JP3584013B2 - コンクリート製集水枡 - Google Patents
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Description
【技術分野】
本発明は、排水管や側溝等の水路における交差部等の接続部位に設置されて水路を接続する集水枡に係り、特に、上端開口を金属製の蓋体で覆蓋せしめたコンクリート製集水枡に関するものである。
【0002】
【背景技術】
従来から、雨水や用水,排水等を通水せしめる管体や溝等からなる水路には、水路を分岐や合流等させたり、水に混入した泥やゴミ等の異物を分離除去する目的で、適当な箇所に集水枡(分水枡等を含む。以下、同じ)が設置されている。そして、かかる集水枡としては、一般に、多角筒状の周壁部を備えたコンクリート製の枡本体に対して、その周壁部に水路接続用の側面開口を形成すると共に、該枡本体の上端開口部を取外し可能な蓋体で覆蓋せしめた構造のものが採用されている。
【0003】
ところで、このような集水枡は、道路の中央や路肩部分に設置されることも多く、車両等の重量物が直接的な載荷重や側方からの土圧として作用することから、大きな荷重強度が要求される。
【0004】
そこで、大きな荷重強度が要求される場合には、コンクリート製の蓋体に代えて、グレーチング等の金属製の蓋体を採用することによって対応している。
【0005】
ところが、本発明者等が検討したところ、集水枡の耐荷重強度を目的として金属製の蓋体を採用すると、大きな載荷重が作用した場合に、枡本体における周壁開口部の上縁部に亀裂が発生し易く、破壊に至るおそれもあり、要求される耐荷重強度を十分に満足し得るものとは言い難いということが、明らかとなった。
【0006】
【解決課題】
ここにおいて、本発明は、上述の如き事情を背景として為されたものであって、その解決課題とするところは、簡単な構造によって耐荷重性能を大幅に向上することの出来る新規な構造のコンクリート製集水枡を提供することにある。
【0007】
【解決手段】
すなわち、上述の如き課題を解決するために、金属製の蓋体を採用した集水枡について、本発明者等がFEM(有限要素法)による応力解析や多数の実験を行うと共に検討を加えたところ、金属製の蓋体を採用した場合には、自動車等の載荷に際して蓋体自体に弾性的な変形が許容されることに起因して、蓋体から枡本体に対して不等分布で集中的な荷重が伝達される結果、特に部材の有効断面積が小さい枡本体における側面開口の上方に集中的な荷重が伝達された際に、かかる部位に対して破断に至る程の集中的な応力が生ぜしめられることになるのであろうという知見を得たのであり、そして、かかる新たな知見に基づいて、本発明を完成し得たのである。
【0008】
以下、このようにして為された本発明の態様を記載する。なお、以下に記載の各態様において採用される構成要素は、可能な限り任意の組み合わせで採用可能である。また、本発明の態様乃至は技術的特徴は、以下に記載のものに限定されることなく、明細書全体および図面に記載され、或いはそれらの記載から当業者が把握することの出来る発明思想に基づいて認識されるものであることが理解されるべきである。
【0009】
先ず、本発明の第一の態様は、多角筒状の周壁部を備えた枡本体と、金属製の蓋体とを備え、該枡本体の該周壁部に水路接続用の側面開口が形成されると共に、該枡本体の上部開口が前記蓋体によって覆蓋せしめられて、水路の接続部位に設置されるコンクリート製集水枡であって、以下の(A),(B),(C),(D)の構成を、全て具備することを、特徴とする。
(A)前記枡本体の前記上部開口の周りにおける前記蓋体の載置部分で前記側面開口の上方を避ける位置に、それら枡本体と蓋体の少なくとも何れか一方の側から突出する複数の支持突部を固設して、それら支持突部を介して該蓋体を該枡本体に対して支持せしめるようにした構成。
(B)前記枡本体におけるコーナ部分に対して軸方向に延びる補強金具を埋設配置すると共に、該コーナ部分において、前記蓋体を、前記支持突部を介して支持せしめるようにした構成。
(C)前記枡本体の前記上部開口が開口せしめられた上端面に対して受枠金具を配設して、該受枠金具により、前記蓋体を前記支持突部を介して支持せしめるようにした構成。
(D)前記受枠金具を、前記補強金具に対して溶接等で固着せしめた構成。
【0010】
このような本態様に従う構造とされたコンクリート製集水枡にあっては、枡本体の側面開口の上方に位置する部分に対して、枡本体と蓋体の重ね合わせ部位に支持突部の突出高さに対応する大きさの隙間が形成されることとなる。それ故、蓋体に大荷重が及ぼされて蓋体が弾性変形せしめられた場合でも、該支持突部による隙間によって、蓋体が枡本体の側面開口の上方に当接することが軽減乃至は回避されるのであり、蓋体に及ぼされる大荷重が、枡本体において、側面開口の形成されていない強度の大きい部分に対して有効に及ぼされることから、コンクリート製集水枡の全体として大きな耐荷重強度が効率的に発揮され得るのである。
【0011】
なお、枡本体および蓋体の具体的形状や構造等は、何れも、限定されるものでなく、コンクリート製集水枡の用途や荷重条件等に応じて適宜に設定されるものであり、例えば、枡本体として、三角筒状や四角筒状、或いは円筒状等の各種の周壁部形状が採用可能であり、必要に応じて底壁部を一体形成することも可能であると共に、蓋体として、マンホール蓋等の金属板状体や、グレーチング等の透孔を備えた透孔板状体等が採用可能である。また、枡本体の側面開口は、予め形成しておく他、例えば、特開平10−237937号公報等に記載されているように、接続される水路の形状や大きさ等に応じて適宜に後加工によって形成することも可能であり、後加工による側面開口の形成予定部分に切断用溝を形成したり、形成予定部分を薄肉化するようにしても良い。更に、支持突部は、枡本体と蓋体の何れに設けても良いが、特に枡本体における蓋体の受部がコンクリートで形成される場合には、支持突部の欠け等を防止するために蓋体にだけ支持突部を固設することが望ましい。また、支持突部の形状や大きさ,数等は、特に限定されるものでなく、枡本体の形状や構造を考慮して枡本体における側面開口の上方を避ける位置に、支持突部だけを介して蓋体が枡本体に支持され得るように形成されることとなり、例えば、枡本体における複数の角部(コーナ部分)に対してそれぞれ独立して設けるようにされる。
【0012】
また、本発明においては、蓋体から支持突部を介して枡本体に及ぼされる載荷重が、枡本体における複数のコーナ部分に集中的に及ぼされることとなるが、それらのコーナ部分における曲げや座屈等に対する強度がコンクリートに埋設固着された補強金具によって向上されることから、集水枡の全体としての耐荷重強度が効率的に一層向上され得るのである。
【0013】
さらに、本発明に従う構造とされたコンクリート製集水枡においては、枡本体のコーナ部分に配設された前記複数本の補強金具を周方向に相互に連結せしめる連結補強金具を採用することも有効であり、それによって、側面開口の外周部分を補強金具と連結補強金具で囲むことが出来ることから、強度上の問題となり易い側面開口の上方部分の強度向上も達成され得る。
【0014】
なお、上述の補強金具や連結補強金具としては、例えば鉄筋や押出形材等の鋼材が好適に採用される。
【0015】
さらに、本発明においては、蓋体に及ぼされた外荷重の枡本体への伝達が、それら蓋体と枡本体の間に介在せしめられた受枠金具によって分散され得るのであり、支持突部による荷重の集中化が軽減乃至は解消されることによって、枡本体の耐荷重性能の更なる向上が図られ得る。
【0016】
なお、本発明において、支持突部は、蓋体と受枠金具の少なくとも一方に突設されることとなる。また、受枠金具は、その全体が枡本体の表面に密接状態で重ね合わされて配設されることが、強度的に望ましい。更にまた、好ましくは、受枠金具が、枡本体の上端面を全体に亘って覆う環状構造とされることとなり、より好ましくは、該受枠金具の内周縁部と外周縁部を、軸方向下方に向かって屈曲させて、枡本体の周壁部の内周面と外周面に回り込ませて重ね合わせた構造が採用されて、枡本体の上部開口の脆弱な角部を補強するようにされる。
【0017】
更にまた、本発明においては、例えば、枡本体の成形に際して、受枠金具と補強金具の組立体を収容せしめた型枠内の成形キャビティにコンクリートを充填することによって、受枠金具を備えた枡本体を、容易に製造することが可能となる。しかも、受枠金具は、補強金具に固着されることにより、枡本体に対してより高強度に固着せしめることが出来るのである。
【0018】
また、本発明の第二の態様は、前記第一の態様に従う構造とされたコンクリート製集水枡において、前記枡本体における前記上部開口部分に、周方向に連続した嵌合凹所を形成して、該嵌合凹所に前記蓋体を嵌め込んで配設するようにしたことを、特徴とする。このような本態様においては、蓋体の枡本体に対する装着状態が一層安定化されることとなり、例えば自動車の通過に際しての衝撃荷重の作用に伴う蓋体の撥ね上がりが軽減乃至は防止され得る。なお、より好ましくは、蓋体を枡本体に対して取外し可能に固定するボルトの締結手段が採用される。また、嵌合凹所は、その深さ寸法を蓋体の厚さ寸法と略同じとすることにより、蓋体を枡本体に装着せしめた覆蓋状態下で、蓋体の表面と枡本体の周壁部の上端面が略面一となるようにすることが望ましい。
【0019】
【本発明の実施形態】
以下、本発明を更に具体的に明らかにするために、本発明の実施形態について、図面を参照しつつ、詳細に説明する。
【0020】
先ず、図1〜3には、本発明の一実施形態としての側溝用集水枡10が、示されている。この集水枡10は、複数の門形側溝12(図9参照)を含んで構成される水路上に設置されるものであり、枡本体14と、蓋体としてのグレーチング蓋金具16によって構成されている。なお、以下の説明中、上下方向とは、原則として、図1中の上下方向をいうものとする。
【0021】
より詳細には、枡本体14は、4つの側壁板部を備えた矩形筒体形状の周壁部によって構成されており、コンクリートによって形成されている。また、これら4つの側壁板部のうちの3つには、側面開口としての接続窓部18がそれぞれ板厚方向に貫通して形成されている。これら接続窓部18は、各側壁板部において中央部よりも僅かに上方に偏倚した位置に設けられて、略矩形孔形状を呈している。更に、本実施形態では、各接続窓部18の内周面に対して、外側から内側に向かって次第に小孔化する僅かなテーパが付されている。
【0022】
また、枡本体14の上部開口20の開口端面21よりやや軸方向下方の位置には、矩形の枠板形状を呈する載置部分としての支持枠部22が、枡本体14の内周面から軸直角方向内方に向かって突設されており、それによって、枡本体14の上部開口20が、開口端面21と支持枠部22の上面を含んで段差付開口形状とされている。なお、このことからも明らかなように、本実施形態では、かかる支持枠部22が、各接続窓部18の上端外周縁部の一部を含んで構成されている。
【0023】
さらに、枡本体14の開口端面21には、受枠金具としての金属プレート24が略全体に亘って被着されている。この金属プレート24は、薄肉のステンレス等によって形成されており、枡本体14の開口端面21に重ね合わせられる上段板部23と、支持枠部22に重ね合わせられる上段板部23よりも一回り小さい矩形枠体形状の下段板部25を、矩形筒体形状の段差部27で連接した階段状断面をもって形成されている。そして、金属プレート24は、枡本体14の開口端面21から支持枠部22の上端面を全体に亘って覆うようにして被着されている。また、該金属プレート24の外周縁部と内周縁部が下方に向かって屈曲されて、それぞれ、矩形筒体形状の外周リブ29と内周リブ31が一体形成されており、上部開口20の外周面および支持枠部22の内周面にも密接状態で被着されて、上部開口20の内周面と外周面に回り込ませて重ね合わせるようにして上部開口20の略全体に亘って被着されている。また、支持枠部22の角部付近には、金属プレート24を貫通して、4つの固定用ねじ穴26がそれぞれ形成されている。更に、金属プレート24の上段板部23の上面には、多数の凹凸部が形成されており、滑り止め機能が備えられている。
【0024】
また、枡本体14の各コーナ部分(柱部分)には、補強金具としての山形鋼28が、それぞれ、軸方向に延びるようにして埋設されている。これら山形鋼28は、周知の如く、長手方向に略一定のL字形断面とされており、ステンレス等の剛性材により形成されている。また、特に本実施形態では、図4〜5に示されているように、これら山形鋼28の上端部分の凹側内周面が、金属プレート24の段差部27の角部の外周面にそれぞれ重ね合わせられて、溶接等によって固着されている。
【0025】
さらに、接続窓部18の上下外周縁部には、鉄筋等からなる矩形枠形状の連結金具30が、それぞれ、埋設されている。しかも、これら連結金具30は、図4〜5にも示されているように、各山形鋼28に対して溶接等によって固着されており、以て、複数本の山形鋼28を枡本体14の周方向で巻くようにして、相互に固定的に支持せしめている。
【0026】
一方、グレーチング蓋金具16は、図6〜7に示されているように、矩形枠体の内側に複数枚の薄肉の矩形板体を格子状に配設した周知の構造を有しており、鋳鉄等の剛性材によって形成されている。また、特に本実施形態において、グレーチング蓋金具16の底面には、支持突部としての支持板金具32の複数個が配設されている。これら支持板金具32は、薄肉の矩形板形状を有しており、グレーチング蓋金具16の各角部に対して溶接等によって固着されている。
【0027】
また、グレーチング蓋金具16の外周縁部において、格子形状により構成される所定位置の隙間部には、4つの支持金具(図示せず)が固着されており、これら各支持金具に対して、それぞれ、固定ボルト34が挿通されている。そして、これら固定ボルト34が支持枠部22の各固定用ねじ穴26に螺着されることによって、グレーチング蓋金具16が、枡本体14の上部開口20を覆蓋せしめた状態で、枡本体14に対して固定的に且つ取外し可能に組み付けられるようになっている。これにより、枡本体14とグレーチング蓋金具16からなる側溝用集水枡10が形成されている。なお、上述の説明からも明らかなように、本実施形態では、支持枠部22の上面と上部開口20の内周面によって嵌合凹所が構成されている。また、支持板金具32を含んだグレーチング蓋金具16の高さ寸法(板厚寸法)は、枡本体14における支持枠部22の上面から開口端面21までの長さ寸法と略同一とされており、それによって、グレーチング蓋金具16を枡本体14に取り付けた際に、グレーチング蓋金具16の上面と枡本体14の開口端面21が略面一とされるようになっている。なお、枡本体14には、予め製作段階で、図4〜5に示される如き、金属プレート24,山形鋼28および連結金具30,30からなる本体金具36が埋設されている。
【0028】
ここにおいて、グレーチング蓋金具16の底面角部に配設された支持板金具32は、図1,8にも示されているように、接続窓部18の上方を避けるようにして、支持枠部22のコーナ部分(角部)に載置されている。これにより、支持枠部22とグレーチング蓋金具16の間には、支持板金具32が配設されていない接続窓部18の上方において、支持板金具32の板厚寸法に相当する高さ寸法の隙間が形成されている。要するに、本実施形態では、上部から大きな動的荷重乃至は静的荷重が及ぼされた際に、蓋金具16から枡本体14への荷重伝達が、図8に示される如く、複数の支持板金具32を介して、主として枡本体14のコーナ部分に及ぼされて、接続窓部18の上方に位置する壁部に及ぼされる荷重が、隙間の存在によって、軽減乃至は回避され得るようになっている。
【0029】
そして、このような側溝用集水枡10は、図9に示されているように、各接続窓部18が門形側溝12の開口部に接続されており、門形側溝12の複数個を繋ぎ合わせることによって構成される水路の交差部に設置される。なお、門形側溝12の具体的形状や構造等は、特に限定されるものでなく、図示される如き門形側溝12以外の従来構造の側溝が何れも採用可能であることは述べるまでもない。
【0030】
上述の如き構造とされた側溝用集水枡10においては、載荷重が及ぼされた際に、部材強度の小さい接続窓部18の上側部分における発生応力が軽減乃至は回避され得るのであり、それ故、上部に金属製の蓋体を備えた従来構造のコンクリート製集水枡に比して、耐荷重強度の大幅な向上が達成され得るのである。
【0031】
しかも、本実施形態では、矩形板形状を有するグレーチング蓋金具16が、枡本体14のコーナ部分の4点で支持板金具32を介して支持せしめられていることにより、バランス的にも、より安定して枡本体14に支持され得るのである。
【0032】
また、本実施形態では、枡本体14の各角部に山形鋼28が埋設されていると共に、接続窓部18の上下外周縁部に、それぞれ、連結金具30,30が埋設されて、更に、各山形鋼28を枡本体14の周方向で巻き付けるようにして相互に接続せしめていることにより、応力が集中する枡本体14の各角部の耐荷重強度も更に向上されて、高強度な側溝用集水枡10がより有利に実現され得るのである。
【0033】
さらに、本実施形態では、枡本体14の上部開口20に配設された金属プレート24に、グレーチング蓋金具16が嵌め込まれて支持されていることから、蓋金具16の組み付け作業性がより有利に向上され得ると共に、軸直角方向におけるグレーチング蓋金具16と枡本体14の相対変位が軽減乃至は回避され得る。
【0034】
更にまた、本実施形態では、これら金属プレート24,山形鋼28および連結金具30,30を、それぞれ、相互に固着せしめて、図4〜5に示される如き本体金具36が形成されていることにより、枡本体14が、所定形状の型枠にコンクリートを流し込むと共に、本体金具36を該型枠内に入れ込むだけで容易に形成されることから、製作性や組付作業性が有利に向上され得る。しかも、かかる金属プレート24は、本体金具36の一部を構成していることから、本体金具36をコンクリート型枠内の所定の位置へセットすることによって、枡本体14の上部開口20への位置決め配設が有利に実現され得る。
【0035】
また、本実施形態では、枡本体14の接続窓部18にはテーパが付されていることにより、枡本体14に接続される門形側溝12の開口部の大きさが該接続窓部18よりも大きい乃至は同一の場合には、水に混入された泥やゴミ類等が接続窓部18の外周縁部に溜まることが軽減乃至は回避され得る。なお、枡本体14に接続される門形側溝12の開口部の大きさが、該接続窓部18よりも小さい場合には、これに限定されるものでなく、接続窓部18と門形側溝12の開口部を接続した際に、接続窓部18の開いた部分がコンクリートで穴埋めされる。
【0036】
さらに、本実施形態の支持板金具32を備えたグレーチング蓋金具16は、その支持板金具32の高さ寸法を適宜に設定変更するだけで、枡本体の上部開口に設けた嵌合凹所の深さが異なる各種のコンクリート製集水枡にも、容易に対応することが出来る。
【0037】
また、本実施形態では、枡本体14の底板が予め形成されていないことから、例えば、側溝水路への設置の際に、かかる枡本体14の底板が現場打ちされることも可能であり、それによって、かかる底板の高さ寸法(板厚寸法)を適宜に設定変更するだけで、枡本体14の高さ調節を行うことが出来ることから、枡本体14の各種水路における適用範囲の更なる拡大が図られ得る。
【0038】
さらに、本実施形態においては、現場の側溝水路の形状や大きさ等に応じて、接続窓部18の形状や大きさ等を適宜に設定変更することも可能であり、それによって、例えば、図10〜13にも示されているような、側溝用集水枡が実現され得るのである。なお、図10〜13においては、その理解を容易とするために、本実施形態と同様な構造とされた部材および部位に対して、それぞれ、図中に、本実施形態と同一の符号を付しておく。
【0039】
先ず、図10に示された側溝用集水枡38は、対向する一対の側壁板部に、それぞれ、接続窓部18が形成されており、各接続窓部18に門形側溝12の開口部を接続せしめて、一直線状の側溝水路に設置されるものである。
【0040】
また、図11〜12に示された側溝用集水枡40は、4つの側壁板部のうちの3つにおいて、略逆向き台形形状を呈する接続窓部42がそれぞれ板厚方向に貫設されており、例えば、図13に示されているように、多数のU形側溝44を含んで構成される側溝水路の交差部に設置されるものである。
【0041】
次に、図14には、本発明の第二の実施形態としての側溝用集水枡を構成するプレキャスト製品46が示されている。なお、図14においては、その理解を容易とするために、前記第一の実施形態と同様な構造とされた部材および部位に対して、それぞれ、図中に、第一の実施形態と同一の符号を付しておく。
【0042】
より詳細には、プレキャスト製品46は、4つの側壁板部を備えた矩形筒体形状の周壁部によって構成されており、コンクリートによって形成されている。また、プレキャスト製品46には、図4〜5に示される如き、本体金具(36)が、埋設されている。これにより、プレキャスト製品46の上部開口20には金属プレート24が、プレキャスト製品46の各柱部(コーナ部分)には各山形鋼(28)が、プレキャスト製品46の上下両端縁部付近には各連結金具(30)が、それぞれ、位置決め配設されている。
【0043】
また、このようなプレキャスト製品46の製造には、所定形状のコンクリート型枠にコンクリートを流し込むと共に、本体金具36を該型枠内に入れ込む工法が採用されている。
【0044】
また、本実施形態において、かかるプレキャスト製品46を用いた側溝用集水枡の側溝水路への設置作業には、工場等の製造設備によって予め製作されたプレキャスト製品46を設置現場に輸送すると共に、枡本体14の底板(図示せず)を側溝水路の交差予定部に現場打ちした後、図15に示されているように、側溝の開口部の大きさや形状等に適宜に対応して、プレキャスト製品46に接続窓部18が現場で或いは予め工場で切削加工された枡本体14を底板に載置すると共に、該接続窓部18と側溝を相互に接続する、といった工法が採られている。なお、別体形成されるグレーチング蓋金具(16)の取り付け作業が予め工場等で行われるか、或いは現場で行われるかは、当業者の条件等に応じて適宜に設定され得る。
【0045】
従って、上述の如き構造とされたプレキャスト製品46においては、図15にも示されているように、接続窓部18を適宜の形状や大きさに切削加工することが出来、それによって、各種形状の側溝の開口部に対応した枡本体14が有利に実現され得るのである。
【0046】
以上、本発明の実施形態について詳述してきたが、これらはあくまでも例示であって、本発明は、これら実施形態における具体的記載によって、何等、限定的に解釈されるものでない。
【0047】
例えば、前記実施形態では、蓋体の支持突部に金属材等の剛性材(支持板金具32)が採用されていたが、かかる支持突部に衝撃を吸収するクッション性を持たせたエラストマ材等を採用することも可能である。
【0048】
また、支持板金具32に固定ボルト34が挿通されるボルト挿通孔を貫設して、枡本体14のコーナ部分上で、グレーチング蓋金具16を枡本体14にボルト固定することも可能である。
【0049】
さらに、前記実施形態において、支持板金具32は、枡本体14の略柱部(支持枠部22の角部)上に収まるようにして載置されていたが、多少は接続窓部18の上端外周縁部まで延びていても良い。
【0050】
更にまた、枡本体14の支持枠部22は、枡本体14の使用条件や製作性等に応じて適宜に配設されるものであり、必須のものでない。また、支持枠部22が枡本体14の上部開口20に設けられない場合においては、グレーチング蓋金具16は、上部開口20の開口端面21に直接に載置されて枡本体14に固定される。
【0051】
また、グレーチング蓋金具16の枡本体14への固定構造は、例示の如きものだけに限定されるものでなく、例えば、枡本体14の支持枠部22に、ねじ山が上方に向かって延びるようにして固設された固定ボルトを、グレーチング蓋金具16の隙間部に挿通させて、ボルトの先端部を固定ナットに螺合させることによって、蓋金具16を枡本体14に固定させることも可能である。
【0052】
加えて、本発明のコンクリート製集水枡は、例示のように、門形側溝やU形側溝等を含んで構成される側溝水路に対して設置可能である他、円筒パイプ等からなる排水管路にコンクリート製集水枡を設置することも可能である。
【0053】
その他、一々列挙はしないが、本発明は、当業者の知識に基づいて種々なる変更,修正,改良等を加えた態様において実施され得るものであり、また、そのような実施態様が、本発明の趣旨を逸脱しない限り、何れも、本発明の範囲内に含まれるものであることは、言うまでもない。
【0054】
【発明の効果】
上述の説明から明らかなように、本発明に従う構造とされたコンクリート製集水枡においては、側面開口の上方における蓋体と枡本体の周壁部との対向面間に、支持突部の突出高さに対応した隙間が形成されて、蓋体から枡本体の周壁部への直接的な荷重伝達が軽減乃至は回避され得るのであり、それによって、枡本体の周壁部において特に耐荷重強度の小さい側面開口の上側部分の発生応力が軽減され得て、コンクリート製集水枡の全体としての耐荷重強度の向上が達成され得るのである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態としての側溝用集水枡を示す分解斜視図である。
【図2】図1に示された側溝用集水枡を示す説明斜視図である。
【図3】図1に示された側溝用集水枡を構成する枡本体を示す縦断斜視図である。
【図4】図1に示された側溝用集水枡を構成する本体金具を示す斜視図である。
【図5】図4に示された本体金具を示す底面斜視図である。
【図6】図1に示された側溝用集水枡を構成するグレーチング蓋金具を示す説明斜視図である。
【図7】図6に示されたグレーチング蓋金具を示す底面斜視図である。
【図8】図1に示された側溝用集水枡を示す力学説明図である。
【図9】図1に示された側溝用集水枡の具体的適用例を示す説明斜視図である。
【図10】本発明の別の実施形態としての側溝用集水枡の具体的適用例を示す説明斜視図である。
【図11】本発明の更に別の実施形態としての側溝用集水枡を示す分解斜視図である。
【図12】図11に示された側溝用集水枡を示す説明斜視図である。
【図13】図11に示された側溝用集水枡の具体的適用例を示す説明斜視図である。
【図14】本発明の第二の実施形態としての側溝用集水枡を構成するプレキャスト製品を示す斜視図である。
【図15】本発明の第二の実施形態としての側溝用集水枡の一製造工程を示す説明斜視図である。
【符号の説明】
10 側溝用集水枡
14 枡本体
16 グレーチング蓋金具
18 接続窓部
20 上部開口
22 支持枠部
32 支持板金具
Claims (2)
- 多角筒状の周壁部を備えた枡本体と、金属製の蓋体とを備え、該枡本体の該周壁部に水路接続用の側面開口が形成されると共に、該枡本体の上部開口が前記蓋体によって覆蓋せしめられて、水路の接続部位に設置されるコンクリート製集水枡であって、以下の(A),(B),(C),(D)の構成を、全て具備することを特徴とするコンクリート製集水枡。
(A)前記枡本体の前記上部開口の周りにおける前記蓋体の載置部分で前記側面開口の上方を避ける位置に、それら枡本体と蓋体の少なくとも何れか一方の側から突出する複数の支持突部を固設して、それら支持突部を介して該蓋体を該枡本体に対して支持せしめるようにした構成。
(B)前記枡本体におけるコーナ部分に対して軸方向に延びる補強金具を埋設配置すると共に、該コーナ部分において、前記蓋体を、前記支持突部を介して支持せしめるようにした構成。
(C)前記枡本体の前記上部開口が開口せしめられた上端面に対して受枠金具を配設して、該受枠金具により、前記蓋体を前記支持突部を介して支持せしめるようにした構成。
(D)前記受枠金具を、前記補強金具に対して溶接等で固着せしめた構成。 - 前記枡本体における前記上部開口部分に嵌合凹所を形成して、該嵌合凹所に前記蓋体を嵌め込んで配設するようにした請求項1に記載のコンクリート製集水枡。
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