本発明の好適な実施形態について以下に説明する。
本実施形態に係る有機光電変換素子は、一対の電極と活性層とを有する。
本実施形態に係る有機光電変換素子は、第1の電極と、第1の電極に相対する第2の電極と、第1の電極及び第2の電極の間に設けられた活性層を有するものということもできる。
本実施形態において、電極の少なくとも一方(第1の電極及び第2の電極の少なくとも一方)は、金属ナノワイヤーと、該金属ナノワイヤーが形成するネットワークの空隙の少なくとも一部に配置された光導電性金属酸化物粒子と、を含む。
また、本実施形態において、活性層は、P型半導体材料及びN型半導体材料を含む層であり、P型半導体材料として、下記式(I)で表される構成単位を有する化合物を含む。
式(I)中、Ar1及びAr2はそれぞれ独立に3価の芳香環基を示し、Zは、式(Z−1)、(Z−2)、(Z−3)、(Z−4)、(Z−5)、(Z−6)又は(Z−7)で表される2価の基を示す。
上記の式中、Rは水素原子、ハロゲン原子、アミノ基、シアノ基又は1価の有機基を示し、式(Z−1)、(Z−2)、(Z−4)、(Z−5)、(Z−6)及び(Z−7)における2つのRは、互いに同一でも異なっていてもよい。
本実施形態に係る有機光電変換素子は、上記構成を有するため、高い曲線因子を有する。また、本実施形態に係る有機光電変換素子は、優れた光電変換効率を有する。このため、本実施形態に係る有機光電変換素子は、有機薄膜太陽電池として好適に使用することができる。また、本実施形態に係る有機光電変換素子によれば、変換効率に優れる太陽電池モジュール、センサー等が提供される。
本実施形態に係る有機光電変換素子は、電極及び活性層以外の層を有していてよい。本実施形態に係る有機光電変換素子は、例えば、電子輸送層、正孔輸送層、正孔注入層、電子注入層等を有していてよい。また、本実施形態に係る有機光電変換素子は、一方の電極と活性層との間に電子輸送層を有していてよく、他方の電極と活性層との間に正孔輸送層を有していてよい。
以下に、有機光電変換素子が有する電極及び各層について詳細に説明する。
<電極>
本実施形態に係る有機光電変換素子は、一対の電極(第1の電極及び第2の電極)を有し、そのうち少なくとも一方は、金属ナノワイヤー及び光導電性金属酸化物粒子を含む。以下、第1の電極が、金属ナノワイヤー及び光導電性金属酸化物粒子を含む電極であるとして、本発明の一実施形態を説明する。
第1の電極は、金属ナノワイヤーと、金属ナノワイヤーが形成するネットワークの空隙の少なくとも一部に配置された光導電性金属酸化物粒子を含む。
図1(a)は、銀ナノワイヤーの表面SEM像を示す図である。図1(a)に示されるように、本実施形態の第1の電極では、金属ナノワイヤー同士が重なり合い、導電経路が形成されることで高い導電性が発現する。また、金属ナノワイヤーが重なり合いネットワークを形成することで空隙が生じ、この空隙によって良好な光透過性が得られる。
金属ナノワイヤーは、断面径(断面面積の円相当径)が100nm未満の金属ワイヤーであってよい。また、金属ナノワイヤーは、断面の最大直径が10nm以上のものであってよい。
金属ナノワイヤーの長軸長さ(長軸方向の長さ)は、最大断面径の10倍以上であってよい。金属ナノワイヤーの長軸長さの上限は特に制限されず、例えば、1mm以下であってよい。
なお、本明細書中、金属ナノワイヤーの断面径及び長軸長さは、走査型電子顕微鏡による測定によって求められる値を示す。
金属ナノワイヤーは、金、銀及び銅からなる群より選択される少なくとも一種を含むものであってよい。また、第1の電極は、金属ナノワイヤーとして、金ナノワイヤー、銀ナノワイヤー及び銅ナノワイヤーからなる群より選択される少なくとも一種を含むものであってよい。
光導電性金属酸化物粒子は、光導電性を有する金属酸化物の粒子である。光導電性を有する金属酸化物としては、例えば、酸化亜鉛(ZnO)、アルミニウムドープ酸化亜鉛(AZO)、ガリウムドープ酸化亜鉛(GZO)等が挙げられる。
光導電性金属酸化物粒子は、光透過性及び導電性に優れる観点から、酸化亜鉛粒子、アルミニウムドープ酸化亜鉛粒子、及びガリウムドープ酸化亜鉛粒子からなる群より選択される少なくとも一種であってよい。
図1(b)、図1(c)及び図1(d)は、銀ナノワイヤーと、AZO粒子、酸化亜鉛粒子又はGZO粒子とから形成された電極の表面SEM像を示す図である。これらの図に示されるように、光導電性金属酸化物粒子は、金属ナノワイヤーが形成するネットワークの空隙に配置される。第1の電極は、金属ナノワイヤーがネットワークを形成し、そのネットワークの空隙に光導電性金属酸化物粒子が取り込まれて形成されたものであってよい。
第1の電極は、例えば、金属ナノワイヤーを含む導電層上に、光導電性金属酸化物粒子を含む分散液を塗布して形成してよい。また、金属ナノワイヤーを含む導電層は、金属ナノワイヤーを含む分散液の塗膜を乾燥させて形成してよい。
第1の電極はまた、金属ナノワイヤー及び光導電性金属酸化物粒子を含む分散液からなる塗膜を乾燥させて、電極の少なくとも一方を形成する工程を含むものであってよい。
分散液の塗布方法及び塗膜の形成方法には、スリットコート法、ナイフコート法、スピンコート法、キャスティング法、マイクログラビアコート法、グラビアコート法、バーコート法、ロールコート法、ワイアーバーコート法、ディップコート法、スプレーコート法、スクリーン印刷法、グラビア印刷法、フレキソ印刷法、オフセット印刷法、インクジェットコート法、ディスペンサー印刷法、ノズルコート法、キャピラリーコート法等の塗布法を用いることができる。これらのうち、スリットコート法、キャピラリーコート法、グラビアコート法、マイクログラビアコート法、バーコート法、ナイフコート法、ノズルコート法、インクジェットコート法、又はスピンコート法が好適に用いられる。
第1の電極の厚さは、例えば10nm以上であってよく、50nm以上であってよい。また、第1の電極の厚さは、例えば1000nm以下であってよく、500nm以下であってよい。
第1の電極における光導電性金属酸化物粒子の含有量は、金属ナノワイヤー100質量部に対して、0.1質量部以上であってよく、0.2質量部以上であってよい。また、第1の電極における光導電性金属酸化物粒子の含有量は、金属ナノワイヤー100質量部に対して、10質量部以下であってよい。
第2の電極は、有機光電変換素子の電極として使用可能な電極であればよい。
例えば、第2の電極は、第1の電極と同様に、金属ナノワイヤー及び光導電性金属酸化物粒子を含むものであってよい。
また、第2の電極は、光透過性を有する一種又は二種以上の電極材料を含むものであってよい。例えば、第2の電極は、導電性の金属酸化物膜、金属薄膜、又は有機導電膜であってよい。
第2の電極の電極材料は、例えば、酸化インジウム、酸化亜鉛、酸化スズ等の金属酸化物、又は、それらの複合体であるインジウムスズオキサイド(ITO)、インジウム亜鉛オキサイド等の複合酸化物であってよい。また、第2の電極の電極材料は、金、白金、銀、銅等の金属であってもよい。これらの電極材料を用いた第2の電極の作製方法は、例えば、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法、メッキ法等であってよい。
第2の電極の電極材料は、ポリアニリン及びその誘導体、ポリチオフェン及びその誘導体等の有機導電材料であってもよい。
第2の電極の厚さは、例えば10nm以上であってよく、50nm以上であってよい。また、第2の電極の厚さは、例えば1000nm以下であってよく、500nm以下であってよい。
<活性層>
活性層は、P型半導体材料及びN型半導体材料を含む層であり、P型半導体材料として、式(I)で表される構成単位を有する化合物を含む。
式(I)中、Ar1及びAr2はそれぞれ独立に3価の芳香環基を示し、Zは、式(Z−1)、(Z−2)、(Z−3)、(Z−4)、(Z−5)、(Z−6)又は(Z−7)で表される2価の基を示す。
上記の式中、Rは水素原子、ハロゲン原子、アミノ基、シアノ基又は1価の有機基を示し、式(Z−1)、(Z−2)、(Z−4)、(Z−5)、(Z−6)及び(Z−7)における2つのRは、互いに同一でも異なっていてもよい。
1価の有機基としては、例えば、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアルコキシ基、置換基を有していてもよいアルキルチオ基、アリール基、アリールオキシ基、アリールチオ基、置換基を有していてもよいアリールアルキル基、置換基を有していてもよいアリールアルコキシ基、置換基を有していてもよいアリールアルキルチオ基、置換基を有していてもよいアシル基、置換基を有していてもよいアシルオキシ基、置換基を有していてもよいアミド基、置換基を有していてもよい酸イミド基、置換アミノ基、置換シリル基、置換シリルオキシ基、置換シリルチオ基、置換シリルアミノ基、1価の複素環基、複素環オキシ基、複素環チオ基、アリールアルケニル基、アリールアルキニル基、カルボキシル基が挙げられる。
Rで表されるハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子及びヨウ素原子が挙げられ、好ましくはフッ素原子である。
アルキル基は、直鎖状でも分岐状でもよく、シクロアルキル基であってもよい。アルキル基の炭素数は、1〜30であってよい。アルキル基が有していてもよい置換基としては、例えば、ハロゲン原子が挙げられる。該ハロゲン原子の具体例は、Rで表されるハロゲン原子の具体例と同じである。
アルキル基の具体例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル墓、ペンチル基、イソペンチル基、2−メチルブチル基、1−メチルブチル基、ヘキシル基、イソヘキシル基、3−メチルペンチル基、2−メチルペンチル基、1−メチルペンチル基、ヘプチル基、オクチル基、イソオクチル基、2−エチルヘキシル基、3,7−ジメチルオクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、テトラデシル基、ヘキサデシル墓、オクタデシル基、エイコシル基等の鎖状アルキル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、アダマンチル基等のシクロアルキル基が挙げられる。置換基を有するアルキル基の具体例としては、2−シアノエチル基、2−ヒドロキシエチル基、2−フルオロプロピル基等が挙げられる。
アルコキシ基は、直鎖状でも分岐状でもよく、シクロアルコキシ基であってもよい。アルコキシ基の炭素数は、1〜20であってよい。アルコキシ基が有していてもよい置換基としては、例えば、ハロゲン原子、アルコキシ基が挙げられる。該ハロゲン原子の具体例は、Rで表されるハロゲン原子の具体例と同じである。
アルコキシ基の具体例としては、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、ブトキシ基、イソブトキシ基、tert−ブトキシ基、ペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基、ヘプチルオキシ基、オクチルオキシ基、2−エチルヘキシルオキシ基、ノニルオキシ基、デシルオキシ基、3,7−ジメチルオクチルオキシ基、ラウリルオキシ基等が挙げられる。置換基を有するアルコキシ基の具体例としては、トリフルオロメトキシ基、ペンタフルオロエトキシ基、パーフルオロブトキシ基、パーフルオロヘキシルオキシ基、パーフルオロオクチルオキシ基、メトキシメチルオキシ基、2−メトキシエチルオキシ基等が挙げられる。
アルキルチオ基は、直鎖状でも分岐状でもよく、シクロアルキルチオ基であってもよい。アルキルチオ基の炭素数は、1〜20であってよい。アルキルチオ基が有していてもよい置換基としては、例えば、ハロゲン原子が挙げられる。該ハロゲン原子の具体例は、Rで表されるハロゲン原子の具体例と同じである。
アルキルチオ基の具体例としては、メチルチオ基、エチルチオ基、プロピルチオ基、イソプロピルチオ基、ブチルチオ基、イソブチルチオ基、tert−ブチルチオ基、ペンチルチオ基、ヘキシルチオ基、シクロヘキシルチオ基、ヘプチルチオ基、オクチルチオ基、2−エチルヘキシルチオ基、ノニルチオ基、デシルチオ基、3,7−ジメチルオクチルチオ基、ラウリルチオ基等が挙げられる。置換基を有するアルキルチオ基の具体例としては、トリフルオロメチルチオ基等が挙げられる。
アリール基は、置換基を有していてもよい芳香族炭化水素から、芳香環上の水素原子1個を除いた原子団である。
芳香族炭化水素の炭素数は、6〜60であってよい。芳香族炭化水素が有していてもよい置換基としては、例えば、ハロゲン原子、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアルコキシ基、置換基を有していてもよいアルキルチオ基が挙げられる。該ハロゲン原子、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアルコキシ基、及び置換基を有していてもよいアルキルチオ基の具体例は、Rで表されるハロゲン原子、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアルコキシ基、及び置換基を有していてもよいアルキルチオ基の具体例と同じである。
アリール基の炭素数は、6〜60であってよい。アリール基の具体例としては、フェニル基、C1〜C12アルキルオキシフェニル基、C1〜C12アルキルフェニル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基及びペンタフルオロフェニル基が挙げられる。
本明細書中、C1〜C12アルキルは、炭素数1〜12のアルキルを示す。C1〜C12アルキルは、好ましくはC1〜C8アルキルであり、より好ましくはC1〜C6アルキルである(C1〜C8アルキルは炭素数1〜8のアルキルを示し、C1〜C6アルキルは炭素数1〜6のアルキルを示す)。C1〜C12アルキル、C1〜C8アルキル及びC1〜C6アルキルの具体例としては、アルキル基として上記で説明し例示したものが挙げられる。
アリールオキシ基は、アリール基と酸素原子とからなる基であり、該アリール基は上記で例示したものであってよい。アリールオキシ基の炭素数は6〜60であってよい。アリールオキシ基の具体例としては、フェノキシ基、C1〜C12アルキルオキシフェノキシ基、C1〜C12アルキルフェノキシ基、1−ナフチルオキシ基、2−ナフチルオキシ基及びペンタフルオロフェニルオキシ基が挙げられる。
アリールチオ基は、アリール基と硫黄原子とからなる基であり、該アリール基は上記で例示したものであってよい。アリールチオ基の炭素数は6〜60であってよい。アリールチオ基の具体例としては、フェニルチオ基、C1〜C12アルキルオキシフェニルチオ基、C1〜C12アルキルフェニルチオ基、1−ナフチルチオ基、2−ナフチルチオ基及びペンタフルオロフェニルチオ基が挙げられる。
アリールアルキル基は、アルキル基にアリール基が置換した基であり、該アルキル基及びアリール基はそれぞれ上記で例示したものであってよい。アリールアルキル基の炭素数は、7〜60であってよい。アリールアルキル基は、アルキル部分に置換基を有していてよく、アリールアルキル基が有していてもよい置換基としては、例えば、ハロゲン原子が挙げられる。該ハロゲン原子の具体例は、Rで表されるハロゲン原子の具体例と同じである。
アリールアルキル基の具体例としては、フェニル−C1〜C12アルキル基、C1〜C12アルキルオキシフェニル−C1〜C12アルキル基、C1〜C12アルキルフェニル−C1〜C12アルキル基、1−ナフチル−C1〜C12アルキル基及び2−ナフチル−C1〜C12アルキル基が挙げられる。
アリールアルコキシ基は、アルコキシ基にアリール基が置換した基であり、該アルコキシ基及びアリール基はそれぞれ上記で例示したものであってよい。アリールアルコキシ基の炭素数は7〜60であってよい。アリールアルコキシ基は、アルコキシ部分に置換基を有していてよく、アリールアルコキシ基が有していてもよい置換基としては、例えば、ハロゲン原子が挙げられる。該ハロゲン原子の具体例は、Rで表されるハロゲン原子の具体例と同じである。
アリールアルコキシ基の具体例としては、フェニル−C1〜C12アルキルオキシ基、C1〜C12アルキルオキシフェニル−C1〜C12アルキルオキシ基、C1〜C12アルキルフェニル−C1〜C12アルキルオキシ基、1−ナフチル−C1〜C12アルキルオキシ基及び2−ナフチル−C1〜C12アルキルオキシ基が挙げられる。
アリールアルキルチオ基は、アルキルチオ基にアリール基が置換した基であり、該アルコキシ基及びアリール基はそれぞれ上記で例示したものであってよい。アリールアルキルチオ基の炭素数は7〜60であってよい。アリールアルキルチオ基は、アルキルチオ部分に置換基を有していてよく、アリールアルキルチオ基が有していてもよい置換基としては、例えば、ハロゲン原子が挙げられる。該ハロゲン原子の具体例は、Rで表されるハロゲン原子の具体例と同じである。
アリールアルキルチオ基の具体例としては、フェニル−C1〜C12アルキルチオ基、C1〜C12アルキルオキシフェニル−C1〜C12アルキルチオ基、C1〜C12アルキルフェニル−C1〜C12アルキルチオ基、1−ナフチル−C1〜C12アルキルチオ基及び2−ナフチル−C1〜C12アルキルチオ基が挙げられる。
アシル基の炭素数は2〜20であってよい。アシル基が有していてもよい置換基としては、例えば、ハロゲン原子が挙げられる。該ハロゲン原子の具体例は、Rで表されるハロゲン原子の具体例と同じである。
アシル基の具体例としては、アセチル基、プロピオニル基、ブチリル基、イソブチリル基、ピバロイル基、及びベンゾイル基が挙げられる。置換基を有するアシル基の具体例としては、トリフルオロアセチル基及びペンタフルオロベンゾイル基が挙げられる。
アシルオキシ基の炭素数は2〜20であってよい。アシルオキシ基が有していてもよい置換基としては、例えば、ハロゲン原子が挙げられる。該ハロゲン原子の具体例は、Rで表されるハロゲン原子の具体例と同じである。
アシルオキシ基の具体例としては、アセトキシ基、プロピオニルオキシ基、ブチリルオキシ基、イソブチリルオキシ基、ピバロイルオキシ基、及びベンゾイルオキシ基が挙げられる。置換基を有するアシルオキシ基の具体例としては、トリフルオロアセチルオキシ基及びペンタフルオロベンゾイルオキシ基が挙げられる。
アミド基は、アミドから窒素原子に結合した水素原子を1個除いて得られる基を示す。アミド基の炭素数は1〜20であってよい。アミド基が有していてもよい置換基としては、例えば、ハロゲン原子が挙げられる。該ハロゲン原子の具体例は、Rで表されるハロゲン原子の具体例と同じである。
アミド基の具体例としては、ホルムアミド基、アセトアミド基、プロピオアミド基、ブチロアミド基、ベンズアミド基、ジホルムアミド基、ジアセトアミド基、ジプロピオアミド基、ジブチロアミド基、及びジベンズアミド基が挙げられる。置換基を有するアシル基の具体例としては、トリフルオロアセトアミド基、ペンタフルオロベンズアミド基、ジトリフルオロアセトアミド基及びジペンタフルオロベンズアミド基が挙げられる。
酸イミド基は、酸イミドから窒素原子に結合した水素原子を1個除いて得られる基を示す。酸イミド基の炭素数は2〜20であってよい。酸イミド基が有していてもよい置換基としては、例えば、ハロゲン原子が挙げられる。該ハロゲン原子の具体例は、Rで表されるハロゲン原子の具体例と同じである。
酸イミド基の具体例としては、スクシンイミド基及びフタル酸イミド基が挙げられる。
置換アミノ基は、アミノ基(−NH2)の水素原子の1個又は2個が置換基に置換された基を示す。該置換基としては、例えば、置換基を有していてもよいアルキル基、及びアリール基が挙げられる。置換基を有していてもよいアルキル基及びアリール基の具体例は、Rで表される置換基を有していてもよいアルキル基及びアリール基の具体例と同じである。置換アミノ基の炭素数は1〜40であってよい。
置換アミノ基の具体例としては、メチルアミノ基、ジメチルアミノ基、エチルアミノ基、ジエチルアミノ基、プロピルアミノ基、ジプロピルアミノ基、イソプロピルアミノ基、ジイソプロピルアミノ基、ブチルアミノ基、イソブチルアミノ基、tert−ブチルアミノ基、ペンチルアミノ基、ヘキシルアミノ基、シクロヘキシルアミノ基、ヘプチルアミノ基、オクチルアミノ基、2−エチルヘキシルアミノ基、ノニルアミノ基、デシルアミノ基、3,7−ジメチルオクチルアミノ基、ラウリルアミノ基、シクロペンチルアミノ基、ジシクロペンチルアミノ基、シクロヘキシルアミノ基、ジシクロヘキシルアミノ基、ピロリジル基、ピペリジル基、ジトリフルオロメチルアミノ基、フェニルアミノ基、ジフェニルアミノ基、C1〜C12アルコキルオキシフェニルアミノ基、ジ(C1〜C12アルキルオキシフェニル)アミノ基、ジ(C1〜C12アルキルフェニル)アミノ基、1−ナフチルアミノ基、2−ナフチルアミノ基、ペンタフルオロフェニルアミノ基、ピリジルアミノ基、ピリダジニルアミノ基、ピリミジルアミノ基、ピラジルアミノ基、トリアジルアミノ基、フェニル−C1〜C12アルキルアミノ基、C1〜C12アルキルオキシフェニル−C1〜C12アルキルアミノ基、C1〜C12アルキルフェニル−C1〜C12アルキルアミノ基、ジ(C1〜C12アルキルオキシフェニル−C1〜C12アルキル)アミノ基、ジ(C1〜C12アルキルフェニル−C1〜C12アルキル)アミノ基、1−ナフチル−C1〜C12アルキルアミノ基及び2−ナフチル−C1〜C12アルキルアミノ基が挙げられる。
置換シリル基は、シリル基(−SiH3)の3個の水素原子が置換基に置換された基を示す。該置換基としては、例えば、置換基を有していてもよいアルキル基、及びアリール基が挙げられる。置換基を有していてもよいアルキル基及びアリール基の具体例は、Rで表される置換基を有していてもよいアルキル基及びアリール基の具体例と同じである。置換シリル基の炭素数は3〜40であってよい。
置換シリル基の具体例としては、トリメチルシリル基、トリエチルシリル基、トリプロピルシリル基、トリイソプロピルシリル基、tert−ブチルジメチルシリル基、トリフェニルシリル基、トリ−p−キシリルシリル基、トリベンジルシリル基、ジフェニルメチルシリル基、tert−ブチルジフェニルシリル基及びジメチルフェニルシリル基が挙げられる。
置換シリルオキシ基は、置換シリル基と酸素原子とからなる基であり、該置換シリル基は上記で例示したものであってよい。置換シリルオキシ基の炭素数は、3〜40であってよい。
置換シリルオキシ基の具体例としては、トリメチルシリルオキシ基、トリエチルシリルオキシ基、トリプロピルシリルオキシ基、トリイソプロピルシリルオキシ基、tert−ブチルジメチルシリルオキシ基、トリフェニルシリルオキシ基、トリ−p−キシリルシリルオキシ基、トリベンジルシリルオキシ基、ジフェニルメチルシリルオキシ基、tert−ブチルジフェニルシリルオキシ基及びジメチルフェニルシリルオキシ基が挙げられる。
置換シリルチオ基は、置換シリル基と硫黄原子とからなる基であり、該置換シリル基は上記で例示したものであってよい。置換シリルチオ基の炭素数は3〜40であってよい。
置換シリルチオ基の具体例としては、トリメチルシリルチオ基、トリエチルシリルチオ基、トリプロピルシリルチオ基、トリイソプロピルシリルチオ基、tert−ブチルジメチルシリルチオ基、トリフェニルシリルチオ基、トリ−p−キシリルシリルチオ基、トリベンジルシリルチオ基、ジフェニルメチルシリルチオ基、tert−ブチルジフェニルシリルチオ基及びジメチルフェニルシリルチオ基が挙げられる。
置換シリルアミノ基は、アミノ基(−NH2)の水素原子の1個又は2個が置換シリル基で置換された基であり、該置換シリル基は上記で例示したものであってよい。置換シリルアミノ基は、アミノ基部分に置換シリル基以外の置換基を有していてよく、当該置換基としては、例えば、置換基を有していてもよいアルキル基、及びアリール基が挙げられる。置換基を有していてもよいアルキル基及びアリール基の具体例は、Rで表される置換基を有していてもよいアルキル基及びアリール基の具体例と同じである。
置換シリルアミノ基の炭素数は3〜80であってよい。置換シリルアミノ基の具体例としては、トリメチルシリルアミノ基、トリエチルシリルアミノ基、トリプロピルシリルアミノ基、トリイソプロピルシリルアミノ基、tert−ブチルジメチルシリルアミノ基、トリフェニルシリルアミノ基、トリ−p−キシリルシリルアミノ基、トリベンジルシリルアミノ基、ジフェニルメチルシリルアミノ基、tert−ブチルジフェニルシリルアミノ基、ジメチルフェニルシリルアミノ基、ジ(トリメチルシリル)アミノ基、ジ(トリエチルシリル)アミノ基、ジ(トリプロピルシリル)アミノ基、ジ(トリイソプロピルシリル)アミノ基、ジ(tert−ブチルジメチルシリル)アミノ基、ジ(トリフェニルシリル)アミノ基、ジ(トリ−p−キシリルシリル)アミノ基、ジ(トリベンジルシリル)アミノ基、ジ(ジフェニルメチルシリル)アミノ基、ジ(tert−ブチルジフェニルシリル)アミノ基、ジ(ジメチルフェニルシリル)アミノ基が挙げられる。
1価の複素環基は、置換基を有していてもよい複素環式化合物から、複素環上の水素原子1個を除いた原子団である。
複素環式化合物の炭素数は3〜20であってよい。複素環式化合物としては、例えば、フラン、チオフェン、ピロール、ピロリン、ピロリジン、オキサゾール、イソオキサゾール、チアゾール、イソチアゾール、イミダゾール、イミダゾリン、イミダゾリジン、ピラゾール、ピラゾリン、プラゾリジン、フラザン、トリアゾール、チアジアゾール、オキサジアゾール、テトラゾール、ピラン、ピリジン、ピペリジン、チオピラン、ピリダジン、ピリミジン、ピラジン、ピペラジン、モルホリン、トリアジン、ベンゾフラン、イソベンゾフラン、ベンゾチオフェン、インドール、イソインドール、インドリジン、インドリン、イソインドリン、クロメン、クロマン、イソクロマン、ベンゾピラン、キノリン、イソキノリン、キノリジン、ベンゾイミダゾール、ベンゾチアゾール、インダゾール、ナフチリジン、キノキサリン、キナゾリン、キナゾリジン、シンノリン、フタラジン、プリン、プテリジン、カルバゾール、キサンテン、フェナントリジン、アクリジン、β−カルボリン、ペリミジン、フェナントロリン、チアントレン、フェノキサチイン、フェノキサジン、フェノチアジン及びフェナジンが挙げられる。
複素環式化合物が有していてもよい置換基としては、例えば、ハロゲン原子、置換されていてもよいアルキル基、置換されていてもよいアルコキシ基及び置換されていてもよいアルキルチオ基が挙げられる。該ハロゲン原子、置換されていてもよいアルキル基、置換されていてもよいアルコキシ基及び置換及び置換されていてもよいアルキルチオ基の具体例は、Rで表されるハロゲン原子、置換されていてもよいアルキル基、置換されていてもよいアルコキシ基及び置換されていてもよいアルキルチオ基の具体例と同じである。
1価の複素環基の炭素数は3〜20であってよい。1価の複素環基としては、1価の芳香族複素環基が好ましい。
複素環オキシ基は、1価の複素環基と酸素原子とからなる基であり、該1価の複素環基は上記で例示したものであってよい。複素環オキシ基の炭素数は3〜20であってよい。
複素環オキシ基の具体例としては、チエニルオキシ基、C1〜C12アルキルチエニルオキシ基、ピロリルオキシ基、フリルオキシ基、ピリジルオキシ基、C1〜C12アルキルピリジルオキシ基、イミダゾリルオキシ基、ピラゾリルオキシ基、トリアゾリルオキシ基、オキサゾリルオキシ基、チアゾールオキシ基及びチアジアゾールオキシ基が挙げられる。
複素環チオ基は、1価の複素環基と硫黄原子とからなる基であり、該1価の複素環基は上記で例示したものであってよい。複素環チオ基の炭素数は3〜20であってよい。
複素環チオ基の具体例としては、チエニルメルカプト基、C1〜C12アルキルチエニルメルカプト基、ピロリルメルカプト基、フリルメルカプト基、ピリジルメルカプト基、C1〜C12アルキルピリジルメルカプト基、イミダゾリルメルカプト基、ピラゾリルメルカプト基、トリアゾリルメルカプト基、オキサゾリルメルカプト基、チアゾールメルカプト基及びチアジアゾールメルカプト基が挙げられる。
アリールアルケニル基は、アルケニル基にアリール基が置換した基であり、該アリール基は上記で例示したものであってよい。アルケニル基は、アルケンの任意の炭素原子から一個の水素原子を除去した一価基を示す。
アリールアルケニル基の炭素数は8〜20であってよい。アリールアルケニル基の具体例としては、スチリル基が挙げられる。
アリールアルキニル基は、アルキニル基にアリール基が置換した基であり、該アリール基は上記で例示したものであってよい。アルキニル基は、アルキンの任意の炭素原子から一個の水素原子を除去した一価基を示す。
アリールアルキニル基の炭素数は8〜20であってよい。アリールアルキニル基の具体例としては、フェニルアセチレニル基が挙げられる。
式(I)で表される構成単位を有する化合物の溶媒に対する溶解性を高める観点からは、Rは、炭素数6以上のアルキル基、炭素数6以上のアルコキシ基、炭素数6以上のアルキルチオ基、アリール基、アリールオキシ基、アリールチオ基、アリールアルキル基、アリールアルキルオキシ基、アリールアルキルチオ基、炭素数6以上のアシル基及び炭素数6以上のアシルオキシ基が好ましく、炭素数6以上のアルキル基、炭素数6以上のアルコキシ基、アリール基及びアリールオキシ基がより好ましく、炭素数6以上のアルキル基が特に好ましい。
Rの好ましい一態様である炭素数6以上のアルキル基としては、例えば、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、ヘプタデシル基、オクタデシル基、ノナデシル基、イコシル基、トリアコンチル基、テトラコンチル基、及びペンタコンチル基等の直鎖状のアルキル基、並びに、1,1,3,3−テトラメチルブチル基、1−メチルヘプチル基、2−エチルヘキシル基、3,7−ジメチルオクチル基、1−プロピルペンチル基、3−ヘプチルドデシル基、2−ヘプチルウンデシル基、2−オクチルドデシル基、3,7,11−トリメチルドデシル基、3,7,11,15−テトラメチルヘキサデシル基、及び3,5,5−トリメチルへキシル基等の分岐状のアルキル基が挙げられる。
炭素数6以上のアルキル基は、溶媒に対する溶解性等を考慮して適宜選択してよい。炭素数6以上のアルキル基としては、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、2−エチルヘキシル基、3,7−ジメチルオクチル基、1−プロピルペンチル基及び3−ヘプチルドデシル基が好ましく、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ドデシル基、テトラデシル基、ヘキサデシル基、2−エチルヘキシル基、3,7−ジメチルオクチル基及び3−ヘプチルドデシル基がより好ましく、ヘキシル基、オクチル基、ドデシル基、ヘキサデシル基、2−エチルヘキシル基、3,7−ジメチルオクチル基及び3−ヘプチルドデシル基が特に好ましい。
Rの好ましい一態様であるアリール基としては、溶媒に対する溶解性が良好となる観点からは、アルキル基が置換したフェニル基が好ましい。アルキル基の置換位置は、パラ位が好ましい。パラ位にアルキル基が置換したフェニル基としては、p−ヘキシルフェニル基、p−ヘプチルフェニル基、p−オクチルフェニル基、p−ノニルフェニル基、p−デシルフェニル基、p−ウンデシルフェニル基、p−ドデシルフェニル基、p−トリデシルフェニル基、p−テトラデシルフェニル基、p−ペンタデシルフェニル基、p−ヘキサデシルフェニル基、p−2−エチルヘキシルフェニル基、p−3,7−ジメチルオクチルフェニル基、p−1−プロピルペンチルフェニル基及びp−2−ヘキシルデシルフェニル基が好ましく、p−ヘキシルフェニル基、p−ヘプチルフェニル基、p−オクチルフェニル基、p−ドデシルフェニル基、p−ペンタデシルフェニル基、p−ヘキサデシルフェニル基、p−2−エチルヘキシルフェニル基、p−3,7−ジメチルオクチルフェニル基及びp−2−ヘキシルデシルフェニル基がより好ましく、p−ドデシルフェニル基、p−ペンタデシルフェニル基、p−2−エチルヘキシルフェニル基及びp−3,7−ジメチルオクチルフェニル基が特に好ましい。
Ar1及びAr2はそれぞれ独立に3価の芳香環基を示す。3価の芳香環基は、置換基を有していてもよい芳香族化合物から、芳香環上の水素原子3個を除いた原子団である。芳香族化合物が芳香族炭化水素であるとき、3価の芳香環基は3価の芳香族炭化水素基ということができる。また、芳香族化合物が複素芳香族化合物であるとき、3価の芳香環基は3価の複素芳香環基ということができる。
Ar1及びAr2は、光電変換効率がより向上する観点からは、少なくとも一方が3価の複素芳香環基であることが好ましく、両方が複素芳香環基であることがより好ましい。
3価の芳香族炭化水素基は、置換基を有していてもよい芳香族炭化水素から、芳香環上の水素原子3個を除いた原子団であり、ベンゼン環を有する基、縮合環を有する基、並びに独立したベンゼン環及び縮合環から選択される2個以上が直接結合した基を含む。芳香族炭化水素の炭素数は6〜60であってよく、好ましくは6〜20である。芳香族炭化水素は、芳香環として単環を有していても縮合環を有していてもよい。芳香族炭化水素が有する芳香環は、化合物の溶解性がより向上すること及び製造が容易であることから、5つ以下の環が縮合した縮合環又は単環であることが好ましく、2つの環が縮合した縮合環又は単環であることがより好ましく、単環であることがさらに好ましい。
芳香族炭化水素が有していてもよい置換基としては、ハロゲン原子、アルキル基、アルキルオキシ基、アルキルチオ基、アリール基、アリールオキシ基、アリールチオ基、アリールアルキル基、アリールアルキルオキシ基、アリールアルキルチオ基、アシル基、アシルオキシ基、アミド基、イミド基、イミノ基、アミノ基、置換アミノ基、置換シリル基、置換シリルオキシ基、置換シリルチオ基、置換シリルアミノ基、1価の複素環基、アリールアルケニル基、アリールアルキニル基、カルボキシル基、及びシアノ基が例示される。これらの基の具体例としては、例えば、上記で例示した基が挙げられる。
3価の芳香族炭化水素基としては、以下の基が例示でき、これらの基は置換基を有してもよい。
3価の複素芳香環基は、置換基を有していてもよい複素芳香族化合物から、複素芳香環上の水素原子3個を除いた原子団であり、単環の複素芳香環を有する基、縮合環を有する基、並びに独立した複素芳香環及び縮合環から選択される2個以上が直接結合した基を含む。複素芳香族化合物の炭素数は3以上であってよく、好ましくは4以上であり、60以下であってよく、好ましくは20以下である。複素芳香族化合物は、複素芳香環として、単環を有していても縮合環を有していてもよい。複素芳香族化合物が有する複素芳香環は、化合物の溶解性がより向上すること及び製造が容易であることから、5つ以下の環が縮合した縮合環又は単環であることが好ましく、2つの環が縮合した縮合環又は単環であることが好ましく、単環であることがさらに好ましい。複素芳香族化合物が有していてもよい置換基としては、上述した芳香族炭化水素が有していてもよい置換基と同じものが挙げられる。
ここで、複素芳香環化合物は、芳香族化合物のうち、芳香環を構成する元素として炭素原子以外の原子(酸素原子、硫黄原子、窒素原子、リン原子、ホウ素原子等のヘテロ原子)を有するものをいう。
3価の複素芳香環基としては、以下の基が例示でき、これらの基は置換基を有してもよい。
上記式中、R’は同一又は相異なり、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリール基、アリールオキシ基、アリールチオ基、アリールアルキル基、アリールアルコキシ基、アリールアルキルチオ基、置換アミノ基、アシルオキシ基、アミド基、アリールアルケニル基、アリールアルキニル基、1価の複素環基、又はシアノ基を示す。R’’は、同一又は相異なり、水素原子、アルキル基、アリール基、アリールアルキル基、置換シリル基、アシル基又は1価の複素環基を示す。
R’で表されるアルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリール基、アリールオキシ基、アリールチオ基、アリールアルキル基、アリールアルコキシ基、アリールアルキルチオ基、置換アミノ基、アシルオキシ基、アミド基、アリールアルケニル基、アリールアルキニル基及び1価の複素環基の定義及び具体例は、前述のRで表されるアルキル基、アルキルオキシ基、アルキルチオ基、アリール基、アリールオキシ基、アリールチオ基、アリールアルキル基、アリールアルコキシ基、アリールアルキルチオ基、置換アミノ基、アシルオキシ基、アミド基、アリールアルケニル基、アリールアルキニル基及び1価の複素環基の定義及び具体例と同じである。R’で表されるハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が挙げられる。
R’’で表される、アルキル基、アリール基、アリールアルキル基、置換シリル基、アシル基及び1価の複素環基の定義及び具体例は、前述のRで表されるアルキル基、アリール基、アリールアルキル基、置換シリル基、アシル基及び1価の複素環基の定義及び具体例と同じである。
式(I)で表される構成単位としては、式(II)で表される構成単位が好ましい。
式(II)中、Zは前述と同じ意味を示し、Xは酸素原子、硫黄原子又はセレン原子を示す。2つのXは互いに同一でも異なっていてもよい。
式(I)で表される構成単位としては、式(III)で表される構成単位がより好ましい。
式(III)中、Zは前述と同じ意味を示す。
式(III)で表される構成単位としては、例えば、式(501)、(502)、(503)、(504)又は(505)で表される構成単位が挙げられる。
これらの構成単位のうち、より高効率な有機光電変換素子が得られる観点からは、式(501)、(502)、(503)又は(504)で表される構成単位が好ましく、式(501)又は(504)で表される構成単位がより好ましく、より高い変換効率が得られる観点からは、式(501)で表される構成単位が特に好ましい。
活性層は、P型半導体材料として、式(I)で表される構成単位を有する化合物から選択される一種又は二種以上の電子供与性化合物を含むものであってよい。
式(I)で表される構成単位を有する化合物は、式(I)で表される構成単位以外の他の構成単位をさらに有していてもよい。このような他の構成単位としては、例えば、ベンゾチアジアゾール、ジフルオロベンゾチアジアゾール、チエノチオフェン等の複素芳香族化合物から水素原子を2以上除いた原子団を含む構成単位が挙げられる。
式(I)で表される構成単位を有する化合物は、高分子化合物であってよい。該高分子化合物の重量平均分子量は、例えば10000〜1000000であってよい。
上記高分子化合物は、式(I)で表される構成単位を繰り返し単位として有していてよい。また、上記高分子化合物は、上記他の構成単位を繰り返し単位として有していてよい。
上記高分子化合物において、式(I)で表される構成単位の含有量は、上記高分子化合物の全量基準で、10質量%以上であることが好ましく、20質量%以上であることがより好ましく、40質量%以上であることがさらに好ましい。また、式(I)で表される構成単位の含有量は、上記高分子化合物の全量基準で90質量%以下であってよく、80質量%以下であってよい。
活性層は、P型半導体材料として、式(I)で表される構成単位を有する化合物以外の、他の化合物を含んでいてもよい。P型半導体材料に含まれる他の化合物は、電子供与性化合物であってよく、例えば、BHT(ジブチルヒドロキシトルエン)等の酸化防止剤、P3HT(ポリ(3−ヘキシルチオフェン))等のP型半導体ポリマー、P型低分子半導体などが例示できる。
本実施形態において、活性層に含まれるP型半導体材料の全量に占める、式(I)で表される構成単位を有する化合物の割合は、好ましくは10質量%以上であり、より好ましくは50質量%以上であり、100質量%であってもよい。
活性層は、N型半導体材料をさらに含む。
N型半導体材料は、電子受容性化合物を含み、該電子受容性化合物は、低分子化合物(例えば、分子量2000以下の化合物)であっても高分子化合物であってもよい。すなわち、N型半導体材料としては、低分子の電子受容性化合物、及び高分子の電子受容性化合物が挙げられる。
低分子の電子受容性化合物としては、例えば、オキサジアゾール誘導体、アントラキノジメタン及びその誘導体、ベンゾキノン及びその誘導体、ナフトキノン及びその誘導体、アントラキノン及びその誘導体、テトラシアノアントラキノジメタン及びその誘導体、フルオレノン誘導体、ジフェニルジシアノエチレン及びその誘導体、ジフェノキノン誘導体、8−ヒドロキシキノリン及びその誘導体の金属錯体、ポリキノリン及びその誘導体、ポリキノキサリン及びその誘導体、ポリフルオレン及びその誘導体、C60等のフラーレン類及びその誘導体、バソクプロイン等のフェナントレン誘導体等が挙げられる。
高分子の電子受容性化合物としては、例えば、ポリビニルカルバゾール及びその誘導体、ポリシラン及びその誘導体、側鎖又は主鎖に芳香族アミンを有するポリシロキサン誘導体、ポリアニリン及びその誘導体、ポリチオフェン及びその誘導体、ポリピロール及びその誘導体、ポリフェニレンビニレン及びその誘導体、ポリチエニレンビニレン及びその誘導体、ポリフルオレン及びその誘導体等が挙げられる。
電子受容性化合物としては、フラーレン及びその誘導体が好ましい。フラーレンとしては、例えば、C60、C70、C76、C78、C84が挙げられる。
フラーレン誘導体は、例えば、式(N−1)で表される化合物、式(N−2)で表される化合物、式(N−3)で表される化合物、式(N−4)で表される化合物が挙げられる。
式中、Raは置換されていてもよいアルキル基、アリール基、1価の複素環基又はエステル構造を有する基を示す。複数個あるRaは、互いに同一でも異なっていてもよい。複数個あるRbは互いに同一でも異なっていてもよい。
Raで表される置換基を有していてもよいアルキル基、アリール基及び1価の複素環基の定義及び具体例は、前述のRで表される置換基を有していてもよいアルキル基、アリール基及び1価の複素環基の定義及び具体例と同じである。
Raで表されるエステル構造を有する基は、例えば、下記式(IV)で表される基であってよい。
式(IV)中、u1は1〜6の整数を示し、u2は0〜6の整数を示し、Rcは、置換基を有していてもよいアルキル基、アリール基又は1価の複素環基を表す。
Rcで表される置換基を有していてもよいアルキル基、アリール基及び1価の複素環基の定義及び具体例は、前述のRで表される置換基を有していてもよいアルキル基、アリール基及び1価の複素環基の定義及び具体例と同じである。
C60フラーレン誘導体の具体例としては、以下の化合物が挙げられる。
C70フラーレン誘導体の具体例としては、以下の化合物が挙げられる。
フラーレン誘導体の例としては、[6,6]フェニル−C61酪酸メチルエステル(C60PCBM、[6,6]−Phenyl C61 butyric acid methyl ester)、[6,6]フェニル−C71酪酸メチルエステル(C70PCBM、[6,6]−Phenyl C71 butyric acid methyl ester)、[6,6]フェニル−C85酪酸メチルエステル(C84PCBM、[6,6]−Phenyl C85 butyric acid methyl ester)、[6,6]チエニル−C61酪酸メチルエステル([6,6]−Thienyl C61 butyric acid methyl ester)が挙げられる。
活性層は、N型半導体材料として、フラーレン及びその誘導体からなる群より選択される一種又は二種以上の電子受容性化合物を含むものであってよい。このとき、該電子受容性化合物の含有量は、P型半導体材料として活性層に含まれる電子供与性化合物100質量部に対して、10〜1000質量部であることが好ましく、50〜500質量部であることがより好ましい。
活性層は、P型半導体材料及びN型半導体材料を含む単層構成であってよい。活性層は、p/i/n層等の多層構成であってもよい。ヘテロ接合界面が多く含まれる観点からは、活性層は、単層構成であることが好ましい。
活性層の膜厚は、例えば1nm〜100μmであってよく、好ましくは2nm〜1000nmであり、より好ましくは5nm〜500nmであり、さらに好ましくは20nm〜200nmである。
活性層は、例えば、活性層形成用の溶液(インク)から塗膜を形成し、必要に応じて乾燥等して成膜することで形成してよい。活性層形成用の溶液に用いる溶媒は、式(I)で表される構成単位を有する化合物を溶解可能なものであってよい。該溶媒としては、例えば、トルエン、キシレン、メシチレン、1,2,4−トリメチルベンゼン、テトラリン、インダン、デカリン、ビシクロヘキシル、n−ブチルベンゼン、sec−ブチルベンゼン、tert−ブチルベンゼン、メチルナフタレン等の不飽和炭化水素溶媒、四塩化炭素、クロロホルム、ジクロロメタン、ジクロロエタン、クロロブタン、ブロモブタン、クロロペンタン、ブロモペンタン、クロロヘキサン、ブロモヘキサン、クロロシクロヘキサン、ブロモシクロヘキサン等のハロゲン化飽和炭化水素溶媒、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、トリクロロベンゼン、クロロナフタレン等のハロゲン化不飽和炭化水素溶媒、テトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン等のエーテル溶媒が挙げられる。
活性層形成用の溶液は、P型半導体材料及びN型半導体材料を含み、式(I)で表される構成単位を有する化合物を0.1質量%以上含むものであってよい。また、当該溶液は、活性層に含まれるP型半導体材料及びN型半導体材料を、上述の溶媒に溶解させて調製してよい。調製に際しては、溶液の均質性を得る観点から、例えば60℃以上、10時間以上の条件で溶解させてよい。
<電子輸送層>
本実施形態に係る有機光電変換素子は、一方の電極(好ましくは陰極)と活性層との間に電子輸送層を有していてよい。
電子輸送層は、公知の電子輸送性材料を含むものであってよい。電子輸送性材料としては、例えば、酸化亜鉛、酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化スズ、酸化インジウム、ITO(インジウムスズ酸化物)、FTO(フッ素ドープ酸化スズ)、GZO(ガリウムドープ酸化亜鉛)、ATO(アンチモンドープ酸化スズ)、AZO(アルミニウムドープ酸化亜鉛)、PEIE(ポリエチレンイミンエトキシレイティド)、PEI(ポリエチレンイミン)が挙げられる。より高い光電変換効率を示す観点からは、電子輸送層はPEIEを含むことが好ましい。
電子輸送層は、例えば、電子輸送性材料を含む塗布液から成膜して形成することができる。
本実施形態に係る有機光電変換素子では、電子輸送層を陰極と活性層との間に設けることによって、陰極の剥離を防ぐとともに、活性層から陰極への電子取出し効率を高めることができる。なお、電子輸送層は、活性層に接して設けることが好ましく、さらには陰極にも接して設けられることが好ましい。このような電子輸送層を設けることによって、信頼性が高く、光電変換効率のより高い光電変換素子を実現することができる。
電子輸送性材料を含む電子輸送層は、いわゆる電子輸送層及び電子注入層からなる群より選ばれる1種以上として機能する。このような機能層を設けることによって、陰極への電子の注入効率を高めたり、活性層からの正孔の注入を防いだり、電子の輸送能を高めたり、陰極を塗布法で形成する際に用いられる塗布液による侵食から活性層を保護したり、活性層の劣化を抑制したりすることができる。
電子輸送層は、陰極を塗布形成する際に用いられる塗布液に対して濡れ性が高い材料によって構成されることが好ましい。具体的には、電子輸送層は、陰極を塗布形成する際に用いられる塗布液に対する活性層の濡れ性よりも、当該塗布液に対する濡れ性が高い方が好ましい。このような電子輸送層上に陰極を塗布形成することにより、陰極を形成する際に、塗布液が電子輸送層の表面上に良好に濡れ広がり、膜厚が均一な陰極を形成することができる。
電子輸送層の膜厚は、例えば0.1nm以上であってよく、1nm以上であってよい。また、電子輸送層の膜厚は、例えば300nm以下であってよく、100nm以下であってよい。
<正孔輸送層>
本実施形態に係る有機光電変換素子は、一方の電極(好ましくは陽極)と活性層との間に正孔輸送層を有していてよい。
正孔輸送層は、公知の正孔輸送性材料を含むものであってよい。正孔輸送性材料としては、例えば、ポリビニルカルバゾール、ポリシラン、ポリチオフェン、ポリエチレンジオキシチオフェン、ポリスチレンスルフォネート等の導電性高分子が挙げられる。
正孔輸送層は、例えば、正孔輸送性材料を含む塗布液から成膜して形成することができる。
正孔輸送層の膜厚は、例えば0.1nm以上であってよく、1nm以上であってよい。また、正孔輸送層の膜厚は、例えば300nm以下であってよく、100nm以下であってよい。
<有機光電変換素子>
本実施形態に係る有機光電変換素子は、第1の電極と、第1の電極に相対する第2の電極と、第1の電極及び第2の電極の間に設けられた活性層を有していてよい。また、本実施形態に係る有機光電変換素子は、第1の電極及び第2の電極のいずれか一方の電極と活性層との間に、電子輸送層を有していてよく、他方の電極と活性層との間に、正孔輸送層を有していてよい。
第1の電極及び第2の電極のうち、一方は陽極として用いられ、他方は陰極として用いられる。本実施形態において、好ましくは第1の電極が陰極である。電子輸送層は、陰極として用いられる電極と活性層との間に設けられ、正孔輸送層は、陽極として用いられる電極と活性層との間に設けられる。
本実施形態に係る有機光電変換素子は、光透過性を有することが好ましい。本実施形態に係る有機光電変換素子は、積層方向における可視光(380nm〜780nm)透過率が、10%以上であることが好ましく、25%以上であることがより好ましく、40%以上であることがさらに好ましい。なお、本明細書中、可視光透過率は、電子スペクトル測定で測定される値を示す。
本実施形態に係る有機光電変換素子は、基板上に形成されたものであってよい。基板としては、有機光電変換素子の各層の形成時に化学的に変化しないものであればよい。基板の材料としては、例えば、ガラス、プラスチック、高分子フィルム、シリコンが挙げられる。
本実施形態に係る有機光電変換素子を製造する方法は、特に制限されない。
例えば、本実施形態に係る製造方法は、金属ナノワイヤーを含む導電層上に、光導電性金属酸化物粒子を含む分散液を塗布して第1の電極を形成する工程を含むものであってよい。また、本実施形態に係る製造方法は、金属ナノワイヤーを含む分散液の塗膜を乾燥させて、金属ナノワイヤーを含む導電層を形成する工程をさらに含んでもよい。
また、本実施形態に係る製造方法は、金属ナノワイヤー及び光導電性金属酸化物粒子を含む分散液からなる塗膜を乾燥させて、第1の電極を形成する工程を含むものであってもよい。
本実施形態に係る製造方法は、第2の電極及び活性層を有する積層体の、前記第2の電極と相対する面上に、第1の電極を形成する工程を含むものであってよい。該積層体は、電子輸送層をさらに有していてよく、正孔輸送層をさらに有していてよい。
本実施形態に係る製造方法は、第2の電極上に電子輸送性材料を含む塗布液を塗布して、電子輸送層を形成する工程を含むものであってよい。また、本実施形態に係る製造方法は、電子輸送層上に、P型半導体材料及びN型半導体材料を含む塗布液を塗布して、活性層を形成する工程を含むものであってよい。また、本実施形態に係る製造方法は、活性層上に正孔輸送材料を含む塗布液を塗布して、正孔輸送層を形成する工程を含むものであってよい。さらに、本実施形態に係る製造方法は、正孔輸送層上に第1の形成する工程を含むものであってよい。
本実施形態に係る製造方法は、基板上に第2の電極を形成する工程を含むものであってよい。なお、第2の電極が、金属ナノワイヤー及び光導電性金属酸化物粒子を含むものであるとき、第2の電極を形成する工程は、形成箇所が異なること以外は、第1の電極を形成する工程と同様の工程であってよい。
塗布液の溶媒は、塗布する材料を分散又は溶解可能なものであればよい。塗布液は、溶液であってよく、エマルション(乳濁液)又はサスペンション(懸濁液)等の分散液であってもよい。
塗布液及び分散液の溶媒としては、例えば、水、エタノール、イソプロパノール、3−ペンタノール、オルトジクロロベンゼン、テトラリン、1,2−4−トリメチルベンゼン等の水又は有機溶媒を用いてよい。
<有機光電変換素子の用途>
本実施形態に係る有機光電変換素子は、太陽光等の光を照射することにより、電極間に光起電力が発生し、有機薄膜太陽電池として動作させることができる。本実施形態に係る有機光電変換素子を複数集積することにより、太陽電池モジュールとして用いることもできる。
有機薄膜太陽電池は、従来の太陽電池モジュールと基本的には同様のモジュール構造をとりうる。太陽電池モジュールは、一般的には金属、セラミック等の支持基板の上にセルが構成され、その上を充填樹脂や保護ガラス等で覆い、支持基板の反対側から光を取り込む構造をとるが、支持基板に強化ガラス等の透明材料を用い、その上にセルを構成してその透明の支持基板側から光を取り込む構造とすることも可能である。具体的には、スーパーストレートタイプ、サブストレートタイプ、ポッティングタイプと呼ばれるモジュール構造、アモルファスシリコン太陽電池などで用いられる基板一体型モジュール構造等が知られている。本実施形態に係る有機光電変換素子による有機薄膜太陽電池も、使用目的や使用場所及び環境により、適宜これらのモジュール構造を選択できる。
代表的なスーパーストレートタイプあるいはサブストレートタイプのモジュールは、片側又は両側が透明で反射防止処理を施された支持基板の間に一定間隔にセルが配置され、隣り合うセル同士が金属リード又はフレキシブル配線等によって接続され、外縁部に集電電極が配置されており、発生した電力を外部に取り出される構造となっている。基板とセルの間には、セルの保護や集電効率向上のため、目的に応じエチレンビニルアセテート(EVA)等様々な種類のプラスチック材料をフィルム又は充填樹脂の形で用いてもよい。
また、外部からの衝撃が少ないところなど表面を硬い素材で覆う必要のない場所において使用する場合には、表面保護層を透明プラスチックフィルムで構成し、又は上記充填樹脂を硬化させることによって保護機能を付与し、片側の支持基板をなくすことが可能である。支持基板の周囲は、内部の密封及びモジュールの剛性を確保するため金属製のフレームでサンドイッチ状に固定し、支持基板とフレームの間は封止材料で密封シールする。また、セルそのものや支持基板、充填材料及び封止材料に可撓性の素材を用いれば、曲面の上に太陽電池を構成することもできる。ポリマーフィルム等のフレキシブル支持体を用いた太陽電池の場合、ロール状の支持体を送り出しながら順次セルを形成し、所望のサイズに切断した後、周縁部をフレキシブルで防湿性のある素材でシールすることにより電池本体を作製できる。また、Solar Energy Materials and Solar Cells, 48,p383−391記載の「SCAF」とよばれるモジュール構造とすることもできる。更に、フレキシブル支持体を用いた太陽電池は曲面ガラス等に接着固定して使用することもできる。
本実施形態に係る有機光電変換素子は、また、電極間に電圧を印加した状態又は無印加の状態で、光を照射することにより、光電流が流れるため、有機光センサーとして動作させることができる。有機光センサーを複数集積することにより、有機イメージセンサーとして用いることもできる。
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。
以下、実施例により本発明をより具体的に説明するが、本発明は実施例に限定されるものではない。
[実施例1]
(高分子化合物Aの合成)
式(I)で表される構成単位を有する高分子化合物として、国際公開第2013/051676号の実施例1に記載された方法で、下記の構成単位を含む高分子化合物Aを合成した。
(インク1の調製)
高分子化合物Aと、フラーレンC60PCBM(フェニルC61−酪酸メチルエステル)(phenyl C61−butyric acid methyl ester)とをトリメチルベンゼン/プロピオフェノンの混合溶媒に溶解し、50℃で12時間攪拌し、インク1を調製した。インク1において、高分子化合物Aの含有量に対するC60PCBMの含有量の比(質量比)は、2.5であった。また、インク1中、高分子化合物A及びC60PCBMの合計含有量は、インク1の全量基準で3.5質量%であった。
(有機光電変換素子の作製、評価)
太陽電池の陰極として機能するITO薄膜が形成されたガラス基板を用意した。ITO薄膜はスパッタ法によって形成されたものであり、その厚みは150nmであった。このガラス基板をオゾンUV処理し、ITO薄膜の表面処理を行った。次に、PEIE水溶液(Polyethyleneimine ethoxylated)をスピンコートによりITO膜上に塗布し、大気中120℃で10分間加熱することにより、膜厚5nm以下の電子輸送層を形成した。この電子輸送層上に、合成例1で得たインク1をスピンコートにより塗布し、活性層(膜厚約120nm)を形成した。
次に、正孔輸送材料(SOLVAY社製、Plexcore OC AQ−1300)をスピンコートにより活性層上に45nmの膜厚で塗布し、乾燥させることにより水溶媒に不溶である正孔輸送層を形成した。
次に、水溶媒のワイヤー状導電体分散液(ClearOhm(登録商標)Ink−N AQ:Cambrios Technologies Corporation社製)をスピンコーターによって塗布し、乾燥させることで、膜厚120nmの金属ナノワイヤー層を得た。その後、酸化亜鉛ナノ粒子(粒径20〜30nm)の45重量%イソプロパノール分散液(HTD−711Z、テイカ社製)1質量部と、ナトリウムアセチルアセトナトを1質量%溶解させたイソプロパノール5質量部とを混合し、塗布液を調製した。この塗布液を、スピンコートにより金属ナノワイヤー層上に45nmの膜厚で塗布し、陽極を形成した。その後、UV硬化性封止剤を周辺に塗布し、ガラス基板を張り合わせた後、UV光を照射することで封止した。
得られた有機光電変換素子の形状は、10mm×10mmの正四角形であった。その後、擬似太陽光照射装置(分光計器製、商品名:CEP−2000型 分光感度測定装置)を用いて、白色光(キセノンランプ)を照射しながら、得られた有機光電変換素子の電流−電圧特性を測定し、短絡電流密度、開放端電圧、フィルファクター(曲線因子)及び光電変換効率を求めた。白色光の光量は、標準太陽電池(分光計器製、BS−520BK)の出力を測定し、100mW/cm2(AM1.5G)に調整した。
[実施例2]
(高分子化合物Bの合成)
フラスコ内の気体をアルゴンで置換した2L四つ口フラスコに、下記化合物(a)を7.928g(16.72mmol)、下記化合物(b)を13.00g(17.60mmol)、トリオクチルメチルアンモニウムクロリド(商品名Aliquat336(登録商標)、アルドリッチ社製、CH
3N[(CH
2)
7CH
3]
3Cl、density 0.884グラム/ml、25℃)を4.979g、及びトルエンを405ml入れ、撹拌しながら反応系内を30分間アルゴンバブリングした。
フラスコ内にジクロロビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)を0.02g加え、105℃に昇温し、撹拌しながら2mol/Lの炭酸ナトリウム水溶液42.2mlを滴下した。滴下終了後5時間反応させ、その後、フェニルボロン酸2.6gとトルエン1.8mlとを加え、105℃で16時間撹拌した。その後、反応液にトルエン700ml及び7.5wt%のジエチルジチオカルバミン酸ナトリウム三水和物水溶液200mlを加え、85℃で3時間撹拌した。反応液の水層を除去後、有機層を60℃のイオン交換水300mlで2回、60℃の3wt%酢酸300mlで1回、さらに60℃のイオン交換水300mlで3回洗浄した。有機層をセライト、アルミナ及びシリカを充填したカラムに通し、ろ液を回収した。その後、熱トルエン800mlでカラムを洗浄し、洗浄後のトルエン溶液をろ液に加えた。得られた溶液を700mlまで濃縮した後、濃縮した溶液を2Lのメタノールに加え、重合体を再沈殿させた。重合体をろ過して回収し、500mlのメタノール、500mlのアセトン、500mlのメタノールで重合体を洗浄した。重合体を50℃で一晩真空乾燥することにより、ペンタチエニル−フルオレンコポリマー(高分子化合物B)12.21gを得た。高分子化合物Bのポリスチレン換算の重量平均分子量は1.1×10
5であった。なお、下記式中、括弧に付した数字は、全構成単位数を100としたときの括弧内の構成単位の数を示す。
(インク2の調製)
高分子化合物Bと、フラーレンC60PCBM(フェニルC61−酪酸メチルエステル)(phenyl C61−butyric acid methyl ester)とをテトラリン溶媒に溶解し、50℃で12時間攪拌し、インク2を調製した。インク2において、高分子化合物Bの含有量に対するC60PCBMの含有量の比(質量比)は、3.0であった。また、インク2中、高分子化合物B及びC60PCBMの合計含有量は、インク2の全量基準で4.0質量%であった。
(有機光電変換素子の作製、評価)
インク1の代わりにインク2を用いたこと以外は、実施例1と同様の方法で有機光電変換素子を作製し、評価した。
[実施例3]
(インク3の調製)
高分子化合物A及びフラーレンC70PCBM(フェニルC71−酪酸メチルエステル)(phenyl C71−butyric acid methyl ester)をオルトジクロロベンゼン溶媒に溶解し、50℃で12時間攪拌し、インク3を調製した。インク3において、高分子化合物Aの含有量に対するC70PCBMの含有量の比(質量比)は、2.5であった。また、インク3中、高分子化合物A及びC70PCBMの合計含有量は、インク3の全量基準で3.5質量%であった。
(有機光電変換素子の作製、評価)
インク1の代わりにインク3を用いたこと以外は、実施例1と同様の方法で有機光電変換素子を作製し、評価した。
[実施例4]
(インク4の調製)
下記式で表される高分子化合物Cと、フラーレンC70PCBM(フェニルC71−酪酸メチルエステル)(phenyl C71−butyric acid methyl ester)とをオルトジクロロベンゼンの混合溶媒に溶解し、50℃で12時間攪拌し、インク4を調製した。インク4において、高分子化合物Cの含有量に対するC70PCBMの含有量の比(質量比)は、1.5であった。また、インク4中、高分子化合物C及びC70PCBMの合計含有量は、インク4の全量基準で2.5質量%であった。
(有機光電変換素子の作製、評価)
インク1の代わりにインク4を用い、酸化亜鉛ナノ粒子に代えてアルミニウムドープ酸化亜鉛粒子を用いたこと以外は、実施例1と同様の方法で有機光電変換素子を作製した。
[比較例1]
(インク5の調製)
P3HT(ポリ(3−ヘキシルチオフェン))(Poly(3−hexylthiophene)、)と、フラーレンC60PCBM(フェニルC61−酪酸メチルエステル)(phenyl C61−butyric acid methyl ester)とをオルトジクロロベンゼンの混合溶媒に溶解し、50℃で12時間攪拌し、インク5を調製した。インク5において、P3HTの含有量に対するC70PCBMの含有量の比(質量比)は、1.0であった。また、インク5中、P3HT及びC70PCBMの合計含有量は、インク5の全量基準で2.0質量%であった。
(有機光電変換素子の作製、評価)
インク1の代わりにインク5を用い、酸化亜鉛ナノ粒子に代えてガリウムドープ酸化亜鉛粒子を用いたこと以外は、実施例1と同様の方法で有機光電変換素子を作製し、評価した。
[比較例2]
(インク6の調製)
下記式で表される高分子化合物Dと、フラーレンC60PCBM(フェニルC61−酪酸メチルエステル)(phenyl C61−butyric acid methyl ester)とをオルトジクロロベンゼンの混合溶媒に溶解し、50℃で12時間攪拌し、インク6を調製した。インク6において、高分子化合物Dの含有量に対するC60PCBMの含有量の比(質量比)は、2.0であった。また、インク6中、高分子化合物D及びC60PCBMの合計含有量は、インク6の全量基準で3.0質量%であった。
(有機光電変換素子の作製、評価)
インク1の代わりにインク6を用い、酸化亜鉛ナノ粒子に代えてアルミニウムドープ酸化亜鉛粒子を用いたこと以外は、実施例1と同様の方法で有機光電変換素子を作製し、評価した。
実施例1〜3及び比較例1〜2の有機光電変換素子の評価結果を表1に示す。
表1に示すとおり、式(I)で表される構成単位を有する化合物を用いた場合、比較例に比べて高い曲線因子を示した。加えて、光電変換効率の観点からは、高分子化合物Aを用いた場合に比較的高い効率が得られた。
次いで、比較例3として光導電性金属酸化物粒子を含まない有機光電変換素子を作製した。
[比較例3]
(有機光電変換素子の作製、評価)
太陽電池の陰極として機能するITO薄膜が形成されたガラス基板を用意した。ITO薄膜はスパッタ法によって形成されたものであり、その厚みは150nmであった。このガラス基板をオゾンUV処理し、ITO薄膜の表面処理を行った。次に、PEIE水溶液(Polyethyleneimine ethoxylated)をスピンコートによりITO膜上に塗布し、大気中120℃で10分間加熱することにより、膜厚5nm以下の電子輸送層を形成した。この電子輸送層上に、実施例1で作成したインク1をスピンコートにより塗布し、活性層(膜厚約120nm)を形成した。
次に、正孔輸送材料(SOLVAY社製、Plexcore OC AQ−1300)をスピンコートにより活性層上に45nmの膜厚で塗布し、乾燥させることにより水溶媒に不溶である正孔輸送層を形成した。
次に、水溶媒のワイヤー状導電体分散液(ClearOhm(登録商標)Ink−N AQ:Cambrios Technologies Corporation社製)をスピンコーターによって塗布し、乾燥させることで、膜厚120nmの金属ナノワイヤーの陽極を形成した。その後、UV硬化性封止剤を周辺に塗布し、ガラス基板を張り合わせた後、UV光を照射することで封止した。
得られた有機光電変換素子について、実施例1と同様の方法で評価した。実施例1と比較例3の評価結果を表2に示す。
表2に示すとおり、金属ナノワイヤーと光導電性金属酸化物粒子とを組み合わせて用いることでFFが向上し、変換効率が向上することが確認された。