JP6904191B2 - 正帯電性トナー及びその製造方法 - Google Patents
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Description
本実施形態に係る正帯電性トナーは、以下に示す構成(以下、「基本構成」と記載することがある)を備える。詳しくは、本実施形態に係る正帯電性トナーは、複数のトナー粒子を含む。トナー粒子は、各々、トナー母粒子と、外添剤とを備える。外添剤は、トナー母粒子の表面に付着し、複数の樹脂粒子を含む。
好ましくは、樹脂粒子1gに含まれる未開環オキサゾリン基の量が、ガスクロマトグラフィー質量分析法による測定で、0.005mmol/g以上5.000mmol/g以下である。前述したように、未開環オキサゾリン基は、強い正帯電性を示す。しかし、未開環オキサゾリン基は、高い吸水性を有する。これらのことから、樹脂粒子においてオキサゾリン基の開環割合を制御することで、高温高湿環境下で長期にわたって連続して画像を形成した場合における正帯電性トナーの帯電安定性の低下を効果的に防止できる。より好ましくは、樹脂粒子1gに含まれる未開環オキサゾリン基の量が、ガスクロマトグラフィー質量分析法による測定で、0.005mmol/g以上3.000mmol/g以下である。樹脂粒子1gに含まれる未開環オキサゾリン基の量は、後述の実施例に記載の方法又はそれに準ずる方法で、求めることができる。
樹脂母粒子の酸価が小さすぎると、カルボキシル基とオキサゾリン基との反応が進行し難いため、コート層が形成され難い。そのため、所望の効果(より具体的には、高温高湿環境下で長期にわたって連続して画像を形成した場合であっても帯電安定性に優れる正帯電性トナーを提供できるという効果)が得られないことがある。樹脂母粒子の酸価が大きすぎると、樹脂母粒子の表面には未反応カルボキシル基が存在し易いため、水分が樹脂母粒子の表面へ吸着し易い。このことによっても、前述の所望の効果が得られないことがある。樹脂母粒子の酸価は、好ましくは0.5mgKOH/g以上であり、より好ましくは0.5mgKOH/g以上5.0mgKOH/g以下である。樹脂母粒子が、酸価が0.5mgKOH/g以上である樹脂を含有すれば、樹脂母粒子の酸価が0.5mgKOH/g以上となり易い。樹脂母粒子が、酸価が5.0mgKOH/g以下である樹脂を含有すれば、樹脂母粒子の酸価が5.0mgKOH/g以下となり易い。
コート層は、樹脂母粒子の表面の少なくとも一部分を被覆する。コート層は、特定のビニル樹脂を含有し、好ましくは特定のビニル樹脂のみを含有する。
本実施形態に係る正帯電性トナーの製造方法は、好ましくは樹脂粒子の作製工程と外添工程とを含み、より好ましくはトナー母粒子の作製工程をさらに含む。なお、同時に製造されたトナー粒子は、互いに略同一の構成を有すると考えられる。
樹脂粒子の作製工程は、好ましくは、樹脂母粒子の作製工程と、コート液の調製工程と、コート層の形成工程とを含む。図1を用いて、樹脂粒子の好ましい作製方法を説明する。図1は、樹脂粒子の作製方法の一工程を模式的に示す図である。より具体的には、図1は、コート層の形成工程を模式的に示す図である。さらに具体的には、図1には、1つのカルボキシル基と1つのオキサゾリン基とが互いに反応する過程を示す。なお、図1では、原子省略法で化学構造式を記載している。
樹脂母粒子の作製工程では、まず、複数の樹脂母粒子111を含む分散液(樹脂母粒子111の分散液)を調製する。樹脂母粒子111は、各々、表面にカルボキシル基を有する。より具体的には、樹脂母粒子111が含有する樹脂を合成するために使用されるモノマーを水性媒体中で重合(好ましくは乳化重合)させる。重合開始剤の存在下でモノマーを重合させてもよい。モノマーの重合時間が長いほど、樹脂母粒子111の個数平均一次粒子径が大きくなる傾向にある。モノマーの重合時間が短いほど、樹脂母粒子111の個数平均一次粒子径が小さくなる傾向にある。
コート液の調製工程では、被覆用ビニル樹脂113を含む溶液(被覆用ビニル樹脂113の溶液)を調製する。被覆用ビニル樹脂113は、構成単位(1−2)を含む。被覆用ビニル樹脂113の溶液としては、例えば、株式会社日本触媒製「エポクロス(登録商標)WS−300」又は「エポクロスWS−700」を使用できる。エポクロスWS−300は、2−ビニル−2−オキサゾリンとメタクリル酸メチルとの共重合体(水溶性架橋剤)を含む。共重合体を構成するモノマーの質量比は、(2−ビニル−2−オキサゾリン):(メタクリル酸メチル)=9:1である。エポクロスWS−700は、2−ビニル−2−オキサゾリンとメタクリル酸メチルとアクリル酸ブチルとの共重合体(水溶性架橋剤)を含む。共重合体を構成するモノマーの質量比は、(2−ビニル−2−オキサゾリン):(メタクリル酸メチル):(アクリル酸ブチル)=5:4:1である。2−ビニル−2−オキサゾリンは、ビニル化合物(1−3)においてR3が水素原子である場合のビニル化合物に相当する。
コート層の形成工程では、コート層13を形成する。より具体的には、所定の温度で、樹脂母粒子(好ましくは、乾燥していない状態の樹脂母粒子)111と被覆用ビニル樹脂113の溶液とを混合する。ここで、所定の温度は、カルボキシル基(樹脂母粒子111の表面に存在するカルボキシル基)とオキサゾリン基(被覆用ビニル樹脂113に含まれるオキサゾリン基)とが反応してアミド結合21が形成される温度以上である。これにより、コート層13が形成され、よって、樹脂粒子10の分散液が得られる。得られた樹脂粒子10の分散液に対して固液分離と洗浄と乾燥とを行えば、複数の樹脂粒子10を含む粉体が得られる。得られた樹脂粒子10の各々では、樹脂母粒子11の表面の少なくとも一部分がコート層13で被覆されている。
トナー母粒子の作製工程では、カプセルトナーを作製してもよいし、非カプセルトナーを作製してもよい。非カプセルトナーを作製する場合には、公知の粉砕法又は公知の凝集法でトナー母粒子を作製することが好ましい。これにより、トナー母粒子を容易に作製できる。
外添工程では、混合機(例えば、日本コークス工業株式会社製のFMミキサー)を用いて、トナー母粒子と外添剤とを混合する。外添剤は、複数の樹脂粒子を含み、好ましくは複数の小径粒子をさらに含む。これにより、トナー母粒子の表面には外添剤が付着する。このようにして、複数のトナー粒子を含む正帯電性トナーが得られる。
トナーは、複数のトナー粒子を含む。トナー粒子は、各々、トナー母粒子と、外添剤とを備える。
トナー母粒子では、一般的に、成分の大部分(例えば、85質量%以上)を結着樹脂が占める。このため、結着樹脂の性質がトナー母粒子全体の性質に大きな影響を与えると考えられる。結着樹脂として複数種の樹脂を組み合わせて使用することで、結着樹脂の性質(より具体的には、水酸基価、酸価、Tg、又はTm等)を調整することができる。例えば、結着樹脂がエステル基、水酸基、エーテル基、酸基、又はメチル基を有する場合には、トナー母粒子は、アニオン性になる傾向が強くなる。
結着樹脂は、ポリエステル樹脂を主成分として含む。結着樹脂は、ポリエステル樹脂のみで構成されてもよいし、ポリエステル樹脂以外の熱可塑性樹脂をさらに含んでもよい。ポリエステル樹脂以外の熱可塑性樹脂としては、例えば、スチレン系樹脂、アクリル酸系樹脂、オレフィン系樹脂、ビニル樹脂、ポリアミド樹脂、又はウレタン樹脂を使用できる。アクリル酸系樹脂としては、例えば、アクリル酸エステル重合体又はメタクリル酸エステル重合体を使用できる。オレフィン系樹脂としては、例えば、ポリエチレン樹脂又はポリプロピレン樹脂を使用できる。ビニル樹脂としては、例えば、塩化ビニル樹脂、ポリビニルアルコール、ビニルエーテル樹脂、又はN−ビニル樹脂を使用できる。また、これら各樹脂の共重合体、すなわち前述の樹脂中に任意の繰返し単位が導入された共重合体も、トナー粒子を構成する熱可塑性樹脂として使用できる。例えば、スチレン−アクリル酸系樹脂又はスチレン−ブタジエン系樹脂も、結着樹脂を構成する熱可塑性樹脂として使用できる。以下、ポリエステル樹脂について具体的に説明する。
ポリエステル樹脂は、1種類以上のアルコールと1種類以上のカルボン酸との共重合体である。ポリエステル樹脂を合成するために使用されるアルコールとしては、例えば以下に示す2価アルコール又は3価以上のアルコールを使用できる。2価アルコールとしては、例えば、ジオール類又はビスフェノール類を使用できる。ポリエステル樹脂を合成するために使用されるカルボン酸としては、例えば以下に示す2価カルボン酸又は3価以上のカルボン酸を使用できる。
着色剤としては、正帯電性トナーの色に合わせて公知の顔料又は染料を用いることができる。正帯電性トナーを用いて高画質の画像を形成するためには、着色剤の量が、100質量部の結着樹脂に対して、1質量部以上20質量部以下であることが好ましい。
離型剤は、例えば、正帯電性トナーの定着性又は耐高温オフセット性を向上させる目的で使用される。トナー母粒子のカチオン性を強めるためには、カチオン性を有するワックスを用いてトナー母粒子を作製することが好ましい。
電荷制御剤は、例えば、正帯電性トナーの帯電安定性又は帯電立ち上がり特性を向上させる目的で使用される。正帯電性トナーの帯電立ち上がり特性は、短時間で所定の帯電レベルに正帯電性トナーを帯電可能か否かの指標になる。トナー母粒子に正帯電性の電荷制御剤を含有させることで、トナー母粒子のカチオン性を強めることができる。
(樹脂粒子)
樹脂粒子の量は、トナー母粒子100.0質量部に対して0.5質量部以上5.0質量部以下であることが好ましい。外添剤が2種類以上の樹脂粒子を含む場合には、樹脂粒子の合計量がトナー母粒子100.0質量部に対して0.5質量部以上5.0質量部以下であることが好ましい。
外添剤は、複数の小径粒子をさらに含むことが好ましい。小径粒子は、シリカ粒子又は金属酸化物で構成された粒子であることが好ましい。金属酸化物は、例えば、アルミナ、酸化チタン、酸化マグネシウム、酸化亜鉛、チタン酸ストロンチウム、又はチタン酸バリウムであることが好ましい。外添剤は、1種類の小径粒子を含んでもよいし、2種類以上の小径粒子を含んでもよい。
<樹脂粒子E−1の作製>
アンカー型攪拌翼を備えた丸底フラスコ(容量:1L)に、135.0gのスチレンと、5.0gのアクリル酸と、7.0gのジビニルベンゼンと、10.0gの過硫酸カリウム(水溶性重合開始剤)と、8.0gの東京化成工業株式会社製「Tween20」(成分:ポリオキシエチレンソルビタンモノラウラート)と、375.0gのイオン交換水とを入れた。フラスコの内容物を回転速度100rpmで攪拌しながら、昇温速度1℃/分でフラスコ内の温度を70℃にまで上昇させた。フラスコ内の温度を70℃に保った状態で、フラスコの内容物を回転速度100rpmで8時間にわたって攪拌した。フラスコ内の温度を70℃に保っている間に、フラスコの内容物が反応(乳化重合)した。このようにして、樹脂母粒子の分散液を得た。遠心分離機(株式会社久保田製作所製「マイクロ冷却遠心機3740」)を用いて、得られた分散液について、回転速度10000rpmの条件で30分間の遠心分離処理を行った。このようにして、複数の樹脂母粒子P−1を得た。得られた樹脂母粒子P−1を乾燥させなかった。
スチレンの配合量を138.0gに変更した。アクリル酸の配合量を0.5gに変更した。過硫酸カリウムの配合量を8.0gに変更した。これらを除いては樹脂母粒子P−1の作製方法に従い、樹脂母粒子P−2を得た。樹脂母粒子P−2を用いたことを除いては樹脂粒子E−1の作製方法に従い、樹脂粒子E−2を得た。
スチレンの配合量を130.0gに変更した。アクリル酸の配合量を10.0gに変更した。東京化成工業株式会社製「Tween20」の配合量を2.0gに変更した。これらを除いては樹脂母粒子P−1の作製方法に従い、樹脂母粒子P−3を得た。樹脂母粒子P−3を用いたことを除いては樹脂粒子E−1の作製方法に従い、樹脂粒子E−3を得た。
アンカー型攪拌翼を備えた丸底フラスコ(容量:1L)に、100.0gのスチレンと、35.0gのメタクリル酸メチルと、5.0gのアクリル酸と、7.0gのジビニルベンゼンと、10.0gの過硫酸カリウム(水溶性重合開始剤)と、8.0gの東京化成工業株式会社製「Tween20」(成分:ポリオキシエチレンソルビタンモノラウラート)と、375.0gのイオン交換水とを入れた。これを除いては樹脂母粒子P−1の作製方法に従い、樹脂母粒子P−4を得た。樹脂母粒子P−4を用いたことを除いては樹脂粒子E−1の作製方法に従い、樹脂粒子E−4を得た。
オキサゾリン基含有高分子水溶液として、株式会社日本触媒製「エポクロスWS−300」(固形分濃度:10質量%)を用いた。これを除いては樹脂粒子E−1の作製方法に従い、樹脂粒子E−5を得た。
アンカー型攪拌翼を備えた丸底フラスコ(容量:1L)に、140.0gのスチレンと、7.0gのジビニルベンゼンと、5.0gの過硫酸カリウム(水溶性重合開始剤)と、8.0gの東京化成工業株式会社製「Tween20」(成分:ポリオキシエチレンソルビタンモノラウラート)と、375.0gのイオン交換水とを入れた。これを除いては樹脂母粒子P−1の作製方法に従い、樹脂母粒子P−5を得た。樹脂母粒子P−5を用いたことを除いては樹脂粒子E−1の作製方法に従い、樹脂粒子E−6を得た。
<樹脂母粒子の酸価の測定>
得られた樹脂母粒子(より具体的には、樹脂母粒子P−1〜P−5の各々)の一部を乾燥させて、測定対象を得た。得られた測定対象を用い、「JIS K0070−1992」に記載の方法に準拠して、樹脂母粒子の酸価を求めた。
酸価=(B×f1×5.611)/W1・・・(数式1)
次に示す方法で、樹脂母粒子(より具体的には、樹脂母粒子P−1〜P−5の各々)の個数平均一次粒子径を測定した。詳しくは、透過電子顕微鏡(TEM、株式会社日立ハイテクノロジーズ製「H−7100FA」)を用いて、樹脂母粒子(より具体的には、樹脂母粒子P−1〜P−5の各々)を倍率1000000倍で観察して、100個以上の樹脂母粒子のTEM写真を撮影した。得られたTEM写真の中から、100個の樹脂母粒子のTEM写真を任意に選択した。任意に選択されたTEM写真について、画像解析ソフトウェア(三谷商事株式会社製「WinROOF」)を用いて、樹脂母粒子の円相当径を測定し、測定された円相当径の個数平均値を算出した。算出された個数平均値を樹脂母粒子の個数平均一次粒子径とした。算出結果を表1に記す。
<トナーTA−1の製造>
FMミキサー(日本コークス工業株式会社製「FM−20B」)を用いて、89.0質量部のポリエステル樹脂(花王株式会社製「タフトン(登録商標)NE−410」)と、5.0質量部のカーボンブラック(キャボット社製「REGAL(登録商標)330R」)と、5.0質量部のポリプロピレンワックス(三洋化成工業株式会社製「ビスコール(登録商標)660P」)と、1.0質量部の4級アンモニウム塩(オリヱント化学工業株式会社製「BONTRON(登録商標)P−51」)とを混合した。得られた混合物を、二軸押出機(株式会社池貝製「PCM−30」)を用いて、材料供給速度6kg/時、軸回転速度160rpm、且つ設定温度(シリンダー温度)150℃の条件で、溶融混練した。得られた溶融混練物を冷却した。冷却された溶融混練物を、粉砕機(ホソカワミクロン株式会社製「ロートプレックス(登録商標)」)を用いて、粗粉砕した。得られた粗粉砕物を、粉砕機(フロイント・ターボ株式会社製「ターボミル RS型」)を用いて、微粉砕した。得られた微粉砕物を、分級機(日鉄鉱業株式会社製「エルボージェットEJ−LABO型」)を用いて、分級した。その結果、体積中位径(D50)7.0μmのトナー母粒子を得た。
樹脂粒子E−2〜E−6を用いたことを除いてはトナーTA−1の製造方法に従い、各々、トナーTA−2〜TA−5及びTB−1を得た。
<未開環オキサゾリン基の量の測定方法>
ノニオン界面活性剤(花王株式会社製「エマルゲン(登録商標)120」、成分:ポリオキシエチレンラウリルエーテル)の水溶液(濃度:2質量%)を水で10倍に希釈して、界面活性剤水溶液を調製した。得られた界面活性剤水溶液500mL中に、10gの正帯電性トナー(より具体的には、トナーTA−1〜TA−5及びTB−1の各々)を分散させて、トナー分散液を得た。
・キャリアガス:ヘリウム(He)ガス
・キャリア流量:1mL/分
・気化室温度:210℃
・熱分解温度:加熱炉「600℃」、インターフェイス部「320℃」
・昇温条件:40℃で3分間保持した後、40℃から速度10℃/分で300℃まで昇温し、300℃で15分間保持した。
・イオン化法:EI(Electron Impact)法
・イオン源温度:200℃
・インターフェイス部の温度:320℃
・検出モード:スキャン(測定範囲:45m/z〜500m/z)
<アミド結合の存在の有無を確認する方法>
以下に示す方法で、アミド結合(より具体的には、カルボキシル基とオキサゾリン基との反応によって得られるアミド結合)の存在の有無を確認した。詳しくは、前述の<未開環オキサゾリン基の量の測定方法>に記載の方法に従い、評価用外添剤を得た。得られた評価用外添剤を1mLの重水素化クロロホルムに加えた。重水素化クロロホルムに溶解せずに残った固形分(より具体的には、評価用外添剤に含まれる疎水性シリカ粒子及び導電性酸化チタン粒子)を溶液から取り除いた。このようにして得られた重水素化クロロホルム溶液を試験管(直径:5mm)に入れた。試験管をフーリエ変換核磁気共鳴装置(FT−NMR)(日本電子株式会社製「JNM−AL400」)に入れた。試料温度20℃且つ積算回数128回の条件で、1H−NMRスペクトルを測定した。化学シフトの内部基準物質としては、テトラメチルシランを使用した。得られた1H−NMRスペクトルにおいて、化学シフトδが6.5付近に三重線のシグナルが確認されれば、前述のアミド結合が存在すると推定した。
(評価対象の作製)
ボールミルを用いて、100質量部のキャリア(京セラドキュメントソリューションズ株式会社製の「TASKalfa8002i」用キャリア)と10質量部の正帯電性トナー(より具体的には、トナーTA−1〜TA−5及びTB−1の各々)とを、30分間にわたって、混合した。このようにして、評価対象を得た。
複合機(京セラドキュメントソリューションズ株式会社製「TASKalfa8002i」)を準備した。評価対象(未使用)を複合機の現像装置に入れ、補給用トナー(未使用)を複合機のトナーコンテナに入れた。本実施例では、補給用トナーとしては、評価対象に含まれるトナーと同一のトナーを用いた。つまり、補給用トナーは、トナーTA−1〜TA−5及びTB−1の何れかであった。このようにして、評価機を準備した。
温度28℃且つ湿度80%RHの環境(高温高湿環境)下で、評価機を用いて、画像(印字率:5%)を普通紙(A4サイズ)に1万枚連続で印刷した。その後、温度28℃且つ湿度80%RHの環境下で、評価機を用いて、第1評価画像を普通紙(A4サイズ)に印刷した。第1評価画像は、ソリッド画像部と、白紙部(印字の無い領域)とを含んでいた。その後、以下に示す方法でトナー帯電量を測定し、測定値を「1万枚印刷後におけるトナー帯電量」とした。また、以下に示す方法で第1評価画像の画像濃度を測定し、測定値を「1万枚印刷後における画像濃度」とした。さらに、以下に示す方法でトナー飛散量を測定し、測定値を「1万枚印刷後におけるトナー飛散量」とした。
トナー帯電量(単位:μC/g)=吸引されたトナーの総電気量(単位:μC)/吸引されたトナーの質量(単位:g)
良好:トナー帯電量が12.0μC/g以上35.0μC/g以下であった。
不良:トナー帯電量が12.0μC/g未満又は35.0μC/g超であった。
良好:画像濃度が1.10以上であった。
不良:画像濃度が1.10未満であった。
良好:トナー飛散量が100g以下であった。
不良:トナー飛散量が100g超であった。
表3に、1万枚印刷後におけるトナー帯電量、画像濃度、及びトナー飛散量の評価結果を示す。表4に、30万枚印刷後におけるトナー帯電量、画像濃度、及びトナー飛散量の評価結果を示す。表3及び表4の各々において、(G)は良好を意味し、(NG)は不良を意味する。
11,111 樹脂母粒子
13 コート層
21 アミド結合
Claims (10)
- 複数のトナー粒子を含む正帯電性トナーであって、
前記トナー粒子は、各々、トナー母粒子と、前記トナー母粒子の表面に付着する外添剤とを備え、
前記外添剤は、複数の樹脂粒子を含み、
前記樹脂粒子は、各々、樹脂母粒子と、前記樹脂母粒子の表面の少なくとも一部分を被覆するコート層とを有し、
前記コート層は、ビニル樹脂を含有し、
前記ビニル樹脂は、下記式(1−1)で表される構成単位と、下記式(1−2)で表される構成単位とを含む、正帯電性トナー。
- 前記コート層の厚さが、3.0nm以下である、請求項1に記載の正帯電性トナー。
- 前記樹脂母粒子が含有する樹脂は、分子内に窒素原子を含まない、請求項1又は2に記載の正帯電性トナー。
- 前記樹脂母粒子は、酸価が0.5mgKOH/g以上である樹脂を含有する、請求項1〜3の何れか一項に記載の正帯電性トナー。
- 前記樹脂粒子1gに含まれる未開環オキサゾリン基の量が、ガスクロマトグラフィー質量分析法による測定で、0.005mmol/g以上5.000mmol/g以下である、請求項1〜4の何れか一項に記載の正帯電性トナー。
- 前記樹脂粒子の個数平均一次粒子径が、80nm以上120nm以下であり、
前記外添剤は、前記樹脂粒子の個数平均一次粒子径よりも小さな個数平均一次粒子径を有するシリカ粒子と前記樹脂粒子の個数平均一次粒子径よりも小さな個数平均一次粒子径を有する金属酸化物粒子とからなる群より選択される1種類以上を含む、請求項1に記載の正帯電性トナー。 - 複数のトナー粒子を含む正帯電性トナーの製造方法であって、
複数の樹脂粒子を作製する作製工程と、
前記樹脂粒子をトナー母粒子の表面に外添する工程と、
を含み、
前記作製工程は、
表面にカルボキシル基を有する樹脂母粒子を作製する工程と、
ビニル樹脂を含むコート液を調製する工程と、
前記樹脂母粒子の表面の少なくとも一部分にコート層を形成する工程と、
を含み、
前記ビニル樹脂は、下記式(1−2)で表される構成単位を含み、
前記コート層を形成する工程は、所定の温度で、前記樹脂母粒子と前記コート液とを混合する工程を含み、
前記所定の温度は、前記カルボキシル基と前記構成単位に含まれるオキサゾリン基とが反応してアミド結合が形成される温度以上である、正帯電性トナーの製造方法。
- 前記コート層を形成する工程では、前記カルボキシル基と前記オキサゾリン基とが重合開始剤の不存在下で反応して、前記アミド結合が形成される、請求項7に記載の正帯電性トナーの製造方法。
- 前記樹脂母粒子は、酸価が0.5mgKOH/g以上である樹脂を含有する、請求項7又は8に記載の正帯電性トナーの製造方法。
- 前記所定の温度は、50℃以上100℃以下である、請求項7〜9の何れか一項に記載の正帯電性トナーの製造方法。
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