JP2014228623A - ブレ補正装置、レンズ鏡筒および撮影装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】制御性能に優れるブレ補正装置、そのブレ補正装置を備えるレンズ鏡筒および撮影装置を提供する。【解決手段】固定部材(140)に対して相対的に移動可能な移動部材(130)と、前記移動部材(130)に備えられ、光学系(L1,L2,L3)により結像される像のブレを補正するブレ補正部材(L3)と、前記移動部材(130)の重心(G’)を前記ブレ補正部材(L3)の中心に近づけるように前記移動部材(130)に設けられた重心調節部材(138)と、前記ブレ補正部材(L3)の光軸(L)と交差する平面上において、前記移動部材(130)を第1軸に沿って移動させる第1駆動部(152)と、前記平面上において、前記移動部材(130)を第1軸に交差する第2軸に沿って移動させる第2駆動部(154)と、を有し、前記平面上において、前記第1軸と前記第2軸との交点が、前記ブレ補正部材(L3)の中心よりも前記重心調節部材(138)が設けられた前記移動部材(130)の重心(G)に近い位置にあることを特徴とするブレ補正装置。【選択図】図5
Description
本発明は、ブレ補正装置、レンズ鏡筒および撮影装置に関する。
手振れなどによる撮像画像のブレを抑制するブレ補正装置としては、種々のものが知られている。たとえば、特許文献1に示すように、カメラのブレに合わせて、光軸に垂直な平面内で補正レンズを移動させるブレ補正装置が知られている。
このような光学式のブレ補正装置においては、可動部材を移動させるための機構の配置や、可動部材の重心の位置などによって、可動部材を移動させる際に回転トルクが発生する場合があった。この回転トルクは、補正レンズを保持する可動部材の位置制御精度に悪影響を与えるおそれがある。
本発明の目的は、制御性能に優れるブレ補正装置、そのブレ補正装置を備えるレンズ鏡筒および撮影装置を提供することである。
上記の目的を達成するために、本発明のブレ補正装置(100)は、
固定部材(140)に対して相対的に移動可能な移動部材(130)と、
前記移動部材(130)に備えられ、光学系(L1,L2,L3)により結像される像のブレを補正するブレ補正部材(L3)と、
前記移動部材(130)の重心(G’)を前記ブレ補正部材(L3)の中心に近づけるように前記移動部材(130)に設けられた重心調節部材(138)と、
前記光学系(L1,L2,L3)の光軸(L)と交差する平面上において、前記移動部材(130)を第1軸に沿って移動させる第1駆動部(152)と、
前記平面上において、前記移動部材(130)を第1軸に交差する第2軸に沿って移動させる第2駆動部(154)と、を有し、
前記平面上において、前記第1軸と前記第2軸との交点が、前記ブレ補正部材(L3)の中心よりも前記重心調節部材(138)が設けられた前記移動部材(130)の重心(G)に近い位置にあることを特徴とする。
固定部材(140)に対して相対的に移動可能な移動部材(130)と、
前記移動部材(130)に備えられ、光学系(L1,L2,L3)により結像される像のブレを補正するブレ補正部材(L3)と、
前記移動部材(130)の重心(G’)を前記ブレ補正部材(L3)の中心に近づけるように前記移動部材(130)に設けられた重心調節部材(138)と、
前記光学系(L1,L2,L3)の光軸(L)と交差する平面上において、前記移動部材(130)を第1軸に沿って移動させる第1駆動部(152)と、
前記平面上において、前記移動部材(130)を第1軸に交差する第2軸に沿って移動させる第2駆動部(154)と、を有し、
前記平面上において、前記第1軸と前記第2軸との交点が、前記ブレ補正部材(L3)の中心よりも前記重心調節部材(138)が設けられた前記移動部材(130)の重心(G)に近い位置にあることを特徴とする。
なお、本発明をわかりやすく説明するために、実施形態を示す図面の符号に対応付けて説明したが、本発明は、これに限定されるものでない。後述の実施形態の構成を適宜改良してもよく、また、少なくとも一部を他の構成に代替させてもよい。更に、その配置について特に限定のない構成要件は、実施形態で開示した配置に限らず、その機能を達成できる位置に配置することができる。
第1実施形態
図1に示すように、本発明の一実施形態に係るカメラ1は、いわゆるコンパクトデジタルカメラであり、カメラボディ1aとレンズ鏡筒2とが一体化してある。なお、以下の実施形態では、コンパクトデジタルカメラを例に説明するが、本発明はこれに限定されない。たとえば、レンズとカメラボディとが別個に構成される一眼レフデジタルカメラであっても良い。さらに、ミラー機構を省いたミラーレスタイプのカメラであっても良い。また、コンパクトデジタルカメラや一眼レフデジタルカメラに限らず、ビデオカメラ、双眼鏡、顕微鏡、望遠鏡、携帯電話などの光学機器にも適用できる。
図1に示すように、本発明の一実施形態に係るカメラ1は、いわゆるコンパクトデジタルカメラであり、カメラボディ1aとレンズ鏡筒2とが一体化してある。なお、以下の実施形態では、コンパクトデジタルカメラを例に説明するが、本発明はこれに限定されない。たとえば、レンズとカメラボディとが別個に構成される一眼レフデジタルカメラであっても良い。さらに、ミラー機構を省いたミラーレスタイプのカメラであっても良い。また、コンパクトデジタルカメラや一眼レフデジタルカメラに限らず、ビデオカメラ、双眼鏡、顕微鏡、望遠鏡、携帯電話などの光学機器にも適用できる。
レンズ鏡筒2は、被写体側から順に、第1レンズ群L1、第2レンズ群L2、第3レンズ群(ブレ補正レンズ群)L3を配列して構成された撮像光学系を備えている。また、本実施形態のカメラ1では、第3レンズ群L3の背後(像面側)に、CCDやCMOSに代表される撮像素子3を具備してある。
第1レンズ群L1は、撮像光学系のうち最も被写体側に設けられ、駆動機構6により光軸Lに沿った方向に移動自在に駆動され、ズーミングが可能になっている。第2レンズ群L2は、駆動機構8により光軸Lに沿った方向に移動自在に駆動され、フォーカシングが可能になっている。
第3レンズ群(ブレ補正レンズ群)L3は、ブレ補正装置100の一部を構成する。ブレ補正レンズ群L3は、CPU14からの信号を受けたブレ補正装置100により、光軸Lと交差する面内で移動可能であり、第1レンズ群L1、第2レンズ群L2、第3レンズ群(ブレ補正レンズ群)L3により撮像素子3の撮像面に形成される光学像の、カメラの動きに起因する像ブレを低減する。
絞り機構4は、カメラの露光を制御するように駆動機構10により駆動される。撮像素子3は、撮像光学系が撮像面上に結像する被写体像の光に基づいて、電気的な画像出力信号を生成する。その画像出力信号は、信号処理回路16で、A/D変換やノイズ処理されてCPU14へ入力する。
カメラボディ1aには、ジャイロセンサなどの角速度センサ12が内蔵してあり、角速度センサ12は、カメラ1に生じる手ブレなどによる角速度を検出し、CPU14に出力する。CPU14には、AFセンサ18からの検出信号も出力され、その検出信号に基づき、駆動機構8を制御し、オートフォーカス(AF)機構を実現している。なお、角速度センサ12は、レンズ鏡筒2に備えられても良い。
CPU14には、記憶媒体20、不揮発性メモリ22および各種操作ボタン24などが接続されている。記憶媒体20は、CPU14からの出力信号を受けて、撮影画像を記憶したり、読み出されたりするメモリであり、たとえば着脱自在なカード式メモリである。着脱自在なメモリとしては、SDカード等のさまざまなタイプがあるが、特に限定されるものではない。
不揮発性メモリ22は、ジャイロセンサのゲイン値およびホール素子の校正値などの調整値情報が記憶してあり、CPU14と共にカメラの内部に内蔵してある半導体メモリなどで構成される。各種操作ボタン24としては、たとえばレリーズスイッチが例示され、レリーズスイッチを半押しまたは全押しすることで、その信号がCPU14に入力される。
図1に示すブレ補正装置100の構成を図2および図3を用いて説明する。なお、以下の説明では、光軸Lに平行な軸をZ軸とする。
ブレ補正装置100は、可動部130および固定部140を備える。固定部140は、シャッター部110および位置検出部120を含み、これらは、ビス150にて固定部140に固定されている。シャッター部110は、カメラの露光を制御する構成であり、固定部140から独立した構成であってもよい。
位置検出部120には、第1ホール素子122および第2ホール素子124が備えられ、可動部130の位置を検出する。第1ホール素子122は光軸Lに垂直なX軸に検出軸を持ち、第2ホール素子124は光軸Lに垂直なY軸に検出軸を持つ。
第1ホール素子122および第2ホール素子124は、可動部130に備えられる第1磁石132および第2磁石134の磁界を検出して、可動部130の位置を検出する。
可動部130は、第1磁石132、第2磁石134およびブレ補正レンズ群L3を備える。以下の説明では、本実施形態の理解を容易にするために、ブレ補正レンズ群L3を1枚のブレ補正レンズL3として説明する。
可動部130は、引張コイルばね145により、固定部140に取り付けられている。引張コイルばね145は、図3に示す固定部側ばね取付部146と図4に示す可動部側ばね取付部136との間に取り付けられている。引張コイルばね145は、可動部130を固定部140に近づける方向に付勢しており、光軸Lに交差する平面上において、ブレ補正レンズL3のレンズ中心Oを光軸L側に復帰させるように可動部130に力を作用させている。
可動部130は、図3に示す3個のセラミックボール148を介して摺動することで、光軸Lに交差する平面上(たとえば、X軸とY軸を含む面、光軸Lに直交する面)を固定部140に対して相対移動する。なお、引張コイルばね145およびセラミックボール148の数量は、可動部130および固定部140の形状等に合わせて、適宜変更可能である。
可動部130は、可動部130に備えられる第1磁石132および第2磁石134と、固定部140に備えられる第1駆動コイル142および第2駆動コイル144との相互作用によって発生する駆動力により、光軸Lに交差する平面上を移動する。第1磁石132と第1駆動コイル142とが第1VCM152を構成し、第2磁石134と第2駆動コイル144とが第2VCM154を構成している。なお、VCMとはボイスコイルモータの略称である。
図1〜図3に示すブレ補正装置100によるブレ補正動作の一例を図4に示す。ブレ補正装置100は、図4に示すように、目標位置生成部162、減算器164、フィードフォワードコントローラ166、フィードバックコントローラ168および加算器170をさらに備える。これらの構成は、たとえば、図1に示すカメラボディ1aのCPU14が備えても良いし、レンズ鏡筒2のレンズCPU(不図示)が備えても良い。
図1に示す角速度センサ12は、カメラ1に生じるピッチ方向およびヨー方向のブレ角速度信号ωp、ωy(rad/s)を検出し、目標位置生成部162に出力する。
目標位置生成部162は、ブレ角速度信号ωp、ωyを積分してブレ角度θp、θy(rad)に変換し、ブレ角度θp、θyを光軸に交差する平面に投影して、可動部目標位置xt、yt(mm)に関する信号を生成する。可動部目標位置xt、ytに関する信号は、ブレ角速度信号ωp、ωyに基づくブレを打ち消すための可動部130の目標位置に関する信号である。
この可動部目標位置xt、ytとホール素子122,124からの可動部位置座標x、y(mm)とを利用して、コイル142,144を駆動するためのコイル駆動電流Ix’、Iy’(A)が生成される。
具体的には、可動部目標位置xt、ytに関する信号が、フィードフォワードコントローラ166を介して、加算器170に入力される。また、可動部目標位置xt、ytに関する信号と可動部位置座標x、yに関する信号とが、減算器164およびフィードバックコントローラ168を介して、加算器170に入力される。加算器170は、入力されたこれらの信号を利用して、コイル駆動電流Ix’、Iy’を生成し、第1VCM152(第1駆動コイル142)および第2VCM154(第2駆動コイル144)に出力する。
第1VCM152および第2VCM154にコイル駆動電流Ix’、Iy’が入力されると、図5に示すように、可動部130にX’軸およびY’軸に沿った電磁駆動力が作用する。可動部130は、X’軸およびY’軸に沿った電磁駆動力により、光軸Lに交差する平面上で目標位置に向けて移動される。
図4に示すホール素子122,124のそれぞれは、図5に示すように、可動部130のX軸またはY軸に沿った位置座標を検出して、フィードバックコントローラ168に出力する。ブレ補正動作中においては、角速度センサ12とブレ補正装置100とで上記の制御を繰り返し、ブレ補正を行う。
次に、図5を用いて、本実施形態のブレ補正装置100の位置検出部120と可動部130と固定部140との位置関係を詳細に説明する。図2および図3に示すように、位置検出部120は固定部140に取り付けられている。可動部130は、位置検出部120と固定部140との間に配置されており、光軸Lに交差する平面上において固定部130に対して相対移動可能である。
以下の説明では、光軸Lに垂直なX−Y平面上にある相互に垂直な軸をA1軸およびA2軸とする。A1,A2軸は、光軸Lに垂直な平面において光軸Lを通り、相互に垂直である。A1軸およびA2軸は、X軸とY軸とが光軸Lにおいて交差する角度を二等分する。
図5(A)に示すように、検出部120は、第1ホール素子122および第2ホール素子124を備え、可動部130のX軸およびY軸に沿った位置座標を検出する。すなわち、第1ホール素子122は、図5(B)に示す可動部130に備えられる第1磁石132のX軸方向の位置を検出し、第2ホール素子124は、第2磁石134のY軸方向の位置を検出する。本実施形態では、X軸とY軸とは光軸Lを通り相互に垂直であるが、光軸Lを通らないで垂直以外の角度で交差しても良い。
図5(B)に示すように、可動部130は、A1軸に対して非対称な形状である。なぜなら、図2および図3に示すように、ブレ補正装置100の小型化等の観点から、シャッター部110がブレ補正装置100に組み込まれており、固定部140の下側の約半分の領域がシャッター部110によって占領されている。このため、可動部130は、A2軸に沿った長さよりも、A1軸に沿った長さの方が長くなるように構成してあり、固定部140の約上半分の領域に配置される。なお、可動部130の形状は、A1軸に沿って対称な形状であっても良く、A2軸に沿って非対称な形状であっても良い。
可動部130は、ブレ補正レンズL3、バランサ138、第1磁石132および第2磁石134を備える。バランサ138は、2分割された錘部材であり、第1磁石132および第2磁石134よりもレンズ中心O側に設置してある。本実施形態では、バランサ138は、A1軸に沿ってブレ補正レンズL3の両側に設置してあり且つA2軸に対して対称に設置してある。
バランサ138は、第1磁石132および第2磁石134等よりも比重の大きい材料(たとえば、タングステン)によって構成されており、可動部130の重心位置をレンズ中心Oに近づけるように調整する。すなわち、バランサ138は、バランサ138を設置しない場合の可動部130の重心G’を、重心G’よりもレンズ中心Oに近い可動部重心Gに移動させるように可動部130の重心位置を調整する。本実施形態では、可動部重心Gは、レンズ中心Oではなく、A2軸に沿ったレンズ中心Oの上側に存在する。なお、バランサ138は、たとえば、FPC(フレキシブルプリント基板)のような可動部130に配置される他の構成要素を含んでも良く、このような既存の構成要素を用いて可動部130の重心位置を調整することにより、可動部130の限られたスペースを効率良く利用して、可動部130の重心位置を調整することができる。
第1磁石132は、X軸およびX’軸を通るように配置してあり、好適には、その中心がX軸およびX’軸を通るように配置してある。第2磁石134は、Y軸およびY’軸を通るように配置してあり、好適には、その中心がY軸およびY’軸を通るように配置してある。さらに、本実施形態では、第1磁石132および第2磁石134は、図5(A)に示す第1ホール素子122の検出軸Xと第2ホール素子124の検出軸Yとの交点である検出軸原点Nが、レンズ中心Oを通るように設置してある。
可動部130は、光軸Lに交差する平面上で目標位置に向けて移動される。すなわち、可動部130の第1磁石132と図5(C)に示す固定部140の第1駆動コイル142とは、第1VCM152を構成しており、可動部130にX’軸に沿った電磁駆動力Fx’を作用させることができる。また、可動部130の第2磁石134と固定部140の第2駆動コイル144とは、第2VCM154を構成しており、可動部130にY’軸に沿った電磁駆動力Fy’を作用させることができる。可動部130は、電磁駆動力Fx’、Fy’により、光軸Lに交差する平面上で目標位置に向けて移動される。ここで、X’軸 とY’軸との交点を駆動軸原点Mとし、可動部130が、その駆動中心である駆動軸原点Mに位置するときに、レンズ中心Oが光軸Lを通る。
図5(C)に示すように、固定部140は、第1駆動コイル142および第2駆動コイル144を備える。すなわち、第1駆動コイル142と図5(B)に示す第1磁石132とからなる第1VCM152の駆動軸であるX’軸が、レンズ中心Oよりも可動部重心Gの近くを通るように、第1駆動コイル142を固定部140に配置する。本実施形態では、X軸に対してVCM駆動軸X’を、駆動軸傾斜角度θ(deg)傾けるようにして、第1駆動コイル142を配置する。
また、第2駆動コイル144と第2磁石134とからなる第2VCM154の駆動軸であるY’軸が、レンズ中心Oよりも可動部重心Gの近くを通るように、第2駆動コイル144を固定部140に配置する。すなわち、Y軸に対してVCM駆動軸Y’を、駆動軸傾斜角度θ(deg)傾けるようにして、第2駆動コイル144を配置する。なお、X軸に対するX’軸の傾き角度とY軸に対するY’軸の傾き角度とが異なっても良い。また、コイル142,144の固定部140に対する配置位置を変化させて、X’軸およびY’軸がレンズ中心Oよりも可動部重心Gの近くを通るように調整しても良い。
本実施形態では、第1駆動コイル142および第2駆動コイル144を上記のように配置してあるので、駆動軸X’と駆動軸Y’との交点である駆動軸原点Mが、レンズ中心Oよりも可動部重心Gに近い位置に存在する。好適には、駆動軸原点Mは可動部重心Gに一致する。このとき、駆動軸X’と駆動軸Y’とは直角以外の角度θ0で交差し、本実施形態ではθ0は鈍角(例えば、91度〜120度)である。
本実施形態では、図5に示すように、VCM駆動軸X’,Y’が、ホール素子検出軸X,Yに対して駆動軸傾斜角度θで傾いている。そこで、たとえば、図6に示すように、可動部130をX軸方向に移動させる場合には、第1VCM152の駆動力Fx’および第2VCM154の駆動力Fy’を可動部130に作用させる。なぜなら、第1VCM152による駆動力Fx’は、X軸に沿った駆動力成分Fx’xとY軸に沿った駆動力成分Fx’yとを含む。そこで、駆動力Fx’のY軸に沿った駆動力成分Fx’yをキャンセルするように、第2VCM154を駆動する。つまり、第2VCM154による駆動力Fy’のY軸に沿った駆動力成分Fy’yにより、第1VCM152のY軸に沿った駆動力Fx’yをキャンセルする。このように、第1VCM152および第2VCM154を駆動することにより、可動部130をX軸に沿って移動させることができる。なお、上記の場合においては、駆動力Fy’の作用に伴って駆動力Fy’xも作用するので、可動部130には、Fx’xおよびFy’xが作用している。また、図7に示すように、可動部130をY軸方向に移動させる場合も、可動部130をX軸方向に移動させる場合と同様に、第1VCM152の駆動力Fx’および第2VCM154の駆動力Fy’を可動部130に作用させる。
第1VCM152による駆動力Fx’は下記の数式1により表され、第2VCM154の駆動力Fy’は数式2により表される。したがって、数式1および数式2に示すベクトル変換を用いて、第1VCM152および第2VCM154を駆動することにより、ホール素子検出軸X,YとVCM駆動軸X’,Y’との整合性が保たれる。
数式3および数式4からも明らかなように、ホール素子の検出軸であるX軸およびY軸方向に沿った駆動力FxおよびFyを発生させる際には、第1VCM152および第2VCM154は、“−Fy’sinθ”および“−Fx’sinθ”で示される負値の駆動力(目標移動方向とは逆向きの駆動力)を発生させる必要がある。
そこで、本実施形態では、図5(B)等に示すように、可動部130にバランサ138を設置することにより、可動部重心Gをレンズ中心Oに近づけてある。このため、本実施形態では、可動部重心Gに近接する駆動軸原点Mがレンズ中心Oに近づき、レンズ中心Oを通るX軸およびY軸にX’軸およびY’軸が近接する。その結果、本実施形態では、駆動軸傾斜角度θを小さくすることができる。
本実施形態では、上記のように、駆動軸傾斜角度θが小さくなるように構成してあるので、上記の数式3および数式4に示す目標移動方向とは逆向きの余分な駆動力“−Fy’sinθ”および“−Fx’sinθ”が小さくなっている。したがって、本実施形態では、検出軸に沿った駆動力を効率良く可動部に作用させることが可能であり、可動部を効率良く目標位置に移動させることができる。なお、駆動軸傾斜角度θは、好適には、0度である。駆動軸傾斜角度θが0度のときには、X軸とX’軸とが一致するとともにY軸とY’軸とが一致し、目標移動方向とは逆向きの余分な駆動力“−Fy’sinθ”および“−Fx’sinθ”が発生しない。駆動軸傾斜角度θが大きすぎる場合、たとえば45度であると、X’軸とY’軸が一致してしまい、正常に駆動ができなくなる。したがって45度より小さい角度とするのが好ましい。
次に、本実施形態のブレ補正装置の制御性能について説明する。以下では、本実施形態の理解を容易にするために、X軸方向の制御の説明のみを行う。なお、Y軸方向の制御については、X軸方向の制御と同様なので、説明を省略する。
X軸方向の可動部130の加速度axを入力とし、ホール素子が検出するX軸方向の変位XSensorを出力とする伝達関数を数式5に示す。数式5において、mは可動部130の質量(kg)を表し、JGZは可動部重心Gを通るZ軸まわりの慣性モーメント(kg・mm2)を表し、ωmおよびωjはそれぞれ並進方向(X軸方向)、回転方向(可動部重心Gを通るZ軸方向まわりの回転)の固有角振動数(rad/s)を表し、ζmおよびζJはそれぞれ並進方向、回転方向の減衰比(−)(無次元数)を表す。また、図5にも示すように、δは駆動力Fxの重心ずれ(駆動軸原点M−可動部重心G間距離)(mm)を表し、Bはホール素子122の重心ずれ(mm)を表す。
数式5に示す伝達関数において、第1項は並進方向の伝達関数を表し、第2項は回転方向の伝達関数を表す。この伝達関数は、図4の制御ブロック図において、可動部からホール素子までの伝達関数を表しており、コントローラ部およびVCM部は含まれない。
数式5において、「mδB/JGZ」は、本発明に係るブレ補正装置の制御性能を論じる上で重要なパラメータである。これを、KKファクタと定義し、数式6に表す。
数式8に示されるように、KKファクタの値が−1以下の場合は、伝達関数が全周波数帯域に渡って負になる。したがって、この場合は、フィードバックが正帰還になってしまうので、制御不能となる。
KKファクタの値が−1よりも大きく且つ0よりも小さい場合は、数式8に示す伝達関数は正になる。しかしながら、並進成分と回転成分が分割された数式5に示す伝達関数では、回転成分が負となる。したがって、この場合は、回転成分の振舞いが不安定であることが分かる。
KKファクタの値が0以上の場合は、数式8に示す伝達関数が正になり、しかも数式5に示す伝達関数において回転成分が正となり、安定的である。
上記より、KKファクタの値が正であるときは制御が安定し、逆に負であるときは制御が不安定である。したがって、KKファクタの極性は、制御性能に密接に関係する。
数式6に示すように、KKファクタの極性は、駆動力Fxの重心ずれδの向きとホール素子位置の重心ずれBの向きとの関係で決まる。つまり、図5に示すように、X軸とX’軸とが、可動部重心Gに対して同じ方向にずれているときに、KKファクタの値が正となり、ブレ補正部100に関する伝達関数が安定になる。
図8に、KKファクタの値に応じた、ステップ応答における可動部の移動量に係る定常偏差の関係を示す。図8に示すように、KKファクタの値が0に近い領域では偏差が小さく制御性能に優れ、KKファクタが負の範囲では偏差が大きく制御性能に劣る。本実施形態では、KKファクタが正の領域であり、且つ偏差の値がD1以下に収まる範囲内でKKファクタを設定する。ここで、偏差D1は、偏差の極大値ピークD2の70%の値である。
本実施形態では、上記のように、図5において、駆動軸傾斜角度θを調整することにより、駆動軸原点M−可動部重心G間距離δおよびKKファクタの値を調整する。すなわち、駆動軸原点Mがレンズ中心Oよりも可動部重心Gに近い位置になるように、および/またはKKファクタの値が0以上であり且つKK1以下となるように、駆動軸傾斜角度θを調整する。
図9に、駆動軸傾斜角度θに対する距離δおよびKKファクタの関係を示す。図9において、横軸が駆動軸傾斜角度θ(deg)、左側の縦軸が距離δ(mm)、右側の縦軸がKKファクタであり、距離δは黒四角のプロットで表示され、KKファクタは黒ひし形のプロットで表示される。図9に示すように、駆動軸傾斜角度θが−αから+αの範囲で、距離δおよびKKファクタが変化する。
距離δは、駆動軸傾斜角度θがθ1の時に0になる。このとき、図5において、駆動軸原点Mが可動部重心Gに一致する。図9に示す角度θ1を含む範囲R1(θ3≦θ≦θ2)にて、駆動軸原点Mが、レンズ中心Oに対して可動部重心Gに近い位置に存在する。駆動軸原点Mが、可動部重心Gに近い位置になるように、駆動軸傾斜角度θを調整することで、可動部を移動させる際の回転成分を抑制することができる。
また、KKファクタは、駆動軸傾斜角度θがθ1以下の時に0以上になり、駆動軸傾斜角度θがθ4以上の時にKK1以下になる。つまり、KKファクタは、範囲R2(θ4≦θ≦θ1)にて、0以上であり且つKK1以下になる。KKファクタが、0以上であり且つKK1以下になるように、駆動軸傾斜角度θを調整することで、可動部を移動させる際に安定した制御を行うことができる。
本実施形態では、範囲R1の条件を満たすとともに範囲R2の条件を満たす範囲R3(θ3≦θ≦θ1)内で、駆動軸傾斜角度θを調整することが好ましい。範囲R3内に駆動軸傾斜角度θを調整することで、可動部を移動させる際の回転成分を抑制し且つ安定した制御を行うことができるからである。
なお、さらに好適には、上記の範囲R3内において、駆動軸原点M−可動部重心G間距離δが0に近づきしかもKKファクタが正となる(このとき、数式4からも明らかなように、KKファクタの値も0に近づく)ように、駆動軸傾斜角度θをθ1に調整する。このように、駆動軸傾斜角度θを調整することで、さらに好適に回転成分を抑制し且つ安定した制御を行うことができる。
本実施形態では、図5に示すように、第1VCM152の駆動軸であるX’軸と第2VCM154の駆動軸であるY’軸との交点である駆動軸原点Mを、ブレ補正光学部材L3のレンズ中心Oよりも可動部130の可動部重心Gに近い位置に配置している。このため、可動部130の駆動軸原点Mを、可動部130の可動部重心Gに近づけることができるので、可動部130を移動させる際に悪影響となる回転成分の影響を抑制し、可動部130の移動に有効な並進成分を効率よく作用させることができる。好ましくは、駆動軸原点Mは可動部重心Gに一致し、このときは回転成分の影響を完全に除去することができる。したがって、本実施形態では、可動部130の目標位置への収束性や可動部130の制御安定性等を向上させ、ブレ補正装置100の制御性能を向上させることができる。
また、本実施形態では、可動部130にバランサ138を設置することにより、可動部重心Gをレンズ中心Oに近づけてある。その結果、X軸がX’軸に近接するとともに、Y軸がY’軸に近接するので、本実施形態では、検出軸に沿った駆動力を効率良く可動部に作用させることが可能であり、可動部を効率良く目標位置に移動させることができる。
また、本実施形態では、第1ホール素子122は、X軸とX’軸との交点を含む位置に配置してあり、第2ホール素子124はY軸とY’軸との交点を含む位置に配置してある。好適には、第1ホール素子122の中心をX軸とX’軸との交点に配置し、第2ホール素子124の中心をY軸とY’軸との交点に配置する。このため、駆動部と検出部とで磁石を共有することが可能になり、しかも検出部による検出特性と、駆動部による駆動特性の双方の特性を向上させることができる。また、可動部のレンズ中心Oが光軸Lを通るときに、第1ホール素子122および第2ホール素子124はともに0に対応する位置情報を出力する。
本実施形態では、図5に示すように、可動部重心Gとレンズ中心Oとの間に駆動軸原点Mが存在する。このため、ブレ補正装置の伝達関数に関するKKファクタの値が正の値になる。したがって、本発明に係るブレ補正装置では安定した制御を行うことができる。
本実施形態では、図4に示すように、ブレ検出部12が検出するブレ角速度信号ωp、ωyと、第1ホール素子122,第2ホール素子124が検出する可動部位置座標x、yとを利用して可動部130の制御を行っているので、可動部130を正確な目標位置に収束させることができる。
本実施形態では、第1ホール素子122,第2ホール素子124の検出軸X,Yに沿った目標位置座標を、可動部130の駆動軸X’,Y’に沿った目標移動量に変換して、可動部130を移動させているので、ブレ補正装置の制御を好適に行うことができる。
なお、本発明は、上記の実施形態に限定されない。
上記の実施形態では、図1に示すブレ補正レンズL3を駆動するタイプの光学系移動型ブレ補正装置であるが、本発明においては、図1に示す撮像素子3が移動するタイプの撮像素子移動型ブレ補正装置にも適用することができる。
上記の実施形態では、図1に示すブレ補正レンズL3を駆動するタイプの光学系移動型ブレ補正装置であるが、本発明においては、図1に示す撮像素子3が移動するタイプの撮像素子移動型ブレ補正装置にも適用することができる。
上記の実施形態では、可動部を駆動する手段として、2個のVCMを適用したが、これに限定されず、たとえば、2個以上のVCMであってもよい。また、圧電アクチュエータ等のその他のアクチュエータを使用してもよい。
上記の実施形態では、可動部の位置を検出する手段として、2個のホール素子を適用したが、これに限定されず、2個以上のホール素子であってもよく、また、PSDセンサ等のその他の位置検出手段を使用してもよい。
100 ブレ補正装置
120 位置検出部
122 第1ホール素子
124 第2ホール素子
130 可動部
132 第1磁石
134 第2磁石
138 バランサ
140 固定部
142 第1駆動コイル
144 第2駆動コイル
152 第1VCM
154 第2VCM
G 可動部重心
M 駆動軸原点
N 検出軸原点
O レンズ中心
L3 ブレ補正レンズ
120 位置検出部
122 第1ホール素子
124 第2ホール素子
130 可動部
132 第1磁石
134 第2磁石
138 バランサ
140 固定部
142 第1駆動コイル
144 第2駆動コイル
152 第1VCM
154 第2VCM
G 可動部重心
M 駆動軸原点
N 検出軸原点
O レンズ中心
L3 ブレ補正レンズ
Claims (10)
- 固定部材に対して相対的に移動可能な移動部材と、
前記移動部材に備えられ、光学系により結像される像のブレを補正するブレ補正部材と、
前記移動部材の重心を前記ブレ補正部材の中心に近づけるように前記移動部材に設けられた重心調節部材と、
前記光学系の光軸に交差する平面上において、前記移動部材を第1軸に沿って移動させる第1駆動部と、
前記平面上において、前記移動部材を前記第1軸に交差する第2軸に沿って移動させる第2駆動部と、を有し、
前記平面上において、前記第1軸と前記第2軸との交点が、前記ブレ補正部材の中心よりも前記重心調節部材が設けられた前記移動部材の重心に近い位置にあることを特徴とするブレ補正装置。 - 前記ブレ補正部材は、少なくとも前記光学系の一部であることを特徴とする請求項1に記載のブレ補正装置。
- 前記第1軸と前記第2軸とが直角以外の角度で交差していることを特徴とする請求項1または2に記載のブレ補正装置。
- 前記平面上において、前記光軸を通る第3軸に沿って前記移動部材の位置を検出する第1検出手段と、
前記平面上において、前記光軸を通り且つ前記第3軸に交差する第4軸に沿って前記移動部材の位置を検出する第2検出手段と、をさらに有することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のブレ補正装置。 - 前記第1検出手段が前記第3軸と前記第1軸との交点を含む位置に配置してあり、
前記第2検出手段が前記第4軸と前記第2軸との交点を含む位置に配置してあることを特徴とする請求項4に記載のブレ補正装置。 - 前記平面上において、前記第1軸と前記第2軸との交点が、前記重心調節部材が設けられた前記移動部材の重心と前記ブレ補正部材の中心との間にあることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載のブレ補正装置。
- 像ブレを検出しブレ信号を出力するブレ検出部と、
前記ブレ信号を用いて前記第1駆動部および前記第2駆動部を制御する制御部と、をさらに有する請求項1〜6のいずれかに記載のブレ補正装置。 - 前記制御部は、前記移動部材の位置座標と前記ブレ信号とを用いて、前記移動部材の前記第3軸および前記第4軸に平行な目標位置座標を算出し、前記目標位置座標を用いて前記撮像素子の前記第1軸および前記第2軸に沿った目標移動量を算出し、前記目標移動量を用いて前記第1駆動部および前記第2駆動部を制御することを特徴とする請求項4〜6の何れかに従属する請求項6に記載のブレ補正装置。
- 請求項1〜8のいずれかに記載のブレ補正装置を含むレンズ鏡筒。
- 請求項1〜8のいずれかに記載のブレ補正装置を含む撮影装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2013106974A JP2014228623A (ja) | 2013-05-21 | 2013-05-21 | ブレ補正装置、レンズ鏡筒および撮影装置 |
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Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2013106974A JP2014228623A (ja) | 2013-05-21 | 2013-05-21 | ブレ補正装置、レンズ鏡筒および撮影装置 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
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ID=52128538
Family Applications (1)
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JP2013106974A Pending JP2014228623A (ja) | 2013-05-21 | 2013-05-21 | ブレ補正装置、レンズ鏡筒および撮影装置 |
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Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2020160373A (ja) * | 2019-03-28 | 2020-10-01 | 日本電産サンキョー株式会社 | 振れ補正機能付き光学ユニット |
CN112325067A (zh) * | 2020-10-27 | 2021-02-05 | 莆田莆永高速公路有限责任公司 | 无人值守机房智能化巡检系统 |
WO2024034404A1 (ja) * | 2022-08-09 | 2024-02-15 | ローム株式会社 | アクチュエータドライバおよびこれを用いたカメラモジュール、電子機器、可動部の位置検出方法 |
-
2013
- 2013-05-21 JP JP2013106974A patent/JP2014228623A/ja active Pending
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JP7237686B2 (ja) | 2019-03-28 | 2023-03-13 | 日本電産サンキョー株式会社 | 振れ補正機能付き光学ユニット |
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