JP6696482B2 - トナー - Google Patents

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Description

本発明は、トナーに関し、特に外添剤を備えるトナー粒子を含むトナーに関する。
静電潜像現像に使用されるトナーは、複数のトナー粒子を含む。トナー粒子において、複数の樹脂粒子を含む外添剤を使用することがある(例えば特許文献1参照)。
特開平8−22142号公報
トナーに求められる特性として、耐熱特性と帯電特性とが挙げられる。トナーの耐熱特性とトナーの帯電特性との向上を目的として、複数の樹脂粒子を含む外添剤の使用が提案されている。しかし、樹脂粒子の粒子径が小さくなるほど、樹脂粒子がトナー母粒子の表面に埋没し易い傾向にある。また、樹脂粒子の粒子径が大きくなるほど、樹脂粒子がトナー母粒子の表面から脱離し易い傾向にある。これらのことから、複数の樹脂粒子を含む外添剤を使用しても、トナーの耐熱特性とトナーの帯電特性とを向上させることは難しい。
本発明は、このような実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、トナーの耐熱特性とトナーの帯電特性とを向上させることである。
本発明に係るトナーは、トナー粒子を複数含む。前記トナー粒子は、各々、結着樹脂を含有するトナー母粒子と、前記トナー母粒子の表面に付着する外添剤とを、備える。前記結着樹脂は、ポリエステル樹脂を含む。前記外添剤は、コアシェル構造を有する外添剤粒子を複数含む。前記コアシェル構造を有する外添剤粒子は、各々、コア粒子と、前記コア粒子の表面に付着する複数のシェル粒子とを、有する。前記シェル粒子の個数平均1次粒子径が、前記コア粒子の個数平均1次粒子径の0.40倍以下である。前記コア粒子と、前記シェル粒子とは、各々、樹脂を含有する。前記コア粒子の疎水化度が、30%以上である。前記シェル粒子の疎水化度が、5%以下である。前記コアシェル構造を有する外添剤粒子の疎水化度が、15%以上25%以下である。
本発明によれば、トナーの耐熱特性とトナーの帯電特性とが向上する。
本発明の実施形態に係るトナーに含まれるトナー粒子の構成の一例を示す図である。
本発明の実施形態について説明する。なお、粉体に関する評価結果(形状又は物性などを示す値)は、何ら規定していなければ、相当数の粒子について測定した値の個数平均である。粉体としては、例えば、トナー母粒子、外添剤、又はトナーが、挙げられる。トナー母粒子は、外添剤が付着する前のトナー粒子を意味する。
疎水化度は、何ら規定していなければ、メタノールウェッタビリティ法で求められ、より具体的には実施例に記載の方法又はそれに準ずる方法で求められる。疎水化度が高くなるほど、疎水性が強くなる。疎水化度が低くなるほど、親水性が強くなる。
粉体の個数平均粒子径は、何ら規定していなければ、顕微鏡を用いて測定された1次粒子の円相当径(ヘイウッド径:粒子の投影面積と同じ面積を有する円の直径)の個数平均値である。また、粉体の体積中位径(D50)の測定値は、何ら規定していなければ、ベックマン・コールター株式会社製の「コールターカウンターマルチサイザー3」を用いてコールター原理(細孔電気抵抗法)に基づき測定した値である。
ガラス転移点(Tg)は、何ら規定していなければ、示差走査熱量計(セイコーインスツル株式会社製「DSC−6220」)を用いて「JIS(日本工業規格)K7121−2012」に従って測定した値である。また、軟化点(Tm)は、何ら規定していなければ、高化式フローテスター(株式会社島津製作所製「CFT−500D」)を用いて測定した値である。高化式フローテスターで測定されたS字カーブ(横軸:温度、縦軸:ストローク)において、「(ベースラインストローク値+最大ストローク値)/2」となる温度が、Tm(軟化点)に相当する。また、融点(Mp)の測定値は、何ら規定していなければ、示差走査熱量計(セイコーインスツル株式会社製「DSC−6220」)を用いて測定される吸熱曲線(縦軸:熱流(DSC信号)、横軸:温度)中の最大吸熱ピークの温度である。この吸熱ピークは、結晶化部位の融解に起因して現れる。
材料の「主成分」は、何ら規定していなければ、質量基準で、その材料に最も多く含まれる成分を意味する。
以下、化合物名の後に「系」を付けて、化合物及びその誘導体を包括的に総称する場合がある。化合物名の後に「系」を付けて重合体名を表す場合には、重合体の繰返し単位が化合物又はその誘導体に由来することを意味する。また、アクリル及びメタクリルを包括的に「(メタ)アクリル」と総称する場合がある。また、アクリロニトリル及びメタクリロニトリルを包括的に「(メタ)アクリロニトリル」と総称する場合がある。
本実施形態に係るトナーは、静電潜像の現像に好適に用いることが可能な静電潜像現像用トナーであり、例えば正帯電性トナーである。本実施形態に係るトナーは、1成分現像剤として使用してもよい。1成分現像剤に含まれる正帯電性トナーは、現像装置内における現像スリーブ、又はブレードとの摩擦により、正に帯電する。また、混合装置(例えば、ボールミル)を用いてトナーとキャリアとを混合して、2成分現像剤を調製してもよい。2成分現像剤に含まれる正帯電性トナーは、現像装置内におけるキャリアとの摩擦により、正に帯電する。
本実施形態に係るトナーは、例えば電子写真装置(画像形成装置)において画像の形成に用いることができる。電子写真装置は、像形成部として、帯電装置と露光装置とを備えることが好ましい。電子写真装置は、現像装置と転写装置と定着装置とをさらに備えることが好ましい。以下、電子写真装置による画像形成方法の一例について説明する。
まず、電子写真装置の像形成部が、画像データに基づいて、感光体に静電潜像を形成する。続く現像工程では、電子写真装置の現像装置(詳しくは、トナーを含む現像剤がセットされた現像装置)が、トナーを感光体に供給して、感光体に形成された静電潜像を現像する。トナーは、感光体に供給される前に、現像装置内で、キャリア、現像スリーブ、又はブレードとの摩擦により帯電する。例えば、正帯電性トナーは正に帯電する。現像工程では、感光体の近傍に配置された現像スリーブ上のトナー(詳しくは、帯電したトナー)が感光体に供給され、供給されたトナーが感光体の静電潜像に付着することで、感光体上にトナー像が形成される。消費されたトナーは、補給用トナーを収容するトナーコンテナから現像装置へ補給される。なお、感光体は、例えば、感光体ドラムの表層部に相当する。現像スリーブは、例えば、現像装置内の現像ローラーの表層部に相当する。
続く転写工程では、電子写真装置の転写装置が、感光体上のトナー像を中間転写体に転写した後、さらに中間転写体上のトナー像を記録媒体に転写する。その後、電子写真装置の定着装置がトナーを加熱及び加圧して、記録媒体にトナーを定着させる。その結果、記録媒体に画像が形成される。例えば、ブラック、イエロー、マゼンタ、及びシアンの4色のトナー像を重ね合わせることで、フルカラー画像を形成できる。転写工程の後、感光体上に残ったトナーは、クリーニング部材により除去される。なお、中間転写体の一例としては、転写ベルトが挙げられる。記録媒体の一例としては、印刷用紙が挙げられる。クリーニング部材の一例としては、クリーニングブレードが挙げられる。転写方式は、間接転写方式に限定されず、直接転写方式であってもよい。直接転写方式では、感光体上のトナー像を、中間転写体を介さず、記録媒体に直接転写する。定着方式は、加熱ローラー及び加圧ローラーによるニップ定着方式であってもよいし、ベルト定着方式であってもよい。
[トナーの基本構成]
本実施形態に係るトナーは、次に示す構成(以下、基本構成と記載する)を有する。詳しくは、本実施形態に係るトナーは、トナー粒子を複数含む。トナー粒子は、各々、結着樹脂を含有するトナー母粒子と、トナー母粒子の表面に付着する外添剤とを、備える。結着樹脂は、ポリエステル樹脂を含む。外添剤は、コアシェル構造を有する外添剤粒子(以下、「C/S外添剤粒子」と記載する)を複数含む。C/S外添剤粒子は、各々、コア粒子と、コア粒子の表面に付着する複数のシェル粒子とを、有する。シェル粒子の個数平均1次粒子径が、コア粒子の個数平均1次粒子径の0.40倍以下である。コア粒子と、シェル粒子とは、各々、樹脂を含有する。コア粒子の疎水化度が、30%以上である。シェル粒子の疎水化度が、5%以下である。C/S外添剤粒子の疎水化度が、15%以上25%以下である。
このように、本実施形態では、外添剤が、C/S外添剤粒子を複数含む。C/S外添剤粒子は、各々、コア粒子と、コア粒子の表面に付着する複数のシェル粒子とを、有する。C/S外添剤粒子では、シェル粒子の個数平均1次粒子径が、コア粒子の個数平均1次粒子径の0.40倍以下である。また、コア粒子の疎水化度が30%以上であるため、コア粒子の疎水性は比較的強い。また、シェル粒子の疎水化度が5%以下であるため、シェル粒子の親水性はコア粒子の親水性よりも強い。これらのことから、C/S外添剤粒子では、疎水性が強い大径粒子(コア粒子)の表面に、親水性が強い小径粒子(シェル粒子)が付着する。ここで、親水性が強い粒子ほど、トナー母粒子との親和性が高くなる傾向にある。また、この傾向は、トナー母粒子がポリエステル樹脂を含有する場合に、顕著となる。そのため、C/S外添剤粒子では、トナー母粒子に対するシェル粒子の親和性を確保できる。よって、トナー母粒子に対するC/S外添剤粒子の親和性を確保できる。そして、C/S外添剤粒子がトナー母粒子に対して十分な親和性を有することで、C/S外添剤粒子がトナー母粒子の表面から脱離することを防止できる。
C/S外添剤粒子では、シェル粒子の個数平均1次粒子径がコア粒子の個数平均1次粒子径の0.40倍以下であり、コア粒子の疎水化度が30%以上であり、シェル粒子の疎水化度が5%以下である。これらのことから、C/S外添剤粒子の疎水化度を15%以上25%以下とすることができる。これにより、トナー母粒子に対するC/S外添剤粒子の親和性を確保しつつ、トナー粒子の表面を適度に疎水化できる。よって、トナーの耐熱特性とトナーの帯電特性とが向上する。例えば、高温高湿環境下で画像形成を行った場合であっても、トナー粒子同士の凝集とトナー帯電量の減衰とを防止できる。
前述したように、親水性が強い粒子ほど、トナー母粒子との親和性が高くなる傾向にある。そのため、外添剤粒子の疎水化度が高すぎると、トナー母粒子に対する外添剤粒子の親和性の確保が難しい。よって、外添剤粒子がトナー母粒子の表面から脱離することがある。したがって、トナーの耐熱特性が低下することがある(比較例2及び4参照)。
他方、外添剤粒子の疎水化度が低すぎると、トナー粒子の表面に水分が付着し易い。そのため、トナーの帯電特性が低下することがある。特に高温高湿環境下で画像形成を行った場合には、トナー帯電量の減衰が顕著となる(比較例1及び3参照)。
疎水性が強い粒子(疎水性粒子)の表面を親水化させる別の方法としては、例えば、親水性が強い処理剤で疎水性粒子の表面を処理することが考えられる。しかし、この方法では、処理剤による処理が疎水性粒子の表面に均一に起こり易い。そのため、外添剤粒子の疎水化度が低くなり過ぎることがある。親水性が強い膜(親水性膜)で疎水性粒子の表面を被覆する場合にも、同様のことが言える。
好ましくは、コア粒子の表面領域のうちシェル粒子が覆うコア粒子の面積の割合(以下、「シェル粒子の被覆率」と記載する)が、20%以上30%以下である。シェル粒子の被覆率が20%以上30%以下であれば、C/S外添剤粒子の疎水化度が15%以上25%以下となり易い。なお、シェル粒子の被覆率は、実施例に記載の方法又はそれに準ずる方法で、測定される。
以下、図1を用いて、前述の基本構成を有するトナーを具体的に説明する。図1は、本実施形態に係るトナーに含まれるトナー粒子の構成の一例を示す図である。図1に示すトナー粒子10は、トナー母粒子11と、複数のC/S外添剤粒子13とを備える。トナー母粒子11は、ポリエステル樹脂を含有する。C/S外添剤粒子13は、各々、トナー母粒子11の表面に付着し、コア粒子15と複数のシェル粒子17とを有する。シェル粒子17は、各々、コア粒子15の表面に付着する。シェル粒子17の個数平均1次粒子径が、コア粒子15の個数平均1次粒子径の0.40倍以下である。コア粒子15と、シェル粒子17とは、各々、樹脂を含有する。コア粒子15の疎水化度が、30%以上である。シェル粒子17の疎水化度が、5%以下である。C/S外添剤粒子13の疎水化度が、15%以上25%以下である。
図1に示すトナー粒子10では、トナー母粒子11とコア粒子15の各々との間に少なくとも1つのシェル粒子17が存在する。この場合、シェル粒子17がトナー母粒子11に接触し易い。そのため、トナー母粒子11に対するC/S外添剤粒子13の親和性を確保し易い。例えば、C/S外添剤粒子13がトナー母粒子11の表面から脱離することを効果的に防止できる。以上、図1を用いて、トナーの構成を具体的に説明した。以下では、図1を用いることなく、トナーを構成する材料とトナーの製造方法とを順に説明する。
[トナーを構成する材料の例示]
<トナー母粒子>
トナー母粒子は、トナーコアとトナーコアの表面を被覆するシェル層とを有してもよいし、シェル層を有さなくてもよい。
(トナーコア)
トナーコアでは、一般的に、成分の大部分(例えば、85質量%以上)を結着樹脂が占める。このため、結着樹脂の性質がトナーコア全体の性質に大きな影響を与えると考えられる。結着樹脂として複数種の樹脂を組み合わせて使用することで、結着樹脂の性質(より具体的には、水酸基価、酸価、Tg、又はTm等)を調整することができる。例えば、結着樹脂がエステル基、水酸基、エーテル基、酸基、又はメチル基を有する場合には、トナーコアはアニオン性になる傾向が強くなり、結着樹脂がアミノ基を有する場合には、トナーコアはカチオン性になる傾向が強くなる。
トナーコアは、結着樹脂だけでなく、着色剤、離型剤、及び電荷制御剤のうちの少なくとも1つをさらに含有してもよい。以下、順に説明する。
(結着樹脂)
結着樹脂は、ポリエステル樹脂を主成分として含む。結着樹脂は、ポリエステル樹脂のみで構成されてもよいし、ポリエステル樹脂を除く熱可塑性樹脂をさらに含んでもよい。ポリエステル樹脂を除く熱可塑性樹脂としては、例えば、スチレン系樹脂、アクリル酸系樹脂、オレフィン系樹脂、ビニル樹脂、ポリアミド樹脂、又はウレタン樹脂を使用できる。アクリル酸系樹脂としては、例えば、アクリル酸エステル重合体又はメタクリル酸エステル重合体を使用できる。オレフィン系樹脂としては、例えば、ポリエチレン樹脂又はポリプロピレン樹脂を使用できる。ビニル樹脂としては、例えば、塩化ビニル樹脂、ポリビニルアルコール、ビニルエーテル樹脂、又はN−ビニル樹脂を使用できる。また、これら各樹脂の共重合体、すなわち前述の樹脂中に任意の繰返し単位が導入された共重合体も、トナー粒子を構成する熱可塑性樹脂として使用できる。例えば、スチレン−アクリル酸系樹脂又はスチレン−ブタジエン系樹脂も、結着樹脂を構成する熱可塑性樹脂として使用できる。以下、ポリエステル樹脂について具体的に説明する。
(ポリエステル樹脂)
ポリエステル樹脂は、1種以上のアルコールと1種以上のカルボン酸との共重合体である。ポリエステル樹脂を合成するためのアルコールとしては、例えば以下に示す2価アルコール又は3価以上のアルコールを使用できる。2価アルコールとしては、例えば、ジオール類又はビスフェノール類を使用できる。ポリエステル樹脂を合成するためのカルボン酸としては、例えば以下に示す2価カルボン酸又は3価以上のカルボン酸を使用できる。
ジオール類の好適な例としては、脂肪族ジオールが挙げられる。脂肪族ジオールの好適な例としては、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ネオペンチルグリコール、1,2−プロパンジオール、α,ω−アルカンジオール、2−ブテン−1,4−ジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、又はポリテトラメチレングリコールが挙げられる。α,ω−アルカンジオールは、例えば、エチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,7−ヘプタンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、又は1,12−ドデカンジオールであることが好ましい。
ビスフェノール類の好適な例としては、ビスフェノールA、水素添加ビスフェノールA、ビスフェノールAエチレンオキサイド付加物、又はビスフェノールAプロピレンオキサイド付加物が挙げられる。
3価以上のアルコールの好適な例としては、ソルビトール、1,2,3,6−ヘキサンテトロール、1,4−ソルビタン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、トリペンタエリスリトール、1,2,4−ブタントリオール、1,2,5−ペンタントリオール、グリセロール、ジグリセロール、2−メチルプロパントリオール、2−メチル−1,2,4−ブタントリオール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、又は1,3,5−トリヒドロキシメチルベンゼンが挙げられる。
2価カルボン酸の好適な例としては、芳香族ジカルボン酸、α,ω−アルカンジカルボン酸、不飽和ジカルボン酸、又はシクロアルカンジカルボン酸が挙げられる。芳香族ジカルボン酸は、例えば、フタル酸、テレフタル酸、又はイソフタル酸であることが好ましい。α,ω−アルカンジカルボン酸は、例えば、マロン酸、コハク酸、アジピン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、又は1,10−デカンジカルボン酸であることが好ましい。不飽和ジカルボン酸は、例えば、マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸、イタコン酸、又はグルタコン酸であることが好ましい。シクロアルカンジカルボン酸は、例えば、シクロヘキサンジカルボン酸であることが好ましい。
3価以上のカルボン酸の好適な例としては、1,2,4−ベンゼントリカルボン酸(トリメリット酸)、2,5,7−ナフタレントリカルボン酸、1,2,4−ナフタレントリカルボン酸、1,2,4−ブタントリカルボン酸、1,2,5−ヘキサントリカルボン酸、1,3−ジカルボキシル−2−メチル−2−メチレンカルボキシプロパン、1,2,4−シクロヘキサントリカルボン酸、テトラ(メチレンカルボキシル)メタン、1,2,7,8−オクタンテトラカルボン酸、ピロメリット酸、又はエンポール三量体酸が挙げられる。
(着色剤)
着色剤としては、正帯電性トナーの色に合わせて公知の顔料又は染料を用いることができる。正帯電性トナーを用いて高画質の画像を形成するためには、着色剤の量が、100質量部の結着樹脂に対して、1質量部以上20質量部以下であることが好ましい。
トナーコアは、黒色着色剤を含有していてもよい。黒色着色剤の例としては、カーボンブラックが挙げられる。また、黒色着色剤は、イエロー着色剤、マゼンタ着色剤、及びシアン着色剤を用いて黒色に調色された着色剤であってもよい。
トナーコアは、イエロー着色剤、マゼンタ着色剤、又はシアン着色剤のようなカラー着色剤を含有していてもよい。
イエロー着色剤としては、例えば、縮合アゾ化合物、イソインドリノン化合物、アントラキノン化合物、アゾ金属錯体、メチン化合物、及びアリールアミド化合物からなる群より選択される1種以上の化合物を使用できる。イエロー着色剤としては、例えば、C.I.ピグメントイエロー(3、12、13、14、15、17、62、74、83、93、94、95、97、109、110、111、120、127、128、129、147、151、154、155、168、174、175、176、180、181、191、又は194)、ナフトールイエローS、ハンザイエローG、又はC.I.バットイエローを使用できる。
マゼンタ着色剤としては、例えば、縮合アゾ化合物、ジケトピロロピロール化合物、アントラキノン化合物、キナクリドン化合物、塩基染料レーキ化合物、ナフトール化合物、ベンズイミダゾロン化合物、チオインジゴ化合物、及びペリレン化合物からなる群より選択される1種以上の化合物を使用できる。マゼンタ着色剤としては、例えば、C.I.ピグメントレッド(2、3、5、6、7、19、23、48:2、48:3、48:4、57:1、81:1、122、144、146、150、166、169、177、184、185、202、206、220、221、又は254)を使用できる。
シアン着色剤としては、例えば、銅フタロシアニン化合物、アントラキノン化合物、及び塩基染料レーキ化合物からなる群より選択される1種以上の化合物を使用できる。シアン着色剤としては、例えば、C.I.ピグメントブルー(1、7、15、15:1、15:2、15:3、15:4、60、62、又は66)、フタロシアニンブルー、C.I.バットブルー、又はC.I.アシッドブルーを使用できる。
(離型剤)
離型剤は、例えば、正帯電性トナーの定着性又は耐高温オフセット性を向上させる目的で使用される。トナーコアのカチオン性を強めるためには、カチオン性を有するワックスを用いてトナーコアを作製することが好ましい。
離型剤は、例えば、脂肪族炭化水素ワックス、植物性ワックス、動物性ワックス、鉱物ワックス、脂肪酸エステルを主成分とするワックス類、又は脂肪酸エステルの一部又は全部が脱酸化したワックスであることが好ましい。脂肪族炭化水素ワックスは、例えば、低分子量ポリエチレン、低分子量ポリプロピレン、ポリオレフィン共重合物、ポリオレフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、パラフィンワックス、又はフィッシャートロプシュワックスであることが好ましい。脂肪族炭化水素ワックスには、これらの酸化物も含まれる。植物性ワックスは、例えば、キャンデリラワックス、カルナバワックス、木ろう、ホホバろう、又はライスワックスであることが好ましい。動物性ワックスは、例えば、みつろう、ラノリン、又は鯨ろうであることが好ましい。鉱物ワックスは、例えば、オゾケライト、セレシン、又はペトロラタムであることが好ましい。脂肪酸エステルを主成分とするワックス類は、例えば、モンタン酸エステルワックス、又はカスターワックスであることが好ましい。1種類のワックスを単独で使用してもよいし、複数種のワックスを併用してもよい。
結着樹脂と離型剤との相溶性を改善するために、相溶化剤をトナーコアに添加してもよい。
(電荷制御剤)
電荷制御剤は、例えば、正帯電性トナーの帯電安定性又は帯電立ち上がり特性を向上させる目的で使用される。正帯電性トナーの帯電立ち上がり特性は、短時間で所定の帯電レベルに正帯電性トナーを帯電可能か否かの指標になる。トナーコアに正帯電性の電荷制御剤を含有させることで、トナーコアのカチオン性を強めることができる。トナーコアに負帯電性の電荷制御剤を含有させることで、トナーコアのアニオン性を強めることができる。
<シェル層>
シェル層は、熱可塑性樹脂を含有することが好ましい。これにより、トナーの耐熱保存性及び低温定着性の両立を図ることができる。シェル層がスチレン−アクリル酸系樹脂を含有する場合には、トナーの耐熱保存性及び低温定着性の両立に加え、トナーの帯電安定性の向上を図ることができる。そのため、シェル層は、スチレン−アクリル酸系樹脂を含有することが好ましい。また、シェル層が含有する樹脂が、アクリル酸2−ヒドロキシエチル、アクリル酸2−ヒドロキシプロピル、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル、又はメタクリル酸2−ヒドロキシプロピルに由来する1種以上のアルコール性水酸基を有する単位を含む場合には、シェル層の膜質の向上を図ることができる。
スチレン−アクリル酸系樹脂は、1種以上のスチレン系モノマーと1種以上のアクリル酸系モノマーとの共重合体である。スチレン−アクリル酸系樹脂を合成するためのスチレン系モノマーの好適な例としては、スチレン、アルキルスチレン、ヒドロキシスチレン、又はハロゲン化スチレンが挙げられる。アルキルスチレンは、例えば、α−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、p−エチルスチレン、又は4−tert−ブチルスチレンであることが好ましい。ヒドロキシスチレンは、例えば、p−ヒドロキシスチレン、又はm−ヒドロキシスチレンであることが好ましい。ハロゲン化スチレンは、例えば、α−クロロスチレン、o−クロロスチレン、m−クロロスチレン、又はp−クロロスチレンであることが好ましい。
スチレン−アクリル酸系樹脂を合成するためのアクリル酸系モノマーの好適な例としては、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリロニトリル、(メタ)アクリル酸アルキルエステル、又は(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキルエステルが挙げられる。(メタ)アクリル酸アルキルエステルは、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n−プロピル、(メタ)アクリル酸iso−プロピル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸iso−ブチル、又は(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシルであることが好ましい。(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキルエステルは、例えば、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸3−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシプロピル、又は(メタ)アクリル酸4−ヒドロキシブチルであることが好ましい。
<外添剤>
外添剤は、内添剤とは異なり、トナー母粒子の内部には存在せず、トナー母粒子の表面のみに選択的に存在する。トナー母粒子と外添剤粒子とは、互いに化学反応せず、物理的に結合する。外添剤は、C/S外添剤粒子を複数含む。外添剤は、C/S外添剤粒子ではない外添剤粒子(以下、「他の外添剤粒子」と記載する)をさらに含んでもよい。
外添剤の量は、100質量部のトナー母粒子に対して、0.5質量部以上10質量部以下であることが好ましい。トナー粒子が2種以上の外添剤粒子を備える場合には、外添剤粒子の合計量が、100質量部のトナー母粒子に対して、0.5質量部以上10質量部以下であることが好ましい。
(C/S外添剤粒子)
シェル粒子の個数平均1次粒子径は、好ましくはコア粒子の個数平均1次粒子径の0.05倍以上0.40倍以下であり、より好ましくはコア粒子の個数平均1次粒子径の0.10倍以上0.35倍以下であり、さらに好ましくはコア粒子の個数平均1次粒子径の0.10倍以上0.25倍以下である。コア粒子の個数平均1次粒子径は、好ましくは70nm以上110nm以下であり、より好ましくは80nm以上100nm以下である。シェル粒子の個数平均1次粒子径は、好ましくは5nm以上25nm以下であり、より好ましくは10nm以上20nm以下である。
コア粒子の疎水化度は、30%以上であり、好ましくは30%以上60%以下であり、より好ましくは35%以上60%以下である。シェル粒子の疎水化度は、5%以下であり、好ましくは1%以上5%以下である。
コア粒子が含有する樹脂(以下、「コア樹脂」と記載する)が疎水性モノマーの単重合体又は共重合体であれば、コア粒子の疎水化度が高くなり易い。シェル粒子が含有する樹脂(以下、「シェル樹脂」と記載する)が親水性モノマーの単重合体又は共重合体であれば、シェル粒子の疎水化度が低くなり易い。また、コア樹脂が架橋樹脂であればコア粒子の硬度を確保でき、シェル樹脂が架橋樹脂であればシェル粒子の硬度を確保できる。そのため、C/S外添剤粒子がスペーサーとして機能し易い。コア樹脂とシェル樹脂との好ましい組み合わせとしては、下記第1〜第3の組み合わせが挙げられる。
第1の組み合わせ:コア樹脂が、疎水性が強いアクリル酸系モノマーを含む1種以上のアクリル酸系モノマーと架橋剤との共重合体である。シェル樹脂が、親水性が強いアクリル酸系モノマーと架橋剤との共重合体である。
第2の組み合わせ:コア樹脂が、架橋スチレン−アクリル酸系樹脂である。シェル樹脂が、架橋アクリル酸系樹脂である。
第3の組み合わせ:コア樹脂が、架橋スチレン系樹脂である。シェル樹脂が、架橋アクリル酸系樹脂である。
(第1の組み合わせ)
疎水性が強いアクリル酸系モノマーは、水溶性を有さない。一方、親水性が強いアクリル酸系モノマーは、水溶性を有する。第1の組み合わせの一例としては、以下に示す一例が挙げられる。コア樹脂とシェル樹脂との組み合わせが以下に示す組み合わせであれば、コア粒子の疎水化度は30%以上となり易く、シェル粒子の疎水化度は5%以下となり易い。
コア樹脂:コア樹脂は、アルキル基の炭素数が4以上8以下の(メタ)アクリル酸アルキルエステル(以下、「第1(メタ)アクリル酸アルキルエステル」と記載する)を含む1種以上のアクリル酸系モノマーと架橋剤との共重合体である。第1(メタ)アクリル酸アルキルエステルは、例えば、(メタ)アクリル酸n−ブチルである。
シェル樹脂:シェル樹脂は、アルキル基の炭素数が1以上2以下の(メタ)アクリル酸アルキルエステル(以下、「第2(メタ)アクリル酸アルキルエステル」と記載する)と架橋剤との共重合体である。第2(メタ)アクリル酸アルキルエステルは、例えば、(メタ)アクリル酸メチルである。
(第2及び第3の組み合わせ)
スチレン系モノマーの疎水性は、アクリル酸系モノマーの疎水性に比べ、強い。そのため、架橋スチレン−アクリル酸系樹脂を合成するためのスチレン系モノマー、及び架橋スチレン系樹脂を合成するためのスチレン系モノマーとしては、各々、前述の<シェル層>で記載のスチレン系モノマーを使用できる。また、架橋スチレン−アクリル酸系樹脂を合成するためのアクリル酸系モノマー、及び架橋アクリル酸系樹脂を合成するためのアクリル酸系モノマーとしては、前述の<シェル層>で記載のアクリル酸系モノマーを使用できる。第2の組み合わせの好ましい一例としては、以下に示す一例が挙げられる。コア樹脂とシェル樹脂との組み合わせが以下に示す組み合わせであれば、コア粒子の疎水化度は30%以上となり易く、シェル粒子の疎水化度は5%以下となり易い。
コア樹脂:コア樹脂は、第1(メタ)アクリル酸アルキルエステルを含む1種以上のアクリル酸系モノマーとスチレン系モノマーと架橋剤との共重合体である。第1(メタ)アクリル酸アルキルエステルは、例えば、(メタ)アクリル酸n−ブチルである。
シェル樹脂:シェル樹脂は、第2(メタ)アクリル酸アルキルエステルと架橋剤との共重合体である。第2(メタ)アクリル酸アルキルエステルは、例えば、(メタ)アクリル酸メチルである。
(架橋剤)
架橋剤は、分子内にビニル基を2つ以上有する化合物であることが好ましい。分子内にビニル基を2つ有する化合物としては、例えば、芳香族ジビニル化合物、エチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールメタクリレート、トリエチレングリコールメタクリレート、アリルメタクリレート、tert−ブチルアミノエチルメタクリレート、テトラエチレングリコールメタクリレート、1,3−ブタンジオールジメタクリレート、N,N−ジビニルアニリン、ジビニルエーテル、ジビニルスルフィド、又はジビニルスルホンを使用できる。芳香族ジビニル化合物は、例えば、ジビニルベンゼン、ジビニルナフタレン、及びこれらの誘導体であることが好ましい。分子内にビニル基を2つ有する化合物としては、これらの1種以上を使用できる。分子内にビニル基を3つ以上有する化合物としては、例えば、トリメチロールプロパントリアクリレート、又はテトラメチロールプロパントリアクリレートを使用できる。
(他の外添剤粒子)
他の外添剤粒子は、無機粒子であればよい。無機粒子は、シリカ粒子、又は金属酸化物の粒子であることが好ましい。金属酸化物は、アルミナ、酸化チタン、酸化マグネシウム、酸化亜鉛、チタン酸ストロンチウム、又はチタン酸バリウムであることが好ましい。他の外添剤粒子は、脂肪酸金属塩のような有機酸化合物の粒子であってもよい。脂肪酸金属塩は、例えば、ステアリン酸亜鉛であることが好ましい。
[トナーの製造方法]
本実施形態に係るトナーの製造方法は、トナー母粒子の作製工程とC/S外添剤粒子の作製工程と外添処理工程とを含むことが好ましい。
<トナー母粒子の作製工程>
トナー母粒子がトナーコアとシェル層とで構成される場合、トナー母粒子の作製工程は、トナーコアの作製工程とシェル層の形成工程とを含む。トナー母粒子がシェル層を有さない場合、トナー母粒子の作製工程は、トナーコアの作製工程を含むが、シェル層の形成工程を含まない。
トナーコアの作製工程では、公知の粉砕法又は凝集法で、トナーコアを作製することが好ましい。これにより、トナーコアを容易に作製できる。本実施形態では、結着樹脂として、ポリエステル樹脂を主成分とする樹脂を使用する。
シェル層の形成工程では、例えばin−situ重合法、液中硬化被膜法、又はコアセルベーション法で、シェル層をトナーコアの表面に形成することが好ましい。
<C/S外添剤粒子の作製工程>
C/S外添剤粒子の作製工程は、コア粒子の作製工程とシェル粒子の作製工程と付着工程とを含むことが好ましい。
コア粒子の作製工程では、水性媒体中において、分子内に不飽和結合を有するモノマーを、乳化重合させる。得られたエマルションを乾燥させる。このようにして、コア粒子を作製する。同時に作製された複数のコア粒子は、互いに略同一の構成を有すると考えられる。モノマーの乳化重合時、水性媒体中でのモノマーの攪拌条件を変更すれば、得られるコア粒子の粒子径を変更できる。
水性媒体は、水、又は水を主成分として含む分散媒であることが好ましい。水性媒体が水で構成される場合、水は、イオン交換水、又は純水であることが好ましい。水を主成分として含む分散媒は、乳化剤と重合開始剤とのうちの少なくとも1つをさらに含むことが好ましい。乳化剤は、例えば、塩化セチルトリメチルアンモニウムであることが好ましい。重合開始剤は、例えば、過酸化ベンゾイルであることが好ましい。分子内に不飽和結合を有するモノマーには、架橋剤として機能するモノマーも含まれる。
シェル粒子の作製工程では、コア粒子の作製工程と同様の手法でシェル粒子を作製できる。モノマーの乳化重合時、水性媒体中でのモノマーの攪拌条件を変更すれば、得られるシェル粒子の粒子径を変更できる。
付着工程では、コア粒子の表面にシェル粒子を付着させる。例えば、シェル粒子の被覆率が高いC/S外添剤粒子(以下、「High−C/S外添剤粒子」と記載する)を製造した後に、シェル粒子の被覆率を低下させる処理を行うことが好ましい。表面改質装置(例えば、日本ニューマチック工業株式会社製「MR−2」)を用いてコア粒子の表面にシェル粒子を付着させれば、High−C/S外添剤粒子を製造できる。混合機(例えば、ホソカワミクロン株式会社製のナウターミキサー(登録商標))を用いてHigh−C/S外添剤粒子と粉砕ボールとを混合すれば、シェル粒子の被覆率を低下させることができる。High−C/S外添剤粒子と粉砕ボールとの混合時間が長くなるほど、シェル粒子の被覆率が低下し易い傾向にある。粉砕ボールの一例としては、ジルコニア製ビーズ(例えば、東ソー株式会社製)を挙げることができる。
<外添処理工程>
混合機(例えば、日本コークス工業株式会社製のFMミキサー)を用いて、トナー母粒子と外添剤とを混合する。この混合により、トナー母粒子の表面には外添剤が物理的に結合する。こうして、トナー粒子を多数含むトナーが得られる。
本発明の実施例について説明する。表1には、実施例又は比較例に係るトナーTA−1〜TA−6及びTB−1〜TB−4の各構成を示す。表1において、「被覆率」には、シェル粒子の被覆率を記す。「混合時間」には、ホソカワミクロン株式会社製のナウターミキサーでの混合時間を記す。C/S外添剤粒子P−9の製造時には、ナウターミキサーでの混合を行わなかった。また、C/S外添剤粒子P−10の製造時には、シェル粒子を用いなかった。
Figure 0006696482
表2には、コア粒子C−1〜C−3の各構成を示す。表3には、シェル粒子S−1〜S−3の各構成を示す。表2及び表3において、各々、MMAは、メタクリル酸メチルを意味する。EGDMAは、エチレングリコールジメタクリレートを意味する。粒子径は、個数平均1次粒子径を意味する。表2において、BMAは、メタクリル酸n−ブチルを意味する。
Figure 0006696482
Figure 0006696482
以下では、まず、コア粒子C−1〜C−3の製造方法と、シェル粒子S−1〜S−3の製造方法と、C/S外添剤粒子P−1〜P−10の製造方法とを順に説明する。次に、C/S外添剤粒子P−1〜P−10の物性値の測定方法を説明する。続いて、実施例又は比較例に係るトナーの製造方法、評価方法、及び評価結果を説明する。なお、誤差が生じる評価においては、誤差が十分小さくなる相当数の測定値を得て、得られた測定値の算術平均を評価値とした。
[コア粒子の作製方法]
<コア粒子C−1の作製>
攪拌機、冷却管、温度計、及び窒素導入管を備えた四つ口フラスコ(容量1000mL)を準備した。フラスコに、140gのメタクリル酸n−ブチル(BMA)と、20gのメタクリル酸メチル(MMA)と、4gのエチレングリコールジメタクリレート(EGDMA、架橋剤)と、12gの塩化セチルトリメチルアンモニウム(CTAC、乳化剤)と、15gの過酸化ベンゾイル(BPO、重合開始剤)と、600gのイオン交換水とを、攪拌しながら、入れた。フラスコ内の温度を90℃にまで上昇させた。フラスコに窒素を導入しながら、且つフラスコの内容物を攪拌しながら、3時間にわたってフラスコ内の温度を90℃に保った。このとき、得られる樹脂粒子の粒子径が100nmとなるように、フラスコの内容物の攪拌条件を調整した。フラスコ内の温度を90℃に保っている間、フラスコの内容物が反応した。得られたエマルション(樹脂粒子を含むエマルション)を冷却した後、エマルションを吸引濾過した。得られた固形物を、洗浄した後、乾燥させた。このようにして、多数のコア粒子C−1を含む粉体を得た。得られたコア粒子C−1は、シャープな粒度分布を有していた。より具体的には、コア粒子C−1は、約100nmの粒子径を有するアクリル酸系樹脂粒子のみを実質的に含んでいた。
<コア粒子C−2の作製>
塩化セチルトリメチルアンモニウムの配合量を16gに変更した。また、得られる樹脂粒子の粒子径が80nmとなるように、フラスコの内容物の攪拌条件を調整した。これらを除いてはコア粒子C−1の作製方法に従い、多数のコア粒子C−2を含む粉体を得た。得られたコア粒子C−2は、シャープな粒度分布を有していた。より具体的には、コア粒子C−2は、約80nmの粒子径を有するアクリル酸系樹脂粒子のみを実質的に含んでいた。
<コア粒子C−3の作製>
フラスコに、160gのスチレンと、4gのエチレングリコールジメタクリレートと、12gの塩化セチルトリメチルアンモニウムと、15gの過酸化ベンゾイルと、600gのイオン交換水とを、攪拌しながら、入れた。これを除いてはコア粒子C−1の作製方法に従い、多数のコア粒子C−3を含む粉体を得た。得られたコア粒子C−3は、シャープな粒度分布を有していた。より具体的には、コア粒子C−3は、約100nmの粒子径を有するスチレン系樹脂粒子のみを実質的に含んでいた。
[シェル粒子の作製方法]
<シェル粒子S−1の作製>
攪拌機、冷却管、温度計、及び窒素導入管を備えた四つ口フラスコ(容量1000mL)を準備した。フラスコに、160gのメタクリル酸メチルと、4gのエチレングリコールジメタクリレートと、24gの塩化セチルトリメチルアンモニウムと、15gの過酸化ベンゾイルと、600gのイオン交換水とを、攪拌しながら、入れた。フラスコ内の温度を90℃にまで上昇させた。フラスコに窒素を導入しながら、且つフラスコの内容物を攪拌しながら、3時間にわたってフラスコ内の温度を90℃に保った。このとき、得られる樹脂粒子の粒子径が10nmとなるように、フラスコの内容物の攪拌条件を調整した。フラスコ内の温度を90℃に保っている間、フラスコの内容物が反応した。得られたエマルション(樹脂粒子を含むエマルション)を冷却した後、エマルションを吸引濾過した。得られた固形物を、洗浄した後、乾燥させた。このようにして、多数の樹脂粒子を含む粉体(以下、「粉体M」と記載する)を得た。
攪拌機、冷却管、温度計、及び窒素導入管を備えた四つ口フラスコ(容量200mL)を準備した。フラスコに、5gの粉体Mと、10gの4,4’−ジアミノジフェニルメタンと、50mLのトルエンとを入れた。フラスコ内の温度を120℃にまで上昇させた。フラスコに窒素を導入しながら、且つフラスコの内容物を攪拌しながら、3時間にわたってフラスコ内の温度を120℃に保った。得られた分散液(樹脂粒子を含む分散液)を冷却した後、分散液を吸引濾過した。得られた固形物を、洗浄した後、乾燥させた。このようにして、多数のシェル粒子S−1を含む粉体を得た。得られたシェル粒子S−1は、シャープな粒度分布を有していた。より具体的には、シェル粒子S−1は、約10nmの粒子径を有するアクリル酸系樹脂粒子のみを実質的に含んでいた。
<シェル粒子S−2の作製>
塩化セチルトリメチルアンモニウムの配合量を22gに変更した。また、エマルションを作製するときには、得られる樹脂粒子の粒子径が20nmとなるように、フラスコの内容物の攪拌条件を調整した。また、4,4’−ジアミノジフェニルメタンの配合量を20gとした。これらを除いてはシェル粒子S−1の作製方法に従い、多数のシェル粒子S−2を含む粉体を得た。得られたシェル粒子S−2は、シャープな粒度分布を有していた。より具体的には、シェル粒子S−2は、約20nmの粒子径を有するアクリル酸系樹脂粒子のみを実質的に含んでいた。
<シェル粒子S−3の作製>
シェル粒子S−1の作製方法に従い、粉体Mを得た。攪拌機、冷却管、及び温度計を備えた三つ口フラスコ(容量200mL)をウォーターバス(設定温度30℃)にセットした。フラスコに50mLのイオン交換水を入れた後、塩酸を用いてフラスコの内容物のpHを4に調整した。フラスコに、1mLのヘキサメチロールメラミン初期重合体の水溶液(昭和電工株式会社製「ミルベン(登録商標)レジンSM−607」、固形分濃度80質量%)と50gの粉体Mとを順に加えた後、フラスコの内容物を攪拌した。フラスコに、50mLのイオン交換水をさらに加えた。フラスコの内容物を攪拌しながら、フラスコ内の温度を60℃にまで上昇させた後、2時間にわたってフラスコ内の温度を60℃に保った。このようにして、樹脂粒子の分散液を得た。得られた分散液を冷却した後、分散液を吸引濾過した。得られた固形物を、洗浄した後、乾燥させた。このようにして、多数のシェル粒子S−3を含む粉体を得た。得られたシェル粒子S−3は、シャープな粒度分布を有していた。より具体的には、シェル粒子S−3は、約10nmの粒子径を有するアクリル酸系樹脂粒子のみを実質的に含んでいた。
[C/S外添剤粒子の製造方法]
<C/S外添剤粒子P−1の製造>
ビーカー(容量500mL)に、100gのコア粒子C−1と110gのシェル粒子S−1と200gのエタノールとを入れた。ビーカーの内容物を、攪拌した後、乾燥させた。表面改質装置(日本ニューマチック工業株式会社製の「MR−2」)を用いて、処理温度160℃、供給量2kg/h、且つ処理量200gの条件で、コア粒子C−1の表面にシェル粒子S−1を付着させた。このようにして、多数のHigh−C/S外添剤粒子を含む粉体を得た。
ポリエチレン製容器(容量500mL)に、5gのHigh−C/S外添剤粒子と200gのジルコニア製ビーズ(東ソー株式会社製、直径300μm)とを入れた。ホソカワミクロン株式会社製のナウターミキサーを用いて、回転速度100rpmで容器の内容物を20分間混合した。得られた混合物を、目開き250μmの篩を用いて、篩別した。篩を通過した粉体をイオン交換水に分散させた。得られた分散液を遠心分離によりC/S外添剤粒子P−1とシェル粒子S−1とに分離した。このようにして、多数のC/S外添剤粒子P−1を含む粉体を得た。
<C/S外添剤粒子P−2〜P−10の製造>
ナウターミキサーでの混合時間を22分間及び24分間に変更したことを除いてはC/S外添剤粒子P−1の製造方法に従い、各々、C/S外添剤粒子P−2及びP−3を得た。
シェル粒子S−2を用いたことを除いてはC/S外添剤粒子P−1の製造方法に従い、C/S外添剤粒子P−4を得た。
コア粒子C−2を用いた。ナウターミキサーでの混合時間を24分間に変更した。これらを除いてはC/S外添剤粒子P−1の製造方法に従い、C/S外添剤粒子P−5を得た。
コア粒子C−3を用い、シェル粒子S−3を用いた。これらを除いてはC/S外添剤粒子P−1の製造方法に従い、C/S外添剤粒子P−6を得た。
ナウターミキサーでの混合時間を18分間及び26分間に変更したことを除いてはC/S外添剤粒子P−1の製造方法に従い、各々、C/S外添剤粒子P−7及びP−8を得た。
ナウターミキサーを用いた混合、篩別、分散液の調製、及び遠心分離を行わなかった。これらを除いてはC/S外添剤粒子P−1の製造方法に従い、C/S外添剤粒子P−9を得た。
コア粒子C−1の表面にシェル粒子S−1を付着させなかった。これを除いてはC/S外添剤粒子P−1の製造方法に従い、C/S外添剤粒子P−10を得た。つまり、C/S外添剤粒子P−10は、コア粒子C−1に相当する。
[C/S外添剤粒子の物性値の測定方法]
<疎水化度の測定>
メタノールウェッタビリティ法で、コア粒子(より具体的には、コア粒子C−1〜C−3の各々)の疎水化度とシェル粒子(より具体的には、シェル粒子S−1〜S−3の各々)の疎水化度とC/S外添剤粒子(より具体的には、C/S外添剤粒子P−1〜P−10の各々)の疎水化度とを求めた。
詳しくは、常温(25℃)の大気雰囲気下で、ビーカー(容量100mL)に25mLのイオン交換水と0.1gの測定対象(コア粒子、シェル粒子、又はC/S外添剤粒子)とを入れ、スターラーを用いてビーカーの内容物を回転速度100rpmで10分間にわたって攪拌した。ビーカーに所定量のメタノールを毎分2mLの速度で加えた後、ビーカーの内容物を回転速度200rpmで30秒間にわたって攪拌して、測定対象の全てがビーカーの底に沈殿しているか否かを目視で確認した。測定対象の全ての沈殿が確認されるまで、メタノールの添加と攪拌とを繰り返した。測定対象の全ての沈殿が確認されたら、下記式を用いて測定対象の疎水化度を算出した。
測定対象の疎水化度(%)=100×メタノール滴下量/(メタノール滴下量+イオン交換水の量)
コア粒子の疎水化度とシェル粒子の疎水化度とを測定する際には、次に示す前処理を行った。詳しくは、ホソカワミクロン株式会社製のナウターミキサーとジルコニア製ビーズ(東ソー株式会社製、直径300μm)とを用いて、C/S外添剤粒子をコア粒子とシェル粒子とに分離した。得られたコア粒子をコア粒子の疎水化度の測定対象とした。また、得られたシェル粒子をシェル粒子の疎水化度の測定対象とした。
<シェル粒子の被覆率の測定>
常温(25℃)の大気雰囲気下で、C/S外添剤粒子(より具体的には、C/S外添剤粒子P−1〜P−10の各々)を、濃度5質量%RuO4水溶液2mLの蒸気中に20分間暴露した。このようにして、C/S外添剤粒子をRu染色した。このとき、C/S外添剤粒子の表面領域のうちシェル粒子(より具体的には、シェル粒子S−1〜S−3の各々)で被覆されている領域は、ルテニウムに染色され易かった。
次に、染色されたC/S外添剤粒子を、電界放射型走査型電子顕微鏡(FE−SEM)(日本電子株式会社製「JSM−7600F」)で撮影して、C/S外添剤粒子の反射電子像(表面撮影像)を得た。C/S外添剤粒子の表面領域のうち、Ruで染色された領域(染色領域)は、Ruで染色されなかった領域(非染色領域)よりも、明るく表示された。なお、外添剤粒子の反射電子像の撮影条件は、加速電圧10.0kV、照射電流95μA、倍率250000倍、コントラスト4800、明るさ(ブライトネス)550であった。
続いて、画像解析ソフトウェア(三谷商事株式会社製「WinROOF」)を用いて、反射電子像の画像解析を行った。詳しくは、反射電子像のうちC/S外添剤粒子の中央付近の表面領域(2μm×2μm)を切り取って、得られた画像データに5×5ガウシアンフィルタ処理を行った。なお、C/S外添剤粒子の中央付近の表面領域は、反射電子像におけるC/S外添剤粒子の重心を基点(矩形の重心)として描かれた縦2μm×横2μmの矩形領域であった。そして、フィルタ処理した画像データ(領域:2μm×2μm、画素数:1280×1024)の輝度値ヒストグラム[縦軸:頻度(画素の個数)、横軸:輝度]を得た。輝度値ヒストグラムは、C/S外添剤粒子の表面領域(染色領域及び非染色領域)の輝度値の分布を示していた。
上記のようにして得た輝度値ヒストグラムに関して、表計算ソフトウェア(マイクロソフト社製「MICROSOFT EXCEL(登録商標)」)のソルバーを用いて、最小二乗法による正規分布へのフィッティング及び波形分離を行った。その結果、非染色領域の輝度値の分布(低輝度側の正規分布)を示す非染色波形と、染色領域の輝度値の分布(高輝度側の正規分布)を示す染色波形とを得た。その後、得られた2つの波形の面積(RC:非染色波形の面積、RS:染色波形の面積)から、下記式に基づいてシェル粒子の被覆率(単位:%)を求めた。なお、上記画像データにおいて、非染色波形に属する画素は、コア粒子を表していると考えられる。また、上記画像データにおいて、染色波形に属する画素は、シェル粒子を表していると考えられる。このため、下記式により、コア粒子の表面領域のうちシェル粒子が覆う領域の面積割合(シェル粒子の被覆率)を求めることができる。
シェル粒子の被覆率=100×RS/(RC+RS)
[トナーの製造方法]
<トナーTA−1の製造>
二酸化チタン(触媒)の存在下で、ビスフェノールAエチレンオキサイド付加物(詳しくは、ビスフェノールAを骨格にしてエチレンオキサイドを付加したアルコール)とパラフタル酸とを反応させた。このようにしてポリエステル樹脂を製造した。得られたポリエステル樹脂では、水酸基価(OHV値)が20mgKOH/g、酸価(AV値)が40mgKOH/g、Tmが100℃、Tgが48℃であった。
次に、FMミキサー(日本コークス工業株式会社製「FM−10C/I」、容量10L)を用いて、100質量部のポリエステル樹脂と、5質量部の着色剤(成分:銅フタロシアニン顔料、カラーインデックス:ピグメントブルー15:3)と、5質量部のエステルワックス(日油株式会社製「ニッサンエレクトール(登録商標)WEP−3」、溶融温度:73℃)とを混合した。得られた混合物を、二軸押出機(株式会社池貝製「PCM−30」)を用いて、溶融混練した。得られた溶融混練物を冷却し、冷却された溶融混練物を粉砕機(ホソカワミクロン株式会社製「ロートプレックス(登録商標)」)を用いて粗粉砕した。得られた粗粉砕物を、機械式粉砕機(フロイント・ターボ株式会社製「ターボミルT250」)を用いて、設定粒子径5.6μmの条件で微粉砕した。得られた微粉砕物を、分級機(日鉄鉱業株式会社製「エルボージェットEJ−LABO型」)を用いて、分級した。このようにして、体積中位径(D50)6.0μmのトナー母粒子を得た。
得られたトナー母粒子では、円形度(形状指数)が0.931であり、Tmが98℃であり、Tgが50℃であった。得られたトナー母粒子と標準キャリアN−01(日本画像学会から提供される負帯電極性トナー用標準キャリア)との摩擦帯電量が、−20μC/gであった。ゼータ電位・粒度分布測定装置(ベックマン・コールター社製「Delsa Nano HC」)により、pH4に調整された分散液中のトナー母粒子のゼータ電位を測定したところ、ゼータ電位は−20mVであった。摩擦帯電量及びゼータ電位のデータから、トナー母粒子がアニオン性を有することは明らかであった。
FMミキサー(日本コークス工業株式会社製、容量5L)を用いて、100質量部のトナー母粒子(前述の手順で得られたトナー母粒子)と、0.4質量部の正帯電性シリカ粒子(日本アエロジル株式会社製「AEROSIL(登録商標)90G」)と、0.4質量部のC/S外添剤粒子P−1とを、5分間混合した。得られた粉体を、300メッシュ(目開き48μm)の篩を用いて、篩別した。このようにして、多数のトナー粒子を含むトナー(トナーTA−1)を得た。
<トナーTA−2〜TA−6及びTB−1〜TB−4の製造>
C/S外添剤粒子P−2〜P−10を用いたことを除いてはトナーTA−1の製造方法に基づき、各々、トナーTA−2〜TA−6及びTB−1〜TB−4を製造した。
[トナーの評価方法]
<帯電特性の評価>
ポリエチレン製容器(容量20mL)に、0.5gのトナー(より具体的には、トナーTA−1〜TA−6及びTB−1〜TB−4の各々)と10.0gのキャリアとを入れた。温度10℃且つ湿度10%RHの環境下で、ホソカワミクロン株式会社製のナウターミキサーを用いて、回転速度100rpmで容器の内容物を10分間混合した。得られた2成分現像剤の一部を容器から取り出した。
取り出した2成分現像剤を評価対象として、トナー帯電量を測定した。詳しくは、Q/mメーター(トレック社製「MODEL 210HS−1」)の測定セルに、0.10gの評価対象を入れた。評価対象のうちのトナーのみを、篩(金網)を介して、10秒間吸引した。そして、下記式に基づいて、トナー帯電量[単位:μC/g]を算出した。このようにして、低温低湿環境下でのトナー帯電量を算出した。
トナー帯電量[単位:μC/g]=吸引されたトナーの総電気量[単位:μC]/吸引されたトナーの質量[単位:g]
測定環境を温度25℃且つ湿度50%RHの環境に変更したことを除いては前述の方法に従い、常温常湿環境下でのトナー帯電量を算出した。また、測定環境を温度32.5℃且つ湿度80%RHの環境に変更したことを除いては前述の方法に従い、高温高湿環境下でのトナー帯電量を算出した。算出された3種類のトナー帯電量のうち最大値と最小値とを選択し、最大値と最小値との差(以下、「ΔQ」と記載する)を算出してトナーの帯電特性を評価した。
評価基準を以下に示す。また、トナー帯電量の算出結果及び評価結果を表4に示す。
良い(○):ΔQが10μC/g以下であった。
悪い(×):ΔQが10μC/g超であった。
なお、使用したキャリアは、以下に示す方法で製造されたものであった。詳しくは、MnO換算で39.7モル%、MgO換算で9.9モル%、Fe23換算で49.6モル%、SrO換算で0.8モル%になるように各原材料を適量配合し、水を加え、湿式ボールミルで10時間かけて粉砕及び混合した。得られた混合物を乾燥した後、950℃で4時間保持した。
得られた混合物を湿式ボールミルで24時間かけて粉砕してスラリーを調製した。スラリーを造粒及び乾燥し、酸素濃度2%の雰囲気中で1270℃にて6時間保持した後、造粒物を解砕した。その後、粒度調整を行うことで、マンガン系フェライト粒子(キャリアコア)を得た。得られたマンガン系フェライト粒子では、3000(103/4π・A/m)の印加磁場での飽和磁化が70Am2/kgであり、平均粒子径が35μmであった。
ポリアミドイミド樹脂(無水トリメリット酸と4,4’−ジアミノジフェニルメタンとの共重合体)をメチルエチルケトンで希釈して樹脂溶液を調製した。4フッ化エチレン・6フッ化プロピレン共重合体(FEP、フッ素樹脂)と酸化ケイ素(樹脂全体量の2質量%)とを樹脂溶液に分散させて、固形分換算で150gとなる量のキャリアコート液を得た。なお、ポリアミドイミド樹脂とFEPとの質量比(ポリアミドイミド樹脂:FEP)は2:8であり、樹脂溶液の固形分比率は10質量%であった。
得られたキャリアコート液を用いて、流動層被覆装置(岡田精工株式会社製「スピラコータSP−25」)により上記マンガン系フェライト粒子(キャリアコア)10kgを被覆した。その後、樹脂で被覆されマンガン系フェライト粒子を220℃で1時間焼成した。このようにして、キャリアを得た。
<耐熱特性の評価>
ポリエチレン製容器(容量20mL)に3gのトナー(より具体的には、トナーTA−1〜TA−6及びTB−1〜TB−4の各々)を入れて、ポリエチレン製容器を密閉した。密閉された容器に対してタッピング処理を5分間行った後、容器を60℃に設定された恒温槽内に8時間静置した。その後、容器から取り出したトナーを室温(約25℃)まで冷却して、評価対象を得た。
得られた評価対象を、質量既知の300メッシュ(目開き48μm)の篩に載せた。そして、評価対象を含む篩の質量を測定し、篩別前のトナーの質量を求めた。続けて、パウダーテスター(ホソカワミクロン株式会社製、登録商標)に上記篩をセットし、パウダーテスターのマニュアルに従い、レオスタッド目盛り5の条件で30秒間、篩を振動させ、評価対象を篩別した。篩別後、篩を通過しなかったトナーの質量を測定した。そして、篩別前のトナーの質量と、篩別後のトナーの質量とに基づいて、次の式に従って凝集度(単位:質量%)を求めた。なお、下記式における「篩別後のトナーの質量」は、篩を通過しなかったトナーの質量であり、篩別後に篩上に残留したトナーの質量である。
凝集度=100×篩別後のトナーの質量/篩別前のトナーの質量
評価基準を以下に示す。また、凝集度の算出結果及び評価結果を表4に示す。
良い(○):凝集度が10%以下であった。
悪い(×):凝集度が10%超であった。
[トナーの評価結果]
表4に、トナーの評価結果を示す。表4において、「L/L」には、低温低湿環境下でのトナー帯電量を記し、「N/N」には、常温常湿環境下でのトナー帯電量を記し、「H/H」には、高温高湿環境下でのトナー帯電量を記す。
Figure 0006696482
トナーTA−1〜TA−6(より具体的には、実施例1〜6に係るトナー)は、各々、前述の基本構成を有していた。詳しくは、トナーTA−1〜TA−6は、各々、トナー粒子を複数含んでいた。トナー粒子は、各々、ポリエステル樹脂を含有するトナー母粒子と、トナー母粒子の表面に付着する外添剤とを、備えていた。外添剤は、コアシェル構造を有する外添剤粒子を複数含んでいた。コアシェル構造を有する外添剤粒子は、各々、コア粒子と、コア粒子の表面に付着する複数のシェル粒子とを、有していた。シェル粒子の個数平均1次粒子径が、コア粒子の個数平均1次粒子径の0.40倍以下であった。コア粒子と、シェル粒子とは、各々、樹脂を含有していた。コア粒子の疎水化度が、30%以上であった。シェル粒子の疎水化度が、5%以下であった。コアシェル構造を有する外添剤粒子の疎水化度が、15%以上25%以下であった。
表4に示されるように、トナーTA−1〜TA−6では、各々、ΔQが10μC/g以下であった。また、凝集度が10%以下であった。
一方、トナーTB−1〜TB−4(より具体的には、比較例1〜4に係るトナー)は、各々、前述の基本構成を有していなかった。詳しくは、トナーTB−1では、C/S外添剤粒子の疎水化度が低かった。そして、トナーTB−1では、ΔQが10μC/gを超えた。
また、トナーTB−2では、C/S外添剤粒子の疎水化度が高かった。そして、トナーTB−2では、凝集度が10%を超えた。
また、トナーTB−3では、C/S外添剤粒子の疎水化度が低すぎた。そして、トナーTB−3では、ΔQが10μC/gを超えた。また、凝集度が10%を超えた。
また、トナーTB−4では、外添剤は、C/S外添剤粒子を含んでいなかった。また、C/S外添剤粒子の疎水化度が高すぎた。そして、トナーTB−4では、凝集度が10%を超えた。
本発明に係るトナーは、例えば、複写機、プリンター、又は複合機において画像を形成するために用いることができる。
10 トナー粒子
11 トナー母粒子
13 C/S外添剤粒子(コアシェル構造を有する外添剤粒子)
15 コア粒子
17 シェル粒子

Claims (5)

  1. トナー粒子を複数含むトナーであって、
    前記トナー粒子は、各々、ポリエステル樹脂を含有するトナー母粒子と、前記トナー母粒子の表面に付着する外添剤とを、備え、
    前記外添剤は、コアシェル構造を有する外添剤粒子を複数含み、
    前記コアシェル構造を有する外添剤粒子は、各々、コア粒子と、前記コア粒子の表面に付着する複数のシェル粒子とを、有し、
    前記シェル粒子の個数平均1次粒子径が、前記コア粒子の個数平均1次粒子径の0.40倍以下であり、
    前記コア粒子と、前記シェル粒子とは、各々、樹脂を含有し、
    前記コア粒子の疎水化度が、30%以上であり、
    前記シェル粒子の疎水化度が、5%以下であり、
    前記コアシェル構造を有する外添剤粒子の疎水化度が、15%以上25%以下である、トナー。
  2. 前記コア粒子の表面領域のうち、前記シェル粒子が覆う前記コア粒子の面積の割合が、20%以上30%以下である、請求項1に記載のトナー。
  3. 前記コア粒子が含有する樹脂と、前記シェル粒子が含有する樹脂とは、各々、架橋アクリル酸系樹脂であり、
    前記コア粒子が含有する樹脂は、アルキル基の炭素数が4以上8以下の(メタ)アクリル酸アルキルエステルを含む1種以上のアクリル酸系モノマーと架橋剤との共重合体であり、
    前記シェル粒子が含有する樹脂は、アルキル基の炭素数が1以上2以下の(メタ)アクリル酸アルキルエステルと前記架橋剤との共重合体であり、
    前記架橋剤は、分子内にビニル基を2つ以上有する化合物である、請求項1又は2に記載のトナー。
  4. 前記コア粒子が含有する樹脂は、(メタ)アクリル酸n−ブチルを含む1種以上のアクリル酸系モノマーと前記架橋剤との共重合体であり、
    前記シェル粒子が含有する樹脂は、(メタ)アクリル酸メチルと前記架橋剤との共重合体である、請求項3に記載のトナー。
  5. 前記コア粒子が含有する樹脂は、架橋スチレン系樹脂であり、
    前記シェル粒子が含有する樹脂は、架橋アクリル酸系樹脂である、請求項1又は2に記載のトナー。
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