この第1の局面による検体分析装置では、上記のように、保持する容器を特定するための特定情報が記録された記録部を有するラックを搬送する搬送部と、搬送されたラックの記録部から特定情報を読み出す読出部とを設けることによって、ラックの記録部からラックの特定情報を得ることができる。このラックの記録部から得た特定情報により、そのラックに保持される容器を特定することができるので、容器のバーコードを張り替えるなどの作業を行う必要がない。このため、検査効率が低下するのを抑制することができる。また、ラックの記録部の特定情報を読出部により読み出すだけで容器の形状を特定することができるので、各々の容器の形状自体(高さなど)をセンサや複雑な制御などにより特定する必要がない。このため、装置が複雑化するのを抑制することができる。また、ラックに保持される容器に対応する挿入位置に吸引管を挿入することができる。また、容器を密閉するための蓋に液体(検体など)が付着していた場合に、検出部が誤って蓋に付着している液体(検体など)を液面位置として検出することを抑制することができる。
この場合、好ましくは、制御部は、検出部により検出された液面位置が正常量範囲外である場合には、警告を行うように構成されている。このように構成すれば、使用者は、容器に収容されている検体が正常量でないことを認識することができる。
この第2の局面による検体分析装置では、上記のように、検体を収容する容器を複数保持するラックから、保持する容器を特定するための特定情報を読み出す読出部を設けることによって、ラックから容器の特定情報を得ることができる。このラックから得た特定情報により、そのラックに保持される容器を特定することができるので、容器のバーコードを張り替えるなどの作業を行う必要がない。このため、検査効率が低下するのを抑制することができる。また、ラックから容器の特定情報を読み出すだけで容器の形状を特定することができるので、各々の容器の形状自体をセンサや複雑な制御などにより特定する必要がない。このため、装置が複雑化するのを抑制することができる。また、ラックに保持される容器に対応する挿入位置に吸引管を挿入することができる。また、容器を密閉するための蓋に液体(検体など)が付着していた場合に、検出部が誤って蓋に付着している液体(検体など)を液面位置として検出することを抑制することができる。
以下、本発明を具体化した実施形態を図面に基づいて説明する。
図1〜図3は、本発明の一実施形態による検体分析装置の全体構成を示す図である。図4および図5は、本発明の一実施形態による検体分析装置の搬送機構部を中心とした拡大斜視図である。図6〜図8は、本発明の一実施形態による検体分析装置に使用される採血管およびラックを示す図である。図9〜図11は、本発明の一実施形態による検体分析装置の詳細を説明するための図である。まず、図1〜図11を参照して、本発明の一実施形態による検体分析装置1の構造を説明する。
本実施形態による検体分析装置1は、血液の凝固・線溶機能に関連する特定の物質の量や活性の度合いを光学的に測定して分析するための装置であり、血液検体としては血漿が用いられる。本実施形態による検体分析装置1では、凝固時間法、合成基質法、免疫比濁法および血小板凝集法を用いて血液検体の光学的な測定を行うことによって、血液検体の凝固時間を測定している。
この検体分析装置1は、図1および図2に示すように、搬送機構部2と、搬送機構部2の近傍に設けられたバーコードリーダ3と、透過型のセンサ4と、検出機構部5と、検出機構部5に電気的に接続された制御装置6とにより構成されている。また、搬送機構部2、バーコードリーダ3、センサ4および検出機構部5は、検出機構部5内に設けられた制御基板7(図3参照)により制御される。
搬送機構部2は、検出機構部5に血液検体を供給するために、血液検体を収容した複数(本実施形態では、10本)の採血管200が載置されたラック201を吸引位置P(図3参照)に搬送する機能を有している。また、搬送機構部2は、未処理の血液検体を収容した採血管200が収納されたラック201をセットするためのラックセット領域2aと、検体の吸引動作が行われる検体吸引領域2bと、処理済みの血液検体を収容した採血管200が収納されたラック201を収容するラック収容領域2cとを有している。ラックセット領域2aおよびラック収容領域2cは、それぞれ、5つのラック201を収容可能である。また、図4および図5に示すように、ラックセット領域2aには、ラックセット領域2aにセットされたラック201を検体吸引領域2bに搬送するためのスライド可能な一対のフック部材2dが矢印A方向にスライドするための溝2eが設けられている。この一対のフック部材2dに押圧されることにより、ラックセット領域2aにセットされたラック201は、矢印A方向に搬送されるように構成されている。また、検体吸引領域2bには、一対のフック部材2fが格納される一対の溝2gと、検体吸引領域2bにおいてラック201の移動をガイドするガイド部2hとが設けられている。一対のフック部材2fは、ラック201の底面に設けられた複数の凹部(図示せず)に係合することにより矢印B方向にラック201を採血管1本分ずつ搬送する機能を有する。また、ラック収容領域2cには、矢印C方向にスライド可能な押出部材2iが設けられている。この押出部材2iにより、検体吸引領域2bからラック収容領域2cに搬送されてきたラック201は、矢印C方向に押し出されるように構成されている。これにより、次のラック201が詰まることがないように構成されている。
また、本実施形態では、バーコードリーダ3は、採血管200およびラック201にそれぞれ貼付されたバーコード200aおよび201aを読み取るために設けられている。このバーコードリーダ3は、検出機構部5の搬送機構部2側の側面に設けられたスライドレール5aにスライド可能に取り付けられている。バーコードリーダ3は、スライドしながらラック201および各採血管200にそれぞれ貼付されたバーコード201aおよび200aを読み取るように構成されている。この点については、後に詳細に説明する。
ここで、採血管200および採血管200が収容されるラック201について説明する。採血管200は、病院などにおいて採取された検体(血液)が収容されている。また、図6に示すように、採血管200には、バーコード200aが貼付されている。このバーコード200aには、収容された検体(血液)の情報や、検体を採取した患者の情報などが含まれている。また、採血管200には、長さ、底の高さおよび直径などの異なる様々な種類がある。本実施形態では、採血管200の種類に合わせて後述する検体分注アーム30の動作が制御されるように構成されている。また、採血管200には、蓋200bが取り付けられている場合がある。本実施形態では、蓋200bが取り付けられている場合と取り付けられていない場合とで異なる吸引動作により検体が吸引されるように構成されている。
また、図7および図8に示すように、ラック201には、10個の保持部201bが設けられている。この10個の保持部201bにそれぞれ採血管200が1本ずつ収容される。保持部201bの大きさより採血管200の大きさが小さい場合には、アダプタ(図示せず)により採血管200ががたつかないように収容することが可能である。また、ラック201の保持部201bには、図8に示すように、採血管200のバーコード200aをバーコードリーダ3により読み取り可能にするための開口部201cが設けられている。
ここで、本実施形態では、ラック201には、収容されている採血管200の種類を特定するためのバーコード201a(図8参照)が貼付されている。そして、1つのラック201には、バーコード201aの値に対応する1種類の採血管200のみを収容するようにユーザによって運用がなされる。すなわち、バーコード201aの値をバーコードリーダ3により読み取ることによって、そのラック201に収容されている採血管200の種類が特定されるように構成されている。バーコード201aの値と採血管200の種類との対応関係は、制御装置6において設定することが可能である。この点については、後に詳細に説明する。
また、透過型のセンサ4は、図3〜図5に示すように、採血管200に蓋200bが取り付けられているか否かを判別するために設けられている。このセンサ4は、検体吸引領域2bの上方に設けられている。センサ4は、採血管200の蓋200bまたは開口部を挟むように対向して設けられた発光部(図示せず)と受光部(図示せず)とを含む。採血管200に蓋200bがある場合には、受光部は、発光部から発せられた光が蓋により遮られるため受光しないように構成されている。また、採血管200に蓋200bがない場合には、発光部から発せられた光が受光部に受光されるように構成されている。これにより、採血管200に蓋200bが取り付けられているか否かが判別される。
検出機構部5は、搬送機構部2から供給された血液検体に対して光学的な測定を行うことにより、供給された血液検体に関する光学的な情報を取得することが可能なように構成されている。本実施形態では、搬送機構部2のラック201に載置された採血管200から検出機構部5のキュベット250(図4参照)内に分注された血液検体に対して光学的な測定が行われる。また、検出機構部5は、図1および図2に示すように、キュベット供給機構部10と、回転搬送部20と、検体分注アーム30と、ランプユニット40と、試薬分注アーム50と、キュベット移送部60と、測定部70(図3参照)と、緊急検体セット部80(図3参照)と、流体部90とを備えている。
また、キュベット供給機構部10は、ユーザによって無造作に投入された複数のキュベット250を回転搬送部20に順次供給することが可能なように構成されている。このキュベット供給機構部10は、図1〜図3に示すように、第1ホッパ11aと、第1ホッパ11aからキュベット250が供給されるとともに、第1ホッパ11aよりも小さい第2ホッパ11b(図3参照)と、第2ホッパ11bからキュベット250が供給される2つの誘導板12と、2つの誘導板12の下端に配置された支持台13と、支持台13から所定の間隔を隔てて設けられた供給用キャッチャ部14とを含んでいる。第1ホッパ11a内に供給されたキュベット250は、第1ホッパ11aよりも小さい第2ホッパ11bを介して、誘導板12上を、支持台13に向かって滑り落ちながら移動するように構成されている。また、支持台13は、誘導板12を滑り落ちて移動したキュベット250を、供給用キャッチャ部14が把持可能な位置まで回転移送する機能を有している。そして、供給用キャッチャ部14は、支持台13により回転移送されたキュベット250を回転搬送部20に供給するために設けられている。
また、図3に示すように、検出機構部5には、上述した供給用キャッチャ部14から所定の間隔を隔てて、キュベット250を廃棄するための廃棄用孔15と、廃棄用孔15の下方に設置された廃棄ボックス16とが設けられている。上述した供給用キャッチャ部14は、回転搬送部20のキュベット搬送テーブル23上のキュベット250を、廃棄用孔15を介して廃棄ボックス16に廃棄することが可能である。すなわち、供給用キャッチャ部14は、キュベット250の供給と廃棄との両方を行うことが可能である。
回転搬送部20は、キュベット供給機構部10から供給されたキュベット250と、血液検体を凝固させる試薬を収容した試薬容器(図示せず)とを回転方向に搬送するために設けられている。この回転搬送部20は、図3に示すように、円形状の試薬テーブル21と、円形状の試薬テーブル21の外側に配置された円環形状の試薬テーブル22と、円環形状の試薬テーブル22の外側に配置された円環形状のキュベット搬送テーブル23とにより構成されている。これらのキュベット搬送テーブル23、試薬テーブル21および試薬テーブル22は、それぞれ、時計回り方向および反時計回り方向の両方に回転可能で、かつ、各々のテーブルが互いに独立して回転可能なように構成されている。
試薬テーブル21および22は、図3に示すように、それぞれ、円周方向に沿って所定の間隔を隔てて設けられた複数の孔部21aおよび22aを含んでいる。試薬テーブル21および22の孔部21aおよび22aは、血液を凝固させる試薬を収容した複数の試薬容器(図示せず)を載置するために設けられている。また、キュベット搬送テーブル23は、それぞれ、円周方向に沿って所定の間隔を隔てて設けられた円筒形状の複数の保持部23aを含んでいる。保持部23aは、キュベット供給機構部10から供給されたキュベット250を保持するために設けられている。また、キュベット搬送テーブル23の保持部23aに保持されたキュベット250には、検体分注アーム30によって搬送機構部2に載置されるラック201に収納された採血管200に収容されている血液検体が分注される。
検体分注アーム30は、図4および図5に示すように、搬送機構部2により吸引位置Pに搬送された採血管200に収容される血液検体を吸引するとともに、吸引した血液検体をキュベット搬送テーブル23(図3参照)に移送されているキュベット250内に分注する機能を有している。検体分注アーム30は、アーム31と、アーム31を駆動するための駆動部32と、アーム31に取り付けられたピペット33と、アーム31の上面に配置された液面検知用基板34aを含む液面検知センサ34とを含む。アーム31は、駆動部32により軸31aを中心に回動可能であるとともに、上下方向に移動可能に構成されている。また、ピペット33は金属製であるとともに、先端が斜めに鋭利にカットされている。これにより、採血管200に蓋200bが取り付けられている場合にも、蓋200bをピペット33により貫いて中の検体を吸引することが可能である。また、金属製のピペット33は、配線(図示せず)により液面検知用基板34aに接続されている。これにより、ピペット33の先端が液面に接触した時の静電容量の変化に基づいて液面を検知することが可能である。
また、本実施形態では、図3〜図5に示すように、検体分注アーム30の近傍には、補助機構35が設けられている。補助機構35は、E方向にスライド可能な係合部材35aと、駆動部32よりも強い駆動力を有する駆動部35b(図9参照)とを有する。係合部材35aは、駆動部35bの駆動力により上下方向に移動可能である。透過型のセンサ4が採血管200に蓋200bが取り付けられていることを検知した場合に、係合部材35aがアーム31と係合し、駆動部32よりも強い駆動力を有する補助機構35の駆動部35bの駆動力によりアーム31およびピペット33が下降するように構成されている。この補助機構35の駆動部35bの駆動力により、アーム31およびピペット33は、蓋200bを貫いて下降することが可能である。
ランプユニット40は、図3に示すように、測定部70で行われる光学的な測定に用いられる光を供給するために設けられている。
試薬分注アーム50は、図1〜図3に示すように、回転搬送部20に載置された試薬容器(図示せず)内の試薬を回転搬送部20に保持されたキュベット250に分注することにより、キュベット250内の血液検体に試薬を混合するために設けられている。血液検体に試薬が添加されることにより、測定試料が調製される。また、キュベット移送部60は、キュベット250を回転搬送部20のキュベット搬送テーブル23と測定部70との間で移送するために設けられている。
測定部70は、血液検体に試薬を混和して調製された測定試料の加温を行うとともに、ランプユニット40によって複数の波長の光が照射された測定試料から光を経時的に受け、各々の波長について、経時的な光学的な情報を取得するために設けられている。具体的には、測定部70は、ランプユニット40から照射される数種類の光を用いて、経過時間毎に透過光量を取得している。
制御基板7は、測定部70の下方に配置されている。この制御基板7は、検出機構部5および搬送機構部2などの動作の制御や、測定部70から出力された光学的情報(電気信号)の処理および記憶などを行う機能を有している。制御基板7は、CPU7aおよびメモリ7bなどを含む。このCPU7aにより装置本体(検出機構部5、搬送機構部2など)に設けられている各機構のドライバ300が制御される。また、バーコードリーダ3によって読み取られたラック201のバーコード201aの値は、メモリ7bに格納される。
緊急検体セット部80は、図3に示すように、緊急を要する血液検体に対しての検体分析処理を行うために設けられている。この緊急検体セット部80は、搬送機構部2から供給された血液検体に対しての検体分析処理が行われている際に、緊急検体を割り込ませることが可能なように構成されている。また、流体部90は、図1および図2に示すように、検体分析装置1のシャットダウン処理の際に、各分注アームに設けられるノズルに洗浄液などの液体を供給するために設けられている。
制御装置6(図1参照)は、パーソナルコンピュータ(PC)などからなり、CPU、ROM、RAMなどからなる制御部6aと、表示部6bと、キーボード6cとを含んでいる。また、表示部6bは、測定部70から送信されたデジタル信号のデータを分析して得られた分析結果(凝固時間)などを表示するために設けられている。
ここで、本実施形態では、ラック201に貼付されるバーコード201aと、ラック201に収容される採血管200との対応関係を制御装置6において設定することが可能である。具体的には、図11に示すように、表示部6bに表示される設定画面6dにおいて、ラック201に貼付されるバーコード201aにおける採血管種別識別子の位置および識別子の値と採血管種別との対応関係を設定することができる。識別子の値は、最大10種類(0〜9)まで設定可能である。たとえば、図11に示した例では、6桁の値を有するラック201のバーコードのうち、2桁目の値が「1」である場合には、ラック201に収容されている採血管の種類は「default」であると特定される。
次に、制御装置6の構成について説明する。制御装置6は、図10に示すように、制御部6aと、表示部6bと、キーボード6cとから主として構成されたコンピュータ601によって構成されている。制御部6aは、CPU601aと、ROM601bと、RAM601cと、ハードディスク601dと、読出装置601eと、入出力インタフェース601fと、通信インタフェース601gと、画像出力インタフェース601hとから主として構成されている。CPU601a、ROM601b、RAM601c、ハードディスク601d、読出装置601e、入出力インタフェース601f、通信インタフェース601g、および画像出力インタフェース601hは、バス601iによって接続されている。
CPU601aは、ROM601bに記憶されているコンピュータプログラムおよびRAM601cにロードされたコンピュータプログラムを実行することが可能である。そして、後述するようなアプリケーションプログラム604aをCPU601aが実行することにより、コンピュータ601が制御装置6として機能する。
ROM601bは、マスクROM、PROM、EPROM、EEPROMなどによって構成されており、CPU601aに実行されるコンピュータプログラムおよびこれに用いるデータなどが記録されている。
RAM601cは、SRAMまたはDRAMなどによって構成されている。RAM601cは、ROM601bおよびハードディスク601dに記録されているコンピュータプログラムの読み出しに用いられる。また、これらのコンピュータプログラムを実行するときに、CPU601aの作業領域として利用される。
ハードディスク601dは、オペレーティングシステムおよびアプリケーションプログラムなど、CPU601aに実行させるための種々のコンピュータプログラムおよびそのコンピュータプログラムの実行に用いるデータがインストールされている。本実施形態に係る血液凝固時間測定用のアプリケーションプログラム604aも、このハードディスク601dにインストールされている。
読出装置601eは、フレキシブルディスクドライブ、CD−ROMドライブ、またはDVD−ROMドライブなどによって構成されており、可搬型記録媒体604に記録されたコンピュータプログラムまたはデータを読み出すことができる。また、可搬型記録媒体604には、血液凝固時間測定用のアプリケーションプログラム604aが格納されており、コンピュータ601がその可搬型記録媒体604からアプリケーションプログラム604aを読み出し、そのアプリケーションプログラム604aをハードディスク601dにインストールすることが可能である。
なお、上記アプリケーションプログラム604aは、可搬型記録媒体604によって提供されるのみならず、電気通信回線(有線、無線を問わない)によってコンピュータ601と通信可能に接続された外部の機器から上記電気通信回線を通じて提供することも可能である。たとえば、上記アプリケーションプログラム604aがインターネット上のサーバコンピュータのハードディスク内に格納されており、このサーバコンピュータにコンピュータ601がアクセスして、そのアプリケーションプログラム604aをダウンロードし、これをハードディスク601dにインストールすることも可能である。
また、ハードディスク601dには、たとえば、米マイクロソフト社が製造販売するWindows(登録商標)などのグラフィカルユーザインタフェース環境を提供するオペレーティングシステムがインストールされている。以下の説明においては、本実施形態に係るアプリケーションプログラム604aは上記オペレーティングシステム上で動作するものとしている。
出力インタフェース601fは、たとえば、USB、IEEE1394、RS−232Cなどのシリアルインタフェース、SCSI、IDE、IEEE1284などのパラレルインタフェース、およびD/A変換器、A/D変換器などからなるアナログインタフェースなどから構成されている。入出力インタフェース601fには、キーボード6cが接続されており、ユーザがそのキーボード6cを使用することにより、コンピュータ601にデータを入力することが可能である。
通信インタフェース601gは、たとえば、Ethernet(登録商標)インタフェースである。コンピュータ601は、その通信インタフェース601gにより、所定の通信プロトコルを使用して検出機構部5との間でデータの送受信が可能である。
画像出力インタフェース601hは、LCDまたはCRTなどで構成された表示部6bに接続されており、CPU601aから与えられた画像データに応じた映像信号を表示部6bに出力するようになっている。表示部6bは、入力された映像信号にしたがって、画像(画面)を表示する。
また、制御部6aのハードディスク601dにインストールされた血液凝固時間測定用のアプリケーションプログラム604aは、検出機構部5の測定部70から送信された測定試料の透過光量(デジタル信号のデータ)を用いて、測定試料の凝固時間を測定している。この凝固時間は、キュベット250内の血液検体を凝固させる試薬が添加された時点から、測定試料(試薬が添加された血液検体)が流動性を失うまでの時間(凝固時間)である。この測定試料が流動性を失う凝固反応は、血液検体中のフィブリノーゲンが、添加された試薬によりフィブリンに変化する反応である。そして、本実施形態の検体分析装置1では、血液検体中のフィブリノーゲン量に依存して反応するこの凝固反応を、測定試料の透過光量の変化量(反応前の透過光量と反応後の透過光量との差)によって確認している。
図12は、本実施形態による検体分析装置1の分析動作を説明するためのフローチャートである。次に、図1、図4および図12を参照して、本実施形態による検体分析装置1の分析動作を説明する。
まず、ステップS1において、図1に示した検体分析装置1の装置本体(検出機構部5など)および制御装置6の電源をそれぞれオン状態にすることにより、検体分析装置1の初期設定が行われる 。これにより、キュベット250を移動させるための機構と各分注
アームとを初期位置に戻すための動作や、制御装置6の制御部6aに記憶されているソフトウェアの初期化などが行われる。
そして、ステップS2において、図4に示した搬送機構部3において、ラックセット領域2aにセットされたラック201が、一対のフック部材2dのスライドによって矢印A方向に移動されて、検体吸引領域2bに移動される。そして、図12のステップS3において、検体吸引領域2bにおいて、バーコードリーダ3によるラック201のバーコード201aおよび採血管200のバーコード200aの読出しが行われる。以下にバーコードの読出しについて詳細に説明する。
まず、検体吸引領域2bに移動されたラック201は、フック部材2fにより矢印B方向に採血管1本分ずつ搬送される。そして、ラック201が矢印B方向に搬送されるのと並行して、バーコードリーダ3がD方向にスライドしながらラック201のバーコード201aとラック201に収容された採血管200のバーコード200aとを読み取っていく。ラック201のバーコード201aを読み取ることにより、ラック201を特定するためのラック特定情報が得られる。このラック特定情報の中には、ラック201に収容されている採血管200の種類を特定するための容器種別識別子が含まれる。また、採血管200のバーコード200aを読み取ることによって、各採血管200に収容されている検体(血液)に関する情報を得られる。なお、採血管200のバーコード200aの読取は2回行われる。すなわち、最初に吸引される検体が収容された採血管200が吸引位置Pに移動されるまでに、ラック201のバーコード201aと採血管200のバーコード200aとをバーコードリーダ3がスライドしながら一通り読み込む。また、吸引を行う前に、バーコードリーダ3は、吸引を行おうとする検体が収容された採血管200のバーコードを再度読み込む。この2回目の読込は、これから吸引する検体を確認するために行われる。
次に、ステップS4において、採血管200の種類が特定される。具体的には、制御基板7は、制御装置6において設定されている容器種別識別子と採血管の種類との対応関係を参照して、読み出したラック201のバーコード201aの容器種別識別子と対応する採血管200の種類を特定する。容器種別識別子と採血管の種類との対応関係は、図11に示した設定画面6dにおいて設定される。
そして、ステップS5において、センサ4の液面検出機能を停止する停止範囲と、測定を行うのに最低限必要な検体の量の下限値に対応する液面の下限位置と、液面からのピペット33の下降量とが決定される。これらの値は、上記ステップS4で特定された採血管200の種類に応じて決定される。制御基板7は、これらの値(停止範囲、下限位置および下降量)を制御装置6の制御部6aから取得する。
そして、ステップS6において、制御基板7は、取得した停止範囲、下限位置および下降量に基づいて検体分注アーム30および補助機構35による検体の吸引を行う。検体の吸引動作については、後に詳細に説明する。
そして、ステップS7において、吸引された検体の分析が行われる。以下に検体の分析動作の詳細について説明する。まず、ステップS6において検体分注アーム30によって吸引された検体は、図3に示すように、回転搬送部20のキュベット搬送テーブル23上のキュベット250に分注される。そして、検体を収容したキュベット250は、キュベット搬送テーブル23が回転することにより測定部70の近傍に搬送される。そして、キュベット250は、移送部60によって測定部70に移送される。また、検体を収容したキュベット250には、回転搬送部20の試薬テーブル上の試薬容器(図示せず)から試薬分注アーム50によって試薬が分注される。これにより、検体と試薬とが混合されて測定試料が調製される。そして、測定試料は、測定部70においてランプユニット40からの光が照射されることにより光学的な測定が行われ、制御基板7のCPU7aにより測定結果が取得される。その後、測定結果は、制御基板7から制御装置6に送られ、制御装置6において測定結果の分析が行われる。最後に、制御装置6による分析結果が表示部6bに表示されて、本実施形態による検体分析装置1の分析が終了する。
図13は、本実施形態による検体分析装置の検体分注アームによる検体の吸引動作を説明するためのフローチャートである。図14〜図16は、制御基板による吸引動作の制御の詳細を説明するための図である。次に、図2、図4、図9および図13〜図16を参照して、本実施形態による検体分析装置1の検体分注アーム30による検体の吸引動作を説明する。
検体を収容した採血管200は、図4に示すように、搬送機構部2の検体吸引領域2bにおいて、フック部材2fにより矢印B方向に採血管1本分ずつ搬送される。この時、図13のステップS11において、検体吸引領域2bの上方に設けられた透過型のセンサ4が採血管200の蓋200bを検知したか否かが判断される。そして、センサ4により蓋200bの有無が判断された採血管200は、吸引位置Pに移動される。また、検体分注アーム30は、ピペット33が吸引位置Pの上方に位置するように回動する。この状態で、センサ4が蓋200bを検知しなかった場合には、ステップS16に進み、弱い力でピペット33が下降を開始する。具体的には、検体分注アーム30の駆動部32により、吸引位置Pの上方に位置する検体分注アーム30のアーム31およびピペット33が下方(図2の矢印F方向)へ移動される。ピペット33が下降を開始すると、ステップS17に移動する。また、センサ4が蓋200bを検知した場合には、ステップS12において、液面検知センサ34がオフ状態にされる。
次に、ステップS13において、検体分注アーム30のピペット33が強い力で下降を開始する。具体的には、図2および図9に示すように、吸引位置Pの上方に位置する検体分注アーム30のアーム31に、補助機構35の係合部材35aが図9のE1方向にスライドして係合する。そして、検体分注アーム30の駆動部32よりも強い駆動力を有する補助機構35の駆動部35b(図9参照)によって、ピペット33が取り付けられたアーム31が係合部材35aと一体的に矢印F方向に下降する。このとき、検体分注アーム30の駆動部32は動作せず、補助機構35の駆動部35bのみによりアーム31およびピペット33が下降する。このように強い力でピペット33を下降させることにより、採血管200の蓋200bを先端が鋭利にカットされたピペット33で貫いて採血管200に収容された検体を吸引することが可能である。
次に、ステップS14において、ピペット33の先端が採血管200の種類に応じて決定される液面検知センサ34の停止範囲より下にあるか否かが判断される。なお、液面検知センサ34の停止範囲は、図14に示すように、ピペット33の下降が開始される初期位置から、蓋200bの下面から下方に所定の距離離れた位置までの範囲である。ピペット33の先端が停止範囲内にある場合は、ステップS13およびS14が繰り返される。また、ピペット33の先端が停止範囲より下にある場合には、ステップS15において、液面検知センサがオン状態にされて、ステップS17に移動する。
そして、ステップS17において、液面検知センサ34により検体の液面を検知したか否かが判断される。具体的には、空気中にあった金属製のピペット33の先端が液面に触れることにより、ピペット33と配線(図示せず)により接続された液面検知用基板34aによって静電容量が変化したか否かが検知される。液面を検知した場合には、ステップS20に移動する。また、液面を検知しない場合には、ステップS18において、ピペット33の先端が採血管200の種類に対応して決定される下限位置(図15参照)よりも下にあるか否かが判断される。この下限位置は、検体の測定に必要な吸引量が確保できる検体の量に対応している。すなわち、液面を検出しないままピペット33の先端が下限位置よりも下に位置した場合には、採血管200に測定に必要な量の検体が収容されていないので、ステップS19において、エラーとなり、制御装置6の表示部6bにエラー表示がなされるとともに、警告音が発せられる。この場合、エラーとなった採血管200については、吸引動作が中止され、次の採血管200の吸引動作が開始される。また、ピペット33の先端が下限位置よりも上に位置する場合には、液面を検知するかエラーとなるまでステップS17およびステップS18が繰り返される。
そして、ステップS17で液面が検知された場合には、ステップS20において、検出された液面の位置が正常範囲(図15参照)内か否かが判断される。正常範囲は、採血する際に通常採取される検体(血液)の量の範囲である。採血管200に正常範囲内の検体(血液)が採取されない場合、血液の量に対して、採血管200に予め入れてある血液の凝固を抑制するための薬品の量の割合が正常でなくなるため、その影響で正確な測定ができなくなる。検出された液面の位置が正常範囲にある場合には、ステップS22に移動する。また、正常範囲にない場合には、正確な測定結果を出すことが困難であるので、その旨をユーザに警告する。警告がなされた後、ステップS22に移動する。
次に、ステップS22において、上記ステップS17において検出された液面の位置から所定量(下降量)下げた位置でピペット33が停止される。この下降量(図16参照)は、採血管200の種類に応じて決定される量であり、1回の吸引で吸引される検体の量に対応している。そして、ステップS23において、ピペット33により検体が吸引される。下降量分だけを液面の位置から下げて検体を吸引することにより、ピペット33の外面に付着する検体の量を最小限にすることが可能である。本実施形態では、このようにして検体の吸引が行われる。
本実施形態では、上記のように、ラック201のバーコード201aから採血管種別識別子をバーコードリーダ3により読み出すことによって、ラック201のバーコード201aからラック201に保持されている採血管200の採血管種別識別子を取得することができる。このラック201のバーコード201aから得た採血管種別識別子により、採血管200の種類を特定することができるので、採血管200のバーコード200aを張り替えるなどの作業を行う必要がない。このため、検査効率が低下するのを抑制することができる。また、ラック201のバーコード201aの採血管種別識別子をバーコードリーダ3により読み出すだけで採血管200の形状を特定することができるので、採血管200の形状自体(高さなど)をセンサや複雑な制御などにより特定する必要がない。このため、装置が複雑化するのを抑制することができる。
また、本実施形態では、上記のように、ラック201のバーコード201aから読み出された採血管種別識別子に基づいて、ピペット33を液面位置から下降させる下降量を決定し、決定した下降量でピペット33を液面位置から下降させることによって、ピペット33を液面から必要最小限の下降量だけ下降させて、ピペット33に検体を吸引させることができる。
また、本実施形態では、上記のように、ラック201のバーコード201aから読み出された採血管種別識別子に基づいて、吸引に必要な検体の液面位置の下限位置を決定し、液面検知センサ34が液面位置を検出することなくピペットの先端が下限位置を下回った場合には、吸引動作を中止してエラーとする、測定に必要な量の検体が採血管200に収容されていない場合に、不十分な量の検体により測定が行われることを抑制することができる。
また、本実施形態では、上記のように、ラック201のバーコード201aから読み出された採血管種別識別子に基づいて、検体の所定の正常量範囲を決定し、検出部により検出された液面位置と所定の正常量範囲とを比較し、比較結果に基づいて、採血管200に収容された検体の量が適量であるか否かを判別することによって、吸引しようとする検体が採血管200に正常量収容されているか否かを容易に判別することができる。
また、本実施形態では、上記のように、検体の液面位置が正常量範囲外である場合には、警告を行うことによって、使用者は、採血管200に収容されている検体が正常量でないことを認識することができる。
また、本実施形態では、上記のように、採血管200に蓋200bが取り付けられている場合、ラック201のバーコード201aから読み出された採血管種別識別子に基づいて、液面検知センサ34の検出機能を停止させる停止範囲を決定し、液面検知センサ34が停止範囲を下回るまで液面検知センサ34の検出機能を停止させることによって、蓋200bに液体(検体など)が付着していた場合に、液面検知センサ34が誤って蓋200bに付着している液体(検体など)を液面位置として検出することを抑制することができる。
なお、今回開示された実施形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施形態の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれる。
たとえば、上記実施形態では、採血管200の蓋200bの有無を透過型のセンサ4によって判別した例を示したが、本発明はこれに限らず、ラックのバーコードに、ラックに収容される採血管の蓋の有無を判別するための値を含ませてもよい。これにより、蓋を検知するためのセンサを設けることなく、バーコードリーダにより読み取られるバーコードの値によって採血管の蓋の有無を判別することができる。
また、上記実施形態では、バーコードリーダがスライド可能に構成され、スライドしながらラックおよび採血管のバーコードを読み取るように構成された例を示したが、本発明はこれに限らず、バーコードリーダを固定的に設置してもよい。
また、上記実施形態では、検体分析装置1に採血管200を収容するラック201を搬送するための搬送機構部2が設けられている例を示したが、本発明はこれに限らず、搬送機構部と検体分析装置とが別体で設けられていてもよい。
また、上記実施形態では、検体分析装置1にバーコードリーダ3を設け、バーコードリーダ3によりラック201および採血管200のバーコード201aおよび200aを読み取るように構成した例を示したが、本発明はこれに限らず、検体分析装置の外部に設けられたバーコードリーダによりラックのバーコードを読み取り、読み取ったバーコードの値を受信部によって受信するように構成してもよい。このように構成してもラックに収容された採血管の種類を特定することができる。
また、上記実施形態では、ラック201に収容された採血管200の種類を特定するためにラック201を特定するラック特定情報を記録したバーコード201aを貼付し、このラック特定情報に採血管種別を特定するための採血管種別識別子を含めるようにし、バーコード201aをバーコードリーダ3により読み取るように構成した例を示したが、本発明はこれに限らず、ラック201にラック特定情報を磁気的に記録し、磁気読取装置でラック特定情報を取得するように構成してもよい。また、ラック特定情報に採血管種別識別子を含めなくても、ラック特定情報により特定されるラックと、そのラックにより保持される採血管の種別との対応関係を示すテーブルを装置側で記憶しておき、当該テーブルを参照することによりラック特定情報から対応する採血管種別を求める構成としてもよい。
また、上記実施形態では、1つのラックには一種類の採血管を収容するように運用した例を示したが、本発明はこれに限らず、形状が互いに類似する採血管であれば、数種類の採血管を1つのラックに収容してもよい。