JP6910321B2 - 変性フェノール樹脂の製造方法および変性フェノール樹脂 - Google Patents
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[1] ジシクロペンタジエン類とフェノール類とを反応させて、ジシクロペンタジエンフェノール縮合物を得る縮合工程と、
前記ジシクロペンタジエンフェノール縮合物と脂肪族二重結合を有する化合物とを反応させて、変性フェノール樹脂を得る変性工程と
を備え、
前記ジシクロペンタジエン類が、ジシクロペンタジエン、4−ビニル−1−シクロヘキセン、5−ビニルシクロ[2,2,1]ヘプタ−2−エンおよび3a,4,7,7a−テトラヒドロインデンからなる群から選択される少なくとも1種であり、
前記ジシクロペンタジエンフェノール縮合物の軟化点が80℃〜170℃である、変性フェノール樹脂の製造方法。
[2] 前記脂肪族二重結合を有する化合物が、カシューオイル、トール油、アマニ油、リノール酸油、オレイン酸油およびリノレン酸油からなる群から選択される少なくとも1種である、上記[1]に記載の変性フェノール樹脂の製造方法。
[3] ジシクロペンタジエン類とフェノール類とを縮合させて得られるジシクロペンタジエンフェノール縮合物を脂肪族二重結合を有する化合物で変性させて得られる変性フェノール樹脂であって、
前記ジシクロペンタジエン類が、ジシクロペンタジエン、4−ビニル−1−シクロヘキセン、5−ビニルシクロ[2,2,1]ヘプタ−2−エンおよび3a,4,7,7a−テトラヒドロインデンからなる群から選択される少なくとも1種であり、
前記ジシクロペンタジエンフェノール縮合物の軟化点が80℃〜170℃である、変性フェノール樹脂。
[4] 前記脂肪族二重結合を有する化合物が、カシューオイル、トール油、アマニ油、リノール酸油、オレイン酸油およびリノレン酸油からなる群から選択される少なくとも1種である、上記[3]に記載の変性フェノール樹脂。
本発明の変性フェノール樹脂の製造方法は、縮合工程と、変性工程とを備える。
縮合工程は、ジシクロペンタジエン類とフェノール類とを反応させて、ジシクロペンタジエンフェノール縮合物を得る工程である。
〔フェノール類のモル数/ジシクロペンペンタジエン類のモル数〕がこの範囲内であると、得られるジシクロペンタジエンフェノール縮合物の粘度が高くなり過ぎず、かつ、合成することが難しくはならない。
上記ジシクロペンタジエン類は、特に限定されないが、例えば、ジシクロペンタジエン、4−ビニル−1−シクロヘキセン、5−ビニルシクロ[2,2,1]ヘプタ−2−エン、3a,4,7,7a−テトラヒドロインデン、α−ピネンおよびリモネンが挙げられる。
上記ジシクロペンタジエン類は、1種類を単独で、または2種類以上を組み合わせて、用いることができる。
上記ジシクロペンタジエン類としては、ジシクロペンタジエン、4−ビニル−1−シクロヘキセン、5−ビニルシクロ[2,2,1]ヘプタ−2−エンおよび3a,4,7,7a−テトラヒドロインデンからなる群から選択される少なくとも1種が好ましく、ジシクロペンタジエンおよび3a,4,7,7a−テトラヒドロインデンからなる群から選択される少なくとも1種がより好ましく、ジシクロペンタジエンがさらに好ましい。
上記フェノール類は、フェノール性水酸基を有する化合物であれば特に限定されないが、例えば、フェノール、ナフタレン−1−オール、ナフタレン−2オールおよびこれらの芳香環に直接結合する水素原子にアルキル基が置換した化合物が挙げられる。
上記フェノールの芳香環に直接結合する水素原子にアルキル基が置換した化合物としては、2−メチルフェノール、3−メチルフェノールおよび4−メチルフェノール等のクレゾール類、ならびに2,3−ジメチルフェノール、2,4−ジメチルフェノール、2,5−ジメチルフェノール、2,6−ジメチルフェノール、3,4−ジメチルフェノールおよび3,5−ジメチルフェノール等のキシレノール類が挙げられる。
上記フェノール類は、1種類を単独で、または2種類以上を組み合わせて、用いることができる。
上記フェノール類としては、フェノール、ナフタレン−1−オールおよびナフタレン−2−オールからなる群から選択される少なくとも1種が好ましく、フェノールがより好ましい。
上記酸触媒は、特に限定されず、ルイス酸およびプロトン酸のいずれを用いてもよい。
上記ルイス酸としては、反応速度に優れる点で、三フッ化ホウ素、三フッ化ホウ素フェノール錯体および三フッ化ホウ素エーテル錯体からなる群から選択される少なくとも1種が好ましく、三フッ化ホウ素フェノール錯体および三フッ化ホウ素エーテル錯体からなる群から選択される少なくとも1種がより好ましく、三フッ化ホウ素フェノール錯体がさらに好ましい。
上記プロトン酸としては、硫酸、塩酸およびp−トルエンスルホン酸からなる群から選択される少なくとも1種が好ましく、硫酸およびp−トルエンスルホン酸からなる群から選択される少なくとも1種がより好ましく、p−トルエンスルホン酸がさらに好ましい。
上記酸触媒の添加量がこの範囲内であると、反応速度が十分に速く、かつ、反応後に酸触媒を除去することが難しくはならない。
酸触媒を中和した後には、中和剤および触媒残渣を除去するために、ろ過を行うことが好ましい。ろ過により、中和剤およい触媒残渣を含む固形分と、未反応のフェノール類および縮合物を含むろ液に分別される。
ろ液を減圧蒸留して、未反応フェノール類を除去すると、ジシクロペンタジエンフェノール縮合物を回収することができる。
上記縮合工程において、ジシクロペンタジエン類とフェノール類とを反応させて得られるジシクロペンタジエンフェノール樹脂の軟化点は、80℃〜170℃であり、好ましくは、82℃〜167℃であり、より好ましくは、84℃〜160℃である。
上記ジシクロペンタジエンフェノール縮合物の軟化点が80℃未満であると、最終的に得られる変性フェノール樹脂の天然ゴムに対する相溶性が低下する。また、生成物の変性フェノール縮合物の分子量が低すぎて、ゴム組成物の貯蔵弾性率が低くなる。軟化点を80℃未満とするには、フェノール類を大過剰にして合成する必要があり、大幅なコスト増になる。
また、上記ジシクロペンタジエンフェノール縮合物の軟化点が170℃超であると、最終的に得られる変性フェノール樹脂の天然ゴムに対する相溶性が低下するほか、粘度が高く、天然ゴムとの混練が難しくなる。
変性工程は、ジシクロペンタジエンフェノール縮合物と脂肪族二重結合を有する化合物とを反応させて、変性フェノール樹脂を得る工程である。
以下、「脂肪族二重結合を有する化合物」を「不飽和オイル」という場合がある。
また、反応により得られる変性フェノール樹脂は、蒸留等によって、未反応の不飽和オイル、および溶媒を使用した場合には溶媒、を除去して、高純度化して取り出すことができる。
反応温度がこの範囲内であると、反応速度が十分に速く、かつ、変性フェノール樹脂の分解が生じにくい。
上記酸触媒は、特に限定されないが、反応性の点で好ましいものとして、硫酸およびp−トルエンスルホン酸等のプロトン酸、三フッ化ホウ素、三フッ化ホウ素フェノール錯体および三フッ化ホウ素エーテル錯体等のルイス酸、ならびにナフィオン(登録商標)等の高分子固体酸(陽イオン交換樹脂)が挙げられる。
上記酸触媒の添加量がこの範囲内であると、反応速度が十分に速く、かつ、反応後に触媒を除去することが難しくはならない。
上記脂肪族二重結合を有する化合物(不飽和オイル)は、特に制限されないが、例えば、カシューナッツ油(カシューオイル)、トール油およびアマニ油等の動植物油、ならびにリノール酸油、オレイン酸油およびリノレン酸油等の不飽和油が挙げられる。
上記不飽和オイルとしては、カシューオイルが好ましい。
カシューオイルは、天然のカシューナッツ殻から抽出されるオイルであり、分子構造は、一般に、フェノール骨格と二重結合を有する長鎖脂肪族から構成されているため、ジシクロペンタジエンフェノール縮合物の変性剤として使用したときに、脂肪族二重結合が多く存在する変性フェノール樹脂を得ることができる。また、カシューオイルは、価格も比較的安価で入手が容易である。
上記カシューオイルに代えて、またはカシューオイルとともに、カルダノール、カルドールおよび2−メチルカルドールからなる群から選択される少なくとも1種を用いることもできる。
上記溶媒は、原料であるジシクロペンタジエンフェノール縮合物および不飽和オイルを溶解できるものであれば特に限定されないが、トルエン、キシレン、テトラヒドロフラン(THF)、2−ブタノンおよびメチルエチルケトンからなる群から選択される少なくとも1種が好ましい。
本発明の変性フェノール樹脂は、ジシクロペンタジエン類とフェノール類とを縮合させて得られるジシクロペンタジエンフェノール縮合物を脂肪族二重結合を有する化合物で変性させて得られる変性フェノール樹脂である。
ここで、上記ジシクロペンタジエンフェノール縮合物の軟化点は、80℃〜170℃である。
上記変性フェノール樹脂と天然ゴムとを含むゴム組成物について以下に説明する。
上記ゴム組成物は、ゴム成分として、天然ゴム(NR)の他に、イソプレンゴム(IR)、ブタジエンゴム(BR)およびスチレンブタジエンゴム(SBR)等の合成ジエン系ゴムから選択される1種以上をさらに含んでもよい。
上記加硫剤としては、例えば、イオウを挙げることができ、上記加硫促進剤としては、例えば、チオウレア系加硫促進剤、チアゾール系加硫促進剤、スルフェンアミド系加硫促進剤、およびグアニジン系加硫促進剤を挙げることができ、上記加硫促進助剤としては、例えば、酸化亜鉛を挙げることができる。
また、上記補強性充填材としては、例えば、カーボンブラックおよびシリカを挙げることができる。
上記ゴム組成物は、タイヤまたは産業ベルトの用途に好適に使用することができる。
〈変性フェノール樹脂の製造〉
《ジシクロペンタジエンとフェノールの反応》
攪拌装置、温度計、還流装置、不活性ガス導入管およびオイルバスを備えた1リットル容のセパラブルフラスコ(反応容器)に、フェノール(和光純薬工業社製)278g(2.9mol)を仕込んで80℃に加熱した。
80℃に到達後、反応容器内のフェノールに、三フッ化ホウ素フェノール錯体(和光純薬工業社製)2.5gを添加した。
反応容器内の内容物の温度を140℃に昇温して、ジシクロペンタジエン(和光純薬工業社製)254g(1.93mol)を、2時間かけて、徐々に添加した。フェノールとジシクロペンタジエンの仕込比はフェノール:ジシクロペンタジエン=1.5:1(モル比)とした。
添加終了後、140℃で2時間熟成させた。
熟成後、反応容器の内容物にハイドロタルサイト(和光純薬工業製)10.0gを添加し、30分攪拌して、触媒を中和、吸着させた。
攪拌終了後、反応容器内の反応混合物をろ過して、中和物を除去し、ろ液を回収した。
回収したろ液を3Lのセパラブルフラスコに入れ、220℃に昇温して、常圧蒸留および減圧蒸留を行ない、未反応のフェノールを蒸留除去した。
合成したジシクロペンタジエンフェノール縮合物を、溶融した状態でセパラブルフラスコから取り出した。
得られたジシクロペンタジエンフェノール縮合物の軟化点を、後述する測定方法によって測定したところ、165℃であった。
得られたジシクロペンタジエンフェノール縮合物100gと、カシューオイル(東北化工製LB7250)30gと、パラトルエンスルホン酸1.0gとを、1L容のセパラブルフラスコ(反応容器)に入れ、110℃で6時間反応させて、カシューオイル変性フェノール樹脂を製造した。
得られた変性フェノール樹脂の軟化点を、後述する測定方法によって測定したところ、70℃であった。
《天然ゴムと変性フェノール樹脂の混練》
天然ゴム100gとカーボンブラック50gを二本ロールミル(ロール径6インチ;(株)ダイハン製)を用い、160℃の温度で、ロール回転数=フロント24rpm、バック21rpmの条件で30分混練した。
次に、この混練物150gと、変性フェノール樹脂15gと、イオウ(加硫剤)3gと、ヘキサメチレンテトラミン(加硫促進剤)1.5gと、酸化亜鉛(加硫促進助剤)5g、2−メルカプトベンゾチアゾール(加硫促進剤)1gとを配合して、二本ロールミルを用いて、120℃、5分間混練し天然ゴムと変性フェノール樹脂とを含むゴム組成物を得た。
得られたゴム組成物は、一部を天然ゴムと変性フェノール樹脂の相溶性の評価に用い、残りは、動的粘弾性試験に供するため、加熱プレス(東邦プレス製作所製、型圧26t)を用いて温度160℃〜210℃、圧力5MPa、加圧時間20分間の条件で硬化成型して、100mm×100mm×1mm厚のゴム硬化シートを成形した。
ジシクロペンタジエンフェノール縮合物および変性フェノール樹脂の軟化点は、内径1.5cm、厚さ0.2cmのリング状の金型に150℃で溶融したサンプルを流入させ、冷却固化して軟化点測定用サンプルを作成した。得られたサンプルは、メトラー社製軟化点測定装置を用い、JIS K 2425:2006 クレオソート油,加工タール及びタールピッチ試験方法の「8.タールピッチの軟化点測定方法(環球法)」に従って、グリセリン浴中で5℃/minで昇温させた時の軟化点を環球法で測定した。
天然ゴムと変性フェノール樹脂とを含むゴム組成物を液体窒素で凍結し、ハンマーで破砕して凍結破断面を作成した。
凍結破断面は、白金・パラジウムを蒸着した後、走査型電子顕微鏡(SEM)で観察し、写真撮影した。得られた写真は、分散しているフェノール樹脂の粒径が判るように、天然ゴムと変性フェノール樹脂の界面をマーキングした。天然ゴムとフェノール樹脂の界面は、カーボンブラックの有無で判断し、カーボンブラックが観察されない部分をフェノール樹脂相とした。
マーキングにより明確になった分散粒子の長軸と短軸の長さを全フェノール樹脂分散相について測定し、長軸の長さと短軸の長さを平均して、直径に換算した後、全フェノール樹脂分散相の平均粒径を算出した。結果を表1に示した。また、SEM写真を図1に示した。
平均粒径が小さいほど、天然ゴムとの相溶性が優れる。
ゴム硬化シート(厚み1mm)のサンプルを幅6mm×長さ25mmに切断した後、動的粘弾性測定装置(DMAQ800,ティー・エイ・インスツルメント社製)を用い、測定周波数10Hz、測定温度40℃〜70℃、昇温速度3℃/分で昇温させた時の貯蔵弾性率(E’)を測定し結果を表1に示した。
貯蔵弾性率は、加硫したゴム組成物の強度の指標であり、貯蔵弾性率(E’)が大きいほど、加硫ゴムの強度が高い。
実施例1において、フェノールとジシクロペンタジエンの仕込比をフェノール:ジシクロペンタジエン=1.5:1(モル比)から12:1(モル比)に変更して、ジシクロペンタジエンフェノール縮合物を合成した。このジシクロペンタジエンフェノール縮合物の軟化点を上述した軟化点の測定方法により測定したところ、85℃であった。
このジシクロペンタジエンフェノール縮合物とカシューオイルとを反応させて変性フェノール樹脂を製造した。
さらに、製造した変性フェノール樹脂を用いて、天然ゴムと変性フェノール樹脂を含むゴム組成物を作製した。
作製したゴム組成物を用いて、天然ゴムと変性フェノール樹脂の相溶性の評価および動的粘弾性試験を上述した方法によって行い、結果を表1に示した。
実施例1において、ジシクロペンタジエンフェノール縮合物の代わりに、フェノールノボラック樹脂(フェノールとホルムアルデヒドの縮合物)を用いた。このノボラック樹脂は、以下の方法で合成した。フェノール250g,パラホルムアルデヒド25g、ホルマリン29g、p−トルエンスルホン酸0.5gを1Lのセパラブルフラスコに仕込み、オイルバス中で120℃(バス温)、6時間反応させた。反応終了後、水酸化カルウムの10%水溶液を添加し、触媒を中和した。未反応のフェノールは、200℃で減圧蒸留して除去し、目的のノボラック樹脂を得た。このノボラックフェノール樹脂の軟化点を上述した軟化点の測定方法により測定したところ、118℃であった。
このフェノールノボラック樹脂とカシューオイルとを反応させてカシューオイル変性フェノールノボラック樹脂を製造した。
さらに、製造したカシューオイル変性フェノールノボラック樹脂を用いて、天然ゴムとカシューオイル変性フェノールノボラック樹脂を含むゴム組成物を作製した。
作製したゴム組成物を用いて、天然ゴムとカシューオイル変性フェノールノボラック樹脂の相溶性の評価および動的粘弾性試験を上述した方法によって行い、結果を表1に示した。また、SEM写真を図2に示した。
実施例1と同様にして、ジシクロペンタジエンフェノール縮合物(軟化点 165℃、フェノールとジシクロペンタジエンの仕込比はフェノール:ジシクロペンタジエン=1.5:1(モル比))を得た。
このジシクロペンタジエンフェノール組成物をカシューオイルで変性することなく用いて、天然ゴムとジシクロペンタジエン変性フェノール樹脂を含むゴム組成物を作製した。
作製したゴム組成物を用いて、天然ゴムとジシクロペンタジエン変性フェノール樹脂の相溶性の評価および動的粘弾性試験を上述した方法によって行い、結果を表1に示した。また、SEM写真を図3に示した。
ジシクロペンタジエンフェノール縮合物の代わりに、比較例1で合成したフェノールノボラック樹脂(フェノールとホルムアルデヒドの縮合物,軟化点 118℃)を用いた。
このフェノールロボラック樹脂をカシューオイルで変性することなく用いて、天然ゴムとフェノールノボラック樹脂を含むゴム組成物を作製した。
作製したゴム組成物を用いて、天然ゴムとフェノールノボラック樹脂の相溶性の評価および動的粘弾性試験を上述した方法によって行い、結果を表1に示した。また、SEM写真を図4に示した。
実施例1において、フェノールとジシクロペンタジエンの仕込比をフェノール:ジシクロペンタジエン=1.5:1(モル比)から30:1(モル比)に変更して、ジシクロペンタジエンフェノール縮合物を合成した。このジシクロペンタジエンフェノール縮合物の軟化点を上述した軟化点の測定方法により測定したところ、75℃であった。
このジシクロペンタジエンフェノール縮合物とカシューオイルとを反応させて変性フェノール樹脂を製造した。
さらに、製造した変性フェノール樹脂を用いて、天然ゴムと変性フェノール樹脂を含むゴム組成物を作製した。
作製したゴム組成物を用いて、天然ゴムと変性フェノール樹脂の相溶性の評価および動的粘弾性試験を上述した方法によって行い、結果を表1に示した。
実施例1において、フェノールとジシクロペンタジエンの仕込比をフェノール:ジシクロペンタジエン=1.5:1(モル比)から1.1:1(モル比)に変更して、ジシクロペンタジエンフェノール縮合物を合成した。このジシクロペンタジエンフェノール縮合物の軟化点を上述した軟化点の測定方法により測定したところ、177℃であった。
このジシクロペンタジエンフェノール縮合物とカシューオイルとを反応させて変性フェノール樹脂を製造した。
さらに、製造した変性フェノール樹脂を用いて、天然ゴムと変性フェノール樹脂を含むゴム組成物を作製した。
作製したゴム組成物を用いて、天然ゴムと変性フェノール樹脂の相溶性の評価および動的粘弾性試験を上述した方法によって行い、結果を表1に示した。
また、表1中、「貯蔵弾性率」は、上述した「動的粘弾性試験」において測定した貯蔵弾性率(E’)である。
実施例1および実施例2のゴム組成物は、変性フェノール樹脂の粒子の平均粒径が7.0μm以下と小さく、天然ゴムと変性フェノール樹脂との相溶性が優れていた。図1のゴム組成物の凍結破断面のSEM画像を見ても、変性フェノール粒子の粒径が小さく、天然ゴムと均一に混合していることがわかる。
また、ゴム組成物の加硫後の貯蔵弾性率が60MPa以上と大きく、加硫ゴムの強度が優れていた。
また、ゴム組成物の加硫後の貯蔵弾性率は50MPa以上であったが、60MPaに達せず、加硫ゴムの強度は十分ではなかった。
また、ゴム組成物の加硫後の貯蔵弾性率が40MPa以下と小さく、加硫ゴムの強度は十分ではなかった。
また、ゴム組成物の加硫後の貯蔵弾性率は35MPa以下と小さく、加硫ゴムの強度は十分ではなかった。
また、ゴム組成物の加硫後の貯蔵弾性率は50MPa以上であったが、60MPaに達せず、加硫ゴムの強度は十分ではなかった。
Claims (4)
- ジシクロペンタジエン類とフェノール類とを反応させて、ジシクロペンタジエンフェノール縮合物を得る縮合工程と、
前記ジシクロペンタジエンフェノール縮合物と脂肪族二重結合を有する化合物とを反応させて、変性フェノール樹脂を得る変性工程と
を備え、
前記ジシクロペンタジエン類が、ジシクロペンタジエン、4−ビニル−1−シクロヘキセン、5−ビニルシクロ[2,2,1]ヘプタ−2−エンおよび3a,4,7,7a−テトラヒドロインデンからなる群から選択される少なくとも1種であり、
前記ジシクロペンタジエンフェノール縮合物の軟化点が80℃〜170℃である、変性フェノール樹脂の製造方法。 - 前記脂肪族二重結合を有する化合物が、カシューオイル、トール油、アマニ油、リノール酸油、オレイン酸油およびリノレン酸油からなる群から選択される少なくとも1種である、請求項1に記載の変性フェノール樹脂の製造方法。
- ジシクロペンタジエン類とフェノール類とを縮合させて得られるジシクロペンタジエンフェノール縮合物を脂肪族二重結合を有する化合物で変性させて得られる変性フェノール樹脂であって、
前記ジシクロペンタジエン類が、ジシクロペンタジエン、4−ビニル−1−シクロヘキセン、5−ビニルシクロ[2,2,1]ヘプタ−2−エンおよび3a,4,7,7a−テトラヒドロインデンからなる群から選択される少なくとも1種であり、
前記ジシクロペンタジエンフェノール縮合物の軟化点が80℃〜170℃である、変性フェノール樹脂。 - 前記脂肪族二重結合を有する化合物が、カシューオイル、トール油、アマニ油、リノール酸油、オレイン酸油およびリノレン酸油からなる群から選択される少なくとも1種である、請求項3に記載の変性フェノール樹脂。
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