JP6909049B2 - 押出成形品の製造方法 - Google Patents
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Description
前記フライアッシュは強熱減量が2.5%以上であり、
前記真空圧が−0.085MPa以上である
ことが好ましい。
前記水硬性無機質材料は軽量骨材をさらに含有し、
前記フライアッシュの強熱減量に基いて、前記軽量骨材の含有量を調整する
ことが好ましい。
水硬性無機質材料は、混合材料と水とを混練することにより調製される。混合材料はセメントとフライアッシュとを含有し、必要に応じて、珪酸質材料、補強繊維、骨材、増量材、増粘剤、分散剤、その他の材料をさらに含有しても良い。なお、この混合材料は、水硬性無機質材料に含有されている成分のうち、水以外の成分であって、水硬性無機質材料の固形分である。水硬性無機質材料における水の配合割合(水比)は、混合材料の水への分散性や成形性等を考慮すると、混合材料100質量部に対して水が30〜100質量、好ましくは40〜80質量部であることが好ましい。水比がこの範囲であれば、水硬性無機質材料中のセメントが十分に硬化し、曲げ強度がより優れる押出成形品を得ることができる。
セメントとしては、例えば、ポルトランドセメント(普通ポルトランドセメント、早強ポルトランドセメント、中庸熱ポルトランドセメント、低熱ポルトランドセメント)、フライアッシュセメント、高炉セメント、アルミナセメント、ハイアルミナセメント、シリカヒュームセメントなどを用いることができる。これらのうち、一種を単独で用いたり2種以上を併用しても良い。またセメントにはあらかじめ添加剤などが含まれていても良い。セメントの配合割合は、混合材料100質量部に対して、15〜70質量部、好ましくは、25〜60質量部とすることができる。
フライアッシュとしては、石炭火力発電所で微粉炭を燃焼した際に発生する石炭灰のうち、集塵器で採取された灰などを使用することができる。フライアッシュの品質は、JIS A6201−2008で規定されているが、その一つの指標として、強熱減量がある。強熱減量は、主に、フライアッシュ中の未燃カーボンの含有量を示す指標であって、値が小さいほうが未燃カーボンの含有量が少ないことを示す。水硬性無機質材料の成形性及び押出成形品の強度や表面地合いなどを考慮すると、強熱減量は小さいほうが好ましいが、本実施形態にあっては、強熱減量が大きいフライアッシュであっても使用可能である。
高品質のフライアッシュは強熱減量が2.5%未満であるが、本実施形態では強熱減量が2.5%以上のフライアッシュを使用することができる。なお、フライアッシュの強熱減量の上限は、特に設定されないが、10%以下のものであれば使用可能である。フライアッシュの配合割合は、混合材料100質量部に対して、10〜60質量部、好ましくは、20〜50質量部とすることができる。
混合材料には珪酸質材料が含有されていてもよい。この場合、オートクレーブ養生の際に水熱反応することで耐久性の高い押出成形品を得やすくなる。珪酸質材料としては、例えば、珪石粉、シリカヒューム、ケイ藻土、ドロマイト、ガラス粉、ケイ質粘土、ベントナイトなどを用いることができる。これらのうち、一種を単独で用いたり又は2種以上を併用しても良い。なかでも、押出成形品の曲げ強度及び耐久性を向上させるべく、珪石粉を用いることが好ましい。珪酸質材料の配合割合は、混合材料100質量部に対して、5〜80質量部、好ましくは、15〜70質量部とすることができる。
混合材料には補強繊維が含有されていても良い。この場合、押出成形品に優れた粘り強さを付与することができ、大きな破壊荷重が加わった際に、割れにくく、たとえ欠けても破片が飛び散りにくい押出成形品を得ることができる。補強繊維としては、例えば、パルプ繊維などの天然繊維;ビニロン繊維、ポリエステル繊維、ポリアミド繊維、アクリル繊維、アセテート繊維、ポリエチレン繊維、ポリプロピレン繊維などの有機繊維;ガラス繊維;炭素繊維;セラミック繊維;金属繊維などを用いることができる。これらのうち、一種を単独で用いたり又は2種以上を併用しても良い。パルプ繊維を用いる場合は、L材パルプ、N材パルプ、ラミーパルプ、リンターパルプなどの適宜のものを用いることができる。補強繊維の繊維長は、特に限定されず、0.5〜10mmとすることができ、好ましくは2〜8mmである。補強繊維の繊維径は、特に限定されず、1〜100μmとすることができ、好ましくは10〜30μmである。補強繊維の配合割合は、混合材料100質量部に対して、2〜20質量部、好ましくは、4〜15質量部とすることができる。
混合材料には骨材が含有されていてもよい。骨材としては、マイカ、ウォラストナイト、軽量骨材、山砂、山砂利、川砂、川砂利、海砂、粉石、砕砂などを用いることができ、なかでも、軽量骨材が好ましく、これにより、押出成形品の軽量化を図ることができ、また寸法安定性がよく、耐候性の高い押出成形品を得ることができる。また、特に、マイカは押出成形品の寸法安定性を向上させる機能があり、好ましい。軽量骨材としては、例えば、シラスバルーン、ガラスバルーン、パーライト、焼成バーミキュライト、フライアッシュバルーン、合成樹脂ビーズ、合成樹脂発泡体などを用いることができる。骨材の配合割合は、混合材料100質量部に対して、0.01〜20質量部、好ましくは、0.2〜15質量部とすることができる。骨材の配合割合が上記範囲であれば、押出成形品の曲げ強度がより優れるとともに軽量化された押出成形品を得ることができる。
混合材料には増量材が含有されていてもよく、これにより、セメントの硬化反応を向上させることができる。増量材としては、押出成形品の不良品や端材の粉砕物などを用いることができる。増量材の配合割合は、混合材料100質量部に対して、1〜30質量部、好ましくは、4〜15質量部とすることができる。また混合材料が軽量骨材と増量材とを含有する場合、軽量骨材と増量材の合計量が、混合材料100質量部に対して、2〜35質量部、好ましくは、4〜20質量部とすることができる。
混合材料には増粘剤が含有されていてもよく、これにより、粘度を調整して成形しやすい水硬性無機質材料を得ることができる。さらに、真空押出成形機の吐出圧や真空度の設定によっては、圧力変化による水硬性無機質材料の材料分離(相分離)が起こることがあり得るが、水硬性無機質材料に増粘剤を含有させることで、材料分離を抑制することができ、所望の品質の押出成形品を得やすくなる。増粘剤としては、セメント系の材料に通常用いられるものとして、メチルセルロース、エチルセルロース、カルボキシメチルセルロースなどの水溶性のセルロース系増粘剤があるが、本実施形態では、賦形性や入手のしやすさやコスト等を考慮してメチルセルロースを用いるのが好ましい。グリーンシートに付与する柄の深さが深い場合や柄のテクスチャーが細かくて緻密な場合に十分な賦形性が得られるように、増粘剤の配合割合は、水硬性無機質材料の全量に対して、1.0〜2.0質量%とすることができる。
混合材料には分散剤が含有されていてもよく、これにより、セメントの分散性の高い水硬性無機質材料を得ることができる。分散剤は、セメント系の材料に通常用いられる界面活性剤などであってよい。分散剤としてはAE減水剤などを用いることができる。分散剤は、標準形、遅延形、促進形のいずれであってもよい。分散剤の配合割合は、混合材料100質量部に対して、0.01〜5質量部、好ましくは、0.05〜3質量部とすることができる。
混合材料には、セメント、珪酸質材料、補強繊維、骨材、増量材、増粘剤、分散剤の他に、さらにその他の材料を含有されていてもよい。その他の材料としては、例えば、顔料、着色剤などを用いることができる。
本実施形態の押出成形品の製造方法は、水硬性無機質材料を減圧脱気する減圧脱気工程と、減圧脱気された水硬性無機質材料を押出成形する押出成形工程とを備えている。より具体的には、本実施形態は、混合材料に水を加えて混練して水硬性無機質材料を得る混練工程と、該水硬性無機質材料を減圧脱気する減圧脱気工程と、減圧脱気された水硬性無機質材料を押出成形して成形体(グリーンシート)を得る押出成形工程と、成形体を硬化して押出成形品(無機質板)を得る硬化工程とを備える。
混練工程では、混合材料に水を加えて混練する。これにより、液状又は粘性のある流動状の水硬性無機質材料を得る。混合材料と水とを混練する方法としては、特に限定されず、例えば、混合材料を乾式で混合し、さらに水を加えて混練機で混練し、調製する方法を用いることができる。また混練工程において、上下二段で混練機能を有する混練機を用いる場合は、上段の混練機能で混合材料を乾式で混合し、さらに水を加えて混練機で混練し、この後、さらに下段の混練機能である真空押出成形機内に混練しても良い。なお、上下
二段で混練機能を有する混練機を用いた場合であっても、下段の混練機能である真空押出成形機内のみで混練してもよい。
減圧脱気工程では、上記水硬性無機質材料を減圧脱気する。これにより、押出成形品を適度なポーラス状態にすることができる。水硬性無機質材料を減圧脱気するには、真空押出成形機を用いることができる。真空押出成形機としては、水硬性無機質材料を混練し、所定の真空圧で水硬性無機質材料を減圧脱気し、減圧脱気された水硬性無機質材料を押出成形する装置であることが好ましく、具体的には、上下二段に混練機能を有する二段式の真空押出成形機で、上段と下段の継続部分に減圧脱気室が介在している構造の装置を用いることができる。このような真空押出成形機は市販のものを用いることができる。上段及び下段のスクリューの軸数は単軸であっても良いし、二軸以上の多軸であっても良い。
<押出成形工程>
押出成形工程では、減圧脱気された水硬性無機質材料を押出成形して成形体を得る。すなわち、減圧脱気された水硬性無機質材料を真空押出成形機の口金部材から外部に押し出すことで、口金部材の形状と合致する断面形状を有する適度にポーラスな状態の成形体が得られる。口金部材の形状は、特に限定されず、板状等の所望の無機質板の断面形状等に
応じて適宜選択可能である。
硬化工程では、上記成形体を硬化させる。これにより、耐凍害性に優れるとともに、吸水率の増加や曲げ強度の低下等の製品性能を損なうことなく軽量化された押出成形品を得ることができる。成形体を硬化させるには、例えば、成形体に一次養生を施した後、二次養生(オートクレーブ養生)を施すことができる。
セメント、フライアッシュ、分散剤、軽量骨材、珪酸質材料、補強繊維、その他の添加剤(増量材や増粘剤など)を表1に示す配合割合で乾式混合して混合材料を得、この混合材料100質量部に対して水51質量部を加えて材料混練ミキサーで混練し、水硬性無機質材料を得た。
圧を調整する。この場合、フライアッシュの品質による影響を少なくして押出成形を行うことができる。
Claims (3)
- セメントとフライアッシュとを含有する水硬性無機質材料を減圧脱気し、押出成形する押出成形品の製造方法であって、
前記フライアッシュの強熱減量と、該強熱減量に対応して調整された真空圧との関係を示す検量線を予め作成し、
前記フライアッシュの強熱減量を測定し、その強熱減量に対応する真空圧を前記検量線から求め、前記検量線から得られた真空圧で前記減圧脱気を行うことによって、前記フライアッシュの強熱減量に基いて、前記押出成形品の比重が所定の範囲内となるように、前記減圧脱気の際の真空圧を調整する
押出成形品の製造方法。 - 請求項1において
前記フライアッシュは強熱減量が2.5%以上であり、
前記真空圧が−0.085MPa以上である
押出成形品の製造方法。 - 請求項1又は2において、
前記水硬性無機質材料は軽量骨材をさらに含有し、
前記フライアッシュの強熱減量に基いて、前記軽量骨材の含有量を調整する
押出成形品の製造方法。
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