JP6911502B2 - 加熱電極シート、加熱電極シートロール - Google Patents

加熱電極シート、加熱電極シートロール Download PDF

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Description

本発明は、通電することでジュール熱(Joule heat)により発熱する発熱導体を備える加熱電極シート、及びこれが帯状に形成されて巻かれた加熱電極シートロールに関する。
従来、特許文献1〜特許文献3に記載のように、自動車、鉄道、航空機、及び船舶等の乗り物のガラス窓、並びに、建物のガラス窓に対して、通電することにより加熱し、ガラス窓の凍結や曇りを解消する通電加熱パネルの技術がある。このような通電加熱パネルは、2枚のガラス板の間に加熱電極シートを具備して構成されている。そして当該加熱電極シートは、離隔して配置された一対のバスバー電極、及び、この一対のバスバー電極間を渡すように配置された発熱導体を有しており、一対のバスバー電極に電源を接続することで発熱導体に通電可能とされ、通電させることで発熱導体を発熱させてガラス窓を加熱できるように構成されている。
特開平8−72674号公報 特開平9−207718号公報 特開2013−56811号公報
このような加熱電極シートは、上記のように2枚のガラス板の間に配置され、その両面に設けられた接着剤によりガラスに接着される。しかしながら、このようにガラス板に接着されて通電加熱パネルとされるのは、通常は加熱電極シートの製造とは異なる工程で行われる。さらには、このようにガラス板に接着する工程についてもすぐに行われるとは限らず、その間は倉庫に保管されたり、異なる場所に輸送されたりする。
従って、加熱電極シートは、その製造後に発熱導体の上から粘着層が設けられた保護シートが貼り付けられて保護されている。
しかしながら、保護シートの粘着力が足りない場合には、保管や輸送中に保護シードはがれて発熱導体に錆びが生じることがある。一方、保護シートの粘着力が強い場合には保護シートを剥がす際に発熱導体を断線させてしまうことがあった。
そこで本発明は、保管や輸送、及び保護層の剥離時において、特に発熱導体に不具合が生じ難い加熱電極シートを提供することを課題とする。また、このようなシートが巻かれた加熱電極シートロールを提供する。
以下本発明について説明する。ここでは理解容易のために図面の参照符号を付記するが、本発明はこれに限定されるものではない。
本発明の1つの態様は、基材層(11)と、基材層の一方の面に配置された発熱導体(14)と、発熱導体を覆うように配置される接着剤層(15)と、を備える、加熱電極シート(10)である。
この加熱電極シートでは、発熱導体(14)と基材層(11)との間に発熱導体用接着剤層(12)が設けられてもよい。
接着剤層(15)のうち、基材層(11)とは反対側に配置された剥離可能な保護シート(16)を備えてもよい。
また、上記加熱電極シートが複数配列された帯状のシートが巻かれてなる加熱電極シートロールを提供することができる。
本発明によれば、保管や輸送において、発熱導体に不具合が生じ難い加熱電極シート又はこれを巻いた加熱電極シートロールとすることができる。
加熱電極シート10を説明する平面図である。 加熱電極シート10の層構成を説明する断面図である。 発熱導体14の1つの例である。 加熱電極シート10を説明する斜視図である。 図5(a)は発熱導体14’を説明する図、図5(b)は発熱導体14”を説明する図である。 発熱導体14の断面形態について説明する図である。 図7(a)〜図7(d)は、加熱電極シート10の作製方法を説明する図である。 加熱電極シートロール20について説明する図である。 通電加熱パネル30を説明する平面図である。 通電加熱パネル30の層構成を説明する断面図である。
以下本発明を図面に示す形態に基づき説明する。ただし、本発明はこれら形態に限定されるものではない。なお、図面に表れる各部材は理解し易さの観点から大きさや形状を誇張、変形して表すことがある。
図1は加熱電極シート10を平面視した概念図、図2は図1に示したII−II線による断面図である。図3には図1にIIIで示した部位の拡大図で、発熱導体14の1つの例である発熱導体14の拡大図を示した。図4には加熱電極シート10の一部を斜視図で表している。
加熱電極シート10は、通電することによって発熱し、後述する通電加熱パネル30に備えられて通電加熱パネル30を加熱するよう構成されている。図1〜図4よりわかるように、加熱電極シート10は全体として板状であり、複数の層が厚さ方向(図1、図2に示したZ軸方向)に積層してなる。より具体的には、本形態の加熱電極シート10は、図2の断面図に示す如く基材層11、発熱導体用接着剤層12、バスバー電極13、発熱導体14、パネル用接着剤層15、及び保護層16を有している。
基材層11は、加熱電極シート10の、特にバスバー電極13及び発熱導体14がその一方の面上に配置されて、該バスバー電極13及び発熱導体14を支持する基材として機能する層である。基材層11は透明な板状の部材であり、樹脂により形成されている。基材層11を形成する樹脂としては可視光線波長帯域の波長(380nm〜780nm)を透過するものであれば如何なる樹脂でも良いが、好ましくは熱可塑性樹脂を用いることができる。熱可塑性樹脂としては、例えばポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナレフタレート、アモルファスポリエチレンテレフタレート(PET)等のポリエステル樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリメチルペンテン、環状ポリオレフィン等のポリオレフィン樹脂、ポリメチルメタクリレート等のアクリル樹脂、トリアセチルセルロース(三酢酸セルロース)等のセルロース系樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリスチレン、アクリロニトリル−スチレン共重合体等のスチレン系樹脂、ポリ塩化ビニル、等を挙げることができる。その中でもPETが、エッチング耐性、耐候性、耐光性に優れていることから好ましい。PETはその屈折率が1.58前後である。
基材層11の厚さとしては、20μm以上300μm以下が一般的である。
発熱導体用接着剤層12は、基材層11と発熱導体14との間に配置され、両者の密着性を向上させる機能を有する接着剤層である。ここに用いられる接着剤は、ドライラミネート方式の貼り合せ方法に用いられるものが好ましい。ドライラミネートとは、互いに貼り合せるべき2層の基材に対してその貼り合せ面の少なくとも一方に溶剤で溶解した液状の接着剤を塗布し、該接着剤の塗布層を乾燥後に、該接着剤層を間に介して積層した両層を1対の加熱ロールに挟持して加圧して貼り合わせる貼り合せ方法である。かかる貼り合せ方法で用いられる接着剤の材料としては、特に限定されることはなく公知のものを用いることができるが、例えば、熱硬化型樹脂が代表的である。具体的には、アクリルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリカーボネートポリオール、ポリエーテルポリオール等のポリオールから選ばれた1種以上を主剤とし、これにトリレンジイソシアネート、キシレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート等のイソシアネート化合物の多量体又は附加体から選ばれた1種以上を硬化剤とする2液硬化型ウレタン樹脂、ビスフェノールAとエピクロルヒドリンの共重合体等のプレポリマーから選ばれた1種以上を主剤とし、ポリアミン、又は酸無水物等を硬化剤とする2液硬化型エポキシ樹脂等が挙げられる。これらの中でも、ポリエステルポリオールを主剤とする2液硬化型ポリエステル系ウレタン、ポリカーボネートポリオールを主剤とする2液硬化型ポリカーボネート系ウレタン等を好適に用いることができる。
本形態でバスバー電極13は、第一バスバー電極13a及び第二バスバー電極13bから形成されている。第一バスバー電極13a、第二バスバー電極13bはそれぞれ一方向(図1においてはX軸方向)に延びる帯状であり、第一バスバー電極13aと第二バスバー電極13bとは間隔を有して同じ方向に延びる(略平行となる)ように配置されている。
このような第一バスバー電極13a及び第二バスバー電極13bは公知の形態を適用することができ、帯状である当該電極の幅は3mm以上15mm以下が一般的である。
発熱導体14は、第一バスバー電極13aと第二バスバー電極13bとを渡すように両バスバー電極13a、13bと交差する方向(図1においてはY軸方向)に延在して配置される。そして、第一バスバー電極13aと第二バスバー電極13bとが当該発熱導体14により電気的に接続されている。この発熱導体14が通電により発熱する。
本形態ではこのような発熱導体14が、第一バスバー電極13a及び第二バスバー電極13bの長手方向(図1においてはX軸方向)に複数配列されている。
また発熱導体14が延びる方向における形態は特に限定されることはないが、光芒を緩和する観点から、平面視(図1の視点)で発熱導体14は図3に示したように波型であることが好ましい。
ただし、発熱導体の形態は波型に限定されることはなく、図5(a)に示した直線状の発熱導体24’や、図5(b)に示したメッシュ状の発熱導体24”を適用することもできる。
また、発熱導体14の断面形状は次のように構成されていることが好ましい。図6には、図2にVIで示した部位を拡大した図を示した。
発熱導体14は、加熱電極シート10の厚さ方向において、発熱導体14の一方側(本形態では発熱導体用接着剤層12側)の面を平面視した長さ0.01mあたりの表面積をS、その反対側の面を平面視した長さ0.01mあたりの表面積Sとしたとき、
0μm<S−S≦30000μm
が成立することが好ましい。ここで「長さ」とは、延びる発熱導体14のある0.01mを取り出したときにおける一端と他端との距離である。より好ましくは、
0μm<S−S≦15000μm
である。
これによれば、発熱導体14を視認されない幅で作製した際に、断面積を大きくとることができ、さらに高い出力(発熱量)を得ることが可能である。矩形(長方形)を作製することができれば理想ではあるが、エッチングにより作製することはいわゆるサイドエッジの性質上、困難がある。
上記範囲を満たしつつ、その他の部位において次のように構成することが好ましい。図6に説明のための符号を付している。
図6にBで示した、隣り合う発熱導体24の間隔B(発熱導体24における開口部に相当する)は、0.1mm以上5.0mm以下であることが好ましい。より好ましくは0.4mm以上である。
また、当該断面において、上記S側の辺の長さ(線幅)をW、及びその反対側(S側)の辺の長さ(線幅)をWとしたとき、
>W
3μm≦W≦15μm、及び
1μm≦WT≦12μm
が成り立つことが好ましい。
なお、この断面は、その部位において最小断面になるように切断された面とする。また、発熱導体14の表面に凹凸が形成されている場合には当該凹凸を含めた最小面積の断面を考えるものとする。
また、発熱導体14の厚さHは、2μm以上30μm以下であることが好ましい。
発熱導体14は、隣り合う発熱導体14とのピッチPが、0.1mm以上、5.0mm以下とされることが好ましい。ピッチPを0.1mmより小さくすると複数の発熱導体14が密に配置されて、通電加熱パネル10としたときに光の透過率が許容される範囲を超えて暗くなってしまう虞がある。一方、ピッチPが5.0mmより大きいと均一な加熱性能が低下したり、発熱導体14が視認されたりする虞がある。
発熱導体14を構成する導体材料としては例えばタングステン、モリブデン、ニッケル、クロム、銅、銀、白金、アルミニウム等の金属、或いはこれら金属を含むニッケル−クロム合金、青銅、真鍮等の合金をエッチングによりパターン形成してなす部材を挙げることができる。
パネル用接着剤層15は、バスバー電極13、及び発熱導体14を含み、発熱導体用接着剤層12と、後述する第二パネル32と、を接着する層である。すなわち、パネル用接着剤層15は発熱導体14の表面を覆うとともに、隣り合う発熱導体14の間の開口に充填されており、発熱導体用接着剤層12と接触している。
ここに用いられる接着剤としては特に限定されることはないが、接着性、耐候性、耐熱性透明性等の観点からポリビニルブチラール樹脂(PVB)を用いることができる。
パネル用接着剤層15の厚さは特に限定されることはないが、発熱導体14の厚さ(図6のH)より厚くなることが好ましい。これにより、パネル用接着剤層15により発熱導体14を保護することができる。より具体的には0.2mm以上1.0mm以下であることが好ましい。
パネル用接着剤層15の中には、必要に応じて、ベンゾトリアゾール系化合物、ベンゾフェノン系化合物等の紫外線吸収剤、赤外線吸収剤、帯電防止剤等の各種添加剤を添加することができる。
保護層16は、パネル用接着剤層15のうち発熱導体用接着剤12とは反対側に配置されるシート状の部材であり、保護層として配置されるものである。従って、保護層16は、通電加熱パネル10の製造時には剥がすことができるように構成されている。
このような保護層としては特に限定されることはないが、透明樹脂板や光学シートの保護に用いられる保護フィルムを用いることができる。これには例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレン、ポリエチレン等の樹脂に剥離可能にアクリル粘着層が形成されたフィルムを挙げることができる。
以上のような加熱電極シート10によれば、発熱導体14はパネル用接着剤層15により囲まれており、空気に晒されることが無いので長期間の保管、及び運搬によっても錆の発生を防止することができる。また、保護層16はパネル用接着剤層15に積層されているので、保護層16を剥がす際に発熱導体14が断線することもない。すなわち、保管や輸送、及び保護層の剥離時において、発熱導体に不具合が生じ難い加熱電極シートとすることができる。
加熱電極シート10は例えば次のように製造することができる。図7(a)〜図7(d)に説明のための図を示した。
先ず、図7(a)に示したように、金属箔14aを、樹脂フィルムからなる基材層11上に発熱導体用接着剤層12を介して貼り合せ積層した積層体を製造する。
次いで、図7(b)に示したように、該積層体の金属箔14a上に感光性レジスト層80を塗工形成する。
その後、所望のパターンの発熱導体14及びバスバー電極13の平面視パターンに基づいた遮光パターンを有するフォトマスクを用意する。そして、該フォトマスクを該感光性レジスト層80上に密着させて載置する。そして、該フォトマスクを通して紫外線露光し、フォトマスクを除去後、公知の現像処理により未露光の感光性レジスト層を溶解除去して、図7(c)に示したように所望パターン80aに合致する形状のレジストパターン層80’を該金属箔14a上に形成する。
ここで図7(c)には形成されるべき発熱導体14の位置及び大きさを参考として破線及び薄墨で表している。図7(c)からわかるように、本例では、レジストパターン層80’に形成されたレジストパターン80aの縁から、形成されるべき発熱導体14の縁までの距離がCとなるように構成されている。そしてこのCは5μm以上であることが好ましい。これにより上記した形態の発熱導体14をエッチングにより得ることができる。
次いで、該レジストパターン層80’上から該積層体を腐蝕液によるエッチング(腐蝕)加工を行い、図7(d)のように、該レジストパターン層80’金属箔14aを腐蝕除去する。そして、該レジストパターン層を溶解除去(脱膜)する。かくして、発熱導体用接着剤層12上に図1の平面視形状及び図2の断面形状の所定パターンの発熱導体14、第一バスバー電極13a及び第二バスバー電極13bが形成された積層部材を製造する。
上記のように発熱導体14の断面を規定すれば、生産性高く発熱導体14を形成することができる。
そして、形成された発熱導体14を覆い、隣り合う発熱導体14の間の開口に充填するようにパネル用接着剤層15を積層し、さらにその上に保護層16を積層する。積層の態様は図2に示した通りである。
以上説明した加熱電極シート10の製造方法によれば、エッチングによっても断面形状が矩形に近い発熱導体を得ることができ、上底と下底との差が大きい台形断面である発熱導体に比べて、幅方向の大きさを小さく抑えつつも、厚さを大きくして断面積を大きくすることが可能となる。
また、以上のような製造工程では、長い帯状の基材層11上に、複数の発熱導体用接着剤層12、バスバー電極13、発熱導体14、パネル用接着剤層15による積層体が並び、これに長い帯状の保護層16が積層されるように形成することができる。これによれば連続して加熱電極シート10を作製することができる。
すなわち、図8に示したように、複数の加熱電極シート10が連続して帯状に形成され、これが巻かれた加熱電極シートロール20とすることができる。このようにロール状で保管や運搬を行えば、さらに効率よく保管及び移動ができる。そして加熱電極シート10は、この加熱電極シート20を巻き戻しながら打ち抜き等により切り出して作製することができる。
以上のような加熱電極シート10を用いて通電加熱パネル30が形成される。図9は通電加熱パネル30を平面視した概念図、図10は図9に示したX−X線による断面図である。
図9、図10からわかるように、通電加熱パネル30は、第一パネル31、第二パネル32、パネル用接着剤層33、加熱電極シート10、及び、電源接続配線34を有して構成されている。加熱電極シート10は上記の通りであるが、保護層16は剥離されている。
第一パネル31、及び第二パネル32は、透光性を有する、即ち透明な板状の部材であり、一方の面同士が向かい合うような姿勢で板面間に間隔を有して略平行に配置されている。いわゆる二重パネル構造である。なお、ここで板面とは、第一パネル31及び第二パネル32の表面のうちXY平面に平行な対向する2平面になる。この第一パネル31と第二パネル32との間に、加熱電極シート10が配置され、パネル用接着剤層15、33により一体化されている。
第一パネル31及び第二パネル32は板ガラスにより構成することができる。これには、当該通電加熱パネル30が適用される設備(例えば乗り物や建物)が通常に有する窓に用いられる板ガラスと同じものを用いることができる。例えばソーダライム硝子(青板硝子)、硼珪酸硝子(白板硝子)、石英硝子、ソーダ硝子、カリ硝子等から成る普通板ガラス、フロート板ガラス、強化板ガラス、部分板ガラス等が挙げられる。また、必要に応じて3次元的に曲面状に湾曲部を有するものであってもよい。
ただし必ずしもガラス板である必要はなく、アクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂等の樹脂から成る樹脂板であってもよい。ただし、耐候性、耐熱性、透明性等の観点から板ガラスであることが好ましい。
これら第一パネル31及び第二パネル32の厚さは特に限定されることはないが、1.5mm以上5mm以下であることが一般的である。
パネル用接着剤層33は第一パネル31のうち第二パネル32側となる面に積層された接着剤からなる層であり、加熱電極シート10の基材層11と第一パネル31とを接着する。接着剤としては特に限定されることはないが、接着性、耐候性、耐熱性透明性等の観点からポリビニルブチラール樹脂(PVB)を用いることができる。
パネル用接着剤層33の厚さは特に限定されることはないが、0.2mm以上1.0mm以下であることが一般的である。
パネル用接着剤層33の中には、必要に応じて、ベンゾトリアゾール系化合物、ベンゾフェノン系化合物等の紫外線吸収剤、赤外線吸収剤、帯電防止剤等の各種添加剤を添加することができる。
電源接続配線34は、図9からわかるように、第一バスバー電極13aと第二バスバー電極13b間に電源40を接続する配線である。電源40は、水滴(曇り)、凍結(霜)等を溶解或いは蒸発させるに必要な電力を供給可能なものであれば特に限定されることはなく、適宜の電圧、電流、或いは周波数を有する公知の直流又は交流電源を用いれば良い。通電加熱パネル30が自動車に適用される場合には、電源40として例えば自動車に既設の鉛蓄電池、リチウムイオン蓄電池等のバッテリーを直流電源として用いることができる。このときには例えばバッテリーの正極に第二バスバー電極13b、負極に第一バスバー電極13aを接続することができる。もちろん、別途専用の電源(電池、発電機等)を用いても良い。また、電動機を動力とする鉄道車両の場合は架線から給電された直流又は交流電力を適宜の電圧及び電流に変換して用いることも出来る。
このような電源接続配線34は公知の構成を適用すればよい。
以上のような各構成により次のように通電加熱パネル30とされている。図9からわかるように、第一パネル31の一方の面にパネル用接着剤層33が積層されており、このパネル用接着剤層33を介して第一パネル31に加熱電極シート10の基材層11が積層されている。また、保護層16が剥離された加熱電極シート10のパネル用接着剤層15に第二パネル32が貼り付けられる。
このような通電加熱パネル30は例えば自動車のフロントガラスとして自動車に備えられる。その他、いわゆるガラス窓或いはガラス扉等の透明な開口部を有するところに透明開口部材(いわゆる窓材)として用いることができ、これには例えば上記自動車をはじめ、鉄道車両、航空機、及び船舶、宇宙船等の乗り物の窓、扉等の開口部、並びに、各種建物の窓、扉等の開口部を挙げることができる。又、交通信号機、電子看板、電子広告の窓材(表面保護板)、自動車の前照燈等の各種乗物の外部に備える照明裝置の窓材(表面保護板)等にも用いることができる。
通電加熱パネル30は例えば次のように用いられて作用する。ここでは1つの例として通電加熱パネル30を自動車のフロントパネルに適用した場合で説明する。
すなわち、図9、図10の形態に於いては、通電加熱パネル30が自動車のフロントパネルの位置に配置される。この際には電源接続配線34に開閉器50を介して電源40が接続され、バスバー電極13を介して発熱導体14を発熱させることができる。本形態においては、電源40としては自動車に既設のバッテリーを用いている。開閉器50を閉じると、電源40から電流が供給される。当該発熱導体14はジュール熱の発熱により第一パネル31、第二パネル32が加熱されるのでフロントパネルとして機能する通電加熱パネル30の温度が上昇し、凍結及び曇りが解消される。
10 加熱電極シート
11 基材層
12 発熱導体用接着剤層
13 バスバー電極
14 発熱導体
15 パネル用接着剤層
16 保護層
20 加熱電極シートロール
30 通電加熱パネル
31 第一パネル
32 第二パネル
33 パネル用接着剤層
40 電源

Claims (3)

  1. 基材層と、
    前記基材層の一方の面に配置された発熱導体と、
    前記発熱導体を覆うように配置される接着剤層と、
    前記接着剤層の面うち、前記基材層が配置された面とは反対側の面に配置された剥離可能な保護シートと、を備え
    前記発熱導体と前記保護シートとの間には前記接着剤層のみが配置されている、加熱電極シート。
  2. 前記発熱導体と前記基材層との間に発熱導体用接着剤層が設けられている請求項1に記載の加熱電極シート。
  3. 請求項1又は2に記載の加熱電極シートが複数配列された帯状のシートが巻かれてなる加熱電極シートロール。
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