以下、本発明を好適な実施の形態をもとに図面を参照しながら説明する。各図面に示される同一または同等の構成要素、部材、処理には、同一の符号を付するものとし、適宜重複した説明は省略する。また、実施の形態は、発明を限定するものではなく例示であって、実施の形態に記述されるすべての特徴やその組み合わせは、必ずしも発明の本質的なものであるとは限らない。
また図面に記載される各部材の寸法(厚み、長さ、幅など)は、理解の容易化のために適宜、拡大縮小されている場合がある。さらには複数の部材の寸法は、必ずしもそれらの大小関係を表しているとは限らず、図面上で、ある部材Aが、別の部材Bよりも厚く描かれていても、部材Aが部材Bよりも薄いこともあり得る。
本明細書において、「部材Aが、部材Bと接続された状態」とは、部材Aと部材Bが物理的に直接的に接続される場合のほか、部材Aと部材Bが、それらの電気的な接続状態に実質的な影響を及ぼさない、あるいはそれらの結合により奏される機能や効果を損なわせない、その他の部材を介して間接的に接続される場合も含む。
同様に、「部材Cが、部材Aと部材Bの間に設けられた状態」とは、部材Aと部材C、あるいは部材Bと部材Cが直接的に接続される場合のほか、それらの電気的な接続状態に実質的な影響を及ぼさない、あるいはそれらの結合により奏される機能や効果を損なわせない、その他の部材を介して間接的に接続される場合も含む。
はじめに撮像装置の構成について説明する。図1は、撮像装置300を示す図である。撮像装置300は、デジタルカメラやデジタルビデオカメラ、スマートフォンやタブレット端末、ドローンなどに内蔵されるカメラモジュールである。このカメラモジュール300は、AF機能およびピッチ、ヨー、ロールの3軸に対応した手ブレ補正機能を備える。便宜的に、光軸をZ軸にとり、それと直交する一軸をX軸にとり、別の一軸をY軸にとる。Z軸をロール軸、Z軸まわりの回転ブレをロールブレ、X軸まわりの回転ブレをピッチブレ、Y軸まわりの回転ブレをヨーブレとする。
手ブレ補正の方式は、レンズを変位させるレンズシフト方式と、撮像素子を変位させるセンサシフト方式に分けられ、図1のカメラモジュール300は後者を採用する。撮像装置300は、撮像素子302、レンズ304、プロセッサ306、ジャイロセンサ308、AFアクチュエータ402、OISアクチュエータ404、位置検出器406およびアクチュエータ制御装置400を備える。
レンズ304は、撮像素子302に入射する光の光軸上に配置される。アクチュエータ制御装置400は、プロセッサ306からのAF位置指令値(ターゲットコードとも称する)PREF_AFもとづいてAFアクチュエータ402を駆動し、レンズ304を光軸(Z軸)方向に位置決めする。
プロセッサ306は、AF動作において、撮像素子302が撮像した画像のコントラストが高くなるように、位置指令値PREF_AFを生成する(コントラストAF)。あるいは撮像素子302の外部に設けられ、あるいは撮像面に埋め込まれたAFセンサからの出力にもとづいて、位置指令値PREF_AFが生成されてもよい(位相差AF)。
AFアクチュエータ402は、AFに関連して、レンズ304を光軸方向(Z軸方向)に位置決め可能に構成される。AFアクチュエータ402は、たとえばボイスコイルモータである。レンズ304はレンズホルダー310に搭載され、Z軸方向可動に支持されている。レンズホルダー310にはAFコイル312が巻回されており、AFコイル312に対向してAF永久磁石314が固定部に配置されている。図示はしないが、AF永久磁石に接してAFヨークを設けてもよい。AFコイル312に通電することにより、AF永久磁石314との磁気的相互作用によりレンズ304とレンズホルダー310は一体的にZ軸方向に駆動される。すなわちAFコイル312とAF永久磁石314の組み合わせが、AFアクチュエータ402に相当する。なお、AFアクチュエータに位置検出器を設け、AFについてもフィードバック制御してもよい。
OISアクチュエータ404は、ヨーブレを補正するために、撮像素子302を、ピッチ軸(X軸)と平行であるべき第1駆動軸の方向(第1駆動方向)に変位させ、ピッチブレを補正するために、撮像素子302を、ヨー軸(Y軸)と平行であるべき第2駆動軸の方向(第2駆動方向)に変位させる。またロールブレを補正するために、撮像素子302を、ロール軸(Z軸)と平行であるべき第3駆動軸まわりに回転させるよう構成される。第1駆動軸、第2駆動および第3駆動軸をそれぞれ、x軸、y軸、z軸とも称することとし、それらを駆動軸と総称する。
OISアクチュエータ404もまたボイスコイルモータであり、撮像素子302を、それを搭載した基板316ごと変位させる。基板316の撮像素子302搭載面と反対側の面にはOISコイル318と位置検出素子320が固定されている。OISコイル318と位置検出素子320に対向して、OIS永久磁石322、OISヨーク324が固定されている。OISコイル318とOIS永久磁石322の組み合わせが、OISアクチュエータ404に相当する。この例ではOISコイル318とOIS永久磁石322の組み合わせが4個あり、各OISコイル318に独立して電流を印加することにより、第1駆動方向(x軸)、第2駆動方向(y軸)、および第3駆動軸(z軸)まわり(ロール方向)の3方向のブレ補正のための駆動力を得る。
ジャイロセンサ308は、ブレ検出素子であり、撮像素子302に作用するヨー軸、ピッチ軸、ロール軸まわりのブレを示すヨーブレ検出信号GY、ピッチブレ検出信号GP、ロールブレ検出信号GRを生成する。ヨー軸(Y軸)、ピッチ軸(X軸)およびロール軸(Z軸)を、ジャイロ検出軸と総称する。
位置検出器406は、撮像素子302の状態を示す位置検出信号PFB_OISを生成する。この位置検出信号PFB_OISは、撮像素子302の第1駆動方向(x軸)の位置に関する第1位置情報PFB_X、第2駆動方向の撮像素子302の位置に関する第2位置情報PFB_Yを含んでいる。さらに位置検出信号PFB_OISは、第3駆動軸(z軸)まわりの撮像素子302の回転量に関する第3位置情報PFB_Rを含んでもよい。
位置検出器406は、位置検出素子320とOIS永久磁石322の組み合わせで構成される。位置検出素子320としてはホール素子などの磁気的検出手段が多く用いられており、ここではホール素子であるとする。この例では、位置検出素子320は3個あり、この3個による位置検出信号PFB_OISに基づいて、撮像素子302の変位量(それぞれ、第1位置検出値PFB_X、第2位置検出値PFB_Y、第3位置検出値PFB_Rとする)が取得される。位置検出素子320は、撮像素子302の現在の位置に応じた電気信号(すなわち位置検出信号PFBという)を生成する。この位置検出信号PFBは、アクチュエータ制御装置400にフィードバックされる。
アクチュエータ制御装置400は、ジャイロセンサ308からのブレ検出信号GY,GP,GRにもとづいて位置指令値(ターゲットコード)PREF_X,PREF_Y,PREF_R(これらをOIS位置指令値PREF_OISと総称する)を生成し、OIS位置指令値PREF_OISにもとづいてOISアクチュエータ404を駆動し、撮像素子302を光軸と垂直な平面内に位置決めする。
OISアクチュエータ404の駆動は、クローズドループ(フィードバック制御)で行ってもよい。OISに対してはジャイロセンサ308からの出力(角速度検出信号)GP,GY,GRがアクチュエータ制御装置400に入力され、アクチュエータ制御装置400は、これらの信号に基づいてOIS位置指令値PREF_OISを生成する。ピッチ角速度検出信号GPは、ピッチ軸(X軸)まわりの角速度を表し、ヨー角速度検出信号GYは、ヨー軸(Y軸)まわりの角速度を表し、ロール角速度検出信号GRは、ロール軸(Z軸)まわりの角速度を表す。
ヨー軸まわりのブレを相殺するために、OISアクチュエータ404は、撮像素子302を第1駆動軸(x軸)に沿う第1駆動方向に変位させる。またピッチ軸まわりのブレを相殺するために、OISアクチュエータ404は、撮像素子302を第2駆動軸(y軸)に沿う第2駆動方向に変位させる。ロールブレを相殺するために、OISアクチュエータ404は、撮像素子302を、第3駆動軸(レンズ304の光軸、z軸)まわりに駆動して傾ける。
アクチュエータ制御装置400は、フィードバックされた位置検出信号PFB_OISから得られる位置情報PFB_X、PFB_YおよびPFB_Rそれぞれが、位置指令値PREF_X、PREF_YおよびPREF_Rと一致するように、OISアクチュエータ404をフィードバック制御する。ただし、クロストーク等の影響で位置検出信号PFBや、位置指令値PREF_OISを補正すべき場合は、これらを補正した上でフィードバック制御する。
このように撮像素子302の位置を検出して、これをフィードバックして位置制御に用いることにより、ステップ応答における過渡振動を抑えて収束を速めたり、目標位置への位置決め精度を高めたりできる。
続いて、クロストークについて説明する。ひとつの方向(たとえばロール軸まわり)に撮像素子302を変位(回転)させると、(i)他の方向(たとえば第1駆動軸、第2駆動軸に対応する第1位置情報PFB_X,第2位置情報PFB_Yが変化したり、(ii)ブレ検出の方向と駆動力の方向にズレが生ずるという問題が生ずる。アクチュエータ制御装置400は、これらのクロストーク成分を補正し、駆動力の方向に合わせてブレ検出信号を割り振り補正する。
以下では、クロストーク補償について、第1実施形態、第2実施形態、第3実施形態を参照して説明する。
<第1実施形態>
第1実施形態について、図2から図6を用いて説明する。
図2(a)、(b)は、第1実施形態における撮像素子の駆動および位置検出を説明する図である。図2(a)には光軸方向からみた平面図が、図2(b)には図2(a)のA−A矢視断面図が示される。
図中、x方向は、ヨーブレ補正のための第1駆動方向を、y方向はピッチブレ補正のための第2駆動方向を表す。ロールブレ補正のためには、撮像素子2の中心位置のz方向を軸として、そのまわりに撮像素子2を回転させる。X軸はピッチ軸を、Y軸はヨー軸を、Z軸はロール軸を表す。撮像素子2のロール方向の回転角がゼロの状態では、x軸とX軸は平行であり、y軸とY軸は平行である。
第1駆動方向(x軸方向)の駆動用のコイル(Xコイルと称す)4、6は、撮像素子2の両側に配置されている。一方のXコイル4の巻き線内には、第1駆動方向の撮像素子2の変位を検出するためのホール素子(Xホールと称す)8が配置されている。Xホール8の出力から、第1位置検出値PFB_Xを得ることができる。一方、第2駆動方向(y軸方向)の駆動用のコイル(Yコイルと称す)10、12は、撮像素子2の一片側に並べて配置されている。両方のYコイル10、12の巻き線内には、第2駆動方向の撮像素子2の変位を検出するためのホール素子(Yホールと称す)14、16が配置されている。撮像素子2、Xコイル4、6、Xホール8、Yコイル10、12、Yホール14、16はOIS可動部18を形成しており、OIS可動部18が一体となって、y方向、x方向に変位し、また光軸まわりに回転する。
Xコイル4、6に対向して、ヨーブレ補正のための駆動用兼位置検出用の永久磁石(X永久磁石と称す)20,22が配置される。さらには、Yコイル10、12、Yホール14、16に対向して、ピッチブレ補正のための駆動用兼位置検出用の永久磁石(Y永久磁石と称す)24、26が配置されている。また、各永久磁石の背面には、磁束の漏れを低減し、コイルやホール素子に作用する磁束密度を高めるためのヨーク28が設けられている。これらの永久磁石やヨークは、ブレ補正のために動かない固定部に配置されている。
Yコイル10、12、Yホール14、16、Y永久磁石24、26等は、ロールブレ補正のための駆動用、位置検出用手段を兼ねている。すなわち、左右のYコイル10、12には独立して電流を印加できるようになっており、左右の駆動手段による力の和(同相成分)でピッチブレ補正のための第1駆動方向(x軸方向)の駆動力が得られ、左右の駆動手段による力の差(差動成分)でトルクが発生し、ロールブレ補正のためのz軸まわりの回転力を得ることができる。同様に、左右のYホール14、16の出力から、それぞれの位置でのOIS可動部18の変位を検出するが、両者の平均(あるいは同相成分)から第2位置検出値PFB_Yを得ることができ、両者の差(あるいは差動成分)から第3位置検出値PFB_Rを得ることができる。
次に、図3(a)、(b)を参照して、ロールブレを補正するために撮像素子2が回転した状態におけるコイル、ホール素子、永久磁石等の位置関係について説明する。図3(a)、(b)は、ロールブレ補正のために撮像素子が回転した状態を示す図である。図3(a)には光軸方向からみた平面図が、図3(b)には図3(a)のB−B矢視断面図が示される。なお、図3(a)のように撮像素子2を含むOIS可動部18全体が回転変位した場合、図3(b)の断面図も若干、斜めからの視野の図にすべきだが、わずかな回転だと線が重複してわかりにくくなるため、断面部分のみを記載している。
図3(a)に示すように、OIS可動部18がロールブレ補正のために回転すると、コイル、ホール素子と永久磁石との位置関係が変化し、永久磁石の分極線20a、22a、24a、26aの方向とコイル4、6、10、12の巻き線の方向がずれてしまったり、ホール素子8、14、16の位置が永久磁石の分極線20a、22a、24a、26aの位置からシフトしてしまったりする。本明細書において、永久磁石をその中央においてNとSに区切る仮想的な線を、分極線と称する。
このときのクロストークの発生について、図4を用いて説明する。図4は、ひとつの磁石、コイル、位置検出素子の位置関係を示す拡大図である。永久磁石20の磁極N、SとXコイル4の電流の向きを図のように仮定すると、フレミングの左手法則にしたがって、Xコイル4における駆動力は矢印のように略右向きに作用する。ロール方向のOIS可動部18の回転角がゼロであるとき、Xコイル4における駆動力の方向(第1駆動方向)は、ピッチ軸(X軸)と平行なxである。しかしながら、ロールブレ補正によって、Xコイル4、Xホール8を含むOIS可動部18は回転変位しているため、Xコイル4の巻き線方向は永久磁石20の分極線20aに対して傾く。そのため、Xコイル4に流れる電流の方向はY軸に対して傾き、結果として駆動力の方向も、x’として示すようにX軸に対してΔθだけ傾くことになる。一方、図示しないジャイロセンサ(図1のジャイロセンサ308)は固定部に配置されているため、そのジャイロ検出軸(X,Y,Z軸)は不変である。すなわち、実効的な駆動軸x’とジャイロ検出軸Xとの間にずれが生じてしまう。駆動軸yについても同様のクロストークが発生する。これがクロストークのひとつの態様である。
一方、OIS可動部18の回転によって、Xホール8の位置も変化する。永久磁石20の分極線20aに沿った変位に対しては、位置検出信号はそれほど影響を受けないが、OIS可動部18の回転運動は撮像素子中心のまわりの円弧運動のため、分極線20aと垂直な方向の変位成分を有しており、結果的に分極線20aに対してXホール8はΔxだけシフトする。このシフト量Δxに応じた成分が、Xホール8の出力にもとづく位置検出信号に対してオフセットとして重畳される。これがクロストークの別の態様である。
これらのクロストークは、ピッチ方向およびヨー方向のブレ補正の精度を悪化させる要因となるため、補正することが望ましい。以下にて、それぞれのクロストーク補正について説明する。
まずは、駆動軸とジャイロ検出軸とのずれのクロストーク補正について、図5を参照して説明する。図5は、ジャイロ検出軸と駆動軸のずれの影響を説明するためのベクトル図である。ジャイロセンサによるジャイロ検出軸(XY)に対してアクチュエータの駆動軸(xy)がθだけ回転しているとする。ピッチ方向、ヨー方向のブレ角度(ジャイロセンサによるブレ角速度でもかまわない)をそれぞれGP、GYとし、アクチュエータの2つの実効的な駆動方向の成分に分解すると、アクチュエータの駆動方向の成分をそれぞれ、第1駆動方向、第2駆動方向でAx、Ayとして、
Ay=GP cosθ+GY sinθ …(1)
Ax=−GP sinθ+GY cosθ …(2)
と表せる。すなわち、アクチュエータは式(1)および(2)のAy、Axをブレ補正のターゲット信号として、これを補正するように変位量が設定される。これにより、クロストークが補正される。ロールブレの補正量がゼロの状態(θ=0)では、Ay=Gp、Ax=Gyとなる。
上記のような三角関数の演算がCPUやDSPの処理能力上、問題となる場合は、
cosθ≒1−θ2/2 …(3)
sinθ≒θ …(4)
の近似式を用いて、
Ay≒Gp (1−θ2/2)+Gy θ …(5)
Ax≒−Gp θ+Gy (1−θ2/2) …(6)
と簡略化して計算してもよい。
次に、ロールブレ補正による回転で生じるホール信号のオフセット補正について説明する。図4からも明らかなように、回転によってΔxのオフセットが生じる。Δxは、回転中心とホール素子の幾何学的な位置関係と回転角θにより計算できる。Δxの変位に相当するホール検出信号を、実際に検出されるホール信号から引き算することで、オフセットによるクロストークを補正することができる。
ロールブレ補正による回転角θは、ジャイロセンサにより検出されるロール方向の角速度を積分して得られるブレ角をθとしてもよい。サーボがかかった状態では、このブレ角を補正するようにOIS可動部18がθだけ回転するためである。または、回転角θを、ロール方向の変位検出用ホール素子の信号から演算してもよい。図3の2つのYホール14、16の検出信号からロール回転変位を求める構造では、2つのYホール14、16の位置検出信号の差分と2つのホール素子の距離情報とから、回転角θを求めることができる。
次に、アクチュエータ制御装置400の構成について、図6のブロック図を参照して説明する。図6は、アクチュエータ制御装置400の具体的なブロック図である。なお、AFに関する部分は省略している。
アクチュエータドライバIC500は、ひとつの半導体基板に集積化された機能ICである。ここでの「集積化」とは、回路の構成要素のすべてが半導体基板上に形成される場合や、回路の主要構成要素が一体集積化される場合が含まれ、回路定数の調節用に一部の抵抗やキャパシタなどが半導体基板の外部に設けられていてもよい。回路を1つのチップ上に集積化することにより、回路面積を削減することができるとともに、回路素子の特性を均一に保つことができる。
インタフェース回路510、512、514は、それぞれヨー、ピッチ、ロールのジャイロセンサ330、332、334から、デジタルの角速度信号を受信する。たとえばインタフェース回路510、512、514は、SPI(Serial Peripheral Interface)であってもよい。ジャイロDSP520、522、524は、インタフェース回路510、512、514が受信した角速度信号にもとづいて、それぞれの方向に対応したブレ角度信号、またはブレ角度を補正するための変位換算値GY、GP、GRを出力する。この実施例ではGRがロール回転角度θとなる。
DSP530は、GYおよびθにもとづいて、式(1)の右辺第2項のGYsinθと式(2)の右辺第2項のGYcosθを演算して出力する。DSP532は、GPおよびθにもとづいて、式(1)の右辺第1項のGPcosθと、式(2)の右辺第1項の−GPsinθを演算して出力する。加算器531により−GPsinθとGYcosθを加算して、式(2)で与えられるヨーブレ補正のための変位目標信号Ax=−GPsinθ+GYcosθを得ることができ、これが第1駆動軸(x軸)方向のターゲット信号PREF−Xとなる。同様に加算器533によりGPcosθとGYsinθを加算して、式(1)で与えられるピッチブレ補正のための変位目標信号Ay=GPcosθ+GYsinθを得ることができ、これが第2駆動軸(y軸)方向のターゲット信号PREF−Yとなる。
PREF−XとPREF−Yが、ジャイロ検出軸と駆動軸とのずれによるクロストークを補正した後の第1駆動軸(x軸)、第2駆動軸(y軸)のターゲット信号となる。第3駆動軸については、GRが変位情報であればそのままターゲット信号PREF−Rとすればよく、GRが角度情報であれば変位に変換してターゲット信号PREF−Rを得る。本実施例では、第3駆動軸まわりの駆動手段と第2駆動軸(y軸)方向の駆動手段を共用しているため、2つのYコイル10、12で発生させる駆動力の割合をPREF−YとPREF−Rから求める必要があり、その演算をDSP534で行う。すなわち、DSP534は、2つのYホール14、16の位置で発生させるべきターゲットの変位量としてPREF−Y1とPREF−Y2を算出する。演算式は、OIS可動部18や永久磁石20、22のジオメトリ(幾何学的配置)から導くことができる。
位置検出器406はホール素子8、14、16を含み、可動部のそれぞれのホール素子位置の変位に応じたホール電圧V+,V−を発生し、アクチュエータドライバIC500のホール検出ピン(HP,HN)に供給する。位置検出部540、542、544は、対応するホール8、14,16が生成するホール電圧V+,V−に基づいて、可動部の位置(変位)を示すデジタルの位置検出値PFB_X、PFB_Y1、PFB_Y2を生成する。Xホール8の位置検出値PFB−Xについては、ロール回転によってオフセット(クロストーク)が発生するため、オフセット補正部546によりオフセットを補正した位置検出値PFB−X’を生成する。2つのYホール14、16からの位置検出値PFB_Y1、PFB_Y2についてはオフセット補正は不要であり、そのまま位置検出信号PFB−Y1、PFB−Y2とする。位置検出部540、542、544は、ホール電圧を増幅するホールアンプ548、550、552と、ホールアンプ548、550、552の出力をデジタル値の位置検出値PFBに変換するA/Dコンバータ554、556、558を含む。
各ホール素子8、14、16を動作させるために定電流回路560、562、564を備えている。定電流回路560、562,564は、ホール素子8、14、16に所定のバイアス電流IBIASを供給する。このバイアス電流IBIASは、ホール素子8、14,16を動作させるために必要な電源信号であり、したがって定電流回路560,562,564は、ホールバイアス回路として把握することができる。なお、ホールバイアスピン(HB)の電圧VHBを利用してホール素子の温度を検出し、温度補正に利用してもよい。
コントローラ570,572,574は、それぞれの位置指令値PREF−X、PREF−Y1、PREF−Y2とオフセット補正等の処理がなされた位置検出値PFB−X、PFB−Y1、PFB−Y2を受ける。コントローラ570、572、574は、位置検出値PFB−X、PFB−Y1、PFB−Y2がそれぞれ位置指令値PREF−X、PREF−Y1、PREF−Y2と一致するように、それぞれ制御指令値SREF−X、SREF−Y1、SREF−Y2を生成する。OISアクチュエータ404がボイスコイルモータである場合、制御指令値SREF−X、SREF−Y1、SREF−Y2はボイスコイルモータに供給すべき駆動電流の指令値である。コントローラ570、572、574は、たとえば誤差検出器576、578,580とPID制御器582、584,586を含む。誤差検出器576,578,580は、位置検出値PFB−X、PFB−Y1、PFB−Y2と位置指令値PREF−X、PREF−Y1、PREF−Y2のそれぞれの差分(誤差)ΔPを生成する。PID制御器582,584,586は、PID(比例・積分・微分)演算によって、制御指令値SREF−X、SREF−Y1、SREF−Y2を生成する。PID制御器582,584,586に換えて、PI制御器を用いてもよいし、非線形制御を採用してもよい。
ドライバ部590,592,594は、制御指令値SREF−X、SREF−Y1、SREF−Y2に応じた駆動電流をOISアクチュエータ404に供給する。
以上のアクチュエータ制御装置の構成は、あくまでも一例であり、アクチュエータの構造やクロストークの大きさに応じて適宜変更してもかまわない。また、ロール軸まわりの補正のための回転角は、ジャイロセンサの検出値にもとづいた補正角として求めることで説明したが、前述のように実際にアクチュエータの可動部が回転した角度を2つのホール素子14、16の検出信号と両者の間の距離にもとづいて計算して求めてもよい。
<第2実施形態>
第2実施形態について、図7から図9を用いて説明する。図7(a)、(b)は、第2実施形態における撮像素子の駆動および位置検出を説明する要部構成図である。図7(a)には光軸方向からみた平面図が、図7(b)には図7(a)のC−C矢視断面図が示される。
第2実施形態が第1実施形態と異なるのは、OIS可動部18を駆動するためのコイルや永久磁石の配置である。第2の実施形態では、可動部の側面に各コイルを配置し、それに対向して永久磁石を配置している。すなわち、第1実施形態において、図2で撮像素子の左右に配置されたコイルと永久磁石がx軸方向に駆動するためのXコイル、X永久磁石であったのに対して、第2実施形態においては、図7で撮像素子の左右に配置されたコイルと永久磁石は第2駆動方向(y方向)に駆動するためのYコイル、Y永久磁石となる。撮像素子の下方に配置されたコイル、永久磁石についても同様に、第1実施形態と第2実施形態で駆動方向が異なる。
まず、図7は、ロール方向に回転していない状態でのOIS駆動に関わる部品の位置関係の例を示したものである。図のx方向は、ヨーブレ補正のための第1駆動方向を表し、y方向はピッチブレ補正のための第2駆動方向を表す。ロールブレ補正のためには、撮像素子2の中心位置のz方向(第3軸)を軸として、そのまわりに撮像素子2を回転させる。第1駆動方向(x軸方向)の駆動用のコイル(Xコイルと称す)4、6は、撮像素子2の下方に並んで配置されている。一方のXコイル6の巻き線内には、x方向の撮像素子2の変位を検出するためのホール素子(Xホールと称す)8が配置されている。一方、第2駆動方向(y軸方向)の駆動用のコイル(Yコイルと称す)10、12は、撮像素子2の両側に配置されている。両方のYコイル10、12の巻き線内には、y方向の撮像素子2の変位を検出するためのホール素子(Yホールと称す)14、16が配置されている。撮像素子2、Xコイル4、6、Xホール8、Yコイル10、12、Yホール14、16はOIS可動部18を形成している。
Xコイル4に対向して、ヨーブレ補正のための駆動用の永久磁石(X永久磁石と称す)20が、Xコイル6、Xホール8に対向してヨーブレ補正のための駆動用兼位置検出用の永久磁石(X永久磁石と称す)22がそれぞれ配置されている。さらには、Yコイル10、12、Yホール14、16に対向して、ピッチブレ補正のための駆動用兼位置検出用の永久磁石(Y永久磁石と称す)24、26が配置されている。また、各永久磁石の背面には、磁束の漏れを低減し、コイルやホール素子に作用する磁束密度を高めるためのヨーク28が設けられている。これらの永久磁石やヨークは、ブレ補正のために動かない固定部に配置されている。
Yコイル10、12、Yホール14、16、Y永久磁石24、26等は、ロールブレ補正のための駆動用、位置検出用手段を兼ねている。すなわち、左右のYコイル10、12には独立して電流を印加できるようになっており、左右の駆動手段による力の和(同相成分)でピッチ方向のブレ補正のための第2駆動方向の駆動力が得られ、左右の駆動手段による力の差(差動成分)でトルクが発生し、ロールブレ補正のための第3駆動軸まわりの回転力を得ることができる。
同様に、左右のYホール14、16はそれぞれの位置での可動部の変位を検出するが、両者の平均(もしくは同相成分)がピッチブレ補正のための変位量を示し、両者の差(もしくは差動成分)で第3駆動軸まわりの回転角度を得ることができる。
次に、図8(a)、(b)を参照して、ロールブレを補正するために撮像素子が回転した状態におけるコイル、ホール素子、永久磁石等の位置関係について説明する。図8(a)、(b)は、ロールブレ補正のために撮像素子が回転した状態を示す図である。図8(a)には光軸方向からみた平面図が、図8(b)には図8(a)のD−D矢視断面図が示される。なお、図8(a)のように撮像素子2を含むOIS可動部18が回転変位した場合、図8(b)の断面図も若干、斜めからの視野の図にすべきだが、わずかな回転だと線が重複してわかりにくくなるため、断面部分のみを記載している。
図8(a)に示すように、OIS可動部18がロールブレ補正のために回転すると、コイル、ホール素子と永久磁石との位置関係が変化し、永久磁石の分極線20a、22a、24a、26aの方向とコイル4、6、10、12の巻き線の方向がずれてしまったり、ホール素子8、14、16の位置が永久磁石の分極線20a、22a、24a、26aの位置からシフトしてしまったりする。
このときのクロストークの発生について、図9を用いて説明する。図9は、図8におけるひとつの磁石、コイル、位置検出素子の位置関係を示す拡大図である。永久磁石24の磁極N、SとYコイル10の電流の向きを図のように仮定すると、フレミングの左手法則にしたがって、Yコイル10における駆動力は矢印のように略下向きに作用する。ロール方向のOIS可動部18の回転角がゼロであるとき、Yコイル10における駆動力の方向(第2駆動方向)は、ヨー軸(Y軸)と平行なyである。しかしながら、ロールブレ補正によって、Yコイル10、Yホール14を含む可動部は上下方向に変位しているため、Yコイル10の巻き線部(紙面に垂直方向の巻き線)を通る磁力線の方向が傾いてしまい、結果として駆動力の方向もy’として示すようにY軸に対してΔθだけ傾くことになる。なお、Yコイル10の上側の辺と下側の辺で傾きΔθが異なる場合は、両者の平均としてもよい。一方、図示しないジャイロセンサは固定部に配置されているため、そのジャイロ検出軸(X軸、Y軸、Z軸)は不変である。すなわち、実効的な駆動軸y’とジャイロ検出軸Yとの間にずれが生じてしまう。駆動軸xについても同様のずれが発生する。これがクロストークのひとつの態様である。なお、ロール回転によってYホール14の位置がY永久磁石24の分極線24aに対してΔYだけオフセットするが、撮像素子を挟んだ反対側のYホール16が反対側にΔYだけオフセットするので、両者の平均で算出されるピッチ方向の変位にはオフセットが生じない。
一方、可動部の回転によって、Xホール8の位置も変化する。図8に示すように、永久磁石22の分極線22aに対してXホール8はΔxだけシフトする。このシフト量Δxに応じた成分が、Xホール8の出力にもとづく位置検出信号に対してオフセットとして重畳される。これがクロストークの別の態様である。
これらのクロストークは、ピッチブレ補正およびヨーブレ補正の精度を悪化させる要因となるため、補正することが望ましい。これらのクロストーク補正については、第1実施形態と同様なので、説明を省略する。
<第3実施形態>
なお、OISアクチュエータの構造について、第1実施形態、第2実施形態で説明したが、これらに限定される訳ではない。第1実施形態、第2実施形態では、第1駆動軸と第3駆動軸の駆動手段を共用し、また第1駆動軸と第3駆動軸の位置検出素子を共用する例で説明したが、第1駆動軸、第2駆動軸、第3駆動軸それぞれに、固有の駆動手段、位置検出手段を独立して設けてもよい。
第3実施形態について、図10を用いて説明する。図10は、第3実施形態におけるアクチュエータドライバを含むアクチュエータ制御装置の別のシステム構成例を示すブロック図である。
第3実施形態では、ピッチブレ、ヨーブレ、ロールブレそれぞれについて、個別の駆動手段、位置検出素子が独立して設けられる。第3実施形態におけるアクチュエータドライバが第1実施形態と異なるのは、2つのYホール14、16の位置で発生させるべきターゲットの変位量としてPREF−Y1とPREF−Y2を算出するDSP534が不要となる点と、Yホール14,16に発生するオフセットを補正するためのオフセット補正部が必要になる点である。
ジャイロセンサ330、332、334、インタフェース回路510、512、514、ジャイロDSP520、522、524、加算器531,533、DSP530、DSP532の機能については、第1実施形態と同じである。すなわち−GPsinθとGYcosθを加算して、式(2)で与えられるヨーブレ補正のための変位目標信号Ax=−GPsinθ+GYcosθを得ることができ、これが第1駆動軸(x軸)方向のターゲット信号PREF−Xとなる。同様に加算器533によりGPcosθとGYsinθを加算して、式(1)で与えられるピッチブレ補正のための変位目標信号Ay=GPcosθ+GYsinθを得ることができ、これが第2駆動軸(y軸)方向のターゲット信号PREF−Yとなる。ロール方向については、GRが変位情報であればそのままターゲット信号PREF−Rとすればよく、GRが角度情報であれば変位に変換してターゲット信号PREF−Rを得る。
位置検出部540、542、544、その中のホールアンプ548、550、552、A/Dコンバータ554、556、558、定電流回路560、562,564のはたらきについては、第1実施形態と同じであるので、詳細説明を省略する。位置検出部540、542、544は可動部の位置(変位)を示すデジタルの位置検出値PFB_X,PFB_Y,PFB_Rが生成されるが、第1駆動方向、第2駆動方向についてはロール回転によってオフセットが発生するため、それぞれオフセット補正部546、566でオフセットを補正した位置検出値PFB−X’,PFB−Y’を得る。ロール方向についてはオフセット補正不要で、位置検出値PFB−Rがそのまま使用される。
コントローラ570,572,574は、それぞれの位置指令値PREF−X、PREF−Y、PREF−Rと位置検出値PFB−X’PFB−Y’、PFB−Rを受ける。コントローラ570、572、574は、位置検出値PFB−X、PFB−Y、PFB−Rがそれぞれ位置指令値PREF−X’、PREF−Y’、PREF−Rと一致するように、それぞれ制御指令値SREF−X、SREF−Y、SREF−Rを生成する。OISアクチュエータ404がボイスコイルモータである場合、制御指令値SREF−X、SREF−Y、SREF−Rはボイスコイルモータに供給すべき駆動電流の指令値である。誤差検出器576、578,580、PID制御器582、584,586については説明を省略する。
ドライバ部590,592,594は、制御指令値SREF−X、SREF−Y、SREF−Rに応じた駆動電流をOISアクチュエータ404に供給する。
なお、本技術は、ロール方向の補正も含めて、撮像素子を3方向に駆動するタイプのブレ補正に適用されるものであり、撮像素子と一緒にレンズも駆動されるか、あるいは撮像素子とレンズとが相対変位するかにはこだわらない。撮像素子とレンズがブレ補正のために一体駆動されるタイプでは、カメラ本体がピッチ方向、ヨー方向に傾くのに対して、これを打ち消すように撮像素子とレンズを一体にチルトさせて補正する。撮像素子とレンズが相対変位するタイプでは、カメラ本体がピッチ方向、ヨー方向に傾くのに対して、このときに発生する光軸の傾きを打ち消すように、レンズに対して撮像素子をシフトさせて補正する。
以上のようなアクチュエータ制御装置は、携帯電話用のカメラモジュールなどに用いられる。特に、アクチュエータ制御装置の好適な応用のひとつは、光学手ブレ補正(OIS)機能を備えた撮像装置であり、さらには光学手ブレ補正としてロール方向の補正も可能な撮像装置である。本技術を利用することで、ロール方向の手ブレ補正にともなう可動部の回転によって生じるさまざまなクロストークを補正でき、これによって高精度な手ブレ補正を実現することが可能となる。
近年、カメラを搭載したマルチコプター(ドローン)の普及が進んでいる。飛行中の撮影では、ヨーブレ、ピッチブレ、ロールブレが発生するところ、上述のアクチュエータ制御装置を用いることで、高精度なブレ補正が可能となる。
本開示には、以下の技術が開示される。
本開示のある態様は、撮像装置に関する。撮像装置は、撮像素子と、撮像素子に作用するブレ量を検出するブレ検出素子と、ブレ量に応じて撮像素子を駆動するアクチュエータと、撮像素子の位置を検出する位置検出素子と、を備え、ブレ検出素子は、ピッチ方向、ヨー方向、ロール方向の3方向のブレを検出することが可能であり、ロール方向のブレに対応して撮像素子を駆動することによって発生するピッチ方向およびヨー方向の駆動力の方向とブレ検出方向のずれに対して、ブレ検出素子のブレ検出信号を補正することを特徴としている。
以上の構成によれば、ロール方向のブレ補正によって撮像素子が回転したことにより、ピッチ方向とヨー方向の駆動力の方向とブレ検出方向とがずれるクロストークが存在する場合においても、駆動力の方向の変化に基づいてブレ検出素子のブレ検出信号を補正し、高精度な手ブレ補正が可能となる。
また一側面において、ロール方向のブレ検出素子のブレ検出信号からロールブレ補正角度を算出し、ロールブレ補正角度にもとづいてピッチ方向およびヨー方向のブレ検出信号の補正量を設定してもよい。
以上の構成によれば、ロール方向のブレ検出素子のブレ検出信号からロールブレ補正角度を算出でき、算出した補正角度にもとづいてピッチ方向およびヨー方向のブレ検出信号の補正量を設定し、この補正量にもとづいてブレ検出信号の補正を行うことで、高精度な手ブレ補正が可能となる。
また一側面において、位置検出素子におけるロール方向の位置検出信号の変化から撮像素子のロール方向の回転角度を算出し、回転角度にもとづいてピッチ方向およびヨー方向のブレ検出信号の補正量を設定してもよい。
以上の構成によれば、ロール方向の位置検出信号の変化から撮像素子のロール方向の回転角度を算出でき、算出した補正角度にもとづいてピッチ方向およびヨー方向のブレ検出信号の補正量を設定し、この補正量にもとづいてブレ検出信号の補正を行うことで、高精度な手ブレ補正が可能となる。
本開示の別の側面も撮像装置に関する。撮像装置は、撮像素子と、撮像素子に作用するブレ量を検出するブレ検出素子と、ブレ量に応じて撮像素子を駆動するアクチュエータと、撮像素子の位置を検出する位置検出素子と、を備え、ブレ検出素子は、ピッチ方向、ヨー方向、ロール方向の3方向のブレを検出することが可能であり、ロール方向のブレに対応して撮像素子を駆動することによって発生するピッチ方向およびヨー方向の位置検出素子の位置検出信号におけるオフセットに対して、位置検出素子の位置検出信号を補正することを特徴としている。
以上の構成によれば、ロール方向のブレ補正によって撮像素子が回転したことにより、ピッチ方向およびヨー方向の位置検出信号に生じるオフセットを補正することができ、高精度な手ブレ補正が可能となる。
また一側面において、ロール方向のブレ検出素子のブレ検出信号からロールブレ補正角度を算出し、ロールブレ補正角度にもとづいて位置検出素子のピッチ方向およびヨー方向の位置検出信号のオフセット補正量を設定してもよい。
以上の構成によれば、ロール方向のブレ検出素子のブレ検出信号からロールブレ補正角度を算出でき、算出した補正角度にもとづいてピッチ方向およびヨー方向の位置検出信号のオフセット補正量を設定し、このオフセット補正量にもとづいて位置検出信号の補正を行うことで、高精度な手ブレ補正が可能となる。
また一側面において、位置検出素子におけるロール方向の位置検出信号の変化から撮像素子のロール方向の回転角度を算出し、回転角度にもとづいて位置検出素子のピッチ方向およびヨー方向の位置検出信号のオフセット補正量を設定してもよい。
以上の構成によれば、ロール方向の位置検出信号の変化から撮像素子のロール方向の回転角度を算出でき、算出した補正角度にもとづいてピッチ方向およびヨー方向の位置検出信号のオフセット補正量を設定し、このオフセット補正量にもとづいて位置検出信号の補正を行うことで、高精度な手ブレ補正が可能となる。
本開示のさらに別の側面は、アクチュエータドライバに関する。アクチュエータドライバは、撮像装置に用いられるアクチュエータドライバであって、撮像装置は、撮像素子と、撮像素子に作用するブレ量を検出するブレ検出素子と、ブレ量に応じて撮像素子を駆動するアクチュエータと、アクチュエータに駆動信号を与えるアクチュエータドライバと、撮像素子の位置を検出する位置検出素子と、を備え、ブレ検出素子は、ピッチ方向、ヨー方向、ロール方向の3方向のブレを検出することが可能であり、アクチュエータドライバは、ロール方向のブレに対応して撮像素子を駆動することによって発生するピッチ方向およびヨー方向の駆動力の方向とブレ検出方向のずれに対して、ブレ検出素子のブレ検出信号を補正することを特徴としている。
また一側面において、ロール方向のブレ検出素子のブレ検出信号からロールブレ補正角度を算出し、ロールブレ補正角度にもとづいてピッチ方向およびヨー方向のブレ検出信号の補正量を設定してもよい。
また一側面において、位置検出素子におけるロール方向の位置検出信号の変化から撮像素子のロール方向の回転角度を算出し、回転角度にもとづいてピッチ方向およびヨー方向のブレ検出信号の補正量を設定してもよい。
本開示のさらに別の側面も、アクチュエータドライバに関する。アクチュエータドライバは、撮像装置に用いられるアクチュエータドライバであって、撮像装置は、撮像素子と、撮像素子に作用するブレ量を検出するブレ検出素子と、ブレ量に応じて撮像素子を駆動するアクチュエータと、アクチュエータに駆動信号を与えるアクチュエータドライバと、撮像素子の位置を検出する位置検出素子と、を備え、ブレ検出素子は、ピッチ方向、ヨー方向、ロール方向の3方向のブレを検出することが可能であり、アクチュエータドライバは、ロール方向のブレに対応して撮像素子を駆動することによって発生するピッチ方向およびヨー方向の位置検出素子の位置検出信号におけるオフセットに対して、位置検出素子の位置検出信号を補正することを特徴としている。
また一側面において、ロール方向のブレ検出素子のブレ検出信号からロールブレ補正角度を算出し、ロールブレ補正角度にもとづいて位置検出素子のピッチ方向およびヨー方向の位置検出信号のオフセット補正量を設定してもよい。
また一側面において、位置検出素子におけるロール方向の位置検出信号の変化から撮像素子のロール方向の回転角度を算出し、回転角度にもとづいて位置検出素子のピッチ方向およびヨー方向の位置検出信号のオフセット補正量を設定してもよい。