JP2008094872A - ε型銅フタロシアニン顔料、その製造方法、およびそれを用いた着色組成物 - Google Patents

ε型銅フタロシアニン顔料、その製造方法、およびそれを用いた着色組成物 Download PDF

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信之 瀬川
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Abstract

【課題】カラーフィルターに用いると、高いコントラストや高い明度を発現するε型銅フタロシアニン顔料とその製造方法、並びにコントラストおよび明度が高いカラーフィルターを作成できる着色組成物の提供。
【解決手段】X線回折図(CuKα線)において、ブラッグ角度2θの9.1±0.2度にあるピークの半価幅が0.64〜0.82度であるε型銅フタロシアニン顔料、X線回折図(CuKα線)において、ブラッグ角度2θの9.1±0.2度にあるピークの半価幅が0.62度以下であるε型銅フタロシアニンと、水溶性無機塩と、水溶性有機溶剤とを含有する混練混合物を、円筒状のケーシングに同心で内装された環状の固定円盤と、駆動軸により回転する回転円盤との間隙により形成された粉砕空間を有する連続混練機にて混練する前記ε型銅フタロシアニン顔料の製造方法、並びに前記ε型銅フタロシアニン顔料および顔料担体を含有する着色組成物。
【選択図】図1

Description

本発明は、X線回折図(CuKα線)において、ブラッグ角度2θの9.1±0.2度にあるピークの半価幅が特定の範囲内になるように制御されており、カラーフィルターの様な微細な顔料粒子が求められる用途において、優れた適性を与えるε型銅フタロシアニン顔料およびその製造方法に関する。
また、本発明は、コントラストおよび明度が高いカラーフィルターの作成に好適に用いられる着色組成物に関する。
銅フタロシアニン顔料は、色調が美しいこと、着色力が大きいこと、耐候性、耐熱性等の諸性能が良好であることから、色材工業の分野において多量に、しかも広範に使用されている。
銅フタロシアニン顔料は、α型、β型、δ型、ε型等の異なる結晶型を持ち、中でもε型銅フタロシアニン顔料は、α型銅フタロシアニンより更に赤味の色調を有し、鮮明で着色力も高い上、結晶転移に対してもより安定という優れた性質を持っており、インキ・塗料・プラスチックス・カラーフィルター用レジストインキ等の着色材や、電子材料等として利用価値が高い。
ε型銅フタロシアニン顔料を得るには、合成により得られる10〜200μm程度の粗大で針状化した銅フタロシアニン粒子の結晶型をε型へと転移させると共に、色彩上利用価値の高い0.01〜0.5μm程度の粒子まで微細化する処理が必要となる。
ε型銅フタロシアニン顔料を微細化する方法としては、ソルベントソルトミリング法や、乾式粉砕法がある。
ソルベントソルトミリング法によるものとしては、ε型銅フタロシアニンクルードをニーダーで摩砕助剤、粘結剤とともに混錬する方法(特許文献1)がある。この他、窒素吸着法におけるBET比表面積が90m2/g以下のε型銅フタロシアニン顔料を、有機溶剤および前記顔料1重量部当たり8〜20重量部の無機塩を用いてソルベントソルトミリングし、次いで、有機溶剤と無機塩を除去する、窒素吸着法におけるBET比表面積95〜150m2/gを有するε型銅フタロシアニン微細顔料の製造方法(特許文献2)がある。
また、乾式粉砕法によるものとして、粗製ε型銅フタロシアニン顔料を乾式粉砕し、さらに結晶成長作用を有する有機溶剤を添加して乾式粉砕して、微細で粒子径の揃ったε型フタロシアニン顔料を製造する方法がある(特許文献3)。
この中で、バッチ式ニーダーを用いたソルベントソルトミリング法が工業的に最も有利で、最も多く用いられている。
特開昭57?149358号公報の参考例 特開2002?121420号公報 特開2004?244563
前述の様に、ε型銅フタロシアニン顔料に対しては、インキ・塗料・プラスチックス・カラーフィルター用レジストインキ等に用いるために、0.01〜0.5μm程度の粒子まで微細化する処理が行われていた。特にカラーフィルターの用途においては、高いコントラストが求められるため、95〜150m2/gのBET比表面積、あるいは0.05μm(50nm)程度以下の粒子径まで微細化することが行われていた。
しかしながら、比表面積は、粒子が微細になるほど凝集の影響を受け正確な測定が困難となり、例えば顔料の乾燥条件によって測定値が異なることもしばしば見られる。また、電子顕微鏡においては、観察した粒子の写真を画像解析して粒子径を測定することは可能であるが、微細になるほど顔料粒子の凝集により、一次粒子径の観察や画像解析が困難となる。そのため、BET法(窒素ガス吸着)により測定される比表面積や電子顕微鏡により直接観察される粒子径が上記範囲になるように微細化度合いを制御したε型銅フタロシアニン顔料を用いても、必ずしもコントラストおよび明度が高いカラーフィルターを作成することができなかった。
本発明は、かかる状況に鑑みなされたものであって、カラーフィルターに用いると、高いコントラストや高い明度を発現するε型銅フタロシアニン顔料とその製造方法の提供を目的とする。
また、本発明は、コントラストおよび明度が高いカラーフィルターを作成できる着色組成物の提供を目的とする。
本発明のε型銅フタロシアニン顔料は、X線回折図(CuKα線)において、ブラッグ角度2θの9.1±0.2度にあるピークの半価幅が0.64〜0.82度であることを特徴とする。
また、本発明のε型銅フタロシアニン顔料の製造方法は、X線回折図(CuKα線)において、ブラッグ角度2θの9.1±0.2度にあるピークの半価幅が0.62度以下であるε型銅フタロシアニンと、水溶性無機塩と、水溶性有機溶剤とを含有する混練混合物を、円筒状のケーシングに同心で内装された環状の固定円盤と、駆動軸により回転する回転円盤との間隙により形成された粉砕空間を有する連続混練機にて混練することを特徴とする。本発明のε型銅フタロシアニン顔料の製造方法において、混練混合物は、無金属または金属フタロシアニン誘導体を含有することが好ましい。
また、本発明の着色組成物は、本発明のε型銅フタロシアニン顔料および顔料担体を含有することを特徴とする。
本発明のε型銅フタロシアニン顔料は、X線回折図(CuKα線)におけるブラッグ角度2θの9.1±0.2度にあるピークの半価幅が従来のε型銅フタロシアニン顔料より大きいため、これを用いた着色組成物は、高い着色力や透明性などの優れた適性を有し、特にカラーフィルターの用途においては高いコントラストおよび高い明度を発揮する。
本発明のε型銅フタロシアニン顔料の製造方法によれば、従来は得ることが困難であったX線回折図(CuKα線)において、ブラッグ角度2θの9.1±0.2度にあるピークの半価幅が0.64〜0.82度のε型銅フタロシアニン顔料を、従来のバッチ式ニーダー等によるソルベントソルトミリング法より少量のエネルギーで容易に得ることができる。
また、本発明のε型銅フタロシアニン顔料の製造方法において、混練混合物が銅フタロシアニン誘導体を含有する場合には、銅フタロシアニン誘導体の作用により、ε型銅フタロシアニン顔料の結晶を安定化させ、β型結晶やα型結晶への転移を防ぐと共に、粒子の成長を抑制し、効率的にX線回折図(CuKα線)において、ブラッグ角度2θの9.1±0.2度にあるピークの半価幅が0.64〜0.82度のε型銅フタロシアニン顔料を製造することができる。更には、得られたε型フタロシアニン顔料の各種用途における適性を高める効果を有する。
まず、本発明のε型銅フタロシアニン顔料およびその製造方法について説明する。
本発明のε型銅フタロシアニン顔料は、X線回折図(CuKα線)においてブラッグ角度2θの9.1±0.2度にあるピークの半価幅が0.64〜0.82度であり、従来よりも大きな半価幅を有するε型銅フタロシアニン顔料である。前記半価幅が0.64度未満のε型銅フタロシアニン顔料は、 カラーフィルターの用途においてコントラストおよび明度が不十分である。また、前記半価幅が0.82度を超えるε型銅フタロシアニン顔料の品質は、0.82度のε型銅フタロシアニン顔料の品質とは大差が見られない。また、半価幅の大きいε型銅フタロシアニンを得るためには、水溶性無機塩の量および水溶性有機溶剤の量を調整して、混練組成物を固くすることが必要である。よって、機械的負荷が大きくなることから、生産性が低くなったり、設備に機械的問題が発生し易くなる問題点も発生する。
本発明のε型銅フタロシアニン顔料は、X線回折図(CuKα線)におけるブラッグ角度2θの9.1±0.2度にあるピークの半価幅が0.62度以下であるε型銅フタロシアニンと、水溶性無機塩と、水溶性有機溶剤とを含有する混練混合物を、円筒状のケーシングに同心で内装された環状の固定円盤と、駆動軸により回転する回転円盤との間隙により形成された粉砕空間を有する連続混練機にて混練することにより製造することができる。
まず、図1を基に、本発明に使用される連続混練機について説明する。図1は、本発明に使用される連続混練機の一実施形態を示す側面視の断面図である。因みに、本発明において好適に使用される連続混練機としては、特公平2−92号公報等に記載されているものがあり、例えば、浅田鉄工社製の連続混練機(「ミラクルK.C.K.」)を好適なものとして挙げることができる。
図1に示すように、連続混練機10は、フィード部1、混練部2、排出部3および定量フィーダー部4を備えた基本構成を有している。前記フィード部1は、水平方向に延びる筒状のケーシング11と、このケーシング11に同心、かつ、摺接状態で嵌挿されたスパイラルロッド12とを備えている。前記ケーシング11の上流側の上面には、定量フィーダー部4からの原料を受け入れる原料受入口111が開口されている。前記スパイラルロッド12は、その基端部(図1の右方)が図略の駆動モータの駆動軸121に同心で固定され、駆動モータの駆動で駆動軸121を介して軸心回りに回転するようになっている。かかるスパイラルロッド12の外周面には、所定方向に螺設されたスパイラルフィン122が設けられ、定量フィーダー部4から供給された原料は、このスパイラルフィン122の軸心回りの回転によって混練部2へ向けて圧送されるようになっている。
前記定量フィーダー部4は、連続混練処理の対象となる原料(本発明においては、ε型銅フタロシアニン、水溶性無機塩および水溶性有機溶剤を含有する混合物)をフィード部1へ供給するためのものであり、原料を収容する原料ホッパー41と、この原料ホッパー41の底部から切り出された原料をフィード部1へ向けて送り出すスパイラルフィーダ42と、このスパイラルフィーダ42の下流端を覆うように前記ケーシング11に原料受入口111の周縁部から立設された連絡筒体43とを備えて構成されている。
前記スパイラルフィーダ42は、原料ホッパー41の底部開口と連絡筒体43の上部開口との間に介設された介設筒体44内にスパイラルフィンが摺接した状態で装着され、基端側(図1の右方)が図略のフィードモータの駆動軸に同心で連結されている。したがって、フィードモータの駆動によるスパイラルフィーダ42の軸心回りに回転で、原料ホッパー41内の原料がスパイラルフィーダ42によって搬送され、介設筒体44および連絡筒体43を介してケーシング11内へ予め設定された搬送量で供給されるようになっている。
前記混練部2は、複数の固定円盤21と、この固定円盤21間に挟持された状態で固定円盤21と交互に配設される環状の混練シリンダ22と、表裏面(図1における左右の面)が前記固定円盤21と対向した状態で前記混練シリンダ22に同心で嵌挿される回転円盤23とを備えて構成されている。前記複数の固定円盤21および混練シリンダ22には、図略のタイロッドが貫通され、このタイロッドの基端部がフィード部1のケーシング11に固定されることにより、固定円盤21および混練シリンダ22がフィード部1と一体化している。
前記各回転円盤23は、スパイラルロッド12の先端面から同心で突設された図略のスプライン軸に外嵌されている。隣設された回転円盤23間には筒状の中間スクリュー24が介設され、これによってスプライン軸には回転円盤23とスクリュー24とが交互に装着された状態になっている。かかる回転円盤23は、外径寸法が混練シリンダ22の内径寸法より僅かに小さく設定されているとともに、中間スクリュー24は、外径寸法が固定円盤21の内径寸法より僅かに小さく設定され、これによって各回転円盤23および各中間スクリュー24は、前記スプライン軸に交互に外嵌された状態で、外周面が混練シリンダ22および固定円盤21の内周面に対して原料が通過し得る隙間を介してそれぞれ対向するようになされている。
かかる連続混練機10の構成によれば、原料ホッパー41に装填された原料は、スパイラルフィーダ42の駆動によって原料ホッパー41の底部から払い出され、介設筒体44および連絡筒体43を介してフィード部1のケーシング11内に導入される。ケーシング11内に導入された原料は、スパイラルロッド12の駆動回転によるスパイラルフィン122の回転によって順次下流側の混練部2へ向けて搬送される。
そして、混練部2へ搬送された原料は、まず、軸心回りに回転している最上流側(図1の右方)の中間スクリュー24の外周面と、最上流側の駆動軸121の内周面との間を通過し、引き続き最上流側の固定円盤21の図1における左側面と、軸心回りに回転している最上流側の回転円盤23の右側面との間を通過し、これらの隙間の通過に際して当該原料に混練処理が施される。かかる原料に対する混練操作が固定円盤21、混練シリンダ22、回転円盤23および中間スクリュー24の設置分だけ複数段で繰り返され、これによって原料の複数種類の構成要素(本発明においては、ε型銅フタロシアニン、水溶性無機塩および水溶性有機溶剤)に対し混練処理が施される。混練処理の完了により得られた製品は、最下流側の回転円盤23の外周面と、同固定円盤21の内周面との隙間、すなわち排出部3から外部に排出される。
図2は、図1に示す連続混練機に適用される固定円盤および回転円盤の一実施形態を示す正面図(図1の右方から見た図)または背面図(図1の左方から見た図)であり、(a)はキャビティー扇型固定円盤21a、(b)はキャビティー扇型回転円盤23b、(c)はキャビティー菊型固定円盤21c、(d)はキャビティー菊型回転円盤23d、(e)はキャビティー臼型固定円盤21e、(f)はキャビティー臼型回転円盤23fをそれぞれ示している。
図2に示すように、固定円盤21には、同心で穿設された中間スクリュー24に遊嵌させるための遊嵌孔211が設けられているとともに、固定円盤21の表裏面(正面側および背面側)には、この遊嵌孔211から径方向に向けて凹設された周方向に等ピッチの複数の凹部(キャビティー(粉砕空間)212)が設けられている。一方、回転円盤23には、同心で穿設された図略のスプライン軸に密着状態で外嵌するための外嵌孔231が設けられているとともに、回転円盤23の表裏面には、前記固定円盤21のキャビティー212に対応するキャビティー(粉砕空間)232が凹設されている。回転円盤23のキャビティー232は、周縁部が開放状態になっている。
そして、固定円盤21および回転円盤23間の隙間に導入された原料は、前記スパイラルロッド12の駆動により押圧されることにより各キャビティー212,232内に順次入り込み、この状態で回転円盤23が軸心回りに回転することによって各キャビティー212,232間の界面を境にして各キャビティー212,232内の原料に対し剪断力が付与されるようになされている。すなわち、対向する固定円盤21と回転円盤23との各キャビティー212,232内の原料は、各キャビティー212,232の山部の稜線でスライスされて原料に剪断力と置換(剪断された原料が各キャビティー212,232から出されるとともに、新たな原料が各キャビティー212,232に入り込むこと)とが作用し、これによって原料が混練されるようになっている。
かかる固定円盤21および回転円盤23を、キャビティー212,232の形状によって図2(a)および図2(b)に示すキャビティー扇型固定円盤21aおよびキャビティー扇型回転円盤23bと、図2(c)および図2(d)に示すキャビティー菊型固定円盤21cおよびキャビティー菊型回転円盤23dと、図2(e)および図2(f)に示すキャビティー臼型固定円盤21eおよびキャビティー臼型回転円盤23fとの複数種類に分けているのは、混練処理の進行に応じて原料に対する剪断力を大きくしていくためである。
すなわち、各キャビティー212,232の空隙率(固定円盤21および回転円盤23の表面の面積に対する各キャビティー212,232の面積の割合(%))は、扇型のキャビティー212,232、菊型のキャビティー212,232および臼型のキャビティー212,232の順に低くなっているが、空隙率が小さくなるに従って原料に対する剪断力が大きくなる。
そして、本実施形態においては、原料に対する混練処理の進行に伴い原料に対する剪断力を大きくしていくべく、上流側から下流側に向けてキャビティー212,232が扇型の固定円盤21および回転円盤23、キャビティー212,232が菊型の固定円盤21および回転円盤23、キャビティー212,232が臼型の固定円盤21および回転円盤23を順次配設するようにしている。
こうすることによって、原料にいきなり大きな剪断力が作用するのではなく、混練処理の進行に伴って原料に対する剪断力が順次増大していくため、原料に対して無理のない円滑な混練処理が施され、これによって原料の構成要素であるε型銅フタロシアニン、水溶性無機塩および水溶性有機溶剤を互いに確実に混練させることができる。
次に、このような連続混練機によって混練処理が施される混練混合物について詳細に説明する。
混練混合物中に含有されるε型銅フタロシアニンは、X線回折図(CuKα線)におけるブラッグ角度2θの9.1±0.2度にあるピークの半価幅が0.62度以下、好ましくは0.50度以上であり、このようなε型銅フタロシアニンは、公知の製法で製造することができる。例えば、粗製銅フタロシアニンからアシドペースティング法などによりα型銅フタロシアニンを製造し、α型銅フタロシアニンからソルベントソルトミリング法などによりε型銅フタロシアニンを製造することにより得られる。
混練混合物中に含有される水溶性無機塩は特に限定されないが、例えば、食塩(塩化ナトリウム)、塩化カリウム、硫酸ナトリウム、塩化亜鉛、塩化カルシウムまたはこれらの混合物等が用いられる。
混練混合物中に含有される水溶性有機溶剤は、X線回折図(CuKα線)におけるブラッグ角度2θ±0.2の9.1度にあるピークの半価幅が0.62度以下であるε型銅フタロシアニンと水溶性無機塩とが均一な固まりとなるように加えるもので、水と自由に混和するもの、または自由に混ざらないが工業的に水洗により除去できる溶解度をもつものである。水溶性有機溶剤は、混練時に温度が上昇し、溶剤が蒸発し易い状態になるため、安全性の点から高沸点溶剤が好ましい。例えば、2−(メトキシメトキシ)エタノール、2−ブトキシエタノール、2−(イソペンチルオキシ)エタノール、2−(ヘキシルオキシ)エタノール、ジエチレングリコール、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、トリエチレングリコール、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、液体ポリエチレングリコール、1−メトキシ−2−プロパノール、1−エトキシ−2−プロパノール、ジプロピレングリコール、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、低分子量ポリプロピレングリコール、アニリン、ピリジン、テトラヒドロフラン、ジオキサン、メタノール、エタノール、イソプロパノール、n−プロパノール、イソブタノール、n−ブタノール、エチレングリコール、プロピレングリコール、プロピレンゴリコールモノメチルエーテルアセテート、酢酸エチル、酢酸イソプロピル、アセトン、メチルエチルケトン、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、N−メチルピロリドン等を挙げることができる。また必要に応じて2種類以上の溶剤を混合して使用してもよい。
本発明の混練混合物中の水溶性無機塩の量は、少なすぎるとε型銅フタロシアニンのX線回折図(CuKα線)におけるブラッグ角度2θの9.1±0.2度にあるピークの半価幅を0.64〜0.82度に制御することが困難であり、多すぎるとε型銅フタロシアニンの処理量が少なくなるため、生産性が低下して工業的には不利となる。このため、X線回折図(CuKα線)におけるブラッグ角度2θの9.1度にあるピークの半価幅が0.62度以下であるε型銅フタロシアニンに対し、水溶性無機塩は4重量倍から20重量倍の範囲が好ましく、7重量倍〜14重量倍がより好ましく、目的とする前記半価幅に応じて選択できる。
また、本発明おいて混練混合物中の水溶性有機溶剤の量は、少なすぎると混練混合物が硬くなり過ぎて安定運転し難く、多すぎると混練混合物が軟らかくなり過ぎて型銅フタロシアニンのX線回折図(CuKα線)におけるブラッグ角度2θの9.1±0.2度にあるピークの半価幅を0.64〜0.82度に制御することが困難となる。このため、X線回折図(CuKα線)におけるブラッグ角度2θの9.1度にあるピークの半価幅が0.62度以下であるε型銅フタロシアニンに対し、水溶性有機溶剤が0.5重量倍から5重量倍の範囲が好ましく、水溶性無機塩の量と混練混合物の硬さに応じて選択できる。
本発明における連続混練機の運転条件については、ε型銅フタロシアニンのX線回折図(CuKα線)におけるブラッグ角度2θの9.1±0.2度にあるピークの半価幅の制御を効果的に行うため、混練温度は、40〜120℃、特には60〜100℃が好ましい。温度が低すぎるとε型銅フタロシアニンからα型銅フタロシアニンへの結晶転移が起こり、温度が高すぎるとε型銅フタロシアニンの半価幅の制御を効果的に行うことができなくなる。処理量や顔料品質のコントロールは、混練混合物の配合比、混練温度、機械的エネルギー投入量(主軸回転数、原料の供給量、主軸動力負荷等)を調整することにより可能となる。
本発明の混練混合物には、ε型銅フタロシアニン顔料の結晶を安定化させ、β型結晶やα型結晶への転移を防ぐと共に、粒子の成長を抑制し、効率的にX線回折図(CuKα線)において、ブラッグ角度2θの9.1±0.2度にあるピークの半価幅が0.64〜0.82度のε型銅フタロシアニン顔料を製造するため、フタロシアニン誘導体を添加して混練することが好ましい。フタロシアニン誘導体は、下記一般式(1)で示される置換基を少なくとも1つ有する無金属または金属フタロシアニン誘導体である。
一般式(1) −X−Y
(式中、Xは、直接結合、または水素原子、炭素原子、窒素原子、酸素原子および硫黄原子から選ばれる2〜50個の原子で構成される化学的に合理的な組み合わせからなる2価の結合基を表す。このような2価の結合基としては、−CONH(CH2n−、−SO2NH(CH2n−、−CH2NH(CH2n−、−CH2NHCOCH2NH(CH2n− が挙げられる。nは1〜3の整数を表す。Yは、ニトロ基またはハロゲン原子で置換されていてもよいフタルイミドメチル基、−NR12、−SO3・M/mまたは−COO・M/mを表す。R1とR2は、それぞれ独立に水素原子、置換されていてもよいアルキル基、置換されていてもよいアルケニル基、置換されていてもよいフェニル基を表し、R1とR2とは、一体となって複素環を形成しても良い。また、該複素環は、更なる窒素、酸素または硫黄原子を含んでもよく、置換されていてもよい。Mは、水素イオン、1〜3価の金属イオンまたは少なくとも1つがアルキル基で置換されているアンモニウムイオンを表し、mはMの価数を表す。)
一般式(1)で示される置換基の具体例としては、フタルイミドメチル基、4−ニトロフタルイミドメチル基、4−クロロフタルイミドメチル基、テトラクロロフタルイミドメチル基、カルバモイル基、スルファモイル基、アミノメチル基、ジメチルアミノメチル基、ジエチルアミノメチル基、ジブチルアミノメチル基、ピペリジノメチル基、ジメチルアミノプロピルアミノスルホニル基、ジエチルアミノプロピルアミノスルホニル基、ジブチルアミノプロピルアミノスルホニル基、モルホリノエチルアミノスルホニル基、ジメチルアミノプロピルアミノカルボニル基、4−(ジエチルアミノプロピルアミノカルボニル)フェニルアミノカルボニル基、ジメチルアミノメチルカルボニルアミノメチル基、ジエチルアミノプロピルアミノメチルカルボニルアミノメチル基、ジブチルアミノプロピルアミノメチルカルボニルアミノメチル基、スルホン酸基、ナトリウムスルホナト基、カルシウムスルホナト基、アルミニウムスルホナト基、ドデシルアンモニオスルホナト基、オクタデシルアンモニオスルホナト基、トリメチルオクタデシルアンモニオスルホナト基、ジメチルジデシルアンモニオスルホナト基、カルボン酸基、2−アルミニウムカルボキシラト−5−ニトロベンズアミドメチル基などが挙げられる。
これらの置換基を有するフタロシアニン誘導体は、例えば、特公昭39−28884号公報、57−15620、58−28303、64−5070に記載の方法で製造できる。
混練後の混練混合物は、常法により処理される。すなわち、混練混合物を水または鉱酸水溶液で処理し、濾過、水洗により水溶性無機塩および水溶性有機溶剤を除去し、ε型銅フタロシアニン顔料を単離する。ε型銅フタロシアニン顔料は、このまま湿潤状態で使用することも、乾燥・粉砕により粉末状態で使用することも可能である。必要に応じて樹脂、界面活性剤、その他の添加剤を混練後に加えてもよい。
次に、本発明の着色組成物について説明する。
本発明の着色組成物は、ε型銅フタロシアニン顔料および顔料担体を含有する。
顔料担体は、樹脂、その前駆体またはそれらの混合物により構成される。本発明の着色組成物を用いてカラーフィルターを製造する場合には、樹脂として、可視光領域の400〜700nmの全波長領域において透過率が80%以上、特に95%以上の透明樹脂を用いることが好ましい。樹脂としては、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、および感光性樹脂等が挙げられる。樹脂の前駆体としては、放射線照射により硬化して樹脂を生成するモノマーまたはオリゴマーが挙げられ、これらを単独で、または2種以上混合して用いることができる。
顔料担体は、着色組成物中のε型フタロシアニン顔料100重量部に対して、30〜700重量部、好ましくは60〜450重量部の量で用いることができる。また、樹脂とその前駆体との混合物を顔料担体として用いる場合には、樹脂は、着色組成物中のε型フタロシアニン顔料100重量部に対して、20〜400重量部、好ましくは50〜250重量部の量で用いることができる。また、樹脂の前駆体は、着色組成物中のε型フタロシアニン顔料100重量部に対して、10〜300重量部、好ましくは10〜200重量部の量で用いることができる。
熱可塑性樹脂としては、例えば、ブチラール樹脂、スチレン−マレイン酸共重合体、塩素化ポリエチレン、塩素化ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリ酢酸ビニル、ポリウレタン系樹脂、ポリエステル樹脂、アクリル系樹脂、アルキッド樹脂、ポリスチレン、ポリアミド樹脂、ゴム系樹脂、環化ゴム系樹脂、セルロース類、ポリエチレン、ポリブタジエン、ポリイミド樹脂等が挙げられる。
また、熱硬化性樹脂としては、例えば、エポキシ樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、ロジン変性マレイン酸樹脂、ロジン変性フマル酸樹脂、メラミン樹脂、尿素樹脂、フェノール樹脂等が挙げられる。
感光性樹脂としては、水酸基、カルボキシル基、アミノ基等の反応性の置換基を有する高分子に、イソシアネート基、アルデヒド基、エポキシ基等の反応性の置換基を有する(メタ)アクリル化合物やケイヒ酸を反応させて、(メタ)アクリロイル基、スチリル基等の光架橋性基を該高分子に導入した樹脂が用いられる。また、スチレン−無水マレイン酸共重合物やα−オレフィン−無水マレイン酸共重合物等の酸無水物を含む線状高分子をヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート等の水酸基を有する(メタ)アクリル化合物によりハーフエステル化したものも用いられる。
樹脂の前駆体であるモノマーおよびオリゴマーとしては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、β−カルボキシエチル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、1, 6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテルジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAジグリシジルエーテルジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテルジ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、トリシクロデカニル(メタ)アクリレート、エステルアクリレート、メチロール化メラミンの(メタ)アクリル酸エステル、エポキシ(メタ)アクリレート、ウレタンアクリレート等の各種アクリル酸エステルおよびメタクリル酸エステル、(メタ)アクリル酸、スチレン、酢酸ビニル、ヒドロキシエチルビニルエーテル、エチレングリコールジビニルエーテル、ペンタエリスリトールトリビニルエーテル、(メタ)アクリルアミド、N−ヒドロキシメチル(メタ)アクリルアミド、N−ビニルホルムアミド、アクリロニトリル等が挙げられる。
本発明に係る着色組成物には、顔料の顔料担体への分散性を向上させるため、適宜、界面活性剤、樹脂型顔料分散剤等の分散助剤を含有させることができる。分散助剤は、着色組成物中のε型フタロシアニン顔料100重量部に対して、0.1〜40重量部、好ましくは0.1〜30重量部の量で用いることができる。
また、本発明の着色組成物を紫外線等の光照射により硬化する場合には、光重合開始剤が添加される。光重合開始剤は、着色組成物中のε型フタロシアニン顔料100重量部に対して、5〜200重量部、好ましくは10〜150重量部の量で用いることができる。 光重合開始剤には、増感剤を併用することもできる。増感剤は、着色組成物中の光重合開始剤100重量部に対して、0.1〜60重量部の量で用いることができる。
本発明の着色組成物には、ε型フタロシアニン顔料を充分に顔料担体中に分散させ、均一な塗膜を形成することを容易にするために、溶剤を含有させることができる。溶剤は、着色組成物中のε型フタロシアニン顔料100重量部に対して、合計して800〜4000重量部、好ましくは1000〜2500重量部の量で用いることができる。
さらに、本発明の着色組成物には、組成物の経時粘度を安定化させるために貯蔵安定剤を含有させることができる。また、基材との密着性を高めるためにシランカップリング剤等の密着向上剤を含有させることもできる。
また、本発明の着色組成物には、必要に応じて、本発明の効果を損なわない範囲で、熱重合防止剤、可塑剤、表面保護剤、平滑剤、塗布助剤、塗布性向上剤又は現像改良剤などの添加剤を添加することができる。
本発明の着色組成物は、カラーフィルターの製造に用いられる場合には、遠心分離、焼結フィルター、メンブレンフィルター等にて、5μm以上の粗大粒子、好ましくは1μm以上の粗大粒子、さらに好ましくは0.5μm以上の粗大粒子および混入した塵の除去を行うことが好ましい。
本発明の着色組成物は、グラビアオフセット用印刷インキ、水無しオフセット印刷インキ、シルクスクリーン印刷用インキ、溶剤現像型あるいはアルカリ現像型着色レジスト材として調製することができる。溶剤現像型あるいはアルカリ現像型着色レジスト材は、顔料担体である熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂または感光性樹脂と、モノマーと、光重合開始剤と、溶剤とを含有する組成物中に、本発明のε型フタロシアニン顔料を分散させたものである。
さらに本発明の着色組成物は、幅広い印刷インキや塗料、インクジェットインキ、さらにはプラスチックの着色においても、分散効果と経時安定性に優れ、着色力の高い着色物が得られる。
その場合、モノマーや光重合開始剤を用いず、前記の樹脂および溶剤の他に、石油樹脂、カゼイン、セラック、乾性油、合成乾性油等の樹脂、およびエチルセロソルブアセテート、ブチルセロソルブアセテート、エチルベンゼン、酢酸エチル、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、ブタノール、エチレングリコール、グリセリン、ジメチルホルムアミド、ソルベッソ100(エクソン化学株式会社)、スワゾール1000、石油系溶剤等の溶剤を用い、必要に応じて界面活性剤および/または樹脂型顔料分散剤を用いて、前記の方法により着色組成物を製造することができる。
以下、実施例を挙げて本発明を詳しく説明する。但し、本発明はこれらの実施例の範囲に限定されるものではない。なお、実施例中、「部」とは重量部を表す。
[実施例1]
ε型銅フタロシアニン(X線回折図(CuKα線)において、ブラッグ角度2θの9.1±0.2度にあるピークの半価幅が0.50度)100部、塩化ナトリウム800部、ジエチレングリコール150部をほぼ均一となるようにコンバートミキサー(浅田鉄工社製)にて5分間予備混合した。この混合物をスクリュー式定量フィーダーで連続混練機(浅田鉄工社製の「ミラクルK.C.K.−42型」)に供給し、混合物を混練してε型銅フタロシアニン顔料を製造した。連続混練機の条件は、フィード部スクリュー径120mmφ、固定円盤と回転円盤からなる混練部組数8組で、混練組成物の押出量30kg/時、滞留時間8分、主軸回転数50rpm、混練温度は80℃で運転した。ここで得られた混練組成物を70℃の1%硫酸水溶液3500部に取り出し、1時間保温攪拌後、濾過、水洗、乾燥した。得られた顔料のX線回折測定(CuKα線)を行ったところ、ブラッグ角2θ=9.1±0.2度に最も強いピークを有し、その半価幅が0.69度のε型銅フタロシアニン顔料であった。TEM(電子顕微鏡)で観察し写真を画像解析して粒子径を測定したところ、個数平均径28nmであった。
[比較例1]
実施例1と同様のε型銅フタロシアニン100部、塩化ナトリウム800部、ジエチレングリコール150部を1500容量部の双腕型ニーダーに仕込み、80℃で稠密な塊状(ドウ)に保持しながら10時間混練した。混練後70℃の1%硫酸水溶液3500部に取り出し、1時間保温攪拌後、濾過、水洗、乾燥し顔料を得た。得られた顔料のX線回折測定(CuKα線)を行ったところ、ブラッグ角2θ=9.1±0.2度に最も強いピークを有し、その半価幅が0.58度のε型銅フタロシアニン顔料であった。TEMで観察し写真を画像解析して粒子径を測定したところ、個数平均径38nmであった。
[実施例2]
実施例1と同様のε型銅フタロシアニン100部、フタルイミドメチル銅フタロシアニン8部、塩化ナトリウム1000部、ジエチレングリコール200部をほぼ均一となるようにコンバートミキサー(浅田鉄工社製)にて5分間予備混合した。この混合物をスクリュー式定量フィーダーで連続混練機(浅田鉄工社製の「ミラクルK.C.K.−42型」)に供給し、混合物を混練してε型銅フタロシアニン顔料を製造した。連続混練機の条件は、フィード部スクリュー径120mmφ、固定円盤と回転円盤からなる混練部組数8組で、混練組成物の押出量25kg/時、滞留時間10分、主軸回転数50rpm、混練温度は60℃で運転した。ここで得られた混練組成物を70℃の1%硫酸水溶液3500部に取り出し、1時間保温攪拌後、濾過、水洗、乾燥した。得られた顔料のX線回折測定(CuKα線)を行ったところ、ブラッグ角2θ=9.1±0.2度に最も強いピークを有し、その半価幅が0.76度のε型銅フタロシアニン顔料であった。TEM(電子顕微鏡)で観察し写真を画像解析して粒子径を測定したところ、個数平均径23nmであった。
[比較例2]
実施例1と同様のε型銅フタロシアニン100部、フタルイミドメチル銅フタロシアニン8部、塩化ナトリウム1000部、ジエチレングリコール200部を1500容量部の双腕型ニーダーに仕込み、60℃で稠密な塊状(ドウ)に保持しながら14時間混練した。混練後70℃の1%硫酸水溶液3500部に取り出し、1時間保温攪拌後、濾過、水洗、乾燥し顔料を得た。得られた顔料のX線回折測定(CuKα線)を行ったところ、ブラッグ角2θ=9.1±0.2度に最も強いピークを有し、その半価幅が0.60度のε型銅フタロシアニン顔料であった。TEMで観察し写真を画像解析して粒子径を測定したところ、個数平均径35nmであった。
(アクリル樹脂溶液の調製)
セパラブル4口フラスコに温度計、冷却管、窒素ガス導入管、撹拌装置を取り付けた反応容器にシクロヘキサノン70.0部を仕込み、80℃に昇温し、反応容器内を窒素置換した後、滴下管よりn−ブチルメタクリレート13.3部、2−ヒドロキシエチルメタクリレート4.6部、メタクリル酸4.3部、パラクミルフェノールエチレンオキサイド変性アクリレート(東亞合成株式会社製「アロニックスM110」)7.4部、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル0.4部の混合物を2時間かけて滴下した。滴下終了後、更に3時間反応を継続し、重量平均分子量26000のアクリル樹脂の溶液を得た。室温まで冷却した後、樹脂溶液約2gをサンプリングして180℃、20分加熱乾燥して不揮発分を測定し、先に合成した樹脂溶液に不揮発分が20重量%になるようにシクロヘキサノンを添加してアクリル樹脂溶液を調製した。
[実施例3]
下記の組成の混合物を均一に撹拌混合し、直径0.1mmのジルコニアビーズを用いて、picoミルL(浅田鉄工社製)で10時間分散した後、5μmのフィルタで濾過し、顔料分散体を作製した。
実施例1で得られたε型銅フタロシアニン顔料 10.0部
ジブチルアミノメチル基を有する銅フタロシアニン 1.0部
リン酸エステル系顔料分散剤(ビックケミー社製「BYK111」)1.0部
先に調製したアクリル樹脂溶液 40.0部
シクロヘキサノン 48.0部
ついで、下記組成の混合物を均一になるように攪拌混合した後、1μmのフィルタで濾過し、カラーフィルター用着色レジスト材を作製した。
上記顔料分散体 45.0部
先に調製したアクリル樹脂溶液 15.0部
ジペンタエリストリトールペンタアクリレートおよびヘキサアクリレート
(東亞合成社製「アロニックスM400」) 9.0部
光重合開始剤
(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製「イルガキュア907」)2.0部
界面活性剤(ビックケミー社製「BYK−323」) 0.1部
貯蔵安定剤(北興化学社製「TPP」) 0.1部
シクロへキサノン 28.8部
[実施例4]
実施例1で得られたε型銅フタロシアニン顔料を実施例2で得られたε型銅フタロシアニン顔料に変えた以外は、実施例3と同様にして、カラーフィルター用着色レジスト材を得た。
[比較例3]
実施例1で得られたε型銅フタロシアニン顔料を比較例1で得られたε型銅フタロシアニン顔料に変えた以外は、実施例3と同様にして、カラーフィルター用着色レジスト材を得た。
[比較例4]
実施例1で得られたε型銅フタロシアニン顔料を比較例2で得られたε型銅フタロシアニン顔料に変えた以外は、実施例3と同様にして、カラーフィルター用着色レジスト材を得た。
(1)サンプル基板の作成
ガラス基板に、スピンコートにより、C光源でy=0.14の色度になるような膜厚で、実施例3〜4、比較例3〜4で得られた着色組成物を塗布した。80℃で20分乾燥後、露光機にて全面露光し光硬化させた後、230℃のオーブンで1時間加熱し熱硬化させ、サンプル基板を得た。
(2)コントラスト評価
コントラスト比は、図3に示す測定装置を用いて測定した。液晶ディスプレー用バックライトユニット(7)から出た光は、偏光板(6)を通過して偏光され、ガラス基板(5)上に塗布されたレジスト材の乾燥塗膜(4)を通過し、偏光板(3)に到達する。偏光板(6)と偏光板(3)の偏光面が平行であれば、光は偏光板(3)を透過するが、偏光面が直行している場合には光は偏光板(3)により遮断される。しかし、偏光板(6)によって偏光された光がレジスト材の乾燥塗膜(4)を通過するときに、顔料粒子による散乱等が起こり、偏光面の一部にずれを生じると、偏光板が平行のときは偏光板(3)を透過する光量が減り、偏向板が直行のときは偏光板(3)を一部光が透過する。この透過光を偏光板上の輝度として測定し、偏光板が平行のときの輝度と、直行のときの輝度との比(コントラスト比)を算出した。
(コントラスト比)=(平行のときの輝度)/(直行のときの輝度)
従って、レジスト材の乾燥塗膜(4)の顔料により散乱が起こると、平行のときの輝度が低下し、かつ直行のときの輝度が増加するため、コントラスト比が低くなる。即ち、顔料による散乱が少なくコントラスト比がより高いものが優れる。
なお、輝度計(1)としては色彩輝度計(トプコン社製「BM−5A」)、偏光板(3)、(6)としては偏光板(日東電工社製「NPF−G1220DUN」)を用いた。なお、測定に際しては、不要光を遮断するために、測定部分に1cm角の孔を開けた黒色のマスク(2)を当てた。
(3)明度評価
実施例3〜4、比較例3〜4で得られた着色組成物を塗布した上記サンプル基板について、顕微分光光度計(オリンパス光学社製「OSP−SP100」)を用い、C光源での色度Yおよびxを測定した。
一般に濃度方向であるyを固定した場合、Yが大きいほど光透過量が多く、色表示領域が広く優れている。Yの誤差範囲は±0.1であり、サンプル間でその範囲を超えた場合は優位差と判断される。
上記(2)コントラスト評価と(3)明度評価の結果を、表1に示す。
Figure 2008094872
実施例3および実施例4のカラーフィルター用着色レジスト材は、比較例3および比較例4のカラーフィルター用着色レジスト材よりも(2)コントラスト評価と(3)明度評価の結果の2点に於いて優れていることから、実施例1で得られた顔料と実施例2で得られた顔料は、カラーフィルター用顔料としても優れていると言える。
本発明で使用する連続混練機の一例を示す、側面視の断面図である。 図1に示す連続混練機に適用される固定円盤および回転円盤の一実施形態を示す正面図または背面図であり、(a)はキャビティー扇型固定円盤、(b)はキャビティー扇形回転円盤、(c)はキャビティー菊型固定円盤、(d)はキャビティー菊型回転円盤、(e)はキャビティー臼型固定円盤、(f)はキャビティー臼型回転円盤をそれぞれ示している。 コントラスト比を測定するための測定装置の概念図である。
符号の説明
(図1および図2)
10 連続混練機 1 フィード部
11 ケーシング 111 原料受入口
12 スパイラルロッド 121 駆動軸
122 スパイラルフィン 2 混練部
21 固定円盤
21a キャビティー扇型固定円盤
21b キャビティー菊型固定円盤
21c キャビティー臼型固定円盤
211 遊嵌孔 212 キャビティー(粉砕空間)
22 混練シリンダ 23 回転円盤
23b キャビティー扇型回転円盤
23d キャビティー菊型回転円盤
23d キャビティー臼型回転円盤
231 外嵌孔 232キャビティー(粉砕空間)
3 排出部 4 定量フィーダー部
41 原料ホッパー 42 スパイラルフィーダ
43 連絡筒体 44 介設筒体
(図3)
1 輝度計 2 マスク
3 偏光板 4 着色組成物乾燥塗膜
5 ガラス基板 6 偏光板
7 バックライトユニット

Claims (5)

  1. X線回折図(CuKα線)において、ブラッグ角度2θの9.1±0.2度にあるピークの半価幅が0.64〜0.82度であるε型銅フタロシアニン顔料。
  2. X線回折図(CuKα線)において、ブラッグ角度2θの9.1±0.2度にあるピークの半価幅が0.62度以下であるε型銅フタロシアニンと、水溶性無機塩と、水溶性有機溶剤とを含有する混練混合物を、円筒状のケーシングに同心で内装された環状の固定円盤と、駆動軸により回転する回転円盤との間隙により形成された粉砕空間を有する連続混練機にて混練することを特徴とする、請求項1記載のε型銅フタロシアニン顔料の製造方法。
  3. 混練を40〜120℃で行うことを特徴とする請求項2記載のε型銅フタロシアニン顔料の製造方法。
  4. 混練混合物が、無金属または金属フタロシアニン誘導体を含有する請求項2または3に記載のε型フタロシアニン顔料の製造方法。
  5. 請求項1記載のε型銅フタロシアニン顔料および顔料担体を含有する着色組成物。
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