JP6906618B2 - センサ素子および角速度センサ - Google Patents

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Description

本開示は、角速度の検出に供されるセンサ素子および当該センサ素子を含む角速度センサに関する。
角速度センサとして、振動式のジャイロスコープが知られている(例えば特許文献1または2)。このような角速度センサは、例えば、基部および基部から延びる1以上の腕部を含む振動体を有している。腕部が励振されている状態で、振動体が回転されると、回転速度(角速度)に応じた大きさで、励振方向および回転軸に直交する方向にコリオリの力が生じ、このコリオリの力によっても腕部は振動する。そして、このコリオリの力に起因する腕部の変形に応じて生じる電気信号を検出することにより、角速度を検出することができる。
特許文献1では、基部および複数の腕部が圧電体により一体形成されている。また、圧電体からなる腕部の表面には電極が設けられており、これにより、腕部は励振可能とされ、または腕部の変形に応じた信号が検出可能とされている。また、特許文献1では、基部は、当該基部とともに圧電体によって一体形成された腕状部位によって支持されている。
特許文献2では、基部および複数の腕部がシリコンにより一体形成されている。また、腕部の表面には、圧電体と、電極とが積層されており、これにより、腕部は励振可能とされ、または腕部の変形に応じた信号が検出可能とされている。特許文献2では、基部は、当該基部とともにシリコンによって一体形成された枠状部位によって支持されている。
特開2015−141184号公報 特開2003−185441号公報
本開示の一態様に係るセンサ素子は、平面視において、圧電体と、複数の電極と、を有している。前記圧電体は、基部ならびに当該基部から延び出ている1以上の腕部を含んでいる。前記複数の電極は、前記腕部の表面に位置している。前記圧電体は、平面視において、前記基部および前記1以上の腕部を囲んでおり、前記基部が架け渡されている枠部をさらに含んでいる。
本開示の一態様に係る角速度センサは、上記のセンサ素子と、前記複数の電極の一部に電圧を印加する駆動回路と、前記複数の電極の他の一部からの信号を検出する検出回路と、を有している。
第1実施形態に係るセンサ素子の要部構成を示す斜視図である。 図1のセンサ素子の要部構成を示す平面図である。 図3(a)は図2のIIIa−IIIa線における断面図であり、図3(b)は図2のIIIb−IIIb線における断面図である。 第2実施形態に係るセンサ素子の要部構成を示す平面図である。 図4のV−V線における断面図である。 図6(a)、図6(b)、図6(c)および図6(d)は図4のセンサ素子の作用を説明するための模式図である。 第3実施形態に係るセンサ素子の要部構成を示す断面図である。 図8(a)および図8(b)は図7のセンサ素子の作用を説明するための模式図である。 第4実施形態に係るセンサ素子の要部構成を示す平面図である。 第5実施形態に係るセンサ素子の要部構成を示す平面図である。
以下、図面を参照して本開示に係る実施形態について説明する。以下の図面は、模式的なものである。従って、細部は省略されることがあり、また、寸法比率等は現実のものと必ずしも一致しない。また、複数の図面相互の寸法比率も必ずしも一致しない。
また、各図には、説明の便宜のために、直交座標系xyzを付している。直交座標系xyzは、センサ素子(圧電体)の形状に基づいて定義されている。すなわち、x軸、y軸およびz軸は、結晶の電気軸、機械軸および光軸を示すとは限らない。センサ素子は、いずれの方向が上方または下方として使用されてもよいものであるが、以下では、便宜上、z軸方向の正側を上方として、上面または下面等の用語を用いることがある。また、単に平面視という場合、特に断りがない限り、z軸方向に見ることをいうものとする。
同一または類似する構成については、「駆動腕13A」、「駆動腕13B」のように、互いに異なるアルファベットの付加符号を付すことがあり、また、この場合において、単に「駆動腕13」といい、これらを区別しないことがある。
第2実施形態以降において、既に説明された実施形態の構成と共通または類似する構成について、既に説明された実施形態の構成に付した符号を用い、また、図示および/または説明を省略することがある。既に説明された実施形態の構成と対応(類似)する構成については、既に説明された実施形態の構成と異なる符号を付した場合においても、特に断りがない点は、既に説明された実施形態の構成と同様とされてよい。
<第1実施形態>
(センサ素子の全体構成)
図1は、本開示の第1実施形態に係る角速度センサ51(符号は図3(a))のセンサ素子1の要部構成を示す斜視図である。図2は、センサ素子1の要部構成を示す平面図である。図2は、図1よりも導体層(5A等)の図示を省略している。
本実施形態に係る角速度センサ51は、後述する枠部17を除いて、特許文献1に記載の角速度センサと同様とされてよい。従って、第1実施形態の説明においては、枠部17以外の構成について、細部の説明を省略することがある。
センサ素子1は、y軸回りの角速度を検出するためのものであり、x軸方向に励振され、y軸回りに回転されることによって、その角速度に応じた大きさのコリオリ力がz軸方向に生じるように構成されている。具体的には、例えば、以下のとおりである。
センサ素子1は、圧電体3と、圧電体3に電圧を印加するための励振電極5Aおよび励振電極5B(図1)と、圧電体3に生じた電気信号を取り出すための検出電極7A(図1)および検出電極7B(図1)と、センサ素子1を不図示の実装基体(例えばパッケージの一部または回路基板)に実装するためのパッド9とを有している。
励振電極5および検出電極7の付加符号A、Bは、直交座標系xyzに基づいて付されている。従って、後述するように、一の励振電極5Aと、他の励振電極5Aとは同電位とは限らない。励振電極5B、検出電極7Aおよび7Bについても同様である。
励振電極5、検出電極7、パッド9およびこれらを接続する配線19(図3(a)および図3(b))は、圧電体3の表面に設けられた導体層によって構成されている。その材料は、例えば、Cu,Al等の適宜な金属である。これらの導体層は、互いに異なる材料からなる層が積層されて構成されていても構わない。
(圧電体)
圧電体3は、その全体が一体的に形成されている。圧電体3は、単結晶であってもよいし、多結晶であってもよい。また、圧電体3の材料は適宜に選択されてよく、例えば、水晶(SiO)、LiTaO、LiNbO、PZTである。
圧電体3において、電気軸乃至は分極軸(以下、両者を代表して分極軸のみに言及することがある。)は、x軸に一致するように設定されている。分極軸は、所定の範囲(例えば15°以内)でx軸に対して傾斜していてもよい。また、圧電体3が単結晶である場合において、機械軸および光軸は、適宜な方向とされてよいが、例えば、機械軸はy軸方向、光軸はz軸方向とされている。
圧電体3は、例えば、全体として厚さ(z軸方向)が一定にされている。また、圧電体3は、例えば、概略、y軸に平行な不図示の対称軸に対して線対称の形状に形成されている。また、圧電体3は、例えば、基部11と、基部11から延び出ている駆動腕13(13A〜13D)および検出腕15(15Aおよび15B)と、これらを囲む枠部17とを含んでいる。
1対の駆動腕13は、電圧(電界)が印加されることによって励振される部分である。検出腕15は、コリオリの力によって振動し、角速度に応じた電気信号を生成する部分である。基部11は、駆動腕13および検出腕15の支持、および駆動腕13から検出腕15への振動の伝達に寄与する部分である。枠部17は、基部11の支持に寄与する部分であり、本実施形態では、不図示の実装基体へセンサ素子1を実装することにも寄与する。
基部11は、例えば、x軸方向に延びており、枠部17に架け渡されている。複数の駆動腕13は、互いに同一方向(y軸方向の正側)に互いに並列に(例えば平行に)延びており、その先端は自由端とされている。駆動腕13の数は、偶数(本実施形態では4)である。複数の検出腕15は、複数の駆動腕13の延びる方向とは反対方向(y軸方向の負側)に互いに並列に(例えば平行に)延びており、その先端は自由端とされている。検出腕15の数は、偶数(本実施形態では2)である。
各検出腕15は、当該検出腕15をz軸方向に貫通し、y軸方向に延びる1または複数(図示の例では3)の貫通溝(符号省略)が形成された形状とされている。別の観点では、各検出腕15は、互いに並列に延びる複数(図示の例では4)の分割腕15aを有している。検出腕15が複数の分割腕15aを有していることにより、例えば、後述の説明から理解されるように、検出電極7の配置数を増やして検出感度を向上させることができる。
(圧電体の枠部)
枠部17は、基部11、駆動腕13および検出腕15を囲む環状である。環状は、例えば、概略矩形であり、枠部17は、y軸方向に延び、x軸方向において互いに対向する1対の第1延在部17aと、x軸方向に延び、1対の第1延在部17aの端部同士を接続する1対の第2延在部17bとを有している。基部11は、1対の第1延在部17aに架け渡されており、また、例えば、第1延在部17aの長さ方向の概ね中央に位置している。
枠部17の大きさは適宜に設定されてよい。例えば、枠部17は、角速度の検出のための振動等によって駆動腕13および検出腕15と当接しないようにこれらの腕から適宜な距離で離されつつ、極力小さくされてよい。第1延在部17aは、例えば、第2延在部17bよりも長い。ただし、両者の長さは同等とされてもよいし、長短の関係が図示の例とは逆とされてもよい。
枠部17(第1延在部17aおよび第2延在部17bそれぞれ)の横断面の形状は、例えば、枠部17の全長に亘って概略矩形であり、枠部17の厚さ(z軸方向)は、例えば、枠部17の全長に亘って一定である。
枠部17の幅は、例えば、枠部17の位置に応じて変化している。例えば、第1延在部17aは、一部において幅が狭くなっている。より詳細には、例えば、第1延在部17aは、基部11との接続位置と、第2延在部17bとの接続位置との間に、第1延在部17aの他の部分よりも幅(x軸方向)が狭くなっている幅狭部17cを有している。幅狭部17cは、例えば、枠部17の外面に凹部が形成されることによって構成されている。ただし、枠部17の内面に凹部が形成されることによって幅狭部17cが構成されてもよい。
第1延在部17aの幅狭部17c以外の部分の幅は、第2延在部17bの幅(y軸方向)よりも広くてもよいし、同等でもよいし、狭くてもよい。図示の例では、前者は後者よりも若干広くなっている。
(パッド)
パッド9は、例えば、枠部17のz軸方向の正側または負側(本実施形態では負側)の面に設けられている。4つのパッド9の平面視における位置は適宜に設定されてよい。例えば、4つのパッド9は、枠部17の4隅に位置している。パッド9は、例えば、不図示の実装基体に設けられたパッドに対向し、その実装基体のパッドに対して半田乃至は導電性接着剤からなるバンプにより接着される。これにより、センサ素子1と実装基体との電気的な接続がなされ、また、センサ素子1(圧電体3)は、駆動腕13および検出腕15が振動可能な状態で支持される。
(励振電極)
図3(a)は、図2のIIIa−IIIa線における断面図である。
励振電極5(紙面右側の駆動腕13Dに符号を付す)は、駆動腕13の表面に形成された層状導体である。励振電極5Aおよび5Bのうち励振電極5Aは、各駆動腕13において、上面および下面(z軸方向の正側および負側の面)にそれぞれ設けられている。一方、励振電極5Aおよび5Bのうち励振電極5Bは、各駆動腕13において、側面(x軸方向の正側および負側の面)にそれぞれ設けられている。
2つの励振電極5Aおよび2つの励振電極5Bは、例えば、駆動腕13の各面(先端の拡幅部分を除く)の大部分を覆うように設けられている(図1および図2も参照)。ただし、励振電極5Aおよび励振電極5Bは、互いに短絡しないように、少なくとも一方(本実施形態では励振電極5A)が各面よりも幅方向において小さく形成されている。また、駆動腕13の根元側および先端側の一部も、励振電極5の非配置位置とされてよい。
各駆動腕13において、2つの励振電極5Aは、例えば互いに同電位とされる。例えば、2つの励振電極5Aは、圧電体3上の配線19により互いに接続されている。また、各駆動腕13において、2つの励振電極5Bは、例えば互いに同電位とされる。例えば、2つの励振電極5Bは、圧電体3上の配線19により互いに接続されている。
このような励振電極5の配置および接続関係において、励振電極5Aと励振電極5Bとの間に電圧を印加すると、例えば、駆動腕13においては、上面から1対の側面(x軸方向の両側)に向かう電界および下面から1対の側面に向かう電界が生じる。一方、分極軸は、x軸方向に一致している。従って、電界のx軸方向の成分に着目すると、駆動腕13のうちx軸方向の一方側部分においては電界の向きと分極軸の向きは一致し、他方側部分においては電界の向きと分極軸の向きは逆になる。
その結果、駆動腕13のうちx軸方向の一方側部分はy軸方向において収縮し、他方側部分はy軸方向において伸長する。そして、駆動腕13は、バイメタルのようにx軸方向の一方側へ湾曲する。励振電極5Aおよび5Bに印加される電圧が逆にされると、駆動腕13は逆方向に湾曲する。交流電圧が励振電極5Aおよび5Bに印加されると、駆動腕13はx軸方向において振動する。
特に図示しないが、駆動腕13の上面および/または下面に、駆動腕13の長手方向に沿って延びる1以上の凹溝(当該凹溝は複数の凹部が駆動腕13の長手方向に配列されて構成されてもよい)が設けられ、励振電極5Aは、この凹溝内に亘って設けられてもよい。この場合、励振電極5Aと励振電極5Bとが凹溝の壁部を挟んでx軸方向において対向することになり、励振の効率が向上する。
互いに隣接する2本の駆動腕13(駆動腕13Aおよび13Bの2本、または駆動腕13Cおよび13Dの2本)の間においては、励振電極5A同士が同電位とされ、励振電極5B同士が同電位とされる。同電位とされるべき励振電極5同士は、例えば、圧電体3上の配線19によって接続されている。
このような接続関係において励振電極5Aと励振電極5Bとの間に交流電圧を印加すると、互いに隣接する2本の駆動腕13は、互いに同一の位相の電圧が印加されることになり、x軸方向において互いに同一の向きに撓み変形するように振動する。互いに隣接する2本の駆動腕13は、1本の駆動腕を分割したものに相当すると捉えられてよい。
図1および図2に示すように、互いに隣接する2本の駆動腕13は、根元部分が一体化されている。換言すれば、平面視において、互いに隣接する2本の駆動腕13の間の、これら駆動腕13の先端側(+y側)に面する面は、当該2本の駆動腕13の外側(基部11の+y側の面)よりも高くなっている。これにより、2本の駆動腕13は、共に振動しやすくなっている。この構造は、特許文献1では開示されていない。
図3(a)に戻って、線対称に配置された1対の駆動腕13(駆動腕13Aおよび13Dからなる1対、または駆動腕13Bおよび13Cからなる1対)においては、励振電極5Aと励振電極5Bとが同電位とされる。同電位とされるべき励振電極5同士は、例えば、圧電体3上の配線19によって接続されている。
このような接続関係において励振電極5Aと励振電極5Bとの間に交流電圧を印加すると、線対称に配置された1対の駆動腕13は、互いに逆の位相の電圧が印加されることになり、x軸方向において互いに逆向きに(線対称に)撓み変形するように振動する。
(検出電極)
図3(b)は、図2のIIIb−IIIb線における断面図である。
検出電極7(紙面右側の分割腕15aに符号を付す)は、検出腕15(分割腕15a)の表面に形成された層状導体である。検出電極7は、各分割腕15aに設けられている。
より具体的には、検出電極7Aは、各分割腕15aにおいて、x軸方向の負側に面する面のうちのz軸方向の正側(例えば当該面の中央よりも正側)の領域、およびx軸方向の正側に面する面のうちのz軸方向の負側(例えば当該面の中央よりも負側)の領域にそれぞれ設けられている。検出電極7Bは、検出腕15において、x軸方向の負側に面する面のうちのz軸方向の負側(例えば当該面の中央よりも負側)の領域、およびx軸方向の正側に面する面のうちのz軸方向の正側(例えば当該面の中央よりも正側)の領域にそれぞれ設けられている。
分割腕15aの各側面において、検出電極7Aおよび7Bは、互いに短絡しないように適宜な間隔を空けて、分割腕15aに沿って延びている。検出電極7は、分割腕15aの概ね全長に亘って延びている。2つの検出電極7A同士は、例えば、圧電体3上の配線19により接続されている。また、2つの検出電極7B同士は、例えば、圧電体3上の配線19により接続されている。
このような検出電極7の配置および接続関係において、分割腕15aがz軸方向に撓み変形すると、例えば、z軸方向に平行な電界が生じる。すなわち、分割腕15aの各側面においては、検出電極7Aと検出電極7Bとの間に電圧が生じる。電界の向きは、分極軸の向きと、湾曲の向き(z軸方向の正側または負側)とで決定され、x軸方向の正側部分と負側部分とで互いに逆である。この電圧(電界)が検出電極7Aおよび検出電極7Bに出力される。分割腕15aがz軸方向に振動すると、電圧は交流電圧として検出される。電界は、上記のようにz軸方向に平行な電界が支配的であってもよいし、x軸方向に平行で、z軸方向の正側部分と負側部分とで互いに逆向きな電界の割合が大きくてもよい。いずれにせよ、分割腕15aのz軸方向への撓み変形に応じた電圧が検出電極7Aと検出電極7Bとの間に生じる。
各検出腕15の、複数の分割腕15aの間においては、検出電極7A同士が接続され、検出電極7B同士が接続される。当該接続は、例えば、圧電体3上の配線19によってなされる。このような接続関係においては、複数の分割腕15aがz軸方向において互いに同一側に曲がるように撓み変形すると、複数の分割腕15aにおいて検出された信号が加算される。
2つの検出腕15の間においては、検出電極7Aと検出電極7Bとが接続される。当該接続は、例えば、圧電体3上の配線19によってなされる。このような接続関係においては、2つの検出腕15がz軸方向において互いに逆側に曲がるように撓み変形すると、2つの検出腕15において検出された信号が加算される。
(配線)
複数の配線19は、上述したように励振電極5および検出電極7を接続している。また、複数の配線19は、電位の観点から2組に分けられた励振電極5と、電位の観点から2組に分けられた検出電極7との合計4組の電極と、4つのパッド9とをそれぞれ接続している。複数の配線19は、圧電体3の種々の部分の上面、下面および/または側面において適宜に配されることによって、その全体が圧電体3の表面に設けられる態様で、互いに短絡することなく、上述した接続を実現可能である。ただし、圧電体3上に位置する配線19の上に絶縁層を設け、その上に他の配線19を設けることによって、立体配線部が形成されても構わない。
(駆動回路および検出回路)
図3(a)および図3(b)に示すように、角速度センサ51は、励振電極5に電圧を印加する駆動回路103と、検出電極7からの電気信号を検出する検出回路105とを有している。
駆動回路103は、例えば、発振回路および増幅器を含んで構成されており、所定の周波数の交流電圧を励振電極5Aと励振電極5Bとの間に印加する。周波数は、角速度センサ101内にて予め定められていてもよいし、外部の機器等から指定されてもよい。
検出回路105は、例えば、増幅器および検波回路を含んで構成されており、検出電極7Aと検出電極7Bとの電位差を検出し、その検出結果に応じた電気信号を外部の機器等に出力する。より具体的には、例えば、上記の電位差は、交流電圧として検出され、検出回路105は、検出した交流電圧の振幅に応じた信号を出力する。この振幅に基づいて角速度が特定される。また、検出回路105は、駆動回路103の印加電圧と検出した電気信号との位相差に応じた信号を出力する。この位相差に基づいて回転の向きが特定される。
駆動回路103および検出回路105は、全体として制御回路107を構成している。制御回路107は、例えば、チップIC(Integrated Circuit)によって構成されており、センサ素子1が実装される実装基体に実装され、ひいては、複数のパッド9に電気的に接続されている。
(センサ素子の動作説明)
上述のように、駆動腕13Aおよび13Bのグループと、駆動腕13Cおよび13Dのグループとは、励振方向(x軸方向)において互いに逆側へ変形するように互いに逆の位相(180°ずれた位相)で励振される。
この状態で、センサ素子1がy軸回りに回転されると、駆動腕13は、励振方向(x軸方向)と回転軸方向(y軸方向)とに直交する方向(z軸方向)にコリオリの力を受ける。これにより、駆動腕13は、z軸方向に振動する。また、駆動腕13Aおよび13Bのグループと、駆動腕13Cおよび13Dのグループとは、互いに逆の位相で励振されていることから、z軸方向において互いに逆側へ湾曲するように振動する。
駆動腕13および検出腕15は、基部11によって連結されている。従って、駆動腕13の振動は、基部11を介して検出腕15に伝達され、検出腕15も振動する。具体的には、検出腕15Aは、z軸方向において駆動腕13Aおよび13Bとは逆側へ湾曲するように振動する。また、検出腕15Bは、z軸方向において駆動腕13Cおよび13Dとは逆側へ湾曲するように振動する。すなわち、検出腕15Aおよび15Bは、z軸方向において互いに逆側に湾曲するように振動する。従って、複数の検出電極7の接続関係の説明で述べたように、両検出腕15において生じた電気信号は加算される。
以上のとおり、本実施形態のセンサ素子1は、平面視において、基部11ならびに基部11から延び出ている腕部(駆動腕13および検出腕15)を含んでいる圧電体3と、駆動腕13の表面に位置している複数の励振電極5と、検出腕15の表面に位置している複数の検出電極7と、を有している。圧電体3は、平面視において、基部11、駆動腕13および検出腕15を囲んでおり、基部11が架け渡されている枠部17をさらに含んでいる。
従って、例えば、第2延在部17bが無い場合(枠部17に代えて1対の腕状の実装部が設けられている場合)に比較して、第1延在部17aの振動が低減される。また、例えば、パッド9と不図示の実装基体とを接合する接合材の硬さが第1延在部17aの振動の周波数に及ぼす影響が低減される。その結果、検出精度を向上させることができる。
また、本実施形態では、枠部17は、x軸方向において互いに対向し、前記基部が架け渡される1対の第1延在部17aを含む。1対の第1延在部17aそれぞれは、一部(幅狭部17c)においてx軸方向の幅が狭くなっている。
従って、例えば、駆動腕13(もしくは検出腕15)または枠部17の振動が幅狭部17cにおいて吸収される。その結果、例えば、両者の振動が結合し、駆動腕13および/または検出腕15に意図しない振動が生じるおそれが低減される。ひいては、検出精度が向上する。また、例えば、外部からの衝撃が幅狭部17cにおいて吸収され、基部11、駆動腕13および検出腕15が衝撃から保護される。
<第2実施形態>
図4は、第2実施形態に係るセンサ素子201の要部構成を示す平面図である。ただし、この図では、センサ素子201の表面に設けられる導電層の図示は基本的に省略されている。
センサ素子201は、第1実施形態のセンサ素子1と同様に、圧電体203の腕部に励振電極5および検出電極7が設けられた構成であり、また、圧電体203は、基部211が架け渡される枠部217を有している。従って、例えば、第1実施形態と同様の効果が奏される。
ただし、センサ素子201は、大きく2つの点で、センサ素子1と相違する。第1に、センサ素子201は、圧電体の振動の態様および角速度が検出される回転軸がセンサ素子1と相違する。第2に、センサ素子201は、不図示の実装基体に対する実装態様がセンサ素子1と相違する。以下では、まず、第1の相違点について説明し、次に、第2の相違点について説明する。
(新規な振動態様に係る構成)
センサ素子201は、例えば、x軸回りの角速度を検出する圧電振動式の角速度センサ251(符号は図5)を構成するものである。センサ素子201においても、第1実施形態と同様に、圧電体203が励振され、コリオリの力に起因する電気信号(例えば電圧または電荷)が検出されることによって角速度が検出される。ただし、センサ素子201は、従来にない新規な振動の態様を実現するように構成されている。具体的には、以下のとおりである。
(圧電体の形状)
圧電体203の材料および分極軸の方向(分極軸と直交座標系xyzとの相対関係)は、第1実施形態の圧電体3と同様でよい。また、圧電体203は、圧電体3と同様に、全体(後述する脚部221を含む)として厚さ(z軸方向)が一定にされてよい。
圧電体203は、例えば、y軸に平行な不図示の対称軸に対して線対称の形状に形成されている。また、圧電体203は、例えば、x軸に平行な不図示の対称軸に対して線対称の形状に形成されている。
圧電体203は、枠部217内に、x軸に平行な不図示の対称軸を挟んで線対称に配置された2つのユニット204(204Aおよび204B)を有している。各ユニット204は、例えば、基部211(211Aまたは211B)と、基部211から延びている少なくとも1対(図示の例では2対)の駆動腕213(213A〜213H)ならびに検出腕215(215Aまたは215B)とを有している。
ユニット204は、1つのみで、本実施形態に係る新規な振動態様による角速度の検出方法を実現可能である。図示の例では、圧電体203は、2つのユニット204を有していることから、例えば、両者の信号を加算することにより、検出感度を向上させることが可能となっている。
基部211は、第1実施形態と同様に、枠部217(1対の第1延在部217a)に架け渡されている。基部211は、例えば、x軸に平行に直線状に延びている。基部211の横断面の形状は、例えば、全長に亘って概ね一定であり、また、概ね矩形である。基部211の幅(y軸方向)および厚さ(z軸方向)は、いずれが他方よりも大きくてもよい。
基部211の各種寸法は適宜に設定されてよい。基部211は、後述するように、平面視において撓み変形することが予定されている。従って、基部211の幅は、比較的小さくされてよい。例えば、基部211の幅は、枠部217の幅(最大幅または最小幅)以下とされてよい。また、例えば、基部211の幅は、基部211の厚さの2倍以下、または1倍以下とされてよい。また、例えば、基部211の長さおよび幅は、平面視における撓み変形の固有振動数が、駆動腕213の、電圧印加によって励振される方向における固有振動数、および/または検出腕215の、コリオリの力によって振動する方向における固有振動数に近づくように調整されてよい。
特に図示しないが、平面視において、基部211の両端(駆動腕213の配置位置よりも外側の部分)をL字、Ω字またはS字に形成してもよい。すなわち、基部211は、両端にx軸に交差する部分を含んでいてもよい。このようにすることにより、基部211を長くして、基部211を撓みやすくすることができる。
駆動腕213は、基部211からy軸方向に延びており、その先端は自由端とされている。各ユニット204において、駆動腕213は、対を成すように偶数本で設けられている。換言すれば、圧電体203は、x軸方向に互いに離れた位置にて互いに並列(例えば平行)に延びている(少なくとも)1対の駆動腕213を含んでいる。1対の駆動腕13は、例えば、基部211の中央を通り、y軸に平行な不図示の対称軸に対して線対称に設けられている。
後述するように(図6(a)および図6(b))、1対の駆動腕213は、x軸方向の励振によって基部211を平面視において撓み変形(振動)させることが意図されている。従って、例えば、1対の駆動腕213の基部211に対するx軸方向の位置は、1対の駆動腕213の振動によって基部211の撓み変形が大きくなるように適宜に設定されてよい。例えば、基部211のx軸方向における長さを3等分したときに、1対の駆動腕213は、両側の領域にそれぞれ位置している。
駆動腕213の具体的形状等は適宜に設定されてよい。例えば、駆動腕213は、概略、長尺の直方体状とされている。第1実施形態の説明において、駆動腕13の上面および/または下面に凹溝が形成されてもよいことを述べたが、駆動腕213についても同様に、凹溝が設けられてもよい。また、駆動腕213は、先端側部分において幅(x軸方向)が広くなるハンマ形状とされてもよい(第1実施形態の駆動腕13参照)。対を成す2本の駆動腕213は、例えば、概略、互いに線対称の形状および大きさとされている。従って、両者の振動特性は互いに同等である。
駆動腕213は、後述するように、x軸方向において励振される。従って、駆動腕213は、その幅(x軸方向)が大きくなると、励振方向(x軸方向)における固有振動数が高くなり、その長さ(別の観点では質量)が大きくなると、励振方向における固有振動数は低くなる。駆動腕213の各種の寸法は、例えば、駆動腕213の励振方向における固有振動数が励振させたい周波数に近くなるように設定される。
検出腕215は、基部211からy軸方向に延びており、その先端は自由端とされている。また、検出腕215は、対を成す駆動腕213の間において、駆動腕213に対して並列(例えば平行)に延びている。検出腕215は、例えば、基部211のx軸方向中央に位置し、および/または対を成す駆動腕213の間の中央に位置している。
検出腕215の具体的形状等は適宜に設定されてよい。例えば、検出腕215は、先端側部分において幅(x軸方向)が広くなるハンマ形状とされている。ただし、検出腕215は、横断面の形状が全長に亘って概略一定とされてもよい。また、本実施形態では、検出腕215は、第1実施形態の分割腕15aを有していない。ただし、分割腕15aが設けられてもよい。また、特に図示しないが、検出腕215は、基部211からy軸へ延び出る第1部分と、第1部分の先端かつ側方に接続され、基部211側へ延び、先端が自由端とされている第2部分とを有して構成されていてもよい(折り返す形状を含んでいてもよい。)。
検出腕215は、後述するように、本実施形態においては、コリオリの力によってz軸方向に振動する。従って、検出腕215は、その厚さ(z軸方向)が大きくなると、振動方向(z軸方向)における固有振動数が高くなり、その長さ(別の観点では質量)が大きくなると、振動方向における固有振動数は低くなる。検出腕215の各種の寸法は、例えば、検出腕215の振動方向における固有振動数が、駆動腕213の励振方向における固有振動数に近くなるように設定される。検出腕215の長さは、例えば、駆動腕213の長さと同等である。ただし、両者は異なっていてもよい。
(励振電極、検出電極および配線)
図5は、図4のV−V線における断面図である。この図では、ユニット204Aの断面図を示しているが、ユニット204Bの断面図も同様である。
各駆動腕213における励振電極5の構成および配置は、第1実施形態と同様である。従って、励振電極5Aおよび5Bに交流電圧が印加されることによって、駆動腕213は、x軸方向に振動する。ユニット204Aおよび204Bは、駆動腕213が延びる方向が互いに逆側であるが、いずれにおいても、励振電極5の付加符号Aは、駆動腕213の上面または下面に対応し、励振電極5の付加符号Bは、駆動腕213の側面に対応するものとする。
各検出腕215における検出電極7の構成および配置は、分割腕15a毎に検出電極7が設けられていない点を除いては、第1実施形態と同様である。従って、検出電極7Aおよび7Bによって、検出腕215のz軸方向の振動によって生じる信号が検出される。ユニット204Aおよび204Bは、検出腕215が延びる方向が互いに逆側であるが、いずれにおいても、検出電極7の付加符号Aは、−xの側面の+zの領域および+xの側面の−zの領域に対応し、検出電極7の付加符号Bは、−xの側面の−zの領域および+xの側面の+zの領域に対応するものとする。
各ユニット204において、2対の駆動腕213における複数の励振電極5の電位(別の観点では接続関係)も、第1実施形態と同様である。従って、各ユニット204における2対の駆動腕213は、第1実施形態と同様に励振される。
2つのユニット204に関しては、検出腕215に対してx軸方向の同一側に位置する駆動腕213間(7A、7B、7Eおよび7F間、または7C、7D、7Gおよび7H間)において、励振電極5A同士が同一の電位とされ、励振電極5B同士が同一の電位とされる。同電位となるべき励振電極5同士は、例えば、圧電体203上の複数の配線19によって互いに接続されている。従って、2つのユニット204において、複数の駆動腕213は、互いに同一の位相で検出腕215側へ近接または離反する。
また、2つのユニット204の検出腕215間においては、検出電極7Aと検出電極7Bとが同一の電位とされる。同電位となるべき検出電極7同士は、例えば、圧電体203上の複数の配線19によって互いに接続されている。従って、2つの検出腕215がz軸方向の互いに逆側に撓んだときに、両者において生じた信号が加算される。
上記のように電位の観点から2組に分けられた励振電極5と、電位の観点から2組に分けられた検出電極7との合計4組の電極群は、圧電体203上の複数の配線19によって、4つのパッド9と接続されている。
(角速度センサの動作)
図6(a)および図6(b)は、圧電体203の励振を説明するための模式的な平面図である。両図は、励振電極5に印加されている交流電圧の位相が互いに180°ずれている。この図では、枠部217およびその外側部分は、第1延在部217aの一部のみが示されている。
上述のように、各ユニット204において、少なくとも1対(本実施形態では2対)の駆動腕213は、励振電極5に交流電圧が印加されることによってx軸方向において互いに逆向きに変形するように互いに逆の位相で励振される。
このとき、図6(a)に示すように、対を成す駆動腕213が互いにx軸方向の外側(対を成す駆動腕213が互いに離れる側)に撓むと、その曲げモーメントが基部211に伝わり、基部211はy軸方向の外側(204Aにおいては+y側、204Bにおいては−y側)へ撓む。その結果、検出腕215がy軸方向の外側へ変位する。
逆に、図6(b)に示すように、対を成す駆動腕213が互いにx軸方向の内側(対を成す駆動腕213が互いに近づく側)に撓むと、その曲げモーメントが基部211に伝わり、基部211はy軸方向の内側へ変位する。その結果、検出腕215がy軸方向の内側へ変位する。
従って、対を成す駆動腕213が励振されることによって、検出腕215がy軸方向において振動することになる。また、2つのユニット204間において、複数の駆動腕213は、互いに同一の位相で励振されているから、2つの検出腕215は、y軸方向の互いに逆側に変位するように振動する。
図6(c)および図6(d)は、コリオリの力による検出腕215の振動を説明するための模式的な斜視図である。図6(c)および図6(d)は、図6(a)および図6(b)の状態に対応している。この図では、駆動腕213および基部211の変形については図示が省略されている。
図6(a)および図6(b)のように圧電体3が振動している状態で、センサ素子201がx軸回りに回転されると、検出腕215は、y軸方向に振動(変位)していることから、コリオリの力によって回転軸(x軸)と振動方向(y軸)とに直交する方向(z軸方向)において振動(変形)する。この変形によって生じる信号(例えば電圧)は、上述のように検出電極7によって取り出される。コリオリの力(ひいては検出される信号の電圧)は、角速度が大きいほど大きくなる。これにより、角速度が検出される。
また、2つの検出腕215は、y軸方向において互いに逆側に変位する位相で振動しているから、x軸回りの回転方向に対して同一側にコリオリの力を受ける。別の観点では、2つの検出腕215は、z軸方向において互いに逆側へ曲がるように振動する。そして、上述のように2つの検出腕215間においては、検出電極7Aと検出電極7Bとが接続されているから、2つの検出腕215において生じた信号は加算される。
以上のとおり、本実施形態では、基部211は、直交座標系xyzのx軸方向において枠部217に架け渡されている。基部211から延び出る腕部は、x軸方向に互いに離れた位置にてy軸方向に互いに並列に延びている(少なくとも)1対の駆動腕213と、x軸方向において1対の駆動腕213の間の中央となる位置においてy軸方向に延びている検出腕215とを含んでいる。複数の励振電極5は、1対の駆動腕213をx軸方向に励振する電圧を印加可能な配置で設けられている。複数の検出電極7は、検出腕215のz軸方向の振動によって生じる信号を検出可能な配置で設けられている。複数の配線19は、1対の駆動腕213がx軸方向において互いに逆側へ曲がって振動するように複数の励振電極5から1対の駆動腕213に互いに逆の位相が印加されるように複数の励振電極5を接続している。
従って、1対の駆動腕213の励振によって基部211を湾曲(振動)させ、検出腕215を変位(振動)させ、この変位している検出腕215に作用するコリオリの力によって角速度を検出するという新たな振動態様による検出が可能になる。
第1実施形態では、励振されている駆動腕13にコリオリの力を作用させて振動させ、このコリオリの力による振動を検出腕15に伝達した。本実施形態では、第1実施形態に比較して、検出腕215に直接的にコリオリの力が作用する。その結果、例えば、検出感度が向上する。
また、比較例として、例えば、駆動腕の振動方向(x軸方向)と同一方向において検出腕を曲げ変形(振動)させておき、この振動している検出腕にコリオリの力を作用させる態様が挙げられる。本実施形態は、そのような態様とは検出腕の振動方向が異なり、前述の比較例では角速度を検出できなかった回転軸(x軸)について角速度を検出することが可能となる。
本実施形態の基部211は、例えば、その撓み変形によって検出腕215を変位させやすいように設計されるから、その全長に亘って振動が生じやすい構成とされる蓋然性が高い。その結果、例えば、センサ素子1の角速度の検出精度は、基部211を支持する部分(枠部217)の剛性の影響を受けやすい。一方、第1実施形態の説明で述べたように、基部211を支持する構成として枠部217を採用することによって、例えば、枠部217において生じる不要振動が抑制されたり、パッド9の実装基体への接合のばらつきが第1延在部217aの振動に及ぼす影響が低減される。従って、例えば、枠部217によって検出精度が向上する効果が有効に奏される。
第1実施形態または上述の比較例において、x軸方向に互いに逆側に曲がるように逆位相で駆動される1対の駆動腕が設けられる場合、1対の駆動腕の中央に検出腕が位置することはない。そのようにすると、1対の駆動腕の振動(励振によるもの、またはコリオリの力によるもの)は検出腕の位置で互いに釣り合い、駆動腕の振動方向に検出腕を振動させる原理が成り立たないからである。
互いに逆側に曲がるように逆位相で駆動される1対の駆動腕の中央に検出腕が位置する従来技術は存在する。しかし、そのような従来技術においては、基部の両端に駆動腕が配置され、また、基部の両端が振動可能になっている。すなわち、基部が枠部に架け渡されることはない。
(実装構造)
図4に戻り、第1実施形態との他の相違点である実装構造について説明する。
第1実施形態では、パッド9は、枠部17に設けられ、枠部17は、不図示の実装基体に接合される部分を担った。これに対して、本実施形態では、パッド9は、枠部217に設けられておらず、実装基体に接合される部分を担っていない。具体的には、以下のとおりである。
圧電体203は、平面視において枠部217からその外側へ延び出ている複数(図示の例では4本)の脚部221を有している。そして、その先端にパッド9が設けられている。従って、枠部217は、脚部221によって弾性的に支持されることになる。
脚部221の枠部217に対する接続位置、脚部221の形状、脚部221の先端の枠部217に対する位置、脚部221の各種の寸法等は適宜に設定されてよい。図示の例では、以下のように設定されている。
4つの脚部221は、例えば、1対の第2延在部217bそれぞれの中央位置から、2本ずつ延び出ている。各第2延在部217bから延び出る2つの脚部221は、第2延在部217bから延び出る部分が共通化されている。ただし、そのような共通化はなされなくてもよい。
各第2延在部217bから延び出た2つの脚部221は、例えば、互いに逆方向に枠部217の外周に沿って延びている。具体的には、例えば、各脚部221は、第2延在部217bの半分程度に沿って延びた後、第1延在部217aの半分程度に沿って延びている。このように、脚部221は、枠部217の外周の少なくとも一部に沿って延びる部分を含んでいる。
各脚部221は、例えば、上記のように枠部217の外周に沿って延びた後、折り返して(180°方向転換して)延びている。具体的には、例えば、脚部221は、第1延在部217aに沿って延びて第1延在部217aの中央付近に到達した後に、枠部217に対してさらに外側に位置をずらし、これまでとは逆方向に第1延在部217aに沿って延びている。
脚部221の先端は、例えば、第1延在部217aの側方、かつ第1延在部217aの中央から外側に離れた位置に位置している。従って、4つの脚部221の先端は、矩形の頂点を構成するように配置されている。図示の例では、脚部221の先端は、圧電体203のy軸方向の端部(図示の例では脚部221の第2延在部217bに沿って延びている部分)よりも内側に位置しているが、圧電体203のy軸方向の端部に位置してもよい。
脚部221の幅は、一定であってもよいし、長さ方向の位置に応じて変化してもよい。また、脚部221の幅は、枠部217の幅(最大幅または最小幅)に対して大きくてもよいし、同等でもよいし、小さくてもよい。図示の例では、脚部221の少なくとも一部の幅は、枠部217の最大幅よりも小さく、枠部217の最小幅以下である。また、脚部221の先端は、例えば、他の部分に比較して幅広にされている。
複数の脚部221は、枠部217からその外側に突出する突部223(図示の例では2つの脚部221の根元の共通化された部分)と、突部223に接続され、パッド9が設けられる実装部225とによって構成されていると捉えられてもよい。そして、実装部225は、複数の脚部(ただし、脚部221から突部223を除いた部分)を含んでいると捉えられてよい。
枠部217の形状は、概略、第1実施形態の枠部17の形状と同様である。ただし、枠部217は、各辺(第1延在部217aおよび第2延在部217b)の長さ方向において幅が変化する位置が第1実施形態と相違してもよい。図示の例では、第1延在部217aは、基部211との接続位置において、第1延在部217aの他の部分よりも幅(x軸方向)が狭くなっている幅狭部217cを有している。幅狭部217cは、例えば、枠部217の内面に凹部が形成されることによって構成されている。これにより、枠部217の外面に凹部が形成されることによって幅狭部217cが構成される場合(そのようにされてもよい)に比較して、基部211は長くなっている。第1実施形態と同様に、第1延在部217aの幅狭部217c以外の部分の幅は、第2延在部217bの幅(y軸方向)よりも広くてもよいし、同等でもよいし、狭くてもよい。
以上のとおり、本実施形態では、圧電体203は、平面視において枠部217からその外側に延び出ており、複数のパッド9が設けられている複数の脚部221を有している。
従って、枠部217は、枠部217にパッド9が設けられる場合に比較して、複数の脚部221によって弾性的に支持されることになる。その結果、例えば、センサ素子1と、センサ素子1が実装される実装基体との間に熱膨張差が生じても、脚部221の変形によって熱膨張差が吸収され、実装基体から枠部217へ伝えられる熱応力が緩和される。ひいては、温度変化によってセンサ素子1の特性が変化するおそれが低減される。
また、本実施形態では、複数の脚部221の少なくとも1つ(本実施形態では全部)は、枠部217とパッド9との間に、枠部217の外周の少なくとも一部に沿って延びる部分を含んでいる。また、複数の脚部221の少なくとも1つ(本実施形態では全部)は、枠部217とパッド9との間に、折り返して延びる部分を含んでいる。
従って、センサ素子1の小型化を図りつつ、脚部221の長さを確保して、熱応力を緩和する効果を向上させることができる。
本実施形態では、複数の脚部221は、それぞれ1つのパッド9を有している。ただし、1つの脚部221に複数のパッド9が設けられてもよい。また、本実施形態では、複数の脚部221に設けられた複数のパッド9は、いずれも電極(5または7)に接続されている。ただし、いずれの電極にも接続されておらず、脚部221の接合のみを目的としたダミーのパッドが設けられてもよい。
<第3実施形態>
(角速度センサの構成)
図7は、第3実施形態に係る角速度センサ351のセンサ素子301の要部構成を示す断面図である。
角速度センサ351は、概略、第2実施形態に係る角速度センサ251と同様の構成とされている。ただし、角速度センサ251がx軸回りの回転を検出するものであったのに対して、角速度センサ351は、z軸回りの回転を検出するものとされている。具体的には、以下のとおりである。
センサ素子301は、圧電体203、複数の励振電極5、複数の検出電極307(307Aおよび307B)、複数のパッド9(ここでは不図示)および複数の配線19を有している。これらの符号から理解されるように、複数の検出電極307(これに関わる配線19)を除いては、センサ素子301の基本的な構成は、概ね、第2実施形態のセンサ素子201と同様とされてよい。
従って、図4は、センサ素子301の圧電体203およびパッド9を示す平面図として捉えられてよい。また、図7は、図4のV−V線に対応している。
ただし、本実施形態においては、検出腕215は、第2実施形態とは異なり、コリオリの力によってx軸方向に振動することが意図されている。このような相違に基づいて、具体的な寸法は、第2実施形態と異なっていてよい。
例えば、検出腕215は、その幅(x軸方向)が大きくなると、振動方向(x軸方向)における固有振動数が高くなり、その長さ(別の観点では質量)が大きくなると、振動方向における固有振動数は低くなる。検出腕215の各種の寸法は、例えば、検出腕215の振動方向における固有振動数が、駆動腕213の励振方向における固有振動数に近くなるように設定される。
検出電極307Aおよび307Bは、検出腕215のx軸方向の曲げ変形によって生じる信号を取り出すものであるので、例えば、駆動腕213をx軸方向に励振させるための励振電極5Aおよび5Bと同様の構成とされる。従って、第1または第2実施形態における励振電極5についての説明は、励振電極5を検出電極307に読み替えて、検出電極307についての説明としてよい。各検出腕215における1対の検出電極307A同士の接続、および1対の検出電極307B同士の接続についても同様である。
2本の検出腕215間においては、検出電極307Aと検出電極307Bとが接続される。従って、2本の検出腕215がx軸方向において互いに逆側に曲がるときに、検出腕215で生じた信号が加算される。検出電極307の接続は、例えば、圧電体203上の複数の配線19によりなされる。
第2実施形態においては、検出腕215に上面および下面を貫通するスリット(別の観点では複数の分割腕15a)が設けられてよいことについて言及した。第3実施形態においては、検出腕215は、駆動腕213と同様に、その上面および/または下面に凹溝が設けられてよい。
(角速度センサの動作)
第3実施形態における圧電体203の励振は、第2実施形態におけるものと同様である。図6(a)および図6(b)は、第3実施形態における圧電体203の励振状態を示している図として捉えられてよい。従って、検出腕215を挟んで対を成す駆動腕213はx軸方向において互いに近接および離反するように振動し、検出腕215は、基部211の撓み変形によってy軸方向において変位(振動)する。
図8(a)および図8(b)は、コリオリの力による検出腕215の振動を説明するための模式的な平面図である。図8(a)および図8(b)は、図6(a)および図6(b)の状態に対応している。
図6(a)および図6(b)のように圧電体203が振動している状態で、センサ素子1がz軸回りに回転されると、検出腕215は、y軸方向に振動(変位)していることから、コリオリの力によって回転軸(z軸)と振動方向(y軸)とに直交する方向(x軸方向)において振動(変形)する。この変形によって生じる信号(例えば電圧)は、検出電極307によって取り出されて検出回路105に入力される。コリオリの力(ひいては検出される信号の電圧)は、角速度が大きいほど大きくなる。これにより、角速度が検出される。
また、2つの検出腕215は、y軸方向において互いに逆側に変位する位相で振動しているから、z軸回りの回転方向に対して同一側にコリオリの力を受ける。別の観点では、2つの検出腕215は、x軸方向において互いに逆側へ曲がるように振動する。そして、2つの検出腕215間においては、検出電極307Aと検出電極307Bとが接続されているから、2つの検出腕215において生じた信号は加算される。
以上のとおり、本実施形態においても、第2実施形態と同様に、圧電体203は、枠部217に架け渡される基部211と、基部211から並列に延びる(少なくとも)1対の駆動腕213と、1対の駆動腕213の間の中央に位置する検出腕215とを含んでいる。複数の励振電極5および複数の配線19は、1対の駆動腕213を互いに逆位相で振動可能に設けられている。また、複数の検出電極307は、検出腕215のx軸方向における曲げ変形により生じる信号を検出可能な配置で設けられている。
従って、第1実施形態と同様の効果が奏される。例えば、基部211の撓みによって検出腕215をy軸方向へ変位させる新たな振動態様による検出が可能になる。その結果、例えば、検出腕215に直接にコリオリの力が作用し、検出感度の向上が期待される。また、例えば、駆動腕の振動方向(x軸方向)と同一方向において検出腕を曲げ変形(振動)させておき、この振動している検出腕にコリオリの力を作用させる比較例では角速度を検出できなかった軸(z軸)について角速度を検出することが可能となる。
<第4実施形態>
図9は、第4実施形態に係るセンサ素子401の要部構成を示す平面図である。
センサ素子401は、例えば、第1実施形態のセンサ素子1と同様の原理によってy軸回りの角速度を検出するものである。具体的には、センサ素子401の圧電体403は、センサ素子1の圧電体3(基部11、駆動腕13、検出腕15および枠部17)を含み、また、ここでは不図示であるが、センサ素子1と同様の励振電極5、検出電極7およびこれら電極同士を接続する複数の配線19を有している。
ただし、センサ素子401は、不図示の実装基体に対する実装態様がセンサ素子1と相違する。具体的には、センサ素子401の圧電体403は、平面視において枠部17からその外側に突出する突部423と、突部423の先端に接続されている実装部425とを有しており、実装部425に複数のパッド9が設けられている。すなわち、本実施形態では、第2実施形態と同様に、枠部17が不図示の実装基体に接合される部位を担うのではなく、その外側に設けられた実装部425が実装基体に接合される部位を担う。
突部423の枠部17に対する接続位置、突部423の形状、実装部425の形状およびパッド9の位置等は適宜に設定されてよい。図示の例では、以下のとおりである。圧電体403の厚さは、例えば、他の実施形態と同様に、その全体(突部423および実装部425を含む)に亘って概ね一定とされてよい。
突部423は、1対の第2延在部17bの一方の中央から突出している。突部323は、例えば、一定の幅で突出している。突部323の幅は、枠部17(第1延在部17aまたは第2延在部17b)の幅よりも大きくてもよいし、同等でもよいし、小さくてもよい。図示の例では、突部423の幅は、枠部17の幅よりも広くされている。
実装部425の形状は、枠部17を囲む枠状とされている。その具体的な形状は、例えば、枠部17と同様に、矩形とされている。別の観点では、実装部425は、枠部17の外周に沿って延びる形状である。実装部425は、枠部17と相似形であってもよいし、相似形でなくてもよい。また、実装部425の内周面と枠部17の外周面との距離(幅狭部17cを形成する凹部の影響を除く)は、一定であってもよいし、一定でなくてもよい。実装部425の幅(4辺の幅)は、一定であってもよいし、変化してもよい。図示の例では、実装部425は、長辺が短辺よりも幅広にされている。また、実装部425の幅は、枠部17の幅よりも大きくてもよいし、同等でもよいし、小さくてもよい。図示の例では、実装部425の幅は、枠部17の幅よりも広くされている。
以上のとおり、圧電体403は、平面視において枠部17からその外側に突出する突部423と、突部423の先端に接続されており、複数のパッド9が設けられている実装部425と、を含んでいる。
従って、例えば、センサ素子1が実装される不図示の実装基体と、圧電体403との間に熱応力が生じても、その熱応力が枠部17に作用する位置を突部423の位置によって調整することができる。例えば、突部423を第2延在部17bの中央から突出させて、第1延在部17aの中央に接続されている基部11から突部423を極力離すことができる。別の観点では、突部423および実装部425を設けずに、第2延在部17bの中央にパッド9を設けた場合に比較して、応力の作用は同様にしつつ、圧電体403を安定して支持できる4位置にパッド9を配置できる
また、本実施形態では、全てのパッド9が実装部425に設けられており、実装部425と枠部17とを接続する突部423は、1つである。
従って、例えば、実装部425がx軸方向またはy軸方向に伸長または短縮されたとしても、枠部17は、基本的にx軸方向またはy軸方向の位置が変化するだけである。すなわち、実装部425の応力は、殆ど枠部17に伝わらない。従って、例えば、実装部425と不図示の実装基体との間で熱応力が生じても、当該熱応力は枠部17には伝わりにくい。
また、本実施形態では、実装部425は、枠部17を囲む枠状である。従って、圧電体403が大型化することを抑制しつつ、センサ素子1の安定した支持が可能になる。
<第5実施形態>
図10は、第5実施形態に係るセンサ素子501の要部構成を示す平面図である。
センサ素子501は、第4実施形態のセンサ素子401に対して、圧電体503の突部423が2つとされている点のみが相違する。2つの突部423のそれぞれの位置、および/または相対位置は、適宜に設定されてよい。図示の例では、2つの突部423は、枠部17に対して互いに逆の位置(2回対称の位置)に設けられている。
本実施形態においても、第4実施形態と同様の効果が奏される。例えば、2つの突部423を結ぶ直線に直交する方向(図示の例ではx軸方向)において実装部425が伸長または短縮しても、枠部17は基本的にx軸方向の位置が変化するだけである。従って、例えば、枠部17と不図示の実装基体との間の熱応力が緩和される。
また、本実施形態では、枠部17の保持は2点保持であることから、1点保持の第4実施形態に比較して、例えば、枠部17を安定して保持することができる。また、励振電極5および検出電極7と、4つのパッド9とを接続する(少なくとも)4本の配線19は、第1実施形態では1つの突部423を通過する必要があるが、本実施形態では2本ずつ2つの突部423を通過することができる。その結果、例えば、配線構造の簡素化、および/または配線19の幅広化(または突部423の幅狭化)が容易になる。第4実施形態は、第5実施形態に比較して、例えば、熱応力緩和の効果が高い。
以上の第1〜第5実施形態において、駆動腕13(13A〜13D)および213(213A〜213H)ならびに検出腕15(15Aおよび15B)および215(215Aおよび215B)それぞれは、腕部の一例である。励振電極5(5Aおよび5B)ならびに検出電極7(7Aおよび7B)および307(307Aおよび307B)それぞれは電極の一例である。
本発明は、以上の実施形態に限定されず、種々の態様で実施されてよい。
パッドが設けられる枠部(第1実施形態)、枠部および脚部の組み合わせ(第2または第3実施形態)、枠部、突部および実装部の組み合わせ(第4または第5実施形態)は、種々の振動態様の圧電振動式角速度センサに適用可能である。例えば、第2または第3実施形態の新たな振動態様の構成に、パッドが設けられた枠部(第1実施形態)、または枠部、突部および実装部の組み合わせ(第4または第5実施形態)が適用されてもよい。また、第1実施形態の振動態様のための構成に、枠部および脚部の組み合わせ(第2または第3実施形態)が適用されてもよい。その他、例えば、1対の駆動腕と1対の検出腕とが基部から並列に延びるもの、1本の駆動腕と1本の検出腕とが基部から並列に延びるもの(音叉型のもの)など、実施形態以外の種々の振動態様の構成に、枠部等が適用されてよい。
枠部の形状は、矩形に限定されず、曲線を含む形状であってもよいし、矩形以外の多角形であってもよい。枠部の外周に位置する、脚部(第2または第3実施形態参照)または枠状の実装部(第4または第5実施形態参照)についても同様である。枠部の一部において幅を狭くするために枠部の内周面または外周面に設けられる凹部は、実施形態に図示した形状よりも切り込み(溝またはスリット)に近い形状とされてもよい。また、枠部の上面または下面に凹部が形成されて、振動および/または衝撃を吸収する部分が形成されてもよい。基部の枠部に対する接続位置は、枠部の長手方向中央に限定されない。当該接続位置は、枠部内の圧電体の形状等に応じて適宜に設定されてよく、枠部に対して所定方向に偏っていてもよい。
第2または第3実施形態の新たな振動態様において、2つのユニットが設けられず、1つのユニットのみが設けられてもよい。また、2つのユニットは、実施形態とは逆に、駆動腕が延び出る側が互いに対向するように配置されたり、互いに逆の位相で励振されたりしてもよい。2つのユニットのうち一方が第2実施形態のようにx軸回りの角速度の検出に供され、他方が第3実施形態のようにz軸回りの角速度の検出に供されてもよい。
第2または第3実施形態の新たな振動態様を実現する各ユニットにおいて、(少なくとも)1対の駆動腕と、検出腕とは、同一方向に(並列に)延びている必要はない。例えば、y軸方向の一方側に延びる1対の駆動腕に対して、y軸方向の他方側に延びる1本の検出腕が設けられてもよい。
第2または第3実施形態の新たな振動態様において、1本の基部から延びる駆動腕の本数と検出腕の本数との組み合わせは適宜である。例えば、1対の駆動腕に対して、y軸方向の正側に延びる検出腕と、y軸方向の負側に延びる検出腕とが設けられてもよい。また、1対の駆動腕の間に、互いに並列に延びる2本以上の検出腕を設けることも可能である。
また、例えば、1本の基部から互いに逆側に延びる2対の駆動腕を設けてもよい。この場合、+y側に延びる1対の駆動腕と、−y側に延びる1対の駆動腕とは、互いにx軸方向において逆側に振動するように(例えば+y側の1対の駆動腕が互いに離反するときは−y側の1対の駆動腕は互いに近接するように)励振される。これにより、2対の駆動腕からのモーメントが1本の基部に加算される。
第2実施形態(図4)の説明では、脚部221が、突部223と、実装部225とによって構成されていると捉えられてよいことに言及した。また、第4および第5実施形態(図9および図10)では、突部423と、枠状の実装部425とを例示した。いずれにせよ、突部として、直方体状のものが例示された。ただし、突部の形状は、直方体状に限定されず、例えば、比較的細長い形状でもよいし、屈曲部を有していてもよい。この場合、例えば、応力を緩和する効果が向上する。
上記の説明では、第2実施形態の脚部221のうち根元の直方体部分を突部223として捉えた。ただし、突部は、枠部から突出する部分であればよいし、実装部は、突部の先端に接続されて複数のパッドが設けられる部分であればよい。従って、突部と枠部との境界は、適宜に判断されてよい。例えば、図4の脚部221は、屈曲した突部を有していると捉えられても構わない。
センサ素子または角速度センサは、MEMS(Micro Electro Mechanical Systems)の一部として構成されてよい。この場合において、MEMSの基板上にセンサ素子を構成する圧電体が実装されてもよいし、MEMSの基板が圧電体によって構成されており、その一部によってセンサ素子の圧電体が構成されてもよい。
1…センサ素子、3…圧電体、5…励振電極(電極)、7…検出電極(電極)、11…基部、13…駆動腕(腕部)、15…検出腕(腕部)、17…枠部。

Claims (12)

  1. 平面視において、基部と、当該基部から延び出ている1以上の腕部と、前記基部および前記1以上の腕部を囲んでおり、前記基部が架け渡されている枠部を含んでいる圧電体と、
    前記腕部の表面に位置している複数の電極と、
    前記圧電体の表面に位置しており、前記複数の電極と接続されている複数のパッドと、
    を有しており、
    前記圧電体は、平面視において前記枠部の外側に位置し、前記複数のパッドが設けられている実装部をさらに含んでいる、
    センサ素子。
  2. 前記圧電体の表面に位置する複数の配線をさらに有しており、
    前記基部は、直交座標系xyzのx軸方向において前記枠部に架け渡されており、
    前記1以上の腕部は、
    x軸方向に互いに離れた位置にてy軸方向に互いに並列に延びている1対の駆動腕と、
    x軸方向において前記1対の駆動腕の間の中央となる位置においてy軸方向に延びいる検出腕と、を含んでおり、
    前記複数の電極は、
    前記1対の駆動腕をx軸方向に励振する電圧を印加可能な配置で設けられている複数の励振電極と、
    前記検出腕のx軸方向またはz軸方向の振動によって生じる信号を検出可能な配置で設けられている複数の検出電極と、を含んでおり、
    前記複数の配線は、前記1対の駆動腕がx軸方向において互いに逆側へ曲がって振動するように前記複数の励振電極から前記1対の駆動腕に互いに逆の位相が印加されるように前記複数の励振電極を接続している
    請求項1に記載のセンサ素子。
  3. 前記複数の検出電極は、前記検出腕のz軸方向における曲げ変形により生じる信号を検出可能な配置で設けられている
    請求項2に記載のセンサ素子。
  4. 前記複数の検出電極は、前記検出腕のx軸方向における曲げ変形により生じる信号を検出可能な配置で設けられている
    請求項2に記載のセンサ素子。
  5. 前記圧電体は、平面視において前記枠部からその外側に延び出ている複数の脚部をさらに含んでおり、
    前記実装部は、前記脚部の前記枠部との接続部とは異なる先に位置している
    請求項1〜4のいずれか1項に記載のセンサ素子。
  6. 前記複数の脚部の少なくとも1つは、前記枠部と前記パッドとの間に、前記枠部の外周の少なくとも一部に沿って延びる部分を含んでいる
    請求項5に記載のセンサ素子。
  7. 前記複数の脚部の少なくとも1つは、前記枠部と前記パッドとの間に、折り返して延びる部分を含んでいる
    請求項4または5に記載のセンサ素子。
  8. 前記圧電体は、平面視において前記枠部からその外側に突出する突部をさらに含んでおり、
    前記実装部は前記突部の先端に接続されている
    請求項1〜4のいずれか1項に記載のセンサ素子。
  9. 前記複数のパッド全てが前記実装部に設けられており、
    前記実装部と前記枠部とを接続する前記突部は、1つまたは2つである
    請求項8に記載のセンサ素子。
  10. 前記実装部は、前記枠部を囲む枠状である
    請求項8または9に記載のセンサ素子。
  11. 前記枠部は、x軸方向において互いに対向し、前記基部が架け渡される1対の延在部を含み、
    前記1対の延在部それぞれは、一部においてx軸方向の幅が狭くなっている
    請求項1〜10のいずれか1項に記載のセンサ素子。
  12. 請求項1〜11のいずれか1項に記載のセンサ素子と、
    前記複数の電極の一部に電圧を印加する駆動回路と、
    前記複数の電極の他の一部からの信号を検出する検出回路と、
    を有している角速度センサ。
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