JP6307396B2 - 静電荷像現像用トナーの製造方法 - Google Patents

静電荷像現像用トナーの製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP6307396B2
JP6307396B2 JP2014188801A JP2014188801A JP6307396B2 JP 6307396 B2 JP6307396 B2 JP 6307396B2 JP 2014188801 A JP2014188801 A JP 2014188801A JP 2014188801 A JP2014188801 A JP 2014188801A JP 6307396 B2 JP6307396 B2 JP 6307396B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
toner
mass
less
particles
viewpoint
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2014188801A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2016061886A (ja
Inventor
浩司 水畑
浩司 水畑
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Kao Corp
Original Assignee
Kao Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Kao Corp filed Critical Kao Corp
Priority to JP2014188801A priority Critical patent/JP6307396B2/ja
Publication of JP2016061886A publication Critical patent/JP2016061886A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6307396B2 publication Critical patent/JP6307396B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Landscapes

  • Developing Agents For Electrophotography (AREA)

Description

本発明は、静電荷像現像用トナーの製造方法に関する。
電子写真の分野においては、電子写真システムの発展に伴い、高画質化及び高速化に対応した電子写真用のトナーの開発が要求されている。
高画質化に対応して、粒径分布が狭く、小粒径のトナーを実現する方法として、従来技術である混練粉砕法にかえて、水系媒体中で樹脂を分散させることで微細な樹脂粒子を得、この樹脂粒子を水系媒体中で凝集、融着させてトナーを得る、凝集融着法(凝集合一法、乳化凝集法)によるトナーの製造が行われている。
また高速化に対しては、定着時に少ない熱量で定着可能な低温定着性能に対応するものとして、結着樹脂にポリエステルを用いたトナーが検討されている。
例えば、特許文献1には、低温定着可能で高画質を実現できる小粒径トナーを得る方法として、酸基を有する結晶性ポリエステルを含有してなる結着樹脂を溶融状態で中和し、水性媒体と接触させて、該結着樹脂を主成分とする分散粒子の平均粒径が0.02〜2μmである分散液を調製し、該分散液中の分散粒子を凝集させて、少なくとも結着樹脂と着色剤とを構成成分とする凝集粒子を形成させ、該凝集粒子を合一させる製造方法が開示されている。
また、特許文献2では、低温定着が可能であると共に、十分な帯電性を有する静電荷像現像用トナーとして、少なくとも、結着樹脂として結晶性ポリエステルと無定形高分子とを含み、表面が前記無定形高分子を主成分とする表面層で被覆された静電荷像現像用トナーにおいて、前記結晶性ポリエステルの含有量が30〜80重量%の範囲内であり、前記静電荷像現像用トナーの最表面に含まれる前記結晶性ポリエステルの割合が15atomic%以下であり、且つ、前記表面層の平均厚みが0.01μm以上0.5μm以下であることを特徴とする静電荷像現像用トナーとその製造方法が開示されている。
特開2006−18227号公報 特開2004−191927号公報
結着樹脂として、結晶性ポリエステルを使用することによって、低温定着性に優れるトナーとすることができるが、耐高温オフセット性が低下する問題があり、これによって定着可能な温度範囲が確保できなくなるという課題がある。さらに、結晶性ポリエステルを多く含むトナーは、耐熱保存性も低下するため、前記特許文献の各々に開示された方法においては、低温定着性、耐熱保存性、及び耐高温オフセット性をすべて満足させるトナーを得ることは困難であった。
本発明は、良好な低温定着性と耐熱保存性とを両立し、更に耐高温オフセット性に優れる静電荷像現像用トナーの製造方法を提供することを課題とする。
本発明者らは、低温定着性を向上させるために結晶性ポリエステルを添加した場合に耐高温オフセット性及び耐熱保存性が低下する要因は、トナーを構成する樹脂のトナー粒子中での状態にあると考えて検討を行った。その結果、結晶性ポリエステルと、特定の原料を用いた非晶質ポリエステルとを併用し、更に特定の官能基を有する化合物をトナー製造時に添加することにより、低温定着性と耐熱保存性とを両立し、更に耐高温オフセット性に優れる静電荷像現像用トナーが得られることを見出した。
すなわち、本発明は、以下の静電荷像現像用トナーの製造方法を提供する。
工程(1):水性媒体中で、結晶性ポリエステル(a)及び非晶質ポリエステル(b)を含有する樹脂粒子(A)の分散液を得る工程、
工程(2):工程(1)で得られた樹脂粒子(A)を凝集させて、凝集粒子の分散液を得る工程、及び、
工程(3):工程(2)で得られた凝集粒子を結晶性ポリエステル(a)の融点以上の温度で融着させてトナー粒子を得る工程、
を有する、静電荷像現像用トナーの製造方法であって、
該樹脂粒子(A)を構成する樹脂中の結晶性ポリエステル(a)の含有量が50質量%以上であり、
該非晶質ポリエステル(b)が、アルコール成分とカルボン酸成分とを重縮合させることにより得られる非晶質ポリエステルであって、該カルボン酸成分中の3価以上の多価カルボン酸の含有量が5モル%以上45モル%以下であり、
工程(1)〜(3)の少なくともいずれかの工程において、オキサゾリン基、グリシジル基、及びカルボジイミド基から選ばれる1種以上の官能基を2つ以上含有する化合物(c)を添加する、静電荷像現像用トナーの製造方法。
本発明によれば、良好な低温定着性と耐熱保存性とを両立し、更に耐高温オフセット性に優れる静電荷像現像用トナーの製造方法を提供することができる。
[静電荷像現像用トナーの製造方法]
本発明のトナーの製造方法は、
工程(1):水性媒体中で、結晶性ポリエステル(a)及び非晶質ポリエステル(b)を含有する樹脂粒子(A)の分散液を得る工程、
工程(2):工程(1)で得られた樹脂粒子(A)を凝集させて、凝集粒子の分散液を得る工程、及び、
工程(3):工程(2)で得られた凝集粒子を結晶性ポリエステル(a)の融点以上の温度で融着させてトナー粒子を得る工程、
を有する、静電荷像現像用トナーの製造方法であって、該樹脂粒子(A)を構成する樹脂中の結晶性ポリエステル(a)の含有量が50質量%以上であり、該非晶質ポリエステル(b)が、アルコール成分とカルボン酸成分とを重縮合させることにより得られる非晶質ポリエステルであって、該カルボン酸成分中の3価以上の多価カルボン酸の含有量が5モル%以上45モル%以下であり、工程(1)〜(3)の少なくともいずれかの工程において、オキサゾリン基、グリシジル基、及びカルボジイミド基から選ばれる1種以上の官能基を2つ以上含有する化合物(c)を添加する、静電荷像現像用トナーの製造方法である。
本発明の製造方法により得られる静電荷像現像用トナー(以下、単に「トナー」ともいう)がこのような効果を奏する理由は定かではないが、次のように考えられる。
結晶性ポリエステルは、その結晶の融点以上の温度において、シャープに溶融する性質(以下、「シャープメルト性」ともいう)を有するため、そのシャープメルト性を利用してトナーの低温定着性の改善のために用いられており、トナーの製造に用いる樹脂粒子中に、結晶性ポリエステルを50質量%以上含有させ、結晶性ポリエステルを主成分とするトナーとすることで、優れた低温定着性を獲得できるが、結晶性ポリエステルの含有量を多くすると、定着温度においてトナーが一気に溶融してしまうため、高温オフセットが低い温度から発生し易くなる。そこで、本発明においては、トナーの製造に用いる樹脂粒子中に、原料モノマーのカルボン酸成分中に3価以上の多価カルボン酸を5モル%以上45モル%以下含有する非晶質ポリエステル(b)を、結晶性ポリエステル(a)と共に含有させる。更に、結晶性ポリエステル(a)及び非晶質ポリエステル(b)を含有する樹脂粒子(A)に対し、オキサゾリン基、グリシジル基、及びカルボジイミド基から選ばれる1種以上の官能基を2つ以上含有する化合物(c)を添加することにより、結晶性ポリエステルの結晶性を損なうことなく、結晶性ポリエステルが形成する結晶領域同士、及び結晶性ポリエステルが形成する結晶領域と非晶質ポリエステルの非結晶領域とを結合させることができると考えられる。
その結果、保存時には、トナー中の結晶性ポリエステルが結晶構造を保持しているためにトナーの融着が抑制されるため、耐熱保存性が向上し、定着時には結晶性ポリエステル部が溶融しても十分な強度をトナーに持たせることができるため、耐高温オフセット性にも優れるものと考えられる。
<化合物(c)>
本発明の製造方法は、トナーの低温定着性、耐熱保存性、及び耐高温オフセット性を向上させる観点から、前記工程(1)〜(3)の少なくともいずれかの工程において、オキサゾリン基、グリシジル基、及びカルボジイミド基から選ばれる1種以上の官能基を2つ以上含有する化合物(c)を添加する。
(オキサゾリン基を2つ以上含有する化合物)
オキサゾリン基を2つ以上含有する化合物は、特に限定されないが、オキサゾリン基を含有するポリマー(以下、「オキサゾリン基含有ポリマー」ともいう)が好ましい。
オキサゾリン基含有ポリマーの数平均分子量は、ポリエステルとの反応性を高める観点から、好ましくは1,000以上、より好ましくは5,000以上であり、そして、好ましくは1,000,000以下、より好ましくは500,000以下である。
オキサゾリン基含有ポリマーとしては、主鎖がアクリル骨格のポリマー、主鎖がスチレン/アクリル骨格のポリマー、主鎖がスチレン骨格のポリマー、及び主鎖がアクリロニトリル/スチレン骨格のポリマー等を用いることができる。
オキサゾリン基含有ポリマーの市販品としては、「エポクロスWS−300」、「エポクロスWS−500」、「エポクロスWS−700」等の「エポクロスWSシリーズ」(以上、株式会社日本触媒製、水溶性タイプ、主鎖アクリル);「エポクロスK−2010E」、「エポクロスK−2020E」等の「エポクロスKシリーズ」(株式会社日本触媒製、エマルションタイプ、主鎖スチレン/アクリル)等が挙げられる。
オキサゾリン基含有ポリマーのオキサゾリン基当量は、トナーの低温定着性、耐熱保存性、及び耐高温オフセット性を向上させる観点から、好ましくは120g−solid/eq以上、より好ましくは160g−solid/eq以上、更に好ましくは200g−solid/eq以上であり、そして、好ましくは800g−solid/eq以下、より好ましくは600g−solid/eq以下、更に好ましくは300g−solid/eq以下である。なおオキサゾリン基当量とは、オキサゾリン基1モル当たりのポリマーの質量を意味する。
(グリシジル基を2つ以上含有する化合物)
グリシジル基を2つ以上含有する化合物は、分子内にグリシジル基を2つ以上含有する化合物であれば、特に限定されないが、グリシジル基を含有するポリマー(以下、「グリシジル基含有ポリマー」ともいう)が好ましい。
グリシジル基含有ポリマーの市販品としては、ポリグリセロールポリグリシジルエーテルとして「デナコールEX−512」及び「デナコールEX−521」、ジグリセロールポリグリシジルエーテルとして「デナコールEX−421」、グリセロールポリグリシジルエーテルとして「デナコールEX−313」(以上、ナガセケムテックス株式会社製)等が挙げられる。
グリシジル基含有ポリマーのグリシジル基当量は、トナーの低温定着性、耐熱保存性、及び耐高温オフセット性を向上させる観点から、好ましくは120g−solid/eq以上、より好ましくは140g−solid/eq以上、更に好ましくは160g−solid/eq以上であり、そして、好ましくは300g−solid/eq以下、より好ましくは250g−solid/eq以下、更に好ましくは200g−solid/eq以下である。なおグリシジル基当量とは、グリシジル基1モル当たりのポリマーの質量を意味する。
(カルボジイミド基を2つ以上含有する化合物)
カルボジイミド基を2つ以上含有する化合物は、分子内にカルボジイミド基を2つ以上含有する化合物であれば、特に限定されないが、カルボジイミド基を含有するポリマー(以下、「カルボジイミド基含有ポリマー」ともいう)が好ましい。
カルボジイミド基含有ポリマーの市販品としては、「カルボジライトE−01」、「カルボジライトE−02」、「カルボジライトV−02」、「カルボジライトV−02−L2」(以上、日清紡株式会社製)等が挙げられる。
カルボジイミド基含有ポリマーのカルボジイミド基当量は、トナーの低温定着性、耐熱保存性、及び耐高温オフセット性を向上させる観点から、好ましくは200g−solid/eq以上、より好ましくは300g−solid/eq以上、更に好ましくは350g−solid/eq以上であり、そして、好ましくは650g−solid/eq以下、より好ましくは500g−solid/eq以下、更に好ましくは400g−solid/eq以下である。なおカルボジイミド基当量とは、カルボジイミド基1モル当たりのポリマーの質量を意味する。
(添加量)
化合物(c)の添加量としては、トナーの低温定着性、耐熱保存性、及び耐高温オフセット性を向上させる観点から、樹脂粒子(A)を構成する樹脂100質量部に対して、好ましくは0.5質量部以上、より好ましくは1.5質量部以上、更に好ましくは3.0質量部以上であり、そして、好ましくは10質量部以下、より好ましくは7.0質量部以下、更に好ましくは5.0質量部以下である。
化合物(c)は、工程(1)〜(3)の少なくともいずれかの工程において添加すればよいが、トナーの低温定着性、耐熱保存性、及び耐高温オフセット性を向上させる観点から、工程(1)及び工程(2)の少なくともいずれかの工程において添加することが好ましく、工程(1)で添加することがより好ましい。
以下、各工程について説明する。
<工程(1)>
工程(1)は水性媒体中で、結晶性ポリエステル(a)及び非晶質ポリエステル(b)を含有する樹脂粒子(A)の分散液を得る工程である。
(樹脂粒子(A))
樹脂粒子(A)は、トナーの低温定着性、耐熱保存性、及び耐高温オフセット性を向上させる観点から、結晶性ポリエステル(a)及び非晶質ポリエステル(b)を含有する。
樹脂粒子(A)を構成する樹脂中の結晶性ポリエステル(a)の含有量は、トナーの低温定着性及び耐熱保存性を向上させる観点から、50質量%以上であり、好ましくは60質量%以上、より好ましくは70質量%以上であり、そして、トナーの耐高温オフセット性を向上させる観点から、好ましくは98質量%以下、より好ましくは95質量%以下、更に好ましくは90質量%以下である。
樹脂粒子(A)を構成する樹脂中の結晶性ポリエステル(a)と非晶質ポリエステル(b)との質量比〔(a)/(b)〕は、トナーの低温定着性、耐熱保存性、及び耐高温オフセット性を向上させる観点から、好ましくは50/50〜98/2、より好ましくは60/40〜95/5、更に好ましくは70/30〜93/7である。
樹脂粒子(A)を構成する樹脂中の結晶性ポリエステル(a)及び非晶質ポリエステル(b)の合計含有量は、トナーの低温定着性、耐熱保存性、及び耐高温オフセット性を向上させる観点から、好ましくは80質量%以上、より好ましくは90質量%以上、更に好ましくは95質量%以上であり、そして、好ましくは100質量%以下、より好ましくは100質量%である。
〔結晶性ポリエステル(a)〕
本発明において、結晶性ポリエステルとは、軟化点と示差走査熱量計(DSC)による吸熱の最大ピーク温度との比、すなわち(軟化点(℃))/(吸熱の最大ピーク温度(℃))で定義される結晶性指数が0.6以上1.4以下のものであり、トナーの低温定着性を向上させる観点から、好ましくは0.8以上、より好ましくは0.9以上であり、そして、好ましくは1.3以下、より好ましくは1.2以下である。
結晶性指数は、原料モノマーの種類及びその比率、並びに反応温度、反応時間、冷却速度等の製造条件により適宜調整することができる。なお、吸熱の最大ピーク温度とは、観測される吸熱ピークのうち、ピーク面積が最大のピークの温度を指す。最大ピーク温度は、軟化点との差が20℃以内であれば融点とし、軟化点との差が20℃を超える場合はガラス転移に起因するピークの温度とする。
結晶性ポリエステル(a)は、当該結晶性ポリエステル(a)を含有する樹脂粒子(A)の分散液の分散安定性を向上させる観点から、分子鎖末端に酸基を有することが好ましい。酸基としては、カルボキシ基、スルホン酸基、ホスホン酸基、スルフィン酸基等が挙げられる。これらの中でも、当該樹脂粒子分散液の分散安定性を向上させる観点から、カルボキシ基が好ましい。
結晶性ポリエステル(a)の融点は、トナーの耐熱保存性及び耐高温オフセット性を向上させる観点から、好ましくは60℃以上、より好ましくは65℃以上、更に好ましくは70℃以上であり、そして、トナーの低温定着性を向上させる観点から、好ましくは100℃以下、より好ましくは90℃以下、更に好ましくは80℃以下である。
結晶性ポリエステル(a)の軟化点は、同様の観点から、好ましくは50℃以上、より好ましくは60℃以上、更に好ましくは70℃以上であり、そして、好ましくは120℃以下、より好ましくは100℃以下、更に好ましくは85℃以下である。
結晶性ポリエステル(a)の酸価は、当該結晶性ポリエステル(a)を含む樹脂粒子(A)の分散液の分散安定性を向上させる観点から、好ましくは30mgKOH/g以下、より好ましくは25mgKOH/g以下、更に好ましくは20mgKOH/g以下であり、そして、好ましくは5mgKOH/g以上、より好ましくは10mgKOH/g以上、更に好ましくは13mgKOH/g以上である。
融点、軟化点、及び酸価は、原料であるアルコールとカルボン酸の仕込み比率、重縮合の温度、反応時間を調節することにより所望のものを得ることができる。
結晶性ポリエステル(a)は、単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
本発明において、結晶性ポリエステル(a)の融点は、実施例記載の方法によって求められる。結晶性ポリエステル(a)を2種以上併用する場合、融点は、得られるトナーに含有される結晶性ポリエステル(a)中、最も質量比の大きい結晶性ポリエステル(a)の融点を、本発明における結晶性ポリエステル(a)の融点とする。なお、全てが同一の質量比の場合は、最も低い融点の値を、本発明における結晶性ポリエステル(a)の融点とする。
また、結晶性ポリエステル(a)の軟化点は、結晶性ポリエステル(a)の混合物として、実施例に記載の方法によって求められる。
結晶性ポリエステル(a)の原料モノマーとしては、特に限定されず、任意のアルコール成分(以下、「アルコール成分(a−al)」ともいう)と、カルボン酸、カルボン酸無水物、カルボン酸エステル等の任意のカルボン酸成分(以下、「カルボン酸成分(a−ac)」ともいう)とが用いられる。
≪アルコール成分(a−al)≫
アルコール成分(a−al)としては、主鎖炭素数2以上12以下の脂肪族ジオール、芳香族ジオール、脂環式ジオール、3価以上の多価アルコール、又はそれらの炭素数2以上4以下のアルキレンオキサイド(平均付加モル数1以上16以下)付加物等が挙げられる。中でもポリエステルの結晶性を促進させトナーの低温定着性を向上させる観点から、主鎖炭素数2以上12以下の脂肪族ジオールが好ましい。なお、本発明において、「ジオールの炭素数2以上4以下のアルキレンオキサイド」とは、「ジオールに炭素数2以上4以下のアルキレンオキサイドが付加してなる化合物」のことを意味する。
主鎖炭素数2以上12以下の脂肪族ジオールの中でも、ポリエステルの結晶性を促進させトナーの低温定着性を向上させる観点から、α,ω−直鎖アルカンジオールが好ましい。
主鎖炭素数2以上12以下のα,ω−直鎖アルカンジオールとしては、ポリエステルの結晶性を促進させトナーの低温定着性を向上させる観点、及び耐熱保存性を向上させる観点から、主鎖炭素数6以上12以下のものがより好ましく、主鎖炭素数9以上12以下のものが更に好ましい。
α,ω−直鎖アルカンジオールの具体例としては、エチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,7−ヘプタンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオール、1,12−ドデカンジオール等が挙げられ、1,6−ヘキサンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオール、1,12−ドデカンジオールが好ましい。中でもトナーの低温定着性、耐熱保存性、及び耐高温オフセット性を向上させる観点から、1,6−ヘキサンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオール、及び1,12−ドデカンジオールがより好ましく、1,9−ノナンジオールが更に好ましい。
その他の主鎖炭素数2以上12以下の脂肪族ジオールの具体例としては、1,2−プロパンジオール、ネオペンチルグリコール、1,4−ブテンジオール等が挙げられる。
その他のアルコール成分の具体例としては、ポリオキシプロピレン−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシエチレン−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン等のビスフェノールAの炭素数2以上3以下のアルキレンオキサイド(平均付加モル数1以上16以下)付加物、水素添加ビスフェノールA等の脂環式ジオール又はそれらの炭素数2以上4以下のアルキレンオキサイド(平均付加モル数2以上12以下)付加物、グリセリン、ペンタエリスリトール、トリメチロールプロパン、ソルビトール等の3価以上の多価アルコール又はそれらの炭素数2以上4以下のアルキレンオキサイド(平均付加モル数1以上16以下)付加物等が挙げられる。
アルコール成分(a−al)は、単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
≪カルボン酸成分(a−ac)≫
カルボン酸成分(a−ac)としては、ジカルボン酸、3価以上の多価カルボン酸等が挙げられ、中でもジカルボン酸が好ましい。また、カルボン酸の使用においては、それらの酸無水物及びそれらの炭素数1以上3以下のアルキルエステル等を用いてもよい。なお、本発明において、「酸の炭素数1以上3以下のアルキルエステル」とは、「酸に炭素数1以上3以下のアルキル基が結合してなるエステル」のことを意味する。
ジカルボン酸の具体例としては、脂肪族ジカルボン酸、脂環式ジカルボン酸、及び芳香族ジカルボン酸が挙げられる。中でも、ポリエステルの結晶性を促進させトナーの低温定着性を向上させる観点から、脂肪族ジカルボン酸が好ましい。
脂肪族ジカルボン酸としては、炭素数4以上12以下の脂肪族ジカルボン酸、炭素数1以上20以下のアルキル基又は炭素数2以上20以下のアルケニル基で置換されたコハク酸等が挙げられる。炭素数1以上20以下のアルキル基又は炭素数2以上20以下のアルケニル基で置換されたコハク酸の具体例としては、ドデシルコハク酸、ドデセニルコハク酸、オクテニルコハク酸等が挙げられる。これらの中でも、ポリエステルの結晶性を促進させトナーの低温定着性を向上させる観点から、炭素数4以上12以下の脂肪族ジカルボン酸が好ましい。
炭素数4以上12以下の脂肪族ジカルボン酸としては、マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸、イタコン酸、グルタコン酸、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、ドデカン二酸、アゼライン酸等が挙げられる。中でもトナーの低温定着性、耐熱保存性、及び耐高温オフセット性を向上させる観点から、フマル酸、コハク酸、セバシン酸、ドデカン二酸が好ましく、フマル酸及びセバシン酸がより好ましく、フマル酸が更に好ましい。
芳香族ジカルボン酸の具体例としては、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸等が挙げられる。
脂環式ジカルボン酸の具体例としては、シクロヘキサンジカルボン酸等が挙げられる。
3価以上の多価カルボン酸化合物の具体例としては、1,2,4−ベンゼントリカルボン酸(トリメリット酸)、2,5,7−ナフタレントリカルボン酸、1,2,4,5−ベンゼンテトラカルボン酸(ピロメリット酸)等が挙げられる。
カルボン酸成分(a−ac)は、単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
結晶性ポリエステル(a)としては、好ましくは炭素数4以上12以下の脂肪族ジカルボン酸と主鎖炭素数2以上12以下のα,ω−直鎖アルカンジオールとを重縮合したポリエステル、より好ましくはフマル酸、セバシン酸から選ばれる1種以上のジカルボン酸と1,6−ヘキサンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオール、及び1,12−ドデカンジオールから選ばれる1種以上のジオールとを重縮合したポリエステル、更に好ましくはフマル酸と1,9−ノナンジオールとを重縮合したポリエステルである。
結晶性ポリエステル(a)は、例えば、前記アルコール成分(a−al)と前記カルボン酸成分(a−ac)とを不活性ガス雰囲気中にて、必要に応じエステル化触媒を用いて重縮合することにより製造することができる。
エステル化触媒としては、酸化ジブチル錫、ジ(2−エチルヘキサン酸)錫等の錫化合物やチタンジイソプロピレートビストリエタノールアミネート等のチタン化合物等のエステル化触媒を使用することができる。
エステル化触媒の使用量に制限はないが、カルボン酸成分(a−ac)とアルコール成分(a−al)との総量100質量部に対して、好ましくは0.01質量部以上、より好ましくは0.1質量部以上、更に好ましくは0.3質量部以上であり、そして、好ましくは1.5質量部以下、より好ましくは1.0質量部以下、更に好ましくは0.8質量部以下である。
また、必要に応じて重合禁止剤を使用することができる。
重縮合は、130℃以上200℃以下で3時間以上15時間以下維持して行うことが好ましく、更にその後、エステル化触媒を加え150℃以上220℃以下で1時間以上5時間以下維持して反応を進行させ、5.0kPa以上20kPa以下に減圧して1時間以上10時間以下維持する条件で行うことが好ましい。
(非晶質ポリエステル(b))
樹脂粒子(A)は、結晶性ポリエステル(a)に加えて、トナーの耐熱保存性及び耐高温オフセット性を向上させる観点から、更に非晶質ポリエステル(b)を含有する。
非晶質ポリエステル(b)は、アルコール成分(以下、「アルコール成分(b−al)」ともいう)とカルボン酸成分(以下、「カルボン酸成分(b−ac)」ともいう)とを重縮合させることにより得られる非晶質ポリエステルであって、該カルボン酸成分(b−ac)中の3価以上の多価カルボン酸の含有量が5モル%以上45モル%以下である。
本発明において、非晶質ポリエステルとは、前述の結晶性指数が1.4を超えるか、0.6未満のものであり、トナーの耐熱保存性及び耐高温オフセット性を向上させる観点から、0.6未満又は1.4を超え4以下であることが好ましく、より好ましくは1.5以上4以下、更に好ましくは1.5以上3以下、より更に好ましくは1.5以上2以下である。
非晶質ポリエステル(b)の軟化点は、トナーの耐熱保存性及び耐高温オフセット性を向上させる観点から、好ましくは80℃以上、より好ましくは100℃以上、更に好ましくは110℃以上であり、そして、トナーの低温定着性を向上させる観点から、好ましくは160℃以下、より好ましくは140℃以下、更に好ましくは130℃以下である。
非晶質ポリエステル(b)のガラス転移温度は、同様の観点から、好ましくは50℃以上、より好ましくは55℃以上、更に好ましくは60℃以上であり、そして、好ましくは80℃以下、より好ましくは75℃以下、更に好ましくは70℃以下である。
なお、非晶質ポリエステル(b)を2種以上混合して使用する場合は、そのガラス転移温度及び軟化点は、各々2種以上の非晶質ポリエステル(b)の混合物として、実施例記載の方法によって得られた値である。
非晶質ポリエステル(b)の酸価は、当該非晶質ポリエステル(b)を含む樹脂粒子(A)の分散液の分散安定性を向上させる観点から、好ましくは5mgKOH/g以上、より好ましくは10mgKOH/g以上、更に好ましくは15mgKOH/g以上であり、そして、好ましくは35mgKOH/g以下、より好ましくは30mgKOH/g以下、更に好ましくは25mgKOH/g以下である。
非晶質ポリエステル(b)は、当該非晶質ポリエステル(b)を含む樹脂粒子(A)の分散液の分散安定性を向上させる観点から、分子鎖末端に酸基を有することが好ましい。酸基としては、カルボキシ基、スルホン酸基、ホスホン酸基、スルフィン酸基等が挙げられる。これらの中でも、当該樹脂粒子(A)の分散液の分散安定性を向上させる観点から、カルボキシ基が好ましい。
非晶質ポリエステル(b)は、カルボン酸成分(b−ac)とアルコール成分(b−al)とを、例えば、不活性ガス雰囲気中にて、必要に応じエステル化触媒及び重合禁止剤を用いて、160℃以上260℃以下程度の温度で重縮合することにより製造することができる。
≪アルコール成分(b−al)≫
アルコール成分(b−al)としては、特に限定されず、主鎖炭素数2以上12以下の脂肪族ジオール、芳香族ジオール、脂環式ジオール、3価以上の多価アルコール、又はそれらの炭素数2以上4以下のアルキレンオキサイド(平均付加モル数1以上16以下)付加物等が挙げられ、具体的には前述のアルコール成分(a−al)に挙げたものである。
アルコール成分(b−al)は、単独で又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。アルコール成分(b−al)としては、トナーの低温定着性、耐熱保存性、及び耐高温オフセット性を向上させる観点から、ポリオキシプロピレン−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシエチレン−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン等のビスフェノールAの炭素数2以上3以下のアルキレンオキサイド(平均付加モル数1以上16以下)付加物が好ましい。
≪カルボン酸成分(b−ac)≫
本発明に用いる非晶質ポリエステル(b)の原料モノマーであるカルボン酸成分(b−ac)は、トナーの低温定着性、耐熱保存性、及び耐高温オフセット性を向上させる観点から、3価以上の多価カルボン酸を5モル%以上45モル%以下含有する。
カルボン酸成分(b−ac)中の3価以上の多価カルボン酸の含有量は、同様の観点から、好ましくは10モル%以上、より好ましくは15モル%以上、更に好ましくは20モル%以上であり、そして、好ましくは40モル%以下、より好ましくは30モル%以下、更に好ましくは27モル%以下である。
なお、非晶質ポリエステル(b)を2種以上混合して使用する場合は、その3価以上の多価カルボン酸の含有量は、2種以上の非晶質ポリエステル(b)の原料モノマーであるカルボン酸成分の総量中の、3価以上の多価カルボン酸の総含有量を意味する。
3価以上の多価カルボン酸化合物の具体例としては、1,2,4−ベンゼントリカルボン酸(トリメリット酸)、2,5,7−ナフタレントリカルボン酸、1,2,4,5−ベンゼンテトラカルボン酸(ピロメリット酸)等が挙げられ、トナーの低温定着性、耐熱保存性、及び耐高温オフセット性を向上させる観点から、1,2,4−ベンゼントリカルボン酸(トリメリット酸)が好ましい。
カルボン酸成分(b−ac)として用いられる、3価以上の多価カルボン酸以外のカルボン酸としては、特に限定されず、芳香族ジカルボン酸、脂肪族ジカルボン酸、及び脂環式ジカルボン酸が挙げられる。
脂肪族ジカルボン酸としては、セバシン酸、フマル酸、マレイン酸、アジピン酸、アゼライン酸、コハク酸、炭素数1以上20以下のアルキル基又は炭素数2以上20以下のアルケニル基で置換されたコハク酸等が挙げられる。炭素数1以上20以下のアルキル基又は炭素数2以上20以下のアルケニル基で置換されたコハク酸の具体例としては、ドデシルコハク酸、ドデセニルコハク酸、オクテニルコハク酸等が挙げられる。これらの中でも、フマル酸、炭素数1以上20以下のアルキル基又は炭素数2以上20以下のアルケニル基で置換されたコハク酸が好ましく、ドデセニルコハク酸がより好ましい。
芳香族ジカルボン酸の具体例としては、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸等が挙げられる。これらの中でも、テレフタル酸が好ましい。
脂環式ジカルボン酸の具体例としては、シクロヘキサンジカルボン酸等が挙げられる。
カルボン酸成分(b−ac)は、単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
非晶質ポリエステル(b)としては、好ましくは、炭素数1以上20以下のアルキル基又は炭素数2以上20以下のアルケニル基で置換されたコハク酸とビスフェノールAの炭素数2以上3以下のアルキレンオキサイド(平均付加モル数1以上16以下)付加物とを重縮合したポリエステル、より好ましくは、ドデセニルコハク酸無水物とポリオキシプロピレン−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン及びポリオキシエチレン−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンとを重縮合したポリエステルである。
非晶質ポリエステル(b)は、前記アルコール成分(b−al)と前記カルボン酸成分(b−ac)とを不活性ガス雰囲気中にて、必要に応じエステル化触媒を用いて重縮合することにより製造することができる。
エステル化触媒としては、酸化ジブチル錫、ジ(2−エチルヘキサン酸)錫等の錫化合物やチタンジイソプロピレートビストリエタノールアミネート等のチタン化合物等のエステル化触媒を使用することができ、反応性の観点から、酸化ジブチル錫が好ましい。
エステル化触媒の使用量に制限はないが、アルコール成分(b−al)とカルボン酸成分(b−ac)との総量100質量部に対して、好ましくは0.01質量部以上、より好ましくは0.05質量部以上、更に好ましくは0.10質量部以上であり、そして、好ましくは1.5質量部以下、より好ましくは1.0質量部以下、更に好ましくは0.4質量部以下である。
また、必要に応じて重合禁止剤を使用することができる。重合禁止剤としては、tert−ブチルカテコール等が挙げられる。重合禁止剤の使用量は、アルコール成分(b−al)とカルボン酸成分(b−ac)との総量100質量部に対して、好ましくは0.001質量部以上、より好ましくは0.005質量部以上であり、そして、好ましくは0.5質量部以下、より好ましくは0.1質量部以下である。
重縮合反応の温度は、反応性の観点から、好ましくは160℃以上、より好ましくは180℃以上、更に好ましくは200℃以上であり、そして、好ましくは260℃以下、より好ましくは250℃以下、更に好ましくは240℃以下である。
重縮合反応の時間は、反応性の観点から、好ましくは1時間以上、より好ましくは2時間以上、更に好ましくは3時間以上であり、そして、好ましくは15時間以下、より好ましくは10時間以下、更に好ましくは7時間以下である。
なお、本発明において、ポリエステルには、酸基を有するものであれば未変性のポリエステルのみならず、実質的にその特性を損なわない程度に変性されたポリエステルも含まれる。変性されたポリエステルとしては、例えば、特開平11−133668号公報、特開平10−239903号公報、特開平8−20636号公報等に記載の方法によりフェノール、ウレタン、エポキシ等によりグラフト化やブロック化したポリエステルや、ポリエステルユニットを含む2種以上の樹脂ユニットを有する複合樹脂が挙げられる。
樹脂粒子(A)は、本発明の効果を損なわない範囲で、ポリエステル以外の樹脂、例えば、スチレン−アクリル共重合体、エポキシ樹脂、ポリカーボネート、ポリウレタン等の樹脂を含有してもよい。
樹脂粒子(A)には、本発明の効果を損なわない範囲で、着色剤、離型剤、帯電制御剤を含有させてもよい。また、必要に応じて、繊維状物質等の補強充填剤、酸化防止剤、老化防止剤等の添加剤等を含有させてもよい。
(着色剤)
本発明の製造方法によって得られるトナーは、着色剤を含有することが好ましい。着色剤を含有させる方法としては、樹脂粒子(A)の製造時に樹脂粒子(A)に含有させる方法、着色剤を含有する着色剤粒子を調製し、後の工程(2)で樹脂粒子(A)とともに凝集させる方法等が挙げられ、後の凝集工程で均一な凝集粒子を得る観点、並びにトナーの低温定着性及び耐熱保存性を向上させる観点から、樹脂粒子(A)の製造時に着色剤を含有させる方法が好ましく、樹脂粒子(A)が、着色剤を含有する着色剤含有樹脂粒子であることが好ましい。
着色剤の含有量は、印刷物の画像濃度を向上させる観点から、樹脂粒子(A)を構成する樹脂100質量部に対して、好ましくは1質量部以上、より好ましくは5質量部以上であり、またトナーの低温定着性を向上させる観点から、好ましくは20質量部以下、より好ましくは10質量部以下である。
本発明に用いられる着色剤としては、顔料及び染料が挙げられ、印刷物の画像濃度を向上させる観点から、顔料が好ましい。
顔料としては、シアン顔料、イエロー顔料、マゼンタ顔料、黒色顔料等が挙げられる。
シアン顔料は、フタロシアニン顔料が好ましく、銅フタロシアニンがより好ましい。イエロー顔料は、モノアゾ顔料、イソインドリン顔料、ベンズイミダゾロン顔料が好ましく、マゼンタ顔料は、キナクリドン顔料、BONAレーキ顔料等の溶性アゾ顔料、ナフトールAS顔料等の不溶性アゾ顔料が好ましい。黒色顔料は、カーボンブラックが好ましい。
染料の例としては、アクリジン染料、アゾ染料、ベンゾキノン染料、アジン染料、アントラキノン染料、インジゴ染料、フタロシアニン染料、アニリンブラック染料等が挙げられる。
着色剤は、単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
(樹脂粒子(A)の製造)
樹脂粒子(A)は、結晶性ポリエステル(a)、及び非晶質ポリエステル(b)を含有する樹脂(以下、「結着樹脂」ともいう)、必要に応じて界面活性剤、及び着色剤等の前記の任意成分を水性媒体中に分散させ、樹脂粒子(A)の分散液として得る方法によって製造することが好ましい。
水性媒体としては水を主成分とするものが好ましく、樹脂粒子(A)の分散液の分散安定性を向上させる観点、及び環境性の観点から、水性媒体中の水の含有量は、好ましくは80質量%以上、より好ましくは90質量%以上、更に好ましくは95質量%以上、より更に好ましくは100質量%である。水としては、脱イオン水又は蒸留水が好ましく用いられる。
水以外の成分としては、炭素数1以上5以下のアルキルアルコール;アセトン、メチルエチルケトン等の炭素数3以上5以下のジアルキルケトン;テトラヒドロフラン等の環状エーテル等の水に溶解する有機溶媒が用いられる。これらの中でも、有機溶媒のトナーへの混入を防止する観点から、ポリエステルを溶解しない炭素数1以上5以下のアルキルアルコールが好ましく、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノールがより好ましい。
樹脂粒子(A)の分散液を得る方法としては、樹脂等を水性媒体に添加し、分散機等によって分散処理を行う方法、樹脂等に水性媒体を徐々に添加して転相乳化させる方法等が挙げられ、乳化性を向上させ小粒径の樹脂粒子を得る観点、並びにトナーの低温定着性、耐熱保存性、及び耐高温オフセット性を向上させる観点から、転相乳化による方法が好ましい。以下、転相乳化による方法について述べる。
まず、結着樹脂、必要に応じて界面活性剤、及び着色剤等の前記の任意成分を溶融混合し、樹脂混合物を得ることが好ましい。
結着樹脂が結晶性ポリエステル(a)及び非晶質ポリエステル(b)以外の樹脂を含む場合には、予め、結晶性ポリエステル(a)及び非晶質ポリエステル(b)とその他の樹脂を混合したものを用いてもよいが、他の成分を添加する際に同時に添加し、溶融して混合することによって樹脂混合物を得てもよい。
樹脂混合物を得る方法としては、結着樹脂、界面活性剤、着色剤等の前記の任意成分、及び塩基性水溶液を容器に入れ、撹拌器によって撹拌しながら、樹脂を溶融して均一に混合する方法が好ましい。
本発明における樹脂粒子(A)の分散液は、樹脂粒子(A)の分散液の分散安定性を向上させる観点から、界面活性剤を含有することが好ましい。
界面活性剤としては、非イオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤等が挙げられ、樹脂粒子(A)の分散液の分散安定性を向上させる観点から、非イオン性界面活性剤が好ましく、非イオン性界面活性剤とアニオン性界面活性剤又はカチオン性界面活性剤とを併用することがより好ましく、非イオン性界面活性剤とアニオン性界面活性剤とを併用することが更に好ましい。
非イオン性界面活性剤とアニオン性界面活性剤とを併用する場合、非イオン性界面活性剤とアニオン性界面活性剤との質量比(非イオン性界面活性剤/アニオン性界面活性剤)は、樹脂粒子(A)の分散液の分散安定性を向上させる観点から、好ましくは0.3以上、より好ましくは0.5以上、更に好ましくは0.7以上であり、そして、好ましくは10以下、より好ましくは5以下、更に好ましくは2以下である。
非イオン性界面活性剤としては、ポリオキシエチレンアルキルアリールエーテル類、ポリオキシエチレンアルキル又はアルケニルエーテル類、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル類、オキシエチレン/オキシプロピレンブロックコポリマーから選ばれる1種以上が好ましい。
ポリオキシエチレンアルキルアリールエーテル類の具体例としては、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル等が挙げられる。ポリオキシエチレンアルキル又はアルケニルエーテル類の具体例としては、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルエーテル等が挙げられる。ポリオキシエチレン脂肪酸エステル類の具体例としては、ポリエチレングリコールモノラウレート、ポリエチレングリコ−ルモノステアレート、ポリエチレングリコールモノオレエート等が挙げられる。非イオン性界面活性剤としては、樹脂粒子(A)の分散液の分散安定性を向上させる観点から、ポリオキシエチレンアルキル又はアルケニルエーテル類が好ましく、ポリオキシエチレンラウリルエーテルがより好ましい。
アニオン性界面活性剤としては、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキル硫酸塩、アルキルエーテル硫酸塩等が挙げられ、樹脂粒子(A)の分散液の分散安定性を向上させる観点から、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルエーテル硫酸塩が好ましい。
アルキルベンゼンスルホン酸塩としては、ドデシルベンゼンスルホン酸のアルカリ金属塩が好ましく、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムがより好ましい。アルキル硫酸塩としては、ドデシル硫酸のアルカリ金属塩が好ましく、ドデシル硫酸ナトリウムがより好ましい。アルキルエーテル硫酸塩としては、ドデシルエーテル硫酸のアルカリ金属塩が好ましく、ドデシルエーテル硫酸ナトリウムがより好ましい。
これらの中でも、樹脂粒子(A)の分散液の分散安定性を向上させる観点から、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム塩が好ましい。
カチオン性界面活性剤としては、四級アンモニウム塩が好ましく、アルキルベンゼントリメチルアンモニウムクロライド、アルキルトリメチルアンモニウムクロライド、ジアルキルジメチルアンモニウムクロライド等が挙げられる。
界面活性剤の添加量は、樹脂粒子(A)を構成する樹脂100質量部に対して、トナーの耐熱保存性を向上させる観点から、好ましくは10質量部以下、より好ましくは7質量部以下、更に好ましくは4質量部以下であり、そして、樹脂粒子(A)の分散液の分散安定性を向上させる観点から、好ましくは0.5質量部以上、より好ましくは1質量部以上、更に好ましくは2質量部以上である。
塩基性水溶液に用いられる塩基性化合物としては、無機塩基化合物及び有機塩基化合物が挙げられる。
無機塩基化合物としては、カリウム、ナトリウム、リチウム等のアルカリ金属の水酸化物、炭酸塩、炭酸水素塩等が挙げられ、その具体例として水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム等が挙げられる。また、無機塩基化合物としてはアンモニアを用いてもよい。有機塩基としては、ジエチルエタノールアミン等のアルカノールアミンが挙げられる。樹脂粒子(A)の分散液の分散安定性を向上させる観点から、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウムが好ましく、炭酸カリウムがより好ましい。
塩基性水溶液中の塩基性化合物の濃度は、樹脂粒子(A)の分散液の分散安定性及び生産性を向上させる観点から、好ましくは1質量%以上、より好ましくは10質量%以上、更に好ましくは15質量%以上であり、そして、好ましくは40質量%以下、より好ましくは30質量%以下、更に好ましくは25質量%以下である。
次に、前記の樹脂混合物に水性媒体を添加して、転相し、樹脂粒子(A)の分散液を得る。
水性媒体を添加する際の温度は、樹脂粒子(A)の分散液の分散安定性を向上させる観点、並びにトナーの低温定着性、耐熱保存性、及び耐高温オフセット性を向上させる観点から、好ましくは70℃以上、より好ましくは80℃以上、更に好ましくは90℃以上であり、そして、好ましくは100℃未満、より好ましくは96℃以下である。
水性媒体の添加速度は、樹脂粒子(A)の分散液の分散安定性を向上させる観点、並びにトナーの低温定着性、耐熱保存性、及び耐高温オフセット性を向上させる観点から、転相が終了するまでは、樹脂粒子(A)を構成する樹脂100質量部に対して、好ましくは0.05質量部/分以上、より好ましくは0.1質量部/分以上、更に好ましくは0.5質量部/分以上であり、そして、好ましくは50質量部/分以下、より好ましくは30質量部/分以下、更に好ましくは10質量部/分以下である。転相後、樹脂粒子(A)が得られた後の水性媒体の添加速度に制限はない。
水性媒体の使用量は、トナーの生産性を向上させる観点、及び後の凝集工程で均一な凝集粒子を得る観点から、樹脂粒子(A)を構成する樹脂100質量部に対して、好ましくは50質量部以上、より好ましくは100質量部以上、更に好ましくは150質量部以上であり、そして、好ましくは900質量部以下、より好ましくは500質量部以下、更に好ましくは300質量部以下である。
工程(1)において、前記化合物(c)を添加する場合、転相乳化前の前記樹脂混合物に添加してもよいが、トナーの低温定着性、耐熱保存性、及び耐高温オフセット性を向上させる観点から、前記水性媒体を添加して転相乳化した後に、添加することが好ましい。
化合物(c)を添加する際の乳化物の温度は、好ましくは5℃以上、より好ましくは10℃以上、更に好ましくは15℃以上であり、そして、好ましくは40℃以下、より好ましくは35℃以下、更に好ましくは30℃以下である。
化合物(c)は、樹脂粒子(A)の分散液の分散安定性を維持しつつ均質に反応させる観点から、水溶液として添加することが好ましく、化合物(c)を含有する水溶液の固形分濃度は、同様の観点から、好ましくは2質量%以上、より好ましくは10質量%以上、更に好ましくは20質量%以上であり、そして、好ましくは40質量%以下、より好ましくは35質量%以下、更に好ましくは30質量%以下である。
化合物(c)を添加した後、化合物(c)と結晶性ポリエステル(a)及び非晶質ポリエステル(b)との反応を促進する観点から、乳化物を加熱することが好ましい。加熱する温度としては、同様の観点から、好ましくは60℃以上、より好ましくは70℃以上、更に好ましくは80℃以上、より更に好ましくは90℃以上であり、そして、好ましくは100℃未満、より好ましくは98℃以下である。
加熱時間としては、同様の観点から、好ましくは0.1時間以上、より好ましくは0.5時間以上、更に好ましくは0.8時間以上であり、そして、好ましくは5時間以下、より好ましくは3時間以下、更に好ましくは1.5時間以下である。
得られる樹脂粒子(A)の分散液の固形分濃度は、トナーの生産性を向上させる観点、及び樹脂粒子(A)の分散液の分散安定性を向上させる観点から、好ましくは7質量%以上、より好ましくは10質量%以上、更に好ましくは20質量%以上、より更に好ましくは25質量%以上であり、そして、好ましくは50質量%以下、より好ましくは40質量%以下、更に好ましくは35質量%以下である。なお、固形分は樹脂、着色剤、界面活性剤等の不揮発性成分の総量である。
樹脂粒子(A)の分散液中の樹脂粒子(A)の体積中位粒径(D50)は、高画質の画像が得られるトナーを得る観点から、好ましくは10nm以上、より好ましくは25nm以上、更に好ましくは50nm以上であり、そして、好ましくは1000nm以下、より好ましくは750nm以下、更に好ましくは500nm以下である。ここで、体積中位粒径とは、体積分率で計算した累積体積頻度が粒径の小さい方から計算して50%になる粒径であり、実施例に記載の方法で求められる。
また、樹脂粒子(A)の粒径分布の変動係数(CV値)(%)は、高画質の画像が得られるトナーを得る観点から、好ましくは10%以上、より好ましくは15%以上、更に好ましくは20%以上であり、そして、好ましくは50%以下、より好ましくは40%以下、更に好ましくは35%以下である。
なお、CV値は、下記式で表される値であり、ここで、体積平均粒径とは、体積基準で測定された粒径にその粒径値を持つ粒子の割合を掛け、それにより得られた値を粒子数で除して得られる粒径であり、実施例に記載の方法で求められる。
CV値(%)=[粒径分布の標準偏差(nm)/体積平均粒径(nm)]×100
<工程(2)>
工程(2)は工程(1)で得られた樹脂粒子(A)を凝集させて、凝集粒子の分散液を得る工程である。
凝集粒子の分散液は、樹脂粒子(A)、及び凝集剤、離型剤、着色剤等の任意成分を水性媒体中で凝集して凝集粒子を得る方法によって製造する。
本発明の製造方法によって得られるトナーは、トナーの離型性及び低温定着性を向上させる観点から、離型剤を含有することが好ましい。そのため、本工程においては、まず、樹脂粒子(A)及び離型剤を含有する離型剤粒子を水性媒体中で混合して、混合分散液を得ることが好ましい。離型剤粒子は、離型剤を水性媒体に分散して離型剤粒子の分散液として得ることが好ましい。
(離型剤)
離型剤としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン等の低分子量ポリオレフィン;シリコーンワックス;オレイン酸アミド、ステアリン酸アミド等の脂肪酸アミド;植物系ワックス;ミツロウ等の動物系ワックス;鉱物又は石油系ワックス;エステルワックス等の合成ワックス等が挙げられる。
植物系ワックスとしては、カルナウバワックス、ライスワックス、キャンデリラワックス等が挙げられ、トナーの離型性及び低温定着性を向上させる観点から、カルナウバワックスが好ましい。
鉱物又は石油系ワックスとしては、モンタンワックス、パラフィンワックス、フィッシャートロプシュワックス等が挙げられ、トナーの離型性及び低温定着性を向上させる観点から、パラフィンワックスが好ましい。
これらの離型剤は、単独で又は2種以上を併用することができ、2種以上を併用することが好ましい。トナーの離型性及び低温定着性を向上させる観点から、植物系ワックスと鉱物系又は石油系ワックスとを併用することが好ましく、カルナウバワックスとパラフィンワックスとを併用することがより好ましい。
離型剤の融点は、トナーの低温定着性、耐熱保存性、及び耐高温オフセット性を向上させる観点から、好ましくは60℃以上、より好ましくは65℃以上、更に好ましくは70℃以上であり、そして、好ましくは100℃以下、より好ましくは95℃以下、更に好ましくは90℃以下、より更に好ましくは85℃以下である。
離型剤を2種以上併用する場合、トナーの低温定着性及び耐高温オフセット性を向上させる観点から、いずれの融点も上記好適な範囲に含まれることが好ましい。
本発明において、離型剤の融点は、実施例記載の方法によって求められる。2種以上併用する場合、融点は、得られるトナーに含有される離型剤中、最も質量比の大きい離型剤の融点を、本発明における離型剤の融点とする。なお、全てが同一の比率の場合は、最も低い融点の値を本発明における離型剤の融点とする。
離型剤の使用量は、トナーの低温定着性及び耐高温オフセット性を向上させる観点から、トナー中の樹脂100質量部に対して、好ましくは1質量部以上、より好ましくは2質量部以上、更に好ましくは5質量部以上であり、そして、トナーの耐熱保存性を向上させる観点から、好ましくは20質量部以下、より好ましくは15質量部以下、更に好ましくは12質量部以下である。
離型剤粒子は、離型剤を水性媒体に分散して離型剤粒子の分散液として得ることが好ましい。
離型剤粒子の分散液は、離型剤と水性媒体とを界面活性剤等の存在下、離型剤の融点以上の温度で、分散機を用いて分散することによって得ることが好ましい。用いる分散機としては、得られる離型剤粒子の分散安定性を向上させる観点、及び後の凝集工程で均一な凝集粒子を得る観点から、ホモジナイザー、超音波分散機等が好ましい。
超音波分散機としては、例えば超音波ホモジナイザーが挙げられる。その市販品としては、「US−150T」、「US−300T」、「US−600T」(株式会社日本精機製作所製)、「SONIFIER 4020-400」、「SONIFIER 4020-800」(ブランソン社製)等が挙げられる。
また、前記分散機を使用する前に、離型剤、任意で界面活性剤、及び水性媒体を、あらかじめホモミキサー、ボールミル等の混合機で予備分散させておくことが好ましい。
本製造で用いる水性媒体の好ましい態様は、前記樹脂粒子(A)を得る際に用いられるものと同様である。
離型剤粒子の水性媒体への分散は、離型剤粒子の分散安定性を向上させる観点、及び後の凝集工程で均一な凝集粒子を得る観点から、界面活性剤の存在下で行ってもよい。
界面活性剤としては、非イオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤等が挙げられ、樹脂粒子(A)の製造に用いるものと同様のものを用いることができるが、離型剤粒子と樹脂粒子の凝集性を向上させる観点から、アニオン性界面活性剤が好ましく、その中でも同様の観点から、親水基がカルボキシ基であるものがより好ましく、ポリカルボン酸塩が更に好ましい。
ポリカルボン酸塩の例としては、トナー作製時の離型剤粒子の凝集性を向上させ遊離を防止する観点から、ポリアクリル酸塩、アクリル酸−マレイン酸共重合体の塩、ポリマレイン酸塩等が好ましく、アクリル酸−マレイン酸共重合体の塩がより好ましい。塩としては、アルカリ金属塩が好ましく、ナトリウム塩がより好ましい。
ポリカルボン酸塩の重量平均分子量は、離型剤粒子の分散安定性を向上させる観点から、好ましくは3,000以上、より好ましくは10,000以上であり、そして、好ましくは90,000以下、より好ましくは50,000以下である。
ポリカルボン酸塩の市販品としては、花王株式会社製の「ポイズ530」(ポリアクリル酸ナトリウム水溶液、重量平均分子量38,000、有効濃度40質量%)、「ポイズ521」(アクリル酸ナトリウム−マレイン酸ナトリウム共重合体水溶液、重量平均分子量20,000、有効濃度40質量%)等が挙げられる。
離型剤粒子分散液中の界面活性剤の含有量は、離型剤粒子の分散安定性を向上させる観点、及びトナー作製時の離型剤粒子の凝集性を向上させ遊離を防止する観点から、好ましくは0.05質量%以上、より好ましくは0.1質量%以上、更に好ましくは0.4質量%以上であり、そして、好ましくは5質量%以下、より好ましくは2質量%以下、更に好ましくは1質量%以下である。
また、同様の観点から、離型剤粒子分散液中の界面活性剤の含有量は、離型剤合計量100質量部に対し、好ましくは0.2質量部以上、より好ましくは1.0質量部以上、更に好ましくは2.0質量部以上であり、そして、好ましくは15質量部以下、より好ましくは10質量部以下、更に好ましくは5質量部以下である。
離型剤粒子の分散液の固形分濃度は、トナーの生産性を向上させる観点、及び離型剤粒子分散液の分散安定性を向上させる観点から、好ましくは5質量%以上、より好ましくは10質量%以上、更に好ましくは15質量%以上であり、そして、好ましくは40質量%以下、より好ましくは30質量%以下、更に好ましくは25質量%以下である。なお、固形分は、離型剤、樹脂等の不揮発性成分の総量である。
離型剤粒子の体積中位粒径(D50)は、後の凝集工程で均一な凝集粒子を得る観点、及びトナーの耐高温オフセット性を向上させる観点から、好ましくは100nm以上、より好ましくは200nm以上であり、そして、好ましくは1μm以下、より好ましくは700nm以下、更に好ましくは600nm以下である。
離型剤粒子のCV値は、トナーの生産性を向上させる観点から、好ましくは15%以上、より好ましくは20%以上、更に好ましくは25%以上であり、そして、後の凝集工程で均一な凝集粒子を得る観点から、好ましくは50%以下、より好ましくは40%以下、更に好ましくは35%以下である。離型剤粒子の体積中位粒径及びCV値は、樹脂粒子(A)と同様の方法で求められ、具体的には実施例に記載の方法で求められる。
工程(2)においては、まず、樹脂粒子(A)及び上記で得られた離型剤粒子を水性媒体中で混合して、混合分散液を得ることが好ましい。
なお、樹脂粒子(A)中に着色剤を混合しなかった場合には、本混合分散液中に着色剤を混合することが好ましい。また、混合分散液には、樹脂粒子(A)以外の樹脂粒子を混合してもよい。
前記工程(1)において前記化合物(c)を添加しなかった場合、本工程において化合物(c)を添加することが好ましい。
工程(2)で化合物(c)を添加する場合、上記の混合分散液に化合物(c)を添加することが好ましい。
混合の順に制限はなく、いずれかを順に添加してもよいし、同時に添加してもよい。
樹脂粒子(A)は、トナーの低温定着性及び生産性を向上させる観点から、樹脂粒子(A)及び任意成分を含む混合分散液中、好ましくは10質量%以上、より好ましくは20質量%以上であり、そして、凝集を制御して所望の粒径の凝集粒子を得る観点から、好ましくは40質量%以下、より好ましくは30質量%以下である。
水性媒体は、凝集を制御して所望の粒径の凝集粒子を得る観点から、樹脂粒子(A)及び任意成分を含む混合分散液中、好ましくは60質量%以上、より好ましくは70質量%以上であり、そして、トナーの生産性を向上させる観点から、好ましくは90質量%以下、より好ましくは80質量%以下である。
離型剤粒子は、トナーの離型性及び低温定着性を向上させる観点から、樹脂粒子(A)100質量部に対して、好ましくは1質量部以上、より好ましくは3質量部以上、更に好ましくは5質量部以上であり、そして、トナーの耐熱保存性を向上させる観点から、好ましくは20質量部以下、より好ましくは15質量部以下、更に好ましくは10質量部以下である。
混合温度は、凝集を制御して所望の粒径の凝集粒子を得る観点から、0℃以上40℃以下が好ましい。
工程(2)では、凝集を効率的に行う観点から、凝集剤を添加することが好ましい。
(凝集剤)
凝集剤は、過剰な凝集を防ぎつつ、所望の粒径のトナーを得る観点から、電解質であることが好ましく、塩であることがより好ましい。
凝集剤としては、第四級アンモニウム塩のカチオン性界面活性剤、ポリエチレンイミン等の有機系凝集剤;無機金属塩、無機アンモニウム塩、2価以上の金属錯体等の無機系凝集剤が挙げられる。凝集性を向上させ均一な凝集粒子を得る観点から、無機系凝集剤が好ましく、無機金属塩、無機アンモニウム塩がより好ましく、無機アンモニウム塩が更に好ましい。
無機系凝集剤のカチオンの価数は、過剰な凝集を防ぎつつ、所望の粒径のトナーを得る観点から、好ましくは1価以上5価以下、より好ましくは1価以上2価以下、更に好ましくは1価である。
無機系凝集剤の1価のカチオンとしては、ナトリウムイオン、カリウムイオン、アンモニウムイオン等が挙げられ、アンモニウムイオンが好ましい。
無機金属塩としては、硫酸ナトリウム、硝酸ナトリウム、塩化ナトリウム、塩化カルシウム、硝酸カルシウム等の金属塩、及びポリ塩化アルミニウム、ポリ水酸化アルミニウム等の無機金属塩重合体が挙げられる。
無機アンモニウム塩としては、硫酸アンモニウム、塩化アンモニウム、硝酸アンモニウム等が挙げられる。
凝集剤としては、硫酸アンモニウムがより好ましい。
凝集剤の使用量は、樹脂粒子(A)の凝集を制御して所望の粒径の凝集粒子を得る観点から、樹脂粒子(A)を構成する樹脂100質量部に対して、好ましくは5質量部以上、より好ましくは10質量部以上、更に好ましくは30質量部以上であり、そして、好ましくは60質量部以下、より好ましくは50質量部以下、更に好ましくは45質量部以下である。
凝集剤は、混合物分散液に滴下して添加する。凝集剤は一時に添加してもよいし、断続的あるいは連続的に添加してもよいが、凝集を制御して所望の粒径の凝集粒子を得る観点から、複数回に分けて添加することが好ましい。添加時及び添加終了後には、十分な撹拌を行うことが好ましい。
凝集剤は、凝集を制御して所望の粒径の凝集粒子を得る観点から、水溶液として、滴下することが好ましい。凝集剤の水溶液の濃度は、凝集を制御して所望の粒径の凝集粒子を得る観点から、好ましくは3質量%以上、より好ましくは5質量%以上、更に好ましくは7質量%以上であり、そして、好ましくは40質量%以下、より好ましくは30質量%以下、更に好ましくは27質量%以下である。
凝集剤を複数回に分けて添加する場合には、凝集剤の水溶液濃度は各回で異なっていてもよいが、凝集を制御して所望の粒径の凝集粒子を得る観点、及びトナーの生産性を向上させる観点から、1回目の滴下に用いる凝集剤の水溶液濃度は2回目の滴下以降の凝集剤の水溶液濃度より低いことが好ましい。
凝集剤を複数回に分けて添加する場合には、各回に添加される凝集剤の総量中における、1回目の滴下に用いる凝集剤の割合は、凝集を制御して所望の粒径の凝集粒子を得る観点、及びトナーの生産性を向上させる観点から、好ましくは50質量%以上、より好ましくは70質量%以上、更に好ましくは85質量%以上であり、そして、好ましくは99質量%以下、より好ましくは95質量%以下、更に好ましくは90質量%以下である。
凝集剤を複数回に分けて添加する場合、その回数は、凝集を制御して所望の粒径の凝集粒子を得る観点、及びトナーの生産性を向上させる観点から、好ましくは2回以上5回以下、より好ましくは2回以上4回以下、更に好ましくは2回以上3回以下、より更に好ましくは2回である。
凝集剤の滴下時間は、凝集を制御して所望の粒径の凝集粒子を得る観点から、好ましくは1分以上、より好ましくは5分以上、更に好ましくは10分以上であり、そして、トナーの生産性を向上させる観点から、好ましくは120分以下、より好ましくは60分以下、更に好ましくは40分以下である。
また、凝集剤を滴下する温度は、トナーの生産性を向上させる観点から、好ましくは0℃以上、より好ましくは10℃以上であり、そして、凝集を制御して所望の粒径の凝集粒子を得る観点から、好ましくは50℃以下、より好ましくは40℃以下、更に好ましくは30℃以下である。
更に、凝集を促進させ、所望の粒径及び粒径分布の凝集粒子を得る観点から、凝集剤を添加した後に分散液の温度を上げることが好ましい。維持する温度としては、50℃以上で結晶性ポリエステルの融点以下の温度であることが好ましい。前記温度範囲にて、凝集粒子の体積中位粒径をモニタリングすることによって、凝集の進行を確認することが好ましい。
凝集剤を複数回に分けて添加する場合には、凝集剤を添加するごとに温度を上げてもよく、初回の凝集剤添加後に温度を上げた後はそのまま温度を維持しながら残りの凝集剤を添加してもよい。
体積中位粒径の測定は実施例に記載の方法によって行う。
凝集粒子がトナーとして適度な粒径に成長したところで凝集を停止させる。凝集を停止させる粒径、すなわち得られる凝集粒子の体積中位粒径(D50)としては、高画質の画像を得る観点から、好ましくは2μm以上、より好ましくは3μm以上、更に好ましくは4μm以上であり、そして、好ましくは10μm以下、より好ましくは8μm以下、更に好ましくは6μm以下である。
凝集を停止させる方法としては、分散液を冷却する方法、凝集停止剤を添加する方法、分散液を希釈する方法、分散液のpHを調整する方法等が挙げられるが、不必要な凝集を確実に防止する観点から、凝集停止剤を添加して凝集を停止させる方法が好ましい。
(凝集停止剤)
凝集停止剤としては、界面活性剤が好ましく、アニオン性界面活性剤がより好ましい。アニオン性界面活性剤としては、アルキルエーテル硫酸塩、アルキル硫酸塩、及び直鎖アルキルベンゼンスルホン酸塩等が挙げられる。凝集停止剤は、単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
凝集停止剤の添加量は、不必要な凝集を確実に防止する観点から、トナー中の樹脂の総量100質量部に対して、好ましくは0.1質量部以上、より好ましくは1質量部以上、更に好ましくは2質量部以上であり、そして、トナーへの残留を低減する観点から、好ましくは15質量部以下、より好ましくは10質量部以下、更に好ましくは6質量部以下である。凝集停止剤は、トナーの生産性を向上させる観点から、水溶液で添加することが好ましい。
凝集停止剤を添加する温度は、トナーの生産性を向上させる観点から、凝集粒子分散液を保持する温度と同じであることが好ましく、50℃以上75℃以下であることが好ましい。
得られた凝集粒子に、更に別の樹脂粒子を凝集させ、コアシェル構造の凝集粒子を得ることもできる。この場合、得られた凝集粒子がコア側となり、別の樹脂粒子がシェル側になるように凝集させるのが好ましい。
<工程(3)>
工程(3)は工程(2)で得られた凝集粒子を結晶性ポリエステル(a)の融点以上の温度で融着させてトナー粒子を得る工程である。
本工程により凝集粒子中の、主として物理的にお互いに付着している状態であった各粒子が融着されて一体となり、トナー粒子が形成される。
前記化合物(c)は本工程で添加してもよい。本工程において化合物(c)を添加する場合、工程(2)で得られた凝集粒子の分散液に化合物(c)を添加し、化合物(c)の存在下で凝集粒子を融着することが好ましい。
本工程においては、凝集粒子の融着性を向上させる観点、並びにトナーの低温定着性、耐熱保存性、及び耐高温オフセット性を向上させる観点から、結晶性ポリエステル(a)の融点以上の温度で保持する。
保持する温度は、トナーの低温定着性、耐熱保存性、及び耐高温オフセット性を向上させる観点、並びに生産性を向上させる観点から、好ましくは結晶性ポリエステル(a)の融点より2℃高い温度以上、より好ましくは融点より5℃高い温度以上であり、そして、好ましくは結晶性ポリエステル(a)の融点より30℃高い温度以下、より好ましくは融点より15℃高い温度以下、更に好ましくは融点より10℃高い温度以下である。
工程(3)で得られるトナー粒子の体積中位粒径(D50)は、高画質の画像を得る観点から、好ましくは2μm以上、より好ましくは3μm以上、更に好ましくは4μm以上であり、そして、好ましくは10μm以下、より好ましくは8μm以下、更に好ましくは6μm以下である。
なお、工程(3)で得られるトナー粒子の体積中位粒径は、凝集粒子の体積中位粒径以下であることが好ましい。すなわち、本工程(3)において、凝集粒子同士の凝集、融着が生じないことが好ましい。
<後処理工程>
本発明においては、工程(3)の後に後処理工程を行ってもよく、単離することによってトナー粒子を得ることが好ましい。
工程(3)で得られたトナー粒子は、水性媒体中に存在するため、まず、固液分離を行うことが好ましい。固液分離には、吸引濾過法等が好ましく用いられる。
固液分離後に洗浄を行うことが好ましい。樹脂粒子(A)の製造の際に非イオン性界面活性剤を用いた場合、添加した非イオン性界面活性剤も除去することが好ましいため、非イオン性界面活性剤の曇点以下で水性溶液により洗浄することが好ましい。洗浄は複数回行うことが好ましい。
次に乾燥を行うことが好ましいが、乾燥時の温度は、トナー粒子自体の温度が結晶性ポリエステル(a)の融点より5℃以上低くなるように設定することが好ましく、10℃以上低くなるように設定することがより好ましい。
乾燥方法としては、真空低温乾燥法、振動型流動乾燥法、スプレードライ法、冷凍乾燥法、フラッシュジェット法等を用いることが好ましい。乾燥後の水分含量は、トナーの飛散を抑制し、帯電性を向上させる観点から、好ましくは1.5質量%以下、より好ましくは1.0質量%以下に調整する。
[静電荷像現像用トナー]
乾燥等を行うことによって得られたトナー粒子を本発明のトナーとしてそのまま用いることもできるが、後述のようにトナー粒子の表面を処理したものを静電荷像現像用トナーとして用いることが好ましい。
トナーの体積中位粒径(D50)は、トナーの生産性を向上させる観点及び高画質の画像を得る観点から、好ましくは2μm以上、より好ましくは3μm以上、更に好ましくは4μm以上であり、そして、好ましくは10μm以下、より好ましくは8μm以下、更に好ましくは6μm以下である。
トナーのCV値は、トナーの生産性を向上させる観点から、好ましくは15%以上、より好ましくは18%以上であり、そして、高画質の画像を得る観点から、好ましくは35%以下、より好ましくは30%以下、更に好ましくは28%以下、より更に好ましくは26%以下である。
本発明の製造方法によって得られる静電荷像現像用トナーは、前記トナー粒子をトナーとしてそのまま用いることもできるが、流動化剤等を外添剤としてトナー粒子表面に添加処理したものをトナーとして使用することが好ましい。
外添剤としては、疎水性シリカ、酸化チタン微粒子、アルミナ微粒子、酸化セリウム微粒子、カーボンブラック等の無機微粒子やポリカーボネート、ポリメチルメタクリレート、シリコーン樹脂等のポリマー微粒子等が挙げられ、これらの中でも、疎水性シリカが好ましい。
外添剤を用いてトナー粒子の表面処理を行う場合、外添剤の添加量は、トナー粒子100質量部に対して、好ましくは1質量部以上、より好ましくは2質量部以上、更に好ましくは3質量部以上であり、そして、好ましくは6質量部以下、より好ましくは5質量部以下、更に好ましくは4.5質量部以下である。
本発明により得られる静電荷像現像用トナーは、一成分系現像剤として、又はキャリアと混合して二成分系現像剤として使用することができる。
ポリエステル、樹脂粒子、トナー等の各性状値については次の方法により測定、評価した。
[ポリエステルの酸価]
JIS K0070に従って測定した。但し、測定溶媒をアセトンとトルエンの混合溶媒(アセトン:トルエン=1:1(容量比))とした。
[ポリエステルの軟化点、結晶性指数、融点及びガラス転移温度]
(1)軟化点
フローテスター「CFT−500D」(株式会社島津製作所製)を用い、1gの試料を昇温速度6℃/minで加熱しながら、プランジャーにより1.96MPaの荷重を与え、直径1mm、長さ1mmのノズルから押し出した。温度に対し、フローテスターのプランジャー降下量をプロットし、試料の半量が流出した温度を軟化点とした。
(2)結晶性指数
示差走査熱量計「Q100」(ティー・エイ・インスツルメント・ジャパン株式会社製)を用いて、試料0.01〜0.02gをアルミパンに計量し、室温(20℃)から降温速度10℃/minで0℃まで冷却した。次いで試料をそのまま1分間静止させ、その後、昇温速度10℃/minで180℃まで昇温し熱量を測定した。観測される吸熱ピークのうち、ピーク面積が最大のピークの温度を吸熱の最大ピーク温度(1)として、(軟化点(℃))/(吸熱の最大ピーク温度(1)(℃))により、結晶性指数を求めた。
(3)融点及びガラス転移温度
示差走査熱量計「Q100」(ティー・エイ・インスツルメント・ジャパン株式会社製)を用いて、試料0.01〜0.02gをアルミパンに計量し、200℃まで昇温し、その温度から降温速度10℃/minで0℃まで冷却した。次に、試料を昇温速度10℃/minで200℃まで昇温し、熱量を測定した。観測される吸熱ピークのうち、ピーク面積が最大のピークの温度を吸熱の最大ピーク温度(2)とした。結晶性ポリエステルの時には該ピーク温度を融点とした。また、非晶質ポリエステルの場合に吸熱の最大ピーク温度以下のベースラインの延長線と、該ピークの立ち上がり部分からピークの頂点まで最大傾斜を示す接線との交点温度をガラス転移温度とした。
[離型剤の融点]
示差走査熱量計「Q100」(ティー・エイ・インスツルメント・ジャパン株式会社製)を用いて、試料0.01〜0.02gをアルミパンに計量し、200℃まで昇温し、その温度から降温速度10℃/minで0℃まで冷却した。次いで試料を昇温速度10℃/minで昇温し、熱量を測定し、吸熱の最大ピーク温度を融点とした。
[樹脂粒子、離型剤粒子の体積中位粒径(D50)及びCV値]
(1)測定装置:レーザー回折型粒径測定機「LA−920」(株式会社堀場製作所製)
(2)測定条件:測定用セルに蒸留水を加え、吸光度を適正範囲になる濃度で体積中位粒径(D50)及び体積平均粒径を測定した。また、CV値は下記の式に従って算出した。
CV値(%)=(粒径分布の標準偏差/体積平均粒径)×100
[樹脂粒子分散液、離型剤粒子分散液の固形分濃度]
赤外線水分計「FD−230」(株式会社ケツト科学研究所製)を用いて、測定試料5gを乾燥温度150℃、測定モード96(監視時間2.5min/変動幅0.05%)にて、水分(質量%)を測定した。固形分濃度は下記の式に従って算出した。
固形分濃度(質量%)=100−水分(質量%)
[凝集粒子の体積中位粒径(D50)及びCV値]
凝集粒子の体積中位粒径(D50)は以下の通り測定した。
・測定機:「コールターマルチサイザー(登録商標)III」(ベックマンコールター株式会社製)
・アパチャー径:50μm
・解析ソフト:「マルチサイザー(登録商標)IIIバージョン3.51」(ベックマンコールター株式会社製)
・電解液:「アイソトン(登録商標)II」(ベックマンコールター株式会社製)
・測定条件:試料分散液を前記電解液100mLに加えることにより、3万個の粒子の粒径を20秒で測定できる濃度に調整した後、3万個の粒子を測定し、その粒径分布から体積中位粒径(D50)及び体積平均粒径を求めた。
また、CV値(%)は下記の式に従って算出した。
CV値(%)=(粒径分布の標準偏差/体積平均粒径)×100
[トナー(粒子)の体積中位粒径(D50)及びCV値]
トナー(粒子)の体積中位粒径は以下の通り測定した。
測定機、アパチャー径、解析ソフト、電解液は、凝集粒子の体積中位粒径と同様のものを用いた。
・分散液:ポリオキシエチレンラウリルエーテル「エマルゲン(登録商標)109P」(花王株式会社製、HLB:13.6)を前記電解液に溶解させ、濃度5質量%の分散液を得た。
・分散条件:前記分散液5mLに測定試料10mgを添加し、超音波分散機にて1分間分散させ、その後、電解液25mLを添加し、更に、超音波分散機にて1分間分散させて、試料分散液を作製した。
・測定条件:前記試料分散液を前記電解液100mLに加えることにより、3万個の粒子の粒径を20秒で測定できる濃度に調整した後、3万個の粒子を測定し、その粒径分布から体積中位粒径(D50)及び体積平均粒径を求めた。
また、CV値(%)は下記の式に従って算出した。
CV値(%)=(粒径分布の標準偏差/体積平均粒径)×100
[トナーの最低定着温度]
上質紙「J紙A4サイズ」(富士ゼロックス株式会社製)に市販のプリンタ「Microline(登録商標)5400」(株式会社沖データ製)を用いて、トナーの紙上の付着量が0.42〜0.48mg/cm2となるベタ画像をA4紙の上端から5mmの余白部分を残し、50mmの長さで定着させずに出力した。
次に、定着器を温度可変に改造した同プリンタを用意し、定着器の温度を90℃にし、A4縦方向に1枚あたり1.2秒の速度で定着し、印刷物を得た。
同様の方法で定着器の温度を5℃ずつ上げて、定着し、印刷物を得た。
印刷物の画像上の上端の余白部分からベタ画像にかけて、メンディングテープ「Scotch(登録商標)メンディングテープ810」(住友スリーエム株式会社製、幅18mm)を長さ50mmに切ったものを軽く貼り付けた後、500gのおもりを載せ、速さ10mm/secで1往復押し当てた。その後、貼付したテープを下端側から剥離角度180度、速さ10mm/secで剥がし、テープ剥離後の印刷物を得た。テープ貼付前及び剥離後の印刷物の下に上質紙「エクセレントホワイト紙A4サイズ」(株式会社沖データ製)を30枚敷き、各印刷物のテープ貼付前及び剥離後の定着画像部分の反射画像濃度を、測色計「SpectroEye」(GretagMacbeth社製、光射条件;標準光源D50、観察視野2°、濃度基準DINNB、絶対白基準)を用いて測定し、下記の式で定着率を算出した。
定着率(%)=(テープ剥離後の反射画像濃度/テープ貼付前の反射画像濃度)×100
定着率が90%以上となる最低の温度を最低定着温度とした。最低定着温度が低いほど低温定着性に優れることを表す。
[トナーの最高定着温度]
最低定着温度の評価方法と同様の方法で、定着器の温度を最低定着温度から5℃ずつ上げて定着し、印刷物を得た。高温オフセットは、高温時に定着ローラーにトナーが付着する現象であり、その発生は定着ローラーが1周した際に、再度、紙面上にトナーが付着することで判断ができ、前記プリンタを用いた本試験ではベタ画像上端から87mmの部分にトナー付着が見られた温度を高温オフセット発生温度とした。高温オフセット発生温度より5℃低い温度を最高定着温度とした。最高定着温度が高いほど、耐高温オフセット性に優れることを表す。
[定着可能温度幅]
定着可能温度幅は、下記式により算出した。
定着可能温度幅(℃)=最高定着温度(℃)−最低定着温度(℃)
[凝集度]
内容積100mlの広口ポリビンにトナー20gを入れて密封し、温度60℃の環境下で6時間静置した。その後、25℃の温度下で密封したまま12時間以上静置して冷却した。次いで、「パウダーテスタ(登録商標)」(ホソカワミクロン株式会社製)の振動台に、目開き250μmのフルイをセットし、その上に前記トナー20gを乗せ30秒間振動を行い、フルイ上に残ったトナー質量を測定し、次の算出式より凝集度を算出した。凝集度の数値が小さいほど、トナーが耐熱保存性に優れることを表す。
凝集度(%)=フルイ上の残留トナー質量(g)/20g×100
合成例1
(結晶性ポリエステルAの製造)
窒素導入管、脱水管、撹拌機、及び熱電対を装備した四つ口フラスコの内部を窒素置換し、1,9−ノナンジオール3840g、フマル酸2784gを入れた。撹拌しながら、140℃に昇温し、140℃で3時間維持した後、140℃から200℃まで10時間かけて昇温した。その後、ジ(2−エチルヘキサン酸)錫43gを加え、更に200℃にて1時間維持した後、フラスコ内の圧力を下げ、8.3kPaにて4時間維持し、結晶性ポリエステルAを得た。得られた結晶性ポリエステルAの物性を表1に示す。
合成例2
(結晶性ポリエステルBの製造)
原料組成を表1に示すとおりに変更した以外は、合成例1と同様にして結晶性ポリエステルBを得た。得られた結晶性ポリエステルBの物性を表1に示す。
合成例3
(非晶質ポリエステルCの製造)
窒素導入管、脱水管、撹拌機、及び熱電対を装備した四つ口フラスコの内部を窒素置換し、ポリオキシプロピレン(2.2)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン1750g、ポリオキシエチレン(2.0)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン1625g、テレフタル酸1145g、ドデセニルコハク酸無水物161g、トリメリット酸無水物480g、及び酸化ジブチル錫10gを入れ、窒素雰囲気下、撹拌しながら、220℃に昇温し、220℃で5時間維持した後、ASTM D36−86に従って測定した軟化点が120℃に達したのを確認してから温度を下げて反応を止め、非晶質ポリエステルCを得た。得られた非晶質ポリエステルCの物性を表1に示す。
合成例4
(非晶質ポリエステルDの製造)
窒素導入管、脱水管、撹拌機、及び熱電対を装備した四つ口フラスコの内部を窒素置換し、ポリオキシプロピレン(2.2)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン3528g、ポリオキシエチレン(2.0)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン1404g、テレフタル酸1243g、ドデセニルコハク酸無水物1543g、及び酸化ジブチル錫10gを入れ、窒素雰囲気下、撹拌しながら、230℃に昇温し、230℃で6時間維持した後、更にフラスコ内の圧力を下げ、8.3kPaにて1時間維持した。その後、215℃まで冷却し、大気圧に戻した後、トリメリット酸無水物304gを入れ、215℃で1時間維持した後、更にフラスコ内の圧力を下げ、8.3kPaにて3時間維持させて、非晶質ポリエステルDを得た。得られた非晶質ポリエステルDの物性を表1に示す。
合成例5
(非晶質ポリエステルEの製造)
窒素導入管、脱水管、撹拌機、及び熱電対を装備した四つ口フラスコの内部を窒素置換し、ポリオキシプロピレン(2.2)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン6160g、フマル酸2125g、tert−ブチルカテコール4g及び酸化ジブチル錫5gを入れ、窒素雰囲気下、撹拌しながら、5時間かけて210℃まで昇温し、210℃で2時間保持した後、フラスコ内の圧力を下げ、8.3kPaにて所望の軟化点まで反応を行い、非晶質ポリエステルEを得た。得られた非晶質ポリエステルEの物性を表1に示す。
合成例6
(非晶質ポリエステルFの製造)
窒素導入管、脱水管、撹拌機、及び熱電対を装備した四つ口フラスコの内部を窒素置換し、ポリオキシプロピレン(2.2)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン3374g、ポリオキシエチレン(2.0)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン33g、テレフタル酸672g及び酸化ジブチル錫10gを入れ、窒素雰囲気下、撹拌しながら、230℃に昇温し、5時間維持した後、更にフラスコ内の圧力を下げ、8.3kPaにて1時間維持した。その後、210℃まで冷却し、大気圧に戻した後、フマル酸696g、tert−ブチルカテコール0.5gを加え、210℃の温度下で5時間維持した後に、更にフラスコ内の圧力を下げ、8.3kPaにて4時間維持させて、非晶質ポリエステルFを得た。得られた非晶質ポリエステルFの物性を表1に示す。
合成例7
(非晶質ポリエステルGの製造)
窒素導入管、脱水管、撹拌機、及び熱電対を装備した四つ口フラスコの内部を窒素置換し、ポリオキシプロピレン(2.2)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン6125g、テレフタル酸901g、ドデセニルコハク酸無水物938g、トリメリット酸無水物1142g、及び酸化ジブチル錫10gを入れ、窒素雰囲気下、撹拌しながら、220℃に昇温し、220℃で5時間維持した後、ASTM D36−86に従って測定した軟化点が115℃に達したのを確認してから温度を下げて反応を止め、非晶質ポリエステルGを得た。得られた非晶質ポリエステルGの物性を表1に示す。
Figure 0006307396
[樹脂粒子分散液の製造]
(工程(1))
製造例1
(樹脂粒子分散液a1の製造)
2リットル容のステンレス釜に、結晶性ポリエステルA 498g、非晶質ポリエステルC 102g、銅フタロシアニン顔料「ECB−301」(大日精化工業株式会社製)45g、アニオン性界面活性剤「ネオペレックスG−15」(花王株式会社製、15質量%ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム水溶液)80g、非イオン性界面活性剤「エマルゲン150」(花王株式会社製、ポリオキシエチレン(50mol)ラウリルエーテル)12.0g、20質量%炭酸カリウム水溶液43.6g、及び脱イオン水120gを混合し、カイ型の撹拌機で1.2m/sの撹拌下、90℃まで混合液を加熱した。更に、カイ型の撹拌機で1.2m/sの撹拌下、90℃にて2時間保持し、樹脂中和物を得た。
次に、カイ型の撹拌機で1.2m/sの撹拌下、95℃にて、脱イオン水1257gを6g/minで滴下し、乳化物を得た。得られた乳化物を冷却し、25℃で撹拌しながら、オキサゾリン基含有ポリマー水溶液「エポクロスWS−700」(株式会社日本触媒製、不揮発分25質量%、アクリル主鎖)106gを添加し、その後95℃に温度を上げ95℃で1時間保持した。次に、25℃に冷却し、得られた乳化物を200メッシュ(目開き105μm)の金網を通して、樹脂粒子分散液a1を得た。
製造例2、3、7、15
(樹脂粒子分散液a2、a3、a7、a15の製造)
製造例1において、結晶性ポリエステル、非晶質ポリエステルの種類を表2に示すとおりに変更した以外は、製造例1と同様にして、樹脂粒子分散液a2、a3、a7、a15を得た。
製造例4
(樹脂粒子分散液a4の製造)
製造例1において、オキサゾリン基含有ポリマー水溶液「エポクロスWS−700」(株式会社日本触媒製、不揮発分25質量%、アクリル主鎖)106gを、グリシジル基含有ポリマー水溶液「デナコールEX−521」(ナガセケムテックス株式会社製、不揮発分100質量%)を脱イオン水へ溶解させて作製した25質量%水溶液106gに変更した以外は、製造例1と同様にして、樹脂粒子分散液a4を得た。
製造例5
(樹脂粒子分散液a5の製造)
製造例1において、非晶質ポリエステルC 102gを、非晶質ポリエステルC 54g、及び非晶質ポリエステルF 48gに変更した以外は、製造例1と同様にして、樹脂粒子分散液a5を得た。
製造例6
(樹脂粒子分散液a6の製造)
製造例1において、オキサゾリン基含有ポリマー水溶液「エポクロスWS−700」(株式会社日本触媒製、不揮発分25質量%、アクリル主鎖)106gを、オキサゾリン基含有ポリマー水溶液「エポクロスWS−700」(株式会社日本触媒製、不揮発分25質量%、アクリル主鎖)53gに変更した以外は、製造例1と同様にして、樹脂粒子分散液a6を得た。
製造例8
(樹脂粒子分散液a8の製造)
2リットル容のステンレス釜に、結晶性ポリエステルA 498g、非晶質ポリエステルC 102g、銅フタロシアニン顔料「ECB−301」(大日精化工業株式会社製)45g、アニオン性界面活性剤「ネオペレックスG−15」(花王株式会社製、15質量%ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム水溶液)80g、非イオン性界面活性剤「エマルゲン150」(花王株式会社製、ポリオキシエチレン(50mol)ラウリルエーテル)12.0g、20質量%炭酸カリウム水溶液43.6g、及び脱イオン水120gを混合し、カイ型の撹拌機で1.2m/sの撹拌下、90℃まで混合液を加熱した。更に、カイ型の撹拌機で1.2m/sの撹拌下、90℃にて2時間保持し、樹脂中和物を得た。
次に、カイ型の撹拌機で1.2m/sの撹拌下、95℃にて、脱イオン水1257gを6g/minで滴下し、乳化物を得た。次に、25℃に冷却し、得られた乳化物を200メッシュ(目開き105μm)の金網を通して、樹脂粒子分散液a8を得た。
製造例9
(樹脂粒子分散液a9の製造)
製造例1において、オキサゾリン基含有ポリマー水溶液「エポクロスWS−700」(株式会社日本触媒製、不揮発分25質量%、アクリル主鎖)106gを、カルボジイミド化合物「カルボジライトV−02−L2」(日清紡株式会社製、不揮発分40質量%)66gに変更した以外は、製造例1と同様にして、樹脂粒子分散液a9を得た。
製造例10
(樹脂粒子分散液a10の製造)
製造例1において、結晶性ポリエステルA 498gを結晶性ポリエステルA 600gに変更すると共に、非晶質ポリエステルC 102gを添加しなかった以外は、製造例1と同様にして、樹脂粒子分散液a10を得た。
製造例11
(樹脂粒子分散液a11の製造)
製造例1において、結晶性ポリエステルA 498gを結晶性ポリエステルA 546gに変更すると共に、非晶質ポリエステルC 102gを、非晶質ポリエステルC 54gに変更した以外は、製造例1と同様にして、樹脂粒子分散液a11を得た。
製造例12
(樹脂粒子分散液a12の製造)
製造例1において、結晶性ポリエステルA 498gを結晶性ポリエステルA 576gに変更すると共に、非晶質ポリエステルC 102gを、非晶質ポリエステルC 24gに変更した以外は、製造例1と同様にして、樹脂粒子分散液a12を得た。
製造例13
(樹脂粒子分散液a13の製造)
製造例1において、結晶性ポリエステルA 498gを結晶性ポリエステルA 390gに変更すると共に、非晶質ポリエステルC 102gを、非晶質ポリエステルC 210gに変更した以外は、製造例1と同様にして、樹脂粒子分散液a13を得た。
製造例14
(樹脂粒子分散液a14の製造)
製造例1において、結晶性ポリエステルA 498gを結晶性ポリエステルA 180gに変更すると共に、非晶質ポリエステルC 102gを、非晶質ポリエステルC 420gに変更した以外は、製造例1と同様にして、樹脂粒子分散液a14を得た。
製造例16
(樹脂粒子分散液a16の製造)
製造例8において、結晶性ポリエステル、非晶質ポリエステルの種類を表2に示すとおりに変更した以外は、製造例8と同様にして、樹脂粒子分散液a16を得た。
Figure 0006307396
製造例17
(離型剤粒子分散液W−1の製造)
1リットル容のビーカーで、脱イオン水200gにポリカルボン酸ナトリウム水溶液としてアクリル酸ナトリウム−マレイン酸ナトリウム共重合体水溶液「ポイズ521」(花王株式会社製、有効濃度40質量%)3.8gを溶解させた後、これにカルナウバワックス「カルナウバワックス1号」(株式会社加藤洋行製、融点83℃)5g及びパラフィンワックス「HNP−9」(日本精蝋株式会社製、融点75℃)45gを添加し、90〜95℃に温度を保持して溶融させて撹拌し、カルナウバワックスとパラフィンワックスとの溶融混合物を得た。
得られた溶融混合物を含んだ水溶液を更に90〜95℃に温度を保持しながら、超音波ホモジナイザー「US−600T」(日本精機株式会社製)で30分間分散処理を行った後に室温まで冷却し、ここに脱イオン水を加え、離型剤固形分20質量%に調整し、離型剤粒子分散液W−1を得た。離型剤粒子分散液中の離型剤粒子の体積中位粒径(D50)は450nm、CV値は30%であった。
[トナーの製造]
実施例1〜6、8〜11、13、比較例1〜5
(トナー1〜6、8〜11、13〜18の作製)
(工程(2))
表3に示す樹脂粒子分散液 300g、脱イオン水75g、及び離型剤粒子分散液W−1 36gを、脱水管、撹拌機及び熱電対を装備した2リットル容の4つロフラスコに入れ、25℃で混合した。次に、該混合物をカイ型の撹拌機で撹拌下、硫酸アンモニウム29.5gを293gの脱イオン水に溶解させた水溶液を25℃で30分かけて滴下した。次いで、得られた混合溶液を65℃まで昇温し、65℃で保持し体積中位粒径(D50)が3.5μmの凝集粒子を形成した。
続いて、凝集粒子を含む混合溶液を25℃まで冷却した後、硫酸アンモニウム4.1gを12gの脱イオン水に溶解させた水溶液を15分かけて滴下した。ついで、この混合溶液を70℃まで昇温し、70℃で保持して、体積中位粒径(D50)が5.1μmの凝集粒子分散液を得た。
(工程(3))
得られた凝集粒子分散液に、ポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸ナトリウム「エマールE−27C」(花王株式会社製、固形分:28質量%)10.8gを脱イオン水856gで希釈した水溶液を添加した後、この水溶液の添加により40℃まで下がった分散液を、80℃まで1.5時間かけて昇温し、体積中位粒径(D50)が5.1μmの融着粒子を得た。このとき、分散液の温度が80℃に到達したと同時に冷却を開始し、室温(25℃)まで冷却した。
得られた融着粒子を、固液分離のためのろ過工程、乾燥工程、及び洗浄工程を経てトナー粒子を得た。このトナー粒子100質量部に対して、疎水性シリカ「RY50」(日本アエロジル株式会社製、個数平均粒径0.04μm)2.5部、疎水性シリカ「キャボシールTS720」(キャボット社製、個数平均粒径0.012μm)1.0部、及び有機微粒子「ファインスフェアP2000」(日本ペイント株式会社製、個数平均粒径0.5μm)0.8部をヘンシェルミキサーで外添処理し、150メッシュの篩いを通過した微粒子をトナー1〜6、8〜11、13〜18とした。
実施例7
(トナー7の作製)
実施例1の工程(2)において、樹脂粒子分散液a8 300g、脱イオン水75g、及び離型剤粒子分散液W−1 36gと共に、オキサゾリン基含有ポリマー水溶液「エポクロスWS−700」(株式会社日本触媒製、不揮発分25質量%、アクリル主鎖)17gを添加して混合した以外は、実施例1と同様にして、トナー7を得た。
実施例12
(トナー12の作製)
実施例1の工程(3)において、工程(2)で得られた凝集粒子分散液に、オキサゾリン基含有ポリマー水溶液「エポクロスWS−700」(株式会社日本触媒製、不揮発分25質量%、アクリル主鎖)17gを添加して混合してから、ポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸ナトリウム「エマールE−27C」(花王株式会社製、固形分:28質量%)水溶液の添加を行った以外は、実施例1と同様にして、トナー12を得た。
Figure 0006307396
表3から、本発明の製造方法により得られたトナー1〜13は、いずれも良好な低温定着性と耐熱保存性とを両立し、更に耐高温オフセット性に優れていた。

Claims (9)

  1. 工程(1):水性媒体中で、結晶性ポリエステル(a)及び非晶質ポリエステル(b)を含有する樹脂粒子(A)の分散液を得る工程、
    工程(2):工程(1)で得られた樹脂粒子(A)を凝集させて、凝集粒子の分散液を得る工程、及び、
    工程(3):工程(2)で得られた凝集粒子を結晶性ポリエステル(a)の融点以上の温度で融着させてトナー粒子を得る工程、
    を有する、静電荷像現像用トナーの製造方法であって、
    該樹脂粒子(A)を構成する樹脂中の結晶性ポリエステル(a)の含有量が50質量%以上であり、
    該非晶質ポリエステル(b)が、アルコール成分とカルボン酸成分とを重縮合させることにより得られる非晶質ポリエステルであって、該カルボン酸成分中の3価以上の多価カルボン酸の含有量が5モル%以上45モル%以下であり、
    工程(1)〜(3)の少なくともいずれかの工程において、オキサゾリン基、グリシジル基、及びカルボジイミド基から選ばれる1種以上の官能基を2つ以上含有する化合物(c)を添加する、静電荷像現像用トナーの製造方法。
  2. 結晶性ポリエステル(a)と非晶質ポリエステル(b)との質量比〔(a)/(b)〕が、50/50〜98/2である、請求項1に記載の静電荷像現像用トナーの製造方法。
  3. 前記化合物(c)の添加量が、樹脂粒子(A)を構成する樹脂100質量部に対して、0.5質量部以上、10質量部以下である、請求項1又は2に記載の静電荷像現像用トナーの製造方法。
  4. 前記化合物(c)を、工程(1)において添加する、請求項1〜3のいずれかに記載の静電荷像現像用トナーの製造方法。
  5. 前記化合物(c)が、オキサゾリン基含有ポリマーである、請求項1〜4のいずれかに記載の静電荷像現像用トナーの製造方法。
  6. 前記3価以上の多価カルボン酸が、1,2,4−ベンゼントリカルボン酸、2,5,7−ナフタレントリカルボン酸、及び1,2,4,5−ベンゼンテトラカルボン酸から選ばれる1種以上である、請求項1〜5のいずれかに記載の静電荷像現像用トナーの製造方法。
  7. 非晶質ポリエステル(b)の軟化点が、100℃以上、130℃以下である、請求項1〜6のいずれかに記載の静電荷像現像用トナーの製造方法。
  8. 前記工程(2)を、結晶性ポリエステル(a)の融点以下の温度で行う、請求項1〜7のいずれかに記載の静電荷現像用トナーの製造方法。
  9. 結晶性ポリエステル(a)の融点が60℃以上、100℃以下である、請求項1〜8のいずれかに記載の静電荷現像用トナーの製造方法。
JP2014188801A 2014-09-17 2014-09-17 静電荷像現像用トナーの製造方法 Active JP6307396B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2014188801A JP6307396B2 (ja) 2014-09-17 2014-09-17 静電荷像現像用トナーの製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2014188801A JP6307396B2 (ja) 2014-09-17 2014-09-17 静電荷像現像用トナーの製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2016061886A JP2016061886A (ja) 2016-04-25
JP6307396B2 true JP6307396B2 (ja) 2018-04-04

Family

ID=55795949

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2014188801A Active JP6307396B2 (ja) 2014-09-17 2014-09-17 静電荷像現像用トナーの製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP6307396B2 (ja)

Families Citing this family (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP6875928B2 (ja) * 2016-05-31 2021-05-26 三洋化成工業株式会社 トナーバインダー及びトナー
JP6519712B2 (ja) * 2016-07-27 2019-05-29 京セラドキュメントソリューションズ株式会社 静電潜像現像用トナー及びその製造方法
JP6904191B2 (ja) * 2017-09-20 2021-07-14 京セラドキュメントソリューションズ株式会社 正帯電性トナー及びその製造方法
JP7161336B2 (ja) * 2018-08-06 2022-10-26 花王株式会社 トナーの製造方法
JP6875477B2 (ja) * 2019-09-13 2021-05-26 花王株式会社 静電荷像現像用トナー
JP7387447B2 (ja) * 2020-01-07 2023-11-28 キヤノン株式会社 トナー
JP7141732B2 (ja) * 2020-04-23 2022-09-26 三笠産業株式会社 静電荷像現像用トナーおよびトナーカートリッジ

Family Cites Families (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP5938294B2 (ja) * 2012-04-23 2016-06-22 花王株式会社 静電荷像現像用トナー
JP6001936B2 (ja) * 2012-07-02 2016-10-05 花王株式会社 電子写真用トナーの製造方法
JP6071826B2 (ja) * 2012-10-05 2017-02-01 花王株式会社 電子写真用トナーの製造方法
JP6040023B2 (ja) * 2012-12-27 2016-12-07 花王株式会社 静電荷像現像用トナーの製造方法
JP5970372B2 (ja) * 2012-12-28 2016-08-17 花王株式会社 静電荷像現像用トナーの製造方法
JP2014130254A (ja) * 2012-12-28 2014-07-10 Kao Corp 静電荷像現像用トナーの製造方法
JP6326273B2 (ja) * 2013-04-26 2018-05-16 花王株式会社 静電荷像現像用トナーの製造方法

Also Published As

Publication number Publication date
JP2016061886A (ja) 2016-04-25

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP6307396B2 (ja) 静電荷像現像用トナーの製造方法
JP6018684B2 (ja) 静電荷像現像用トナー
JP5833913B2 (ja) 静電荷像現像用トナーの製造方法
JP6040023B2 (ja) 静電荷像現像用トナーの製造方法
JP6496970B2 (ja) 静電荷像現像用トナーの製造方法
JP5877060B2 (ja) 静電荷像現像用トナーの製造方法
JP6063901B2 (ja) 静電荷像現像用トナーの製造方法
JP6027865B2 (ja) 静電荷像現像用トナーの製造方法
JP5938294B2 (ja) 静電荷像現像用トナー
JP6194242B2 (ja) 静電荷像現像用トナーの製造方法
JP5859768B2 (ja) 静電荷像現像用トナーの製造方法
JP5872891B2 (ja) 静電潜像現像用トナーの製造方法
JP6326273B2 (ja) 静電荷像現像用トナーの製造方法
JP5798901B2 (ja) 電子写真用トナー
JP5970372B2 (ja) 静電荷像現像用トナーの製造方法
JP2016014871A (ja) 静電荷像現像用トナーの製造方法
JP2014130254A (ja) 静電荷像現像用トナーの製造方法
JP6034688B2 (ja) 電子写真用トナー
JP6334997B2 (ja) 静電荷像現像用トナー
JP5970371B2 (ja) 電子写真用トナー
JP5973908B2 (ja) 静電荷像現像用トナーの製造方法
JP6326262B2 (ja) 電子写真用トナー
JP6558730B2 (ja) 静電荷像現像用トナーの製造方法
JP6007078B2 (ja) 電子写真用トナーの製造方法
JP6470942B2 (ja) 静電荷像現像用トナーの製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20170612

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20180213

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20180227

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20180312

R151 Written notification of patent or utility model registration

Ref document number: 6307396

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R151

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250