非特許文献1の化粧用鉄蓋は、立上り管とは分離して設置される(分離構造となっている)ため、設置に手間が掛かり、設置高さの調整も難しい。また、非特許文献1の化粧用鉄蓋は、鉄製であるため重量が大きく、その運搬および取扱いに労力を要する。したがって、施工性の向上が求められる。
それゆえに、この発明の主たる目的は、新規な、桝蓋を提供することである。
この発明の他の目的は、施工性に優れる、桝蓋を提供することである。
第1の発明は、桝の立上り管の上端部に取り付けられると共に、上面に化粧材が設けられる桝蓋であって、下部の内側面に突出部を有し、下部が立上り管の上端部と嵌合される合成樹脂製の受枠、上面に化粧材が嵌め込まれる窪み部を有し、受枠の上部に着脱可能に設けられる合成樹脂製の上蓋、および上蓋の下方に設けられ、突出部に係止されることで受枠の内部に着脱可能に保持される合成樹脂製の内蓋、および内蓋の外側面に設けられるシールリングを備える、桝蓋である。
第1の発明では、桝蓋は、インターロッキングブロック、タイル、石材、コンクリート(スタンプコンクリート等)および芝生などの化粧材を上面に収容可能な合成樹脂製の蓋であって、受枠と、受枠に対して着脱可能に装着される上蓋および内蓋とを含む。受枠は、下部の内側面に突出部を有し、その下部が桝の立上り管と嵌合される。上蓋は、化粧材が嵌め込まれる窪み部を有し、受枠の上部に装着される。内蓋は、外側面に設けられるシールリングを備え、受枠下部の内側面に形成される突出部に係止されることで、受枠の内部に保持される。つまり、受枠下部の内側面に突出部を形成することで、立上り管からの臭気漏れ等を防止する内蓋を受枠内に保持可能としている。
第1の発明によれば、桝の立上り管に対して受枠を接続するので、受枠(延いては桝蓋)の設置高さの調整が容易となり、桝蓋の設置作業も簡略化される。また、受枠、上蓋および内蓋のそれぞれを合成樹脂製としたので、桝蓋が軽量化されて、その運搬および取扱いが容易となる。したがって、桝蓋の施工性が向上される。また、桝蓋を合成樹脂製とすることで、桝蓋の製造コストも低減できる。
第2の発明は、第1の発明に従属し、シールリングは、内蓋の外側面と立上り管の内側面との間で圧縮される。
第2の発明では、内蓋の外側面と立上り管の内側面との間でシールリングが圧縮されることによって、この間の気密性および水密性が確保され、立上り管から外部への臭気および排水の漏れが防止される。
第3の発明は、第1の発明に従属し、突出部は、環状に形成され、シールリングは、内蓋の外側面と突出部の内側面との間で圧縮される。
第3の発明では、受枠下部の内側面には、環状の突出部が形成される。そして、内蓋の外側面と突出部の内側面との間でシールリングが圧縮されることによって、この間の気密性および水密性が確保され、立上り管から外部への臭気および排水の漏れが防止される。
第3の発明によれば、立上り管が斜め切りされる等の外部要因に左右されることなく、立上り管から外部への臭気漏れ等を確実に防止することができる。
第4の発明は、第1から第3のいずれかの発明に従属し、内蓋は、上面から突出する把持部を有し、受枠は、上蓋と突出部との間に、把持部を収容可能な内部空間を有する。
第4の発明では、受枠下部の内側面に形成される突出部は、上蓋の下面から所定の間隔をあけた高さ位置に形成されており、受枠は、上蓋と突出部との間に、内蓋の把持部を収容可能な内部空間を有している。したがって、その上面から突出する把持部を有する内蓋であっても、受枠内に適切に装着することができる。
第5の発明は、第1から第4のいずれかの発明に従属し、受枠は、下部に形成される水抜き部を有する。
第5の発明では、受枠の下部に、水抜き孔または水抜き溝などの水抜き部が形成される。したがって、受枠の下部に流入した水は、この水抜き部を通って外部に排出され、内蓋上に水が溜まることが防止される。
第6の発明は、第1から第5のいずれかの発明に従属し、上蓋は、底壁の上面に形成され、化粧材の下面との間に空間を形成する凹凸を有する。
第6の発明によれば、上蓋の底壁上面(窪み部底面)とコンクリート等の化粧材の下面との間に通水路を形成することができる。また、上蓋のデザイン性も向上する。
第7の発明は、第6の発明に従属し、上蓋は、底壁の周縁部であってかつ凹凸の凹部に形成される水抜き孔を有する。
第7の発明では、上蓋の底壁周縁部には、凹凸の凹部の位置において、水抜き孔が形成される。したがって、上蓋の窪み部内に流入した水を適切に排出でき、窪み部内に水が溜まることを防止できる。
第8の発明は、第7の発明に従属し、底壁の上面は、中央部から周縁部に向かって下り勾配となる傾斜面となっている。
第8の発明によれば、上蓋の底壁周縁部に形成される水抜き孔に適切に水を導くことができる。
第9の発明は、第1から第8のいずれかの発明に従属し、受枠は、上蓋の下面周縁部を支持する上蓋支持部と、上蓋支持部に形成される水抜き孔とを有する。
第9の発明では、受枠は、上蓋の下面周縁部を支持する上蓋支持部を備え、この上蓋支持部には、水抜き孔が形成される。したがって、受枠上部に流入した水は、この水抜き孔から外部に排出され、受枠下部(つまり内蓋上)への水の流入が低減される。
第10の発明は、第1から第9のいずれかの発明に従属し、上蓋着脱用の治具を挿し込むために上蓋に形成された治具穴に対して着脱可能に設けられる閉塞部材を備える。
第10の発明では、バール等の上蓋着脱用の治具を挿し込むための治具穴に対して、ゴム栓などの閉塞部材が着脱可能に設けられる。したがって、治具穴が砂等によって詰まってしまうことを防止できる。
第11の発明は、第1から第10のいずれかの発明に従属し、窪み部に設けられるアンカ部を備える。
第11の発明では、上蓋の窪み部に、Uボルトまたはワイヤメッシュ等のアンカ部が設けられる。このアンカ部は、化粧材がコンクリート等の窪み部に嵌め込んだ後に固化する材料である場合に、適用される。
第11の発明によれば、合成樹脂製の上蓋に対して、コンクリート等の化粧材を物理的に一体化させて強固に固定することができる。
第12の発明は、第1から第11のいずれかの発明に従属し、突出部の下端面が、立上り管の上端面に係止される。
第12の発明では、受枠下部の内側面に形成される突出部は、内蓋を係止する内蓋支持部として用いられると共に、立上り管の上端面に係止される係止部(位置決め部)としても用いられる。
この発明によれば、桝の立上り管に対して受枠を接続するので、受枠(延いては桝蓋)の設置高さの調整が容易となり、桝蓋の設置作業も簡略化される。また、受枠、上蓋および内蓋のそれぞれを合成樹脂製としたので、桝蓋が軽量化されて、その運搬および取扱いが容易となる。したがって、桝蓋の施工性が向上される。
この発明の上述の目的、その他の目的、特徴および利点は、図面を参照して行う後述の実施例の詳細な説明から一層明らかとなろう。
図1を参照して、この発明の一実施例である桝蓋10は、受枠12、上蓋14および内蓋16を備え、戸建住宅、アパートおよびマンション等の建物の敷地内に設けられる汚水桝および雨水桝などの桝100の立上り管102に取り付けられる。桝蓋10は、インターロッキングブロック、タイル、石材、コンクリート(スタンプコンクリート等)および芝生などの周囲の化粧材(舗装材)104と同様の化粧材106を上面に嵌め込んで設けることが可能な化粧蓋である。桝蓋10が取り付けられる立上り管102の内径は、たとえば75−300mmである。この実施例では、内径が150mmの立上り管102に適用する桝蓋10を想定して、以下の説明を行う。
図1−図3に示すように、桝蓋10は、下部が立上り管102の上端部に嵌合される受枠12と、受枠12に対して着脱可能に装着される上蓋14および内蓋16とを備える。これら受枠12、上蓋14および内蓋16のそれぞれは、硬質塩化ビニル等の合成樹脂によって形成される。
図4−図6に示すように、受枠12は、上部に形成される円筒状の上蓋収容部(上部円筒部)20と、上蓋収容部20の下側(つまり下部)に形成される下部円筒部22とを備える。下部円筒部22は、内蓋16が収容される内蓋収容部であると共に、立上り管102に対する接続部(外嵌め部)でもある。上蓋収容部20と下部円筒部22との連結部分は、下部円筒部22側に向かって段差状に縮径されており、この円環状の段差部の上面が、上蓋14の下面を係止する上蓋支持部24として用いられる。また、図示は省略するが、この上蓋支持部24には、1または複数の水抜き孔を形成しておいてもよい。上蓋収容部20の内径は、たとえば220mmであり、下部円筒部22の内径は、たとえば165mmである。また、上蓋収容部20の高さ(上下方向の長さ)は、たとえば85mmであり、下部円筒部22の高さは、たとえば105mmである。
上蓋収容部20と下部円筒部22との連結部分には、外方に張り出す円環状の鍔部26が形成される。また、上蓋収容部20には、その外側面と鍔部26の上面とを連結するように、周方向に所定間隔で並ぶ複数の三角板状の第1リブ28が形成される。さらに、下部円筒部22の上端部には、その外側面と鍔部26の下面とを連結するように、周方向に所定間隔で並ぶ複数の三角板状の第2リブ30が形成される。これら鍔部26、第1リブ28および第2リブ30によって、受枠12が補強される。
また、下部円筒部22の内側面には、周方向に延びる円環状の突出部32が形成される。この突出部32の上端面32aは、内蓋16を係止する内蓋支持部として用いられる。また、突出部32の下端面32bは、立上り管102の上端面に係止される係止部(位置決め部)として用いられる。つまり、突出部32は、内蓋支持部であると共に、立上り管102に対する係止部でもある。また、突出部32は、上蓋支持部24(つまり上蓋14の下面)から所定の間隔をあけた高さ位置に形成されており、受枠12は、上蓋14と突出部32との間に、後述する内蓋16の把持部64を収容可能な内部空間34を有している。
図7および図8に示すように、上蓋14は、上面に化粧材106を嵌め込み可能な窪み部(化粧材収容部)40を有する有底円筒状に形成される。具体的には、上蓋14は、短円筒状の側壁42と、側壁42の下端部を封止する円板状の底壁44とを有する。側壁42には、内方に向かって凹み、かつ上下方向に角溝状に延びる、2つの凹部46が互いに対向するように形成される。これら凹部46の上端部には、治具穴48および掛け部50が形成される。治具穴48は、先端部にフックを有するバール、ハッカまたは専用工具などの上蓋14を着脱するための治具(図示せず)を挿し込むために用いられる。そして、治具穴48から差し込んだ治具の先端部を掛け部50に引っ掛けることで、上蓋14の着脱が容易となる。なお、治具穴48の位置および形状などの具体的態様は、適宜変更可能であり、治具穴48は、治具が挿入可能で、上蓋14の着脱ができるものであればよい。また、凹部46は、必ずしも外側に向かって開口している必要なく、側壁42で覆われていてもよい。つまり、円筒状の側壁42の内面側に凹部46が形成されて、側壁42と凹部46とで筒状部が形成されていてもよい。
また、底壁44の下面には、同心円状に配置される複数の円形リブと放射状に配置される複数の直線リブとを含む下面リブ52が形成される。この下面リブ52によって上蓋14が補強される。また、底壁44には、下面リブ52と重ならない位置に、複数の水抜き孔54が形成される。この水抜き孔54によって、窪み部40内に雨水などが溜まることが防止される。なお、図示は省略するが、受枠12の下部円筒部22にも、突出部32の上方近傍位置において水抜き孔(水抜部)を形成しておいてもよい。
上蓋14は、上述のように、上蓋支持部24に係止されることによって、受枠12の上蓋収容部20内に保持される。上蓋14の高さは、受枠12の上蓋収容部20の高さと同じ大きさに設定され、受枠12に上蓋14を装着した状態で、側壁42の上端面と上蓋収容部20の上端面とは面一となる。また、側壁42の内径(窪み部40の径)は、たとえば210mmであり、側壁42の外径は、上蓋収容部20の内径と同じまたは少し小さい大きさに設定される。さらに、窪み部40の深さは、一般的なインターロッキングブロックの厚みを考慮して設定され、たとえば65mmである。
図9および図10に示すように、内蓋16は、立上り管102から外部への悪臭および排水の漏れを防止するための部材であって、円板状の天板部60と、天板部60の下面周縁部に沿って形成される短円筒状の嵌合部62とを有する。天板部60の上面には、上方に突出する略U字状の把持部(取っ手)64が形成される。このような把持部64を有することで、内蓋16の着脱が容易となる。
また、内蓋16の外側面、具体的には嵌合部62の外側面には、周方向に延びる環状の溝部66が形成され、この溝部66にシールリング68が装着される。内蓋16は、天板部60の下面周縁部が突出部32に係止されることで、受枠12の下部円筒部22内に保持される。
上述のような桝蓋10を桝100の立上り管102に取り付ける際には、図1および図11に示すように、先ず、立上り管102の上端部に受枠12の下部円筒部22を外嵌めして接着接合する。このとき、受枠12の突出部32の下端面32bが立上り管102の上端面に係止される(突き当たる)ことで、立上り管102に対して受枠12が位置決めされる。すなわち、受枠12の設置高さは、立上り管102の上端面の位置によって規定されるので、受枠12を所定の高さ位置に設置するためには、立上り管102を所定長さに切断しておくだけでよい。したがって、受枠12(延いては桝蓋10)の高さ位置の調整が容易となる。また、台座などを別途設置する必要もないので、設置作業も簡略化される。
次に、受枠12の内部に内蓋16を装着する。このとき、内蓋16の天板部60の下面周縁部が突出部32の上端面32aに係止されることで、内蓋16は、受枠12の下部円筒部22内に保持される。また、図11からよく分かるように、内蓋16の外側面に設けられたシールリング68は、内蓋16の外側面と立上り管102の内側面との間で圧縮される。これにより、この間の気密性および水密性が確保され、内蓋16によって立上り管102の上部開口が適切に封止されて、立上り管102から外部への臭気および排水の漏れが適切に防止される。
続いて、受枠12に上蓋14を装着する。このとき、上蓋14は、上蓋支持部24に係止されることによって、その側壁42の上端面と受枠12の上端面とが面一な状態で、上蓋収容部20内に保持される。その後、桝蓋10(受枠12および上蓋14)の上端面と面一となるように、桝蓋10の周囲に化粧材104を施工すると共に、上蓋14の窪み部40内に、接着剤または敷モルタル等の固定材108を介して化粧材106を嵌め込む。これにより、上蓋14内に嵌め込まれた化粧材106は、周囲の化粧材104と面一となるように保持される。
以上のように、この実施例によれば、桝100の立上り管102に対して受枠12の下部円筒部22を接続するので、受枠12(延いては桝蓋10)の設置高さの調整が容易となり、桝蓋10の設置作業も簡略化される。また、受枠12、上蓋14および内蓋16のそれぞれを合成樹脂製としたので、桝蓋10が軽量化されて、その運搬および取扱いが容易となる。したがって、この実施例によれば、桝蓋10の施工性が向上される。
また、受枠12、上蓋14および内蓋16のそれぞれを合成樹脂製とすることで、桝蓋10の製造コストも低減できる。
さらに、この実施例によれば、内蓋16の把持部64を収容可能な内部空間34を受枠12が有するので、上面から突出する把持部64を有する内蓋16であっても受枠12内に適切に装着することができる。
さらにまた、この実施例によれば、立上り管102に対して受枠12を接続可能としながらも、受枠12内に内蓋16を保持可能とし、立上り管102からの臭気漏れ等は内蓋16によって防止するようにしている。これによって、化粧材104の保持機能を有する上蓋14の着脱を容易にすることができる。すなわち、上蓋14は、化粧材104が設けられると重量が大きくなるため、着脱する際の抵抗をなるべく小さくする必要があるが、この実施例では、受枠12の上部に嵌め込まれるだけなので、着脱に大きな力を必要としない。一方、内蓋16には、作業者が掴み易い(力を入れ易い)把持部64を形成することができるので、内蓋16は、シールリング68を設けても容易に着脱することができる。
続いて、図12−図17を参照して、この発明の他の実施例である桝蓋10について説明する。この実施例では、上蓋14および上蓋14を収容する上蓋収容部20が、平面視で略正方形状に形成される点が、上述の実施例と異なる。その他の部分については同様であるので、上述の実施例と共通する部分については、同じ参照番号を付し、重複する説明は省略または簡略化する。
図12および図13に示すように、この実施例の桝蓋10は、合成樹脂製の受枠12と、受枠12に対して着脱可能に装着される合成樹脂製の上蓋14および内蓋16とを備える。内蓋16としては、図9および図10に示すものと同様のものが用いられる。
図14および図15に示すように、受枠12は、上部に形成される矩形筒状の上蓋収容部(上部角筒部)20と、上蓋収容部20の下側に形成される下部円筒部22とを有する。上蓋収容部20の内縁一辺の長さはそれぞれ、たとえば217mmであり、上蓋収容部20の高さは、たとえば85mmである。
上蓋収容部20と下部円筒部22との連結部分は、下部円筒部22側に向かって段差状に縮径されており、その矩形枠状の段差部分が上蓋支持部24として用いられる。また、下部円筒部22の内側面には、内蓋支持部であると共に、立上り管102に対する係止部でもある環状の突出部32が形成される。さらに、上蓋支持部24には、複数の水抜き孔70が形成される。
図16および図17に示すように、上蓋14は、上面に窪み部40を有する有底角筒状に形成される。具体的には、上蓋14は、矩形筒状の側壁42と、側壁42の下端部を封止する矩形板状の底壁44とを有する。窪み部40の1辺の長さは、たとえば200mmであり、窪み部40の深さは、たとえば65mmである。また、側壁42の対向する2つの角部には、内方に向かって平板状に凹む凹部46が形成される。そして、これら凹部46の上端部には、治具穴48を有する三角板状の掛け部50が形成される。
この実施例の桝蓋10においても、図1に示す実施例と同様の作用効果を奏し、桝蓋10の施工性が向上される。すなわち、桝100の立上り管102に対して受枠12の下部円筒部22を接続するので、受枠12の設置高さの調整が容易となり、設置作業も簡略化される。また、桝蓋10が軽量化されて、その運搬および取扱いが容易となる。さらに、桝蓋10の製造コストも低減される。さらにまた、上蓋14の着脱を容易にすることができる。
なお、上述の各実施例では、受枠12の突出部32を環状に形成したが、突出部32は、必ずしも環状に形成される必要はない。たとえば、突出部32は、下部円筒部22の内側面に周方向に所定間隔で配置される複数の突起であってもよい。
また、上述の各実施例では、内蓋16に設けたシールリング68を内蓋16の外側面と立上り管102の内側面との間で圧縮するようにしたが、これに限定されない。たとえば、図18および図19に示す実施例のように、受枠12に形成する環状の突出部32を上下方向に長い幅広に形成しておき、その突出部32の内側面と内蓋16の外側面との間でシールリング68を圧縮することもできる。このように、桝蓋10において気密および水密構造を完結させておくことで、立上り管102が斜め切りされる等の外部要因に左右されることなく、立上り管102から外部への悪臭および排水の漏れを確実に防止することができる。
さらに、上述の各実施例では、受枠12の突出部32を、内蓋16の支持部として用いると共に、立上り管102の上端面に係止される係止部(位置決め部)としても兼用するようにしたが、これに限定されない。図示は省略するが、たとえば、内蓋16の支持部として用いる突出部32の下方に、立上り管102に対する係止部として用いる突出部を別途形成するようにしてもよい。すなわち、受枠12の下部円筒部22の内側面には、上下方向に並ぶ複数の突出部が形成されていてもよい。
また、受枠12の立上り管102に対する係止部は、必ずしも下部円筒部22の内側面に形成した突出部である必要はない。たとえば、下部円筒部22の下端部を二重管構造にしておき、この二重管構造の間に立上り管102の上端部を嵌め込むことによって、立上り管102に対して受枠12を位置決めするようにしてもよい。
さらに、上述の各実施例では、上蓋14の側壁42に内方に凹む凹部46を形成して、その凹部46に治具穴48および掛け部50を形成するようにしたが、側壁42の上端部に形成したフランジ部80に、治具穴48および掛け部50を形成することもできる。
たとえば、図20および図21に示す実施例では、上蓋14の側壁42の上端部には、外方に突出する矩形環状のフランジ部80が形成される。また、この実施例では、フランジ部80は、受枠12に上蓋14を装着した状態において、受枠12の上蓋収容部20の内部に収まるように設けられる。すなわち、フランジ部80の外縁1辺の長さは、上蓋収容部20の内縁1辺の長さと略同じ大きさに設定され、上蓋収容部20の内側面と上蓋14の側壁42の外側面との間には、所定間隔の隙間が形成される。そして、フランジ部80の外縁部には、対向する2辺において、治具穴48として用いられる切欠きが形成される。また、この治具穴48の周縁部が掛け部50として用いられる。この実施例によれば、フランジ部80(つまり上蓋14の外側)に治具穴48を形成することによって、上蓋14の窪み部40の内面形状を単純化することができる。したがって、窪み部40の内面形状に合わせて、インターロッキングブロック等の化粧材106を切断する作業を不要または簡略化することができる。
また、たとえば、図22および図23に示す実施例のように、上蓋14に形成する矩形環状のフランジ部80は、受枠12の上端面を覆うように設けることもできる。すなわち、フランジ部80の外縁1辺の長さは、上蓋収容部20の外縁1辺の長さと略同じ大きさに設定される。また、フランジ部80の外縁部には、掛け部50として外方に突出する突起部が形成され、この突起部に治具穴48として用いられる切欠きが形成される。一方、受枠12の上蓋収容部20の外側面には、上側開放の袋部82が形成される。この袋部82は、治具穴48から差し込まれた治具を受容するための空間を、上蓋収容部20の外側に形成する。また、袋部82の上端面には、治具穴48の外縁部に嵌め込まれる突起部82aが形成される。この実施例においても、図20に実施例と同様に、上蓋14の窪み部40の内面形状を単純化することができるので、化粧材106を切断する作業を不要または簡略化することができる。また、受枠12の上端面を覆うようにフランジ部80を設けることで、化粧材106または固定材108などの材料が、受枠12と上蓋14との間に入り込むことを防止できる。
なお、図20または図22に示す実施例では、矩形筒状の側壁42を有する矩形タイプの上蓋14を例示したが、上述のようなフランジ部80および治具穴48などは、円筒状の側壁42を有する円形タイプの上蓋14に形成することもできる。
また、上蓋14の窪み部40に嵌め込む化粧材106が、コンクリート等の窪み部40に嵌め込んだ後に固化する材料である場合には、図24に示す実施例のように、窪み部40にUボルトまたはワイヤメッシュ等のアンカ部90を設けることもできる。一例として、図24に示す実施例では、底壁44の水抜き孔54を利用して取り付けたUボルトが、アンカ部90として用いられる。コンクリートと合成樹脂とは接着性を有さないが、この実施例のように、上蓋14の窪み部40にアンカ部90を設けておくことで、合成樹脂製の上蓋14に対して、コンクリート等の化粧材106を物理的に一体化させることができる。すなわち、合成樹脂製の上蓋14にコンクリート等の化粧材106を強固に固定することができる。
さらに、上述の各実施例では、受枠12の上蓋収容部20に対して上蓋14を直接取り付ける(そのまま嵌め込む)ようにしたが、上蓋収容部20と上蓋14との間には、上蓋14のがたつきを防止し、上蓋14を位置決めするためのゴムパッキンを設けることもできる。
また、図示は省略するが、上蓋14の外側面には、着脱する際の抵抗を大きくすることなく、上蓋14のがたつきを防止して上蓋14を位置決めするために、縦リブ状または半球状などの複数の小突起を形成しておくこともできる。一例として、矩形タイプの上蓋14の場合、上蓋14の外側面の各辺中央部に1つずつ縦リブ状の小突起を形成しておくとよい。この際、縦リブ状の小突起は、上蓋14の装着のし易さを考慮して、下方に向かうに従い突出高さが低くなるように形成することが好ましい。なお、縦リブ等の小突起は、上蓋収容部20の内側面に形成することもできる。
さらにまた、図示は省略するが、治具穴48が砂等によって詰まってしまうことを防止するため、治具穴48に対してゴム栓などの閉塞部材を着脱可能に設けておくこともできる。
また、図25−図30には、この発明のさらに他の実施例である桝蓋10を示す。この実施例では、受枠12の下部に溝状の水抜き部110が形成される点、上蓋14の底壁44に凹凸114,116および第2水抜き孔118が形成される点などが、上述の図12に示す実施例と異なる。以下、この実施例の桝蓋10について説明するが、図12に示す実施例と共通する部分については、同じ参照番号を付し、重複する説明は省略または簡略化する。
図25に示すように、この実施例の桝蓋10は、矩形タイプの桝蓋であって、受枠12、上蓋14および内蓋16を備える。内蓋16としては、図9および図10に示すものと同様のものが用いられる。
図26−図28に示すように、受枠12は、上部に形成される矩形筒状の上蓋収容部20と、上蓋収容部20の下側に形成される下部円筒部22とを有する。上蓋収容部20と下部円筒部22との連結部分は、下部円筒部22側に向かって段差状に縮径されており、その矩形枠状の段差部分が上蓋支持部24として用いられる。また、下部円筒部22の内側面には、内蓋支持部であると共に、立上り管102に対する係止部でもある環状の突出部32が形成される。
上蓋収容部20と下部円筒部22との連結部分には、外方に張り出す環状の鍔部26が形成される。また、上蓋収容部20の外側面には、複数の三角板状の第1リブ28が形成され、下部円筒部22の外側面には、複数の三角板状の第2リブ30が形成される。ここで、上蓋収容部20の第1リブ28は、辺長方向中央部のものが両側部のものよりも縦方向長さが大きく形成される。これは、両側部と比べて変形し易い中央部を重点的に補強して上蓋収容部20の変形を防ぎつつ、両側部の第1リブ28を小さくすることで使用する樹脂量を低減するためである。なお、両側部の第1リブ28は、突出高さを小さくしてもよい。
また、上蓋支持部24の外周縁部には、複数の水抜き孔70が形成される。上蓋14の外側面と上蓋収容部20の内側面との間の隙間、または後述する上蓋14の第2水抜き孔118から上蓋収容部20内に流入した水は、この水抜き孔70から外部に排出される。また、図示は省略するが、上蓋支持部24の上面に溝を形成し、この溝内部に水抜き孔70を形成することもできる。そして、上蓋14の第2水抜き孔118を上蓋支持部24の溝に対応する位置に形成することで、第2水抜き孔118からの水が、溝を介して水抜き孔70に導かれるようにするとよい。これによって、下部円筒部22の内部空間34(つまり内蓋16上)に流入する水の量を低減できる。また、上蓋支持部24は、内周縁部から外周縁部(つまり水抜き孔70側)に向かって下り勾配となる傾斜面としてもよい。
さらに、下部円筒部22の内側面には、突出部32から下端まで縦方向に延びる溝状の水抜き部(水抜き溝)110が形成される。水抜き部110の周方向位置および数などは、適宜変更可能であるが、この実施例では、2つの水抜き部110が180度間隔で形成される。上蓋支持部24の水抜き孔70で排出されずに、下部円筒部22の内部空間34に流入した水は、この水抜き部110と立上り管102の外側面とで形成される通水路を通って外部に排出される。これによって、内蓋16上に水が溜まることが防止される。なお、水抜き部110は、溝状に形成する代わりに、スリット状に形成しても構わない。
図29および図30に示すように、上蓋14は、上面に窪み部40を有する有底角筒状に形成される。具体的には、上蓋14は、矩形筒状の側壁42と、側壁42の下端部を封止する矩形板状の底壁44とを有する。
側壁42の対向する2つの角部には、内方に向かって突出するL字状の壁部112が形成され、この壁部112と側壁42の角部とで矩形筒状部が形成される。そして、これら矩形筒状部の上端部には、治具穴48を有する矩形板状の掛け部50が形成される。この実施例では、治具穴48は、対角方向に長い長孔状に形成される。この上蓋14の着脱には、T字状の先端部を有する治具(図示せず)を用いるとよい。上蓋14を着脱するときには、治具先端部の横棒の長手方向を治具穴48の長手方向に沿わせた状態で、治具穴48に治具先端部を挿し込む。そして、そこから治具を90度捻り、治具先端部の横棒を掛け部50に引っ掛けた状態で、上蓋14を持ち上げるとよい。上蓋14を持ち上げたときには、上蓋14が振れ易い方向と治具先端部の横棒の長手方向とが一致することから、上蓋14は振れ難くなる。また、治具穴48の長手方向の長さは、治具先端部の横棒の長さよりも少し小さい長さに設定しておくことが好ましい。上蓋14を持ち上げたときに、万一、横棒の長手方向と治具穴48の長手方向とが一致してしまった場合でも、治具先端部が治具穴48から抜け難くなり、上蓋14の落下を防止できるからである。
また、底壁44の下面には、同心円状に配置される複数の円形リブ52aと放射状に配置される複数の直線リブ52bとを含む下面リブ52が形成される。この実施例では、円形リブ52aは、三重円状に形成され、外周側の円形リブ52aが上蓋支持部24の内周縁部と対応する位置に配置される。また、外周側の円形リブ52aと中間の円形リブ52aとは、直線リブ52bで連結しないようにしている。これによって、底壁44の一部に荷重が集中してしまうことが防止される。
さらに、底壁44の上面(窪み部40の底面)には、コンクリート等の化粧材106の下面との間に導水路となる空間を形成する凹凸が形成される。この凹凸によって上蓋14のデザイン性も向上する。具体的には、凹凸の凸部114は、底壁44の上面略全体に所定の配置態様で分散配置される第1凸部114aと、底壁44の上面周縁部の略全長に延びるように形成される第2凸部114bとを含む。底壁44の上面周縁部に第2凸部114bを形成しておくことで、底壁44の上面に凹凸を形成した場合でも、インターロッキングブロック等の化粧材106のがたつきを防止できる。また、凹凸の凹部116は、底壁44の上面略全体に連続的に拡がるように形成され、凹部116の一部は、底壁44の上面周縁部まで延びる。ただし、図29に示す凹凸の配置態様は、単なる一例であり、適宜変更可能である。
また、底壁44には、複数の水抜き孔が形成される。この実施例では、底壁44の水抜き孔は、第1水抜き孔54と第2水抜き孔118と含む。第1水抜き孔54は、凹部116の位置において、環状に並んで配置される。この第1水抜き孔54は、上述のように、化粧材106がコンクリート等の場合、アンカ部90の取付部にもなり得る。一方、第2水抜き孔118は、凹部116の位置であってかつ底壁44の周縁部に配置される。この際、底壁44の上面は、中央部から周縁部に向かって下り勾配となる傾斜面となっていることが好ましい。窪み部40内に溜まった水が第2水抜き孔118に導かれ易くなるからである。
上蓋14の窪み部40内に溜まった水は、第1水抜き孔54または第2水抜き孔118を通って、受枠12内に排出される。そして、受枠12の水抜き孔70または水抜き部110を通って外部に排出される。また仮に、第1水抜き孔54がアンカ部90で塞がれている場合でも、上蓋14の水抜き機能は第2水抜き孔118によって確保される。
図25に示す実施例の桝蓋10においても、図1に示す実施例と同様の作用効果を奏し、桝蓋10の施工性が向上される。また、図25に示す実施例によれば、水抜き孔54,70,118および水抜き部110などの水抜き機構を備えるので、受枠12内および上蓋14内の水を適切に外部に排出でき、受枠12内および上蓋14内に水が溜まることを防止できる。
なお、図25に示す実施例では、矩形タイプの桝蓋10を例示したが、上述のような水抜き孔54,70,118および水抜き部110などの水抜き機構、並びに上蓋14の凹凸114,116などは、円形タイプの桝蓋10に形成することもできる。
また、円形タイプの桝蓋10の場合には、上蓋14の回転防止として、上蓋14の下面リブ52と嵌合する突起を上蓋支持部24に設けてもよい。
また、上述の各実施例では、受枠12の下部円筒部22を立上り管102に対して外嵌めしているが、受枠12の下部円筒部22を立上り管102に対して内嵌めすることもできる。また、受枠12の下部円筒部22は、立上り管102に対して必ずしも接着接合される必要はなく、受枠12の下部円筒部22と立上り管102の上端部とは、互いに嵌め合わせるだけでもよい。この場合、受枠12と立上り管102との嵌合部分は、受枠12のぐらつきを防止するため、所定値以上(たとえば30mm以上)の挿入長さを有することが好ましい。また、受枠12と立上り管102との嵌合部分にシールリング等を介在させることによって、嵌合部分の水密性を確保する手段をとることもできる。
なお、上で挙げた寸法などの具体的数値、および桝蓋10が有する各部分の個数および形状などの具体的な構成ないし態様は、いずれも単なる一例であり、製品の仕様などの必要に応じて適宜変更可能である。