JP6911800B2 - 粒子の製造方法 - Google Patents

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Description

本開示は、粒子の製造方法に関する。
溶液中から粒子を析出させる従来の技術としては、容器内の溶液を加熱して溶媒を蒸発させて除去することにより粒子を得る方法(以下、「蒸発乾固法」という。)、溶液を熱風中に噴霧して溶媒を気相中で蒸発させて乾燥粉末として粒子を析出させる方法(以下、「スプレードライ法」という。)、及び溶質を良溶媒に溶解した溶液を良溶媒よりも高い温度に加熱された貧溶媒に滴下して良溶媒を蒸発させて粒子と貧溶媒とのスラリーを得る方法(以下、「良溶媒と貧溶媒を用いる一般的な方法」という。)が挙げられる。
良溶媒と貧溶媒を用いる一般的な方法の具体例としては、特許文献1が挙げられる。特許文献1では、良溶媒を良溶媒よりも高い温度に加熱した貧溶媒に滴下する方法において、良溶媒の沸点と貧溶媒の加熱温度差を約40℃とすることが開示されている。
また、特許文献2には、良溶媒及び良溶媒に溶解している複数の原料成分を含有している良溶媒溶液を、良溶媒の沸点よりも165℃以上高い温度に加熱された貧溶媒に噴霧することにより、良溶媒溶液を蒸発させて、複数の粒子を析出させる、粒子を製造する方法が開示されている。同文献には、LiS、LiI、及びLiBrを原料成分として用い得ることが開示されている。
特開平7−316087号公報 特開2017−18872号公報
良溶媒に原料成分が溶解されている良溶媒溶液を、良溶媒の沸点よりも高温に加熱された貧溶媒に接触させることで、良溶媒溶液を蒸発させて、粒子を析出させる、粒子の製造方法が知られている。このような方法では、原料成分がLiSを含んでいる場合、良溶媒の種類によっては、良溶媒とLiSの一部が反応し、反応物が析出した粒子中に不純物として残留する場合がある。粒子中に存在する不純物は、例えば当該粒子を原料として製造される製品の品質を低下させる場合がある。したがって、上記粒子の製造方法において、製造される粒子中の不純物を低減させることが求められている。
したがって、本開示の目的は、LiSを原料成分の一つとして用いる方法であって、不純物を低減した粒子を製造する方法を提供することにある。
本発明者は、以下の手段により上記目的を達成できることを見出した。
[1]良溶媒に原料成分が溶解されている良溶媒溶液を、前記良溶媒の沸点よりも高温に加熱された貧溶媒に接触させることで、前記良溶媒溶液を蒸発させて、粒子を析出させる、粒子の製造方法であって、
前記原料成分がLiSを含んでおり、かつ
前記良溶媒がエタノールである、
粒子の製造方法。
本開示によれば、LiSを原料成分の一つとして用いる方法であって、不純物を低減した粒子を製造する方法を提供することができる。
図1Aは、本開示の方法の実施態様の一例を図示したものである。 図1Bは、本開示の方法の実施態様の別の一例を図示したものである。 図1Cは、良溶媒中にHSを溶解させて本開示の方法を実施する方法の一例を図示したものである。 図1Dは、貧溶媒中にHSを溶解させて本開示の方法を実施する方法の一例を図示したものである。 図2は、Li塩をメタノールに溶解後、乾燥させることにより得られた粉末のX線回折測定結果を示した図である。 図3は、LiSを炭素数1〜4のアルコールに溶解後、乾燥させることにより得られた粉末のX線回折測定結果を示した図である。 図4は、実施例1及び比較例1の方法により得られた粒子中に残留しているリチウムアルコキシドの量を比較したグラフである。 図5は、実施例1及び比較例1の方法により得られた粒子を原料として作製した固体電解質のリチウムイオン伝導度を比較したグラフである。
以下、本開示の実施の態様について詳述する。なお、本開示は、以下の実施形態に限定されるのではなく、本開示の要旨の範囲内で種々変形して実施できる。
本開示は、良溶媒に原料成分が溶解されている良溶媒溶液を、良溶媒の沸点よりも高温に加熱された貧溶媒に接触させることで、良溶媒溶液を蒸発させて、粒子を析出させる、粒子の製造方法であって、原料成分がLiSを含んでおり、かつ良溶媒がエタノールである、粒子の製造方法に関する。
原理によって限定されるものではないが、本件開示における作用原理は、以下のとおりであると考える。
良溶媒に原料成分が溶解されている良溶媒溶液を、良溶媒の沸点よりも高温に加熱された貧溶媒に接触させることで、良溶媒溶液を蒸発させて、粒子を析出させる、粒子の製造方法において、例えばLiS、LiI、及びLiBr等を原料成分として用いて得られる粒子は、硫化物固体電解質の原料として用いることができる。
このような粒子を製造する際には、良溶媒としてアルコール、特に、沸点が最も低くかつ安価に入手可能であるメタノールを用いることが考えられる。しかしながら、良溶媒としてメタノールを用いた場合、製造される粒子中にリチウムメトキシドが不純物として残留する場合がある。粒子中にこのような不純物が存在すると、当該粒子を原料として製造された硫化物固体電解質のリチウムイオン伝導度が低下する要因の一つと成り得る。
後述の参考例1で示すように、本発明者は、特にLiSがメタノールと反応してリチウムメトキシドが生成し、これが不純物となることを見出した。後述の参考例2で示すように、本発明者はさらに、良溶媒としてエタノールを使用した場合、他のアルコールを使用した場合に比してリチウムアルコキシドの生成が少ないことを見出した。すなわち、本開示は、原料成分がLiSを含んでいる場合に、製造される粒子中の不純物を減少させるものであり、LiI及びLiBr等の他の原料成分は必須ではなく、製造される粒子も硫化物固体電解質の原料に限定されない。
(良溶媒)
本開示において、良溶媒とは、本開示における原料成分のうち全部又は一部を溶解することができ、かつ本開示における貧溶媒よりも原料成分の溶解度が高い溶媒である。本開示における良溶媒は、エタノールである。
(原料成分)
本開示において、原料成分とは、本開示によって製造される粒子の原料となる成分であり、LiSを含んでいる。原料成分は、さらにLiI、及びLiBrを含んでいてよい。
原料成分を良溶媒に溶解させる方法は、特に限定されない。例えば、LiS、LiI、及びLiBrを、それぞれ所定の割合で良溶媒に溶解させる前に、又は溶解させた後に、HSガスを、例えば吹き込みにより溶解し、LiSのS2−をSHに変化させてLiHSに変換することにより、LiHS、LiI、及びLiBrが溶解した良溶媒溶液としてもよい。HSの溶解について、詳しくは後述する。
(良溶媒溶液)
本開示における良溶媒溶液は、良溶媒に原料成分を溶解させた溶液である。良溶媒溶液における複数の原料成分の濃度は特に限定されないが、合計で5g/l以上、10g/l以上、20g/l以上、又は50g/l以上が好ましい。これは、良溶媒溶液中の原料成分の濃度が高い方が、より複合化の程度の高い粒子を得ることができるためである。
(貧溶媒)
本開示における貧溶媒は、良溶媒よりも原料成分の溶解度が低い溶媒である。本開示における貧溶媒は、得られる粒子の溶解度も低くてよい。本開示における貧溶媒は、良溶媒の沸点よりも高い温度に加熱されている。
良溶媒の沸点と貧溶媒が加熱される温度との差は、120℃以上、130℃以上、140℃以上、150℃以上、又は160℃以上であってよい。貧溶媒の温度を、良溶媒の沸点よりも高い温度に設定するための加熱の方法は特に限定されない。この加熱方法としては、目的とする温度にまで貧溶媒を加熱することができる方法であれば、いかなる方法も使用することができる。貧溶媒の温度が良溶媒の沸点よりも高ければ高いほど良溶媒の蒸発速度が速くなる。このことから、貧溶媒の加熱温度は特に上限はないが、貧溶媒の沸点以下が好ましい。
本開示における貧溶媒としては、特に限定されないが、良溶媒の沸点よりも高い温度に加熱されることから、常圧においてその温度に加熱することができる程度に沸点が高い貧溶媒が用いられる。貧溶媒としては、比較的に沸点の高い溶媒である、例えばドデカン(沸点約216℃)、トリデカン(沸点約235℃)等が挙げられる。貧溶媒は本開示に使用される良溶媒の沸点との関係を考慮して選択されることが好ましい。したがって、良溶媒としてのエタノール(沸点約78℃)よりも有意に高い沸点を有する貧溶媒を選択できる。
(HSの溶解)
本開示においては、良溶媒溶液が、良溶媒にさらにHSを溶解して得られたものであること、及び貧溶媒にHSが溶解されていること、のうちの少なくとも一方を満たしてもよい。良溶媒及び貧溶媒のうちの少なくとも一方における、溶解後のHSの濃度は、任意であってよい。これらの溶媒中のHS濃度は、例えば、飽和濃度であってよい。
良溶媒及び/又は貧溶媒にHSを溶解させるために、例えば、これらの溶媒中へのHSの吹き込み、例えばバブリングの形式で導入する方法を採用してよい。このとき、HSのみを吹き込んでもよく、HSと不活性気体との混合ガスを吹き込んでもよい。不活性気体は、例えば、窒素、ヘリウム、アルゴン等であってよい。バブリングの際に、HSの供給量と排出量とをモニターし、両者が略同一量で安定したときに、これらの溶媒中のHS濃度が飽和濃度に達したと評価してよい。
Sは、良溶媒及び貧溶媒のどちらに溶解してよいが、貧溶媒に対するHSの溶解度が低い、例えばトリデカンのような場合には、LiSとHSとの反応を十分に進行させる観点から、少なくとも良溶媒中にHSが溶解されることが好ましい。
LiSは、HSが存在すると、下記の反応によってS2−イオンがSHイオンに転化して、LiHSが生成する。
Figure 0006911800
LiHSは、HSを放出してLiSに変化しやすい。そして、粒子が析出する際に、HSを放出する際の結晶格子の振動により良溶媒が引き剥がされる。そのため、析出した粒子中に良溶媒が取り込まれにくい。
従って、良溶媒及び貧溶媒のうちの少なくとも一方にHSを溶解させて、良溶媒溶液中のLiSをLiHSに変換することにより、製造された粒子中への良溶媒の残存量を少なくすることができると考えられる。
粒子中への良溶媒の残存量を少なくすることにより、粒子中に取り込まれた良溶媒を除去するための、相転位温度以上の加熱が不要となり、粒子形状、複合状態等が不必要に変化することを抑制できる。また、製造された粒子を例えばリチウム電池の固体電解質の原料粒子として使用した場合には、粒子中への良溶媒の残存量を少なくすることにより、良溶媒の混入によるリチウムイオン伝導度の低下を抑制できる。
(接触の方法)
本開示において、良溶媒溶液は、良溶媒の沸点よりも高い温度に加熱された貧溶媒と接触する。良溶媒溶液と貧溶媒との接触方法は、特に限定されない。具体的には、例えば、貧溶媒の液面上方から良溶媒溶液を滴下する方法、貧溶媒の液面上方から良溶媒溶液を噴霧する方法、貧溶媒中に浸した状態のノズル先端から良溶媒溶液の液滴として注入する方法等であってよい。良溶媒溶液と貧溶媒との接触の際に使用されるノズルは、例えば、チューブノズル、多孔体ノズル、噴霧ノズル等であってよい。噴霧ノズルとしてより具体的には、圧力ノズル、インジェクタ、一流体噴霧ノズル、二流体噴霧ノズル等が挙げられる。
良溶媒溶液と貧溶媒との接触のときの良溶媒溶液の液滴径は、特に限定されないが、瞬時に蒸発しやすいという観点から、1mm以下が好ましく、500μm以下がより好ましく、100μm以下がより好ましい。
本開示の方法は、例えば図1A及び図1Bに図示される装置により実施することができる。図1Aは、良溶媒溶液を貧溶媒の液中に注入する例であり、図1Bは、良溶媒溶液を貧溶媒の液面上方から噴霧する例である。
図1Aに示した方法では、先ず、貧溶媒(60)を反応容器(10)に入れて、加熱装置(20)によって良溶媒の沸点よりも高い温度に加熱する。その後、良溶媒溶液(30)を、例えば一流体噴霧ノズル(40)により微小液滴状の良溶媒溶液(50)として、高温の貧溶媒(60)の液中に注入して接触させる。注入された液滴状の良溶媒溶液(50)が高温の貧溶媒(60)と接触した後に、良溶媒は蒸発し、粒子が貧溶媒(60)中に析出する。蒸発した良溶媒は、予め容器内に流通している流通ガス(70)とともに、反応容器(10)の外に排気される。
図1Bに示した方法は、良溶媒溶液(30)を、例えば噴霧ノズル(41)により霧状の良溶媒溶液(51)として、加熱された貧溶媒(60)の液面に噴霧して接触させる他は、図1Aに示した方法と略同様に実施されてよい。噴霧された霧状の良溶媒溶液(51)が加熱された貧溶媒(60)の液面に接触した後に、霧状の良溶媒溶液(51)中の良溶媒は蒸発し、粒子が貧溶媒(60)中に析出する。蒸発した良溶媒は、あらかじめ容器内に流通している流通ガス(70)と共に、容器の外に排気される。
図1Cに、良溶媒中にHSを溶解させて本開示を実施する方法の一例を図示した。
図1Cの方法によると、例えば、適当な容器(80)中で、原料成分、例えばLiS、LiI、及びLiBrを良溶媒に溶解して良溶媒溶液とした後、得られた良溶媒溶液にHSを吹き込むことによって、良溶媒中にHSを溶解させる。ここで溶解されたHSの存在により、良溶媒溶液中のLiSはLiHSに変換される。LiS、LiI、及びLiBrを溶解する前の良溶媒に、HSを溶解させてもよい。
Sの吹き込みは、例えば、良溶媒又は良溶媒溶液中に挿入した管を介して行ってよい。HSは、適当な不活性ガス、例えばAr等との混合ガスとして吹き込んでよい。この場合、吹き込みの初期には容器(80)からは実質的にArのみが排気されるが、液中のHS濃度が飽和に近づくと、ArとともにHSが排気されてくる。この排気の組成を追跡することよって、液中のHS濃度を推定してよい。
次いで、HS濃度が十分に高くなった良溶媒溶液を反応原料用容器(85)に移し、例えばポンプを用いて、反応容器(10)中の貧溶媒(60)中に良溶媒溶液の液滴(50)として注入してよい。このとき、反応容器(10)内には流通ガス(70)を流通させてよい。
図1Dに、貧溶媒中にHSを溶解させて本開示の方法を実施する方法の一例を図示した。
図1Dの方法によると、図1Aに示した方法において、反応容器(10)内に流通ガス(70)を流通させる代わりに、貧溶媒(60)中にHSを吹き込むことによって、貧溶媒(60)中にHSを溶解させることができる。HSの吹き込みは、例えば、貧溶媒中に挿入した管を介して行ってよい。HSは、適当な不活性ガス、例えばAr等との混合ガスとして吹き込んでよい。この場合、排気の組成を追跡することよって、貧溶媒中のHS濃度の推定ができることは、図1Cの場合と同様である。図1Dの方法による場合、良溶媒溶液と貧溶媒との接触は、貧溶媒中のHS濃度が十分に高くなった後に開始することが好ましい。
本開示の方法においては、例えば、図1Cに図示した態様と、図1Dに図示した態様とを重畳的に行い、良溶媒及び貧溶媒の双方にHSを溶解させて実施してもよい。
図1C及び図1Dには、良溶媒溶液と貧溶媒との接触を、微小液滴状の良溶媒溶液(50)として貧溶媒(60)の液中に注入して接触させる方法について示した。しかし、図1C及び図1Dの方法において、その他の接触方法を採用してもよい。
上記の図1A〜Dは、本開示の実施態様をこれらの態様に限定する趣旨ではない。
<参考例1:LiS、LiI、及びLiBrとメタノールとの相互作用>
LiS、LiI、及びLiBrとメタノールとの相互作用を確認するため、LiS、LiI、LiBr、及びこれらの組合せから選択されるリチウム塩をそれぞれメタノールに溶解後、ホットプレートで乾燥させ、得られた粉末をX線回折測定した。
図2は、上記のリチウム塩をメタノールに溶解後、乾燥させることにより得られた粉末のX線回折測定結果を示している。図2において、X線回折測定結果は、上から順に、リチウム塩がLiS、LiI、及びLiBrを全て含んでいる場合(i)、LiI及びLiBrを含んでいる場合(ii)、LiS及びLiBrを含んでいる場合(iii)、LiS及びLiIを含んでいる場合(iv)、LiBrのみの場合(v)、LiIのみの場合(vi)、並びにLiSのみの場合(vii)の測定結果を示している。矢印部分にあるピークは、リチウムメトキシドの存在を示すピークである。
図2のとおり、リチウム塩がLiSを含んでいる場合((i)、(iii)、(iv)、(vii))のみ、2θ=12°付近においてピークが見られた。これは、LiSはメタノールと相互作用して複合結晶を生成するが、LiI及びLiBrはメタノールと相互作用して複合結晶を生成しないことを示している。
<参考例2:LiSと炭素数1〜4のアルコールとの相互作用>
LiSと良溶媒としてのアルコールとの相互作用を確認するため、LiSをメタノール、エタノール、1−プロパノール、1−ブタノールそれぞれに溶解後、ホットプレートで乾燥させ、得られた粉末をX線回折測定した。
図3は、LiSを炭素数1〜4のアルコールに溶解後、乾燥させることにより得られた粉末のX線回折測定結果を示した図である。図3において、X線回折測定結果は、一番上が、LiSのX線回折測定結果(i)であり、それ以下は、順にLiSをメタノール、エタノール、1−プロパノール、及び1−ブタノールそれぞれに溶解後、ホットプレートで乾燥させて得られた粉末のX線回折測定結果((ii)〜(v))を示している。図3において、ひし形のマーカーが付されているピークは、LiS由来のピークであり、米印のマーカーが付されているピークは、治具由来のピークである。矢印のマーカーが付されているピークは、リチウムアルコキシド等の不純物に由来するピークである。
図3のとおり、LiSをメタノール、1−プロパノール、及び1−ブタノールにそれぞれ溶解させた場合((ii)、(iv)、及び(v))には、2θ=5°〜15°付近においてピークが見られた。これは、メタノール、1−プロパノール、及び1−ブタノールがそれぞれLiSと相互作用した複合結晶が存在することを示している。これに対して、LiSをエタノール溶解させた場合(iii)には、2θ=5°〜15°付近においてピークが存在しなかった。これは、メタノール、1−プロパノール、及び1−ブタノールと異なり、エタノールがLiSと相互作用した複合結晶がほとんど存在しないことを示している。
<実施例及び比較例>
(実施例1)
良溶媒としてのエタノール(沸点約78℃)300mLに、原料成分としてLiSを8.33g、LiIを4.04g、及びLiBrを2.63g溶解させた。各原料成分に微量に含まれている不溶性成分(LiCO等)を、0.2μmメッシュを用いて吸引ろ過により取り除き、LiS、LiI、及びLiBr(モル比6:1:1)が、エタノール溶液中の原料成分濃度が合計で50g/Lになるように溶解されたエタノール溶液を作製した。このエタノール溶液を500mL丸底フラスコに入れた。フラスコ内のエタノール溶液中に、バブリング管を用いて、HSとArとの混合ガス(モル比1:1)を400mL/分の流量にて1.5hr吹き込んだ(図1C参照)。以上の操作により、LiSのS2−をSHに転化させて、LiHS、LiI、及びLiBr(モル比12:1:1)が溶解した良溶媒溶液を作製した。
貧溶媒としてのトリデカン(沸点約235℃)350mLを500mL丸底フラスコに入れ、200℃に加熱したオイルバスに入れた。貧溶媒の温度が安定した後、良溶媒溶液を、貧溶媒中に浸したチューブノズル(1/16インチPFAチューブ、内径500μm)を通して、約8mL/分で20分間にわたって、貧溶媒中に注入した。その後、注入を止め、200℃で1時間保持した。貧溶媒中に析出した析出物をグローブボックス内でろ別して回収し、実施例1の粒子を得た。実施例1における良溶媒の沸点と貧溶媒の温度との差は、約122℃であった。
実施例1の粒子にPを適量加え、加熱遊星ボールミルに投入し、130℃で7.5時間ミリングし、得られた混合物をアルゴン雰囲気下、205℃で3時間加熱し、ガラスセラミック化された実施例1の硫化物固体電解質を得た。
(比較例1)
良溶媒としてメタノール(沸点約65℃)を用いたこと及び貧溶媒の温度を230℃としたことを除いて、実施例1と同様にして比較例1の粒子を得た。比較例1における良溶媒の沸点と貧溶媒の温度との差は、約165℃であった。また、実施例1と同様にしてガラスセラミック化された比較例1の硫化物固体電解質を得た。
(評価1)
実施例1の粒子及び比較例1の粒子中に残留するリチウムアルコキシドの量を測定し、その結果を図5に示した。図5のグラフのとおり、実施例1の粒子については、リチウムアルコキシドの量が0.18mol/kgであったのに対して、比較例1の粒子については、リチウムアルコキシドの量が0.57mol/kgであった。このことは、良溶媒としてメタノールを用いた場合と比較して、良溶媒としてエタノールを用いた場合には、不純物であるリチウムアルコキシドの生成を大幅に削減できることを示している。
(評価2)
実施例1の硫化物固体電解質及び比較例1の硫化物固体電解質のリチウムイオン伝導度を測定し、その結果を図6に示した。図6のグラフのとおり、実施例1の硫化物固体電解質のリチウムイオン伝導度は5.1ms/cmであるのに対して、比較例1の硫化物固体電解質のリチウムイオン伝導度は4.6ms/cmであった。このことは、良溶媒としてエタノールを用いることにより、不純物であるリチウムアルコキシドの生成を大幅に削減した粒子を原料とすることで、硫化物固体電解質のリチウムイオン伝導度を向上させることができることを示している。
10 反応容器
20 加熱装置
30 良溶媒溶液
40 一流体噴霧ノズル
41 噴霧ノズル
50 液状の良溶媒溶液
51 霧状の良溶媒溶液
60 貧溶媒
70 流通ガス
80 容器
85 反応原料用容器

Claims (2)

  1. 良溶媒に複数種の原料成分が溶解されている良溶媒溶液を、前記良溶媒の沸点よりも高温に加熱された貧溶媒に接触させることで、前記良溶媒溶液を蒸発させて、複数種の前記原料成分が複合化されている粒子を析出させる、粒子の製造方法であって、
    前記原料成分がLiSを含んでおり、かつ
    前記良溶媒がエタノールである、
    粒子の製造方法。
  2. 前記原料成分が、Li S、LiI、及びLiBrである、請求項1に記載の製造方法。
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