JP2023033053A - 自動分析装置 - Google Patents

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Hiroo Shinohara
重幸 田代
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Abstract

【課題】ユーザがアクセスできない位置においても、プローブに使用される溶液を設置すること。【解決手段】本実施形態に係る自動分析装置は、試料と試薬との混合液を測定して、試料に含まれる成分を分析し、第1の搬送路、第2の搬送路、試料分注機構、制御部を備える。第1の搬送路は、試料を収容する容器を保持する第1の容器ラックを搬送する。第2の搬送路は、試料を分注するプローブを洗浄するための洗剤溶液、試料を希釈するための希釈液、試料を混合するための緩衝液、試料との対照試験に使う溶液、装置の校正測定を行うための溶液の少なくとも1つを収容する容器を保持する第2の容器ラックを搬送する。試料分注機構は、第1の容器ラックの容器内の液体、及び、第2の容器ラックの容器内の液体をプローブが吸引可能に構成されている。制御部は、第1の搬送路、第2の搬送路、試料分注機構の動作を制御する。【選択図】図2

Description

本明細書及び図面に開示の実施形態は、自動分析装置に関する。
自動分析装置には、サンプル分注プローブや試薬分注プローブ等を洗浄するための洗剤が収容された洗剤貯蔵部が設けられている。ここで、洗剤が不足すると、ユーザは洗剤貯蔵部に洗剤を補充する必要があるので、ユーザがアクセスできる位置に洗剤貯蔵部が設置される。しかし、自動分析装置のレイアウトによっては、例えば、ユーザがアクセスできない位置に、プローブに使用される洗剤を収容する貯蔵部を設置せざるを得なくなる場合がある。この場合、洗剤に限らず、希釈液などの溶液についても同様のことが起こり得る。
特開2010-133784号公報
本明細書及び図面に開示の実施形態が解決しようとする課題の一つは、ユーザがアクセスできない位置においても、プローブに使用される溶液を設置することである。ただし、本明細書及び図面に開示の実施形態により解決される課題は上記課題に限られない。後述する実施形態に示す各構成による各効果に対応する課題を他の課題として位置づけることもできる。
本実施形態に係る自動分析装置は、測定対象の試料と試薬との混合液を測定して、前記試料に含まれる成分を分析する自動分析装置において、第1の搬送路と、第2の搬送路と、試料分注機構と、制御部と、を備える。前記第1の搬送路は、前記試料を収容する容器を保持する第1の容器ラックを搬送する。前記第2の搬送路は、前記試料を分注するプローブを洗浄するための洗剤溶液、前記試料を希釈するための希釈液、前記試料を混合するための緩衝液、前記試料との対照試験に使う溶液、及び、前記自動分析装置の校正測定を行うための溶液の少なくとも1つを収容する容器を保持する第2の容器ラックを搬送する。前記試料分注機構は、前記プローブを備え、前記第1の容器ラックの容器に収容された液体、及び、前記第2の容器ラックの容器に収容された液体を前記プローブが吸引可能に構成されている。前記制御部は、前記第1の搬送路、前記第2の搬送路、前記試料分注機構の動作を制御する。
図1は、本実施形態に係る自動分析装置の構成の一例を示すブロック図である。 図2は、本実施形態に係る自動分析装置における分析装置の構成の一例を示す図である。 図3は、本実施形態に係る自動分析装置の処理手順として、往復移動ラック(シャトルラック)の使用の手順を示すフローチャートである。
以下、図面を参照して、自動分析装置の実施形態について詳細に説明する。なお、実施形態は、以下の実施形態に限られるものではない。また、一つの実施形態に記載した内容は、原則として他の実施形態にも同様に適用される。
図1は、本実施形態に係る自動分析装置1の構成の一例を示すブロック図である。図1に示す自動分析装置1は、分析装置70と、駆動装置80と、処理装置90とを備えている。
分析装置70は、各検査項目の標準試料や被検体から採取された被検試料(血液や尿などの生体試料)と、各検査項目の分析に用いる試薬との混合液を測定して、標準データや被検データを生成することにより、被検試料に含まれる成分を分析する。分析装置70は、試料の分注、試薬の分注等を行う複数のユニットを備え、駆動装置80は、分析装置70の各ユニットを駆動する。処理装置90は、駆動装置80を制御して分析装置70の各ユニットを作動させる。
処理装置90は、入力装置50と、出力装置40と、処理回路30と、記憶回路60とを有する。
入力装置50は、キーボード、マウス、ボタン、タッチキーパネルなどの入力デバイスを備え、各検査項目の分析パラメータを設定するための入力、被検試料の被検識別情報及び検査項目を設定するための入力等を行う。
出力装置40は、プリンタと、ディスプレイとを備えている。プリンタは、処理回路30で生成されたデータの印刷を行う。ディスプレイは、液晶パネル(Liquid Crystal Display Panel)などのモニタであり、処理回路30で生成されたデータの表示を行う。
記憶回路60は、例えば、RAM(Random Access Memory)、フラッシュメモリ(Flash Memory)等の半導体メモリ素子、又は、ハードディスク、光ディスク等の記憶装置などである。
処理回路30は、システム全体を制御する。例えば、処理回路30は、図1に示すように、データ処理機能31及び制御機能32を実行する。制御機能32は、駆動装置80を制御して分析装置70の各ユニットを作動させる。データ処理機能31は、分析装置70で生成された標準データや被検データを処理して各検査項目の検量データや分析データを生成する。制御機能32は、制御部の一例である。
例えば、分析装置70により生成される標準データは、被検試料(血液)の検査により血液の凝固時間や生化学成分濃度などを判定するためのデータを表し、分析装置70により生成される被検データは、血液の凝固時間の測定や比色法測定を行った結果のデータを表す。また、処理回路30から出力される検量データは、被検データと標準データとから導かれる血液の凝固時間や生化学成分濃度などの測定結果を表すデータを表し、処理回路30から出力される分析データは、病態の有無の判定結果を表すデータを表す。すなわち、検量データは、病態の有無の判定結果を表す分析データを導くためのデータである。
ここで、例えば、処理回路30の構成要素が実行する各処理機能は、コンピュータによって実行可能なプログラムの形態で記憶回路60に記録されている。処理回路30は、各プログラムを記憶回路60から読み出し、実行することで各プログラムに対応する機能を実現するプロセッサである。換言すると、各プログラムを読み出した状態の処理回路30は、図1の処理回路30内に示された各機能を有することとなる。
なお、図1においては、単一の処理回路30にて、以下に説明する各処理機能が実現されるものとして説明するが、複数の独立したプロセッサを組み合わせて処理回路を構成し、各プロセッサがプログラムを実行することにより機能を実現するものとしても構わない。
上記説明において用いた「プロセッサ」という文言は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)、特定用途向け集積回路(Application Specific Integrated Circuit:ASIC))、プログラマブル論理デバイス(例えば、単純プログラマブル論理デバイス(Simple Programmable Logic Device:SPLD)、複合プログラマブル論理デバイス(Complex Programmable Logic Device:CPLD)、及びフィールドプログラマブルゲートアレイ(Field Programmable Gate Array:FPGA))等の回路を意味する。プロセッサが例えばCPUである場合、プロセッサは記憶回路60に保存されたプログラムを読み出し実行することで機能を実現する。一方、プロセッサが例えばASICである場合、記憶回路60にプログラムを保存する代わりに、プロセッサの回路内にプログラムを直接組み込まれる。なお、本実施形態の各プロセッサは、プロセッサごとに単一の回路として構成される場合に限らず、複数の独立した回路を組み合わせて1つのプロセッサとして構成し、その機能を実現するようにしてもよい。さらに、図1における複数の構成要素を1つのプロセッサへ統合してその機能を実現するようにしてもよい。
図2は、本実施形態に係る自動分析装置1における分析装置70の構成の一例を示す図である。例えば、自動分析装置1では、血液凝固の検査項目を含む被検試料(血液)を分析する。具体的には、自動分析装置1は、被検体から採取された血液について凝固時間の測定や比色法測定を行う。
分析装置70は、反応槽である反応容器テーブル3、4を備えている。反応容器テーブル3、4は、円周上に配置された複数の反応容器を回転可能に保持する。例えば、反応容器テーブル3は、凝固時間測定用の反応容器テーブルであり、反応容器テーブル4は、比色法測定用の反応容器テーブルである。反応容器テーブル3、4は、凝固反応容器保持部、比色反応容器保持部の一例である。
分析装置70は、更に、試薬庫2を備えている。試薬庫2は、円周上に配置された複数の試薬容器を保冷して保持する。試薬庫2内の試薬容器は、試料(サンプルともいう)に含まれる各検査項目の成分と反応する成分を含有する試薬を収容する。例えば、試薬庫2内の試薬容器は、試薬庫2において、同心円の円2a、2b(図2の点線部分)に配列される。試薬庫2は、各検査項目の試薬容器を回転可能に保持するターンテーブルを有する。
図2において、分析装置70は、更に、試料用容器ラック100と、試料分注機構20と、サンプリングレーン310とを備えている。試料分注機構20は、図示しないサンプル分注アームと、図示しないサンプル分注プローブと、図示しないサンプル分注ポンプとを備えている。図2に示す例では、試料分注機構20のサンプル分注アームが図示されている。
サンプリングレーン310には試料用容器ラック100が配置される。例えば、サンプリングレーン310には、試料用容器ラック100に保持された複数の容器の各々をサンプリング位置に移動させる機構が設けられている。サンプリングレーン310における試料用容器ラック100の移動は、例えば、ベルトコンベアにより実現される。
なお、サンプリングレーン310は、処理装置90の制御機能32の制御により動作する。具体的には、駆動装置80は、制御機能32の制御により、サンプリングレーン310に試料用容器ラック100を搬送させる。試料用容器ラック100は、第1の容器ラックの一例である。
試料分注機構20において、サンプル分注アームの先端には、それぞれサンプル分注プローブが設けられ、サンプル分注プローブには、サンプル分注ポンプがチューブ等を介して接続されている。例えば、サンプル分注アームは、サンプル分注プローブを回転及び上下移動可能に支持する。試料分注機構20において、サンプル分注プローブは、それぞれ、サンプル分注アームの回転により、軌跡20a(図2中の点線部分)上を移動し、例えば、サンプリング位置と、サンプル吐出位置との間を回転する。具体的には、試料分注機構20は、試料用容器ラック100の容器に収容された液体(サンプル)をサンプル分注プローブが吸引可能に構成され、サンプル分注プローブが吸引した液体を反応容器テーブル3、4に吐出可能に構成されている。例えば、サンプル分注プローブは、サンプリング位置に移動された容器内のサンプルの分注を行う。例えば、試料分注機構20において、サンプル分注プローブは、サンプリング位置に移動された容器内のサンプルを検査項目毎に吸引して、当該検査項目の分析パラメータとして設定された量のサンプルを、反応容器テーブル3、4におけるサンプル吐出位置に位置する反応容器内へ吐出する。サンプル分注ポンプは、サンプル分注プローブにサンプルの吸引及び吐出を行わせる。
なお、試料分注機構20は、処理装置90の制御機能32の制御により動作する。具体的には、駆動装置80は、制御機能32の制御により、試料分注機構20にサンプルを分注させる。
図2において、分析装置70は、更に、試薬分注機構10、11を備えている。試薬分注機構10、11は、試薬分注アームと、図示しない試薬分注プローブと、図示しない試薬分注ポンプとを備えている。図2に示す例では、試薬分注機構10、11の試薬分注アームが図示されている。
試薬分注機構10、11において、試薬分注アームの先端には、それぞれ試薬分注プローブが設けられ、試薬分注プローブには、試薬分注ポンプがチューブ等を介して接続されている。例えば、試薬分注アームは、試薬分注プローブを回転及び上下移動可能に支持する。試薬分注機構10、11において、試薬分注プローブは、それぞれ、試薬分注アームの回転により、軌跡10a、11a(図2中の点線部分)上を移動し、例えば、試薬吸引位置と、試薬吐出位置との間を回転する。試薬分注プローブは、試薬吸引位置に移動された試薬容器内の試薬の分注を行う。具体的には、試薬分注機構10、11において、試薬分注プローブは、それぞれ、試薬庫2内の円2a、2bにおける試薬吸引位置に位置する試薬容器内の試薬を吸引して、当該検査項目の分析パラメータとして設定された量の試薬を、反応容器テーブル3、4における試薬吐出位置に位置する反応容器内に吐出する。試薬分注ポンプは、試薬分注プローブに試薬の吸引及び吐出を行わせる。
なお、試薬分注機構10、11は、処理装置90の制御機能32の制御により動作する。具体的には、駆動装置80は、制御機能32の制御により、試薬分注機構10、11に試薬を分注させる。
試薬庫2内、又は、試薬庫2の近傍には、図示しない洗剤貯蔵部が設けられ、当該洗剤貯蔵部には、測定中に試薬分注プローブを洗浄するための洗剤が収容されている。試薬分注機構10、11において、試薬分注プローブは、試薬の分注終了毎に、試薬庫2内、又は、試薬庫2の近傍の洗剤貯蔵部の洗剤により洗浄される。試薬庫2内、又は、試薬庫2の近傍の洗剤貯蔵部は、試薬分注プローブの軌跡10a、11a上に位置する。
分析装置70は、更に、図示しない第1、第2撹拌装置、第1、第2測光部、反応容器洗浄ユニットを備えている。第1、第2撹拌装置は、それぞれ、反応容器テーブル4上における撹拌位置に位置する反応容器内のサンプルと試薬との混合液を攪拌する。第1、第2測光部は、混合液を収容する反応容器に、光を照射することによって混合液の光学的変化を測定する。具体的には、第1、第2測光部は、それぞれ、反応容器テーブル3、4により回転している測定位置の反応容器に光を照射し、この照射により反応容器内のサンプル及び試薬の混合液を透過した光を検出する。そして、第1、第2測光部は、検出した信号を処理してデジタル信号で表される標準データや被検データを生成して処理装置90の処理回路30に出力する。反応容器洗浄ユニットは、反応容器テーブル4上における洗浄位置に位置する反応容器の内部を洗浄する。
上述のサンプリングレーン310は、試料用容器ラック搬送機構の一部である。図2において、分析装置70は、更に、試料用容器ラック搬送機構として、サンプリングレーン310の他に、自動分析装置1の前面側に配置されたフロントローディングサンプラ300(以下、前面配置サンプラ300と記載する)と、搬送アーム5と、図示しない読取部と、スイッチレーン311(以下、レーン切替部311と記載する)と、リターンレーン312(以下、帰還レーン312と記載する)とを備えている。
前面配置サンプラ300は、自動分析装置1の前面側、具体的には、分析装置70の前面側(図2において下側)に設けられている。前面配置サンプラ300は、サンプリングされる前の複数の容器を保持する試料用容器ラック100が投入される投入スロットを有する。即ち、分析装置70の前面側に試料用容器ラック100が投入される。ここで、前面配置サンプラ300は、投入スロットに投入された試料用容器ラック100を、搬送アーム5により搬送可能な位置に移動させる。前面配置サンプラ300における試料用容器ラック100の移動は、例えば、ロボットアームにより実現される。
なお、前面配置サンプラ300は、処理装置90の制御機能32の制御により動作する。具体的には、駆動装置80は、制御機能32の制御により、前面配置サンプラ300に試料用容器ラック100を搬送させる。
試料用容器ラック100に保持された複数の容器の各々には、容器に収容されたサンプルを識別するための識別情報(例えば、患者ID情報、サンプルID等)を含む光学式ラベルが付与されている。光学式ラベルは、例えば、バーコードである。
搬送アーム5は、例えば、試料用容器ラック100を移動させるロボットアームである。搬送アーム5は、前面配置サンプラ300に投入された試料用容器ラック100を読取部の読み取り位置に搬送する。読取部は、読み取り位置に搬送された試料用容器ラック100の光学式ラベルから識別情報を読み取る。光学式ラベルがバーコードである場合、読取部は、例えば、バーコードリーダである。読取部は、読み取った識別情報として、患者ID情報、サンプルID、検査項目等のサンプルの識別情報等を、処理装置90の処理回路30に出力する。搬送アーム5は、読取部による読み取り完了後、読み取り位置から試料用容器ラック100をサンプリングレーン310の始端に配置する。
図2において、帰還レーン312は、間隔をあけてサンプリングレーン310と並んで設けられ、サンプリングレーン310の終端と帰還レーン312の始端には、レーン切替部311が設けられている。サンプリングレーン310の終端と、帰還レーン312の始端と、レーン切替部311は、自動分析装置1の後面側、具体的には、分析装置70の後面側(図2において上側)に設けられている。
サンプリングレーン310は、当該サンプリングレーン310の始端に配置された試料用容器ラック100を、サンプリング位置に向けて移動させ、サンプリング後の試料用容器ラック100を、当該サンプリングレーン310の終端まで移動させてレーン切替部311の始端に配置する。レーン切替部311は、当該レーン切替部311の始端に配置された試料用容器ラック100を、当該レーン切替部311の終端まで移動させて帰還レーン312の始端に配置する。帰還レーン312は、当該帰還レーン312の始端に配置された試料用容器ラック100を、当該帰還レーン312の終端まで移動させる。帰還レーン312の終端は、試料用容器ラック100の回収位置である。レーン切替部311及び帰還レーン312における試料用容器ラック100の移動は、サンプリングレーン310と同様に、例えば、ベルトコンベアにより実現される。
即ち、サンプリングレーン310、レーン切替部311及び帰還レーン312は、処理装置90の制御機能32の制御により動作する。具体的には、駆動装置80は、制御機能32の制御により、サンプリングレーン310に自動分析装置1の前面側(分析装置70の前面側)から後面側へ試料用容器ラック100を搬送させ、レーン切替部311にサンプリングレーン310から帰還レーン312へ試料用容器ラック100を搬送させ、帰還レーン312に自動分析装置1の後面側(分析装置70の後面側)から前面側へ試料用容器ラック100を搬送させる。なお、サンプリングレーン310、レーン切替部311及び帰還レーン312は、第1の搬送路の一例である。また、サンプリングレーン310、レーン切替部311、帰還レーン312は、それぞれ、行き搬送路、中継搬送路、戻り搬送路の一例である。
自動分析装置1において、上述のように、例えば、試薬庫2内、又は、試薬庫2の近傍には、図示しない洗剤貯蔵部が設けられ、当該洗剤貯蔵部には、試薬分注プローブを洗浄するための洗剤が収容されている。ここで、洗剤が不足すると、ユーザは洗剤貯蔵部に洗剤を補充する必要があるので、ユーザがアクセスできる位置に洗剤貯蔵部が設置される。
しかし、自動分析装置1のレイアウトによっては、例えば、ユーザがアクセスできない位置に、プローブに使用される洗剤などの溶液を収容する貯蔵部を設置せざるを得なくなる場合がある。例えば、サンプルプローブに使用される洗剤や希釈液などの溶液を収容する貯蔵部を設置せざるを得なくなる場合がある。
そこで、本実施形態に係る自動分析装置1は、ユーザがアクセスできない位置においても、プローブに使用される溶液を設置することができるように、以下のように構成される。本実施形態に係る自動分析装置1は、測定対象の試料(サンプル)と試薬との混合液を測定して、サンプルに含まれる成分を分析する自動分析装置において、第1の搬送路(サンプリングレーン310、レーン切替部311及び帰還レーン312)と、第2の搬送路と、試料分注機構20と、制御機能32とを備える。第1の搬送路は、サンプルを収容する容器を保持する第1の容器ラック(試料用容器ラック100)を搬送する。第2の搬送路は、サンプルを分注するサンプル分注プローブを洗浄するための洗剤溶液、サンプルを希釈するための希釈液、サンプルを混合するための緩衝液、サンプルとの対照試験に使う溶液、及び、自動分析装置1の校正測定を行うための溶液の少なくとも1つを収容する容器を保持する第2の容器ラックを搬送する。試料分注機構20は、サンプル分注プローブを備え、試料用容器ラック100の容器に収容された液体、及び、第2の容器ラックの容器に収容された液体を、サンプル分注プローブが吸引可能に構成されている。制御機能32は、第1の搬送路、第2の搬送路、試料分注機構20の動作を制御する。ここで、第2の搬送路上の第2の容器ラックは、当該第2の容器ラックの容器に収容された液体が、第1の搬送路上の試料用容器ラック100の容器に収容されたサンプルに共通に使用できるように、第2の搬送路により自動分析装置1の前面側から後面側に搬送される。
以下、本実施形態に係る自動分析装置1の上記構成について、図2を用いて詳細に説明する。図2において、分析装置70は、更に、往復移動ラック200と、専用レーン400と、洗浄部500とを備えている。
まず、往復移動ラック200について説明する。往復移動ラック200は、複数の容器を保持する。往復移動ラック200に保持された複数の容器の各々には、サンプルを分注するサンプル分注プローブを洗浄するための洗剤溶液、サンプルを希釈するための希釈液、サンプルを混合するための緩衝液などの各種溶液が収容される。例えば、往復移動ラック200に保持された複数の容器には、洗剤溶液、希釈液、緩衝液、サンプルとの対照試験に使う溶液、自動分析装置1の校正測定を行うための溶液の少なくとも1つが収容される。ここで、サンプルとの対照試験に使う溶液としては、例えば、欠乏血漿や正常血漿などが挙げられる。自動分析装置1の校正測定を行うための溶液としては、例えば、検量線を補正するためのブランク水などが挙げられる。
なお、専用レーン400は、処理装置90の制御機能32の制御により動作する。具体的には、駆動装置80は、制御機能32の制御により、専用レーン400に往復移動ラック200を搬送させる。往復移動ラック200は、第2の容器ラックの一例である。
往復移動ラック200に保持された複数の容器の各々には、当該容器に収容された洗剤溶液、希釈液、緩衝液などの各種溶液を識別するための識別情報を含む光学式ラベルが付与されている。光学式ラベルは、例えば、バーコードである。
搬送アーム5は、投入された往復移動ラック200を読取部の読み取り位置に搬送する。例えば、往復移動ラック200は、前面配置サンプラ300の先頭位置に投入され、搬送アーム5は、前面配置サンプラ300の先頭位置に投入された往復移動ラック200を読取部の読み取り位置に搬送する。読取部は、読み取り位置に搬送された往復移動ラック200の光学式ラベルから識別情報を読み取る。光学式ラベルがバーコードである場合、読取部は、例えば、バーコードリーダである。読取部は、読み取った識別情報を、処理装置90の処理回路30に出力する。搬送アーム5は、読取部による読み取り完了後、読み取り位置から往復移動ラック200を専用レーン400の始端に配置する。
専用レーン400は、往復移動ラック200を搬送するための専用レーンである。例えば、図2において、専用レーン400は、サンプリングレーン310と帰還レーン312との間に、サンプリングレーン310と帰還レーン312とに並んで設けられている。専用レーン400は、当該専用レーン400の始端に配置された往復移動ラック200を、例えば洗浄位置や希釈位置に向けて移動させる。専用レーン400における往復移動ラック200の洗浄位置や希釈位置への移動は、例えば、ベルトコンベアにより実現される。
なお、専用レーン400は、処理装置90の制御機能32の制御により動作する。具体的には、駆動装置80は、制御機能32の制御により、専用レーン400に往復移動ラック200を搬送させる。専用レーン400は、第2の搬送路の一例である。
試料分注機構20において、サンプル分注アームの先端に設けられたサンプル分注プローブは、それぞれ、サンプル分注アームの回転により、軌跡20a(図2中の点線部分)上で洗浄位置や希釈位置に移動する。具体的には、試料分注機構20は、往復移動ラック200の容器に収容された液体(各種溶液)をサンプル分注プローブが吸引可能に構成されている。例えば、サンプル分注プローブは、洗浄位置に移動された往復移動ラック200の容器内の洗剤溶液を用いて、当該サンプル分注プローブを洗浄する洗浄動作を行う。
なお、サンプル分注プローブの洗浄動作は、処理装置90の制御機能32の制御により行われる。例えば、駆動装置80は、制御機能32の制御により、試料分注機構20にサンプル分注プローブの洗浄動作を実施させる。具体的には、制御機能32は、往復移動ラック200の容器に保持された洗剤溶液をサンプル分注プローブで吸引し、洗浄部500で吐出することによって、サンプル分注プローブの洗浄動作を行うように試料分注機構20を制御する。
また、以下の動作が、処理装置90の制御機能32の制御により行われる。例えば、制御機能32は、往復移動ラック200の容器に保持された希釈液を反応容器にサンプル分注プローブで分注する動作と、往復移動ラック200の容器に保持された緩衝液を反応容器にサンプル分注プローブで分注する動作と、往復移動ラック200の容器に保持された自動分析装置1の校正測定を行うための溶液を反応容器にサンプル分注プローブで分注する動作と、の少なくとも1つの動作を行うように試料分注機構20を制御する。
このように、本実施形態では、往復移動ラック200の各容器に各種溶液を収容し、サンプリングレーン310に並列配置された専用レーン400上に往復移動ラック200を搬送する。これにより、本実施形態では、試料分注機構20が、サンプル分注プローブの軌跡20a上において、例えば、専用レーン400上の往復移動ラック200の容器内の希釈液を吸引し、続けて、専用レーン400に近接するサンプリングレーン310上の試料用容器ラック100の容器内のサンプルを吸引して、吸引した希釈液及びサンプルを反応容器内へ吐出することで、希釈液とサンプルとを同じ位置で反応容器に分注することができる。このように、本実施形態では、測定する反応容器に直接希釈液を分注することができるので、例えば、反応容器とは別の容器(セル)に、サンプルと希釈液とを分注して希釈したサンプルを準備し、この希釈したサンプルを反応容器に分注するといった多段階の分注動作が不要となる。
また、本実施形態では、サンプル分注プローブを自動分析装置1の後面側(分析装置70の後面側)に配置することにより、動作中のサンプル分注プローブにユーザが接触するリスクを低減することができる。また、本実施形態では、サンプル分注プローブを自動分析装置1の後面側に配置することにより、例えば、ユーザが安易にサンプルにアクセスすることを防止でき、検体の取違いのリスクを低減することができる。
例えば、専用レーン400は、洗剤溶液、希釈液、緩衝液などの各種溶液が無くなって空になった往復移動ラック200を、当該専用レーン400の始端まで移動させて回収位置に配置する。ここで、往復移動ラック200が専用レーン400の始端に戻った場合、専用レーン400の始端は、往復移動ラック200の回収位置となる。往復移動ラック200の始端へ戻る移動は、例えば、専用レーン400のベルトコンベアが逆回転することにより実現される。
即ち、専用レーン400は、処理装置90の制御機能32の制御により、専用レーン400に、自動分析装置1の前面側(分析装置70の前面側)から後面側へ往復移動ラック200を搬送させた後、自動分析装置1の後面側(分析装置70の後面側)から前面側へ往復移動ラック200を搬送させる。
次に、本実施形態に係る自動分析装置1の処理として、往復移動ラック200の使用の手順について説明する。図3は、往復移動ラック200の使用の手順を示すフローチャートである。
図3のステップS101において、処理装置90の制御機能32は、検査項目や検査数から専用レーン400上の往復移動ラック200の洗剤溶液、希釈液、緩衝液などの各種溶液が不足しそうな状態であることを判断する。サンプル分注プローブは、測定毎に洗浄や希釈が行われるため、処理装置90の制御機能32は、検査項目に応じて、往復移動ラック200の洗剤溶液、希釈液、緩衝液などの各種溶液の使用量を把握できる。
このとき、処理装置90の制御機能32は、測定中に注意喚起を行う画面をユーザに通知する。例えば、制御機能32は、「往復移動ラック200を前面配置サンプラ300に投入してください」などの注意喚起を表す画面を出力装置40に出力させることによって、ユーザに通知する。この場合、制御機能32は、測定を停止せずに待機状態にし、ユーザは、往復移動ラック200を前面配置サンプラ300に配置する。例えば、往復移動ラック200の配置はユーザにより決定される。
次に、図3のステップS102において、処理装置90の制御機能32は、サンプル分注プローブの軌跡20a上に往復移動ラック200を移動させる。具体的には、駆動装置80は、制御機能32の制御により、搬送アーム5を駆動させることで、前面配置サンプラ300に配置された往復移動ラック200を、専用レーン400に移動させる。このとき、専用レーン400は、駆動装置80の駆動により、サンプル分注プローブの軌跡20a上に往復移動ラック200を配置する。
次に、図3のステップS103において、処理装置90の制御機能32は、サンプル分注プローブに往復移動ラック200の洗剤溶液、希釈液、緩衝液などの各種溶液を使用させる。具体的には、駆動装置80は、制御機能32の制御により、サンプル分注プローブの軌跡20a上に配置された往復移動ラック200の洗剤溶液を用いて、サンプル分注プローブを洗浄させ、当該往復移動ラック200の希釈液を用いて、サンプル分注プローブによりサンプルを希釈させる。ここで、駆動装置80は、制御機能32の制御により、専用レーン400を駆動させることで、洗剤溶液、希釈液、緩衝液などの各種溶液が無くなって空になった往復移動ラック200を、回収位置に移動させる。使用が終わった往復移動ラック200は回収位置から回収される。
以上の説明により、本実施形態に係る自動分析装置1では、サンプリングレーン310、レーン切替部311及び帰還レーン312は、サンプルを収容する容器を保持する試料用容器ラック100を搬送する。専用レーン400は、サンプルを分注するサンプル分注プローブを洗浄するための洗剤溶液、サンプルを希釈するための希釈液、サンプルを混合するための緩衝液、サンプルとの対照試験に使う溶液、及び、自動分析装置1の校正測定を行うための溶液の少なくとも1つを収容する容器を保持する往復移動ラック200を搬送する。試料分注機構20は、サンプル分注プローブを備え、試料用容器ラック100の容器に収容された液体、及び、往復移動ラック200の容器に収容された液体を、サンプル分注プローブが吸引可能に構成されている。制御機能32は、サンプリングレーン310、レーン切替部311及び帰還レーン312と、専用レーン400と、試料分注機構20との動作を制御する。ここで、専用レーン400上の往復移動ラック200は、当該往復移動ラック200の容器に収容された液体が、第1の搬送路(サンプリングレーン310、レーン切替部311、帰還レーン312)上の試料用容器ラック100の容器に収容されたサンプルに共通に使用できるように、専用レーン400により自動分析装置1の前面側から後面側に搬送される。このため、本実施形態に係る自動分析装置1では、ユーザがアクセスできない位置においても、往復移動ラック200と専用レーン400とにより、サンプル分注プローブに使用される洗剤溶液、希釈液、緩衝液などの各種溶液を設置することができる。
また、本実施形態に係る自動分析装置1では、往復移動ラック200と専用レーン400とにより、サンプル分注プローブに使用される洗剤溶液、希釈液、緩衝液などの各種溶液を設置することで、当該溶液を収容する貯蔵部を、ユーザがアクセスできない位置に配置しなくてもよい。このため、本実施形態では、自動分析装置1のレイアウトに自由度が増し、当該貯蔵部を配置しないスペースを有効利用できる。
以上説明した少なくとも1つの実施形態によれば、ユーザがアクセスできない位置においても、プローブに使用される溶液を設置することができる。
いくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更、実施形態同士の組み合わせを行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
1 自動分析装置
20 試料分注機構
32 制御機能
100 試料用容器ラック
200 往復移動ラック
310 サンプリングレーン(第1の搬送路)
311 スイッチレーン(レーン切替部)(第1の搬送路)
312 リターンレーン(帰還レーン)(第1の搬送路)
400 専用レーン(第2の搬送路)

Claims (7)

  1. 測定対象の試料と試薬との混合液を測定して、前記試料に含まれる成分を分析する自動分析装置において、
    前記試料を収容する容器を保持する第1の容器ラックを搬送する第1の搬送路と、
    前記試料を分注するプローブを洗浄するための洗剤溶液、前記試料を希釈するための希釈液、前記試料を混合するための緩衝液、前記試料との対照試験に使う溶液、及び、前記自動分析装置の校正測定を行うための溶液の少なくとも1つを収容する容器を保持する第2の容器ラックを搬送する第2の搬送路と、
    前記プローブを備え、前記第1の容器ラックの容器に収容された液体、及び、前記第2の容器ラックの容器に収容された液体を前記プローブが吸引可能に構成された試料分注機構と、
    前記第1の搬送路、前記第2の搬送路、前記試料分注機構の動作を制御する制御部と、
    を備える自動分析装置。
  2. 前記第2の搬送路上の前記第2の容器ラックは、当該第2の容器ラックの容器に収容された液体が、前記第1の搬送路上の前記第1の容器ラックの容器に収容された前記試料に共通に使用できるように、前記第2の搬送路により前記自動分析装置の前面側から後面側に搬送される、
    請求項1に記載の自動分析装置。
  3. 凝固測定用の複数の反応容器を保持する凝固反応容器保持部と、
    比色測定用の複数の反応容器を保持する比色反応容器保持部と、
    を更に備え、
    前記試料分注機構は、前記プローブが吸引した前記液体を前記凝固反応容器保持部及び前記比色反応容器保持部に吐出可能に構成されている、
    請求項1又は2に記載の自動分析装置。
  4. 前記第1の搬送路と前記第2の搬送路は、並んで設けられ、それぞれ前記第1の容器ラック及び前記第2の容器ラックを、少なくとも前記自動分析装置の前面側から後面側へ搬送する、
    請求項1~3のいずれか一項に記載の自動分析装置。
  5. 第1の搬送路は、
    前記第1の容器ラックを、前記自動分析装置の前面側から後面側へ搬送する行き搬送路と、
    前記第1の容器ラックを、前記自動分析装置の後面側から前面側へ搬送する戻り搬送路と、
    前記第1の容器ラックを、前記行き搬送路から前記戻り搬送路へ搬送する中継搬送路と、
    を備える請求項1~4のいずれか一項に記載の自動分析装置。
  6. 前記プローブを洗浄するための洗浄部、
    を更に備え、
    前記制御部は、
    前記第2の容器ラックの容器に保持された前記洗剤溶液を前記プローブで吸引し、前記洗浄部で吐出することによって、前記プローブの洗浄動作を行うように前記試料分注機構を制御する、
    請求項1~5のいずれか一項に記載の自動分析装置。
  7. 前記制御部は、
    前記第2の容器ラックの容器に保持された前記希釈液を反応容器に前記プローブで分注する動作と、
    前記第2の容器ラックの容器に保持された前記緩衝液を反応容器に前記プローブで分注する動作と、
    前記第2の容器ラックの容器に保持された前記自動分析装置の校正測定を行うための溶液を反応容器に前記プローブで分注する動作と、
    の少なくとも1つの動作を行うように前記試料分注機構を制御する、
    請求項1~6のいずれか一項に記載の自動分析装置。
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