JP6914099B2 - 作業車輌 - Google Patents

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Description

本発明は、トラクタ等の作業車輌に係り、詳しくは、エンジンルームを覆うボンネットに関する。
従来、エンジンルームの上方を天板で覆い、左右両側面を側面カバーで覆い、かつ前方を樹脂材からなるフロントグリルによって覆ったトラクタが提案されている(特許文献1参照)。これら天板、側面カバー及びフロントグリルによってエンジンルームを覆うボンネットが構成されている。フロントグリルには、外気を取り入れる通風窓及び側方窓が形成されており、通風窓の上方には、ヘッドライト取付け用の孔が形成されている。通風窓には、縦リブ及び横リブが設けられると共に、パンチングメタルが取りつけられている。
このように、フロントグリルには、大きな開口である通風窓、側方窓及びヘッドライト取付け用の孔が形成されており、加えて屈曲部分の少ない形状となっているためフロントグリルの強度が低い。このため、通風窓と側方窓との間の支持壁の真上及び真下に係止部材を設け、この支持壁によって天板の荷重を受けるように構成されている。
特許第3808221号公報
しかしながら、特許文献1に記載のフロントグリルは、フロントグリル自体の強度が低く、ボンネット全体の強度を保つためには、天板や側面カバーを肉厚に構成したり、フロントグリルを係止する係止部材の配置の制限があったりするため、設計自由度やデザイン自由度が低かった。
そこで、本発明は、フロントグリルを強度部材として構成し、フロントグリルによって天板と左右のサイドカバーとを固定して、もって上述した課題を解決した作業車輌を提供することを目的とする。
本発明は、エンジン(7)を内装するエンジンルーム(9)を、前記エンジン(7)の上方に配置される天板(20)と、左右のサイドカバー(21L,21R)と、前方のフロントグリル(22)と、によって覆うボンネット(10)を有する作業車輌(1)において、
前記フロントグリル(22)は、ライト(40)が取り付けられるライト取付け部(32)と、前記エンジンルーム(9)に外気を取り入れる複数の通気孔(31a)を有するグリル部(31)と、が一体に成形され、
前記天板(20)及び前記左右のサイドカバー(21L,21R)は、前記フロントグリル(22)を介して互いに固定されてな
前記ライト取付け部(32)は、左右方向から視て、下方に向かうにしたがって前方へ突出する複数の段部(42,43,44)を有する、
ことを特徴とする。
例えば図5及び図8を参照して、前記ライト取付け部(32)は、複数のライト(48,49)を取り付け可能に構成され、
前記グリル部(31)は、前記エンジン(7)の前方に配置される前方グリル(33)と、前記サイドカバー(21L,21R)の前方で前記サイドカバー(21L,21R)に沿って設けられる側方グリル(35L,35R)と、を有してなる。
例えば図1を参照して、前記ライト取付け部(32)は、左右方向から視て、上下方向における前記天板(20)の前端部(20a)と前記サイドカバー(21L,21R)の前端部(21a)との間に配置されてなる。
なお、上述カッコ内の符号は、図面と対照するためのものであるが、何ら本発明の構成を限定するものではない。
請求項1に係る本発明は、ライト取付け部及び複数の通気孔を有するグリル部を一体に成形して強度の高いフロントグリルを構成すると共に、天板とサイドカバーとをこのフロントグリルを介して互いに連結したので、フロントグリルの強度を高めた分、ボンネット全体の強度を向上することができる。このため、天板やサイドカバーの板厚や固定方法によってボンネットに強度を持たす必要が無く、例えばサイドカバーの板厚を薄くしたり天板とサイドカバーとの固定箇所を少なくしたりすることができ、設計自由度やデザイン自由度を向上することができる。また、ライト取付け部が、左右方向から視て下方に向かうにしたがって前方へ突出する複数の段部を有しているので、ライト取付け部に屈曲形状が増え、特にフロントグリルの上下方向における強度を向上することができる。
請求項2に係る本発明は、ライト取付け部を複数のライトを取り付け可能に構成するため、ライト取付け部に屈曲形状が増え、この形状によってフロントグリルの強度を向上することができる。また、グリル部が前方グリルと側方グリルとを有しているので、エンジンルームの冷却性能を向上することができる。
請求項3に係る本発明は、ライト取付け部が、左右方向から視て上下方向における天板の前端部とサイドカバーの前端部との間に配置されているので、フロントグリルの内で特に強度の高いライト取付け部によって、天板とサイドカバーとを上下方向に強固に固定することができ、ボンネット全体の強度を向上することができる。
本実施の形態に係るトラクタを示す側面図。 ボンネットを示す斜視図。 ボンネットが開かれた状態を示す斜視図。 ボンネットの各構成要素を示す分解斜視図。 フロントグリルを示す図であって、(a)は斜視図、(b)は平面図、(c)は正面図、(d)は側面図。 フロントグリル及びホーンを示す背面図。 フロントグリルのライト保持部及びカバー部材を示す正面斜視図。 フロントグリルのライト保持部及びカバー部材を示す背面斜視図。 ライト保持部を示す断面図。 センターライトを示す分解斜視図。
以下、図面に沿って、本発明の実施の形態について説明する。本実施の形態に係るトラクタ1(作業車輌)は、図1及び図2に示すように、前輪2及び後輪3により支持される走行機体5と、該走行機体5の後部に昇降自在に連結されたロータリ耕耘装置等の作業機(不図示)と、を備え、走行機体5を前進走行させながら、作業機によって耕耘作業等の各種作業を行なう。
走行機体5は、前後方向に延びる金属製の車台6を備えており、該車台6の前部には、ディーゼルエンジンからなるエンジン7(図3参照)が載置されている。エンジン7、ラジエータ8、ラジエータ8の後方に設けられる不図示のラジエータファン及びバッテリ8b等を内装するエンジンルーム9は、ボンネット10によって覆われており、ボンネット10の後方には、運転操作部11が配設されている。上記ボンネット10と上記運転操作部11との間には、上記車台6から立接される機枠12が配置されており、該機枠12は、インテークカバー13によって覆われている。上記運転操作部11には、操向用の操向ハンドル15と、後輪3を覆う左右のフェンダーフレーム16,16の間に配設された座席17と、が設けられており、座席17の後方には、安全フレーム19が取り付けられている。なお、以下では、座席17に着座した作業者の視点から視て、前後方向、左右方向及び上下方向を規定している。
上記ボンネット10は、図3及び図4に示すように、エンジン7の上方側を覆う天板20と、左右のサイドカバー21L,21Rと、前方を覆うフロントグリル22と、からなり、天板20は、その後側において上記機枠12に枢支されて開閉自在に、かつ閉じた状態で固定自在となっている。このため、図3に示すように、これら天板20、左右のサイドカバー21L,21R及びフロントグリル22が一体となった状態で、ボンネット10は、機枠12に対して開閉自在に支持されており、整備性が良い。なお、ボンネット10と車台6との間には、アンダーカバー23が配置されており、アンダーカバー23は、ボンネット10の前方側の荷重を支えている。
天板20及び左右のサイドカバー21L,21Rは、板金から構成されており、サイドカバー21L,21Rには、図4に示すように、上記ラジエータファンによって吸気されたエンジンの冷却風をそれぞれ排出する排気口25L,25Rが形成されている。ボンネット10は、上述したように天板20、左右のサイドカバー21L,21R及びフロントグリル22が一体となった状態で開閉可能に構成されているため、より軽量である方が操作性及び整備性が良い。このため、本実施の形態では、サイドカバー21L,21Rを薄肉の板金で構成しており、前側補強プレート26L,26R及び後側補強プレート27L,27Rによって補強している。
サイドカバー21L,21Rの前後方向における中央部分及び後側は、中央プレート29L,29R及び後側補強プレート27L、27Rによって、天板20に連結されている。そして、サイドカバー21L,21Rの前側は、前側補強プレート26L,26Rによって、天板20及びフロントグリル22に連結されている。更に、フロントグリル22の背面からは、後方に延びる複数の上部取付けリブ30a及び複数のサイド取付けリブ30bが突出している。複数の上部取付けリブ30a及びサイド取付けリブ30bが、それぞれ天板20及びサイドカバー21L,21Rに対して不図示のノブボルトで固定されることで、フロントグリル22は、天板20及びサイドカバー21L,21Rに対して固定される。
フロントグリル22は、図5に示すように、エンジンルーム9(図3参照)に外気を取り入れる複数の通気孔31aを有するグリル部31と、グリル部31の上方に配置され複数のライトが取り付けられるライト取付け部32と、を有しており、これらグリル部31及びライト取付け部32がポリプロピレン樹脂(PP樹脂)によって一体に成形されている。
グリル部31は、エンジン7(図3参照)の前方に配置される前方グリル33と、左右のサイドカバー21L,21Rの前方でサイドカバー21L,21Rに沿ってそれぞれ設けられる側方グリル35L,35Rと、を有している。これら前方グリル33及び側方グリル35L,35Rは、複数の通気孔が形成されることで網状に形成されており、所定の強度は維持した状態で多くの外気をエンジンルーム9内に取り入れることができ、エンジンルーム9の冷却性能を向上することができる。
前方グリル33と、左右の側方グリル35L,35Rと、の間の屈曲部分には、通気孔が形成されておらず上下方向に延びる支持壁36L,36Rが形成されており、グリル部31の上下方向における強度を向上している。更に、図8に示すように、グリル部31の背面側には、前方グリル33及び左右の側方グリル35L,35Rに沿って湾曲して形成されるグリル補強プレート37が設けられており、該グリル補強プレート37によってグリル部31の水平方向における強度を向上している。このように、グリル部31は、外気をエンジンルーム9内に取り込む前方グリル33及び側方グリル35L,35Rが広範な面積に亘って形成されているが、十分な強度を保っている。
ライト取付け部32は、左右方向における一方側である左側に設けられる第1のライト取付け部としての左側ライト取付け部34Lと、他方側である右側に設けられる第2のライト取付け部としての右側ライト取付け部34Rと、これら左側ライト取付け部34L及び右側ライト取付け部34Rの間に配置される中央部35と、を有している。中央部35は、下方に向かうにしたがって前方へ傾斜する傾斜面35aを有しており、傾斜面35aには、エンブレムを取り付け可能なエンブレム取付け部35bと、エンブレム取付け部35bの上方及び下方に形成される孔部35c,35cと、が形成されている。孔部35c,35cの特に下方の孔部の後方には、図6に示すように、警笛を発するホーン39が設けられている。これにより、ホーン39を後述する左右のセンターライトの間のスペースに設けることができ省スペース化できると共に、ホーン39の正面に孔部35cを配置したので、ホーン39の警笛がフロントグリル22の前方に伝播しやすく、報知性能を向上することができる。
左側ライト取付け部34L及び右側ライト取付け部34Rには、図7及び図8に示すように、複数のライト(本実施の形態では4つ)を有するヘッドライトユニット40が背面側から取付けられる。左側ライト取付け部34L及び右側ライト取付け部34Rには、それぞれ2つずつライト(48,49)が取り付けられ、図8に示すように、これらのライトは、左側ライト取付け部34L及び右側ライト取付け部34Rの背面側から後方に延びる複数(本実施の形態では計8つ)のライト取付けボス41,41,…に取付けられる。
以下では、左側ライト取付け部34L及び右側ライト取付け部34R並びにヘッドライトユニット40の4つのライトは、左右対称に構成されているため、左側ライト取付け部34L並びに左側ライト取付け部34Lに取り付けられるライトのみを説明する。
左側ライト取付け部34Lは、左右方向から視て、図9に示すように、第1段部42、第2段部43及び第3段部44を有しており、これら複数の段部42,43,44は、下方に向かうにしたがって前方へ突出するように形成されている。より具体的には、第1段部42は、下方に向かうにしたがって前方へ傾斜する第1傾斜面42aと、第1傾斜面42aの下端に接続されて第1傾斜面42aよりも水平に近い角度で傾斜する第2傾斜面42bと、を有する。第2段部43は、第2傾斜面42bの前端に接続され、下方に向かうにしたがって前方へ傾斜する第3傾斜面43aと、第3傾斜面43aの下端に接続されて第3傾斜面43aよりも水平に近い角度で傾斜する第4傾斜面43bと、を有する。第3段部44は、第4傾斜面43bの前端に接続され、下方に向かうにしたがって前方へ傾斜する第5傾斜面44aと、第5傾斜面44aの下端に接続されて第5傾斜面44aよりも水平に近い角度で傾斜する第6傾斜面44bと、を有する。
第3段部44の第5傾斜面44aからは、図7に示すように、円筒形状のセンターライト保持部46が前方に延びており、センターライト保持部46の側方には、サイドライト保持部47が形成されている。これらセンターライト保持部46及びサイドライト保持部47には、センターライト48及びサイドライト49がそれぞれ挿入されるライト挿入孔46a,47aが形成されている。ライト挿入孔46a,47aの周囲には、図8及び図9に示すように、それぞれ2つずつ上記ライト取付けボス41,41が背面側から延びている。
センターライト48及びサイドライト49は、同一構成であるため、センターライト48のみを説明する。図10に示すように、センターライト48(ライト)は、ライト取付けボス41,41にビス41a,41aによって固定される固定ブラケット50と、固定ブラケット50に対して上下方向に回動可能に支持される光源体51と、光源体51のガラス面51aにパッキン52を介して取り付けられるライトカバー53と、パッキン52を含んだ光源体51及びライトカバー53の接続部分の外周を覆う弾性体としてのゴムカバー55と、を有している。なお、ゴムカバー55は、該接続部分だけでなく、ライトカバー53の外周全体を覆って、ライトカバー53の外周とライト挿入孔46aとの間で挟持されてもよい。
センターライト48をセンターライト保持部46に組み付ける際には、作業者は、まず固定ブラケット50に対して光源体51をビス50aによって回動自在に取付ける。そして、光源体51のガラス面51aにパッキン52を介してライトカバー53を取付け、パッキン52を含んだ光源体51及びライトカバー53の接続部分の外周をゴムカバー55によって覆う。この状態では、光源体51、パッキン52及びライトカバー53がゴムカバー55によって一体に仮組みされている。そして、このように仮組みされたセンターライト48のライトカバー53をセンターライト保持部46のライト挿入孔46aに挿入する。
センターライト保持部46のライト挿入孔46aは、所定の光軸位置となるように予め形成されており、固定ブラケット50に対して回動可能な光源体51及びライトカバー53をライト挿入孔46aに位置合わせすることで、自動的に所定の光軸位置となるように光軸合わせが行われる。また、この際、光源体51、パッキン52及びライトカバー53がゴムカバー55によって一体に仮組みされているので、ライト挿入孔46aにライトカバー53を挿入する際に、パッキン52やライトカバー53が光源体51に対してずれることがない。
これにより、センターライト48の組み付け性を向上すると共に、パッキン52の位置ずれを抑え、光源体51とライトカバー53との間に水が侵入することを防止できる。このため、光源体51とライトカバー53との間に侵入した水が蒸発してライトカバー53の内面を曇らせることが無くなり、センターライト48の光の照射性能を維持することができる。また、ゴムカバー55は、薄い膜状の円筒形状で構成されており、例えば別途ブラケット等を設けて光源体51とライトカバー53とを接続する構成に比して、狭いスペースしかないセンターライト保持部46の背面側においてもセンターライト48の取付けを阻害することが無く、またコストダウンすることができる。
センターライト保持部46に対して装着されたセンターライト48は、固定ブラケット50がフロントグリル22のライト取付けボス41,41にビス41a,41aによって螺合されることで固定される。これにより、センターライト48のセンターライト保持部46に対する取付けが完了する。
センターライト保持部46に取り付けられた状態のセンターライト48は、人が触れられる高さに位置しているが、ライト挿入孔46aから外方に突出しているのはライトカバー53のみである。ライトカバー53は、透明の樹脂等で構成されており、光源体51に飛び石等が当たって破損することを防止している。パッキン52は、センターライト48の防水性能を高めると共に、光源体51とライトカバー53との間の断熱の役割も果たし、高温となる光源体51のガラス面51aからライトカバー53への熱の伝達を低減させる。なお、ゴムカバー55も所定の断熱性能を有している。このため、ライトカバー53は、所定の範囲の温度に維持され、ライトカバー53に人が触れてやけど等を負うのを防止すると共に、ライトカバー53の熱でフロントグリル22が溶けてしまったり変形してしまったりすることを防止できる。
ここで、図10に示すように、固定ブラケット50には、ひょうたん型の長孔50bが形成されている。サイドライト保持部47は、上述したセンターライト保持部46と同様に、ライト挿入孔47aによって自動的にサイドライト49の光軸合わせを行うように構成されているが、サイドライト保持部47に取り付けられた状態のサイドライト49は、センターライト48に比して光軸が僅かに左右方向における外方かつ下方に向いている。
このため、センターライト48は、光源体51がひょうたん型の長孔50bの後ろ側の孔50cに取り付けられ、サイドライト49は、光源体51が長孔50bの前側の孔50dに取り付けられる。これにより、複数のライト取付けボス41,41,…は、センターライト保持部46及びサイドライト保持部47のいずれの箇所に関わらず、後方に平行に延びているが、センターライト48及びサイドライト49の部品を共通化した状態で、センターライト48とサイドライト49との光軸を互いにずらした状態で取り付けることができる。これにより、ライト取付けボス41,41,…をフロントグリル22に一体成形する際の加工が容易になり、かつライト部品の共通化によりコストダウンすることができる。
一方、図7及び図8に示すように、フロントグリル22には、ライト取付け部32を前方から囲う、フロントグリル22とは別体のカバー部材60が取り付けられている。フロントグリル22の左側ライト取付け部34L及び右側ライト取付け部34Rの周りには、複数のカバー取付けボス61,61,…が前方に突出するように形成されており、カバー部材60の背面側には、複数のカバー取付けボス61,61,…に係合する複数の係合ボス62,62,…が形成されている。これらボス61及び係合ボス62が係合することで、カバー部材60はフロントグリル22に固定される。
カバー部材60には、カバー部材60がフロントグリル22に取り付けられた状態において、左側ライト取付け部34Lを露出させる左側露出孔63Lと、右側ライト取付け部34Rを露出させる右側露出孔63Rと、中央部35を露出させる中央露出孔65と、が形成されており、全体として前方に突出した形状に形成されている。左側露出孔63L及び右側露出孔63Rを介して、ライト取付け部32に取り付けられる各ライトは前方に光を照射することができ、中央露出孔65を介して、ホーン39の警笛を前方に伝播させることができる。
カバー部材60は、フロントグリル22と別体に形成されているため、複数の機種のトラクタにおいてフロントグリル22を共通化したとしても、カバー部材60のみを機種によって意匠変更することで、安価な構成で機種によって外観イメージを変更することができる。また、フロントグリル22は、上述したようにポリプロピレン樹脂によって一体成形されているが、目的によりカバー部材60をポリプロピレン樹脂とは異なる材料で構成することができる。
例えば、カバー部材60をABS樹脂によって形成することで、表面の光沢性が優れ高品質な質感を表現することができる。一方、フロントグリル22は、ポリプロピレン樹脂によって形成することで、軽量で機械的強度に優れ、加工性が良く、ライト取付け部32のように凹凸の多い形状でも一体成形することができる。また、ポリプロピレン樹脂は、発色性は良いが光沢があまりないため、光沢のあるカバー部材60とのコントラストによってより優れたデザイン性を表現することができる。
また、カバー部材60には、複数のライト取付けボス41,41,…及び複数のカバー取付けボス61,61,…が形成されているが、これらライト取付けボス41,41,…及びカバー取付けボス61,61,…は、前方から視て、カバー部材60に囲われた範囲内に配置されている。具体的には、カバー部材60の周縁部66、左側露出孔63Lと中央露出孔65との間の左側柱部67L、及び右側露出孔63Rと中央露出孔65との間の右側柱部67Rの後方にライト取付けボス41,41,…及びカバー取付けボス61,61,…が配置されている。
これにより、フロントグリル22をポリプロピレン樹脂によって一体成形するにあたって、凸部の収縮によってライト取付けボス41,41,…の反対面側、すなわちフロントグリル22の正面側(前面側)にヒケが生じやすいが、たとえヒケが生じてもカバー部材60によって覆って隠すことができる。また、フロントグリル22にカバー部材60が取り付けられた状態では、カバー取付けボス61,61,…は隠れた状態となる。このため、フロントグリル22のデザインの自由度や、周辺部品の配置の自由度を向上することができる。
特に、本実施の形態では、ライト取付け部32をフロントグリル22の上部に集中配置して、フロントグリル22の下部に大きなグリル部31を形成し、エンジンルーム9の冷却性を向上している。そして、ライト取付け部31の左右に、複数の段部42,43,44を形成すると共に、センターライト保持部46及びサイドライト保持部47を個別に形成している。このため、フロントグリル22のライト取付け部32は、凹凸及び屈曲形状の多い形状となっており、この形状によりライト取付け部32の強度を向上している。
図1に示すように、このように凹凸の多いライト取付け部32は、左右方向から視て、上下方向における天板20の前端部20aとサイドカバー21L,21Rの前端部21aとの間に配置されている。このため、ライト取付け部32を含むフロントグリル22が強度部材として機能し、天板20と左右のサイドカバー21L,21Rとを強固に固定することができる。よって、サイドカバー21L,21Rの板厚を薄くしても、ボンネット10全体の強度を保つことができ、ボンネット10が軽量となってボンネット10の開閉性及び整備性を向上することができる。また、天板20やサイドカバー21L,21Rの板厚や固定方法によってボンネット10に強度を持たす必要が無く、例えばサイドカバー21L,21Rの板厚を薄くしたり天板20とサイドカバー21L,21Rとの固定箇所を少なくしたりすることができ、設計自由度やデザイン自由度を向上することができる。
なお、本実施の形態では、フロントグリル22をポリプロピレン樹脂(PP樹脂)によって形成し、カバー部材60をABS樹脂によって形成したが、これに限定されず、機械的強度、加工性、表面性、材料費、耐摩耗性等の様々な条件に応じて材料を選択してもよい。また、光源体51の光源は、白熱電球、蛍光灯、LED等から適宜選択してもよい。
また、本実施の形態では、フロントグリル22のライト取付け部32は、複数の段部42,43,44を形成するように形成したが、この形状に限定されず、屈曲部を多数設けて強度を向上させる形状であればどのような形状でも良い。また、本発明はトラクタに限らず、田植機等の他の作業車輌に対しても適応可能である。
1 作業車輌(トラクタ)
7 エンジン
9 エンジンルーム
10 ボンネット
20 天板
20a 天板の前端部
21a サイドカバーの前端部
21L,21R 左右のサイドカバー
22 フロントグリル
31 グリル部
31a 通気孔
32 ライト取付け部
33 前方グリル
34L 第1のライト取付け部
34R 第2のライト取付け部
35c 孔部
35L,35R 側方グリル
39 ホーン
40 ライト(ヘッドライトユニット)
41 ライト取付けボス
42,43,44 複数の段部(第1段部、第2段部、第3段部)
51 光源体
52 パッキン
53 ライトカバー
55 弾性体(ゴムカバー)
60 カバー部材
61 カバー取付けボス

Claims (3)

  1. エンジンを内装するエンジンルームを、前記エンジンの上方に配置される天板と、左右のサイドカバーと、前方のフロントグリルと、によって覆うボンネットを有する作業車輌において、
    前記フロントグリルは、ライトが取り付けられるライト取付け部と、前記エンジンルームに外気を取り入れる複数の通気孔を有するグリル部と、が一体に成形され、
    前記天板及び前記左右のサイドカバーは、前記フロントグリルを介して互いに固定されてな
    前記ライト取付け部は、左右方向から視て、下方に向かうにしたがって前方へ突出する複数の段部を有する、
    ことを特徴とする作業車輌。
  2. 前記ライト取付け部は、複数のライトを取り付け可能に構成され、
    前記グリル部は、前記エンジンの前方に配置される前方グリルと、前記サイドカバーの前方で前記サイドカバーに沿って設けられる側方グリルと、を有してなる、
    請求項1に記載の作業車輌。
  3. 前記ライト取付け部は、左右方向から視て、上下方向における前記天板の前端部と前記サイドカバーの前端部との間に配置されてなる、
    請求項1又は2に記載の作業車輌。
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