以下、実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、図中の同一又は相当部分については、同一符号を付してその説明は繰り返さない。
この実施の形態に係る自動分析装置(以下、単に「分析装置」と称する)は、分注ノズルにより検体及び試薬の各々を反応容器に分注し、反応容器内の反応状態を光学的に測定するように構成される。以下、分注ノズル、検体を、それぞれ「プローブ」、「サンプル」と称する。サンプルとしては、例えば血液成分及び尿を採用できる。この実施の形態では、分析装置の反応容器として、例えばディスポーザブルキュベット(例えば、後述する図3に示すキュベット100)を採用する。以下、図1~図5を参照して、分析装置の概要について説明する。なお、自動分析装置は、例えば(汎用)臨床化学分析装置、電解質分析装置、血液ガス分析装置、免疫血清検査装置、血液検査装置、血球計数装置、血液凝固分析装置、尿検査装置などであり、検体などの容器を搬送する機構を有している装置である。
図1は、分析装置1000の制御システムを示す図である。分析装置1000は、制御装置500、試薬保冷庫700、サンプルラック800、読取装置150、開閉センサ160、サンプル分注装置20、異常検出センサ30、キュベット供給装置110、キュベット移送装置120、試薬分注装置10、攪拌装置200、測定装置300、及び入出力装置600を備える。
制御装置500は、CPU(Central Processing Unit)510と、RAM(Random Access Memory)520と、記憶装置530と、各種信号を入出力するための入出力バッファとを含む。制御装置500は、試薬保冷庫700、サンプルラック800、読取装置150、開閉センサ160、サンプル分注装置20、キュベット供給装置110、キュベット移送装置120、試薬分注装置10、攪拌装置200、測定装置300、及び入出力装置600を制御する。
CPU510は、記憶装置530に格納されている制御プログラムをRAM520に展開して実行する。この制御プログラムは、制御装置500により実行される各種処理の手順が記されたプログラムである。記憶装置530には、処理手順を記した制御プログラムのほか、各種処理に用いられる各種情報(例えば、試薬情報、サンプル情報、分析スケジュール、分析履歴等)が格納されている。試薬情報は、試薬保冷庫700で保管されている試薬の情報である。サンプル情報は、サンプルラック800で保管されているサンプルの情報である。分析スケジュールは、分析が行われる順番である。分析装置1000は、予約された全てのサンプルの分析を効率良く行うために、各サンプルの分析項目及び後述の各ポートの空き状況に基づいて分析スケジュールを決定する。これにより、分析装置1000は、複数のサンプルを並行して分析することができる。分析履歴は、分析の進行状況及び測定結果を含む情報であり、分析の進行に応じて逐次更新される。制御装置500は、これらの制御プログラム及び各種情報に従って、分析装置における各種処理を実行する。なお、処理については、ソフトウェアによるものに限られず、専用のハードウェア(電子回路)で実行することも可能である。
試薬保冷庫700は、分析に使用される試薬が入った試薬容器を収容及び保冷する。試薬容器には試薬容器内の試薬を特定可能な識別子(例えば、バーコード、QRコード(登録商標)、データマトリックス等)が付されている。試薬容器に付された識別子には、試薬容器及び試薬容器内の試薬に関する情報(例えば、試薬の種類(分析項目)、試薬が1試薬系か2試薬系かを示す情報、試薬のロット番号、試薬の使用期限、試薬のシリアル番号、試薬容器の形状、試薬容器の容量、分析可能回数等)が埋め込まれている。
サンプルラック800は、分析対象のサンプルが入ったサンプル容器を収容する。サンプル容器にはサンプル容器内のサンプルを特定可能な識別子(例えば、バーコード、QRコード(登録商標)、データマトリックス等)が付されている。サンプル容器に付された識別子には、サンプル容器内のサンプルに関する情報(例えば、患者情報、サンプルのID、分析項目等)が埋め込まれている。
読取装置150は、試薬容器に付された識別子を読み取る読取装置150A、及び、サンプル容器に付された識別子を読み取る読取装置150Bを含む。
開閉センサ160は、試薬保冷庫700の蓋の開閉を検知する開閉センサ160A、サンプルラック800の蓋の開閉を検知する開閉センサ160Bを含む。
サンプル分注装置20は、キュベットにサンプルを分注する。キュベット供給装置110は、サンプル分注装置20がサンプルを分注可能な位置(サンプル分注ポート)に空のキュベットを供給する。キュベット移送装置120は、サンプルが分注されたキュベットを移送する。試薬分注装置10は、サンプルが分注されたキュベットに試薬を分注する。攪拌装置200は、所定の条件(例えば、攪拌速度及び攪拌時間)でキュベットの内容物を攪拌する。測定装置300は、キュベットの内容物に所定の測定を行う。この実施の形態では、測定装置300は、光源及び光検出器を有し、キュベットの内容物に光源の光を照射し、光検出器で検出される光量の変化に基づいてキュベット内の反応状態を測定する。
異常検出センサ30は、分析装置1000の様々な異常を検出するためのセンサであり、装置のそれぞれ箇所に設けられている。異常検出センサ30は、例えば、試薬分注装置10で試薬を分注する際に使用する第1プローブ11aの吸引状態を監視するセンサ、サンプル分注装置20でサンプルを分注する際に使用する第2プローブ21aの吸引状態を監視するセンサなどであり、当該プローブなどの吸引に関する異常を検出している。
また、異常検出センサ30は、例えば、キュベット移送装置120でキュベット100を搬送する駆動装置122を監視するセンサなどであり、当該キュベット100の搬送に関する異常を検出している。さらに、異常検出センサ30は、例えば、試薬分注装置10で試薬の液残量を監視するセンサなどであり、当該試薬の液残量が不足する異常を検出している。異常検出センサ30は、例えば、少なくとも洗浄水不足、廃液タンク量、反応容器不足、反応容器廃棄量、試薬不足、容器の搬送エラー、および検量線有無に関するエラーなどの異常を検出することができる。
異常検出センサ30で検出する異常には、分析を継続することが可能である中断処理となる異常と、分析を継続することができないとして緊急停止となる異常とが含まれる。本実施の形態では、分析を継続することが可能である中断処理となる異常が検出された場合の処理について説明する。なお、本実施の形態では、異常検出センサ30が、分析装置1000での処理の中断を検出する構成として動作することになる。また、本実施の形態では、異常検出センサ30が、ユーザによる中断操作および中断操作の時刻、中断の原因となる異常の種類および異常の検出の時刻を検出することができるものとする。
入出力装置600は、ユーザからの入力を受け付ける入力装置と、ユーザに対し所定の出力(例えば、試薬管理画面の表示、分析スケジュールの表示、分析履歴の表示、エラーの通知等)を行う出力装置とを含む。入出力装置600は、ユーザの操作を受け付けた場合には、その操作に対応する信号を制御装置500へ出力する。入出力装置600は、制御装置500から要求があった場合には、その要求に従って所定の表示又は通知を行う。入出力装置600には、タッチパネルディスプレイ等、入力装置と出力装置とが一体となったものを採用することができる。なお、入力装置と出力装置とが別体であってもよい。入力装置は、例えば、各種ポインティングデバイス(例えば、マウス、タッチパッド等)、キーボード、又は携帯機器(例えば、スマートフォン等)の操作部でもよい。ユーザへの出力形態は任意であり、表示装置への表示(例えば、文字又は画像の表示)で知らせてもよいし、スピーカにより音(音声を含む)で知らせてもよいし、所定のランプを点灯(点滅を含む)させてもよい。
図2は、分析装置1000において、キュベットの移送及び廃棄、並びにキュベットの内容物の攪拌及び測定を行う構成を示す図である。
分析装置1000は、サンプル分注ポートP1を備える。キュベット供給装置110は、キュベット収容部111と、供給機構112とを含む。キュベット収容部111は、多数のキュベット(例えば最大で1000個)を収容することができる。供給機構112は、キュベット収容部111に収容されているキュベットをサンプル分注ポートP1へ供給する。キュベット収容部111及び供給機構112の詳細については、図3にて説明する。
サンプル分注ポートP1は、サンプル分注装置20(図1)がキュベットにサンプルを分注可能な位置に配置される。サンプル分注ポートP1にキュベットがセットされると、サンプル分注装置20によってキュベットにサンプルが分注される。
キュベット移送装置120は、チャック付きアーム(以下、単に「アーム121」と称する)と、駆動装置122とを含む。アーム121は、キュベットを把持可能に構成されたチャックを有する。アーム121は、チャックによってキュベットを着脱可能に保持するように構成されている。駆動装置122は、アーム121を作動させてチャックの位置を変える。アーム121及び駆動装置122の詳細についても、図3にて説明する。
分析装置1000は、キュベット移送装置120によりキュベットを移送可能な複数のポート、具体的には、攪拌ポートP2、測光ポートP3、及び廃棄ポートP4をさらに備える。測光ポートP3は、複数の散乱ポートP3aと、複数の比色ポートP3bとを含む。サンプル分注ポートP1、攪拌ポートP2、測光ポートP3、及び廃棄ポートP4の各々には、キュベットの有無を検出するポートセンサが設けられている。
攪拌ポートP2は、攪拌装置200の攪拌位置に配置される。攪拌装置200は、攪拌ポートP2にキュベットがセットされると、所定の条件(例えば、攪拌速度及び攪拌時間)でキュベットの内容物を攪拌する。
散乱ポートP3a及び比色ポートP3bの各々は、測定装置300の測定位置に配置されている。以下では、区別して説明する場合を除いて、散乱ポートP3a及び比色ポートP3bの各々を「測光ポートP3」と記載する。
測定装置300は、キュベットの内容物に所定の測定を行うように構成される。この実施の形態では、測定装置300が、光源及び光検出器を有し、いずれかの測光ポートP3にセットされたキュベットの内容物に光源の光を照射し、光検出器で検出される光量の変化に基づいてキュベット内の反応状態を測定する。測定装置300は、散乱ポートP3aに対する光源及び光検出器と、比色ポートP3bに対する光源及び光検出器とを含む。散乱ポートP3aに対する光源、光検出器としては、それぞれ発光ダイオード、フォトダイオードを採用できる。散乱ポートP3aに対する光検出器は、90°散乱光(すなわち、光の照射方向に直交する方向の散乱光)を検出する。比色ポートP3bに対する光源、光検出器としては、それぞれハロゲンランプ、フォトダイオードを採用できる。比色ポートP3bに対する光検出器は、透過光量を検出する。
廃棄ポートP4は、使用済みのキュベットを回収する。廃棄ポートP4は、配管を介してキュベット廃棄容器400につながっている。廃棄ポートP4にキュベットが投入されると、キュベットはキュベット廃棄容器400へ導かれる。
図3は、分析装置1000が備える分析テーブルの平面図である。図3中には、互いに直交する3つの軸(X軸、Y軸、及びZ軸)が示されている。X軸、Y軸、及びZ軸のうち、X軸は分析装置の幅方向を、Y軸は分析装置の奥行き方向を、Z軸は鉛直方向(すなわち、上下方向)を示している。Z軸の矢印が指し示す方向は「上」、その反対の方向は「下(すなわち、重力方向)」に相当する。
図2および図3を参照して、キュベット収容部111は、複数のキュベット100を収容している。ユーザは、キュベット収容部111の投入口からキュベット収容部111内へキュベット100を補給することができる。キュベット100は、光を透過可能であれば材質は任意であり、例えば透明のアクリル製のものを採用することができる。
供給機構112は、キュベット100をキュベット収容部111から1つずつ取り出してサンプル分注ポートP1に供給する。供給機構112におけるキュベット100の移送方式は任意であり、例えば、滑り台方式(自重方式)、ベルトコンベア方式、ローラ方式、スライド方式のいずれであってもよい。供給機構112は、サンプル分注ポートP1のポートセンサの検出結果を受信し、サンプル分注ポートP1が空いたら次のキュベット100をサンプル分注ポートP1に供給する。但し、これに限られず、供給機構112は、制御装置500(図1)からの指示に従ってキュベット100をサンプル分注ポートP1に供給してもよい。
アーム21は、サンプル吸引ポートP21から吸引されるサンプルを、サンプル分注ポートP1にセットされたキュベット100へ分注するための機器(サンプル分注装置20(図1))である。アーム21は、第2プローブ21aと、アーム本体21bとを含む。アーム本体21bが回転軸23aの回りを旋回することによって、アーム本体21bの先端に設けられた第2プローブ21aがXY平面において円弧状の軌道L2を描くように移動する。
アーム本体21bが旋回することによって、第2プローブ21aは、軌道L2上に設けられたサンプル分注ポートP1、サンプル吸引ポートP21、SポートP22、及び洗浄ポートP23の各々に移動する。SポートP22は、洗剤ポートP22a,P22bと、緩衝液ポートP22c,P22d,P22eと、欠乏血漿ポートP22f,P22g,P22h,P22iとを含む。
サンプル吸引ポートP21の下方には、可動式のサンプルラック800(図1)が設けられている。サンプルラック800には、血液成分又は尿等のサンプルが入った複数のサンプル容器が載置されている。サンプル分注ポートP1にセットされたキュベット100へのサンプルの分注に先立ち、サンプルラック800は、分注対象のサンプル容器がサンプル吸引ポートP21の直下に配置されるように作動する。CTS機構24は、サンプル吸引ポートP21の近傍に設けられる。CTS機構24は、分注対象のサンプル容器にキャップが付いている場合に、ピアサでキャップを穿孔する。
アーム11は、吸引ポートP11,P12から吸引される試薬を、測光ポートP3にセットされている対象のキュベット100へ分注するための機器(試薬分注装置10(図1))である。アーム11は、第1プローブ11aと、アーム本体11bとを含む。アーム本体11bが回転軸13aの回りを旋回することによって、アーム本体11bの先端に設けられた第1プローブ11aがXY平面において円弧状の軌道L1を描くように移動する。
吸引ポートP11,P12の下方には、複数の試薬容器A(又は複数の洗剤容器)が載置された試薬トレイ710が設けられている。試薬トレイ710は、試薬保冷庫700内に設けられている。複数の試薬容器Aは互いに異なる試薬を保有しており、複数の洗剤容器は互いに異なる洗剤を保有している。試薬トレイ710は円盤状のターンテーブルであり、ターンテーブルが駆動することにより、所望の試薬容器A(又は洗剤容器)が吸引ポートP11,P12の直下に配置される。第1プローブ11aは、吸引ポートP11,P12の直下に配置された試薬容器A(又は洗剤容器)内の試薬(又は洗浄液)を吸引する。
アーム本体11bが旋回することによって、第1プローブ11aは、軌道L1上に設けられた攪拌ポートP2、各散乱ポートP3a、各比色ポートP3b、吸引ポートP11,P12、回収ポートP13の各々に移動する。なお、第1プローブ11aは試薬間のコンタミネーションを回避するために2本のプローブで構成されていてもよい。また、試薬トレイ710は外周トレイと内周トレイとを有していてもよい。2本のプローブが外周トレイ上の試薬(又は洗浄液)及び内周トレイ上の試薬(又は洗浄液)を吸引ポートP11,P12から吸引する。回収ポートP13は、使用済みの洗浄液を回収するポートであり、特に図示しないが、第1プローブ11aから吐出される水を溜めてプローブ先端の外面を洗浄する水溜め部と、液体を廃棄する廃棄部とを含む。
アーム121は、チャック121aと、アーム本体121bとを含む。チャック121aは、キュベット100を把持可能に構成される。チャック121aがキュベット100を保持する方式は任意であり、チャック121aは、メカニカルチャックであってもよいし、マグネットチャックであってもよいし、真空チャックであってもよい。アーム本体121bが回転軸122aの回りを旋回することによって、アーム本体121bの先端に設けられたチャック121aがXY平面において円弧状の軌道L1を描くように移動することができる。
上記のように、アーム11とアーム121との旋回の中心は同じである。軌道L1上には、サンプル分注ポートP1と、攪拌ポートP2と、複数の測光ポートP3(複数の散乱ポートP3a及び複数の比色ポートP3b)と、廃棄ポートP4と、吸引ポートP11,P12と、回収ポートP13とが設けられている。アーム121は、サンプル分注ポートP1、攪拌ポートP2、各測光ポートP3、及び廃棄ポートP4にチャック121aを移動させることができ、アーム11は、吸引ポートP11,P12、回収ポートP13、攪拌ポートP2、及び各測光ポートP3に第1プローブ11aを移動させることができる。
図4は、図3に示したアーム11及びアーム121の構造を説明するための図である。図4中のX軸、Y軸、Z軸は、それぞれ図3中のX軸、Y軸、Z軸に対応している。
図3および図4を参照して、アーム11とアーム121とは上下方向にずれて配置される。この実施の形態では、アーム11がアーム121よりも高い位置に配置される。第1プローブ11aはアーム本体11bの先端部E1に接続され、回転軸13aはアーム本体11bの基端部E2に接続されている。第1プローブ11aは、先端に開口部OPを有する。駆動装置の昇降アクチュエータがアーム11及び回転軸13aを一体的に上下方向に動かすことによって、アーム11(ひいては、第1プローブ11a)が上下に変位する。例えば、第1プローブ11aは、比色ポートP3bにセットされたキュベット100Bに試薬を分注するときに下降してキュベット100Bに近づき、試薬の分注が終了すると、上昇してキュベット100Bから離れる。
チャック121aはアーム本体121bの先端部E3に接続され、回転軸122aはアーム本体121bの基端部E4に接続されている。アーム本体121bの基端部E4は、上下方向に変位可能な態様で回転軸122aに保持されている。駆動装置の昇降アクチュエータがアーム121を上下方向に動かすことによって、アーム121(ひいては、チャック121a)が上下に変位する。例えば、チャック121aは、散乱ポートP3aにセットされたキュベット100Aを移送するときに下降してキュベット100Aを把持し、キュベット100Aを把持したまま上昇して散乱ポートP3aから離れる。その後、アーム121が駆動装置により回転駆動されて移送先のポート(より特定的には、軌道L1上に位置するいずれかのポート)にチャック121aが到達したら、チャック121aは再び下降してポートにキュベット100Aをセットする。キュベット100Aがポートにセットされたら、チャック121aはキュベット100Aを離して(すなわち、チャック解除して)、再び上昇する。
次に、分析装置1000における分析の流れについて説明する。分析装置1000は、分析スケジュール(図1)に従って、複数のサンプルの分析を同時に進行する。具体的には、分析装置1000は、あるサンプルの測定準備(吸引ポートP11(図3)又はサンプル吸引ポートP21(図3)における分注)を行いながら、別のサンプルの測定(測光ポートP3(図3)における光学的な測定)を行う。分析スケジュールは、予約された全てのサンプルの分析が効率良く行われるように、サンプル情報(例えば、各サンプルの分析項目)及び各ポートの空き状況に基づいて分析装置1000によって決定される。分析スケジュールには、分注及び測定の各々のタイミングと、分注対象のサンプルの情報と、分注対象の試薬の情報と、測定を行う測光ポートP3(図3)の番号とが含まれる。分析スケジュールは、記憶装置530(図1)に保存され、サンプルのID毎(サンプル容器毎)に管理される。
分析開始時に、分析で使用されるキュベット100(図3)にID(キュベットのID)が付与される。分析が進行すると、途中経過を含む分析履歴(図1)が記憶装置530(図1)に保存される。分析履歴は、分析の進行に応じて逐次更新される。分析履歴には、キュベット100の移動経路(現在位置を含む)と、キュベット100に分注されたサンプル及び試薬と、測定が行われた測光ポートP3(図3)と、測定結果とが含まれる。分析履歴は、キュベットのID毎(キュベット100毎)に管理される。ユーザは、分析履歴を参照することにより、分析が分析スケジュールどおりに行われたか(又は、進行しているか)を確認することができる。
図5は、分析装置1000における分析の一連の流れを示すフローチャートである。図5に示す処理は、制御装置500が行う処理であり、CPU510が記憶装置530に格納されている制御プログラムを実行することにより実現される。
図1、図3、および図5を参照して、まず、制御装置500は、キュベット100をサンプル分注ポートP1に供給する(ステップS510)。具体的には、供給機構112が、キュベット100をキュベット収容部111から取り出してサンプル分注ポートP1に供給する。供給機構112は、サンプル分注ポートP1のポートセンサの出力に基づき、サンプル分注ポートP1が空くと次のキュベット100をサンプル分注ポートP1に供給する。
次いで、制御装置500は、サンプルをキュベット100に分注し、キュベット100の内容物を攪拌する(ステップS520)。具体的には、制御装置500は、分析スケジュールを参照しながら、可動式のサンプルラック800を制御することにより、サンプル吸引ポートP21の直下に所定のサンプル(より特定的には、分析スケジュールが指定するサンプル)を配置する。続けて、制御装置500は、駆動装置を制御して、第2プローブ21aをサンプル吸引ポートP21に移動させ、第2プローブ21aに上記サンプルを吸引させる。続けて、制御装置500は、駆動装置を制御して、第2プローブ21aをサンプル分注ポートP1に移動させ、上記サンプルを第2プローブ21aからキュベット100(より特定的には、ステップS510でサンプル分注ポートP1に供給されたキュベット100)に分注する。分注後、第2プローブ21aは洗浄される。
次いで、制御装置500は、キュベット100を測光ポートP3へ移送する(ステップS530)。具体的には、制御装置500は、駆動装置を制御してアーム121を動かすことにより、キュベット100をサンプル分注ポートP1から測光ポートP3に移送する。
次いで、制御装置500は、キュベット100を攪拌ポートP2へ移送する(ステップS540)。具体的には、制御装置500は、駆動装置を制御してアーム121を動かすことにより、キュベット100を測光ポートP3から攪拌ポートP2に移送する。ただし、分析項目が凝固項目である場合には、ステップS540及び後述するステップS560は省略される。この場合、後述するステップS550においては、制御装置500は、測光ポートP3に位置するキュベット100に試薬を分注し、分注後の攪拌は行わない。ステップS550における試薬吐出の勢いでキュベット100の内容物が混合される。
ステップS550では、制御装置500は、サンプルの入ったキュベット100に試薬を分注し、キュベット100の内容物を攪拌する。具体的には、制御装置500は、分析スケジュールを参照しながら、試薬保冷庫700のターンテーブルを駆動することにより、吸引ポートP11の直下に所定の試薬(より特定的には、分析スケジュールが指定する試薬)を配置する。続けて、制御装置500は、駆動装置を制御して、第1プローブ11aを吸引ポートP11に移動させ、第1プローブ11aに上記試薬を吸引させる。続けて、制御装置500は、駆動装置を制御して、第1プローブ11aを攪拌ポートP2に移動させ、上記試薬を第1プローブ11aからキュベット100に分注する。分注後、攪拌装置200によってキュベット100の内容物が攪拌される。また、分注後、第1プローブ11aは洗浄される。
制御装置500は、分析項目が2試薬系の比色項目である場合には、上記ステップS530~ステップS550の処理を繰り返して、第1試薬及び第2試薬の分注を行う。全ての試薬の分注が完了すると、制御装置500は、キュベット100を測光ポートP3へ移送する(ステップS560)。
次いで、制御装置500は、測定装置300を制御することにより、以下に説明する測定を行う(ステップS570)。
例えば、サンプルが血漿であり、分析項目が凝固項目である場合には、散乱ポートP3aにおいてサンプルの凝固時間が測定される。凝固の進行に伴って散乱光の強度が増加し、凝固反応が終了すると、散乱光の強度はほとんど変化しなくなるため、散乱光の強度から凝固時間を求めることができる。
サンプルが血漿であり、分析項目が比色項目である場合には、比色ポートP3bにおいてサンプルの濃度及び活性値が測定される。制御装置500は、サンプルをキュベット100に分注してから所定時間経過後に第1試薬をキュベット100に分注し、さらに、第1試薬の分注から所定時間経過後に第2試薬(より特定的には、第1試薬とは異なる試薬)をキュベット100に分注する。第2試薬をキュベット100に分注することによって、サンプルと試薬との反応が開始し、キュベット100の内容物の吸光度が変化する。こうした吸光度の推移からサンプルの濃度及び活性値を求めることができる。こうした測定では、第1試薬及び第2試薬の各々の分注後において、第1プローブ11aが洗浄される。
サンプルが尿である場合には、例えば比色ポートP3bにおいて、サンプルと試薬との反応によって生ずる吸光度の変化が光学的に測定される。
上記測定が終了すると、制御装置500は、キュベット100を廃棄する(ステップS580)。具体的には、制御装置500は、駆動装置を制御してアーム121を動かすことにより、測光ポートP3から廃棄ポートP4にキュベット100を移送するとともに、アーム121のチャックを解除して、廃棄ポートP4にキュベット100を投入する。廃棄ポートP4にキュベット100が投入されると、そのキュベット100(すなわち、使用済みの反応容器)はキュベット廃棄容器400(図2)に回収される。
ステップS580の後、制御装置500は、分析スケジュールが指定する次のサンプルの分析を開始するため、処理をステップS510へ移行する。
このように、分析装置1000は、サンプル及び試薬の各々をキュベット100に分注し、キュベット100内の反応状態を光学的に測定する。サンプル毎に分析項目が異なっており、かつ、分析項目毎に使用される試薬が異なる。したがって、キュベット100に分注するサンプル及び試薬の組合せが正しくなければ、正しい分析が行われない。分析装置1000は、試薬容器に付されている識別子を読み取ることによって試薬保冷庫700(図1)内の試薬の情報を管理している。また、分析装置1000は、サンプル容器に付されている識別子を読み取ることによってサンプルラック800(図1)内のサンプルの情報を管理している。分析装置1000は、管理しているサンプル及び試薬の情報を基に、分析スケジュールが指定するサンプルをサンプル吸引ポートP21の直下に配置し、分析スケジュールが指定する試薬を吸引ポートP11の直下に配置する。正しい分析結果を得るためには、サンプル及び試薬の分注が正しく行われる必要があり、そのためには、分析開始時に試薬情報及びサンプル情報が最新の状態に更新されている必要がある。
分析装置1000では、異常検出センサ30で異常が検出されたときに、検出された異常の種類によって分析を継続することが可能であるとして中断処理とする場合と、分析を継続することができないとして緊急停止とする場合とがある。緊急停止となった場合、分析装置1000は、それまでに分注したサンプルに対する分析は行われずに廃棄する必要がある。一方、中断処理となった場合、分析装置1000は、それまでに分注したサンプルに対する分析を継続的に行い、当該サンプルの分析結果を得ることができる。
しかし、分析装置1000は、中断処理となった場合、それまでに分注したサンプルの分析が行われるまで、ユーザは所定領域(例えば、試薬保冷庫700や試薬分注装置10の蓋、キュベット100を搬送するアーム121など)へアクセスすることができない。異常が検出された場合、ユーザは、当該異常の原因を解消するために分析装置1000の所定領域にアクセスする必要がある。例えば、試薬分注装置10で試薬の液残量が不足している異常が検出された場合、ユーザは、第1プローブ11aのアーム11の動きが止まっていることを確認して試薬分注装置10の蓋を開け液残量が不足している試薬容器を新しい試薬容器に交換する必要がある。
また、中断処理が発生してからユーザが分析装置の所定領域にアクセスすることができるまでの時間は、それまでに分注したサンプルの数により異なり、従来の装置では当該時間をユーザが容易に知ることはできなかった。試薬の液残量が不足するなどの異常で中断処理となることは日常的に発生しており、その度にユーザは作業を中断して装置の所定領域へアクセスすることができるまで待機する必要があり、作業効率が著しく低下していた。
そこで、本実施の形態に係る分析装置1000では、中断処理が発生してからユーザが分析装置1000の所定領域にアクセスすることができる時刻を表示する。ユーザは、分析装置1000の所定領域にアクセスすることができる時刻(以下、単に装置アクセス可能時刻ともいう)が分かることで、分析装置1000の前で待機する必要がなくなり、装置アクセス可能時刻まで他の作業を行うことができ作業効率が向上する。
具体的に、装置アクセス可能時刻がメインメニュー及び試薬管理画面に表示される一例を、図を用いて説明する。図6は、メインメニュー及び試薬管理画面の一例を示す図である。メインメニューG1は、分析の開始を指示するためのボタン、分析の一時停止を指示するためのボタン、及び、分析装置1000においてエラーが発生している場合に点灯するボタン等を含む。試薬管理画面G2は、試薬保冷庫700内の試薬の情報をユーザに示すための画面である。メインメニューG1及び試薬管理画面G2は、入出力装置600に表示される。
メインメニューG1には、右端に現在時刻T1が常に表示されている。さらに、中断処理となる異常が検出された場合、メインメニューG1には、現在時刻T1の右側または下側に装置アクセス可能時刻T2が表示される。ユーザは、装置アクセス可能時刻T2と現在時刻T1とを見比べて、分析装置1000の所定領域にアクセス可能となるまでにあと何分かかるのかを確認して、他の作業を行うことができる。図6に示した例では、装置アクセス可能時刻T2が13:58で、現在時刻T1が13:55であるので、あと3分で分析装置1000の所定領域にアクセス可能となることが分かる。
試薬管理画面G2には、試薬保冷庫700内の試薬容器Aの配置と各試薬容器Aに付された識別子に埋め込まれている情報が表示される。試薬管理画面G2には、試薬トレイ710を模した画像G21、試薬トレイ710のホルダHaを模した画像G22、及びホルダHaの番号Nが表示されている。画像G22のうち文字が表示されていない画像は、ホルダHaに試薬容器Aが配置されていないことを示している。画像G22のうち文字が表示されている画像は、ホルダHaに試薬容器Aが配置されていることを示している。例えば、番号Nが1の画像G22は、1番のホルダHaに配置されている試薬容器Aには「PT-n」という試薬が納められており、その試薬で「PT-n」という項目を42回分析できるということを示している。
矢印を模した画像G23、G24は、試薬トレイ710を回転させるためのボタンである。ユーザが画像G23を1回押すと、矢印の向きに試薬トレイ710が1コマ分(図6では72度)回転する。ユーザが画像G24を1回押すと、矢印の向きに試薬トレイ710が2コマ分(図6では144度)回転する。ユーザは、蓋のみを開けて試薬容器Aを試薬トレイ710に配置する場合には、試薬管理画面G2上でボタンを操作して、試薬容器Aを配置したいホルダHaを蓋の開いている位置に移動させることができる。
詳細情報欄G25には、試薬管理画面上で選択されている試薬容器Aについての詳細な情報が表示される。詳細情報欄G25には、例えば、試薬名(試薬の種類、分析項目)、試薬が1試薬系か2試薬系かを示す情報、試薬のロット番号、試薬の使用期限、試薬のシリアル番号、試薬容器の形状(試薬容器の種別)、試薬容器の容量、分析可能回数等が表示される。これらの情報には、試薬容器Aに付された識別子に埋め込まれている情報、及び、試薬容器Aに付された識別子に埋め込まれている情報を基に制御装置500が算出した情報が含まれる。
次に、分析装置1000が中断処理となる異常を検出した場合に、メインメニューG1に装置アクセス可能時刻T2を表示する処理についてフローチャートを用いて説明する。図7は、分析装置1000における装置アクセス可能時刻T2を表示する処理を示すフローチャートである。まず、制御装置500は、分析装置1000に設けられたセンサからの検出信号に基づき、中断処理となる異常が検出されたか否かを判断する(ステップS71)。中断処理となる異常が検出されていないと判断した場合(ステップS71でNO)、制御装置500は、処理をステップS71に戻し、分析装置1000で中断処理となる異常が検出されたか否かの監視を続ける。
一方、中断処理となる異常が検出されたと判断した場合(ステップS71でYES)、制御装置500は、中断を検出したときの容器の搬送状況に基づき、分析装置1000の所定領域にアクセスすることができる時刻(装置アクセス可能時刻T2)を算出する(ステップS72)。分析装置1000の所定領域にアクセスすることができる時刻は、例えば、中断処理時にサンプリング中の検体の残項目数により、液残量が不足した試薬が交換可能となる予測時間を求め、現在の時刻に予測時間を加えて算出することができる。
さらに詳しく予測時間を求める方法について説明する。予測時間は、(サンプリング中の検体の残項目数)×18秒+(最終項目のサンプリング終了から測定までの時間)で求めることができる。(最終項目のサンプリング終了から測定までの時間)は、検体の測定項目により異なるが、検体の凝固機能及び線溶機能の測定項目であるプロトロンビン時間(PT)、PLGを例に説明する。図8は、測定項目PT、PLGのサンプリング終了から測定までの処理を説明するための模式図である。
図8(a)には、測定項目PTのサンプリング終了から測定までの処理が示されている。測定項目PTでは、容器にサンプリングした血漿を45秒加温し、試薬を分注して171秒加温することで測定可能となる。測定項目PTの測定には、最大200秒必要である。
図8(b)には、測定項目PLGのサンプリング終了から測定までの処理が示されている。測定項目PLGでは、容器にサンプリングした血漿を45秒加温し、第1試薬を分注して171秒加温し、さらに第2試薬を分注することで測定可能となる。測定項目PLGの測定には、最大300秒必要である。
図8(a)および図8(b)で示したように、サンプリング終了から測定までの時間は、試薬が分注されるまでの加温時間45秒と、測定までの加温時間171秒との合計216秒必要となる。
よって、サンプリング中の検体の残項目数を例えば3項目とした場合、予測時間は、(サンプリング中の検体の残項目数=3)×18秒+(最終項目のサンプリング終了から測定までの時間=216秒)=270秒と求めることができる。さらに、装置アクセス可能時刻T2は、(現在の時刻)+(予測時間)で算出することができ、例えば現在の時刻が15:55:00の場合、予測時間の4分30秒(=270秒)を加えて15:59:30と算出される。なお、装置アクセス可能時刻T2について、秒を繰り上げて算出する場合、16:00と算出してもよい。なお、制御装置500は、中断を検出したときの容器の搬送状況に基づき、装置アクセス可能時刻T2を算出するのではなく、あらかじめ定めた待機時間(例えば5分)から装置アクセス可能時刻T2を算出してもよい。
図7に戻って、制御装置500は、ステップS72で算出した分析装置1000の所定領域にアクセスすることができる時刻(装置アクセス可能時刻T2)をメインメニューG1の所定位置に表示する(ステップS73)。図6では、現在時刻T1の右側または下側の位置が装置アクセス可能時刻T2を表示するメインメニューG1の所定位置であるが、当該位置に限定されずユーザが入出力装置600に表示される画面の任意の位置に設定してもよい。また、制御装置500は、装置アクセス可能時刻T2に代えて、装置アクセス可能時刻T2までの時間をメインメニューG1の所定位置に表示してもよい。
制御装置500は、現在の時刻が装置アクセス可能時刻T2の30秒前を経過したか否かを判断する(ステップS74)。現在の時刻が装置アクセス可能時刻T2の30秒前を経過していない場合(ステップS74でNO)、制御装置500は、処理をステップS73に戻し、装置アクセス可能時刻T2の表示を継続する。一方、現在の時刻が装置アクセス可能時刻T2の30秒前を経過した場合(ステップS74でYES)、制御装置500は、もうすぐ分析装置1000の所定領域にアクセス可能となる予告表示を行う(ステップS75)。制御装置500は、例えば、所定領域にアクセス可能となるまでの残り時間をカウントダウンする表示を予告表示としてメインメニューG1に表示する。なお、制御装置500は、予告表示を行う場合でも装置アクセス可能時刻T2の表示を継続してもよい。また、予告表示を行う時間を装置アクセス可能時刻T2の30秒前としたが、これに限定されず、予告表示を行う時間を自由に設定することができる。さらに、制御装置500では、予告表示が不要な場合、予告表示を行わないように設定することも可能である。
次に、制御装置500は、現在の時刻が装置アクセス可能時刻T2を経過したか否かを判断する(ステップS76)。現在の時刻が装置アクセス可能時刻T2を経過していない場合(ステップS76でNO)、制御装置500は、処理をステップS75に戻し、予告表示を継続する。一方、現在の時刻が装置アクセス可能時刻T2を経過した場合(ステップS76でYES)、制御装置500は、分析装置1000の所定領域にアクセス可能となった表示を行う(ステップS77)。制御装置500は、例えば、所定領域にアクセス可能となった表示をメインメニューG1に表示する。なお、制御装置500では、所定領域にアクセス可能となった表示が不要な場合、当該表示を行わないように設定することも可能である。
[変形例]
前述の実施の形態では、図6に示すように、装置アクセス可能時刻T2をメインメニューG1の現在時刻T1の右側または下側の位置に表示している。しかし、これに限定されず、制御装置500は、装置アクセス可能時刻T2を入出力装置600に表示される画面にポップアップ画面を表示してもよい。図9は、メインメニュー及び試薬管理画面の変形例を示す図である。図9では、メインメニュー及び試薬管理画面の中央にポップアップ画面Paが表示され、当該ポップアップ画面Paに装置アクセス可能時刻T2が表示されている。さらに、ポップアップ画面Paには、装置アクセス可能時刻T2までの残り時間を示すバー表示T3が表示されている。もちろん、残り時間を示すバー表示T3に代えて円表示など他の表示であってもよい。さらに、ポップアップ画面Paには、装置アクセス可能時刻T2ではなく、装置アクセス可能時刻T2までの残り時間を表示し、当該時間がカウントダウンされるように表示してもよい。
図7で示したステップS75で表示する予告表示,ステップS77で表示する所定領域にアクセス可能となった表示についても、ポップアップ画面Paに表示してもよい。また、分析装置1000は、無線通信などでユーザの端末(例えば、スマホ)と接続可能な場合、装置アクセス可能時刻T2、予告表示、所定領域にアクセス可能となった表示などの情報をユーザの端末に送信してもよい。
前述の実施の形態では、装置アクセス可能時刻T2を入出力装置600に表示される画面に表示していたが、分析装置1000にスピーカなどの音出力部を設け、当該音出力部から装置アクセス可能時刻T2を音でユーザに報知してもよい。
前述の実施の形態では、異常検出センサ30が、分析装置1000の異常を検出され中断処理となる場合の処理について説明したが、ユーザが中断ボタンを押下することで中断処理となる場合についても同様の処理を行ってもよい。なお、ユーザが中断ボタンを押下する中断操作を異常検出センサ30で検出して、前述の実施の形態で説明した中断処理を行ってもよい。
[態様]
上述した例示的な実施の形態は、以下の態様の具体例であることが当業者により理解される。
(第1項)一態様に係る自動分析装置は、複数の検体を順次分析する自動分析装置であって、検体を収容する容器を搬送する搬送部と、搬送部で搬送される検体を順次測定する測定部と、測定部に所定の順序で容器を搬送するように搬送部を制御する制御部と、制御部で制御している容器の搬送状況を報知する報知部と、を備え、制御部は、自動分析装置での処理が中断された場合、ユーザが自動分析装置の所定領域にアクセスすることができる時刻を報知部に報知させる。
第1項に記載の自動分析装置によれば、制御部が、自動分析装置での処理が中断された場合、ユーザが自動分析装置の所定領域にアクセスすることができる時刻を報知部に報知させるので、ユーザは所定領域にアクセスすることができる時刻までの時間を有効に利用することで作業効率を低下させない。
(第2項)第1項に記載の自動分析装置において、報知部は、容器の搬送状況をユーザに表示する表示部であり、表示部は、所定領域にアクセスすることができる時刻をユーザに表示する。
第2項に記載の自動分析装置によれば、表示部に表示して所定領域にアクセスすることができる時刻をユーザに対して容易に認識させることができる。
(第3項)第1項に記載の自動分析装置において、表示部は、所定領域にアクセスすることができる時刻に代えて、所定領域にアクセスすることができる時刻までの時間をユーザに表示する。
第3項に記載の自動分析装置によれば、表示部に表示して所定領域にアクセスすることができるまでの時間をユーザに対して容易に認識させることができる。
(第4項)第2項又は第3項に記載の自動分析装置において、表示部は、所定領域にアクセスすることができる時刻までの時間をカウントダウンして表示する表示態様でユーザに表示する。
第4項に記載の自動分析装置によれば、表示部に表示して所定領域にアクセスすることができるまでの残りの時間をユーザに対して容易に認識させることができる。
(第5項)第2項~第4項のいずれか1項に記載の自動分析装置において、報知部は、容器の搬送状況を音で出力する音出力部をさらに備え、音出力部は、所定領域にアクセスすることができる時刻を音でユーザに報知する。
第5項に記載の自動分析装置によれば、表示部を見ることができないユーザに対しても所定領域にアクセスすることができる時刻を容易に認識させることができる。
(第6項)第1項~第5項のいずれか1項に記載の自動分析装置において、制御部は、自動分析装置での処理の中断を検出する検出部と、検出部で中断を検出したときの容器の搬送状況に基づき、所定領域にアクセスすることができる時刻を算出する時間算出部と、時間算出部で算出した時間を記憶する記憶部と、を含み、報知部は、記憶部に記憶された時間に基づいて、所定領域にアクセスすることができる時刻をユーザに報知する。
第6項に記載の自動分析装置によれば、中断を検出したときの容器の搬送状況に基づき、所定領域にアクセスすることができる時刻を算出するので、所定領域にアクセスすることができる時刻を正確に算出することができる。
(第7項)第6項に記載の自動分析装置において、検出部は、ユーザによる中断操作および中断操作の時刻、中断の原因となる異常の種類および異常の検出の時刻を検出することができる。
第7項に記載の自動分析装置によれば、検出部が、ユーザによる中断操作および中断操作の時刻、中断の原因となる異常の種類および異常の検出の時刻を検出するので、所定領域にアクセスすることができる時刻をより正確に算出することができる。
(第8項)第7項に記載の自動分析装置において、検出部は、少なくとも洗浄水不足、廃液タンク量、反応容器不足、反応容器廃棄量、試薬不足、容器の搬送エラー、および検量線有無に関するエラーを検出することができる。
第8項に記載の自動分析装置によれば、検出部が、少なくとも洗浄水不足、廃液タンク量、反応容器不足、反応容器廃棄量、試薬不足、容器の搬送エラー、および検量線有無に関するエラーを検出するので、自動分析装置での処理が中断する異常を検出することができる。
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。