以下、図面を参照しながら本実施形態に係わる自動分析装置を説明する。
図1は、本実施形態に係る自動分析装置1の構成を示す図である。自動分析装置1は、分析機構2、解析回路3、駆動機構4、入力インタフェース回路5、出力インタフェース回路6、記憶回路7、及び制御回路8を備える。
分析機構2は、予め設定されたサイクルタイムに応じて、被検試料に含まれる所定の成分の測定に係る一連の動作を駆動機構4により実行する。サイクルタイムは、自動分析装置1の測定スループット、すなわち自動分析装置1が一定時間に測定可能な検査数を決定するパラメータの1つである。
分析機構2は、所定の検査項目に用いられる標準試料と、当該標準試料に設定された検査項目で用いられる試薬とを混合する。分析機構2は、標準試料と試薬との混合液を測定し、例えば吸光度で表される標準データを生成する。また、分析機構2は、所定の検査項目に用いられる被検試料と、当該被検試料に設定された検査項目で用いられる試薬とを混合する。分析機構2は、被検試料と試薬との混合液を測定し、例えば吸光度で表される被検データを生成する。生成された標準データ及び被検データは解析回路3に出力される。
解析回路3は、分析機構2により生成された標準データ及び被検データに基づいて検量データ及び分析データ等を解析するプロセッサである。解析回路3は、記憶回路7から動作プログラムを読み出し、動作プログラムに従って検量データ及び分析データ等を生成する。例えば、解析回路3は、標準データと、標準試料に予め設定された標準値との関係を示す検量データを生成する。また、解析回路3は、被検データと、この被検データに対応する検査項目の検量データとに基づいて、濃度値及び酵素の活性値として表される分析データを生成する。解析回路3は生成した検量データ及び分析データ等を制御回路8へ出力する。
駆動機構4は、ギア、ステッピングモータ、ベルトコンベア、及びリードスクリュー等により実現される。駆動機構4は、制御回路8の制御に従い、分析機構2を駆動させる。
入力インタフェース回路5は、例えば、マウス、キーボード、及び、操作面へ触れることで指示が入力されるタッチパッド等により実現される。入力インタフェース回路5は、例えば、操作者から測定を依頼された試料に係る各検査項目の分析パラメータ等の設定を受け付ける。入力インタフェース回路5は、制御回路8に接続され、操作者から入力される操作指示を電気信号へ変換し、電気信号を制御回路8へ出力する。なお、本明細書において入力インタフェース回路5はマウス及びキーボード等の物理的な操作部品を備えるものだけに限られない。例えば、自動分析装置1とは別体に設けられた外部の入力機器から入力される操作指示に対応する電気信号を受け取り、この電気信号を制御回路8へ出力する電気信号の処理回路も入力インタフェース回路5の例に含まれる。
出力インタフェース回路6は、例えばCRTディスプレイ、液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイ、及びプラズマディスプレイ等の表示回路61、並びに、プリンタ等の印刷回路62を含む。出力インタフェース回路6は、制御回路8に接続され、制御回路8から供給される信号を出力する。
表示回路61は、例えば、制御回路8から供給される検量データ及び分析データを表示する。
印刷回路62は、制御回路8から供給される検量データ及び分析データを、予め設定されたフォーマットに従ってプリンタ用紙等に印刷する。
記憶回路7は、磁気的若しくは光学的記録媒体又は半導体メモリ等の、プロセッサにより読み取り可能な記録媒体等を含む。記憶回路7は、解析回路3で実行される動作プログラム、及び制御回路8で実行される動作プログラムを記憶する。記憶回路7は、解析回路3から出力される検量データを検査項目毎に記憶する。記憶回路7は、解析回路3から出力される分析データを被検試料毎に記憶する。
制御回路8は、自動分析装置1の中枢として機能するプロセッサである。制御回路8は、記憶回路7に記憶されている動作プログラムを実行することで、この動作プログラムに対応する機能を実現する。
図2は、図1に示される分析機構2の構成の一例を示す斜視図である。図2に示される分析機構2は、反応ディスク201、サンプルディスク202、第1試薬庫203、試薬容器ラック203a、リーダ203b、第2試薬庫204、試薬容器ラック204a、及びリーダ204bを備える。
反応ディスク201は、環状に配列された複数の反応管2011を保持する。反応ディスク201は、サイクルタイムに対応する既定の時間間隔で回動と停止とを交互に繰り返す。反応管2011は、例えば、ガラスにより形成されている。反応管2011は、1サイクルタイム毎に、駆動機構4により反応ディスク201が回動及び停止されることで、例えば所定の方向に、所定の角度だけ移動される。
サンプルディスク202は、試料が収容された試料容器100を複数保持する。サンプルディスク202は、駆動機構4により回動される。
第1試薬庫203は、標準試料及び被検試料の各試料に含まれる所定の成分と反応する第1試薬を収容する試薬容器101を保冷する。第1試薬庫203は、試薬容器ラック203aにより、円周状に複数の試薬容器101を保持している。試薬容器ラック203aは、駆動機構4によって第1試薬庫203の中心を回転中心として回動される。試薬容器101は、その背面部を第1試薬庫203の外側に向けた状態で、1サイクルタイム毎に、駆動機構4により試薬容器ラック203aが回動及び停止される。これにより、試薬容器101は、制御回路8に指示された検査項目順に必要な第1試薬を収容する試薬容器101を所定の位置、例えば試薬を吸引する位置に移動する。
試薬容器ラック203aに保持されている試薬容器101には、例えば、基本検査項目で用いられる第1試薬を収容するものが含まれる。基本検査項目とは、例えば略全ての試料において依頼される検査項目であり、依頼頻度の高い検査項目である。好ましくは、基本検査項目は全ての試料において依頼される。基本検査項目には、例えば、健康診断等で全ての受診者に共通して依頼される検査項目が含まれる。基本検査項目の具体例としては、GOT(Glutamate Oxaloacetate Transaminase)、GPT(Glutamate Pyruvate Transaminase)、HDL(High Density Lipoprotein)、LDH(Low Density Lipoprotein)、及びCre(Creatinine)等が挙げられる。
基本検査項目については、例えばどの検査項目が基本検査項目であるかを示す基本検査項目リストが記憶回路7に予め記憶されている。基本検査項目リストには、例えば、基本検査項目である検査項目の名称を表した文字列が含まれる。基本検査項目リストの内容は、入力インタフェース回路5を介して、操作者により設定されてもよい。
基本検査項目で用いられる第1試薬を収容する複数の試薬容器101のうち、隣接する2つの試薬容器101の間の角度は、所定の制限角度以下である。
試薬容器101には、試薬容器101に収容される試薬の識別情報等が記録される記録媒体が設けられる。ここで、試薬の識別情報には、例えば、試薬名、試薬名が表す試薬に対応する検査項目名、ロット番号、試薬容器の種類、試薬の有効期限等が含まれる。記録媒体は、例えば、光学的に読取り可能な光学式マーク、及び無線通信により読取り可能なRFID(Radio Frequency IDentification)タグ等である。以下、試薬容器101に光学式マークが設けられる場合について説明する。光学式マークは、試薬容器101に収容される試薬の識別情報等を符号化したマーク、例えば、バーコード、1次元画素コード、及び2次元画素コード等である。
リーダ203bは、試薬容器ラック203aに保持される試薬容器101の背面部に付された光学式マークを、第1試薬庫203の外壁に設けられる不図示の検知窓越しに読取りできるように第1試薬庫203の外側近傍に設けられる。
リーダ203bは、例えば試薬容器ラック203aに試薬容器101が装填されたタイミングで、制御回路8からの読取り開始の指示を契機として、試薬容器101に付された光学式マークを読み取る。リーダ203bは、読取った光学式マークに記載される試薬の識別情報を制御回路8に供給する。
第2試薬庫204は、例えば、2試薬系の第1試薬と対をなす第2試薬を収容する試薬容器102を保冷する。第2試薬庫204は、試薬容器ラック204aにより、円周状に複数の試薬容器102を保持している。試薬容器ラック204aは、駆動機構4によって第2試薬庫204の中心を回転中心として回動される。試薬容器102は、試薬容器101と同様に、その背面部を第2試薬庫204の外側に向けた状態で、1サイクルタイム毎に、駆動機構4により試薬容器ラック204aが回動及び停止される。これにより、試薬容器102は、制御回路8に指示された検査項目順に必要な第2試薬を収容する試薬容器102を所定の位置、例えば試薬を吸引する位置に移動する。
試薬容器ラック204aに保持されている試薬容器102には、例えば、基本検査項目で用いられる第2試薬を収容するものが含まれる。
基本検査項目で用いられる第2試薬を収容する複数の試薬容器102のうち、隣接する2つの試薬容器102の間の角度は、所定の制限角度以下である。
試薬容器102には、試薬容器102に収容される試薬の識別情報等が記録される記録媒体が設けられる。記録媒体は、例えば、光学的に読取り可能な光学式マーク、及び無線通信により読取り可能なRFIDタグ等である。以下、試薬容器102に光学式マークが設けられる場合について説明する。
リーダ204bは、試薬容器ラック204aに保持される試薬容器102の背面部に付された光学式マークを、第2試薬庫204の外壁に設けられる不図示の検知窓越しに読取りできるように第2試薬庫204の外側近傍に設けられる。
リーダ204bは、例えば試薬容器ラック204aに試薬容器102が装填されたタイミングで、制御回路8からの読取り開始の指示を契機として、試薬容器102に付された光学式マークを読み取る。リーダ204bは、読取った光学式マークに記載される試薬の識別情報を制御回路8に供給する。
また、図2に示される分析機構2は、サンプル分注アーム205、サンプル分注プローブ206、第1試薬分注アーム207、第1試薬分注プローブ208、第2試薬分注アーム209、第2試薬分注プローブ210、第1撹拌ユニット211、及び第2撹拌ユニット212を備える。
サンプル分注アーム205は、反応ディスク201とサンプルディスク202との間に、鉛直方向には上下動自在に、水平方向には回動自在に設けられている。サンプル分注アーム205は、一端にサンプル分注プローブ206を保持する。サンプル分注アーム205は、駆動機構4によって回動される。サンプル分注アーム205の回動に伴って、サンプル分注プローブ206は、円弧状の回動軌道に沿って回動する。この回動軌道上には、サンプル分注プローブ206が試料容器100から試料を吸引するサンプル吸引位置が設定されている。また、当該回動軌道上のサンプル吸引位置とは異なった位置には、サンプル分注プローブ206が吸引した試料を反応管2011へ吐出するサンプル吐出位置が設定されている。
サンプル分注プローブ206は、駆動機構4によって駆動され、サンプル吸引位置、サンプル吐出位置において上下方向に移動する。また、サンプル分注プローブ206は、制御回路8の制御に従い、サンプル吸引位置に位置する試料容器100から試料を吸引する。また、サンプル分注プローブ206は、制御回路8の制御に従い、吸引した試料を、サンプル吐出位置に位置する反応管2011へ吐出する。
第1試薬分注アーム207は、反応ディスク201の外周近傍に、鉛直方向には上下動自在に、水平方向には回動自在に設けられている。第1試薬分注アーム207は、一端に第1試薬分注プローブ208を保持する。第1試薬分注アーム207は、駆動機構4によって回動される。第1試薬分注アーム207が回動されることにより、第1試薬分注プローブ208は、円弧状の回動軌道に沿って回動される。
この回動軌道上には、第1試薬分注プローブ208が、第1試薬庫203に配置される試薬容器101から各検査項目に対応する第1試薬を吸引する第1試薬吸引位置と、吸引した第1試薬を反応管2011へ吐出する第1試薬吐出位置とが設定されている。第1試薬分注プローブ208の回動軌道は、第1試薬庫203内の試薬容器ラック203aに保持されている試薬容器101の試薬吸引口の移動軌道、反応ディスク201に保持されている反応管2011の移動軌道それぞれと交差している。それぞれの移動軌道との交差点が、第1試薬吸引位置、第1試薬吐出位置である。
第1試薬分注プローブ208は、駆動機構4によって駆動され、回動軌道上の第1試薬吸引位置、及び第1試薬吐出位置において上下方向に移動する。また、第1試薬分注プローブ208は、制御回路8の制御に従い、第1試薬吸引位置に位置する試薬容器101から第1試薬を吸引する。第1試薬分注プローブ208は、制御回路8の制御に従い、吸引した第1試薬を、第1試薬吐出位置に位置する反応管2011へ吐出する。
第2試薬分注アーム209は、反応ディスク201と第2試薬庫204との間に、鉛直方向には上下動自在に、水平方向には回動自在に設けられている。第2試薬分注アーム209は、一端に第2試薬分注プローブ210を保持する。第2試薬分注アーム209は、駆動機構4によって回動される。第2試薬分注アーム209が回動されることにより、第2試薬分注プローブ210は、円弧状の回動軌道に沿って回動される。
この回動軌道上には、第2試薬分注プローブ210が、第2試薬庫204内に配置される試薬容器ラック204aに保持される試薬容器102から各検査項目に対応する第2試薬を吸引する第2試薬吸引位置と、吸引した第2試薬を反応管2011へ吐出する第2試薬吐出位置とが設定されている。第2試薬分注プローブ210の回動軌道は、第2試薬庫204内の試薬容器ラック204aに保持されている試薬容器102の試薬吸引口の移動軌道、反応ディスク201に保持されている反応管2011の移動軌道それぞれと交差している。それぞれの移動軌道との交差点が、第2試薬吸引位置、第2試薬吐出位置である。
第2試薬分注プローブ210は、駆動機構4によって駆動され、回動軌道上の第2試薬吸引位置、及び第2試薬吐出位置において上下方向に移動する。また、第2試薬分注プローブ210は、制御回路8の制御に従い、第2試薬吸引位置に位置する試薬容器102から第2試薬を吸引する。また、第2試薬分注プローブ210は、制御回路8の制御に従い、吸引した第2試薬を、第2試薬吐出位置に位置する反応管2011へ吐出する。
第1撹拌ユニット211、及び第2撹拌ユニット212は、反応ディスク201の外周近傍に設けられている。第1撹拌ユニット211は、第1撹拌アーム、及び第1撹拌アームの先端に設けられる第1撹拌子を有する。第1撹拌ユニット211は、第1撹拌子により、反応ディスク201上の第1撹拌位置に配置される反応管2011内に収容されている試料と第1試薬とを撹拌する。
第2撹拌ユニット212は、第2撹拌アーム、及び第2撹拌アームの先端に設けられる第2撹拌子をさらに有する。第2撹拌ユニット212は、第2撹拌子により、反応ディスク201上の第2撹拌位置に配置される反応管2011内に収容されている試料、第1試薬、及び第2試薬を撹拌する。
また、図2に示される分析機構2は、測光ユニット220、及び洗浄ユニット230を備える。
測光ユニット220は、測光位置近傍に設けられる。測光位置は、反応ディスク201に予め設定されている。測光ユニット220は、反応管2011に収容される混合液等の成分を光学的に測定する。測光ユニット220は、光源、及び光検出器を有する。光源及び光検出器は、測光位置に位置する反応管2011を挟んでお互いに対向する位置に設けられる。
測光ユニット220は、制御回路8の制御に従い、光源から光を照射する。光検出器は、例えばサイクルタイムと同期したサンプリング周期で、光源から照射された光を検出する。これにより、反応管2011に吐出された混合液を透過した光を検出することになる。光検出器は、検出した光の強度に基づいて例えば吸光度で表される標準データ又は被検データを生成する。測光ユニット220は、生成した標準データ、及び被検データを解析回路3へ出力する。
洗浄ユニット230は、廃液ノズル、洗浄ノズル、及び乾燥ノズルを備える。洗浄ユニット230は、廃液ノズルにより、反応管洗浄位置に位置する反応管2011内の混合液を廃液として吸引する。洗浄ユニット230は、洗浄ノズルにより、反応管洗浄位置に位置する反応管2011へ洗浄液を吐出し、反応管2011を洗浄する。洗浄ユニット230は、乾燥ノズルにより、反応管2011へ乾燥空気を供給することで、洗浄液により洗浄された反応管2011を乾燥させる。
本実施形態に係る制御回路8は、記憶回路7から読み出した動作プログラムを実行することで、図1に示される各種機能を実現する。すなわち、制御回路8は、システム制御機能81、位置決定機能82、測定順序入替機能83、及び出力制御機能84を備える。なお、本実施形態では、単一のプロセッサによってシステム制御機能81、位置決定機能82、測定順序入替機能83、及び出力制御機能84が実現される場合を説明するが、これに限定されない。例えば、複数の独立したプロセッサを組み合わせて制御回路を構成し、各プロセッサが動作プログラムを実行することによりシステム制御機能81、位置決定機能82、測定順序入替機能83、及び出力制御機能84を実現しても構わない。
システム制御機能81は、入力インタフェース回路5から入力される入力情報に基づき、自動分析装置1における各部を統括して制御する機能である。システム制御機能81が実行されると、制御回路8は、例えば、駆動機構4を制御し、1サイクルタイム毎に、試薬容器ラック203aを回動及び停止させる。これにより、制御回路8は、所定の検査項目順に必要な第1試薬を収容する試薬容器102を所定の位置、例えば第1試薬吸引位置に移動する。
また、制御回路8は、駆動機構4を制御し、1サイクルタイム毎に、試薬容器ラック204aを回動及び停止させる。これにより、制御回路8は、所定の検査項目順に必要な第2試薬を収容する試薬容器102を所定の位置、例えば第2試薬吸引位置に移動する。
試薬容器ラック203a及び204aの回動角度には、例えば120度の制限角度が設定されている。このとき、1サイクルタイムで、試薬容器ラック203a及び試薬容器ラック204aが回動可能な角度は、120度に制限される。これにより、第1試薬庫203における試薬容器ラック203aの回動に要する所要時間、及び第2試薬庫204における試薬容器ラック204aの回動に要する所要時間は120度の回動に要する時間により設定することができ、従来の180度の回動により設定してきた時間より小さくできる。
制限角度の下限は、例えば、基本検査項目に係る隣接する2つの試薬容器101又は2つの試薬容器102の間の角度に基づいて設定される。制限角度は、基本検査項目の数をN(Nは3以上の整数)とすると、(360/N)度以上、かつ、180度未満の範囲で設定可能である。
位置決定機能82は、試薬容器ラック203a及び試薬容器ラック204aにそれぞれ保持される試薬容器101及び試薬容器102の位置を決定する機能である。位置決定機能82が実行されると、制御回路8は、例えば、基本検査項目に係る複数の試薬容器101のうち、隣接する2つの試薬容器101の間の角度が制限角度以下となるように、試薬容器ラック203aにおける基本検査項目に係る試薬容器101の位置を決定する。さらに、制御回路8は、各隣接する2つの試薬容器101の間の角度が例えば略同一となるように、試薬容器ラック203aにおける基本検査項目に係る試薬容器101の位置を決定する。
具体的には、制御回路8は、基本検査項目に係る試薬容器101の数がN個である場合、これら試薬容器101の間隔が例えば略(360/N)度の間隔となるように、試薬容器ラック203aにおける基本検査項目に係る試薬容器101の位置を決定する。
また、制御回路8は、基本検査項目に係る複数の試薬容器102のうち、隣接する2つの試薬容器102の間の角度が制限角度以下となるように、試薬容器ラック204aにおける基本検査項目に係る試薬容器102の位置を決定する。さらに、制御回路8は、各隣接する2つの試薬容器102の間の角度が例えば略同一となるように、試薬容器ラック204aにおける基本検査項目に係る試薬容器102の位置を決定する。
制御回路8は、決定した試薬容器101の位置に関する情報、及び、試薬容器102の位置に関する情報を、記憶回路7に記憶する。試薬容器101の位置に関する情報は、例えば試薬容器ラック203aにおける試薬容器101の位置を表す識別子、角度、又は順序等により表される。試薬容器102の位置に関する情報は、例えば試薬容器ラック204aにおける試薬容器102の位置を表す識別子、角度、又は順序等により表される。
測定順序入替機能83は、指定された検査の順序を試料毎に入れ替える機能である。測定順序入替機能83が実行されると、制御回路8は、例えば、位置決定機能82により位置が決定された複数の試薬容器の配列に基づいて指定された検査の順序を試料毎に入れ替える。具体的には、制御回路8は、位置決定機能82により位置が決定された複数の試薬容器101の試薬容器ラック203aにおける配列に従うように、記憶回路7に記憶されているオーダ情報から認識される検査の順序を試料毎に入れ替える。また、制御回路8は、位置決定機能82により位置が決定された複数の試薬容器102の試薬容器ラック204aにおける配列に従うように、記憶回路7に記憶されているオーダ情報から認識される検査の順序を試料毎に入れ替える。これにより、制御回路8は、1サイクルタイム当りの試薬容器ラック203a及び試薬容器ラック204aの回転角度を制限角度以下とすることが可能となる。
出力制御機能84は、試薬容器101の位置に関する情報、及び試薬容器102の位置に関する情報を出力する機能である。具体的には、例えば、制御回路8は、試薬容器ラック203aにおける試薬容器101の位置に関する情報に基づき、試薬容器ラック203aにおいて試薬容器101を配置すべき位置を表示回路61に表示させる。また、制御回路8は、試薬容器ラック204aにおける試薬容器102の位置に関する情報に基づき、試薬容器ラック204aにおいて試薬容器102を配置すべき位置を表示回路61に表示させる。
また、制御回路8は、試薬容器ラック203aにおける試薬容器101の位置に関する情報に基づき、試薬容器ラック203aにおいて試薬容器101を配置すべき位置を印刷回路62に印刷させる。また、制御回路8は、試薬容器ラック204aにおける試薬容器102の位置に関する情報に基づき、試薬容器ラック204aにおいて試薬容器102を配置すべき位置を印刷回路62に印刷させる。
次に、本実施形態に係る自動分析装置1の動作について説明する。
まず、制御回路8が試薬容器ラック203a及び試薬容器ラック204aに配置される試薬容器101の位置を決定する流れについて説明する。以下では、試薬容器ラック203aに配置される試薬容器101と試薬容器ラック204aに配置される試薬容器102の位置の決定のされ方が同じである場合を例として、試薬容器ラック203aに配置される試薬容器101の位置を決定する流れについて説明する。
図3は、本実施形態に係る制御回路8が試薬容器ラック203aに配置される試薬容器101の位置を決定する流れを示すフローチャートである。
制御回路8は、例えば、入力インタフェース回路5を介し、試薬容器101の位置決定の実行指示が入力されると、位置決定機能82を実行する。位置決定機能82の実行により制御回路8は、基本検査項目に関する情報を記憶回路7から読み出す(ステップSA1)。制御回路8は、読み出した基本検査項目に関する情報に含まれる基本検査項目である検査項目の名称のリストから基本検査項目の数を認識する。このとき、制御回路8が認識した基本検査項目の数は例えば12であるとする。
制御回路8、認識した基本検査項目の数に基づいて、試薬容器101の試薬容器ラック203aにおける位置を決定する(ステップSA2)。制御回路8は、基本検査項目に係る複数の試薬容器101のうち、隣接する2つの試薬容器101の間の角度が制限角度以下、例えば各隣接する2つの試薬容器101の間の角度が略同一となるように、すなわち360/12=30度間隔となるように、基本検査項目に係る試薬容器101の位置を決定する。
図4は、本実施形態に係る制御回路8が試薬容器ラック203aにおける試薬容器101の位置を決定する方法を説明するための図である。図4では、試薬容器ラック203aにおける試薬容器101が配置される位置が表されている。試薬容器101は、試薬容器ラック203aにおける位置B1からB72までの72箇所のいずれかに配置される。
制御回路8は、例えば、図4に示されるように、30度間隔で「〇」が付された位置B1、B7、B13、B19、B25、B31、B37、B43、B49、B55、B61、及びB67を、基本検査項目に係る試薬容器101を配置する位置とする。
続いて、制御回路8は、基本検査項目以外の検査項目に用いられる第1試薬を収容する試薬容器101の位置を、基本検査項目に係る試薬容器101の位置以外、すなわち位置B1、B7、B13、B19、B25、B31、B37、B43、B49、B55、B61、及びB67以外の位置から決定する。制御回路8は、例えば、図4に示されるように、「△」が付された位置B5、B10、B15、B22、B29、B34、B40、B45、B52、B59、B65、及びB69を、基本検査項目以外の検査項目に係る試薬容器101を配置する位置とする。なお、本実施形態において、基本検査項目以外の検査項目の数は、「△」が付された位置の数に対応する12であるが、12より多くても構わない。
そして、制御回路8は、決定した基本検査項目及び基本検査項目以外の検査項目に係る試薬容器101の位置に関する情報を記憶回路7に記憶する。
制御回路8は、試薬容器ラック203aにおける試薬容器101の位置を決定すると、出力制御機能84を実行する。出力制御機能84の実行により制御回路8は、試薬容器101の位置に関する情報を記憶回路7から読み出す。制御回路8は、試薬容器101の位置に関する情報に基づき、試薬容器ラック203aにおいて、基本検査項目に係る試薬容器101を配置すべき位置、及び基本検査項目以外の検査項目に係る試薬容器101を配置すべき位置を表示回路61に表示する(ステップSA3)。
図5は、本実施形態に係る表示回路61に表示される試薬容器101の位置を示す配置図の例である。図5には、例えば試薬容器ラック203aにおいて、基本検査項目に係る試薬容器101を配置すべき位置、及び基本検査項目以外の検査項目に係る試薬容器101を配置すべき位置が表示されている。
具体的には、図5に示される位置B1、B7、B13、B19、B25、B31、B37、B43、B49、B55、B61、及びB67には、基本検査項目に係る試薬容器101を配置すべき位置を示す記号「〇」がそれぞれ付されて表示されている。また、図5に示される位置B5、B10、B15、B22、B29、B34、B40、B45、B52、B59、B65、及びB69には、基本検査項目以外の検査項目に係る試薬容器101を配置すべき位置を示す記号「△」がそれぞれ付されて表示されている。
また、入力インタフェース回路5を介して図5に示される配置完了ボタン611にカーソルが合わせられると、制御回路8は、リーダ203bに対し、試薬容器ラック203aに保持される試薬容器101に付された光学式マークの読取り開始を指示する。制御回路8は、駆動機構4を制御し、例えば試薬容器ラック203aを回転させながら、試薬容器ラック203aに保持される試薬容器101に付された光学式マークを全て読み取らせる。制御回路8は、リーダ203bが読取った光学式マークに記載された試薬の識別情報を、各試薬容器101が配置された位置を表す情報に関連付けて記憶回路7に記憶する。
図5Aは、本実施形態に係る制御回路8が、各試薬容器101が配置された位置を表す情報に、試薬の識別情報を関連付ける具体例を説明するための図である。図5Aに示されるように、制御回路8は、位置B1、B7、B13、B19、B25、B31、B37、B43、B49、B55、B61、及びB67に対し、基本検査項目に係る検査項目名「A」、「B」、「C」、「D」、「E」、「F」、「G」、「H」、「I」、「J」、「K」、及び「L」を関連付けて記憶回路7に記憶する。また、図5Aに示されるように、制御回路8は、位置B5、B10、B15、B22、B29、B34、B40、B45、B52、B59、B65、及びB69に対し、基本検査項目以外の検査項目に係る検査項目名「M」、「N」、「O」、「P」、「Q」、「R」、「S」、「T」、「U」、「V」、「W」、及び「X」を関連付けて記憶回路7に記憶する。
次に、本実施形態に係る自動分析装置1が、オーダ情報から認識される検査の順序を入れ替えて、入れ替えた検査の順序に従って試料に含まれる所定の成分を測定する流れについて説明する。以下、試薬容器ラック203aに及び試薬容器ラック204aに係る検査の順序の入れ替え方法は同一であるとする。そして、自動分析装置1が試薬容器ラック203aに配置される試薬容器101の位置に基づいて検査の順序を入れ替える場合を例に説明する。
また、検査が依頼された試料に係るオーダ情報は、予め記憶回路7に記憶されているものとする。このとき、オーダ情報には、検査項目名で表される文字列が、検査の順序を認識可能な形式で含まれている。また、オーダ情報には、記憶回路7に記憶されている基本検査項目に係る検査項目名が全て含まれている。
また、試薬容器ラック203aの回転方向の初期値は、例えば反時計回りに設定されているものとする。
また、試薬分注動作に対応するサイクルタイムには、試薬容器ラック203aが制限角度(例えば120度)回転する移動時間と、及び試薬容器ラック204aが制限角度(例えば120度)回転する移動時間とに対応する値が設定されているものとする。このサイクルタイムの値は、試薬容器ラック203a及び試薬容器ラック204aが回転する最大の角度が180度である従来の装置に比べて小さくすることが可能である。
図6は、本実施形態に係る自動分析装置1が、検査の順序を入れ替えてオーダ情報に係る試料に含まれる所定の成分を測定する流れの例を示すフローチャートである。
まず、制御回路8は、記憶回路7から検査が依頼された試料に係るオーダ情報を、先頭から1つ読み出す(ステップSB1)。ここで、制御回路8は、読み出したオーダ情報から、検査項目名で表される文字列を抽出する。これにより、制御回路8は、例えば検査の順序が検査項目名「G→A→H→B→I→C→J→D→K→E→N→Q→X→F→L」の順であると認識する。
制御回路8は、オーダ情報を読み出した後、試薬容器ラック203aの回転方向を設定する(ステップSB2)。具体的には、制御回路8は、読み出したオーダ情報が最初の分析に係るオーダ情報である場合、試薬容器ラック203aの回転方向を初期値である反時計回りに設定する。なお、回転方向の初期値は、時計回りであってもよい。
制御回路8は、試薬容器ラック203aの回転方向が設定された後、測定順序入替機能83を実行する。測定順序入替機能83の実行により、制御回路8は、ステップSB1において読み出したオーダ情報から認識した検査の順序を入れ替える(ステップSB3)。具体的には、制御回路8は、検査項目名が関連付けされた試薬容器101の位置に関する情報を記憶回路7から読み出す。
制御回路8は、読み出した試薬容器101の位置に関する情報と、ステップSB1において認識した検査の順序と、第1試薬吸引位置との関係に基づいて、ステップSB1において認識した検査の順序を入れ替える。以下、制御回路8が検査の順序を入れ替える具体的な例を説明する。
図7は、本実施形態に係る制御回路8が検査の順序を入れ替える方法の例を説明するための図である。図7に示される符号P1は、第1試薬庫203に予め設定される第1試薬吸引位置を表す。
制御回路8は、図7において、試薬容器ラック203aの回転方向の初期値が反時計回りであるため、第1試薬吸引位置P1に最も近い位置「B1」に配置されている試薬容器101に係る検査項目名「A」で表される検査項目を、先頭の検査項目として設定する。続いて、制御回路8は、試薬容器ラック203aが反時計回りに回転された場合に、第1試薬吸引位置に近い順に、すなわち位置「B1→B7→B10→B13→B19→B25→B29→B31→B37→B43→B49→B55→B61→B67→B69」の順に、検査項目に係る第1試薬が吸引できるように、2番目以降の検査項目に係る検査の順序を設定する。制御回路8は、記憶回路7に記憶されている検査の順序を、設定した検査の順序で更新する。
制御回路8は、検査の順序を入れ替えた後、読み出したオーダ情報に係る試料に含まれる所定の成分を、入れ替え後の検査の順序に従って検査項目毎に測定する(ステップSB4)。すなわち、制御回路8は、検査項目毎に、試料分注、試薬分注、撹拌、測光、及び洗浄等に係る一連の動作を実行する。以下、試薬分注に係る動作のうち、試薬容器ラック203aの回動動作について具体的に説明する。
制御回路8は、駆動機構4を制御し、検査項目名「A」に係る最初の検査項目について、1サイクルタイムの間に、試薬容器ラック203aにおける位置B1に配置された試薬容器101を、試薬容器ラック203aを反時計回りに5度回転させることにより、第1試薬吸引位置P1まで移動させる。
試薬容器ラック203aにおける位置B1に配置されていた試薬容器101が第1試薬吸引位置まで移動された後、制御回路8は、駆動機構4を制御し、検査項目名「B」に係る次の検査項目について、次の1サイクルタイムの間に、試薬容器ラック203aにおける位置B7に配置された試薬容器101を、試薬容器ラック203aを反時計回りに30度回転させることにより、第1試薬吸引位置P1まで移動させる。
制御回路8は、検査項目名「N」、「C」、「D」、「E」、「Q」、「F」、「G」、「H」、「I」、「J」、「K」、「L」、及び「X」に係る3番目以降の検査項目についても、検査項目名「A」及び「B」に係る検査項目と同様に、試薬容器ラック203aを回転させる。すなわち、制御回路8は、入れ替え後の検査の順序に従い、1サイクルタイム毎に、試薬容器ラック203aを反時計回りにそれぞれ15度、15度、30度、30度、20度、10度、30度、30度、30度、30度、30度、30度、及び10度回転させる。これにより、試薬容器ラック203aにおける位置B10、B13、B19、B25、B29、B31、B37、B43、B49、B55、B61、B67、及びB69に配置された試薬容器101は、それぞれ第1試薬吸引位置P1まで移動される。このとき、最終的にB69が第1試薬吸引位置P1に位置する。
このように、いずれの検査項目においても試薬容器ラック203aが1サイクルタイム当りに回転移動される角度は、制限角度(本説明では120度としている)を超えることはない。
制御回路8は、読み出したオーダ情報に含まれる全ての検査項目について試料に含まれる所定の成分を測定した後、測定されていない試料が他に存在するか否か判定する(ステップSB5)。
制御回路8は、測定されていない試料が他に存在する場合(ステップSB5のYes)、測定を続行すると判断し、記憶回路7から次のオーダ情報を読み出す(ステップSB1)。ここで、制御回路8は、読み出したオーダ情報から、検査項目名で表される文字列を抽出する。これにより、制御回路8は、例えば検査の順序が検査項目名「G→A→H→B→I→C→J→D→K→E→N→Q→F→L」の順であると認識する。
制御回路8は、オーダ情報を読み出した後、試薬容器ラック203aの回転方向を設定する(ステップSB2)。読み出したオーダ情報が2回目以降に読み出したオーダ情報である場合、制御回路8は、試薬容器ラック203aの回転方向を、設定されている回転方向とは例えば逆の回転方向に設定する。具体的には、制御回路8は、読み出したオーダ情報が2回目以降に読み出したオーダ情報であるため、試薬容器ラック203aの回転方向を、初期値である反時計回りとは逆である時計回りに設定する。これにより、例えば、試薬容器ラック203aを回転させる駆動機構4が備えるギア等の劣化を抑えることができる。
制御回路8は、試薬容器ラック203aの回転方向が設定された後、測定順序入替機能83を実行する。測定順序入替機能83の実行により、制御回路8は、読み出したオーダ情報から認識した検査の順序を入れ替える(ステップSB3)。具体的には、制御回路8は、検査項目名が関連付けされた試薬容器101の位置に関する情報を記憶回路7から読み出す。
制御回路8は、読み出した試薬容器101の位置に関する情報と、ステップSB1において認識した検査の順序と、第1試薬吸引位置との関係に基づいて、1サイクルタイム当りの試薬容器ラック203aの回転角度が制限角度以下となるように、ステップSB1において認識した検査の順序を入れ替える。
制御回路8は、図7において、例えば、試薬容器ラック203aの回転方向が時計回りであるため、第1試薬吸引位置P1に最も近い位置「B67」に配置されている試薬容器101に係る検査項目名「L」で表される検査項目を、先頭の検査項目として設定する。続いて、制御回路8は、試薬容器ラック203aが時計回りに回転された場合に、第1試薬吸引位置に近い順に、すなわち位置「B67→B61→B55→B49→B43→B37→B31→B29→B25→B19→B13→B10→B7→B1」の順に、検査項目に係る第1試薬が吸引できるように、2番目以降の検査項目に係る検査の順序を設定する。制御回路8は、記憶回路7に記憶されている検査の順序を、設定した検査の順序で更新する。
制御回路8は、検査の順序を入れ替えた後、入れ替え後の検査の順序に従って読み出したオーダ情報に係る試料に含まれる所定の成分を検査項目毎に測定する(ステップSB4)。すなわち、制御回路8は、検査項目毎に、試料分注、試薬分注、撹拌、測光、及び洗浄等に係る一連の動作を実行する。以下、試薬分注に係る動作のうち、試薬容器ラック203aの回動動作について具体的に説明する。
制御回路8は、駆動機構4を制御し、検査項目名「L」に係る最初の検査項目について、1サイクルタイムの間に、試薬容器ラック203aにおける位置B67に配置された試薬容器101を、試薬容器ラック203aを時計回りに10度回転させることにより、第1試薬吸引位置P1まで移動させる。
試薬容器ラック203aにおける位置B67に配置されていた試薬容器101が第1試薬吸引位置P1まで移動された後、制御回路8は、駆動機構4を制御し、検査項目名「K」に係る次の検査項目について、次の1サイクルタイムの間に、試薬容器ラック203aにおける位置B61に配置された試薬容器101を、試薬容器ラック203aを時計回りに30度回転させることにより、第1試薬吸引位置P1まで移動させる。
制御回路8は、検査項目名「J」、「I」、「H」、「G」、「F」、「Q」、「E」、「D」、「C」、「N」、「B」、及び「A」に係る3番目以降の検査項目についても、検査項目名「L」及び「K」に係る検査項目と同様に、試薬容器ラック203aを回転させる。すなわち、制御回路8は、入れ替え後の検査の順序に従い、1サイクルタイム毎に、試薬容器ラック203aを時計回りにそれぞれ30度、30度、30度、30度、30度、10度、20度、30度、30度、15度、15度、及び30度回転させる。これにより、試薬容器ラック203aにおける位置B55、B49、B43、B37、B31、B29、B25、B19、B13、B10、B7、及びB1に配置された試薬容器101は、それぞれ第1試薬吸引位置P1まで移動される。
制御回路8は、測定されていない試料が他に存在しない場合(ステップSB5のNo)、測定を終了する。
上記実施形態によれば、制御回路8は、例えば基本検査項目に係る複数の試薬容器101のうち、隣接する2つの試薬容器101の間の角度が制限角度以下となるように、基本検査項目に係る試薬容器101の試薬容器ラック203aにおける位置、及び、基本検査項目に係る試薬容器102の試薬容器ラック204aにおける位置を決定する。制御回路8は、位置が決定された複数の試薬容器101の試薬容器ラック203aにおける配列、及び/又は、位置が決定された複数の試薬容器102の試薬容器ラック204aにおける配列に従うように、検査項目に係る検査の順序を入れ替える。
これにより、例えば第1試薬庫203における試薬分注動作に対し、試薬容器ラック203aが回動される角度を制限角度以下(このとき制限角度は180度未満である)に制限することが可能となる。このため、試薬分注動作に割り当てられる1サイクルタイムを、回転角度が制限されない場合の最大回転角度180度であるときのサイクルタイムよりも小さくすることが可能となる。
したがって、試薬を収容する試薬容器を保持する試薬庫の回転速度を上げることなく、測定スループットを向上させることが可能となる。
また、上記実施形態によれば、制御回路8は、例えば、基本検査項目以外の検査項目に係る試薬容器101が、決定した基本検査項目に係る試薬容器101の位置の間に配置されるように、基本検査項目以外の検査項目に係る試薬容器101の試薬容器ラック203aにおける位置を決定する。これにより、例えば、基本検査項目以外の検査項目に係る試薬容器101について、当該試薬容器101と隣接する試薬容器101との間隔を必ず制限角度以下にすることが可能となる。
また、通常、測定スループット向上のためにサイクルタイムを小さく設定した場合、試薬容器ラック203a及び試薬容器ラック204aの回転に割り当てられる時間は小さくなる。そして、この割り当てられた時間内に、試薬容器ラック203a及び試薬容器ラック204aを最大180度回転させる必要がある。このため、試薬容器ラック203a及び試薬容器ラック204aの回転速度を上げる必要がある。本実施形態では、試薬容器ラック203a及び試薬容器ラック204aが1サイクルタイムで回転する角度に制限を設け、制限した角度に対応するサイクルタイムを設定するため、回転速度を上げる必要はない。
これにより、試薬容器ラック203a及び試薬容器ラック204aの回転速度を上げるために高トルクなモータを使用する必要がなくなる。また、本実施形態では、測定スループットを上げつつ、試薬容器ラック203aに保持される試薬容器101が収容する第1試薬、及び試薬容器ラック204aに保持される試薬容器102が収容する第2試薬の泡立ちの発生を抑止することができる。さらに、高速で回転している試薬容器ラック203a及び試薬容器ラック204aが停止する際に問題となる第1試薬及び第2試薬の波打ちが収まるまでの時間、すなわちセトリング時間の発生の問題も抑止できる。
また、本実施形態では、サイクルタイムを変えない場合、回転角度を制限することにより試薬容器ラック203a及び試薬容器ラック204aの回転速度を下げることができる。これにより、本実施形態では、モータの小型化、及び消費電力の削減を実現できる。
なお、例えば再検査等で基本項目の全てあるいは一部が検査されないことにより、試薬容器ラック203a及び試薬容器ラック204aの1サイクルタイム当りの回転角度が制限角度を超える場合がある。以下、1サイクルタイム当りの回転角度が制限角度を超える場合について説明する。
図8は、本実施形態において、1サイクルタイム当りの回転角度が制限角度を超える場合に対応する自動分析装置1Aの構成を示す図である。自動分析装置1Aは、分析機構2、解析回路3、駆動機構4、入力インタフェース回路5、出力インタフェース回路6、記憶回路7、及び制御回路8Aを備える。
制御回路8Aは、記憶回路7から読み出した動作プログラムを実行することで、図8に示される各種機能を実現する。すなわち、制御回路8Aは、システム制御機能81、位置決定機能82、測定順序入替機能83、出力制御機能84、判定機能85、及び空きサイクル設定機能86を備える。
判定機能85は、1サイクルタイム当りの試薬容器ラック203a及び試薬容器ラック204aの回転角度が、所定の制限角度より大きいか否か判定する機能である。判定機能85が実行されると、制御回路8Aは、例えば、測定順序入替機能83により入れ替えられた検査の順序で並べられた検査項目のうち、測定の順番が到来した検査項目に係る試薬容器101が配置される位置から第1試薬吸引位置P1までの回転角度が、所定の制限角度より大きいか否か判定する。
空きサイクル設定機能86は、1サイクルタイム当りの試薬容器ラック203a及び試薬容器ラック204aの回転角度が必ず制限角度以下となるように空きサイクルを設定する機能である。空きサイクル設定機能86は、判定機能85により、測定の順番が到来した検査項目に係る試薬容器101の回転角度が制限角度より大きいと判定された場合に実行される。空きサイクル設定機能86が実行されると、制御回路8Aは、例えば、測定の順番が到来した検査項目に係る試薬容器を前記試薬吸引位置に向けて回転するための空きサイクルに係る時間を新たに設定する。
空きサイクルは、試薬の吸引、及び吐出をしないサイクル、すなわち試料の測定をしないサイクルである。制御回路8Aは、この空きサイクルの間に試薬容器ラック203a及び試薬容器ラック204aを回転させる。空きサイクルとして設定された1サイクルタイムの間は、例えば試薬の吸引、及び吐出以外の動作は実施される。試薬の吸引、及び吐出以外の動作とは、例えば、反応管2011の洗浄等の動作である。
次に、1サイクルタイム当りの回転角度が制限角度を超える場合の自動分析装置1Aの動作について説明する。なお、以下の説明では、検査項目名「Z」に係る検査項目1つについて測定が必要であり、検査項目名「Z」に係る検査項目についての試薬容器101が保持されている位置が、測定直前の時点で、第1試薬吸引位置P1から180度離れているものとする。
図9は、本実施形態において、1サイクルタイム当りの回転角度が制限角度を超える場合に、自動分析装置1Aが、空きサイクルタイムを設定して試料に含まれる所定の成分を測定する流れを示すフローチャートである。
制御回路8Aは、例えば図6に示されるステップSB3において検査の順序を入れ替えた後、判定機能85を実行する。判定機能85の実行により、制御回路8Aは、制限角度である120度より大きい回転角度が必要な検査項目が存在するか否か判定する(ステップSC1)。具体的には、制御回路8Aは、第1試薬吸引位置と検査項目名「Z」に係る検査項目についての試薬容器101が配置されている位置との間の角度が120度より大きいか否か判定する。
このとき、制御回路8Aは、例えば検査項目名が関連付けされた試薬容器101の位置に関する情報、及び測定順序入替機能83により入れ替えられた検査の順序を記憶回路7から読み出す。制御回路8は、読み出した試薬容器101の位置に関する情報検査の順序、及び第1試薬吸引位置P1の位置との関係に基づいて、第1試薬吸引位置と検査項目名「Z」に係る検査項目についての試薬容器101が配置されている位置との間の角度が制限角度120度より大きいか否か判定する。
図10は、実施形態において、1サイクルタイム当りの回転角度が制限角度を超える場合に、制御回路が、空きサイクルを設けることにより1サイクルタイム当りの回転角度を制限角度以下とできることを説明するための図である。図10に示されるように、例えば、制御回路8Aは、検査項目名「X」に係る検査項目に係る試薬容器101は、「×」が付された位置B36に位置すると認識する。制御回路8Aは、位置B36と第1試薬吸引位置Pとの間の角度は、180度であると認識する。
制御回路8Aは、第1試薬吸引位置と検査項目名「Z」に係る検査項目について、第1試薬が収容される試薬容器101が配置される位置との間の角度が180度であるため、制限角度である120度より大きい回転角度が必要な検査項目が存在すると判定し、空きサイクル設定機能86を実行する(ステップSC1のYes)。
空きサイクル設定機能86の実行により制御回路8Aは、例えば検査項目名「Z」に係る検査項目についての試薬分注動作に割り当てられるサイクルタイムの前に、1サイクルタイム分の空きサイクルを設定する(ステップSC2)。
制御回路8Aは、検査の順序の入れ替え、及び空きサイクルの設定の後、読み出したオーダ情報に係る試料に含まれる所定の成分を、入れ替え後の順序に従って検査項目毎に測定する(ステップSC3)。
図10に示されるように、制御回路8Aは、駆動機構4を制御し、ステップSC2において設定された1サイクルタイム分の空きサイクルの間に、試薬容器ラック203aにおける位置B36に配置されている検査項目名「Z」に係る検査項目についての試薬容器101を、試薬容器ラック203aにより角度θA、例えば制限角度である120度だけ回転させる。そして、制御回路8Aは、角度θAだけ回転された試薬容器101を、次のサイクルで試薬容器ラック203aにより角度θB、例えば残りの60度回転させ、第1試薬吸引位置P1まで移動させる。
このように、制御回路8Aは、第1試薬吸引位置P1と検査項目名「Z」に係る検査項目についての試薬容器101が配置される位置との間の角度が制限角度の120度より大きい場合、例えば検査項目名「Z」に係る検査項目についての試薬分注動作に割り当てられるサイクルタイムの前に、1サイクルタイム分の空きサイクルを設定する。制御回路8Aは、設定した1サイクルタイム分の空きサイクルタイムの間に、駆動機構4を制御し、試薬容器ラック203aを制限角度である120度回転させる。これにより、1サイクルタイム当りの試薬容器ラック203aの回転角度を必ず制限角度の120度以下に制限することが可能となる。
なお、1サイクルタイム分の空きサイクルタイムを設定しても、1サイクルタイム当りの試薬容器ラック203aの回転角度、及び/又は、試薬容器ラック204aの回転角度を制限角度以下にできない場合、制御回路8Aは、1サイクルタイム分の空きサイクルを複数設定してやればよい。そして、制御回路8Aは、空きサイクルとして設定した1サイクルタイム毎に、試薬容器ラック203a、及び/又は、試薬容器ラック204aを制限角度以下である所定の角度だけそれぞれ回転させる。これにより、空きサイクルの数を調整して1サイクルタイム当りの試薬容器ラック203aの回転角度及び試薬容器ラック204aの回転角度を必ず制限角度以下にすることが可能となる。
[他の実施形態]
なお、この発明は上記実施形態に限定されるものではない。例えば、上記実施形態において、制御回路8は、1つの試料に係るオーダ情報を1つ読み込む毎に測定を実施していたがこれに限定されない。すなわち、制御回路8は、複数のオーダ情報を読込み、複数のオーダ情報に係る試料すべてについて、検査の順序を入れ替えた後に、測定を実施してもよい。
また、上記実施形態において、制御回路8は、例えば位置決定機能82により決定した試薬容器ラック203aにおける試薬容器101の位置を表示回路61に表示させることにより、操作者に試薬容器101の配置を促して試薬容器ラック203aに試薬容器101が配置されるようにしていたが、これに限定されない。例えば、試薬容器101を試薬容器ラック203aに配置することが可能なロボットアームを導入することが考えられる。
このとき、制御回路8は、位置決定機能82により決定した試薬容器ラック203aにおける試薬容器101の位置に従い、ロボットアームにより試薬容器101を試薬容器ラック203aに配置する。これにより、操作者が試薬容器101を試薬容器ラック203aに配置する負担を軽減することが可能となる。なお、制御回路8は、ロボットアームにより試薬容器102を試薬容器ラック204aに配置してもよい。
また、上記実施形態において、制御回路8は、例えば試薬容器ラック203aにおける試薬容器101の位置に関する情報に基づき、試薬容器ラック203aにおいて試薬容器101を配置すべき位置を表示回路61に表示させていたがこれに限定されない。制御回路8は、例えば、試薬容器ラック203aにおいて試薬容器101を配置すべき位置に加えて、各試薬容器101に対応する試薬名を表示回路61に表示させてもよい。また、制御回路8は、例えば、試薬容器ラック204aにおいて試薬容器102を配置すべき位置に加えて、各試薬容器102に対応する試薬名を表示回路61に表示させてもよい。
また、上記実施形態において、例えば試薬容器ラック203aには、全て予備ではない基本検査項目に係る試薬容器101が配置されていたがこれに限定されない。すなわち、例えば試薬容器ラック203aには、基本検査項目に係る試薬容器101の予備となるボトルわたり用の試薬容器101が配置されてもよい。これにより、例えば基本検査項目に係る試薬容器101に収容される第1試薬が不足したとしても、試薬容器101を交換することなく、検査が依頼された試料に含まれる所定の成分の測定を続行することが可能となる。
また、上記実施形態において、制御回路8は、キャリーオーバの発生は考慮せずに試薬容器ラック203a及び試薬容器ラック204aにおける試薬容器101及び試薬容器102の位置をそれぞれ決定していたがこれに限定されない。制御回路8は、キャリーオーバの発生を考慮し、例えば試薬キャリーオーバペアとなる試薬を収容する試薬容器の間にキャリーオーバに影響しない基本検査項目に係る試薬容器が配置されるように、試薬容器ラック203a及び試薬容器ラック204aにおける試薬容器101及び試薬容器102の位置をそれぞれ決定してもよい。これにより、キャリーオーバの発生を回避できる。
また、上記実施形態では、回転方向順に検査項目を並べ替える例を一例として説明したがこれに限定されない。例えば、制限角度内に収まる順番であれば、どのような方法で検査項目の順を並べ替えても構わない。
すなわち、基本測定項目のうち、少なくとも一部の基本検査項目について測定されない場合がある。このとき、制御回路8は、制限角度である120度より大きい回転角度が必要な検査項目が存在する場合には、当該検査項目に係る検査が依頼されている試料に係る検査項目全部の試薬分注動作に対し、サイクルタイムを別途設定するようにしてもよい。別途設定されるサイクルタイムは、制限角度に対応して設定されているサイクルタイムより大きく、例えば試薬容器ラック203aが180度回転する移動時間に対応するサイクルタイムである。
上記説明において用いた「プロセッサ」という文言は、例えば、CPU(central processing unit)、GPU(Graphics Processing Unit)、或いは、特定用途向け集積回路(Application Specific Integrated Circuit:ASIC))、プログラマブル論理デバイス(例えば、単純プログラマブル論理デバイス(Simple Programmable Logic Device:SPLD)、複合プログラマブル論理デバイス(Complex Programmable Logic Device:CPLD)、及びフィールドプログラマブルゲートアレイ(Field Programmable Gate Array:FPGA))等の回路を意味する。プロセッサは記憶回路に保存されたプログラムを読み出し実行することで機能を実現する。なお、本実施形態の各プロセッサは、プロセッサごとに単一の回路として構成される場合に限らず、複数の独立した回路を組み合わせて1つのプロセッサとして構成し、その機能を実現するようにしてもよい。さらに、図1、及び図8における複数の構成要素を1つのプロセッサへ統合してその機能を実現するようにしてもよい。
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。