JP6923106B1 - カラーフィルタ用顔料の製造方法 - Google Patents

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Abstract

粗顔料と無機塩と有機溶剤とを含む混合物を、800s−1を超える最大せん断速度で混練する混練工程を有し、粗顔料が、亜鉛、鉄、アルミニウム、マグネシウム、シリコン又はバナジウムを中心金属とするハロゲン化金属フタロシアニンで構成され、混練工程で混合物の混練に消費される電力量が、粗顔料1kgあたり10.0kWhより大きい、カラーフィルタ用顔料の製造方法。

Description

本発明は、カラーフィルタ用顔料の製造方法に関する。
現在、着色組成物は様々な分野に用いられており、着色組成物の具体的な用途としては、印刷インキ、塗料、樹脂用着色剤、繊維用着色剤、IT情報記録用色材(カラーフィルタ、トナー、インクジェット)などが挙げられる。着色組成物に用いられる色素は、主に顔料と染料とに大別されるが、着色力の点において優勢とされている有機顔料に注目が集まっている。
有機顔料は、カラーフィルタ用顔料として有用であることが知られている。カラーフィルタ用の有機顔料としては、フタロシアニン系顔料が注目されており、カラーフィルタの緑色画素部等に用いられている(例えば、特許文献1参照)。
国際公開2018/043548号パンフレット
本発明は、画素部の輝度を向上させることができるカラーフィルタ用顔料の製造方法を提供することを目的とする。
有機顔料を構成する有機化合物は、合成後には微粒子同士が凝集し、クルードと呼ばれる凝集体の状態で存在する。そのため、通常、合成後の有機化合物をそのまま顔料として用いることはできず、粒子サイズを調整するための顔料化工程が行われる。顔料化工程で顔料化される上記有機化合物の凝集体(クルード)は粗顔料と呼ばれ、当該粗顔料を混練等により磨砕することで、微細な有機顔料を得る。
有機顔料を製造するための粗顔料の顔料化は、通常、粗顔料と無機塩と有機溶剤とを含む混合物を混練することにより行われるが、混練時には粗顔料の微細化と同時に結晶化が進行する。混合物の混練に投入するエネルギー量(混練に消費される電力量)が大きくなりすぎると、上記結晶化が優勢となるため、微細な顔料を得るためには、投入するエネルギー量が大きくなりすぎないようにする(例えば、粗顔料1kgあたり8.0kWh以下の消費電力量とする)必要がある。
本発明者らは、フタロシアニン系顔料が画素部の輝度を向上させ得る顔料でありながら、結晶化し易い顔料である点に着目し、フタロシアニン系顔料の製造において、上記混練時の結晶化を抑制することができれば、通常よりも大きなエネルギー量で混練した場合でも粗顔料の微細化が優勢となり、フタロシアニン系顔料をより一層微細化することができ、結果として、画素部の輝度をより向上させることができるカラーフィルタ顔料を得ることができるのではないかとの着想を得た。本発明者らは、上記着想に基づき鋭意検討を行った結果、本発明を完成させた。
すなわち、本発明の一側面は、粗顔料と無機塩と有機溶剤とを含む混合物を、800s−1を超える最大せん断速度で混練する混練工程を有し、粗顔料が、亜鉛、鉄、アルミニウム、マグネシウム、シリコン又はバナジウムを中心金属とするハロゲン化金属フタロシアニンで構成され、混練工程で混合物の混練に消費される電力量が、粗顔料1kgあたり10.0kWhより大きい、カラーフィルタ用顔料の製造方法に関する。
上記側面の製造方法によれば、画素部の輝度を向上させることができるカラーフィルタ用顔料を得ることができる。
ハロゲン化金属フタロシアニンは、金属フタロシアニンにおける芳香環上の水素原子の少なくとも一部がハロゲン化されてなる化合物であり、当該芳香環のハロゲン化に起因して、フタロシアニン環が歪んだ構造をとりやすいため、結晶化し難い傾向がある。そのため、粗顔料としてハロゲン化金属フタロシアニンで構成される粗顔料を用いることで、混練時に投入するエネルギー量(混練に消費される電力量)を大きくした場合にも結晶化が進行し難いと推察される。一方、本発明者らの検討の結果明らかになったことであるが、混練時に投入するエネルギー量(混練に消費される電力量)が大きい場合、上記ハロゲン化金属フタロシアニンで構成される粗顔料を用いたとしても、混練時の最大せん断速度が800s−1以下であると粗顔料の凝集が進行してしまう。そのため、混練時の最大せん断速度は800s−1より大きくする必要がある。混練時の最大せん断速度を800s−1より大きくすることで、混練中、粗顔料の凝集が起こり難い状態が維持されることとなり、粗顔料の微細化が優勢となると推察される。
一態様において、粗顔料のpHは5未満であってよい。この場合、粗顔料の中心金属は、亜鉛、鉄又はマグネシウムであってよい。また、この場合、カラーフィルタ用顔料の製造方法は、混練工程で得られた混練後の混合物を、25℃でのpHが8よりも大きい水溶液で洗浄する洗浄工程をさらに有してよい。
一態様において、粗顔料における、ハロゲン化金属フタロシアニン1分子中のハロゲン原子の数の平均は、9個以上であってよい。
一態様において、混練工程では、110℃よりも低い温度で混合物を混練してよい。
一態様において、混練工程における無機塩の使用量は、粗顔料1質量部に対し、30質量部以上であってよい。
本発明によれば、画素部の輝度を向上させることができるカラーフィルタ用顔料の製造方法を提供することができる。
図1は、一実施形態の製造方法で使用される混練装置の内部構造を示す模式断面図である。 図2は、他の一実施形態の製造方法で使用される混練装置の内部構造を示す模式平面図である。 図3は、図2のIII−III線に沿った矢視断面図である。
以下、本発明の好適な実施形態について説明する。ただし、本発明は下記実施形態に何ら限定されるものではない。
一実施形態のカラーフィルタ用顔料の製造方法は、例えば、粗顔料を用意する第1の工程と、当該粗顔料を顔料化する第2の工程と、を有する。
第1の工程で用意する粗顔料は、亜鉛、鉄、アルミニウム、マグネシウム、シリコン又はバナジウムを中心金属とするハロゲン化金属フタロシアニン(以下、単に「ハロゲン化金属フタロシアニン」ともいう)で構成される。すなわち、粗顔料は、ハロゲン化亜鉛フタロシアニン粗顔料、ハロゲン化鉄フタロシアニン粗顔料、ハロゲン化アルミニウムフタロシアニン粗顔料、ハロゲン化マグネシウムフタロシアニン粗顔料、ハロゲン化シリコンフタロシアニン粗顔料及びハロゲン化バナジウムフタロシアニン粗顔料からなる群より選ばれるハロゲン化金属フタロシアニン粗顔料であり、本実施形態の製造方法で製造されるカラーフィルタ用顔料は、ハロゲン化亜鉛フタロシアニン顔料、ハロゲン化鉄フタロシアニン顔料、ハロゲン化アルミニウムフタロシアニン顔料、ハロゲン化マグネシウムフタロシアニン顔料、ハロゲン化シリコンフタロシアニン顔料及びハロゲン化バナジウムフタロシアニン顔料からなる群より選ばれるハロゲン化金属フタロシアニン顔料である。
粗顔料は、例えば、合成直後のハロゲン化金属フタロシアニンを析出させて得られたもの(例えばハロゲン化金属フタロシアニンの凝集体)であってよい。粗顔料は、1種のハロゲン化金属フタロシアニンで構成されていてよく、ハロゲン原子数の異なる複数種のハロゲン化金属フタロシアニンで構成されていてもよい。
ハロゲン化金属フタロシアニンは、例えば、下記式(1)で表される構造を有する。
Figure 0006923106
式(1)中、X〜X16は、各々独立に、水素原子又はハロゲン原子を表す。Mは、中心金属であり、Zn(亜鉛)、Fe(鉄)、Al(アルミニウム)、Mg(マグネシウム)、Si(シリコン)又はV(バナジウム)を表す。Zは、中心金属(M)に結合する軸配位子であり、ハロゲン原子、酸素原子、水酸基、スルホン酸基、−OP(=O)R[R及びRは、それぞれ独立に、水素原子、水酸基、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアリール基、置換基を有してもよいアルコキシル基又は置換基を有してもよいアリールオキシ基を表す。]で表される基、−OC(=O)R[Rは、水素原子、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいシクロアルキル基、置換基を有してもよいアリール基又は置換基を有してもよい複素環基を表す。]で表される基、−OS(=O)[Rは、水酸基、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアリール基又は置換基を有してもよい複素環基を表す。)]で表される基を表す。mは、Mに結合するZの数を表し、0〜2の整数である。
〜Rにおけるアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、ネオペンチル基、n−へキシル基、n−オクチル基、ステアリル基、2−エチルへキシル基等の直鎖又は分岐アルキル基が挙げられる。置換基を有するアルキル基の置換基としては、塩素原子、フッ素原子、臭素原子等のハロゲン原子、メトキシ基等のアルコキシル基、フェニル基、トリル基等のアリール基、ニトロ基などが挙げられる。置換基は、複数あってもよい。置換基を有するアルキル基としては、例えば、トリクロロメチル基、トリフルオロメチル基、2,2,2−トリフルオロエチル基、2,2−ジブロモエチル基、2−エトキシエチル基、2−ブトキシエチル基、2−ニトロプロピル基、べンジル基、4−メチルべンジル基、4−tert−ブチルべンジル基、4−メトキシべンジル基、4−ニトロべンジル基、2,4−ジクロロべンジル基等が挙げられる。
〜Rにおけるアリール基としては、フェニル基、p−トリル基等の単環芳香族炭化水素基、ナフチル基、アンスリル基等の縮合芳香族炭化水素基などが挙げられる。置換基を有するアリール基の置換基としては、塩素原子、フッ素原子、臭素原子等のハロゲン原子、アルコキシル基、アミノ基、ニトロ基などが挙げられる。置換基は、複数あってもよい。置換基を有するアリール基としては、例えば、p−ブロモフェニル基、p−ニトロフェニル基、p−メトキシフェニル基、2,4−ジクロロフェニル基、ペンタフルオロフェニル基、2−ジメチルアミノフェニル基、2−メチル−4−クロロフェニル基、4−メトキシ−1−ナフチル基、6−メチル−2−ナフチル基、4,5,8−トリクロロ−2−ナフチル基、アントラキノニル基等が挙げられる。
及びRにおけるアルコキシル基としては、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、n−ブトキシ基、イソブトキシ基、tert−ブトキシ基、ネオペンチルオキシ基、2,3−ジメチル−3−ペンチルオキシ基、n−へキシルオキシ基、n−オクチルオキシ基、ステアリルオキシ基、2−エチルへキシルオキシ基等の直鎖又は分岐アルコキシル基が挙げられる。置換基を有するアルコキシル基の置換基としては、塩素原子、フッ素原子、臭素原子等のハロゲン原子、アルコキシル基、フェニル基、トリル基等のアリール基、ニトロ基などが挙げられる。置換基は、複数あってもよい。置換基を有するアルコキシル基としては、例えば、トリクロロメトキシ基、トリフルオロメトキシ基、2,2,2−トリフルオロエトキシ基、2,2,3,3−テトラフルオロプロポキシ基、2,2−ジトリフルオロメチルプロポキシ基、2−エトキシエトキシ基、2−ブトキシエトキシ基、2−ニトロプロポキシ基、ベンジルオキシ基等が挙げられる。
及びRにおけるアリールオキシ基としては、フェノキシ基、p−メチルフェノキシ基等の単環芳香族炭化水素基からなるアリールオキシ基、ナフタルオキシ基、アンスリルオキシ基等の縮合芳香族炭化水素基からなるアリールオキシ基などが挙げられる。置換基を有するアリールオキシ基の置換基としては、塩素原子、フッ素原子、臭素原子等のハロゲン原子、アルキル基、アルコキシル基、アミノ基、ニトロ基などが挙げられる。置換基は、複数あってもよい。置換基を有するアリールオキシ基としては、例えば、p−ニトロフェノキシ基、p−メトキシフェノキシ基、2,4−ジクロロフェノキシ基、ペンタフルオロフェノキシ基、2−メチル−4−クロロフェノキシ基等が挙げられる。
におけるシクロアルキル基としては、シクロペンチル基、シクロへキシル基、2,5−ジメチルシクロペンチル基、4−tert−ブチルシクロヘキシル基等の単環脂肪族炭化水素基、ボルニル基、アダマンチル基等の縮合脂肪族炭化水素基などが挙げられる。置換基を有するシクロアルキル基の置換基としては、塩素原子、フッ素原子、臭素原子等のハロゲン原子、アルキル基、アルコキシル基、水酸基、アミノ基、ニトロ基などが挙げられる。置換基は、複数あってもよい。置換基を有するシクロアルキル基としては、例えば、2,5−ジクロロシクロペンチル基、4−ヒドロキシシクロヘキシル基等が挙げられる。
及びRにおける複素環基としては、ピリジル基、ピラジル基、ピペリジノ基、ピラニル基、モルホリノ基、アクリジニル基等の脂肪族複素環基、芳香族複素環基などが挙げられる。置換基を有する複素環基の置換基としては、塩素原子、フッ素原子、臭素原子等のハロゲン原子、アルキル基、アルコキシル基、水酸基、アミノ基、ニトロ基などが挙げられる。置換基は、複数あってもよい。置換基を有する複素環基としては、例えば、3−メチルピリジル基、N−メチルピペリジル基、N−メチルピロリル基等が挙げられる。
〜X16で表されるハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子及びヨウ素原子が挙げられる。より優れた輝度が得られる観点では、X〜X16の少なくとも1つが、臭素原子又は塩素原子であることが好ましく、臭素原子であることがより好ましい。X〜X16の全てが、塩素原子又は臭素原子であってもよい。
MがAl、Si又はVである場合、より優れた輝度が得られやすい。この理由は、中心金属(M)に結合する軸配位子(Z)によって、分子間相互作用によるフタロシアニン環のスタッキングが起こり難くなり、粗顔料がより結晶性の低いものとなるためであると推察される。また、MがZn、Fe又はMgである場合、ハロゲン化金属フタロシアニンの合成の際に水と反応して酸を発生する化合物を用いた場合において、より優れた輝度が得られやすい。この理由は、以下のとおりと推察される。すなわち、ハロゲン化によって歪んだ構造を有するハロゲン化金属フタロシアニンにおいてMがZn、Fe又はMgである場合、MがCu(銅)、Ni(ニッケル)、Co(コバルト)等である場合と比較して、フタロシアニン環の中心金属(M)と、イソインドリンユニット上の窒素原子との距離が長く、中心金属(M)周辺に大きな空孔が形成されている。そのため、酸性条件下でイソインドリンユニット上の窒素原子がプロトン化された場合、MがZn、Fe又はMgであると、MがCu(銅)、Ni(ニッケル)、Co(コバルト)等である場合と比較して、カウンターアニオン(例えば塩化物イオン等のハロゲン化物イオン)が中心金属に接近した状態で安定化しやすくなる。このカウンターアニオンの存在により、分子間相互作用によるフタロシアニン環のスタッキングが起こり難くなることで、粗顔料がより結晶性の低いものとなるため、より優れた輝度が得られると推察される。
mは、Mの価数によって異なる。Mの価数が2である場合、すなわち、MがZn、Fe又はMgである場合、mは0である。Mの価数が3である場合、すなわち、MがAlである場合、mは1である。この場合、Zは、ハロゲン原子、水酸基、スルホン酸基、−OP(=O)Rで表される基、−OC(=O)Rで表される基、−OS(=O)で表される基である。Mの価数が4である場合、すなわち、MがSi又はVである場合、mは1又は2である。Mの価数が4でありmが1である場合、Zは酸素原子であり、MとZ(酸素原子)は二重結合により互いに結合している。Mの価数が4でありmが2である場合、Zは、ハロゲン原子、水酸基、スルホン酸基、−OP(=O)Rで表される基、−OC(=O)Rで表される基、−OS(=O)で表される基であり、複数のZは、互いに同一であっても異なっていてもよい。Zで表されるハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子及びヨウ素原子が挙げられる。
粗顔料における、ハロゲン化金属フタロシアニン(例えば式(1)で表される化合物)1分子中のハロゲン原子の数の平均は、0.1個以上16個以下である。ハロゲン原子の数の平均は、9個未満であってもよいが、好ましくは9個以上である。ハロゲン原子の数の平均が9個以上であると、フタロシアニン環のα位にハロゲン原子が5個以上存在する(式(1)で表される化合物では、X、X、X、X、X、X12、X13及びX16のうちの少なくとも5個がハロゲン原子となる)こととなり、少なくとも2つのハロゲン原子が隣り合って存在することになるため、フタロシアニン環が歪んだ構造をとりやすく、粗顔料の結晶性がより低くなる傾向がある。そのため、ハロゲン原子の数の平均が9個以上であると、本発明の効果が顕著に得られる傾向がある。かかる観点から、ハロゲン原子の数の平均は10個以上、11個以上、12個以上、13個以上、14個以上又は15個以上であってもよい。なお、ハロゲン化金属フタロシアニンが軸配位子にハロゲン原子を含む場合、上記ハロゲン原子の数とは、芳香環の水素原子を置換するハロゲン原子の数を意味する。
粗顔料における、ハロゲン化金属フタロシアニン(例えば式(1)で表される化合物)1分子中の臭素原子の数の平均は、13個未満であっても、13個以上であってよい。
臭素原子の数の平均が13個未満である場合、臭素原子の数の平均は、0.1個以上、6個以上又は8個以上であってよい。また、臭素原子の数の平均は、12個以下又は11個以下であってもよい。上述の上限値及び下限値は、任意に組み合わせることができる。例えば、臭素原子の数の平均は、0.1個以上13個未満、8〜12個又は8〜11個であってよい。なお、以下の同様の記載においても、個別に記載した上限値及び下限値は任意に組み合わせ可能である。
臭素原子の数の平均が13個未満である場合、粗顔料における、ハロゲン化金属フタロシアニン(例えば式(1)で表される化合物)1分子中の塩素原子の数の平均は、5個以下、3個以下、2.5個以下又は2個未満であってよい。塩素原子の数の平均は、0.1個以上、0.3個以上、0.6個以上、0.8個以上、1個以上、1.3個以上又は2個以上であってよい。
臭素原子の数の平均が13個未満である場合、粗顔料における、ハロゲン化金属フタロシアニン(例えば式(1)で表される化合物)1分子中のハロゲン原子の数の平均は、14個以下、13個以下、13個未満又は12個以下であってよい。ハロゲン原子の数の平均は、8個以上、9個以上又は10個以上であってもよい。
臭素原子の数の平均が13個以上である場合、臭素原子の数の平均は15個以下であってよい。臭素原子の数の平均は14個以上であってもよい。
臭素原子の数の平均が13個以上である場合、粗顔料における、ハロゲン化金属フタロシアニン(例えば式(1)で表される化合物)1分子中の塩素原子の数の平均は、0.1個以上又は1個以上であってよい。塩素原子の数の平均は、3個以下又は2個未満であってよい。
臭素原子の数の平均が13個以上である場合、粗顔料における、ハロゲン化金属フタロシアニン(例えば式(1)で表される化合物)1分子中のハロゲン原子の数の平均は、13個以上、14個以上又は15個以上であってよい。ハロゲン原子の数の平均は、15個以下であってもよい。
上記ハロゲン原子の数(例えば、臭素原子の数及び塩素原子の数)は、例えば、マトリックス支援レーザー脱離イオン化飛行時間質量分析計(日本電子株式会社製のJMS−S3000等)を用いた粗顔料の質量分析により特定することができる。具体的には、粗顔料における、金属原子(ハロゲン化金属フタロシアニンの中心金属となる金属原子)と各ハロゲン原子の質量比から、金属原子1個あたりの相対値として、各ハロゲン原子の数を算出することができる。
第1の工程は、例えば、クロロスルホン酸法、ハロゲン化フタロニトリル法、溶融法等の公知の製造方法により、亜鉛、鉄、アルミニウム、マグネシウム、シリコン又はバナジウムを中心金属とするハロゲン化金属フタロシアニンを合成する工程と、合成したハロゲン化金属フタロシアニンを析出させて粗顔料(ハロゲン化金属フタロシアニン粗顔料)を得る工程とを含む。ハロゲン化金属フタロシアニンを合成する工程は、例えば、水と反応して酸を発生する化合物を用いてハロゲン化金属フタロシアニンを合成する工程であってもよい。水と反応して酸を発生する化合物を用いてハロゲン化金属フタロシアニンを合成する方法としては、例えば、クロロスルホン酸法、溶融法等が挙げられる。
クロロスルホン酸法としては、金属フタロシアニン(例えば亜鉛フタロシアニン)を、クロロスルホン酸等の硫黄酸化物系の溶媒に溶解し、これに塩素ガス、臭素を仕込みハロゲン化する方法が挙げられる。この際の反応は、例えば、温度20〜120℃かつ3〜20時間の範囲で行われる。クロロスルホン酸法では、上記クロロスルホン酸等の硫黄酸化物系の溶媒が水と反応して酸を発生する化合物である。例えば、クロロスルホン酸は、水と反応して塩酸と硫酸を発生する。
ハロゲン化フタロニトリル法としては、例えば、芳香環の水素原子の一部又は全部が臭素の他、塩素等のハロゲン原子で置換されたフタル酸又はフタロジニトリルと、中心金属となる金属又は当該金属の塩を適宜出発原料として使用して、対応するハロゲン化金属フタロシアニンを合成する方法が挙げられる。この場合、必要に応じてモリブデン酸アンモニウム等の触媒を用いてもよい。この際の反応は、例えば、温度100〜300℃かつ7〜35時間の範囲で行われる。
溶融法としては、塩化アルミニウム、臭化アルミニウム等のハロゲン化アルミニウム、四塩化チタン等のハロゲン化チタン、塩化ナトリウム、臭化ナトリウム等のアルカリ金属ハロゲン化物又はアルカリ土類金属ハロゲン化物(以下、「アルカリ(土類)金属ハロゲン化物」という)、塩化チオニルなど、各種のハロゲン化の際に溶媒となる化合物の一種又は二種以上の混合物からなる10〜170℃程度の溶融物中で、金属フタロシアニン(例えば亜鉛フタロシアニン)をハロゲン化剤にてハロゲン化する方法が挙げられる。溶融法では、上記ハロゲン化アルミニウム、ハロゲン化チタン、アルカリ(土類)金属ハロゲン化物、塩化チオニル等のハロゲン化の際に溶媒となる化合物が水と反応して酸を発生する化合物である。例えば、塩化アルミニウムは、水と反応して塩酸を発生する。
好適なハロゲン化アルミニウムは、塩化アルミニウムである。ハロゲン化アルミニウムを用いる上記方法における、ハロゲン化アルミニウムの添加量は、金属フタロシアニン(例えば亜鉛フタロシアニン)に対して、通常は、3倍モル以上であり、好ましくは10〜20倍モルである。
ハロゲン化アルミニウムは単独で用いてもよいが、アルカリ(土類)金属ハロゲン化物をハロゲン化アルミニウムに併用すると溶融温度をより下げることができ、操作上有利になる。好適なアルカリ(土類)金属ハロゲン化物は、塩化ナトリウムである。加えるアルカリ(土類)金属ハロゲン化物の量は溶融塩を生成する範囲内でハロゲン化アルミニウム10質量部に対してアルカリ(土類)金属ハロゲン化物が1〜15質量部が好ましい。
ハロゲン化剤としては、塩素ガス、塩化スルフリル、臭素等が挙げられる。
ハロゲン化の温度は10〜170℃が好ましく、30〜140℃がより好ましい。さらに、反応速度を速くするため、加圧することも可能である。反応時間は、5〜100時間であってよく、好ましくは30〜45時間である。
前記化合物の二種以上を併用する溶融法は、溶融塩中の塩化物と臭化物とヨウ化物の比率を調節したり、塩素ガス、臭素、ヨウ素等の導入量及び反応時間を変化させたりすることによって、生成するハロゲン化金属フタロシアニン中における特定ハロゲン原子組成のハロゲン化金属フタロシアニンの含有比率を任意にコントロールすることができるため好ましい。また、溶融法によれば、反応中の原料の分解が少なく原料からの収率がより優れ、強酸を用いず安価な装置にて反応を行うことができる。
本実施形態では、原料仕込み方法、触媒種及びその使用量、反応温度並びに反応時間の最適化により、既存のハロゲン化金属フタロシアニンとは異なるハロゲン原子組成のハロゲン化金属フタロシアニンを得ることができる。
上記いずれの方法であっても、反応終了後に得られる反応溶液においてハロゲン化金属フタロシアニンは反応溶液中に溶解した状態である。反応終了後、得られた混合物(反応溶液)を水、塩酸等の酸性水溶液、又は、水酸化ナトリウム水溶液等の塩基性水溶液中に投入し、生成したハロゲン化金属フタロシアニンを沈殿(析出)させる。この際、上記水と反応して酸を発生する化合物を用いた場合に水、塩酸等の酸性水溶液を用いると、塩酸、硫酸等の酸が発生し、沈殿物中に酸が内包され、粗顔料中に酸が残留することとなる。一方、塩基性水溶液を用いる場合には、酸の発生が抑制されるため、沈殿物中に酸が内包することを抑制することができ、粗顔料中に酸が残留することを抑制することができる。粗顔料が酸を内包すると、顔料化の際に酸による粒子の凝集が促進され、顔料粒子の微細化が阻害されると考えられるが、上記方法で粗顔料に内包される酸を低減することで、より微細な顔料粒子を得ることができる。
第1の工程は、析出工程後に、上記沈殿物を、後処理する後処理工程をさらに含んでいてもよい。
第1の工程は、例えば、上記沈殿物を濾過する工程(第1の後処理工程)をさらに含んでいてもよい。第1の後処理工程は、上記沈殿物をろ過し、洗浄する工程であってよく、上記沈殿物をろ過し、洗浄し、乾燥する工程であってよい。洗浄は、例えば、水、硫酸水素ナトリウム水、炭酸水素ナトリウム水、水酸化ナトリウム水等の水性溶剤を用いて行ってよい。洗浄では、必要に応じて、アセトン、トルエン、メチルアルコール、エチルアルコール、ジメチルホルムアミド等の有機溶剤を用いてもよい。例えば、水性溶剤での洗浄後、有機溶剤での洗浄を行ってよい。洗浄は、複数回(例えば2〜5回)繰り返し行ってもよい。具体的には、ろ液のpHが洗浄に用いられる水のpHと同等(例えば、両者の差が0.2以下)になるまで洗浄を行うことが好ましい。
第1の工程は、例えば、上記沈殿物を乾式磨砕する工程(第2の後処理工程)をさらに含んでいてもよい。乾式磨砕は、例えば、アトライター、ボールミル、振動ミル、振動ボールミル等の粉砕機内で行ってよい。乾式粉砕は、加熱しながら(例えば粉砕機内部の温度が40℃〜200℃となるように加熱しながら)行ってもよい。乾式磨砕後は水での洗浄を行ってもよい。乾式磨砕後(特にアトライターによる乾式磨砕後)に水での洗浄を行うことで、粗顔料に内包される酸の量をより低減することができる。洗浄は、水洗(40℃未満の水による洗浄)、湯洗(40℃以上の水による洗浄)のいずれであってもよい。洗浄は、第1の後処理工程と同様にろ液のpHが洗浄に用いられる水のpHと同等(例えば、両者の差が0.2以下)になるまで行うことが好ましい。なお、水での洗浄の際又はその前には、沈殿物の濡れ性を向上させる処理(例えば沈殿物をメタノール等の水溶性有機溶剤と接触させる処理)を行ってもよい。乾式磨砕と洗浄は複数回繰り返し行ってもよい。
第1の工程は、例えば、上記沈殿物を水と共に混練する工程(第3の後処理工程)をさらに含んでいてもよい。第3の後処理工程を行うことで、粗顔料に内包される酸の量をより一層低減することができる。混練は、例えばニーダー、ミックスマラー等を用いて行うことができる。混練は、加熱しながら行ってもよい。例えば、水の温度を40℃以上としてもよい。水には、無機塩を添加してもよい。この際、少なくとも一部の無機塩を固体状で存在させることで、混練時に加わる力を向上させることができる。混練時には有機溶剤(例えば、後述する第2の工程で用い得る有機溶剤)を使用してもよいが、有機溶剤の使用量は水の使用量よりも少ないことが好ましく、有機溶剤を使用しないことがより好ましい。混練後は、第1の後処理工程と同様にして洗浄を行ってもよい。混練及び洗浄は複数回繰り返し行ってもよい。
第1の工程は、例えば、沈殿物を水中で加熱(例えば煮沸)する工程(第4の後処理工程)をさらに含んでいてもよい。第4の後処理工程を行うことで、粗顔料に内包される酸の量をより一層低減することができる。水中での加熱温度は、例えば、40℃以上沸点以下であってよく、加熱時間は、例えば、1〜300分間であってよい。水中には、有機溶剤(例えば、後述する第2の工程で用い得る有機溶剤)を混在させてもよいが、有機溶剤の混在量は、水100質量部に対して、好ましくは20質量部以下である。第4の後処理工程では、より一層酸を除去する観点から、沈殿物を水中で加熱した後に洗浄を行ってよく、沈殿物を水中で加熱した後に洗浄を行い、さらに水中での加熱及び洗浄を1回以上(好ましくは2回以上)繰り返し行ってもよい。洗浄は、第1の後処理工程と同様にして行ってよい。
本実施形態では、上述した第1〜第4の後処理工程のうちの2以上の工程を実施してもよい。第1〜第4の後処理工程のうちの2以上の工程を実施する場合、その順序は特に限定されない。
上記第1の工程により粗顔料が得られるが、上述したとおり、本実施形態では、第1の工程で得られた上記沈殿物をそのまま粗顔料としてよく、上記沈殿物に対して上記後処理工程(第1〜第4の後処理工程のうちの少なくとも一の工程)を行ったものを粗顔料としてもよい。
粗顔料の粒度分布の算術標準偏差は、例えば、15nm以上である。粗顔料の粒度分布の算術標準偏差は、例えば、1500nm以下である。粗顔料の粒度分布の算術標準偏差がこのような範囲であると、より微細な顔料粒子が得られやすくなる。粗顔料の粒度分布の算術標準偏差は、動的光散乱式粒子径分布測定装置を用いて測定することができ、具体的には以下の方法、条件で測定することができる。
<方法>
粗顔料2.48gを、ビックケミー社製BYK−LPN6919 1.24g、DIC株式会社製ユニディックZL−295 1.86g、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート10.92gと共に0.3〜0.4mmのジルコンビーズを用いて、東洋精機株式会社製ペイントシェーカーで2時間分散して分散体を得る。ジルコンビーズをナイロンメッシュで取り除いた後の分散体0.02gをプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート20gで希釈して粒度分布測定用分散体を得る。
<条件>
・測定機器:動的光散乱式粒子径分布測定装置LB−550(株式会社堀場製作所製)
・測定温度:25℃
・測定試料:粒度分布測定用分散体
・データ解析条件:粒子径基準 散乱光強度、分散媒屈折率 1.402
粗顔料は、酸を内包していてよい。粗顔料が酸を内包することは、粗顔料 5gをメタノール 5gと混合した後、さらにイオン交換水 100mlと混合し、得られた混合物を5分間加熱して煮沸状態とし、さらに5分間加熱して煮沸状態を維持し、加熱後の混合物を30℃以下に放冷した後、イオン交換水で混合物の全量を100mlに調整してからろ過し、得られたろ液の25℃でのpHを測定することにより確認できる。本明細書では、上記方法により測定されるろ液のpHを「粗顔料のpH」と定義する。粗顔料のpHが、5未満である場合、本発明の効果が顕著に得られる傾向がある。特に、粗顔料を構成するハロゲン化金属フタロシアニンの中心金属が亜鉛、鉄又はマグネシウムである場合、当該粗顔料が酸を内包した場合に結晶性がより一層低くなりやすく、本発明の効果が一層顕著に得られる傾向がある。かかる観点から、粗顔料のpHは、4.5以下又は3.5以下であってもよい。上記ろ液のpHは、例えば、2.0以上であってよい。
第2の工程は、第1の工程で用意した粗顔料と無機塩と有機溶剤とを含む混合物を、800s−1を超える最大せん断速度で混練する混練工程を含む。混練工程では、混練装置を用いて混合物を混練することにより粗顔料が磨砕され、微細化される。混練装置としては、例えば、ニーダー、ミックスマラー、プラネタリーミキサー、連続式一軸混練機、フラッシャー等を使用することができる。混練装置は、開放型であっても密閉型であってもよいが、密閉型であれば、有機溶剤の揮発を抑制でき、混練時間をより長くすることができる。また、ニーダーは接線式であっても噛合式であってもよいが、接線式であれば、混練物の粘性が高い場合にも効率的に混練することができる。
図1は、一実施形態の製造方法で使用される混練装置の内部構造を示す模式断面図である。図1に示す混練装置10は、双腕型ニーダーであり、混練室11と、当該混練室11に設けられた一対のブレード12と、を備える。混練工程では、混合物を混練室11に投入した後、モーターにより、一対のブレード12を回転させる。混練装置10では、混練室11の内壁面11aとブレード12との間に隙間(クリアランス)C1が存在しており、一対のブレード12が互いに逆の方向(図1に示す矢印方向)に回転軸L1を中心として回転することで、クリアランスC1を通過する混合物にせん断応力が加わり、粗顔料が微細化される。通常、一対のブレード12の形状は互いに同一である。
図2は、他の一実施形態で使用される混練装置の内部構造を示す模式平面図であり、図3は、図2のIII−III線に沿った矢視断面図である。図2及び図3に示す混練装置20は、ミックスマラーであり、円形の底面21aを有する混練室21と、当該混練室21に設けられた一対のマラーホイール22、柱部23、連結部24及び加圧ばね25と、を備える。マラーホイール22は、連結部24により柱部23に連結されている。柱部23は、底面21aの中央から垂直に延びており、モーターにより回転軸L1を中心として回転可能である。混練工程では、混合物を混練室21の底面21a上に配置した後、柱部23を回転させることで一対のマラーホイール22を、柱部23の周りを公転させる。混練装置20では、混練室21の底面21aとマラーホイール22との間に隙間(クリアランス)C2が存在しており、マラーホイール22の自重及び/又は加圧ばね25により鉛直方向からの荷重を加えた状態で、マラーホイール22が公転すると共にクリアランスC2を通過する混合物との接触により自転することによって、混合物にニーディング作用、スメアリング作用及びスパチュレイト作用が働き、粗顔料が微細化される。通常、一対のマラーホイール22の形状は互いに同一である。
混練時の最大せん断速度は、800s−1超であり、混練時の粗顔料の凝集がより抑制され、粗顔料をより微細化することができる観点では、1500s−1以上又は2500s−1以上であってもよい。最大せん断速度は、顔料粒子の破砕を防ぐ観点では、5000s−1以下であってよい。これらの観点から、最大せん断速度は、800s−1超5000s−1以下、1500〜5000s−1又は2500〜5000s−1であってよい。ここで、「最大せん断速度」は、混練装置中で混練物のせん断速度が最大となる箇所のせん断速度を意味する。「せん断速度」は、混練物の移動速度(単位時間あたりに移動する距離)をvとし、混練物が当該移動速度vで通過する箇所の幅の長さをhとすると、v/hで表すことができる。例えば、図1に示す混練装置10を用いる場合、クリアランスC1におけるせん断速度は、クリアランスC1を通過する際の混練物の移動速度をvとし、クリアランスC1の幅をhとすることで求められる。また、例えば、図2に示す混練装置20を用いる場合、クリアランスC2におけるせん断速度は、クリアランスC2を通過する際の混練物の移動速度をvとし、クリアランスC2の幅をhとすることで求められる。通常は、クリアランスが最も狭くなる箇所で混練物の移動速度(単位時間あたりに移動する距離)が最大となり、せん断速度が最大となる。通常、混練物は、せん断速度が最大となる箇所において混練によるせん断の影響を最も大きく受けることから、最大せん断速度を800s−1よりも大きくすることで、粗顔料の凝集が起こり難い状態を維持することができる。
最大せん断速度は、例えば、混練装置の形状及び回転体(例えばブレード12、柱部23等)の回転速度により調整することができる。具体的には、例えば、図1に示す混練装置10では、ブレード12の最大半径r(ブレード12の回転軸L1からブレード12の表面までの最短距離のうち最も長いもの)から求められるブレード12の回転軌道の外周(2×最大半径r×π)とブレード12の回転速度との積が混練物の最大移動速度となるため、ブレード12の形状及びブレード12の回転速度等を調整することで混練物の最大移動速度及びクリアランスを調整し、所望の最大せん断速度とすることができる。また、例えば、図2に示す混練装置20では、柱部23の中心を通る回転軸L2からマラーホイール22までの最短距離Dとマラーホイールのホイール幅Wの和から求められるマラーホイール22の公転軌道の外周(2×[最短距離D+ホイール幅W]×π)と柱部23の回転速度との積が混練物の最大移動速度となるため、マラーホイールの形状、連結部24の水平方向の長さ、柱部23の回転速度、マラーホイールに加えるテンションの強さ等を調整することで混練物の最大移動速度及びクリアランスを調整し、所望のせん断速度とすることができる。
図1に示す混練装置10を用いる場合、クリアランスC1の幅の最小値は、例えば、0.1〜3.0mm、0.1〜1.0mm又は0.1〜0.4mmとすることができる。ブレード12の回転速度(一対のブレード12の回転速度が互いに異なる場合、回転速度が速い側のブレード12の回転速度)は、例えば、30〜300rpm、100〜200rpm又は120〜160rpmとすることができる。一対のブレード12の回転速度の回転速度比は、例えば、2:1〜1:2又は1.5:1〜1:1.5であってよい。ブレードには、シグマブレード、マスチケーターブレード、Zブレード、ダブルナーベンブレード等を用いることができる。
図2に示す混練装置20を用いる場合、クリアランスC2の幅の最小値は、例えば、1〜30mm、1〜20mm又は1〜5mmとすることができる。マラーホイール22のホイール幅Wは、例えば、10〜100mm、20〜50mm又は30〜40mmとすることができる。また、柱部23の回転速度(マラーホイールの公転速度)は、例えば、10〜100rpm、10〜60rpm又は15〜45rpmとすることができる。マラーホイールの自転速度は、例えば、10〜100rpm、10〜60rpm又は15〜45rpmとすることができる。マラーホイールの自転速度は、マラーホイールの公転速度と同じであってよい。
混練物の最大移動速度は、例えば、500〜3500mm/s、700〜3000mm/s又は2000〜3000mm/sとすることができる。
混練工程では、110℃よりも低い温度で混合物を混練してよい。混練温度が110℃未満であることで、粗顔料の結晶化がより抑制される。かかる観点から、混練温度は、100℃以下又は90℃以下であってよい。混練温度は、例えば、25℃以上、40℃以上又は60℃以上であってよい。混練温度は110℃以上であってもよい。混練温度は、例えば、25〜150℃以下、25℃以上110℃未満、40〜100℃又は60〜90℃であってよい。なお、上記混練温度は、混練時の混合物(混練物)の温度である。混練工程では、混練物の温度を上記範囲に調整するために、温度調整装置を用いてもよい。例えば、温度調整装置で加温した熱媒(エチレングリコール等)を混練装置のジャケットに流すことにより混合物を加温してよい。
混練工程では、混合物の混練に消費される電力量が、粗顔料1kgあたり10.0kWhより大きい。ここで、「混合物の混練に消費される電力量」は、混練により混合物に投入されるエネルギー量と同義であり、混合物の混練時間中、すなわち、混練開始から混練終了までの間に、混練装置が消費した総電力量から、混練装置に混合物を投入せずに混練時間と同じ時間混練装置を空運転させた時に混練装置が消費する電力量を引くことにより求められる。ただし、加熱のために電力を消費する場合、加熱のための電力量(例えば、上記温度調整装置による熱媒の加熱のための電力量)は、上記電力量には含まれない。
混合物の混練に消費される電力量は、粗顔料をより微細化し、輝度の向上効果に一層優れるカラーフィルタ顔料を得る観点では、粗顔料1kgあたり、14.0kWh以上又は25.0kWh以上としてもよい。混合物の混練に消費される電力量は、過剰な混練による粗顔料の凝集を抑制する観点では、粗顔料1kgあたり、100.0kWh以下、70.0kWh以下又は50.0kWh以下としてよい。これらの観点から、混合物の混練に消費される電力量は、粗顔料1kgあたり、10.0kWh超100.0kWh以下、14.0〜70.0kWh又は14.0〜50.0kWhとしてよい。なお、混合物の混練に消費される電力量は、混練時間、混練装置の形状、回転体(例えばブレード12、柱部23等)の回転速度、混合物の配合比率、混合物中の有機溶剤の種類等により調整することができる。
混練時間は、粗顔料をより微細化し、輝度の向上効果に一層優れるカラーフィルタ顔料を得る観点では、5時間以上、7時間以上又は9時間以上であってよい。混練時間は、過剰な混練による粗顔料の凝集を抑制する観点では、100時間以下、50時間以下又は30時間以下であってよい。これらの観点から、混練時間は、5〜100時間、7〜50時間又は9〜30時間であってよい。
有機溶剤には、粗顔料及び後述する無機塩を溶解しないものを用いることが好ましい。有機溶剤としては、結晶成長を抑制し得る有機溶剤を使用することが好ましい。このような有機溶剤としては水溶性有機溶剤が好適に使用できる。有機溶剤としては、例えばジエチレングリコール、グリセリン、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,3−ブタンジオール、液体ポリエチレングリコール、液体ポリプロピレングリコール、2−(メトキシメトキシ)エタノール、2−ブトキシエタノール、2−(イソペンチルオキシ)エタノール、2−(ヘキシルオキシ)エタノール、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、トリエチレングリコール、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、1−メトキシ−2−プロパノール、1−エトキシ−2−プロパノール、ジプロピレングリコール、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、トリメチルフォスフェート、4−ブチロラクトン、プロピレンカーボネート、N−メチル−2−ピロリドン、メタノール、エチレンシアノヒドリン等を用いることができる。有機溶剤は1種を単独で、又は複数種を組み合わせ使用することができる。
有機溶剤(例えば水溶性有機溶剤)の使用量は、顔料粒子表面の濡れを進めて、より効率的に顔料粒子を微細化する観点から、粗顔料100質量部に対して、1質量部以上、30質量部以上又は50質量部以上であってよい。有機溶剤(例えば水溶性有機溶剤)の使用量は、混合物の高粘度化により、混練時に粗顔料に加わる力がより大きくなり、混練時の粗顔料の凝集がより抑制される観点から、粗顔料100質量部に対して、500質量部以下、400質量部以下又は200質量部以下であってよい。これらの観点から、有機溶剤(例えば水溶性有機溶剤)の使用量は、粗顔料100質量部に対して、1〜500質量部、30〜400質量部又は50〜200質量部であってよい。なお、有機溶剤の使用量は、混合物における有機溶剤の含有量と言い換えることもできる。
無機塩としては、水及び/又はメタノールに対する溶解性を有する無機塩が好ましく用いられ、水に対する溶解性を有する無機塩(水溶性無機塩)がより好ましく用いられる。無機塩の具体例としては、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化リチウム、硫酸ナトリウム等が挙げられる。無機塩の一次粒子の平均粒子径(平均一次粒子径)は、例えば、0.5〜50μmである。このような無機塩は、通常の無機塩を微粉砕することにより容易に得られる。無機塩の平均一次粒子径は、後述する顔料の平均一次粒子径と同様の方法により測定される。具体的には、無機塩をシクロヘキサンに超音波分散させてから顕微鏡で撮影し、二次元画像上の凝集体を構成する一次粒子40個の平均値から、一次粒子の平均粒子径(平均一次粒子径)を算出することができる。
無機塩(例えば水溶性無機塩)の使用量は、混練時に粗顔料に加わる力がより大きくなり、混練時の粗顔料の凝集がより抑制される観点から、粗顔料1質量部に対して、30質量部以上、40質量部以上又は50質量部以上であってよい。無機塩(例えば水溶性無機塩)の使用量は、顔料の生産効率を高くする観点から、粗顔料1質量部に対して、100質量部以下、80質量部以下又は60質量部以下であってよい。これらの観点から、無機塩(例えば水溶性無機塩)の使用量は、粗顔料1質量部に対して、30〜100質量部、30〜60質量部又は40〜60質量部であってよい。なお、無機塩の使用量は、混合物における無機塩の含有量と言い換えることもできる。
混練工程では、水を使用しないことが好ましい。水の使用量は、例えば、粗顔料100質量部に対して、20質量部以下であり、10質量部以下又は5質量部以下であってもよい。
混練工程後は、混練後の混合物を洗浄する洗浄工程を実施してよい。洗浄としては、無機塩の種類に応じて、水洗、湯洗、有機溶剤(例えば、メタノール等の表面張力が小さい有機溶剤)での洗浄及びこれらの組み合わせを採用できる。水溶性無機塩及び水溶性有機溶剤を用いた場合は、水洗することで容易に有機溶剤と無機塩を除去することができる。
酸を内包する粗顔料(例えば、pHが5未満である粗顔料)を用いた場合、水酸化カリウム水溶液等の塩基性水溶液を用いて洗浄工程を実施してもよい。塩基性水溶液を用いることで、酸性条件下でプロトン化されたハロゲン化金属フタロシアニンの一部からカウンターアニオンが外れ、耐熱性が向上し、より一層輝度の向上効果が得られる傾向がある。かかる効果が得られやすくなる観点から、塩基性水溶液として、25℃でのpHが8よりも大きい水溶液を用いてもよい。塩基性水溶液の温度は、例えば、40〜90℃であってよい。
洗浄は、混合物を洗浄液(例えば、水、有機溶剤又は塩基性水溶液等)中で攪拌することで行ってよい。洗浄は、例えば、1〜5回の範囲で繰り返し行ってもよい。1回の洗浄に使用する洗浄液の量は、例えば、混合物の全量100質量部に対して、200〜1500質量部であってよい。必要であれば、酸洗浄を行ってもよい。
洗浄後は、必要に応じて洗浄後の混合物(顔料を主体とする固形物)に対して、濾過、乾燥、粉砕等の操作を行ってもよい。上記洗浄及び濾過後の乾燥としては、例えば、乾燥機に設置した加熱源による80〜120℃の加熱等により、顔料の脱水及び/又は脱溶剤をする回分式或いは連続式の乾燥等が挙げられる。乾燥機としては、一般に、箱型乾燥機、バンド乾燥機、スプレードライヤー等が挙げられる。特に、スプレードライヤーを用いるスプレードライ乾燥はペースト作製時に易分散であるため好ましい。洗浄に有機溶剤を用いる場合は、0〜60℃で真空乾燥することが好ましい。
乾燥後の粉砕は、比表面積を大きくしたり、一次粒子の平均粒子径を小さくしたりするための操作ではなく、例えば箱型乾燥機、バンド乾燥機を用いた乾燥の場合のように顔料がランプ状等となった際に顔料を解して粉末化するために行うものである。例えば、乳鉢、ハンマーミル、ディスクミル、ピンミル、ジェットミル等による粉砕などが挙げられる。
上記製造方法によれば、ハロゲン化金属フタロシアニン粗顔料を従来の方法により顔料化するよりも、一層微細化することができる。つまり、上記製造方法により得られる顔料は、一層微細化されたハロゲン化金属フタロシアニン顔料であり、カラーフィルタ顔料として用いられた場合には、画素部(特に緑色画素部)の輝度を一層向上させることができる。一般に、カラーフィルタ顔料は、その粒子径(一次粒子径)が小さいほど、画素部の輝度及びコントラストを向上させることができるため、上記製造方法により得られるハロゲン化金属フタロシアニン顔料をカラーフィルタ用の緑色顔料として用いる場合、優れたコントラストも得られる傾向がある。
上記方法により得られる顔料の一次粒子の平均粒子径(平均一次粒子径)は、例えば、30nm以下である。上記方法によれば、例えば、25nm以下の平均一次粒子径を有する顔料を得ることもできる。顔料の平均一次粒子径は、10nm以上であってよい。ここで、平均一次粒子径は、一次粒子の長径の平均値であり、後述する平均アスペクト比の測定と同様にして一次粒子の長径を測定することにより求めることができる。
顔料の一次粒子の平均アスペクト比は、例えば、1.2以上、1.3以上、1.4以上又は1.5以上である。顔料の一次粒子の平均アスペクト比は、例えば、2.0未満、1.8以下、1.6以下又は1.4以下である。このような平均アスペクト比を有する顔料によれば、より優れた輝度及びコントラストが得られる。
一次粒子の平均アスペクト比が1.0〜3.0の範囲にある顔料は、アスペクト比が5以上の一次粒子を含まないことが好ましく、アスペクト比が4以上の一次粒子を含まないことがより好ましく、アスペクト比が3を超える一次粒子を含まないことがさらに好ましい。
一次粒子のアスペクト比及び平均アスペクト比は、以下の方法で測定することができる。まず、透過型電子顕微鏡(例えば日本電子株式会社製のJEM−2010)で視野内の粒子を撮影する。そして、二次元画像上に存在する一次粒子の長い方の径(長径)と、短い方の径(短径)とを測定し、短径に対する長径の比を一次粒子のアスペクト比とする。また、一次粒子40個につき長径と、短径の平均値を求め、これらの値を用いて短径に対する長径の比を算出し、これを平均アスペクト比とする。この際、試料である顔料は、これを溶媒(例えばシクロヘキサン)に超音波分散させてから顕微鏡で撮影する。また、透過型電子顕微鏡の代わりに走査型電子顕微鏡を使用してもよい。
以下、本発明の内容を実験例を用いてより詳細に説明するが、本発明は以下の実験例に限定されるものではない。
<粗顔料の合成>
(粗顔料A1の合成)
300mlフラスコに、塩化スルフリル(富士フイルム和光純薬工業株式会社製) 91g、塩化アルミニウム(関東化学株式会社製) 109g、塩化ナトリウム(東京化成工業株式会社製) 15g、亜鉛フタロシアニン(DIC株式会社製) 30g、臭素(富士フイルム和光純薬工業株式会社製) 230gを仕込んだ後、130℃まで昇温し、130℃で40時間保持した。反応混合物(反応溶液)を水に取り出し、沈殿物を析出させた後、当該沈殿物をろ過し、水洗し、乾燥することにより粗顔料A1を得た。なお、水洗は、ろ液のpHと洗浄に用いられる水のpHの差が±0.2になるまで行った。
粗顔料A1について日本電子株式会社製JMS−S3000による質量分析を行い、平均臭素数が13.2個、平均塩素数が1.8個のハロゲン化亜鉛フタロシアニンであることを確認した。なお、質量分析時のDelay Timeは500ns、Laser Intensityは44%、m/z=1820以上1860以下のピークのResolvingPower Valueは31804であった。
(粗顔料A2の合成)
300mlフラスコに、塩化スルフリル(富士フイルム和光純薬工業株式会社製) 90g、塩化アルミニウム(関東化学株式会社製) 105g、塩化ナトリウム(東京化成工業株式会社製) 14g、亜鉛フタロシアニン(DIC株式会社製) 27g、臭素(富士フイルム和光純薬工業株式会社製) 55gを仕込んだ後、130℃まで昇温し、130℃で40時間保持した。反応混合物(反応溶液)を水に取り出し、沈殿物を析出させた後、当該沈殿物をろ過し、水洗し、乾燥することにより粗顔料A2を得た。なお、水洗は、ろ液のpHが洗浄に用いられる水と同等のpHになるまで行った。
粗顔料A2について日本電子株式会社製JMS−S3000による質量分析を行い、平均臭素数が9.3個、平均塩素数が2.9個のハロゲン化亜鉛フタロシアニンであることを確認した。なお、質量分析時のDelay Timeは510ns、Laser Intensityは40%、m/z=1820以上1860以下のピークのResolvingPower Valueは65086であった。
(粗顔料A3の合成)
300mlフラスコに、塩化スルフリル(富士フイルム和光純薬工業株式会社製) 91g、塩化アルミニウム(関東化学株式会社製) 109g、塩化ナトリウム(東京化成工業株式会社製) 15g、クロロアルミニウムフタロシアニン(東京化成工業株式会社製) 30g、臭素(富士フイルム和光純薬工業株式会社製) 230gを仕込んだ後、130℃まで昇温し、130℃で40時間保持した。反応混合物(反応溶液)を水に取り出し、沈殿物を析出させた後、当該沈殿物をろ過し、水洗し、乾燥することにより粗顔料A3を得た。なお、水洗は、ろ液のpHと洗浄に用いられる水のpHの差が±0.2になるまで行った。
粗顔料A3について日本電子株式会社製JMS−S3000による質量分析を行い、平均臭素数が14.3個、平均塩素数が1.4個(軸配位子の塩素原子(クロロ基)は含まない)のハロゲン化クロロアルミニウムフタロシアニン(軸配位子にクロロ基を有するハロゲン化アルミニウムフタロシアニン)であることを確認した。なお、質量分析時のDelay Timeは275ns、Laser Intensityは40%、m/z=1820以上1860以下のピークのResolvingPower Valueは56320であった。
(粗顔料A4の合成)
300mlフラスコに、塩化スルフリル(富士フイルム和光純薬工業株式会社製) 91g、塩化アルミニウム(関東化学株式会社製) 109g、塩化ナトリウム(東京化成工業株式会社製) 15g、銅フタロシアニン(東京化成工業株式会社製) 30g、臭素(富士フイルム和光純薬工業株式会社製) 230gを仕込んだ後、130℃まで昇温し、130℃で40時間保持した。反応混合物(反応溶液)を水に取り出し、沈殿物を析出させた後、当該沈殿物をろ過し、水洗し、乾燥することにより粗顔料A4を得た。なお、水洗は、ろ液のpHと洗浄に用いられる水のpHの差が±0.2になるまで行った。
粗顔料A4について日本電子株式会社製JMS−S3000による質量分析を行い、平均臭素数が13.0個、平均塩素数が2.6個のハロゲン化銅フタロシアニンであることを確認した。なお、質量分析時のDelay Timeは275ns、Laser Intensityは34%、m/z=1820以上1860以下のピークのResolvingPower Valueは42805であった。
<粗顔料のpH測定>
300mlビーカーに、粗顔料(粗顔料A1〜A4) 5gとメタノール 5gとをはかりこみ混合した後、さらにイオン交換水 100mlをはかりこみ、ホットスターラーで5分かけて煮沸状態とし、さらに5分間煮沸を続けた。次いで、30℃以下に放冷した後、100mlのメスシリンダーへ移し、イオン交換水で全量を100mlに調整してからろ過し、ろ液のpHを測定した。pHは、横河電機株式会社製のPH71 パーソナルpHメータで測定した。結果を表1に示す。
<実験例1>
(粗顔料の顔料化)
粗顔料A1 320g、粉砕した塩化ナトリウム(鳴門塩業株式会社製、商品名:精選特級塩 うず塩微粒、粉砕後の平均一次粒子径:120μm) 3200g及びジエチレングリコール(東京化成工業株式会社製) 504gを双腕型ニーダー(株式会社井上製作所製、製品名:KHD−8、密閉型接線式)に仕込み、これらの混合物を混練温度(混練時の混合物の温度)が80℃となるように調整(温度変動幅:約2〜3℃)しながら混練した。この際、双腕型ニーダーのブレードには、回転軌道の外周が0.35mであり、ブレードと混練室(トロフ)の内壁面のクリアランスの幅の最小値が0.5mmとなる形状のシグマブレードを使用した。ブレードの回転速度(速い側の回転速度)を140rpm(回転速度比=1:1.4)とすることで、混練物の最大移動速度(ブレードの回転軌道の外周×ブレードの回転速度)を817mm/sとし、最大せん断速度(混練物の最大移動速度×クリアランスの幅の最小値)を1633s−1とした。また、双腕型ニーダーの消費電力量をサンワサプライ社製ワットモニターTAP−TST8Nで測定し、混合物の混練に消費される電力量が、粗顔料A1 1kgあたり15.0kWhとなるように混練時間を調整した。混練時間は10時間とした。混練後の混合物を80℃の水16kgに取り出し、1時間攪拌した後、ろ過し、湯洗し、乾燥し、粉砕することにより、緑色顔料G1を得た。
(平均一次粒子径の測定)
緑色顔料G1をシクロヘキサンに超音波分散させてから顕微鏡で撮影し、二次元画像上の凝集体を構成する一次粒子40個の平均値から、一次粒子の平均粒子径(平均一次粒子径)を算出した。一次粒子の平均粒子径は28nmであった。
(コントラスト及び輝度の評価)
ピグメントイエロー138(大日精化社製クロモファインイエロー6206EC) 1.65gを、DISPERBYK−161(ビックケミー社製) 3.85g、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート 11.00gと共に0.3〜0.4 mmのジルコンビーズを用いて、東洋精機株式会社製ペイントシェーカーで2時間分散して分散体を得た。
上記分散体 4.0g、ユニディックZL−295 0.98g、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート 0.22gを加えて、ペイントシェーカーで混合することで調色用黄色組成物(TY1)を得た。
実験例1で得られた緑色顔料G1 2.48gを、ビックケミー社製BYK−LPN6919 1.24g、DIC株式会社製 ユニディックZL−295 1.86g、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート10.92gと共に0.3〜0.4mmのジルコンビーズを用いて、東洋精機株式会社製ペイントシェーカーで2時間分散してカラーフィルタ用顔料分散体(MG1)を得た。
上記カラーフィルタ用顔料分散体(MG1) 4.0g、DIC株式会社製 ユニディックZL−295 0.98g、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート0.22gを加えて、ペイントシェーカーで混合することでカラーフィルタ用緑色画素部を形成するための評価用組成物(CG1)を得た。
評価用組成物(CG1)を、ソーダガラス基板上にスピンコートし、90℃で3分乾燥した後に、230℃で1時間加熱した。これにより、着色膜をソーダガラス基板上に有する、コントラスト評価用ガラス基板を作製した。なお、スピンコートする際にスピン回転速度を調整することにより、230℃で1時間加熱して得られる着色膜の厚さを1.8μmとした。
さらに、上記で作製した調色用黄色組成物(TY1)と評価用組成物(CG1)を混合して得られる塗液を、ソーダガラス基板上にスピンコートし、90℃で3分乾燥した後に、230℃で1時間加熱した。これにより、着色膜をソーダガラス基板上に有する、輝度評価用ガラス基板を作製した。なお、調色用黄色組成物(TY1)と評価用組成物(CG1)の混合比と、スピンコートする際のスピン回転速度を調整することにより、230℃で1時間加熱して得られる着色膜のC光源における色度(x,y)が(0.275,0.570)となる着色膜を作製した。
コントラスト評価用ガラス基板における着色膜のコントラストを壺坂電機株式会社製のコントラストテスターCT−1で測定し、輝度評価用ガラス基板における着色膜の輝度を日立ハイテクサイエンス社製U−3900で測定した。結果を表1に示す。なお、表1に示すコントラスト及び輝度は、実験例7のコントラスト及び輝度を基準とする値である。
<実験例2>
ブレードと混練室の内壁面のクリアランスの幅の最小値が0.25mmとなるように、ブレードをより大きな径を有するシグマブレードに変更して混練を行い、せん断速度を3267s−1としたことを除き、実験例1と同様にして、緑色顔料G2を得た。なお、混合物の混練に消費された電力量は、粗顔料A1 1kgあたり28.3kWhであった。また、実験例1と同様にして、緑色顔料G2の平均一次粒子径を測定した。また、緑色顔料G1に代えて緑色顔料G2を用いたこと以外は、実験例1と同様にして、コントラスト評価用ガラス基板及び輝度評価用ガラス基板を作製し、コントラスト及び輝度を測定した。結果を表1に示す。
<実験例3>
混練温度を130℃としたことを除き、実験例1と同様にして、緑色顔料G3を得た。なお、混合物の混練に消費された電力量は、粗顔料A1 1kgあたり13.7kWhであった。また、実験例1と同様にして、緑色顔料G3の平均一次粒子径を測定した。また、緑色顔料G1に代えて緑色顔料G3を用いたこと以外は、実験例1と同様にして、コントラスト評価用ガラス基板及び輝度評価用ガラス基板を作製し、コントラスト及び輝度を測定した。結果を表1に示す。
<実験例4>
塩化ナトリウムの使用量が粗顔料の使用量の40倍の量となるように、粗顔料A1の使用量を80gとしたことを除き、実験例1と同様にして、緑色顔料G4を得た。なお、混合物の混練に消費された電力量は、粗顔料A1 1kgあたり14.6kWhであった。また、実験例1と同様にして、緑色顔料G4の平均一次粒子径を測定した。また、緑色顔料G1に代えて緑色顔料G4を用いたこと以外は、実験例1と同様にして、コントラスト評価用ガラス基板及び輝度評価用ガラス基板を作製し、コントラスト及び輝度を測定した。結果を表1に示す。
<実験例5>
混練後の混合物を、80℃の水に代えて、80℃の5%水酸化カリウム水溶液(25℃でのpH:13.8)に取り出したことを除き、実験例4と同様にして、緑色顔料G5を得た。また、実験例1と同様にして、緑色顔料G5の平均一次粒子径を測定した。また、緑色顔料G1に代えて緑色顔料G5を用いたこと以外は、実験例1と同様にして、コントラスト評価用ガラス基板及び輝度評価用ガラス基板を作製し、コントラスト及び輝度を測定した。結果を表1に示す。
<実験例6>
粗顔料A1 3kg、粉砕した塩化ナトリウム30kg、ジエチレングリコール(東京化成工業株式会社製) 4.7kgをミックスマラー(新東工業株式会社製、製品名:MSG−60E)に仕込み、これらの混合物を80℃の混練温度(混練時の混合物の温度)で混練した。この際、ミックスマラーにおけるマラーホイールとしては、直径1200mm、厚さ360mmのマラーホイールを用い、マラーホイールの公転軌道の外周が3.75mとなり、マラーホイールと混練室の底面のクリアランスの幅の最小値が3mmとなるようにマラーホイールの位置及びマラーホイールに加えるテンションの強さを調整した(マラーホイールに加えるテンションは3365kgとした。)。また、柱部の回転速度(マラーホイールの公転速度)を40rpmとすることで、混練物の最大移動速度(マラーホイールの公転軌道の外周×柱部の回転速度)を2500mm/sとし、最大せん断速度(混練物の最大移動速度×クリアランスの幅の最小値)を833s−1とした。なお、マラーホイールの自転速度は40rpmとした。また、ミックスマラーの消費電力量をサンワサプライ社製ワットモニターTAP−TST8Nで測定し、混合物の混練に消費される電力量が、粗顔料A1 1kgあたり11.5kWhとなるように混練時間を調整した。混練時間は2.5時間とした。混練後の混合物を80℃の水150kgに取り出し、1時間攪拌した後、ろ過し、湯洗し、乾燥し、粉砕することにより、緑色顔料G6を得た。
実験例1と同様にして、緑色顔料G6の平均一次粒子径を測定した。緑色顔料G1に代えて緑色顔料G6を用いたこと以外は、実験例1と同様にして、コントラスト評価用ガラス基板及び輝度評価用ガラス基板を作製し、コントラスト及び輝度を測定した。結果を表1に示す。
<実験例7>
ブレードと混練室の内壁面のクリアランスの幅の最小値が1mmとなるように、ブレードをより小さな径を有するシグマブレードに変更して混練を行い、ブレードの回転速度を70rpmとすることで、混練物の最大移動速度(ブレードの回転軌道の外周×ブレードの回転速度)を408mm/sとし、最大せん断速度(混練物の最大移動速度×クリアランスの幅の最小値)を408s−1としたこと、及び、混練時間を8時間とし、混合物の混練に消費される電力量を、粗顔料A1 1kgあたり8.0kWhとしたことを除き、実験例1と同様にして、緑色顔料G7を得た。また、実験例1と同様にして、緑色顔料G7の平均一次粒子径を測定した。また、緑色顔料G1に代えて緑色顔料G7を用いたこと以外は、実験例1と同様にして、コントラスト評価用ガラス基板及び輝度評価用ガラス基板を作製し、コントラスト及び輝度を測定した。結果を表1に示す。
<実験例8>
混練時間を24時間とし、混合物の混練に消費される電力量を、粗顔料A1 1kgあたり23.9kWhとしたことを除き、実験例7と同様にして、緑色顔料G8を得た。また、実験例1と同様にして、緑色顔料G8の平均一次粒子径を測定した。また、緑色顔料G1に代えて緑色顔料G8を用いたこと以外は、実験例1と同様にして、コントラスト評価用ガラス基板及び輝度評価用ガラス基板を作製し、コントラスト及び輝度を測定した。結果を表1に示す。
Figure 0006923106
<実験例9>
粗顔料A1に代えて粗顔料A2を用いたことを除き、実験例5と同様にして、緑色顔料G9を得た。なお、混合物の混練に消費された電力量は、粗顔料A2 1kgあたり14.7kWhであった。また、実験例1と同様にして、緑色顔料G9の平均一次粒子径を測定した。また、ピグメントイエロー138(大日精化社製クロモファインイエロー6206EC)に代えてピグメントイエロー185(BASF社製Paliotol Yellow D1155)を用いたこと、緑色顔料G1に代えて緑色顔料G9を用いたこと、及び、着色膜の色度(x,y)を(0.230,0.670)に調整したこと以外は、実験例1と同様にして、コントラスト評価用ガラス基板及び輝度評価用ガラス基板を作製し、コントラスト及び輝度を測定した。結果を表2に示す。なお、表2に示すコントラスト及び輝度は、実験例10のコントラスト及び輝度を基準とする値である。
<実験例10>
粗顔料A1に代えて粗顔料A2を用いたことを除き、実験例7と同様にして、緑色顔料G10を得た。なお、混合物の混練に消費された電力量は、粗顔料A2 1kgあたり8.0kWhであった。また、実験例1と同様にして、緑色顔料G10の平均一次粒子径を測定した。また、緑色顔料G9に代えて緑色顔料G10を用いたこと以外は、実験例9と同様にして、コントラスト評価用ガラス基板及び輝度評価用ガラス基板を作製し、コントラスト及び輝度を測定した。結果を表2に示す。
Figure 0006923106
<実験例11>
粗顔料A1に代えて粗顔料A3を用いたことを除き、実験例5と同様にして、緑色顔料G11を得た。なお、混合物の混練に消費された電力量は、粗顔料A3 1kgあたり14.4kWhであった。実験例1と同様にして、緑色顔料G11の平均一次粒子径を測定した。また、緑色顔料G1に代えて緑色顔料G11を用いたこと以外は、実験例1と同様にして、コントラスト評価用ガラス基板及び輝度評価用ガラス基板を作製し、コントラスト及び輝度を測定した。結果を表3に示す。なお、表3に示すコントラスト及び輝度は、実験例12のコントラスト及び輝度を基準とする値である。
<実験例12>
粗顔料A1に代えて粗顔料A3を用いたことを除き、実験例7と同様にして、緑色顔料G12を得た。なお、混合物の混練に消費された電力量は、粗顔料A3 1kgあたり8.0kWhであった。また、実験例1と同様にして、緑色顔料G12の平均一次粒子径を測定した。また、緑色顔料G1に代えて緑色顔料G12を用いたこと以外は、実験例1と同様にして、コントラスト評価用ガラス基板及び輝度評価用ガラス基板を作製し、コントラスト及び輝度を測定した。結果を表3に示す。
Figure 0006923106
<実験例13>
粗顔料A1に代えて粗顔料A4を用いたことを除き、実験例5と同様にして、緑色顔料G13を得た。なお、混合物の混練に消費された電力量は、粗顔料A4 1kgあたり14.3kWhであった。実験例1と同様にして、緑色顔料G13の平均一次粒子径を測定した。また、緑色顔料G1に代えて緑色顔料G13を用いたこと以外は、実験例1と同様にして、コントラスト評価用ガラス基板及び輝度評価用ガラス基板を作製し、コントラスト及び輝度を測定した。結果を表4に示す。なお、表4に示すコントラスト及び輝度は、実験例14のコントラスト及び輝度を基準とする値である。
<実験例14>
粗顔料A1に代えて粗顔料A4を用いたことを除き、実験例7と同様にして、緑色顔料G14を得た。なお、混合物の混練に消費された電力量は、粗顔料A4 1kgあたり8.0kWhであった。また、実験例1と同様にして、緑色顔料G14の平均一次粒子径を測定した。また、緑色顔料G1に代えて緑色顔料G14を用いたこと以外は、実験例1と同様にして、コントラスト評価用ガラス基板及び輝度評価用ガラス基板を作製し、コントラスト及び輝度を測定した。結果を表4に示す。
Figure 0006923106

Claims (6)

  1. 粗顔料と無機塩と有機溶剤とを含む混合物を、800s−1を超える最大せん断速度で混練する混練工程を有し、
    前記粗顔料が、亜鉛、鉄、アルミニウム、マグネシウム、シリコン又はバナジウムを中心金属とするハロゲン化金属フタロシアニンで構成され、
    前記混練工程で前記混合物の混練に消費される電力量が、前記粗顔料1kgあたり10.0kWhより大きい、カラーフィルタ用顔料の製造方法。
  2. 前記粗顔料のpHが、5未満であり、
    前記粗顔料の中心金属が、亜鉛、鉄又はマグネシウムである、請求項1に記載の製造方法。
  3. 前記粗顔料のpHが、5未満であり、
    前記混練工程で得られた混練後の混合物を、25℃でのpHが8よりも大きい水溶液で洗浄する洗浄工程をさらに有する、請求項1又は2に記載の製造方法。
  4. 前記粗顔料における、ハロゲン化金属フタロシアニン1分子中のハロゲン原子の数の平均が、9個以上である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の製造方法。
  5. 前記混練工程では、110℃よりも低い温度で前記混合物を混練する、請求項1〜4のいずれか一項に記載の製造方法。
  6. 前記混練工程における前記無機塩の使用量が、前記粗顔料1質量部に対し、30質量部以上である、請求項1〜5のいずれか一項に記載の製造方法。

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