JP6917492B1 - 梱包方法、梱包体、及び緩衝材 - Google Patents

梱包方法、梱包体、及び緩衝材 Download PDF

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Abstract

【課題】少ない作業量で重量物を安定して梱包することのできる、新規の梱包方法を提供する。【解決手段】底面に複数のアジャスタを有する重量物である被梱包体の梱包方法であって、被梱包体が挿入される梱包箱を準備する工程(a)と、第一面上の所定箇所に形成された開口穴及び当該開口穴に連通し一方の側面に形成されたスリット孔を有してなる緩衝材を複数準備する工程(b)と、被梱包体が備える複数のアジャスタのそれぞれを緩衝材の開口穴に収容させて被梱包体に緩衝材を取り付ける工程(c)と、緩衝材が取り付けられた状態の被梱包体を袋体で覆う工程(d)と、袋体で覆われた状態の被梱包体を梱包箱内に挿入する工程(e)とを有する。【選択図】 図8

Description

本発明は梱包方法に関し、特にアジャスタが底面に装着された重量物からなる被梱包体の梱包方法に関する。また、本発明は、このような被梱包体が梱包されてなる梱包体、及びこの梱包方法の利用に供される緩衝材に関する。
従来、重量物を梱包する方法として、下記特許文献1や特許文献2に記載された方法が知られている。
特開平10−258837号公報 特開2008−189371号公報
例えば重量が300kgを超えるような大型の重量物である製品(被梱包体)を、航空機や海上コンテナを利用して海外に輸送する場合には、当該被梱包体は木箱によって梱包されることがある。梱包方法の例として、特許文献1にはダンボールによって梱包する内容が記載されており、また、特許文献2には袋によって梱包することが記載されている。しかしながら、これらの先行技術による方法は、重量物である被梱包体を海外に輸送する場合には利用できない。
木箱に重量物を梱包する方法としては、例えば下記の方法が想定される。図13は、梱包箱の内部構造を模式的に示す斜視図であり、図14は、梱包箱内に収容された重量物である被梱包体の状態を模式的に示す断面図である。
重量物である被梱包体1は、使用時に高さ位置を調整するためのアジャスタ11を通常底面1aに設けている。また、運搬時の利便性に鑑み、被梱包体1の底面1aには、キャスタ12が設けられる場合が多い。アジャスタ11及びキャスタ12は、被梱包体1の底面1aの4箇所の角部に設けられるのが通常である。図14では、図示の都合上、2箇所の角部に形成されたアジャスタ11及びキャスタ12のみが図示されている。
梱包箱20には、底部を構成するパレット21に下部固定材50が載置されている。下部固定材50は、梱包箱20内に被梱包体1を梱包する際、キャスタ12が梱包箱20の底面、すなわちパレット21の上面に接触しないよう、被梱包体1の底面1aをパレット21から浮かせる目的で設けられる。より詳細には、下部固定材50は、被梱包体1の搬送時にキャスタ12が梱包箱20内で移動することで、被梱包体1が梱包箱20の壁面に衝突して被梱包体1に傷などが生じるのを防ぐ目的で設けられる。また、図13に示すように、梱包箱20の角部には、必要に応じて衝撃を吸収するための緩衝材22が設けられる。
すなわち、被梱包体1の底面1aは、下部固定材50に接触するようにして梱包箱20内に設置される。このとき、図14に示すように、アジャスタ11及びキャスタ12は、梱包箱20の底部を構成するパレット21に接触せず、浮いた状態が保持される。
下部固定材50は、好ましくは図15に示すように、一対の台木51と、これらの一対の台木51によって挟み込まれたウレタンなどからなる緩衝材52とを含む。下部固定材50は、梱包箱20に被梱包体1を搬入する搬入方向(図面上X方向)に沿って延在する。下部固定材50は、Y方向に離間した2箇所に設置される。
下部固定材50の面上に被梱包体1を載置するためには、被梱包体1をフォークリフトで持ち上げた状態で梱包箱20の設置箇所まで運搬した後、X方向に沿って梱包箱20内に被梱包体1を搬入する。その後、フォークリフトを操作して、被梱包体1の底面1aが下部固定材50に接触するまで被梱包体1の位置を下げた後、フォークリフトが引き抜かれる。
ここで、図13及び図14に示すように、Y方向に離間した2箇所に下部固定材50が設置されているため、フォークリフトのフォーク60は、この下部固定材50の離間距離よりも拡げることはできない。他方、図14に示すように、被梱包体1の底面1aの角部にはアジャスタ11やキャスタ12が存在することから、下部固定材50は、このアジャスタ11やキャスタ12と干渉しないよう、これらの内側に設置される必要がある。この結果、図16に模式的に示すように、フォークリフトのフォーク60の幅(荷役幅)d1はある程度狭くせざるを得ない。
しかし、上述したように、300kgを超えるような重量物である被梱包体1をフォークリフトで運搬する際には、安定性と安全面を鑑みると、フォーク60の幅d1を、より拡げたいという事情がある。
ところで、被梱包体1によっては梱包箱20内に梱包する際に、被梱包体1を直接梱包箱20に梱包するのではなく、被梱包体1を袋体3で覆った状態で梱包箱20内に梱包することが推奨・奨励されるものがある(図14参照)。例えば、被梱包体1が医療機器や精密機器などの場合には、搬送時に粉塵や結露が被梱包体1内に侵入する可能性を十分低下させた状態で、搬送されることが推奨されるため、被梱包体1の搬送時には袋体3で覆われることが多い。
このように袋体3で覆われた被梱包体1を、梱包箱20内に梱包する場合には、以下の手順によって行うことが考えられる。
(ステップSA1)フォークリフトを操作して被梱包体1を持ち上げ、袋体3で被梱包体1を覆う。
(ステップSA2)フォークリフトを操作して、袋体3で覆われた被梱包体1を梱包箱20内にいったん収納し、梱包箱20の底面を構成するパレット21とキャスタ12の位置関係を確認する。
(ステップSA3)フォークリフトを操作して、袋体3で覆われた被梱包体1の位置を少し上昇させ、パレット21と被梱包体1との離間距離を確保する。
(ステップSA4)梱包箱20の底面を構成するパレット21の所定位置に下部固定材50を設置する。
(ステップSA5)フォークリフトを操作して、フォーク60の幅を下部固定材50の離間距離よりも短くした状態で、下部固定材50の面上に接触するまで、被梱包体1の位置を下ろす。
(ステップSA6)フォークリフトを操作して、フォーク60を梱包箱20から引き抜く。
なお、ステップSA2よりも前に、パレット21の上面の所定位置に下部固定材50を設置しないのは、下部固定材50が正しく位置合わせできない可能性がある上、被梱包体1を梱包箱20内に搬入時に、被梱包体1が下部固定材50に接触して下部固定材50を移動させるおそれがあるためである。
しかし、上記の方法によれば、被梱包体1の位置の上げ下げ工程を2回行う必要があるため、作業量が多くなってしまう。
本発明は上記の課題に鑑み、少ない作業量で重量物を安定して梱包することのできる、新規の梱包方法を提供することを目的とする。また、本発明は、かかる梱包方法で梱包された梱包体、及びかかる梱包方法に利用可能な緩衝材を提供することを目的とする。
本発明は、底面に複数のアジャスタを有する重量物である被梱包体の梱包方法であって、
前記被梱包体が挿入される梱包箱を準備する工程(a)と、
第一面上の所定箇所において前記第一面から当該第一面とは反対側の第二面に向かって形成された開口穴と、前記開口穴に連通し前記第一面と前記第二面を連絡する一方の側面に形成されたスリット孔とを有してなる緩衝材を複数準備する工程(b)と、
前記被梱包体が備える複数の前記アジャスタのそれぞれを前記緩衝材の前記開口穴に収容させて、前記被梱包体に前記緩衝材を取り付ける工程(c)と、
前記緩衝材が取り付けられた状態の前記被梱包体を袋体で覆う工程(d)と、
前記袋体で覆われた状態の前記被梱包体を前記梱包箱内に挿入する工程(e)とを有することを特徴とする。
上記方法によれば、被梱包体は、アジャスタに緩衝材が取り付けられた状態で袋体で覆われた後、そのまま梱包箱内に挿入される。この結果、図16を参照して上述した方法とは異なり、梱包箱の底面に下部固定材を設置する必要がなくなる。よって、下部固定材が設置された梱包箱に梱包する場合と比較して、荷役幅を拡げることができると共に、製品を上げ下げする工程を1回減らすことができる。
緩衝材は、開口穴と当該開口穴に連通されたスリット孔を有するため、開梱時には緩衝材内に挿入されていたアジャスタの軸部をスリット孔を介して容易に取り外すことができる。
なお、前記被梱包体の梱包方法は、前記工程(d)の後、前記袋体内の空気を抜いて気密に閉塞する工程(h)を有するものとしても構わない。
前記被梱包体の梱包方法は、
一部領域に切り欠きを有してなる板材を準備する工程(f)と、
前記開口穴が前記切り欠きを介して露出するように、前記板材を前記緩衝材の前記第一面上に載置する工程(g)とを有し、
前記工程(c)は、前記被梱包体が備える複数の前記アジャスタのそれぞれを、前記切り欠きを介して前記緩衝材の前記開口穴内に挿入する工程であるものとしても構わない。
前記緩衝材は、例えば発泡ポリエチレンや、発泡ポリプロピレンなど、衝撃を吸収することのできる材料を用いることができる。かかる材料で緩衝材が構成されるとき、重量物である被梱包体の重量が緩衝材に作用して、アジャスタ以外の被梱包体の本体が緩衝材内に沈み込むおそれがある。この場合、開梱時に、被梱包体から緩衝材を取り外しにくくなる可能性がある。
これに対し、上記方法によれば、アジャスタ以外の被梱包体の本体は板材と接触し、実質的にアジャスタ部分のみを緩衝材内に挿入することができる。これにより、開梱時に被梱包体から緩衝材を容易に取り外すことができる。
板材は、緩衝材よりも硬い材料であればよく、例えば強化ダンボール、プラスチックダンボールなどを利用できる。
上記方法において、前記被梱包体は前記底面の4箇所の角部に前記アジャスタを有し、
前記工程(b)は、前記緩衝材を4個準備する工程であり、
前記工程(f)は、前記板材を2枚準備する工程であり、
前記工程(g)は、一方の前記板材を前記底面を構成する一辺に平行な方向に離間して配置された一対の前記緩衝材に跨るように配置すると共に、他方の前記板材を別の一対の前記緩衝材に跨るように配置する工程であるものとしても構わない。
前記緩衝材に形成された前記開口穴及び前記スリット孔の幅は、いずれも前記第二面側よりも前記第一面側の方が小さいものとしても構わない。
かかる構成とすることで、梱包時には被梱包体のアジャスタを緩衝材内に安定させやすくできると共に、開梱時には、緩衝材をアジャスタから容易に引き抜くことができる。
本発明に係る梱包体は、
底面に複数のアジャスタを有する重量物である被梱包体と、
前記被梱包体が備える複数の前記アジャスタのそれぞれに取り付けられた緩衝材と、
前記緩衝材と前記被梱包体とを覆うように配置された袋体と、
前記袋体を内部に収容する梱包箱とを備え、
前記緩衝材は、第一面上の所定箇所において前記第一面から当該第一面とは反対側の第二面に向かって形成された開口穴と、前記開口穴に連通し前記第一面と前記第二面を連絡する一方の側面に形成されたスリット孔とを有し、前記被梱包体が備える複数の前記アジャスタのそれぞれが前記緩衝材の前記開口穴に収容されることで前記被梱包体に取り付けられていることを特徴とする。
前記梱包体は、前記緩衝材と前記被梱包体との間に配置され、一部領域に切り欠きを有する板材を備え、
前記被梱包体が備える複数の前記アジャスタのそれぞれは、前記切り欠きを介して挿入されることで前記被梱包体に取り付けられているものとしても構わない。
本発明によれば、少ない作業量で重量物を安定して梱包することが可能となる。
2つの緩衝材の上面に跨るように板材が載置された状態を模式的に示す斜視図である。 板材の模式的な上面図である。 緩衝材の模式的な上面図である。 緩衝材の模式的な下面図である。 緩衝材の模式的な側面図である。 2つの緩衝材の上面に跨るように板材が載置された状態を模式的に示す上面図である。 本発明の梱包方法の一工程を模式的に示す図面である。 本発明の梱包方法の一工程を模式的に示す図面である。 本発明の梱包方法の一工程を模式的に示す図面である。 本発明の梱包方法の一工程を模式的に示す図面である。 本発明の梱包方法の一工程を模式的に示す図面である。 本発明の梱包方法の一工程を模式的に示す図面である。 複数の緩衝材の上に板材を載置する別態様を模式的に示す上面図である。 緩衝材の別実施形態の構成を模式的に示す斜視図である。 図12Aに示す緩衝材を変形させた状態を模式的に示す斜視図である。 下部固定材を含む梱包箱の内部構造を模式的に示す斜視図である。 下部固定材が底面に設置された梱包箱内に収容された製品(被梱包体)の状態を模式的に示す断面図である。 下部固定材の構造を模式的に示す斜視図である。 下部固定材を含む梱包箱内に製品(被梱包体)を挿入する過程の状態を模式的に示す断面図である。
本発明に係る梱包方法、梱包体、及び緩衝材の実施形態につき、図面を参照して説明する。以下の各図面は、いずれも模式的に図示されたものであり、図面上の寸法比は、必ずしも実際の寸法比に一致していない。各図面間においても、寸法比は必ずしも一致していない。
また、以下において、図13〜図16を参照して説明した要素と同一の要素については、同一の符号を付して、その説明が適宜省略される。
本発明に係る梱包方法では、図1に示す緩衝材4が用いられる。また、必要に応じてこの緩衝材4の上面に載置された板材5が追加的に用いられる。まず、緩衝材4及び板材5の構造につき、図1〜図5を参照して説明する。
図1は、X方向に離間して配置された2つの緩衝材4の上面に跨るように板材5が載置された状態を模式的に示す斜視図である。以下の図面では、鉛直下向きを+Z方向とし、図13と同様に、被梱包体1の梱包箱20内の搬送方向をX方向とし、梱包箱20の底部を構成するパレット21の面をXY平面として説明する。
このX-Y-Z座標系を参照して記載すると、図1に示す板材5は、2つの緩衝材4の−Z側の面に跨るように載置されている。
図2は、板材5の模式的な平面図であり、+Z方向に板材5を見たときの平面図、すなわち上面図に対応する。
図3、図4、及び図5は、いずれも緩衝材4の模式的な平面図である。図3は、+Z方向に緩衝材4を見たときの平面図に対応する。図4は、−Z方向に緩衝材4を見たときの平面図に対応する。図5は、+Y方向に緩衝材4を見たときの平面図に対応する。より詳細には、図3は緩衝材4の上面図に対応し、図4は緩衝材4の下面図に対応し、図5は緩衝材4の側面図に対応する。以下では、緩衝材4の上側(−Z側)の面を「第一面4a」と呼び、下側(+Z側)の面を「第二面4b」と呼ぶことがある。
図2に示すように、板材5は一部領域に切り欠き14が形成されている。図3及び図4に示すように、緩衝材4には、所定の位置において、第一面4aから第二面4bに向かって貫通して伸びる開口穴15が形成されている。また、緩衝材4の一の側面(ここでは−Y側に係るXZ平面に平行な側面)には、開口穴15に連通されたスリット孔16が形成されている。
本実施形態において、スリット孔16のスリット幅は、緩衝材4の第一面4a側の方が、第二面4b側よりも小さく設計されている。すなわち、図4及び図5において、スリット孔16の第一面4a側におけるスリット幅16aは、スリット孔16の第二面4b側におけるスリット幅16bよりも小さい。
本実施形態において、開口穴15の開口幅は、緩衝材4の第一面4a側の方が、第二面4b側よりも小さく設計されている。すなわち、図4及び図5において、開口穴15の第一面4a側における開口幅15aは、開口穴15の第二面4b側における開口幅15bよりも小さい。
本実施形態において、緩衝材4の第一面4a側、すなわち開口幅15aを有する開口穴15の+Z方向の長さは概ねアジャスタ11の軸部の長さに合致する。また、緩衝材4の第二面4b側、すなわち開口幅15bを有する開口穴15の+Z方向の長さは、アジャスタ脚部高さより十分に長い。すなわち、緩衝材4をアジャスタ11に取り付けた際に、床にアジャスタ11が接地せず収容することができる。
緩衝材4は、発泡ポリエチレンや、発泡ポリプロピレンなど、衝撃を吸収することのできる材料で構成される。また、板材5は、緩衝材よりも硬い材料であればよく、例えば強化ダンボール、プラスチックダンボールなどを利用できる。
以下、図6〜図10を参照しながら、緩衝材4及び板材5を用いて被梱包体1を梱包箱20に梱包する方法を説明する。
(ステップS1)
被梱包体1を梱包する梱包箱20、及び複数の緩衝材4をそれぞれ準備する。
緩衝材4は、後述するように、被梱包体1の底面1aに設けられているアジャスタ11に取り付けられる。通常、被梱包体1がアジャスタ11を備える場合、底面1aの4箇所にアジャスタ11が取り付けられるため、それぞれのアジャスタ11に取り付けるために、4個の緩衝材4が準備される。
本ステップS1は、工程(a)及び工程(b)に対応する。
(ステップS2)
板材5を準備する。板材5は、図1を参照して上述したように、離間して配置される緩衝材4の上面(第一面4a)に跨るように配置される。このため、梱包時に4個の緩衝材4が用いられる場合には、2枚の板材5が準備される。すなわち、後のステップS4において、1枚の板材5は、−Y側の位置において、−X側のアジャスタ11に取り付けられる予定の緩衝材4と、+X側のアジャスタ11に取り付けられる予定の緩衝材4とに跨るように配置される。また、後のステップS4において、別の1枚の板材5は、+Y側の位置において、−X側のアジャスタ11に取り付けられる予定の緩衝材4と、+X側のアジャスタ11に取り付けられる予定の緩衝材4とに跨るように配置される。
本ステップS2は、工程(f)に対応する。
(ステップS3)
フォークリフトを操作し被梱包体1を持ち上げ、図7Aに示すように、被梱包体1の底面1aに取り付けられている複数のアジャスタ11のそれぞれに、緩衝材4を取り付ける。より詳細には、緩衝材4の一の側面(−Y側に係るXZ平面に平行な側面)に形成されたスリット孔16の縦長の開口溝(図5参照)からアジャスタ11を挿入し、Y軸方向に沿って相対的に移動させる(換言すると、緩衝材4をスリット孔16に沿って装置の内側方向に押しこむ)ことにより、アジャスタ11の軸及び脚座部分を緩衝材4の開口穴15に嵌合させる。このような作業を複数のアジャスタ11のそれぞれで行って、全てのアジャスタ11を緩衝材4内に収容する。
図7B及び図7Cは、本ステップS3におけるアジャスタ11の取り付け工程を模式的に示す図面であり、それぞれ見る方向を変えて図示されたものである。緩衝材4を、アジャスタ11に対してY方向に接近させ、スリット孔16を広げた状態でアジャスタ11の軸を緩衝材4内に開口穴15に収容させる。
ここで、上述したように、緩衝材4には、開口穴15に連結されているスリット孔16が形成されている。そして、このスリット孔16は、緩衝材4の第一面4a側においてはスリット幅16aが小さく設計されている。このため、アジャスタ11は、その軸部分が小径の開口穴15(15a)に、脚座部分が大径の開口穴15(15b)にそれぞれ嵌合して垂直方向の移動が規制されると共に、スリット孔16の周囲に存在する緩衝材4と接触し、緩衝材4内において安定して保持される。
本ステップS3は、工程(c)に対応する。
(ステップS4)
離間して取り付けられた2個の緩衝材4の第一面4aに跨るように、板材5を配置する。このとき、図1及び図6に示すように、緩衝材4の開口穴15が、板材5に形成された切り欠き14を介して上方に露出するように、両者は位置合わせされる。図6は、図1のように、2個の緩衝材4の上面に跨るように板材5を載置した状態を+Z方向に見たときの模式的な平面図(上面図)である。
図6では、視認のしやすさを目的として、板材5の外縁を示す線幅が、緩衝材4をの外縁を示す線幅よりも太く図示されている。なお、+Z方向に見たときに、切り欠き14が形成されていない箇所においては、板材5が完全に緩衝材4を覆っていても構わないし、板材5の外縁よりも外側に緩衝材4の一部がはみ出ていても構わない。
本ステップS4は、工程(g)に対応する。なお、ステップS3とステップS4は、順序が前後しても構わない。
(ステップS5)
図8に示すように、各アジャスタ11に緩衝材4が取り付けられた状態の被梱包体1を、袋体3で覆う。袋体3は、例えばポリエチレンやポリプロピレンで構成される。本ステップS5は、工程(d)に対応する。
(ステップS6)
フォークリフト(不図示)を操作して、図9に示すように、袋体3で覆われた状態の被梱包体1を梱包箱20内に挿入する。本ステップS6は、工程(e)に対応する。
(ステップS7)
フォークリフト(不図示)を操作して、図10に示すように、梱包箱20の底部を構成するパレット21に達するまで被梱包体1の位置を下ろす。このとき、緩衝材4の底面(第二面4b:図1参照)がパレット21に接触する。そして、フォークリフトのフォーク60(図9参照)を梱包箱20から引き抜く。
(ステップS8)
必要に応じて、周知の方法によって袋体3内の空気を抜き、袋体3によって被梱包体1を気密に閉塞する。これによって、袋体3を被梱包体1の表面に密着させることができる。
上記の方法によれば、緩衝材4が取り付けられ、袋体で覆われた状態の被梱包体1が梱包箱20内に挿入されるため、図16を参照して上述した方法とは異なり、梱包箱20の底面に下部固定材50を設置する必要がない。この結果、フォークリフトのフォーク60は、キャスタ12と干渉しない範囲内において、できる限りキャスタ12に近づけることができる。よって、上記の方法によれば、下部固定材50が設置された梱包箱20に梱包する場合と比較して、荷役幅d1を拡げることができる(図9参照)。これにより、被梱包体1が重量物である場合においても、フォークリフトによって安定的に運搬することができる。
また、下部固定材50を設置する必要がないため、フォークリフトによって被梱包体1の上げ下げする回数を1回減らすことができる。
上記各ステップS1〜S8を経ることで、アジャスタ11に緩衝材4が取り付けられ、袋体3で覆われた状態の被梱包体1が、梱包箱20内に配置されてなる梱包体が得られる。この梱包体が航空機輸送などを介して搬送された搬送先では、袋体3を開封して被梱包体1を露出された後、緩衝材4を袋体3の上で滑らせるようにしながらアジャスタ11から引き抜いて取り外す。この時、フォークリフト等の機器を使用することなく、被梱包体1を載置した状態で、人手で緩衝材4を外すことができる。そして、全ての緩衝材4及び板材5を取り外して被梱包体1をパレット及び袋の上に設置すると、パレット21脇にスロープ等を配置して、キャスタ12等を利用して、被梱包体1を梱包箱20の外側に取り出すようにすればよい。
また、図4を参照して上述したように、緩衝材4に形成されている開口穴15及びスリット孔16の幅は、下面側(第二面4b側)において、上面側(第一面4a側)よりも大きい。よって、梱包箱20の外側に被梱包体1を取り出した後、アジャスタ11の軸部が収容された緩衝材4を、スリット孔16の開口に沿って外側に向けて引っ張ることで、アジャスタ11の脚座部分が過度に干渉することなく、容易にアジャスタ11から緩衝材4を離脱させることができる。
なお、上記の方法によれば、緩衝材4よりも硬い材料からなる板材5を設置し、この板材5の上面に被梱包体1を設置するようにした。このため、被梱包体1が重量物であっても、この重量によってアジャスタ11以外の被梱包体1の本体部分が緩衝材4の内部に潜り込んでしまうことで、開梱時に被梱包体1から緩衝材4を取り外しにくくなるという事態が防止できる。
ただし、板材5を用いるかどうかは任意であり、板材5を用いずに、緩衝材4の上面に直接被梱包体1を接触させる場合においても、本発明の範囲内である。この場合には、ステップS2、ステップS3が省略される。また、ステップS4では、アジャスタ11のそれぞれの軸が、緩衝材4のスリット孔16を介して挿入される(換言すると、緩衝材4がスリット孔に沿って装置の内方向に押し込まれる)ことで、開口穴15に嵌合し、アジャスタ11が緩衝材4内に収容される。なお、ここではアジャスタが4つのもので説明をしたが、この例に限定されることは言うまでもなく、アジャスタの数は適宜であり、また、輸送中に被梱包体1を支持できる耐性を有していれば全てのアジャスタ11に緩衝材4を取り付けることも必須ではない。
[別実施形態]
以下、別実施形態について説明する。
〈1〉被梱包体1のX方向(梱包箱20内に挿入する際の挿入方向)に係る幅が長いときは、アジャスタ11が挿入されない箇所においても、緩衝材41を設置しても構わない(図11参照)。図11には、アジャスタ11を挿入するための開口穴15が形成されている、2個の緩衝材4に加えて、開口穴15が形成されていない緩衝材41が図示されている。そして、板材5は、X方向に係る両端に位置する緩衝材4と、その中間に位置する緩衝材41の上面に跨るように、配置される。
このように構成することで、板材5のX方向に係る長さが長い場合であっても、被梱包体1の重量によって、板材5が曲がったり折れたりすることが抑制される。
なお、図11に示す板材5は、アジャスタ11が取り付けられない箇所において、板材5のY方向に係る長さが適宜短くされて(5a,5b)、軽量化が図られている。しかし、これはあくまで一態様であり、このような軽量化のための形状加工は必須ではない。
〈2〉上記実施形態では、被梱包体1が底面1aにアジャスタ11及びキャスタ12を備える場合について説明した。しかし、被梱包体1がキャスタ12を備えていない場合であっても、上記の方法を採用することは可能である。
〈3〉図2では、板材5が有する切り欠き14は、その外縁がU字形状を呈している場合が図示されていた。しかし、板材5と緩衝材4とを位置合わせすることで、板材5の切り欠き14と緩衝材4の開口穴15とをZ方向に連絡可能に配置できる限りにおいて、切り欠き14の形状は限定されない。
〈4〉上記実施形態では、緩衝材4に設けられた開口穴15は、第一面4aから第二面4bに向かってZ方向に貫通するように形成されている場合について説明した。しかし、開口穴15は、必ずしも緩衝材4をZ方向に貫通しなくても構わない。例えば、図12Aに示すように、開口穴15は、第一面4aから第二面4bに向かって伸びるように形成されているが、この形成箇所は、第二面4bには達しておらず、面4dまでである。この面4dと第二面4bとの間には、スリット孔16が形成されている。
かかる態様であっても、図12Bに示すように、スリット孔16がX方向に拡げられることで、拡げられたスリット孔16側からアジャスタ11に接近させることで、アジャスタ11を開口部15内に装着できる。その後、スリット孔16の拡がり状態を戻すことで、緩衝材4はアジャスタ11に安定して取り付けられる。
〈5〉本発明は上記した実施形態に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。例えば、上記した実施形態は本発明のより良い理解のために詳細に説明したのであり、必ずしも説明の全ての構成を備えるものに限定されるものではない。本発明の範囲は特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。
1: 被梱包体
1a: 被梱包体の底面
3: 袋体
4: 緩衝材
4a: 緩衝材の第一面
4b: 緩衝材の第二面
4c: 緩衝材の側面
5: 板材
11: アジャスタ
12: キャスタ
14: 切り欠き
15: 開口穴
15a,15b: 開口幅
16: スリット
16a,16b: スリット幅
20: 梱包箱
21: パレット(梱包箱の底部)
22: 緩衝材
41: 緩衝材
50: 下部固定材
51: 台木
52: 緩衝材
60: フォークリフトのフォーク
d1: 荷役幅

Claims (8)

  1. 底面に複数のアジャスタを有する重量物である被梱包体の梱包方法であって、
    前記被梱包体が挿入される梱包箱を準備する工程(a)と、
    第一面上の所定箇所において前記第一面から当該第一面とは反対側の第二面に向かって形成された開口穴と、前記開口穴に連通し前記第一面と前記第二面を連絡する一方の側面に形成されたスリット孔とを有すると共に、前記第一面から前記第二面までの距離が前記アジャスタの脚部高さより長い緩衝材を複数準備する工程(b)と、
    前記被梱包体が備える複数の前記アジャスタのそれぞれを収容させて、前記被梱包体に前記緩衝材を取り付ける工程(c)と、
    前記緩衝材が取り付けられた状態の前記被梱包体を袋体で覆う工程(d)と、
    前記袋体で覆われた状態の前記被梱包体を前記梱包箱内に挿入する工程(e)とを有することを特徴とする、被梱包体の梱包方法。
  2. 一部領域に切り欠きを有してなる板材を準備する工程(f)と、
    前記開口穴が前記切り欠きを介して露出するように、前記板材を前記緩衝材の前記第一面上に載置する工程(g)とを有し、
    前記工程(c)は、前記被梱包体が備える複数の前記アジャスタのそれぞれを、前記切り欠きを介して前記緩衝材の前記開口穴内に挿入する工程であることを特徴とする、請求項1に記載の被梱包体の梱包方法。
  3. 前記被梱包体は前記底面の4箇所の角部に前記アジャスタを有し、
    前記工程(b)は、前記緩衝材を4個準備する工程であり、
    前記工程(f)は、前記板材を2枚準備する工程であり、
    前記工程(g)は、一方の前記板材を前記底面を構成する一辺に平行な方向に離間して配置された一対の前記緩衝材に跨るように配置すると共に、他方の前記板材を別の一対の前記緩衝材に跨るように配置する工程であることを特徴とする、請求項2に記載の被梱包体の梱包方法。
  4. 前記工程(d)の後、前記袋体内の空気を抜いて気密に閉塞する工程(h)を有することを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項に記載の被梱包体の梱包方法。
  5. 前記緩衝材に形成された前記開口穴及び前記スリット孔の幅は、いずれも前記第二面側よりも前記第一面側の方が小さいことを特徴とする、請求項1〜4のいずれか1項に記載の被梱包体の梱包方法。
  6. 底面に複数のアジャスタを有する重量物である被梱包体と、
    前記被梱包体が備える複数の前記アジャスタのそれぞれに取り付けられた緩衝材と、
    前記緩衝材と前記被梱包体とを覆うように配置された袋体と、
    前記袋体を内部に収容する梱包箱とを備え、
    前記緩衝材は、第一面上の所定箇所において前記第一面から当該第一面とは反対側の第二面に向かって形成された開口穴と、前記開口穴に連通し前記第一面と前記第二面を連絡する一方の側面に形成されたスリット孔とを有すると共に、前記第一面から前記第二面までの距離が前記アジャスタの脚部高さより長く、前記被梱包体が備える複数の前記アジャスタのそれぞれが前記緩衝材の前記開口穴に収容されることで前記被梱包体に取り付けられていることを特徴とする、梱包体。
  7. 前記緩衝材と前記被梱包体との間に配置され、一部領域に切り欠きを有する板材を備え、
    前記被梱包体が備える複数の前記アジャスタのそれぞれは、前記切り欠きを介して前記開口穴に収容されることで前記被梱包体に取り付けられていることを特徴とする、請求項6に記載の梱包体。
  8. 請求項1〜5のいずれか1項に記載の梱包方法に利用されることを特徴とする、緩衝材。
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