JP2006306996A - 顔料組成物の製造方法 - Google Patents

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高見 森
Nobuyuki Segawa
信之 瀬川
Takuya Kotani
卓也 小谷
Hiroyuki Nakamura
博之 中村
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Abstract

【課題】 従来のバッチ式ニーダー等において課題として挙げられる生産スケールの制約、多大な消費電力量および不十分な微細化レベル等を解決する。
【解決手段】フタロイミドメチル基、アミノ基、スルホン酸基及びカルボン酸基からなる群から選ばれる少なくとも一種の置換基を含有する、有機色素誘導体、アントラキノン誘導体又はトリアジン誘導体、有機顔料、水溶性無機塩及び水溶性有機液体からなる混合物を、環状の固定円盤と、駆動軸の軸心回りに一体回転する前記固定円盤と同心の回転円盤との間隙部分に形成された粉砕空間を有する連続混練機にて混練することを特徴とする顔料組成物の製造方法。
【選択図】 図1

Description

本発明は、発色用の粒体の粒子が微細でかつ均一な粒子径に整粒され、ビヒクルに対して分散性が極めて良好な顔料組成物の製造方法に関するものである。さらに詳しくは、本発明は、グラビアインキ、オフセットインキ等のインキまたは塗料等のビヒクル中に発色用の粉体の粒子が分散した場合、展色物に良好な光沢、高着色力を与える顔料組成物の製造方法に関する。
有機顔料にはアゾ顔料のように合成時に適切な反応条件を選択することにより、微細で整粒された粒子を得ることができるものがある。また、ポリハロゲン化銅フタロシアニン顔料のように合成時に生成する極めて微細で凝集した粒子を後工程で粒子成長、整粒させるものや、銅フタロシアニン顔料のように合成時に生成する粗大で不揃いな粒子を後工程で微細化して整粒させる、顔料化と呼ばれる処理を行うものもある。
例えば、銅フタロシアニン顔料は色調が美しいこと、着色力が大きいこと、耐候性、耐熱性等の諸性能が良好であることから、色材工業の分野において多量に、しかも広範に使用されている。
通常、銅フタロシアニン顔料は、無水フタル酸もしくはその誘導体と尿素および銅源を、またはフタロジニトリルもしくはその誘導体および銅源を、モリブデン酸アンモニウムあるいは四塩化チタンなどの触媒の存在もしくは不存在下、アルキルベンゼン、トリクロルベンゼンあるいはニトロベンゼンなどの有機溶媒中で常圧または加圧下で反応させることにより製造される。
しかしながら、合成されたフタロシアニン分子はその合成溶媒中で次々に粒子成長を起こすことにより、その長径が10〜200μm程度の粗大で針状化した粒子でしか得られず、インキ・塗料・プラスチックス等の着色用顔料としてはその価値は非常に低く、粗製銅フタロシアニンと呼ばれる。従って、その粗製銅フタロシアニンは色彩上利用価値の高い粒子、すなわち0.01〜0.5μm程度まで微細化することが必要となる。
工業的に粗製銅フタロシアニンを微細化する方法としては、各種の公知事例があり、例えば、粗製銅フタロシアニンと塩化ナトリウムの混合物に少量のジエチレングリコール等の溶剤を加えて湿潤化したものをボールミルやアトライター、さらにはバッチ式ニーダー等で強く練り込み湿式磨砕する、いわゆるソルベントソルトミリング法がある(特許文献1、特許文献2参照)。この方法においては、得られた混練物から水洗により塩化ナトリウム、ジエチレングリコール等を除去し、乾燥して一次粒子の細かい銅フタロシアニン顔料を得るようになされている。
しかし、従来のバッチ式ニーダー等では、バッチ式に由来する生産スケールの制約、品質のロット毎のバラツキ、開放型であるための異物混入や粉塵発生による作業環境の汚染等の問題があった。
また、有機顔料の微細化に対して多大なエネルギーを使用することや微細化レベルにも限界があった。さらに得られた銅フタロシアニン顔料をグラビアインキ、オフセットインキ等の印刷インキまたは塗料等のビヒクル中に分散して使用する場合においても展色物への光沢、着色力の向上は常に要求される課題であった。
特開平7−53889号公報 特開平5−43704号公報
本発明は、かかる状況に鑑みなされたものであって、従来のバッチ式ニーダー等において課題として挙げられる生産スケールの制約、品質のロット毎のバラツキ、開放型であるための異物混入、粉塵発生による作業環境の汚染等を解決する顔料の製造方法を提供することを目的としている。
さらに、本発明は、従来のバッチ式ニーダー等に比較して少量のエネルギーで、より微細な粒子を得ることができ、グラビアインキ、オフセットインキ等の印刷インキまたは塗料等のビヒクル中に分散して使用した場合、展色物に良好な光沢と着色力の向上等を与え、更にはインクジェット用インキやカラーフィルター等のより微細な顔料粒子を求められる用途においても、優れた適性を与える顔料の製造方法を提供することを目的としている。つまり、本発明は従来のバッチ式ニーダー等では得られない微細顔料を、短時間で効率的に製造する方法を提供することを目的としている。
本発明は、フタロイミドメチル基、アミノ基、スルホン酸基及びカルボン酸基からなる群から選ばれる少なくとも一種の置換基を含有する、有機色素誘導体、アントラキノン誘導体又はトリアジン誘導体、有機顔料、水溶性無機塩及び水溶性有機液体からなる混合物を、環状の固定円盤と、駆動軸の軸心回りに一体回転する前記固定円盤と同心の回転円盤との間隙部分に形成された粉砕空間を有する連続混練機にて混練することを特徴とする顔料組成物の製造方法に関する。
本発明においてタロイミドメチル基、アミノ基、スルホン酸基及びカルボン酸基からなる群から選ばれる少なくとも一種の置換基を含有する有機色素誘導体としては下記一般式(1)で示される有機色素誘導体がある。
P−{ X−(Y)k }m (1)
(式中、Pは有機色素残基を表す。Xは直接結合、−O−、−S−、−CO−、−SO2−、−NR−、−CONR−、−SO2NR−、−NRCO−、−NRSO2−(ここでRは、水素原子、アルキル基、またはヒドロキシアルキル基を表す)、炭素の数が1〜12個の直鎖または枝分かれしたアルキレン基、アルキル基、アミノ基、ニトロ基、水酸基、アルコキシ基またはハロゲン原子で置換されていてもよいベンゼン残基あるいはトリアジン残基、またはこれらの結合基を2個以上組み合わせた結合基を表す。Yはニトロ基またはハロゲン原子で置換されていてもよいフタルイミドメチル基、−NR、−SO・M/n、または、−COO・M/nを表し、RとRはそれぞれ独立に水素原子、置換されていてもよいアルキル基、置換されていてもよいアルケニル基、置換されていてもよいフェニル基、またはRとRとで一体となって更なる窒素、酸素または硫黄原子を含む置換されていてもよい複素環を表し、Mは水素イオン、1〜3価の金属イオン、または少なくとも1つがアルキル基で置換されているアンモニウムイオンを表し、nはMの価数を表す。kは1または2の整数を表し、mは1〜4の整数を表す。)
本発明においてフタロイミドメチル基、アミノ基、スルホン酸基及びカルボン酸基からなる群から選ばれる少なくとも一種の置換基を含有するアントラキノン誘導体としては下記一般式(2)で示されるアントラキノン誘導体がある。
Q−{ X−(Y)k }m (2)
(式中、Qはアルキル基、アミノ基、ニトロ基、水酸基、アルコキシ基、またはハロゲン原子で置換されていてもよいアントラキノン残基を表す。Xは直接結合、−O−、−S−、−CO−、−SO2−、−NR−、−CONR−、−SO2NR−、−NRCO−、−NRSO2−(ここでRは、水素原子、アルキル基、ヒドロキシアルキル基を表す)、炭素の数が1〜12個の直鎖または枝分かれしたアルキレン基、アルキル基、アミノ基、ニトロ基、水酸基、アルコキシ基またはハロゲン原子で置換されていてもよいベンゼン残基あるいはトリアジン残基、またはこれらの結合基を2個以上組み合わせた結合基を表す。Yはニトロ基またはハロゲン原子で置換されていてもよいフタルイミドメチル基、−NR、−SO・M/n、または−COO・M/nを表し、RとRはそれぞれ独立に水素原子、置換されていてもよいアルキル基、置換されていてもよいアルケニル基、置換されていてもよいフェニル基、またはRとRとで一体となって更なる窒素、酸素または硫黄原子を含む置換されていてもよい複素環を表し、Mは水素イオン、1〜3価の金属イオンまたは少なくとも1つがアルキル基で置換されているアンモニウムイオンを表し、nはMの価数を表す。kは1または2の整数を表し、mは1〜4の整数を表す。)
本発明においてフタロイミドメチル基、アミノ基、スルホン酸基及びカルボン酸基からなる群から選ばれる少なくとも一種の置換基を含有するトリアジン誘導体としては下記一般式(3)で示されるトリアジン誘導体がある。
Figure 2006306996
(式中、Rはトリアジン残基を表す。XからXはそれぞれ独立に直接結合、−O−、−S−、−CO−、−SO2−、−NR−、−CONR−、−SO2NR−、−NRCO−、−NRSO2−(ここでRは、水素原子、アルキル基、ヒドロキシアルキル基を表す。)、炭素の数が1〜12個の直鎖または枝分かれしたアルキレン基、アルキル基、アミノ基、ニトロ基、水酸基、アルコキシ基またはハロゲン原子で置換されていてもよいベンゼン残基、またはこれらの結合基を2個以上組み合わせた結合基を表す。Yはニトロ基またはハロゲン原子で置換されていてもよいフタルイミドメチル基、−NR、−SO・M/n、または−COO・M/nを表し、RとRはそれぞれ独立に水素原子、置換されていてもよいアルキル基、置換されていてもよいアルケニル基、置換されていてもよいフェニル基、またはRとRとで一体となって更なる窒素、酸素または硫黄原子を含む置換されていてもよい複素環を表し、Mは水素イオン、1〜3価の金属イオンまたは少なくとも1つがアルキル基で置換されているアンモニウムイオンを表し、nはMの価数を表す。YとYは、それぞれ独立にYと同じであるか、または、アルキル基、アミノ基、ニトロ基、水酸基、アルコキシ基、ハロゲン原子、または置換されていてもよいフェニル基を表す。p、q、rは、それぞれ独立しており1または2の整数を表す。)
従来のバッチ式ニーダー等に比べ生産スケールの制約が少なく適時適量生産が可能であり、製品のロット毎の品質にバラツキが少なく、また密閉型になるため、粉塵の発生による作業環境の汚染、異物混入等の問題が解消され、少量のエネルギーでより微細な粒子まで粉砕できる。また、この製法から得られた有機顔料をグラビアインキ、オフセットインキ等の印刷インキまたは塗料等のビヒクル中に分散して使用した場合、顔料は、展色物に良好な光沢と着色力の向上等を与えることができる。
まず、図1を基に、本発明方法の実施に使用される連続混練機について説明する。図1は、本発明に係る連続混練機の一実施形態を示す側面視の断面図である。因みに、本発明において好適に使用される連続混練機としては、特公平2−92号公報に記載されているものであり、例えば、浅田鉄工社製の連続混練機10(「ミラクルK.C.K.」)を好適なものとして挙げることができる。
図1に示すように、連続混練機10は、フイード部1、混練部2、排出部3および定量フィーダー部4とを備えた基本構成を有している。前記フイード部1は、水平方向に延びる筒状のケーシング11と、このケーシング11に同心、かつ、摺接状態で嵌挿されたスパイラルロッド12とを備えている。前記ケーシング11の上流側の上面には、定量フィーダー部4からの原料を受け入れる原料受入口111が開口されている。前記スパイラルロッド12は、その基端部(図1の右方)が図略の駆動モータの駆動軸121に同心で固定され、駆動モータの駆動で駆動軸121を介して軸心回りに回転するようになっている。かかるスパイラルロッド12の外周面には、所定方向に螺設されたスパイラルフィン122が設けられ、定量フィーダー部4から供給された原料は、このスパイラルフィン122の軸心回りの回転によって混練部2へ向けて圧送されるようになっている。
前記定量フィーダー部4は、連続混練処理の対象となる原料(本発明においては、一般式(1)で示される有機色素誘導体、一般式(2)で示されるアントラキノン誘導体および一般式(3)で示されるトリアジン誘導体から選ばれる有機化合物、ならびに有機顔料、水溶性無機塩、水溶性有機液体からなる混合物でゾル状またはゲル状を呈したもの)をフイード部1へ供給するためのものであり、原料を収容する原料ホッパー41と、この原料ホッパー41の底部から切り出された原料をフイード部1へ向けて送り出すスパイラルフィーダ42と、このスパイラルフィーダ42の下流端を覆うように前記ケーシング11に原料受入口111の周縁部から立設された連絡筒体43とを備えて構成されている。
前記スパイラルフィーダ42は、原料ホッパー41の底部開口と連絡筒体43の上部開口との間に介設された介設筒体44内にスパイラルフィンが摺接した状態で装着され、基端側(図1の右方)が図略のフィードモータの駆動軸に同心で連結されている。したがって、フィードモータの駆動によるスパイラルフィーダ42の軸心回りに回転で、原料ホッパー41内の原料がスパイラルフィーダ42によって搬送され、介設筒体44および連絡筒体43を介してケーシング11内へ予め設定された搬送量で供給されるようになっている。
前記混練部2は、複数の固定円盤21と、この固定円盤21間に挟持された状態で固定円盤21と交互に配設される環状の混練シリンダ22と、表裏面(図1における左右の面)が前記固定円盤21と対向した状態で前記混練シリンダ22に同心で嵌挿される回転円盤23とを備えて構成されている。前記複数の固定円盤21および混練シリンダ22には、図略のタイロッドが貫通され、このタイロッドの基端部がフイード部1のケーシング11に固定されることにより、固定円盤21および混練シリンダ22がフイード部1と一体化している。
前記各回転円盤23は、スパイラルロッド12の先端面から同心で突設された図略のスプライン軸に外嵌されている。隣設された回転円盤23間には筒状の中間スクリュー24が介設され、これによってスプライン軸には回転円盤235とスクリュー24とが交互に装着された状態になっている。かかる回転円盤23は、外径寸法が固定円盤21の内径寸法より僅かに小さく設定されているとともに、中間スクリュー24は、外径寸法が回転円盤23の内径寸法より僅かに小さく設定され、これによって各回転円盤23および各中間スクリュー24は、前記スプライン軸に交互に外嵌された状態で、外周面が混練シリンダ22および固定円盤21の内周面に対して原料が通過し得る隙間を介してそれぞれ対向するようになされている。
かかる連続混練機10の構成によれば、原料ホッパー41に装填された原料は、スパイラルフィーダ42の駆動によって原料ホッパー41の底部から払い出され、介設筒体44および連絡筒体43を介してフイード部1のケーシング11内に導入される。ケーシング11内に導入された原料は、スパイラルロッド12の駆動回転によるスパイラルフィン122の回転によって順次下流側の混練部2へ向けて搬送される。
そして、混練部2へ搬送された原料は、まず、軸心回りに回転している最上流側(図1の右方)の中間スクリュー24の外周面と、最上流側の駆動軸121の内周面との間を通過し、引き続き最上流側の固定円盤21の図1における左側面と、軸心回りに回転している最上流側の回転円盤23の右側面との間を通過し、これらの隙間の通過に際して当該原料に混練処理が施される。かかる原料に対する混練操作が固定円盤21、混練シリンダ22、回転円盤23および中間スクリュー24の設置分だけ複数段で繰り返され、これによって原料の複数種類の構成要素(本発明においては、一般式(1)で示される有機色素誘導体、一般式(2)で示されるアントラキノン誘導体および一般式(3)で示されるトリアジン誘導体から選ばれる有機化合物、ならびに有機顔料、水溶性無機塩、水溶性有機液体)に対し混練処理が施される。混練処理の完了により得られた製品は、最下流側の回転円盤23の外周面と、同固定円盤21の内周面との隙間、すなわち排出部3から外部に排出される。
図2は、図1に示す連続混練機に適用される固定円盤および回転円盤の一実施形態を示す正面図(図1の右方から見た図)または背面図(図1の左方から見た図)であり、(a)はキャビティー扇型固定円盤21a、(b)はキャビティー扇型回転円盤23b、(c)はキャビティー菊型固定円盤21c、(d)はキャビティー菊型回転円盤23d、(e)はキャビティー臼型固定円盤21e、(f)はキャビティー臼型回転円盤23fをそれぞれ示している。
図2に示すように、固定円盤21には、同心で穿設された中間スクリュー24に遊嵌させるための遊嵌孔211が設けられているとともに、固定円盤21の表裏面(正面側および背面側)には、この遊嵌孔211から径方向に向けて凹設された周方向に等ピッチの複数の凹部(キャビティー(粉砕空間)212)が設けられている。一方、回転円盤23には、同心で穿設された図略のスプライン軸に密着状態で外嵌するための外嵌孔231が設けられているとともに、回転円盤23の表裏面には、前記固定円盤21のキャビティー212に対応するキャビティー(粉砕空間)232が凹設されている。回転円盤23のキャビティー232は、周縁部が開放状態になっている。
そして、固定円盤21および回転円盤23間の隙間に導入された原料は、前記スパイラルロッド12の駆動により押圧されることにより各キャビティー212,232内に順次入り込み、この状態で回転円盤23が軸心回りに回転することによって各キャビティー212,232間の界面を境にして各キャビティー212,232内の原料に対し剪断力が付与されるようになされている。すなわち、対向する固定円盤21と回転円盤23との各キャビティー212,232内の原料は、各キャビティー212,232の山部の稜線でスライスされて原料に剪断力と置換(剪断された原料が各キャビティー212,232から出されるとともに、新たな原料が各キャビティー212,232に入り込むこと)とが作用し、これによって原料が混練分散されるようになっている。
かかる固定円盤21および回転円盤23を、キャビティー212,232の形状によって図2(a)および図2(b)に示すキャビティー扇型固定円盤21aおよびキャビティー扇型回転円盤23bと、図2(c)および図2(d)に示すキャビティー菊型固定円盤21cおよびキャビティー菊型回転円盤23dと、図2(e)および図2(f)に示すキャビティー臼型固定円盤21eおよびキャビティー臼型回転円盤23fとの複数種類に分けているのは、混練分散処理の進行に応じて原料に対する剪断力を大きくしていくためである。
すなわち、各キャビティー212,232の空隙率(固定円盤21および回転円盤23の表面の面積に対する各キャビティー212,232の面積の割合(%))は、扇型のキャビティー212,232、菊型のキャビティー212,232および臼型のキャビティー212,232の順に低くなっているが、空隙率が小さくなるに従って原料に対する剪断力が大きくなる。
そして、本実施形態においては、原料に対する混練分散処理の進行に伴い原料に対する剪断力を大きくしていくべく、上流側から下流側に向けてキャビティー212,232が扇型の固定円盤21および回転円盤23、キャビティー212,232が菊型の固定円盤21および回転円盤23、キャビティー212,232が臼型の固定円盤21および回転円盤23を順次配設するようにしている。
こうすることによって、原料にいきなり大きな剪断力が作用するのではなく、混練分散処理の進行に伴って原料に対する剪断力が順次増大していくため、原料に対して無理のない円滑な混練分散処理が施され、これによって原料の構成要素である、一般式(1)で示される有機色素誘導体、一般式(2)で示されるアントラキノン誘導体および一般式(3)で示されるトリアジン誘導体から選ばれる有機化合物、ならびに有機顔料、水溶性無機塩、水溶性有機液体を互いに確実に混練分散させることができる。
また、かかる構成の連続混練機10によれば、原料の構成要素の一つである有機顔料が粗大粒子からなるものである場合、当該有機顔料が固定円盤21と回転円盤23との隙間(特に各キャビティー212,232)に導入されることにより、回転円盤23の回転による粗大粒子への剪断力の付与で当該有機顔料を微粉化することができる。
これに対し、有機顔料が微細粒子の凝集物からなる場合、当該凝集物が固定円盤21と回転円盤23との隙間(特に各キャビティー212,232)に導入されることにより、回転円盤23の回転によって当該凝集物を確実に解砕・整粒することができる。
以下、このような連続混練機10によって混練分散処理が施される顔料について詳細に説明する。本発明の顔料組成物は、一般式(1)で示される有機色素誘導体、一般式(2)で示されるアントラキノン誘導体および一般式(3)で示されるトリアジン誘導体から選ばれる有機化合物、ならびに有機顔料、水溶性無機塩、水溶性有機液体との混合物を、環状の固定円盤21と、駆動軸121の軸心回りに一体回転する前記固定円盤21と同心の回転円盤23との間隙部分に形成された粉砕空間を有する連続混練機10にて混練することによって得られるものである。
本発明に用いられる有機顔料とは、アゾ顔料のように合成時に適切な反応条件を選択することにより微細で整粒された粒子を得ることができるもの、ポリハロゲン化銅フタロシアニン顔料のように合成時に生成する極めて微細で凝集した粒子を後工程で粒子成長、整粒させるもの、銅フタロシアニン顔料のように合成時に生成する粗大で不揃いな粒子を後工程で微細化し整粒させるもの等を意味する。また、微細化と整粒が要求される顔料ならば特に構造的限定はせず、従来公知の顔料はいずれも使用することができる。例えばアゾ顔料、フタロシアニン顔料、キナクリドン顔料の他にイソインドリノン、イソインドリン、ペリレン、ペリノン、ジケトピロロピロール、チオインジゴ、ジオキサジン、キノフタロン、アントラキノン、インダンスロン等が使用できる。2種類以上の顔料を混合して微細化することも可能である。
本発明に用いられる水溶性無機塩は特に限定されないが、例えば、食塩(塩化ナトリウム)、塩化カリウム、硫酸ナトリウム、塩化亜鉛、塩化カルシウムまたはこれらの混合物等を挙げることができる。
本発明に用いられる水溶性有機溶剤としては、有機顔料と水溶性無機塩とが均一な固まりとなるように加えるもので、水と自由に混和するもの、または自由に混ざらないが工業的に水洗により除去できる溶解度をもつものであり、顔料粒子が成長するものであれば特に限定されないが、混練時に温度が上昇し、溶剤が蒸発し易い状態になるため、安全性の点から高沸点溶剤が好ましい。例えば、2−(メトキシメトキシ)エタノール、2−ブトキシエタノール、2−(イソペンチルオキシ)エタノール、2−(ヘキシルオキシ)エタノール、ジエチレングリコール、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、トリエチレングリコール、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、液体ポリエチレングリコール、1−メトキシ−2−プロパノール、1−エトキシ−2−プロパノール、ジプロピレングリコール、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、低分子量ポリプロピレングリコール、アニリン、ピリジン、テトラヒドロフラン、ジオキサン、メタノール、エタノール、イソプロパノール、n−プロパノール、イソブタノール、n−ブタノール、エチレングリコール、プロピレングリコール、プロピレンゴリコールモノメチルエーテルアセテート、酢酸エチル、酢酸イソプロピル、アセトン、メチルエチルケトン、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、N−メチルピロリドン等を挙げることができる。また必要に応じて2種類以上の溶剤を混合して使用してもよい。
本発明に用いられる一般式(1)で示される有機色素誘導体を形成する有機色素は、例えば、ジケトピロロピロール系色素、アゾ、ジスアゾ、ポリアゾ等のアゾ系色素、フタロシアニン系色素、ジアミノジアントラキノン、アントラピリミジン、フラバントロン、アントアントロン、インダントロン、ピラントロン、ビオラントロン等のアントラキノン系色素、キナクリドン系色素、ジオキサジン系色素、ペリノン系色素、ペリレン系色素、チオインジゴ系色素、イソインドリン系色素、イソインドリノン系色素、キノフタロン系色素、スレン系色素、金属錯体系色素等の色素である。一般式(2)で示されるアントラキノン誘導体を形成するアントラキノンは、メチル基、エチル基等のアルキル基、アミノ基、ニトロ基、水酸基またはメトキシ基、エトキシ基等のアルコキシ基または塩素等のハロゲン等の置換基を有していてもよいアントラキノンである。一般式(3)で示されるトリアジン誘導体を形成するトリアジンは、1,3,5−トリアジンである。
本発明の一般式(1)で示される有機色素誘導体、一般式(2)で示されるアントラキノン誘導体および一般式(3)で示されるトリアジン誘導体は、上記の有機色素、アントラキノンおよびトリアジンに特定の置換基を導入した有機化合物であって、置換基は、例えば、フタルイミドメチル基、4−ニトロフタルイミドメチル基、4−クロロフタルイミドメチル基、テトラクロロフタルイミドメチル基、(4,6−ビス(フタルイミドメチルアミノ)−1,3,5−トリアジン)−2−イルアミノメチル基、カルバモイル基、スルファモイル基、メチルアミノ基、エチルアミノ基、プロピルアミノ基、ブチルアミノ基、ヘキシルアミノ基、オクチルアミノ基、ドデシルアミノ基、オクタデシルアミノ基、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、ジブチルアミノ基、ジメチルアミノプロピルアミノ基、ジエチルアミノプロピルアミノ基、ジエチルアミノエチルアミノ基、ジブチルアミノプロピルアミノ基、ピペリジノメチル基、ジメチルアミノメチル基、ジエチルアミノメチル基、ジブチルアミノメチル基、(4,6−ビス(ジエチルアミノプロピルアミノ)−1,3,5−トリアジン)−2−イル基、(4,6−ビス(ジエチルアミノプロピルアミノ)−1,3,5−トリアジン)−2−イルアミノ基、(4−(ジエチルアミノプロピルアミノ)−6−ヒドロキシ−1,3,5−トリアジン)−2−イルアミノ基、ジメチルアミノプロピルアミノスルホニル基、ジエチルアミノプロピルアミノスルホニル基、ジブチルアミノプロピルアミノスルホニル基、モルホリノエチルアミノスルホニル基、ジメチルアミノプロピルアミノカルボニル基、4−(ジエチルアミノプロピルアミノカルボニル)フェニルアミノカルボニル基、ジメチルアミノメチルカルボニルアミノメチル基、ジエチルアミノプロピルアミノメチルカルボニルアミノメチル基、ジブチルアミノプロピルアミノメチルカルボニルアミノメチル基、スルホン酸基、ナトリウムスルホナト基、カルシウムスルホナト基、ストロンチウムスルホナト基、バリウムスルホナト基、アルミニウムスルホナト基、4−(アルミニウムスルホナト)フェニルカルバモイルメチル基、ドデシルアンモニオスルホナト基、オクタデシルアンモニオスルホナト基、トリメチルオクタデシルアンモニオスルホナト基、ジメチルジデシルアンモニオスルホナト基、カルボン酸基、2−アルミニウムカルボキシラト−5−ニトロベンズアミドメチル基、などである。また、一般式(3)で示されるトリアジン誘導体においては、必須の形成要素である上記の置換基に加えて、例えば、水酸基、アミノ基、メトキシ基、エトキシ基、フェノキシ基、4−ニトロフェニルアミノ基、4−ベンズアミノフェニルアミノ基、4−アミノフェノキシ基などの置換基が挙げられる。
本発明の一般式(1)で示される有機色素誘導体、一般式(2)で示されるアントラキノン誘導体および一般式(3)で示されるトリアジン誘導体は、例えば、特公昭39−28884、特開昭51−18736、54−62227、56−32549、56−81371、56−118462、56−166266、59−96175、60−88185、60−98525、63−305173、特開平03−26767、11−199796に記載の方法で製造できる。
本発明の一般式(1)で示される有機色素誘導体、一般式(2)で示されるアントラキノン誘導体および一般式(3)で示されるトリアジン誘導体の具体例を化合物番号を付して以下に示す。
化合物(1)
Figure 2006306996
化合物(2)
Figure 2006306996
化合物(3)
Figure 2006306996
化合物(4)
Figure 2006306996
化合物(5)
Figure 2006306996
化合物(6)
Figure 2006306996
化合物(7)
Figure 2006306996
本発明の混練組成物中の水溶性無機塩の量は特に制限はないが、有機顔料に対して0.5〜30重量倍が好ましい。0.5重量倍未満の場合では微細化し難く、30重量倍以上の場合では微細化した顔料を得ることが可能となるが顔料の処理量が少なくなるため、生産性が低下して工業的には不利となる。
本発明の混練組成物中の水溶性有機液体の量は特に制限はないが、有機顔料と水溶性無機塩を加え合わせた量に対して、0.01〜0.5重量倍が好ましい。0.01重量倍未満の場合では混練組成物が硬くなり過ぎて安定運転し難く、0.5重量倍以上の場合では混練組成物が軟らかくなり過ぎて微細化レベルが低下する。
また、本発明の混練組成物中の一般式(1)で示される有機色素誘導体、一般式(2)で示されるアントラキノン誘導体および下記一般式(3)で示されるトリアジン誘導体から選ばれる有機化合物の量は特に制限はないが、有機顔料に対して、0.001〜0.3重量倍が好ましい。0.001重量倍未満の場合では添加した効果が得られ難く、0.3重量倍以上の場合では添加した分の効果が得られないばかりか、得られた顔料組成物の物性と有機顔料単独の物性との差異が大きくなりインキや塗料に用いられたときに実用上の品質に問題が起きることがある。
本発明の混練組成物の構成原料である、一般式(1)で示される有機色素誘導体、一般式(2)で示されるアントラキノン誘導体および下記一般式(3)で示されるトリアジン誘導体から選ばれる有機化合物、ならびに有機顔料、水溶性無機塩、水溶性有機液体は、連続混練機に個々に同時に投入してもよいし、混合した後に投入してもよい。また、有機顔料製造工程の途中に、上記誘導体を混合して予め有機顔料と誘導体の混合物を形成させてもよく、この場合にとくに誘導体の添加効果が発揮される。
本発明における連続混練機の運転条件については特に制限はないが、有機顔料粒子の磨砕と、水溶性有機液体との接触による有機顔料の粒子成長を、いずれも効果的に進行させるため、混練温度は、10〜150℃、とくに40〜130℃であることが好ましい。温度を上げることにより、顔料粒子の成長速度を促進させることが可能となる。顔料組成物の処理量や品質をコントロールするためには、混練組成物の配合比、混練温度、機械的エネルギー投入量(主軸(駆動軸121)回転数、原料の供給量、主軸動力負荷等)を調整することにより可能となる。150℃より高温では、粒子成長が大で、混練を短時間とする必要があるが、整粒時間が短くなり品質上好ましくない。混練開始後、必要に応じて加熱または冷却を行う。また、連続混練機の途中に原料の投入部を設けて連続混練工程の途中で本発明の誘導体や水溶性有機溶剤を添加して混練組成物の配合比を変化させたり、複数台の連続混練機を直列に連結させて個々の連続混練機の運転条件を別々に設定することで、全体の混練条件を調整することもできる。
混練後の顔料組成物は常法により処理される。すなわち、混練組成物を水または鉱酸水溶液で処理し、濾過、水洗により水溶性無機塩および水溶性有機溶剤を除去し顔料組成物を単離する。顔料組成物はこのまま湿潤状態で使用することも、乾燥・粉砕により粉末状態で使用することも可能である。必要に応じて樹脂、界面活性剤、その他の添加剤を混練後に加えてもよい。
本発明による方法で製造された顔料組成物の用途は特に限定されないが、グラビアインキ、オフセットインキ、塗料、インクジェットインキ、プラスチック着色、カラーフィルター、カラートナー等に用いることができる。例えばグラビアインキを作成する場合、使用するビヒクルは特に限定されるものではなく、補助剤や体質顔料を含んでいてもよい。一つの例として、グラビアインキ用ビヒクルとしては、ガムロジン、ウッドロジン、トール油ロジン、ライムロジン、ロジンエステル、マレイン酸樹脂、ポリアミド樹脂、ビニル樹脂、ニトロセルロース、酢酸セルロース、エチルセルロース、塩化ゴム、環化ゴム、エチレン−酢酸ビニル共重合樹脂、ウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、アルキド樹脂、アクリル樹脂、ギルソナイト、ダンマル、セラックなどの樹脂混合物、または上記樹脂の混合物または上記の樹脂を水溶化した水溶性樹脂、またはエマルション樹脂と、炭化水素、アルコール、ケトン、エーテルアルコール、エーテル、エステル、水などの溶剤からなるものである場合が挙げられ、特にセルロース系で光沢がよく、鮮明な品質が得られる。なお、ビヒクルに顔料組成物を混合または分散する場合、分散機としてディゾルバー、ハイスピードミキサー、ホモミキサー、ニーダー、フラッシャー、ロールミル、サンドミル、アトライター等を使用することにより良好な混合または分散を行うことができる。
以下、実施例および従来法による比較例を挙げて本発明を詳しく説明する。但し、本発明はこれらの実施例の範囲に限定されるものではない。なお、実施例中、「部」とは重量部を表し、「%」は重量%を表す。
有機顔料としてBlue15(珠海東洋社製T−95クルードブルー)100部、水溶性無機塩として塩化ナトリウム600部、水溶性有機液体としてジエチレングリコール100部および誘導体として前記の化合物(1)5部をほぼ均一となるようにコンバートミキサー(浅田鉄工社製)にて5分間予備混合した。この混合物をスクリュー式定量フィーダー(定量フィーダー部4(図1))で連続混練機1(浅田鉄工社製の「ミラクルK.C.K.−42型」)に供給した。連続混練機1の条件は、フィード部スクリュー径120mmφ、固定円盤と回転円盤からなる混練部組数8組で、混練組成物の押出量21kg/時、主軸回転数50rpm、混連温度は100℃で運転した。混連に要した消費電力量は顔料1kg当り1.7kwh/kgであった。得られた混練組成物を70℃の水5000部に取り出し、1時間保温攪拌後、濾過、水洗、乾燥して顔料組成物を得た。この顔料組成物のBET法による比表面積は90m/gであった。また、顔料組成物10部、グラビアインキ用ワニス(ニトロセルロース樹脂12%、酢酸エチル33%、トルエン30%、イソプロピルアルコール15%、メタノール10%)90部および3mmガラスビーズ100部と混合し、ペイントコンディショナーで60分間分散して作製したグラビアインキをバーコーターでフィルムに展色して60°光沢値を測定したところ82%であった。
混練機として従来用いられていた1000容量部の双腕型ニーダーで混練した例を比較例1と比較例2として下に示す。比較例1は通常の混練物の組成である誘導体を含まない場合であって、実施例1は比較例1に比較して消費電力量が少ないにもかかわらず比表面積が大きく微細化が進行しており、グラビアインキ展色物の光沢値が高く実用上の品質が優れていた。また、比較例2は実施例1と同一の組成で誘導体を含む場合であって、比較例2は比較例1よりも比表面積が大きくグラビアインキ展色物の光沢値が高いことから誘導体の添加効果が認められるものの実施例1の方が優れており、混練機としてニーダーに比較して連続混練機が優れていた。
混練機として実施例1の連続混練機を用いて混練物に誘導体を含まない例を比較例3と比較例4として下に示す。比較例3は実施例1と同一の混練条件であるが、比表面積が小さくグラビアインキ展色物の光沢が劣っており、実施例1の誘導体の添加効果が認められた。また、比較例4は比較例3の水溶性有機液体量を減らし、消費電力量を約2倍に上げて混練エネルギーを増大させた場合であるが、比較例3と大差ない比表面積とグラビアインキ展色物の光沢値を示し、誘導体を含まない混練物の組成では微細化の進行と実用上の品質に限界があった。
以上の結果から、連続混練機を使用し、かつ混練組成物に本発明の誘導体を含むことで、少ないエネルギーで顔料の微細化が進行し、実用上の品質が向上することが認められた。
[比較例1] 有機顔料としてBlue15(珠海東洋社製T−95クルードブルー)100部、水溶性無機塩として塩化ナトリウム600部および水溶性有機液体としてジエチレングリコール100部を1000容量部の双腕型ニーダーに仕込み、100℃で稠密な塊状(ドウ)に保持しながら5時間混練した。混連に要した消費電力量は顔料1kg当り4.0kwh/kgであった。得られた混練組成物を70℃の水5000部に取り出し、1時間保温攪拌後、濾過、水洗、乾燥して顔料組成物を得た。この顔料組成物のBET法による比表面積は69m/gであった。また、実施例1と同様に作製した展色物の光沢値は66%であった。
[比較例2] 有機顔料としてBlue15(珠海東洋社製T−95クルードブルー)100部、水溶性無機塩として塩化ナトリウム600部、水溶性有機液体としてジエチレングリコール100部および誘導体として前記の化合物(1)5部を1000容量部の双腕型ニーダーに仕込み、100℃で稠密な塊状(ドウ)に保持しながら5時間混練した。混連に要した消費電力量は顔料1kg当り4.1kwh/kgであった。得られた混練組成物を70℃の水5000部に取り出し、1時間保温攪拌後、濾過、水洗、乾燥して顔料組成物を得た。この顔料組成物のBET法による比表面積は77m/gであった。また、実施例1と同様に作製した展色物の光沢値は72%であった。
[比較例3] 有機顔料としてBlue15(珠海東洋社製T−95クルードブルー)100部、水溶性無機塩として塩化ナトリウム600部および水溶性有機液体としてジエチレングリコール100部をほぼ均一となるようにコンバートミキサー(浅田鉄工社製)にて5分間予備混合し、実施例1と同様に連続混練機1で混練、処理して顔料組成物を得た。混連に要した消費電力量は顔料1kg当り1.7kwh/kg、BET法による比表面積は81m/g、展色物の光沢値は75%であった。
[比較例4] 有機顔料としてBlue15(珠海東洋社製T−95クルードブルー)100部、水溶性無機塩として塩化ナトリウム600部および水溶性有機液体としてジエチレングリコール80部をほぼ均一となるようにコンバートミキサー(浅田鉄工社製)にて5分間予備混合し、実施例1と同様に連続混練機1で混練、処理して顔料組成物を得た。このときの混練組成物の押出量は18kg/時、混連に要した消費電力量は顔料1kg当り3.5kwh/kg、BET法による比表面積は82m/g、展色物の光沢値は76%であった。
[実施例2〜4] 誘導体を化合物(2)〜(4)に変更したことを除き実施例1と同様に混練、処理して顔料組成物を得た。混連に要した消費電力量、BET法による比表面積は82m/gおよび展色物の光沢値を表1に示す。
いずれも、比較例1〜4に比較して、BET法による比表面積と展色物の光沢値が大きかった。
[実施例5〜7、比較例5〜7]表1記載の混練条件および混練物の組成で混練し、実施例1と同様に処理して顔料組成物を得た。実施例5および比較例5の有機顔料はRed122(クラリアント社製ホスタパームピンクE)、実施例6および比較例6の有機顔料はRed177(チバスペシャリティケミカル社製クロモフタルレッドA2B)、実施例7および比較例7の有機顔料はViolet23(住友化学社製スミトンファストバイオレットRLベース)を使用した。
実施例5〜7は比較例5〜7に比較して、少ない消費電力量で、BET法による比表面積と展色物の光沢値が大きかった。
Figure 2006306996
本発明に係る連続混練機の一実施形態を示す側面視の断面図である。 図1に示す連続混練機に適用される固定円盤および回転円盤の一実施形態を示す正面図または背面図であり、(a)はキャビティー扇型固定円盤、(b)はキャビティー扇型回転円盤、(c)はキャビティー菊型固定円盤、(d)はキャビティー菊型回転円盤、(e)はキャビティー臼型固定円盤、(f)はキャビティー臼型回転円盤をそれぞれ示している。
符号の説明
10 連続混練機 1 フイード部
11 ケーシング 111 原料受入口
12 スパイラルロッド 121 駆動軸
122 スパイラルフィン 2 混練部
21 固定円盤
21a キャビティー扇型固定円盤
21c キャビティー菊型固定円盤
21e キャビティー臼型固定円盤
211 遊嵌孔 212 キャビティー(粉砕空間)
22 混練シリンダ 23 回転円盤
23b キャビティー扇型回転円盤
23d キャビティー菊型回転円盤
23f キャビティー臼型回転円盤
231 外嵌孔 232 キャビティー(粉砕空間)
3 排出部 4 定量フィーダー部
41 原料ホッパー 42 スパイラルフィーダ
43 連絡筒体 44 介設筒体

Claims (2)

  1. フタロイミドメチル基、アミノ基、スルホン酸基及びカルボン酸基からなる群から選ばれる少なくとも一種の置換基を含有する、有機色素誘導体、アントラキノン誘導体又はトリアジン誘導体、有機顔料、水溶性無機塩及び水溶性有機液体からなる混合物を、環状の固定円盤と、駆動軸の軸心回りに一体回転する前記固定円盤と同心の回転円盤との間隙部分に形成された粉砕空間を有する連続混練機にて混練することを特徴とする顔料組成物の製造方法。
  2. 有機顔料が、フタロシアニン顔料、キナクリドン顔料またはジオキサジン顔料である請求項1記載の顔料組成物の製造方法。
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