JP6903279B2 - 介助装置 - Google Patents

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Description

本発明は、洋風大便器の近傍に設置される介助装置に関する。
従来、杖、手すり、歩行器、車椅子等の福祉用具が必要な人が使用するトイレには、介助装置として、使用者が把持する把持部と、把持部の一旦側に設けられ把持部を大便器の前方スペースにおいて水平方向に回動させる回動軸部と、把持部の回動を所定の位置でロックさせるロック機構とを備えたトイレ用手摺装置が設置されていた(例えば、特許文献1)。
このトイレ用手摺装置においては、大便器に着座した使用者が把持部を掴んで着座姿勢を保持するために、大便器の左右方向と略平行な位置で把持部の回動をロックさせる第一のロック位置が設けられている。
また、トイレ用手摺装置においては、車椅子に着座した使用者が把持部を掴んで車椅子から立ち上がる際に、大便器の前方に車椅子使用者が車椅子から立ち上がるための第一のスペースが形成されるよう第一のロック位置よりも大便器の前方側の位置で把持部の回動をロックさせる第二のロック位置も設けられている。
さらに、トイレ用手摺装置においては、車椅子から立ち上がった使用者が把持部を掴みながら第二のロック位置から第一のロック位置に向けて把持部を回動させる際に、大便器の前方に使用者が大便器に着座するための第一のスペースよりも小さい第二のスペースが形成されるよう、第一のロック位置と第二のロック位置との間で把持部をロックさせる第三のロック位置も設けられている。
そして、第一のロック位置と第二のロック位置と第三のロック位置とは、ロック機構により切替可能になっている。
このトイレ用手摺装置では、第一のロック位置を設けることにより、大便器に着座した状態の姿勢保持動作をサポートすることができる。
そして、第二のロック位置を設けることにより、車椅子からの立ち上がり動作をサポートすることができる。
さらに、第三のロック位置を設けることにより、使用者が安定して立ち姿勢を維持できるためのスペースが大便器前方になくなった状態で把持部がロックされてしまうことがなく、把持部に押されるようにして後方側の大便器に倒れこんでしまうことを防止できるため、車椅子から立ち上がってから大便器に着座するまでの移動動作も安定してサポートすることができる。
特開2014−223118号公報
ここで上述のトイレ用手摺装置において、使用者の着座後から大便器から車椅子に移動するまでの動作を検討する。
使用者が大便器を利用している間は、把持部は第一のロック位置で固定される。
使用者が大便器の利用を終えて車椅子に戻る際、使用者は把持部を第一のロック位置から第三のロック位置あるいは第二のロック位置へ回動させようとする。
このとき、使用者は、ロック機構を解除させた状態で把持部を回動させるが、ロック機構が解除されているため、把持部が第二のロック位置よりも大便器から遠ざかる位置まで回動してしまう可能性がある。
把持部が第二のロック位置よりも大便器から遠ざかる位置まで回動してしまうと、例えば、把持部を大便器の前後方向と平行な向きにまで回動させてしまった場合、使用者がトイレ用手摺装置の使い方が理解できずにそもそも使用しない可能性や、逆に確実に使用者に使用させるように毎回適切な位置(上述のトイレ用手摺装置においては、第二のロック位置)に把持部を回動させる作業が発生する可能性があった。
すなわち、把持部の回動およびそのロックについては更なる改善の余地がある。
そこで、本発明は、前述したような従来技術の問題を解決するものであって、すなわち、本発明の目的は、福祉用具使用者の大便器への安全な着座と大便器からの安全な離座とを両立しつつ、福祉用具使用者に確実に使用させる介助装置を提供することである。
請求項1に係る発明は、洋風大便器の近傍に設置された介助装置であって、使用者が把持する把持部と、該把持部と接続して前記把持部を水平面上で回動させる回動軸を有する基部と、前記使用者が前記洋風大便器を使用する際の使用位置と該使用位置から所定角度離れた終端位置との間に前記把持部の回動範囲を制限する回動範囲制限手段と、前記使用位置および前記使用位置と前記終端位置との間の待機位置で前記把持部を固定する回動ロック手段と、前記回動ロック手段による前記把持部の固定を解除するロック解除手段と、前記ロック解除手段を動作させた状態で前記待機位置から前記把持部の前記終端位置に向かう更なる回動を禁止する回動禁止手段とを備えていることにより、前述した課題を解決するものである。
なお、ここでいう「使用者」とは、大便器を使用する福祉用具使用者および介助者を意味する。
このように構成された請求項1に係る発明の介助装置によれば、使用位置および使用位置と終端位置との間の待機位置で把持部を固定する回動ロック手段を備えていることにより、把持部が待機位置で固定可能であると共に、把持部を待機位置で固定させた場合に介助装置と洋風大便器との間に大便器使用者が自身の身体を入れるためのスペースが形成されるため、把持部を手すり代わりにして洋風大便器に安全に着座できる。
さらに、ロック解除手段を動作させた状態で待機位置から把持部の終端位置に向かう更なる回動を禁止する回動禁止手段を備えていることにより、大便器使用者が洋風大便器から離座する際に、ロック解除手段を動作させた状態であっても、把持部が待機位置までしか回動しない上に把持部が待機位置で固定可能となるため、把持部を手すり代わりにして洋風大便器から安全に離座できると共に、回動禁止手段による把持部の固定を解除しない限り把持部が待機位置と使用位置との間でしか回動しないため、これから洋風大便器を使おうとする大便器使用者は介助装置の存在を認知でき、福祉用具使用者に介助装置を利用した安全な洋風大便器への着座を促すことができる。
すなわち、福祉用具使用者の大便器への安全な着座と大便器からの安全な離座とを両立しつつ、福祉用具使用者に確実に使用させる介助装置を提供することができる。
また、回動ロック手段および回動禁止手段による把持部の固定を解除して把持部を終端位置まで回動させれば洋風大便器前方のスペースをより広く確保できるため、独力で洋風大便器への着座および離座ができず、洋風大便器への着座および離座に介助者のサポートが必要な場合にも対応することができる。
請求項2に係る発明は、請求項1に記載された介助装置の構成に加えて、前記回動ロック手段と前記回動禁止手段とが別体であることにより、前述した課題を解決するものである。
このように構成された請求項2に係る発明の介助装置によれば、請求項1に係る発明が奏する効果に加え、回動ロック手段と回動禁止手段とが別体であることにより、回動ロック手段と回動禁止手段とを異なる位置に配置可能となるため、大便器使用者が誤って回動禁止手段による把持部の固定を解除する可能性を抑制することができる。
請求項3に係る発明は、請求項1または請求項2に記載された介助装置の構成に加えて、前記回動禁止手段による前記把持部の固定解除動作が、前記回動ロック手段による前記把持部の固定解除動作と異なることにより、前述した課題を解決するものである。
このように構成された請求項3に係る発明の介助装置によれば、請求項1または請求項2に係る発明が奏する効果に加え、回動禁止手段による把持部の固定解除動作が、回動ロック手段による把持部の固定解除動作と異なることにより、大便器使用者が回動ロック手段による把持部の固定のみならず回動禁止手段による把持部の固定をも解除してしまう可能性が低減されるため、把持部が待機位置より終端位置側に回動してしまう可能性が下がり、より確実に大便器使用者に介助装置を使用させることができる。
請求項4に係る発明は、請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載された介助装置の構成に加えて、前記把持部を前記終端位置から前記使用位置に向かって回動させた時に、前記待機位置で一旦止まることにより、前述した課題を解決するものである。
このように構成された請求項4に係る発明の介助装置によれば、請求項1乃至請求項3のいずれか1項に係る発明が奏する効果に加え、把持部を終端位置から使用位置に向かって回動させた時に、待機位置で一旦止まることにより、介助者のサポートを必要とする大便器使用者の洋風大便器の使用が終わった際に把持部を終端位置から使用位置に向かって回動させたとしても把持部が待機位置で止まるため、介助者のサポートを必要とする大便器使用者が洋風大便器を使用した後に介助者のサポートを必要としない大便器使用者が洋風大便器を使用する場合であっても、把持部が待機位置に位置する可能性が高まり、介助装置の使い勝手をより向上させることができる。
本発明によれば、福祉用具使用者の大便器への安全な着座と大便器からの安全な離座とを両立しつつ、福祉用具使用者に確実に使用させる介助装置を提供することができる。
本発明の第1実施形態である介助装置の設置状況を示す化粧室内の斜視図。 本発明の第1実施形態である介助装置の斜視図。 本発明の第1実施形態である介助装置の要部拡大断面図。 図3のIV−IV断面図。 本発明の第1実施形態である介助装置の回動範囲を説明する図。 本発明の第2実施形態である介助装置の設置状況を示す化粧室内の斜視図。 本発明の第2実施形態である介助装置の要部拡大断面図。 本発明の介助装置の変形例の斜視図。
<1.第1実施形態>
図1乃至図5に基づいて、本発明の第1実施形態である介助装置100について説明する。
<1.1.介助装置の設置状況>
まず、本発明の第1実施形態である介助装置100の設置状況を示す化粧室TR内の斜視図である図1を用いて、本発明の第1実施形態である介助装置100の設置状況について説明する。
図1に示すように、介助装置100は、洋風大便器Tが配置された化粧室TR内に設置されていると共に洋風大便器Tの近傍に設置されている。
具体的には、介助装置100は、後述する図3でも明らかなように、洋風大便器Tの側方の側壁SWに取り付けられていると共に洋風大便器Tの前方に設置されている。
<1.2.介助装置の構造>
続いて、図2乃至図4を用いて、介助装置100の構造について詳述する。
図2は本発明の第1実施形態である介助装置100の斜視図であり、図3は本発明の第1実施形態である介助装置100の要部拡大断面図であり、図4は図3のIV−IV断面図である。
図2に示すように、介助装置100は、側壁SWに取り付けられる平面視で半円状の基部110と、使用者が把持するほぼ角柱状の把持部120と、インデックスプランジャ130とを備えている。
<1.2.1.基部の構造>
まず、基部110の構造について詳説する。
図3に示すように基部110は、鉛直方向に延びる回動軸111を内部に有している。
そして、回動軸111の周囲には平板112が設けられており、平板112の中心が回転軸111と一致している。
また、平板112からは、歯112aが複数突出している。
また、平板112より下方側には、回動範囲制限突起113が複数形成されている。
この回動範囲制限突起113に後述する把持部120のアーム123が当接することで、把持部120の回動範囲が制限されている。
すなわち、回動範囲制限突起113は、把持部120の回動範囲を制限する回動範囲制限手段として機能する。
<1.2.2.把持部の構造>
次いで、把持部120の構造について詳説する。
図2に示すように、把持部120の上面側には、レバー(ロック解除手段)121が設けられている。
レバー121は下端で水平方向に伸びるレバーピン121a(図3)と一体になっている。
図3に示すように、レバーピン121aの一旦は二股となっており、他端はレバーピン付勢バネ122により基部110側に付勢されている。
これにより、レバーピン121aは歯112aと噛み合っており、把持部120が基部110に固定される。
すなわち、レバーピン121aと歯112aとの噛み合いにより、把持部120の回動がロックされるため、レバーピン121aと歯112aとは回動ロック手段Lとして機能する。
そして、レバーピン121aの外側にはアーム123が設けられており、このアーム123が回動軸111と連結している。
これにより、把持部120はこの回動軸111を中心に水平面上を回動自在になっている。
<1.2.3.インデックスプランジャの構造>
図2に示すように、インデックスプランジャ130は、洋風大便器Tに大便器使用者が座った際に見えにくい位置である基部110の底面側に取り付けられている。
図4に示すように、インデックスプランジャ130は、使用者が把持するノブ131と、ノブ131から延びるプランジャピン132と、基部110に固定する基材133と、ノブ131と基材133とを接続するバネ134とを備えている。
<1.3.介助装置の動き>
続いて、図4および図5を用いて、介助装置100の動きについて説明する。
図5は本発明の第1実施形態である介助装置100の回動範囲を説明する図である。
介助装置100の回動範囲は、図5に示すように使用位置P1から終端位置P3である。
使用位置P1は、側壁SWと直交する位置である。
終端位置P3は、使用者の手の挟み込みを考慮して、側壁SWからある程度の距離を離した位置である。
<1.3.1.使用者が独力で洋風大便器に移乗できる場合>
まず、車椅子に乗った大便器使用者が独力で車椅子から洋風大便器Tへ移乗できる場合における介助装置100の動きを説明する。
<1.3.1.1.着座動作(待機位置から使用位置へ)>
洋風大便器Tを使用していない場合、図5(a)に示すように、介助装置100の把持部120は使用位置P1と終端位置P3との間に位置しており、把持部120のレバーピン121aと基部110の歯112aとが噛み合うことで、この位置に把持部120が固定されている。
この把持部120の固定位置を待機位置P2とする。
なお、待機位置P2は一意に定まる位置であり、待機位置P2については後述する。
大便器使用者が介助装置100を利用して車椅子から洋風大便器Tに移乗する際、まず、車椅子に乗った大便器使用者は介助装置100の把持部120を掴んで車椅子から立ち上がる。
そして、大便器使用者がレバー121を基部110から遠ざかる方向にスライドさせることで、基部110の歯112aと把持部120のレバーピン121aとの噛み合いが解除され、把持部120の固定が解除される。
把持部120の固定が解除されることで把持部120は回動軸111を中心に回動自在となり、大便器使用者は把持部120を掴んだまま洋風大便器Tに着座できる。
介助装置100は、大便器使用者が洋風大便器Tに着座した際の把持部120の位置が使用位置P1となるように、側壁SWに設置されている。
そして、使用位置P1でも基部110の歯112aと把持部120のレバーピン121aとが噛み合う。
これにより、把持部120は、使用位置P1で回動が固定される。
このときの把持部120の位置を図5(b)に示す。
なお、使用位置P1において、大便器使用者がレバー121を基部110から遠ざかる方向にスライドさせて、把持部120の固定を解除して、把持部120を更に洋風大便器T側に回動させようとしても、第1回動範囲制限突起113a(図3参照)が設けられているため、把持部120のレバーピン121aは次の歯112aと噛み合うことができない。
<1.3.1.2.離座動作(使用位置から待機位置へ)>
大便器使用者が洋風大便器Tに着座している際、介助装置100の把持部120は、基部110の歯112aと把持部120のレバーピン121aとが噛み合うことで、使用位置P1で固定されている(図5(b))。
そこで、大便器使用者は、洋風大便器Tから離座する際、レバー121を基部110から遠ざける方向へスライドさせて、基部110の歯112aと把持部120のレバーピン121aとの噛み合いを解除させ、把持部120の固定を解除する。
把持部120の固定が解除されていることで把持部120は回動軸111を中心に回動自在となり、大便器使用者は把持部120を掴んだまま、洋風大便器Tから離座できる。
ここで、図4に示すように、把持部120のアーム123の底面123aには段部123bおよび突起123cが形成されており、この段部123bと突起123cとの間には凹部123dが形成されている。
この凹部123dにインデックスプランジャ130のプランジャピン132が嵌まること及び基部110の歯112aと把持部120のレバーピン121aとが噛み合うことで、待機位置P2となっている。
この待機位置P2(すなわち凹部123d)は、使用位置P1から所定量(大便器使用者が洋風大便器Tと把持部120との間に自身の体を入れられる程度)離れた位置であればよい。
このように凹部123dが形成されているため、待機位置P2において、レバー121を基部110から遠ざける方向へスライドさせて把持部120の固定を介助したとしても、プランジャピン132が段部123bに当接する(換言すると、凹部123d内に留まる)ので、使用者は把持部120を待機位置P2よりも終端位置P3側に回動することができない。
すなわち、把持部120のアーム123の段部123bおよびインデックスプランジャ130は、レバー121による把持部120のロックを解除した状態で待機位置P2から終端位置P3に向かう更なる把持部120の回動を禁止する回動禁止手段として機能する。
これにより、大便器使用者が把持部120を把持して洋風大便器Tから離座している最中に、誤って把持部120を終端位置P3まで回動させてしまうようなことを防ぐことができる。
<1.3.2.車椅子から洋風大便器へ移乗時に介助者のサポートが必要な場合>
次に、車椅子に乗った大便器使用者が独力で車椅子から洋風大便器Tへ移乗できず、車椅子から洋風大便器Tへ移乗に介助者のサポートが必要な場合について説明する。
<1.3.2.1.待機位置から終端位置への動き>
大便器使用者と介助者が化粧室TR内に入室した際、介助装置100の把持部120は待機位置P2に位置している。
介助装置100の把持部120が待機位置P2にあると、大便器使用者を車椅子から洋風大便器Tに移乗させる際、介助者が立つスペースがない。
そこで、介助者は介助装置100の基部110の下方に設けられたインデックスプランジャ130のノブ131を引っ張る(図2参照)。
これにより、インデックスプランジャ130のピン端面132aが段部123bより下方に下がり、プランジャピン132が把持部120のアーム123の底面123aに形成された凹部123dを通過可能となる(図4参照)。
したがって、介助者はインデックスプランジャ130のノブ131を引っ張りつつ、把持部120のレバー121を基部110から遠ざける方向に動かすことで、把持部120の固定が解除され、把持部120を終端位置P3まで回動させることが可能となる。
このようにして、介助者は把持部120を終端位置P3まで回動させて、大便器使用者を車椅子から洋風大便器Tに移乗させる際に自身が立つスペースを確保する。
なお、終端位置P3においても、把持部120のレバーピン121aは基部110の歯112aと噛み合うため、把持部120は終端位置P3でも固定される。
さらに、終端位置P3において、大便器使用者がレバー121を基部110から遠ざかる方向にスライドさせて、把持部120の固定を解除して、把持部120を更に側壁SW側に回動させようとしても、第2回動範囲制限突起113b(図3参照)が設けられているため、把持部120が側壁SWに当接することはない。
<1.3.2.2.介助および大便器の利用>
把持部120が終端位置P3まで移動した後は、介助者が大便器使用者を車椅子から洋風大便器Tへ移乗させる。
その後、介助者は把持部120のレバー121を操作して把持部120のロックを解除して、使用位置P1まで把持部120を回動させる。
この際の介助装置100の操作方法および挙動は、前述したため省略する。
そして、大便器使用者は洋風大便器Tを使用する。
大便器使用者の洋風大便器Tの使用終了後、介助者は大便器使用者を洋風大便器Tから車椅子に移乗させるために、把持部120を使用位置P1から終端位置P3に回動させる。
この際の介助装置100の操作方法および挙動は、前述したため省略する。
介助者は、把持部120を終端位置P3に回動させた後、大便器使用者を洋風大便器Tから車椅子に移乗させる。
<1.3.2.3.終端位置から待機位置への動き>
その後、介助者は、把持部120を終端位置P3から待機位置P2に戻すために、把持部120のレバー121を基部110から遠ざける方向へスライドして把持部120の固定を解除して、把持部120を待機位置P2に向かって回動させる。
このとき、インデックスプランジャ130は、把持部120のアーム123の底面123aに形成された段部123bを通過した後、突起123cに当たる。
すなわち、把持部120を突起123cより更に使用位置P1側に回そうとすると、突起123cにより把持部120が待機位置P2で一旦止まる。
これにより、使用者に抵抗感を与えることができ、使用者は待機位置P2を感知することができ、使用者は把持部120を更に使用位置P1側に把持部120を回動させることを止める。
なお、突起123cは、使用位置P1側の傾斜については緩やかであり、終端位置P3側の傾斜については急となっている。
このように突起123cが形成されていることにより、使用位置P1から終端位置P3に向かって把持部120を回動させる際には使用者に与える抵抗感を極小化でき、終端位置P3から待機位置P2に向かって把持部120を回動させる際には使用者に抵抗感を十分に与えることができる。
<1.4.作用効果>
このようにして得られた本発明の第1実施形態である介助装置100は、使用位置P1および使用位置P1と終端位置P3との間の待機位置P2で把持部120の回動を固定する回動ロック手段L(レバーピン121aと歯112a)を備えていることにより、把持部120が待機位置P2で固定可能であると共に、把持部120を待機位置P2で固定させた場合に介助装置100と洋風大便器Tとの間に大便器使用者が自身の身体を入れるためのスペースが形成されるため、把持部120を手すり代わりにして洋風大便器Tに安全に着座できる。
さらに、ロック解除手段であるレバー121を動作させた状態で待機位置P2から把持部120の終端位置P3に向かう更なる回動を禁止し回動ロック手段Lとは別体の回動禁止手段P(把持部120のアーム123の底面123aおよびインデックスプランジャ130)を備えていることにより、大便器使用者が洋風大便器Tから離座する際に、ロック解除手段Lを動作させた状態であっても、把持部120が待機位置P2までしか回動しない上に把持部120が待機位置P2で固定可能となるため、把持部120を手すり代わりにして洋風大便器Tから安全に離座できると共に、回動禁止手段Pによる把持部120の固定を解除しない限り把持部120が待機位置P2と使用位置P1との間でしか回動しないため、これから洋風大便器Tを使おうとする大便器使用者は介助装置100の存在を認知でき、福祉用具使用者に介助装置100を利用した安全な洋風大便器Tへの着座を促すことができる。
すなわち、福祉用具使用者の洋風大便器Tへの安全な着座と洋風大便器Tからの安全な離座とを両立しつつ、福祉用具使用者に確実に使用させる介助装置100を提供することができる。
また、回動ロック手段Lおよび回動禁止手段Pによる把持部120の固定を解除して把持部120を終端位置P3まで回動させれば洋風大便器T前方のスペースをより広く確保できるため、独力で車椅子から洋風大便器Tへ移乗できず、車椅子から洋風大便器Tへ移動に介助者のサポートが必要な場合にも対応することができる。
さらに、回動ロック手段Lと回動禁止手段Pとが別体であることにより、回動ロック手段Lと回動禁止手段Pとを異なる位置に配置可能となるため、大便器使用者が誤って回動禁止手段Pによる把持部120の固定を解除する可能性を抑制することができる。
また、回動禁止手段Pによる把持部120の固定解除動作(基部110から遠ざかる方向にレバー121を動かす)が、回動ロック手段Lによる把持部120の固定解除動作(インデックスプランジャ130のノブ131を鉛直下方に引っ張る)と異なることにより、大便器使用者が回動ロック手段Lによる把持部120の固定のみならず回動禁止手段Pによる把持部120の固定をも解除してしまう可能性が低減されるため、把持部120が待機位置P2より終端位置P3側に回動してしまう可能性が下がり、より確実に大便器使用者に介助装置100を使用させることができる。
さらに、把持部120を終端位置P3から使用位置P1に向かって回動させた時に、待機位置P2で一旦止まることにより、介助者のサポートを必要とする大便器使用者の洋風大便器Tの使用が終わった際に把持部120を終端位置P3から使用位置P1に向かって回動させたとしても把持部120が待機位置P2で止まるため、介助者のサポートを必要とする大便器使用者が洋風大便器Tを使用した後に介助者のサポートを必要としない大便器使用者が洋風大便器Tを使用する場合であっても、把持部120が待機位置P2に位置する可能性が高まり、介助装置100の使い勝手をより向上させることができる。
<2.第2実施形態>
続いて、図6および図7に基づいて、本発明の第2実施形態である介助装置200について説明する。
図6は本発明の第2実施形態である介助装置200の設置状況を示す化粧室内の斜視図であり、図7は本発明の第2実施形態である介助装置200の要部拡大断面図である。
なお、本発明の第2実施形態である介助装置200は、本発明の第1実施形態である介助装置100から設置場所を変更したものであり、多くの要素について介助装置100と共通するので、共通する事項については詳しい説明を省略し、下2桁が共通する200番台の符号を付すのみとする。
<2.1.介助装置の設置状況>
図6に示すように、介助装置200は、洋風大便器Tが配置された化粧室TR内に設置されていると共に洋風大便器Tの近傍に設置されている。
具体的には、介助装置200は、洋風大便器Tと同じく床Fに設置されている。
<2.2.介助装置の構造>
図6に示すように、介助装置200は、床Fから延びる円柱状の基部210と、使用者が把持するほぼ角柱状の把持部220と、インデックスプランジャ230と、基部210と把持部220との連結箇所を隠蔽する化粧カバー240とを備えている。
化粧カバー240は、鉛直上方側の上カバー241と、鉛直下方側の下カバー242とを有している。
そして、インデックスプランジャ230は、下カバー242側に設けられている。
<2.2.1.基部と把持部との接続構造>
基部210は、鉛直方向に延びる回動軸211を内部に有している。
図7に示すように、回動軸211の周囲には平板212が設けられており、平板212の中心が回転軸211と一致している。
また、平板212からは、歯212aが複数突出している。
また、平板212より下方側には、回動範囲制限突起213が複数形成されている。
この回動範囲制限突起213に後述する把持部220のアーム223が当接することで、把持部220の回動範囲が制限されている。
すなわち、回動範囲制限突起213は、把持部220の回動範囲を制限する回動範囲制限手段として機能する。
<2.3.介助装置の動き>
介助装置200の動きは、本発明の第1実施形態である介助装置100と同じであるため、説明は省略する。
なお、介助装置200は、床Fに設置されているため、側壁SWに設置された介助装置100と違って終端位置P3の位置に制約がない。
介助装置200は、歯212aの個数または回動規制部材213の位置を調整することで終端位置P3を決めることができる。
<2.6.作用効果>
このようにして得られた本発明の第2実施形態である介助装置200は、使用位置P1および使用位置P1と終端位置P3との間の待機位置P2で把持部220の回動を固定する回動ロック手段L(レバーピン221aと歯212a)を備えていることにより、把持部220が待機位置P2で固定可能であると共に、把持部220を待機位置P2で固定させた場合に介助装置200と洋風大便器Tとの間に大便器使用者が自身の身体を入れるためのスペースが形成されるため、把持部220を手すり代わりにして洋風大便器Tに安全に着座できる。
さらに、ロック解除手段であるレバー221を動作させた状態で待機位置P2から把持部220の終端位置P3に向かう更なる回動を禁止し回動ロック手段Lとは別体の回動禁止手段P(把持部220のアーム223の底面223aおよびインデックスプランジャ230)を備えていることにより、大便器使用者が洋風大便器Tから離座する際に、ロック解除手段Lを動作させた状態であっても、把持部220が待機位置P2までしか回動しない上に把持部220が待機位置P2で固定可能となるため、把持部220を手すり代わりにして洋風大便器Tから安全に離座できると共に、回動禁止手段Pによる把持部220の固定を解除しない限り把持部220が待機位置P2と使用位置P1との間でしか回動しないため、これから洋風大便器Tを使おうとする大便器使用者は介助装置200の存在を認知でき、福祉用具使用者に介助装置200を利用した安全な洋風大便器Tへの着座を促すことができる。
すなわち、福祉用具使用者の洋風大便器Tへの安全な着座と洋風大便器Tからの安全な離座とを両立しつつ、福祉用具使用者に確実に使用させる介助装置200を提供することができる。
また、回動ロック手段Lおよび回動禁止手段Pによる把持部220の固定を解除して把持部220を終端位置P3まで回動させれば洋風大便器T前方のスペースをより広く確保できるため、独力で車椅子から洋風大便器Tへ移乗できず、車椅子から洋風大便器Tへ移動に介助者のサポートが必要な場合にも対応することができる。
さらに、回動ロック手段Lと回動禁止手段Pとが別体であることにより、回動ロック手段Lと回動禁止手段Pとを異なる位置に配置可能となるため、大便器使用者が誤って回動禁止手段Pによる把持部220の固定を解除する可能性を抑制することができる。
また、回動禁止手段Pによる把持部220の固定解除動作(基部210から遠ざかる方向にレバー221を動かす)が、回動ロック手段Lによる把持部220の固定解除動作(インデックスプランジャ230のノブ231を鉛直下方に引っ張る)と異なることにより、大便器使用者が回動ロック手段Lによる把持部220の固定のみならず回動禁止手段Pによる把持部220の固定をも解除してしまう可能性が低減されるため、把持部220が待機位置P2より終端位置P3側に回動してしまう可能性が下がり、より確実に大便器使用者に介助装置200を使用させることができる。
さらに、把持部220を終端位置P3から使用位置P1に向かって回動させた時に、待機位置P2で一旦止まることにより、介助者のサポートを必要とする大便器使用者の洋風大便器Tの使用が終わった際に把持部220を終端位置P3から使用位置P1に向かって回動させたとしても把持部220が待機位置P2で止まるため、介助者のサポートを必要とする大便器使用者が洋風大便器Tを使用した後に介助者のサポートを必要としない大便器使用者が洋風大便器Tを使用する場合であっても、把持部220が待機位置P2に位置する可能性が高まり、介助装置200の使い勝手をより向上させることができる。
<3.変形例>
以上、本発明を実施するための形態について説明したが、本発明は上記に限定されるものではない。
例えば、洋風大便器は、本実施形態では床置き式の洋風大便器であったが、壁掛け式の洋風大便器であってもよい。
例えば、介助装置の設置場所は、本実施形態では化粧室内であったが、洋風大便器の近傍にあれば化粧室でなくてもよく、簡易便器が設置されるような居室であってもよい。
例えば、図8に示すように把持部120の上に、さらにボードBを取り付けてもよい。
なお、ボードBは、介助装置200の把持部220に取り付けてもよい。
また、本実施形態では、車椅子使用者が介助装置をどのように利用するかを説明したが、本発明の介助装置の利用者は車椅子使用者に限定されるものでなく、例えば歩行器使用者や杖使用者や手すり使用者等が本発明の介助装置を利用してもよい。
また、回動範囲制限手段は、本実施形態では回動範囲制限突起であったが、外部から配置可能なピンやボルトのようなものであってもよい。
また、ロック解除手段は、本実施形態ではレバーであったが、把持部自体を基部から遠ざけるようなものであったり、押しボタンであったりしてもよい。
また、回動禁止手段は、本実施形態ではインデックスプランジャおよび把持部のアームの底面であったが、単純なピンおよびピン孔を用いても良い。
この際、待機位置に対応する基部上の位置にピン孔を設け、このピン孔にピンを挿しておくことで、把持部が使用位置と待機位置との間のみを回動自在となる。
把持部が終端位置まで回動させる場合は、把持部が待機位置まで到達したときにピンを抜けばよい。
このとき、把持部を待機位置から終端位置側にやや動かした後に、ピンを再びピン孔に挿しておく。
これにより、把持部を終端位置から使用位置に向かって回動させた場合、把持部を待機位置に一旦止めることができる。
このとき、ピンをピン孔から抜いて、把持部を待機位置から使用位置側にやや動かした後に、ピンを再びピン孔に挿しておくことが好ましい。
さらに別の変形例として、大便器使用者が誤って回動禁止手段による把持部の固定を解除する可能性があるものの、回動禁止手段はレバーで兼用してもよい。
例えば、使用位置における回動の固定を解除する動作と、使用位置における終端位置に向かう更なる回動の禁止を解除する動作とを異なる向き(例えば、前者を基部から遠ざける方向、後者を基部から遠ざける方向と交わる方向)にしてもよい。
あるいは、レバーを2段階に可動できるようにして、1段階目を使用位置における回動の固定の解除、2段階目を使用位置における終端位置に向かう更なる回動の禁止の解除としてもよい。
また、使用位置は、図5(第1実施形態)においては、把持部120が側壁SWに対してほぼ垂直に伸びる位置を使用位置P1としたが、この使用位置P1は、歯の位置や個数、介助装置の設置角度等を調整して、図5に示した位置から更に洋風大便器T側に回動した位置や洋風大便器Tから遠ざかる位置であってもよい。
なお、第2実施形態でおいても同様である。
100、 200 ・・・ 介助装置
110、 210 ・・・ 基部
111、 211 ・・・ 回動軸
112、 212 ・・・ 平板
112a、212a ・・・ 歯
113、 213 ・・・ 回動範囲制限突起(回動範囲制限手段)
113a、213a ・・・ 第1回動範囲制限突起
113b、213b ・・・ 第2回動範囲制限突起
120、 220 ・・・ 把持部
121、 221 ・・・ レバー(ロック解除手段)
121a、221a ・・・ レバーピン
122、 222 ・・・ レバーピン付勢バネ
123、 223 ・・・ アーム
123a、223a ・・・ 底面
123b ・・・ 段部
123c ・・・ 突起
123d ・・・ 凹部
130、 230 ・・・ インデックスプランジャ
131、 231 ・・・ ノブ
132、 232 ・・・ プランジャピン
132a ・・・ ピン端面
133 ・・・ 基材
134 ・・・ バネ
240 ・・・ 化粧カバー
241 ・・・ 上カバー
242 ・・・ 下カバー

L ・・・ 回動ロック手段
P ・・・ 回動禁止手段
B ・・・ ボード

P1 ・・・ 使用位置
P2 ・・・ 待機位置
P3 ・・・ 終端位置

TR ・・・ 化粧室
T ・・・ 洋風大便器
SW ・・・ 側壁
F ・・・ 床

Claims (4)

  1. 洋風大便器の近傍に設置された介助装置であって、
    使用者が把持する把持部と、
    該把持部と接続して前記把持部を水平面上で回動させる回動軸を有する基部と、
    前記使用者が前記洋風大便器を使用する際の使用位置と該使用位置から所定角度離れた終端位置との間に前記把持部の回動範囲を制限する回動範囲制限手段と、
    前記使用位置および前記使用位置と前記終端位置との間の待機位置で前記把持部を固定する回動ロック手段と、
    前記回動ロック手段による前記把持部の固定を解除するロック解除手段と、
    前記ロック解除手段を動作させた状態で前記待機位置から前記把持部の前記終端位置に向かう更なる回動を禁止する回動禁止手段とを備えていることを特徴とする介助装置。
  2. 前記回動ロック手段と前記回動禁止手段とが別体であることを特徴とする請求項1に記載の介助装置。
  3. 前記回動禁止手段による前記把持部の固定解除動作が、前記回動ロック手段による前記把持部の固定解除動作と異なることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の介助装置。
  4. 前記把持部を前記終端位置から前記使用位置に向かって回動させた時に、前記待機位置で一旦止まることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の介助装置。
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