以下、図面を参照しながら本実施形態に係わる自動分析装置を説明する。なお、以下の説明において、略同一の機能及び構成を有する構成要素については、同一符号を付し、重複説明は必要な場合にのみ行う。
図1は、本実施形態に係る自動分析装置1のブロック構成図を示している。図1に示すように、自動分析装置1は、反応機構10と、分析部20と、入力部30と、インターフェース(以下、I/Fと呼ぶ)40と、ラック搬送機構50と、エラー情報記憶部60と、システム制御部70と、出力部80とを備える。分析部20、入力部30、システム制御部70、出力部80等は、例えば、コンソールに収容される。コンソールは、本自動分析装置1の各ユニットを操作するためのキーボード、PC、ディスプレイ等を有する。
反応機構10は、サンプル分注部115と、測光部153と、反応機構制御部157とを有する。図2は、本実施形態に係る自動分析装置1の上面の一例を示す上面図である。図2に示すように反応機構10は、反応ディスク101と、第1試薬庫103と、第2試薬庫109と、第1サンプルアーム119と、第2サンプルアーム121と、第1A試薬アーム129と、第2A試薬アーム135と、第1B試薬アーム141と、第2B試薬アーム145と、洗浄部155と、測光部153とを有する。
なお、試薬庫(第1試薬庫103、第2試薬庫109)と、サンプルアーム(第1サンプルアーム119、第2サンプルアーム121)と、試薬アーム(第1A試薬アーム129、第2A試薬アーム135、第1B試薬アーム141、第2B試薬アーム145)と、撹拌部(図示していない第1撹拌部、第2撹拌部)とは、2つに限定されず、一つでもよいし、3つ以上であってもよい。
反応ディスク(反応槽)101は、円周上に複数配置された反応容器(反応セル)を回転可能に保持する。反応容器は、反応ディスク101内の恒温槽に収容されている。反応ディスク101は、分析サイクルごとに所定の角度で回転した後、停止する。これにより、反応容器は、所定の角度だけ回転される。
第1試薬庫103は、円周上に配置された複数の試薬容器(第1試薬ボトル)を保冷して保持する。第1試薬庫103における複数の試薬容器各々の開口部分は、図2に示すように、例えば、同心円の外円105と内円107とに配列される。第2試薬庫109は、円周上に配置された複数の試薬容器(第2試薬ボトル)を保冷して保持する。第2試薬庫109における複数の試薬容器各々の開口部分は、図2に示すように、例えば、同心円の外円111と内円113とに配列される。
サンプル分注部115は、サンプルを吸引する位置(以下、サンプリング位置117と呼ぶ)に移動されたサンプル容器内のサンプルをサンプリングする。具体的には、サンプル分注部115は、第1サンプルアーム119と、第2サンプルアーム121と、第1サンプルアーム119の先端に設けられた不図示の第1サンプルプローブと、第2サンプルアーム121の先端に設けられた不図示の第2サンプルプローブと、第1サンプルプローブにチューブおよび作動流体で接続された第1サンプル分注ポンプと、サンプルプローブにチューブおよび作動流体で接続された第2サンプル分注ポンプと、サンプリングレーン123とを有する。
サンプリングレーン123に配置されたサンプルラックは、サンプルラックの保持された複数のサンプル容器各々の開口をサンプリング位置117に移動させる。この移動は、例えば、ベルトコンベアにより実現される。
第1サンプルアーム119は、第1サンプルプローブを回動可能に支持する。第1サンプルプローブは、第1サンプル分注ポンプと作動流体とにより、サンプリング位置117に移動されたサンプル容器から、サンプルを吸引する。第1サンプルプローブは、第1サンプル分注ポンプと作動流体とにより、反応ディスク101におけるサンプル吐出位置127に位置する反応容器に、サンプリング位置117で吸引したサンプルを吐出する。第1サンプルアーム119は、サンプリング位置117とサンプル吐出位置127との間を、サンプルアームの移動軌跡に沿って回動する。
第2サンプルアーム121は、第2サンプルプローブを回動可能に支持する。第2サンプルプローブは、第2サンプル分注ポンプと作動流体とにより、サンプリング位置117に移動されたサンプル容器から、サンプルを吸引する。第2サンプルプローブは、第2サンプル分注ポンプと作動流体とにより、反応ディスク101におけるサンプル吐出位置127に位置する反応容器に、サンプリング位置117で吸引したサンプルを吐出する。第2サンプルアーム121は、サンプリング位置117とサンプル吐出位置127との間を、サンプルアームの移動軌跡に沿って回動する。
第1A試薬アーム129の先端には、図示していない第1A試薬プローブが設けられる。第1A試薬アーム129は、第1A試薬プローブを回動可能および上下動可能に支持する。第1A試薬プローブは、図示していない第1A試薬分注ポンプにより、第1試薬庫103の外円105における試薬吸引位置に位置する試薬容器から、試薬を吸引する。
第1A試薬プローブは、反応ディスク101における試薬吐出第1位置133に位置する反応容器に、第1試薬庫103の外円105における試薬吸引位置で吸引した試薬を吐出する。第1A試薬アーム129は、第1試薬庫103の外円105における試薬吸引位置と試薬吐出第1位置133との間を、第1A試薬アームの移動軌跡に沿って回動する。
第2A試薬アーム135の先端には、図示していない第2A試薬プローブが設けられる。第2A試薬アーム135は、第2A試薬プローブを回動可能および上下動可能に支持する。第2A試薬プローブは、図示していない第2A試薬分注ポンプにより、第1試薬庫103の内円107における試薬吸引位置に位置する試薬容器から、試薬を吸引する。
第2A試薬プローブは、反応ディスク101における試薬吐出第2位置139に位置する反応容器に、第1試薬庫103の内円107における試薬吸引位置で吸引した試薬を吐出する。第2A試薬アーム135は、第1試薬庫103の内円107における試薬吸引位置と試薬吐出第2位置139との間を、第2A試薬アームの移動軌跡に沿って回動する。
第1B試薬アーム141の先端には、図示していない第1B試薬プローブが設けられる。第1B試薬アーム141は、第1B試薬プローブを回動可能および上下動可能に支持する。
第1B試薬プローブは、図示していない第1B試薬分注ポンプにより、第2試薬庫109の外円111における試薬吸引位置に位置する試薬容器から、試薬を吸引する。第1B試薬プローブは、反応ディスク101における試薬吐出第1位置133に位置する反応容器に、第2試薬庫109の外円111における試薬吸引位置で吸引した試薬を吐出する。第1B試薬アーム141は、第2試薬庫109の外円111における試薬吸引位置と試薬吐出第1位置133との間を、第1B試薬アームの移動軌跡に沿って回動する。
第2B試薬アーム145の先端には、図示していない第2B試薬プローブが設けられる。第2B試薬アーム145は、第2B試薬プローブを回動可能および上下動可能に支持する。第2B試薬プローブは、図示していない第2B試薬分注ポンプにより、第2試薬庫109の内円113における試薬吸引位置に位置する試薬容器から、試薬を吸引する。
第2B試薬プローブは、反応ディスク101における試薬吐出第2位置139に位置する反応容器に、第2試薬庫109の内円113における試薬吸引位置で吸引した試薬を吐出する。第2B試薬アーム145は、第2試薬庫109の内円113における試薬吸引位置と試薬吐出第2位置139との間を、第2B試薬アームの移動軌跡に沿って回動する。
図示していない第1攪拌部と第2撹拌部とは、図示していない攪拌アームと攪拌子とをそれぞれ有する。攪拌子は、攪拌アームの先端に取り付けられている。攪拌アームは、攪拌子を回動可能および上下動可能に支持する。第1撹拌部における攪拌アームは、反応ディスク101上における第1撹拌位置149に位置する反応容器内に、攪拌子を待機位置から下降させて挿入する。第2撹拌部における攪拌アームは、反応ディスク101上における第2撹拌位置151に位置する反応容器内に、攪拌子を待機位置から下降させて挿入する。
攪拌子の先端が反応容器の内底面の近傍まで下降すると、攪拌アームは、攪拌子の下降を停止させる。攪拌子の停止後、攪拌子は、反応機構制御部157の制御により振動する。攪拌子が振動することにより、第1撹拌位置149および第2撹拌位置151に位置する反応容器内の混合液(サンプルと試薬)は、攪拌される。攪拌後、攪拌アームは、攪拌子を待機位置まで上昇させる。
測光部153は、被検試料と試薬の混合物(以下、被検混合物と呼ぶ)に光を照射する。測光部153は、被検混合物を透過した光を吸光度に変換し、被検試料に関する吸光度のデータを発生する。測光部153は、発生した吸光度のデータをデータ記憶部203へ出力する。測光部153は、標準物質と試薬の混合物(以下、標準混合物と呼ぶ)に光を照射する。標準物質とは、測定する物質と同じか共通の性質を有する物質または、試薬との反応に共通性のある物質のことである。測光部153は、標準混合物を透過した光を吸光度に変換し、標準物質に関する吸光度のデータを発生する。測光部153は、標準物質に関する吸光度のデータをデータ記憶部203へ出力する。
洗浄部155は、図示していない洗浄ノズルおよび乾燥ノズルと、これらノズルを支持する洗浄支持アームとを有する。洗浄支持アームは、洗浄ノズルと乾燥ノズルとを、それぞれ上下移動可能に支持する。洗浄ノズルは、反応ディスク101上における洗浄位置に位置する反応容器から、洗浄ポンプにより混合液を吸引する。
混合液を吸引後、洗浄ノズルは純水を吐出して、洗浄位置の反応容器内を洗浄する。乾燥ノズルは、反応ディスク101上における乾燥位置に位置する反応容器内に、乾燥ポンプにより乾燥空気を吐出し、純水により洗浄された反応容器を乾燥させる。
反応機構制御部157は、反応機構10を制御する。反応機構制御部157は、例えば、単一または複数の処理回路を有する。反応機構制御部157は、入力部30を介して操作者により入力された分析項目、分析手順等に関するシステム制御部70からの信号に基づいて、反応機構10の各要素に対してシーケンスを組む。反応機構制御部157は、組まれたシーケンスに基づいて、反応ディスク101、第1試薬庫103および第2試薬庫109における複数の試薬容器をそれぞれ所定のタイミングで所定の角度で回転させる。
反応機構制御部157は、組まれたシーケンスに基づいて、第1サンプルアーム119、第2サンプルアーム121、第1A試薬アーム129、第2A試薬アーム135、第1B試薬アーム141、第2B試薬アーム145、撹拌アームをそれぞれ回動させる。反応機構制御部157は、組まれたシーケンスに基づいて、第1サンプルプローブ、第2サンプルプローブ、第1A試薬プローブ、第2A試薬プローブ、第1B試薬プローブ、第2B試薬プローブ、攪拌子、洗浄ノズル、乾燥ノズルをそれぞれ上下動させる。
反応機構制御部157は、組まれたシーケンスに基づいて、サンプル分注ポンプA、サンプル分注ポンプB、第1A試薬分注ポンプ、第2A試薬分注ポンプ、第1B試薬分注ポンプ、第2B試薬分注ポンプ、洗浄ポンプ、乾燥ポンプをそれぞれ駆動する。反応機構制御部157は、組まれたシーケンスに基づいて、攪拌子を振動させる。
分析部20は、試料分析部201とデータ記憶部203とを有する。試料分析部201は、データ記憶部203に記憶された吸光度のデータと分析項目とに基づいて、検量線のデータを発生する。試料分析部201は、例えば、単一または複数の処理回路を有する。発生された検量線のデータは、データ記憶部203に記憶されるとともに、出力部80へ出力される。試料分析部201は、当該検量線のデータとデータ記憶部203に記憶された被検試料に関する吸光度のデータとに基づいて、検査項目に対応する成分の濃度および活性値などに関する分析データを発生する。発生された分析データは、データ記憶部203に記憶されるとともに、出力部80へ出力される。
データ記憶部203は、ハードディスクドライブ、ソリッドステートドライブ等の記憶媒体(ストレージデバイス)を有する。データ記憶部203は、反応機構10の測光部153により発生された吸光度のデータを記憶する。データ記憶部203は、試料分析部201により発生された検量線のデータを、標準物質ごとに記憶する。データ記憶部203は、試料分析部201により発生された分析データを、被検試料ごとに記憶する。
データ記憶部203は、後述する読取部505で読み取られた識別コードに対応付けられたサンプルの測定項目、サンプル再検の要否に関するデータを、検査依頼データ(オーダーデータ)の一部として記憶する。サンプル再検の要否に関するデータとは、再検条件であり、例えば、測定項目毎に設定された測定範囲(所定値以上、所定値未満)である。再検条件は、例えば、入力部30を介した操作者の指示により、測定条件を設定するときに入力される。試料分析部201は、オーダーデータ、分析データ、サンプル再検の要否に関するデータに基づいて、再検の要否を判別する。また、試料分析部201は、サンプル容器に関する光学式マークが読み取られたとき、サンプル容器に対して再検のオーダがなされているかを確認して、再検かどうかを判断する。
入力部30は、キーボード、マウス、各種ボタン、タッチキーパネル等の入力デバイスを有する。入力部30は、入力デバイスを介して操作者により入力された各測定項目の分析条件、被検試料ごとに測定する測定項目などを、操作信号としてシステム制御部70へ出力する。また、入力部30を介して操作者により入力された情報は、図示していないメモリに記憶されてもよい。
I/F40には、例えば、ネットワークが接続される。ネットワークを介して本自動分析装置1は、LIS(Laboratory Infomation System:検査室情報システム)等に接続されてもよい。
ラック搬送機構50は、ラック投入部501と、ラック移動部503と、再検バッファレーン504と、読取部505と、ラック回収部507と、エラー検出部509、配置レーン決定部511と、エラー表示部513とを有する。
ラック投入部501は、サンプル分注部115によりサンプリングされる前の複数のサンプル容器(例えば採血管等)を保持するサンプルラックが投入される少なくとも一つの投入レーンを有する。サンプルラックに保持された複数のサンプル容器各々には、サンプル容器に収容されたサンプルの情報(患者情報、サンプル情報、サンプルID等)を有する光学式マークが設けられる。例えば、光学式マークは、サンプル(容器)をユニークに特定(識別)可能な識別コードを符号化したマークである。
また、サンプルラックには、サンプルラックに保持されたサンプル容器の情報(例えばラックIDなどの符号化された識別コード)に関する光学式マークが、サンプルラックに設けられる。光学式マークとは、例えば、バーコードである。なお、光学式マークは、バーコードに限定されず、一次元画素コード、2次元画素コードなどの任意の画素コードが用いられてもよい。
図2には2つの投入レーン(第1投入レーン5011、第2投入レーン5012)が示されているが、投入レーンは、一つであってもよいし、3つ以上であってもよい。ラック投入部501は、投入レーンに投入されたサンプルラックを、ラック移動部503によりピックアップ可能な位置に移動させる。投入レーンにおけるサンプルラックの移動は、例えば、ベルトコンベア、モータによりリードスクリュー(送りねじ)を回転させてサンプルラックを押し出す(または引き出す)機構、ロボットアームなどにより実現される。
なお、ラック投入部501は、緊急検体検査または優先的な測定に関するサンプルを収容するサンプル容器を保持するサンプルラック(以下、STATラック(優先サンプルラック)と呼ぶ)を投入するSTAT投入部分5013を有していてもよい。STATラックは、投入レーンに投入されたサンプルラックより優先的に、後述する読取器5052に対向する読み取り位置とサンプリングレーン123とに搬送される。例えば、STATラックは、投入レーン(第1投入レーン5011、第2投入レーン5012)に投入されたサンプルラックよりも優先的に測定されるように、ラック移動部503により移動される。
ラック移動部503は、サンプルラックを搬送レール5031に沿って移動させる搬送アーム5032を有する。搬送アーム5032は、載置されているサンプルラックに設けられた1組の溝に抜差し自在に設けられた1対の爪を有する。搬送アーム5032における1対の爪は、昇降自在である。搬送アーム5032における1対の爪は、載置面に載置されているサンプルラックを載置面から持ち上げることができる。搬送アーム5032における1対の爪は、持ち上げたサンプルラックを所定の高さで保持することができる。搬送アーム5032における1対の爪は、保持したサンプルラックを、所定の載置面上に降ろすことができる。搬送アーム5032は、1対の爪をサンプルラックの溝に挿込んだ状態で、フォークリフトがそのフォークで荷物を抱えて運ぶように、1対の爪でサンプルラックを搬送する。
搬送アーム5032は、ラック投入部501に投入されたサンプルラックを読取部505の読み取り位置に搬送する。読み取り位置に搬送されたサンプルラックにおける光学式マークの付与箇所は、読取部505の読取器5052に対して晒される。搬送アーム5032は、光学式マークの読み取り完了後のサンプルラックを、読み取り位置からサンプリングレーン123に搬送する。読取部505で情報を読み取られたサンプルラックがサンプリングレーン123等に配置できない場合、ラック移動部503は、一時的にサンプルラックを仮置きする仮置きレーン5051に、読取部505で情報を読み取られたサンプルラックを搬送する。なお、仮置きレーン5051には、STATラック、後述する再検サンプルラックが仮置きされてもよい。ラック移動部503は、後述するエラーの検出を契機として、配置レーン決定部511により決定されたラック回収部507の回収レーンに、各種エラーに関するサンプル容器(以下、エラーサンプル容器と呼ぶ)を保持するサンプルラック(以下、エラーサンプルラックと呼ぶ)を移動する。
具体的には、光学式マークの読み取りにエラー(以下、読み取りエラーと呼ぶ)が生じた場合、搬送アーム5032は、配置レーン決定部511により決定されたラック回収部507のレーンに、読み取りエラーに関するサンプルラック(以下、読み取りエラーラックと呼ぶ)を搬送する。なお、サンプルラックの移動は、搬送アーム5032(ロボットアームなど)に限定されず、例えば、ベルトコンベア方式など、任意の移動機構であってもよい。
搬送アーム5032は、サンプリング終了後の非エラーのサンプルラックを、サンプリングレーン123からラック回収部507の所定のレーンに搬送する。搬送アーム5032は、例えば、非エラーのサンプルラックを、予め設定されたレーン(例えば、複数の回収レーンのうちラック投入部501に相対的に遠い方の回収レーン)に移動させる。
サンプリングにエラー(以下、サンプリングエラーと呼ぶ)が生じた場合、搬送アーム5032は、サンプリングエラーに関するサンプルラック(以下、サンプリングエラーラックと呼ぶ)を、配置レーン決定部511により決定されたラック回収部507のレーンに、サンプリングレーン123から搬送する。
サンプリングエラーとは、例えば、サンプル容器からのサンプルの吸引エラーである。吸引エラーは、具体的には、フィブリン(fibrin:繊維素、線維素)等による第1サンプルプローブまたは第2サンプルプローブにおける詰まりエラー、サンプル容器または反応管におけるサンプルの液面が所定の範囲外(サンプル過剰、サンプル不足)のエラー、サンプル容器に収容されたサンプル量が少ないことなどに起因する第1サンプルプローブまたは第2サンプルプローブへのエアーの混入などの吸引エラー(空吸い)などである。
サンプル分注部115において、第1サンプルプローブまたは第2サンプルプローブと、サンプル容器とが位置ずれにより接触するエラー(以下、接触検知エラーと呼ぶ)が発生した場合、搬送アーム5032は、配置レーン決定部511により決定されたラック回収部507のレーンに、接触検知エラーに関するサンプルラック(以下、接触検知エラーラックと呼ぶ)を、サンプリングレーン123から搬送する。接触検知エラーは、第1サンプルプローブまたは第2サンプルプローブと、サンプル容器における異物との接触によるエラーであってもよい。
読み取られた光学式マークに対応する識別データにより特定されたサンプル容器に関するオーダーデータとして再検査が設定されていた場合、搬送アーム5032は、再検査されるサンプル容器(再検サンプル容器と呼ぶ)を保持するサンプルラック(以下、再検サンプルラックと呼ぶ)を、サンプリングレーン123から再検バッファレーン504に搬送する。このとき、再検サンプルラックは、再検のためにサンプリングが実施される時点(以下、再検サンプリング時点と呼ぶ)まで、再検バッファレーン504に一時的に待避される。なお、再検査の実施に関する情報を有する光学式マークが設けられたサンプル容器から1回目のサンプリングが実行された場合、搬送アーム5032は、再検サンプル容器を保持するサンプルラック(以下、再検サンプルラックと呼ぶ)を、サンプリングレーン123から再検バッファレーン504に搬送してもよい。
再検サンプリング実施時点の直前において、搬送アーム5032は、再検バッファレーン504における再検対象のサンプルに関する再検サンプルラックを、再検バッファレーン504からサンプリングレーン123に搬送する。換言すれば、再検バッファレーン504は、自動再検として設定された設定項目の測定が終了するまでの間、すなわちこの設定項目を含むサンプルの吸引が終了してからこの設定項目の測定結果が出るまでの間、再検サンプルラックを一時的に待避させるレーンである。
STATラックがSTAT投入部分5013に投入された場合、搬送アーム5032は、STATラックを、STAT投入部分5013から読み取り位置に直ちに搬送する。STATラックにおけるサンプル容器(以下、STAT容器と呼ぶ)に設けられた光学式マークが読み取られると、搬送アーム5032は、STSTラックを、読み取り位置からサンプリングレーン123に搬送する。なお、ラック投入部501にSTAT投入部分5013が設けられてない場合、STAT対象の試料が収納されたサンプル容器を保持するサンプルラックは、投入レーン(第1投入レーン5011、第2投入レーン5012)に投入されてもよい。このとき、読み取られた光学式マークに対応する識別コードが、オーダーデータとの照合によりSTAT対象であると判断された場合、搬送アーム5032は、STAT対象であると判断されたサンプルラックを、読み取り位置からサンプリングレーン123に直ちに搬送する。
搬送アーム5032は、サンプリング後におけるSTATラックを、サンプリングレーン123からラック回収部507に搬送する。なお、STATラックにおける少なくとも一つのSTAT容器に収容されたサンプルが再検の対象である場合、搬送アーム5032は、このSTATラックを、サンプリングレーン123から再検バッファレーン504に搬送する。
読取部505は、読取器5052を有する。読取器5052の近傍には、仮置きレーン5051が設けられている。仮置きレーン5051は、読取器5052により読み取り位置で読み取られたサンプルラックがサンプリングレーン123等に搬送できない場合、読み取り後のサンプルラックを仮置きするレーンである。読取器5052は、サンプル容器各々に設けられた光学式コードを読み取る。また、読取器5052は、サンプルラックに設けられた光学式マークを読み取る。光学式マークがバーコードである場合、読取器5052は、例えば、バーコードリーダ(Bar Code Reader:BCR)である。読取部505は、読み取ったサンプルID等のサンプル情報、ラックID等のラック情報を、分析部等の各ユニットに出力する。
ラック回収部507は、サンプルラックの回収に関する複数の回収レーンと、回収レーンに配置されたサンプルラックを取り出し可能な位置(以下、取り出し位置と呼ぶ)まで押し出させるラック押し出し機構5070とを有する。
サンプルラックの押し出し方向は、図2のdで示す矢印に対応する。なお、図2には2つの回収レーン(第1回収レーン5071、第2回収レーン5073)が示されているが、回収レーンは、3つ以上であってもよい。以下、説明を簡単にするために、回収レーンは2つ(第1回収レーン5071と第2回収レーン5073とのうち)であるものとする。ラック移動部503により回収レーンに配置されたサンプルラックは、サンプルラック幅を単位として、取り出し位置に向けて移動される。
ラック回収部507は、測定終了後に関するサンプルラック、各種エラーに関するサンプルラックを排出するためのユニットである。図3は、ラック回収部507の一例を示す斜視図である。図3に示すように、ラック押し出し機構5070は、駆動モータ5075とリードスクリュー(送りねじ)5077とを図示していない滑りねじと、ラック押出部材5079とを有する。
駆動モータ5075は、例えば、回収レーンへのサンプルラックの配置を契機として、システム制御部70における制御のもとで、サンプルラック幅に亘るサンプルラックの移動に関する所定の回転数に亘って回転する。リードスクリュー5077は、駆動モータ5075の回転軸と接続される。リードスクリュー5077は、駆動モータ5075における回転軸の回転に伴って回転する。滑りねじは、リードスクリュー5077のねじ軸に設けられる。滑りねじは、リードスクリュー5077の回転に伴って、サンプルラック幅を単位としてリードスクリュー5077の軸方向に沿って移動する。
ラック押出部材5079は、滑りねじに設けられる。ラック押出部材5079は、滑りねじの移動に伴って、サンプルラック幅を単位としてリードスクリュー5077の軸方向に沿って移動する。このとき、ラック押出部材5079は、サンプルラック幅を単位として、サンプルラックを取り出し位置に向けて移動させる。
なお、駆動モータ5075は、入力部30を介した操作者の指示により、取り出し位置に向けてサンプルラックを移動させるように回転することも可能である。このとき、ラック押出部材5079は、サンプルラックを、操作者の指示に応じて、任意の距離に亘って回収レーンに沿って取り出し位置に向けて押し出す。なお、ラック回収部507は、ラック押し出し機構の代わりに、ロボットアーム、ベルトコンベアなどの任意のラック移動機構を有していてもよい。
サンプルラックが未配置の回収レーンにエラーサンプルラックまたはSTATラックが配置された場合、ラック回収部507は、エラーサンプルラックまたはSTATラックを装置前面(取り出し位置)まで移動させる。カバーは、エラーサンプルラックまたはSTATラックが取り出し位置に到達したことを契機として、開放状態となってもよい。
エラー検出部509は、サンプル容器に収容されたサンプルに関するエラーを検出する。具体的には、エラー検出部509は、サンプル分注部115、読取部505、ラック回収部507等に設けられる。エラー検出部509は、光学式マークの読み取りエラーを検出する。エラー検出部509は、読み取りエラーラックと読み取りエラーに関するサンプル容器との情報(以下、読み取りエラー情報と呼ぶ)を、配置レーン決定部511とシステム制御部70とに出力する。
エラー検出部509は、サンプリングエラーを検出する。エラー検出部509は、サンプリングエラーラックとサンプリングエラーに関するサンプル容器との情報(以下、サンプリングエラー情報と呼ぶ)を、配置レーン決定部511とシステム制御部70とに出力する。例えば、エラー検出部509は、サンプリングにおける第1サンプルプローブまたは第2サンプルプローブの吸引圧が所定の範囲外である場合、サンプリングエラーを検出する。
エラー検出部509は、接触検知エラーを検出する。エラー検出部509は、接触検知エラーラックと接触検知エラーに関するサンプル容器との情報(以下、接触検知エラー情報と呼ぶ)を、配置レーン決定部511とシステム制御部70とに出力する。エラー検出部509は、複数の回収レーンのうち少なくとも一つがサンプルラックで満たされている配置不可エラーを検出する。配置不可エラーとは、例えば、回収レーン各々において、ラック押出部材5079による押し出しが不可能な状態に対応する。エラー検出部509は、配置不可エラーに関する情報を、システム制御部70に出力する。なお、エラー検出部509は、他のエラー(反応管洗浄不足エラー、各種動作不良等)を検出してもよい。
配置レーン決定部511は、複数の回収レーンのうち上記エラー(読み取りエラー、サンプリングエラー、接触検知エラー)に関するエラーサンプル容器を保持するエラーサンプルラック(読み取りエラーラック、サンプリングエラーラック、接触検知エラーラック)を配置させる回収レーンを、回収レーンに配置されたサンプルラックの配置状況に基づいて決定する。また、配置レーン決定部511は、サンプリング後に関するSTATサンプルラックを配置させる回収レーンを、配置状況に基づいて決定する。配置レーン決定部511は、決定したレーンの情報(以下、決定レーン情報と呼ぶ)を、ラック移動部503およびラック回収部507、システム制御部70等に出力する。
配置状況とは、例えば、第1回収レーン5071と第2回収レーン5073とのうちサンプルラックが未配置の状況、複数の回収レーンのうち片方のレーンがサンプルラックで満たされている状況、第1回収レーン5071と第2回収レーン5073とのうちエラーサンプルラックまたは非エラーサンプルラックがより多く配置されている状況、第1回収レーン5071および第2回収レーン5073各々において、サンプルラックの配置総数、第1回収レーン5071と第2回収レーン5073とラック投入部501との相対的な位置関係によるサンプルラックの配置状況などである。
例えば、配置レーン決定部511は、第1回収レーン5071と第2回収レーン5073とのうちラック投入部501に近い方の回収レーンを、エラーサンプルラックまたはSTATラックの排出レーンとして決定する。また、配置レーン決定部511は、第1回収レーン5071と第2回収レーン5073とのうち片方の回収レーンが空の場合、空の回収レーンをエラーサンプルラックまたはSTATラックの排出レーンとして決定する。
また、配置レーン決定部511は、2第1回収レーン5071と第2回収レーン5073とのうち片方の回収レーンが満杯の場合、空の回収レーンをエラーサンプルラックまたはSTATラックの排出レーンとして決定する。また、配置レーン決定部511は、第1回収レーン5071と第2回収レーン5073とのうちサンプルラックの配置が少ない方のレーンを、エラーサンプルラックまたはSTATラックの排出レーンとして決定してもよい。配置レーン決定部511は、エラーサンプルラックまたはSTATラックの排出レーンの決定として、上記説明の任意の組み合わせを用いてもよい。
エラー表示部513は、例えば、図2、図3に示すように、ラック回収部507におけるサンプルラックの取り出し位置の近傍およびラック投入部501におけるラック投入位置の近傍に設けられる。エラー表示部513は、エラー検出部509により検出された各種エラーに対応する表示態様を表示するための複数の表示器5130を有する。複数の表示器とは、様々な色相を所定のタイミングで表示可能な発光ダイオード(Light Emitting Diode:LED)、電球等である。
なお、エラー表示部513は、LED等の発光体に限定されず、表示部802におけるモニタより小型の液晶モニタ等であってもよい。このとき、小型の液晶モニタは、例えば、第1回収レーン5071および第2回収レーン5073各々に設けられてもよい。小型の液晶モニタは、上記表示態様に加えて、例えば、エラーに関するサンプルラックのラックID、サンプル容器(採血管等)ID等を表示する。
各種エラーに対応する表示態様は、エラー情報記憶部60に記憶された所定の対応表と、エラー検出部509により検出された各種エラーに対応する情報とに基づいて、システム制御部70により決定される。エラー表示部513は、決定された表示態様(色相)を表示するために、システム制御部70により制御される。エラーに対応するサンプルラックがラック回収部507から取り出しを契機として、エラー表示部513は、エラーに対応する表示を止める。
エラー情報記憶部60は、所定の対応表を記憶する。エラー情報記憶部60は、ハードディスクドライブ、ソリッドステートドライブ等の記憶媒体(ストレージデバイス)等により構成される。なお、データ記憶部203とエラー情報記憶部60とは、単一の記憶部として構成されてもよい。所定の対応表とは、サンプル容器の状態の種類に対する表示態様と警告音と表示部802で表示されるサンプルラックの色相との対応表である。
サンプル容器の状態とは、エラーの有無およびエラーの種類である。エラーの種類とは、読み取りエラー、サンプリングエラー、接触検知エラー、配置不可エラーなどである。図4は、エラー情報記憶部60により記憶される対応表の一例を示す図である。なお、対応表における表示態様、警告音、色相等は、入力部30を介した操作者の指示により、適宜変更、設定可能である。
図4に示すように、エラー検出部509によりエラーが未検出の場合、エラー表示部513における表示態様は緑点灯であって、警告音は無く、表示部802の画面に表示されるサンプルラックの色相はピンク色である。STATラックが投入された場合、エラー表示部513における表示態様は緑点滅であって、警告音は無く、画面に表示されるサンプルラックの色相は黄色である。
エラー検出部509により読み取りエラー(BCR読み取りエラー)が検出された場合、エラー表示部513における表示態様は緑及び赤点滅であって、警告音はブザー音1であり、画面に表示されるサンプルラックの色相は緑色である。エラー検出部509によりサンプリングエラー(詰まり検知エラー)が検出された場合、エラー表示部513における表示態様は緑及び赤点滅であって、警告音はブザー音2であり、画面に表示されるサンプルラックの色相は青色である。
エラー検出部509により接触検知エラー(プローブ衝突検知エラー)が検出された場合、エラー表示部513における表示態様は緑及び赤点滅であって、警告音はブザー音3であり、画面に表示されるサンプルラックの色相は紫色である。エラー検出部509により配置不可エラー(ラック回収部507満杯)が検出された場合、エラー表示部513における表示態様は赤点灯であって、警告音はブザー音4であり、画面に表示されるサンプルラックの色相は橙色である。エラー検出部509によりその他のエラーが検出された場合、エラー表示部513における表示態様は緑及び赤点滅であって、警告音はブザー音5であり、画面に表示されるサンプルラックの色相は茶色である。
システム制御部70は、CPU(Central Processing Unit)、単一または複数の処理回路を有する。システム制御部70は、本自動分析装置1における各部を統括して制御する。システム制御部70は、入力部30から供給される操作信号等に基づいて、各部を制御する。なお、システム制御部70と反応機構制御部157とは、単一の制御部として構成されてもよい。
システム制御部70は、配置レーン決定部511により決定された回収レーンに、エラーサンプルラックを移動させるために、ラック移動部503を制御する。システム制御部70は、決定されたレーンに移動されたエラーサンプルラックを、取り出し位置に移動させるために、ラック回収部507を制御する。なお、システム制御部70は、取り出し位置へのエラーサンプルラックの移動を契機として、回収レーンにおける取り出し位置におけるラック回収部507のカバーを開放するために、ラック回収部507を制御してもよい。
システム制御部70は、エラー検出部509から出力された各種エラー情報と、エラー情報記憶部60に記憶された対応表とに基づいて、各種エラー情報に対応する表示態様と、警告音と、表示部802の画面に表示されるサンプルラックの色相とを決定する。システム制御部70は、決定した表示態様を表示させるように、エラー表示部513を制御する。システム制御部70は、決定されたサンプルラックの色相で、エラーサンプルラックおよびSTATサンプルラックを表示させるように、エラー表示部513を制御する。
システム制御部70は、エラーの種類に対応して決定された警告音を出力するように、警告出力部803を制御する。システム制御部70は、決定された色相でエラーサンプルラックとエラーサンプル容器とを表示させるように、表示部802を制御する。また、システム制御部70は、回収レーンに配置されたエラーサンプルラックの移動に応じて、エラーサンプルラックとエラーサンプル容器とを決定された色相で表示させるように、表示部802を制御する。
また、システム制御部70は、表示部802に表示されたエラーサンプルラックにカーソルを重畳させることを契機として、エラーメッセージ表示領域にエラーサンプルラックに関する詳細なエラー情報を表示させるために、表示部802を制御する。詳細なエラー情報とは、例えば、ラックID、エラーサンプル容器の検体ID、エラーサンプルラックにおけるエラーサンプル容器の位置、エラーサンプル容器におけるエラー情報(読み取りエラー情報、サンプリングエラー情報、接触検知エラー情報など)、エラーサンプルラックを配置した回収レーンなどである。
出力部80は、印刷部801と表示部802と警告出力部803とを有する。出力部80は、分析部20で発生された検量線と分析データとを、印刷または表示として出力する。印刷部801は、例えばプリンタ等の出力デバイスを用いて、分析部20で発生された検量線と分析データを、プリンタ用紙に所定のレイアウトで印刷する。
表示部802は、例えばCRT(Cathode Ray Tube)ディスプレイ、液晶ディスプレイ、プラズマディスプレイ等の表示デバイスを用いて、分析部20で発生された検量線と分析データとを所定のレイアウトで表示する。また、表示部802は、各測定項目に関する被検試料の液量、試薬の液量、測光ビームの波長等の分析条件を設定するための分析条件設定画面、被検試料に関して被検体IDや被検体名等を設定するための被検体情報設定画面、被検試料ごとの測定項目を選択するための測定項目選択画面等を表示する。
表示部802は、決定された色相でエラーサンプルラックとエラーサンプル容器とを表示する。表示部802は、回収レーンに配置されたエラーサンプルラックの移動に応じて、エラーサンプルラックとエラーサンプル容器とを決定された色相で表示する。表示部802は、表示部802に表示されたエラーサンプルラックにカーソルを重畳させることを契機として、エラーメッセージ表示領域に、エラーサンプルラックに関する詳細なエラー情報を表示する。
図5は、表示部802における表示例の一例を示す図である。なお、図5における表示例は、エラー表示部513で表示されてもよい。図5におけるAは、読み取りエラーラックを示している。このとき、表示部802における読み取りエラーラックは、図4の対応表によれば、緑色で表示される。読み取りエラーラックにおける読み取りエラーに関するエラーサンプル容器は、図5のAaで示されている。表示画面において、Aaは、例えば、赤色で表示される。
図5におけるBは、サンプリングエラーラックを示している。このとき、表示部802におけるサンプリングエラーラックは、図4の対応表によれば、青色で表示される。サンプリングエラーラックにおけるサンプリングエラーに関するエラーサンプル容器は、図5のBbで示されている。表示画面において、Bbは、例えば赤色で表示される。
図5におけるCは、STATラックを示している。このとき、表示部802におけるSTATラックは、図4の対応表によれば、黄色で表示される。STATラックにおけるSTATに関するサンプル容器は、図5のCcで示されている。表示画面において、Ccは、例えば、赤色で表示される。
警告出力部803は、スピーカを有する。警告出力部803は、エラーの種類に対応して決定された警告音(ブザー音1、ブザー音2、ブザー音3、ブザー音4、ブザー音5)を、スピーカを介して出力する。警告出力部803は、例えば、所定の時間に亘って決定された警告音を出力する。なお、所定の時間は、入力部30を介して適宜変更、設定可能である。決定された警告音を出力中に新たなエラーが検出された場合、警告出力部803は、新たなエラーに対応して決定された新たな警告音を出力する。なお、複数のエラーサンプルラックが回収レーンに配置されている場合、警告出力部803は、エラーの種類に対応する警告音を繰り返し出力してもよい。
(エラーラック配置警告表示機能)
エラーラック配置警告表示機能とは、エラーの検出を契機としてエラーサンプルラックを配置する回収レーンを決定し、決定されたレーンにエラーサンプルラックを配置するとともに、エラーの種類に応じた表示態様および色相でエラーサンプルラックの位置をエラー表示部に出力し、エラーの種類に応じた警告音を出力する機能である。以下、エラーラック配置警告表示機能に関する処理(以下、エラーラック配置警告表示処理と呼ぶ)について説明する。
図6は、エラーラック配置警告表示処理の手順の一例を示すフローチャートである。
エラーが検出されると(ステップSa1)、エラーサンプルラックを配置させるレーンが、回収レーンに配置されたサンプルラックの配置状況に基づいて決定される(ステップSa2)。検出されたエラーの種類に対応する表示態様と警告音と表示部802の画面に表示されるエラーサンプルラックの色相とが、検出されたエラーの種類と所定の対応表とに基づいて、決定される(ステップSa3)。エラーサンプルラックが、決定されたレーンに移動される(ステップSa4)。決定された警告音が、警告出力部803のスピーカから出力される(ステップSa5)。決定された表示態様が、エラー表示部513に表示される(ステップSa6)。回収レーンに配置されたエラーサンプルラックの位置と、エラーサンプル容器の位置とが、決定された色相で表示部802に表示される(ステップSa7)。
(変形例)
本実施形態との相違は、エラーサンプルラックにおけるエラーサンプル容器の位置、およびSTATラックの位置を表示可能なエラー表示部513を有することにある。図7は、本変形例に係り、ラック回収部507に設けられたエラー表示部513の一例を示す図である。
エラー表示部513は、ラック回収部507の周囲(外周)の一部分に設けられる。具体的には、エラー表示部513は、ラック回収部507における正面(図7のA)と側面(図7のB)とに設けられる。エラー表示部513は、複数の第1表示器5131と複数の第2表示器5133とを有する。
第1表示器各々5132は、図7に示すように、回収レーン各々とサンプル容器の位置各々とを示すように、回収レーン各々におけるサンプルラック取り出し位置の前面に設けられる。すなわち、第1表示器5131は、ラック回収部507におけるサンプルラックの押し出し方向に垂直な平面(図7のA)に設けられる。第1表示器5131の数は、サンプルラックに収容されるサンプル容器の数に対応する。サンプルラックに収容されるサンプル容器の数が5つの場合、回収レーン各々に対応する第1表示器の数は、5つである。
エラーサンプルラックが配置された回収レーンに対応する複数の第1表示器5131のうち、エラーサンプル容器の位置に対応する第1表示器は、エラーの種類に応じた表示態様を表示する。例えば、図7に示すように、第2回収レーン5073にエラーサンプルラックが配置され、反応機構10側から最も遠いエラーサンプル容器に関するエラーの種類が読み取りエラーである場合、図7の第1表示器Aaは、緑&赤点滅の表示態様を実行する。
第2表示器各々5034は、2つの回収レーンに配置されるサンプルラックの位置各々を示すように、サンプルラックの押し出し方向に平行な平面(図7のB)に設けられる。この平面に設けられる第2表示器各々の位置は、図7に示すように、回収レーンに配列されるサンプルラックの位置に対応する。回収レーンに配置可能なサンプルラックの数が19の場合、第1表示器の数は、19である。
回収レーンに配置されたエラーサンプルラックの位置に対応する第2表示器は、エラーサンプルラックに保持されたエラーサンプル容器のエラーの種類に応じた表示態様を表示する。例えば、図7に示すように、第2回収レーン5073に配置されたエラーサンプルラックが取り出し位置に移動され、このエラーサンプルラックに保持されたエラーサンプル容器に関するエラーの種類が読み取りエラーである場合、図7の第2表示器Bbは、緑&赤点滅の表示態様を実行する。
例えば、第1表示器に対応するエラーサンプル容器が複数ある場合、エラーの種類に応じた表示態様は、交互に実行される。また、第2表示器に対応するエラーサンプルラックが複数ある場合、エラーの種類に応じた表示態様は、交互に実行される。
以上に述べた構成によれば、以下の効果を得ることができる。
本実施形態の自動分析装置1によれば、エラーサンプル容器を有するエラーサンプルラック、およびSTATラックを、回収レーンにおけるサンプルラックの配置状況に応じて回収レーンに配置し、エラーサンプルラック、エラーサンプル容器、STATラックの位置、およびエラーの種類を容易に識別可能に出力することができる。
すなわち、本自動分析装置1によれば、複数の回収レーンのうちサンプルラック未配置の回収レーンにエラーサンプルラックおよびSTATラックを排出し、ラック回収部507におけるサンプルラックの取り出し位置におけるカバーを開放し、エラーの種類等に応じたLED表示、ブザー音等で、操作者にエラーを報知することができる。加えて、本自動分析装置1によれば、サンプルラックの未配置の回収レーンがない場合、回収レーンにおけるエラーサンプルラック、エラーサンプル容器、STATラックの位置を、表示画面上に表示することができる。
また、本実施形態の変形例における自動分析装置1によれば、複数のサンプル容器の位置にそれぞれ対応する複数の第1表示器5131がラック回収部507の正面に設けられ、回収レーンにおけるサンプルラックの複数の移動位置にそれぞれ対応する複数の第2表示器5133がラック回収部507の側面に設けられる。第1表示器各々5132は、エラーサンプル容器またはSTATに係るサンプル容器の位置に応じて、エラーの種類等に対応する表示態様を表示することができる。また、第2表示器各々5134は、エラーサンプルラックの位置に応じて、エラーの種類に対応する表示態様を表示することができる。
以上のことから、本実施形態の自動分析装置によれば、操作者は、容易にエラーサンプルラック、エラーサンプル容器、STATラックの位置を、容易に把握する(見つける)ことができるため、エラーの発生に関するサンプル容器(採血管等)を有するサンプルラック、STATラックを、早急に回収レーンから取り出すことが可能となる。
加えて、操作者は、エラーサンプルラックの取り出し時点において、エラーの発生原因、エラーサンプル容器を把握することができるため、エラーの発生原因を取り除くための修正が容易となる。これらのことから、本実施形態に係る自動分析装置1によれば、エラーの発生から再検査までの時間が短縮されることになり、例えば、採血から自動分析の結果報告までのターンアラウンドタイム(Turn Around Time:TAT)を短縮することができ、検査効率が向上する。
すなわち、エラーに関するサンプルラックは、操作者によって処理・判断される必要があるため、サンプルラックが排出される回収レーンで、エラーに関するサンプルラックを、操作者が見付けやすくすることで、本自動分析装置1は、TATの短縮に貢献することができる。
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。