加し、母液のアンモニウムイオン濃度を13.0g/Lに保持した。
また、参考例1、実施例1〜4では、マイクロバブル発生装置(エンバイロ・ビジョン社、「YJノズル」)を用いて平均直径50μm以下の空気の気泡を反応系の溶液へ供給した。一方で、参考例1、実施例1〜4では、反応槽の気相部への酸素を含む気体の供給は行わなかった。
比較例1では、マイクロバブル発生装置を用いた反応系の溶液への空気の供給に代えて、ドライエアー発生装置を用いて反応槽の気相部へ空気をパージした。比較例2では、酸素を含む気体の供給自体を行わなかった。
参考例、実施例、比較例ともに、3枚プロペラ羽根(1段、φ250mm)であるSUS製攪拌翼を使用し、560rpmの撹拌条件にて、反応槽内の母液を撹拌した。また、上記SUS製攪拌翼は、酸化触媒としても使用した。上記条件にて、晶析反応によって遷移金属複合水酸化物粒子のスラリーを作製した。なお。参考例、実施例、比較例ともに、遷移金属複合水酸化物粒子を分離するためのオーバーフロー手段を有する連続式の反応槽を有する製造装置を用いた。
上記のようにして得られた遷移金属複合水酸化物粒子のスラリーに、水洗、脱水、乾燥の各処理を施して、遷移金属複合水酸化物粒子を得た。
参考例1、実施例1〜4、比較例1、2の遷移金属複合水酸化物粒子の製造条件と組成の詳細を、下記表1に示す。
Figure 0006924657
試料である遷移金属複合水酸化物粒子の評価項目は、以下の通りである。
(1)累積体積百分率が50.0体積%の二次粒子径(D50)
D50は、粒度分布測定装置(堀場製作所社、LA−950)で測定した(原理はレーザ回折・散乱法)。
(2)BET比表面積
比表面積測定装置(マウンテック社、Macsorb(登録商標))を用い、1点BET法によって測定した。
(3)X線回折測定
X線回折装置(リガク社、UltimaIV)を用い、下記条件にて測定を行った。
X線:CuKα/40kV/40mA
スリット:発散=1/2°,受光=開放 , 散乱=8.0mm
サンプリング幅:0.03
スキャンスピード:20°/min
(4)組成分析
ICP発光分析装置(パーキンエルマ―社 Optima(登録商標)8300)を用いて、遷移金属複合水酸化物粒子の成分組成を分析した。
評価結果を下記表2に示す。なお、実施例1〜4、比較例1、2の測定結果は、参考例1の結果を100とした場合の相対値として表示したものである。
Figure 0006924657
上記表2から、マイクロバブル発生装置で発生させた空気を反応系の溶液へ供給した実施例1〜4では、反応槽の気相部へ空気をパージした比較例1、酸素を含む気体の供給自体を行わなかった比較例2と比較して、比較例1、2とD50は同程度でも、BET比表面積が10%程度向上した。また、実施例1〜4では、比較例1、2と比較して、X線回折分析により求められる(001)面の回折ピークの半値幅(a)及びX線回折分析により求められる(101)面の回折ピークの半値幅(b)が、それぞれ、10%程度増大して回折ピークがブロード化し、結晶性を低減できた。従って、マイクロバブル発生装置で発生した空気を反応系に供給することで、遷移金属複合水酸化物粒子のBET比表面積を向上させ、結晶性を低減できたので、出力特性とサイクル特性を向上させることができる正極活物質を得られることが判明した。
また、ICP発光分析装置を用いた遷移金属複合水酸化物粒子の組成分析の結果は、参考例1、実施例1〜4、比較例1、2ともに、上記表1の組成と一致した。上記表1から、参考例1ではニッケルの組成が99.8mol%であるところ、上記表2から、ニッケルの組成が50.0mol%〜90.7mol%の範囲である実施例1〜4では、同じく、マイクロバブル発生装置で発生した空気を反応系の溶液へ供給した参考例1と比較して、D50は同程度でも、BET比表面積が10%程度向上し、X線回折分析により求められる(001)面の回折ピークの半値幅(a)及びX線回折分析により求められる(101)面の回折ピークの半値幅(b)が、それぞれ、10%程度増大して回折ピークがブロード化し、結晶性を低減できた。従って、遷移金属複合水酸化物粒子として、ニッケルの組成が99.8mol%未満(実施例では、ニッケルの組成が50.0mol%〜90.7mol%の範囲)であることで、遷移金属複合水酸化物粒子のBET比表面積を向上させ、結晶性を低減できたので、出力特性とサイクル特性を向上させることができる正極活物質を得られることが判明した。
一方で、比較例1、2から、反応槽の気相部へ空気をパージしても、また、酸素を含む気体の供給自体を行わなくても、遷移金属複合水酸化物粒子のBET比表面積も結晶性も同程度であり、反応槽の気相部への空気のパージは、BET比表面積と結晶性に対して、あまり寄与しないことが判明した。
本発明の遷移金属複合水酸化物粒子の製造方法では、簡易な工程にて、結晶性が小さく、比表面積の大きい特性を有する遷移金属複合水酸化物粒子を製造でき、また、遷移金属複合水酸化物粒子の組成について選択の自由度にも優れるので、電池の正極活物質に使用される遷移金属複合水酸化物粒子を製造する分野で利用価値が高い。

Claims (4)

  1. 一般式NiCo(OH)2+a
    (式中、x+y+z=1、0.5≦x≦0.95、0≦y≦0.25、0≦z≦0.5、0≦a≦0.5、Mは、Mg、Ca、Al、Ti、Mn、Zr及びZnからなる群から選択された少なくとも1種の元素を意味する。)で表される、電池用正極活物質に用いられる遷移金属複合水酸化物粒子の製造方法であって、
    前記遷移金属複合水酸化物粒子の組成に応じた原料液を調製する原料液調製工程と、
    調製された前記原料液とアンモニウムイオン供給体を反応槽に供給し、前記反応槽内の溶液を、液温25℃基準におけるpH値を10.0〜14.0の範囲、且つアンモニウムイオン濃度を1.0g/L〜20g/Lの範囲に維持しながら、マイクロバブル発生装置から発生する酸素を含む気体を反応系に供給することにより形成された酸素濃度5.0容量%以上の酸化性雰囲気下にて、前記反応槽内の溶液を酸化触媒と接触させながら撹拌して、前記遷移金属複合水酸化物粒子を含むスラリーを得る工程と、
    を含む遷移金属複合水酸化物粒子の製造方法。
  2. 前記酸素を含む気体を、前記反応槽内の溶液に供給する請求項1に記載の製造方法。
  3. 前記酸化触媒が、鉄、鉄イオン、ニッケル、ニッケルイオン、クロム及びクロムイオンからなる群から選択された少なくとも1種を含む請求項1または2に記載の製造方法。
  4. 前記酸素を含む気体の平均直径が、1.0μm〜100μmである請求項1乃至3のいずれか1項に記載の製造方法。
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