JP6888035B2 - フィチウム種からのオメガ−3脂肪酸の生産 - Google Patents

フィチウム種からのオメガ−3脂肪酸の生産 Download PDF

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Description

関連出願の相互参照
本出願は、2013年3月7日に出願された係属中の米国実用特許出願第13/788,372号で発明の名称「フィチウム種からのオメガ−3脂肪酸の生産」に対する優先権を主張するものであり、その全体が参照として本明細書に組み込まれる。
本発明は、藻類のフィチウム種から生産されるトリアシルグリセロール油の生産に関する。1つの実施形態においては、前記藻類種は、少なくとも約20重量%の総脂質を含有し、エイコサペンタエン酸(EPA)としてその総脂肪酸の少なくとも約10重量%、および、アラキドン酸(ARA)としてその総脂肪酸の約5重量%未満を含有する。他の実施形態においては、本発明は、藻類のフィチウム種からエイコサペンタエン酸(EPA)を生産するための各種方法に関する。特に、フィチウム・イレグラレ(Pythium irregulare)が実施可能な生産生物として利用され得る。
エイコサペンタエン酸(EPA、C20:5、n−3)は、医学的に立証された心臓血管および他の疾患に対する治療能力に基づくオメガ−3ファミリーにおいて、重要な脂肪酸である。EPAの主な供給源としての魚油には、不快な味や臭気、重金属汚染、魚の乱獲による潜在的不足、季節による供給源である魚の入手可能性の変動、および製造コストなどの種々の制限がある。したがって、EPAの新しい供給源を特定し、開発することは、非常に有益である。フィチウムファミリーの微生物には、EPAを生産する能力を有する多数の菌株が含まれる。特に、フィチウム・イレグラレ(Pythium irregulare)は、EPAの供給源として広く研究されてきた。しかし、本供給源からのEPAが高濃度のトリアシルグリセロール油の商業的な生産方法は未だ開発されていない。
EPAには栄養上の利点(抗炎症性など)があるため、EPAの含有量が高い(総脂肪酸の10%超)菌類/藻類のフィチウム種からトリアシルグリセロール油が得られることは有益となるであろう。このような油を得るために、脂質として高い(20%w/w超)乾燥細胞重量を有するフィチウムバイオマスからこの油を抽出できれば、有益となるであろう。
本発明は、藻類のフィチウム種から生産されるトリアシルグリセロール油の生産に関する。1つの実施形態においては、前記藻類種は、少なくとも約20重量%の総脂質を含有し、その総脂肪酸の少なくとも約10重量%をエイコサペンタエン酸(EPA)として、および、その総脂肪酸の約5重量%未満をアラキドン酸(ARA)として含有する。他の実施形態においては、本発明は、藻類のフィチウム種からエイコサペンタエン酸(EPA)を生産するための各種方法に関する。特に、フィチウム・イレグラレ(Pythium irregulare)が実施可能な生産生物として利用され得る。
1つの実施形態において、本発明は、20%w/w乾燥細胞重量を超える細胞脂質、および、総脂肪酸の10%超がEPAであるフィチウムバイオマス由来のトリアシルグリセロール油に関する。
他の実施形態においては、本発明は、20%w/w乾燥細胞重量を超える細胞脂質、および/または、総脂肪酸の10%超であるエイコサペンタエン酸(EPA)を含み、アラキドン酸(ARA)は、総脂肪酸の5%未満を含む、フィチウムバイオマス由来のトリアシルグリセロール油に関する。
また他の実施形態においては、本発明は、少なくとも1種類のトリアシルグリセロール油を生産する方法に関し、前記方法は、(i)好適な量のフィチウム培養物を供給する工程;(ii)好適な量のフィチウム培養物からの基質を用いてフィチウムバイオマスを増大させる工程;(iii)フィチウムバイオマスからトリアシルグリセロール油を抽出する工程、を含み、前記トリアシルグリセロール油が、20%w/w乾燥細胞重量を超える細胞脂質を含み、少なくとも1種のトリアシルグリセロール油に含まれる総脂肪酸の10%超が、エイコサペンタエン酸(EPA)である。
図1は、本発明で解決した課題の1つの態様を示すグラフであり、フィチウム中の細胞脂質が20%乾燥細胞重量(DCW)超まで増加すると、前記細胞脂質中のEPAが総脂肪酸の10%未満まで減少することを示す。したがって、経済的に実行可能な細胞脂質の量(20%w/w乾燥細胞重量を超える)を含有するフィチウムバイオマスから高いEPAレベル(総脂肪酸の10%超)を含むトリアシルグリセロール油を得ることは、従来は不可能だった。
発明の詳細な説明
本発明は、藻類のフィチウム種から生産されるトリアシルグリセロール油の生産に関する。1つの実施形態においては、前記藻類種は、少なくとも約20重量%の総脂質を含有し、その総脂肪酸の少なくとも約10重量%をエイコサペンタエン酸(EPA)として、および、その総脂肪酸の約5重量%未満をアラキドン酸(ARA)として含有する。他の実施形態においては、本発明は、藻類のフィチウム種からエイコサペンタエン酸(EPA)を生産するための各種方法に関する。特に、フィチウム・イレグラレ(Pythium irregulare)が実施可能な生産生物として利用され得る。
当業者は、フィチウム生物が以前は、菌類に分類されていたが、現在は、菌類から別途進化して、褐色藻類および珪藻類に、より密接に関連していることが知られていることを理解している。これらの現在の分類は以下のようになる。界:クロムアルベオラータ;門:不等毛植物;網:卵菌;目:フハイカビ;科;フハイカビ;属;フィチウム。フィチウムは、糸状で、物理的に菌類に似ている単細胞生物グループに属する。また、これらの従来の分類に起因して、多くの場合、このように取り扱われ、または、称される。本明細書で、これらの生物は、藻類もしくは菌類のいずれに称されてもよく、または、卵菌門として、より新しい分類に従ってもよい。本発明の実施に際して使用することができるフィチウム種としては、例えば、フィチウム・イレグラレ(Pythium irregulare)、Pythium ultimum、Pythium insidiuosum、Pythium debaryanum、Pythium intermedium、Pythium megalacanthum、Pythium paroecandrumおよびPythium sylvaticumが挙げられるが、これらに限定されない。また他の実施形態においては、本明細書で使用される「フィチウム種」という用語は、利用可能な、および/または遺伝子学的にまたは別の方法でEPAを生産するために変性が可能な任意のフィチウム種を意味する。したがって、1つの実施形態においては、本発明の前記フィチウム種は、古典的突然変異または分子生物学的/遺伝子組み換えにより得られた突然変異株または、形質転換株であり得る。別の実施形態においては、EPA生産に使用される前記フィチウム種は、古典的突然変異または分子生物学的/遺伝子組み換えにより得られたピシウムイレグラレ(Pythium irregulare)の突然変異体または形質転換体である。
商業規模において、脂肪酸が豊富なフィチウムバイオマスの調製は、例えば、約10〜100m3の容積を有することが可能な発酵タンクまたは反応槽などの任意の好適な工業的装置を用いて実施することができる。このような容器は、当業者に一般的に公知であり、培地の添加および除去手段に加えて、例えば、(例えば、pHを測定するため)培地をサンプリングする手段、温度を観測および調整する手段;ガス(例えば、空気や酸素など)を培養物へ供給する手段;培地を撹拌する手段などもまた備えていてもよい。
工業的規模で培養を開始するために、通常実質的に純粋なフィチウム培養物を入手し(例えば、the American Type Culture Collectionのような菌株バンクまたは他の好適な供給元からの野生型は、古典的な突然変異によって生産されて、分子生物学などを用いて工業化される)、そして、これを使用して、例えば、通常、グルコースと酵母菌抽出物を添加したpH約5.5〜6の寒天斜面培地上で数日間(例えば、3〜7日)増殖させる等の胞子形成に好適な条件下で、フィチウムの増殖を開始する。液体培養の連続的なスケールアップを開始するために、例えば、寒天表面を蒸留水、培地などで洗うことにより、フィチウム胞子の接種材料をまず調製し、そして、その胞子溶液を、前記生物の大規模増殖に好適なベンチスケールの容器に添加する。フィチウム接種材料は、植菌される培養培地の1リットル当たり約105から約107の胞子を含む。次に、前記培養物を最初に少量容器(例えば、1〜2リットル)に接種し、その後に連続的に大きな容器へ移すことにより徐々に「容量を増加させる」。
フィチウムの培養中、培地は撹拌され、空気または酸素(通常は空気)が成長培物へ供給される。例えば、ベンチスケールのフラスコ培養において、培養物を(例えば、約150〜200rpm、通常約170rpmで)振とうまたは回転することにより、または、発酵槽培養において、パドル、インペラのような撹拌手段または他の好適な機構により、撹拌が行われてもよい。発酵槽培養において、前記発酵槽は、通気または酸素添加され、通常、成長時は酸素添加される。酸素濃度は、通常、培養期間中を通して約10%から約80%のレベルに維持される。当業者は、培養物への空気または酸素の供給が、培地を通ってガスが吹き込まれ、または泡立てられる際に、培養物を撹拌することにも役立っていることを理解している。
通常、脂肪酸が豊富なバイオマスの生産を最大化するために、フィチウムの培養は二段階で実施される。培地に微生物を接種した後、バイオマスの蓄積を促進させるために、約20℃〜30℃で成長段階に入る。通常、約3〜約6日の期間は、前記培養物はこの温度範囲に維持される。その後、フィチウム細胞の脂肪酸の蓄積を促進させるために、温度を約20℃以下まで低下させる。培養は、約1〜約3日の期間はより低温で維持される。したがって、初期接種からフィチウムバイオマスを採取するまでの全日数は、通常約5〜約7日である。
その後、いくつかの好適な手段および当業者に公知の方法、例えば、遠心分離および/または濾過により、フィチウムバイオマスが採取される。その後のバイオマスの処理は、使用目的によって、例えば、脱水および乾燥などにより行われる。
本明細書に記載されたように培養されたフィチウムは、種々の脂肪酸が豊富なバイオマスを生産し、多様な用途に使用することができる。本発明の幾つかの実施形態では、本発明の方法に従ってフィチウムによって生産された脂肪酸が豊富なバイオマスは、「そのまま」、すなわち、使用前にバイオマスから分離または単離されないで使用される。そのような実施形態においては、バイオマスを直接採取して使用してもよいが(例えば、湿菌体の集合として)、多くの場合、バイオマスを伴う一部またはほとんどまたはすべての水を除去する処理を最初に行う。したがって、本発明はまた、本明細書に記載されるように培養され、脂肪酸(例えば、EPA)が豊富なフィチウムによって生産された、全てまたは一部が乾燥したバイオマスの種々の形状を包含する。このような全体が乾燥したフィチウムバイオマスは、例えば、魚(特に水産養殖の魚「工場」で成長した魚);鶏および他の家禽(七面鳥、ホロホロチョウなど);畜牛、羊、ヤギ、馬、および、通常「飼育場」環境で育てられる他の家畜(例えば、犬、猫および家庭用ペット)等の種々の生物に与える食料の供給源または添加物として、使用されてもよい。前記バイオマスは、食品として、または脂肪酸、特にEPAの摂取により食事を補助する任意の方法において、任意の種類の食事を補うために使用されてもよい。卵の脂肪酸の質(型)を向上させ、または、卵に含まれる所望の脂肪酸の量を増加させるために、前記バイオマスを産卵鶏へ供給することに特に関心があってもよい。同様に、肉の脂肪酸の質(型)を向上させ、または、肉に含まれる所望の脂肪酸の量を増加させるために、前記バイオマスを食品として飼育される動物へ供給してもよい。通常、このような所望の脂肪酸は、多価不飽和脂肪酸(PUFAs)、特にEPAのようなオメガ−3脂肪酸を含む。
本発明のその他の実施形態において、前記脂肪酸、特にEPAは、バイオマスから単離することができ、すなわち実質的にさまざまな程度に精製されてもよく、その後、例えば食品補助または添加剤として使用されてよい。このような脂肪酸の調製物は、本発明のフィチウムバイオマスに由来する1以上の脂肪酸の混合物を含有してもよく、あるいは、前記脂肪酸は、1以上の実質的に純粋な脂肪酸を供給するために単離されてよい。
本発明の方法に従って調製された前記バイオマスおよび/または脂肪酸は、食品以外の目的のために使用されてもよい。例えば、様々な皮膚用製品、化粧品、石けん、皮膚洗浄剤、ローション、日焼け止め、頭髪用製品および他の製剤は、前記バイオマスから得られたバイオマス自体または1以上の脂肪酸を含有するように配合されてよい。特に、種々の「天然」または「環境に優しい」製品を調製してもよく、また、貴重な脂肪酸が豊富な「天然の」バイオマスを含有するとして市販してよい。
前述のように、フィチウムは、エイコサペンタエン酸(20:5、EPA)を天然に生産する糸状菌(藻類)である。総細胞脂質レベルが少ない場合(10%w/w乾燥細胞重量以下)、細胞脂質中の前記EPA含有量は高く、通常、総脂肪酸の12〜18%の範囲である。しかしながら、前記総細胞脂質が低い場合(10%w/w乾燥細胞重量以下)、(食品および栄養補助食品中の脂質に一般に使用される形態)トリアシルグリセロールを含有する、ヘキサンで抽出可能な脂質は、非常に少ない。培養条件を変更することにより、フィチウム中の細胞脂質の総量を20%(w/w乾燥細胞重量)まで増大させることが可能である。前記条件下では、細胞の前記トリアシルグリセロールの含有量は高く、食品成分または栄養補助食品として好適に使用されるトリアシルグリセロールが豊富な油を生成するために、(例えば、ヘキサンまたは他の溶媒を用いて)経済的に抽出することができる。しかしながら、図1に例示するように、フィチウムの細胞脂質レベルが高い場合は(例えば、少なくとも約20%w/w乾燥細胞重量)、前記EPAレベルが低いレベルまで減少する(総脂肪酸の10%未満)。食品成分または栄養補助食品に好適なEPAが豊富なトリアシルグリセロール油として使用するため、使用する油のEPA含有量は10%を超えることが好ましい。アラキドン酸のより高いレベル(例えば、総細胞脂質レベルの5%を超える)はまた、ある種のフィチウム菌株を伴うという点に留意すべきである。アラキドン酸(ARA)は、極めて重要な炎症性の中間体であり、血管拡張薬として機能することができる多価不飽和のオメガ−6脂肪酸20:4(ω−6)である。したがって、ARAは、多くの場合、成人および動物の摂取において、望ましくない脂肪酸と考えられる。
したがって、1つの実施形態においては、本発明は、EPAが豊富である(総脂肪酸の10%超)、20%超(w/w乾燥細胞重量)の細胞脂質を含有するフィチウム細胞に由来するトリアシルグリセロール油を目的とする。
本発明は、EPAが豊富で、DHAを本質的に含まない栄養学的トリアシルグリセロール油をフィチウム菌類/藻類の細胞から抽出させる課題を解決する。高レベルの細胞脂質を蓄積させるためにフィチウムの成長は行われてきたが、細胞脂質が20%w/w乾燥細胞重量を超えるフィチウムバイオマスから高レベル(総脂肪酸の10%超)EPAを含有するトリアシルグリセロール油の取得に成功した者はいない。
相当な細胞成長(最終細胞乾燥重量によって測定される)および脂質の蓄積(総細胞脂質により測定される)を可能とする(成長温度を低下させた)条件下で、フィチウム細胞を培養すると同時に、高レベル(総脂肪酸の10%超)EPAを含有する細胞脂質を蓄積する細胞を生み出す。この油はまた、非常に低レベルのアラキドン酸(ARA)を含有した。
1つの非限定的な実施例において、培地50mLは、10g/L超の乾燥細胞重量を生み出し、また、25%w/w超の脂質を含有し、前記脂質が(総脂肪酸の)10%超のEPAを含有するフィチウムバイオマスを生産する。
本明細書に添付される図1は、細胞脂質が20%乾燥細胞重量(DCW)を超えるまで増加するにつれて、細胞脂質中のEPAが総脂肪酸の10%未満まで減少することを示す。
以下の表1は、本発明に従って、25%を超える細胞脂質を含有し、前記細胞脂質中のEPAが10%を越えるバイオマスを得ることができることを示すものである。これは、EPAが豊富なトリアシルグリセロール油を得ることができるバイオマスである。
Figure 0006888035
前述のように、1つの実施形態において、本発明は、20%w/w乾燥細胞重量を超える細胞脂質;前記細胞脂質において、総脂肪酸の10%を超えるエイコサペンタエン酸(EPA)を含むフィチウム含有バイオマス由来のトリアシルグリセロール油を生産することを可能とする。他の実施形態において、本発明は、20%w/w乾燥細胞重量を超える細胞脂質、前記細胞脂質において、総脂肪酸の10%を超えるエイコサペンタエン酸(EPA)、および、総脂肪酸の5%未満であるアラキドン酸(ARA)を含むフィチウムバイオマス由来のトリアシルグリセロール油に関する。したがって、いくつかの実施形態において、本発明は、ARAの含有量がより少ないトリアシルグリセロール油を得ると同時に、単一脂質および/または脂肪酸分を有するトリアシルグリセロール油の生産を可能とする。
また他の実施形態においては、本発明は、グリセロール(生原料または精製された)、グルコース/デキストロース、ラクトース、キシロース、スクロース、フルクトース、または、これらの2以上の任意の好適な組合せから選択される原料を介して得るための方法として発酵工程を使用する、少なくとも1種類のトリアシルグリセロール油を生産する方法に関する。また他の実施形態においては、本発明は、酵母菌抽出物、DAP、尿素、NaNO3、CSLなどのような好適な窒素源を含み、1リットルあたり少なくとも30グラム濃度でバイオマスの増大を促すのに十分な窒素量を含有する、好適な培地を用いて、少なくとも1種類のトリアシルグリセロール油を生産する方法に関する。
以下の実施例は、広く解釈されるべきであり、限定されるものでは全くない。
脂質が豊富なバイオマスの培養
フィチウム・イレグラレ(Pythium irregulare)ATCC 10951を、M#1(YE)培地50mLが入った250mL三角フラスコ中で培養する。前記培養培地は、30g/L グルコース、3.0g/L 酵母菌抽出物、7.0g/L KH2PO4、1.5g/L MgSO4・7H2O、0.1g/L CaCl2・2H2O、1.0g/L NaCl、4.8mg/L FeCl3、1mg/L ZnSO4・7H2O、0.1mg/L CoCl2・6H2O、 0.1mg/L CuCl2・2H2O、および0.1mg/L MnSO4・H2Oを含有する。P.irregulareの菌叢(lawn)を含むM#1(YE)寒天平板[20g/L 寒天のM#1(YE)]の1.5cm×1.5cmの切片を、無菌試験管中で、10mLの無菌蒸留水および直径が約25mmの無菌ガラスボールと共にボルテックスして得た菌糸懸濁液1mLを、前記振とうフラスコに接種する。
前記振とうフラスコを、(撹拌なしで)5℃で4〜8週間インキュベーションする。15000×g、5分間による遠心分離を行い、上澄みを直ちに除去して、バイオマスを採取する。前記バイオマスを、蒸留したH2O 40mLで洗浄し、その後凍結乾燥する。
高EPA含有油の抽出
前記凍結乾燥されたバイオマスを、乳棒および乳鉢を用いて粉砕し、微粉末とする。この粉体を事前に重量を測っておいた三角フラスコ内に入れ、バイオマスの質量を重量測定法で決定した。乾燥バイオマスのグラム当たり5ミリリットルのヘキサンを乾燥バイオマスに添加し、バイオマス/ヘキサンのスラリーを定期的に撹拌して、少なくとも16時間の間、実験室温度でインキュベーションする。バイオマスは、ヘキサン抽出物(ミセル)から、ワットマンNo.1 ろ紙を通して重力下でろ過することにより取り除き、さらに乾燥バイオマスのグラム当たり2mLのヘキサンにより洗浄する。前記ミセルをロータリーエバポレーター中で乾燥するまで減少させ、前記トリアシルグリセロール(TAG)をエチルアセテート中に再溶解させる。前記TAG溶液は、ガラスウールフィルター(ガラスピペットに詰め込まれたガラスウール)を通して、事前に重量を測定した試験管へろ過される。エチルアセテートを窒素気流下で除去し、抽出されたTAGの量を重量測定法で決定した。
脂質分析
抽出したTAGのサンプル(約20mg)を得て、MeOH 2mLおよび塩化アセチル 0.15mLを含有する反応混合物を用いてエステル化する。前記反応混合物を55℃で4時間加熱し、その後冷却する。脂肪酸メチルエステル(FAME)の調製物は、乾燥Na2CO3と中和させて、0.45マイクロメートルナイロンフィルターを通して濾過する。前記濾液をGC分析のために用いる。
前記脂肪酸の特性は、Zebrum ZB Waxカラム(直径0.25mmで長さ30m)を用いたGC分析により決定する。前記初期オーブン温度は、160℃であり、10℃/分で250℃まで上昇させる。次にカラムを250℃で9分間保持する。注入器および検出器温度は、250℃である。フレームイオン化検出器を用いて前記FAMEを検出し、保持時間および標準物質との比較を基準にして同定する。
特許法に従いながら、本発明のベストモードおよびある種の実施形態を説明してきたが、本発明の範囲は、これらに限定されるものではなく、むしろ、添付の範囲により限定されるものである。そのようなものであるから、本発明の前記趣旨および範囲内におけるその他の変形が可能であり、かつ、当業者へそれらを示すものである。

Claims (2)

  1. (i)好適な量のフィチウム培養物を供給する工程;
    (ii)前記好適な量のフィチウム培養物からの基質を用いて5℃以下でフィチウムバイオマスを増大させる工程;
    (iii)前記フィチウムバイオマスからトリアシルグリセロール油を抽出する工程、を有し、
    少なくとも前記トリアシルグリセロール油は、20%w/w乾燥細胞重量を超える細胞脂質を含み、トリアシルグリセロール油に含まれる総脂肪酸の10重量%超がエイコサペンタエン酸(EPA)であり、
    前記フィチウムが、フィチウム・イレグラレATCC 10951であり、
    前記フィチウムバイオマスの増大に利用される前記基質(但し、大豆油を含む場合を除く。)は、グルコース、デキストロース、ラクトース、キシロース、スクロース、フルクトース、またはこれら2つの任意の好適な組合せから選択される、
    トリアシルグリセロール油の生産方法。
  2. 前記バイオマスの培養に用いられる培地が、さらに少なくとも1種の窒素源を含み、前記窒素源が酵母菌抽出物、DAP、尿素、NaNO3、CSLまたはこれらの2以上の組合せから選択される、請求項に記載のトリアシルグリセロール油の生産方法。
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