JP2018014252A - 透明導電体の製造方法 - Google Patents

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窓香 木村
Madoka Kimura
窓香 木村
吉野 淳
Atsushi Yoshino
淳 吉野
英和 塙
Hidekazu Hanawa
英和 塙
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Abstract

【課題】導電性ネットワークの表面抵抗値の異方性を抑制できる透明電極体を提供する。【解決手段】金属ナノワイヤと、溶媒とを含有する塗布液を基材の一方向に沿って塗布して塗布膜を形成する塗布工程と、塗布膜から溶媒を除去して導電性ネットワークを形成する乾燥工程と、を有し、乾燥工程では、塗布膜の基材とは反対側の面側において、一方向に交差する他方向に温度差を生じさせ、当該塗布膜に含まれる金属ナノワイヤの向きを変更させる。【選択図】図3

Description

本発明は、透明導電体の製造方法に関する。
従来、フィルム表面に金属ナノワイヤが配置された透明導電体の製造方法が知られている。例えば、特許文献1には、基材上に、少なくとも金属ナノワイヤと水溶性ポリマーと水系溶媒とを含む塗布液を塗布し、次いでこの塗布液を乾燥することで導電層形成する透明導電体の製造方法が開示されている。この製造方法では、基板上に塗布された塗膜の膜面温度を27℃以上42℃以下で乾燥させている。
特開2011−119142号公報
しかしながら、上記のような透明導電体の製造方法では、基板上に塗布液を供給する際に、金属ナノワイヤの長手方向とフィルムの搬送方向(Machine Direction:MD、長手方向)とが揃ってしまう場合がある。この場合、透明導電体におけるMDに沿って導電性ネットワークが密となるので、MDの表面抵抗値が、MDに交差する幅方向(Transverse Direction:TD)の表面抵抗値よりも小さくなる。すなわち、透明導電体の表面抵抗値に異方性が生じることになる。
本発明は、表面抵抗値の異方性を抑制できる透明導電体の製造方法を提供することを目的とする。
本発明の一形態に係る透明導電体の製造方法は、金属ナノワイヤと溶媒とを含有する塗布液を基材の一方向に沿って塗布して塗布膜を形成する塗布工程と、塗布膜から溶媒を除去して導電性ネットワークを形成する乾燥工程と、を有し、乾燥工程では、塗布膜の基材とは反対の面側において、一方向に交差する他方向に温度差を生じさせ、当該塗布膜に含まれる金属ナノワイヤの向きを変更させる。
また、本発明の一形態に係る透明導電体の製造方法は、ロール状に巻回された基材を繰り出す繰出工程と、金属ナノワイヤと溶媒とを含有する塗布液を、繰り出された基材の長手方向に沿って塗布して塗布膜を形成する塗布工程と、塗布膜が形成された基材を搬送する搬送工程と、搬送された基材の塗布膜から溶媒を除去して導電性ネットワークを形成する乾燥工程と、を有し、乾燥工程では、塗布膜の基材とは反対の面側において、基材の幅方向に温度差を生じさせ、当該塗布膜に含まれる金属ナノワイヤの向きを変更させる。
一形態の製造方法では、乾燥工程において塗布膜に含まれる溶媒の表面に温度差を生じさせている。溶媒の表面に温度差が生じると、溶媒の表面張力が不均一となり、溶媒中にいわゆる熱キャピラリー対流(マランゴニ対流)が生じる。そのため、塗布工程において基材の長手方向と金属ナノワイヤの長手方向とが揃っていたとしても、この対流によって金属ナノワイヤは基材の長手方向及び幅方向に対してランダムな配置となる。これにより、基材に形成された導電性ネットワークの表面抵抗値における、長手方向及び幅方向の差が生じ難い。すなわち、導電性ネットワークの表面抵抗値の異方性抑制される。
また、温度差を、互いに離間した複数の位置をヒータで加熱することによって生じる構成でもよい。この場合、ヒータは、例えば、基材の幅方向に延在する発熱部と、発熱部を遮蔽する遮蔽部とを備え、遮蔽部には、基材の長手方向に沿って形成された複数のスリットが基材の幅方向に互いに離間して形成されている構成でもよい。このような構成によれば、塗布膜の表面には、ヒータによって加熱されて温度が上がり易い部分と、遮蔽部に対向して温度が上がりにくい部分とが交互に並ぶことになる。これにより、金属ナノワイヤの向きの変更が幅方向で万遍なく生じ易い。
また、温度差は、5〜25℃である構成でもよい。また、ヒータの表面温度は、50〜150℃である構成でもよい。このような構成とすることによって、塗布膜の白化を抑えることができるなど、透明導電体を好適に製造することができる。
一形態の透明導電体の製造方法によれば、導電性ネットワークの表面抵抗値の異方性を抑制した透明導電体を製造することができる。
一実施形態に係る透明導電体の製造工程を模式的に示した図である。 透明導電体の製造工程におけるフィルム基材とヒータとの関係を説明する図である。 図2におけるヒータの詳細を説明する図である。 ヒータの表面温度プロファイルを説明するグラフである。
以下、本発明に係る実施の形態について図面を参照しながら具体的に説明する。便宜上、実質的に同一の要素には同一の符号を付し、その説明を省略する場合がある。
[透明導電体]
図1は、透明導電体の製造工程を模式的に示した図である。図1に示すように、透明導電体1は、基材3と、導電性繊維を用いて形成された導電性ネットワーク5とを有している。
[基材]
基材3は、透明な樹脂フィルムである。このような基材3の材料としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート、変性ポリエステル等のポリエステル系樹脂フィルム、ポリエチレン(PE)樹脂フィルム、ポリプロピレン(PP)樹脂フィルム、ポリスチレン樹脂フィルム、環状オレフィン系樹脂等のポリオレフィン類樹脂フィルム、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン等のビニル系樹脂フィルム、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)樹脂フィルム、ポリサルホン(PSF)樹脂フィルム、ポリエーテルサルホン(PES)樹脂フィルム、ポリカーボネート(PC)樹脂フィルム、ポリアミド樹脂フィルム、ポリイミド樹脂フィルム、アクリル樹脂フィルム、トリアセチルセルロース(TAC)樹脂フィルムなどを使用することができる。特に、可視域の波長(380〜780nm)における光透過率が80%以上の樹脂フィルムであれば、基材3として好ましく適用できる。また、透明性、耐熱性、取り扱い易さ、強度及びコストの点から、PETフィルム、PCフィルムであることが好ましい。
[導電性ネットワーク]
導電性ネットワーク5は、複数の金属ナノワイヤ8を含んでおり、基材3の表面に形成されている。導電性ネットワークは、例えば、(1)金属ナノワイヤ同士が導電性を有する範囲で離れた状態、(2)金属ナノワイヤ同士が接触している状態、又は(3)金属ナノワイヤ同士が接点で融着されている状態にあるナノワイヤ集合体であることができる。金属ナノワイヤ8は、ナノオーダーの直径を有するワイヤ状の導電体である。本実施形態における透明導電体1では、金属ナノワイヤ8同士が三次元的にナノワイヤ集合体を形成することによって、高い導電性が実現される。また、金属ナノワイヤ8が存在しない部分が窓部となって、光を透過することができる。これにより、高い導電性と高い透過性との両方が実現される。また、必要により透明導電体を製造後にプレス処理をすることで導電性を向上させることもできる。
(金属ナノワイヤ)
本実施形態では、金属ナノワイヤ8の直径は、例えば、200nm以下であり、より好ましくは100nm以下である。また、金属ナノワイヤ8の平均の繊維長は、導電性を確保し易いように1μm以上であることが好ましく、凝集による光透過性の低下を抑制する観点から100μm以下であることが好ましい。なお、金属ナノワイヤ8の平均の繊維長は、より好ましくは1〜50μmであり、さらに好ましくは3〜50μmである。
金属ナノワイヤ8の材料としては、バルク状態での導電率が1×10S/m以上の金属元素を用いることができ、例えば、Ag、Cu、Au、Al、Rh、Ir、Co、Zn、Ni、In、Fe、Pd、Pt、Sn、Ti等を用いることができる。Ag、Cu、Au、Al、Coのような導電率の高い金属元素を用いることにより、導電性の良好な透明導電体を製造することができる。なお、本実施形態では、金属ナノワイヤを1種類のみ使用してもよいし、2種類以上の金属ナノワイヤを組み合わせてもよい。
金属ナノワイヤ8は、例えば、液相法、気相法等の公知の手段を用いて製造することができる。Agナノワイヤの製造方法としては、Adv.Mater.,2002,14,833〜837;Chem.Mater.,2002,14,4736〜4745等、Auナノワイヤの製造方法としては特開2006−233252号公報等、Cuナノワイヤの製造方法としては特開2002−266007号公報等、Coナノワイヤの製造方法としては特開2004−149871号公報等を参考にしてもよい。銀は、単体の金属として最も高い導電率を有しているので、金属ナノワイヤ8の材料として好ましく適用され得る。なお、上記のAgナノワイヤの製造方法では、水系で簡便にかつ大量にAgナノワイヤを製造することができる。
(溶媒)
導電性ネットワーク5は、溶媒中に金属ナノワイヤ8が分散した塗布液を基材3に塗布し、溶媒を乾燥除去することによって形成される。本実施形態では、塗布液の溶媒として水系溶媒が用いられる。ここで、水系溶媒とは、50質量%以上が水である溶媒をいう。水系溶媒には、他の溶媒を含有しない純水を含む。他の溶媒の含有量を少なくすることによって、溶媒を乾燥除去した際の金属ナノワイヤ8の分散安定性を高めることができる。水系溶媒における水以外の成分は、水と相互に親和する溶剤であればよい。このような他の溶媒は、例えば、水に近い沸点を有するイソプロピルアルコールのようなアルコール系の溶媒であってよい。
(添加剤)
また、塗布液には、粘度、腐食性、接着力、及び、金属ナノワイヤ8の分散を調節するために、添加剤を含有してもよい。添加剤の一例としては、カルボキシメチルセルロース(CMC)、2−ヒドロキシエチルセルロース(HEC)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、メチルセルロース(MC)、ポリビニルアルコール(PVA)、トリプロピレングリコール(TPG)、及びキサンタンガム(XG)等の結着剤、並びに、エトキシレート、アルコキシレート、エチレンオキシド及びプロピレンオキシドとこれらのコポリマーのような界面活性剤、スルホン酸塩、硫酸塩、ジスルホン酸塩、スルホコハク酸塩、リン酸エステル、及びフルオロ界面活性剤が挙げられるが、これらに限定されない。また金属ナノワイヤ同士の融着を促進するために、金属塩を添加してもよい。本明細書において導電性ネットワークは、金属ナノワイヤが分散した塗布液に含有する溶媒、添加剤等に由来する乾燥後残留物を含む。
次に、透明導電体の製造方法について、より具体的に説明する。
当該製造方法では、溶媒中に金属ナノワイヤ8が分散した塗布液を基材3に塗布して塗布膜7を形成することによって透明導電体を製造する。この製造方法は、塗布工程、搬送工程及び乾燥工程を含んでいる。基材3には、ロール状に巻回された原反11から繰り出されたものが使用される(繰出工程)。基材3は、搬送機構によって搬送される。本実施形態では、繰出部17に回転自在に保持された原反11の先端側が、巻取部18によってロール状に巻き取られることによって、基材3がロール搬送される。
〈塗布工程〉
塗布工程では、原反11から繰り出された基材3の表面に、基材の長手方向に沿って塗布液を塗布する。塗布液は、溶媒と、溶媒中に分散した金属ナノワイヤ8とを含み、さらに、添加剤を含んでよい。本実施形態では、調製した塗布液を例えばダイコータなどの塗布装置12を用いて基材3上に塗布する。塗布液の厚さは特に限定されないが0.1〜40μm程度が好ましい。塗布方法は、ダイコート法以外にも、例えばアプリケータ法、グラビアコート法などを用いることができるが、ダイコート法は基材にダメージを与えないため好ましく利用できる。
〈搬送工程〉
搬送工程では、塗布膜7が形成された基材3を乾燥工程に搬送する。搬送手段としては上記のような搬送機構を利用したロール搬送を用いることができるが、これに限定されない。原反11から繰り出された基材3は、一定の速度で搬送されながら、塗布工程を経て乾燥工程に進む。
〈乾燥工程〉
乾燥工程では、塗布膜7を乾燥させて当該塗布膜7から溶媒を除去する。この工程では、塗布膜7の表面において、基材3の長手方向に直交(交差)する幅方向(TD)に温度差を生じさせ、当該塗布膜7に含まれる金属ナノワイヤ8の向きを変更させる。乾燥工程には、ヒータ13によって金属ナノワイヤ8の向きを変更させる工程が含まれる。
さらに乾燥工程は、乾燥炉16によって基材3を加温する工程を含み得る。この場合、乾燥炉16内の空気が滞留すると乾燥に時間がかかるので、乾燥風によって加熱する方法を含むことが好ましい。塗布膜7の表面が荒れることを防止するために、乾燥風は基材3の長手方向(MD)と直交する幅方向(TD)に送風することが好ましい。また、乾燥風は塗布膜7の表面から十数〜数十cmのところを流れることが好ましい。
乾燥炉16では、乾燥炉内を搬送方向に複数のゾーンに分割し、各ゾーンにおいて乾燥風の温度を異ならせてもよい。例えば、図示例では、乾燥炉内が4つのゾーン16a〜16dに分割されている。各ゾーン16a〜16dにおける搬送方向の長さは、任意に設計され得るが、例えば略同じ長さであってもよい。また各ゾーン16a〜16dにおける乾燥風の温度は、ゾーン16aからゾーン16dに向かって段階的に高くすることができる。乾燥風の温度は、例えば50℃〜100℃程度である。なお、乾燥工程における乾燥風は必須ではなく、乾燥工程中に設けるヒータ13における加熱のみでも溶媒を除去することが可能である。溶媒が除去された基材3は、透明導電体1として巻取部18によってロール状に巻き取られ、透明導電体1の原反19となる(巻取工程)。
搬送工程が長い場合には、塗布膜7の膜厚が減少することによって、塗布膜7における溶媒の対流が生じ難くなることがある。このような場合には、乾燥工程において、金属ナノワイヤ8の向きを変更させる加熱を行ってから、乾燥風による乾燥を行うことができる。
本実施形態では、乾燥工程において金属ナノワイヤ8の向きを変更させる。乾燥工程では、基材3の幅方向において塗布膜7の基材3とは反対の面側に温度差が生じるように、塗布膜7を加熱する。この温度差は、基材3の幅方向で5〜25℃であることが好ましく、特に10〜20℃であることが好ましい。また、基材3の幅方向において1〜10mm程度の間隔で温度差が繰り返し生じることが好ましいが、特に限定されるものではない。
このような温度差は、塗布膜7の表面における幅方向に互いに離間した複数の位置をヒータ13で部分的に加熱することによって生じさせることができる。図2は、基材3とヒータ13との関係を説明する図である。図3は、ヒータ13の詳細を説明する図である。図2、3に示すように、ヒータ13は、基材3の幅方向に延在する発熱部14と、発熱部14を遮蔽する遮蔽部15とを備える。遮蔽部15には、基材3の長手方向に沿って形成された複数のスリット15aが基材3の幅方向に互いに離間して形成されている。スリット15aの幅W1は例えば1〜5mmとすることができ、スリット15aの間隔W2は5〜20mmとすることができる。本実施形態では、基材3の長手方向に沿った複数のスリット15aが幅方向に離間して形成された金属板を遮蔽部15として用いている。ヒータ13の発熱部14を遮蔽部15で覆うことによって、スリット15a以外の部分を遮蔽している。また、例えば、上記のようなヒータ13として、基材3の長手方向に延在する棒状の加熱部を幅方向に複数配置して、塗布膜表面を加熱してもよい。
図2に示されるように、ヒータ13は、塗布膜7の基材3とは反対の面に対向して配置される。また、ヒータ13と基材3とは平行に配置されることが好ましい。塗布膜7の表面とヒータ13との間隔W3は、例えば5〜30mm程度とすることができる。ヒータ13から塗布膜7までの距離が近すぎると、基材3の表面(塗布膜7の表面)の平滑性が乱れる恐れがある。そのため、ヒータ13と塗布膜7との間隔W3は、基材表面の平滑性を乱さないよう適宜調節される。
ヒータ13の表面温度は、例えば50〜150℃であることが好ましく、特に100〜120℃であることが好ましい。表面温度が50℃未満の場合には、金属ナノワイヤ8の配向状態を変化させる効果が乏しく、表面温度が150℃を超える場合には、塗布膜が白化するなど表面の外観に影響を与えるおそれがある。なお本明細書において表面温度とは、ヒータ13の遮蔽部15表面において実測した温度を意味し、接触式あるいは非接触式温度計を用いて測定することができる。
また、ヒータ13の温度が高い場合には、乾燥時間が短くなるので、金属ナノワイヤ8の向きが変更するよりも前に、塗布膜が乾燥することがある。逆に、ヒータ13の温度が低い場合には、乾燥時間が長くなり過ぎるので、ヒータ13の温度は、雰囲気温度以上、特に100℃以上であることが好ましい。
また、予め乾燥風等によって塗布膜7の厚みを30μm以下に減少させてからヒータ13を照射することによって、乾燥時間の短縮、搬送速度の増速をすることができる。この場合、特に塗布膜7の厚みを25μm以下に減少させてから加熱することが好ましい。塗布膜7が乾燥するまでヒータ13による加熱を継続してもよいが、塗布膜7に少量の水系溶媒が残っている場合であっても、金属ナノワイヤ8の向きが変更しない程度まで塗布膜7の厚みが減少していればヒータ13による加熱を停止することができる。具体的には、塗布膜7の厚みが5μm以下となった場合にはヒータ13による加熱を停止してもよい。ヒータ13の加熱を停止した後は、乾燥風による乾燥を行うことができる。
上記製造方法によって製造された透明導電体1は、基材3のMDにおける表面抵抗値をRMD、TDにおける表面抵抗値をRTDとした場合、RTD/RMD=0.7〜1.5を満たすことができる。この場合、RTD/RMDは、特に0.8〜1.0であることが好ましい。
以上説明した製造方法では、乾燥工程において塗布膜7の表面に温度差を生じさせている。このような温度差が生じると、塗布膜の表面張力が不均一となり、溶媒中にいわゆる熱キャピラリー対流(マランゴニ対流)が生じる。そのため、塗布工程において基材3の長手方向と金属ナノワイヤ8の長手方向とが揃っていたとしても、この対流によって金属ナノワイヤ8は基材3の長手方向及び幅方向に対してランダムな配置となる。これにより、基材3に形成された導電性ネットワーク5の表面抵抗値における、長手方向及び幅方向の差が生じ難い。すなわち、導電性ネットワーク5の表面抵抗値の異方性が抑制される。
また、塗布膜7の表面には、ヒータ13によって加熱されて温度が上がり易い部分と、遮蔽部15に対向して温度が上がりにくい部分とが交互に並ぶことになるので、金属ナノワイヤ8の向きの変更が幅方向で万遍なく生じ易い。
また、乾燥工程では、ヒータ13の表面温度を50〜150℃として、塗布膜の表面における温度差を5〜25℃としている。このような構成とすることによって、塗布膜7の白化を抑えることができる。
[実施例]
以下、実施例により本発明をより具体的に説明するが、本発明の技術的範囲はこれらの例示に限定されるものではない。
(実施例1−3)
実施例1−3では、予めカットされた平面視矩形の基材(樹脂フィルム)を用いて透明導電体を製造した。金属ナノワイヤ(繊維長:1〜100μm)が0.10重量%、溶媒(超純水)が99.90重量%となるように塗布液を調製した。
塗布工程ではアプリケータ法を用いた。平面に設置されている基材上にスポイトから塗布液を流し込み、基材の一方向となる長手方向に沿ってアプリケータで平滑に塗布した。塗布直後の塗布膜の厚さは35μm程度であった。
金属ナノワイヤの向きを変更させる工程では、表面温度が50〜150℃のIRヒータの表面に、基材の長手方向に沿った複数のスリットが幅方向に離間して形成された金属板を固定したヒータを用いて塗布膜を加熱した。金属板に形成されたスリットの幅は1mm程度であり、当該スリットは15mmの間隔で幅方向に複数本設けている。塗布膜表面から上方に15mm程度離間してヒータを配置し、基材の加熱を行った。加熱時間は、15〜120秒とした。図4は、ヒータの幅方向の表面温度プロファイルを示すグラフである。ヒータの表面温度は、幅方向に15mm程度の間隔をあけて上下している。基材をヒータで加熱した後、基材を45℃に設定されたホットプレート上で5分間乾燥させた。以上の工程によって透明導電体を得た。
また、実施例1−3と同様に基材上に塗布液を塗布した直後に、当該基材を45℃に設定されたホットプレート上で5分間乾燥させたものを比較例1とした。
実施例1−3及び比較例1の透明導電体について表面抵抗値を測定した。この測定では、電極間距離が24mmになるように透明導電体に一対の金属電極(いずれも長さ30mm、幅7mm)を固定し、電極表面とテスター(エーアンドディ製デジタルマルチメーター AD−5536)のクリップとを導線でつないだものを用いた。表1は、測定結果である。
Figure 2018014252
塗布膜をヒータで加熱したことによって、RTD/RMDの改善が見られた。実施例1及び2のように、条件によっては、RTD/RMDが1以下、すなわちRMDがRTDを上回る場合もあった。
(実施例4−7)
実施例4−7では、原反から繰り出された基材(樹脂フィルム)を用いて透明導電体を製造した。まず、金属ナノワイヤ(繊維長:1〜100μm)が0.10重量%、溶媒(超純水)が99.90重量%となるように塗布液を調製した。塗布工程ではダイコート法を用いた。ロール搬送されている基材上にスロットダイから塗布液を押し出すことによって、塗布膜を形成した。塗布直後の塗布膜の厚さは35μmであった。搬送工程では、塗布液が押し出された基材を乾燥炉へロール搬送した。搬送速度は3.8m/minとした。
金属ナノワイヤの向きを変更させる工程では、表面温度が50〜150℃のIRヒータの表面に、基材の長手方向に沿った複数のスリットが幅方向に離間して形成された金属板を固定したヒータを用いて塗布膜を加熱した。金属板に形成されたスリットの幅は1mm程度であり、当該スリットは15mmの間隔で幅方向に複数本設けている。塗布膜表面から上方に15mm程度離間してヒータを配置し、基材の加熱を行った。加熱時間は、2.4〜3.6秒とした。基材をヒータで加熱した後、基材を乾燥炉に搬送し乾燥風によって乾燥させた。具体的には乾燥工程(乾燥炉)を4つのゾーンに分割し、乾燥炉の入り口側となる1ゾーンから順に50、50、70、80℃に設定された風(10m/s)をフィルム上方から送り塗布膜を乾燥させた。以上の工程によって透明導電体を得た。
また、実施例4−7と同様に基材上に塗布液を塗布した後に、ヒータによる加熱を行うことなく、実施例4−7と同様に乾燥炉によって乾燥させて得た透明導電体を比較例1とした。
実施例4−7及び比較例2の透明導電体について表面抵抗値を測定した。この測定では、電極間距離が24mmになるように透明導電体に一対の金属電極(いずれも長さ30mm、幅7mm)を固定し、電極表面とテスター(エーアンドディ製デジタルマルチメーター AD−5536)のクリップとを導線でつないだものを用いた。表2は、測定結果である。表2に示されるように、実施例4−7においては、比較例1に比べてRTD/RMDの改善が見られた。
Figure 2018014252
1…透明導電体、3…基材、5…導電性ネットワーク、7…塗布膜、8…金属ナノワイヤ、13…ヒータ、14…発熱部、15…遮蔽部、15a…スリット。

Claims (6)

  1. 金属ナノワイヤと溶媒とを含有する塗布液を基材の一方向に沿って塗布して塗布膜を形成する塗布工程と、
    前記塗布膜から溶媒を除去して導電性ネットワークを形成する乾燥工程と、を有し、
    前記乾燥工程では、前記塗布膜の前記基材とは反対の面側において、前記一方向に交差する他方向に温度差を生じさせ、当該塗布膜に含まれる前記金属ナノワイヤの向きを変更させる、透明導電体の製造方法。
  2. ロール状に巻回された基材を繰り出す繰出工程と、
    金属ナノワイヤと溶媒とを含有する塗布液を、繰り出された前記基材の長手方向に沿って塗布して塗布膜を形成する塗布工程と、
    前記塗布膜が形成された前記基材を搬送する搬送工程と、
    搬送された前記基材の前記塗布膜から前記溶媒を除去して導電性ネットワークを形成する乾燥工程と、を有し、
    前記乾燥工程では、前記塗布膜の前記基材とは反対の面側において、前記基材の幅方向に温度差を生じさせ、当該塗布膜に含まれる前記金属ナノワイヤの向きを変更させる、透明導電体の製造方法。
  3. 前記温度差を、互いに離間した複数の位置をヒータで加熱することによって生じさせる、請求項1又は2に記載の透明導電体の製造方法。
  4. 前記ヒータは、前記基材の幅方向に延在する発熱部と、前記発熱部を遮蔽する遮蔽部とを備え、
    前記遮蔽部には、前記基材の長手方向に沿って形成された複数のスリットが前記基材の幅方向に互いに離間して形成されている、請求項3に記載の透明導電体の製造方法。
  5. 前記温度差は、5〜25℃である請求項1〜4のいずれか一項に記載の透明導電体の製造方法。
  6. 前記ヒータの表面温度は、50〜150℃である、請求項3又は4に記載の透明導電体の製造方法。
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