(実施形態1)
(1)概要
本実施形態では、需要家施設(customer’s facility)のエネルギー消費量に関する実績値と目標値とを比較する機能を有する、エネルギー管理システムについて説明する。
ここでいう「エネルギー」は、供給事業者から需要家施設に供給され、需要家施設にて消費される電気エネルギー(電力)、ガス、水道、熱などである。以下では、一例としてエネルギーが電気エネルギーである場合について説明するが、エネルギーを電気エネルギーに限る趣旨ではない。また、ここでいう「需要家施設」は、エネルギー(ここでは電気エネルギー)の需要家の施設を意味しており、電力会社等の電気事業者から電力の供給を受ける施設だけでなく、太陽光発電設備等の自家発電設備から電力の供給を受ける施設も含む。本実施形態では、戸建住宅を需要家施設の一例として説明する。
本実施形態に係るエネルギー管理システム10は、図2に示すように、情報端末1、コントローラ2、及びサーバ装置3を備えている。これら情報端末1、コントローラ2、及びサーバ装置3は、ネットワーク4を介して接続されている。コントローラ2は、需要家施設5に設置されている。
コントローラ2には、計測システム20が接続される。計測システム20は、需要家施設5におけるエネルギー消費量に関するデータを計測するシステムであって、消費電力(瞬時値)と消費電力量との少なくとも一方をエネルギー消費量として計測する。本実施形態では、計測システム20は、需要家施設5における複数の分岐回路の各々について、消費電力と消費電力量との少なくとも一方をエネルギー消費量として計測するシステムである。
情報端末1は、エネルギー管理システム10において、需要家施設5に対応付けて登録されている。1つの需要家施設5に対応付けて登録される情報端末1は、1台であってもよいし、複数台であってもよい。本実施形態では、情報端末1の所有者は、需要家施設5の使用者であると仮定して説明する。ここでいう「需要家施設5の使用者」は、需要家施設5を使用する人を意味し、需要家施設5が住宅である本実施形態においては、需要家施設5の住人である。需要家施設5の住人が複数人である場合には、「需要家施設5の使用者」は、複数の住人のうちの一人を指すこともあり、二人以上(全員も含む)を指すこともある。以下では「需要家施設5の使用者」を単に「住人」ともいう。
ここにおいて、サーバ装置3は、需要家施設5のエネルギー消費量に関する実績値を、目標値と比較する比較部31(図1参照)と、比較部31の比較結果を出力する出力部32(図1参照)とを有している。
比較部31は、所定のチャレンジ期間(例えば各月)における需要家施設5のエネルギー消費量に関する実績値と、需要家施設5におけるエネルギー消費量に関する目標値とを比較する。本実施形態では一例として、比較部31は、計測システム20で計測されたエネルギー消費量から、需要家施設5のエネルギー消費量に関する「実績値」を算出する。
出力部32は、比較部31の比較結果を、例えば、ネットワーク4を介して情報端末1に出力する。情報端末1は、少なくとも表示部11を有している。情報端末1は、出力部32の出力を受けて、比較部31の比較結果を表示部11に表示する。
これにより、本実施形態のエネルギー管理システム10は、情報端末1の所有者に対して、需要家施設5におけるエネルギー消費量(ここでは、消費電力と消費電力量との少なくとも一方)に関する実績値と、目標値との比較結果を、提示することが可能である。つまり、情報端末1の所有者は、エネルギー管理システム10によるサービスの提供を受ける顧客として、表示部11に表示される画面を見ることで、視覚的に、需要家施設5でのエネルギー(ここでは電力)の使用状況を確認することができる。
エネルギー管理システム10によるサービスの提供を受ける顧客(情報端末1の所有者)は、住人(需要家施設5の使用者)と同一人であってもよく、又は、例えば住人と離れて暮らす親族等、住人とは別人であってもよい。
また、実際には、エネルギー管理システム10は複数の需要家施設5を管理対象としており、複数の需要家施設5には複数のコントローラ2がそれぞれ設置される。そして、これら複数のコントローラ2が、ネットワーク4を介してサーバ装置3に対して接続される。サーバ装置3では、例えば、需要家識別子(需要家ID)により複数の需要家施設5を区別し、需要家施設5ごとに、エネルギー消費量の実績値と目標値との比較、及び比較結果の出力等を行う。ただし、本実施形態では、説明を簡単にするために、エネルギー管理システム10の管理対象は1つの需要家施設5であると仮定して説明する。
(2)詳細
(2.1)計測システム
まず、本実施形態に係るエネルギー管理システム10に接続され、需要家施設5におけるエネルギー消費量を計測する計測システム20の構成について、図2を参照しながら説明する。
計測システム20は、計測ユニット21と、通信アダプタ22と、電流センサ24,25とを備えている。計測ユニット21、通信アダプタ22、及び電流センサ24,25は、分電盤6のキャビネット内に配置されている。分電盤6は、系統電源9に電気的に接続される主幹ブレーカ61と、主幹ブレーカ61の二次側に電気的に接続された複数の分岐ブレーカ62とをキャビネット内に備えている。
計測ユニット21は、電流センサ24,25に電気的に接続されている。電流センサ24は、主幹ブレーカ61の一次側に設けられ、幹線を流れる電流の値を計測する。電流センサ25は、複数の分岐ブレーカ62に対応して設けられ、複数の分岐回路に流れる電流の値をそれぞれ計測する。ここでいう「分岐回路」は、複数の分岐ブレーカ62にて幹線から分岐された各回路を意味する。「分岐回路」には、分岐ブレーカ62に接続される配線、需要家施設5に設けられて電気エネルギー(電力)を消費する電気機器50、コンセント(アウトレット)、壁スイッチなどを含んでいる。電気機器50は、例えば、エアーコンディショナ、洗濯機、照明器具、食器洗浄機、給湯機、調理家電等である。このような分岐回路は、本実施形態のように住宅からなる需要家施設5においては、例えばリビング、寝室、玄関、トイレ、子供部屋、キッチン等の部屋ごと、又は電気機器50ごとに設けられる。
計測ユニット21は、電流センサ24,25の出力を用いて、幹線及び複数の分岐回路の各々について、消費電力と消費電力量との少なくとも一方を、エネルギー消費量として計測する。通信アダプタ22は、計測ユニット21で計測されたエネルギー消費量を、コントローラ2へ送信する。
要するに、計測システム20で計測されるエネルギー消費量は、需要家施設5における幹線及び複数の分岐回路の各々について、計測ユニット21で計測される消費電力と消費電力量との少なくとも一方を含んでいる。幹線の消費電力及び消費電力量は、需要家施設5全体での総消費電力及び総消費電力量に相当する。このように、エネルギー消費量は、瞬時電力を表す消費電力であってもよいし、又は一定時間における電力の消費量(使用量)を表す消費電力量であってもよい。また、エネルギー消費量は、消費電力と消費電力量との両方であってもよい。本実施形態では一例として、エネルギー消費量は、幹線の消費電力を一定時間(例えば1分間)積算した消費電力量であることとする。
ただし、太陽光発電設備等の自家発電設備が設置されている需要家施設5においては、需要家施設5全体での総消費電力量は、幹線の消費電力量と自家発電設備の発電電力量との和になる。そこで、自家発電設備が設置されている需要家施設5では、エネルギー消費量は幹線の消費電力量のみであってもよいし、幹線の消費電力量と自家発電設備の発電電力量との和であってもよい。
(2.2)エネルギー管理システム
次に、本実施形態に係るエネルギー管理システム10の構成について、図1及び図2を参照して説明する。エネルギー管理システム10は、上述したように、情報端末1、コントローラ2、及びサーバ装置3を備えている。これら情報端末1、コントローラ2、及びサーバ装置3は、例えばインターネットからなるネットワーク4を介して接続されている。
情報端末1は、図1に示すように、表示部11と、入力部12と、通信部13と、制御部14とを有している。情報端末1は、一例として、スマートフォンである。情報端末1は、CPU(Central Processing Unit)及びメモリを有するコンピュータを主構成とする。情報端末1は、専用のアプリケーションソフトをインストールし、このアプリケーションソフトを起動することにより、少なくともサーバ装置3から提供されるコンテンツを表示するブラウザとして機能する。
入力部12は、顧客(情報端末1の所有者)の操作を受け付ける機能を有している。本実施形態では、情報端末1はタッチパネルディスプレイを搭載したスマートフォンであり、タッチパネルディスプレイが表示部11及び入力部12として機能する。そのため、以下の説明では、表示部11に表示される画面上のアイコンに対する種々のタッチ操作を、「タップ」、「スワイプ」、「ドラッグ」などと表現する。ただし、入力部12は、タッチパネルディスプレイに限らず、例えばキーボードやポインティングデバイス、メカニカルなスイッチなどであってもよい。
通信部13は、ネットワーク4に接続されることで、情報端末1とサーバ装置3との間の通信を可能にする。ここでは、情報端末1はスマートフォンであるから、通信部13は、通信事業者が提供する携帯電話網(キャリア網)を介して、ネットワーク4に接続される。携帯電話網には、例えば3G(第3世代)回線、LTE(Long Term Evolution)回線等がある。通信部13は、公衆無線LAN(Local Area Network)を介してネットワーク4に接続されてもよい。
制御部14は、表示部11、入力部12、及び通信部13の各々を制御する。
コントローラ2は、図2に示すように、需要家施設5に設置されている。コントローラ2は、計測システム20の通信アダプタ22と通信し、計測システム20の計測値(エネルギー消費量)を取得する。さらに、コントローラ2は、いわゆるHEMS(Home Energy Management System)コントローラであって、需要家施設5に設置されているHEMS対応の電気機器50の各々と通信し、これらの電気機器50の動作状態の監視又は制御を行う。コントローラ2は、ルータ7を介して、ネットワーク4に接続されている。これにより、コントローラ2は、計測システム20の計測値を、ネットワーク4を介して情報端末1及びサーバ装置3に送信したり、情報端末1及びサーバ装置3からの制御コマンドを受けて電気機器50を制御したりすることができる。
また、ルータ7には、需要家施設5内で使用されるHEMS対応モニタが接続される。HEMS対応モニタは、例えば、スマートフォン81及び専用モニタ82等である。スマートフォン81は、情報端末1と同様に、タッチパネルディスプレイからなる表示部811を有している。スマートフォン81は、ルータ7との間で例えばWi−Fi(登録商標)に準拠した近距離無線通信を行う。専用モニタ82は、タッチパネルディスプレイからなる表示部821を有している。専用モニタ82は、ルータ7に対してLANケーブルで接続されている。これにより、コントローラ2は、計測システム20の計測値を、スマートフォン81及び専用モニタ82に表示させたり、スマートフォン81及び専用モニタ82からの制御コマンドを受けて電気機器50を制御したりすることができる。ルータ7は、ネットワーク4に接続されているので、スマートフォン81及び専用モニタ82は、ルータ7を介してネットワーク4にも接続されることになる。専用モニタ82は、ルータ7を介さずに、コントローラ2と直接的に通信可能に構成されていてもよい。専用モニタ82の通信方式は、有線通信に限らず、例えばWi−Fi(登録商標)、又は免許を必要としない小電力無線(特定小電力無線)等の無線通信であってもよい。この種の小電力無線については、用途等に応じて使用する周波数帯域や空中線電力などの仕様が各国で規定されている。日本国においては、920MHz帯又は420MHz帯の電波を使用する小電力無線が規定されている。
サーバ装置3は、図1に示すように、比較部31と、出力部32と、設定部33と、要求部34と、制限部35と、記憶部36と、通信部37とを有している。サーバ装置3は、CPU及びメモリを有するコンピュータを主構成とする。サーバ装置3は、コンピュータのメモリに記録されたプログラムをCPUにて実行することにより、比較部31、出力部32、設定部33、要求部34、及び制限部35としての機能を実現する。プログラムは、コンピュータのメモリに予め記録されていてもよいが、この例に限らず、電気通信回線を通じて提供されてもよいし、メモリカードなどの記録媒体に記録されて提供されてもよい。
記憶部36には、需要家施設5を識別するための需要家識別子(需要家ID)、及び需要家施設5に対応付けて登録されている情報端末1、及びコントローラ2の識別情報(アドレス等)が記憶されている。さらに、記憶部36には、エネルギー消費量の実績値、及び目標値等が需要家施設5ごとに記憶される。記憶部36には、エネルギー消費量の実績値が一定期間分(例えば1年分〜数年分)蓄積される。
通信部37は、ネットワーク4に接続されることで、情報端末1及びコントローラ2と、サーバ装置3との間の通信を可能にする。サーバ装置3は、通信部37にてコントローラ2との通信を行うことより、例えば、計測システム20の計測値をコントローラ2から定期的に取得する。サーバ装置3は、このようにして取得した計測システム20の計測値を、需要家施設5におけるエネルギー消費量の実績値として記憶部36に記憶する。また、サーバ装置3は、通信部37にて情報端末1との通信を行うことより、例えば、出力部32から出力される比較部31の比較結果を情報端末1に送信する。
比較部31は、チャレンジ期間における需要家施設5のエネルギー消費量に関する実績値と、需要家施設5におけるエネルギー消費量に関する目標値とを比較する。チャレンジ期間における需要家施設5のエネルギー消費量に関する実績値とは、チャレンジ期間の開始時点から現在時点までの、需要家施設5のエネルギー消費量の累積値に関する実績値を意味する。つまり、チャレンジ期間の終了時点においては、需要家施設5のエネルギー消費量に関する実績値は、チャレンジ期間の全体にわたって需要家施設5のエネルギー消費量を累積した値に関する実績値である。目標値は、このようなチャレンジ期間の終了時点における実績値に対する目標値である。
本実施形態では一例として、チャレンジ期間は、一ヶ月単位で繰り返される所定期間のうち、現在時点を含む所定期間からなる。所定期間は、暦に従って1年を1月〜12月の12ヵ月に分割した各月の期間である。つまり、チャレンジ期間は暦に従って月ごとに規定される一ヶ月の期間であって、月が替わる度に、前月のチャレンジ期間が終了し、かつ今月の新たなチャレンジ期間が開始する。ここで、チャレンジ期間の長さは、一定ではなく、例えば「3月」であれば「31日間」、「4月」であれば「30日間」というように、月によって変化する。
比較部31は、実績値と目標値とを比較することで、例えば、実績値が目標値を超えているか否か、又は目標値に対する実績値の割合等を求める。また、比較部31は、目標値に対する実績値の状況を求める構成であればよく、実績値を直接的に目標値と比較しなくてもよい。例えば、比較部31は、現在の実績値からチャレンジ期間の終了時点でのエネルギー消費量を予測し、予測値と目標値とを比較することで、実績値を間接的に目標値と比較してもよい。比較部31が用いる実績値及び目標値は、本実施形態では一例として、消費電力量と電気料金単価との積である電気料金であることと仮定する。ただし、比較部31が用いる実績値及び目標値は、電気料金に限らず、消費電力量(kWh)又は消費電力(kW)であってもよい。以下では、比較部31が実績値と目標値とを比較するときのサーバ装置3の動作モードを「チャレンジモード」という。
出力部32は、比較部31の比較結果を出力する。本実施形態では、出力部32は、比較部31の比較結果を、通信部37に出力し、ネットワーク4を介して情報端末1に送信する。出力部32は、チャレンジ期間中に設定された通知タイミングにて、情報端末1に対してプッシュ通知を行って、比較部31の比較結果を出力する。さらに、通知タイミングに限らず、情報端末1から要求があれば、出力部32は比較部31の比較結果を随時出力する。本実施形態では、情報端末1はブラウザとして機能するので、出力部32は、比較部31の比較結果を表すチャレンジ画面(コンテンツ)を生成し、このチャレンジ画面を情報端末1に表示させる。チャレンジ画面の具体例については、「(2.3)エネルギー管理システムの動作」の欄で説明する。
ここにおいて、比較部31が実績値と目標値との比較を行うチャレンジモードは、チャレンジ期間に対して有効な目標値が設定されて初めて開始される。言い換えれば、サーバ装置3は、チャレンジ期間に対して有効な目標値が設定されることをトリガにして、チャレンジモードでの動作を開始する。ただし、出力部32は、サーバ装置3がチャレンジモードで動作しているか否かにかかわらず、通知タイミングにて、又は情報端末1からの要求に応じて、比較部31の比較結果を出力する。チャレンジモードでない場合、つまり比較部31が実績値と目標値との比較を行っていない場合には、出力部32は、実績値そのものを比較部31の比較結果として出力する。
設定部33は、比較部31で用いられる、需要家施設5におけるエネルギー消費量に関する目標値を設定する。設定部33は、入力部12に対する入力に応じて目標値を設定する。本実施形態では、入力部12は情報端末1にあるので、顧客(情報端末1の所有者)の操作を入力部12で受け付けることによって、目標値が設定される。具体的には、設定部33は、顧客が入力(又は選択)した値を、目標値として需要家施設5ごとに記憶部36に記憶する。目標値の設定には、新規の目標値の設定だけでなく、目標値の再設定、つまり既に設定済みの目標値の変更も含む。
ただし、設定部33は、チャレンジ期間が終了すると目標値を無効にするように構成されている。つまり、目標値は1回のチャレンジ期間に限り有効であって、月が替わって前月のチャレンジ期間が終了すると、目標値は一旦無効化される。そのため、前月のチャレンジ期間については目標値が設定されていたとしても、今月のチャレンジ期間について改めて目標値が設定されていなければ、今月のチャレンジ期間については有効な目標値が設定されていないことになる。言い換えれば、前月のチャレンジ期間について設定された目標値が、今月のチャレンジ期間に自動的に引き継がれることはない。目標値が無効化されている状態で、新たに目標値が設定されると、設定部33は、記憶部36に記憶されている目標値を更新し、かつ目標値を有効にする。
ここで、設定部33は、目標値の設定時において、顧客による目標値の入力を支援する設定支援部331を有している。本実施形態では、情報端末1はブラウザとして機能するので、設定支援部331は、目標値を設定するための設定画面(コンテンツ)を生成し、この設定画面を情報端末1に表示させる。設定画面の具体例については、「(2.3)エネルギー管理システムの動作」の欄で説明する。
要求部34は、チャレンジ期間とチャレンジ期間の開始前の準備期間との少なくとも一方に含まれる要求タイミングにて、目標値の設定を要求する。言い換えれば、要求部34は、現在時点が要求タイミングに一致するという所定の条件を満たすと、目標値の設定を要求する。ここでいう「要求」は、顧客(情報端末1の所有者)に対して、目標値の設定を求める通知を意味する。つまり、目標値の設定を要求するとは、単に目標値が設定可能な状態にあることを意味するのではなく、目標値を設定するように積極的に顧客に通知することを意味する。
また、ここでいう「チャレンジ期間」は、現在時点を含む所定期間からなる今月のチャレンジ期間である。「準備期間」は、今月のチャレンジ期間の開始前、つまり前月のチャレンジ期間以前の期間である。要求部34は、要求タイミングにて、情報端末1に対してプッシュ通知を行って、目標値の設定を要求する。本実施形態では、一例として、チャレンジ期間にのみ要求タイミングが含まれ、準備期間には要求タイミングが含まれない場合を例に説明する。
さらに、本実施形態では、チャレンジ期間に含まれる要求タイミングは、出力部32が比較部31の比較結果を出力する通知タイミングと共通のタイミングである。つまり、要求部34は、要求タイミングにて、情報端末1に表示させるチャレンジ画面において、目標値の設定を要求する。
ここで、要求部34は、要求タイミングにおいて、比較部31の比較結果と共に目標値の設定を要求するための情報を、出力部32に出力させることで、目標値の設定を要求するように構成されている。目標値の設定を要求するための情報の具体例については、「(2.3)エネルギー管理システムの動作」の欄で説明する。
制限部35は、チャレンジ期間における所定の締切時点からチャレンジ期間の終了時点までの間において、設定部33での目標値の設定を禁止する。言い換えれば、設定部33での目標値の設定が可能な期間(以下、「設定可能期間」という)は、制限部35によって、少なくともチャレンジ期間における締切時点からチャレンジ期間の終了時点までの間を除くように制限される。これにより、設定部33は、いつでも目標値を設定可能な状態にあるのではなく、設定可能期間にのみ、目標値を設定可能な状態となる。本実施形態では、チャレンジ期間の開始時点から締切時点までの間が設定可能期間であることと仮定する。締切時点は、一例として「25日」である。この場合、毎月「25日」以降は、設定部33での目標値の設定ができなくなる。
(2.3)エネルギー管理システムの動作
次に、本実施形態に係るエネルギー管理システム10の動作について、図3A〜図7を参照して説明する。図3A、図3B、図5A〜図7は、情報端末1の表示部11に表示されるチャレンジ画面100の具体例を示し、図4は、情報端末1の表示部11に表示される設定画面200の具体例を示している。ここでは、2017年1月時点での、エネルギー管理システム10の動作を例示する。図3A〜図7において、領域を示す一点鎖線及び参照符号は説明のために表記しているに過ぎず、実際には、これらの一点鎖線及び参照符号は情報端末1の表示部11に表示されない。
また、図3A〜図7の例では、チャレンジ画面100及び設定画面200は、いずれも表示部11の表示エリアの長手方向を縦とするように、縦向きに表示されている。つまり、チャレンジ画面100及び設定画面200は、いずれも縦長の画面である。
以下では、月ごとに規定される一ヶ月のチャレンジ期間が、1日〜7日の第1期、8日〜14日の第2期、15日〜24日の第3期、及び25日〜月末の第4期、の4つの区間に区分されることと仮定する。エネルギー管理システム10は、現在時点が第1期〜第4期のいずれであるかによって、チャレンジ画面100の表示態様を変更する。要求タイミング(及び通知タイミング)は、これら第1期〜第4期の各々の初日(1日、8日、15日及び25日)に規定されている。
情報端末1は、基本的な動作として、アプリケーションソフトを起動したときに表示部11に表示されるホーム画面上で、チャレンジモードを選択する操作がなされると、表示部11にチャレンジ画面100を表示する。チャレンジ画面100は、サーバ装置3から配信される画面(コンテンツ)であるので、情報端末1がサーバ装置3と通信可能な状態でのみ、チャレンジ画面100の表示が可能となる。ここでは、情報端末1は、サーバ装置3からのプッシュ通知により、アプリケーションソフトを起動し、チャレンジ画面100の表示を行うこととする。
(2.3.1)第1期のチャレンジ画面、及び設定画面について
図3A及び図3Bは、第1期(2017年1月1日〜7日)におけるチャレンジ画面100を示している。図3A及び図3Bの例では、前月(2016年12月)については目標値が設定されていたことと仮定する。図3Aは、チャレンジ期間(2017年1月)の目標値が設定されていない状態のチャレンジ画面100を示し、図3Bは、チャレンジ期間の目標値が設定された状態のチャレンジ画面100を示す。
まず、第1期の初日(2017年1月1日)に規定された要求タイミングにおいて、サーバ装置3から情報端末1にプッシュ通知を行われる。この段階では、チャレンジ期間の目標値は設定されていないので、情報端末1の表示部11には、図3Aに示すチャレンジ画面100が表示される。
図3Aに示すチャレンジ画面100は、大きく分けて第1領域101及び第2領域102の2つの領域を含んでいる。第1領域101は、チャレンジ画面100における第2領域102の上方に表示される。さらに、チャレンジ画面100における第1領域101の上方には、ホーム画面に戻るための戻るボタン108が表示されている。
図3Aにおいて、第1領域101には、前月についての比較部31の比較結果が表示され、第2領域102には、目標値の設定を要求するための情報が表示されている。具体的には、第1領域101には、実績グラフG1と、目標ラインL1と、詳細情報103と、最終結果情報104とが表示される。第2領域102には、設定状況情報105と、設定開始ボタン106と、参考情報107とが表示される。
実績グラフG1は、前月(先月)の需要家施設5のエネルギー消費量に関する実績値を、横軸を時間軸、縦軸を電気料金として表したグラフである。実績グラフG1は、前月の月初(1日)から月末(31日)までの、各時点におけるエネルギー消費量に関する実績値(累積値)を表している。本実施形態では、サーバ装置3が、計測システム20の計測値に平均化(又は平滑化)処理を施し、比較的滑らかに変化するグラフとして、チャレンジ画面100に表示している。
目標ラインL1は、前月の目標値を表し、実績グラフG1と併せて表示されている。ここでは、目標ラインL1は、実績グラフG1の縦軸上において、前月の目標値(図3Aの例では「4,500円」)に相当する位置に引かれた直線である。さらに、目標ラインL1には、目標値を表す数値(「4,500円」)が付されている。詳細情報103は、「先月の電気代」として前月の実績値(図3Aの例では「3,950円」)、及び「目標との差」として実績値と目標値との差分値(図3Aの例では「−550円」)を含む情報である。最終結果情報104は、前月の終了時点での実績値と目標値との比較結果を、テキスト形式及びグラフィック形式で表す情報である。図3Aの例では、前月の実績値(3,950円)が前月の目標値(4,500円)以下に抑えられているので、最終結果情報104は、目標の達成を表す「おめでとう!目標を達成しました」というテキスト、及びグラフィックからなる。
設定状況情報105は、今月の目標値の設定状況を表す情報である。ここでは、設定状況情報105は、今月の目標値が設定されているか否か、さらに目標値が設定されている場合には設定されている目標値を表す情報である。図3Aの例では、目標値が未設定であるので、設定状況情報105は、目標値の設定を促す「目標設定してみませんか?」というテキストからなる。設定開始ボタン106は、設定画面200(図4参照)を表示させるためのアイコンであって、設定画面200へのリンクが貼られている。図3Aの例では、設定開始ボタン106は、チャレンジモードの開始を示唆する「チャレンジする」というテキストからなる。設定開始ボタン106がタップされることで、表示部11に設定画面200が表示される。設定画面200はチャレンジ画面100上に重ねてポップアップ表示されてもよいし、チャレンジ画面100から設定画面200に切り替わってもよい。参考情報107は、目標値の設定の参考になる情報である。図3Aの例では、参考情報107は、前月(2016年12月)のエネルギー消費量に関する実績値(3950円)、及び前年同月(2016年1月)のエネルギー消費量に関する実績値(5280円)からなる。
一方、第1期において今月(チャレンジ期間)の目標値が設定された状態では、情報端末1の表示部11には、図3Bに示すチャレンジ画面100が表示される。図3Bに示すチャレンジ画面100においては、第2領域102の内容が図3Aのチャレンジ画面100と相違する。
図3Bの例では、第2領域102には参考情報107は表示されない。さらに、図3Bの例では、目標値が設定されているので、設定状況情報105は、設定されている目標値(ここでは4000円とする)を表す「電気代4,000円にチャレンジ中」というテキストからなる。設定開始ボタン106は、目標値の再設定、つまり既に設定済みの目標値の変更を示唆する「目標を変更する」というテキストからなる。設定開始ボタン106がタップされることで、表示部11に設定画面200が表示される点は、図3Aのチャレンジ画面と同じである。
図3A及び図3Bに示すようなチャレンジ画面100においては、設定状況情報105及び設定開始ボタン106が、顧客(情報端末1の所有者)に対して、目標値の設定を求める通知に相当する。つまり、要求部34は、チャレンジ画面100に設定状況情報105及び設定開始ボタン106を含めることにより、目標値の設定を要求する。
次に、チャレンジ画面100の設定開始ボタン106がタップされることで表示部11に表示される設定画面200について、図4を参照して説明する。
設定画面200は、入力欄201と、参考欄202と、備考欄203とを含んでいる。入力欄201、参考欄202及び備考欄203は、設定画面200の上方から、入力欄201、参考欄202、備考欄203の順に並べて表示される。さらに、設定画面200における入力欄201の上方には、チャレンジ画面100に戻るための戻るボタン204が表示されている。
入力欄201は、チャレンジ期間、つまり今月の目標値を入力するための欄である。入力欄201への目標値の入力は、テンキーなどを用いて行われてもよいし、カーソルなどを用いて例えば目標値を500円刻みで上げ下げすることで行われてもよい。目標値が入力されると、入力された目標値が入力欄201に表示される。さらに、入力欄201には、予めデフォルトの目標値が入力されていてもよい。例えば、目標値が未設定の状態、つまり図3Aのチャレンジ画面100の設定開始ボタン106がタップされて設定画面200が表示された状態では、前月の目標値がデフォルトの目標値となる。また、目標値が既に設定されている状態、つまり図3Bのチャレンジ画面100の設定開始ボタン106がタップされて設定画面200が表示された状態では、設定済みの目標値がデフォルトの目標値となる。
参考欄202は、目標値の設定の参考になる情報である。図4の例では、参考欄202は、チャレンジ画面100の参考情報107(図3A参照)と同じ内容である。つまり、参考欄202は、前月(2016年12月)のエネルギー消費量に関する実績値(3950円)、及び前年同月(2016年1月)のエネルギー消費量に関する実績値(5280円)からなる。ここで、チャレンジ期間は、一ヶ月単位で繰り返される所定期間のうち、現在時点を含む所定期間である。そのため、前月のエネルギー消費量に関する実績値は、言い換えれば、目標値の設定時において、終了済みの1以上の所定期間のうち、最新の所定期間(前月)におけるエネルギー消費量に関する実績値である。また、前年同月のエネルギー消費量に関する実績値は、言い換えれば、チャレンジ期間の前年同月に当たる所定期間におけるエネルギー消費量に関する実績値である。
備考欄203には、チャレンジモードに関する注意事項として「電気代の算出方法:電気代は、電気使用量を電気代プランに基づき換算した値です。実際の請求額とは異なります。」というテキストが表示される。
また、前月の実績値(5,050円)が前月の目標値(4,500円)を超えている場合、つまり目標が達成されていない場合には、第1期において、図3Aのチャレンジ画面100に代えて、図5Aに示すようなチャレンジ画面100が表示される。この場合、実績グラフG1において、目標ラインL1を上回る領域と、目標ラインL1より小さい領域とで、例えば色などの表示態様が異なることが好ましい。図5Aでは、最終結果情報104は、目標の未達成を表す「おしい!もう少しで目標達成でした。」というテキスト、及びグラフィックからなる。また、前月の目標値が設定されていない場合には、第1期において、図3Aのチャレンジ画面100に代えて、図5Bに示すようなチャレンジ画面100が表示される。図5Bでは、第1領域101に目標ラインL1及び最終結果情報104が表示されず、かつ詳細情報103には「目標との差」が含まれない。
(2.3.2)第2期以降のチャレンジ画面について
第2期(2017年1月8日〜14日)以降においては、図6A及び図6Bに示すようなチャレンジ画面100が表示される。図6A及び図6Bは、いずれもチャレンジ期間(2017年1月)の目標値が設定されていない状態のチャレンジ画面100を示す。図6Aは、第3期(2017年1月15日〜24日)におけるチャレンジ画面100を示し、図6Bは、第4期(2017年1月25日〜31日)におけるチャレンジ画面100を示す。
第3期の初日(2017年1月15日)に規定された要求タイミングにおいて、サーバ装置3から情報端末1にプッシュ通知を行われる。これにより、情報端末1の表示部11には、図6Aに示すチャレンジ画面100が表示される。ただし、第2期に表示されるチャレンジ画面100は、図6Aに示すチャレンジ画面と同様の内容である。
図6Aに示すチャレンジ画面100においては、図3Aのチャレンジ画面100とは異なり、第1領域101は表示されない。また、図6Aに示すチャレンジ画面100においては、第2領域102の内容が図3Aのチャレンジ画面100と相違する。さらに、図6Aの例では、設定状況情報105、設定開始ボタン106及び参考情報107は図3Aと同様である。
図6Aの例では、第2領域102には実績グラフG2と、詳細情報109とが表示される。実績グラフG2及び詳細情報109は、設定開始ボタン106の下方に表示される。実績グラフG2は、今月(チャレンジ期間)の需要家施設5のエネルギー消費量に関する実績値を、横軸を時間軸、縦軸を電気料金として表したグラフである。実績グラフG2は、前月の月初(1日)から月末(31日)までの、各時点におけるエネルギー消費量に関する実績値(累積値)を表している。本実施形態では、サーバ装置3が、計測システム20の計測値に平均化(又は平滑化)処理を施し、比較的滑らかに変化するグラフとして、チャレンジ画面100に表示している。
ただし、実績グラフG2は、翌日(16日)以降については、現在(15日時点)の実績値に基づいて、チャレンジ期間の終了時点(31日)までの実績値を予測した予測値を表す。そのため、実績グラフG2において、チャレンジ期間の開始時点(1日)から当日までの期間と、翌日からチャレンジ期間の終了時点までの期間とで、例えば色などの表示態様が異なることが好ましい。これにより、実績グラフG2において、実績値と予測値とを区別しやすくなる。
詳細情報109は、「今日までの電気代」として当日までの実績値(図6Aの例では「1,910円」)、及び「月末の電気代予測」としてチャレンジ期間の終了時点での実績値の予測値(図6Aの例では「3,840円」)を含む情報である。
第4期の初日(2017年1月25日)に規定された要求タイミングにおいて、サーバ装置3から情報端末1にプッシュ通知を行われる。これにより、情報端末1の表示部11には、図6Bに示すチャレンジ画面100が表示される。図6Bに示すチャレンジ画面100においては、第2領域102の内容が図6Aのチャレンジ画面100と相違する。
図6Bの例では、第2領域102には、設定状況情報105及び設定開始ボタン106が表示されず、設定不可情報111が表示される。設定不可情報111は、チャレンジ期間の締切時点を過ぎて、設定部33での目標値の設定が禁止されていることを表す情報である。具体的には、設定不可情報111は、「申し訳ありません。目標設定の締め切りを過ぎてしまいました。来月のチャレンジをお待ちしております。」というテキストからなる。そのため、図6Bに示すチャレンジ画面100からは、設定画面200を表示させることができない。
一方、今月(チャレンジ期間)の目標値が設定された状態では、第2期以降、情報端末1の表示部11には、例えば図7に示すチャレンジ画面100が表示される。図7は、第3期におけるチャレンジ画面100を示す。図7に示すチャレンジ画面100においては、第2領域102の内容が図6Aのチャレンジ画面100と相違する。
図7の例では、第2領域102には、目標ラインL2と判定情報110とが表示され、参考情報107は表示されない。さらに、図7の例では、目標値が設定されているので、設定状況情報105及び設定開始ボタン106は図3Bと同様になる。
目標ラインL2は、今月の目標値を表し、実績グラフG2と併せて表示されている。ここでは、目標ラインL2は、実績グラフG2の縦軸上において、今月の目標値(図7の例では「4,000円」)に相当する位置に引かれた直線である。さらに、目標ラインL2には、目標値を表す数値(「4,000円」)が付されている。実績グラフG2及び目標ラインL2は、今月の現在時点での実績値と目標値との比較結果を、グラフィック形式で表している。判定情報110は、今月の現在時点での実績値と目標値との比較結果を、テキスト形式で表す情報である。図7の例では、今月の実績値の予測値(3,820円)が今月の目標値(4,000円)以下に抑えられているので、判定情報110は、目標の達成を表す「この調子でいきましょう」というテキストからなる。
チャレンジ期間の目標値が設定されている場合において、第2期に表示されるチャレンジ画面100は、図7に示すチャレンジ画面と同様の内容になる。ただし、第2期においては、図7のチャレンジ画面100に含まれている判定情報110が省略されてもよい。さらに、チャレンジ期間の目標値が設定されている場合において、第4期に表示されるチャレンジ画面100は、図7に示すチャレンジ画面100と同様のチャレンジ画面100が表示される。ただし、この場合のチャレンジ画面100では、第2領域102に設定状況情報105及び設定開始ボタン106が表示されない。
(3)エネルギー管理システム以外の具現化手段
上述した本実施形態に係るエネルギー管理システム10と同等の機能は、システムという手段に限らず、下記の各手段によっても具現化することができる。下記の各手段によって本実施形態に係るエネルギー管理システム10が具現化される場合でも、上述した種々の構成、及び後述する変形例を適宜組み合わせて適用可能である。
(3.1)エネルギー管理方法
本実施形態に係るエネルギー管理方法は、比較処理と、出力処理と、設定処理と、要求処理と、をコンピュータに行わせる。比較処理は、チャレンジ期間における需要家施設5のエネルギー消費量に関する実績値と、需要家施設5におけるエネルギー消費量に関する目標値とを比較する処理である。出力処理は、比較処理の比較結果を出力する処理である。設定処理は、入力部12に対する入力に応じて目標値を設定する処理である。要求処理は、チャレンジ期間とチャレンジ期間の開始前の準備期間との少なくとも一方に含まれる要求タイミングにて、目標値の設定を要求する処理である。
このようなエネルギー管理方法は、例えばコンピュータを主構成とするサーバ装置3において、CPUがプログラムを実行することによって実現される。
(3.2)エネルギー管理プログラム
本実施形態に係るエネルギー管理プログラムは、コンピュータを、比較部31、出力部32、設定部33、及び要求部34、として機能させるプログラムである。比較部31は、チャレンジ期間における需要家施設5のエネルギー消費量に関する実績値と、需要家施設5におけるエネルギー消費量に関する目標値とを比較する。出力部32は、比較部31の比較結果を出力する。設定部33は、入力部12に対する入力に応じて目標値を設定する。要求部34は、チャレンジ期間とチャレンジ期間の開始前の準備期間との少なくとも一方に含まれる要求タイミングにて、目標値の設定を要求する。
このようなエネルギー管理プログラムは、例えばコンピュータを主構成とするサーバ装置3にて実行される。エネルギー管理プログラムは、インターネットなどの電気通信回線を通じて、又はメモリカードなどの記録媒体に記録されて提供されてもよいし、コンピュータのメモリに予め記録されていてもよい。
(4)効果
以上説明したように、本実施形態のエネルギー管理システム10は、比較部31と、出力部32と、設定部33と、要求部34とを備える。比較部31は、チャレンジ期間における需要家施設5のエネルギー消費量に関する実績値と、需要家施設5におけるエネルギー消費量に関する目標値とを比較する。出力部32は、比較部31の比較結果を出力する。設定部33は、入力部12に対する入力に応じて目標値を設定する。要求部34は、チャレンジ期間とチャレンジ期間の開始前の準備期間との少なくとも一方に含まれる要求タイミングにて、目標値の設定を要求する。
この構成によれば、需要家施設5のエネルギー消費量に関する実績値と、需要家施設5におけるエネルギー消費量に関する目標値との比較結果を、出力部32にて出力することで、目標の達成/未達成を顧客に提示することができる。これにより、顧客の省エネルギー化(節電)への取り組み促進を図ることができる。しかも、要求部34が要求タイミングにて目標値の設定を要求することで、目標値が設定されていない状態で、エネルギー管理システム10が運用されることを減らすことができる。また、要求を受けた顧客自らが目標値を設定することで、目標値が自動的に設定される構成に比較して、目標値が形骸化しにくい。その結果、顧客(需要家)の省エネルギー化への取り組み促進の効果が高いエネルギー管理システム10を提供することができる、という利点がある。「(3)エネルギー管理システム以外の具現化手段」の欄で説明したエネルギー管理方法、及びエネルギー管理プログラムにおいても、同様の利点がある。
また、本実施形態のように、設定部33は、チャレンジ期間が終了すると目標値を無効にするように構成されていることが好ましい。この構成によれば、チャレンジ期間が終了する度に、新たに目標値を設定させることができ、適切な目標値を設定されることができる。したがって、一旦設定された目標値が継続的に使用される場合に比べて、目標値が形骸化しにくい。ただし、この構成はエネルギー管理システム10に必須の構成ではなく、設定部33は、チャレンジ期間が終了しても目標値を無効にしなくてもよい。
また、本実施形態のように、要求部34は、要求タイミングにおいて、比較部31の比較結果と共に目標値の設定を要求するための情報を、出力部32に出力させることで、目標値の設定を要求するように構成されていることが好ましい。この構成によれば、比較結果の出力と目標値の設定の要求が一緒に行われるので、顧客が目標値に関心を持つタイミングで目標値の設定を要求することができ、目標値が設定されやすくなる。ただし、この構成はエネルギー管理システム10に必須の構成ではなく、要求部34は、比較部31の比較結果と別に目標値の設定を要求するための情報を出力してもよい。
また、本実施形態のように、チャレンジ期間は、一ヶ月単位で繰り返される所定期間のうち、現在時点を含む所定期間からなり、設定部33は設定支援部331を有することが好ましい。設定支援部331は、目標値の設定時において、終了済みの1以上の所定期間のうち、最新の所定期間のエネルギー消費量に関する実績値と、チャレンジ期間の前年同月に当たる所定期間のエネルギー消費量に関する実績値との少なくとも一方を出力する。この構成によれば、例えば目標値を設定するための設定画面200において、最新の所定期間(つまり前月)、及びチャレンジ期間の前年同月に当たる所定期間の少なくとも一方のエネルギー消費量に関する実績値が提示される。したがって、目標値を設定する顧客は、これらのエネルギー消費量に関する実績値を参考にして目標値を設定することができ、目標値を設定しやすくなる。とくに、前月のエネルギー消費量に関する実績値においては、例えば子供の成長などに伴う環境の変化を考慮することなく、実績値から目標値を決定することができる。前年同月のエネルギー消費量に関する実績値においては、例えば季節変化などの環境の変化を考慮することなく、実績値から目標値を決定することができる。ただし、この構成はエネルギー管理システム10に必須の構成ではなく、設定支援部331は省略されてもよい。
また、本実施形態のように、エネルギー管理システム10は、チャレンジ期間における所定の締切時点からチャレンジ期間の終了時点までの間において、設定部33での目標値の設定を禁止する制限部35を更に備えることが好ましい。この構成によれば、チャレンジ期間の終了間際に目標値が設定(変更を含む)されることを防止できる。したがって、チャレンジ期間の終了間際になって、その時点での実績値から、確実に達成できる目標値が設定されるようなことを防止でき、目標値を達成するためだけに目標値が設定されることを回避できる。ただし、この構成はエネルギー管理システム10に必須の構成ではなく、制限部35は省略されてもよい。
(5)変形例
実施形態1で説明した構成は、本発明の一例に過ぎず、本発明は実施形態1に限定されず、実施形態1以外であっても、本発明に係る技術的思想を逸脱しない範囲であれば、設計等に応じて種々の変更が可能である。以下、実施形態1の変形例を列挙する。
チャレンジ期間は、連続的に繰り返される所定期間のうち、現在時点を含む所定期間からなればよく、一ヶ月単位で繰り返される所定期間のうち、現在時点を含む所定期間に限らない。例えば、所定期間は一週間単位で連続的に繰り返されてもよい。この場合において、設定部33は、目標値の設定時において、終了済みの1以上の所定期間のうち、最新の所定期間におけるエネルギー消費量に関する実績値を出力する設定支援部331を有することが好ましい。この構成によれば、例えば目標値を設定するための設定画面200において、最新の所定期間(つまり前週)のエネルギー消費量に関する実績値が提示される。したがって、目標値を設定する顧客は、前週のエネルギー消費量に関する実績値を参考にして目標値を設定することができ、目標値を設定しやすくなる。
また、実施形態1では、戸建住宅を需要家施設の一例として説明しているが、この例に限らず、需要家施設は、集合住宅の各住戸などの戸建住宅以外の住宅、あるいは事務所、店舗等の非住宅であってもよい。
また、情報端末1は、スマートフォンに限らず、タブレット端末等のスマートフォン以外の携帯情報端末、パーソナルコンピュータ、又はスマートテレビ等のネットワーク4に接続可能な情報端末であってもよい。さらに、出力部32は、比較部31の比較結果及び要求部34の要求を、情報端末1ではなく、需要家施設5内で使用されるHEMS対応モニタ(スマートフォン81及び専用モニタ82等)に送信してもよい。この場合、HEMS対応モニタが情報端末として機能し、チャレンジ画面100及び設定画面200は、HEMS対応モニタの表示部811又は812に表示される。
また、要求タイミングは、定期的に規定されるのではなく、ある判定条件を満たした際に目標値の設定が要求されるように、不定期に規定されてもよい。例えば、既に目標値が設定されている状態で、実績値が目標値を大幅に上回ることが予測される場合、目標値を下げるべく、要求部34が目標値の再設定(変更)を要求してもよい。又は、既に目標値が設定されている状態で、実績値が目標値を大幅に下回ることが予測される場合、目標値を上げるべく、要求部34が目標値の再設定(変更)を要求してもよい。このような場合に、要求タイミングだけでなく、要求部34での要求の内容(例えば設定状況情報105)を、判定条件に応じて変化させることが好ましい。
また、エネルギー管理システム10の使用期間の長さに応じて、要求部34が要求を行う頻度を変更してもよい。具体的には、エネルギー管理システム10の使用期間が長くなると、要求部34が要求を行う頻度を下げてもよい。これにより、エネルギー管理システム10に慣れた顧客に対して、要求が頻繁に行われて煩わしさを与えることを防止できる。さらに、例えば顧客が高齢者か否か等、顧客の情報に応じて、要求部34が要求を行う頻度及び時間帯を変更してもよい。
また、目標値は、チャレンジ期間における総エネルギー消費量の目標値に限らず、例えば、チャレンジ期間を、更に所定時間(例えば1週間、1日、及び1時間等)単位で複数の単位期間に分割したときの単位期間ごとのエネルギー消費量の目標値であってもよい。さらに、目標値は、エネルギー消費量に関する目標値であればよいので、例えば、自家発電設備を備える需要家施設5の場合に、消費電力量と発電量との両方に基づく自給率又は自家消費率等の目標値であってもよい。ここでいう「自給率」とは発電量の消費電力量に対する割合(発電量/消費電力量)であり、「自家消費率」とは発電量から売電量を差し引いた値の消費電力量に対する割合((発電量−売電量)/消費電力量)である。
また、コントローラ2は、需要家施設5に設置されたスマートメータと通信可能に構成されていてもよい。この場合、エネルギー管理システム10で使用されるエネルギー消費量に関する実績値は、計測システム20の計測値ではなく、スマートメータの計測値であってもよい。
また、比較部31、出力部32、設定部33、要求部34、及び制限部35は、実施形態1ではサーバ装置3に設けられているが、この構成に限らず、例えば、情報端末1とコントローラ2とサーバ装置3とのうちの2以上の装置に分散して設けられてもよい。また、比較部31、出力部32、設定部33、要求部34、及び制限部35は、サーバ装置3ではなく、コントローラ2又は情報端末1に設けられてもよい。この場合、サーバ装置3が省略されても、コントローラ2又は情報端末1にてチャレンジ画面100及び設定画面200が生成される。さらに、比較部31、出力部32、設定部33、要求部34、及び制限部35は、サーバ装置3及びコントローラ2のそれぞれに設けられてもよい。この場合、チャレンジ画面100の配信先によって、サーバ装置3とコントローラ2とのいずれがチャレンジ画面100を生成するかが決まってもよい。
さらにまた、エネルギー管理システム10は、情報端末1、コントローラ2、及びサーバ装置3を備えることは必須ではなく、例えば、情報端末1とコントローラ2とサーバ装置3とのうちの少なくとも1つの装置によって構成されてもよい。エネルギー管理システム10の少なくとも一部の機能は、例えば、クラウド(クラウドコンピューティング)によって実現されてもよい。
また、実施形態1では、エネルギー消費量は一例として幹線の消費電力量、つまり需要家施設5全体での総消費電力量であるが、この例に限らず、複数の分岐回路の少なくとも1つの消費電力量であってもよい。
また、計測システム20は、実施形態1のように分電盤6のキャビネット内に計測ユニット21が設けられた構成に限らず、例えば分電盤6のキャビネット外に計測ユニット21が設けられた構成であってもよい。さらには、分岐回路に含まれるコンセント(アウトレット)に計測装置が内蔵された構成、又はコンセントと電気機器との間に計測装置が接続される構成の計測システム20であってもよい。
また、チャレンジ画面100及び設定画面200の画面構成及び内容は、実施形態1で例示した画面構成及び内容に限らず、適宜変更が可能である。例えば、チャレンジ画面100において、比較部31での実績値と目標値との比較結果は、実績グラフG2及び目標ラインL2、又は判定情報110に限らず、キャラクタを用いたアニメーション等で表されてもよい。
(実施形態2)
本実施形態に係るエネルギー管理システム10Aは、図8に示すように、要求部15が、サーバ装置3(図1参照)ではなく情報端末1Aに備わっている点で、実施形態1に係るエネルギー管理システム10と相違する。以下、実施形態1と同様の構成については、実施形態1と共通の符号を付して適宜説明を省略する。
情報端末1Aは、判定システム3Aと通信可能な情報端末である。判定システム3Aは、実施形態1のサーバ装置3(図1参照)と同様のサーバ装置を主構成とするシステムである。つまり、判定システム3Aは、比較部31と、出力部32と、設定部33と、制限部35と、記憶部36と、通信部37とを備えている。
情報端末1Aは、通信部13にて、ネットワーク4を介して判定システム3Aと通信可能に構成されている。情報端末1Aは、チャレンジ期間とチャレンジ期間の開始前の準備期間との少なくとも一方に含まれる要求タイミングにて、目標値の設定を要求する要求部15を備えている。
情報端末1Aの要求部15は、情報端末1Aの時計が計時する現在時刻(月、日を含む)に基づいて、所定の要求タイミング(例えば月初)になる度に、目標値の設定を要求する。ここで、要求部34は、情報端末1に表示させるチャレンジ画面100において、目標値の設定を要求してもよいし、チャレンジ画面100とは別に、目標値の設定を要求のみを通知してもよい。
実施形態2に係る情報端末1Aと同等の機能は、下記の端末制御方法又は端末制御プログラムによっても具現化することができる。下記の端末制御方法又は端末制御プログラムによって実施形態2に係る情報端末1Aが具現化される場合でも、上述した種々の構成、及び後述する変形例を適宜組み合わせて適用可能である。
本実施形態に係る端末制御方法は、判定システム3Aと通信可能な情報端末1Aに、チャレンジ期間とチャレンジ期間の開始前の準備期間との少なくとも一方に含まれる要求タイミングにて、目標値の設定を要求する要求処理、を行わせる。このような端末制御方法は、例えばコンピュータを主構成とする情報端末1において、CPUがプログラムを実行することによって実現される。
また、本実施形態に係る端末制御プログラムは、判定システム3Aと通信可能な情報端末1Aを、チャレンジ期間とチャレンジ期間の開始前の準備期間との少なくとも一方に含まれる要求タイミングにて、目標値の設定を要求する要求部15、として機能させる。このような端末制御プログラムは、例えばコンピュータを主構成とする情報端末1にて実行される。端末制御プログラムは、インターネットなどの電気通信回線を通じて、又はメモリカードなどの記録媒体に記録されて提供されてもよいし、コンピュータのメモリに予め記録されていてもよい。
ここで、判定システム3Aは、比較部31と、出力部32と、設定部33とを備える。比較部31は、チャレンジ期間における需要家施設5のエネルギー消費量に関する実績値と、需要家施設5におけるエネルギー消費量に関する目標値とを比較する。出力部32は、比較部31の比較結果を出力する。設定部33は、入力部に対する入力に応じて前記目標値を設定する。
以上説明したように、本実施形態の情報端末1Aは、判定システム3Aと通信可能な情報端末である。判定システム3Aは、比較部31と、出力部32と、設定部33とを備える。比較部31は、チャレンジ期間における需要家施設5のエネルギー消費量に関する実績値と、需要家施設5におけるエネルギー消費量に関する目標値とを比較する。出力部32は、比較部31の比較結果を出力する。設定部33は、入力部に対する入力に応じて前記目標値を設定する。情報端末1Aは、チャレンジ期間とチャレンジ期間の開始前の準備期間との少なくとも一方に含まれる要求タイミングにて、目標値の設定を要求する要求部15を備える。
この構成によれば、需要家施設5のエネルギー消費量に関する実績値と、需要家施設5におけるエネルギー消費量に関する目標値との比較結果を、出力部32にて出力することで、目標の達成/未達成を顧客に提示することができる。これにより、顧客の省エネルギー化(節電)への取り組み促進を図ることができる。しかも、要求部15が要求タイミングにて目標値の設定を要求することで、目標値が設定されていない状態で、エネルギー管理システム10Aが運用されることを減らすことができる。また、要求を受けた顧客自らが目標値を設定することで、目標値が自動的に設定される構成に比較して、目標値が形骸化しにくい。その結果、顧客(需要家)の省エネルギー化への取り組み促進の効果が高い情報端末1Aを提供することができる、という利点がある。上述した端末制御方法、及び端末制御プログラムにおいても、同様の利点がある。
また、実施形態2の変形例として、情報端末1Aの要求部15は、判定システム3Aからのプッシュ通知を受けて、目標値の設定を要求する構成であってもよい。