JP6917268B2 - 透明導電フィルムの製造方法 - Google Patents
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Description
基材フィルム11は、例えばプラスチック材料で形成されたものであり、プラスチック材料としては例えば、トリアセチルセルロース(TAC)、ジアセチルセルロース、ポリエチレンテレフタレート(PET)やポリエチレンナフタレート(PEN)などのポリエステル系樹脂、ポリイミド(PI)、ポリアミド(PA)、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、シクロオレフィンポリマー(COP)、シクロオレフィンコポリマー(COC)、ポリアクリレート、ポリエーテルスルフォン、ポリスルフォン、ポリ塩化ビニル、アクリル樹脂(PMMA)、ポリカーボネート(PC)、などが挙げられる。そのなかでも、ポリエステル系樹脂が好ましく、ポリエチレンテレフタレートがより好ましい。
導電性繊維インクは、例えば、導電性繊維121、添加剤及び溶媒から構成される。
導電性繊維121は、導電性を有し、かつその繊維長が繊維径に比べて十分に長い形状を持つものである。導電性繊維121は、例えば中空チューブ状、ワイヤ状、ファイバー状のものであり、例えば金属でコーティングした有機繊維や無機繊維、導電性金属酸化物繊維、金属ナノワイヤ、炭素繊維、カーボンナノチューブ等が挙げられる。複数の導電性繊維121が互いに接触し合うことによりネットワークが形成されて、良好な導電性が発現される。また、導電性繊維121の存在しない部分を光が透過するため、良好な透明性が発現される。透明性及び導電性の観点から、導電性繊維121は、金属ナノワイヤが好ましい。導電性繊維121の製造方法としては、特に限定されるものではなく、公知のものが用いられる。
金属ナノワイヤは金属から構成されたものであって、構成元素としては、例えば銀、銅、金、アルミニウム、ロジウム、イリジウム、コバルト、亜鉛、ニッケル、インジウム、鉄、パラジウム、白金、スズ、チタン等から選択される1種類以上のものが挙げられる。また、これらの合金、酸化物、メッキされたものであってもよい。
添加剤は、導電性繊維インクの粘性、導電性繊維121の分散性や結合性を調整したり、腐食を防止したりするものであって、例えば粘度調整剤や分散剤が挙げられる。粘度調整剤としては、例えばカルボキシメチルセルロース(CMC)、2−ヒドロキシエチルセルロース(HEC)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、メチルセルロース(MC)などのセルロース系樹脂、ポリビニルアルコール(PVA)、トリプロピレングリコール(TPG)、およびキサンタンゴム(XG)が挙げられ、そのなかでもセルロース系樹脂が好ましく、HPMCがより好ましい。セルロース系樹脂は、紫外線の照射によりセルロース鎖が切断され、そして加熱によって基材フィルム11や導電性繊維121との結びつきが強くなり、基材フィルム11と導電性繊維121との密着性が向上するものと考えられる。分散剤としては、例えばフッ素系、ノニオン系、カチオン系の界面活性剤が挙げられ、フッ素系界面活性剤が好ましい。
溶媒は、導電性繊維121を分散させるものが用いられ、例えば水、アルコール(エタノール等)、ケトン、エーテル、炭化水素、芳香族溶剤(ベンゼン、トルエン、キシレン等)及びこれらを組み合わせたものが挙げられる。溶媒としては、導電性繊維121を均一に分散させる観点から、50重量%以上の水で構成される水系溶媒が好ましい。
繰出工程は、繰出装置21によって長尺の基材フィルム11が巻回されたロールを回転させて、基材フィルム11を長手方向に繰り出す工程である。繰出装置21としては、公知のものが使用される。
塗工工程は、塗工装置22によって、基材フィルム11の一方面上に導電性繊維インクを連続して塗工し、ウェット膜を形成する工程である。塗工装置22としては例えばスロットダイコータ、ロールコータ、バーコータ、ナイフコータ、スクイズコータ、ファンテンコータ、キスコータ等が用いられる。導電性繊維インクを均一に塗工する観点から、好ましくはスロットダイコータが使用される。その場合、塗布量は、例えば5〜40g/m2に設定される。
乾燥工程は、乾燥炉23によって、内部に基材フィルム11が搬送され、基材フィルム11上の導電性繊維インクを乾燥させて、導電層12を形成する工程である。乾燥炉23としては公知のものが使用される。乾燥温度は、生産性の観点から例えば30〜120℃に設定される。
紫外線照射工程は、基材フィルム11の他方面側からバックロール25で基材フィルム11を支持した状態で、基材フィルム11の一方面側(導電層12が形成された側)から紫外線照射装置24で、導電層12の表面に、紫外線を照射する工程である。この工程により、基材フィルム11の加熱が短時間で行われるため、加熱による基材フィルムの変形やヘイズ値の上昇を抑制することができる。
巻取工程は、巻取装置26によって、作製された透明導電フィルム10をロール状に巻き取る工程である。巻取装置26としては、公知のものが使用される。
搬送ロール27は、基材フィルム11を所定のテンションで繰出装置21から、塗工装置22、乾燥炉23、紫外線照射装置24(バックロール25)、巻取装置26へ順に案内して搬送させるものであって、例えば駆動ロール、ガイドロール、ダンサーロールによって構成される。基材フィルム11の搬送速度は、例えば1〜50m/minに設定される。これにより、基材フィルム11と導電性繊維121の密着性が向上し、加熱による基材フィルムの変形やヘイズ値の上昇も抑制された透明導電フィルムを効率よく製造することができる。
上述の一実施形態に係る製造方法により、透明導電フィルムを作製した。基材フィルムとして、軟化温度249℃、厚さ125μmのポリエチレンテレフタレートフィルム(東レ株式会社製)を準備した。導電性繊維インクとして、銀ナノワイヤ(繊維長10〜30μm、繊維径30〜50nm)を0.1重量%、粘度調整剤及び分散剤などの添加剤を3%、水系溶媒を96.9重量%(イソプロピルアルコールが10重量%、超純水が86.9重量%)含むものを準備した。基材フィルムの搬送速度は2m/minに設定した。塗工装置としてはスロットダイコータを使用し、塗布量を17g/m2に設定した。また、乾燥炉においては、乾燥温度を90℃に設定した。そして、導電層が搬送ロールに接触する前に、紫外線照射装置として無電極紫外線ランプ(ヘレウス株式会社製、Hバルブ)を用いて、発光スペクトルにおいて365nmの波長にメインピークをもつ紫外線を、導電層の表面における積算光量が1165mJ/cm2となるように照射した。積算光量は、紫外線測定器(ヘレウス株式会社製、マイクロキュア)で見積もった。また、バックロールの温度は50℃にした。
実施例1の条件においてバックロールの温度を60℃に変更したこと以外は、実施例1と同じ条件で透明導電フィルムを作製した。
実施例1の条件において、紫外線を照射せず、かつ、30℃(室温)のバックロールを用いたこと以外は、実施例1と同じ条件で透明導電フィルムを作製した。
比較例1の条件において、積算光量が1165mJ/cm2の紫外線を照射させて、バックロールの温度を30℃(室温)となるように変更したこと以外は、比較例1と同じ条件で透明導電フィルムを作製した。
比較例2の条件において、バックロールの温度を40℃に変更したこと以外は、比較例2と同じ条件で透明導電フィルムを作製した。
比較例1の条件において、バックロールの温度を60℃に変更したこと以外は、比較例1と同じ条件で透明導電フィルムを作製した。
比較例4の条件において、積算光量が743mJ/cm2の紫外線を照射させるように変更したこと以外は、比較例4と同じ条件で透明導電フィルムを作製した。
比較例1で作製した透明導電フィルムを、温度150℃のオーブン(エスペック株式会社製、PVC−211)で60秒間加熱した。
比較例1で作製した透明導電フィルムを、温度170℃のオーブンで60秒間加熱した。
基材フィルムと銀ナノワイヤの密着性を評価するために、作製した透明導電フィルムの表面にセロハンテープを圧着し、一気に引き剥がして、剥がれの状態をマイクロスコープ(株式会社キーエンス製、VHX−500)で観察した。比較例1〜3、実施例2の剥がれの状態をそれぞれ図3〜5、図6に示す。
作製した透明導電フィルムについて、ヘイズメータ(スガ試験機株式会社製、HZ−2)でヘイズ値を測定した。そして、比較例1のヘイズ値を基準として、ヘイズ値の変化率を見積もった。
透明導電フィルムについて、基材フィルムにシワが生じたかどうか目視で観察した。
実施例1及び2、比較例1〜5の透明導電フィルムについては、製造過程における基材フィルム表面の最高温度を、熱電対ユニット(株式会社キーエンス製、NR−TH08)及びデータロガー(株式会社キーエンス製、NR−600)を用いて測定した。また、比較例6及び7の透明導電フィルムについては、オーブンにおける基材フィルム表面の最高温度を同様に測定した。
11 基材フィルム
12 導電層
121 導電性繊維
20 製造ライン
21 繰出装置
22 塗工装置
23 乾燥炉
24 紫外線照射装置
25 バックロール
26 巻取装置
27 搬送ロール
Claims (8)
- 長尺の基材フィルムを複数の搬送ロールで案内し長手方向に搬送させながら、前記基材フィルムの一方面に導電性繊維、添加剤及び溶媒を含む導電性繊維インクを塗工して、ウェット膜を形成する工程と、前記ウェット膜を乾燥させて、導電層を形成する工程と、前記基材フィルムを前記基材フィルムの他方面側からバックロールで支持した状態で、前記導電層に紫外線を照射する工程と、を順に備える、透明導電フィルムの製造方法であって、
前記紫外線を照射する工程において、前記基材フィルムの表面温度が160℃より高く、前記基材フィルムの軟化温度未満であることを特徴とする、透明導電フィルムの製造方法。 - 前記基材フィルムの搬送速度は1〜50m/minであることを特徴とする、請求項1に記載の透明導電フィルムの製造方法。
- 前記紫外線を照射する工程は、前記導電層の表面が前記搬送ロールと接触する前に行われることを特徴とする、請求項1又は2に記載の透明導電フィルムの製造方法。
- 前記バックロールの温度は50℃以上であることを特徴とする、請求項1から3のいずれかに記載の透明導電フィルムの製造方法。
- 前記紫外線は無電極紫外線ランプから発せられたものであることを特徴とする、請求項1から4のいずれかに記載の透明導電フィルムの製造方法。
- 前記導電性繊維は金属ナノワイヤであることを特徴とする、請求項1から5のいずれかに記載の透明導電フィルムの製造方法。
- 前記添加剤はセルロース系樹脂を含むものであることを特徴とする、請求項1から6のいずれかに記載の透明導電フィルムの製造方法。
- 前記基材フィルムはポリエステル系樹脂で形成されたものであることを特徴とする、請求項1から7のいずれかに記載の透明導電フィルムの製造方法。
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