JP6886836B2 - 造作部材のコーナーキャップ - Google Patents

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本発明は、壁面のコーナー部分において、床面または天井面と壁面との交差部に沿って配設された幅木や廻り縁のような造作部材の端部に装着されるコーナーキャップに関し、更に詳しくは、壁面のコーナーである出隅又は入隅部分の突き合わせ端面の隙間を覆い隠すためのコーナーキャップに係る。
建物の内壁において、内壁と床および天井との境界部分を美麗に収めるために、内壁の下端部に幅木が、上端部に廻り縁がそれぞれ配設される。内壁にはコーナー部(入隅及び出隅)があり、幅木や廻り縁は、コーナー部で両者が互いに突き合わされることになる。従来工法では、各々の幅木や廻り縁の端面を45°にカットして付き合わせ、直交させるという施工が行われていた。
しかしながら、45°のカットは熟練を要する面倒なものであり、精度に欠けると、突き合わされる幅木または廻り縁の突合せ端面間に隙間が生じ、見栄えが悪くなる。
このような事情から、上記45°のカットが不要で、幅木や廻り縁同士の突き合わせ部分の美観性を向上させつつ簡単に行えるようにしたコーナーキャップが提案されている(特許文献1)。
このコーナーキャップは、コーナー部に直角に突き合わされた幅木や廻り縁の端部にそれぞれ被着可能で、略90°で配置された左右一対の第1の帯状部、前記第1の帯状部を繋ぐ平面視略1/4円状の第2の帯状部とで構成されている。
このコーナーキャップをコーナー部に直角に突き合わされた幅木や廻り縁の端部にそれぞれ被着すると、幅木や廻り縁の端部が隠され、端面を斜め45°にカットする必要がない。したがって、幅木または廻り縁同士の接続の施工性が向上する。
特許4979613号公報
しかしながら、幅木や廻り縁の厚みは薄いものから厚いものまでさまざまなものがあり、上記のコーナーキャップではこれに合わせて多種類のものを用意しなければならなかった。また、現場によっては、厚みの異なる幅木や廻り縁を用いることがあり、上記のようなコーナーキャップでは対応できなかった。
本発明は、上記実情に鑑みなされたものであり、出隅や入隅などの壁面のコーナー部に臨む、厚薄様々な厚みを有する幅木や廻り縁などの造作部材の端部を1種類で見栄え良く納め得るコーナーキャップを提供することをその課題としている。
請求項1に記載の発明は、
壁面Wの下端又は上端にて床面40又は天井面50に沿うように配設され、壁面Wのコーナー部Kに臨む一対の造作部材10・10’の木口10b・10b’ 側の端部に跨って装着され、前記造作部材10・10’の露出面を覆うコーナーキャップAであって、
前記一対の造作部材10・10’の木口10b・10b’側の端部の露出側水平面(幅木の場合はその上面、廻り縁の場合はその下面が相当する。)10a・10a’をそれぞれ覆う水平面被覆片部1a・1a’と、前記木口10b・10b’及び壁面設置時に外部に現れるその外側面10c・10c’をそれぞれ覆う外面被覆片部1c・1c’とで形成された硬質部材製の平面視L形の本体部分1と、
前記水平面被覆片部1a・1a’の壁面Wに向かう辺(外側面10c・10c’の反対側の辺)から、装着時の造作部材10・10’の露出側水平面10a・10a’を越えて、或いは該露出側水平面10a・10a’に一致する位置まで一体的に延出された、L形の軟質部材からなる被覆用舌片2とで構成されることを特徴とする。
このような構成とすることで、コーナー部Kで空間Xを設けて直角に配置された(或いは直角に突きあわされた)造作部材10・10’の木口側端部10t・10t’の壁寄りの部分や前記空間Xの壁寄りの部分(この部分は水平面被覆片部1a・1a’からはみ出す部分)が被覆用舌片2にて被覆されて外部に露出しない。換言すれば、木口10b・10b’がどのような形状であってもコーナーキャップAで隠蔽されるので、熟練技術を要する木口10b・10b’の45°切断(通常は90°で切断されている)を要しない。従って、施工性を向上させることができる。
また、上記造作部材10・10’の厚みに厚薄があったとしても、被覆用舌片2を最も幅の厚い造作部材10・10’の露出側水平面10a・10a’に一致する位置、或いは該露出側水平面10a・10a’を越える位置まで延出しておけば、幅の薄い造作部材10・10’に対して用いる場合は、軟質部材からなる被覆用舌片2が曲がり、造作部材10・10’の木口側端部10t・10t’を同様に隠蔽してくれる。
更に、コーナー部Kの造作部材10・10’の厚みが互いに異なる場合でも、一方の造作部材10に対しては被覆用舌片2の対応部分(この部分を対応部分5という)が対応し、他方の造作部材10’に対しては被覆用舌片2のその部分(この部分を対応部分5’という)が個別に対応することになるので、いずれの場合でも1種類のコーナーキャップAで足る。
なお、造作部材10・10’には幅木や廻り縁などが含まれ、幅木の場合は、その内側面が壁面Wに接し、その下面が床面40に接するので、その上面と外側面及び木口が露出面となる。一方、廻り縁の場合は、その内側面が壁面Wに接し、その上面が天井面50に接するので、その下面と外側面及び木口が露出面となるそれ故、幅木の場合は、その上面を廻り縁の場合はその下面を露出側水平面10a・10a’とする。
本発明のコーナーキャップAは、幅木用も廻り縁用も同一形状で、天地を逆にして装着することになる。
請求項2は、請求項1に記載のコーナーキャップAにおいて、
被覆用舌片2の先端部分5s・5s’が本体部分1の内側に湾曲するように形成されていることを特徴とする。
これにより厚手の造作部材10・10’に対応出来るように作られたコーナーキャップAを、薄手の造作部材10・10’に装着する場合、或いは厚みの異なる造作部材10・10’に装着する場合、薄手の造作部材10(10’)に対応する対応部分5(5’)がこれに対応して内側に大きく曲がり、該対応部分5(5’)の先端部分5s(5s’)が内側に隠れて露出せず、外観を損なわない。
請求項3は、請求項1又は2に記載のコーナーキャップAにおいて、
被覆用舌片2は、水平面被覆片部1a・1a’の壁面Wに向かう辺から独立して延出された2枚の対応部分5・5’で構成されていることを特徴とする。
このように被覆用舌片2が2枚の対応部分5・5’で構成されておれば、造作部材10・10’の厚薄に関係なくこれらが独立して対応することが出来る。
本発明に係るコーナーキャップAは、上述のような構成としたことで、コーナー部Kにおいて、造作部材10・10’の木口10b・10b’を45°切断しなくとも見栄え良く納めることができるし、厚みの異なる造作部材10・10’に対しても1種類のコーナーキャップAで対応することができる。
(a)は出隅の造作部材(幅木)の木口側端部に装着したコーナーキャップの取付状態の一例を示す概略斜視図、(b)は壁側から見たコーナーキャップの取付状態の一例を示す概略斜視図である。 入隅の造作部材(幅木)の木口側端部に装着したコーナーキャップの取付状態の一例を示す概略斜視図である。 厚手の造作部材(幅木)における図1の平面図である。 図3の正面図である。 図4の断面図である。 薄手の造作部材(幅木)における図1の平面図である。 図6の正面図である。 図7の断面図である。 厚みの異なる造作部材(幅木)を用いた場合の出隅に於けるコーナーキャップの取付状態の一例を示す概略斜視図である。 (a)は出隅用コーナーキャップの第2実施例、(b)は出隅用コーナーキャップの第3実施例である。 出隅の造作部材(廻り縁)の木口側端部に装着したコーナーキャップの取付状態の一例を示す概略斜視図である。 図11の断面図である。
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。本実施形態では、造作部材10・10’には幅木や廻り縁などがあるが、これらにはコーナーキャップA(A’)が天地逆にして装着されることになるので、造作部材、及びその下位概念である幅木及び廻り縁を同じ符号10・10’で表す。そして幅木の上面、廻り縁の下面は同じ面が天地逆になっただけであるから、これらをその上位概念である露出側水平面とし、これら三者を同じ符号10・10’で表す。
また、本発明のコーナーキャップには出隅用と入隅用の2種類があり、出隅用コーナーキャップを符号Aで表し、入隅用コーナーキャップを符号A’で示す。本実施例では出隅用コーナーキャップAを代表例とし、入隅用コーナーキャップA’についてはその違いだけを説明し、出隅用コーナーキャップAの説明を入隅用コーナーキャップA’の説明に援用する。出隅用については、以下、単にコーナーキャップAと称する。
なお、本発明のコーナーキャップAは上記のように幅木用も廻り縁用も基本的に同じ形状で、天地を逆にして装着することになるので、以下、幅木用を中心に説明し、最後に廻り縁の場合を簡単に説明する。
コーナーキャップAはL形に形成され、図1その他に示すように、床面40と壁面Wとの交差部に沿って配設され、出隅30に臨む一対の幅木10・10’の木口10b・10b’側の端部にこれらを跨ぐように取り付けられ、これらを覆い隠す構造となっている。
この幅木10・10’は、壁面施工時に外部に露出する外側面10c・10c’の中央よりやや上方に凹溝10m・10m’が長手方向に沿って形成されている。また、この幅木10・10’の露出側水平面(上面)10a・10a’の手前側(反壁面側)の縁部には、床面40側に向けて傾斜する傾斜面10k・10k’が形成されている。
この幅木10・10’は、例えば、木質系材料や合成樹脂系材料、金属系材料等から帯状に比較的長尺に形成されている。
コーナーキャップAの本体部分1は、主として水平な水平面被覆片部1a・1a’、及び垂直な外面被覆片部1c・1c’で形成され、互いに直角に配置され、平面視でL形を呈する。
水平面被覆片部1a・1a’と垂直な外面被覆片部1c・1c’とは、これらとの各内角が135°で傾斜した傾斜片部1k・1k’を介して一体的に繋がっている。そして本体部分1の下面、背面及び前記直角部分の反対側の面が開放している。前記傾斜片部1k・1k’は幅木10・10’の傾斜面10k・10k’に対応している。
本体部分1の正面視、平面視及び側面視の外郭形状はいずれも略長方形であり、幅木10(10’)の露出側水平面10a(10a’)、木口10b(10b’)及び外側面10c(10c’)を覆うようになっている。
そして、外面被覆片部1c・1c’には幅木10・10’の凹溝10m・10m’に対応した位置に内側に突出した凸条1m・1m’が形成されている。この凸条1m・1m’は、本実施例では外面被覆片部1c・1c’の横方向にてその全長に設けられている。
本体部分1は、硬質部材、通常は硬質樹脂(例えば、ABS(アクリロニトリルブタジエンスチレン)や、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート、PPS(ポリフェニレンサルファイド)等の合成樹脂系材料を主材とする。)の成形品で形成される。
そして、本体部分1の水平面被覆片部1a・1a’の壁側縁から背面視で図1(b)のようなL形の軟質材で構成された被覆用舌片2が一体的に延出されている。本実施例の被覆用舌片2は1枚ものであるが、装着時に造作材10a・10a’に水平面被覆片部1a・1a’から延出した部分が対応することになるので、当該部分を対応部分5・5’とする。
そして対応部分5・5’の先端部分5s・5s’が本体部分1の内側に向けて断面円弧状に曲げられている。また、外面被覆片部1c・1c’の内面に両面テープ7・7’を貼り付けておいてもよい。
上記被覆用舌片2の対応部分5・5’は、本体部分1とは材質が異なるので、本体部分1とは別体で形成され接着により一体化してもよいし、軟質・硬質樹脂を同時に金型に射出する2色成形(ダブルモールド)により一体成形してもよい。
なお、当該コーナーキャップAを、幅木10の模様に合わせた色調のものとしたり、または、表面に塗装等を施したりするようにしてもよい。また、上記のような合成樹脂系材料に、木粉や無機フィラー、相溶化剤、着色剤などを所定の含有割合で含有させた木粉・プラスチック複合材(WPC)から成形するようにしてもよい。さらに、上記のような合成樹脂製に限られず、アルミニウムやステンレス等の金属材料から鋳造や切削加工等によって一体的に成形した金属製のものとしてもよい。
次に、上記コーナーキャップAを用いた幅木10・10’の突合せ端部の納め構造の一例を出隅施工で説明する。幅木10・10’を壁面Wと床面40との交差部分に於いて、出隅30に向けて両側から設置し、幅木10・10’の凹溝10m・10m’の部分を壁面Wの下端に釘止め固定する。なお、壁面Wにはクロス35が貼られている。
出隅30において、双方の幅木10・10’の木口10b・10b’は出隅30に一致し、木口10b・10b’間に空間Xが形成される。
次いで、出隅30に臨む幅木10・10’の木口側端部10t・10t’を跨ぐようにコーナーキャップAを被せる。この時、両面テープ7が設けられている場合には、前もって離形紙を剥がしておき、必要に応じてコーナーキャップAの内面に接着剤を塗り、装着部分である幅木10・10’の木口側端部10t・10t’の外側面10c・10c’に貼着する。
コーナーキャップAの本体部分1の縦横の内寸(或いは内面形状)は、幅木10・10’の縦横の外寸(或いは外形形状)に等しく形成されているので、上記のように一方の外面被覆片部1cの凸条1mは幅木10の凹溝10mに嵌め込まれ、他方の外面被覆片部1c’の凸条1m’は幅木10’の凹溝10m’に嵌め込まれる。
これにより水平面被覆片部1a・1a’は幅木10・10’の露出側水平面(上面)10a・10a’に密着し、外面被覆片部1c・1c’は幅木10・10’の外側面10c・10c’にそれぞれ密着する。
そして、幅木10・10’が厚手(幅をTで示す)の場合、図3〜5に示すように、水平面被覆片部1a・1a’から延びた被覆用舌片2(5・5’)が壁面Wに接触してコーナーキャップAの水平面被覆片部1a・1a’に覆われなかった部分を覆う。
幅木10・10’が薄手(幅をtで示す)の場合、図6〜8に示すように、水平面被覆片部1a・1a’から延びた被覆用舌片2が壁面Wに接触して内側に曲がり、同様にコーナーキャップAの水平面被覆片部1a・1a’に覆われなかった部分を覆う。
この場合、被覆用舌片2が一体の場合、被覆用舌片2のコーナー部分に皺が発生する場合があるが、図10(a)に示すようにコーナー部分で45°に切断し、(或いは、図10(b)に示すようにコーナー部分で重ね合わせるようにして)対応部分5・5’を独立させておけば、上記のようなコーナー部分での皺発生は回避できる。
また、被覆用舌片2の対応部分5・5’を独立させておけば、幅木10・10’の厚みが異なる場合、対応部分5・5’が独自に対応するため、幅木10・10’の木口側端部10t・10t’の収めをよりきれいに行える。
図2は入隅用コーナーキャップA’の正面方向からの斜視図で、水平面被覆片部1a・1a’の外面被覆片部1c・1c’の上端からの延出方向、及び凸条1m・1m’の突出方向が外側で、上記出隅用コーナーキャップAの反対方向である。それ以外は出隅用コーナーキャップAと同じであり、施工方法も同じである。
次に造作部材10・10’が、廻り縁の場合に付いて説明する。廻り縁10・10’は壁面Wの上端において、天井面50に沿って取り付けられ、その木口10b・10b’がコーナー部Kに臨む。廻り縁が上記幅木と同じ断面形状(或いは高さは同じであるが、幅に厚薄がある)の場合、以上に説明したコーナーキャップA(A’)を天地逆にして装着することになる(図11、12)。これ以外の点は幅木の場合と同じであるので省略し、その説明は幅木の場合を援用する。
以上に説明したコーナーキャップA(A’)は、本発明のほんの一例を示すに過ぎない。コーナーキャップA(A’)は、発明の趣旨を変更しない範囲で、例えば、袖壁、腰壁などの端部の被覆など種々変更することができる。この場合、造作部材10は幅木と同様、壁本体に読み替えるものとする。
A・A’:コーナーキャップ、K:コーナー部、T・t:造作部材の幅、W:壁面、X:空間、1:本体部分、1a・1a’:水平面被覆片部、1c:外面被覆片部、1k・1k’:傾斜片部、1m・1m’:凸条、2:被覆用舌片、5・5’:対応部分、5s・5s’:先端部分、7・7’:両面テープ、10・10’:造作部材(幅木・廻り縁)、10a・10a’:露出側水平面(上面・下面)、10b・10b’:木口、10c・10c’:外側面、10k・10k’:傾斜面、10m・10m’:凹溝、10t・10t’:木口側端部、30:出隅、35:クロス、40:床面、50:天井面。

Claims (3)

  1. 壁面の下端又は上端にて床面又は天井面に沿うように配設され、壁面のコーナー部に臨む一対の造作部材の木口側の端部に跨って装着され、前記造作部材の露出面を覆うコーナーキャップであって、
    前記一対の造作部材の木口側の端部の露出側水平面をそれぞれ覆う水平面被覆片部と、前記木口、及び壁面設置時に外部に現れるその外側面をそれぞれ覆う外面被覆片部とで形成された硬質部材製の平面視L形の本体部分と、
    前記水平面被覆片部の壁面に向かう辺から、装着時の造作部材の露出側水平面を越えて、或いは該露出側水平面に一致する位置まで一体的に延出された、L形の軟質部材からなる被覆用舌片とで構成されることを特徴とするコーナーキャップ。
  2. 被覆用舌片の先端部分が本体部分の内側に湾曲するように形成されていることを特徴とする請求項1に記載のコーナーキャップ。
  3. 被覆用舌片は、水平面被覆片部の壁面に向かう辺から独立して延出された2枚の対応部分で構成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載のコーナーキャップ。
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