JP6897561B2 - チタン材および機器 - Google Patents

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Description

本発明は、チタン材および機器に関する。
チタンは、軽量で、耐食性に優れた材料であり、電子機器等の機器筐体、航空機、化学プラント、建築物の外装品、装飾品、民生品など、様々な用途に利用されている。チタンは、独特の質感を有することから、特に、意匠性が求められる電子機器等の機器筐体として、有用である。
ところで、電子機器、特に携帯機器の機器筐体は、人の手が触れやすい環境において使用される。機器筐体において人の手が触れた部位には、皮脂や、手の汚れに由来する指紋が付着する。指紋が付着した部位は、観察する角度に応じて他の部位と比較して変色したように見え、機器筐体の外観を損ねてしまう。
特許文献1においては、中心線平均粗さ(Ra)が0.5μm以上で、かつ、表面粗さのパワースペクトル解析で10μm以下の波長領域における最大の振幅が0.02μm以下であることを特徴とする指紋の目立ちにくい金属表面を有する金属板が提案されている。
特開平11−226606号公報
しかしながら、実際の機器等におけるチタンの使用状況を鑑みると、指紋の目立ちにくさに加え、指紋を容易に拭き取ることができることも、その意匠性を維持する上で重要である。特許文献1においては、このような指紋のふき取りやすさについての検討がなされていない。
そこで、本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、本発明の目的とするところは、付着した指紋が目立ちにくく、かつ指紋の拭き取りが容易である、チタン材およびこれを備えた機器を提供することにある。
上記課題を解決するために、本発明者が鋭意検討した結果、チタン材の表面粗さを所定以上のものとし、表面粗さのパワースペクトル解析において比較的短い波長領域における振幅を一定の範囲内とすることにより、付着した指紋が目立ちにくく、かつ指紋の拭き取りを容易とすることができることを見出した。
上記知見に基づき完成された本発明の要旨は、以下の通りである。
(1) 少なくとも一つの面の算術平均粗さRaが0.50μm以上であり、かつ
当該面の表面粗さのパワースペクトル解析において、10μm以下の波長領域における最大の振幅が、0.050μm以上0.090μm以下である、チタン材。
(2) 前記面における入射角45度の光沢度が、160GU超350GU以下である、(1)に記載のチタン材。
(3) 機器筐体用チタン材である、(1)または(2)に記載のチタン材。
(4) (1)〜(3)のいずれか一項に記載のチタン材を備える、機器。
(5) チタン基材の少なくとも一つの面について、表面粗さRzが10μm以上30μm以下の圧延ロールを用いて第1の圧延を行う、および/または前記面にブラスト処理を行う第1の工程と、
前記面について、表面粗さRaが0.02μm以上0.10μm以下の圧延ロールを用いて第2の圧延を行う、および/または粒度がP400〜P1500である研磨材を用いて機械研磨を行う第2の工程と、を有するチタン材の製造方法。
(6) 前記第1の工程において、前記第1の圧延を0.5%以上10.0%以下の圧下率で行う、(5)に記載のチタン材の製造方法。
(7) 前記第1の工程において、ジルコニア粒子、ガラス粒子、アルミナ粒子、SiC粒子からなる群から選択される1種以上の投射材を用いて前記ブラスト処理を行う、(4)または(5)に記載のチタン材の製造方法。
(8) 前記投射材の平均粒径が、75μm以上750μm以下である、(6)に記載のチタン材の製造方法。
(9) 前記ブラスト処理において、0.2MPa以上0.8MPa以下の投射圧で投射材を前記面に投射する、(4)〜(8)のいずれか一項に記載のチタン材の製造方法。
(10) 前記第2の工程において、前記第2の圧延を0.5%以上5.0%以下の圧下率で行う、請求項4〜9のいずれか一項に記載のチタン材の製造方法。
(11) 前記第1の工程と前記第2の工程とを含むステップが、複数回行われる、(4)〜(10)のいずれか一項に記載のチタン材の製造方法。
(12) チタン基材の少なくとも一方の面を粗面化する第1の工程と、
粗面化により前記面に生じた凸部の頂部を平坦化する第2の工程と、を有する、チタン材の製造方法。
以上説明したように本発明によれば、付着した指紋が目立ちにくく、かつ指紋の拭き取りが容易である、チタン材およびこれを備えた機器を提供することが可能となる。
以下に、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。
1.チタン材
まず、本実施形態に係るチタン材について説明する。本実施形態に係るチタン材は、後述する表面性状を有するものである。チタン材の表面には、例えば自然酸化などに起因する酸化膜が形成されていてもよい。また、本実施形態に係るチタン材は、例えば、冷間圧延、焼鈍を施して製造されたチタン基材に、後述する第1の工程(粗面化)と、第2の工程(凸部の頂部の平坦化)と、を施す製造方法によって得ることができる。
1.1 表面性状
以下、本実施形態に係るチタン材が有する表面性状について説明する。なお、本明細書において、チタン材の「面」とは、チタン材における主たる面、具体的にはチタン材における比較的大きな割合、例えば10%以上または20%以上、の表面積を占める面を言う。例えば、チタン板の場合、チタン板を構成する表面および裏面をいい、本明細書においては、特段の断りのない限り、端面および断面は上記のチタン材の「面」としては言及されない。また、以下の説明においては、チタン材の同一の面について説明を行っている。
(算術平均粗さRa)
本実施形態に係るチタン材は、少なくとも一つの面の算術平均粗さRaが0.50μm以上である。これにより、チタン材の表面に適度の大きさの凹凸が生じ、人の手が当該面に触れた際にも、手と当該面との接触面積を比較的小さくすることができる。また、通常、人の手は、主として当該面の凹凸の凸部位に接触する頻度が高いが、当該面が上記のような粗さを有することにより、凸部位が分散して存在し、この結果、人の手による皮脂が付着する部位も分散して存在することとなる。この結果、人の手がチタン材の表面に触れた際にも、指紋が付着しにくいものとなり、指紋が付着した場合であっても目立ちにくくなる。
上述したように、本実施形態に係るチタン材は、少なくとも一つの面の算術平均粗さRaが0.50μm以上であればよいが、算術平均粗さRaは、好ましくは1.0μm以上、より好ましくは2.0μm以上である。これにより、人の手がチタン材の表面に触れた際にも、指紋がより付着しにくいものとなり、指紋が付着した場合であってもより目立ちにくくなる。一方で、本実施形態に係るチタン材の上記面の算術平均粗さRaの上限は、特に限定されないが、見た目のきめ細かさ等の意匠性や、すべすべした手触り等の触感を得るために、算術平均粗さRaは、例えば5.0μm以下、好ましくは4.0μm以下である。
なお、本実施形態において算術平均粗さRaは、JIS B 0601に基づき測定されることができる。
(表面粗さのパワースペクトル)
本実施形態においては、表面粗さのパワースペクトルのプロファイルによって、チタン材の上記面の複雑な表面性状を評価する。具体的には、表面粗さ測定機で得られた断面曲線のパワースペクトル解析を行い、パワースペクトルの移動平均処理を実施して、得られたプロファイルのピークが存在する波長の範囲、ピークの振幅高さで評価する。
そして、本実施形態において、チタン材の上記算術粗さを有する面の表面粗さのパワースペクトル解析において、10μm以下の波長領域における最大の振幅が、0.050μm以上0.090μm以下である。これにより、本実施形態に係るチタン材は、付着した指紋が目立ちにくく、かつ指紋の拭き取りが容易となる。このようなプロファイルを有することにより指紋が目立ちにくくかつ指紋の拭き取りが容易となる理由は定かではない。しかしながら、10μm以下の波長領域における最大の振幅が0.090μm以下となることにより、比較的小さな波長領域における凹凸が少なくなり、この結果、チタン材の面の凹凸が比較的大きくなり、指紋の拭き取りが容易となるものと考えられる。また、10μm以下の波長領域における最大の振幅が0.050μm以上であることにより、比較的小さな波長領域における凹凸が一定以上存在し、人の手が触れた際に凹凸に接触する面積を小さくするとともに、人の手が触れた場合にも皮脂が付着しにくくなったものと考えられる。
チタン板の上記面における10μm以下の波長領域における最大の振幅は、上記範囲内であればよいが、付着した指紋をより目立ちにくくさせるという観点から、好ましくは0.055μm以上、より好ましくは0.060μm以上である。上記最大の振幅は、上記範囲内であればよいが、付着した指紋の拭き取りをより容易にするという観点から、好ましくは0.085μm以下、より好ましくは0.080μm以下である。
なお、本実施形態において表面粗さのパワースペクトルは、JIS B 0601:2001に基づき測定され、算出されることができる。
(光沢度)
チタン材の一方の面における光沢度は、特に限定されないが、入射角45度の光沢度が、160GU超350GU以下であることが好ましい。上記光沢度が160GU超であることにより、チタン材の面、特に凹凸部の頂部付近に平坦な面が比較的多く存在することとなる。このような平坦な面に指紋が付着した場合、拭き取りにより容易に指紋を除去することが可能である。上記光沢度は、より好ましくは200GU以上である。また、上記光沢度が350GU以下であることにより、チタン材の面、特に凹凸部の頂部付近に平坦な面が過度に存在することが防止される。これにより、指紋が付着する平坦な面が少なくなり、指紋がより目立ちにくくなる。上記光沢度は、より好ましくは300GU以下である。
なお、チタン材の面の光沢度は、例えばJIS Z 8741:1997に準じて測定することができる。
以上説明した本実施形態に係るチタン材は、少なくとも一方の面が上述した所定の算術平均表面粗さRaと、所定の表面粗さのパワースペクトルのプロファイルとを有している。これにより、チタン材の表面に人の手が触れた際にも、指紋が付着しにくくなるとともに、指紋が目立ちにくくなる。さらに、指紋が付着した際にも、指紋の拭き取りが容易である。
なお、チタン材において、少なくとも一つの面が、上述した所定の算術平均表面粗さRaと、所定の表面粗さのパワースペクトルのプロファイルとを有すればよいが、例えば、チタン板の場合は、表面、裏面の両方の面がこれらを有していてもよい。また、チタン材の一つの面の一部の領域のみが、上述した所定の算術平均表面粗さRaと、所定の表面粗さのパワースペクトルのプロファイルとを有していてもよい。
1.2 チタン基材
本実施形態に係るチタン材の基材(チタン基材)には、純チタン又はチタン合金を用いることができる。なお、純チタン及びチタン合金を総称して単に「チタン」と称する。
このようなチタン基材として、例えば、工業用チタンを用いてもよい。チタン基材に用いることのできる工業用チタンとしては、例えばJIS H 4600や、JIS H 4650に記載される各種工業用チタンが挙げられる。例えば、薄板形状のチタン材を機器筐体の部材に成形加工する場合は加工性が要求されるので、不純物を低減したJIS1種(たとえば、JIS H 4600)の工業用純チタンが好適である。また、強度が必要とされる場合は、JIS2種〜4種の工業用純チタンについても適用できる。チタン合金としては、例えば、耐食性を向上させるために、微量の貴金属系の元素(パラジウム、白金、ルテニウム等)を添加したJIS11種から23種や、比較的多くの添加元素を含むJIS60種(例えばTi−6Al−4V系合金)、60E種、61種、61F種、80種等が挙げられる。
あるいは、チタン基材は、例えば、質量%で、
N:0.050%以下、
C:0.10%以下、
H:0.015%以下、および
Fe:0.50%以下を含み、
残部がTiおよび不純物を含む、工業用純チタンであることができる。
さらに、チタン基材は、例えば、質量%で、
Al:5.0%以上7.0%以下、
V:3.0%以上5.0%以下、
Co:0.10%以上1.0%以下、
Ni:0.10%以上1.0%以下、
Pd:0.010%以上0.30%以下、
Ru:0.010%以上0.30%以下、
N:0.050%以下、
C:0.10%以下、
H:0.015%以下、および
Fe:0.50%以下を含み、
残部がTiおよび不純物を含む、工業用チタン合金であることができる。
ここで、不純物は、添加の意図に関係なく、チタン中に存在し、得られるチタン材において本来存在する必要のない成分である。「不純物」なる用語は、チタンを工業的に製造する際に原料または製造環境などから混入する不純物を含む概念である。このような不純物は、本願発明の効果に悪影響を与えない量で含まれ得る。
また、不純物として、後述するブラスト処理に起因する投射材の残存物が、チタン基材を用いて製造されるチタン材中に含まれてもよい。このようなブラスト処理に起因する不純物は、通常チタン材の表面付近に存在し得る。例えば投射材がアルミナ粒子の場合20原子%未満のAl、SiC粒子の場合20原子%未満のSiやCが不純物としてチタン材の表面付近に存在し得る。
なお、チタン基材は、通常、板、条、管、棒線であるか、またはこれらが適宜加工された形状をなす。しかしながら、チタン基材は、任意の形状、例えば球状、直方体状であってもよい。
1.3 用途
本実施形態に係るチタン材は、電子機器等の機器の筐体、航空機、化学プラント、建築物の外装品、内装品、装飾品、スポーツ用品、民生品等の任意のあらゆる用途に適用可能である。特に、電子機器等の機器は、人の手が触れる頻度が高いため、本実施形態に係るチタン材を適用した際に、より顕著に上記効果が得られる。すなわち、本実施形態に係るチタン材は、好ましくは機器筐体用チタン材である。特に、本実施形態に係るチタン材は、携帯機器筐体用チタン材であることが好ましい。
また、本実施形態に係るチタン材の上述した算術平均表面粗さRaと、所定の表面粗さのパワースペクトルのプロファイルとを有する面は、通常、使用される機器、部位の外観として表れる面に使用される。
また、上記の議論により、本発明は、その一側面において、上述した本実施形態に係るチタン材を備える機器にも関する。当該機器は、好ましくは電子機器、より好ましくは携帯機器である。
2. チタン材の製造方法
次に、上述した本実施形態に係るチタン材の製造方法の一例について説明する。本実施形態に係るチタン材の製造方法は、チタン基材の少なくとも一つの面を粗面化する第1の工程と、粗面化により前記面に生じた凸部の頂部を平坦化する第2の工程と、を有する。このように、第1の工程において、一旦粗面化を行うことにより、チタン基材の粗面化された面において人の手との物理的な接触面積が減少し、指紋が付着しにくく、また目立ちにくくなる。一方で、第2の工程において粗面化により生じた面の凸部の頂部を平坦化することにより、指紋が付着した場合であっても拭き取りやすくなる。
より具体的には、本実施形態に係る製造方法は、チタン基材の少なくとも一つの面について、表面粗さRzが10μm以上30μm以下の圧延ロールを用いて第1の圧延を行う、および/または前記面にブラスト処理を行う第1の工程と、前記面について、表面粗さRaが0.02μm以上0.10μm以下の圧延ロールを用いて第2の圧延を行う、および/または粒度がP400〜P1500である研磨材を用いて機械研磨を行う第2の工程と、を有することが好ましい。なお、第1の工程に先立ち、チタン基材を準備(製造)し、必要に応じて前処理を行う。また、以下の説明においてはチタン基材が板状をなすものとして説明する。以下、各工程について詳細に説明する。
2.1 チタン基材の製造
まず、チタン基材として、上述したようなチタン、具体的には工業用純チタン又は工業用チタン合金を準備する。本実施形態に係るチタン基材は薄板形状であり、冷間圧延によって所定の厚みまで圧延された後、焼鈍処理が施されている。大気中で焼純処理を施した場合は、酸洗によって酸化スケールを除去すればよい。真空中で焼鈍すると、焼鈍時に形成するスケール除去等の工程を省略することができる。これらの処理は、当業者に選択可能な条件を適宜採用して、実施することが可能である。
焼鈍温度は、要求されるチタン基材の機械特性に応じて、適宜、調整することができるが、560℃以上が好ましい。焼鈍温度の上限は相変態によりβ組織化させない為に820℃未満が望ましい。大気焼鈍は通常の条件で行えばよい。真空焼鈍を行う場合は、温度は600℃以上、処理時間は12時間以上が好ましい。複数の真空焼鈍を行う場合は、650℃以上での保持時間の合計が12時間以上であることが好ましい。保持時間の上限には特に制限はないが、生産性の観点から24時間以下が好ましい。真空焼鈍処理を施す前に、アルカリ脱脂によって油分を除去することが好ましい。大気中で焼純処理を施した場合、酸化スケールを除去する酸洗は、チタン基材の表面の溶解量を増加させる条件で行うことが好ましい。
2.2 第1の工程
第1の工程では、チタン基材について粗面化を行う。具体的には、上述したように、第1の圧延および/またはブラスト処理を行う。
(第1の圧延)
第1の圧延においては、板状のチタン基材の少なくとも一方の面について、表面粗さRzが10μm以上30μm以下の圧延ロールを用いて圧延を行う。このように、所定の表面粗さRzを有する圧延ロール(ダルロール)を用いることにより、ロールダル圧延処理を行い、チタン材の面に適切な粗さを付与することができる。一方で、圧延ロールの表面粗さRzが10μm未満である場合、チタン基材の面に十分な粗さを付与できないので、10μm以上とする。圧延ロールの表面粗さRzは、好ましくは12μm以上、より好ましくは15μm以上である。また、圧延ロールの表面粗さRzが30μmを超えた場合、圧延時の幅方向の応力が不均一になり、板の形状歪が生じるなど、製造上の問題が生じる。圧延ロールの表面粗さRzは、好ましくは25μm以下である。なお、表面粗さRzは、JIS B 0601:2001に準拠して測定される最大高さRzをいう。
また第1の圧延におけるチタン基材の圧下率は、特に限定されないが、例えば、0.5%以上10.0%以下であることが好ましい。これにより、過度に圧下してチタン基材の硬化による加工性の劣化を生じさせることを防止しつつ、十分に圧延ロールの形状に由来する粗さをチタン基材に付与することができる。チタン基材の圧下率は、より確実に粗面化を行う観点から、より好ましくは2.0%以上、さらに好ましくは4.0%以上である。一方、チタン材の加工性の確保という観点から、チタン基材の圧下率は、より好ましくは8.0%以下、さらに好ましくは6.0以下である。
(ブラスト処理)
ブラスト処理においては、投射材をチタン基材の面に投射し、粗面化を行う。
ブラスト処理の方法としては、機械式(インペラー投射)、空気式(エアノズル式)および湿式が挙げられ、いずれの方式によって行ってもよい。これらのうち空気式がブラスト処理された部位の全体に亘って均質で細かな粗面化が可能であり、条件の調節が容易であることから、有利である。
ブラスト処理において使用される投射材としては、特に限定されず、例えばジルコニア粒子、ガラス粒子、アルミナ粒子、SiC粒子等のセラミック系投射材を利用することができる。上述した中でも、ジルコニア粒子、ガラス粒子、アルミナ粒子、SiC粒子からなる群から選択される1種以上の投射材を使用することが好ましい。これにより、チタン基材の粗面化を十分に達成しつつ、意図しない疵等の欠陥が生じることを防止することができる。
また、投射材の平均粒径は、指紋が目立たないようにチタン基材を粗面化するという観点から、好ましくは75μm以上750μm以下、より好ましくは125μm以上500μm以下、さらに好ましくは180μm以上380μm以下である。これにより、部位による不均一さを少なくし、適度の粗さをチタン基材の面に付与することができる。
また、ブラスト処理時における投射材の投射圧は、特に限定されないが、好ましくは0.2MPa以上0.8MPa以下、より好ましくは0.3MPa以上0.6MPa以下、である。これにより、適度な投射強度で投射材をチタン基材の面に投射でき、ブラスト処理された部位の全体に亘って十分に均質に粗面化ができるとともに、投射材によって疵等の欠陥が生じることを防止することができる。
投射角は、特に限定されずチタン基材の投射される面に対し、45〜90°(垂直)であることができる。
第1の工程において、第1の圧延およびブラスト処理は、いずれか一方のみ行われてもよいし、両方が行われてもよい。第1の圧延およびブラスト処理が共に行われる場合、いずれの処理を先に行ってもよい。なお、第1の圧延およびブラスト処理は、それぞれ異なる種の意匠性をチタン基材の面に付与する。したがって、目的とされる外観によって、第1の工程における処理の種類を変更することが可能である。
2.3 第2の工程
第2の工程では、粗面化により生じた面の凸部の頂部を平坦化する。具体的には、以下に説明する第2の圧延を行う、および/または機械研磨を行う。
(第2の圧延)
本処理においては、チタン基材の粗化した面について、算術平均表面粗さRaが0.02μm以上0.10μm以下の圧延ロールを用いて第2の圧延を行う。このように、所定の算術平均表面粗さRaを有する圧延ロール(鏡面ロール)を用いることにより、スキンパス処理を行うことにより、粗面化後の凸部の頂点付近を選択的に押圧し、平坦にすることができる。一方で、圧延ロールの算術平均表面粗さRaが0.02μm未満である場合、圧延ロールとチタン基材との間の摩擦係数が小さくなり、通板方向に作用する圧延張力による変形などの問題が発生する場合がある。一方で、圧延ロールの算術平均表面粗さRaが0.10μmを超えた場合、粗面化によって生じた凸部の頂点の付近を選択的に押圧できなくなる結果、十分に当該頂点付近を平坦化することができなくなる場合がある。算術平均表面粗さRaは、好ましくは0.04μm以上0.08μm以下である。
また第2の圧延におけるチタン基材の圧下率は、特に限定されないが、例えば、0.5%以上5.0%以下であることが好ましい。これにより、粗面化により形成された凹凸形状を適度に保持しつつ、粗面化された面の凸部の頂点付近を十分に押圧し、平坦化することができる。チタン基材の圧下率は、凹凸形状の維持および凸部の頂点付近の平坦化をより確実に達成するために、より好ましくは0.5%以上2.0%以下である。
(機械研磨)
機械研磨においては、研磨材をチタン基材の面に接触させ、粗面化された面の凸部の頂点付近を削り取り、平坦化する。機械研磨の方式としては、水や油等の液体とともに研磨を行う湿式研磨および、液体を用いない乾式研磨が挙げられる。これらのうち、研磨時における熱の除去や研磨効率の観点から、湿式研磨が好ましい。
また、本処理においては、粒度がP400〜P1500である研磨材を用いて機械研磨を行う。このような比較的粒度が大きい研磨材、すなわち細かい研磨粒子を用いることにより、一旦粗面化したチタン基材の面の形状を適度に保存しつつ、粗面化された面の凸部の頂点付近を選択的に削り取り、平坦化することができる。粒度は、より好ましくは、P600〜P1200、さらに好ましくはP800〜P1200である。
第2の工程において、第2の圧延および機械研磨は、いずれか一方のみ行われてもよいし、両方が行われてもよい。第2の圧延および機械研磨が共に行われる場合、いずれの処理を先に行ってもよい。なお、第2の圧延および機械研磨は、それぞれ異なる種の意匠性をチタン基材の面に付与する。したがって、目的とされる外観によって、第2の工程における処理の種類を変更することが可能である。
さらに、チタン基材の外観を調節し、意匠性を付与するために、第1の工程および第2の工程を含むステップを複数回繰り返してもよい。
以上の各工程を経ることにより、上述したチタン材を製造することができる。上述したように得られるチタン材は、当該チタン材の表面に人の手が触れた際にも、指紋が付着しにくくなるとともに、指紋が目立ちにくくなる。さらに、指紋が付着した際にも、指紋の拭き取りが容易である。
以下に、実施例を示しながら、本発明の実施形態に係るチタン材について、具体的に説明する。なお、以下に示す実施例は、本発明に係るチタン材のあくまでも一例であって、本発明が、下記の例に限定されるものではない。
1. チタン材の製造
まず、表1、表2に示すチタン基材を用意し、表1、表2に示す条件で焼鈍を行ない、必要に応じて、酸洗処理を行った。なお、表1、表2において、JIS H 4600に基づく純チタン1種を「JIS1」と、純チタン2種を「JIS2」と表記した。さらに、焼鈍については、真空焼鈍または大気焼鈍のいずれかを行ったかを記載した。真空焼鈍処理は、真空度を1.0×10−3Torr以下、温度を650℃、処理時間を12時間として行った。また、大気焼鈍は、温度を730℃以上、処理時間を2分として行った。
次いで、表1、表2に示す処理順序、条件にて、第1の圧延(A)、ブラスト処理(B)、第2の圧延(C)および機械研磨(D)を適宜組み合わせて行い、実施例1〜34および比較例1〜10に係るチタン材を得た。なお、表1、表2中、処理順序の欄において左に記載される処理から右に記載される処理を順次行った。
Figure 0006897561
Figure 0006897561
Figure 0006897561
Figure 0006897561
表3、表4に示すように実施例1〜34に係る本発明のチタン材は、耐指紋性および指紋拭き取り性に優れていた。特に、光沢度が160GU超350GU以下、さらには200GU以上300GU以下のチタン材については、指紋拭き取り性がより一層向上していた。
一方で、表4に示すように比較例1〜10に係るチタン材は、いずれも指紋ふき取り性が劣っていた。また、比較例3、4、7に係るチタン材については、算術平均粗さが小さい結果、耐指紋性も劣っていた。
以上、本発明の好適な実施形態について詳細に説明したが、本発明はかかる例に限定されない。本発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、これらについても、当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。

Claims (4)

  1. 少なくとも一つの面の算術平均粗さRaが0.50μm以上であり、かつ
    当該面の表面粗さのパワースペクトル解析において、10μm以下の波長領域における最大の振幅が、0.050μm以上0.090μm以下である、チタン材。
  2. 前記面における入射角45度の光沢度が、160GU超350GU以下である、請求項1に記載のチタン材。
  3. 機器筐体用チタン材である、請求項1または2に記載のチタン材。
  4. 請求項1〜3のいずれか一項に記載のチタン材を備える、機器。
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