JP2022028240A - 高圧タンクの製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】高圧タンクの使用時に、充填したガスが第2補強層と保護層との界面に滞留することを抑制する高圧タンクの製造方法を提供する。【解決手段】第1補強層30の外周面に繊維束を巻回して、繊維層34Aを形成した予備成形体3Aを形成する。予備成形体3Aを成形型70内に配置し、成形型70と予備成形体3Aとの間に形成された空隙G2に、繊維束を構成する強化繊維F同士の隙間G1の大きさよりも大きい粒径のフィラー41と未硬化の熱硬化性樹脂Rとを混合した混合物Mを導入し、繊維層34Aに未硬化の熱硬化性樹脂Rが含浸されるように、混合物Mを空隙G2に充填する。未硬化の熱硬化性樹脂Rを熱硬化させて、第2補強層34と保護層4とを形成する。【選択図】図4

Description

本発明は、高圧タンクの製造方法に関する。
たとえば、天然ガス自動車または燃料タンク自動車には、燃料ガスを貯蔵する高圧タンクが利用されている。この種の高圧タンクには、燃料ガスを気密保持するライナーの外面に、繊維強化樹脂からなる層が被覆されている。
このようなタンクの製造方法として、たとえば、特許文献1には、樹脂と繊維束を含む補強層と、補強層を覆う保護層とを少なくとも備えた高圧タンクの製造方法が開示されている。特許文献1には、樹脂を含浸したガラス繊維により形成された保護層に、所定の耐圧試験で、亀裂を入れることで、補強層を透過してきたガスを逃がすことができることが開示されている。しかしながら、保護層が樹脂のみで形成された場合には、ガラス繊維を含んでいないため、樹脂を含浸したガラス繊維により形成された場合よりも、亀裂が入り難い。
特開2017-72244号公報
ところで、繊維束を巻回して繊維層を形成した後、成形型内で繊維層に樹脂を含浸させると、補強層を形成することができる。この際、成形型内において、補強層の表面には、樹脂のみからなる保護層が形成される。樹脂のみで形成された保護層は、上述の如く、亀裂が入り難いため、高圧タンク使用時に補強層を透過したガスを、高圧タンクの外部に十分に逃がすことができない。このため、補強層を透過したガスは、補強層と保護層との界面に滞留し易い。
本発明は、このような点を鑑みてなされたものであり、本発明として、高圧タンクの使用時に、充填したガスが第2補強層と保護層との界面に滞留することを抑制する高圧タンクの製造方法を提供する。
前記課題を鑑みて、本発明に係る高圧タンクの製造方法は、第1補強層と、前記第1補強層を覆う第2補強層と、前記第2補強層を覆う保護層と、を少なくとも備えた高圧タンクの製造方法であって、前記第1および第2補強層は、繊維強化樹脂からなる層であり、前記製造方法は、前記第1補強層の外周面に繊維束を巻回して、繊維層を形成した予備成形体を形成する工程と、前記予備成形体を成形型内に配置し、前記成形型と前記予備成形体との間に形成された空隙に、前記繊維束を構成する強化繊維同士の隙間の大きさよりも大きい粒径のフィラーと未硬化の熱硬化性樹脂とを混合した混合物を導入し、前記繊維層に前記未硬化の熱硬化性樹脂が含浸されるように、前記混合物を前記空隙に充填する工程と、前記未硬化の熱硬化性樹脂を熱硬化させて、繊維強化樹脂からなる前記第2補強層と、熱硬化性樹脂にフィラーを含む前記保護層とを形成する工程と、を少なくとも含むことを特徴とする。
本発明によれば、成形型と予備成形体との間に形成された空隙に、繊維層を構成する繊維束の強化繊維同士間の隙間の大きさよりも大きい粒径のフィラーと未硬化の熱硬化性樹脂とを混合した混合物を導入する。この際、未硬化の熱硬化性樹脂は強化繊維同士の隙間を通過するため、繊維層に未硬化の熱硬化性樹脂を含浸することができる。その後、繊維層に含浸した未硬化の熱硬化性樹脂を熱硬化することにより、繊維強化樹脂からなる第2補強層を形成することができる。
一方、フィラーは、強化繊維同士の隙間の大きさよりも大きい粒径を有するため、強化繊維同士の間を通過することができない結果、空隙内に留まる。これにより、フィラーを、繊維層に含浸されなかった未硬化の熱硬化性樹脂とともに空隙内に充填することができ、充填した未硬化の熱硬化性樹脂を熱硬化させることにより、熱硬化性樹脂にフィラーを含む保護層を形成することができる。
このように、本発明では、繊維強化樹脂からなる第2補強層を形成するとともに、熱硬化性樹脂にフィラーを含む保護層を形成することができる。フィラーを含む保護層は、フィラーと熱硬化性樹脂との界面に隙間が発生し易い。たとえば、高圧タンクの出荷前の所定の耐圧試験を行うことで、保護層内に亀裂が発生し易くなる。したがって、高圧タンクの内部から第1および第2補強層を透過したガスを、保護層の亀裂を介して、高圧タンクの外部に放出することができる。結果として、高圧タンクの使用時に、第2補強層を透過したガスが、第2補強層と保護層との界面に滞留することを抑制することができる。
本発明の一実施形態に係る製造方法により製造される高圧タンクの構造を示す断面図である。 図1に示すA部分を拡大した図であって、保護層および第2補強層の構造を説明する図である。 繊維層の繊維束において、強化繊維同士間の隙間の一例を説明する模式的概念図である。 本発明の一実施形態に係る高圧タンクの製造方法の工程を説明するフロー図である。 図4に示す第1補強層形成工程を説明する模式的概念図である。 図4に示す巻回工程において形成された予備成形体を説明する模式的断面図である。 図4に示す含浸・充填工程および熱硬化工程を説明する模式的概念図である。 (a)~(c)は、未硬化の熱硬化性樹脂の含浸進行を説明する模式的概念図である。 図1に示す高圧タンクにおいて内圧を負荷した後の保護層および第2補強層の状態を説明する図である。 従来の高圧タンクにおいて内圧を負荷した後の樹脂層および第2補強層の状態を説明する図である。
以下に、図1~図9を参照しながら本発明に係る実施形態について説明する。まず、本実施形態に係る高圧タンク1について説明する。以下では、高圧タンク1を、燃料電池車両に搭載される高圧の水素ガスが充填されるタンクとして説明するが、その他の用途についても適用することができる。また、高圧タンク1に充填可能なガスとしては、高圧の水素ガスに限定されず、CNG(圧縮天然ガス)等の各圧縮ガス、LNG(液化天然ガス)、LPG(液化石油ガス)等の各種液化ガス、その他のガスが充填されてもよい。
1.高圧タンク1について
図1に示すように、高圧タンク1は、両端がドーム状に丸みを帯びた略円筒状の高圧ガス貯蔵容器である。高圧タンク1は、ガスバリア性を有するライナー2と、ライナー2の外面を覆う繊維強化樹脂からなる補強部3と、補強部3の外面を覆う保護層4とを備えている。高圧タンク1の一方端には、開口部が形成されており、開口部周辺には口金6が取り付けられている。
ライナー2は、高圧の水素ガスが充填される収容空間5を形成する樹脂製の部材である。ライナー2は、筒状の胴体部21と、胴体部21の両側に形成されたドーム状の側端部22、23と、を備えている。
本実施形態では、胴体部21は、高圧タンク1の軸方向Xに沿って所定の長さで延在しており、略円筒状の形状を有している。各側端部22、23は、胴体部21の両側に連続して形成されており、ドーム状の形状を有している。側端部22、23は、胴体部21から遠ざかるに従って縮径しており、一方の側端部22の頂部には、開口部22aが形成され、この開口部22aに管状部22bが連接されている。管状部22bの外面は後述するドーム部材32に形成された突出部32bで覆われている。
ライナー2の材料としては、充填される高圧ガスを収容空間5内に保持する性能、即ち、ガスバリア性が良好な樹脂であることが好ましい。このような樹脂としては、熱硬化性樹脂または熱可塑性樹脂を挙げることができる。
熱硬化性樹脂としては、たとえば、変性エポキシ樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、ユリア樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、アルキド樹脂、ポリウレタン樹脂、および熱硬化性ポリイミド樹脂等を挙げることができる。熱可塑性樹脂としては、たとえば、ポリプロピレン系樹脂、ナイロン系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、アクリル系樹脂、ABS系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリエチレン系樹脂、エチレン-ビニルアルコール共重合樹脂(EVOH)、および、ポリエステル系樹脂等を挙げることができる。
口金6は、ドーム部材32に形成された突出部32bの外周面に取り付けられ、アルミニウムまたはアルミニウム合金等の金属材料を所定形状に加工したものである。口金6には、収容空間5に対して水素ガスを充填および排出するためのバルブ(不図示)が取り付けられる。
補強部3は、ライナー2を補強して高圧タンク1の剛性や耐圧性等の機械的強度を向上させる機能を有し、強化繊維(連続繊維)に樹脂が含浸された繊維強化樹脂により構成されている。本実施形態では、補強部3は、ライナー2の外面を覆う第1補強層30と、第1補強層30の外面を覆う第2補強層34と、を有している。
第1補強層30は、軸方向Xに沿って延びる筒部材31と、筒部材31の両端に接合されるドーム部材32、33とを含む。筒部材31およびドーム部材32、33は、強化繊維に樹脂が含浸された繊維強化樹脂層からなる部材であり、繊維強化樹脂層は複数積層されている。
筒部材31は、ライナー2の胴体部21の外面を覆う。筒部材31は、樹脂が含浸された強化繊維からなる繊維束が周方向に配向するように巻回(たとえばフープ巻き)された巻回体によって構成される。
ドーム部材32、33は、ライナー2の側端部22、23の外面を覆う。ドーム部材32、33は、樹脂が含浸された強化繊維からなる繊維束が周方向と交差する方向に配向するように巻回された巻回体によって構成される。第1補強層30は、予め形成された筒部材31の周端部31aと、予め形成されたドーム部材32、33の周端部32a、33aとを接合することによって、両端がドーム状に丸みを帯びた略円筒状を成す。
第1補強層30(筒部材31およびドーム部材32、33)を構成する強化繊維としては、ガラス繊維、アラミド繊維、ボロン繊維、および炭素繊維等を用いることができ、特に、軽量性や機械的強度等の観点から炭素繊維を用いることが好ましい。
第1補強層30を構成する強化繊維に含浸される樹脂としては、熱硬化性樹脂または熱可塑性樹脂を用いることができる。熱硬化性樹脂としては、フェノール樹脂、メラミン樹脂、ユリア樹脂、およびエポキシ樹脂等を挙げることができる。熱可塑性樹脂としては、ポリエーテルエーテルケトン、ポリフェニレンスルファイド、ポリアクリル酸エステル、ポリイミド、ポリアミド等を挙げることができる。
第2補強層34は、強化繊維Fに樹脂が含浸された繊維強化樹脂層を積層した層であり、筒部材31の外面と、ドーム部材32、33の外面とを覆う層である。具体的には、第2補強層34は、2つのドーム部材32、33に亘って繊維が配向された繊維強化樹脂からなる層である。第2補強層34の強化繊維Fは、筒部材31の軸方向Xに対して傾斜するように配向されている。
第2補強層34を構成する強化繊維Fとしては、第1補強層30の強化繊維として例示した材料と同様のものを挙げることができる。本実施形態では、第2補強層34は、後述するRTM(resin transfer molding)方法により図7に示す成形機7を用いて、繊維層34A(図6参照)に樹脂を含浸して形成される。そのため、第2補強層34の強化繊維Fに含浸される樹脂には、熱硬化性樹脂を用いる。この熱硬化性樹脂には、第1補強層30の熱硬化性樹脂として例示した樹脂と同様のものを挙げることができる。
保護層4は、第2補強層34の外面を覆う層であり、図2示すように、熱硬化性樹脂にフィラー41を含む層である。フィラー41を含むことにより、保護層4のじん性が低下するため、軽微な圧力で保護層4に水素ガスの流路となる亀裂C(図9参照)が形成され易くなる。
保護層4は、後述するように、図7に示す成形機7を用いて、フィラー41とともに空隙G2に充填された未硬化の熱硬化性樹脂Rを熱硬化させて形成した層である。保護層4は、RTM方法により第2補強層34とともに形成されるため、保護層4を構成する熱硬化性樹脂は、第2補強層34の形成に用いられる樹脂と同一となる。フィラー41の材料としては、特に限定されるものではないが、熱硬化性樹脂とフィラー41との界面の剥離し易さを考慮すると、ガラスビーズが好ましい。
本実施形態では、フィラー41の粒径は、図3に示す繊維層34A(第2補強層34)の繊維束を構成する強化繊維F同士の隙間G1の大きさよりも大きい。これにより、後述する未硬化の熱硬化性樹脂Rの含浸の際に、成形型70と予備成形体3Aとの間に形成された空隙G2にフィラー41を留めることができる。たとえば、フィラー41の粒径とは、JIS Z 8801の試験用ふるいを用いて、目開きを隙間G1の大きさとしたふるいを通過しない粒径である。
強化繊維F同士間の隙間G1の大きさは、図3に示す強化繊維Fの繊維径D1と、繊維体積含有率Vf(樹脂と繊維とを含む全体の体積に対する繊維の含有率)とで決定することができる。たとえば、強化繊維Fが、8μmの繊維径を有する炭素繊維であり、繊維体積含有率が50%の場合には、隣り合う炭素繊維の中心同士の間の距離D2が14μmとなるため、炭素繊維同士の隙間G1は6μmとなる。したがって、8μmの繊維径を有する炭素繊維の繊維体積含有率が50%~70%である場合には、フィラー41の粒径は、6μm以上が好ましい。
2.高圧タンク1の製造方法について
図4に示すように、高圧タンク1の製造方法は、第1補強層形成工程S10と、第2補強層・保護層形成工程S20と、ライナー形成工程S30とを含む。
本実施形態では、RTM方法を用いて、第2補強層34とともにフィラー41を含む保護層4を形成する。そのため、第2補強層・保護層形成工程S20は、図4の如く、巻回工程S21と、含浸・充填工程S22と、熱硬化工程S23とを含む。以下に、図4に示す高圧タンク1の製造方法のフローに沿って、本実施形態の高圧タンク1の製造方法について説明する。
2-1.第1補強層形成工程S10
第1補強層形成工程S10では、図5に示すように、予め形成された筒部材31およびドーム部材32、33と準備して、筒部材31の両端にドーム部材32、33を接合する。これにより第1補強層30が形成される。
以下に、準備した筒部材31およびドーム部材32、33の形成方法と、これらの接合方法について説明する。筒部材31の形成およびドーム部材32、33の形成は、互いに独立して行うため、並行して行ってもよく、いずれか一方を先に行ってもよい。
(1)筒部材31の形成方法
筒部材31は、フィラメントワインディング(FW)法によって形成されてもよい。具体的には、筒部材31は、円柱状のマンドレルの外周面に対して、樹脂を含浸させた繊維束を周方向に幾重か巻回(たとえばフープ巻き)して巻回体を形成して、樹脂を固化させることによって形成してよい。なお、ここでは、「樹脂を固化させる」とは、後述の如く、熱硬化により熱硬化性樹脂を固化させる場合と、冷却固化により熱可塑性樹脂を固化させる場合とを含む。
(2)ドーム部材32、33の形成方法
ドーム部材32、33は、FW法によって形成されてもよい。具体的には、ドーム部材32、33は、楕円体状のマンドレルの外周面に対して、樹脂を含浸させた繊維束を周方向と交差する方向に幾重か巻回して巻回体を形成し、樹脂を固化させた後に、カッター等によって2つに分割することによって形成されてもよい。一方のドーム部材32には、開口部22aおよび略円筒状の突出部32b(図1参照)が予め設けられる。突出部32bには、口金6が予め取り付けられる。
筒部材31およびドーム部材32、33の形成において、マンドレルに巻回する繊維束の強化繊維は、第1補強層30の強化繊維として例示した材料と同様のものを挙げることができ、強化繊維に含浸される樹脂としては、第1補強層30の樹脂として例示した材料と同様のものを挙げることができる。
ここで、未硬化の熱硬化性樹脂が含浸された繊維束をマンドレルに巻き付けた後、熱硬化性樹脂を熱硬化させることで、筒部材31およびドーム部材32、33の形成してもよい。熱可塑性樹脂を加熱して軟化した熱可塑性樹脂が含浸された繊維束をマンドレルに巻き付けて後、熱可塑性樹脂を冷却により固化させることで、筒部材31およびドーム部材32、33の形成してもよい。
(3)筒部材31およびドーム部材32、33の接合方法
筒部材31の周端部31aとドーム部材32、33の周端部32a、33aとを接合して第1補強層30を形成する。具体的には、筒部材31の周端部31aの周縁と、ドーム部材32、33の周端部32a、33aの周縁との一方を内側にし、他方を外側にして嵌め合せて接合してもよい。図1には、一例として、筒部材31の周端部31aの周縁を内側にして、ドーム部材32、33の周端部32a、33aの周縁を外側にして、嵌め合わせた例を示す。
筒部材31の周端部31aとドーム部材32、33の周端部32a、33aを、熱硬化性樹脂または熱可塑性樹脂からなる接着剤を介して接合してもよく、熱可塑性樹脂の場合には、これらを融着等により接合してもよい。また、筒部材31の周端部31aとドーム部材32、33の嵌合状態を維持することができるのであれば、後の工程で形成される第2補強層34(具体的には、繊維層34Aに含浸される熱硬化性樹脂)により、筒部材31とドーム部材32、33とを一体化してもよい。
2-2.第2補強層・保護層形成工程S20
次に、第2補強層・保護層形成工程S20を行う。上述の如く、第2補強層・保護層形成工程S20は、巻回工程S21と、含浸・充填工程S22と、熱硬化工程S23とを含む。
(1)巻回工程S21
まず、巻回工程S21では、図6に示すように、第1補強層30の外周面に繊維束を巻回して、繊維層34Aを形成した予備成形体3Aを形成する。繊維層34Aを形成する際、樹脂が含浸されていない繊維束を、FW法で、第1補強層30の表面に、ヘリカル巻きで幾重か層状に巻き付ける。ヘリカル巻きは、ドーム部材32、33に亘って、筒部材31の軸方向Xに対して斜め(傾斜角度が10°以上60°以下の範囲)に巻き進む巻き方である。ヘリカル巻を行う際には、口金6をモータ(図示せず)に接続し、第1補強層30となる補強体を回転させながら、繊維束を補強体に巻回する。
樹脂が含浸されていない繊維束の強化繊維Fとしては、第1補強層30の強化繊維として例示した材料と同様のものを挙げることができる。本実施形態では、一例として、炭素繊維を用いる。
本実施形態では、含浸・充填工程S22および熱硬化工程S23は、RTM方法により行われ、RTM方法は、図7示す成形機7を用いて行われる。含浸・充填工程S22および熱硬化工程S23を説明する前に、成形機7について説明する。
成形機7は、予備成形体3Aの繊維層34Aに未硬化の熱硬化性樹脂Rを含浸させ、熱硬化させる成形機である。加えて、本実施形態では、成形機7は、予備成形体3Aと成形型70との間の空隙G2にフィラー41とともに未硬化の熱硬化性樹脂Rとを充填させ、熱硬化させる成形機である。なお、未硬化の熱硬化性樹脂Rは、熱硬化性樹脂の主剤と硬化剤とを含み、加熱により、主剤と硬化剤との架橋反応により、熱硬化性樹脂が熱硬化する。
図7に示すように、成形機7は、成形型70を構成する固定金型71および可動金型72を備える。固定金型71および可動金型72が嵌合すると、成形型70内に空洞が形成される。この空洞には、予備成形体3Aが配置され、配置された予備成形体3Aは、シャフト73によって軸支される。
固定金型71の空洞を形成する面には、可動金型72の可動方向に沿って動く可動コア71aが設けられている。可動コア71aが動くことによって、空洞内の圧力を均一化し、混合物Mが空隙G2内に偏在することを抑制するとともに、未硬化の熱硬化性樹脂Rが繊維層34Aに偏在して含浸されることを抑制することができる。固定金型71には、空洞から真空脱気される気体が流れる排気管74が設けられている。
可動金型72には、未硬化の熱硬化性樹脂Rとフィラー41とを含む混合物Mの空洞への注入口であるゲート75と、空洞に注入される混合物Mが流れる注入管76とが設けられている。注入管76には、混合物Mを作製して貯留するとともに、混合物Mを加圧して空洞に注入する注入装置77が接続されている。注入装置77には、熱硬化性樹脂の主剤とフィラー41を混合したものを貯蔵するタンク77aと、硬化剤を貯蔵するタンク77bとが設けられている。
(2)含浸・充填工程S22
次に、含浸および充填工程S22を行う。この工程では、図7に示すように、予備成形体3Aを成形型70内に配置する。配置した状態で、成形型70と予備成形体3Aとの間に形成された空隙G2に、フィラー41と未硬化の熱硬化性樹脂Rとを混合した混合物Mを導入する。そして、繊維層34Aに未硬化の熱硬化性樹脂Rが含浸されるように、混合物Mを空隙G2に充填する。ここで、フィラー41は、繊維層34Aの繊維束を構成する強化繊維F同士の隙間G1(図3参照)の大きさよりも大きい粒径を有する。
予備成形体3Aの配置の際、所定温度に保温された固定金型71および可動金型72の空洞に予備成形体3Aを配置し、シャフト73によって軸支する。さらに、混合物Mを注入する準備を行う。混合物Mは、空隙G2に充填される所定量のフィラー41と、このフィラー41とともに空隙G2に充填される量に、繊維層34Aに含浸される量を加えた量の未硬化の熱硬化性樹脂Rとを含む。準備の際、タンク77aに貯蔵された熱硬化性樹脂の主剤およびフィラー41と、タンク77bに貯蔵された硬化剤とを注入装置77内で混合して、液状の混合物Mを作製し、これを注入装置77内に貯留する。
熱硬化性樹脂としては、第1補強層30の熱硬化性樹脂として例示した樹脂と同様のものを挙げることができる。本実施形態では、一例として、熱硬化性樹脂はエポキシ樹脂であり、主剤および硬化剤として、それぞれ、ビスフェノールAジグリシジルエーテルおよび芳香族アミンを用いる。また、フィラー41としてガラスビーズを用いる。
混合物Mの導入の際には、固定金型71および可動金型72を仮締めし、空洞を真空脱気して空洞内の気体を排気管74から排出する。次に、仮締め状態の固定金型71および可動金型72と予備成形体3Aとの間の空隙G2に対して混合物Mを注入する。
注入しながら、可動金型72をさらに型締めして、予備成形体3Aおよび混合物Mを加圧しながら、固定金型71に設けられた可動コア71aを、空洞に配置された予備成形体3Aから離隔する方に動かす。これにより、図8(a)に示すように、空洞内の圧力が均一化され、液状の混合物Mが繊維層34Aの表面全体に行き渡る。
含浸および充填の際には、可動金型72をさらに型締めするとともに、可動コア71aを空洞に配置された予備成形体3Aに接近する方向に動かして、予備成形体3Aおよび混合物Mをさらに加圧する。これにより、加圧された混合物Mを、繊維層34Aの表面全体から含浸させる。
この際、未硬化の熱硬化性樹脂R(具体的には、主剤および硬化剤)は、強化繊維F同士の間を通過することができる。そのため、図8(b)に示すように、未硬化の熱硬化性樹脂Rは、繊維層34Aの表面全体から繊維層34Aと第1補強層30(不図示)との界面に向かって含浸されていく。一方、フィラー41は、繊維束の強化繊維F同士間の隙間G1の大きさよりも大きい粒径を有するため、強化繊維F同士の間を通過することができず、空隙G2内に留まる。
最終的に、可動コア71aを含めて固定金型71および可動金型72を完全に型締め(本締め)すると、図8(c)に示すように、導入された混合物Mに含まれる未硬化の熱硬化性樹脂Rの一部は、繊維層34A全体の強化繊維Fに含浸される。これとともに、導入された混合物Mに含まれる未硬化の熱硬化性樹脂Rの残部(言い換えると、繊維層34Aに含浸されなかった未硬化の熱硬化性樹脂R)とフィラー41とが空隙G2に充填される。繊維層34Aへの含浸と空隙G2への充填とが完了した後、混合物Mの注入を停止する。
本実施形態では、上述した含浸および充填状態で、後述する如く、未硬化の熱硬化性樹脂Rが熱硬化されると、繊維強化樹脂からなる第2補強層34を形成するとともに、保護層4には、熱硬化性樹脂にフィラー41を含ませるように形成することができる。
(3)熱硬化工程S23
次に、熱硬化工程S23を行う。この工程では、混合物Mの未硬化の熱硬化性樹脂R(具体的には、繊維層34Aに含浸した未硬化の熱硬化性樹脂Rおよび空隙G2に充填した未硬化の熱硬化性樹脂R)を熱硬化させる(図7を参照)。これにより、繊維強化樹脂からなる第2補強層34と、熱硬化性樹脂にフィラー41を含む保護層4とを形成する。第2補強層34の形成により、補強部3が形成される。
熱硬化の際、固定金型71および可動金型72を所定の硬化温度で所定時間保温する。熱硬化の終了後、可動金型72を固定金型71から離隔する方向に可動させて脱型を行う。これにより、第1補強層30の外面に第2補強層34が形成されるとともに、第2補強層34の外面に保護層4が形成される。なお、上述の如く、筒部材31とドーム部材32、33とが接着剤を用いずに嵌合状態を維持している場合には、第2補強層34の形成により、筒部材31とドーム部材32、33とが一体化される。
2-3.ライナー形成工程S30
次に、ライナー形成工程S30を行う。この工程では、ガスバリア性を有する樹脂を、第2補強層34および保護層4が形成された状態の第1補強層30の内面に塗布して、第1補強層30の内面を覆うライナー2を形成する。ガスバリア性を有する樹脂としては、ライナー2の材料として例示したものと同様の材料を用いることができる。
具体的には、まず、開口部22aからノズルを挿入し、当該ノズルから第1補強層30の内面に対して液状の樹脂を吐出しつつ、第1補強層30および第2補強層34を軸方向Xの周りに回転する。これにより、液状の樹脂を第1補強層30の内面に塗布することができる。次いで、塗布した液状の樹脂を固化させることにより、ライナー2を形成する。これにより図1に示す高圧タンク1が完成する。
図10は、本実施形態の高圧タンク1の構成と比較するために、従来の高圧タンクにおいて、内圧を負荷した後の樹脂層91および第2補強層34の状態を説明する図である。なお、本実施形態と同じ部材および部分に関しては、同じ符号を付してその詳細な説明は省略する。
従来の高圧タンクには、第2補強層34の外面に樹脂のみからなる樹脂層91が形成されている。ライナー(不図示)から漏れた水素ガスは、第1補強層(不図示)および第2補強層34中に存在する微細な間隙G3(または亀裂)を通過することができる。しかしながら、樹脂層91はフィラーを有していないため、樹脂層91に、亀裂が発生し難いため、水素ガスは、高圧タンクの外部へ排出されない。この結果、高圧タンク使用時に、間隙G3を通過した水素ガスは第2補強層34と樹脂層91との界面に滞留してしまう。ガスが溜まり続けると、樹脂層91が変形して、白濁の如く変色することがある。
一方、本実施形態の高圧タンク1の保護層4は、熱硬化性樹脂にフィラー41を含むため、軽微な内部加圧により、フィラー41と熱硬化性樹脂との界面に隙間が発生し易い。このため、図9に示すように、高圧タンク1の出荷前に行う所定の耐圧試験の際に、内圧を負荷することで、保護層4内に水素ガスの流路となる亀裂Cが発生する。そのため、ライナー(不図示)から漏れた水素ガスは第1補強層(不図示)および第2補強層34中の微細な間隙G3を通過し、間隙G3を通過した水素ガスは、保護層4内の亀裂Cを介して、外部に放出される。これにより、高圧タンク1の使用時に、補強部3を透過したガスが第2補強層34と保護層4との界面に滞留することを抑えることができる。
以上、本発明の一実施形態について詳述したが、本発明は、前記の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の精神を逸脱しない範囲で、種々の設計変更を行うことができるものである。
たとえば、上記実施形態では、ライナー形成工程を第2補強層・保護層形成工程の後に行う例について説明したが、本発明はこれに限定されない。たとえば、ライナー形成工程を第1補強層形成工程と第2補強層・保護層形成工程との間に行ってもよい。
また、上記実施形態では、第1補強層の表面に樹脂材料を塗布してライナーを形成する例を説明したが、これに限定されず、ライナーを予め製造し、このライナーを覆うように、筒部材と2つのドーム部材とを被覆してもよい。
1:高圧タンク、3A:予備成形体、4:保護層、30:第1補強層、34:第2補強層、34A:繊維層、70:成形型、41:フィラー、F:強化繊維、G1:隙間、G2:空隙、M:混合物、R:未硬化の熱硬化性樹脂、

Claims (1)

  1. 第1補強層と、前記第1補強層を覆う第2補強層と、前記第2補強層を覆う保護層と、を少なくとも備えた高圧タンクの製造方法であって、
    前記第1および第2補強層は、繊維強化樹脂からなる層であり、
    前記製造方法は、前記第1補強層の外周面に繊維束を巻回して、繊維層を形成した予備成形体を形成する工程と、
    前記予備成形体を成形型内に配置し、前記成形型と前記予備成形体との間に形成された空隙に、前記繊維束を構成する強化繊維同士の隙間の大きさよりも大きい粒径のフィラーと未硬化の熱硬化性樹脂とを混合した混合物を導入し、前記繊維層に前記未硬化の熱硬化性樹脂が含浸されるように、前記混合物を前記空隙に充填する工程と、
    前記未硬化の熱硬化性樹脂を熱硬化させて、繊維強化樹脂からなる前記第2補強層と、熱硬化性樹脂にフィラーを含む前記保護層とを形成する工程と、を少なくとも含むことを特徴とする高圧タンクの製造方法。
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