JP6899486B2 - 全固体二次電池用電極シート及び全固体二次電池 - Google Patents

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Description

本発明は、全固体二次電池用電極シート及び全固体二次電池に関する。
リチウムイオン二次電池は、負極と、正極と、負極及び正極の間に挟まれた電解質とを有し、両極間にリチウムイオンを往復移動させることにより充放電を可能とした蓄電池である。リチウムイオン二次電池には、従来、電解質として有機電解液が用いられてきた。しかし、有機電解液は液漏れを生じやすく、また、過充電又は過放電により電池内部で短絡が生じ発火するおそれもあり、信頼性と安全性のさらなる向上が求められている。
このような状況下、有機電解液に代えて、無機固体電解質を用いた全固体二次電池が注目されている。全固体二次電池は負極、電解質及び正極のすべてが固体からなり、有機電解液を用いた電池の課題とされる安全性及び信頼性を大きく改善することができ、また長寿命化も可能になるとされる。さらに、全固体二次電池は、電極と電解質を直接並べて直列に配した構造とすることができる。そのため、有機電解液を用いた二次電池に比べて高エネルギー密度化が可能となり、電気自動車や大型蓄電池等への応用が期待されている。
上記のような各利点から、次世代のリチウムイオン電池として全固体二次電池の開発が進められている。例えば、特許文献1には、集電体と、硫黄原子を含む無機固体電解質及び活物質を含む電極合剤層(電極活物質層)とを、ジエン系モノマー単位を特定質量含有するジエン系重合体及び導電性粒子からなる導電性接着剤層(プライマー層)を介して積層した構造を有する全固体二次電池用電極が記載されている。この全固体二次電池用電極は、上記無機固体電解質に含まれる硫黄原子と上記ジエン系重合体の炭素−炭素二重結合とが架橋構造を形成してピール強度(集電体と電極活物質層との結着性)に優れ、この全固体二次電池用電極を有する全固体二次電池は、高温におけるサイクル特性に優れるとされる。また、特許文献2には、無機固体電解質と、活物質と、特定の官能基を有するポリマーとを含有する電極活物質層を有する全固体二次電池用電極シートが記載されている。この全固体二次電池用電極シートは結着性に優れ、この全固体二次電池用電極シートを有する全固体二次電池は、イオン伝導度に優れるとされる。
国際公開第2013/146916号 国際公開第2016/129426号
全固体二次電池には、充放電を繰り返しても一定の放電容量を維持できる特性(サイクル特性)が求められる。また、高い電流値で放電した際にも低抵抗で、所望の放電容量を実現できる特性(放電負荷特性)も求められる。さらに、実際の使用環境を想定すると、振動環境下においても電池性能を維持できる特性(耐振動性)も重要である。本発明者らが特許文献1及び2記載の技術を含む従来の電池構成について検討したところ、集電体と電極活物質層との密着性が、充放電時、活物質の膨張収縮の繰り返しにより損なわれて、集電体と電極活物質層との間で剥離が生じやすいこと、結果、上記の各特性を所望の高いレベルで実現することは難しいことがわかってきた。
そこで本発明は、サイクル特性、放電負荷特性、及び耐振動性のいずれにも優れた全固体二次電池を提供することを課題とする。また本発明は、この全固体二次電池の構成材料として好適な電極シートを提供することを課題とする。
本発明者らは、電池稼働時における集電体と電極活物質層との密着性の維持が、上記の各特性を所望のレベルに高めるための重要な要素との着想の下、鋭意検討を重ねた。その結果、集電体と電極活物質層との間にプライマー層を設けて集電体と電極活物質層との密着性を高めた上で、このプライマー層に電極活物質層が有するバインダーを、電極層との界面近傍における上記バインダーの含有量が集電体との界面近傍における上記バインダーの含有量よりも多くなるように含ませることにより、上記課題を解決できることを見出した。本発明はこれらの知見に基づきさらに検討を重ね、完成されるに至ったものである。
すなわち、上記の課題は以下の手段により解決された。
〔1〕
集電体と、プライマー層と、電極活物質層とをこの順に有する全固体二次電池用電極シートであって、
上記電極活物質層が、周期律表第1族若しくは第2族に属する金属のイオンの伝導性を有する無機固体電解質と、活物質と、バインダーa1とを含有し、
上記プライマー層が、バインダーa1と、バインダーa1とは異なるバインダーa2とを含有し、
上記プライマー層を厚み方向に6等分した6層のサブ層を想定し、電極活物質層側から集電体の側に向けて順に第1サブ層〜第6サブ層とした場合に、第1サブ層中のバインダーa1とバインダーa2との合計に占めるバインダーa1の割合B1と、第6サブ層中のバインダーa1とバインダーa2との合計に占めるバインダーa1の割合B6の関係が、B1>B6を満たす、全固体二次電池用電極シート。
〔2〕
上記の第2サブ層から第1サブ層に向けて、各サブ層中の、バインダーa1とバインダーa2との合計に占めるバインダーa1の割合が増加している、〔1〕記載の全固体二次電池用電極シート。
〔3〕
上記の第3サブ層から第1サブ層に向けて、各サブ層中の、バインダーa1とバインダーa2との合計に占めるバインダーa1の割合が順に増加している、〔2〕記載の全固体二次電池用電極シート。
〔4〕
上記バインダーa1を構成する樹脂が、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、ポリウレア樹脂、含フッ素樹脂、炭化水素樹脂、ポリウレタン樹脂、又は(メタ)アクリル樹脂である、〔1〕〜〔3〕のいずれか記載の全固体二次電池用電極シート。
〔5〕
上記バインダーa2が炭化水素樹脂又は炭化水素ゴムである、〔4〕記載の全固体二次電池用電極シート。
〔6〕
上記バインダーa1を構成する樹脂が、酸性官能基、塩基性官能基、ヒドロキシ基、シアノ基、アルコキシシリル基、アリール基、ヘテロアリール基、及び3環以上が縮合した炭化水素環基の少なくとも1種を有する、〔1〕〜〔5〕のいずれか記載の全固体二次電池用電極シート。
〔7〕
上記バインダーa1が粒径1nm〜10μmの樹脂粒子である、〔1〕〜〔6〕のいずれか記載の全固体二次電池用電極シート。
〔8〕
上記電極活物質層が正極活物質層である、〔1〕〜〔7〕のいずれか記載の全固体二次電池用電極シート。
〔9〕
上記無機固体電解質が硫化物系無機固体電解質である、〔1〕〜〔8〕のいずれか記載の全固体二次電池用電極シート。
〔10〕
〔1〕〜〔9〕のいずれか記載の全固体二次電池用電極シートを有する、全固体二次電池。
本発明の説明において、「〜」を用いて表される数値範囲は、「〜」の前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む範囲を意味する。
本発明の説明において、含有量、割合、量比に係る記載は、特段の断りのない限り、質量基準である。
本発明の全固体二次電池は、サイクル特性、放電負荷特性、及び耐振動性のいずれにも優れる。また、本発明の全固体二次電池用電極シートは、全固体二次電池の構成材料として用いることにより、得られる全固体二次電池を、サイクル特性、放電負荷特性、及び耐振動性のいずれにも優れたものとできる。
本発明の好ましい実施形態に係る全固体二次電池を模式化して示す縦断面図である。
本発明の好ましい実施形態について、本発明の全固体二次電池用電極シートから順に説明する。
[全固体二次電池用電極シート]
本発明の全固体二次電池用電極シート(以下、単に「電極シート」ともいう。)は、集電体と電極活物質層とをプライマー層を介して積層した構造を有する。上記電極活物質層は、周期律表第1族若しくは第2族に属する金属のイオンの伝導性を有する無機固体電解質と、電極活物質(以下、単に「活物質」とも称す。)と、バインダーとを含有する。
上記プライマー層も上記電極活物質層に含有される上記バインダーと同じバインダーを含有する(電極活物質層とプライマー層の両層に共通して含まれるこのバインダーを、本発明では「バインダーa1」と称す。)。また、このプライマー層はバインダーa1とは異なるバインダー(以下、「バインダーa2」と称す。)も含有する。本発明において、バインダーa1とa2はそれぞれ、所望の1種の樹脂からなるバインダーである。
本発明において上記プライマー層は、このプライマー層を厚み方向に6等分した6層のサブ層を想定し、電極活物質層側から集電体の側に向けて順に第1サブ層〜第6サブ層とした場合に、第1サブ層中のバインダーa1とバインダーa2との合計に占めるバインダーa1の割合B1と、第6サブ層中のバインダーa1とバインダーa2との合計に占めるバインダーa1の割合B6の関係が、B1>B6を満たす。
上記電極活物質層が有する活物質が正極活物質であれば、上記電極活物質層は正極活物質層となり、正極集電体と組み合わされて正極層として機能する。また、上記電極活物質層が有する活物質が負極活物質であれば、上記電極活物質層は負極活物質層となり、負極集電体と組み合わされて負極層として機能する。
<集電体(金属箔)>
正極集電体及び負極集電体は、通常は電子伝導体である。
本発明において、正極集電体及び負極集電体のいずれか、又は、両方を合わせて、単に、集電体と称する。
正極集電体を形成する材料としては、アルミニウム、アルミニウム合金、ステンレス鋼、ニッケル及びチタンなどの他に、アルミニウム又はステンレス鋼の表面にカーボン、ニッケル、チタンあるいは銀を処理させたもの(薄膜を形成したもの)が好ましく、その中でも、アルミニウム及びアルミニウム合金がより好ましい。
負極集電体を形成する材料としては、アルミニウム、銅、銅合金、ステンレス鋼、ニッケル及びチタンなどの他に、アルミニウム、銅、銅合金又はステンレス鋼の表面にカーボン、ニッケル、チタンあるいは銀を処理させたものが好ましく、アルミニウム、銅、銅合金及びステンレス鋼がより好ましい。
集電体の形状は、通常フィルムシート状のものが使用されるが、ネット、パンチされたもの、ラス体、多孔質体、発泡体、繊維群の成形体なども用いることができる。
集電体の厚みは特に限定されない。例えば1〜500μmとすることができる。また、集電体表面は、表面処理により凹凸を付けることも好ましい。
<電極活物質層>
本発明において、電極活物質層は、周期律表第1族若しくは第2族に属する金属のイオンの伝導性を有する無機固体電解質と、電極活物質と、バインダーa1とを含有する。
(無機固体電解質)
本発明の電極活物質層を構成する無機固体電解質は、無機の固体電解質のことであり、固体電解質とは、その内部においてイオンを移動させることができる固体状の電解質のことである。主たるイオン伝導性材料として有機物を含むものではないことから、有機固体電解質(ポリエチレンオキシド(PEO)などに代表される高分子電解質、リチウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド(LiTFSI)などに代表される有機電解質塩)とは明確に区別される。また、無機固体電解質は定常状態では固体であるため、通常カチオン及びアニオンに解離又は遊離していない。この点で、電解液やポリマー中でカチオン及びアニオンが解離又は遊離している無機電解質塩(LiPF、LiBF、LiFSI、LiClなど)とも明確に区別される。無機固体電解質は周期律表第1族若しくは第2族に属する金属のイオンの伝導性を有するものであれば特に限定されず電子伝導性を有さないものが一般的である。
本発明において、無機固体電解質は、周期律表第1族若しくは第2族に属する金属のイオン伝導性を有する。上記無機固体電解質は、この種の製品に適用される固体電解質材料を適宜選定して用いることができる。無機固体電解質は(i)硫化物系無機固体電解質と(ii)酸化物系無機固体電解質が代表例として挙げられる。本発明において、活物質と無機固体電解質との間により良好な界面を形成することができるため、硫化物系無機固体電解質が好ましく用いられる。
(i)硫化物系無機固体電解質
硫化物系無機固体電解質は、硫黄原子(S)を含有し、かつ、周期律表第1族若しくは第2族に属する金属のイオン伝導性を有し、かつ、電子絶縁性を有する化合物が好ましい。硫化物系無機固体電解質は、元素として少なくともLi、S及びPを含有し、リチウムイオン伝導性を有しているものが好ましいが、目的又は場合に応じて、Li、S及びP以外の他の元素を含んでもよい。
例えば下記式(1)で示される組成を満たすリチウムイオン伝導性無機固体電解質が挙げられる。

a1b1c1d1e1 式(I)

式中、LはLi、Na及びKから選択される元素を示し、Liが好ましい。Mは、B、Zn、Sn、Si、Cu、Ga、Sb、Al及びGeから選択される元素を示す。Aは、I、Br、Cl及びFから選択される元素を示す。a1〜e1は各元素の組成比を示し、a1:b1:c1:d1:e1は1〜12:0〜5:1:2〜12:0〜10を満たす。a1はさらに、1〜9が好ましく、1.5〜7.5がより好ましい。b1は0〜3が好ましく、0〜1がより好ましい。d1はさらに、2.5〜10が好ましく、3.0〜8.5がより好ましい。e1はさらに、0〜5が好ましく、0〜3がより好ましい。
各元素の組成比は、下記のように、硫化物系無機固体電解質を製造する際の原料化合物の配合比を調整することにより制御できる。
硫化物系無機固体電解質は、非結晶(ガラス)であっても結晶化(ガラスセラミックス化)していてもよく、一部のみが結晶化していてもよい。例えば、Li、P及びSを含有するLi−P−S系ガラス、又はLi、P及びSを含有するLi−P−S系ガラスセラミックスを用いることができる。
硫化物系無機固体電解質は、例えば硫化リチウム(LiS)、硫化リン(例えば五硫化二燐(P))、単体燐、単体硫黄、硫化ナトリウム、硫化水素、ハロゲン化リチウム(例えばLiI、LiBr、LiCl)及び上記Mであらわされる元素の硫化物(例えばSiS、SnS、GeS)の中の少なくとも2つ以上の原料の反応により製造することができる。
Li−P−S系ガラス及びLi−P−S系ガラスセラミックスにおける、LiSとPとの比率は、LiS:Pのモル比で、好ましくは60:40〜90:10、より好ましくは68:32〜78:22である。LiSとPとの比率をこの範囲にすることにより、リチウムイオン伝導度を高いものとすることができる。具体的には、リチウムイオン伝導度を好ましくは1×10−4S/cm以上、より好ましくは1×10−3S/cm以上とすることができる。上限は特にないが、1×10−1S/cm以下であることが実際的である。
具体的な硫化物系無機固体電解質の例として、原料の組み合わせ例を下記に示す。たとえばLiS−P、LiS−P−LiCl、LiS−P−HS、LiS−P−HS−LiCl、LiS−LiI−P、LiS−LiI−LiO−P、LiS−LiBr−P、LiS−LiO−P、LiS−LiPO−P、LiS−P−P、LiS−P−SiS、LiS−P−SiS−LiCl、LiS−P−SnS、LiS−P−Al、LiS−GeS、LiS−GeS−ZnS、LiS−Ga、LiS−GeS−Ga、LiS−GeS−P、LiS−GeS−Sb、LiS−GeS−Al、LiS−SiS、LiS−Al、LiS−SiS−Al、LiS−SiS−P、LiS−SiS−P−LiI、LiS−SiS−LiI、LiS−SiS−LiSiO、LiS−SiS−LiPO、Li10GeP12などが挙げられる。ただし、各原料の混合比は問わない。このような原料組成物を用いて硫化物系無機固体電解質材料を合成する方法としては、例えば非晶質化法を挙げることができる。非晶質化法としては、例えば、メカニカルミリング法、溶液法及び溶融急冷法を挙げられる。常温での処理が可能になり、製造工程の簡略化を図ることができるからである。
(ii)酸化物系無機固体電解質
酸化物系無機固体電解質は、酸素原子(O)を含有し、かつ、周期律表第1族若しくは第2族に属する金属のイオン伝導性を有し、かつ、電子絶縁性を有する化合物が好ましい。
具体的な化合物例としては、例えばLixaLayaTiO〔xa=0.3〜0.7、ya=0.3〜0.7〕(LLT)、LixbLaybZrzbbb mbnb(MbbはAl、Mg、Ca、Sr、V、Nb、Ta、Ti、Ge、In、Snの少なくとも1種以上の元素でありxbは5≦xb≦10を満たし、ybは1≦yb≦4を満たし、zbは1≦zb≦4を満たし、mbは0≦mb≦2を満たし、nbは5≦nb≦20を満たす。)、Lixcyccc zcnc(MccはC、S、Al、Si、Ga、Ge、In、Snの少なくとも1種以上の元素でありxcは0≦xc≦5を満たし、ycは0≦yc≦1を満たし、zcは0≦zc≦1を満たし、ncは0≦nc≦6を満たす。)、Lixd(Al,Ga)yd(Ti,Ge)zdSiadmdnd(ただし、1≦xd≦3、0≦yd≦1、0≦zd≦2、0≦ad≦1、1≦md≦7、3≦nd≦13)、Li(3−2xe)ee xeeeO(xeは0以上0.1以下の数を表し、Meeは2価の金属原子を表す。Deeはハロゲン原子又は2種以上のハロゲン原子の組み合わせを表す。)、LixfSiyfzf(1≦xf≦5、0<yf≦3、1≦zf≦10)、Lixgygzg(1≦xg≦3、0<yg≦2、1≦zg≦10)、LiBO−LiSO、LiO−B−P、LiO−SiO、LiBaLaTa12、LiPO(4−3/2w)(wはw<1)、LISICON(Lithium super ionic conductor)型結晶構造を有するLi3.5Zn0.25GeO、ペロブスカイト型結晶構造を有するLa0.55Li0.35TiO、NASICON(Natrium super ionic conductor)型結晶構造を有するLiTi12、Li1+xh+yh(Al,Ga)xh(Ti,Ge)2−xhSiyh3−yh12(ただし、0≦xh≦1、0≦yh≦1)、ガーネット型結晶構造を有するLiLaZr12(LLZ)等が挙げられる。またLi、P及びOを含むリン化合物も望ましい。例えばリン酸リチウム(LiPO)、リン酸リチウムの酸素の一部を窒素で置換したLiPON、LiPOD(Dは、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zr、Nb、Mo、Ru、Ag、Ta、W、Pt、Au等から選ばれた少なくとも1種)等が挙げられる。また、LiAON(Aは、Si、B、Ge、Al、C、Ga等から選ばれた少なくとも1種)等も好ましく用いることができる。
無機固体電解質の体積平均粒子径は特に限定されないが、0.01μm以上であることが好ましく、0.1μm以上であることがより好ましい。上限としては、100μm以下であることが好ましく、50μm以下であることがより好ましい。なお、無機固体電解質粒子の平均粒子径の測定は、以下の手順で行う。無機固体電解質粒子を、水(水に不安定な物質の場合はヘプタン)を用いて20mlサンプル瓶中で1質量%の分散液を希釈調整する。希釈後の分散試料は、1kHzの超音波を10分間照射し、その直後に試験に使用する。この分散液試料を用い、レーザ回折/散乱式粒度分布測定装置LA−920(HORIBA社製)を用いて、温度25℃で測定用石英セルを使用してデータ取り込みを50回行い、体積平均粒子径を得る。その他の詳細な条件等は必要によりJISZ8828:2013「粒子径解析−動的光散乱法」の記載を参照する。1水準につき5つの試料を作製しその平均値を採用する。
(電極活物質)
本発明において、電極活物質層は、周期律表第1族若しくは第2族に属する金属元素のイオンの挿入放出が可能な活物質を含有する。
−正極活物質−
正極活物質は、可逆的にリチウムイオンを挿入及び放出できるものが好ましい。その材料は、上記特性を有するものであれば、特に制限はなく、遷移金属酸化物又は、有機物、硫黄などのLiと複合化できる元素や硫黄と金属の複合物などでもよい。
中でも、正極活物質としては、遷移金属酸化物を用いることが好ましく、遷移金属元素M(Co、Ni、Fe、Mn、Cu及びVから選択される1種以上の元素)を有する遷移金属酸化物がより好ましい。また、この遷移金属酸化物に元素M(リチウム以外の金属周期律表の第1(Ia)族の元素、第2(IIa)族の元素、Al、Ga、In、Ge、Sn、Pb、Sb、Bi、Si、P又はBなどの元素)を混合してもよい。混合量としては、遷移金属元素Mの量(100mol%)に対して0〜30mol%が好ましい。Li/Maのモル比が0.3〜2.2になるように混合して合成されたものが、より好ましい。
遷移金属酸化物の具体例としては、(MA)層状岩塩型構造を有する遷移金属酸化物、(MB)スピネル型構造を有する遷移金属酸化物、(MC)リチウム含有遷移金属リン酸化合物、(MD)リチウム含有遷移金属ハロゲン化リン酸化合物及び(ME)リチウム含有遷移金属ケイ酸化合物等が挙げられる。
(MA)層状岩塩型構造を有する遷移金属酸化物の具体例として、LiCoO(コバルト酸リチウム[LCO])、LiNi(ニッケル酸リチウム)LiNi0.85Co0.10Al0.05(ニッケルコバルトアルミニウム酸リチウム[NCA])、LiNi1/3Co1/3Mn1/3(ニッケルマンガンコバルト酸リチウム[NMC])及びLiNi0.5Mn0.5(マンガンニッケル酸リチウム)が挙げられる。
(MB)スピネル型構造を有する遷移金属酸化物の具体例として、LiMn(LMO)、LiCoMnO4、LiFeMn、LiCuMn、LiCrMn及びLiNiMnが挙げられる。
(MC)リチウム含有遷移金属リン酸化合物としては、例えば、LiFePO及びLiFe(PO等のオリビン型リン酸鉄塩、LiFeP等のピロリン酸鉄類、LiCoPO等のリン酸コバルト類ならびにLi(PO(リン酸バナジウムリチウム)等の単斜晶ナシコン型リン酸バナジウム塩が挙げられる。
(MD)リチウム含有遷移金属ハロゲン化リン酸化合物としては、例えば、LiFePOF等のフッ化リン酸鉄塩、LiMnPOF等のフッ化リン酸マンガン塩及びLiCoPOF等のフッ化リン酸コバルト類が挙げられる。
(ME)リチウム含有遷移金属ケイ酸化合物としては、例えば、LiFeSiO、LiMnSiO及びLiCoSiO等が挙げられる。
本発明では、(MA)層状岩塩型構造を有する遷移金属酸化物が好ましく、LCO又はNMCがより好ましい。
正極活物質の形状は特に制限されないが粒子状が好ましい。正極活物質の体積平均粒子径(球換算平均粒子径)は特に限定されない。例えば、0.1〜50μmとすることができる。正極活物質を所定の粒子径にするには、通常の粉砕機や分級機を用いればよい。焼成法によって得られた正極活物質は、水、酸性水溶液、アルカリ性水溶液、有機溶剤にて洗浄した後使用してもよい。正極活物質粒子の体積平均粒子径(球換算平均粒子径)は、レーザ回折/散乱式粒度分布測定装置LA−920(商品名、HORIBA社製)を用いて測定することができる。
上記正極活物質は、1種を単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
正極活物質層を形成する場合、正極活物質層の単位面積(cm)当たりの正極活物質の質量(mg)(目付量)は特に限定されるものではない。設計された電池容量に応じて、適宜に決めることができる。
正極活物質の、電極活物質層中における含有量は特に制限されず、固形分100質量部中、10〜95質量部が好ましく、30〜90質量部がより好ましく、50〜85質量部がさらに好ましく、55〜80質量部が特に好ましい。
−負極活物質−
負極活物質は、可逆的にリチウムイオンを挿入及び放出できるものが好ましい。その材料は、上記特性を有するものであれば、特に制限はなく、炭素質材料、酸化錫等の金属酸化物、酸化ケイ素、金属複合酸化物、リチウム単体及びリチウムアルミニウム合金等のリチウム合金、並びに、Sn、Si、Al及びIn等のリチウムと合金形成可能な金属等が挙げられる。中でも、炭素質材料又はリチウム単体が好ましい。また、金属複合酸化物としては、リチウムを吸蔵及び放出可能であることが好ましい。その材料は、特には制限されないが、構成成分としてチタン及び/又はリチウムを含有していることが、高電流密度充放電特性の観点で好ましい。
負極活物質として用いられる炭素質材料とは、実質的に炭素からなる材料である。例えば、石油ピッチ、アセチレンブラック(AB)等のカーボンブラック、黒鉛(天然黒鉛、鱗状黒鉛粉末、気相成長黒鉛等の人造黒鉛等)、及びPAN(ポリアクリロニトリル)系の樹脂やフルフリルアルコール樹脂等の各種の合成樹脂を焼成した炭素質材料を挙げることができる。さらに、PAN系炭素繊維、セルロース系炭素繊維、ピッチ系炭素繊維、気相成長炭素繊維、脱水PVA(ポリビニルアルコール)系炭素繊維、リグニン炭素繊維、ガラス状炭素繊維及び活性炭素繊維等の各種炭素繊維類、メソフェーズ微小球体、グラファイトウィスカーならびに平板状の黒鉛等を挙げることもできる。
負極活物質として適用される金属酸化物及び金属複合酸化物としては、特に非晶質酸化物が好ましく、さらに金属元素と周期律表第16族の元素との反応生成物であるカルコゲナイトも好ましく用いられる。ここでいう非晶質とは、CuKα線を用いたX線回折法で、2θ値で20°〜40°の領域に頂点を有するブロードな散乱帯を有するものを意味し、結晶性の回折線を有してもよい。
上記非晶質酸化物及びカルコゲナイドからなる化合物群の中でも、半金属元素の非晶質酸化物、及びカルコゲナイドがより好ましく、周期律表第13(IIIB)族〜15(VB)族の元素、Al、Ga、Si、Sn、Ge、Pb、Sb及びBiの1種単独あるいはそれらの2種以上の組み合わせからなる酸化物、ならびにカルコゲナイドが特に好ましい。好ましい非晶質酸化物及びカルコゲナイドの具体例としては、例えば、Ga、SiO、GeO、SnO、SnO、PbO、PbO、Pb、Pb、Pb、Sb、Sb、SbBi、SbSi、Bi、SnSiO、GeS、SnS、SnS、PbS、PbS、Sb、Sb及びSnSiSが好ましく挙げられる。また、これらは、酸化リチウムとの複合酸化物、例えば、LiSnOであってもよい。
負極活物質はチタン原子を含有することも好ましい。より具体的にはLiTi12(チタン酸リチウム[LTO])がリチウムイオンの吸蔵放出時の体積変動が小さいことから急速充放電特性に優れ、電極の劣化が抑制されリチウムイオン二次電池の寿命向上が可能となる点で好ましい。
本発明においては、Si系の負極を適用することもまた好ましい。一般的にSi負極は、炭素負極(黒鉛及びアセチレンブラックなど)に比べて、より多くのLiイオンを吸蔵できる。すなわち、単位質量あたりのLiイオンの吸蔵量が増加する。そのため、電池容量を大きくすることができる。その結果、バッテリー駆動時間を長くすることができるという利点がある。
負極活物質の形状は特に制限されないが粒子状が好ましい。負極活物質の平均粒子径は、0.1〜60μmが好ましい。所定の粒子径にするには、通常の粉砕機や分級機が用いられる。例えば、乳鉢、ボールミル、サンドミル、振動ボールミル、衛星ボールミル、遊星ボールミル及び旋回気流型ジェットミルや篩などが好適に用いられる。粉砕時には水、あるいはメタノール等の有機溶媒を共存させた湿式粉砕も必要に応じて行うことができる。所望の粒子径とするためには分級を行うことが好ましい。分級方法としては特に限定はなく、篩、風力分級機などを必要に応じて用いることができる。分級は乾式及び湿式ともに用いることができる。負極活物質粒子の平均粒子径は、前述の正極活物質の体積平均粒子径の測定方法と同様の方法により測定することができる。
上記焼成法により得られた化合物の化学式は、測定方法として誘導結合プラズマ(ICP)発光分光分析法、簡便法として、焼成前後の粉体の質量差から算出できる。
上記負極活物質は、1種を単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
負極活物質層を形成する場合、負極活物質層の単位面積(cm)当たりの負極活物質の質量(mg)(目付量)は特に限定されるものではない。設計された電池容量に応じて、適宜に決めることができる。
負極活物質の、電極活物質中における含有量は、特に制限されず、固形分100質量部中、10〜80質量部が好ましく、20〜80質量部がより好ましい。
正極活物質及び負極活物質の表面は別の金属酸化物で表面被覆されていてもよい。表面被覆剤としてはTi、Nb、Ta、W、Zr、Al、Si又はLiを含有する金属酸化物等が挙げられる。具体的には、チタン酸スピネル、タンタル系酸化物、ニオブ系酸化物、ニオブ酸リチウム系化合物等が挙げられ、具体的には、LiTi12、LiTi、LiTaO、LiNbO、LiAlO、LiZrO、LiWO、LiTiO、Li、LiPO、LiMoO、LiBO、LiBO、LiCO、LiSiO、SiO、TiO、ZrO、Al、B等が挙げられる。
また、正極活物質又は負極活物質を含む電極表面は硫黄又はリンで表面処理されていてもよい。
さらに、正極活物質又は負極活物質の粒子表面は、上記表面被覆の前後において活性光線又は活性気体(プラズマ等)により表面処理を施されていても良い。
(バインダーa1)
本発明において、電極活物質層はバインダーa1を含有する。バインダーa1の構成材料は樹脂である。バインダーa1を構成する樹脂として、各種の有機高分子化合物(ポリマー)を用いることができる。このバインダーa1は、無機固体電解質粒子、活物質粒子等の固体粒子間の結着性を高めて、機械強度、イオン伝導性等の向上に寄与する。バインダーを構成する有機高分子化合物は、粒子状でもよいし、非粒子状でもよい。バインダーa1を構成する樹脂の好ましい例を以下に説明する。
−含フッ素樹脂−
含フッ素樹脂としては、例えば、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリビニレンジフルオリド(PVdF)、ポリビニレンジフルオリドとヘキサフルオロプロピレンとの共重合体(PVdF−HFP)が挙げられる。
−炭化水素樹脂−
炭化水素樹脂としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、スチレンブタジエンゴム(SBR)、水素添加スチレンブタジエンゴム(HSBR)、ブチレンゴム、アクリロニトリルブタジエンゴム、ポリブタジエン、ポリイソプレンが挙げられる。
−(メタ)アクリル樹脂−
(メタ)アクリル樹脂としては、各種の(メタ)アクリルモノマー、(メタ)アクリルアミドモノマー、及びこれらモノマーの2種以上の共重合体が挙げられる。
また、その他のビニル系モノマーとの共重合体(コポリマー)も好適に用いられる。例えば、(メタ)アクリル酸メチルとスチレンとの共重合体、(メタ)アクリル酸メチルとアクリロニトリルとの共重合体、(メタ)アクリル酸ブチルとアクリロニトリルとスチレンとの共重合体が挙げられるが、これらに限定されるものではない。本願明細書において、コポリマーは、統計コポリマー及び周期コポリマーのいずれでもよく、ランダムコポリマーが好ましい。
本発明の説明において、「(メタ)アクリル」と記載するときは、メタアクリル及び/又はアクリルを意味する。
−その他の樹脂−
その他の樹脂としては、例えば、ポリウレタン樹脂、ポリウレア樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、ポリエステル樹脂、ポリエーテル樹脂、ポリカーボネート樹脂、セルロース誘導体樹脂等が挙げられる。
上記の中でも、固体粒子の結着性をより高める観点からは、バインダーa1を構成する樹脂はポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、ポリウレア樹脂、含フッ素樹脂、炭化水素樹脂、ポリウレタン樹脂、又は(メタ)アクリル樹脂であることが好ましく、(メタ)アクリル樹脂又は含フッ素樹脂であることがより好ましい。
また、バインダーa1を構成する樹脂は、酸性官能基、塩基性官能基、ヒドロキシ基、シアノ基、アルコキシシリル基、アリール基、ヘテロアリール基、及び3環以上が縮合した炭化水素環基の少なくとも1種を有することが好ましい。
酸性官能基として、例えば、カルボン酸基(−COOH)、スルホン酸基(スルホ基:−SOH)、リン酸基(ホスホ基:−OPO(OH))、ホスホン酸基及びホスフィン酸基が挙げられる。
塩基性官能基として、例えば、アミノ基、ピリジル基、イミノ基及びアミジンが挙げられる。
アルコキシシリル基の炭素数は1〜6が好ましく、例えば、メトキシシリル、エトキシシリル、t−ブトキシシリル及びシクロヘキシルシリルが挙げられる。
アリール基の環を構成する炭素数は6〜10が好ましく、例えば、フェニル及びナフチルが挙げられる。アリール基の環は単環若しくは2つの環が縮合した環である。
ヘテロアリール基のヘテロ環は4〜10員環が好ましく、ヘテロ環を構成する炭素数は3〜9が好ましい。ヘテロ環を構成するヘテロ原子は、例えば、酸素原子、窒素原子及び硫黄原子が挙げられる。ヘテロ環の具体例として、例えば、チオフェン、フラン、ピロール及びイミダゾールが挙げられる。
3環以上が縮環した炭化水素環基は、炭化水素環が3環以上縮環した環基であれば特に限定されない。縮環する炭化水素環としては、飽和脂肪族炭化水素環、不飽和脂肪族炭化水素環及び芳香族炭化水素環(ベンゼン環)が挙げられる。炭化水素環は5員環又は6員環が好ましい。
3環以上が縮環した炭化水素環基は、少なくとも1つの芳香族炭化水素環を含む3環以上縮環した環基、又は、飽和脂肪族炭化水素環若しくは不飽和脂肪族炭化水素環が3環以上縮環した環基が好ましい。
縮環する環数は、特に限定されないが、3〜8環が好ましく、3〜5環がより好ましい。
少なくとも1つの芳香族炭化水素環を含む3環以上縮環した環基としては、特に限定されないが、例えば、アントラセン、フェナントラセン、ピレン、テトラセン、テトラフェン、クリセン、トリフェニレン、ペンタセン、ペンタフェン、ペリレン、ピレン、ベンゾピレン、コロネン、アンタントレン、コランヌレン、オバレン、グラフェン、シクロパラフェニレン、ポリパラフェニレン又はシクロフェンからなる環基が挙げられる。
飽和脂肪族炭化水素環若しくは不飽和脂肪族炭化水素環が3環以上縮環した環基としては、特に限定されないが、例えば、ステロイド骨格を有する化合物からなる環基が挙げられる。ステロイド骨格を有する化合物としては、例えば、コレステロール、エルゴステロール、テストステロン、エストラジオール、エルドステロール、アルドステロン、ヒドロコルチゾン、スチグマステロール、チモステロール、ラノステロール、7−デヒドロデスモステロール、7−デヒドロコレステロール、コラン酸、コール酸、リトコール酸、デオキシコール酸、デオキシコール酸ナトリウム、デオキシコール酸リチウム、ヒオデオキシコール酸、ケノデオキシコール酸、ウルソデオキシコール酸、デヒドロコール酸、ホケコール酸又はヒオコール酸の化合物からなる環基が挙げられる。
3環以上が縮環した炭化水素環基としては、上記の中でも、コレステロール環構造を有する化合物からなる環基又はピレニル基がより好ましい。
上記官能基は、無機固体電解質及び/又は活物質等の固体粒子と相互作用して、これらの粒子とバインダーa1との吸着性を高める。この相互作用は、特に限定されないが、例えば、水素結合によるもの、酸−塩基によるイオン結合によるもの、共有結合によるもの、芳香環によるπ−π相互作用によるもの、又は、疎水−疎水相互作用によるもの等が挙げられる。上記固体粒子とバインダーa1とは、官能基の種類と、上述の粒子の種類とによって、1つ又は2つ以上の上記相互作用によって、吸着する。
官能基が相互作用する場合、上述のように、官能基の化学構造は変化しても変化しなくてもよい。例えば、上記π−π相互作用等においては、通常、官能基は変化せず、そのままの構造を維持する。一方、共有結合等による相互作用においては、通常、カルボン酸基等の活性水素が離脱したアニオンとなって(官能基が変化して)無機固体電解質と結合する。
バインダーa1は好ましくは粒子状である。この場合、バインダーa1の粒径は1nm〜10μmが好ましく、1nm〜500nmが好ましく、10nm〜400nmがより好ましい。
粒子状バインダーの粒径は平均粒子径を意味し、以下の方法で算出する。
粒子状バインダーを任意の分散媒(固体電解質組成物の調製に用いる分散媒。例えば、ヘプタン)を用いて20mLサンプル瓶中で1質量%の分散液を希釈調製する。希釈後の分散試料は、1kHzの超音波を10分間照射し、その直後に試験に使用する。この分散液試料を用い、レーザ回折/散乱式粒度分布測定装置LA−920(商品名、HORIBA社製)を用いて、温度25℃で測定用石英セルを使用してデータ取り込みを50回行い、得られた体積平均粒子径を粒径とする。その他の詳細な条件等は必要によりJIS Z 8828:2013「粒子径解析−動的光散乱法」の記載を参照する。1水準につき5つの試料を作製して測定し、その平均値を採用する。
バインダ−a1を構成する樹脂の質量平均分子量は、5,000以上5,000,000未満が好ましく、5,000以上500,000未満がより好ましく、5,000以上100,000未満が更に好ましい。
バインダ−a1を構成する樹脂のガラス転移温度は、上限は80℃以下が好ましく、50℃以下がより好ましく、30℃以下が更に好ましい。下限は特に限定されないが、一般的には−80℃以上である。
上記各種の樹脂は、市販品を用いることができる。また、常法により調製することもできる。
なお、上記で説明した有機高分子化合物は一例であり、本発明におけるバインダーa1はこれらの形態に限定されるものではない。
バインダ−a1の電極活物質層中の含有量は、固体粒子との結着性と、イオン伝導度の両立の点で、電極活物質層中、0.01質量%以上が好ましく、0.1質量%以上がより好ましく、0.5質量%以上が更に好ましい。上限としては、電極活物質層を構成する固形成分中、電池特性の観点から、20質量%以下が好ましく、10質量%以下がより好ましく、7質量%以下が更に好ましく、3質量%以下が特に好ましい。
本発明における電極活物質層において、バインダ−a1の含有量に対する、無機固体電解質と活物質の合計含有量は、質量比で、[(無機固体電解質の含有量+活物質の含有量)/バインダ−a1の含有量]=1,000〜1の範囲が好ましい。この質量比は更に500〜2がより好ましく、100〜10が更に好ましい。
上記電極活物質層はバインダーとして、上記バインダーa1のみを含有してもよいし、上記バインダーa1以外のバインダーを含有してもよい。電極活物質層中に含まれるバインダーの総量に占めるバインダーa1の割合は、50質量%以上が好ましく、70質量%以上がより好ましく、80質量%以上がさらに好ましく、90質量%以上が特に好ましい。また、電極活物質層中に含まれるバインダーのすべてがバインダーa1であることも好ましい。
(分散剤)
本発明の電極活物質層は分散剤を含有してもよい。分散剤を添加することで電極活物質及び無機固体電解質のいずれかの含有量が多い場合及び/又は電極活物質及び無機固体電解質の粒子径が細かく表面積が増大する場合においてもその凝集を抑制し、均一な電極活物質層及び固体電解質層を形成することができる。分散剤としては、全固体二次電池に通常使用されるものを適宜選定して用いることができる。一般的には粒子吸着と立体反発及び/又は静電反発を意図した化合物が好適に使用される。
(リチウム塩)
本発明の電極活物質層は、リチウム塩を含有してもよい。
リチウム塩としては、特に制限はなく、例えば、特開2015−088486号公報の段落0082〜0085記載のリチウム塩が好ましい。
リチウム塩の含有量は、無機固体電解質100質量部に対して0質量部以上が好ましく、5質量部以上がより好ましい。上限としては、50質量部以下が好ましく、20質量部以下がより好ましい。
(イオン液体)
本発明の電極活物質層は、イオン伝導度をより向上させるため、イオン液体を含有してもよい。イオン液体としては、特に限定されないが、イオン伝導度を効果的に向上させる観点から、上述したリチウム塩を溶解するものが好ましい。
(導電助剤)
本発明の電極活物質層は、導電助剤を含有してもよい。導電助剤としては、特に制限はなく、一般的な導電助剤として知られているものを用いることができる。例えば、電子伝導性材料である、天然黒鉛、人造黒鉛などの黒鉛類、アセチレンブラック、ケッチェンブラック、ファーネスブラックなどのカーボンブラック類、ニードルコークスなどの無定形炭素、気相成長炭素繊維やカーボンナノチューブなどの炭素繊維類、グラフェンやフラーレンなどの炭素質材料であっても良いし、銅、ニッケルなどの金属粉、金属繊維でも良く、ポリアニリン、ポリピロール、ポリチオフェン、ポリアセチレン、ポリフェニレン誘導体など導電性高分子を用いても良い。またこれらのうち1種を用いても良いし、2種以上を用いても良い。
電極活物質層の厚みは、10μm〜500μmが好ましく、20〜400μmがより好ましく、20〜200μmがさらに好ましい。
<プライマー層>
プライマー層は、集電体と電極活物質層との接着性を高めるための接着層の役割を担う。プライマー層は、バインダーa1と、バインダーa1以外のバインダーa2とを含有し、電気伝導性を有するものであれば特に限定されない。
(導電性物質)
導電性物質としては、例えば、上述の導電助剤を用いることができる。
プライマー層中の導電性物質の含有量は、合計で2〜50質量%が好ましく、4〜30質量%がより好ましく、5〜20質量%がさらに好ましい。
プライマー層の厚みは0.5〜20μmが好ましく、1〜10μmがより好ましい。
(バインダーa2)
バインダーa2は、集電体に対して親和性を有し、またプライマー層の形成材料(例えば導電性物質)に対して一定の親和性を有するものであれば特に制限はない。バインダーa2の構成材料としては、例えば、ゴム、熱可塑性エラストマー、炭化水素樹脂、シリコーンレジン、(メタ)アクリル樹脂、フッ素ゴムなどの樹脂材料を用いることができる。
ゴムの具体例として、炭化水素ゴム(ブタジエンゴム、スチレン−ブタジエンゴム、アクリロニトリル−ブタジエンゴム、又はこれらの水添ゴム)、フッ素ゴム(ポリビニレンジフルオリド(PVdF)、ビニリデンフルオリドとヘキサフルオロプロピレンとの共重合体、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)など)、セルロースゴム及びアクリルゴム(アクリル酸エステルなど)が挙げられる。
熱可塑性エラストマーの具体例として、スチレンとエチレンとブチレンとの共重合体、オレフィン系エラストマー、ウレタン系エラストマー、エステル系エラストマー及びアミド系エラストマーが挙げられる。エラストマーとは、いわゆるハードセグメントとソフトセグメントとを含む樹脂を意味する。
炭化水素樹脂の具体例として、スチレンーブタジエン、ポリオレフィンが挙げられる。炭化水素樹脂は、少なくとも1種の構成成分が炭化水素化合物成分であり、ゴム以外かつ熱可塑性エラストマー以外の樹脂を意味する。
これらの中でも、炭化水素樹脂、(メタ)アクリル樹脂、ゴム及び熱可塑性エラストマーが好ましく、炭化水素樹脂、炭化水素ゴム及び(メタ)アクリル樹脂がより好ましい。
バインダーa2は、プライマー層中において粒子状でもよいし、非粒子状でもよい。
バインダーa2を構成する樹脂の質量平均分子量は5,000以上が好ましく、10,000以上がより好ましく、20,000以上がさらに好ましい。上限としては、1,000,000以下が好ましく、200,000以下がより好ましく、100,000以下がさらに好ましい。
本発明の電極シートにおいて、プライマー層中のバインダーa1及びバインダーa2は、プライマー層中に均一に存在するものではなく、電極層との界面近傍における上記バインダーa1の含有量が、集電体との界面近傍におけるバインダーa1の含有量よりも多い。より詳細には、プライマー層を厚み方向に6等分した6層のサブ層を想定し、電極活物質層側から集電体の側に向けて順に第1サブ層〜第6サブ層とした場合に、第1サブ層中のバインダーa1とバインダーa2との合計に占めるバインダーa1の割合B1と、第6サブ層中のバインダーa1とバインダーa2との合計に占めるバインダーa1の割合B6の関係が、B1>B6を満たす。プライマー層がバインダーa1とバインダーa2をこのような分布で含むことにより、電極活物質層と集電体との密着性を効果的に高めることができる。この理由は定かではないが、電極層との界面近傍に存在するバインダーa1が、電極層の固体粒子と相互作用して電極層との界面を強固にすること、他方、集電体との界面ではバインダーa2が集電体(金属箔)と相互作用し、集電体との界面を強固にすることが一因と考えられる。なお、「B1>B6を満たす」とは、B6が0の形態(第6サブ層がバインダーa1を含有しない形態)を含む。
第1サブ層中のバインダーa1の含有量は、0.1〜10質量%が好ましく、0.2〜5質量%がより好ましく、0.5〜3質量%がさらに好ましい。また、第6サブ層中のバインダーa1の含有量は、0〜3質量%が好ましく、0〜1質量%がより好ましく、0〜0.5質量%がさらに好ましい。
第1サブ層中のバインダーa1の含有量と、第1サブ層に接する電極活物質層中のバインダーa1の含有量との関係は特に制限されない。例えば、第1サブ層中のバインダーa1の含有量は、電極活物質層中のバインダーa1の含有量と同じとしたり、それよりも少なくしたりすることができる。
上記プライマー層は、第2サブ層から第1サブ層に向けて、各サブ層中の、バインダーa1とバインダーa2との合計に占めるバインダーa1の割合が増加している形態(形態−1と称す。)であることが好ましい。こうすることにより、電極活物質層と集電体との密着性をより高めることができる。その理由は定かではないが、例えば、第1サブ層にのみバインダーa1が含まれる形態に比べて、第2サブ層にも一定量のバインダーa1が含まれることにより、プライマー層がより強固になることが一因と考えられる。(同様の効果は、後記形態−2〜形態−4においても得ることができる。)
形態−1において、第1サブ層中のバインダーa1とバインダーa2との合計に占めるバインダーa1の割合B1、第2サブ層中のバインダーa1とバインダーa2との合計に占めるバインダーa1の割合B2としたとき、B2/B1は、1/10<B2/B1<1/1が好ましく、1/5<B2/B1<1/1.1がより好ましく、1/2<B2/B1<1/1.2がさらに好ましい。
形態−1において、第3サブ層〜第6サブ層は、それぞれ独立に、バインダーa1を含有してもよいし、含有しなくてもよい。また、第3サブ層〜第6サブ層のうちバインダーa1を含有するサブ層中の、バインダーa1とバインダーa2との合計に占めるバインダーa1の割合は、上記B1よりも小さいことが好ましい。
上記プライマー層のより好ましい形態は、上記プライマー層が、第3サブ層から第1サブ層に向けて、各サブ層中の、バインダーa1とバインダーa2との合計に占めるバインダーa1の割合が順に増加している形態(形態−2と称す。)である。
形態−2において、上記割合B1とB2との好ましい関係は、上記形態−1における好ましい関係と同じである。
また、形態−2において、上記割合B2と、第3サブ層中のバインダーa1とバインダーa2との合計に占めるバインダーa1の割合B3との関係は、1/10<B3/B2<1/1が好ましく、1/5<B3/B2<1/1.1がより好ましく、1/2<B3/B2<1/1.2がさらに好ましい。
形態−2において、第4サブ層〜第6サブ層は、それぞれ独立に、バインダーa1を含有してもよいし、含有しなくてもよい。また、第4サブ層〜第6サブ層のうちバインダーa1を含有するサブ層中の、バインダーa1とバインダーa2との合計に占めるバインダーa1の割合は、上記B1よりも小さいことが好ましい。
上記プライマー層は、第4サブ層から第1サブ層に向けて、各サブ層中の、バインダーa1とバインダーa2との合計に占めるバインダーa1の割合が順に増加している形態(形態−3と称す。)であることも好ましい。
形態−3において、上記割合B1とB2との好ましい関係は、上記形態−1における好ましい関係と同じである。また、上記割合B2とB3との好ましい関係は、上記形態−2における好ましい関係と同じである。
また、形態−3において、上記割合B3と、第4サブ層中のバインダーa1とバインダーa2との合計に占めるバインダーa1の割合B4との関係は、1/10<B4/B3<1/1が好ましく、1/5<B4/B3<1/1.1がより好ましく、1/2<B4/B3<1/1.2がさらに好ましい。
形態−3において、第5サブ層〜第6サブ層は、それぞれ独立に、バインダーa1を含有してもよいし、含有しなくてもよい。また、第5サブ層〜第6サブ層のうちバインダーa1を含有するサブ層中の、バインダーa1とバインダーa2との合計に占めるバインダーa1の割合は、上記B1よりも小さいことが好ましい。
また、第5サブ層から第1サブ層に向けて、各サブ層中の、バインダーa1とバインダーa2との合計に占めるバインダーa1の割合が順に増加している形態(形態−4と称す。)であることも好ましい。
形態−4において、上記割合B1とB2との好ましい関係は、上記形態−1における好ましい関係と同じである。また、上記割合B2とB3との好ましい関係は、上記形態−2における好ましい関係と同じである。また、上記割合B3とB4との好ましい関係は、上記形態−3における好ましい関係と同じである。
また、形態−4において、上記割合B4と、第5サブ層中のバインダーa1とバインダーa2との合計に占めるバインダーa1の割合B5との関係は、1/10<B5/B4<1/1が好ましく、1/5<B5/B4<1/1.1がより好ましく、1/2<B5/B4<1/1.2がさらに好ましい。
形態−4において、第6サブ層は、バインダーa1を含有してもよいし、含有しなくてもよい。第6サブ層がバインダーa1を含有する場合、上記割合B5と、第6サブ層中のバインダーa1とバインダーa2との合計に占めるバインダーa1の割合B6との関係は、1/10<B6/B5≦1/1が好ましく、1/5<B6/B5≦1/1がより好ましく、1/2<B6/B5≦1/1がさらに好ましい。
プライマー層中、バインダーa1とバインダーa2の含有量の合計は、0.1〜10質量%が好ましく、0.5〜5質量%がより好ましい。また、プライマー層中、バインダーa1とバインダーa2の含有量の質量比は、バインダーa1/バインダーa2=1/500〜1/10が好ましく、1/400〜1/20がより好ましく、1/200〜1/50がさらに好ましい。
また、プライマー層はバインダーa1以外かつバインダーa2以外のバインダーを含有してもよい。この場合、プライマー層中のバインダーの総含有量に占める、バインダーa1とバインダーa2の合計含有量の割合は、50質量%以上が好ましく、70質量%以上がより好ましく、80質量%以上がさらに好ましく、90質量%以上が特に好ましい。プライマー層に含まれるバインダーは、バインダーa1とバインダーa2からなることも好ましい。
本発明の電極シートにおいて、バインダーa1に相当し得るバインダーが2種以上存在する場合、いずれか一方をバインダーa1としたときに本発明の規定を満せば、この電極シートは本発明の電極シートである。このことは、バインダーa2についても同様である。したがって、バインダーa1に相当し得るバインダーが2種以上存在し、かつ、バインダーa2に相当し得るバインダーも2種以上存在する場合には、バインダーa1に相当し得るバインダーのいずれか1種と、バインダーa2に相当し得るバインダーのいずれか1種との組み合わせが本発明の規定を満せば、この電極シートは本発明の電極シートである。
各層ないし各サブ層中のバインダーの含有量は、例えば、SAICAS@(Surface And Interfacial Cutting Analysis System)を用いて、プライマー層を削り出し、その削り出したプライマー層中の有機成分をNMR並びにラマン分光測定で同定することにより決定することができる。
本発明の電極シートは、集電体と、プライマー層と、電極活物質層とを有していれば、他の層を有してもよい。他の層としては、例えば、保護層及び固体電解質層が挙げられる。
本発明の電極シートは、全固体二次電池に好適に用いることができる。本発明の電極シートは、本発明の全固体二次電池の電極を形成するのに好適なシートであり、集電体としての金属箔上にプライマー層と電極活物質層とを有する。この電極シートは、通常、集電体、プライマー層及び電極活物質層をこの順に有するシートである。また、本発明の電極シートの形態として、集電体、プライマー層、電極活物質層及び固体電解質層をこの順に有する態様; 集電体、プライマー層、電極(正極又は負極)活物質層、固体電解質層及び電極(負極又は正極)活物質層をこの順に有する態様;等も挙げられる。
固体電解質層は、例えば、上述した電極活物質層の組成において、活物質を無機固体電解質に置き換えた形態とすることができる。固体電解質層の厚さは、10μm〜500μmが好ましく、20〜400μmがより好ましく、20〜200μmがさらに好ましい。
[全固体二次電池]
本発明の全固体二次電池は、本発明の電極シートを有する。本発明の全固体二次電池の具体的構成としては、正極と、この正極に対向する負極と、正極及び負極の間の固体電解質層とを有する。正極は、正極集電体上に正極活物質層を有する。負極は、負極集電体上に負極活物質層を有する。正極及び負極の少なくともいずれか一方の電極は、本発明の電極シートを用いて形成される。この電極シートを用いた構成において、集電体と活物質層との間にはプライマー層(図1中には図示していない)を有する。
以下に、図1を参照して、本発明の好ましい実施形態について説明するが、本発明はこれに限定されない。
図1は、本発明の好ましい実施形態に係る全固体二次電池(リチウムイオン二次電池)を模式化して示す断面図である。本実施形態の全固体二次電池10は、負極側からみて、負極集電体1、負極活物質層2、固体電解質層3、正極活物質層4、正極集電体5を、この順に有する。各層はそれぞれ接触しており、積層した構造をとっている。このような構造を採用することで、充電時には、負極側に電子(e)が供給され、そこにリチウムイオン(Li)が蓄積される。一方、放電時には、負極に蓄積されたリチウムイオン(Li)が正極側に戻され、作動部位6に電子が供給される。図示した例では、作動部位6に電球を採用しており、放電によりこれが点灯するようにされている。図1において図示していないが、負極集電体1と負極活物質層2との間及び/又は正極活物質層4と正極集電体5との間にそれぞれプライマー層を有する。
正極活物質層4、固体電解質層3及び負極活物質層2が含有する各成分は、特に断らない限り、それぞれ、互いに同種であっても異種であってもよい。
本明細書において、電極活物質層(正極活物質層(以下、正極層とも称す。)と負極活物質層(以下、負極層とも称す。))を活物質層と称することがある。
なお、図1に示す層構成を有する全固体二次電池を2032型コインケースに入れる場合、図1に示す層構成を有する全固体二次電池を全固体二次電池用積層体と称し、この全固体二次電池用積層体を2032型コインケースに入れて作製した電池を全固体二次電池と称して呼び分けることもある。
本発明において、負極活物質層、固体電解質層及び/若しくは正極活物質層の各層の間又は負極集電体及び/若しくは正極集電体の外側には、機能性の層や部材等を適宜介在ないし配設してもよい。また、各層は単層で構成されていても、複層で構成されていてもよい。
〔筐体〕
上記の各層を配置して全固体二次電池の基本構造を作製することができる。用途によってはこのまま全固体二次電池として使用してもよいが、乾電池の形態とするためにはさらに適当な筐体に封入して用いる。筐体は、金属性のものであっても、樹脂(プラスチック)製のものであってもよい。金属性のものを用いる場合には、例えば、アルミニウム合金及びステンレス鋼製のものを挙げることができる。金属性の筐体は、正極側の筐体と負極側の筐体に分けて、それぞれ正極集電体及び負極集電体と電気的に接続させることが好ましい。正極側の筐体と負極側の筐体とは、短絡防止用のガスケットを介して接合され、一体化されることが好ましい。
<全固体二次電池用電極シートの製造>
本発明の全固体二次電池用電極シートは、プライマー層を特定構成とすること以外は、常法により製造することができる。以下、本発明の全固体二次電池用電極シートの製造方法の具体例を示す。
(プライマー層形成用組成物の調製)
プライマー層形成用組成物は、少なくともバインダーa1とバインダーa2と導電性物質とを溶媒の存在下で混合して、スラリー化ないしは溶液とすることで調製される。プライマー層形成用組成物は、例えば、バインダーa1とバインダーa2の量比が異なるものを複数用意する。
上記混合は、各種の混合機を用いてバインダーと導電助剤と溶媒とを混合することにより行うことができる。混合装置としては、特に限定されないが、例えば、ボールミル、ビーズミル、プラネタリミキサ―、ブレードミキサ―、ロールミル、ニーダー及びディスクミルが挙げられる。混合条件は特に制限されないが、例えば、ボールミルを用いた場合、150〜700rpm(rotation per minute)で1時間〜24時間混合することが好ましい。混合後、必要に応じてろ過してもよい。
上記混合において、酸化防止剤、分散安定剤等の成分を混合してもよい。
(電極形成用組成物の調製)
電極形成用組成物は、プライマー層形成用組成物と同様にして、少なくとも無機固体電解質と活物質とバインダーa1とを分散媒の存在下で分散して、スラリー化することで調製することができる。
(電極シートの形成)
上記プライマー層形成用組成物を集電体上に塗布、乾燥してプライマー層を形成する。このプライマー層の形成に当たっては、バインダーa1とバインダーa2の量比が異なる複数のプライマー層形成用組成物を、順次、塗布し、乾燥等することにより、本発明の規定を満たすプライマー層を形成することができる。
次いで、上記電極形成用組成物をプライマー層上に塗布し、必要により加熱して、乾燥し、電極活物質層を形成する。
プライマー層及び電極活物質層の形成について、後述の各層の形成の記載を適用することができる。
−分散媒又は溶媒−
上記プライマー層形成用組成物及び電極形成用組成物の調製に用いられる分散媒又は溶媒の具体例としては下記のものが挙げられる。
アルコール化合物としては、例えば、メチルアルコール、エチルアルコール、1−プロピルアルコール、2−ブタノール、エチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン、1,6−ヘキサンジオール、1,3−ブタンジオール及び1,4−ブタンジオールが挙げられる。
エーテル化合物としては、アルキレングリコールアルキルエーテル(エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコールジメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル等)、ジアルキルエーテル(ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、ジブチルエーテル等)、テトラヒドロフラン、ジオキサン(1,2−、1,3−及び1,4−の各異性体を含む)が挙げられる。
アミド化合物としては、例えば、N,N−ジメチルホルムアミド、1−メチル−2−ピロリドン、2−ピロリジノン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、2−ピロリジノン、ε−カプロラクタム、ホルムアミド、N−メチルホルムアミド、アセトアミド、N−メチルアセトアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルプロパンアミド及びヘキサメチルホスホリックトリアミドが挙げられる。
アミノ化合物としては、例えば、トリエチルアミン及びトリブチルアミンが挙げられる。
ケトン化合物としては、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、ジエチルケトン、ジプロピルケトン、ジブチルケトン、が挙げられる。
エステル系化合物としては、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル、酢酸ペンチル、酢酸ヘキシル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、プロピオン酸プロピル、プロピオン酸ブチル、酪酸メチル、酪酸エチル、酪酸プロピル、酪酸ブチル、酪酸ペンチル、吉草酸メチル、吉草酸エチル、吉草酸プロピル、吉草酸ブチル、カプロン酸メチル、カプロン酸エチル、カプロン酸プロピル、カプロン酸ブチル等が挙げられる。
芳香族化合物としては、例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン及びメシチレンが挙げられる。
脂肪族化合物としては、例えば、ヘキサン、ヘプタン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、オクタン、ペンタン、シクロペンタン及びシクロオクタンが挙げられる。
ニトリル化合物としては、例えば、アセトニトリル、プロピロニトリル及びブチロニトリルが挙げられる。
なお、プライマー層形成用組成物の溶媒として、上記の他に水が挙げられる。
溶媒ないし分散媒は常圧(1気圧)での沸点が50℃以上であることが好ましく、70℃以上であることがより好ましい。上限は250℃以下であることが好ましく、220℃以下であることがさらに好ましい。上記溶媒ないし分散媒は、1種を単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
なお、上記では、集電体/プライマー層/電極活物質層からなる3層構成の電極シートについて説明したが、本発明の電極シートは、集電体/プライマー層/電極活物質層/固体電解質層からなる4層構成としてもよく、集電体/プライマー層/電極(正極又は負極)活物質層/固体電解質層/電極(負極又は正極)活物質層からなる5層構成であってもよい。この場合、最上層を構成する固体電解質層及び電極活物質層は、上述した層形成方法に準じて、各層の構成成分を溶媒中に溶解ないし分散してなる組成物を調製し、この組成物を塗布することにより形成することができる。
<全固体二次電池の製造>
全固体二次電池の製造は、本発明の電極シートを用いること以外は、常法により製造することができる。例えば、電極シート上に必要な層を積層したり、本発明の電極シートを組み合わせたりして、電池構成に必要な積層体を形成し、必要により加圧し、製造することができる。積層体は、必要によりこれを筐体に封入して所望の全固体二次電池とすることができる。
(各層の形成(成膜))
固体電解質組成物の塗布方法は、特に限定されず、適宜に選択できる。例えば、塗布(好ましくは湿式塗布)、スプレー塗布、スピンコート塗布、ディップコート、スリット塗布、ストライプ塗布及びバーコート塗布が挙げられる。
このとき、固体電解質組成物は、それぞれ塗布した後に乾燥処理を施してもよいし、重層塗布した後に乾燥処理をしてもよい。乾燥温度は特に限定されない。下限は30℃以上が好ましく、60℃以上がより好ましく、80℃以上がさらに好ましい。上限は、300℃以下が好ましく、250℃以下がより好ましく、200℃以下がさらに好ましい。このような温度範囲で加熱することで、分散媒を除去し、固体状態にすることができる。また、温度を高くしすぎず、全固体二次電池の各部材を損傷せずに済むため好ましい。これにより、全固体二次電池において、優れた総合性能を示し、かつ良好な結着性を得ることができる。
上記各組成物を塗布した後、又は、全固体二次電池を作製した後に、各層又は全固体二次電池を加圧することが好ましい。また、各層を積層した状態で加圧することも好ましい。加圧方法としては油圧シリンダープレス機等が挙げられる。加圧力としては、特に限定されず、一般的には50〜1500MPaの範囲であることが好ましい。
また、塗布した固体電解質組成物は、加圧と同時に加熱してもよい。加熱温度としては、特に限定されず、一般的には30〜300℃の範囲である。無機固体電解質のガラス転移温度よりも高い温度でプレスすることもできる。
加圧は塗布溶媒又は分散媒をあらかじめ乾燥させた状態で行ってもよいし、溶媒又は分散媒が残存している状態で行ってもよい。
なお、各組成物は同時に塗布しても良いし、塗布乾燥プレスを同時及び/又は逐次行っても良い。別々の基材に塗布した後に、転写により積層してもよい。
加圧中の雰囲気としては、特に限定されず、大気下、乾燥空気下(露点−20℃以下)及び不活性ガス中(例えばアルゴンガス中、ヘリウムガス中、窒素ガス中)などいずれでもよい。
プレス時間は短時間(例えば数時間以内)で高い圧力をかけてもよいし、長時間(1日以上)かけて中程度の圧力をかけてもよい。全固体二次電池用シート以外、例えば全固体二次電池の場合には、中程度の圧力をかけ続けるために、全固体二次電池の拘束具(ネジ締め圧等)を用いることもできる。
プレス圧はシート面等の被圧部に対して均一であっても異なる圧であってもよい。
プレス圧は被圧部の面積や膜厚に応じて変化させることができる。また同一部位を段階的に異なる圧力で変えることもできる。
プレス面は平滑であっても粗面化されていてもよい。
(初期化)
上記のようにして製造した全固体二次電池は、製造後又は使用前に初期化を行うことが好ましい。初期化は、特に限定されず、例えば、プレス圧を高めた状態で初充放電を行い、その後、全固体二次電池の一般使用圧力になるまで圧力を開放することにより、行うことができる。
<全固体二次電池の用途>
本発明の全固体二次電池は種々の用途に適用することができる。適用態様には特に限定はないが、例えば、電子機器に搭載する場合、ノートパソコン、ペン入力パソコン、モバイルパソコン、電子ブックプレーヤー、携帯電話、コードレスフォン子機、ページャー、ハンディーターミナル、携帯ファックス、携帯コピー、携帯プリンター、ヘッドフォンステレオ、ビデオムービー、液晶テレビ、ハンディークリーナー、ポータブルCD、ミニディスク、電気シェーバー、トランシーバー、電子手帳、電卓、携帯テープレコーダー、ラジオ、バックアップ電源、メモリーカードなどが挙げられる。その他、民生用として、自動車(電気自動車等)、電動車両、モーター、照明器具、玩具、ゲーム機器、ロードコンディショナー、時計、ストロボ、カメラ、医療機器(ペースメーカー、補聴器、肩もみ機など)などが挙げられる。更に、各種軍需用、宇宙用として用いることができる。また、太陽電池と組み合わせることもできる。
全固体二次電池とは、正極、負極、電解質がともに固体で構成された二次電池を言う。換言すれば、電解質としてカーボネート系の溶媒を用いるような電解液型の二次電池とは区別される。このなかで、本発明は無機全固体二次電池を前提とする。全固体二次電池には、電解質としてポリエチレンオキサイド等の高分子化合物を用いる有機(高分子)全固体二次電池と、上記のLi−P−S系ガラス、LLT又はLLZ等を用いる無機全固体二次電池とに区分される。なお、無機全固体二次電池に有機化合物を適用することは妨げられず、正極活物質、負極活物質、無機固体電解質のバインダーや添加剤として有機化合物を適用することができる。
無機固体電解質とは、上述した高分子化合物をイオン伝導媒体とする電解質(高分子電解質)とは区別されるものであり、無機化合物がイオン伝導媒体となるものである。具体例としては、上記のLi−P−S系ガラス、LLTやLLZが挙げられる。無機固体電解質は、それ自体が陽イオン(Liイオン)を放出するものではなく、イオンの輸送機能を示すものである。これに対して、電解液ないし固体電解質層に添加して陽イオン(Liイオン)を放出するイオンの供給源となる材料を電解質と呼ぶことがある。上記のイオン輸送材料としての電解質と区別する際には、これを「電解質塩」又は「支持電解質」と呼ぶ。電解質塩としては、例えばLiTFSIが挙げられる。
本発明において「組成物」というときには、2種以上の成分が均一に混合された混合物を意味する。ただし、実質的に均一性が維持されていればよく、所望の効果を奏する範囲で、一部において凝集や偏在が生じていてもよい。
本発明を実施例に基づきさらに詳細に説明するが、本発明のこれらの実施例に限定されるものではない。
<硫化物系無機固体電解質(Li−P−S系)の合成例>
硫化物系無機固体電解質として、T.Ohtomo,A.Hayashi,M.Tatsumisago,Y.Tsuchida,S.HamGa,K.Kawamoto,Journal of Power Sources,233,(2013),pp231−235およびA.Hayashi,S.Hama,H.Morimoto,M.Tatsumisago,T.Minami,Chem.Lett.,(2001),pp872−873を参照して、Li−P−S系固体電解質を合成した。
具体的には、アルゴン雰囲気下(露点−70℃)のグローブボックス内で、硫化リチウム(LiS、Aldrich社製、純度>99.98%)2.42g及び五硫化二リン(P、Aldrich社製、純度>99%)3.90gをそれぞれ秤量し、メノウ製乳鉢に投入し、メノウ製乳棒を用いて、5分間混合した。LiS及びPの混合比は、モル比でLiS:P=75:25とした。
ジルコニア製45mL容器(フリッチュ社製)に、直径5mmのジルコニアビーズを66g投入し、上記の硫化リチウムと五硫化二リンの混合物全量を投入し、アルゴン雰囲気下で容器を完全に密閉した。フリッチュ社製遊星ボールミルP−7(商品名、フリッチュ社製)に容器をセットし、温度25℃で、回転数510rpmで20時間メカニカルミリングを行うことで、黄色粉体の硫化物系無機固体電解質(Li−P−Sガラス、Li−P−Sと表記することがある。)6.20gを得た。得られたLi−P−S系ガラス(A−1)のイオン伝導度は0.8×10−3S/cmであった。
[固体電解質組成物の調製]
ジルコニア製45mL容器(フリッチュ社製)に、直径5mmのジルコニアビーズを180個投入し、上記で合成したLi−P−S系ガラス(A−1)9.7g、バインダーa1としてPVdF−HFP(フッ化ビニリデンとヘキサフルオロプロピレンとの共重合体)(アルケマ社製)0.3g、分散媒体としてヘプタン/テトラヒドロフラン混合溶媒を15g投入した。その後、この容器を遊星ボールミルP−7(商品名、フリッチュ社製)にセットし、温度25℃、回転数300rpmで2時間攪拌を続けた。このようにして、固体電解質組成物(S−1)を調製した。
[正極形成用組成物の調製]
ジルコニア製45mL容器(フリッチュ社製)に、直径3mmのジルコニアビーズを50個投入し、上記で調製した固体電解質組成物(S−1)を0.5g加えた。これに正極活物質NMC(111)を4.37gおよび導電助剤A(アセチレンブラック)を0.09g加え、その後、この容器を遊星ボールミルP−7(フリッチュ社製)にセットし、温度25℃、回転数100rpmで15分間攪拌を続け、正極形成用組成物AS−1を調製した。
[負極形成用組成物の調製]
<負極形成用組成物BS−1の調製>
ジルコニア製45mL容器(フリッチュ社製)に、直径3mmのジルコニアビーズを50個投入し、上記で調製した固体電解質組成物(S−1)を2.1g加えた。これに負極活物質として黒鉛を3g加え、その後、この容器を遊星ボールミルP−7(フリッチュ社製)にセットし、温度25℃、回転数100rpmで15分間攪拌を続け、負極形成用組成物BS−1を調製した。
[プライマー層形成用組成物の調製]
<バインダーa1を含有しない組成物の調製>
バインダーa2としてスチレン−ブタジエンゴム(SBR)をトルエン溶液に溶解させ、固形分10質量%のポリマー溶液を調製した。さらに、導電性物質としてアセチレンブラックを投入し、バインダ−a2:アセチレンブラック=92:8(質量比)となるように混合し、さらにトルエンを加え固形分濃度を5質量%に調整することにより、バインダーa1を含有しない、プライマー層形成用組成物(B―a1−0)を作製した。
<バインダーa1を含有する組成物の調製−1>
バインダ−a2としてSBRをトルエン溶液に溶解させ、固形分10質量%のポリマー溶液を調製した。さらに、このバインダーa2に対し、バインダ−a1を、[バインダ−a2]:[バインダーa1]=99:1(質量比)となるように添加し、固形分濃度10質量%となる溶液を作製した。さらに導電性物質としてアセチレンブラックを投入し、[バインダーa2+バインダーa1]:[アセチレンブラック]=92:8(質量比)の比率となるように混合し、さらにトルエンを加え固形分濃度を5質量%に調整することにより、バインダー総量に占めるバインダーa1の割合が1質量%であるプライマー層形成用組成物(B―a1−1)を調製した。
<バインダーa1を含有する組成物の調製−2>
バインダ−a2としてSBRをトルエン溶液に溶解させ、固形分10質量%のポリマー溶液を調製した。さらに、このバインダーa2に対し、バインダ−a1を、[バインダ−a2]:[バインダーa1]=99.2:0.8(質量比)となるように添加し、固形分濃度10質量%となる溶液を作製した。さらに導電性物質としてアセチレンブラックを投入し、[バインダーa2+バインダーa1]:[アセチレンブラック]=92:8(質量比)の比率となるように混合し、さらにトルエンを加え固形分濃度を5質量%に調整することにより、バインダー総量に占めるバインダーa1の割合が0.8質量%であるプライマー層形成用組成物(B―a1−0.8)を調製した。
<バインダーa1を含有する組成物の調製−3>
バインダ−a2としてSBRをトルエン溶液に溶解させ、固形分10質量%のポリマー溶液を調製した。さらに、このバインダーa2に対し、バインダ−a1を、[バインダ−a2]:[バインダーa1]=99.4:0.6(質量比)となるように添加し、固形分濃度10質量%となる溶液を作製した。さらに導電性物質としてアセチレンブラックを投入し、[バインダーa2+バインダーa1]:[アセチレンブラック]=92:8(質量比)の比率となるように混合し、さらにトルエンを加え固形分濃度を5質量%に調整することにより、バインダー総量に占めるバインダーa1の割合が0.6質量%であるプライマー層形成用組成物(B―a1−0.6)を調製した。
<バインダーa1を含有する組成物の調製−4>
バインダ−a2としてSBRをトルエン溶液に溶解させ、固形分10質量%のポリマー溶液を調製した。さらに、このバインダーa2に対し、バインダ−a1を、[バインダ−a2]:[バインダーa1]=99.6:0.4(質量比)となるように添加し、固形分濃度10質量%となる溶液を作製した。さらに導電性物質としてアセチレンブラックを投入し、[バインダーa2+バインダーa1]:[アセチレンブラック]=92:8(質量比)の比率となるように混合し、さらにトルエンを加え固形分濃度を5質量%に調整することにより、バインダー総量に占めるバインダーa1の割合が0.4質量%であるプライマー層形成用組成物(B―a1−0.4)を調製した。
<バインダーa1を含有する組成物の調製−5>
バインダ−a2としてSBRをトルエン溶液に溶解させ、固形分10質量%のポリマー溶液を調製した。さらに、このバインダーa2に対し、バインダ−a1を、[バインダ−a2]:[バインダーa1]=99.8:0.2(質量比)となるように添加し、固形分濃度10質量%となる溶液を作製した。さらに導電性物質としてアセチレンブラックを投入し、[バインダーa2+バインダーa1]:[アセチレンブラック]=92:8(質量比)の比率となるように混合し、さらにトルエンを加え固形分濃度を5質量%に調整することにより、バインダー総量に占めるバインダーa1の割合が0.2質量%であるプライマー層形成用組成物(B―a1−0.2)を調製した。
[電極(正極)シートの作製−1]
<プライマー層の形成>
上記で調製したプライマー層形成用組成物(B―a1−0)を、クリアランス50μmの塗布バーを用いて、乾燥後の厚みが1μmになるようにバーを動かす速度を調整して、アルミ箔(集電体)上に塗布した。150℃のオーブンで30分間乾燥し、第6サブ層を形成した。
同様にして、第6サブ層上に、プライマー層形成用組成物(B―a1−0.2)を塗布し、乾燥して第5サブ層を形成した。
同様にして、第5サブ層上に、プライマー層形成用組成物(B―a1−0.4)を塗布し、乾燥して第4サブ層を形成した。
同様にして、第4サブ層上に、プライマー層形成用組成物(B―a1−0.6)を塗布し、乾燥して第3サブ層を形成した。
同様にして、第3サブ層上に、プライマー層形成用組成物(B―a1−0.8)を塗布し、乾燥して第2サブ層を形成した。
同様にして、第2サブ層上に、プライマー層形成用組成物(B―a1−1)を塗布し、乾燥して第1サブ層を形成した。
こうして、集電体上に、厚み約6μmのプライマー層を形成した。
<正極活物質層の形成>
上記で形成したプライマー層上(第1サブ層上)に、上記で調製した正極形成用組成物AS−1を、アプリケーター(商品名:SA−201ベーカー式アプリケーター、テスター産業社製)により塗布した。80℃で1時間加熱後、さらに110℃で1時間加熱し、正極形成用組成物を乾燥させた。その後、ヒートプレス機を用いて、加熱(120℃)しながら加圧し(180MPa、1分)、正極活物質層/プライマー層/アルミ箔の3層構造を有する全固体二次電池用正極シートを作製した。正極活物質層の厚みは80μmであった。正極活物質層の質量は1cm辺り、22mgであった(アルミ箔を除く)。
こうして、実施例1−1の正極シートを作製した。
各サブ層の形成に用いるプライマー層形成用組成物を下表に示す通りに変更したこと以外は、上記と同様にして、実施例1−2、実施例1−3、比較例1−1、比較例1−2の各正極シートを作製した。
Figure 0006899486
上記[電極(正極)シートの作製−1]において、バインダーa1としてPVdF−HFPに代えて、下記の通り調製したアクリルラテックスに変更したこと以外は、[電極(正極)シートの作製−1]と同様にして、下表に示すプライマー層の構成の正極シート(実施例2−1、実施例2−2、実施例2−3、比較例2−1、比較例2−2)を作製した。
(アクリルラテックスの調製)
前駆体であるマクロモノマーを以下の通りに合成した。
還流冷却管、ガス導入コックを付した1L三口フラスコにトルエンを190質量部加え、流速200mL/minにて窒素ガスを10分間導入した後に80℃に昇温した。これに、別容器にて調製した液(下記処方α)を2時間かけて滴下し、80℃で2時間攪拌した。その後、ラジカル重合開始剤V−601(和光純薬工業社製)をさらに0.2g添加し、95℃で2時間攪拌した。攪拌後95℃に保った溶液に2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−1−オキシル(東京化成工業社製)を0.025質量部、メタクリル酸グリシジル(和光純薬工業社製)を13質量部、テトラブチルアンモニウムブロミド(東京化成工業社製)を2.5質量部加えて120℃3時間攪拌した。得られた混合物を室温まで冷却したのちメタノールに加えて沈殿させ、沈殿物をろ取後、メタノールで2回洗浄し、ヘプタン300部を加えて溶解させた。得られた溶液の一部を減圧留去することでマクロモノマーM−1の溶液を得た。質量平均分子量は16,000であった。
(処方α)
メタクリル酸ドデシル (和光純薬工業社製) 150質量部
メタクリル酸メチル(和光純薬工業社製) 59質量部
3−メルカプトイソ酪酸 (東京化成工業社製) 2質量部
V−601 (和光純薬工業社製) 2.0質量部
還流冷却管、ガス導入コックを付した1L三口フラスコにヘプタンを160質量部加え、流速200mL/minにて窒素ガスを10分間導入した後に80℃に昇温した。これに、別容器にて調製した液(アクリル酸ヒドロキシエチルA−10(和光純薬工業社製)90質量部、アクリル酸(和光純薬工業社製)7質量部、上記のマクロモノマーM−1を41質量部(固形分量)、ラジカル重合開始剤V−601(商品名、和光純薬工業社製)を1.4質量部混合した液)を2時間かけて滴下し、その後80℃で2時間攪拌した。その後、得られた混合物にV−601をさらに2.0g添加し、90℃で2時間攪拌した。得られた溶液をヘプタンで希釈し、アクリルラテックスの分散液を得た。質量平均分子量は89,000、粒径は200nmであった。
Figure 0006899486
[全固体二次電池の作製]
上記で調製した負極形成用組成物BS−1を、アプリケーターを用い集電体(銅箔)の上に塗布し、乾燥して、集電体上に負極活物質層が形成された全固体二次電池用負極シートを得た。この負極シート上に、上記で調製した固体電解質組成物を、アプリケーターを用いて塗布した。これを乾燥することにより、固体電解質層/負極活物質層/銅箔の3層構造を有する、全固体二次電池用負極−固体電解質シートを得た。このシートを12mmφの打ち抜き機で打ち出し、直径12mmの全固体二次電池用負極−固体電解質シートを得た。
上記で作製した正極シートを直径10mmに打ち抜き、正極活物質層の側を、上記の全固体二次電池用負極−固体電解質シートの固体電解質層と合わせて、更にヒートプレス機を用いて、加熱(120℃)しながら加圧(450MPa、1分)した。この積層体をコインケースに封入し、全固体二次電池を得た。
[試験例1] 電極結着性
上記で作製した正極シートに関して、マンドレル試験機を用いた耐屈曲性試験(JIS K5600−5−1に準拠)を行った。正極シートを切り出し、幅50mm、長さ100mmの短冊状の試験片とした。正極活物質層の面をマンドレルとは逆側にセットし、直径32mmのマンドレルを用いて、屈曲させた後、正極活物質層を観察し、ヒビや割れの有無を観察した。ヒビや割れが発生していない場合、マンドレルの径を25、20、16、12、10、8、6、5、4、3、2mmと徐々に小さくしていき、ヒビや割れが発生したマンドレルの径の最大値を記録した。
なお、ランクC以上が合格レベルである。
A:6mm以下
B:8mm
C:10mm
D:12mm
E:16mm以上
[試験例2] 放電負荷特性試験
上記で作製した全固体二次電池を用い、25℃の環境下、充電電流値0.4mA/cmとし、放電電流値を0.4mA/cmとして、4.2V〜3.0Vの充放電を4回繰り返した。
その後、25℃の環境下、充電電流値0.6mA/cmとして4.2Vまで充電し、次いで、放電電流値を0.6mA/cmとして3.0Vまで放電をした。その後、更に充電電流値を0.6mA/cmとして4.2Vまで充電し、次いで、放電電流値を6mA/cmまで高めて3.0Vまで放電した。
放電電流値を0.6mA/cmとしたときの放電容量(i−1)と、放電電流値を6mA/cmとしたときの放電容量(i−2)とを測定し、下記式により算出した放電容量維持率(%)を下記評価基準に当てはめ評価した。

放電容量維持率(%)=100×(i−2)/(i−1)

−放電負荷特性の評価基準−
A:放電容量維持率が71%以上
B:放電容量維持率が51%〜70%
C:放電容量維持率が31%〜50%
D:放電容量維持率が11%〜30%
E:評価途中で電池異常が生じた、又は放電容量維持率が0%〜10%
「電池異常」とは、充電時に3.5V〜4.2V間の電池電圧を示す領域で、充電時に0.05V/sec以上の電池電圧の低下が認められる現象、又は、放電終了後の開回路電圧が2V以下を示す現象である。
放電容量維持率が高いほど、高放電電流値での放電を、低抵抗で、効率的に行えることを意味する。
[試験例3] サイクル特性試験
上記で作製した全固体二次電池を用い、30℃の環境下、充電電流値を0.5mA/cmとし、放電電流値を0.5mA/cmとして、4.2V〜3.0Vの充放電を4回繰り返した。
その後、30℃の環境下、充電電流値1.0mA/cmとし、放電電流値を1.0mA/cmとして、4.2V〜3.0Vの充放電サイクルを繰り返した。
1サイクル目の放電容量と100サイクル目の放電容量とを測定し、下記式により算出した放電容量維持率(%)を下記評価基準に当てはめ評価した。

放電容量維持率(%)=100×[100サイクル目の放電容量]/[1サイクル目の放電容量]

−サイクル特性の評価基準−
A:放電容量維持率が71%以上
B:放電容量維持率が51%〜70%
C:放電容量維持率が31%〜50%
D:放電容量維持率が11%〜30%
E:100サイクルに満たずに電池異常が生じた、又は、放電容量維持率が0%〜10%
「電池異常」とは、充電時に3.5V〜4.2V間の電池電圧を示す領域で、充電時に0.05V/sec以上の電池電圧の低下が認められる現象、又は、放電終了後の開回路電圧が2V以下を示す現象である。
[試験例4] 耐振動試験
上記で作製した全固体二次電池を用い、30℃の環境下、充電電流値0.5mA/cmおよび放電電流値0.5mA/cmの条件で4.2V〜3.0Vの充放電を4回繰り返した。
その後、30℃の環境下、充電電流値1.0mA/cmとし、放電電流値を1.0mA/cmとして、4.2V〜3.0Vの充放電サイクルを200回繰り返した。
その後、IEC62660−3のVibrationの項に記載の振動試験(RMS 27.8m/sec、最大周波数2000Hz)を行い、電池の状態を観察した。
<評価基準>
A:10個の全固体二次電池のうち、異常がある電池の数が0又は1個
B:10個の全固体二次電池のうち、異常がある電池の数が2又は3個
C:10個の全固体二次電池のうち、異常がある電池の数が4又は5個
D:10個の全固体二次電池のうち、異常がある電池の数が6又は7個
E:10個の全固体二次電池のうち、異常がある電池の数が8個以上
振動試験における異常とは、電池に短絡挙動もしくは10℃以上の発熱を観察した場合と定義する。
上記各試験の結果を下表に示す。
Figure 0006899486
表3の結果から、プライマー層がバインダーa1を含有しない場合には、振動試験において大きく劣る結果となった(比較例1−1、及び2−1)。また、プライマー層がバインダーa1を含有しても、バインダーa1の含有量が各サブ層で同じである場合、やはり振動試験において大きく劣る結果となった(比較例1−2、及び2−2)。
これに対し、本発明の規定を満たす全固体二次電池は、いずれも電極結着性に優れ、放電負荷特性、サイクル特性、及び耐振動性のいずれにおいても優れる結果となった(実施例1−1〜1−3、及び2−1〜2−3)。
本発明をその実施態様とともに説明したが、我々は特に指定しない限り我々の発明を説明のどの細部においても限定しようとするものではなく、添付の請求の範囲に示した発明の精神と範囲に反することなく幅広く解釈されるべきであると考える。
本願は、2018年3月28日に日本国で特許出願された特願2018−062757に基づく優先権を主張するものであり、これはここに参照してその内容を本明細書の記載の一部として取り込む。
1 負極集電体
2 負極活物質層
3 固体電解質層
4 正極活物質層
5 正極集電体
6 作動部位
10 全固体二次電池

Claims (10)

  1. 集電体と、プライマー層と、電極活物質層とをこの順に有する全固体二次電池用電極シートであって、
    前記電極活物質層が、周期律表第1族若しくは第2族に属する金属のイオンの伝導性を有する無機固体電解質と、活物質と、バインダーa1とを含有し、
    前記プライマー層が、バインダーa1と、バインダーa1とは異なるバインダーa2とを含有し、
    前記プライマー層を厚み方向に6等分した6層のサブ層を想定し、電極活物質層側から集電体の側に向けて順に第1サブ層〜第6サブ層とした場合に、第1サブ層中のバインダーa1とバインダーa2との合計に占めるバインダーa1の割合B1と、第6サブ層中のバインダーa1とバインダーa2との合計に占めるバインダーa1の割合B6の関係が、B1>B6を満たす、全固体二次電池用電極シート。
  2. 前記の第2サブ層から第1サブ層に向けて、各サブ層中の、バインダーa1とバインダーa2との合計に占めるバインダーa1の割合が増加している、請求項1記載の全固体二次電池用電極シート。
  3. 前記の第3サブ層から第1サブ層に向けて、各サブ層中の、バインダーa1とバインダーa2との合計に占めるバインダーa1の割合が順に増加している、請求項2記載の全固体二次電池用電極シート。
  4. 前記バインダーa1を構成する樹脂が、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、ポリウレア樹脂、含フッ素樹脂、炭化水素樹脂、ポリウレタン樹脂、又は(メタ)アクリル樹脂である、請求項1〜3のいずれか1項記載の全固体二次電池用電極シート。
  5. 前記バインダーa2が炭化水素樹脂又は炭化水素ゴムである、請求項4記載の全固体二次電池用電極シート。
  6. 前記バインダーa1を構成する樹脂が、酸性官能基、塩基性官能基、ヒドロキシ基、シアノ基、アルコキシシリル基、アリール基、ヘテロアリール基、及び3環以上が縮合した炭化水素環基の少なくとも1種を有する、請求項1〜5のいずれか1項記載の全固体二次電池用電極シート。
  7. 前記バインダーa1が粒径1nm〜10μmの樹脂粒子である、請求項1〜6のいずれか1項記載の全固体二次電池用電極シート。
  8. 前記電極活物質層が正極活物質層である、請求項1〜7のいずれか1項記載の全固体二次電池用電極シート。
  9. 前記無機固体電解質が硫化物系無機固体電解質である、請求項1〜8のいずれか1項記載の全固体二次電池用電極シート。
  10. 請求項1〜9のいずれか1項記載の全固体二次電池用電極シートを有する、全固体二次電池。
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