JP6897607B2 - 高圧タンクの製造方法 - Google Patents
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Description
本発明は、高圧タンクの製造方法に関する。
燃料電池車には、天然ガスや水素ガス等の燃料ガスを貯蔵する高圧タンクが用いられる。このような高圧タンクは、ガスバリア性を有する中空のライナーをコア材とし、ライナーをカーボン繊維強化プラスチックやガラス繊維強化プラスチック(以下、総称して、繊維強化樹脂層とする)で被覆して製造される。ライナーとしては、軽量化の観点から、通常、樹脂製の中空容器が用いられる。
高圧タンクの製造方法の一例として、FW(Filament Winding)法が知られている(特許文献1)。FW法を利用した高圧タンクの製造方法では、ライナーの外周にエポキシ樹脂等の熱硬化性樹脂を含浸させた繊維束を巻回し、熱硬化性樹脂を硬化させることによって繊維強化樹脂層が形成される。また、特許文献1には、RTM(Resin Transfer Molding)法により繊維強化樹脂層を得ることが記載されている。
一般的に、RTM法では、成形型内に強化繊維基材を配置して、流動性を有する未硬化の樹脂を成形型のキャビティー内に注入し、当該樹脂を強化繊維基材に含浸させて硬化させることで繊維強化樹脂部材が得られる(特許文献2)。
FW法では、ライナー外周における熱硬化性樹脂によるライナー固着が部分的に起きる場合がある。そこで、特許文献3では、ライナー固着を均等化するために、タンク軸支シャフトにて軸支した中間性製品タンクにライナー軸方向に沿った超音波振動を付与しつつ、中間性製品タンクを加熱して、熱硬化性樹脂を熱硬化させる技術が開示されている。
また、特許文献4には、FW法によって製造される高圧タンクにおいて、熱硬化性樹脂に発生する気泡を除去するために、熱硬化性樹脂の熱硬化処理に際して、気泡に超音波を照射することによって気泡を除去する技術が開示されている。
RTM法を用いて高圧タンクを製造する場合、ライナーに繊維束を巻回した中間体を金型内に配置して、樹脂を金型内に注入し、繊維束に樹脂を含浸させることが考えられる。しかし、燃料電池車用の高圧タンクは、従来のRTM法による成形品よりも繊維束が肉厚に積層されるため、繊維束の内層部まで樹脂を均一に含浸することは困難である。
特に、高圧タンクの胴体部は、繊維束間に隙間がないフープ巻きで繊維束が緻密に巻回されているため、樹脂が含浸しにくく、繊維束の積層内に気泡が残りやすいという問題がある。この残留した気泡により繊維強化樹脂層中にボイドが発生すると、高圧タンクのバースト強度が著しく低下する等の、重大な性能・品質問題が発生する恐れがある。
本発明は、このような問題に鑑みてなされたものであり、本発明の目的は、繊維強化樹脂層内のボイドの発生を抑制することが可能な高圧タンクの製造方法を提供することである。
本発明の一態様に係る高圧タンクの製造方法は、ライナーに繊維束を巻回した中間体を金型内に配置する工程と、前記金型内を排気する工程と、前記金型内に樹脂を加圧充填して前記繊維束に含浸させるとともに、前記中間体を前記ライナーの軸方向に沿って振動させる工程と、前記中間体を振動させた後に、前記樹脂を加熱硬化させる工程とを備える。
本発明によれば、繊維強化樹脂層内のボイドの発生を抑制することが可能な高圧タンクの製造方法を提供することができる。
以下、図面を参照して本発明の実施形態について説明する。各図における同等の構成要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
本発明は、RTM法を用いた高圧タンクの製造方法に関する。実施の形態に係る高圧タンクの製造方法では、ライナーに繊維束を巻回した中間体を金型内に配置して、樹脂を金型内に注入し、繊維束に樹脂を含浸させる。そして、含浸させた樹脂を硬化させることにより、中間体の外周に繊維強化樹脂層が形成される。実施の形態では、金型内に樹脂を加圧充填して繊維束に含浸させる際に、中間体をライナーの軸方向に沿って振動させることで、繊維強化樹脂層内のボイドの発生を抑制する。
まず、図1を参照して、本実施の形態において製造される高圧タンクの中間体の構成について説明する。図1に示すように、中間体1は、ライナー2、繊維束3、4を備える。ライナー2は、ガスバリア性を有する樹脂製の中空容器である。ライナー2は、円筒形状の胴体部2aと、胴体部2aの両側に接合された半球形状のドーム部2bを有する。なお、胴体部2aは、円筒形状に限定されず、断面楕円形や断面多角形の筒状であってもよい。また、ライナー2の両端部は、半球形状以外の形状であってもよい。なお、ここでは図示していないが、ライナー2のドーム部2bの頂上にはそれぞれ金属製の口金部が形成される。両側又は片側の口金部は、ライナー2内に導通する貫通孔を備えている。
繊維束3、4は、ライナー2の外周に巻回される、樹脂が含浸されていない繊維束である。繊維束としては、例えば、カーボン繊維やガラス繊維、アラミド繊維等を用いることができる。繊維束は、連続繊維から構成されてもよく、長繊維や短繊維から構成されてもよい。ライナー2に巻回された繊維束3、4に樹脂を含浸させて硬化させることにより、ライナー2の周囲を被覆する繊維強化樹脂層が形成される。樹脂としては、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂等の熱硬化性樹脂や、ポリエチレン樹脂やポリエステル樹脂等の熱可塑性樹脂を用いることが可能である。
実施の形態では、ドーム部2bの外周には、ヘリカル巻きにより繊維束3が複数層巻回されている。また、胴体部2aの外周には、繊維束3の巻回にさらにフープ巻きにより繊維束4が複数層、種々の組み合わせで巻回されている。フープ巻きは繊維間に隙間がないため、胴体部2aは繊維束の内層部まで樹脂が含浸されにくい。また、繊維束3と繊維束4とが重なり合う領域は、特に繊維束が肉厚に積層されており、内層部に樹脂が含浸しにくい領域となる。
次に、実施の形態に係る高圧タンクの製造方法について説明する。図2A〜2Dは、実施の形態に係る高圧タンクの製造方法を説明する製造工程断面図である。図3は、図2Cの状態のA部分を拡大した図である。実施の形態に係る高圧タンクの製造方法は、ライナー2に繊維束3、4を巻回した中間体1を金型内に配置し、繊維束3、4に樹脂を含浸させて硬化させ、中間体1の周囲に繊維強化樹脂層を形成する。
ここで、繊維強化樹脂層を形成するための製造装置10について説明する。図2Aに示すように、製造装置10は、複数の型、例えば、上型11、下型12からなる金型を備える。上型11と下型12には、繊維強化樹脂層の一部を形成するためのキャビティー面がそれぞれ設けられている。上型11と下型12とを閉じることで、繊維強化樹脂層のためのキャビティーが形成される。繊維束3、4を積層した中間体1を金型内に配置するため、繊維束3、4に傷がつかないように、例えば、金型のキャビティーは中間体1の公差分だけ大きく作製される。
中間体1は、ライナー2の軸に沿って配置されるシャフト15により軸支されている。シャフト15の軸端には、超音波発振装置16が連結されている。図2Aに示す例では、シャフト15の右端に超音波発振装置16が設けられている。超音波発振装置16は、シャフト15に中間体1の軸方向に沿った超音波振動を付与し、中間体1の外周面の樹脂の流動性を向上させ、胴体部2aからドーム部2bに向かって樹脂内に残留した気泡を押し出す。また、超音波発振装置16は、超音波により繊維強化樹脂層の表層の気泡を破泡する。
上型11には、キャビティー内に樹脂を供給するための樹脂供給管13が埋設されている。樹脂供給管13には図示しない樹脂供給装置が接続されており、樹脂供給管13を介してキャビティー内に樹脂を供給することができる。また、排気管14が埋設されている。排気管14には図示しない排気装置が接続されており、排気管14を介してキャビティー内を真空排気することが可能である。
図2Aに示すように、実施の形態では、まずRTM成形機に設置した下型12に樹脂が含浸されていない繊維束3、4を巻回した中間体1を載置される。このとき、ライナー2の軸がシャフト15により支持される。その後、上型11と下型12とが、上型11と下型12との間に数mmの隙間を開けた状態で閉じられる。上型11と下型12との間には、例えば、中間体1と金型の間に空隙を形成した状態で型間をシールする図示しないシール材が設けられる。そして、上型11、下型12で形成されたキャビティー内が真空排気される。
そして、図2Bに示すように、キャビティー内に所定量の樹脂が完全に充填される。上述のように、中間体1と金型との間には、空隙が形成されている。これにより、金型内に供給される樹脂の流動性を向上させることができ、繊維束3、4の内層部の樹脂の未含浸領域の発生を抑制することができる。
所定量の樹脂がキャビティー内に完全に充填された後、キャビティー内で中間体1を振動させながら、図2Cに示すように上型11を下型12まで下降して型閉じを行う。これにより、金型内の樹脂を圧縮成型するとともに、中間体1の表面全体から均一に樹脂を繊維束に含浸させることができる。
このとき、中間体1には、図3中矢印で示すように中間体1を支持しているシャフト15を介して、ライナー2の軸方向に沿って超音波振動が付与される。このように、真空排気したキャビティー内に樹脂を注入して圧縮充填すると共に、中間体1に超音波振動を付与することで、該軸方向に沿った樹脂の流動性を高めることができる。
これにより、繊維束間に隙間がない胴体部2aから隙間が大きいドーム部2bに向かって繊維束の積層内に残留している気泡を押し出し、繊維束の積層内のボイドの発生を抑制することが可能となる。さらに、樹脂の表層に向かって移動した気泡は超音波により破泡される。これにより、製造される高圧タンクの表面に気泡による凹凸が形成されるのを防ぐことができる。
その後、図2Dに示すように、樹脂が硬化する前に、超音波発振装置16を停止し、繊維束3、4に含浸された樹脂を硬化させることで、ライナー2の外周に繊維強化樹脂層が形成された燃料電池車用の高圧タンクが完成する。
このように、実施の形態では、RTM法を用いて高圧タンクを製造する際に、真空排気したキャビティー内に樹脂を注入すると共に、金型内で中間体1を軸方向に振動させている。これにより、樹脂の流動性を高め、繊維束の内層部における樹脂の未含浸領域の発生を抑制できる。
また、繊維束の積層内、特に、繊維束が緻密に巻回されている胴体部2aの内層の気泡を押し出すことができる。これにより、繊維強化樹脂層内のボイドの発生を抑制でき、高圧タンクの性能を向上させ、高品質の高圧タンクを製造することができる。また、繊維強化樹脂層の表層に移動した気泡を超音波により破泡することができ、表面品質に優れた高圧タンクを製造することが可能となる。
また、大幅な低圧成形が可能になり、投資、コスト低減を図ることができる。さらに、樹脂の流動抵抗が大幅に低減されるため、高速に樹脂を充填することができ、成形時間が短縮され、生産性を向上させることが可能となる。
なお、本発明は上記実施の形態に限られたものではなく、趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更することが可能である。
1 中間体
2 ライナー
2a 胴体部
2b ドーム部
3 繊維束
4 繊維束
10 製造装置
11 上型
12 下型
13 樹脂供給管
14 排気管
15 シャフト
16 超音波発振装置
2 ライナー
2a 胴体部
2b ドーム部
3 繊維束
4 繊維束
10 製造装置
11 上型
12 下型
13 樹脂供給管
14 排気管
15 シャフト
16 超音波発振装置
Claims (1)
- ライナーに繊維束を巻回した中間体を金型内に配置する工程と、
前記金型内を排気する工程と、
前記金型内に樹脂を加圧充填して前記繊維束に含浸させるとともに、前記中間体を前記ライナーの軸方向に沿って振動させる工程と、
前記中間体を振動させた後に、前記樹脂を加熱硬化させる工程と、
を備える、
高圧タンクの製造方法。
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JP2018039782A JP6897607B2 (ja) | 2018-03-06 | 2018-03-06 | 高圧タンクの製造方法 |
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JP2018039782A JP6897607B2 (ja) | 2018-03-06 | 2018-03-06 | 高圧タンクの製造方法 |
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JP2019152310A JP2019152310A (ja) | 2019-09-12 |
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