JP6920866B2 - 推進制御装置 - Google Patents

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本発明は、パルス幅変調信号に応じて電力変換装置を制御する推進制御装置に関する。
電動機を駆動する電力変換装置が有するスイッチング素子のオンオフの切り替えは、PWM(Pulse Width Modulation:パルス幅変調)制御に基づき行われる。鉄道車両に搭載される電力変換装置を制御する推進制御装置は、例えば運転台に設けられるマスターコントローラの操作に応じて、マスターコントローラから送られるPWM信号のデューティ比を検出する。推進制御装置は、PWM信号のデューティ比に応じてトルク指令値を算出し、トルク指令値に応じた制御信号を電力変換装置に出力する。推進制御装置は、制御信号によって電力変換装置が有するスイッチング素子のオンオフを切り替えることで、電力変換装置を制御する。推進制御装置によって制御される電力変換装置が電動機を駆動することで、鉄道車両の推進力が得られる。
特許文献1に開示される信号変換回路は、アナログ回路によって、PWM信号のデューティ比をアナログ量に変換する。
実開平7−42228号公報
アナログ回路では、周囲温度または経年によって回路特性が変化し、回路特性の変化に伴ってデューティ比検出精度が劣化してしまう。また鉄道車両において、マスターコントローラから送られるPWM信号の搬送波の周波数は変動する。そのため、推進制御装置は、PWM信号の搬送波の周波数が変動した場合であっても、デューティ比を検出する必要がある。
本発明は上述の事情に鑑みてなされたものであり、パルス幅変調信号の搬送波の周波数が変動する場合に、パルス幅変調信号のデューティ比の検出精度を向上させることが目的である。
上記目的を達成するため、本発明に係る推進制御装置は、クロック生成部、周期カウンタ、オン時間カウンタ、補正部、および制御部を備える。クロック生成部は、パルス幅変調信号の定格周期を自然数である分割数で除算した値が周期である基準クロックを出力する。周期カウンタは、基準クロックとは独立した信号であって、外部装置から入力されるパルス幅変調信号の周期を基準クロックに基づいてカウントし、外部装置から入力されるパルス幅変調信号の周期に相当する周期カウント数を出力する。オン時間カウンタは、外部装置から入力されるパルス幅変調信号のオン時間を基準クロックに基づいてカウントし、外部装置から入力されるパルス幅変調信号のオン時間に相当するオン時間カウント数を出力する。補正部は、周期カウント数および周期カウント数に応じて定められた補正量に基づいてオン時間カウント数を補正する。制御部は、補正部で補正されたオン時間カウント数を分割数で除算した値であるデューティ比に応じて電動機のトルク指令値を算出し、トルク指令値に応じた制御信号を電動機を駆動する電力変換装置に出力する。
本発明によれば、基準クロックに基づいた周期カウント数に応じた補正量によって、基準クロックに基づいたオン時間カウント数を補正することで、パルス幅変調信号の搬送波の周波数が変動する場合に、パルス幅変調信号のデューティ比の検出精度を向上させることが可能である。
本発明の実施の形態1に係る推進制御装置の構成例を示すブロック図 実施の形態1における周期カウント数およびオン時間カウント数の例を示す図 実施の形態1における補正量の例を示す図 本発明の実施の形態2に係る推進制御装置の構成例を示すブロック図 実施の形態2に係る推進制御装置の他の構成例を示すブロック図 実施の形態2に係る推進制御装置の他の構成例を示すブロック図
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。なお図中、同一または同等の部分には同一の符号を付す。
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1に係る推進制御装置の構成例を示すブロック図である。推進制御装置1は、PWM(Pulse Width Modulation:パルス幅変調)信号を取得し、PWM信号に応じて、電動機3を駆動する電力変換装置2を制御する。推進制御装置1は、PWM信号のデューティ比を検出する検出部10およびデューティ比に応じた制御信号を電力変換装置2に出力する制御部16を備える。検出部10は、水晶発振器11、水晶発振器11が出力する信号を分周して基準クロックを生成するクロック生成部12、PWM信号の周期を基準クロックに基づいてカウントする周期カウンタ13、PWM信号のオン時間を基準クロックに基づいてカウントするオン時間カウンタ14、およびオン時間カウンタ14の出力を補正する補正部15を備える。制御部16は、PWM信号のデューティ比に応じて電動機3に対するトルク指令値を演算する指令演算部161およびトルク指令値に応じて電力変換装置2に対する制御信号を生成する信号生成部162を備える。
図1に示す推進制御装置1の各部はデジタル回路で実現される。検出部10は、FPGA(Field-Programmable Gate Array)によって実現することができる。また指令演算部161はCPU(Central Processing Unit:中央処理装置)で実現し、信号生成部162はDSP(Digital Signal Processor)で実現することができる。補正部15においてオン時間カウンタ14の出力を補正することで、PWM信号の搬送波の周波数が変動する場合に、PWM信号のデューティ比の検出精度を向上させることが可能である。推進制御装置1の各部をデジタル回路で実現することで、周囲温度または経年によるPWM信号のデューティ比の検出精度の劣化を抑制することが可能である。
推進制御装置1の各部の動作について説明する。推進制御装置1は、例えば鉄道車両に搭載される。運転台に設けられるマスターコントローラの操作に応じて、マスターコントローラから推進制御装置1にPWM信号が送られる。推進制御装置1は、PWM信号のデューティ比を検出する。推進制御装置1がデューティ比に応じて電力変換装置2を制御し、電力変換装置2が電動機3を駆動することで、鉄道車両の推進力が得られる。
クロック生成部12は、水晶発振器11の出力信号を分周して基準クロックを生成する。基準クロックの周期は、予め設定されており、PWM信号の定格周期を自然数である分割数で除算した値である。例えばPWM信号の定格周期の逆数である定格周波数が400Hzであり、分割数が400である場合には、クロック生成部12は、水晶発振器11の出力信号を分周して、160kHzの周波数の基準クロックを出力する。例えば、指令演算部161が定格周期および分割数を設定することで、基準クロックの周期が設定される。クロック生成部12は、基準クロックを周期カウンタ13およびオン時間カウンタ14に出力する。基準クロックの周期はPWM信号の定格周期に応じて予め設定されているため、推進制御装置1に入力されるPWM信号の搬送波の周波数が変動しても、基準クロックの周波数は変動しない。
周期カウンタ13は、PWM信号の周期を基準クロックに基づいてカウントする。周期カウンタ13は、PWM信号の立ち上がりから直後のPWM信号の立ち上がりまでを、基準クロックに基づいてカウントし、PWM信号の周期に相当する周期カウント数を出力する。オン時間カウンタ14は、PWM信号のオン時間を基準クロックに基づいてカウントする。オン時間カウンタ14は、PWM信号の立ち上がりから直後のPWM信号の立ち下がりまでを、基準クロックに基づいてカウントし、PWM信号のオン時間に相当するオン時間カウント数を出力する。
図2は、実施の形態1における周期カウント数およびオン時間カウント数の例を示す図である。図2の一段目が推進制御装置1に入力されるPWM信号の例である。図2の例では、PWM信号の周期がC1からC2に変化している。図2の二段目がクロック生成部12が出力する基準クロックの例である。周期カウンタ13およびオン時間カウンタ14は、基準クロックに基づいてカウントを行う。図2の三段目が周期カウント数の例である。周期カウンタ13は、時刻T1においてPWM信号の立ち上がりを検出すると、周期カウント数を出力し、周期カウント数をリセットしてからカウントを開始する。同様に、周期カウンタ13は、時刻T3においてPWM信号の立ち上がりを検出すると、時刻T1から時刻T3までにカウントした周期カウント数を出力し、周期カウント数をリセットしてからカウントを開始する。周期カウンタ13は、上述の処理を繰り返し行う。図2の四段目がオン時間カウント数の例である。オン時間カウンタ14は、時刻T1においてPWM信号の立ち上がりを検出すると、カウントを開始する。オン時間カウンタ14は、時刻T2においてPWM信号の立ち下がりを検出すると、時刻T1から時刻T2までにカウントしたオン時間カウント数を出力し、オン時間カウント数をリセットする。同様に、オン時間カウンタ14は、時刻T3においてPWM信号の立ち上がりを検出すると、カウントを開始する。オン時間カウンタ14は、上述の処理を繰り返し行う。
補正部15は、周期カウント数および周期カウント数に応じて定められた補正量に基づいてオン時間カウント数を補正する。図3は、実施の形態1における補正量の例を示す図である。図3は、クロック生成部12において分割数が1024に設定されている場合の、補正部15で用いる補正量の例である。補正部15は、例えば、図3に示す補正量のテーブルを保持し、該テーブルに示す補正量に基づいてオン時間カウント数を補正する。補正部15は、オン時間カウント数に、図3に示す補正量を乗算することで、オン時間カウント数を補正する。周期カウンタ13が出力する周期カウント数が1024の場合は、周期カウント数は分割数に一致する、すなわち、PWM信号の周期は定格周期である。そのため、補正量は1であり、補正前のオン時間カウント数と補正後のオン時間カウント数は同じである。周期カウント数が1024より小さい場合、PWM信号の周期が定格周期より短いため、補正部15は、オン時間カウント数を増大させる補正を行う。一方、周期カウント数が1024より大きい場合、PWM信号の周期が定格周期より長いため、補正部15は、オン時間カウントを減少させる補正を行う。例えば、周期カウンタ13が出力する周期カウント数が1010である場合、補正部15は周期カウント数1010に応じた補正量である1.013861386をオン時間カウント数に乗算する。上述の補正により、PWM信号の搬送波の周波数の変動に応じて、後述の指令演算部161でPWM信号のデューティ比を精度よく検出することが可能である。定格周期が変更されても、分割数が同じであれば、図3に示す補正量のテーブルは変更する必要がない。
指令演算部161は、補正部15で補正されたオン時間カウント数を分割数で除算して、デューティ比を算出する。指令演算部161は、デューティ比に応じて電動機3に対するトルク指令値を算出する。信号生成部162は、トルク指令値に応じて電力変換装置2が有するスイッチング素子のオンオフを切り替える制御信号を生成し、制御信号を電力変換装置2に送る。補正部15で補正されたオン時間カウント数を分割数で除算してデューティ比を算出することで、PWM信号の搬送波の周波数が変動する場合に、デューティ比の検出精度を向上させることが可能である。
以上説明したとおり、本実施の形態1に係る推進制御装置1によれば、周期カウント数に応じた補正量に基づいてオン時間カウント数を補正することで、PWM信号の搬送波の周波数が変動した場合に、PWM信号のデューティ比の検出精度を向上させることが可能である。
(実施の形態2)
図4は、本発明の実施の形態2に係る推進制御装置の構成例を示すブロック図である。実施の形態2に係る推進制御装置1は、図1に示す推進制御装置1の構成に加えて、第1の異常検出部17をさらに備える。第1の異常検出部17は、周期カウント数が第1の範囲を超えている場合に、PWM信号の周期の異常を検出し、指令演算部161にPWM信号の異常を通知する。指令演算部161は、PWM信号の異常の通知を受けた場合に、上述のデューティ比の算出は行わず、信号生成部162にPWM信号の異常を通知する。信号生成部162は、PWM信号の異常の通知を受けた場合に、電力変換装置2を停止させる制御信号を生成し、電力変換装置2に送る。
第1の異常検出部17は、周期カウント数と第1の範囲の上限値とを比較するコンパレータ171、周期カウント数と第1の範囲の下限値とを比較するコンパレータ172、およびコンパレータ171,172の出力に応じた信号を出力する論理和回路173を備える。コンパレータ171は、周期カウント数と第1の範囲の上限値とを比較し、周期カウント数が第1の範囲の上限値より大きい場合にH(High)レベルの信号を出力する。コンパレータ172は、周期カウント数と第1の範囲の下限値とを比較し、周期カウント数が第1の範囲の下限値より小さい場合にHレベルの信号を出力する。論理和回路173は、コンパレータ171,172の出力の少なくともいずれかがHレベルである場合に、PWM信号の異常を示す、Hレベルである信号を出力する。指令演算部161は、第1の異常検出部17からHレベルの信号が送られた場合に、信号生成部162にPWM信号の異常を通知する。
第1の範囲は、分割数に応じて定められ、例えば、第1の範囲の上限値を分割数に1.2を乗算した値、第1の範囲の下限値を分割数に0.8を乗算した値とすることができる。第1の範囲は、分割数に応じて定められるため、PWM信号の搬送波の周波数の変動に応じて第1の範囲を変える必要がない。また定格周期が変更されても、分割数が同じであれば、第1の範囲を変更する必要はない。第1の範囲の上限値および下限値は、例えば、指令演算部161によって予め設定される。
図5は、実施の形態2に係る推進制御装置の他の構成例を示すブロック図である。実施の形態2に係る推進制御装置1は、図1に示す推進制御装置1の構成に加えて、第2の異常検出部18をさらに備える。第2の異常検出部18は、補正部15で補正されたオン時間カウント数が第2の範囲を超えている場合に、PWM信号のオン時間の異常を検出し、指令演算部161にPWM信号の異常を通知する。指令演算部161は、PWM信号の異常の通知を受けた場合に、上述のデューティ比の算出は行わず、信号生成部162にPWM信号の異常を通知する。信号生成部162は、PWM信号の異常の通知を受けた場合に、電力変換装置2を停止させる制御信号を生成し、電力変換装置2に送る。
第2の異常検出部18は、補正部15で補正されたオン時間カウント数と第2の範囲の上限値とを比較するコンパレータ181、補正部15で補正されたオン時間カウント数と第2の範囲の下限値とを比較するコンパレータ182、およびコンパレータ181,182の出力に応じた信号を出力する論理和回路183を備える。コンパレータ181は、補正部15で補正されたオン時間カウント数と第2の範囲の上限値とを比較し、補正部15で補正されたオン時間カウント数が第2の範囲の上限値より大きい場合にHレベルの信号を出力する。コンパレータ182は、補正部15で補正されたオン時間カウント数と第2の範囲の下限値とを比較し、補正部15で補正されたオン時間カウント数が第2の範囲の下限値より小さい場合にHレベルの信号を出力する。論理和回路183は、コンパレータ181,182の出力の少なくともいずれかがHレベルである場合に、PWM信号の異常を示す、Hレベルである信号を出力する。指令演算部161は、第2の異常検出部18からHレベルの信号が送られた場合に、信号生成部162にPWM信号の異常を通知する。
第2の範囲は、分割数に応じて定められる。例えば、デューティ比の上限値を90%とし、下限値を10%とする場合に、第2の範囲の上限値は分割数に0.9を乗算した値に設定され、第2の範囲の下限値は分割数に0.1を乗算した値に設定される。第2の範囲は、分割数に応じて定められるため、PWM信号の周波数の変動に応じて第2の範囲を変える必要がない。また定格周期が変更されても、分割数が同じであれば、第2の範囲を変更する必要はない。第2の範囲の上限値および下限値は、例えば、指令演算部161によって予め設定される。
図6は、実施の形態2に係る推進制御装置の他の構成例を示すブロック図である。図6に示す推進制御装置1は、図4に示す推進制御装置1の構成に加え、図5に示す第2の異常検出部18をさらに備える。第1の異常検出部17および第2の異常検出部18の動作は上述の通りである。指令演算部161は、第1の異常検出部17および第2の異常検出部18の少なくともいずれかから、PWM信号の異常を示す、Hレベルの信号が送られた場合に、信号生成部162にPWM信号の異常を通知する。
以上説明したとおり、本発明の実施の形態2によれば、分割数に応じて定められた第1の範囲および第2の範囲を用いてPWM信号の異常を検出することで、PWM信号の搬送波の周波数が変動した場合でも、第1の範囲および第2の範囲を変更することなく、PWM信号の異常を検出することが可能である。
本発明の実施の形態は上述の実施の形態に限られない。第1の範囲および第2の範囲は上述の例に限られず、PWM信号の特性に応じて設定することができる。
1 推進制御装置、2 電力変換装置、3 電動機、10 検出部、11 水晶発振器、12 クロック生成部、13 周期カウンタ、14 オン時間カウンタ、15 補正部、16 制御部、17 第1の異常検出部、18 第2の異常検出部、161 指令演算部、162 信号生成部、171,172,181,182 コンパレータ、173,183 論理和回路。

Claims (3)

  1. パルス幅変調信号の定格周期を自然数である分割数で除算した値が周期である基準クロックを出力するクロック生成部と、
    前記基準クロックとは独立した信号であって、外部装置から入力される前記パルス幅変調信号の周期を前記基準クロックに基づいてカウントし、前記外部装置から入力される前記パルス幅変調信号の周期に相当する周期カウント数を出力する周期カウンタと、
    前記外部装置から入力される前記パルス幅変調信号のオン時間を前記基準クロックに基づいてカウントし、前記外部装置から入力される前記パルス幅変調信号のオン時間に相当するオン時間カウント数を出力するオン時間カウンタと、
    前記周期カウント数および前記周期カウント数に応じて定められた補正量に基づいて前記オン時間カウント数を補正する補正部と、
    前記補正部で補正された前記オン時間カウント数を前記分割数で除算した値であるデューティ比に応じて電動機のトルク指令値を算出し、前記トルク指令値に応じた制御信号を前記電動機を駆動する電力変換装置に出力する制御部と、
    を備える推進制御装置。
  2. 前記周期カウント数が第1の範囲を超えている場合に、前記外部装置から入力される前記パルス幅変調信号の周期の異常を検出する第1の異常検出部をさらに備え、
    前記制御部は前記第1の異常検出部が前記外部装置から入力される前記パルス幅変調信号の周期の異常を検出した場合に、前記電力変換装置を停止する前記制御信号を出力する、
    請求項1に記載の推進制御装置。
  3. 前記補正部で補正された前記オン時間カウント数が第2の範囲を超えている場合に、前記外部装置から入力される前記パルス幅変調信号のオン時間の異常を検出する第2の異常検出部をさらに備え、
    前記制御部は前記第2の異常検出部が前記外部装置から入力される前記パルス幅変調信号のオン時間の異常を検出した場合に、前記電力変換装置を停止する前記制御信号を出力する、
    請求項1または2に記載の推進制御装置。
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