JP6917268B2 - 透明導電フィルムの製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、透明導電フィルムの製造方法に関する。詳しくは、基材フィルム上に、導電性繊維からなる導電層が形成された透明導電フィルムの製造方法に関する。
透明導電フィルムはディスプレイ、タッチパネル、有機ELデバイス、太陽電池などの電子機器の電極として広く用いられている。一般的な透明導電フィルムとしては、基材フィルム上にITO膜が形成されたものが知られているが、ITO膜による透明導電フィルムはフレキシブル性に乏しく、レアメタルが使用されているなどの理由から代替品の開発が盛んに行われている。
これらの問題を解決するものとして、基材フィルム上に、金属ナノワイヤなどの導電性繊維が含まれた溶液を塗工し、乾燥することによって、基材フィルム上に導電性繊維からなる導電層が形成された透明導電フィルムが注目されている(例えば特許文献1)。この導電性繊維による透明導電フィルムは、基材フィルムと導電性繊維(導電層)の密着性が低いことから一般に、基材フィルム上の導電性繊維にさらにオーバーコート剤が塗工される。
しかしながら、有機ELデバイスなどの用途においては、オーバーコート剤の塗工されない構成が要求される場合がある。また、オーバーコート剤が塗工できる場合であっても、オーバーコート剤が塗工されるまでの間に、導電層に微小な剥がれが発生するおそれがあった。このため、基材フィルムと導電性繊維の密着性の改善が望まれている。密着性を改善する方法として例えば、特許文献2には、透明導電フィルムを140℃から200℃の温度で30秒から60秒の間加熱する方法が開示されており、また、特許文献3には、基材フィルム上の導電層に紫外線を照射する方法が開示されている。
特表2009−505358号公報 特表2012−527071号公報 特開2017−4742号公報
ところが、特許文献2の方法においては、密着性を向上させようとすると、加熱により基材フィルムが変形を起こし、また光学特性を表す指標の一つであるヘイズ値が上昇するおそれがあった。一方、特許文献3の方法においては、オーバーコート剤が塗工されるまでの間における、導電層の微小な剥がれの発生を抑制することができるものの、さらなる密着性の向上が望まれた。
そこで本発明は、基材フィルムと導電性繊維の密着性を向上させつつ、加熱による基材フィルムの変形やヘイズ値の上昇を抑制する、透明導電フィルムの製造方法の提供を目的とする。
本発明の透明導電フィルムの製造方法は、長尺の基材フィルムを複数の搬送ロールで案内し長手方向に搬送させながら、前記基材フィルムの一方面に導電性繊維、添加剤及び溶媒を含む導電性繊維インクを塗工して、ウェット膜を形成する工程と、前記ウェット膜を乾燥させて、導電層を形成する工程と、前記基材フィルムを前記基材フィルムの他方面側からバックロールで支持した状態で、前記導電層に紫外線を照射する工程と、を順に備える、透明導電フィルムの製造方法であって、前記紫外線を照射する工程において、前記基材フィルムの表面温度が160℃より高く、前記基材フィルムの軟化温度未満であることを特徴とする。
本発明の製造方法によれば、紫外線を照射する工程によって、基材フィルムの表面温度が160℃より高く、基材フィルムの軟化温度未満となるように加熱される。これにより、基材フィルムと導電性繊維の密着性を向上させつつ、加熱による基材フィルムの変形やヘイズ値の上昇を抑制することができる。また、この紫外線を照射する工程により、基材フィルムの表面温度を上記範囲の温度に短時間で到達させることができるため、加熱による基材フィルムの変形やヘイズ値の上昇を抑制することができる。ここで、基材フィルムの軟化温度は、JIS K 7196:2012に準拠して測定されるものである。
また、本発明の製造方法においては、前記基材フィルムの搬送速度を1〜50m/minにすることができる。これにより、基材フィルムと導電性繊維の密着性が向上し、加熱による基材フィルムの変形やヘイズ値の上昇も抑制された透明導電フィルムを効率よく製造することができる。
さらに、本発明の製造方法においては、前記紫外線を照射する工程を、前記導電層の表面が前記搬送ロールと接触する前に行うことができる。これにより、搬送ロールとの接触に伴う導電層の微小な剥がれの発生を抑制することができるため、透明導電フィルムに微細なパターニングを行うことが可能となる。
そして、本発明の製造方法においては、前記バックロールの温度を50℃以上にすることができる。紫外線を照射する工程において、基材フィルムを支持するバックロールは、その設定温度によっては基材フィルムの加熱を妨げるもの(冷却するもの)にあたるが、バックロールの温度を50℃以上にすることで、室温のものと比べ、冷却の影響が緩和されて結果的に基材フィルムの表面温度をより高くすることができる。これにより、基材フィルムと導電性繊維の密着性を向上させることができる。
本発明の製造方法においては、前記紫外線として無電極紫外線ランプから発せられたものを選択することができる。
また、本発明の製造方法においては、前記導電性繊維として金属ナノワイヤを選択することができる。
さらに、本発明の製造方法においては、前記添加剤としてセルロース系樹脂を含むものを選択することができる。
そして、本発明の製造方法においては、前記基材フィルムとしてポリエステル系樹脂で形成されたものを選択することができる。
本発明の透明導電フィルムの製造方法によれば、基材フィルムと導電性繊維の密着性を向上させつつ、加熱による基材フィルムの変形やヘイズ値の上昇を抑制することができる。
本発明の一実施形態に係る透明導電フィルム10の断面模式図である。 本発明の一実施形態に係る透明導電フィルム10の製造ライン20の概略図である。 比較例1の透明導電フィルムにおける剥がれの状態をマイクロスコープで観察したときの画像である。 比較例2の透明導電フィルムにおける剥がれの状態をマイクロスコープで観察したときの画像である。 比較例3の透明導電フィルムにおける剥がれの状態をマイクロスコープで観察したときの画像である。 実施例2の透明導電フィルムにおける剥がれの状態をマイクロスコープで観察したときの画像である。
以下、本発明の一実施形態に係る透明導電フィルム10及びその製造方法について、図面を参照しながら説明する。図1は、透明導電フィルム10の断面模式図である。図1に示すように、透明導電フィルム10は、基材フィルム11と、基材フィルム11上に位置する複数の導電性繊維121を含む導電層12を有する。導電層12は、導電性繊維121、添加剤(粘度調整剤、分散剤等)及び溶媒を含む導電性繊維インクが基材フィルム11上に塗工され、乾燥されて形成されたものである。各構成要素について、順に説明する。
<基材フィルム>
基材フィルム11は、例えばプラスチック材料で形成されたものであり、プラスチック材料としては例えば、トリアセチルセルロース(TAC)、ジアセチルセルロース、ポリエチレンテレフタレート(PET)やポリエチレンナフタレート(PEN)などのポリエステル系樹脂、ポリイミド(PI)、ポリアミド(PA)、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、シクロオレフィンポリマー(COP)、シクロオレフィンコポリマー(COC)、ポリアクリレート、ポリエーテルスルフォン、ポリスルフォン、ポリ塩化ビニル、アクリル樹脂(PMMA)、ポリカーボネート(PC)、などが挙げられる。そのなかでも、ポリエステル系樹脂が好ましく、ポリエチレンテレフタレートがより好ましい。
基材フィルム11としては、例えば長尺に形成されたものが好ましく、厚みは、生産性の観点から、例えば10〜200μmであることが好ましい。
<導電性繊維インク>
導電性繊維インクは、例えば、導電性繊維121、添加剤及び溶媒から構成される。
<導電性繊維>
導電性繊維121は、導電性を有し、かつその繊維長が繊維径に比べて十分に長い形状を持つものである。導電性繊維121は、例えば中空チューブ状、ワイヤ状、ファイバー状のものであり、例えば金属でコーティングした有機繊維や無機繊維、導電性金属酸化物繊維、金属ナノワイヤ、炭素繊維、カーボンナノチューブ等が挙げられる。複数の導電性繊維121が互いに接触し合うことによりネットワークが形成されて、良好な導電性が発現される。また、導電性繊維121の存在しない部分を光が透過するため、良好な透明性が発現される。透明性及び導電性の観点から、導電性繊維121は、金属ナノワイヤが好ましい。導電性繊維121の製造方法としては、特に限定されるものではなく、公知のものが用いられる。
<金属ナノワイヤ>
金属ナノワイヤは金属から構成されたものであって、構成元素としては、例えば銀、銅、金、アルミニウム、ロジウム、イリジウム、コバルト、亜鉛、ニッケル、インジウム、鉄、パラジウム、白金、スズ、チタン等から選択される1種類以上のものが挙げられる。また、これらの合金、酸化物、メッキされたものであってもよい。
金属ナノワイヤは微細なワイヤ状の形状を有する。平均繊維径は、透明性及び導電性の観点から、例えば200nm以下であることが好ましく、100nm以下であることがより好ましい。平均繊維長は、導電性及び透明性の観点から、例えば1〜100μmであることが好ましく、1〜50μmであることがより好ましく、3〜50μmであることがさらに好ましい。
<添加剤>
添加剤は、導電性繊維インクの粘性、導電性繊維121の分散性や結合性を調整したり、腐食を防止したりするものであって、例えば粘度調整剤や分散剤が挙げられる。粘度調整剤としては、例えばカルボキシメチルセルロース(CMC)、2−ヒドロキシエチルセルロース(HEC)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、メチルセルロース(MC)などのセルロース系樹脂、ポリビニルアルコール(PVA)、トリプロピレングリコール(TPG)、およびキサンタンゴム(XG)が挙げられ、そのなかでもセルロース系樹脂が好ましく、HPMCがより好ましい。セルロース系樹脂は、紫外線の照射によりセルロース鎖が切断され、そして加熱によって基材フィルム11や導電性繊維121との結びつきが強くなり、基材フィルム11と導電性繊維121との密着性が向上するものと考えられる。分散剤としては、例えばフッ素系、ノニオン系、カチオン系の界面活性剤が挙げられ、フッ素系界面活性剤が好ましい。
<溶媒>
溶媒は、導電性繊維121を分散させるものが用いられ、例えば水、アルコール(エタノール等)、ケトン、エーテル、炭化水素、芳香族溶剤(ベンゼン、トルエン、キシレン等)及びこれらを組み合わせたものが挙げられる。溶媒としては、導電性繊維121を均一に分散させる観点から、50重量%以上の水で構成される水系溶媒が好ましい。
金属ナノワイヤ、粘度調整剤、分散剤及び溶媒を含む導電性繊維インクにおいては、例えば、金属ナノワイヤを0.05〜1.4重量%、粘度調整剤を0.02〜4重量%、分散剤を0.0025〜0.1重量%、溶媒を94.5〜99.0重量%含むように構成することができる。
次に、本発明の一実施形態に係る透明導電フィルム10の製造方法について説明する。図2は、ロールトゥロール方式である透明導電フィルム10の製造ライン20の概略を示す図である。図2に示すように、透明導電フィルム10の製造方法は、繰出装置21により長尺の基材フィルム11を長手方向に繰り出す繰出工程と、塗工装置22により基材フィルム11の一方面上に導電性繊維インクを塗工し、ウェット膜を形成する塗工工程と、乾燥炉23によりウェット膜を乾燥させて、導電層12を形成する乾燥工程と、基材フィルム11の他方面側からバックロール25で基材フィルム11を支持した状態で、基材フィルム11の一方面側から紫外線照射装置24により、導電層12に紫外線を照射する紫外線照射工程と、巻取装置26により透明導電フィルム10を巻き取る巻取工程によって構成される。基材フィルム11は、繰出工程から巻取工程まで、複数の搬送ロール27により案内し、搬送させる。各工程について、順に説明する。
<繰出工程>
繰出工程は、繰出装置21によって長尺の基材フィルム11が巻回されたロールを回転させて、基材フィルム11を長手方向に繰り出す工程である。繰出装置21としては、公知のものが使用される。
<塗工工程>
塗工工程は、塗工装置22によって、基材フィルム11の一方面上に導電性繊維インクを連続して塗工し、ウェット膜を形成する工程である。塗工装置22としては例えばスロットダイコータ、ロールコータ、バーコータ、ナイフコータ、スクイズコータ、ファンテンコータ、キスコータ等が用いられる。導電性繊維インクを均一に塗工する観点から、好ましくはスロットダイコータが使用される。その場合、塗布量は、例えば5〜40g/mに設定される。
<乾燥工程>
乾燥工程は、乾燥炉23によって、内部に基材フィルム11が搬送され、基材フィルム11上の導電性繊維インクを乾燥させて、導電層12を形成する工程である。乾燥炉23としては公知のものが使用される。乾燥温度は、生産性の観点から例えば30〜120℃に設定される。
<紫外線照射工程>
紫外線照射工程は、基材フィルム11の他方面側からバックロール25で基材フィルム11を支持した状態で、基材フィルム11の一方面側(導電層12が形成された側)から紫外線照射装置24で、導電層12の表面に、紫外線を照射する工程である。この工程により、基材フィルム11の加熱が短時間で行われるため、加熱による基材フィルムの変形やヘイズ値の上昇を抑制することができる。
紫外線照射装置24は、例えば紫外線LED、低圧水銀ランプ、高圧水銀ランプ、メタルハライドランプ、無電極紫外線ランプが使用される。そして、紫外線照射装置24は、形成された導電層12の表面に搬送ロール27が接触する前の場所に位置される。これにより、導電層12における微小な剥がれの発生を抑制することができる。紫外線としては、発光スペクトルにおいて365nm付近の波長にメインピークをもつものが好ましい(ここで、365nm付近の波長とは360nm〜370nmの波長のことをいい、メインピークとは100〜400nmの波長で最も強い発光強度のことをいう)。また、導電性繊維インクの添加剤としてセルロース系樹脂が含まれる場合には、セルロース鎖を効果的に切断する観点から、紫外線の発光スペクトルにおいて313nm付近の波長(310nm〜315nmの波長)にピークをもつものが好ましい。
また、紫外線照射装置24は、剥がれの発生を効果的に抑制する観点から、無電極紫外線ランプが好ましい。この場合において、導電層12の表面における紫外線の積算光量としては、剥がれの発生を十分に抑制する観点から、200mJ/cm以上が好ましく、400mJ/cmがより好ましく、600mJ/cm以上がさらに好ましく、800mJ/cm以上が特に好ましい。ここで、紫外線の積算光量は、同じ条件で紫外線が照射された際において、公知の紫外線測定器で見積もられたものである。
バックロール25としては、公知のものが使用される。そして、バックロール25の設定温度は、例えば50℃以上にし、50℃以上70℃以下にすることが好ましく、50℃以上60℃以下にすることがより好ましい。これにより、基材フィルム11と導電性繊維121の密着性を向上させつつ、加熱による基材フィルムの変形やヘイズ値の上昇を抑制することができる。
そして紫外線照射工程により、基材フィルム11の表面温度は160℃より高く、基材フィルム11の軟化温度未満まで加熱される。これにより、基材フィルム11と導電性繊維121の密着性を向上させつつ、加熱による基材フィルムの変形やヘイズ値の上昇を抑制することができる。そして、基材フィルム11がポリエステル系樹脂で形成されたものである場合、160℃より高く240℃以下まで加熱されることが好ましく、160℃より高く180℃以下まで加熱されることがより好ましく、165℃以上180℃以下まで加熱されることがさらに好ましい。
<巻取工程>
巻取工程は、巻取装置26によって、作製された透明導電フィルム10をロール状に巻き取る工程である。巻取装置26としては、公知のものが使用される。
<搬送ロール>
搬送ロール27は、基材フィルム11を所定のテンションで繰出装置21から、塗工装置22、乾燥炉23、紫外線照射装置24(バックロール25)、巻取装置26へ順に案内して搬送させるものであって、例えば駆動ロール、ガイドロール、ダンサーロールによって構成される。基材フィルム11の搬送速度は、例えば1〜50m/minに設定される。これにより、基材フィルム11と導電性繊維121の密着性が向上し、加熱による基材フィルムの変形やヘイズ値の上昇も抑制された透明導電フィルムを効率よく製造することができる。
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明の具体的な態様は上記実施形態に限定されるものではない。例えば、上記実施形態において、図1に示すように、基材フィルム11上に直接導電性繊維121を塗工したが、基材フィルム11にあらかじめ、反射防止層、防眩層、接着層、バリア層及びハードコート層などの層を1つ以上設けておくことができる。また、基材フィルム11には、プラズマ処理、紫外線処理、コロナ処理などの表面処理を施しておくこともできる。
また、上記実施形態において、導電層12の微小な剥がれを抑制するために、紫外線照射工程を、搬送ロール27が導電層12の表面に接触する前に行ったが、微小な剥がれが問題とならない場合(例えば、透明導電フィルム10に微細なパターニングが形成されずに電極として用いられる場合)には、紫外線照射工程を搬送ロール27が導電層12の表面に接触した後に行うこともできる。
さらに、作製された透明導電フィルム10の導電性繊維121を保護するために、導電性繊維121上にオーバーコート剤を塗工する工程を備えることができる。オーバーコート剤は、光学的に透明な樹脂であって、例えばアクリル系樹脂やポリエステル系樹脂などの公知の樹脂が挙げられる。オーバーコート剤の乾燥厚みとしては、例えば10〜5000nm、好ましくは20〜1000nm、より好ましくは50〜200nmに設定される。
また、作製された透明導電フィルム10をタッチパネル等の電極として用いるために、導電層12をパターニングする工程を備えることができる。導電層12のパターニングとしては、公知の方法が用いられ、例えばエッチング液を塗布するもの、レーザーを照射するものが挙げられる。
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれによって限定されるものではない。
(実施例1)
上述の一実施形態に係る製造方法により、透明導電フィルムを作製した。基材フィルムとして、軟化温度249℃、厚さ125μmのポリエチレンテレフタレートフィルム(東レ株式会社製)を準備した。導電性繊維インクとして、銀ナノワイヤ(繊維長10〜30μm、繊維径30〜50nm)を0.1重量%、粘度調整剤及び分散剤などの添加剤を3%、水系溶媒を96.9重量%(イソプロピルアルコールが10重量%、超純水が86.9重量%)含むものを準備した。基材フィルムの搬送速度は2m/minに設定した。塗工装置としてはスロットダイコータを使用し、塗布量を17g/mに設定した。また、乾燥炉においては、乾燥温度を90℃に設定した。そして、導電層が搬送ロールに接触する前に、紫外線照射装置として無電極紫外線ランプ(ヘレウス株式会社製、Hバルブ)を用いて、発光スペクトルにおいて365nmの波長にメインピークをもつ紫外線を、導電層の表面における積算光量が1165mJ/cmとなるように照射した。積算光量は、紫外線測定器(ヘレウス株式会社製、マイクロキュア)で見積もった。また、バックロールの温度は50℃にした。
(実施例2)
実施例1の条件においてバックロールの温度を60℃に変更したこと以外は、実施例1と同じ条件で透明導電フィルムを作製した。
(比較例1)
実施例1の条件において、紫外線を照射せず、かつ、30℃(室温)のバックロールを用いたこと以外は、実施例1と同じ条件で透明導電フィルムを作製した。
(比較例2)
比較例1の条件において、積算光量が1165mJ/cmの紫外線を照射させて、バックロールの温度を30℃(室温)となるように変更したこと以外は、比較例1と同じ条件で透明導電フィルムを作製した。
(比較例3)
比較例2の条件において、バックロールの温度を40℃に変更したこと以外は、比較例2と同じ条件で透明導電フィルムを作製した。
(比較例4)
比較例1の条件において、バックロールの温度を60℃に変更したこと以外は、比較例1と同じ条件で透明導電フィルムを作製した。
(比較例5)
比較例4の条件において、積算光量が743mJ/cmの紫外線を照射させるように変更したこと以外は、比較例4と同じ条件で透明導電フィルムを作製した。
(比較例6)
比較例1で作製した透明導電フィルムを、温度150℃のオーブン(エスペック株式会社製、PVC−211)で60秒間加熱した。
(比較例7)
比較例1で作製した透明導電フィルムを、温度170℃のオーブンで60秒間加熱した。
<密着性評価>
基材フィルムと銀ナノワイヤの密着性を評価するために、作製した透明導電フィルムの表面にセロハンテープを圧着し、一気に引き剥がして、剥がれの状態をマイクロスコープ(株式会社キーエンス製、VHX−500)で観察した。比較例1〜3、実施例2の剥がれの状態をそれぞれ図3〜5、図6に示す。
<ヘイズ値評価>
作製した透明導電フィルムについて、ヘイズメータ(スガ試験機株式会社製、HZ−2)でヘイズ値を測定した。そして、比較例1のヘイズ値を基準として、ヘイズ値の変化率を見積もった。
<熱変形評価>
透明導電フィルムについて、基材フィルムにシワが生じたかどうか目視で観察した。
<表面温度測定>
実施例1及び2、比較例1〜5の透明導電フィルムについては、製造過程における基材フィルム表面の最高温度を、熱電対ユニット(株式会社キーエンス製、NR−TH08)及びデータロガー(株式会社キーエンス製、NR−600)を用いて測定した。また、比較例6及び7の透明導電フィルムについては、オーブンにおける基材フィルム表面の最高温度を同様に測定した。
Figure 0006917268
結果を表1にまとめる。室温のバックロールを用いて、紫外線も照射しなかった比較例1の透明導電フィルムでは、セロハンテープを圧着し、一気に引き剥がすと、セロハンテープ全面で導電層が剥がれた。これをマイクロスコープで観察すると、図3のようになっていた(図3の右側がセロハンテープを剥がした箇所)。また、バックロールの温度を30℃にし、積算光量が1165mJ/cmとなるように紫外線を照射した比較例2では、セロハンテープ全面の剥がれはなかったものの、目視できるほどに剥がれた。これをマイクロスコープで観察すると、図4で示すように、幅150μm程度で帯状の剥がれとなっていた。そして、バックロールの温度を40℃に設定した比較例3では、目視で剥がれは見られなかったものの、マイクロスコープで観察すると、図5で示すように、大きさ50μm程度の点状の剥がれが複数見られた(20mm×20mmの範囲においては50個以上)。また、バックロールの温度を60℃にして、紫外線を照射しなかった比較例4では、比較例1と同様に、セロハンテープ全面で剥がれた。そして、バックロールの温度を60℃にし、積算光量が743mJ/cmとなるように紫外線を照射した比較例5では、比較例3と同程度の剥がれが見られた。これらの透明導電フィルムにおいてはいずれも、フィルム表面の最高温度が160℃以下であった。
一方、比較例1の透明導電フィルムを150℃のオーブンで加熱した比較例6では、比較例1と同様にセロハンテープ全面で剥がれ、密着性の改善はみられなかった。また、ヘイズ値は6.0%変化した。そして、比較例1の透明導電フィルムを170℃のオーブンで加熱した比較例7では、基材フィルムの表面温度が160℃より高くなり、導電層は剥がれなかったものの、シワが生じていた。また、ヘイズ値も9.0%変化した。
これに対し、バックロールの温度を50℃にし、積算光量が1165mJ/cmとなるように紫外線を照射した実施例1の透明導電フィルムによれば、セロハンテープを引き剥がしても、目視では剥がれが見られなかった。これをマイクロスコープで観察しても、20mm×20mmの範囲においては、点状の剥がれは6個しか見られなかった。比較例1及び2では目視で剥がれが見られたことから、密着性を大幅に改善することができたといえる。そして、実施例1の透明導電フィルムにはシワは生じておらず、また、ヘイズ値の変化は3.7%にとどまっており、加熱による変形やヘイズ値の上昇も抑制できたことがわかる。
さらに、バックロールの温度を60℃にした実施例2の透明導電フィルムでは、マイクロスコープで観察しても、図6で示すように、剥がれは全く見られなかった。また、シワも生じておらず、ヘイズ値の変化も2.5%にとどまった。
10 透明導電フィルム
11 基材フィルム
12 導電層
121 導電性繊維
20 製造ライン
21 繰出装置
22 塗工装置
23 乾燥炉
24 紫外線照射装置
25 バックロール
26 巻取装置
27 搬送ロール

Claims (8)

  1. 長尺の基材フィルムを複数の搬送ロールで案内し長手方向に搬送させながら、前記基材フィルムの一方面に導電性繊維、添加剤及び溶媒を含む導電性繊維インクを塗工して、ウェット膜を形成する工程と、前記ウェット膜を乾燥させて、導電層を形成する工程と、前記基材フィルムを前記基材フィルムの他方面側からバックロールで支持した状態で、前記導電層に紫外線を照射する工程と、を順に備える、透明導電フィルムの製造方法であって、
    前記紫外線を照射する工程において、前記基材フィルムの表面温度が160℃より高く、前記基材フィルムの軟化温度未満であることを特徴とする、透明導電フィルムの製造方法。
  2. 前記基材フィルムの搬送速度は1〜50m/minであることを特徴とする、請求項1に記載の透明導電フィルムの製造方法。
  3. 前記紫外線を照射する工程は、前記導電層の表面が前記搬送ロールと接触する前に行われることを特徴とする、請求項1又は2に記載の透明導電フィルムの製造方法。
  4. 前記バックロールの温度は50℃以上であることを特徴とする、請求項1から3のいずれかに記載の透明導電フィルムの製造方法。
  5. 前記紫外線は無電極紫外線ランプから発せられたものであることを特徴とする、請求項1から4のいずれかに記載の透明導電フィルムの製造方法。
  6. 前記導電性繊維は金属ナノワイヤであることを特徴とする、請求項1から5のいずれかに記載の透明導電フィルムの製造方法。
  7. 前記添加剤はセルロース系樹脂を含むものであることを特徴とする、請求項1から6のいずれかに記載の透明導電フィルムの製造方法。
  8. 前記基材フィルムはポリエステル系樹脂で形成されたものであることを特徴とする、請求項1から7のいずれかに記載の透明導電フィルムの製造方法。
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