[第1の実施形態]
以下、図面を参照しながら本実施形態に係わる自動分析装置を説明する。
図1は、本実施形態に係る自動分析装置1の構成を示す図である。自動分析装置1は、分析機構2、解析回路3、駆動機構4、入力インタフェース回路5、出力インタフェース回路6、記憶回路7、及び制御回路8を備える。
分析機構2は、標準試料又は被検試料等の試料と、この試料に設定された各検査項目で用いられる試薬とを混合する。分析機構2は、試料と試薬との混合液を測定し、例えば吸光度で表される標準データ、及び被検データを生成する。
解析回路3は、分析機構2により生成された標準データ及び被検データに基づいて検量データ及び分析データ等を解析するプロセッサである。解析回路3は、記憶回路7から動作プログラムを読み出し、動作プログラムに従って検量データ及び分析データ等を生成する。例えば、解析回路3は、標準データと、標準試料に予め設定された標準値との関係を示す検量データを生成する。また、解析回路3は、被検データと、この被検データに対応する検査項目の検量データとに基づいて、濃度値及び酵素の活性値として表される分析データを生成する。解析回路3は生成した検量データ及び分析データ等を制御回路8へ出力する。
駆動機構4は、ギア、ステッピングモータ、ベルトコンベア、及びリードスクリュー等により実現される。駆動機構4は、制御回路8の制御に従い、分析機構2を駆動させる。
入力インタフェース回路5は、例えば、マウス、キーボード、及び、操作面へ触れることで指示が入力されるタッチパッド等により実現される。入力インタフェース回路5は、例えば、操作者から測定を依頼された試料に係る各検査項目の分析パラメータ等の設定を受け付ける。入力インタフェース回路5は、制御回路8に接続され、操作者から入力される操作指示を電気信号へ変換し、電気信号を制御回路8へ出力する。なお、本明細書において入力インタフェース回路5はマウス及びキーボード等の物理的な操作部品を備えるものだけに限られない。例えば、自動分析装置1とは別体に設けられた外部の入力機器から入力される操作指示に対応する電気信号を受け取り、この電気信号を制御回路8へ出力する電気信号の処理回路も入力インタフェース回路5の例に含まれる。
出力インタフェース回路6は、例えばCRTディスプレイ、液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイ、及びプラズマディスプレイ等の表示回路61、並びに、プリンタ等の印刷回路62を含む。出力インタフェース回路6は、制御回路8に接続され、制御回路8から供給される信号を出力する。
表示回路61は、例えば、制御回路8から供給される検量データ及び分析データを表示する。また、表示回路61は、制御回路8から供給される、洗浄液の量(以下、洗浄液量と称する。)に関するエラー情報を表示する。また、表示回路61は、洗浄液量の異常検出の条件を設定するための設定画面を表示する。また、表示回路61は、洗浄液量に関する所定のエラー通知画面を表示する。
印刷回路62は、制御回路8から供給される検量データ及び分析データを、予め設定されたフォーマットに従ってプリンタ用紙等に印刷する。また、印刷回路62は、制御回路8から供給される詰まりエラー報告を、予め設定されたフォーマットに従ってプリンタ用紙等に印刷する。
記憶回路7は、磁気的若しくは光学的記録媒体又は半導体メモリ等の、プロセッサにより読み取り可能な記録媒体等を含む。記憶回路7は、解析回路3で実行される動作プログラム、及び制御回路8で実行される動作プログラムを記憶する。記憶回路7は、解析回路3により生成される検量データを検査項目毎に記憶する。記憶回路7は、解析回路3により生成される分析データを被検試料毎に記憶する。また、記憶回路7は、洗浄液の量の異常を検出する異常検出処理で用いられる基準値データを記憶する。洗浄液は、分析機構2が備える反応ディスク201に保持される反応管2011を洗浄する際に用いられる。異常検出処理は、洗浄液量が異常であるか否かを検出する処理であり、所定のタイミング、例えば装置起動時等に実行される。なお、通常の測定動作中に、洗浄液量が減少したことを検知することは難しいため、異常検出処理は、通常の測定動作とは別のタイミングで実行される。また、基準値データは、洗浄液量が異常であるか否かを検出する際に用いられる基準値であって、例えば、吸光度、又は透過光量等で表される。
制御回路8は、自動分析装置1の中枢として機能するプロセッサである。制御回路8は、記憶回路7に記憶されている動作プログラムを実行することで、この動作プログラムに対応する機能を実現する。
図2は、図1に示される分析機構2の構成の一例を示す斜視図である。図2に示される分析機構2は、反応ディスク201、サンプルディスク202、第1試薬庫203、試薬ラック203a、第2試薬庫204、及び試薬ラック204aを備える。
反応ディスク201は、環状に配列された複数の反応管2011を保持する。反応ディスク201は、既定の時間間隔で回動と停止とを交互に繰り返す。反応管2011は、例えば、ガラスにより形成されている。
サンプルディスク202は、反応ディスク201の近傍に設けられている。サンプルディスク202は、回動することで、例えば血液等の試料が収容された試料容器100を複数保持する。サンプルディスク202は、分注対象の試料が収容された試料容器100を試料吸入位置に移動させる。
第1試薬庫203は、標準試料及び被検試料の各試料に含まれる所定の成分と反応する第1試薬を収容する試薬容器101を保冷する。第1試薬庫203内には、試薬ラック203aが回転自在に設けられている。試薬ラック203aは、複数の試薬容器101を保持する。また、試薬ラック203aは、洗浄液量の異常検出に使用する溶液が収容された所定の専用容器も保持する。洗浄液量の異常検出に使用する溶液は、例えば、洗浄液に所定の色を付加する色素剤である。色素剤は、例えば、オレンジG溶液である。以下では、洗浄液量の異常検出に使用する溶液をオレンジG溶液であるとして説明する。なお、オレンジG溶液を収容する専用容器は、試薬ラック204a又はサンプルディスク202に保持されていてもよい。
第2試薬庫204は、例えば、2試薬系の第1試薬と対をなす第2試薬を収容する試薬容器102を保冷する。第2試薬庫204内には、試薬ラック204aが回転自在に設けられている。試薬ラック204aは、複数の試薬容器102を保持する。
また、図2に示される分析機構2は、サンプル分注アーム205、サンプル分注プローブ206、洗浄槽206a、第1試薬分注アーム207、第1試薬分注プローブ208、洗浄槽208a、第2試薬分注アーム209、第2試薬分注プローブ210、洗浄槽210a、第1撹拌アーム211、第1撹拌子212、洗浄槽212a、第2撹拌アーム213、第2撹拌子214、及び洗浄槽214aを備える。
サンプル分注アーム205は、反応ディスク201とサンプルディスク202との間に、鉛直方向には上下動自在に、水平方向には回動自在に設けられている。サンプル分注アーム205は、一端にサンプル分注プローブ206を保持する。サンプル分注アーム205は、駆動機構4によって回動される。サンプル分注アーム205の回動に伴って、サンプル分注プローブ206は、円弧状の回動軌道に沿って回動する。この回動軌道上には、サンプル分注プローブ206が試料容器100から試料を吸引するサンプル吸引位置が設定されている。また、当該回動軌道上のサンプル吸引位置とは異なった位置には、サンプル分注プローブ206が吸引した試料を反応管2011へ吐出するサンプル吐出位置が設定されている。さらに、この回動軌道上のサンプル吸引位置、サンプル吐出位置とは異なった位置には、サンプル分注プローブ206が洗浄される洗浄位置が設定されている。洗浄位置には、サンプル分注プローブ206を洗浄する洗浄槽206aが設けられている。サンプル分注プローブ206の回動軌跡は、サンプルディスク202に保持されている試料容器100の移動軌跡、反応ディスク201に保持されている反応管2011の移動軌跡それぞれと交差している。それぞれの移動軌跡との交差点が、サンプル吸引位置、サンプル吐出位置である。
サンプル分注プローブ206は、駆動機構4によって駆動され、サンプル吸引位置、サンプル吐出位置、洗浄位置において上下方向に移動する。また、サンプル分注プローブ206は、制御回路8の制御に従い、サンプル吸引位置に位置する試料容器100から試料を吸引する。また、サンプル分注プローブ206は、制御回路8の制御に従い、吸引した試料を、サンプル吐出位置に位置する反応管2011へ吐出する。
第1試薬分注アーム207は、反応ディスク201の外周近傍に、鉛直方向には上下動自在に、水平方向には回動自在に設けられている。第1試薬分注アーム207は、一端に第1試薬分注プローブ208を保持する。第1試薬分注アーム207は、駆動機構4によって回動される。第1試薬分注アーム207が回動されることにより、第1試薬分注プローブ208は、円弧状の回動軌道に沿って回動される。この回動軌道上には、第1試薬分注プローブ208が、第1試薬庫203に配置される試薬容器101から各検査項目に対応する第1試薬を吸引する第1試薬吸引位置と、吸引した第1試薬を反応管2011へ吐出する第1試薬吐出位置とが設定されている。第1試薬分注プローブ208の回動軌跡は、第1試薬庫203内の試薬ラック203aに保持されている試薬容器101(の試薬吸引口)の移動軌跡、反応ディスク201に保持されている反応管2011の移動軌跡それぞれと交差している。それぞれの移動軌跡との交差点が、第1試薬吸引位置、第1試薬吐出位置である。
また、回動軌道上には、第1試薬分注プローブ208が洗浄される洗浄位置が設定されている。この洗浄位置には、第1試薬分注プローブ208を洗浄する洗浄槽208aが設けられている。洗浄槽208aは、第1試薬分注プローブ208を各検査項目に対応する第1試薬の分注終了毎に洗浄する。
第1試薬分注プローブ208は、駆動機構4によって駆動され、回動軌道上の第1試薬吸引位置、及び第1試薬吐出位置において上下方向に移動する。また、第1試薬分注プローブ208は、制御回路8の制御に従い、第1試薬吸引位置に位置する試薬容器101から第1試薬を吸引する。第1試薬分注プローブ208は、制御回路8の制御に従い、吸引した第1試薬を、第1試薬吐出位置に位置する反応管2011へ吐出する。また、第1試薬分注プローブ208は、制御回路8の制御に従い、第1試薬吸引位置に位置する専用容器からオレンジG溶液を吸引する。第1試薬分注プローブ208は、制御回路8の制御に従い、吸引したオレンジG溶液を、第1試薬吐出位置に位置する反応管2011へ吐出する。
第2試薬分注アーム209は、反応ディスク201と第2試薬庫204との間に、鉛直方向には上下動自在に、水平方向には回動自在に設けられている。第2試薬分注アーム209は、一端に第2試薬分注プローブ210を保持する。第2試薬分注アーム209は、駆動機構4によって回動される。第2試薬分注アーム209が回動されることにより、第2試薬分注プローブ210は、円弧状の回動軌道に沿って回動される。この回動軌道上には、第2試薬分注プローブ210が、第2試薬庫204内に配置される試薬ラック204aに保持される試薬容器102から各検査項目に対応する第2試薬を吸引する第2試薬吸引位置と、吸引した第2試薬を反応管2011へ吐出する第2試薬吐出位置とが設定されている。第2試薬分注プローブ210の回動軌跡は、第2試薬庫204内の試薬ラック204aに保持されている試薬容器101(の試薬吸引口)の移動軌跡、反応ディスク201に保持されている反応管2011の移動軌跡それぞれと交差している。それぞれの移動軌跡との交差点が、第2試薬吸引位置、第2試薬吐出位置である。
また、回動軌道上には、第2試薬分注プローブ210が洗浄される洗浄位置が設定されている。この洗浄位置には、第2試薬分注プローブ210を洗浄する洗浄槽210aが設けられている。洗浄槽210aは、第2試薬分注プローブ210を各検査項目に対応する第2試薬の分注終了毎に洗浄する。
第2試薬分注プローブ210は、駆動機構4によって駆動され、回動軌道上の第2試薬吸引位置、及び第2試薬吐出位置において上下方向に移動する。また、第2試薬分注プローブ210は、制御回路8の制御に従い、第2試薬吸引位置に位置する試薬容器102から第2試薬を吸引する。また、第2試薬分注プローブ210は、制御回路8の制御に従い、吸引した第2試薬を、第2試薬吐出位置に位置する反応管2011へ吐出する。
第1撹拌アーム211、及び第2撹拌アーム213は、反応ディスク201の外周近傍に設けられている。第1撹拌アーム211の先端には第1撹拌子212が設けられている。第1撹拌アーム211は、第1撹拌子212を保持し、鉛直方向に上下動自在である。また、第1撹拌アーム211は、水平方向に回動自在で、第1撹拌子212を円弧状の回動軌道に沿って移動させることが可能である。第1撹拌子212は、駆動機構4によって駆動され、反応ディスク201上の第1撹拌位置、及び反応ディスク201脇に設けられている洗浄位置において上下方向に移動する。第1撹拌子212は、反応ディスク201上の第1撹拌位置に配置された反応管2011内の試料と第1試薬との混合液を撹拌する。
洗浄位置は、第1撹拌子212の回転軌道上にあり、そこには、第1撹拌子212を洗浄する洗浄槽212aが設けられている。洗浄槽212aでは、試料と第1試薬との混合液を撹拌した第1撹拌子212が洗浄される。また、洗浄槽212aは、第1撹拌子212を洗浄液とオレンジG溶液との混合液を撹拌した第1撹拌子212が洗浄される。
第2撹拌アーム213の先端には第2撹拌子214が設けられている。第2撹拌アーム213は、第2撹拌子214を保持し、鉛直方向に上下動自在である。また、第2撹拌アーム213は、水平方向に回動自在で、第2撹拌子214を円弧状の回動軌道に沿って移動させることが可能である。第2撹拌子214は、駆動機構4によって駆動され、反応ディスク201上の第2撹拌位置、及び反応ディスク201脇に設けられている洗浄位置において上下方向に移動する。第2撹拌子214は、反応ディスク201上の第2撹拌位置に配置された反応管2011内の試料と第1試薬と第2試薬との混合液を撹拌する。
洗浄位置は、第2撹拌子214の回転軌道上にあり、そこには、第2撹拌子214を洗浄する洗浄槽214aが設けられている。洗浄槽214aでは、試料と第1試薬と第2試薬との混合液を撹拌した第2撹拌子214が洗浄される。
また、図2に示される分析機構2は、測光ユニット220、及び洗浄機構230を備える。
測光ユニット220は、反応管2011内に吐出された試料及び試薬の混合液等に光を照射し、当該混合液等を通過した光を光学的に測定する。測光ユニット220は、光源、及び光検出器を有する。測光ユニット220は、制御回路8の制御に従い、光源から反応管2011へ光を照射する。光検出器は、反応管2011内の標準試料と試薬との混合液、又は被検試料と試薬との混合液を通過した光を検出する。そして、光検出器は、検出した光の強度に基づいて例えば吸光度で表される標準データ又は被検データを生成する。また、測光ユニット220は、オレンジG溶液と洗浄液との混合液を通過した光を検出する。そして、光検出器は、検出した光の強度に基づいて例えば吸光度で表されるメンテナンスデータを生成する。測光ユニット220は、生成した標準データ、被検データ、及びメンテナンスデータを、解析回路3へ出力する。
図3は、洗浄機構230の構成の一例を示した図である。洗浄機構230は、洗浄液供給ユニット240、洗浄ノズル群250、排液ユニット260、流量調整ユニット270、三方電磁弁281、三方電磁弁282、三方電磁弁291、及び三方電磁弁292を備える。また、洗浄機構230は、反応管2011の洗浄に用いる、例えばアルカリ性洗剤を収容する洗剤容器103、及び酸性洗剤を収容する洗剤容器104を備えている。
洗浄ノズル群250は、所定の配管を備えるノズルの集合である。洗浄ノズル群250は、第1のノズル251乃至第8のノズル258を含む。第1のノズル251、第2のノズル252、第3のノズル253、第4のノズル254、第5のノズル255、第6のノズル256、第7のノズル257、及び第8のノズル258は、図3に示される、反応ディスク201に保持される反応管2011を洗浄するために設定されている洗浄位置W1、W2、W3、W4、W5、B、W7、及びW8の上方にそれぞれ設けられている。第1のノズル251乃至第8のノズル258は、制御回路8の制御に従い、上下方向に移動する。
洗浄液供給ユニット240は、第1の供給ポンプ241、第2の供給ポンプ242、及び第3の供給ポンプ243を有する。
第1の供給ポンプ241は、純水装置300で精製された純水を吸引する。第1の供給ポンプ241は、吸引した純水を洗浄液として流量調整ユニット270に供給する。
第2の供給ポンプ242は、純水装置300及び洗剤容器103から純水及びアルカリ性洗剤を三方電磁弁281を介して吸引し、吸引したアルカリ性洗剤を純水で希釈した希釈液を生成する。なお、三方電磁弁281、及び、図3に示される三方電磁弁271、282、291、及び292に付されている「NO(ノーマルオープン)」の記号は、その電磁弁が非通電時には開状態となっており、通電時には閉状態となる電磁弁であることを示す。また、「NC(ノーマルクローズ)」は、その電磁弁が非通電時には閉状態となっており、通電時に開状態となる電磁弁であることを示す。また、「COM(共通孔)」は、その電磁弁が共通弁であることを示す。第2の供給ポンプ242は、生成した希釈液をアルカリ性洗浄液として、三方電磁弁281及び三方電磁弁282を介して第3のノズル253に供給する。これにより、第3のノズル253からアルカリ性洗浄液が洗浄位置W3に位置する反応管2011に吐出される。
第3の供給ポンプ243は、純水装置300及び洗剤容器104から純水及び酸性洗剤を、三方電磁弁291を介して吸引し、吸引した酸性洗剤を純水で希釈した希釈液を生成する。第3の供給ポンプ243は、生成した希釈液を酸性洗浄液として、三方電磁弁291及び三方電磁弁292を介して、第2のノズル252に供給する。これにより、第2のノズル252から酸性洗浄液が洗浄位置W2に位置する反応管2011に吐出される。
流量調整ユニット270は、第1の供給ポンプ241から供給される洗浄液を、第1のノズル251、第4のノズル254、第5のノズル255、及び第6のノズル256に所定量供給する。流量調整ユニット270は、三方電磁弁271及び流量調整弁272を備える。三方電磁弁271では、制御回路8の制御に従い、「NC」が付された電磁弁が所定の時間開状態となる。また、流量調整弁272は、操作者等により手動で開閉度が調整される。これにより、第1のノズル251、第4のノズル254、第5のノズル255、及び第6のノズル256に所定量の洗浄液が供給されることとなる。供給された洗浄液は、第1のノズル251、第4のノズル254、第5のノズル255、及び第6のノズル256から洗浄位置W1、W4、W5、及びBに位置する反応管2011にそれぞれ吐出される。
排液ユニット260は、第1の排液ポンプ261、及び第2の排液ポンプ262を有する。第1の排液ポンプ261は、例えば洗浄位置W1、W2、W3、W4、W5、B、及びW7で停止する反応管2011内に収容された所定の液体を、第1のノズル251、第2のノズル252、第3のノズル253、第4のノズル254、第5のノズル255、第6のノズル256、及び第7のノズル257によりそれぞれ吸引する。第1の排液ポンプ261は、吸引した液体を排液タンクへ排液する。また、第2の排液ポンプ262は、洗浄位置W8で停止する反応管2011に収容された所定の液体を、第8のノズル258により吸引する。第2の排液ポンプ262は、吸引した液体を排液タンクへ排液する。
本実施形態に係る制御回路8は、記憶回路7から読み出した動作プログラムを実行することで、図1に示される各種機能を実現する。すなわち、制御回路8は、システム制御機能81、判定機能82、及び出力制御機能83を備える。なお、本実施形態では、単一のプロセッサによってシステム制御機能81、判定機能82、及び出力制御機能83が実現される場合を説明するが、これに限定されない。例えば、複数の独立したプロセッサを組み合わせて制御回路を構成し、各プロセッサが動作プログラムを実行することによりシステム制御機能81、判定機能82、及び出力制御機能83を実現しても構わない。
システム制御機能81は、入力インタフェース回路5から入力される入力情報に基づき、自動分析装置1における各部を統括して制御する機能である。
判定機能82は、メンテナンスデータ及び基準値データに基づいて、洗浄機構230で用いられる洗浄液の洗浄液量が異常であるか否かを判定する機能である。判定機能82が実行されると、制御回路8は、メンテナンスデータ及び基準値データに基づいて、洗浄液量が異常であるか否か判定する。
出力制御機能83は、判定機能82により判定された洗浄機構230の状態に関する判定結果に基づいて、出力インタフェース回路6を制御し、洗浄機構230に関する情報を出力する機能である。出力制御機能83が実行されると、制御回路8は、例えば洗浄液量に関するエラー情報を表示回路61に表示させる。また、制御回路8は、例えば洗浄液量に関するエラー情報を印刷回路62に印刷させる。
次に、本実施形態に係る自動分析装置1の動作について説明する。自動分析装置1は、洗浄液量の異常検出処理を実行するのに先立って種々の条件が予め設定される。種々の条件の項目としては、「スケジュール」、「溶液」、「基準値(Abs)」、及び「吸光度変化率許容範囲」等が挙げられる。「スケジュール」は、異常検出処理を開始するタイミングを設定するための項目である。「溶液」は、洗浄液量の異常検出に使用する溶液及び当該溶液が収容された専用容器の配置場所を設定するための項目である。「基準値(Abs)」は、異常検出処理の基準値データとして用いる吸光度を設定するための項目である。「吸光度変化率許容範囲」は、洗浄液量が異常であるか否かの判定に用いる吸光度変化率の許容範囲を設定するための項目である。図4は、自動分析装置1が備える表示回路61に表示される、異常検出の条件を設定するための設定画面を表す図である。図4では、「スケジュール」には「起動時」が設定されている。また、「溶液」には、試薬ラック203a上の位置である「A5」、及び洗浄液量の異常検出に使用する溶液の名称である「オレンジG 300ppm」が設定されている。また、「基準値(Abs)」には、「2.308」が設定されている。なお、この設定値は、例えば200μlの純水と、60μlの濃度が300ppmのオレンジG溶液との混合液の吸光度を測定した際に得られる吸光度である。また、「吸光度変化率許容範囲」には、「4」が設定されている。「4」が設定された場合、吸光度変化率の許容範囲は、基準値から±4%となる。なお、この設定値は、実測値を参照して決定される。例えば、洗浄液量が200μlより5%増加する場合、210μlの純水と、60μlの濃度が300ppmのオレンジG溶液との混合液の吸光度を測定して得られる吸光度は、「2.222」であり、基準値「2.308」に対する吸光度変化率は「−3.73%」となる。また、洗浄液量が200μlより5%減少する場合、190μlの純水と、60μlの濃度が300ppmのオレンジG溶液との混合液の吸光度を測定して得られる吸光度は、「2.400」であり、基準値「2.308」に対する吸光度変化率は「+3.99%」となる。このため、洗浄液量の許容誤差の範囲を200μlから±5%としたい場合、「吸光度変化率許容範囲」は、例えば実測した際に得られた吸光度変化率「−3.73%」及び「+3.99%」を参照して「4」と決定される。以下では、図4に示される設定画面において指定されている種々の条件を前提として説明する。
まず、本実施形態に係る自動分析装置1が、洗浄液量の異常検出処理において吸光度を測定する際の動作について説明する。図5は、本実施形態に係る自動分析装置1が吸光度を測定する流れの例を示すフローチャートである。以下では、第1のノズル251、第4のノズル254、第5のノズル255、及び第6のノズル256から吐出される洗浄液が純水である場合を例に説明する。また、オレンジG溶液は、試薬ラック203aに保持されている専用容器に収容されているものとする。
制御回路8は、装置が起動されると、予め設定された種々の条件に基づいて、システム制御機能81を実行する。システム制御機能81の実行により制御回路8は、駆動機構4を制御し、空の反応管2011が洗浄位置W1、W4、W5、及びBで停止するように反応ディスク201を回動させる(ステップSA1)。
制御回路8は、第1の供給ポンプ241及び流量調整ユニット270を制御し、洗浄位置W1、W4、W5、及びBに停止された空の反応管2011それぞれに対し、第1のノズル251、第4のノズル254、第5のノズル255、及び第6のノズル256から洗浄液をそれぞれ所定量、例えば200μl吐出する(ステップSA2)。
制御回路8は、駆動機構4を制御し、例えば第1のノズル251から洗浄液が吐出された反応管2011を第1試薬吐出位置に移動させる(ステップSA3)。
制御回路8は、駆動機構4を制御し、例えば試薬ラック203a上に保持された所定の専用容器からオレンジG溶液を第1試薬分注プローブ208により吸引する。制御回路8は、吸引したオレンジG溶液を、第1試薬吐出位置に移動された反応管2011に第1試薬分注プローブ208により吐出する(ステップSA4)。
制御回路8は、第1のノズル231、第4のノズル234、第5のノズル235、及び第6のノズル236から洗浄液が吐出された反応管2011のうち、オレンジG溶液が吐出されていない反応管2011が存在するか否か判定する(ステップSA5)。制御回路8は、オレンジG溶液が吐出されていない反応管2011が存在すると判定した場合(ステップSA5のYes)、オレンジG溶液が吐出されていない反応管2011それぞれについて、ステップSA3からSA5までの処理を実行する。
制御回路8は、オレンジG溶液が吐出されていない反応管2011が存在しないと判定した場合、すなわち第1のノズル251、第4のノズル254、第5のノズル255、及び第6のノズル256から洗浄液が吐出された反応管2011すべてに対して、オレンジG溶液を吐出した場合(ステップSA5のNo)、駆動機構4を制御し、例えば第1のノズル251から洗浄液が吐出された反応管2011を、第1撹拌位置に移動させる(ステップSA6)。
制御回路8は、駆動機構4を制御し、第1撹拌位置に移動された反応管2011に収容された洗浄液とオレンジG溶液との混合液を、第1撹拌子212により撹拌する(ステップSA7)。制御回路8は、駆動機構4を制御し、混合液の撹拌に用いた第1撹拌子212を、洗浄槽212aにより洗浄する(ステップSA8)。
制御回路8は、オレンジG溶液が吐出された反応管2011のうち、撹拌されていない混合液が収容されている反応管2011が存在するか否か判定する(ステップSA9)。制御回路8は、撹拌されていない混合液が収容されている反応管2011が存在すると判定した場合(ステップSA9のNo)、撹拌されていない混合液が収容されている反応管2011それぞれについて、ステップSA6からSA9までの処理を実行する。
制御回路8は、撹拌されていない混合液が収容されている反応管2011が存在しないと判定した場合、すなわち第1のノズル251、第4のノズル254、第5のノズル255、及び第6のノズル256から洗浄液が吐出されたすべての反応管2011について、収容された洗浄液とオレンジG溶液との混合液を撹拌すると(ステップSA9のYes)、駆動機構4を制御し、撹拌した混合液を収容する4つの反応管2011を、それぞれ測光し、メンテナンスデータを生成する(ステップSA10)。
具体的には、制御回路8は、駆動機構4を制御し、反応ディスク201を回動させることにより、第1のノズル251、第4のノズル254、第5のノズル255、及び第6のノズル256から洗浄液が吐出された反応管2011を、測光ユニット220により測光が可能な位置まで逐次移動させる。制御回路8は、測光ユニット220を制御し、測光が可能な位置まで移動された反応管2011に収容される混合液に対して、光を入射する。入射される光のうち所定の波長成分を有する光は、色素剤と洗浄液との混合液により特異的に吸収される。当該混合液を通過した光は、測光ユニット220が備える光検出器により検出される。検出された光は、光検出器により吸光度に変換される。これにより、メンテナンスデータが生成される。なお、測定する光の波長は、例えば試料と試薬との混合液を測定する際の光の波長と同じでよい。測定する光の波長は、例えば340nmから804nmの間である。以下では、第1のノズル251から洗浄液が吐出された反応管2011を測光することにより生成されたメンテナンスデータをメンテナンスデータD1と称する。また、第4のノズル254から洗浄液が吐出された反応管2011を測光することにより生成されたメンテナンスデータをメンテナンスデータD2と称する。また、第5のノズル255から洗浄液が吐出された反応管2011を測光することにより生成されたメンテナンスデータをメンテナンスデータD3と称する。また、第6のノズル256から洗浄液が吐出された反応管2011を測光することにより生成されたメンテナンスデータをメンテナンスデータD4と称する。
次に、本実施形態に係る自動分析装置1が、分析機構2において生成された吸光度で表されるメンテナンスデータを用いて、洗浄液量の異常を検出する流れを説明する。図6は、本実施形態に係る自動分析装置1が洗浄液量の異常を検出する流れの例を示すフローチャートである。
制御回路8は、図5のステップSA10において、4つの反応管2011に収容された洗浄液とオレンジG溶液との混合液すべてについて、吸光度で表されるメンテナンスデータD1、D2、D3、及びD4が生成されると、判定機能82を実行する。判定機能82の実行により制御回路8は、記憶回路7から基準値データを読み出す(ステップSB1)。
制御回路8は、生成されたメンテナンスデータD1、D2、D3、及びD4と、読み出した基準値データ「2.308」とを用いて、吸光度変化率R1、R2、R3、及びR4をそれぞれ算出する(ステップSB2)。
制御回路8は、吸光度変化率R1、R2、R3、及びR4を算出した後、例えば算出された吸光度変化率R1が、所定の範囲内、すなわち基準値データ「2.308」から±4%以内であるか否か判定する(ステップSB3)。
制御回路8は、吸光度変化率R1が基準値データ「2.308」から±4%以内である場合(ステップSB3のYes)、第1のノズル251から吐出された洗浄液量は異常でないと判定する。そして、制御回路8は、吸光度変化率R1、R2、R3、及びR4について、洗浄液量の異常の判定がすべて行われているか否か判定する(ステップSB5)。
制御回路8は、吸光度変化率R1が基準値データ「2.308」から±4%以内でない場合(ステップSB3のYes)、第1のノズル251から吐出された洗浄液量は異常であると判定する。そして、制御回路8は、例えば第1のノズル251から吐出される洗浄液量に関するエラーフラグを立てる。
制御回路8は、吸光度変化率R1、R2、R3、及びR4について、洗浄液量の異常の判定がすべて行われていないと判定した場合(ステップSB5のNo)、例えば洗浄液量の異常の判定がすべて行われていない吸光度変化率について、ステップSB3からステップSB5までの処理を実行する。
制御回路8は、吸光度変化率R1、R2、R3、及びR4について、洗浄液量の異常の判定がすべて行われていると判定した場合(ステップSB5のYes)、第1のノズル251、第4のノズル254、第5のノズル255、及び第6のノズルから吐出される洗浄液量に関する4つのエラーフラグのうち、立てられたエラーフラグの数に応じて洗浄機構230の状態を判定する(ステップSB6)。具体的には、制御回路8は、4つのエラーフラグのうち、1、2、又は3つのエラーフラグが立てられていた場合、エラーフラグが立てられている個々の洗浄ノズルについて異常があると判定する。また、制御回路8は、4つのエラーフラグのうち、すべてのエラーフラグが立てられていた場合、第1のノズル251、第4のノズル254、第5のノズル255、及び第6のノズル256の上流に位置する流量調整弁272に異常があると判定する。
制御回路8は、判定機能82の実行により判定された判定結果に応じて、洗浄ノズル群250から吐出される洗浄液量に関するエラー情報を表示回路61に表示させる(ステップSB7)。制御回路8は、例えば、個々の洗浄ノズルについて異常があるという判定結果に基づいて、出力制御機能83を実行し、表示回路61に、図7に示されるエラー通知画面を表示する。図7は、本実施形態に係る一部の洗浄ノズルに異常があると判定された場合のエラー通知画面の例を表す図である。図7では、制御回路8は、第4のノズル254及び第5のノズル255に異常があるという判定結果に基づいて、出力制御機能83を実行し、表示回路61に、図7に示されるエラー通知画面を表示する。図7では、発生したエラー毎に、操作者等にとって識別可能な情報、例えばエラーの種別を表す「エラー番号」、エラーが発生した日時を表す「発生日時」、及びエラー発生場所及びエラーの内容を表す「内容」が表示されている。具体的には、第4のノズル254については、「エラー番号」が「54」、「発生日時」が「2016/4/11 10:51:09」、エラー内容が「洗浄液量の低下を検出しました(ノズル254)」と表示される。また、図8に示されるように、第5のノズル255については、「エラー番号」が「55」、「発生日時」が「2016/4/11 10:51:10」、「内容」が「洗浄液量の低下を検出しました(ノズル255)」と表示される。これにより、操作者による洗浄機構230の点検が促される。なお、制御回路8は、「エラー番号」、「発生日時」、及び「内容」を印刷回路62に印刷させてもよい。
また、制御回路8は、第1のノズル251、第4のノズル254、第5のノズル255、及び第6のノズルの上流に位置する流量調整弁272に異常があるという判定結果に基づいて、出力制御機能83を実行し、表示回路61に図8に示されるエラー通知画面を表示する。図8は、変形例に係る流量調整弁272に異常があると判定された場合のエラー通知画面を表す図である。図8では、制御回路8は、流量調整弁272に異常があるという判定結果に基づいて、出力制御機能83を実行し、表示回路61に、図8に示されるエラー通知画面を表示する。図8では、エラーの種別を表す「エラー番号」、エラーが発生した日時を表す「発生日時」、並びにエラー発生場所、エラーの内容、及び発生したエラーを解消する解消対応内容を表す「内容」が表示されている。図8に示されるエラー通知画面には、流量調整弁272について、「エラー番号」が「61」、「発生日時」が「2016/4/12 8:12:32」、「内容」が「洗浄液量が低下しています。流量調整弁を調整して下さい(流量調整弁272)」と表示される。このとき、「内容」のうち、エラー発生場所は、「(流量調整弁272)」である。また、エラーの内容は、「洗浄液量が低下しています。」である。また、発生したエラーを解消する解消対応内容は、「流量調整弁を調整して下さい」である。これにより、操作者による流量調整弁272の調整が促される。
なお、例えば、操作者により流量調整弁272の調整された後において、再度洗浄液量の異常検出処理をする旨の実行指示がされた場合、制御回路8は、再度洗浄液量の異常検出処理をする旨の実行指示を受けて再度洗浄液量の異常検出処理を実行する。制御回路8は、第1のノズル251、第4のノズル254、第5のノズル255、及び第6のノズル256から吐出される洗浄液の洗浄液量が異常であると判定された場合、図9に示されるエラー通知画面を表示する。図9は、変形例に係る第1の供給ポンプ241及び/又は第1の供給ポンプ241と流量調整ユニット270との間にある流路に異常があると判定された場合のエラー通知画面を表す図である。図9では、エラーの種別を表す「エラー番号」、エラーが発生した日時を表す「発生日時」、並びにエラー発生場所、エラーの内容、及び発生したエラーを解消する解消対応内容を表す「内容」が表示されている。図9に示されるエラー通知画面には、第1の供給ポンプ241について、「エラー番号」が「95」、「発生日時」が「2016/4/13 15:27:45」、「内容」が「洗浄液流路に異常が発生しています。流路と供給ポンプを点検して下さい(供給ポンプ241)」と表示される。このとき、「内容」のうち、エラー発生場所は、「(供給ポンプ241)」である。また、エラーの内容は、「洗浄液流路に異常が発生しています。」である。また、発生したエラーを解消する解消対応内容は、「流路と供給ポンプを点検して下さい」である。これにより、操作者による流路と供給ポンプの点検が促される。
上記実施形態によれば、制御回路8は、駆動機構4を制御し、洗浄ノズル群250から、洗浄位置W1、W4、W5、及びBに位置する反応管2011に洗浄液を吐出する。制御回路8は、駆動機構4を制御し、第1試薬分注プローブ208により洗浄位置W1、W4、W5、及びBから第1試薬吐出位置へ移動された反応管2011それぞれに対し、オレンジG溶液を吐出する。制御回路8は、反応管2011に吐出された洗浄液とオレンジG溶液との混合液の吸光度を測定する。制御回路8は、測定された吸光度に基づいて、反応管2011に吐出された洗浄液の量が予め設定された量より多いか否か、又は、少ないか否かのうち少なくともいずれ一方を判定する。制御回路8は、表示回路61を制御し、判定した判定結果を表示する。これにより、従来自動分析装置が備える構成に対し、新たな構成を加えることなく、操作者に洗浄ノズル群250から吐出される洗浄液量に異常があることを認識させ、自動分析装置の点検を促すことができる。
したがって、本実施形態に係る自動分析装置によれば、洗浄液量の異常検知を簡易かつ安価に実現し、測定の信頼性を向上させることが可能となる。
また、第1の実施形態によれば、制御回路8は、判定機能82の実行により判定された判定結果に基づいて、表示回路61に操作者等にとって識別可能な情報を表示させる。これにより、操作者等は、表示回路61に表示された表示内容に従って適切な対応をとることが可能となる。
また、第1の実施形態によれば、制御回路8は、発生したエラーの内容に加えて発生したエラーを解消する解消対応内容を表示回路61に表示させる。これにより、操作者等は、発生したエラーを効率的に解消することが可能となる。
[変形例]
上記実施形態では、洗浄ノズル群250から吐出される洗浄液量に異常がある場合に、制御回路8が表示回路61に表示されるエラー通知画面により報知する場合を例に説明した。変形例では、洗浄ノズル群250から吐出される洗浄液量に異常がある場合に、制御回路8が洗浄ノズル群250から吐出される洗浄液量が正常となるような処理を行う場合について説明する。
図10は、変形例に係る自動分析装置1Aの構成を示す図である。自動分析装置1Aは、分析機構2、解析回路3、駆動機構4、入力インタフェース回路5、出力インタフェース回路6、記憶回路7、及び制御回路8Aを備える。
分析機構2、解析回路3、駆動機構4、入力インタフェース回路5、出力インタフェース回路6、及び記憶回路7の構成及び機能は、上記実施形態に係る自動分析装置1が備える分析機構2、解析回路3、駆動機構4、入力インタフェース回路5、出力インタフェース回路6、及び記憶回路7と同様である。
変形例に係る制御回路8Aは、記憶回路7から読み出した動作プログラムを実行することで、図10に示される各種機能を実現する。すなわち、制御回路8Aは、システム制御機能81、判定機能82、出力制御機能83、及びバルブ調整機能84を備える。なお、本実施形態では、単一のプロセッサによってシステム制御機能81、判定機能82、出力制御機能83、及びバルブ調整機能84が実現される場合を説明するが、これに限定されない。例えば、複数の独立したプロセッサを組み合わせて制御回路を構成し、各プロセッサが動作プログラムを実行することによりシステム制御機能81、判定機能82、出力制御機能83、及びバルブ調整機能84を実現しても構わない。
システム制御機能81、判定機能82、及び出力制御機能83が実現する機能については、上記実施形態に係る制御回路8が備えるシステム制御機能81、判定機能82、及び出力制御機能83と同様である。
バルブ調整機能84は、判定機能82により判定された洗浄機構230の状態に関する判定結果に応じて、第1のノズル251、第4のノズル254、第5のノズル255、及び第6のノズル256から吐出される洗浄液量を調整する機能である。バルブ調整機能84が実行されると、制御回路8Aは、判定機能82の実行により算出された吸光度変化率に基づいて、例えば第1のノズルから吐出された洗浄液量の増加量又は減少量を算出する。制御回路8Aは、算出した洗浄液量の増加量又は減少量に基づいて、駆動機構4を制御し、例えば第1のノズル251から吐出される洗浄液量が適切な量になるように、三方電磁弁271の開閉時間を調整する。
次に、変形例の動作について説明する。変形例に係る自動分析装置1が、洗浄液量の異常検出処理のうち吸光度を測定する流れは、上記実施形態と同様である。
次に、変形例に係る自動分析装置1が、分析機構2において生成された吸光度で表される異常検出用データを用いて、洗浄液量の異常を検出する流れを説明する。図11は、本実施形態に係る自動分析装置1が洗浄液量の異常を検出する流れの例を示すフローチャートである。
ステップSC1からステップSC5までの動作は、図6に示されるステップSB1からステップSB5までの動作と同様である。
制御回路8は、吸光度変化率R1、R2、R3、及びR4について、洗浄液量の異常の判定がすべて行われた場合(ステップSC5のYes)、第1のノズル251、第4のノズル254、第5のノズル255、及び第6のノズルから吐出される洗浄液量に関する4つのエラーフラグのうち、立てられたエラーフラグの数に応じて洗浄機構230の状態を判定する(ステップSC6)。具体的には、制御回路8は、4つのエラーフラグのうち、1、2、又は3つのエラーフラグが立てられていた場合、エラーフラグが立てられている個々の洗浄ノズルについて異常があると判定する。また、制御回路8は、4つのエラーフラグのうち、すなわちすべてのエラーフラグが立てられていた場合、第1のノズル251、第4のノズル254、第5のノズル255、及び第6のノズルの上流に位置する流量調整弁272に異常があると判定する。
制御回路8は、判定機能82の実行により判定された判定結果に応じて、洗浄ノズル群250から吐出される洗浄液量が正常となるような処理を実施する(ステップSC7)。具体的には、制御回路8は、吸光度変化率から換算して洗浄液の増減量を算出する。制御回路8は、算出した洗浄液の増減量に応じて三方電磁弁271の開閉時間を、洗浄ノズル群250から吐出される洗浄液が適切な量となるように補正する。そして、制御回路8は、補正した結果の妥当性を確認するため、洗浄液量の異常検出処理を再度実行する。
変形例によれば、制御回路8は、駆動機構4を制御し、洗浄ノズル群250から、洗浄位置W1、W4、W5、及びBに位置する反応管2011に洗浄液を吐出する。制御回路8は、駆動機構4を制御し、第1試薬分注プローブ208により洗浄位置W1、W4、W5、及びBから第1試薬吐出位置へ移動された反応管2011それぞれに対し、オレンジG溶液を吐出する。制御回路8は、反応管2011に吐出された洗浄液とオレンジG溶液との混合液の吸光度を測定する。制御回路8は、測定された吸光度に基づいて、反応管2011に吐出された洗浄液の量が予め設定された量より多いか否か、又は、少ないか否かのうち少なくともいずれ一方を判定する。制御回路8は、駆動機構4を制御し、三方電磁弁271の開閉時間を、洗浄ノズル群250から吐出される洗浄液が適切な量となるように補正する。これにより、操作者の手を介さずに、第1のノズル251、第4のノズル254、第5のノズル255、及び第6のノズル256から吐出される洗浄液量の異常を解消することが可能となる。
[他の実施形態]
なお、この発明は上記実施形態に限定されるものではない。例えば、上記実施形態において、判定機能82の実行により制御回路8は、1サイクルの洗浄動作、すなわち反応ディスク201を1回転させる間に洗浄液が吐出された4つの反応管2011で測定された吸光度に基づいて、洗浄液量の異常検出を行っていたがこれに限定されない。制御回路8は、例えばnサイクル(nは2以上の整数)の洗浄動作において測定された吸光度の平均値を算出する。制御回路8は、算出された吸光度の平均値に基づいて洗浄液量の異常検出を行う。このとき、第1のノズル231、第4のノズル234、第5のノズル235、及び第6のノズル236から洗浄液が吐出された反応管2011に収容された混合液を測光することにより取得される吸光度の平均値AbsW1_AVE、AbsW4_AVE、AbsW5_AVE、及びAbsB_AVEは以下の式でそれぞれ表される。
AbsW1_AVE=(AbsW1_1+AbsW1_2+…+AbsW1_n)/n・・・(1)
AbsW4_AVE=(AbsW4_1+AbsW4_2+…+AbsW4__n)/n・・・(2)
AbsW5_AVE=(AbsW5_1+AbsW5_2+…+AbsW5_n)/n・・・(3)
AbsB_AVE=(AbsB_1+AbsB_2+…+AbsB_n)/n・・・(4)
また、上記実施形態では、基準値データは、洗浄液量の異常検出の条件を設定するための設定画面から操作者により指定値が予め設定される例を示したがこれに限定されない。例えば、図4に示される「検査開始時に測定」のチェック欄の指定を受け付けて、例えば装置起動後、かつ、図5に示されるステップSA1の処理が実行される直前に測定された吸光度を基準値データとなる吸光度の値として用いるようにしてもよい。具体的には、オレンジG溶液が試薬ラック203aに格納されている場合、制御回路8は、駆動機構4を制御し、例えば第1試薬分注プローブとは異なる第2試薬分注プローブ210により200μlの純水を空の反応管2011に分注する。なお、測定に用いる200μlの純水は、第2試薬分注プローブ210に用いられる圧力伝達媒体であってもよい。そして、制御回路8は、第1試薬分注プローブにより60μlの濃度が300ppmのオレンジG溶液を分注する。制御回路8は、200μlの純水及び60μlの濃度が300ppmのオレンジG溶液が吐出された反応管2011を測光し、吸光度を取得する。制御回路8は、この吸光度を基準値データとして記憶回路7に記憶する。
また、上記実施形態では、色素剤としてオレンジG溶液を用いたがこれに限定されない。色素剤は、例えば被検試料と混合され、被検データを生成するために用いられる、所定の色を有する試料測定用試薬であってもよい。試料測定用試薬は、濃度と吸光度の比例定数が既知であるものが用いられる。試料測定用試薬の例としては、発色剤アルセナゾ3を含むCa試薬等が挙げられる。このとき、試料測定用試薬に対して予め取得されている吸光度及び検量線は、被検試料のうち、当該試薬と特異的に反応する成分が当該被検試料に含まれている度合いに応じて定まるものであるため、単に希釈度合いに応じて定まる吸光度及び検量線としてそのまま利用することはできない。このため、例えば装置起動後、かつ、図5に示されるステップSA1の処理が実行される直前に、試料測定用試薬について、吸光度等を実測し、基準値データとなる吸光度等及び検量線を取得することが好適である。
また、上記実施形態では、オレンジG溶液を収容する専用容器は、試薬ラック203aに保持されているとしたがこれに限定されない。例えば、専用容器は、サンプルディスク202に保持されていてもよい。このとき、サンプル分注プローブ206は、制御回路8の制御に従い、サンプル吸引位置に位置する専用容器からオレンジG溶液を吸引する。サンプル分注プローブ206は、制御回路8の制御に従い、吸引したオレンジG溶液を、サンプル吐出位置に位置する反応管2011へ吐出する。また、専用容器は、試薬ラック204aに保持されていてもよい。このとき、第2試薬分注プローブ210は、制御回路8の制御に従い、第2試薬吸引位置に位置する専用容器からオレンジG溶液を吸引する。第2試薬分注プローブ210は、制御回路8の制御に従い、吸引したオレンジG溶液を、第2試薬吐出位置に位置する反応管2011へ吐出する。
また、上記実施形態では、洗浄液量の異常検出処理を開始するタイミングは、「装置起動時」としたがこれに限定されない。例えば、図4に示される「スケジュール」項目において、任意の時間毎に実行することを可能とするチェック欄が指定された場合、例えば3時間毎に異常検出処理が開始されるように設定されてもよい。
上記説明において用いた「プロセッサ」という文言は、例えば、CPU(central processing unit)、GPU(Graphics Processing Unit)、或いは、特定用途向け集積回路(Application Specific Integrated Circuit:ASIC))、プログラマブル論理デバイス(例えば、単純プログラマブル論理デバイス(Simple Programmable Logic Device:SPLD)、複合プログラマブル論理デバイス(Complex Programmable Logic Device:CPLD)、及びフィールドプログラマブルゲートアレイ(Field Programmable Gate Array:FPGA))等の回路を意味する。プロセッサは記憶回路に保存されたプログラムを読み出し実行することで機能を実現する。なお、本実施形態の各プロセッサは、プロセッサごとに単一の回路として構成される場合に限らず、複数の独立した回路を組み合わせて1つのプロセッサとして構成し、その機能を実現するようにしてもよい。さらに、図1及び図10における複数の構成要素を1つのプロセッサへ統合してその機能を実現するようにしてもよい。
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。