JP6919867B2 - ラジカル重合性樹脂組成物 - Google Patents

ラジカル重合性樹脂組成物 Download PDF

Info

Publication number
JP6919867B2
JP6919867B2 JP2017110695A JP2017110695A JP6919867B2 JP 6919867 B2 JP6919867 B2 JP 6919867B2 JP 2017110695 A JP2017110695 A JP 2017110695A JP 2017110695 A JP2017110695 A JP 2017110695A JP 6919867 B2 JP6919867 B2 JP 6919867B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
radically polymerizable
compound
resin composition
metal
acid
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2017110695A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2018203876A (ja
Inventor
一博 黒木
一博 黒木
広平 斉藤
広平 斉藤
陽一郎 坂口
陽一郎 坂口
三浦 賢治
賢治 三浦
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Resonac Holdings Corp
Original Assignee
Showa Denko KK
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Showa Denko KK filed Critical Showa Denko KK
Priority to JP2017110695A priority Critical patent/JP6919867B2/ja
Publication of JP2018203876A publication Critical patent/JP2018203876A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6919867B2 publication Critical patent/JP6919867B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Landscapes

  • Polymerisation Methods In General (AREA)
  • Macromonomer-Based Addition Polymer (AREA)

Description

本発明は、保存安定性及び硬化性能に優れたラジカル重合性樹脂組成物に関する。
ラジカル重合性樹脂組成物は、成形加工や接着剤、プライマー、塗料、あるいはまた、コンクリートの断面修復やクラック注入、止水等のための無機構造物修復材、さらに、繊維強化複合材料等の幅広い用途で利用されている。
ビニルエステル樹脂や不飽和ポリエステル樹脂等のラジカル重合性樹脂は、10〜50℃程度の常温付近で硬化させるためには、硬化促進剤の使用が不可欠であり、場合によっては、硬化促進助剤も併用される。
硬化促進助剤としては、例えば、β−ジケトン類、芳香族第三級アミン類、メルカプタン類(チオール化合物)、リン化合物等が挙げられる。
例えば、特許文献1に、硬化促進剤として金属石鹸を用い、硬化促進剤としてチオール化合物を併用することにより、湿潤した基材表面においても、ラジカル重合性樹脂を安定的に硬化させることができることが記載されている。
国際公開第2016/171151号公報
しかしながら、金属石鹸及びチオール化合物を含むラジカル重合性樹脂組成物を1か月以上の長期間保存した場合に、保存中にゲル化が生じたり、使用する際のゲル化時間及び硬化時間が著しく短縮されたりするという課題があった。
このような課題に対しては、従来、ハイドロキノン類やカテコール類等の重合禁止剤を併用する手段も採用されているが、このような従来の重合禁止剤によっては、ゲル化の抑制及び硬化性能の維持を十分に得ることは困難であった。
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、長期間にわたってゲル化が抑制され、かつ、硬化性能を維持することができる、保存安定性に優れたラジカル重合性樹脂組成物を提供することを目的とする。
本発明は、硬化促進剤として金属石鹸等を含み、かつ、硬化促進助剤としてチオール化合物を含むラジカル重合性樹脂組成物に、特定のフェノール樹脂を添加することにより、該ラジカル重合性樹脂組成物を、長期間保存した場合においても、ゲル化の抑制及び硬化性能の維持の両立を図ることができることを見出したことに基づくものである。
すなわち、本発明は、以下の[1]〜[6]を提供するものである。
[1]ラジカル重合性化合物(A)、金属含有化合物(B)、チオール化合物(C)及びアンモニアレゾール樹脂(D)を含み、前記金属含有化合物(B)が、金属石鹸、及びβ−ジケトン骨格を有する金属錯体のうちから選ばれる1種以上の化合物であり、前記チオール化合物(C)が、2級チオール化合物及び3級チオール化合物のうちから選ばれる1種以上の化合物である、ラジカル重合性樹脂組成物。
[2]前記アンモニアレゾール樹脂(D)は、質量平均分子量が1000〜15000であり、かつ、フェノール核1モルに対して窒素原子が0.05〜1.0モル含まれている、上記[1]に記載のラジカル重合性樹脂組成物。
[3]前記アンモニアレゾール樹脂(D)の含有量が、前記ラジカル重合性化合物(A)100質量部に対して0.1〜30質量部である、上記[1]又は[2]に記載のラジカル重合性樹脂組成物。
[4]前記金属含有化合物(B)の合計含有量が、前記ラジカル重合性化合物(A)100質量部に対して、金属元素量換算で0.001〜5質量部である、上記[1]〜[3]のいずれか1項に記載のラジカル重合性樹脂組成物。
[5]前記チオール化合物(C)の合計含有量が、前記金属含有化合物(B)の合計1モルに対して0.1〜15モルである、上記[1]〜[4]のいずれか1項に記載のラジカル重合性樹脂組成物。
[6]前記ラジカル重合性化合物(A)が、ビニルエステル樹脂及び不飽和ポリエステル樹脂のうちから選ばれる1種以上の化合物である、上記[1]〜[5]のいずれか1項に記載のラジカル重合性樹脂組成物。
本発明によれば、硬化促進剤として金属石鹸等を含み、かつ、硬化促進助剤をチオール化合物として含むラジカル重合性樹脂組成物について、保存中にゲル化を生じることを抑制することが可能となり、かつ、長期間保存後の硬化性能を維持することが可能となる。すなわち、上記のような硬化促進剤及び硬化促進助剤を含むラジカル重合性樹脂組成物の保存安定性を向上させることができる。
以下、本発明のラジカル重合性樹脂組成物(以下、「樹脂組成物」と略称する場合もある。)について、詳細に説明する。
[ラジカル重合性樹脂組成物]
本発明のラジカル重合性樹脂組成物は、ラジカル重合性化合物(A)、金属含有化合物(B)、チオール化合物(C)及びアンモニアレゾール樹脂(D)を含むものである。そして、金属含有化合物(B)が、金属石鹸、及びβ−ジケトン骨格を有する金属錯体のうちから選ばれる1種以上の化合物であり、チオール化合物(C)が、2級チオール化合物及び3級チオール化合物のうちから選ばれる1種以上の化合物である。
このようなラジカル重合性樹脂組成物は、ゲル化の抑制及び硬化性能の維持の両立を図ることができ、保存安定性に優れている。
(ラジカル重合性化合物(A))
ラジカル重合性化合物(A)は、分子内にエチレン性不飽和炭化水素基を有し、ラジカルによって重合反応が進行する化合物である。これらは、1種単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
ラジカル重合性樹脂組成物中のラジカル重合性化合物(A)の含有量は、ラジカル重合性樹脂の使用目的や用途等に応じて適宜設定されるが、該樹脂組成物の良好な硬化物を効率的に得る観点から、10〜99質量%、より好ましくは20〜98質量%、さらに好ましくは50〜98質量%である。
ラジカル重合性化合物(A)は、特に限定されるものではなく、例えば、エポキシ(メタ)アクリレート樹脂等のビニルエステル樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ポリエステル(メタ)アクリレート樹脂、ウレタン(メタ)アクリレート樹脂、(メタ)アクリレート樹脂、ラジカル重合性不飽和単量体、前記樹脂とラジカル重合性不飽和単量体との混合物等が挙げられる。これらのうち、ビニルエステル樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、また、これらの各樹脂と、ビニル基や(メタ)アクリロイル基等を有するラジカル重合性不飽和単量体との混合物が好ましい。なお、(メタ)アクリレートとは、アクリレート又はメタクリレートを意味し、また、(メタ)アクリロイル基とは、アクリロイル基又はメタクリロイル基を意味する。
(金属含有化合物(B))
金属含有化合物(B)は、金属石鹸、及びβ−ジケトン骨格を有する金属錯体から選ばれる化合物である。これらは、1種単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
これらの化合物は、前記ラジカル重合性樹脂組成物中において硬化促進剤として機能するものである。
前記ラジカル重合性樹脂組成物中の金属含有化合物(B)の合計含有量は、ラジカル重合性化合物(A)が硬化するまでの十分な可使時間及び硬化促進能のバランスの観点から、ラジカル重合性化合物(A)100質量部に対して、金属含有化合物(B)中の金属元素量換算で0.001〜5質量部であることが好ましく、より好ましくは0.004〜2質量部、さらに好ましくは0.025〜1質量部である。
金属石鹸は、長鎖脂肪酸又はその他の有機酸の金属塩である。なお、金属石鹸とは、一般的には、ナトリウム塩及びカリウム塩は含まないが、本発明においては、これらの金属塩であってもよい。
長鎖脂肪酸は、飽和脂肪酸及び不飽和脂肪酸のいずれでもよい。また、炭素数は、特に限定されるものではないが、前記ラジカル重合性樹脂組成物中での金属石鹸の均一な溶解分散性の溶解性の観点から、6〜30であることが好ましく、より好ましくは6〜20、さらに好ましくは6〜16である。具体的には、ヘプタン酸、カプリル酸及び2−エチルヘキサン酸等のオクタン酸、ノナン酸、デカン酸、ネオデカン酸、ウンデカン酸、ドデカン酸、テトラデカン酸、ヘキサデカン酸、オクタデカン酸、エイコサン酸、ドコサン酸、テトラコサン酸、ヘキサコサン酸、オクタコサン酸、トリアコンタン酸、ナフテン酸等の鎖状又は環状構造を有する飽和脂肪酸;オレイン酸、リノール酸、リノレン酸等の不飽和脂肪酸が挙げられる。また、その他の天然物由来のロジン酸、亜麻仁油抽出脂肪酸、大豆油抽出脂肪酸、トール油抽出脂肪酸等も挙げられる。これらのうち、オクタン酸、ナフテン酸が好ましく、より好ましくは2−エチルヘキサン酸、ナフテン酸である。
その他の有機酸としては、例えば、カルボキシ基、ヒドロキシ基、エノール基等を有する弱酸であって、有機溶剤に溶解するものが好ましい。
カルボキシ基を有する弱酸としては、例えば、ギ酸、酢酸、シュウ酸等のカルボン酸;クエン酸、胆汁酸、糖酸、12−ヒドロキシステアリン酸、ヒドロキシケイ皮酸、葉酸等のヒドロキシ酸;アラニン、アルギニン等のアミノ酸;安息香酸、フタル酸等の芳香族酸等が挙げられる。
また、ヒドロキシ基又はエノール基を有する化合物としては、例えば、アスコルビン酸、α酸、イミド酸、エリソルビン酸、クロコン酸、コウジ酸、スクアリン酸、スルフィン酸、タイコ酸、デヒドロ酢酸、デルタ酸、尿酸、ヒドロキサム酸、フミン酸、フルボ酸、ホスホン酸等が挙げられる。
金属塩を構成する金属元素としては、後述するチオール化合物(C)が配位し、錯体化合物を形成し得るものであれば、特に限定されるものではない。例えば、バナジウム、鉄、銅、コバルト、マンガン、チタン、錫、鉛、ビスマス、ジルコニウム、カルシウム等が挙げられ、ラジカル重合性樹脂組成物の保存安定性の観点から、コバルト、マンガン、ジルコニウムが好ましい。
金属石鹸としては、具体的には、2−エチルヘキサン酸コバルト、2−エチルヘキサン酸マンガン、2−エチルヘキサン酸イットリウム、2−エチルヘキサン酸錫、2−エチルヘキサン酸鉛、ナフテン酸コバルト、ナフテン酸鉛、ナフテン酸ビスマス(III)、ナフテン酸イットリウム、ナフテン酸カルシウム等が挙げられる。これらのうち、2−エチルヘキサン酸コバルト、2−エチルヘキサン酸マンガン、ナフテン酸コバルトが好適に用いられる。
β−ジケトン骨格を有する金属錯体は、金属元素に、2個のカルボニル基の間に炭素が1個ある構造を有する化合物が配位した錯体である。例えば、金属元素とアセチルアセトン、アセト酢酸エチル、ベンゾイルアセトン等とが錯形成したものが挙げられ、これらの金属錯体も、前記金属石鹸と同様の機能を発現する。
金属錯体を構成する金属元素としては、前記金属石鹸と同様の金属元素を用いることができる。
金属錯体としては、具体的には、バナジルアセチルアセトネート、コバルトアセチルアセトネート、チタニウムアセチルアセトネート、チタニウムジブトキシビス(アセチルアセトネート)、鉄アセチルアセトネート、アセト酢酸エチルエステルコバルト等が挙げられる。これらのうち、反応性制御等の観点から、チタニウムアセチルアセトネート、チタニウムジブトキシビス(アセチルアセトネート)が好ましい。
(チオール化合物(C))
チオール化合物(C)は、2級チオール化合物及び3級チオール化合物のうちから選ばれる化合物である。これらは、1種単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
これらの化合物は、前記ラジカル重合性樹脂組成物中において、硬化促進剤として機能する金属含有化合物(B)と併用されることにより、硬化促進助剤として機能するものである。チオール化合物(C)は、後述するように、金属含有化合物(B)の金属元素に配位することにより、硬化促進能を発揮するものと考えられる。
なお、1級チオール化合物では、十分な硬化促進能が得られず、また、これを含有するラジカル重合性樹脂組成物は、十分な保存安定性が得られない。このため、本発明においては、2級チオール化合物及び/又は3級チオール化合物を用いる。
ここで、「1級チオール化合物」とは、1級炭素原子に結合するメルカプト基を有する化合物を指し、「2級チオール化合物」とは、2級炭素原子に結合するメルカプト基を有する化合物を指し、また、「3級チオール化合物」とは、3級炭素原子に結合するメルカプト基を有する化合物を指す。2級チオール化合物及び3級チオール化合物は、単官能であっても多官能であってもよい。なお、「単官能」とは、1分子中にメルカプト基を1個有するものであり、「多官能」とは、1分子中にメルカプト基を2個以上有するものであることを意味する。
また、本発明では、2級チオール化合物が、2級炭素原子に結合するメルカプト基以外に、1級炭素原子に結合するメルカプト基を有する場合であっても、該化合物は2級チオール化合物とみなす。同様に、3級チオール化合物が、3級炭素原子に結合するメルカプト基以外に、1級炭素原子に結合するメルカプト基及び2級炭素原子に結合するメルカプト基のうちのいずれか1個以上を有する場合も、該化合物は3級チオール化合物とみなす。
前記ラジカル重合性樹脂組成物中のチオール化合物(C)の合計含有量は、金属含有化合物(B)の金属元素へのチオール化合物(C)の配位のしやすさ、及びコストと硬化促進能のバランスを考慮して、金属含有化合物(B)の合計1モルに対して、0.1〜15モルであることが好ましく、より好ましくは0.3〜12モル、さらに好ましくは0.6〜10モルである。
ラジカル重合性化合物(A)100質量部に対するチオール化合物(C)の合計量としては、前記ラジカル重合性樹脂組成物の硬化物において樹脂特性に影響を及ぼさない程度の量であることが好ましいことから、0.01〜10質量部であることが好ましく、より好ましくは0.05〜5質量部、さらに好ましくは0.1〜3質量部である。
チオール化合物(C)は、下記式(Q−1)で表されるエステル構造を有するものが好ましい。
Figure 0006919867
式(Q−1)中、R1及びR2は、それぞれ独立に、水素原子、炭素数1〜10のアルキル基、又は炭素数6〜18の芳香族基である。ただし、R1及びR2の両方ともが水素原子ではない。*は任意の有機基に連結していることを示す。aは0〜2の整数である。
チオール化合物(C)が上記構造を有することにより、aが1である場合は特に、下記式(T)で表すように、金属含有化合物(B)の金属元素Mに、カルボニル酸素及びメルカプト基が配位しやすくなり、金属含有化合物(B)の金属元素がチオール化合物(C)に囲まれた形になると考えられる。前記ラジカル重合性樹脂組成物を湿潤条件下で用いる場合、このようにチオール化合物(C)が配位することにより、金属元素と水との接触が抑制され、安定的に硬化促進能を発揮することができる。また、3級チオール化合物は、R1及びR2がともに水素よりもかさ高い置換基であり、メルカプト基の金属元素への配位における立体障害を生じやすいことから、2級チオール化合物の方が、硬化促進能をより発揮し得るものと考えられる。
Figure 0006919867

(式(T)中、R1、R2及び*は、前記式(Q−1)におけるR1、R2及び*と同義であり、Mは、金属含有化合物(B)に由来する金属元素を示す。)
このため、特に、前記ラジカル重合性樹脂組成物を湿潤条件下で使用する場合は、硬化するまでの可使時間の観点から、チオール化合物(C)は、2級チオール化合物であることが好ましく、多官能チオールであることがより好ましい。
これらのうち、下記式(S)で表されるメルカプト基含有カルボン酸と、多価アルコールとのエステル化合物がより好ましい。このような化合物は、メルカプト基含有カルボン酸と多価アルコールとの公知の方法でのエステル化反応により得られる。
Figure 0006919867

(式(S)中、R1、R2及びaは、前記式(Q−1)におけるこれらと同義である。)
前記式(S)で表されるメルカプト基含有カルボン酸は、2級チオール化合物の由来化合物である場合、具体的には、2−メルカプトプロピオン酸、3−メルカプト酪酸、3−メルカプト−3−フェニルプロピオン酸等が挙げられる。
また、3級チオール化合物の由来化合物である場合は、具体的には、2−メルカプトイソ酪酸、3−メルカプト−3−メチル酪酸等が挙げられる。
前記多価アルコールとしては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,2−ペンタンジオール、1,3−ペンタンジオール、2,3−ペンタンジオール、1,4−ペンタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,9−ノナンジオール、トリシクロデカンジメタノール、2,2−ビス(2−ヒドロキシエトキシフェニル)プロパン、ビスフェノールAアルキレンオキシド付加物、ビスフェノールFアルキレンオキシド付加物、ビスフェノールSアルキレンオキシド付加物、1,4−シクロヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、1,2−ヘキサンジオール、1,3−ヘキサンジオール、2,3−ヘキサンジオール、1,4−ヘキサンジオール、2,4−ヘキサンジオール、3,4−ヘキサンジオール、1,5−ヘキサンジオール、2,5−ヘキサンジオール、1,6−ヘキサンジオール、9,9−ビス[4−(2−ヒドロキシエチル)フェニル]フルオレン等の2価のアルコール;グリセリン、ジグリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ジトリメチロールプロパン、トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレート、ヘキサントリオール、ソルビトール、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、ショ糖、2,2−ビス(2,3−ジヒドロキシプロピルオキシフェニル)プロパン等の3価以上のアルコール;その他、ポリカーボネートジオール、ダイマー酸ポリエステルポリオール等が挙げられる。
これらのうち、入手容易性や湿潤条件下でも硬化促進能を発揮させる観点から、エチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール等の2価のアルコール;グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレート、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、2,2−ビス(2,3−ジヒドロキシプロピルオキシフェニル)プロパン等の3価以上のアルコール;ポリカーボネートジオール、ダイマー酸ポリエステルポリオールが好ましく、官能基数及び蒸気圧の観点から、1,4−ブタンジオール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレート、ペンタエリスリトール、ポリカーボネートジオール、ダイマー酸ポリエステルポリオールがより好ましい。
前記2級チオール化合物の具体例としては、1,4−ビス(3−メルカプトブチリルオキシ)ブタン、3−メルカプトフタル酸ジ(1−メルカプトエチル)、フタル酸ジ(2−メルカプトプロピル)、フタル酸ジ(3−メルカプトブチル)、エチレングリコールビス(3−メルカプトブチレート)、プロピレングリコールビス(3−メルカプトブチレート)、ジエチレングリコールビス(3−メルカプトブチレート)、ブタンジオールビス(3−メルカプトブチレート)、オクタンジオールビス(3−メルカプトブチレート)、トリメチロールエタントリス(3−メルカプトブチレート)、トリメチロールプロパントリス(3−メルカプトブチレート)、ペンタエリスリトールテトラキス(3−メルカプトブチレート)、ジペンタエリスリトールヘキサキス(3−メルカプトブチレート)、エチレングリコールビス(2−メルカプトプロピオネート)、プロピレングリコールビス(2−メルカプトプロピオネート)、ジエチレングリコールビス(2−メルカプトプロピオネート)、ブタンジオールビス(2−メルカプトプロピオネート)、オクタンジオールビス(2−メルカプトプロピオネート)、トリメチロールプロパントリス(2−メルカプトプロピオネート)、ペンタエリスリトールテトラキス(2−メルカプトプロピオネート)、ジペンタエリスリトールヘキサキス(2−メルカプトプロピオネート)、エチレングリコールビス(4−メルカプトバレレート)、ジエチレングリコールビス(4−メルカプトバレレート)、ブタンジオールビス(4−メルカプトバレレート)、オクタンジオールビス(4−メルカプトバレレート)、トリメチロールプロパントリス(4−メルカプトバレレート)、ペンタエリスリトールテトラキス(4−メルカプトバレレート)、ジペンタエリスリトールヘキサキス(4−メルカプトバレレート)、エチレングリコールビス(3−メルカプトバレレート)、プロピレングリコールビス(3−メルカプトバレレート)、ジエチレングリコールビス(3−メルカプトバレレート)、ブタンジオールビス(3−メルカプトバレレート)、オクタンジオールビス(3−メルカプトバレレート)、トリメチロールプロパントリス(3−メルカプトバレレート)、ペンタエリスリトールテトラキス(3−メルカプトバレレート)、ジペンタエリスリトールヘキサキス(3−メルカプトバレレート)、水素化ビスフェノールAビス(3−メルカプトブチレート)、ビスフェノールAジヒドロキシエチルエーテル−3−メルカプトブチレート、4,4’−(9−フルオレニリデン)ビス(2−フェノキシエチル(3―メルカプトブチレート))、エチレングリコールビス(3−メルカプト−3−フェニルプロピオネート)、プロピレングリコールビス(3−メルカプト−3−フェニルプロピオネート)、ジエチレングリコールビス(3−メルカプト−3−フェニルプロピオネート)、ブタンジオールビス(3−メルカプト−3−フェニルプロピオネート)、オクタンジオールビス(3−メルカプト−3−フェニルプロピオネート)、トリメチロールプロパントリス(3−メルカプト−3−フェニルプロピオネート)、トリス−2−(3−メルカプト−3−フェニルプロピオネート)エチルイソシアヌレート、ペンタエリスリトールテトラキス(3−メルカプト−3−フェニルプロピオネート)、ジペンタエリスリトールヘキサキス(3−メルカプト−3−フェニルプロピオネート)、1,3,5−トリス[2−(3−メルカプトブチリルオキシエチル)]−1,3,5−トリアジン−2,4,6(1H,3H,5H)−トリオン等が挙げられる。
前記2級チオール化合物のうち、分子中に2級炭素原子に結合するメルカプト基を2個以上有する化合物としては、1,4−ビス(3−メルカプトブチリルオキシ)ブタン(昭和電工株式会社製「カレンズMT(登録商標)BD1」)、ペンタエリスリトールテトラキス(3−メルカプトブチレート)(昭和電工株式会社製「カレンズMT(登録商標)PE1」)、1,3,5−トリス[2−(3−メルカプトブチリルオキシエチル)]−1,3,5−トリアジン−2,4,6(1H,3H,5H)−トリオン(昭和電工株式会社製「カレンズMT(登録商標)NR1」)、トリメチロールエタントリス(3−メルカプトブチレート)(昭和電工株式会社製「TEMB」)、トリメチロールプロパントリス(3−メルカプトブチレート)(昭和電工株式会社製「TPMB」)等の市販品を好適に用いることができる。
前記3級チオール化合物の具体例としては、フタル酸ジ(2−メルカプトイソブチル)、エチレングリコールビス(2−メルカプトイソブチレート)、プロピレングリコールビス(2−メルカプトイソブチレート)、ジエチレングリコールビス(2−メルカプトイソブチレート)、ブタンジオールビス(2−メルカプトイソブチレート)、オクタンジオールビス(2−メルカプトイソブチレート)、トリメチロールエタントリス(2−メルカプトイソブチレート)、トリメチロールプロパントリス(2−メルカプトイソブチレート)、ペンタエリスリトールテトラキス(2−メルカプトイソブチレート)、ジペンタエリスリトールヘキサキス(2−メルカプトイソブチレート)、フタル酸ジ(3−メルカプト−3−メチルブチル)、エチレングリコールビス(3−メルカプト−3−メチルブチレート)、プロピレングリコールビス(3−メルカプト−3−メチルブチレート)、ジエチレングリコールビス(3−メルカプト−3−メチルブチレート)、ブタンジオールビス(3−メルカプト−3−メチルブチレート)、オクタンジオールビス(3−メルカプト−3−メチルブチレート)、トリメチロールエタントリス(3−メルカプト−3−メチルブチレート)、トリメチロールプロパントリス(3−メルカプト−3−メチルブチレート)、ペンタエリスリトールテトラキス(3−メルカプト−3−メチルブチレート)、ジペンタエリスリトールヘキサキス(3−メルカプト−3−メチルブチレート)等が挙げられる。
(アンモニアレゾール樹脂(D))
アンモニアレゾール樹脂とは、フェノール類と、ホルムアルデヒドと、アンモニア及び/又は1級アミンとを反応させて得られる、フェノール樹脂の1種である。具体的には、下記式(1)に示す構成単位を有しているポリマーであることが好ましい。
Figure 0006919867
アンモニアレゾール樹脂(D)は、ラジカル重合性化合物(A)に対する重合禁止剤としての機能を有するものである。
ハイドロキノン類やカテコール類等の従来の重合禁止剤や、フェノール樹脂の中でも、窒素原子を含まないレゾール樹脂及びノボラック樹脂では、ラジカル重合性化合物(A)を保存した場合のゲル化を抑制することは困難であるのに対して、アンモニアレゾール樹脂(D)を用いることにより、ラジカル重合性化合物(A)の硬化性能を低下させることなく、ゲル化を抑制することができ、保存安定性を向上させることができる。
なお、前記ラジカル重合性樹脂組成物中に、アンモニアレゾール樹脂(D)以外に、これらの重合禁止剤やレゾール樹脂、ノボラック樹脂が含まれていてもよいが、アンモニアレゾール樹脂(D)によって保存安定性の十分な効果が得られることから、取扱い性やコスト等の観点から、前記重合禁止剤やレゾール樹脂、ノボラック樹脂等を併用する必要はない。
アンモニアレゾール樹脂(D)は、上記のような保存安定性の向上を図る観点から、質量平均分子量が1000〜15000であることが好ましく、より好ましくは1500〜10000、さらに好ましくは2000〜8000である。
なお、前記質量平均分子量は、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)にて、ポリスチレン換算により測定された値である。具体的には、下記実施例に示す方法により測定することができる。
また、アンモニアレゾール樹脂(D)は、上記のような保存安定性の向上を図る観点から、前記式(1)の構成単位のみを繰り返し単位とするポリマー化合物であって、フェノール核1モルに対して窒素原子が1.0モル含まれていることが好ましい。あるいはまた、前記式(1)以外の構成部分、例えば、アミノ基を含まないフェノール骨格を構成単位として有していてもよく、この場合には、フェノール核1モルに対して窒素原子が0.05〜1.0モル含まれていることが好ましく、より好ましくは0.08〜1.0モル、さらに好ましくは0.1〜1.0モルである。
なお、本発明におけるフェノール核1モルに対する窒素原子のモル数は、JIS K 6910:2007の「5.12 ヘキサメチレンテトラミン含有量(ケルダール法)」に準じて測定されたアンモニアレゾール樹脂中の窒素含有量と、1H−NMR(核磁気共鳴)スペクトルから定量したフェノール核量から求められた値である。
前記ラジカル重合性樹脂組成物中のアンモニアレゾール樹脂(D)の含有量は、ラジカル重合性化合物(A)が硬化するまでの十分な可使時間及び発熱温度の観点から、ラジカル重合性化合物(A)100質量部に対して0.1〜30質量部であることが好ましく、より好ましくは0.2〜20質量部であり、さらにより好ましくは0.5〜15質量部である。
アンモニアレゾール樹脂(D)は、その製造方法は特に限定されるものではないが、例えば、フェノール類と、ホルムアルデヒドと、アンモニア及び/又は1級アミンとを反応させる公知の方法により製造することができる。アンモニアレゾール樹脂(D)中の窒素原子は、このアンモニア及び/又は1級アミン由来のものである。
なお、式(1)のフェノール核は、ベンゼン環の炭素原子のうち、ジメチレンアミノ基と結合する以外の炭素原子には置換基を有していないが、これに限定されず、例えば、クレゾールやエチルフェノール等のアルキル基の置換基を有するフェノール類由来の構成であってもよい。アンモニアレゾール樹脂(D)は、これらの構成のうちの1種のみを有するものであっても、2種以上を有するものであってもよい。また、これらの各アンモニアレゾール樹脂の混合物であってもよい。
(その他の成分)
前記ラジカル重合性樹脂組成物は、使用目的や用途等に応じて、必要により、溶剤や、着色剤、充填剤、繊維、カップリング剤、界面活性剤、ワックス、揺変剤等の各種添加剤を含んでいてもよい。
溶剤は、ラジカル重合性樹脂組成物中の各含有成分を均一に混合する観点から、必要に応じて用いられるものである。その含有量は、特に限定されるものではなく、使用時の取り扱い性等に応じて適宜調整することができる。溶剤の種類は、樹脂の種類や使用用途等に応じて、ラジカル重合性樹脂組成物の硬化性能及び保存安定性に影響を及ぼさない範囲内で適宜選択されるものである。例えば、脂肪族炭化水素、芳香族炭化水素、エーテル、ケトン、エステル、鎖状炭酸エステル等が挙げられる。これらは、1種単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
具体的には、脂肪族炭化水素としては、シクロヘキサン、n−ヘキサン、ホワイトスピリット、無臭ミネラルスピリット(OMS:Odorless Mineral Spirits)等のミネラルスピリット等が挙げられる。芳香族炭化水素としては、ナフテン、ナフテンとパラフィンとの混合物、ベンゼン、トルエン、キノリン等が挙げられる。エーテルとしては、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル等が挙げられる。ケトンとしては、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン等が挙げられる。エステルとしては、酢酸エチル、酢酸ブチル、マロン酸ジエチル、コハク酸ジエチル、コハク酸ジブチル、マレイン酸ジブチル、2,2,4−トリメチルペンタンジオールジイソブチレート、ケトグルタル酸のモノ及びジエステル、ピルベート類、アスコルビン酸のパルミテート等のアスコルビン酸のモノ及びジエステル等が挙げられる。鎖状炭酸エステルとしては、炭酸ジメチル、炭酸ジエチル等が挙げられる。その他、1,2−ジオキシム類、N−メチルピロリドン、N−エチルピロリジノン、ジメチルホルムアミド等も用いることができる。
これらの溶剤は、市販のラジカル重合性化合物(A)、金属含有化合物(B)、チオール化合物(C)及びアンモニアレゾール樹脂(D)の製品中に含まれている場合もある。
前記添加剤の含有量は、ラジカル重合性樹脂組成物の硬化性能及び保存安定性に影響を及ぼさない範囲内において、製造する該樹脂組成物の硬化物の所望の物性に応じて適宜調整することができる。前記添加剤の合計含有量は、ラジカル重合性化合物(A)100質量部に対して、0.1〜700質量部であることが好ましく、より好ましくは0.1〜500質量部である。
前記ラジカル重合性樹脂組成物は、ラジカル重合性化合物(A)、金属含有化合物(B)、チオール化合物(C)及びアンモニアレゾール樹脂(D)を、公知の方法で混合撹拌することにより得ることができる。さらに、任意の成分として前記添加剤等を添加してもよい。各成分の添加混合順序は特に限定されるものではない。混合撹拌の際、上述したように、各配合成分を均一に混合する観点から、適宜溶剤を用いてもよい。
[ラジカル重合性樹脂組成物の硬化物]
前記ラジカル重合性樹脂組成物にラジカル重合開始剤を添加することにより、ラジカル重合反応が生じ、該樹脂組成物の硬化物が得られる。
(ラジカル重合開始剤)
ラジカル重合性樹脂組成物に対するラジカル重合開始剤の添加量は、ラジカル重合性化合物(A)の種類や該樹脂組成物の使用条件、反応条件等に応じて適宜設定される。通常、ラジカル重合性化合物(A)100質量部に対して、0.1〜10質量部であることが好ましく、より好ましくは0.5〜8質量部、さらに好ましくは0.5〜5質量部である。
なお、ラジカル重合開始剤は、ラジカル重合性化合物(A)のラジカル重合反応を開始させない条件下で保存される場合は、作業効率等の観点から、ラジカル重合性樹脂組成物中に予め含有させておいてもよい。
ラジカル重合開始剤の種類は、ラジカル重合性化合物(A)の種類や該樹脂組成物の使用条件、反応条件等に応じて適宜選択されるが、公知の熱ラジカル重合開始剤、光ラジカル重合開始剤等を用いることができる。これらは、1種単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
熱ラジカル重合開始剤としては、具体的には、ベンゾイルパーオキサイド等のジアシルパーオキサイド系、tert−ブチルパーオキシベンゾエート等のパーオキシエステル系、クメンハイドロパーオキサイド等のハイドロパーオキサイド系、ジクミルパーオキサイド等ジアルキルパーオキサイド系、メチルエチルケトンパーオキサイド、アセチルアセトンパーオキサイド等のケトンパーオキサイド系、パーオキシケタール系、アルキルパーエステル系、パーカーボネート系等の有機過酸化物が挙げられる。
光ラジカル重合開始剤としては、具体的には、ベンゾインアルキルエーテル等のベンゾインエーテル系、ベンゾフェノン、ベンジル、メチルオルソベンゾイルベンゾエート等のベンゾフェノン系、ベンジルジメチルケタール、2,2−ジエトキシアセトフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオフェノン、4−イソプロピル−2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオフェノン、1,1−ジクロロアセトフェノン等のアセトフェノン系、2−クロロチオキサントン、2−メチルチオキサントン、2−イソプロピルチオキサントン等のチオキサントン系等が挙げられる。
[用途等]
本発明のラジカル重合性樹脂組成物は、乾燥条件下はもちろん、湿潤した基材表面においても、良好な硬化性能を発揮し、その硬化物において優れた接着性が得られることから、例えば、接着剤、プライマー、塗料、コンクリートの断面修復、クラック注入、止水等のための無機構造物修復材、繊維強化複合材料等の様々な用途に使用することができる。
前記ラジカル重合性樹脂組成物が、例えば、塗料として用いられる場合には、該樹脂組成物中に着色剤を含有させたり、また、無機構造物修復材として用いられる場合には、充填材を含有させたりすることができる。また、強化繊維を含有させて繊維強化複合材料として用いる等、各種用途に応じて機能発現に必要な成分をラジカル重合性樹脂組成物に含有させることができる。
また、本発明のラジカル重合性樹脂組成物は、室温(25℃)よりも高温である50℃程度の過酷な温度環境下で保存された場合であっても、少なくとも1か月間は、硬化性能がほとんど低下することなく維持され、保存安定性に優れていることから、例えば、土木用途等で大量に使用する際の安定供給のために、予め製造した該樹脂組成物を長期間保管しておくことも可能である。
以下、本発明を実施例により詳細に説明するが、本発明はこれにより限定されるものではない。
下記実施例及び比較例の各ラジカル重合性樹脂組成物の製造に使用した原料は以下のとおりである。
<ラジカル重合性化合物(A)>
(A1)ビニルエステル樹脂:昭和電工株式会社製「リポキシ(登録商標) NSR−112」、引張強度20MPa
(A2)ビニルエステル樹脂:昭和電工株式会社製「リポキシ(登録商標) NSR−1000」、引張強度40MPa
(A3)不飽和ポリエステル樹脂:昭和電工株式会社「リゴラック(登録商標) SR−110N」、スチレン含有量40質量%、引張強度40MPa
なお、前記(A1)〜(A3)の各引張強度は、JIS K 7161−2:2014に準じて測定した値である。測定は、電気機械式万能材料試験機「5900R」(インストロン社製)を用いて、JIS K 7161−2:2014の6.1及び6.2に従って作製した1A形の試験片について、試験速度5mm/minで行い、JIS K 7161−1:2014に基づいて値を求めた。
<金属含有化合物(B)>
オクチル酸コバルト(2−エチルヘキシル酸コバルト):東栄化工株式会社製「ヘキソエートコバルト8%」、金属石鹸、濃度47質量%溶液、コバルト含有量8質量%、溶媒:ミネラルスピリット、分子量345.34
<チオール化合物(C)>
2級チオール化合物:(1,4−ビス(3−メルカプトブチリルオキシ)ブタン、昭和電工株式会社製「カレンズMT(登録商標) BD1」、2官能、分子量299.43
<フェノール樹脂>
(D1)アンモニアレゾール樹脂:下記合成例1で合成したもの、固体、質量平均分子量約2200
(D2)アンモニアレゾール樹脂:下記合成例2で合成したもの、固体、質量平均分子量約6000
(D’1)レゾール樹脂:下記合成例3で合成したもの、固体、質量平均分子量約4000
(D’2)ノボラック樹脂:下記合成例4で合成したもの、固体、質量平均分子量約15000
<重合禁止剤(E)>
(E1)4−tert−ブチルカテコール:東京化成工業株式会社製
(E2)4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピリジン1−オキシル フリーラジカル(4H−TEMPO):伯東株式会社製「ポリストップ7200P」
[フェノール樹脂の合成]
下記合成例1〜4により、実施例及び比較例で用いる各種フェノール樹脂を合成した。なお、得られた各フェノール樹脂の同定及び分子量測定は以下のようにして行った。
<同定>
1H−NMR(核磁気共鳴)スペクトル及び13C−NMRスペクトルを下記測定条件にて測定し、各フェノール樹脂を同定した。
(測定条件)
NMR装置:「AVANCE(登録商標) III 400」、ブルカー社製
溶媒:重ピリジン
温度:23℃
周波数:100MHz
基準物質:テトラメチルシラン(TMS)
<分子量測定>
ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)測定を下記測定条件にて行い、ポリスチレン換算による質量平均分子量を求めた。
(測定条件)
GPC装置:「Shodex(登録商標) GPC−101」、昭和電工株式会社製
カラム:「KF−801」+「KF−802」(2本)+「KF−803」(いずれも昭和電工株式会社製)
カラム温度:40℃
試料:1質量%テトラヒドロフラン溶液
流量:1ml/min
溶離液:テトラヒドロフラン
検出器:示差屈折率(RI)検出器
(合成例1)アンモニアレゾール樹脂(D1)の合成
撹拌羽根を備えたセパラブルフラスコにフェノール1000g及び濃度37質量%ホルマリン1225gを入れて溶解した後、濃度25質量%アンモニア水300gを撹拌しながら添加し、内温90℃にて2時間反応を行った。その後、上限温度90℃で蒸留を行い、残渣から固形物を回収した。
得られた固形物は、アンモニアレゾール樹脂であり、質量平均分子量は約2200であった。また、フェノール核1モルに対する窒素原子は0.42モルであった。
(合成例2)アンモニアレゾール樹脂(D2)の合成
合成例1において、濃度25質量%アンモニア水の添加量を100gとし、それ以外は合成例1と同様にして、アンモニアレゾール樹脂(質量平均分子量約6000、フェノール核1モルに対して窒素原子0.14モル)を得た。
(合成例3)レゾール樹脂(D’1)の合成
撹拌羽根を備えたセパラブルフラスコにフェノール1000g及び濃度37質量%ホルマリン1207gを入れて溶解した後、濃度48質量%水酸化ナトリウム水溶液10.4gを撹拌しながら添加し、内温90℃にて1.5時間反応を行った。50℃まで冷却し、硫酸7g添加した後、上限温度90℃で蒸留を行い、残渣から固形物を回収した。
得られた固形物は、レゾール樹脂であり、質量平均分子量は約4000であった。
(合成例4)ノボラック樹脂(D’2)の合成
撹拌羽根を備えたセパラブルフラスコにフェノール1000g及びパラホルムアルデヒド820gを入れて50℃まで加熱し、酢酸亜鉛15gを添加し、常圧還流にて2時間反応を行った。その後、上限温度110℃で蒸留を行い、残渣から固形物を回収した。
得られた固形物は、ノボラック樹脂であり、質量平均分子量は約15000であった。
[ラジカル重合性樹脂組成物の製造]
(実施例1)
ラジカル重合性化合物(A1)100gに、金属含有化合物(B)0.08g(金属元素量換算)を加え、室温(25℃)で撹拌混合した。
これに、ラジカル重合性化合物(A1)100gに対してチオール化合物(C)0.5gを加えて撹拌混合した後、アンモニアレゾール樹脂(D1)1gを加えて撹拌混合し、ラジカル重合性樹脂組成物を得た。
(実施例2〜7及び比較例1〜4)
下記表1に示した配合組成で、実施例1と同様にして、各ラジカル重合性樹脂組成物を得た。なお、比較例4においては、アンモニアレゾール樹脂(D1)に代えて、重合禁止剤(E)を用いた。
[ラジカル重合性樹脂組成物の評価]
上記実施例及び比較例で製造したラジカル重合性樹脂組成物について、製造直後及び50℃で遮光した密閉容器内に1か月保存した後に、下記の各項目についての評価を行った。これらの評価結果を下記表1にまとめて示す。
<粘度>
ラジカル重合性樹脂組成物の粘度は、B型(BM)粘度計を用いて、JIS K 6901:2008の「5.5.1 ブルックフィールド形粘度計を用いる場合」の測定方法に準じて、温度25℃、ローターNo.3、回転数60rpmで測定した。
<硬化性能>
ラジカル重合性樹脂組成物に、ラジカル重合開始剤としてクメンハイドロパーオキサイド(日油株式会社製「パークミル(登録商標)H−80」)を、ラジカル重合性化合物(A)100質量部に対して1質量部加えて撹拌混合し、これを、設定温度25℃の恒温水槽中に予め設置した試験管(外径18mm、長さ165mm)に底から100mmの深さまで入れた。
JIS K 6901:2008の「5.9 常温硬化特性(発熱法)」に準じて、ゲル化時間(30℃になるまでの時間)、最小硬化時間(最高温度になるまでの時間)、及び最高温度を測定することにより、硬化性能を評価した。なお、温度は熱電対で測定した。
<湿潤接着性>
JIS A 5371:2010で規定されたコンクリート普通平板(300mm×300mm、厚み60mm)の表面の脆弱物や粉化物を十分に取り除いた後、柔らかい清浄な布で拭き、これを試験用基板とした。この試験用基板の表面に、幅2mm、厚み4mmのゴム板で、JIS A 6909:2014の「7.10 付着強さ試験」に準じて型枠を設置した。
これを十分に含水するように24時間以上水没させた。その後、JIS A 6909:2014の「7.10 付着強さ試験」の図8を参考にして、試験用基板の上面側から5mmが水面に出るように水槽内に設置した。
そして、ラジカル重合性樹脂組成物に、ラジカル重合開始剤としてクメンハイドロパーオキサイド(日油株式会社製「パークミル(登録商標)H−80」)を、ラジカル重合性化合物(A)100質量部に対して1質量加えて撹拌混合し、これを、表面に浮き水がなくなる程度に乾いた布で拭いた試験用基板の型枠内に入れ、厚みが4mm程度になるようにコテやヘラ等で塗り付け、温度25℃、湿度50%RHにて24時間養生し、この試験体について、付着強さを測定した。測定は、建研式接着力試験器(サンコーテクノ株式会社製「テクノテスター R−10000ND」;日本建築仕上学会認定引張試験器)を用いて、各試験体についてランダムに選択した5か所で行い、5か所の測定値の平均値を下記表1における付着強さ[N/mm2]とした。
Figure 0006919867
なお、表1中の「−」との表記は、50℃で1か月保存した後の比較例1〜4のラジカル重合性樹脂組成物はゲル化が進行しており、各種評価の測定を行うことができなかったことを示している。
表1に示した結果から分かるように、金属含有化合物(B)及びチオール化合物(C)とともに、アンモニアレゾール樹脂(D)が所定量含まれているラジカル重合性樹脂組成物(実施例1〜7)は、比較例1〜4と比較して、製造直後の粘度は同等であるものの、ゲル化時間及び最小硬化時間が長く、硬化するまでの十分な可使時間が保持されていることが認められた。また、硬化時の最高温度が低いものの、比較例1〜4と同等の十分な湿潤接着性を有していることが認められた。
また、実施例1〜7のラジカル重合性樹脂組成物は、50℃で1か月保存した後も、粘度の増加はわずかであり、ゲル化時間及び最小硬化時間の増加の程度も小さく、硬化温度の低下度も小さいことから、保存安定性にも優れていると言える。

Claims (6)

  1. ラジカル重合性化合物(A)、金属含有化合物(B)、チオール化合物(C)及びアンモニアレゾール樹脂(D)を含み、
    前記金属含有化合物(B)が、金属石鹸、及びβ−ジケトン骨格を有する金属錯体のうちから選ばれる1種以上の化合物であり、
    前記チオール化合物(C)が、2級チオール化合物及び3級チオール化合物のうちから選ばれる1種以上の化合物であり、
    前記アンモニアレゾール樹脂(D)が、下記式(1)に示す構成単位を有しているポリマーである、ラジカル重合性樹脂組成物。
    Figure 0006919867
  2. 前記アンモニアレゾール樹脂(D)は、質量平均分子量が1000〜15000であり、かつ、フェノール核1モルに対して窒素原子が0.05〜1.0モル含まれている、請求項1に記載のラジカル重合性樹脂組成物。
  3. 前記アンモニアレゾール樹脂(D)の含有量が、前記ラジカル重合性化合物(A)100質量部に対して0.1〜30質量部である、請求項1又は2に記載のラジカル重合性樹脂組成物。
  4. 前記金属含有化合物(B)の合計含有量が、前記ラジカル重合性化合物(A)100質量部に対して、金属元素量換算で0.001〜5質量部である、請求項1〜3のいずれか1項に記載のラジカル重合性樹脂組成物。
  5. 前記チオール化合物(C)の合計含有量が、前記金属含有化合物(B)の合計1モルに対して0.1〜15モルである、請求項1〜4のいずれか1項に記載のラジカル重合性樹脂組成物。
  6. 前記ラジカル重合性化合物(A)が、ビニルエステル樹脂及び不飽和ポリエステル樹脂のうちから選ばれる1種以上の化合物である、請求項1〜5のいずれか1項に記載のラジカル重合性樹脂組成物。
JP2017110695A 2017-06-05 2017-06-05 ラジカル重合性樹脂組成物 Active JP6919867B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2017110695A JP6919867B2 (ja) 2017-06-05 2017-06-05 ラジカル重合性樹脂組成物

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2017110695A JP6919867B2 (ja) 2017-06-05 2017-06-05 ラジカル重合性樹脂組成物

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2018203876A JP2018203876A (ja) 2018-12-27
JP6919867B2 true JP6919867B2 (ja) 2021-08-18

Family

ID=64956532

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2017110695A Active JP6919867B2 (ja) 2017-06-05 2017-06-05 ラジカル重合性樹脂組成物

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP6919867B2 (ja)

Families Citing this family (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2024142769A1 (ja) * 2022-12-26 2024-07-04 株式会社レゾナック 樹脂組成物、複合材料、及びそれらの硬化物

Family Cites Families (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US8624064B2 (en) * 2007-12-19 2014-01-07 Dow Corning Toray Company, Ltd. 4-hydroxyphenylalkylamine derivative
WO2016171151A1 (ja) * 2015-04-21 2016-10-27 昭和電工株式会社 ラジカル重合性樹脂組成物、その硬化方法、その製造方法、ラジカル重合性樹脂組成物の用途、及びその使用方法
CN107531813B (zh) * 2015-04-21 2020-06-26 昭和电工株式会社 自由基聚合性含水树脂组合物、其固化方法及自由基聚合性含水树脂组合物的制造方法

Also Published As

Publication number Publication date
JP2018203876A (ja) 2018-12-27

Similar Documents

Publication Publication Date Title
TW425415B (en) Resin composition and manufacturing method thereof
JP5764253B2 (ja) 樹脂を硬化させるための促進剤
TWI575018B (zh) 雙重固化系統
EP2556106A1 (en) Crosslinkable composition crosslinkable with a latent base catalyst
TWI593729B (zh) Radical polymerizable aqueous resin composition, hardening method, and method for producing a radical polymerizable aqueous resin composition
RU2610499C2 (ru) Ускоритель на основе железа для отверждения полимеров
JP6352432B2 (ja) (メタ)アクリレート含有up樹脂又はve樹脂を硬化するためのプロセス
CN101484486B (zh) 不饱和聚酯树脂或乙烯基酯树脂组合物
CN103254377A (zh) 不饱和聚酯树脂组合物
CN104781327B (zh) 热固性树脂组合物
JP6919867B2 (ja) ラジカル重合性樹脂組成物
JP6958919B2 (ja) 硬化促進剤及びラジカル重合性樹脂組成物
JP2006342266A (ja) ラジカル硬化性樹脂組成物及びその硬化方法
JP7358940B2 (ja) 熱硬化性樹脂組成物
US9428653B2 (en) One part, storage stable polymerizable formulation
JP4911921B2 (ja) ラジカル硬化性樹脂組成物及びその硬化方法
JP6932517B2 (ja) ラジカル硬化性樹脂組成物、樹脂硬化物層及び建築施工方法
WO2005047379A1 (en) Unsaturated polyester resin or vinyl ester resin compositions having reduced gel-time drift tendency
WO2024090151A1 (ja) ラジカル重合性樹脂組成物及び管更生ライニング材
JPS6094415A (ja) 貯蔵安定性の改良された不飽和エポキシ樹脂組成物
JP2021147448A (ja) 熱硬化性樹脂組成物
CN112638969A (zh) 乙烯基酯树脂组合物、包含该组合物的复合材料、和该组合物或复合材料的固化物
WO2024090516A1 (ja) ラジカル重合性樹脂用硬化剤組成物、及びラジカル重合性樹脂組成物
JP2022099020A (ja) 硬化性組成物及びその硬化物並びに物品
JP2024092601A (ja) ラジカル重合性樹脂組成物、接着剤及び接着方法

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20200311

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20201125

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20201208

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20210122

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20210622

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20210714

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 6919867

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

S111 Request for change of ownership or part of ownership

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313111

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

S531 Written request for registration of change of domicile

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313531

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

S801 Written request for registration of abandonment of right

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R311801

ABAN Cancellation due to abandonment
R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350