以下、本開示の実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、図中同一又は相当部分には同一符号を付してその説明は繰り返さない。
[実施の形態1]
本開示の生化学分析装置(以下、単に「分析装置」と称する。)は、プローブ(ノズル)により検体及び試薬をキュベットに分注し、キュベット内の反応状態を光学的に測定するように構成される。検体は、たとえば、血液成分(血清又は血漿)や尿等である。以下では、検体を「サンプル」或いは「試料」と称する場合がある。また、本開示では、キュベットについて、使い捨てタイプのもの(ディスポーザブルキュベット)が採用される。
図1は、本発明の実施の形態1に従う分析装置の全体構成を機能的に示す図である。本実施の形態1で説明される分析装置は、生化学分析装置の一例であり、血液凝固(線溶)自動分析装置として機能し得る。
図1を参照して、この分析装置は、キュベット供給装置110と、キュベット移送装置120と、攪拌装置200と、測定装置300と、キュベット廃棄容器400とを備える。なお、以下では、キュベット供給装置110、キュベット移送装置120、及びキュベット廃棄容器400を、それぞれ単に「供給装置110」、「移送装置120」、及び「廃棄容器400」と称する。
分析装置は、サンプル分注ポートP1をさらに備える。供給装置110は、キュベット収容部111(以下、単に「収容部111」と称する。)と、供給機構112とを含む。収容部111は、多数のキュベット(たとえば最大で1000個)を収容可能に構成される。供給機構112は、収容部111に収容されているキュベットをサンプル分注ポートP1へ供給する。収容部111及び供給機構112の詳細については、後ほど図2にて説明する。
サンプル分注ポートP1は、図示しないサンプル分注装置によってキュベットにサンプルを分注可能な位置に配置される。サンプル分注ポートP1にキュベットがセットされると、サンプル分注装置によってキュベットにサンプルが分注される。
移送装置120は、チャック付きアーム121(以下、単に「アーム121」と称する)と、駆動装置122とを含む。アーム121は、キュベットを把持可能に構成されたチャックを有する。アーム121は、チャックによってキュベットを着脱可能に保持するように構成されている。駆動装置122は、アーム121(チャック)を作動させてチャックの位置を変えるように構成される。アーム121及び駆動装置122の詳細についても、後ほど図2にて説明する。
分析装置は、移送装置120によりキュベットを移送可能な複数のポート、具体的には、攪拌ポートP2、測光ポートP3、及び廃棄ポートP5をさらに備える。測光ポートP3は、複数の凝固ポートP3aと、複数の比色ポートP3bとを含む。サンプル分注ポートP1、攪拌ポートP2、測光ポートP3、及び廃棄ポートP5の各々には、キュベットの有無を検出するポートセンサが設けられている。
攪拌ポートP2は、攪拌装置200の攪拌位置に配置される。攪拌装置200は、攪拌ポートP2にキュベットがセットされると、所定の条件(たとえば、攪拌速度及び攪拌時間)でキュベットの内容物を攪拌するように構成されている。
凝固ポートP3a及び比色ポートP3bの各々は、図示しない測光部に配置されている。凝固ポートP3a及び比色ポートP3bの各々には、光源から光が照射され、照射された光を検出する光検出器(図示せず)が設けられている。
測定装置300は、凝固ポートP3a及び比色ポートP3bの各々の光検出器から光量の検出結果を受け、各ポートにセットされたキュベットの内容物に対して所定の測定を行なう。すなわち、測定装置300は、凝固ポートP3aについては、光検出器によって検出される散乱光の光量を用いて、時間凝固法に基づいて、キュベット内の検体の凝固測定を行なう。また、測定装置300は、比色ポートP3bについては、光検出器によって検出される透過光の光量を用いて、比色法に基づいて、キュベット内の検体の吸光度を測定する。
なお、凝固ポートP3aに対する光源には、たとえば発光ダイオードを採用することができ、凝固ポートP3aに設けられる光検出器には、たとえばフォトダイオードを採用することができる。凝固ポートP3aの光検出器は、90°散乱光(光の照射方向に直交する方向の散乱光)の光量を検出するように配置されている。
また、比色ポートP3bに対する光源には、たとえばハロゲンランプを採用することができる。後述のように、比色ポートP3bに供給される光の波長は、分析条件に応じてフィルタにより切替可能である。比色ポートP3bに設けられる光検出器には、たとえばフォトダイオードを採用することができる。比色ポートP3bの光検出器は、透過光の光量を検出するように配置されている。
この分析装置は、比色ポートP3bにセットされたキュベット内の検体の吸光度を測定するために、参照ポートP4をさらに備えている。参照ポートP4は、各比色ポートP3bと同じ構成を有しているが、キュベットがセットされることはなく、光源からの光以外の光が参照ポートP4内に入らないように蓋等で遮光されている。そして、比色法に基づいて、比色ポートP3bに設けられる光検出器によって検出される光量と、参照ポートP4に設けられる光検出器によって検出される光量との比(光量比)から検体の吸光度が測定され、検体の比色分析が行なわれる。比色法による分析測定については、後ほど詳しく説明する。
なお、本開示では、「分析測定」とは、測光ポートP3にキュベットをセットして測定データを取得することを意味し、測光ポートP3(比色ポートP3b)にキュベットを未挿入の状態で測定を行なう後述の「ブランク測定」と区別される。
廃棄ポートP5は、使用済みのキュベットを回収するように構成される。廃棄ポートP5は、たとえば配管を通じて廃棄容器400に接続されている。廃棄ポートP5にキュベットが投入されると、キュベットは廃棄容器400へ導かれる。
図2は、分析装置の分析テーブルの構成例を示す平面図である。図2には、互いに直交する3つの軸(X軸、Y軸及びZ軸)が示されており、X軸及びY軸は、それぞれ分析装置の幅方向及び奥行き方向を示し、Z軸は、鉛直方向(すなわち上下方向)を示している。Z軸の矢印が指し示す方向は上方向であり、その反対方向は下方向(すなわち重力方向)である。
図2とともに図1も参照して、収容部111には、多数のキュベット100が収容されている。ユーザは、収容部111の投入口(図示せず)から収容部111内へキュベット100を補給することができる。キュベット100は、光を透過可能であれば材質は任意であり、たとえば透明のアクリル製のものを採用することができる。
供給機構112は、収容部111からキュベット100を1つずつ取り出してサンプル分注ポートP1に供給するように構成される。供給機構112におけるキュベット100の移送方式は任意であり、たとえば、滑り台方式(自重方式)、ベルトコンベア方式、ローラ方式、スライド方式のいずれであってもよい。供給機構112は、サンプル分注ポートP1のポートセンサの検出結果を受信し、サンプル分注ポートP1が空いたら次のキュベット100をポートP1に供給するように構成される。但し、これに限られず、供給機構112は、後述の制御装置からの指示に従ってキュベット100をサンプル分注ポートP1に供給するように構成されてもよい。
アーム21は、サンプル吸引ポートP21から吸引されるサンプルを、サンプル分注ポートP1にセットされたキュベット100へ分注するための機器(サンプル分注装置)であり、プローブ21aと、アーム本体21bとを含む。アーム本体21bは、回転軸23aの回りを旋回可能に構成されており、アーム本体21bが旋回することによって、アーム本体21bの先端に設けられるプローブ21aは、XY平面において円弧状の軌道L2を描くように移動することができる。
アーム本体21bが旋回することによって、プローブ21aは、軌道L2上に設けられたサンプル分注ポートP1、サンプル吸引ポートP21、SポートP22(より特定的には、ポートP22a~P22i)、及び洗浄ポートP23の各々に移動することができる。なお、SポートP22について、たとえば、ポートP22a,P22bは洗剤ポートであり、ポートP22c,P22d,P22eは緩衝液ポートであり、ポートP22f,P22g,P22h,P22iは希釈液ポートである。
なお、図示していないが、サンプル吸引ポートP21の下方には、可動式のサンプルラックが設けられている。サンプルラックには、血液成分や尿等のサンプルが入った複数のサンプル容器が載置されており、サンプル分注ポートP1にセットされたキュベット100へのサンプルの分注に先立ち、サンプルラックは、分注対象のサンプル容器がサンプル吸引ポートP21の直下に配置されるように作動する。CTS機構24は、サンプル吸引ポートP21の近傍に設けられ、分注対象のサンプル容器にキャップが付いている場合に、ピアサでキャップを穿孔するように構成される。
測光部130には、複数の測光ポートP3(複数の凝固ポートP3a及び比色ポートP3b)が円弧状に配置されている。この例では、14個の凝固ポートP3aと、6個の比色ポートP3bが配置されている。アーム11は、吸引ポートP11から吸引される試薬を、測光ポートP3にセットされている対象のキュベット100へ分注するための機器であり、プローブ11aと、アーム本体11bとを含む。アーム本体11bは、回転軸13aの回りを旋回可能に構成されており、アーム本体11bが旋回することによって、アーム本体11bの先端に設けられるプローブ11aは、XY平面において円弧状の軌道L1を描くように移動することができる。
アーム本体11bが旋回することによって、プローブ11aは、軌道L1上に設けられた各凝固ポートP3a、各比色ポートP3b、吸引ポートP11,P12、回収ポートP13の各々に移動することができる。なお、特に図示していないが、実際には、プローブ11aは試薬間のコンタミネーションを回避するために2本のプローブで構成されるとともに、試薬トレイ31a(後述)は外周トレイと内周トレイとを有しており、外周トレイ上の試薬(又は洗浄液)及び内周トレイ上の試薬(又は洗浄液)をそれぞれ2本のプローブで吸引ポートP11,P12から吸引することができる。なお、回収ポートP13は、使用済みの洗浄液を回収するポートであり、特に図示しないが、プローブ11aから吐出される水を溜めてプローブ先端の外面を洗浄する水溜め部と、液体を廃棄する廃棄部とを含む。
参照ポートP4は、測光ポートP3(測光部130)とは別の場所に設けられる。上述のように、参照ポートP4は、各比色ポートP3bと同じ構成であるが、キュベット100をセットする必要がないため、たとえば、分析テーブル上ではなく分析装置の内部に配置される。
吸引ポートP11,P12の下方には、複数の試薬容器1及び複数の洗剤容器1aが載置された試薬トレイ31aが設けられており、試薬トレイ31aは、試薬保冷庫31内に設けられている。複数の試薬容器1は、互いに異なる試薬を保有しており、複数の洗剤容器1aは、互いに異なる洗剤を保有している。試薬トレイ31aは、円盤状のターンテーブルによって構成され、ターンテーブルを駆動することにより、所望の試薬容器1又は洗剤容器1aを吸引ポートP11,P12の直下に配置することができる。
アーム121は、チャック121aと、アーム本体121bとを含む。チャック121aは、キュベット100を把持可能に構成される。チャック121aがキュベット100を保持する方式は任意であり、チャック121aは、メカニカルチャックであってもよいし、マグネットチャックであってもよいし、真空チャックであってもよい。アーム本体121bは、回転軸13aの回りを回転体122aとともに旋回可能に構成されている。回転体122aが回転することによって、回転体122aと一体的にアーム本体121bが旋回し、アーム本体121bの先端に設けられるチャック121aは、XY平面において円弧状の軌道L1を描くように移動することができる。
上記のように、アーム11とアーム121との旋回中心は同じである。軌道L1上には、サンプル分注ポートP1と、攪拌ポートP2と、廃棄ポートP5と、複数の測光ポートP3(複数の凝固ポートP3a及び複数の比色ポートP3b)と、吸引ポートP11,P12と、回収ポートP13とが設けられている。そして、アーム121は、サンプル分注ポートP1、攪拌ポートP2、各測光ポートP3、及び廃棄ポートP5にチャック121aを移動させることができ、アーム11は、吸引ポートP11,P12、回収ポートP13、攪拌ポートP2、及び各測光ポートP3にプローブ11aを移動させることができる。
図3は、測光部130の構成例を示す図である。図3を参照して、測光部130には、複数の凝固ポートP3a及び比色ポートP3bが円弧状に配置されている。より詳しくは、複数の凝固ポートP3a及び比色ポートP3bは、各ポートのキュベット挿入口が円弧状の軌道L1に沿うように配置されている。この例では、14個の凝固ポートP3aと、6個の比色ポートP3bが配置されている。なお、凝固ポートP3a及び比色ポートP3bの数及び配置順は、図示されたものに限定されるものではない。
なお、上述のように、参照ポートP4(図示せず)は、凝固ポートP3a及び比色ポートP3bが設けられる測光部130には配置されておらず、たとえば分析装置の内部に配置される。
図4は、比色ポートP3b及び参照ポートP4の構成例を示す平面図である。また、図5は、図4の断面V-Vの構成を示す断面図である。なお、参照ポートP4の構成は、比色ポートP3bの構成と同じであるため、以下では比色ポートP3bについて代表的に説明する。
図4及び図5を参照して、比色ポートP3bは、レンズホルダ310と、光ファイバーケーブル312と、キュベット挿入口314と、光検出器316とを含む。レンズホルダ310は、先端部にレンズを有し、比色ポートP3bの差込口に差し込まれている。レンズホルダ310は、図示しない光源から光ファイバーケーブル312を通じて受ける光を、レンズを通じてキュベット挿入口314へ向けて出力する。
キュベット挿入口314は、移送装置120(アーム121)により移送されたキュベット100を脱着可能に構成される。キュベット挿入口314にキュベット100が挿入されると、図示しないポートセンサによってキュベット100の挿入が検知される。
光検出器316は、キュベット挿入口314を挟んでレンズホルダ310の反対側に設けられる。光検出器316は、キュベット挿入口314に挿入されたキュベット100内の検体の測定が行なわれるときは、レンズホルダ310からキュベット100に照射されてキュベット100を透過した透過光の光量を検出する。キュベット挿入口314にキュベット100が未挿入の状態でブランク測定が行なわれるときは、光検出器316は、レンズホルダ310から出力される光の光量を直接検出する。光検出器316は、たとえばフォトダイオードによって構成される。そして、光検出器316は、接続ケーブル318を通じて基板320へ検出信号を出力する。
なお、参照ポートP4については、キュベット挿入口314に外部から光が入らないように、キュベット挿入口314に遮光用の蓋が設けられており、光検出器316は、レンズホルダ310から出力される光の光量を常時直接検出する。
図6は、比色ポートP3b及び参照ポートP4の光学系の構成例を示す図である。図6を参照して、複数(この例では6個)の比色ポートP3b及び参照ポートP4に装着される各レンズホルダ310には、共通の光源330からの光が供給される。
光源330は、たとえばハロゲンランプである。光源330から出力される光は、フィルタ装置332を通って1本の光ファイバーケーブル334に供給される。フィルタ装置332は、光源330の出力近傍に設けられ、特定の波長の光を通過させる光学フィルタを有する。フィルタ装置332は、複数の光学フィルタを有しており、光学フィルタを切替えることによって通過させる光の波長を切替可能に構成されている。
図7は、フィルタ装置332の構成例を示す平面図である。図7を参照して、フィルタ装置332は、円周方向に複数の開口が設けられた円形ドラムによって構成される。この例では、円周方向に等間隔に4つの開口が設けられており、そのうちの3つの開口部に、通過させる波長が互いに異なる光学フィルタ340a~340cが装着されている。光学フィルタ340a~340cは、たとえば干渉フィルタによって構成され、それぞれ405nm,570nm,730nmの波長の光を透過させる。
このように、この分析装置は、検体(キュベット)に照射される光の波長を切替可能に構成されており、検体及び検査項目に応じた特定の波長の光を比色分析に用いることができる。
再び図6を参照して、光源330からの光は、フィルタ装置332の光学フィルタを通って1本の光ファイバーケーブル334に供給される。光ファイバーケーブル334は、7本の光ファイバーケーブル312に分岐され、そのうちの6本の光ファイバーケーブル312は、6つの比色ポートP3bに接続され、残り1本の光ファイバーケーブル312は、参照ポートP4に接続される。
次に、本実施の形態1に従う分析装置において、比色法による分析測定システムの構成について説明する。
図8は、比色法を用いた測定系の構成を機能的に示すブロック図である。図8を参照して、光源330から出力される光は、フィルタ340(光学フィルタ340a~340cのいずれか)を通って、各比色ポートP3b及び参照ポートP4に供給される。
各比色ポートP3bの出力(光検出器316の出力)は、アンプ350によって増幅され、ポート選択部352に入力される。ポート選択部352は、6つの比色ポートP3bからの出力(アンプ350の出力)のいずれか1つを、LOG変換部354に接続される出力ポートから出力するように構成される。6つの比色ポートP3bのうち、どのポートの出力をLOG変換部354へ出力するかは、6つの比色ポートP3bを用いる比色分析の分析スケジュールに従って適宜切替えられる。
参照ポートP4の出力(光検出器316の出力)は、アンプ350によって増幅され、LOG変換部354に入力される。
LOG変換部354は、たとえばLOGアンプによって構成され、ポート選択部352からの出力を参照ポートP4からの出力(アンプ350の出力)で除算した値の対数値を出力する。すなわち、LOG変換部354では、比色ポートP3bにおいて測定される光量と、参照ポートP4において測定される光量との比が算出され、その光量比が対数値で出力される。そして、LOG変換部354からの出力は、AD変換器356によりデジタル信号に変換され、測定データとして出力部358に出力される。
このように、本実施の形態1においては、比色ポートP3bを用いた比色法による分析測定では、キュベット100がセットされた比色ポートP3bで検出される透過光の光量と、参照ポートP4で検出される参照光の光量との比が算出され、その光量比を測定結果(吸光度)として利用する。
そして、本実施の形態1では、分析測定の開始前に、各比色ポートP3bにキュベット100を未配置の状態で測定するブランク測定が実施される。ブランク測定時の光量比は、正常であれば理論的には1であり、ブランク測定時の上記光量比に基づいて、測定系に異常が生じていないかをチェックすることが可能である。
しかしながら、これだけでは、測定系の異常部位まで特定することはできない。そこで、本実施の形態1に従う分析装置では、ブランク測定において、光量比が所定範囲(たとえば1.0の±10%)外の場合に、当該比色ポートP3bについてエラーと判定される。そして、エラーと判定された比色ポートP3bの数(エラー数)が所定値よりも小さい場合には、当該比色ポートP3bに限定されたエラーであるとして、エラーと判定された比色ポートP3bの異常と判定される。一方、エラー数が所定値以上の場合には、特定の比色ポートP3bに限定されないエラーであるとして、各比色ポートP3bのブランク測定に共通の参照ポートP4の異常と判定される。このように、本実施の形態1に従う分析装置によれば、測定系の異常部位を特定(比色ポートP3bの異常か、それとも参照ポートP4の異常か)することができる。
なお、特に図示しないが、凝固ポートP3aについては、凝固ポートP3a毎に光源及び光検出器が設けられている。そして、光検出器によって検出される90°散乱光の光量に応じた検出信号が、アンプで増幅された後にAD変換器によりデジタル信号に変換され、測定信号として取得される。
図9は、本実施の形態1に従う分析装置のシステム構成の一例を示すブロック図である。図9を参照して、分析装置は、測光部130と、ロボット部150と、測定装置300と、制御装置500と、操作表示部520とを備える。
測光部130は、複数の凝固ポートP3aと、複数の比色ポートP3bと、参照ポートP4とを含む。また、測光部130は、図8に示した光源330と、フィルタ340(フィルタ装置332)と、アンプ350と、ポート選択部352とをさらに含む。なお、アンプ350及びポート選択部352は、測定装置300に設けられてもよい。
ロボット部150は、アーム11,21,121、キュベット供給装置110、CTS機構24、試薬保冷庫31、試薬トレイ31a(以上図2参照)、サンプルラック、フィルタ装置332(図6,7参照)等の可動装置を総括的に示したものである。ロボット部150は、アーム21及びサンプルラック並びにCTS機構24によるサンプルのハンドリング、アーム11並びに試薬保冷庫31及び試薬トレイ31aによる試薬のハンドリング、供給装置110及びアーム121によるキュベット100の移送ハンドリング、フィルタ装置332の駆動等を行なう。ロボット部150は、測定装置300の移送制御部376によって全自動で制御される。
測定装置300は、測光制御部370と、データ収集部372と、AD変換部374と、移送制御部376とを含む。測光制御部370は、データ収集部372からの指示に従って、測光部130における測光全般を制御する。たとえば、測光制御部370は、フィルタ装置332を駆動して光学フィルタ340a~340cを適宜切替えたり、測定対象の比色ポートP3bからの出力が選択されるようにポート選択部352を制御する。
データ収集部372は、制御装置500からのデータ収集指示に従って、比色ポートP3bに供給される光の波長や、測定データを取得する比色ポートP3bを決定し、そのための指示を測光制御部370へ出力する。そして、データ収集部372は、AD変換部374から光量比の測定データを取得し、収集されたデータを制御装置500へ出力する。
なお、凝固ポートP3aを用いた測定を行なう場合には、データ収集部372は、制御装置500からのデータ収集指示に従って、測定データを取得する凝固ポートP3aを決定し、その凝固ポートP3aで測定を行なうための指示を測光制御部370へ出力する。そして、データ収集部372は、凝固ポートP3aにおいて検出された散乱光の測定データ(光量)をAD変換部374から取得し、収集されたデータを制御装置500へ出力する。
AD変換部374は、図8に示したLOG変換部354及びAD変換器356を含んで構成される。また、AD変換部374は、各凝固ポートP3aの光検出器からの検出信号をデジタル信号に変換し、時間凝固法による測定信号としてデータ収集部372へ出力する。移送制御部376は、制御装置500のデータ処理部510からの指示に従って、ロボット部150の各種動作を制御するための指令を生成し、ロボット部150の各種動作を制御する。
制御装置500は、データ処理部510と、記憶部512とを含む。データ処理部510は、ユーザによる操作表示部520からの測定指示に従って、測定を行なうための各種指示を生成し、生成された各種指示を測定装置300のデータ収集部372及び移送制御部376へ出力する。また、データ処理部510は、測定装置300のデータ収集部372から受ける各種測定データに基づいて、比色法による分析を行なうための各種データ処理を実行し、また、凝固分析法による分析を行なうための各種データ処理を実行する。
また、データ処理部510は、比色ポートP3bを用いた測定において、ブランク測定を実行するための指令を生成し、生成された指令を測定装置300へ出力する。そして、データ処理部510は、ブランク測定の結果を測定装置300から受け、ブランク測定の結果に異常が認められる場合には、比色ポートP3bの異常であるか、それとも参照ポートP4の異常であるかを判定する。この具体的な処理内容については、後ほど詳しく説明する。
記憶部512は、制御装置500により各種処理を実行するための制御プログラムや、各種情報(データ)等を記憶しており、データ処理部510からの要求に従って、各種制御プログラムや情報(データ)をデータ処理部510へ出力する。
図10は、図9に示した制御装置500のハード構成の一例を示す図である。図10を参照して、制御装置500は、CPU(Central Processing Unit)530と、RAM(Random Access Memory)532と、記憶装置534と、各種信号を入出力するための入出力バッファ(図示せず)とを含んで構成される。
CPU530は、記憶装置534に格納されている制御プログラムをRAM532に展開して実行する。この制御プログラムは、制御装置500により実行される各種処理の手順が記されたプログラムである。記憶装置534には、制御プログラムのほか、各種処理に用いられる各種情報やデータも格納されている。制御装置500は、これらの制御プログラム並びに各種情報及びデータに従って、分析装置における各種処理を実行する。なお、処理については、ソフトウェアによるものに限られず、専用のハードウェア(電子回路)で実行することも可能である。
なお、記憶装置534には、たとえば、処理手順を記した制御プログラムのほか、試薬情報、分析スケジュール、分析履歴、判定条件等の情報又はデータが登録されている。試薬情報は、試薬トレイ31a(図2)に準備されている各試薬の情報(たとえば、試薬ID、試薬の種類、有効期限等)である。
分析スケジュールは、予約された全てのサンプルの分析を効率良く行なうために、サンプル情報(たとえば、各サンプルの分析項目)及び各ポートの空き状況等に基づいて決定される。たとえば、分析スケジュールは、たとえば、分注及び測定の各々のタイミングと、分注対象のサンプル及び試薬と、測定を行なう測光ポートP3(凝固ポートP3a及び/又は比色ポートP3b)とを含む。分析スケジュールは、サンプルID毎(サンプル容器毎)に管理される。
分析履歴は、分析の途中経過を含む進行度合いを示し、分析の進行に応じて逐次更新される。分析履歴は、たとえば、キュベットの移動経路(現在位置を含む)と、キュベットに分注されたサンプル及び試薬と、測定が行なわれた測光ポートP3と、測定結果とを含む。分析履歴は、キュベット毎に管理される。制御装置500及びユーザの各々は、分析履歴を参照することにより、分析スケジュールどおりに分析が行なわれたか(又は進行しているか)を確認することができる。
判定条件は、比色ポートP3bについてのブランク測定において、エラーと判定された比色ポートP3bが存在する場合に、異常部位を特定するための判定値を含む。具体的には、本実施の形態1に従う分析装置では、制御装置500は、各比色ポートP3bについて、分析測定の実行前にブランク測定を実行し、光量比が所定範囲外の比色ポートP3bをエラーと判定する。そして、制御装置500は、エラーと判定された比色ポートP3bの数を示すエラー数が所定値よりも小さい場合には、エラーと判定された比色ポートP3bを異常と判定する。一方、制御装置500は、エラー数が所定値以上の場合には、参照ポートP4が異常と判定する。
そして、判定条件は、ブランク測定実行時の光量比の上記所定範囲と、エラーと判定された比色ポートP3bの数を示すエラー数の上記所定値とを含む。なお、上記の所定範囲は、各比色ポートP3b及び参照ポートP4に供給される光の波長毎(すなわち、フィルタ装置332において選択される光学フィルタ毎)に設けてもよい。光の波長によって光検出器の感度が変わり得るため、波長毎に上記の所定範囲を設定可能とするものである。
以下、この判定条件を用いた、比色ポートP3b及び参照ポートP4の異常判定処理について、詳しく説明する。
図11は、比色ポートP3b及び参照ポートP4の異常判定処理の手順の一例を示すフローチャートである。ここに示される例では、フローチャートに示される一連の処理は、分析装置のシステムが起動されると実行されるものとしているが、一連の分析測定の開始直前に実行されてもよいし、分析測定の終了後に実行されてもよい。
図11を参照して、制御装置500は、まず、ブランク測定処理を実行する(ステップS10)。上述のように、ブランク測定とは、各比色ポートP3bにキュベット100を未挿入の状態で測定を行ない、各比色ポートP3bにおいて検出される光量と、参照ポートP4において検出される光量との比が所定範囲内であるか否かをチェックするものである。
図12は、図11のステップS10において実行されるブランク測定処理の手順の一例を示すフローチャートである。図12を参照して、制御装置500は、まず、カウンタiに1をセットし(ステップS110)、ブランク測定の対象として第i番目(すなわち1番目)の比色ポートP3bを選択する(ステップS120)。なお、以下では、第i番目の比色ポートP3bを単に「ポートi」とも称する。
次いで、制御装置500は、カウンタkに1をセットし(ステップS130)、第k番目(すなわち1番目)のフィルタ(たとえば光学フィルタ340a)が選択されるようにフィルタ装置332を制御する(ステップS140)。なお、以下では、第k番目のフィルタを単に「フィルタk」と称する場合がある。
続いて、制御装置500は、ステップS140において選択されたフィルタk用の光量比の所定範囲を記憶装置534から読込む(ステップS150)。すなわち、この例では、上記の所定範囲は、各比色ポートP3b及び参照ポートP4に供給される光の波長毎(すなわち、フィルタ装置332において選択されるフィルタ毎)に設けられるものとしている。
次いで、制御装置500は、ポートiについてフィルタkが選択されている状態でのブランク測定を実行し、このときの光量比を取得する(ステップS160)。そして、制御装置500は、ブランク測定において取得された光量比が、ステップS150において読込まれた所定範囲を外れているか否かを判定する(ステップS170)。
ブランク測定で取得された光量比が所定範囲外であると判定されると(ステップS170においてYES)、制御装置500は、当該ポートiをエラーと判定し(ステップS180)、エラー判定とともに測定結果(光量比)を記憶する(ステップS190)。なお、ブランク測定で取得された光量比が所定範囲内のときは(ステップS170においてNO)、ステップS180の処理は実行されずにステップS190へ処理が移行され、測定結果(光量比)が記憶される。
次いで、制御装置500は、カウンタkが3であるかを判定する(ステップS200)。この数値「3」は、本実施の形態1においてフィルタ装置332が有するフィルタ(光学フィルタ340a~340c)の数に相当し、この数値は、設けられるフィルタの数に応じて適宜設定される。
ステップS200においてカウンタkは3に達していないと判定されると(ステップS200においてNO)、制御装置500は、カウンタkを1つインクリメントし(ステップS210)、ステップS140へ処理を戻す。すなわち、ポートiについて、フィルタ装置332が有するフィルタ毎にステップS140~S190の処理が実行される。
ステップS200においてカウンタkが3であると判定されると(ステップS200においてYES)、制御装置500は、カウンタiが6であるかを判定する(ステップS220)。この数値「6」は、本実施の形態1における比色ポートP3bの数に相当し、この数値は、設けられる比色ポートP3bの数に応じて適宜設定される。
ステップS220においてカウンタiは6に達していないと判定されると(ステップS220においてNO)、制御装置500は、カウンタiを1つインクリメントし(ステップS230)、ステップS120へ処理を戻す。すなわち、各比色ポートP3bについて、ステップS120~S210の処理が実行される。そして、ステップS220においてカウンタiが6であると判定されると(ステップS220においてYES)、制御装置500は、リターンへ処理を移行し、ブランク測定処理を終了する。
再び図11を参照して、ステップS10のブランク測定処理が実行されると、制御装置500は、エラー判定された比色ポートP3bが有るか否かを判定する(ステップS20)。エラー判定された比色ポートP3bが無ければ(ステップS20においてNO)、制御装置500は、各比色ポートP3b及び参照ポートP4は正常であると判定し(ステップS30)、キュベット100の搬送、キュベット100へのサンプル及び試薬の分注、測光ポートP3での分析測定を含む一連の検体測定処理を実行する(ステップS40)。
一方、エラー判定された比色ポートP3bが有る場合には(ステップS20においてYES)、制御装置500は、エラー判定された比色ポートP3bの数が所定値以上であるか否か判定する(ステップS50)。この所定値は、たとえば、エラー判定された比色ポートP3bの数が複数であることを示す「2」とすることができるが、比色ポートP3bの数が多い場合には、2よりも大きい値(たとえば3)であってもよい。
エラー判定された比色ポートP3bの数が所定値よりも少ないときは(ステップS50においてNO)、制御装置500は、ブランク測定処理においてエラー判定された比色ポートP3bを異常と判定する(ステップS60)。複数の比色ポートP3bに対して、エラー判定された比色ポートP3bの数が所定値よりも少なければ、当該比色ポートP3bにおいて異常が生じていると判断することとしたものである。そして、制御装置500は、その異常と判定された比色ポートP3bを報知するように操作表示部520(図9)を制御する(ステップS70)。
その後、制御装置500は、ユーザの確認を求めるため、エンドへと処理を移行する。なお、エンドへ処理を移行するのではなくステップS40へ処理を移行し、異常と判定された比色ポートP3bを使用不可として検体測定処理を実行するようにしてもよい。
一方、ステップS50において、エラー判定された比色ポートP3bの数が所定値以上であると判定されると(ステップS50においてYES)、制御装置500は、参照ポートP4を異常と判定する(ステップS80)。参照ポートP4において検出される光量は、各比色ポートP3bについての光量比の測定に用いられるため、複数の比色ポートP3bに対して、エラー判定された比色ポートP3bの数が所定値以上であれば、エラー判定された個々の比色ポートP3bにおいて異常が生じているのではなく、参照ポートP4において異常が生じていると判断することとしたものである。
そして、制御装置500は、参照ポートP4の異常を報知するように操作表示部520を制御する(ステップS90)。その後、制御装置500は、ステップS40を実行することなく、エンドへと処理を移行する。参照ポートP4において異常が生じている場合は、全ての比色ポートP3bでの測定結果が異常となるため、検体測定処理を行なわないこととするものである。なお、比色ポートP3bを用いた測定処理は不可とするけれども、凝固ポートP3aを用いた測定処理については、スケジュールどおりに実行するようにしてもよい。
以上のように、この実施の形態1では、エラーと判定された比色ポートP3bのエラー数が所定値よりも小さい場合には、エラーと判定された比色ポートP3bの異常と判定される。一方、エラー数が所定値以上の場合には、各測定用ポートでの測定に共通の参照ポートP4の異常と判定される。したがって、この実施の形態1によれば、測定系の異常部位を特定(比色ポートP3bの異常か、それとも参照ポートP4の異常か)することができる。
[実施の形態2]
上記の実施の形態1では、検体測定の開始前に全ての比色ポートP3bに対して実行されるブランク測定の結果に基づいて、エラー判定された比色ポートP3bが存在する場合に、異常部位の特定(比色ポートP3bの異常か、それとも参照ポートP4の異常か)が行なわれる。
この実施の形態2では、検体測定の開始後に、空いている比色ポートP3bに対してブランク測定が実行され、エラー判定された比色ポートP3bが存在する場合に、異常部位の特定が行なわれる。
この実施の形態2における分析装置の全体構成は、実施の形態1で説明した分析装置と同じであり、実施の形態2に従う分析装置は、比色ポートP3b及び参照ポートP4の異常判定処理の手順(図11)が実施の形態1と異なる。
図13は、実施の形態2において、比色ポートP3b及び参照ポートP4の異常判定処理の手順の一例を示すフローチャートである。このフローチャートに示される一連の処理は、分析装置のシステムが起動されると実行される。
図13を参照して、制御装置500は、まず、ブランク測定処理を実行する(ステップS310)。このブランク測定処理の手順は、図12に示したとおりであり、その測定結果は、記憶装置534に記憶される。ステップS310のブランク測定処理が実行されると、制御装置500は、キュベット100の搬送、キュベット100へのサンプル及び試薬の分注、測光ポートP3での分析測定を含む一連の検体測定を開始する(ステップS320)。
なお、この例では、ステップS310でのブランク測定処理の実行後に、無条件に検体測定を開始するものとしているが、ブランク測定処理の実行後に、実施の形態1で説明した、図11のステップS20以降の処理を行なってもよい。
ステップS320において検体測定が開始されると、制御装置500は、ブランク測定可能な比色ポートP3bが有るか否かを判定する(ステップS330)。ブランク測定は、キュベット100が装着されていない状態で実施されるため、ここでは、分析スケジュールにおいて空きが生じた比色ポートP3bをブランク測定可能なポートとすることができる。この場合、過度にブランク測定が行なわれるのを防ぐために、分析スケジュールにおいて空きが生じており、かつ、前回のブランク測定から規定時間以上経過している比色ポートP3bを、ブランク測定可能なポートとするようにしてもよい。
ステップS330において、ブランク測定可能な比色ポートP3bが有ると判定されると(ステップS330においてYES)、制御装置500は、当該比色ポートP3bについてブランク測定を実行する(ステップS340)。
ブランク測定が実行されると、制御装置500は、ブランク測定が実行された当該比色ポートP3bについて、ステップS310においてシステム起動時(検体測定開始前)に実行されたブランク測定の結果(光量比)を取得する(ステップS350)。そして、制御装置500は、ステップS340において実行されたブランク測定の結果(光量比)と、ステップS350において取得した、システム起動時のブランク測定の結果(光量比)とのずれ量がしきい値よりも大きいか否かを判定する(ステップS360)。なお、このしきい値は、適宜設定可能であり、たとえば、システム起動時に取得されたブランク測定の結果(光量比)の±10%とすることができる。
そして、システム起動時からの光量比のずれ量がしきい値よりも大きいと判定されると(ステップS360においてYES)、制御装置500は、当該比色ポートP3bをエラーと判定する(ステップS370)。
一方、光量比のずれ量がしきい値以下である場合には(ステップS360においてNO)、当該比色ポートP3bは正常と判定され、ステップS370の処理は実行されずにステップS380へ処理が移行される。また、ステップS330において、ブランク測定可能な比色ポートP3bは無いと判定された場合も(ステップS330においてNO)、ステップS380へ処理が移行される。
ステップS380~ステップSS430の処理は、それぞれ図11に示したステップS20,ステップS50~ステップS90の処理と同じである。すなわち、エラー判定された比色ポートP3b(すなわち、システム起動時からの光量比のずれ量が大きいポート)が存在する場合に、エラー判定された比色ポートP3bの数が所定値よりも少なければ(ステップS390においてNO)、エラー判定された比色ポートP3bが異常と判定され(ステップS400)、エラー判定された比色ポートP3bの数が所定値以上であれば(ステップS390においてYES)、参照ポートP4が異常と判定される(ステップS420)。
そして、ステップS410又はS430においてポートの異常が報知されると、制御装置500は、一連の検体測定を終了するか否かを判定する(ステップS430)。たとえば、制御装置500は、異常と判定された比色ポートP3bの数が所定値よりも少なければ、一連の検体測定を継続するものとし(ステップS440においてNO)、ステップS330へ処理を戻す。一方、異常と判定された比色ポートP3bの数が所定値以上であれば、制御装置500は、検体測定を終了するものとし(ステップS440においてYES)、エンドへと処理を移行する。
以上のように、この実施の形態2によれば、検体測定の開始後も、空いている比色ポートP3bに対してブランク測定を実施し、エラー判定された比色ポートP3bが存在する場合に、測定系の異常部位を特定(比色ポートP3bの異常か、それとも参照ポートP4の異常か)することができる。
[態様]
上述した複数の例示的な実施の形態は、以下の態様の具体例であることが当業者により理解される。
(第1項)一態様に係る生化学分析装置は、検体と試薬とを反応容器内で反応させることにより検体の生化学分析を行なう生化学分析装置であって、複数の測定用ポートと、参照用ポートと、制御装置とを備える。複数の測定用ポートには、分析測定時に、複数の反応容器がそれぞれ配置される。各測定用ポートでは、反応容器を透過した透過光の光量が測定される。参照用ポートでは、反応容器に照射される照射光に相当する光の光量が測定される。制御装置は、反応容器が配置された測定用ポートにおいて測定される光量と、参照用ポートにおいて測定される光量との比に基づいて、反応容器内の検体の分析を行なうように構成される。制御装置は、各測定用ポートについて、反応容器を未配置の状態で、当該測定用ポートにおいて測定される光量と、参照用ポートにおいて測定される光量との比である光量比を求めるブランク測定を実行する。そして、制御装置は、ブランク測定において、光量比が所定範囲外の場合に、当該測定用ポートについてエラーと判定する。制御装置は、エラーと判定された測定用ポートの数を示すエラー数が所定値よりも小さい場合に、エラーと判定された測定用ポートを異常と判定し、エラー数が所定値以上の場合に、参照用ポートを異常と判定するように構成される。
第1項に記載の生化学分析装置においては、エラーと判定された測定用ポートのエラー数が所定値よりも小さい場合には、当該測定用ポートに限定されたエラーであるとして、エラーと判定された測定用ポートの異常と判定される。一方、エラー数が所定値以上の場合には、測定用ポートに限定されないエラーであるとして、各測定用ポートでの測定に共通の参照用ポートの異常と判定される。したがって、この生化学分析装置によれば、測定系の異常部位を特定(測定用ポートの異常か、それとも参照用ポートの異常か)することができる。
(第2項)第1項に記載の生化学分析装置において、参照用ポートは、複数の測定用ポートに対して1つ設けられる。
このような構成により、エラーと判定された測定用ポートの数を示すエラー数が所定値以上の場合に、参照用ポートの異常と判定することができる。
(第3項)第1項又は第2項に記載の生化学分析装置において、生化学分析装置は、複数の測定用ポート及び参照用ポートの各々に光を供給する共通の光源をさらに備える。
このような構成により、エラー数が所定値よりも小さい場合には、エラーと判定された測定用ポートの異常と判定し、エラー数が所定値以上の場合には、参照用ポートの異常と判定することができる。
(第4項)第1項から第3項のいずれか1項に記載の生化学分析装置において、生化学分析装置は、複数の測定用ポート及び参照用ポートの各々に供給される光の波長を分析条件に従って切替えるように構成されたフィルタ装置をさらに備える。所定範囲は、フィルタ装置によって選択された波長に応じて設定される。
照射光の波長によって光検出器の感度が変わり得るところ、第4項の生化学分析装置によれば、分析条件に従って照射光の波長を切替えても、異常判定の精度を確保することができる。
(第5項)第1項から第4項のいずれか1項に記載の生化学分析装置において、制御装置は、分析測定の開始前に、複数の測定用ポートの各々についてブランク測定を行なう第1の処理を実行し、分析測定の開始後に、反応容器が未配置の測定用ポートについてブランク測定を行なう第2の処理を実行する。制御装置は、第2の処理が実行された測定用ポートについて、第1の処理において求められた光量比と、第2の処理において求められた光量比との差がしきい値よりも大きい場合に、当該測定用ポートについてエラーと判定する。そして、制御装置は、第2の処理が実行された測定用ポートについて、エラー数が所定値よりも小さい場合に、エラーと判定された測定用ポートを異常と判定し、エラー数が所定値以上の場合に、参照用ポートを異常と判定するように構成される。
第5項の生化学分析装置によれば、検体測定の開始後も、空いている測定用ポートに対してブランク測定を実施し、エラー判定された測定用ポートが存在する場合に、測定系の異常部位を特定(測定用ポートの異常か、それとも参照用ポートの異常か)することができる。
(第6項)また、一態様に係る生化学分析方法は、検体と試薬とを反応容器内で反応させることにより検体の生化学分析を行なう生化学分析方法である。生化学分析を行なう装置は、複数の測定用ポートと、参照用ポートとを備える。複数の測定用ポートには、分析測定時に、複数の反応容器がそれぞれ配置される。各測定用ポートでは、反応容器を透過した透過光の光量が測定される。参照用ポートでは、反応容器に照射される照射光に相当する光の光量が測定される。そして、生化学分析方法は、反応容器が配置された測定用ポートにおいて測定される光量と、参照用ポートにおいて測定される光量との比に基づいて、反応容器内の検体の分析を行なうステップと、複数の測定用ポートの各々について、反応容器を未配置の状態で、当該測定用ポートにおいて測定される光量と、参照用ポートにおいて測定される光量との比である光量比を求めるブランク測定を実行するステップと、ブランク測定において、光量比が所定範囲外の場合に、当該測定用ポートについてエラーと判定するステップと、エラーと判定された測定用ポートの数を示すエラー数が所定値よりも小さい場合に、エラーと判定された測定用ポートを異常と判定するステップと、エラー数が所定値以上の場合に、参照用ポートを異常と判定するステップとを含む。
第6項の生化学分析方法によれば、測定系の異常部位を特定(測定用ポートの異常か、それとも参照用ポートの異常か)することができる。
今回開示された各実施の形態は、技術的に矛盾しない範囲で適宜組合わせて実施することも予定されている。そして、今回開示された実施の形態は、全ての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施の形態の説明ではなくて請求の範囲によって示され、請求の範囲と均等の意味及び範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。