JP6916228B2 - 温度センサ - Google Patents

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Description

本発明は、例えば基板に電気的に接続された状態で検知対象物に押し当てられながら温度を測定するのに好適な温度センサに関するものである。
サーミスタなどを備える感熱素子を用いた温度センサは多様な用途に用いられている。その中で、特許文献1は、リードフレームを介して回路基板に電気的に接続される温度センサを開示する。特許文献1の温度センサは、感熱素子と、感熱素子を収容し、温度の検知対象物に接する感熱面を有するホルダと、を備える。また、特許文献1の温度センサは、リード線と接続される回路基板接続用の一対のリードフレームを備える。
リードフレームは、電線に比べて剛性が高いので、例えば回路基板の挿通孔へ容易に挿入できる。したがって、特許文献1の温度センサによれば、回路基板に実装する際の作業工数を減らすことができる。
特許第6371002号公報
リードフレームを備える温度センサは、回路基板に接続する際の作業工数を減らすのに好適である。しかし、リードフレームは、温度センサを温度検知対象物に押し当てる障害になるおそれがある。つまり、リードフレームを備える温度センサは、温度検知対象物に押し当てられる感熱面の反対側の面からリードフレームが引き出される。感熱面の反対側の面は、感熱面を検知対象物に押し当てる荷重を加える押圧面となる。ところが、この押圧面にリードフレームが存在すると、荷重を加える障害になり得る。
以上より、本発明は、リードフレームを備える温度センサにおいて、リードフレームが温度センサを温度検知対象物に装着する際の障害になりにくい温度センサを提供することを目的とする。
本発明の温度センサは、感熱素子と、感熱素子に電気的に接続される一対のリードフレームと、感熱素子およびリードフレームを保持し、検知対象物に押し当てられる感熱面を有するホルダと、を備える。
本発明の温度センサにおいて、一対のリードフレームは、感熱面の投影領域の外側においてホルダから引き出される、ことを特徴とする。
本発明に係る一対のリードフレームは、好ましくは、ホルダにおいて一対のリードフレームが並ぶ方向であって、投影領域の外側に引き出されるか、または、ホルダにおいて一対のリードフレームが並ぶ方向と交差する方向であって、投影領域の外側に引き出される。
本発明に係る一対のリードフレームは、好ましくは、ホルダの内部に埋められる第1フレーム部と、ホルダから引き出され、第1フレーム部と平行な第2フレーム部と、第1フレーム部と第2フレーム部を繋ぐ第3フレーム部を備える。この第3フレーム部は、好ましくは、第1フレーム部および第2フレーム部に対して傾いている。
好ましくは、第2フレーム部が、感熱面の投影領域の外側においてホルダから引き出される。
本発明に係る一対のリードフレームのそれぞれは、好ましくは、一対のリードフレームが引き出される方向の弾性に有する屈曲ばねを備える。
本発明に係るホルダは、好ましくは、感熱面を検知対象物に押し当てるための荷重が加えられる押圧面を備える。この押圧面は、好ましくは、感熱面に対向して設けられる。
本発明に係るホルダは、好ましくは、感熱面を有する金属材料製の伝熱体と、伝熱体に一端が支持され、感熱素子およびリードフレームの一部を収容する第1保護管と、保護管に嵌合され、感熱面に対向する押圧面を有する樹脂材料製の保護蓋と、を備える。
本発明に係るホルダの保護蓋は、好ましくは、感熱面の投影領域の外側において、リードフレームを支持する。
本発明に係るホルダは、好ましくは、一対のリードフレームに一体的に形成される樹脂モールドと、樹脂モールドを収容する金属材料製の第2保護管と、を備える。
本発明に係るホルダの樹脂モールドは、好ましくは、感熱素子の感熱面に向けた位置ずれを規制する障壁を備える。
本発明の温度センサによれば、一対のリードフレームが、感熱面の投影領域の外側においてホルダから引き出される。したがって、感熱面を検知対象物に押し当てるのに必要な荷重を加える押圧面を感熱面に対向して設ける場合に、押圧面から外れた位置にリードフレームを設けることができる。これにより、本願発明は、荷重を加える妨げになり得るリードフレームが押圧面に存在しない。
本発明の第1実施形態に係る温度センサを示し、(a)は平面図、(b)は正面図、(c)は底面図、(d)は側面図である。 第1実施形態に係る温度センサの保護管を示し、(a)は平面図、(b)は部分断面正面図である。 第1実施形態に係る温度センサの保護蓋を示し、(a)は平面図、(b)は背面図、(c)は正面図、(d)は側面図、(e)は底面図、(f)は正断面図、(g)は保持孔の近傍の断面図である。 (a)は第1実施形態に係る温度センサの伝熱体、保護管およびリードフレームの組付け体を示し、(b)〜(e)はその組み付け手順を示す断面図である。 本発明の第2実施形態に係る温度センサを示し、(a)は正面図、(b)は側面図、(c)は平面図である。 第2実施形態に係る温度センサの要素を示し、(a)は感熱素子の配置を示す図であり、(b)は保護管の平面図、(c)は保護管の部分断面正面図である。 第2実施形態に係る温度センサのホルダおよびリードフレームの組付け体を示し、(a)は正面図、(b)は側面図、(c)は背面図である。 (a)は底面側から視た図、(b)は図7(a)の8b−8b線矢視断面図、(c)は図7(a)の8c−8c線矢視断面図、(d)は平面図である。
以下、添付図面を参照しながら、本発明の実施形態について説明する。
本実施形態に係る温度センサは、回路基板と電気的に接続される一対のリードフレームを備える。温度センサは、感熱面の投影領域の外側においてリードフレームがホルダから引き出されることで、温度センサを温度検知対象物に装着する際にリードフレームが障害になるのを避ける。以下、第1実施形態に係る温度センサ1および第2実施形態に係る温度センサ2の順に説明する。
〔第1実施形態〕
第1実施形態に係る温度センサ1は、図1および図4に示すように、図示を省略する温度の検知対象物に接する感熱面22を有するホルダ10と、ホルダ10に収容される感熱素子60と、感熱素子60と電気的に接続され、ホルダ10から引き出される一対のリードフレーム70,70を備える。温度センサ1の一対のリードフレーム70,70は、感熱面22の投影領域PAの外側においてホルダ10から引き出される。
以下、温度センサ1を構成する各要素について順に説明する。なお、温度センサ1において、図1に示すように幅方向X1、高さ方向Y1および奥行方向Z1が定義される。
[ホルダ10]
ホルダ10は、図1、図2、図3および図4に示すように、検知対象物に押し当てられる伝熱体20と、伝熱体20に一端が接続され、内部に感熱素子60が収容される保護管30と、を備える。加えて、ホルダ10は、保護管30に嵌合され、感熱面22に対向する押圧面を有する保護蓋40と、を備える。
[伝熱体20]
伝熱体20は、熱伝導性の優れた金属材料、例えばアルミニウム合金から一体的に構成される部材である。
伝熱体20は、図4(b)に示すように、基部21と保持塔25とを備える。基部21の一端側には感熱面22が設けられ、他端側には支持面23が設けられる。保持塔25は、基部21の支持面23からから高さ方向Y1に立ち上がるように設けられる。
感熱面22は、円形をなす平坦な面から構成され、検知対象物に押し当てられる。
保持塔25は、円筒状をなしており、その内部には感熱素子60の要部が収容される空隙である収容室27が設けられている。収容室27は、基部21および保持塔25と同軸状に形成されており、高さ方向Y1に保持塔25を貫通するとともに、基部21の一部に入り込んで形成されている。感熱素子60の感熱体61を可能な限り感熱面22に近づけるためである。収容室27は、基部21に入り込む先端部分を除いて、高さ方向Y1の全域にわたって、径が等しく形成されている。感熱素子60は、収容室27に嵌入されることで、保持塔25に保持される。保持塔25は、基部21の側から大径部23Aと小径部23Bを有しており、階段状の外観を有している。この階段状の外観は、次に説明する保護管30を保持塔25に嵌合する作業の便宜のために設けられる。
[保護管30]
次に、保護管30について説明する。
保護管30は、図1および図4に示すように、伝熱体20の支持面23に一端が支持されながら、伝熱体20の大径部23Aに嵌合され、伝熱体20に固定される。保護管30は、好ましくは、PPS(ポリフェニレンサルファイド樹脂:Poly Phenylene Sulfide Resin)といった、融点が200℃を超える樹脂材料で一体的に形成される。次に説明する保護蓋40も同様の樹脂材料から一体的に形成される。
保護管30は、図2に示すように、内周面31と外周面32とを有する円筒状の形態をなしており、内周面31に取り囲まれる空隙が収容室33を構成する。図4に示すように、収容室33の内部には、充填材39で保持される保持塔25、感熱素子60、リードフレーム70などが収容される。
内周面31には、保持塔25との嵌合に供される突条35が、軸線方向のほぼ全域にわたって形成されている。突条35は、内周面31から径方向の内側に向けて突出している。本実施形態においては、4つの突条35は、内周面31の周方向に90°の間隔を隔てて設けられている。
外周面32には、保護蓋40との係止に供される環条37が、周方向の全域に連なって形成されている。環条37は、外周面32から径方向の外側に向けて突出している。また、環条37は、外周面32の軸線方向の中央部に設けられている。環条37は、保護蓋40の係止溝43(図3(f)参照)とともに、保護管30と保護蓋40の間に介在する凹凸構造を構成し、保護管30と保護蓋40が互いに係止される。保護蓋40の押圧面48に荷重を加えると、保護蓋40の大間隔部44Aと小間隔部44Bとの間の段差部に保護管30の端面が接触することで、加えられた荷重が保護管30に伝えられる。
保護管30の収容室33には、図4(e)に示すように、充填材39が満たされる。充填材39は、感熱素子60のリード線63,63とリードフレーム70,70の後述する第1フレーム71を覆うとともに、伝熱体20と保護管30の間を埋める。これにより、伝熱体20、保護管30およびリードフレーム70,70を固定する。
充填材39は、電気的な絶縁性を有するとともに伝熱体20、保護管30およびリードフレーム70,70に対する接着力を有する樹脂材料、例えばエポキシ樹脂で構成される。このエポキシ樹脂としては、アルミニウム合金より線膨張係数の小さいものを用いることができるし、アルミニウム合金より線膨張係数の大きいものを用いることもできる。
充填材39は、樹脂だけで構成することができるが、アルミニウム合金で構成される伝熱体20の熱膨張との差を小さくするために、エポキシ樹脂よりも線膨張係数の小さい添加剤を加えることができる。ここで、純アルミニウムの線膨張係数は24×10−6/℃であり、エポキシ樹脂の線膨張係数は4〜8×10−5/℃であり、アルミニウム合金に比べてエポキシ樹脂の線膨張係数が大きい。この場合、エポキシ樹脂よりも線膨張係数の小さい添加剤として、例えば酸化アルミニウム(Al)の粒子をエポキシ樹脂に混合することができる。
[保護蓋40]
次に、保護蓋40について説明する。
保護蓋40は、保護管30に係止されることで、保護管30に固定される。保護蓋40は、感熱面22に対向する押圧面48を有するとともに、保護管30から引き出されるリードフレーム70,70を、感熱面22の投影領域PAの外側において、リードフレーム70,70を保持する。
保護蓋40は、図1および図3に示すように、保護管30との係止に関わる一対の側壁41A,41Bと、側壁41A,41Bを背面側で繋ぐ後壁45と、側壁41A,41Bおよび後壁45の図中の上端を塞ぐ上壁47と、を備えている。保護蓋40は、後壁45に対向する正面の側が解放されている。
側壁41A,41Bは、図3に示すように、所定の間隔を隔てて互いに平行をなすように設けられている。
側壁41A,41Bは、図3(f)に示すように、その内周面42A,42Bに、保護管30の環条37が嵌入される係止溝43が形成されている。係止溝43は、側壁41A,41Bおよび後壁45の全域にわたって設けられているが、環条37との係止に必要な部分だけに設けてもよい。
側壁41A,41Bは、内周面42A,42Bに、係止溝43が設けられる部分を含む大間隔部44Aと、大間隔部44Aから上壁47に至るまでの小間隔部44Bと、を備えている。係止溝43と環条37が係止されると、保護管30はこの大間隔部44Aに収容、保持される。
後壁45は、円弧状の外周面を有している。
上壁47は、伝熱体20の感熱面22と平行でかつ平坦な押圧面48を備えている。上壁47には、図3(g)に示すように、上壁47を厚さ方向に貫通する保持孔49A,49Bが設けられている。リードフレーム70,70は、この保持孔49A,49Bに挿入されることで、保護蓋40に保持される。上壁47は、平面視すると半円と矩形を組み合わせた形状をなしているが、保持孔49A,49Bはこの矩形の部分に、幅方向X1に間隔を隔てて設けられている。保持孔49A,49Bは、図1(d)から明らかなように、奥行方向Z1の一端側であって、感熱面22の投影領域PAの外側に設けられる。
[感熱素子60]
感熱素子60は、図4に示すように、感熱体61と、感熱体61から引き出される一対のリード線63,63と、を備える。
感熱体61は、好ましくはサーミスタ(thermistor)からなる。サーミスタは、温度変化に対して電気抵抗の変化が大きい特性を有し、温度が上がると抵抗値が下がるNTC(negative temperature coefficient)サーミスタと、ある温度まで抵抗値が一定で、ある温度を境に急激に抵抗値が高くなるPTC(positive temperature coefficient)サーミスタがある。感熱体61としては、サーミスタに限らず、他の公知の感熱体を用いることができる。感熱体61の周囲をガラスからなる封止材で覆ってもよい。
リード線63,63は、感熱体61とリードフレーム70を電気的に接続する。リード線63,63としては、典型的にはジュメット線(Dumet wire)が用いられるが、他の電線を用いることもできる。なお、ジュメット線は、中心に鉄ニッケル合金を配し、外層に導電率の良い銅をクラッドした複合線である。
感熱体61およびリード線63,63は、例えば樹脂、セラミックスなどの電気的な絶縁材料製の被覆65に覆われている。
[リードフレーム70]
リードフレーム70は、図4に示すように、感熱素子60の一対のリード線63と電気的に接続される。また、リードフレーム70は、図示を省略する回路基板に形成された挿通孔に挿入されることで回路基板に固定されるとともに、回路基板の対応する回路部分と電気的に接続される。リードフレーム70の材質はその目的を達成できる限り任意であるが、例えば電気伝導度の優れる銅、銅合金を用いることができる。また、リードフレーム70,70の表面には例えばメッキなどの表面処理を施すこともできる。
リードフレーム70は、特徴的な形状を有している。この形状は、感熱面22の投影面PAの範囲の外側において、ホルダ10からリードフレーム70を引き出すための、リードフレーム70における要素である。
リードフレーム70は、図1および図4に示すように、充填材39の内部に埋められる第1フレーム部71と、ホルダ10の外部に引き出される第2フレーム部73と、第1フレーム部71と第2フレーム部73を繋ぐ第3フレーム部75と、を備える。
第1フレーム部71は、保護管30の径方向のほぼ中央に配置され、その大部分が充填材39の内部に埋められることで、保護管30に支持される。第1フレーム部71は、充填材39の内部から外部に向けて、真直ぐに延びている。第1フレーム部71は、伝熱体20の感熱面22における投影領域PAの内側に設けられる。
第3フレーム部75は、一端が第1フレーム部71と繋がり、他端が第2フレーム部73に繋がっている。第3フレーム部75は、第1フレーム部71と第2フレーム部73のそれぞれに対して傾いている。第2フレーム部73に繋がる第3フレーム部75の他端は、感熱面22における投影領域PAの外側にある。したがって、第3フレーム部75の他端に繋がる第2フレーム部73は、感熱面22における投影領域PAの外側に設けられる。
第3フレーム部75が第1フレーム部71と第2フレーム部73のそれぞれに対して傾いていることは、第2フレーム部73が投影面PAの範囲の外側に設けること以外の他の機能を実現する。つまり、第1フレーム部71に対して第3フレーム部75が折り曲げられ、かつ、第2フレーム部73に対して第3フレーム部75が折り曲げられることで、図4に示すように、リードフレーム70は屈曲ばね77を備える。この屈曲ばね77は、板ばねの一種であり、リードフレーム70に高さ方向Y1、つまりリードフレーム70が引き出される方向に弾性を担う。この弾性を担う限り、屈曲ばね77の構造は本発明において任意であり、例えば折り曲げられる部分は角を有していてもよいし、円弧のように湾曲していてもよい。
第2フレーム部73は、第3フレーム部75の他端から第1フレーム部71と平行に、かつ、第1フレーム部71から離れる向きに延びている。第2フレーム部73は、図1(a)に示すように、保護蓋40の保持孔49A,49Bを通って上壁47を貫通し、ホルダ10から引き出される。上壁47の保持孔49A,49Bは、感熱面22の投影領域の外側において、リードフレーム70を支持する支持部をなす。第2フレーム部73は、第3フレーム部75の他端から延びており、感熱面22の投影領域の外側においてホルダ10から引き出される。第2フレーム部73は、または、一対のリードフレーム70,70が並ぶ幅方向X1と交差する、より具体的には直交する方向に、第1フレーム部71から位置がずれている。
[伝熱体20、保護管30および感熱素子60の組み付け手順]
次に、伝熱体20に保護管30および感熱素子60を組み付ける手順を、図4(b)〜(e)を参照して説明する。
はじめに、伝熱体20の収納室27に溶融状態の樹脂材料R、例えば熱硬化性樹脂であるエポキシ樹脂を注入した後、感熱素子60を挿入して熱硬化して固定する(図4(b),(c))。
次に、予め保護管30にリードフレーム70を通したものを用意しておき、リードフレーム70,70とリード線63,63を電気的に接続する(図4(d))。このとき、保護管30は伝熱体20から離れている。
リードフレーム70,70とリード線63,63の接続を終えると、保護管30を伝熱体20の支持面23に一端が支持されるように移動させることで、保持塔25の大径部23Aと保護管30の突条35が嵌合される。次に、保護管30の収納室33に溶融状態の例えば前述の樹脂材料を注入し後に、当該樹脂を硬化させて充填材39を生成する(図4(e))。当該樹脂が硬化することにより、感熱素子60が収容室33の内部の所定位置に位置決めされるとともに固定される(図4(e))。
この後に保護蓋40を保護管30に嵌合させると、温度センサ1が得られる。
[第1実施形態の効果]
以上の構成を備える温度センサ1は、以下の効果を奏する。
温度センサ1は、図1(d)および図4(a)に示すように、リードフレーム70の第2フレーム部73が感熱面22における投影領域PAの外側に設けられている。したがって、図1に示すように、上壁47の押圧面48には押圧面48を図中の下方に向けて荷重を加える妨げになる要素(リードフレーム70)が存在しない。
しかも、感熱面22と押圧面48は、互いの投影面が重なっており、かつ、双方の中心軸C1が一致している。双方の中心軸がずれていると、押圧面48に当該荷重を加えると、モーメントが生じるが、本実施形態における温度センサ1にはこのモーメントが生じない。したがって、温度センサ1によれば、押圧面48に加えられる荷重を効率よく感熱面22を検知対象物に押し当てる力とすることができる。
温度センサ1は、押圧面48に荷重が加えられると、その荷重は前述した保護蓋40の大間隔部44Aと小間隔部44Bとの間の段差部に保護管30の端面が接触することで、保護管30に伝えられる。さらにこの荷重は、保護管30から支持面23を介して伝熱体20に伝えられるので、感熱面22を検知対象物に押し当てることができる。感熱素子60の感熱体61は、この荷重の伝達経路から外れているので、感熱面22を検知対象物に押し当てる荷重が感熱体61に直接的に加えられることはない。これにより、感熱体61に当該荷重が加わることにより破損するのを防ぐことができる。
次に、温度センサ1において、リードフレーム70は保護蓋40の上壁47に保持孔49A,49Bを介して保持されている。したがって、リードフレーム70が回路基板に接続されるまでの過程において、リードフレーム70に外力が加わったとしても、たわみなどの変形が起こりにくい。特に、リードフレーム70は、断面係数の小さい肉厚方向にたわみやすいが、上壁47によりたわみやすい方向にも保持されている。したがって、温度センサ1によれば、リードフレーム70を回路基板の接続用の孔に挿入する作業が容易である。
次に、温度センサ1の伝熱体20は、熱伝導性の高い金属材料から構成され、かつ、感熱体61は伝熱体20の保持塔25の収容室27に収容されている。したがって、検知対象物の熱が感熱素子60の感熱体61により伝わりやすい。しかも、伝熱体20に接続される保護管30およびその内部の充填材39は、熱伝導性の低い樹脂材料から構成される。したがって、伝熱体20に伝わった熱は、保護管30および充填材39からは放散されにくい。したがって、温度センサ1によれば、検知対象物の温度変化に対応して敏感に温度を検知できる。この敏感な温度検知は、伝熱体20、保護管30および保護蓋40という3つの要素からホルダ10が構成されることにより実現される。
また、温度センサ1のリードフレーム70は、屈曲ばね77が設けられており、高さ方向Y1に弾性が付与されている。したがって、検知対象物の温度が高くなって熱膨張したときに、検知対象物と回路基板との間隔が短くなり、リードフレーム70に圧縮応力が生じたとしても、屈曲ばね77が縮むことでこの圧縮応力を吸収する。これにより、リードフレーム70と回路基板との溶接による接続部が破損するのを防ぐことができる。
〔第2実施形態〕
次に、図5〜図8を参照して、第2実施形態に係る温度センサ2を説明する。
温度センサ2は、図5に示すように、温度の検知対象物に接する感熱面132を有するホルダ110と、ホルダ110に保持される感熱素子160と、感熱素子160と電気的に接続され、ホルダ110から引き出される一対のリードフレーム170,170と、を備える。温度センサ2においても、一対のリードフレーム170,170は、感熱面132の投影領域PAの外側においてホルダ110から引き出される。
以下、温度センサ2を構成する各要素について順に説明する。なお、温度センサ2において、図5に示すように幅方向X2、高さ方向Y2および奥行方向Z2が定義される。
[ホルダ110]
ホルダ110は、図5〜図7に示すように、リードフレーム170に支持される樹脂モールド120と、感熱素子160ともども樹脂モールド120が収容される保護管130と、を備える。加えて、ホルダ110は、樹脂モールド120と保護管130の間に介在される充填材139と、を備える。
[樹脂モールド120]
樹脂モールド120は、インサート成形により、リードフレーム170と一体的に形成される。樹脂モールド120は、PPSといった、融点が200℃を超える樹脂材料から構成される。
樹脂モールド120は、図7および図8に示すように、リードフレーム170を保持する第1保持部121と、第1保持部121に繋がりリードフレーム170と感熱素子160のリード線163を保持する第2保持部123と、感熱素子160の感熱体161を保持する第3保持部125と、を備える。
第1保持部121は、幅方向X2の両側からリードフレーム170,170のそれぞれが引き出される。第1保持部121に保持されるリードフレーム170,170は、第1保持部121の内部において、直角に折れ曲がっている。
第1保持部121の正面の側には、図7(a)に示すように、高さ方向Y2に沿ってU溝121Aが形成されている。U溝121Aは、第1保持部121の幅方向X2の中央に設けられている。このU溝121Aは、保護管130の内部の充填材139の噴き出し防止を目的とした空気の抜け道として機能する。
第1保持部121の上端面は、図5および図7に示すように、温度センサ2の感熱面132を検知対象物に押し当てるときに荷重が加えられる押圧面122を構成する。
第2保持部123には、図7(a)、(b)に示すように、一対のリードフレーム170,170のそれぞれに対応する一対のおもて側溝123Cとうら側溝123Dが設けられている。おもて側溝123Cとうら側溝123Dとは、第2保持部123の奥行方向Z2に対向する位置に形成される。おもて側溝123Cは、正面側から背面側に向けた奥行方向Z2の所定範囲に形成され、うら側溝123Dは、背面側から正面側に向けた奥行方向Z2の所定範囲に形成される。おもて側溝123Cは、矩形の開口形状を有し、うら側溝123Dは円形の開口形状を有している。おもて側溝123Cとうら側溝123Dの境界部分にはリードフレーム170が達しており、おもて側溝123Cおよびうら側溝123Dからも、リードフレーム170を臨むことができる。
第3保持部125には、正面側から背面側に向けた奥行方向Z2の所定範囲に収容溝125Aが形成される。感熱素子160の感熱体161は、この収容溝125Aに収容、保持される。収容溝125Aは、第3保持部125における幅方向X2の中央に設けられ、かつ、高さ方向Y2に沿って第3保持部125を貫通する。収容溝125Aにおける幅方向X2および高さ方向Y2の寸法は、感熱体161が収容溝125Aから露出することなく収容されることを考慮して定められる。
収容溝125Aの幅方向X2の両側には、第1保持壁125Bおよび第2保持壁125Cが形成される。また、収容溝125Aより背面側には、第3保持壁125Dが形成される。収容溝125Aは、第1保持壁125B、第2保持壁125Cおよび第3保持壁125Dに囲まれることで形成される。
第3保持部125は、図6(a)、図7(a)に示すように、障壁125Eを備える。障壁125Eは、収容溝125Aの図中の下端に設けられており、感熱素子160が感熱面132に向けた位置ずれを規制する。
[保護管130]
次に、保護管130について説明する。
保護管130は、図5および図6に示すように、樹脂モールド120のうち、第2保持部123および第3保持部125を内部に収容することで、樹脂モールド120の一部を覆う。保護管130は、熱伝導性の優れた金属材料、例えばアルミニウム合金から一体的に構成される部材である。
保護管130は、一端側が開放され、他端側が閉じられた有底円筒からなり、底壁131と、底壁131から立ち上がる側壁133を有する。底壁131と側壁133で囲まれる空間は、第2保持部123および第3保持部125の収容室135を構成する。
底壁131における収容室135のうら側は、円形をなす平坦な面からなる感熱面132を構成する。感熱面132は、図示を省略する検知対象物に押し当てられる。
[感熱素子160]
感熱素子160は、図5および図6に示すように、感熱体161と、感熱体161から引き出される一対のリード線163,163と、を備える。
感熱体161およびリード線163,163は、第1実施形態と同様の素材を用いることができる。
感熱体161およびリード線163,163は、樹脂材料で被覆することができる。
[リードフレーム170]
リードフレーム170は、基本的には第1実施形態のリードフレーム70と同様であるので、以下ではリードフレーム170の特徴的な事項について説明する。
リードフレーム170は、図5,図7及び図8に示すように、ホルダ110の樹脂モールド120の内部に埋められる第1フレーム部171と、ホルダ110の外部に引き出される第2フレーム部173と、第1フレーム部171と第2フレーム部173を繋ぐ第3フレーム部175と、を備える。
第1フレーム部171は、樹脂モールド120の高さ方向Y2のほぼ中央に配置され、その大部分が樹脂モールド120の内部に埋められることで、樹脂モールド120に支持される。第1フレーム部171は、保護管130の感熱面132における投影領域PAの内側に設けられる。
第3フレーム部175は、一端が第1フレーム部171と繋がり、他端が第2フレーム部173に繋がっている。第3フレーム部175は、第1フレーム部171と第2フレーム部173のそれぞれに対して傾いている。つまり、第3フレーム部175は、第1フレーム部171と繋がっている部分から幅方向X2の外側に向けて延びており、第1フレーム部171と直交し、かつ、第2フレーム部173と直交する。第2フレーム部173に繋がる第3フレーム部175の他端は、図5に示すように、感熱面132における投影領域PAの外側に外れている。
第2フレーム部173は、第3フレーム部175の他端から高さ方向Y2に第3フレーム部175から離れる方向へ延びており、感熱面132の投影領域PAの外側に引き出される。第2フレーム部173は、一対のリードフレーム170,170が並ぶ幅方向X2に第1フレーム部171からずれた位置で第1フレーム部171と平行をなしている。
第2フレーム部173は、その厚さ方向に山折り形状に折り曲げられることにより、屈曲ばね177が形成されている。この屈曲ばね177は、温度センサ1の屈曲ばね77と同様に、検知対象物の熱膨張に伴ってリードフレーム170に生じる圧縮応力を吸収する。この機能を発揮する限り、屈曲ばね177は山折り形状に限らない。
[第2実施形態の効果]
以上の構成を備える温度センサ2は、以下の効果を奏する。
温度センサ2は、リードフレーム170の第2フレーム部173は、感熱面132における投影領域の外側に設けられている。したがって、図5に示すように、樹脂モールド120の押圧面122には押圧面122を図中の下方に向けて荷重を加える妨げになる要素(リードフレーム170)が存在しない。
しかも、感熱面132と押圧面122は、互いの投影面が重なっており、かつ、双方の中心軸C2が一致している。したがって、温度センサ2によれば、押圧面122に加えられる荷重を効率よく感熱面132を検知対象物に押し当てる力とすることができる。
次に、温度センサ2において、リードフレーム170に屈曲ばね177が設けられている。これにより、リードフレーム170と回路基板との溶接による接続部が破損するのを防ぐことができる。
次に、温度センサ2において、押圧面122に加えられる荷重は、第1保持部121から保護管130に伝わることで、感熱面132が検知対象物に押し当てられる。感熱素子160の感熱体161は、この荷重の伝達経路から外れているので、感熱面132を検知対象物に押し当てる荷重が感熱体161に直接的に加えられることはない。これにより、感熱体61に当該荷重が加わることにより破損することを防ぐことができる。
次に、温度センサ2は、ホルダ110が樹脂モールド120と保護管130の二つの部材からなり、温度センサ1におけるホルダ10の伝熱体20、保護管30および保護蓋40という三つの部材に比べて構成要素が少ない。加えて、温度センサ2は、樹脂モールド120がインサート成形によりリードフレーム170に一体的に形成される。したがって、温度センサ2は、各要素を組み付ける作業の負担が軽減される。
以上、本発明の好ましい二つの実施形態を説明したが、本発明はこれら二つの実施形態に限定されない。
例えば、温度センサ1は伝熱体20が金属材料で構成され、温度センサ2は保護管130が金属材料で構成される。しかし、本発明における温度センサは、検知対象物の温度変化に対する応答性に応じて、伝熱体20あるいは保護管130に対応する部材を樹脂材料で構成することもできる。
また、温度センサ1の押圧面48および温度センサ2の押圧面122は平坦であるが、本発明はこれに限られない。一例として、押圧体PBと温度センサ1,2が相対的に位置ずれを起こさないようにするために、両者の間に係止構造を設けることができる。例えば、押圧体PBに凹部を設ける一方、押圧面48,122に凸部を設け、凹部と凸部を嵌合させることができる。仮に押圧面48,122にリードフレーム70が存在していると、このような係止構造を設けることが困難になる。
また、押圧面48は弾性を備えることができる。そうすれば、加えられる押圧力が押圧面48に対する垂直方向から傾いているとしても、押圧力を加える側の面と押圧面48とがよく馴染むことができる。
また、温度センサ1は、一対のリードフレーム70,70が、第3フレーム部75,75が奥行方向Z1の同じ向きに傾いているが、本発明はこれに限らない。例えば、一方のリードフレーム70が奥行方向Z1の一方の側に傾き、他方のリードフレーム70が幅方向X1の他方の側に傾いてもよい。これはリードフレーム170,170についても同様である。
一対のリードフレーム70,70およびリードフレーム170,170は、回路基板に挿入される部分は平行をなしていることが必要であるが、他の部分は本発明の主旨に反しない限り、その形状、寸法は問われない。
1,2 温度センサ
10 ホルダ
20 伝熱体
21 基部
22 感熱面
23 支持面
23A 大径部
23B 小径部
25 保持塔
27 収容室
30 保護管(第1保護管)
31 内周面
32 外周面
33 収容室
35 突条
37 環条
39 充填材
40 保護蓋
41A 側壁
41B 側壁
42A 内周面
42B 内周面
43 係止溝
44A 大間隔部
44B 小間隔部
45 後壁
47 上壁
48 押圧面
49A 保持孔
49B 保持孔
60 感熱素子
61 感熱体
63 リード線
70 リードフレーム
71 第1フレーム部
73 第2フレーム部
75 第3フレーム部
110 ホルダ
120 モールド体
121 第1保持部
121A U溝
122 押圧面
123 第2保持部
123C おもて側溝
123D うら側溝
125 第3保持部
125A 収容溝
125B 第1保持壁
125C 第2保持壁
125D 第3保持壁
125E 障壁
130 保護管(第2保護管)
131 底壁
132 感熱面
133 側壁
135 収容室
139 充填材
160 感熱素子
161 感熱体
163 リード線
170 リードフレーム
171 第1フレーム部
173 第2フレーム部
175 第3フレーム部
C 軸線
T 検知対象物
PB 押圧体
X1,X2 幅方向
Y1,Y2 高さ方向
Z1,Z2 奥行方向

Claims (10)

  1. 感熱体を有する感熱素子と、
    前記感熱素子に電気的に接続される一対のリードフレームと、
    前記感熱素子および前記リードフレームを保持し、検知対象物に押し当てられる感熱面を有するホルダと、を備え、
    前記ホルダには、前記感熱面を前記検知対象物に押し当てるための荷重が加えられる押圧面が前記感熱面に対向して設けられ、
    前記感熱体は、前記感熱面と前記押圧面の間において前記ホルダに保持され、
    一対の前記リードフレームは、
    前記感熱面の投影領域の外側において前記ホルダから引き出される、
    ことを特徴とする温度センサ。
  2. 一対の前記リードフレームは、
    前記ホルダにおいて一対の前記リードフレームが並ぶ方向であって、前記感熱面の投影領域の外側に引き出されるか、
    前記ホルダにおいて一対の前記リードフレームが並ぶ方向と交差する方向であって、前記感熱面の投影領域の外側に引き出される、
    請求項1に記載の温度センサ。
  3. 一対の前記リードフレームは、
    前記ホルダの内部に埋められる第1フレーム部と、
    前記ホルダから引き出され、前記第1フレーム部と平行な第2フレーム部と、
    前記第1フレーム部と前記第2フレーム部を繋ぐ第3フレーム部を備え、
    前記第3フレーム部は、前記第1フレーム部および前記第2フレーム部に対して傾いている、
    請求項1または請求項2に記載の温度センサ。
  4. 前記第2フレーム部が、前記感熱面の投影領域の外側において前記ホルダから引き出される、
    請求項3に記載の温度センサ。
  5. 一対の前記リードフレームのそれぞれは、一対の前記リードフレームが引き出される方向に弾性を担う屈曲ばねを備える、
    請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の温度センサ。
  6. 前記感熱面と前記押圧面は、双方の中心軸が一致する、
    請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載の温度センサ。
  7. 前記ホルダは、
    前記感熱面を有する金属材料製の伝熱体と、
    前記伝熱体に一端が支持され、前記感熱素子および前記リードフレームの一部を収容する樹脂材料製の第1保護管と、
    前記第1保護管に嵌合され、前記感熱面に対向する前記押圧面を有する樹脂材料製の保護蓋と、を備える、
    請求項1〜請求項3のいずれか一項に記載の温度センサ。
  8. 前記保護蓋は、
    前記感熱面の投影領域の外側において、前記リードフレームを支持する、
    請求項7に記載の温度センサ。
  9. 前記ホルダは、
    一対の前記リードフレームに一体的に形成される樹脂モールドと、
    前記樹脂モールドを収容する金属材料製の第2保護管と、を備える、
    請求項1〜請求項3のいずれか一項に記載の温度センサ。
  10. 前記樹脂モールドは、
    前記感熱素子の前記感熱面に向けた位置ずれを規制する障壁を備える、
    請求項9に記載の温度センサ。
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