JP6696482B2 - トナー - Google Patents
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Description
本実施形態に係るトナーは、次に示す構成(以下、基本構成と記載する)を有する。詳しくは、本実施形態に係るトナーは、トナー粒子を複数含む。トナー粒子は、各々、結着樹脂を含有するトナー母粒子と、トナー母粒子の表面に付着する外添剤とを、備える。結着樹脂は、ポリエステル樹脂を含む。外添剤は、コアシェル構造を有する外添剤粒子(以下、「C/S外添剤粒子」と記載する)を複数含む。C/S外添剤粒子は、各々、コア粒子と、コア粒子の表面に付着する複数のシェル粒子とを、有する。シェル粒子の個数平均1次粒子径が、コア粒子の個数平均1次粒子径の0.40倍以下である。コア粒子と、シェル粒子とは、各々、樹脂を含有する。コア粒子の疎水化度が、30%以上である。シェル粒子の疎水化度が、5%以下である。C/S外添剤粒子の疎水化度が、15%以上25%以下である。
<トナー母粒子>
トナー母粒子は、トナーコアとトナーコアの表面を被覆するシェル層とを有してもよいし、シェル層を有さなくてもよい。
トナーコアでは、一般的に、成分の大部分(例えば、85質量%以上)を結着樹脂が占める。このため、結着樹脂の性質がトナーコア全体の性質に大きな影響を与えると考えられる。結着樹脂として複数種の樹脂を組み合わせて使用することで、結着樹脂の性質(より具体的には、水酸基価、酸価、Tg、又はTm等)を調整することができる。例えば、結着樹脂がエステル基、水酸基、エーテル基、酸基、又はメチル基を有する場合には、トナーコアはアニオン性になる傾向が強くなり、結着樹脂がアミノ基を有する場合には、トナーコアはカチオン性になる傾向が強くなる。
結着樹脂は、ポリエステル樹脂を主成分として含む。結着樹脂は、ポリエステル樹脂のみで構成されてもよいし、ポリエステル樹脂を除く熱可塑性樹脂をさらに含んでもよい。ポリエステル樹脂を除く熱可塑性樹脂としては、例えば、スチレン系樹脂、アクリル酸系樹脂、オレフィン系樹脂、ビニル樹脂、ポリアミド樹脂、又はウレタン樹脂を使用できる。アクリル酸系樹脂としては、例えば、アクリル酸エステル重合体又はメタクリル酸エステル重合体を使用できる。オレフィン系樹脂としては、例えば、ポリエチレン樹脂又はポリプロピレン樹脂を使用できる。ビニル樹脂としては、例えば、塩化ビニル樹脂、ポリビニルアルコール、ビニルエーテル樹脂、又はN−ビニル樹脂を使用できる。また、これら各樹脂の共重合体、すなわち前述の樹脂中に任意の繰返し単位が導入された共重合体も、トナー粒子を構成する熱可塑性樹脂として使用できる。例えば、スチレン−アクリル酸系樹脂又はスチレン−ブタジエン系樹脂も、結着樹脂を構成する熱可塑性樹脂として使用できる。以下、ポリエステル樹脂について具体的に説明する。
ポリエステル樹脂は、1種以上のアルコールと1種以上のカルボン酸との共重合体である。ポリエステル樹脂を合成するためのアルコールとしては、例えば以下に示す2価アルコール又は3価以上のアルコールを使用できる。2価アルコールとしては、例えば、ジオール類又はビスフェノール類を使用できる。ポリエステル樹脂を合成するためのカルボン酸としては、例えば以下に示す2価カルボン酸又は3価以上のカルボン酸を使用できる。
着色剤としては、正帯電性トナーの色に合わせて公知の顔料又は染料を用いることができる。正帯電性トナーを用いて高画質の画像を形成するためには、着色剤の量が、100質量部の結着樹脂に対して、1質量部以上20質量部以下であることが好ましい。
離型剤は、例えば、正帯電性トナーの定着性又は耐高温オフセット性を向上させる目的で使用される。トナーコアのカチオン性を強めるためには、カチオン性を有するワックスを用いてトナーコアを作製することが好ましい。
電荷制御剤は、例えば、正帯電性トナーの帯電安定性又は帯電立ち上がり特性を向上させる目的で使用される。正帯電性トナーの帯電立ち上がり特性は、短時間で所定の帯電レベルに正帯電性トナーを帯電可能か否かの指標になる。トナーコアに正帯電性の電荷制御剤を含有させることで、トナーコアのカチオン性を強めることができる。トナーコアに負帯電性の電荷制御剤を含有させることで、トナーコアのアニオン性を強めることができる。
シェル層は、熱可塑性樹脂を含有することが好ましい。これにより、トナーの耐熱保存性及び低温定着性の両立を図ることができる。シェル層がスチレン−アクリル酸系樹脂を含有する場合には、トナーの耐熱保存性及び低温定着性の両立に加え、トナーの帯電安定性の向上を図ることができる。そのため、シェル層は、スチレン−アクリル酸系樹脂を含有することが好ましい。また、シェル層が含有する樹脂が、アクリル酸2−ヒドロキシエチル、アクリル酸2−ヒドロキシプロピル、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル、又はメタクリル酸2−ヒドロキシプロピルに由来する1種以上のアルコール性水酸基を有する単位を含む場合には、シェル層の膜質の向上を図ることができる。
外添剤は、内添剤とは異なり、トナー母粒子の内部には存在せず、トナー母粒子の表面のみに選択的に存在する。トナー母粒子と外添剤粒子とは、互いに化学反応せず、物理的に結合する。外添剤は、C/S外添剤粒子を複数含む。外添剤は、C/S外添剤粒子ではない外添剤粒子(以下、「他の外添剤粒子」と記載する)をさらに含んでもよい。
シェル粒子の個数平均1次粒子径は、好ましくはコア粒子の個数平均1次粒子径の0.05倍以上0.40倍以下であり、より好ましくはコア粒子の個数平均1次粒子径の0.10倍以上0.35倍以下であり、さらに好ましくはコア粒子の個数平均1次粒子径の0.10倍以上0.25倍以下である。コア粒子の個数平均1次粒子径は、好ましくは70nm以上110nm以下であり、より好ましくは80nm以上100nm以下である。シェル粒子の個数平均1次粒子径は、好ましくは5nm以上25nm以下であり、より好ましくは10nm以上20nm以下である。
第1の組み合わせ:コア樹脂が、疎水性が強いアクリル酸系モノマーを含む1種以上のアクリル酸系モノマーと架橋剤との共重合体である。シェル樹脂が、親水性が強いアクリル酸系モノマーと架橋剤との共重合体である。
第2の組み合わせ:コア樹脂が、架橋スチレン−アクリル酸系樹脂である。シェル樹脂が、架橋アクリル酸系樹脂である。
第3の組み合わせ:コア樹脂が、架橋スチレン系樹脂である。シェル樹脂が、架橋アクリル酸系樹脂である。
疎水性が強いアクリル酸系モノマーは、水溶性を有さない。一方、親水性が強いアクリル酸系モノマーは、水溶性を有する。第1の組み合わせの一例としては、以下に示す一例が挙げられる。コア樹脂とシェル樹脂との組み合わせが以下に示す組み合わせであれば、コア粒子の疎水化度は30%以上となり易く、シェル粒子の疎水化度は5%以下となり易い。
コア樹脂:コア樹脂は、アルキル基の炭素数が4以上8以下の(メタ)アクリル酸アルキルエステル(以下、「第1(メタ)アクリル酸アルキルエステル」と記載する)を含む1種以上のアクリル酸系モノマーと架橋剤との共重合体である。第1(メタ)アクリル酸アルキルエステルは、例えば、(メタ)アクリル酸n−ブチルである。
シェル樹脂:シェル樹脂は、アルキル基の炭素数が1以上2以下の(メタ)アクリル酸アルキルエステル(以下、「第2(メタ)アクリル酸アルキルエステル」と記載する)と架橋剤との共重合体である。第2(メタ)アクリル酸アルキルエステルは、例えば、(メタ)アクリル酸メチルである。
スチレン系モノマーの疎水性は、アクリル酸系モノマーの疎水性に比べ、強い。そのため、架橋スチレン−アクリル酸系樹脂を合成するためのスチレン系モノマー、及び架橋スチレン系樹脂を合成するためのスチレン系モノマーとしては、各々、前述の<シェル層>で記載のスチレン系モノマーを使用できる。また、架橋スチレン−アクリル酸系樹脂を合成するためのアクリル酸系モノマー、及び架橋アクリル酸系樹脂を合成するためのアクリル酸系モノマーとしては、前述の<シェル層>で記載のアクリル酸系モノマーを使用できる。第2の組み合わせの好ましい一例としては、以下に示す一例が挙げられる。コア樹脂とシェル樹脂との組み合わせが以下に示す組み合わせであれば、コア粒子の疎水化度は30%以上となり易く、シェル粒子の疎水化度は5%以下となり易い。
コア樹脂:コア樹脂は、第1(メタ)アクリル酸アルキルエステルを含む1種以上のアクリル酸系モノマーとスチレン系モノマーと架橋剤との共重合体である。第1(メタ)アクリル酸アルキルエステルは、例えば、(メタ)アクリル酸n−ブチルである。
シェル樹脂:シェル樹脂は、第2(メタ)アクリル酸アルキルエステルと架橋剤との共重合体である。第2(メタ)アクリル酸アルキルエステルは、例えば、(メタ)アクリル酸メチルである。
架橋剤は、分子内にビニル基を2つ以上有する化合物であることが好ましい。分子内にビニル基を2つ有する化合物としては、例えば、芳香族ジビニル化合物、エチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールメタクリレート、トリエチレングリコールメタクリレート、アリルメタクリレート、tert−ブチルアミノエチルメタクリレート、テトラエチレングリコールメタクリレート、1,3−ブタンジオールジメタクリレート、N,N−ジビニルアニリン、ジビニルエーテル、ジビニルスルフィド、又はジビニルスルホンを使用できる。芳香族ジビニル化合物は、例えば、ジビニルベンゼン、ジビニルナフタレン、及びこれらの誘導体であることが好ましい。分子内にビニル基を2つ有する化合物としては、これらの1種以上を使用できる。分子内にビニル基を3つ以上有する化合物としては、例えば、トリメチロールプロパントリアクリレート、又はテトラメチロールプロパントリアクリレートを使用できる。
他の外添剤粒子は、無機粒子であればよい。無機粒子は、シリカ粒子、又は金属酸化物の粒子であることが好ましい。金属酸化物は、アルミナ、酸化チタン、酸化マグネシウム、酸化亜鉛、チタン酸ストロンチウム、又はチタン酸バリウムであることが好ましい。他の外添剤粒子は、脂肪酸金属塩のような有機酸化合物の粒子であってもよい。脂肪酸金属塩は、例えば、ステアリン酸亜鉛であることが好ましい。
本実施形態に係るトナーの製造方法は、トナー母粒子の作製工程とC/S外添剤粒子の作製工程と外添処理工程とを含むことが好ましい。
トナー母粒子がトナーコアとシェル層とで構成される場合、トナー母粒子の作製工程は、トナーコアの作製工程とシェル層の形成工程とを含む。トナー母粒子がシェル層を有さない場合、トナー母粒子の作製工程は、トナーコアの作製工程を含むが、シェル層の形成工程を含まない。
C/S外添剤粒子の作製工程は、コア粒子の作製工程とシェル粒子の作製工程と付着工程とを含むことが好ましい。
混合機(例えば、日本コークス工業株式会社製のFMミキサー)を用いて、トナー母粒子と外添剤とを混合する。この混合により、トナー母粒子の表面には外添剤が物理的に結合する。こうして、トナー粒子を多数含むトナーが得られる。
<コア粒子C−1の作製>
攪拌機、冷却管、温度計、及び窒素導入管を備えた四つ口フラスコ(容量1000mL)を準備した。フラスコに、140gのメタクリル酸n−ブチル(BMA)と、20gのメタクリル酸メチル(MMA)と、4gのエチレングリコールジメタクリレート(EGDMA、架橋剤)と、12gの塩化セチルトリメチルアンモニウム(CTAC、乳化剤)と、15gの過酸化ベンゾイル(BPO、重合開始剤)と、600gのイオン交換水とを、攪拌しながら、入れた。フラスコ内の温度を90℃にまで上昇させた。フラスコに窒素を導入しながら、且つフラスコの内容物を攪拌しながら、3時間にわたってフラスコ内の温度を90℃に保った。このとき、得られる樹脂粒子の粒子径が100nmとなるように、フラスコの内容物の攪拌条件を調整した。フラスコ内の温度を90℃に保っている間、フラスコの内容物が反応した。得られたエマルション(樹脂粒子を含むエマルション)を冷却した後、エマルションを吸引濾過した。得られた固形物を、洗浄した後、乾燥させた。このようにして、多数のコア粒子C−1を含む粉体を得た。得られたコア粒子C−1は、シャープな粒度分布を有していた。より具体的には、コア粒子C−1は、約100nmの粒子径を有するアクリル酸系樹脂粒子のみを実質的に含んでいた。
塩化セチルトリメチルアンモニウムの配合量を16gに変更した。また、得られる樹脂粒子の粒子径が80nmとなるように、フラスコの内容物の攪拌条件を調整した。これらを除いてはコア粒子C−1の作製方法に従い、多数のコア粒子C−2を含む粉体を得た。得られたコア粒子C−2は、シャープな粒度分布を有していた。より具体的には、コア粒子C−2は、約80nmの粒子径を有するアクリル酸系樹脂粒子のみを実質的に含んでいた。
フラスコに、160gのスチレンと、4gのエチレングリコールジメタクリレートと、12gの塩化セチルトリメチルアンモニウムと、15gの過酸化ベンゾイルと、600gのイオン交換水とを、攪拌しながら、入れた。これを除いてはコア粒子C−1の作製方法に従い、多数のコア粒子C−3を含む粉体を得た。得られたコア粒子C−3は、シャープな粒度分布を有していた。より具体的には、コア粒子C−3は、約100nmの粒子径を有するスチレン系樹脂粒子のみを実質的に含んでいた。
<シェル粒子S−1の作製>
攪拌機、冷却管、温度計、及び窒素導入管を備えた四つ口フラスコ(容量1000mL)を準備した。フラスコに、160gのメタクリル酸メチルと、4gのエチレングリコールジメタクリレートと、24gの塩化セチルトリメチルアンモニウムと、15gの過酸化ベンゾイルと、600gのイオン交換水とを、攪拌しながら、入れた。フラスコ内の温度を90℃にまで上昇させた。フラスコに窒素を導入しながら、且つフラスコの内容物を攪拌しながら、3時間にわたってフラスコ内の温度を90℃に保った。このとき、得られる樹脂粒子の粒子径が10nmとなるように、フラスコの内容物の攪拌条件を調整した。フラスコ内の温度を90℃に保っている間、フラスコの内容物が反応した。得られたエマルション(樹脂粒子を含むエマルション)を冷却した後、エマルションを吸引濾過した。得られた固形物を、洗浄した後、乾燥させた。このようにして、多数の樹脂粒子を含む粉体(以下、「粉体M」と記載する)を得た。
塩化セチルトリメチルアンモニウムの配合量を22gに変更した。また、エマルションを作製するときには、得られる樹脂粒子の粒子径が20nmとなるように、フラスコの内容物の攪拌条件を調整した。また、4,4’−ジアミノジフェニルメタンの配合量を20gとした。これらを除いてはシェル粒子S−1の作製方法に従い、多数のシェル粒子S−2を含む粉体を得た。得られたシェル粒子S−2は、シャープな粒度分布を有していた。より具体的には、シェル粒子S−2は、約20nmの粒子径を有するアクリル酸系樹脂粒子のみを実質的に含んでいた。
シェル粒子S−1の作製方法に従い、粉体Mを得た。攪拌機、冷却管、及び温度計を備えた三つ口フラスコ(容量200mL)をウォーターバス(設定温度30℃)にセットした。フラスコに50mLのイオン交換水を入れた後、塩酸を用いてフラスコの内容物のpHを4に調整した。フラスコに、1mLのヘキサメチロールメラミン初期重合体の水溶液(昭和電工株式会社製「ミルベン(登録商標)レジンSM−607」、固形分濃度80質量%)と50gの粉体Mとを順に加えた後、フラスコの内容物を攪拌した。フラスコに、50mLのイオン交換水をさらに加えた。フラスコの内容物を攪拌しながら、フラスコ内の温度を60℃にまで上昇させた後、2時間にわたってフラスコ内の温度を60℃に保った。このようにして、樹脂粒子の分散液を得た。得られた分散液を冷却した後、分散液を吸引濾過した。得られた固形物を、洗浄した後、乾燥させた。このようにして、多数のシェル粒子S−3を含む粉体を得た。得られたシェル粒子S−3は、シャープな粒度分布を有していた。より具体的には、シェル粒子S−3は、約10nmの粒子径を有するアクリル酸系樹脂粒子のみを実質的に含んでいた。
<C/S外添剤粒子P−1の製造>
ビーカー(容量500mL)に、100gのコア粒子C−1と110gのシェル粒子S−1と200gのエタノールとを入れた。ビーカーの内容物を、攪拌した後、乾燥させた。表面改質装置(日本ニューマチック工業株式会社製の「MR−2」)を用いて、処理温度160℃、供給量2kg/h、且つ処理量200gの条件で、コア粒子C−1の表面にシェル粒子S−1を付着させた。このようにして、多数のHigh−C/S外添剤粒子を含む粉体を得た。
ナウターミキサーでの混合時間を22分間及び24分間に変更したことを除いてはC/S外添剤粒子P−1の製造方法に従い、各々、C/S外添剤粒子P−2及びP−3を得た。
<疎水化度の測定>
メタノールウェッタビリティ法で、コア粒子(より具体的には、コア粒子C−1〜C−3の各々)の疎水化度とシェル粒子(より具体的には、シェル粒子S−1〜S−3の各々)の疎水化度とC/S外添剤粒子(より具体的には、C/S外添剤粒子P−1〜P−10の各々)の疎水化度とを求めた。
測定対象の疎水化度(%)=100×メタノール滴下量/(メタノール滴下量+イオン交換水の量)
常温(25℃)の大気雰囲気下で、C/S外添剤粒子(より具体的には、C/S外添剤粒子P−1〜P−10の各々)を、濃度5質量%RuO4水溶液2mLの蒸気中に20分間暴露した。このようにして、C/S外添剤粒子をRu染色した。このとき、C/S外添剤粒子の表面領域のうちシェル粒子(より具体的には、シェル粒子S−1〜S−3の各々)で被覆されている領域は、ルテニウムに染色され易かった。
シェル粒子の被覆率=100×RS/(RC+RS)
<トナーTA−1の製造>
二酸化チタン(触媒)の存在下で、ビスフェノールAエチレンオキサイド付加物(詳しくは、ビスフェノールAを骨格にしてエチレンオキサイドを付加したアルコール)とパラフタル酸とを反応させた。このようにしてポリエステル樹脂を製造した。得られたポリエステル樹脂では、水酸基価(OHV値)が20mgKOH/g、酸価(AV値)が40mgKOH/g、Tmが100℃、Tgが48℃であった。
C/S外添剤粒子P−2〜P−10を用いたことを除いてはトナーTA−1の製造方法に基づき、各々、トナーTA−2〜TA−6及びTB−1〜TB−4を製造した。
<帯電特性の評価>
ポリエチレン製容器(容量20mL)に、0.5gのトナー(より具体的には、トナーTA−1〜TA−6及びTB−1〜TB−4の各々)と10.0gのキャリアとを入れた。温度10℃且つ湿度10%RHの環境下で、ホソカワミクロン株式会社製のナウターミキサーを用いて、回転速度100rpmで容器の内容物を10分間混合した。得られた2成分現像剤の一部を容器から取り出した。
トナー帯電量[単位:μC/g]=吸引されたトナーの総電気量[単位:μC]/吸引されたトナーの質量[単位:g]
良い(○):ΔQが10μC/g以下であった。
悪い(×):ΔQが10μC/g超であった。
ポリエチレン製容器(容量20mL)に3gのトナー(より具体的には、トナーTA−1〜TA−6及びTB−1〜TB−4の各々)を入れて、ポリエチレン製容器を密閉した。密閉された容器に対してタッピング処理を5分間行った後、容器を60℃に設定された恒温槽内に8時間静置した。その後、容器から取り出したトナーを室温(約25℃)まで冷却して、評価対象を得た。
凝集度=100×篩別後のトナーの質量/篩別前のトナーの質量
良い(○):凝集度が10%以下であった。
悪い(×):凝集度が10%超であった。
表4に、トナーの評価結果を示す。表4において、「L/L」には、低温低湿環境下でのトナー帯電量を記し、「N/N」には、常温常湿環境下でのトナー帯電量を記し、「H/H」には、高温高湿環境下でのトナー帯電量を記す。
11 トナー母粒子
13 C/S外添剤粒子(コアシェル構造を有する外添剤粒子)
15 コア粒子
17 シェル粒子
Claims (5)
- トナー粒子を複数含むトナーであって、
前記トナー粒子は、各々、ポリエステル樹脂を含有するトナー母粒子と、前記トナー母粒子の表面に付着する外添剤とを、備え、
前記外添剤は、コアシェル構造を有する外添剤粒子を複数含み、
前記コアシェル構造を有する外添剤粒子は、各々、コア粒子と、前記コア粒子の表面に付着する複数のシェル粒子とを、有し、
前記シェル粒子の個数平均1次粒子径が、前記コア粒子の個数平均1次粒子径の0.40倍以下であり、
前記コア粒子と、前記シェル粒子とは、各々、樹脂を含有し、
前記コア粒子の疎水化度が、30%以上であり、
前記シェル粒子の疎水化度が、5%以下であり、
前記コアシェル構造を有する外添剤粒子の疎水化度が、15%以上25%以下である、トナー。 - 前記コア粒子の表面領域のうち、前記シェル粒子が覆う前記コア粒子の面積の割合が、20%以上30%以下である、請求項1に記載のトナー。
- 前記コア粒子が含有する樹脂と、前記シェル粒子が含有する樹脂とは、各々、架橋アクリル酸系樹脂であり、
前記コア粒子が含有する樹脂は、アルキル基の炭素数が4以上8以下の(メタ)アクリル酸アルキルエステルを含む1種以上のアクリル酸系モノマーと架橋剤との共重合体であり、
前記シェル粒子が含有する樹脂は、アルキル基の炭素数が1以上2以下の(メタ)アクリル酸アルキルエステルと前記架橋剤との共重合体であり、
前記架橋剤は、分子内にビニル基を2つ以上有する化合物である、請求項1又は2に記載のトナー。 - 前記コア粒子が含有する樹脂は、(メタ)アクリル酸n−ブチルを含む1種以上のアクリル酸系モノマーと前記架橋剤との共重合体であり、
前記シェル粒子が含有する樹脂は、(メタ)アクリル酸メチルと前記架橋剤との共重合体である、請求項3に記載のトナー。 - 前記コア粒子が含有する樹脂は、架橋スチレン系樹脂であり、
前記シェル粒子が含有する樹脂は、架橋アクリル酸系樹脂である、請求項1又は2に記載のトナー。
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