JP6900816B2 - 基礎構造、鋼管杭の杭頭構造、及び基礎構造の施工方法 - Google Patents
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Description
すなわち、鋼管杭は、杭打重機を用いて現場で地盤中に打設され、施工誤差が必ず生じるが、結果的にこれが鋼管杭の杭軸と上部架構柱の柱軸との水平方向のずれを生じさせることとなり、これを修正するために、鋼管杭の施工精度に合わせて、図12に示すように、上部架構柱2のベースプレート101への取付け位置を修正したり、ベースプレート101の構造を変更したりせねばならず、施工が煩雑であるとともに、コストが増大する問題があった。
また、鋼管杭3と上部架構柱2の連結部材102の空間寸法が小さいため、必然的に上部架構柱2と連結部材102との接続手段は、現場での接合用治具100の手段しかなく、上部架構柱2の荷重が大きい場合は、ベースプレート101や接合用治具100を堅固な仕様にする必要があり、さらにコストを増大させる要因となっていた。
さらに、充填したコンクリート103は、上部架構柱2とベースプレート101とを設置した後に施工しないとならず、閉鎖空間への確実な充填を行うために、流動性の高い特殊なコンクリートや特殊な充填確認手段を用いる必要があり、施工の煩雑さとコストの上昇を助長していた。
そして、本発明では、筒状鋼管が下方に向けて拡径するようにテーパーに形成されているため、充填コンクリートが外鋼管から上部架構柱とともに上方に向けて抜け出すことを防止することができる。また、上部架構柱の荷重を充填コンクリートを介して外鋼管から鋼管杭へ確実に伝達できる。つまり、上部架構柱の荷重は先ず充填コンクリートに伝達され、この荷重がテーパー面をなす筒状鋼管に伝わり、さらに円錐状鋼管から鋼管杭に伝達されることになる。また、充填コンクリートと外鋼管との上下方向のずれを防止するためのずれ止め部材を別で必要としないため、低コストでかつ簡便に連結部材を形成することができる。
また、鋼管杭と連結部材の接点は、直接、溶接等で当接させて固着させるため、掘削深さが深くなることがなく接合作業が容易になる。
また、本発明に係る鋼管杭の杭頭構造は、前記筒状鋼管の外面には、円周方向に延在するリング部材が設けられていることが好ましい。
また、本発明では、色々な上部架構柱の固定方法を用いることが可能で、さらに充填コンクリートの施工において、特殊な材料や品質確認手段を講じる必要がなくなる利点がある。
図1に示すように、本実施の形態による基礎構造1は、上部架構の上部架構柱2と、地中に打設された鋼管杭3の杭頭部3Aと、が連結部材4を介して接合された構造である。なお、本実施の形態では、杭頭部3Aの全体が地中に位置し、連結部材4の上側の一部が地上に露出した状態で配置されている。
外鋼管41は、上部架構柱2と鋼管杭3との間に配置され、鋼管杭3の杭径D1より大径(符号D2)の筒状鋼管43と、筒状鋼管43の下端から下方に向けて縮径された円錐状鋼管44と、を備えている。
連結部材4は、杭頭部3Aの内側に円錐状鋼管44の略下半部分が挿入された状態で、円錐状鋼管44が杭頭部3Aとの接点(溶着部W)で溶着されている。
先ず、図4(a)〜(c)に示すように、先行して打設された鋼管杭3の杭頭部3Aに連結部材4を接合する。具体的には、図4(a)に示すように、連結部材4のうち外鋼管41を、この管軸O3が杭軸O2と一致するようにして杭頭部3A内に上方から挿入させ、図4(b)に示すように杭頭部3Aの上端部3aと外鋼管41とが当接した当接部を杭頭部3Aの外側から全周にわたって溶接し、溶着部Wによって杭頭部3Aと連結部材4を接合する。
このように、杭頭部3Aに接合した外鋼管41内に充填コンクリート42が充填された状態で連結部材4の杭頭部3Aに対する接合が完了となる。
その後、図5(b)に示すように、アンカー打設領域22Aにモルタル材47を充填し、アンカーボルト22をモルタル材47に定着させる。その後、上部架構柱2に固着されているベースプレート21の貫通穴21aにアンカーボルト22を挿通させてナット23で締め付けることで、上部架構柱2がアンカーボルト22を介して連結部材4に固定され、基礎構造1の施工が完了となる。
また、充填コンクリート42と外鋼管41との上下方向のずれを防止するためのずれ止め部材を別で必要としないため、低コストでかつ簡便に連結部材4を形成することができる。
しかも、本実施の形態では、筒状鋼管43にテーパーが形成されているので、外鋼管41に作用する応力が低減され、テーパーの筒状鋼管43の重量を小さく抑えることができ、部材コストを低減することが可能となる。
また、鋼管杭3と連結部材4との接点は、直接、溶接等で当接させて固着させるため、掘削深さが深くなることがなく接合作業が容易になる。
図7に示すように、第2の実施の形態による基礎構造1Aは、上部架構柱2の下端部2aが直接、連結部材4の外鋼管41の内部に充填されている充填コンクリート42内に埋設された構成となっている。この場合には、上部架構柱2の下端部2aを直接、連結部材4の外鋼管41の内部に配置した後、外鋼管41内に充填コンクリート42を充填させて硬化させる方法により施工される。
なお、第2の実施の形態において、上部架構柱2の下端にベースプレート21を固定させた状態で充填コンクリート42に埋設する構成であってもよい。
図8に示す第1変形例による基礎構造1Bは、筒状鋼管43の外面43aには、管軸O3を中心とする円周方向に全周にわたって延在する複数段(ここでは3段)のリング部材45が管軸O3方向に間隔をあけて例えば溶着により固定された状態で設けられている。各リング部材45は、本実施の形態では平鋼からなる。
上述した第1の実施の形態では、基礎構造1の施工時において、アンカーボルト22を打設するためのアンカー打設領域22Aを確保するための箱抜き部材46を型枠として配置しているが、この箱抜き部材46を省略して施工することも可能である。
すなわち、図9(a)に示す第2変形例による基礎構造1の施工方法では、連結部材4において、充填コンクリート42の充填前に、アンカーボルト22を外鋼管41の内側の所定位置に仮固定した状態で配置し、その後、充填コンクリート42を充填する。図9(b)に示すように、充填コンクリート42が硬化した後に、充填コンクリート42に定着したアンカーボルト22に上部架構柱2に固着されたベースプレート21を固定する。
この場合も、外鋼管41の内側の範囲(充填コンクリートの領域)において任意の位置に上部架構柱2のアンカーボルト22を埋設することができるので、鋼管杭3の杭軸O2が上部架構柱2の柱軸O1と水平方向にずれている場合であっても、その水平方向のずれを吸収して上部架構柱2を設計通りの位置で連結部材4に接合することができる。
また、予め箱抜きを形成せず、何も細工しないで充填コンクリートを打設し、コンクリートが硬化した後に、コアボーリングにより孔(箱抜き)を設けるようにしてもよい。
また、図10に示す第3変形例による基礎構造1Cは、埋込具として、上述したようなアンカーボルト22であることに限定されることはなく、複数の鉄筋24をベースプレート21の下面に垂設させた構成としたものである。
基礎構造1Cは、ベースプレート21が充填コンクリート42の上面42aに位置するように配置され、このとき複数の鉄筋24が連結部材4の外鋼管41の内側の充填コンクリート42中に埋設された状態となる。そして、ベースプレート21とともに連結部材4が鋼管杭3に接合された後、そのベースプレート21上に上部架構柱2の下端を溶接により固定することで基礎構造1Cが施工される。
また、図11に示すように、第4変形例による基礎構造1Dは、上述した第1の実施の形態において、連結部材4の充填コンクリート42上に高さ調整用のグラウト部26を介してベースプレート21が配置された構成となっている。この場合、アンカーボルト22とともに打設された充填コンクリート42の上面42aにモルタルからなるグラウト部26を打設する。このとき、グラウト部26の高さ寸法を上部架構柱2の下端位置に対応するよう高さ調整した後、ベースプレート21を設置するとともに、ベースプレート21上に上部架構柱2を建て込む手順により施工される。
このようにグラウト部26を設けることで、上部架構柱2の接地面の精度(とくに高さ精度)をより確実に確保することができる。
2 上部架構柱
3 鋼管杭
3A 杭頭部
4 連結部材
21 ベースプレート
22 アンカーボルト(埋込具)
22A アンカー打設領域
41 外鋼管
42 充填コンクリート
43 筒状鋼管
43a 外面
44 円錐状鋼管
45 リング部材
46 箱抜き部材
O1 柱軸
O2 杭軸
O3 管軸
Claims (8)
- 上部架構柱と、地中に打設された鋼管杭の杭頭部と、が接合された基礎構造であって、
前記上部架構柱と前記鋼管杭との間に配置され、前記鋼管杭の杭径より大径の筒状鋼管、及び前記筒状鋼管の下端から下方に向けて縮径された円錐状鋼管を有する外鋼管と、
前記外鋼管の内部に充填された充填コンクリートと、
を備えた連結部材が設けられ、
前記筒状鋼管は、下方に向けて拡径するテーパーに形成され、
前記上部架構柱は、一部が前記充填コンクリートに固着される埋込具を介して前記外鋼管に接続され、
前記連結部材は、前記鋼管杭の杭頭部内に前記円錐状鋼管の少なくとも一部が挿入された状態で、該円錐状鋼管が前記杭頭部との接点で溶着されていることを特徴とする基礎構造。 - 前記上部架構柱の下端には、ベースプレートが設けられ、
該ベースプレートは、前記筒状鋼管に充填された前記充填コンクリートの上面に当接された状態で前記埋込具を介して前記外鋼管に接続されていることを特徴とする請求項1に記載の基礎構造。 - 前記埋込具は、アンカーボルトであることを特徴とする請求項1又は2に記載の基礎構造。
- 上部架構柱と、地中に打設された鋼管杭の杭頭部と、が接合された基礎構造であって、
前記上部架構柱と前記鋼管杭との間に配置され、前記鋼管杭の杭径より大径の筒状鋼管、及び前記筒状鋼管の下端から下方に向けて縮径された円錐状鋼管を有する外鋼管と、
前記外鋼管の内部に充填された充填コンクリートと、
を備えた連結部材が設けられ、
前記筒状鋼管は、下方に向けて拡径するテーパーに形成され、
前記上部架構柱の下端部分は、前記充填コンクリートに埋設され、
前記連結部材は、前記鋼管杭の杭頭部内に前記円錐状鋼管の少なくとも一部が挿入された状態で、該円錐状鋼管が前記杭頭部との接点で溶着されていることを特徴とする基礎構造。 - 前記筒状鋼管の外面には、円周方向に延在するリング部材が設けられていることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の基礎構造。
- 上部架構柱に接合される鋼管杭の杭頭構造であって、
地中に打設された鋼管杭の杭頭部と、
前記上部架構柱と前記鋼管杭との間に配置され、前記鋼管杭の杭径より大径の筒状鋼管、及び前記筒状鋼管の下端から下方に向けて縮径された円錐状鋼管を有する外鋼管と、
前記外鋼管の内部に充填された充填コンクリートと、
を備えた連結部材が設けられ、
前記筒状鋼管は、下方に向けて拡径するテーパーに形成され、
前記上部架構柱は、前記外鋼管の内部に充填された前記充填コンクリートに固定され、
前記連結部材は、前記鋼管杭の杭頭部内に前記円錐状鋼管の少なくとも一部が挿入された状態で、該円錐状鋼管が前記杭頭部との接点で溶着されていることを特徴とする鋼管杭の杭頭構造。 - 前記筒状鋼管の外面には、円周方向に延在するリング部材が設けられていることを特徴とする請求項6に記載の鋼管杭の杭頭構造。
- 請求項1乃至5のいずれか1項に記載の基礎構造の施工方法であって、
前記杭頭部の内側に上方から前記円錐状鋼管を挿入させ、前記杭頭部と前記円錐状鋼管とが当接する接点を溶着する工程と、
前記外鋼管の内側に前記上部架構柱を配置する工程と、
前記外鋼管の内部にコンクリートを充填して充填コンクリートを設ける工程と、
を有することを特徴とする基礎構造の施工方法。
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