以下、決済装置の実施形態について、図面を用いて説明する。
図1は、実施形態に係る決済装置10の利用状況を示すブロック図である。
決済装置10には、読取端末20、ピンパッド端末30及びサイン端末40が接続されることがある。決済装置10は、登録装置50に接続される。
決済装置10は、登録装置50と連動せずに決済を行うこともできるし、接続された登録装置50と連動して決済を行うこともできるものである。連動して決済を行う場合には、決済装置10は、登録装置50から決済装置10へと送られる決済情報に基づく決済処理を実行する。
決済装置10による決済には、既存の他の決済装置で利用されているのと同様な公知の決済方法を用いることができる。決済方法は例えば、クレジット決済、デビット決済、プリペイド決済、電子マネー決済、あるいはポイント決済などである。上記の各種決済のためには、カード媒体が広く利用される。カード媒体としては、磁気カード(磁気ストライプカード)、接触型IC(Integrated Circuit)カード、または非接触型ICカードなどが適用される。これらの各カードは、磁気ストライプ、接触型ICチップまたは非接触型ICチップによりデータを記録する。また、上記の各種決済のために、非接触型ICチップを搭載した電子機器(例えば携帯電話、スマートフォン、タブレットPC等)などが利用される場合もある。
決済装置10は、磁気カードを読み取るカード読取装置101を備える。
読取端末20は、非接触型ICチップに記憶された情報を読み取るために設けられるものである。読取端末20は、特に図示はしないが、読取部と表示デバイスを備える。読取部は、非接触型ICチップに記憶された情報を無線通信により非接触で読み取る。また、読取部は、非接触型ICチップに記憶された情報を書き換える。表示デバイスは、各種情報を表示する。表示デバイスで表示する各種情報は、例えば決済金額、非接触型ICチップを搭載した媒体を読取部に近付けるよう促す文章、あるいは決済が完了したことを通知するための文章などである。
ピンパッド端末30は、接触型ICカードから情報を読み取る。ピンパッド端末30は、特に図示はしないが、カード差込口、ピンパッド及び表示デバイスを備える。カード差込口から接触型ICカードを差し込むことで、ピンパッド端末30の内部に設けられた電極と、接触型ICカードに搭載された接触型ICチップの電極とを接触させることができる。ピンパッド端末30は、この電極どうしの接触を介して、接触型ICチップに記録された情報を読み取る。ピンパッドは、テンキー、確定ボタン、訂正ボタン及び各種機能が割り当てられたボタンなどからなる。ピンパッドは、買物客による操作により暗証番号(ピン)の入力などを行う。表示デバイスは、決済金額、接触型ICカードをカード差込口に差し込むように促す文章又は決済が完了したことの通知のための文章などを表示する。
サイン端末40は、特に図示はしないが、表示装置と表示装置の表示面に積層する状態で配置されたタッチ検出部材とでなるタッチパネルを有している。タッチパネルは、操作者が表示装置の表示面にスタイラスペンなどにより触れようとするタッチ操作に際し、そのタッチ操作の対象となる位置をタッチ検出部材が検出して、座標位置情報として出力する。そして、その座標位置に対応する一つまたは複数の表示画素の色を変更する。操作者が表示装置の表示面に対しスタイラスペンなどでサイン(署名)を記入する操作者の動きに応じたサインが表示面に表示されていく。そして、このサイン記入動作終了後の所定の確定操作に応じて、サイン端末40は、表示面に表示されたサインを画像データとして取り込んで、決済装置10に出力する。よって、決済装置10は、このサイン端末40からの画像データを、カード会社へのクレジット取引承認問い合わせ時のカード保有者検証情報として使用することができる。
なお、サイン端末40におけるタッチ検出部材の位置検出方式としては、膜抵抗方式、静電容量方式、電磁誘導方式、光学方式又は弾性波方式など種々の方式を用いることができる。また、表示装置としては、典型的には液晶ディスプレイが用いられる。なお、表示装置は、バックライトを備える。
登録装置50は、POS(point of sale:販売時点情報管理)端末とも呼ばれるものであり、商取引の対象となる商品の登録処理を行う機能を有する装置である。登録装置50は、登録した商品についての代金の決済のための決済処理を行う機能を持つ。登録装置50はまた、決済処理を決済装置10に行わせるために、決済情報を決済装置10へと送る機能を持つ。なお、登録装置50としては、POS端末に限らず電子キャッシュレジスタ(ECR:electronic cash register)などを用いても良い。
また、決済装置10は、決済金額情報などを含むクレジット取引情報を、図示しない店舗LAN(local area network)などのネットワークを介して決済サーバ60に送信する機能を有している。決済サーバ60は、この決済装置10からのクレジット取引情報を、決済ネットワーク70を介してカード会社80に送信する機能を有している。
図2は決済装置10のブロック構成図である。なお、図2において、図1に示される要素と同一の要素については、図1に示されるのと同一の符号を付している。
決済装置10は、前述したカード読取装置101に加えて、CPU(central processing unit)102、主記憶デバイス103、補助記憶デバイス104、通信デバイス105、印刷機106、グラフィックコントローラ107、表示装置108、タッチ検出部材109、スピーカ110及び通信コネクタ1051〜1055を有している。
CPU102は、決済装置10の動作に必要な処理及び制御を行うコンピュータの中枢部分に相当する。CPU102は、BIOS(basic input/output system)、オペレーティングシステム及びアプリケーションソフトウェアなどのプログラムに従って、決済装置10としての各種の機能を実現するべく決済装置10の各部を制御する。さらにCPU102は、通信デバイス105を介して読取端末20、ピンパッド端末30及びサイン端末40の制御を行う場合もある。
主記憶デバイス103は、上記コンピュータの主記憶部分に相当する。主記憶デバイス103は、ROM(read only memory)及びRAM(random access memory)を備える。
ROMは、上記のBIOS、オペレーティングシステム又はアプリケーションソフトウェアなどのプログラムを記憶する。またROMは、CPU102が決済装置10の各部を制御するための処理を実行する上で必要なデータを記憶する場合もある。RAMは、CPU102が処理を実行する上で必要なデータを記憶する。またRAMは、CPU102によって情報が適宜書き換えられるワークエリアとしても利用される。
補助記憶デバイス104は、上記コンピュータの補助記憶部分に相当する。補助記憶デバイス104は、例えばEEPROM(登録商標)(electric erasable programmable read-only memory)、HDD(hard disc drive)又はSSD(solid state drive)などである。補助記憶デバイス104は、CPU102が各種の処理を行う上で使用するデータ又はCPU102での処理によって生成されたデータなどを保存する。補助記憶デバイス104は、上記のオペレーティングシステム又はアプリケーションなどのプログラムを記憶する場合もある。売上データなども、補助記憶デバイス104に記憶される場合がある。また、補助記憶デバイス104は、カード媒体に記録されたデータの処理優先度を示すカード処理優先モード、カード媒体の保有者検証方法を示す保有者検証モード、及びカード媒体から読み取った情報内容に応じた各種フラグを記憶する。そのため、補助記憶デバイス104の記憶領域には、それらを記憶するための優先度記憶部1041、検証方法記憶部1042及びフラグ記憶部1043が設けられている。
主記憶デバイス103または補助記憶デバイス104に記憶されるアプリケーションプログラムには、後述する制御処理に関して記述した制御プログラムを含む。一例として決済装置10は、制御プログラムが主記憶デバイス103または補助記憶デバイス104に記憶された状態で、利用者へと譲渡される。しかしながら決済装置10は、制御プログラムが主記憶デバイス103または補助記憶デバイス104に記憶されない状態で利用者に譲渡されても良い。そして、別途に利用者へと譲渡された制御プログラムが、利用者またはサービスマンなどによる操作の下に主記憶デバイス103または補助記憶デバイス104へと書き込まれても良い。このときの制御プログラムの譲渡は、磁気ディスク、光磁気ディスク、光ディスク、半導体メモリなどのようなリムーバブルな記録媒体に記録して、あるいはネットワークを介したダウンロードにより実現できる。
通信デバイス105には、通信コネクタ1051〜1055が接続されている。通信デバイス105は、通信コネクタ1051〜1055に接続された機器との通信を行う。通信コネクタ1051〜1054には、読取端末20、ピンパッド端末30、サイン端末40及び登録装置50が接続されている。通信コネクタ1055には、決済サーバ60が接続されている。
通信コネクタ1051〜1054は例えば、RS−232C、USB(universal serial bus)、SCSI(small computer system interface)、IEEE 1394、Ethernet(登録商標)又はその他のインターフェース規格に準拠したケーブルを接続するための端子である。なお、通信コネクタ1051〜1054を使用せずに、決済装置10が、読取端末20、ピンパッド端末30、サイン端末40及び登録装置50と無線通信しても良い。当該無線通信には例えば、無線LAN又はBluetooth(登録商標)などを用いることができる。
通信コネクタ1055は例えば、Ethernetケーブルまたは電話線などを接続する端子である。なお、通信コネクタ1055を使用せずに、決済装置10が決済サーバ60と無線通信しても良い。当該無線通信には例えば、無線LANまたは携帯電話回線などを用いることができる。つまり、決済装置10と決済サーバ60とは、インターネット、電話回線網、3G若しくはLTE(登録商標)(long term evolution)等の携帯電話回線網、専用回線、その他のネットワーク又はこれらの組合せなどの、ネットワークを介して接続され得る。
なお、決済装置10が備える通信コネクタの数は5に限らない。例えば、様々な種類のケーブルを接続できるようにするため、あるいはその他の装置を接続するために6以上の通信コネクタを備えていても良い。決済装置10と、読取端末20、ピンパッド端末30、サイン端末40、登録装置50及び決済サーバ60のうちの一部との接続に無線通信を用いるのであれば、通信コネクタ1051〜1055の一部を省略しても良い。
印刷機106は、決済伝票などを印刷する。印刷機106としては、サーマルプリンタ、インクジェットプリンタ又はレーザプリンタなど種々の方式のプリンタを用いることができる。
グラフィックコントローラ107は、CPU102からの命令の下に表示装置108で表示させる画像の処理及び表示装置108の制御を行う。
表示装置108は、典型的には液晶ディスプレイが用いられる。なお、表示装置108は、バックライトを備える。タッチ検出部材109は、表示装置108の表示面に積層する状態で配置されている。この表示装置108とタッチ検出部材109によってタッチパネルが構成されている。タッチパネルは、操作者が表示装置108の表示面に指などにより触れようとするタッチ操作に際し、そのタッチ操作の対象となる位置をタッチ検出部材109が検出して、座標位置情報として出力する。つまり、タッチ検出部材109は、操作者による操作を入力する入力手段の一例である。なお、タッチ検出部材109の位置検出方式としては、膜抵抗方式、静電容量方式、電磁誘導方式、光学方式又は弾性波方式など種々の方式を用いることができる。
スピーカ110は、CPU102から送られた音信号に応じた音を発する。
以下、決済装置10の動作を説明する。なお、以下に説明する処理の内容は一例であって、同様な結果を得ることが可能な様々な処理を適宜に利用できる。
図3は、CPU102によって実行されるクレジット売上宣言処理のフローチャートである。このフローチャートに示す制御処理は、決済装置10の操作者が、例えばタッチパネルに表示されたクレジット売上宣言ボタンを入力操作したことに応じて実施される。すなわちCPU102は、クレジット売上宣言ボタンが入力操作されたことを検知すると、主記憶デバイス103または補助記憶デバイス104に記憶された制御プログラムに従って図3に示す制御処理を開始する。
CPU102はまず、クレジットによる決済金額の入力を待ち受ける(Act101)。決済金額は、例えば登録装置50から決済装置10へと送られる決済情報に含まれる。あるいは決済金額は、タッチパネルへのタッチ操作によって入力される。クレジットによる決済金額が入力されると(Act101のYES)、CPU102は、決済金額入力処理を実行する(Act102)。すなわちCPU102は、例えば、登録装置50において登録処理された商取引の対象となる商品についての代金の決済のための決済情報を、通信デバイス105により受信して、主記憶デバイス103に記憶する。あるいはCPU102は、表示装置108とタッチ検出部材109でなるタッチパネルへのタッチ操作によって入力された決済金額を決済情報として主記憶デバイス103に記憶するようにしても良い。これらの、登録装置50における登録処理及び決済装置10における決済金額入力処理は、既存の登録装置及び決済装置におけるものと同様であって良いので、ここではその説明は省略する。
CPU102は、決済金額入力処理を終えると、クレジットによる決済で取り扱いが可能なカードの種類を決定する(Act103)。カードの種類には、磁気カード、接触型ICカード、非接触型ICカード等があり、当該決済装置10で取り扱いが可能なカードの種類は設定情報ファイルに設定されている。設定情報ファイルは、例えば補助記憶デバイス104に記憶されている。CPU102は、設定情報ファイルを参照して、取り扱いが可能なカードの種類を決定する。
CPU102は、取り扱いが可能なカードの種類を決定すると、そのカードの種類に合わせて使用されるデバイスを選択する(Act104)。すなわちCPU102は、取り扱いが可能なカードとして磁気カードが含まれる場合にはカード読取装置101を選択し、接触型ICカードが含まれる場合にはピンパッド端末30を選択し、非接触型ICカードが含まれる場合には読取端末20を選択する。因みに、カードの種類に合わせて使用されるデバイスの種類についても設定情報ファイルに設定されており、CPU102は、設定情報ファイルを参照して、使用可能なデバイスを選択する。
CPU102は、使用可能なデバイスを選択すると、その使用可能なデバイスの種類を表示装置108に表示させる(Act105)。このとき、使用可能なデバイスは動作可能となるので、CPU102は、その動作可能となったデバイスを介してカードが読み取られるのを待ち受ける(Act106)。そして、いずれかのデバイスを介してカードが読み取られたことを検知すると(Act106のYES)、CPU102は、読取先のデバイスをチェックする(Act107)。
CPU102は、読取先のデバイスが磁気カードに対応したデバイス、すなわちカード読取装置101であった場合には(Act107の「磁気カード対応」)、Act111の処理に進む。
これに対し、読取先のデバイスが接触型ICカード又は非接触型ICカードに対応したデバイス、すなわちピンパッド端末30又は読取端末20であった場合には(Act107の「ICカード対応」)、CPU102は、カード媒体(ICカード)の保有者検証方法をチェックする(Act108)。
一般に、ICカード型のクレジットカードでは、ICカードの保有者検証方法が、予め決済装置10及びICカードに設定されている情報から決定される。従来の決済装置におけるICカードの保有者検証方法としては、暗証番号(ピン)入力が一般的である。しかし、ICカード保有者の要望により暗証番号の入力を省略し、サイン(署名)による保有者検証方法に遷移することも可能である。一方、海外各国ではその国毎にICカードの保有者検証方法が異なるケースがみられ、国によっては、暗証番号よりもサインによる保有者検証が一般的である。そのため、暗証番号の入力を優先としてしまっては、海外からの旅行者の操作を困難にすることが懸念される。そこで、本実施形態では、カード媒体(ICカード)の保有者検証方法として、暗証番号固定、サイン固定、暗証番号又はサインの選択の何れとするかを示す情報が設定情報ファイルに設定されている。CPU102は、設定情報ファイルを参照して、カード媒体(ICカード)の保有者検証方法をチェックする。そしてCPU102は、カード媒体の保有者検証方法を示す保有者検証モードに係る情報を検証方法記憶部1042に設定する。
CPU102は、保有者検証方法のチェックを終えると、保有者検証方法が暗証番号とサインの何れかを選択可能とするものか否かを確認する(Act109)。選択可能とするものではない場合、すなわち暗証番号固定又はサイン固定の場合には(Act109のNO)、CPU102は、Act111の処理に進む。
これに対し、保有者検証方法が暗証番号とサインの何れかを選択可能とするものである場合には(Act109のYES)、CPU102は、カード保有者が暗証番号とサインのどちらを選択するかの入力を待ち受ける(Act110)。そしてCPU102は、例えばタッチパネルへのタッチ操作により、暗証番号又はサインのいずれか一方が選択されたならば(Act110のYES)、Act111の処理に進む。なお、このときCPU102は、保有者検証方法として暗証番号が選択されたのか、あるいはサインが選択されたのかを識別する情報を検証方法記憶部1042で記憶する。
Act111においては、CPU102は、データ読取処理を実行する。すなわちCPU102は、カード読取装置101によって磁気カードのデータが読み取られるか、保有者検証方法が暗証番号固定又はサイン固定の状態でピンパッド端末30又は読取端末20によって接触型ICカード又は非接触型ICカードのデータが読み取られるか、保有者検証方法が暗証番号とサインの何れかを選択可能な状態でピンパッド端末30又は読取端末20によって接触型ICカード又は非接触型ICカードのデータが読み取られ、さらに保有者検証方法として暗証番号又はサインのいずれか一方が選択されると、データ読取処理を実行する。
図4A及び図4Bは、CPU102によって実行されるデータ読取処理のフローチャートである。CPU102はまず、読み取ったカード媒体の種別を判定する(Act201)。例えば、図3のAct107において、読取先のデバイスをチェックした際に、いずれのデバイスで読み取ったのかを示す情報を主記憶デバイス103で記憶しておき、CPU102がこの情報を確認することで、カード種別を判定することができる。
CPU102は、読み取ったカード媒体が磁気カードであると判定した場合には(Act201の「磁気カード」)、主記憶デバイス103に記憶したカードデータにISO方式のデータが含まれているか否かを判定する(Act202)。CPU102は、カードデータにISO方式のデータが含まれていないと判定した場合には(Act202のNO)、制御処理を図4BのAct214の処理に進める。つまりCPU102は、カード読取装置101で読み取った磁気カードが、ISO方式のデータが記録されるべき裏面に磁気ストライプを有していないカードであった場合、あるいは有していたとしても磁気不良などでデータを読み取れなかった場合には、Act214からの処理を進めることになる。
CPU102は、上記Act202においてカードデータにISO方式のデータが含まれていると判定した場合には(Act202のYES)、ISOサーチ処理を実行する(Act203)。このISOサーチ処理とは、例えば決済装置10の主記憶デバイス103に予め記憶された取扱カード会社情報のテーブルをサーチする処理である。テーブルには、当該決済装置に設定された取扱カード会社に係る情報が設定されている。CPU102は、ISO方式のデータに含まれる会員番号からテーブルのサーチ範囲を特定し、このサーチ範囲をサーチして、カード会社設定番号、ブランド符号及び発行元(国内又は国外)等の取扱カード会社に係る情報を取得する。
CPU102は、ISOサーチ処理の結果、テーブルから該当する情報、すなわち取扱カード会社に係る情報を取得できたか否かを判定する(Act204)。CPU102は、テーブルから該当する情報を取得できなかった場合(Act204のNO)、制御処理を図4BのAct212の処理に進める。
CPU102は、上記Act204においてテーブルから該当する情報を取得できた場合には(Act204のYES)、その取得した取扱カード会社に係る情報に含まれるブランド符号が、予め設定されたサービス対象のブランド符号であるか否かを判定する(Act205)。これは、カードデータに含まれる3桁のサービスコードの1桁目の値が「2」又は「5」(すなわち「2XX」又は「5XX」)であるか否かを判定することにより行われる。CPU102は、サービス対象のブランド符号でないと判定したならば(Act205のNO)、制御処理を図4BのAct213の処理に進める。
CPU102は、上記Act205において取扱カード会社に係る情報のブランド符号がサービス対象のブランド符号であると判定した場合には(Act205のYES)、当該決済装置10がICカードを取扱い可能であるか否かを判定する(Act206)。これは、当該決済装置10に読取端末20又はピンパッド端末30が接続されているか否かによる。CPU102は、当該決済装置10に読取端末20又はピンパッド端末30が接続されておらず、ICカードを取り扱うことが不可能であると判定したならば(Act206のNO)、制御処理をAct211の処理に進める。
CPU102は、上記Act206において当該決済装置10がICカードを取り扱うことが可能であると判定した場合には(Act206のYES)、磁気カードに対する処理からICカードに対する処理へと遷移する(Act207)。かくしてCPU102は、カード読取装置101によって読み取られた磁気カードに対する処理を終了する。
一方、CPU102は、上記Act201において読み取ったカード媒体がICカードであると判定した場合には(Act201の「ICカード」)、そのICカードのブランドが取扱対象であるか否かを判定する(Act208)。当該決済装置10で取扱対象となるブランドに係る情報は、設定情報ファイルに設定されている。CPU102は、設定情報ファイルを参照して、ICカードのブランドが取扱対象であるか否かを判定する。CPU102は、ICカードのブランドが取扱対象外である場合(Act208のNO)、読取端末20またはピンパッド端末30によって読み取られたICカードに対する処理を終了する。
CPU102は、上記Act208においてICカードのブランドが取扱対象であると判定した場合には(Act208のYES)、前記Act203の処理と同様のISOサーチ処理を実行する(Act209)。CPU102は、このISOサーチ処理の結果、ISO方式のデータに含まれる会員番号から特定されるテーブルのサーチ範囲から取扱カード会社に係る情報を取得できたか否かを判定する(Act210)。CPU102は、テーブルから該当する情報を取得できなかったと判定したならば(Act210のNO)、読取端末20またはピンパッド端末30によって読み取られたICカードに対する処理を終了する。
CPU102は、上記Act210においてテーブルから該当する情報、すなわち取扱カード会社に係る情報を取得できた場合には(Act210のYES)、制御処理をAct211の処理に進める。
図4BのAct212において、CPU102は、主記憶デバイス103に記憶したカードデータにJIS方式のデータが含まれているか否かを判定する。つまりCPU102は、カードデータに含まれるISO方式のデータから取扱カード会社に係る情報が得られなかった場合には、そのカードデータにJIS方式のデータが含まれているか否かを判定する。
CPU102は、カードデータにJIS方式のデータが含まれていないと判定した場合には(Act212のNO)、表示装置108に、当該カード媒体の取り扱いが不可能であることを通知する表示を行う(Act220)。こうして通知を表示したならば、CPU102は、カード読取装置101によって読み取られた磁気カードに対する処理を終了する。
販売員やレジ担当者などの操作者は、この取り扱いが不可能の通知に応じて、支払いを行う買物客に、当該カード媒体を取り扱うことができないことを報告し、現金支払いに変更してもらったり、別のカード媒体の使用に変更してもらったりすることとなる。
CPU102は、上記Act212においてカードデータにJIS方式のデータが含まれていると判定した場合には(Act212のYES)、制御処理をAct214の処理に進める。つまりCPU102は、カードデータに含まれるISO方式のデータからは取扱カード会社に係る情報を得られないが、そのカードデータにJIS方式のデータが含まれている場合には、制御処理をAct214の処理に進めることになる。
図4BのAct213においても、CPU102は、主記憶デバイス103に記憶したカードデータにJIS方式のデータが含まれているか否かを判定する。つまりCPU102は、カードデータに含まれるISO方式のデータから取扱カード会社に係る情報が得られたが、その情報に含まれるブランド符号がサービス対象でない場合、そのカードデータにJIS方式のデータが含まれているか否かを判定する。CPU102は、カードデータにJIS方式のデータが含まれていないと判定した場合には(Act213のNO)、CPU102は、制御処理をAct211の処理に進める。
CPU102は、上記Act213においてカードデータにJIS方式のデータが含まれていると判定した場合には(Act213のYES)、制御処理をAct214の処理に進める。つまりCPU102は、カードデータに含まれるISO方式のデータから特定される取扱カード会社に係る情報に含まれるブランド符号がサービス対象でなく、そのカードデータにJIS方式のデータが含まれている場合、制御処理をAct214の処理に進めることになる。
CPU102は、上記Act214においては、JISサーチ処理を実行する。このJISサーチ処理とは、例えば決済装置10の主記憶デバイス103に予め記憶された取扱カード会社情報のテーブルをサーチする処理であり、JIS方式のデータに含まれる会員番号からテーブルのサーチ範囲が特定される。このサーチ範囲をサーチすることで、CPU102は、提携先会社コード、業態、提携先会社用ID等の提携先会社に係る情報を取得することができる。
CPU102は、JISサーチ処理の結果、テーブルから該当する情報、すなわち提携先会社に係る情報を取得できたか否かを判定する(Act215)。CPU102は、テーブルに該当する情報を取得できなかった(Act215のNO)、JIS方式のデータに含まれる会員番号からISOカード会社データを抽出する(Act216)。そしてCPU102は、この抽出したISOカード会社データを用いて前述したISOサーチ処理を実行する(Act217)。
CPU102は、このISOサーチ処理の結果、テーブルから該当する情報、すなわち取扱カード会社に係る情報を取得できたか否かを判定する(Act218)。CPU102は、テーブルから該当する情報を取得できなかった場合(Act218のNO)、読み取ったカード媒体がISO方式のデータを有するカード媒体に該当するか否かを判定する(Act219)。CPU102は、読み取ったカード媒体がISO方式のデータを有するカード媒体に該当すると判定した場合(Act219のYES)、制御処理を前述したAct211の処理に進める。
CPU102は、上記Act219においてISO方式のカード媒体に該当しないと判定した場合(Act219のNO)、表示装置108に、当該カード媒体の取り扱いが不可能であることを通知する表示を行う(Act220)。こうして通知を表示したならば、CPU102は、カード読取装置101によって読み取られた磁気カードに対する処理を終了する。
CPU102は、上記Act215又はAct218においてテーブルから該当する情報を取得できたと判定した場合(Act215のYES、Act218のYES)、フラグ記憶部1043に記憶されるJIS該当フラグをセットする(Act221)。こうしてJIS該当フラグをセットしたならば、CPU102は、制御処理を前述したAct211の処理に進める。
Act211においては、CPU102は、カードデータからクレジットを取り扱うカード会社を決定する。つまりCPU102は、読取端末20又はピンパッド端末30によって取扱対象ブランドの非接触型ICカードまたは接触型ICカードのデータが読み取られ、そのカードデータから取扱カード会社に係る情報を取得できた場合には、そのカードデータからクレジットを取り扱うカード会社を決定する。またCPU102は、カード読取装置101によって磁気カードのデータが読み取られた場合には、以下の条件が成立した場合にそのカードデータからクレジットを取り扱うカード会社を決定する。
・条件1.Act202の処理が「NO」で、Act215、Act218又はAct219のいずれかの処理が「YES」の場合。
・条件2.Act204の処理が「NO」かつAct212の処理が「YES」で、Act215、Act218又はAct219のいずれかの処理が「YES」の場合。
・条件3.Act205の処理が「NO」で、Act213の処理が「NO」の場合。
・条件4.Act205の処理が「NO」かつAct213の処理が「YES」で、Act215、Act218又はAct219のいずれかの処理が「YES」の場合。
CPU102は、クレジットを取り扱うカード会社を決定すると、図3のAct112の処理に進む。Act112においては、CPU102は、支払方法決定処理を行う。
図5は、CPU102によって実行される支払方法決定処理のフローチャートである。CPU102はまず、読み取ったカード媒体がISO方式のデータを有するカード媒体に該当するか否かを判定する(Act231)。読み取ったカード媒体がISO方式のデータを有するカード媒体に該当すると判定された場合には(Act231のYES)、CPU102は、ISO取扱情報を確定する(Act232)。
当該決済装置10においては、カード会社別に、ISO取扱情報として、「取扱結果」、「カード会社」、「ブランド」、「発行元」、「多通貨」、「クレジット/デビット・プリペイド」、「サインレス」、「支払方法」及び「顧客連動」の各項目に係る情報を記憶した取扱カード会社情報ファイルを有している。取扱カード会社情報ファイルは、例えば補助記憶デバイス104に記憶されている。CPU102は、Act211の処理で決定したカード会社に関連付けられたISO取扱情報を取扱カード会社情報ファイルから取得し、図6に示す第1テーブルT1を作成することで確定させる。第1テーブルT1は、例えば主記憶デバイス103に記憶される。
因みに、項目「取扱結果」は、当該決済装置10にて取り扱いが可能か否かを識別する情報である。項目「カード会社」は、カード会社別に設定された一意の番号である。項目「ブランド」は、そのカード会社のブランド符号である。項目「発行元」は、カード発行元が国内なのか国外なのかを識別する情報である。項目「多通貨」は、当該決済装置10で多通貨での決済処理を行うことができるか否かを識別する情報である。項目「クレジット/デビット・プリペイド」は、クレジット機能を有するのか、デビット機能又はプリペイド機能を有するのかを識別する情報である。項目「サインレス」は、サインレスが可能か否かを識別する情報である。項目「支払方法」は、一括支払い、分割支払い等の支払方法を特定する情報である。項目「顧客連動」は、顧客ポイントサービスシステムとの連動が有るか否かを識別する情報である。
CPU102は、ISO取扱情報を確定し終えると、読み取ったカード媒体がJIS方式のデータを有するカード媒体に該当するか否かを判定する(Act233)。CPU102は、読み取ったカード媒体がJIS方式のデータを有するカード媒体に該当しないと判定した場合(Act233のNO)、Act235の処理に進む。
CPU102は、上記Act231において、読み取ったカード媒体がISO方式のデータを有するカード媒体に該当しないと判定した場合(Act231のNO)、あるいは上記Act233において読み取ったカード媒体がJIS方式のデータを有するカード媒体に該当すると判定した場合(Act233のYES)、JIS取扱情報を確定する(Act234)
当該決済装置10においては、カード会社別に、JIS確定情報として、「取扱結果」、「カード会社」、「ブランド」、「発行元」、「多通貨」、「クレジット/デビット・プリペイド」、「サインレス」、「支払方法」及び「顧客連動」の各項目に係る情報を記憶した取扱カード会社情報ファイルを有している。取扱カード会社情報ファイルは、例えば補助記憶デバイス104に記憶されている。CPU102は、Act211の処理で決定したカード会社に関連付けられたJIS取扱情報を取扱カード会社情報ファイルから取得し、図6に示す第2テーブルT2を作成することで確定させる。第2テーブルT2は、例えば主記憶デバイス103に記憶される。
CPU102は、JIS取扱情報を確定し終えると、Act235の処理に進む。
Act235においては、CPU102は、支払方法を決定する。つまり、カードデータにISO方式のデータのみ含まれており第1テーブルT1だけが作成されるか、カードデータにJIS方式のデータのみ含まれており第2テーブルT2だけが作成されるか、カードデータにISO方式のデータとJIS方式のデータとが含まれており第1テーブルT1と第2テーブルT2とが作成されると、CPU102は、支払方法を決定する。
当該決済装置10は、カード媒体から読み取ったISO方式(第一方式)のデータのみを使用して決済処理を行う第一モードと、カード媒体から読み取ったJIS方式(第二方式)のデータのみを使用して決済処理を行う第二モードと、カード媒体から読み取ったISO方式のデータとJIS方式のデータとを組合せて使用して決済処理を行う組合せモードとを含む。そして、これら3つのモードにおける優先度を優先度記憶部1041に予め設定している。ここに優先度記憶部1041は、優先度記憶手段として機能する。
ここで、予め設定された優先度がISO優先、すなわち第一モード優先の場合、CPU102は、第1テーブルT1の情報に従って支払方法を決定する。ただし、第2テーブルT2のみしか作成されなかった場合には、CPU102は、第2テーブルT2の情報に従って支払方法を決定する。
予め設定された優先度がJIS優先、すなわち第二モード優先の場合、CPU102は、第2テーブルT2の情報に従って支払方法を決定する。ただし、第1テーブルT1のみしか作成されなかった場合には、CPU102は、第1テーブルT1の情報に従って支払方法を決定する。
予め設定された優先度が組合せモードの場合、CPU102は、優先度条件に従い、第1テーブルT1又は第2テーブルT2の情報に従って支払方法を決定する。優先度条件は、ISO取扱情報及びJIS取扱情報の項目「取扱結果」の有無に基づく。ただしCPU102は、第1テーブルT1のみしか作成されなかった場合には、第1テーブルT1の情報に従って支払方法を決定し、第2テーブルT2のみしか作成されなかった場合には、第2テーブルT2の情報に従って支払方法を決定する。
また、各種サービスの実行については、判定結果の組み合わせにより決定される。例えば多通貨サービスについては、項目「ブランド」が対象で、項目「発行元」が国外で、項目「多通貨」が可の設定の場合、多通貨サービスが提供される。例えばデビットカード又はプリペイドカードによる一括払いサービスについては、項目「ブランド」が対象で、項目「クレジット/デビット・プリペイド」がデビット・プリペイドで、項目「支払方法」が一括の場合、デビットカード又はプリペイドカードによる一括払いサービスが提供される。例えばサインレスサービスについては、項目「ブランド」が対象で、項目「発行元」が国内又は国外で、項目「サインレス」が可で、項目「支払方法」が一括の場合、サインレスサービスが提供される。
図3に説明を戻す。
Act112において支払方法決定処理が行われ、支払方法が決定されると、CPU102は、その決定された支払方法が入力されるのを待ち受ける(Act113)。そして例えばタッチパネルへのタッチ操作によって該当する支払方法が入力されると(Act113のYES)、データ読取処理で読み取ったカード媒体の種別を判定する(Act114)。CPU102は、カード媒体が磁気カードの場合(Act114の「磁気カード」)、支払承認処理を実行する(Act114)。
CPU102は、カード媒体がICカードの場合(Act114の「ICカード」)、カード保有者の検証を行うか否かを判定する(Act115)。CPU102は、カード保有者の検証を行わない場合(Act115のNO)、支払承認処理を実行する(Act114)。
CPU102は、カード保有者の検証を行う場合(Act115のYES)、カード保有者の検証処理を実行する(Act116)。カード保有者の検証処理方法は、取扱カード会社情報ファイルに設定されている。CPU102は、取扱カード会社情報ファイルを参照してカード保有者の検証処理方法を取得し、その方法に応じた検証処理を行う。例えばカード保有者検証方法が暗証番号である場合、CPU102は、ピンパッド端末30による暗証番号入力を受け付ける。CPU102は、ピンパッド端末30で入力されたカード保有者検証情報である暗証番号を通信デバイス105により受信して、主記憶デバイス103に記憶する。カード保有者の検証処理を終えると、CPU102は、支払承認処理を実行する(Act114)。なお、支払方法の入力が不要な場合には、CPU102は、Act113の処理をスルーする。
図7は、CPU102によって実行される支払承認処理のフローチャートである。先ずCPU102は、カード認証を行う(Act301)。すなわちCPU102は、図3のAct111のデータ読取処理によって読み取ったカードデータと、Act112の支払方法決定処理によって決定され、入力された支払方法とを含むオーソリ情報を、通信デバイス105により決済サーバ60へと送信する。そしてCPU102は、正常承認を示すオーソリ応答を待ち受ける(Act302)。
ここで、決済装置10と決済サーバ60との間を接続するEthernetケーブルまたは電話線、あるいは無線LANまたは携帯電話回線などにおいて、つまり、図1に示す区間Aにおいて一時的な通信不良が発生すると、送信が完了しない。送信が完了しなかったと判定した場合つまり区間Aにおいて通信エラーが発生した場合、CPU102は、再送を行うか否かを判定する。これは、例えば、所定回数の再送を行ったか否かを判定するものであっても良いし、決済装置10に再送を行うことが許可されているか否かを判定するものであっても良い。再送を行わないと判定した場合には、CPU102は、制御処理をAct303の処理に進める。
これに対して、再送を行うと判定した場合には、CPU102は、オーソリ情報を決済サーバ60へ送信する再送処理を実行する。この再送処理が終了したならば、CPU102は、正常承認を示すオーソリ応答を待ち受ける(Act302)。
決済サーバ60は、決済装置10から送信されてきたオーソリ情報を、決済ネットワーク70を介してカード会社80へと送信する。そして、カード会社80から正常承認を示すオーソリ応答を受けて、決済サーバ60は、その正常承認を示すオーソリ応答を決済装置10へと返す。これに対して、図1に示すような決済サーバ60と決済ネットワーク70との間の区間である区間B、または、決済ネットワーク70とカード会社80との間の区間である区間Cにおいて通信エラーが発生して、オーソリ情報をカード会社80に送信できなかった場合には、決済サーバ60は、通信エラー応答を決済装置10へと返す。
なお、決済サーバ60は、決済ネットワーク70からのオーソリ応答が受信されたか否かにより、区間Bにおいて通信エラーが発生したか否かを判別できる。よって、決済サーバ60は、区間Bにおいて通信エラーが発生したと判別した際には、決済装置10へ区間Bで通信エラーが発生したことを示す通信エラー応答を送信する。また、決済ネットワーク70は、カード会社80からのオーソリ応答が受信されたか否かにより、区間Cにおいて通信エラーが発生したか否かを判別できる。よって、決済ネットワーク70は、区間Cにおいて通信エラーが発生したと判別した際には、決済サーバ60へ区間Cで通信エラーが発生したことを示す通信エラー応答を送信し、これを受信した決済サーバ60は、決済装置10へ区間Cで通信エラーが発生したことを示す通信エラー応答を送信する。
CPU102は、上記Act302において決済サーバ60から正常承認を示すオーソリ応答を受信したと判定した場合(Act302にてYES)、Act307の処理に進む。
これに対し、CPU102は、上記Act302において正常承認を示すオーソリ応答を受信できなかった場合(Act302のNO)、CPU102は、通信障害時の取扱方法を取得する(Act303)。すなわち決済サーバ60から通信エラー応答を受信した場合、あるいは正常承認を示すオーソリ応答を受信することなくタイムアウトした場合には、CPU102は、通信障害時の取扱方法を取得する。
各カード会社の通信障害時の取扱方法は、前述した取扱カード会社情報ファイルに設定されている。CPU102は、取扱カード会社情報ファイルを参照して、通信障害時の取扱方法を取得する。
CPU102は、取得した取扱方法を解析して、通信障害時でも取引が可能か否かを判定する(Act304)。取引が不可能な設定となっている場合(Act304のNO)、CPU102は、支払承認処理を終了する。
CPU102は、通信障害時でも取引が可能な設定となっている場合(Act304のYES)、キャンセル操作がなされたか否かを確認する(Act305)。例えばタッチパネルに表示されたキャンセルボタンがタッチ操作された場合(Act305のYES)、CPU102は、支払承認処理を終了する。
CPU102は、キャンセル操作がなされなかった場合、例えばタッチパネルに表示された実行ボタンがタッチ操作された場合には(Act305のNO)、CPU102は、通信障害売上処理を実行する(Act306)。すなわちCPU102は、今回のクレジット取引情報を通信障害の発生により支払承認が得られていない売上のデータとして主記憶デバイス103に登録する処理を実行する。その後、CPU102は、Act307の処理に進む。
Act307においては、CPU102は、カード保有者の検証処理を実行済か否かを判定する。カード保有者の検証処理が実行済の場合(Act307のYES)、CPU102は、Act312の処理に進む。
カード保有者の検証処理が実行済でない場合(Act307のNO)、CPU102は、設定されているカード保有者検証方法が電子署名可能か否かを判定する(Act308)。電子署名が不可能な場合、すなわち暗証番号検収済或いはサインレスの場合には、Act311の処理に進む。
これに対し、電子署名可能な場合には、CPU102は、電子署名を利用するか否かを判断する(Act309)。検証処理において暗証番号の入力が行われなかった場合、CPU102は、電子署名を利用すると判定する(Act309のYES)。そしてCPU102は、サイン端末40によるサイン入力を受け付ける(Act310)。CPU102は、サイン端末40で入力されたカード保有者検証情報であるサインの画像データを通信デバイス105により受信して、主記憶デバイス103に記憶する。こうして、電子署名処理を終了すると、CPU102は、Act311の処理に進む。
一方、Act309において電子署名を利用しない旨が判定された場合には(Act309のNO)、CPU102は、Act312の処理に進む。
なお、カード保有者検証のためのサイン入力に用いられるサイン端末40は、それ専用の端末であり、検証方法にサインを用いないカード媒体の保有者に対しては使用されることはなかった。そこで、このサイン端末40に、ポイントデータ及び販売促進情報を表示したり、ポイント利用の確認やクーポン券の発行などのカード保有者への操作確認情報を表示したりするサービス画面を表示することで、サイン端末40の有効利用を図っても良い。図8Aは、サイン端末40の表示画面41に表示されるサービス画面の一例として、ポイントデータとそれを利用する場合の確認キーとを表示した画面を示している。また、図8Bは、サービス画面の別の一例として、クーポン券情報とその発行確認とを表示した画面を示している。この場合、クーポン券は、決済装置10の印刷機106によって発行することができる。
Act311においては、CPU102は、印刷機106を制御して、売上票を発行させる。Act312においては、CPU102は、印刷機106を制御して、手書き署名用売上票を発行させる。こうして、売上票又は手書き署名用売上票が発行されたならば、CPU102は、支払承認処理を終了する。
支払承認処理が終了すると、CPU102は、図3に示したフローチャートの処理を終了する。その後は、CPU102は、次の買物客のためのクレジット宣言処理の開始を待つことになる。
かくして制御プログラムに基づく制御処理をCPU102が実行することによって、CPU102を中枢部分とするコンピュータは決済手段として機能する。
このように本実施形態によれば、決済対象の取引についての登録処理を行う登録装置50から送信された決済情報に基づく決済処理を、カード媒体から読み取ったJIS方式のデータとISO方式のデータとを組合せて使用して決済処理を行うので、カード媒体から読み取ったデータを有効に利用することが可能となる。
ところで、カード会社が同じであっても、ISO方式のデータとJIS方式のデータとでは、互いに共通の情報に加えて、互いに異なる情報も含んでいる。また、カード会社により、何れの情報が必要かは異なっている。また、同じカード会社であっても、提携先会社によって、何れの情報が必要かは異なっている。そこで、カード会社毎にどのような組合せのデータを使用して決済処理を行うかを示すカード会社設定と、提携先会社に応じたカード設定毎にどのような組合せのデータを使用して決済処理を行うかを示すカード取扱設定とを主記憶デバイス103又は補助記憶デバイス104に記憶しておく。これらカード会社設定及びカード取扱設定は、カード処理の優先度として組合せモードを選択する際に、記憶させることができる。そして、組合せ処理において、これらカード会社設定及びカード取扱設定に従って組合せのデータを選択して決済処理を行う。
例えば、ISO方式のデータが共通情報Aと非共通情報Bとを含み、JIS方式のデータが共通情報Aと非共通情報Cとを含み、カード会社設定が、当該カード会社は共通情報AとJIS方式の非共通情報Cとを使用するという組合せを示す場合には、ISO方式又はJIS方式の共通情報AとJIS方式の非共通情報Cとを使用して決済処理を行うことになる。但しこれは、JIS方式のデータに含まれる提携先会社コードによって特定される提携先会社が、カード取扱設定に該当がなく、カード会社設定によってのみ組合せのデータが決定できる場合である。
カード取扱設定に該当する提携先会社である場合には、カード取扱設定に従った決済処理が行われる。例えば、カード取扱設定がISO方式とJIS方式の両方の非共通情報を使用するという組合せを示す場合、ISO方式又はJIS方式の共通情報AとISO方式の非共通情報BとJIS方式の非共通情報Cとを使用して決済処理を行う。
なお、決済装置10は、カード媒体から読み取ったJIS方式のデータのみを使用して決済処理を行うJISモードと、カード媒体から読み取ったISO方式のデータのみを使用して決済処理を行うISOモードと、カード媒体から読み取ったJIS方式のデータとISO方式のデータとを組合せ使用して決済処理を行う組合せモードとを有しているので、JIS方式のデータのみ又はISO方式のデータのみを使用した決済処理も行うことができる。
さらに、これら3つのモードにおける優先度を設定することができることで、当該決済装置10を運用先に設置する時に、サービスマンなどの操作者が運用先の運用形態に合わせた設定を行うことが可能となっている。
なお、組合せモードにおいては、カード媒体から読み取ったカード会社を示す情報に基づいて、JIS方式のデータとISO方式のデータとの組合せ方法を決定するので、各カード会社が必要とするデータを使用した決済処理が可能となる。
あるいは、組合せモードにおいては、カード媒体から読み取った提携先会社を示す情報に基づいて、JIS方式のデータとISO方式のデータとの組合せ方法を決定するので、各提携先会社が必要とするデータを使用した決済処理が可能となる。
また、本実施形態によれば、カード媒体として磁気カードだけではなく、ICカードを用いた決済処理も可能であり、ISOモードでは、ICカードから読み取った発行国情報などにより、支払方法を決定することができる。
さらに、本実施形態によれば、カード保有者検証方法を、暗証番号固定、サイン固定、暗証番号/サイン選択の何れかを予め選択設定しておき、暗証番号/サイン選択が設定されていれば、ICカードを用いた実際の決済処理時には、買物客が事前に暗証番号とサインの何れかを選択可能としている。これにより、海外からの旅行者に対する決済処理をスムーズに行えるようになる。
なお、本発明は、前記実施形態に限定されるものではない。
例えば、優先度記憶部1041、検証方法記憶部1042及びフラグ記憶部1043を主記憶デバイスに設けても良い。
また、決済装置を、決済装置10の機能に加えて、読取端末20及びピンパッド端末30の少なくとも一方の機能を備えるものとして実現することも可能である。
読取端末20及びピンパッド端末30の少なくとも一方は、決済装置10に接続されなくても良い。
表示装置108とタッチ検出部材109でなるタッチパネルに代えて、液晶ディスプレイ等の表示装置及びキーパッド等の入力装置を設けても良い。この場合にCPU102は、タッチ操作の代わりに当該入力装置での操作を入力する。
表示装置108は、有機EL(electric-luminescence)ディスプレイ、ブラウン管ディスプレイ又は電子ペーパなど液晶ディスプレイ以外の表示デバイスを用いることもできる。
決済装置10は、現金等による決済の機能を備えていても良い。
この他、本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。