以下、本発明に係る整流回路装置の制御方法の各態様について説明する。以下の各態様の説明において、括弧内の符号等は後述する各実施の形態における関連する要素の符号等を表すものであるが、本発明を各実施の形態の構成に限定するものではない。
本発明の第1の態様は、
半導体スイッチをチョッピング動作させることにより、単相交流電源からの交流電圧、或いは該交流電圧を整流した脈動電圧を、リアクタを介して短絡又は開放し、単相交流電源から直流電圧に整流した後、負荷に電力を供給する整流回路装置であって、
整流回路装置は、単相交流電圧の波形と同一周波数の目標電流波形を生成する波形生成部220(AC電圧位相検出器201、目標電流波形生成器202で構成)と、単相交流電源から流れる交流電流、又は整流後の脈動電流を検出する交流電流検出部111及び交流電流検出器103と、直流電圧を検出する直流電圧検出部112及び直流電圧検出器110と、検出された交流電流の波形が実質的に前記目標電流波形となるように半導体スイッチのチョッピング動作を制御する第1の制御部221(減算器209、Iac補償演算器210、PWM変換器211で構成)と、検出された直流電圧が実質的に所定の目標直流電圧となるように目標電流波形の振幅を制御する第2の制御部222(減算器206、Vdc補償演算器207、乗算器208で構成)と、
単相交流電源の電源半周期毎の電源半周期における交流電流検出部111及び交流電流検出器103により検出された交流電流の絶対値の最大値或いは脈動電流の最大値と、同一の電源半周期における半導体スイッチ(104a或いは104b)のチョッピングが連続して停止している期間であるチョッピング休止位相幅とを関連付け、電源周期より長い計測時間内において、電源半周期毎に検出された交流電流の絶対値の最大値或いは前記脈動電流の最大値の中で最も大きな値に関連付けられたチョッピング休止位相幅を最大チョッピング休止位相幅とし、最大チョッピング休止位相幅が実質的に所定の位相幅となる様に所定の目標直流電圧を制御する第3の制御部223(チョッピング位相幅検出器212、目標位相幅設定器203、減算器204、位相幅補償演算器205で構成)と、チョッピング位相幅検出器212から出力される複数の前記最大チョッピング休止位相幅から前記電源周期より長い計測時間を調整するための計測時間調整情報を作成し前記第3の制御部へ出力する計測時間調整部301により構成され、前記第3の制御部は、前記計測時間調整部の計測時間調整情報により、前記最大チョッピング休止位相幅の更新周期が調整される事を特徴として有している。
これにより、負荷変動を伴う駆動状況において、第3の制御部で決定する電圧指令の更新周期に影響を与える最大チョッピング休止位相幅の計測時間を、計測時間調整部301の出力信号で調整する事ができ、計測時間が圧縮機の最低回転数に制限される事が無くなるため。駆動状況に応じた結果を電圧指令に反映する事ができる事から、圧縮機の回転数の変化や環境の変化により引き起こされる電源高調波の変化に対する電圧指令の追従性を改善すると同時に、所望のチョッピング休止位相幅とすべく、入力電圧のピーク値より整流回路装置の出力電圧を低く調整しながら目標直流電圧制御をする事により、回路損失を低減しつつ電源高調波レベルの抑制ができる
本発明の第2の態様は、第1の態様における計測時間調整部301が出力する計測時間調整情報は、計測時間調整情報による調整を受けた更新周期毎に作成される最大チョッピング休止位相幅を用いて、予め設定した所定の回数あるいは所定の時間における最大チョッピング休止位相幅のばらつきを求め、前記ばらつきが予め設定した所定の値を越える場合は、現在設定している計測時間よりも次回の計測時間を長く設定する出力である一方、前記ばらつきが前記所定の値を越えない場合は、現在設定している計測時間よりも次回の計測時間を短く設定する出力である事を特徴として有している。
これにより圧縮機の駆動状況による入力電流の変動状況を反映した最大チョッピング休止位相幅の検出が可能となり、得られた最大チョッピング休止位相幅により目標電圧指令を調整する事で、最低回転数に制限される事なく駆動状況に応じた結果を電圧指令に反映する事ができる事となり、圧縮機の回転数の変化や環境の変化により引き起こされる電源高調波の変化に対する電圧指令の追従性を改善すると同時に、所望のチョッピング休止位相幅とすべく、入力電圧のピーク値より整流回路装置の出力電圧を低く調整しながら目標直流電圧制御をする事により、回路損失を低減しつつ、電源高調波レベルを抑制する事ができる
本発明の第3の態様は、前記第1の態様から第2の態様の何れかの態様における前記所定の位相幅が、電源半周期に対して0度から180度の範囲で、負荷の状況、若しくは外部からの指令に応じて変更して設定されるように構成される事により、所望のチョッピング休止位相幅に応じて整流回路で発生する損失が調整できる事となり、状況に応じた電源高調波と整流回路で発生する損失低減の最適な設定が可能となる。
本発明の第4の態様は、前記第1の態様から第3の態様の何れかの態様における前記負荷の状況が、前記交流電流の値、前記交流電流に基づいて計算される入力電力、または前記整流回路装置の出力電力、或いは前記モータに対する回転数又は回転数指令値で示されるよう構成する事により、負荷の状況を実際の駆動状況から認識する事ができる事となり、負荷に合わせた所望のチョッピング休止位相幅を設定する事で整流回路において発生する損失が調整できる事となり、状況に応じた電源高調波と整流回路で発生する損失低減の最適な設定が可能となる。
本発明の第5の態様は、前記第1の態様から前記の第4の態様の何れかの態様における
前記第3の制御部は、前記単相交流電源の電源半周期において、複数の前記チョッピング休止位相幅が存在するときに、当該期間内のいずれかの位相幅、若しくは合計の位相幅を当該の電源半周期におけるチョッピング休止位相幅とするよう構成されている事により負荷が軽いとき等でスイッチングが安定しない時でも安定したチョッピング休止位相幅が得られる事となり、チョッピング休止幅による電圧制御を安定に実施する事ができる。
本発明の第6の態様は、前記第1の態様から前記第5の態様の何れかの態様における前記第3の制御部は、前記最大チョッピング休止位相幅、または予め設定されている回数による平均値が、実質的に所定の位相幅となるように前記所定の目標直流電圧を制御するよう構成されている事により、ノイズ等の影響で大きく値が変化した場合においても、その影響を緩和する事によりチョッピング休止幅による電圧制御を安定に実施する事ができる。
本発明の第7の態様は、前記第1の態様から前記第6の態様のいずれかの態様における前記目標電流波形は、前記目標電流波形の瞬時の絶対値が、前記単相交流電源の電源半周期において、(a)当該期間の開始点から、所定の中間点までは、時間経過とともに、増加し、若しくは増加し、かつ、一部期間で一定であるように実質的に単調増加し、(b)前記中間点から終了点までは、時間経過とともに、減少し、若しくは減少し、かつ、一部期間で一定であるように実質的に単調減少した後、ゼロとなる期間を有するように設定している事により、入力電源電圧よりも整流回路の出力電圧が低い設定が可能となる事となり、整流回路装置で発生する損失と電源高調波を双方考慮しながら軽減する事が可能となる。
本発明の第8の態様は、前記第1の態様から前記第7の態様の何れかの態様における前記目標電流波形は、前記目標電流波形の瞬時の絶対値が、前記単相交流電源の電源半周期において、(a)当該期間の開始点から、所定の第1の中間点までは、ゼロとなる期間を有し、(b)前記第1の中間点から所定の第2の中間点までは、増加し、若しくは増加し、かつ、一部期間で一定であるように実質的に単調増加し、(c)前記第2の中間点から終了点までは、時間経過とともに、減少し、若しくは減少し、かつ、一部期間で一定であるように実質的に単調減少した後、ゼロとなる期間を有する様に設定していることにより、入力電源電圧よりも整流回路の出力電圧が低い設定が可能となる事となり、整流回路装置で発生する損失に関し電源高調波を考慮しながら軽減する事が可能となる。
以下、本発明の整流回路装置に係る実施の形態について、添付の図面を参照しながら説明する。なお、本発明の整流回路装置は、以下の実施の形態に記載した整流回路装置の構成に限定されるものではなく、以下の実施の形態において説明する技術的思想と同等の技術的思想に基づいて構成されるものを含む。また、以下の各実施の形態において、同様の機能を有する構成要素については同一の符号を付して説明する。
(実施の形態1)
図1は本発明に係る実施の形態1の整流回路装置の構成を示す回路図である。図1において、単相交流電源1の両出力端子を、単相交流電源1の極性に応じてリアクタ102を介して半導体スイッチ104aとダイオード105c或いは半導体スイッチ104bとダイオード105dにより短絡することにより、それぞれ1つのループが構成される。交流電流検出器103は、そのループの電流を検出し、検出された電流値Iacを示す信号を整流回路制御部100に出力する。
例えば、半導体スイッチ104aと104bが接続される点の電圧よりも、ダイオード105cとダイオード105dが接続される点の電圧が高い場合は、半導体スイッチ104aをオン状態にすると、リアクタ102の電流は、単相交流電源1、交流電流検出器103、ダイオード105c、半導体スイッチ104a、リアクタ102と流れ増加する。
この時、半導体スイッチ104aをオフ状態にすると、リアクタ102に流れていた電流はダイオード105cから平滑コンデンサ106および負荷4に流れ、負荷4に電力を供給する。
一方、半導体スイッチ104aと104bが接続される点の電圧よりも、ダイオード105cとダイオード105dが接続される点の電圧が低い場合は、半導体スイッチ104bをオン状態にすると、リアクタ102の電流は、単相交流電源1、リアクタ102、半導体スイッチ104b、ダイオード105d、交流電流検出器103と流れ増加する。
この時、半導体スイッチ104bをオフ状態にすると、リアクタ102に流れていた電流はダイオード105aから平滑コンデンサ106および負荷4に流れ、負荷4に電力を供給する。
負荷4に印加される平滑コンデンサ106の両端の直流電圧Vdcは、直流電圧検出器110により検出され、直流電圧検出器110は検出された直流電圧Vdcを示す信号を整流回路制御部100に出力する。
また、単相交流電源1から入力された交流電圧の位相検出部である電圧レベル比較器109は、単相交流電源1のAC電圧レベルを所定のしきい値電圧と比較することにより、当該しきい値電圧以上であるか否かを示す2値信号Scomを発生して整流回路制御部100に出力する。整流回路制御部100は、2値信号Scomの周期および位相に基づいて、単相交流電源1から出力されるAC電圧の位相を検知する。整流回路制御部100は、検知されたAC電圧の位相に基づいて、AC電圧と実質的に同一の周波数であって、AC電圧と相似形状を有する目標電流波形を生成し、交流電流検出器103により検出された電流値Iacが前記生成した目標電流波形の相似形状に漸近するように、単相交流電源1の極性に応じ半導体スイッチ104a又は半導体スイッチ104bをチョッピング動作させるように制御する。
さらに、整流回路制御部100は、直流電圧検出器110により検出された直流電圧Vdcが、整流回路制御部100内で設定された所望の直流電圧となる様に、その偏差に応じて、生成する目標電流波形の相似比率を調整する。
ここで、整流回路制御部100は、実際の直流電圧Vdcが所望の直流電圧より低ければ、目標電流波形の相似比率を増大させて、大きな電流になるように制御し、実際の直流電圧Vdcが所望の直流電圧よりも高ければ、小さな電流になるように制御する。また、整流回路制御部100は、単相交流電源1の極性に応じた半導体スイッチ104a又は半導体スイッチ104bのチョッピング状態からパルス幅変調駆動(以下、「PWM」という。)していないチョッピング休止位相幅を検出し、電源周期より長い計測時間内において、前記電源半周期毎に検出された前記交流電流の絶対値の最大値或いは前記脈動電流の最大値の中で最も大きな値に関連付けられた前記チョッピング休止位相幅を最大チョッピング休止位相幅とし、最大チョッピング位相幅と所望の値との偏差を検出し、当該偏差に応じて前記所望の直流電圧値を調整する。
図2は図1の整流回路制御部100の詳細構成を示すブロック図である。図2の整流回路制御部100において、当該制御システムとしての最終制御目標は、計測時間調整部301が出力した情報により設定された電源周期より長い所定の期間内で最大電流を含む交流電圧の半周期における最大チョッピング休止位相幅MaxθωOFFを目標位相幅設定器203からの所望の位相幅θωOFF*に制御する事である。
まず、AC電圧位相検出器201は、単相交流電源1の電圧レベルを所定のしきい値電圧Vthと比較することにより2値化した2値信号Scomに基づいて、AC位相を検出し、検出したAC位相を示す信号を目標電流波形生成器202およびチョッピング位相幅検出器212に出力する。
次いで、目標電流波形生成器202は、前記AC位相を示す信号Scomに基づいて、所定の目標電流波形を発生して、乗算器208に出力する。
なお、本発明に係る実施の形態1においては、整流回路制御部100におけるAC電圧位相検出器201と目標電流波形生成器202により、交流電圧の波形と同一周波数の目標電流波形を生成する波形生成部220が構成されている。
チョッピング位相幅検出器212は、Iac補償演算器210からPWM変調器211に出力される半導体スイッチ104a又は半導体スイッチ104bに対するチョッピング駆動信号Schの原信号に基づいて、AC電圧位相検出器201からの信号が示すAC電圧の位相を基準として、交流電圧の半周期毎にチョッピング休止位相幅を検出し、交流電圧の半周期中に交流電流検出部111及び交流電流検出器103から得られた最大電流値を、計測時間調整部301の出力信号による時間情報から設定した計測時間内の最大電流値と比較し、今回得た最大電流値が計測時間内の最大電流値より大きな場合、計測時間内の最大電流値を今回得た最大電流値で更新すると共に、計測時間内の最大チョッピング休止位相幅MaxθωOFFを今回得たチョッピング休止位相幅で更新する。そして、計測時間調整部301が設定した計測時間到達毎に最大チョッピング休止位相幅MaxθωOFFを減算器204と計測時間調整部301に出力すると同時に計測時間内の最大電流値をリセットする。
計測時間調整部301は、チョッピング位相幅検出器212が計測時間到達毎に出力する最大チョッピング休止位相幅MaxθωOFFに対し、予め設定した所定の回数あるいは所定の時間におけるばらつきを求め、得られたばらつきが予め設定した所定の値を越える場合は、現在設定している計測時間よりも次回の計測時間を長くする出力をチョッピング位相幅検出器212へ出力する一方、得られたばらつきが所定の値を越えない場合は、現在設定している計測時間よりも次回の計測時間を短くする出力をチョッピング位相幅検出器212へ出力する。
一方、目標位相幅設定器203は、交流電流検出器103及び交流電流検出部111により検出された実際の電流値Iacから予め設定された関係に従い所望のチョッピング休止位相幅θωOFF*を示す信号を減算器204に出力する。
ここで、図3は、目標位相幅設定器203から出力される所望のチョッピング休止位相幅θωOFF*と、目標位相幅設定器203に入力される実際の電流値Iacとの関係の一例を示したものである。
図3に示すように、実際の電流値Iacの増加に従い所望のチョッピング休止位相幅θωOFF*が減少する特性としている。このような特性とする事により、低入力では高調波電流自体の大きさが小さいため所望のチョッピング休止位相幅θωOFF*を大きくし、損失低減を重視する一方で、高入力では高調波電流の低減を重視し所望のチョッピング休止位相幅θωOFF*を小さくした特性を持たせることができる。その結果、損失低減と高調波電流の抑制を狙った特性を持たせることができる。
なお、図3に示す特性では、前後を平坦にし、その間を滑らかな直線で繋いだものとしているが、所望のチョッピング休止位相幅θωOFF*と電流値Iacとの関係を示す特性としては、図3に示した特性に限定されるものではない。
また、電流値Iacは、所定の期間の最大ピーク電流、若しくは平均値としても良い。
また、図3の特性図において、横軸を実際の電流値Iacとして説明しているが、電流値Iacに基づいて計算される入力電力(図示しない)、若しくは負荷4に流れる電流(図示しない)と直流電圧から得られる整流回路装置の出力電力を用いても同様の結果が得られる。
減算器204は、いわゆる位相比較器であり、チョッピング位相幅検出器212が出力する、計測時間調整部301の出力情報を用いて設定した計測時間内の最大チョッピング休止位相幅MaxθωOFFから、所望のチョッピング休止位相幅θωOFF*を減算する事により、その位相幅の偏差を演算して当該偏差を示す信号を位相幅補償演算器205に出力する。
位相幅補償演算器205は、PWM駆動状態の位相幅を安定に保つための所定の補償演算を行うことにより、当該整流回路装置により出力すべき直流電圧の指令電圧Vdc*を発生して、当該指令電圧Vdc*を示す信号を減算器206に出力する。
一方、直流電圧検出器110及び直流電圧検出部112により検出された実際の出力直流電圧Vdcを示す信号は減算器206に入力される。
減算器206は、直流電圧の指令電圧Vdc*から実際の出力直流電圧Vdcを減算する事により電圧偏差を演算し、電圧偏差を示す信号を発生してVdc補償演算器207に出力する。
Vdc補償演算器207は、実際の直流電圧Vdcが指令電圧Vdc*と実質的に一致し、かつ、安定になるための補償演算を実行することにより、補償演算後の電圧偏差を示す信号を乗算器208に出力する。
乗算器208は、目標電流波形生成器202からの目標電流波形に対して補償演算後の電圧偏差を乗算し、乗算結果である瞬時の電流指令値Iac*を生成して、減算器209に出力する。
乗算器208の動作では、実際の直流電圧Vdcが指令電圧Vdc*よりも低いとき、目標電流波形の振幅を増大させる一方、実際の直流電圧Vdcが指令電圧Vdc*よりも高いとき、目標電流波形の振幅を減少させる。
減算器209は、瞬時の電流指令値Iac*から、交流電流検出器103及び交流電流検出部111により検出された実際の電流値Iacを減算することにより、減算結果である電流偏差を示す信号をIac補償演算器210に出力する。Iac補償演算器210は、単相交流電源1から入力される電流が電流指令値Iac*に安定、かつ、速やかに実質的に一致するように所定の補償演算を行って、補償演算後の電流偏差を示す信号をPWM変調器211およびチョッピング位相幅検出器212に出力する。PWM変調器211は、入力される信号が示す補償演算後の電流偏差に対してPWM変調する事により、半導体スイッチ104a又は半導体スイッチ104bをオンオフするためのチョッピング駆動信号Schを生成して、半導体スイッチ104a又は半導体スイッチ104bに出力する。以上により、チョッピング位相幅の制御ループが構成される。
以上のように構成された、半導体スイッチ104a又は半導体スイッチ104bをチョッピング駆動制御する整流回路制御部100においては、図2の減算器204よりも右側のループ(204から205,206,207,208,209,210,212を介して204に戻るループをいう。)において、計測時間調整部301が出力した情報によりチョッピング位相幅検出器212が設定した電源周期より長い期間内で最大電流を含む交流電圧の半周期における最大チョッピング休止位相幅MaxθωOFFを目標位相幅設定器203からの所望の位相幅θωOFF*に実質的に一致するように直流電圧Vdcが制御される。また、図2の減算器206よりも右側のループ(206から207,208,209,210,211,104a,104bと、110及び112を介して206に戻るループをいう。)において、直流電圧検出器110及び直流電圧検出部112により検出された直流電圧Vdcが位相幅補償演算器205により示される所望の直流電圧Vdc*と実質的に一致するように目標電流の振幅が制御されてチョッピング駆動制御される。
さらに、図2の減算器209よりも右側のループ(209から210,211,104と,103及び111を介して209に戻るループをいう。)において、交流電流検出器103及び交流電流検出部111により検出された電流Iacが目標電流波形生成器202により生成された目標電流波形に基づいて発生された目標電流Iac*に実質的に一致するようにチョッピング駆動制御される。
図4Aは、実施の形態1における整流回路装置の第1の動作例に係る制御動作を説明する為の図であって、(a)AC電圧と整流後のDC電圧との関係と、(b)制御すべき目標電流波形と、(c)実際に制御した後のAC電流とを示す信号波形図である。
図4Aで示す第1の動作例は、出力されるDC電圧が比較的低く、計測時間内の最大チョッピング休止位相幅MaxθωOFFが所望の位相θωOFF*よりも広くなっている場合である。
この時、AC電圧がDC電圧より高い位相期間が増加するので、例えば半導体スイッチ104aと104bが接続される点の電圧よりも、ダイオード105cとダイオード105dが接続される点の電圧が低い場合は、単相交流電源1からリアクタ102とダイオード105aを経由してDC側へと流れ込む電流が増加する。このため、AC電流の波形が先鋭になり、AC電流の高調波成分が増加する。
図4Bは、実施の形態1における整流回路装置の第2の動作例に係る制御動作を説明する為の図であって、(a)AC電圧と整流後のDC電圧との関係と、(b)制御すべき目標電流波形と、(c)実際に制御した後のAC電流とを示す信号波形図である。
図4Bで示す第2の動作例は、出力されるDC電圧が比較的高く、計測時間内の最大チョッピング休止位相幅MaxθωOFFが所望の位相幅θωOFF*よりも狭くなっている場合である。
この時、AC電圧がDC電圧より高い位相期間が第1の動作例に比較して減少するので、例えば、半導体スイッチ104aと104bが接続される点の電圧よりも、ダイオード105cとダイオード105dが接続される点の電圧が低い場合は、単相交流電源1からリアクタ102とダイオード105aを経由してDC側へと流れ込む電流も減少し、AC電流の高調波成分が減少する。しかし、図4Bの第2の動作例は、図4Aの第1の動作例での波形に比べて、半導体スイッチ104bに対するチョッピングが行われている期間が増加しているため、回路の損失が増加してしまう。
ここで、単相交流電源1からのAC電圧にひずみが含まれていると、AC電圧の半周期の間にチョッピングがなされていない区間が複数回数出現することがある。その場合には、チョッピング位相幅検出器212が、単相交流電源の電源半周期にあるそれらを加算してチョッピング休止位相幅とし、当該チョッピング制御を行ってもよい。
本発明に係る実施の形態1の構成における整流回路装置は、整流回路制御部100と共に、交流電流を検出する交流電流検出器103と、直流電圧を検出する直流電圧検出器110と、電圧レベル比較器109と、を含むものである。
また、実施の形態1における整流回路制御部100は、波形生成部220と、第1の制御部221、第2の制御部222、第3の制御部223、及び計測時間調整部301に機能的に分けられる。
第1の制御部221は、検出された交流電流Iacの波形が実質的に目標電流波形となるように半導体スイッチ104a又は半導体スイッチ104bのチョッピング動作を制御するものであり、図2に示す実施の形態1の構成においては、減算器209、Iac補償演算器210、およびPWM変調器211により構成される。
第2の制御部222は、検出された直流電圧Vdcが実質的に所定の目標直流電圧Vdc*となるように目標電流波形の振幅を制御するものであり、実施の形態1の構成においては、減算器206、Vdc補償演算器207、乗算器208により構成される。
第3の制御部223は、計測時間調整部301が出力する計測時間調整情報に対してその計測時間内の最大入力電流を含む電源半周期における半導体スイッチ104a又は半導体スイッチ104bによりチョッピング休止状態である最大チョッピング休止位相幅が実質的に所定の位相幅となるように所定の目標直流電圧Vdc*を制御するものであり、実施の形態1の構成においては、目標位相幅設定器203、減算器204、位相幅補償演算器205、およびチョッピング位相幅検出器212により構成される。
なお、実施の形態1において、目標位相幅設定器203は交流電流検出器103及び交流電流検出部111により検出された実際の電流値Iacから予め設定された関係に従い所望のチョッピング休止位相幅θωOFF*を求める構成であるが、他の構成により対応することも可能である。
例えば、目標位相幅設定器203が、単相交流電源の電源半周期の交流電流検出器103及び交流電流検出部111で得た最大電流(瞬時値)を順次記憶し、予め設定されている回数の中から最も大きな電流を抽出し、位相幅設定用電流Iacpとし、実際の電流Iacの代わりに用いてもよい。または、目標位相幅設定器203においては、予め設定されている回数において記憶した最大電流(瞬時値)を用いた平均値を位相幅設定用電流Iacpとし、実際の電流Iacの代わりに用いてもよい。
或いは、目標位相幅設定器203が、実際の電流Iacではなく、実際の電流Iacに基づいて計算される入力電力、若しくは入力電力の平均値、若しくは直流電圧検出器110と負荷4へ流入する電流を検出する電流検出器(図示しない)とより計算される整流回路装置の出力電力を用いてもよい。
或いは、負荷4がモータとモータ電流検出器とインバータ装置で構成される場合は、直流電圧検出器110及び直流電圧検出部112で得られた直流電圧Vdcとモータを制御する場合のトルク電流指令から計算される整流回路装置の出力電力、若しくは出力電力の平均値を用いてもよい。
或いは、負荷4がモータとモータ電流検出器とインバータ装置で構成される場合は、モータへの回転数指令により所望のチョッピング休止位相幅θωOFF*が切り換わるように、外部より指示信号(図示しない)を与える方法でもよい。
或いは、特定の条件において高力率や高いDC電圧を望むなどの整流回路装置を含むシステム全体の要求から所望のチョッピング休止位相幅θωOFFF*が切り換わる様に、外部より指示信号(図示しない)を与える方法でもよい。
さらに、これらの方法を複合した方法でもよい。
以上、実施の形態1におけるチョッピング位相幅検出器212及び計測時間調整部301による処理内容を説明した。
次に、負荷4がインバータ装置5とモータ電流検出器113とモータ7により構成される場合について、インバータ装置5を駆動するインバータ制御部300の動作を簡単に説明する。
図5は、図1で示した負荷4が、インバータ装置5とモータ電流検出器113とモータ7で構成されている場合である。モータ電流検出器113とインバータ装置5を制御する為のインバータ制御部300が追加されている。
図6は、インバータ制御部300のブロック図を示したものである。
インバータ制御部300は、3シャント式電流検出手段のUVW各相に対応した出力信号Iu、Iv、IwがA/D変換手段500に入力され、A/D変換手段500は各相電流に対応した電流信号Iu、Iv、Iwを3相/2相・d/q座標変換手段501に加える。3相/2相・d/q座標変換手段501では、3相電流を2相電流に変換した後、仮想のd−q軸に座標変換し、d軸電流成分Idとq軸電流成分Iqを求め、その出力信号は位置推定演算手段502に加えられ、位置推定演算手段502は、モータパラメータから演算した電流信号と3相/2相・d/q座標変換手段501の出力信号が等しくなるように位置信号θを変更して位置推定演算する。
位置推定演算手段502から求まったq軸電流Iq、d軸電流Idは電流比較手段503に加えられ、回転数信号Nは回転数比較手段504に加えられる。回転数比較手段504は、回転数制御手段505からの設定信号Nsと回転数信号Nを比較し、その誤差信号ΔNをトルク電流設定手段506に加え、誤差信号ΔNに応じてトルク電流設定値Iqsを演算し電流比較手段503に加える。
電流比較手段503の出力信号は電圧制御手段507に加えられ、q軸電流Iqとd軸電流Idが設定値通りとなるようにq軸電圧Vq、d軸電圧Vdをそれぞれ制御し、座標逆変換手段508により3相電圧制御信号Vu、Vv、Vwを発生させる。
d軸電流Idはq軸からの進角値とq軸電流Iqより演算して求め、d軸電圧制御信号Vdを制御する。位置推定演算手段502から求まったIq、Idおよび回転数信号Nは、モータ出力推定手段509に加えられモータ出力Pを推定演算する。モータ回転数をωr、ロータ磁束をΨa、d軸インダクタンスをLd、q軸インダクタンスをLq、d軸電流をId、q軸電流をIqとした場合に、「P=ωr×T=ωr×{Ψa×Iq+(Ld−Lq)×Id×Iq}」の数式を用いて埋め込み磁石モータの出力電力を推定する。
モータ出力推定手段509の出力信号は交流入力制御手段510に加えられ、モータ出力が増加し交流入力電流が所定値以上となると回転数制御手段505にモータ回転数を低下させる信号を加える。交流電源電流は、交流電源電圧が低下するとさらに増加するので、交流入力制御手段510には交流電源電圧に比例した信号を出力する直流電圧検知手段からの出力信号Vdcを加え、交流電流の推定演算精度を高めている。
上記のように図6に示した構成においても、前述の図2に示した構成と同様の作用効果を有する。
なお、計測時間調整部301により電源周期より長い計測時間を設定するのは、計測時間内に負荷4の負荷変動の影響を入れるためである。
以上のように構成した場合、負荷4が変動を伴う負荷である場合においても、図2に示した構成と同様の作用効果を有する。
(実施の形態2)
以下、本発明に係る実施の形態2の整流回路装置について説明する。
本発明に係る実施の形態2の整流回路装置は、前述の実施の形態1の整流回路装置のチョッピング相幅検出器212が出力する最大チョッピング休止位相幅を別の指標に置き換えたものである。実施の形態2の整流回路装置におけるチョッピング位相幅検出器212は、Iac補償演算器210からPWM変調器211に出力される半導体スイッチ104a又は半導体スイッチ104bに対するチョッピング駆動信号Schの原信号に基づいて、AC電圧位相検出器201からの信号が示すAC電圧の位相を基準として、交流電圧の半周期毎に半周期中の前半のチョッピング位相幅θ1ωONを検出し、交流電圧の同じ半周期中に交流電流検出器103及び交流電流検出部111から得られた最大電流値を、計測時間調整部301が出力した時間情報によりチョッピング位相幅検出器212が設定した計測時間内の最大電流値と比較し、今回得た最大電流値が計測時間内の最大電流値より大きな場合、計測時間内の最大電流値を今回得た最大電流値で更新すると共に、計測時間内の最大チョッピング位相幅Maxθ1ωONを今回得たチョッピング位相幅で更新する。そして、チョッピング位相幅検出器212は計測時間到達毎に最大チョッピング位相幅Maxθ1ωONを減算器204と計測時間調整部301に出力すると同時に、計測時間内の最大電流値をリセットする。
最大チョッピング位相幅Maxθ1ωONを用いて当該チョッピング制御を行う。
したがって、本発明に係る実施の形態2の整流回路装置の構成としては、前述の実施の形態1において説明した図1および図2の構成と実質的に同じ構成を有するものであり、実施の形態2においては実施の形態1における符号と同じ符号を用いて説明する。
図7Aは、本発明に係る実施の形態2の整流回路装置の第3の動作例に係る制御動作を説明するための図であって、(a)AC電圧と整流後のDC電圧との関係と、(b)制御すべき目標電流波形と、(c)実際に制御した後のAC電流とを示す信号波形図である。また、図7Bは、本発明に係る実施の形態2の整流回路装置の第4の動作例に係る制御動作を説明するための図であって、(a)AC電圧と整流後のDC電圧との関係と、(b)制御すべき目標電流波形と、(c)実際に制御した後のAC電流とを示す信号波形図である。
図7Aの第3の動作例では、出力されるDC電圧が比較的低く、半導体スイッチ104a又は半導体スイッチ104bのチョッピングにより発生するチョッピング位相幅θ1ωONが比較的小さくなっている場合である。
一方、図7Bの第4の動作例では、出力されるDC電圧が第3の動作例に比較して高く、半導体スイッチ104a又は半導体スイッチ104bにより発生するチョッピング位相幅θ1ωONが第3の動作例に比較して大きくなっている場合である。
実施の形態2の整流回路装置では、図7Aおよび図7Bに示した動作例におけるAC電圧の半周期の区間において、前半のチョッピングがなされている位相幅θ1ωONは、前述の図4Aおよび図4Bに示した傾向と同様の傾向があるため、実施の形態1と同様の作用効果を得ることができる。
(実施の形態3)
以下、本発明に係る実施の形態3の整流回路装置について説明する。
本発明に係る実施の形態3の整流回路装置は、前述の実施の形態2の整流回路装置と同様に、実施の形態1の整流回路装置のチョッピング休止位相幅を別の指標に置き換えたものである。
実施の形態3の整流回路装置におけるチョッピング位相幅検出器212は、Iac補償演算器210からPWM変調器211に出力される半導体スイッチ104a又は半導体スイッチ104bに対するチョッピング駆動信号Schの原信号に基づいて、AC電圧位相検出器201からの信号が示すAC電圧の位相を基準として、交流電圧の半周期毎に半周期中の後半のチョッピング位相幅θ2ωONを検出し、交流電圧の同じ半周期中に交流電流検出器103及び交流電流検出部111から得られた最大電流値を、計測時間調整部301が出力した時間情報によりチョッピング位相幅検出器212が設定した計測時間内の最大電流値と比較し、今回得た最大電流値が計測時間内の最大電流値より大きな場合、計測時間内の最大電流値を今回得た最大電流値で更新すると共に、計測時間内の最大チョッピング位相幅Maxθ2ωONを今回得たチョッピング位相幅で更新する。そして、チョッピング位相幅検出器212は計測時間到達毎に最大チョッピング位相幅Maxθ2ωONを減算器204と計測時間調整部301に出力すると同時に計測時間内の最大電流値をリセットする。
したがって、本発明に係る実施の形態3の整流回路装置の構成としては、前述の実施の形態1において説明した図1および図2の構成と実質的に同じ構成を有するものであり、実施の形態3においては実施の形態1における符号と同じ符号を用いて説明する。
図8Aは、本発明に係る実施の形態3の整流回路装置の第5の動作例に係る制御動作を説明するための図であって、(a)AC電圧と整流後のDC電圧との関係と、(b)制御すべき目標電流波形と、(c)実際に制御した後のAC電流とを示す信号波形図である。また、図8Bは、本発明に係る実施の形態3の整流回路装置の第6の動作例に係る制御動作を説明するための図であって、(a)AC電圧と整流後のDC電圧との関係と、(b)制御すべき目標電流波形と、(c)実際に制御した後のAC電流とを示す信号波形図である。
図8Aの第5の動作例では、出力されるDC電圧が比較的低く、半導体スイッチ104a又は半導体スイッチ104bのチョッピングにより発生するチョッピング位相幅θ2ωONが比較的小さくなっている場合である。一方、図8Bの第6の動作例では、出力されるDC電圧が第5の動作例に比較して高く、半導体スイッチ104又は半導体スイッチ104bのチョッピングにより発生するチョッピング位相幅θ2ωONが第5の動作例に比較して大きくなっている場合である。
実施の形態3の整流回路装置では、図8Aおよび図8Bに示した動作例における単相交流電源1の半周期の区間において、後半のチョッピングがなされているチョッピング位相幅θ2ωONは、前述の図4Aおよび図4Bに示した傾向と同様の傾向があるため、実施の形態1と同様の作用効果を得ることができる。
(実施の形態4)
以下、本発明に係る実施の形態4の整流回路装置について説明する。
本発明に係る実施の形態4の整流回路装置は、前述の実施の形態2の整流回路装置におけるチョッピング位相幅θω1ONと、実施の形態3の整流回路装置におけるチョッピング位相幅θω2ONとの合計の位相幅(θω1ON+θω2ON)をチョッピング位相幅検出器212により検出し、計測時間調整部301が出力する時間情報によりチョッピング位相幅検出器212が設定した電源周期より長い期間内の最大電流を含む交流電圧の半周期における最大チョッピング位相幅MAXθω12ONが、所望の位相幅になるようにDC電圧を制御する構成である。
図9Aは、本発明に係る実施の形態4の整流回路装置の第7の動作例に係る制御動作を説明するための図であって、(a)AC電圧と整流後のDC電圧との関係と、(b)制御すべき目標電流波形と、(c)実際に制御した後のAC電流とを示す信号波形図である。また、図9Bは、本発明に係る実施の形態4の整流回路装置の第8の動作例に係る制御動作を説明するための図であって、(a)AC電圧と整流後のDC電圧との関係と、(b)制御すべき目標電流波形と、(c)実際に制御した後のAC電流とを示す信号波形図である。
図9Aの第7の動作例では、出力されるDC電圧が比較的低く、半導体スイッチ104がチョッピングされる前半のチョッピング位相幅θ1ωON、および後半のチョッピング位相幅θ2ωONが比較的小さくなっている場合である。一方、図9Bの第8の動作例では、出力されるDC電圧が第7の動作例に比較して高く、半導体スイッチ104a又は半導体スイッチ104bがチョッピングされる前半のチョッピング位相幅θ1ωON、および後半のチョッピング位相幅θ2ωONが第7の動作例に比較して大きくなっている場合である。
実施の形態4の整流回路装置では、図9Aおよび図9Bに示した動作例における単相交流電源1の半周期の区間において、前半のチョッピング位相幅θ1ωON、および後半のチョッピング位相幅θ2ωONは、前述の図4Aおよび図4Bに示した傾向と同様の傾向があるため、実施の形態1と同様の作用効果を得ることができる。
(実施の形態5)
以下、本発明に係る実施の形態5の整流回路装置について説明する。
図10Aは、本発明に係る実施の形態5の整流回路装置の第9の動作例に係る制御動作を説明するための図であって、(a)AC電圧と整流後のDC電圧との関係と、(b)制御すべき目標電流波形と、(c)実際に制御した後のAC電流とを示す信号波形図である。また、図10Bは、本発明に係る実施の形態5の整流回路装置の第10の動作例に係る制御動作を説明するための図であって、(a)AC電圧と整流後のDC電圧との関係と、(b)制御すべき目標電流波形と、(c)実際に制御した後のAC電流とを示す信号波形図である。
実施の形態5の整流回路装置は、目標電流波形が正弦波以外の波形であって、例えば三角波とすることにより、さらに回路損失を低減することができることを特徴としている。特に、負荷が軽いときには、波形歪みが増加しても、高調波電流そのものは少ないため、さらに回路損失を低減することが可能である。
図10Aの第9の動作例は、出力されるDC電圧が比較的低く、半導体スイッチ104a又は半導体スイッチ104bがチョッピングされる位相幅θωONが所望の位相幅θωON*よりも小さくなっている場合である。このときにも、AC電圧がDC電圧より高い位相期間が増加するため、例えば半導体スイッチ104aと104bが接続される点の電圧よりも、ダイオード105cとダイオード105dが接続される点の電圧が低い場合は、単相交流電源1からリアクタ102とダイオード105aを経由してDC側へと流れ込む電流が増加する。
このため、AC電流の波形が先鋭になり、AC電流の高調波成分が増加する。
一方、図10Bの第10の動作例は、出力されるDC電圧が第9の動作例に比較して高く、半導体スイッチ104a又は半導体スイッチ104bがチョッピングされる位相幅θωONが所望の位相幅θωON*(図示しない)よりも大きくなっている場合である。このときには、AC電圧がDC電圧より高い位相期間が減少するため、例えば半導体スイッチ104aと104bが接続される点の電圧よりも、ダイオード105cとダイオード105dが接続される点の電圧が低い場合は、単相交流電源1からリアクタ102とダイオード105aを経由してDC側へと流れ込む電流が減少し、AC電流の高調波成分が減少する。しかし、図10Bの第10の動作例では、図4Aおよび図4Bと同様に、図10Aの第9の動作例の波形に比べて、半導体スイッチ104a又は半導体スイッチ104bのチョッピングが行われている期間(位相幅)が増加しているため、回路の損失が増加してしまう。
実施の形態5においては、好ましくは、図10Aおよび図10Bに示すように、目標電流波形の瞬時の絶対値は、時間経過とともに、AC電圧の0度(開始点)から180度(終了点)までの期間の前半の期間において、一定の傾きで単調増加した後、所定の中間点(90度よりも小さい角度)から一定の傾きで単調減少し、その後終了点までゼロになる区間を有する三角波形を用いる。
(実施の形態5の変形例)
以下、本発明に係る実施の形態5の整流回路装置の変形例について図11A〜図11Dを参照して説明する。本発明に係る実施の形態5の変形例においては、図10Aおよび図10Bに示した目標電流波形とは異なる別の形状を有するものである。
図11Aは、本発明に係る実施の形態5の変形例における整流回路装置の第11の動作例に係る制御動作を説明するための図であって、(a)AC電圧と整流後のDC電圧との関係と、(b)制御すべき目標電流波形と、(c)実際に制御した後のAC電流とを示す信号波形図である。また、図11Bは、本発明に係る実施の形態5の変形例における整流回路装置の第12の動作例に係る制御動作を説明するための図であって、(a)AC電圧と整流後のDC電圧との関係と、(b)制御すべき目標電流波形と、(c)実際に制御した後のAC電流とを示す信号波形図である。さらに、図11Cは、本発明に係る実施の形態5の変形例における整流回路装置の第13の動作例に係る制御動作を説明するための図であって、(a)AC電圧と整流後のDC電圧との関係と、(b)制御すべき目標電流波形と、(c)実際に制御した後のAC電流とを示す信号波形図である。また、図11Dは、本発明に係る実施の形態5の変形例における整流回路装置の第14の動作例に係る制御動作を説明するための図であって、(a)AC電圧と整流後のDC電圧との関係
と、(b)制御すべき目標電流波形と、(c)実際に制御した後のAC電流とを示す信号波形図である。
図11Aの第11の動作例における目標電流波形は、図10Aの第9の動作例における目標電流波形と比較して、時間経過とともに単調減少する区間の代わりに、後半の90度を超える所定の位相(例えば、110度)の中間点Tmで瞬時にゼロにする区間(ゼロで一定の区間)を有するように構成した三角波形である。
また、図11Bの第12の動作例における目標電流波形は、図11Aの第11の動作例における目標電流波形と比較して、時間経過とともに単調増加する区間を正弦波状に増加させており、後半の90度を超える所定の位相(例えば、110度)の中間点Tmで瞬時にゼロになる区間(ゼロで一定の区間)を有する波形である。
さらに、図11Cの第13の動作例における目標電流波形は、図11Bの第12の動作例における目標電流波形において制約条件を設けて、前半部の正弦波波形において90度より手前の中間点Tmの位相(例えば、70度)で瞬時にゼロにした波形である。
また、図11Dの第14の動作例における目標電流波形は、図11Cの第13の動作例における目標電流波形において、時間経過とともに、0度から第1の中間点Tm1までの所定期間ゼロ(ゼロで一定の区間)とし、その後、第2の中間点Tm2まで単調増加させるように構成した波形である。
図11Cおよび図11Dの動作例では、90度よりも手前で目標電流をゼロにしているが、ゼロにする位相よりも手前で半導体スイッチ104a又は半導体スイッチ104bのチョッピング動作から、チョッピングが休止になる期間になるような負荷で使用すればよい。しかも、本動作例は、直流電圧がAC電圧の最高瞬時電圧よりも低いため、90度近傍では、単相交流電源1からリアクタ102とダイオード105a又はダイオード105cを経由して電流が流れ込む。このため、目標電流がゼロになってもAC電流がしばらくは流れ続け、高調波成分の少ない電流が高効率で実現できる。
以上の各実施の形態において、目標電流波形の単調増加又は単調減少において、一定である期間を含んでもよく、すなわち、実質的に単調増加又は実質的に単調減少させてもよい。ここで、「実質的に単調増加」とは、目標電流波形の位相θ1<θ2であるときに、f(θ1)≦f(θ2)の関係にある広義の単調増加をいい、言い換えれば、時間経過とともに、増加し、若しくは増加しかつ一部期間で一定であるように、実質的に単調増加することをいう。また、「実質的に単調減少」とは、目標電流波形の位相θ1<θ2であるときに、f(θ1)≧f(θ2)の関係にある広義の単調減少をいい、言い換えれば、時間経過とともに、減少し、若しくは減少し、かつ一部期間で一定であるように、実質的に単調減少することをいう。
(実施の形態6)
以下、本発明に係る実施の形態6の整流回路装置について説明する。
図12は、本発明に係る実施の形態6の整流回路装置の構成を示す回路図である。実施の形態6の整流回路装置は、単相交流電源1からのAC電圧を、リアクタ602を介して、半導体スイッチ604a、604bおよびダイオード605a、605b、605c、605dで構成されたブリッジ回路で整流して、平滑コンデンサ106を介して負荷4に電力を供給する構成を有する。
実施の形態6の整流回路装置におけるチョッピング制御方法は、前述の図1に示した実施の形態1の整流回路装置と同様であり、2つの半導体スイッチ604a、604bに対してチョッピング駆動信号Schを用いて同時に駆動する。
実施の形態6の整流回路装置におけるチョッピング駆動信号Schについては、前述の実施の形態1において図2を用いて説明した構成と同様の構成により生成することができる。また、実施の形態6の整流回路装置においても、前述の各実施の形態において説明したチョッピング制御を行うことにより、同様の作用効果を奏することができる。
(実施の形態7)
以下、本発明に係る実施の形態7の整流回路装置について説明する。
図13は本発明に係る実施の形態7の整流回路装置の構成を示す回路図である。実施の形態7の整流回路装置は、単相交流電源1からのAC電圧を、リアクタ702を介して、半導体スイッチ704、およびダイオードブリッジ705で整流して、平滑コンデンサ106を介して負荷4に電力を供給する構成を有する。
実施の形態7の整流回路装置におけるチョッピング制御方法は、単相交流電源1の両出力端子を、リアクタ702を介して半導体スイッチ704により短絡することにより、1つのループが構成される。交流電流検出部である電流検出器703は、そのループの電流を検出し、検出された電流値Iacを示す信号を制御回路700に出力する。半導体スイッチ704をオン状態にすると、リアクタ702の電流は増加する。一方、半導体スイッチ704をオフ状態にすると、リアクタ102に流れていた電流はダイオードブリッジ回路705にて整流されて、その整流された電流は平滑コンデンサ106および負荷4に流れ、負荷4に電力が供給される。
負荷4に印加される平滑コンデンサ106の両端の直流電圧Vdcは、直流電圧検出器710により検出され、直流電圧検出器710は検出された直流電圧Vdcを示す信号を制御回路700に出力する。
また、単相交流電源1から入力された交流電圧の位相検出部である電圧レベル比較器709は、単相交流電源1のAC電圧レベルを所定のしきい値電圧と比較することにより、当該しきい値電圧以上であるか否かを示す2値信号Scomを発生して制御回路700に出力する。制御回路700は、2値信号Scomの周期および位相に基づいて、単相交流電源1から出力されるAC電圧の位相を検知する。制御回路700は、検知されたAC電圧の位相に基づいて、AC電圧と実質的に同一の周波数であって、AC電圧と相似形状を有する目標電流波形を生成し、電流検出器703により検出された電流値Iacが前記生成した目標電流波形の相似形状に漸近するように半導体スイッチ704をチョッピング動作させるように制御する。
さらに、制御回路700は、直流電圧検出器710により検出された直流電圧Vdcが、制御回路700内で設定された所望の電圧になるように、その偏差に応じて、生成する目標電流波形の相似比率を調整する。ここで、制御回路700は、実際の直流電圧Vdcが所望の直流電圧より低ければ、目標電流波形の相似比率を増大させて、大きな電流になるように制御し、実際の直流電圧Vdcが所望の直流電圧よりも高ければ、小さな電流になるように制御する。
また、実施の形態7の整流回路装置においても、前述の各実施の形態において説明したチョッピング制御を行うことにより、同様の作用効果を奏することができる。
(実施の形態8)
以下、本発明に係る実施の形態8の整流回路装置について説明する。
図14は、本発明に係る実施の形態8の整流回路装置の構成を示す回路図である。
実施の形態8の整流回路装置は、単相交流電源1の両出力端子を整流ブリッジ2とリアクタ3aを介して半導体スイッチ3cがオン状態のとき、リアクタ3aに電流を充電し、半導体スイッチ3cがオフ状態になったときに、ダイオード3bにより平滑用コンデンサ3dと負荷4に電力を供給する構成である。
実施の形態8の整流回路装置におけるチョッピング駆動信号Schの原信号については、前述の実施の形態1において図2を用いて説明した構成と同様の構成により成形することができる。
また、実施の形態8の整流回路装置においても、前述の各実施の形態において説明したチョッピング制御をそれぞれの半導体スイッチに対して行うことにより、同様の作用効果を奏することができる。