第1の発明は、被加熱物が載置されるトッププレートを有する本体と、本体内に配置された調理室と、調理室内に収容されるとともに、少なくとも2種類の金属を含むクラッド材で形成された調理皿と、調理室の下方に配置されており、調理皿を加熱する第1の加熱部と、調理室の上方に配置されており、調理皿に載置された調理物を加熱する第2の加熱部と、第1の加熱部及び第2の加熱部を制御する制御部と、を備え、制御部は、第1の加熱部及び第2の加熱部を制御して、調理皿の予熱を行う予熱工程と、調理皿に載置された調理物を加熱する加熱工程と、を実行しており、制御部は、加熱工程における第1の加熱部及び第2の加熱部の出力が予熱工程における第1の加熱部及び第2の加熱部の出力よりも小さくなるように、第1の加熱部及び第2の加熱部を制御する、加熱調理器としたものである。
第1の発明において、調理皿は、少なくとも2種類の金属を含むクラッド材で形成されている。
これにより、アルミ等の熱伝導性の高い材料で形成されたベースと、鉄やステンレス等の比較的重量の大きな材料で形成された金属プレートとで形成された従来の調理皿と比較して、調理皿の重量を低減することができ、加熱調理器の使い勝手を向上させることができる。
また、第1の発明において、制御部は、第1の加熱部及び第2の加熱部を制御して、少なくとも2種類の金属を含むクラッド材で形成された調理皿の予熱を行う予熱工程と、当該調理皿に載置された調理物を加熱する加熱工程と、を実行している。
これにより、従来の加熱調理器のように、鉄やステンレス等の熱容量の大きな材料で形成された金属プレートを誘導加熱して調理物を調理する場合と比較して、調理皿に載置された調理物を短い時間で調理することができ、加熱調理器の使い勝手を向上させることができる。
さらに、第1の発明において、制御部は、少なくとも2種類の金属を含むクラッド材で形成された調理皿に載置された調理物を調理する際に、加熱工程における第1の加熱部及び第2の加熱部の出力が予熱工程における第1の加熱部及び第2の加熱部の出力よりも小さくなるように、第1の加熱部及び第2の加熱部を制御している。
これにより、少なくとも2種類の金属を含むクラッド材で形成された調理皿を用いて調理物を調理した際に、調理皿の温度が調理物の調理に適した温度以上に上昇してしまうことを防止することができる。そのため、調理皿に載置された調理物の水分が過度に失われてしまったり、調理皿に載置された調理物が焦げてしまったりするなど、調理物の食味が低下してしまうことを防止することができ、調理物の食味を向上させることができる。
また、第1の発明において、制御部は、少なくとも2種類の金属を含むクラッド材で形成された調理皿に載置された調理物を調理する際に、加熱工程における第1の加熱部及び第2の加熱部の出力が予熱工程における第1の加熱部及び第2の加熱部の出力よりも小さくなるように、第1の加熱部及び第2の加熱部を制御している。
これにより、調理物の調理中に発生する煙の量を十分に抑制することができる。また、調理物の調理中に調理物から出た油が調理皿に焦げ付いてしまうことを十分に抑制することができる。そのため、調理庫及び調理皿の清掃性を向上させることができ、加熱調理器の使い勝手を向上させることができる。
第2の発明は、特に、第1の発明において、制御部は、予熱工程において、調理皿に載置された調理物の負荷量を判定しており、制御部は、調理皿に載置された調理物の負荷量が小さい場合は、調理皿に載置された調理物の負荷量が大きい場合に比べ、加熱工程における第1の加熱部の出力を小さくする構成としたものである。
これにより、調理皿に載置された調理物の負荷量が小さい場合であっても、調理皿の温度が調理物の調理に適した温度以上に上昇してしまうことを防止することができる。そのため、調理皿に載置された調理物の水分が過度に失われてしまったり、調理皿に載置された調理物が焦げてしまったりするなど、調理物の食味が低下してしまうことを防止することができるとともに、調理皿に載置された調理物の負荷量に応じて、調理物を最適な温度で調理することができ、調理物の食味を向上させることができる。
第3の発明は、特に、第1または第2の発明において、制御部は、加熱工程の終了後に、調理皿に載置された調理物を再度加熱する再加熱工程と実行しており、制御部は、再加熱工程における第2の加熱部の出力が加熱工程における第2の加熱部の出力以上となるように、第2の加熱部を制御する構成としたものである。
これにより、調理物の表面に適度な焦げ目をつけることができる。そのため、調理物の食味をさらに向上させることができる。
第4の発明は、特に、第1〜第3の発明において、調理皿に載置された調理物の調理条件を設定する操作部を備え、制御部には、調理皿に載置された調理物を所定の時間で調理する「標準コース」と、調理皿に載置された調理物を標準コースよりも短い時間で調理する「お急ぎコース」と、が記憶されており、制御部は、操作部で「お急ぎコース」が選択された場合には、加熱工程における第2の加熱部の出力が予熱工程における第2の加熱部の出力以上となるように、第2の加熱部を制御する構成としたものである。
これにより、操作部で「お急ぎコース」が選択された場合には、「標準コース」よりも短い時間で調理物を調理することができる。そのため、調理皿に載置された調理物をより短い時間で調理することができ、加熱調理器のさらに使い勝手を向上させることができる。
以下、図面を参照しながら本発明の加熱調理器の好適な実施形態について詳細に説明する。なお、以下の説明では、同一または相当部分には同一符号付し、重複する説明は省略する。
(実施の形態1)
本発明の加熱調理器の実施の形態1について、以下、図1〜図6を用いて説明する。
図1は、本発明の実施の形態1における加熱調理器の全体斜視図である。また、図2は、本発明の実施の形態1における加熱調理器の分解斜視図である。さらに、図3は、本発明の実施の形態1における加熱調理器の断面図である。また、図4は、本発明の実施の形態1における加熱調理器の制御部を示すブロック図である。さらに、図5は、本発明の実施の形態1において、調理皿に載置された調理物の負荷量が大きい場合の第1の加熱部及び第2の加熱部への電力供給状態を示す図である。また、図6は、本発明の実施の形態1において、調理皿に載置された調理物の負荷量が小さい場合の第1の加熱部及び第2の加熱部への電力供給状態を示す図である。
図1〜図3に示すように、本実施の形態における加熱調理器100は、鍋などの被加熱物Hが載置されるトッププレート1bを有する本体1と、本体1の内部に配置されており、トッププレート1b上に載置された被加熱物Hを誘導加熱する加熱コイル2と、本体1の内部に配置された調理庫3と、を有している。
本体1は、筐体1aと、筐体1aの上部に取り付けられたトッププレート1bとを有している。筐体1aは、上方に開口(図示せず)を有する箱状に形成されている。また、筐体1aは、金属材料により形成されている。トッププレート1bは、筐体1aの開口(図示せず)を覆うように筐体1aの上部に取り付けられている。また、トッププレート1bは、耐熱性の高いガラスによって形成されている。
トッププレート1b上には、調理物が収容された被加熱物Hが載置される複数の加熱領域Pが形成されている。加熱領域Pは、トッププレート1bの後方に形成された第1の加
熱領域P1と、トッププレート1bの前方に形成された第2の加熱領域P2及び第3の加熱領域P3とから構成されている。
ここで、複数の加熱領域Pは、使用者がトッププレート1b上に被加熱物Hを載置する際に、被加熱物Hの載置位置が認識できるように形成されていればよく、例えば、トッププレート1bに円などの図形を印字することで加熱領域Pを表示させたり、LEDなどの照明手段を点灯させることで加熱領域Pを表示させたりしてもよい。
トッププレート1bの下方には、トッププレート1b上に載置された被加熱物Hを誘導加熱する加熱コイル2が配置されている。加熱コイル2は、トッププレート1bに形成された複数の加熱領域Pに対応するように、筐体1a内に配置されている。なお、本実施の形態においては、トッププレート1b上に形成された3つの加熱領域Pのそれぞれに対応するように、3つの加熱コイル2が配置されている構成について説明する。
本体1の内部に配置された加熱コイル2の下方には、肉や魚などの調理物を調理する調理庫3が配置されている。
調理庫3は、本体1の内部に配置された調理庫本体4と、調理庫本体4内に収容される調理皿5と、調理庫本体4の下部に配置された第1の加熱部6と、調理庫本体4内の上部に配置された第2の加熱部7と、調理庫本体4の前面側に配置された調理庫扉8と、を有している。
調理庫本体4の内部には、肉や魚などの調理物Fが載置される調理皿5を収容する調理室4aが形成されている。調理室4aは、本体1の前面側に開口部4bを有する箱状に形成されている。また、調理室4aの底面部4cは、耐熱性の高いガラスで形成されている。
図1〜図4に示すように、調理皿5は、上方に開口(図示せず)を有する箱状に形成されている。また、調理皿5の内側には、複数の凸部5aが形成されている。複数の凸部5aは、その上端部が調理皿5の開口(図示せず)よりも上方に突出しないように、調理皿5の内側の左右幅に亘って形成されている。
また、調理皿5は、少なくともアルミニウムとステンレス鋼とを含むクラッド材で形成されている。調理皿5は、調理皿5の上面側にアルミニウムが位置し、調理皿5の底面側にステンレス鋼が位置するように、クラッド材をプレス加工して形成されている。ここで、調理皿5を形成するクラッド材としては、アルミニウムの厚さが1.0mm〜1.8mm、ステンレス鋼の厚さが0.2mm〜1.0mmの範囲にあるクラッド材で形成されていることが好ましい。
なお、本実施形態においては、アルミニウムとステンレス鋼とを含むクラッド材で調理皿5が形成された構成について説明するが、調理皿5は、少なくとも熱伝導性の高い金属と透磁率の高い金属とを含むクラッド材で形成されていればよい。
調理室4aの下方には、調理室4a内に収容された調理皿5を加熱する第1の加熱部6が配置されている。調理庫本体4の下部には、第1の加熱部6を保持する取付部材4dが取り付けられている。第1の加熱部6は、取付部材4dに保持された状態で、調理庫本体4の下部に取り付けられ、調理室4aの下方に保持されている。なお、本実施の形態においては、第1の加熱部6が調理室4a内に収容された調理皿5を誘導加熱する加熱コイルで形成された構成について説明するが、第1の加熱部6は、調理室4a内に収容された調理皿5を加熱できる構成であればよく、例えば、電気抵抗式のヒータで形成されていても
よい。
調理室4aの近傍には、調理室4a内の温度を検知する温度検知部4eが配置されている。温度検知部4eは、調理物Fが加熱された際に調理室4a内で発生した煙を調理室4aの外部へと排出する排気筒(図示せず)の近傍に配置されている。
なお、本実施の形態においては、温度検知部4eが、例えばサーミスタなど、接触式の温度センサで形成された構成について説明するが、温度検知部4eは調理室4a内の温度を検知できる構成であればよく、例えば、赤外線センサなど、非接触式の温度センサで構成されていてもよい。また、本実施の形態においては、温度検知部4eが排気筒(図示せず)の近傍に配置された構成について説明するが、温度検知部4eは調理室4a内の温度を検知できる位置に配置されていればよい。
調理室4aの内部の上部には、調理室4a内に収容された調理皿5に載置された調理物Fを加熱する第2の加熱部7が配置されている。第2の加熱部7は、調理室4aの前後方向に沿って複数配置されている。第2の加熱部7の下方には、第2の加熱部7を覆うカバー部材7aが配置されている。また、カバー部材7aには、第2の加熱部7で発生された熱を調理皿5に載置された調理物Fに伝達するための複数の開口7bが形成されている。なお、本実施の形態においては、第2の加熱部7が電気抵抗式のヒータによって形成された構成について説明するが、第2の加熱部7は、調理室4a内に収容された調理皿5に載置された調理物Fを加熱できる構成であればよい。
調理庫本体4の前面側には、調理室4aの前面側に形成された開口部4bを開閉自在に覆う調理庫扉8が配置されている。調理庫3の下方には、調理庫扉8を本体1に保持するレール部9が配置されている。レール部9は、本体1の前後方向に移動可能に形成されている。調理庫扉8は、レール部9に取り付けられることで、調理室4aの開口部4bを閉塞する閉位置と、本体1の前方側に移動され、調理室4aの開口部4bを開放する開位置とを取り得るように構成されている。また、調理庫扉8には、調理皿5が調理室4a内に載置された際に、調理皿5と係合する係合部(図示せず)が形成されており、この係合部(図示せず)に調理皿5が係合されることで、調理庫扉8の前後方向への移動に連動して調理皿5が調理室4a内を前後方向に移動するように構成されている。
図1及び図2に示すように、本体1の前面には、使用者が調理室4a内に収容した調理皿5に載置した調理物Fの調理条件を設定する操作部10が配置されている。操作部10には、肉や魚などの調理物Fの調理方法に応じて予め設定された複数の調理コースが設定されており、使用者は操作部10を操作することで、予め設定された複数の調理コースから調理物Fを調理する調理コース、調理物Fを調理する火力、及び、調理物Fを調理する時間などの調理条件を設定できるように構成されている。
図2〜図4に示すように、本体1の内部には、第1の加熱部6及び第2の加熱部7を制御する制御部11を有する制御基板12が配置されている。制御部11は、使用者が操作部10で設定した調理条件、及び、温度検知部4eで検知された調理室4a内の温度に基づき、第1の加熱部6及び第2の加熱部7に供給される電力をデューティ制御し、調理室4a内に収容された調理皿5の予熱を行う予熱工程と調理皿5に載置された調理物Fを加熱する加熱工程とを含む調理工程を実行している。
以上のように構成された加熱調理器について、以下、その動作、作用を説明する。
使用者が調理庫3を使用して肉や魚などの調理物Fを調理する場合、使用者は、肉や魚などの調理物Fを調理皿5上に載置し、調理物Fが載置された調理皿5を調理庫3内に載
置する。このとき、調理室4aの開口部4bが調理庫扉8によって閉塞されている状態において、使用者が調理室4aの開口部4bを覆う調理庫扉8を前方、すなわち、使用者側へと引くことで、調理庫扉8がレール部9とともに前方へと移動し、調理室4aの開口部4bが開放される。その後、使用者が調理室4aの開口部4bから調理室4a内へ調理物Fが載置された調理皿5を投入し、調理庫扉8を後方へと押し下げ、調理室4aの開口部4bを調理庫扉8によって閉塞することで、調理庫3を使用して肉や魚などの調理物Fを調理できるようになる。
調理庫3内に肉や魚などの調理物Fが載置された調理皿5が収容された状態において、使用者は、操作部10を操作し、調理庫3内に収容された調理物Fを調理するための調理条件を選択する。
使用者によって調理庫3の調理室4a内に収容された調理物Fの調理条件が設定されると、制御部11は、使用者によって設定された調理条件に応じて第1の加熱部6及び第2の加熱部7を制御し、調理室4a内に収容された調理物Fを加熱調理する。制御部11には、予め設定された複数の調理コースに対応する複数の調理工程が記憶されており、制御部11は、使用者によって複数の調理コースから調理物Fを調理する調理コースが選択された場合、使用者によって選択された調理コースに対応する調理工程、及び、温度検知部4eで検知された調理室4a内の温度に基づき、第1の加熱部6及び第2の加熱部7に供給される電力をデューティ制御することで、第1の加熱部6及び第2の加熱部7の出力を制御し、調理皿5に載置された調理物Fを加熱している。
ここで、本実施の形態においては、調理庫3内の調理皿5に調理物Fとして魚が載置され、使用者が予め設定された複数の調理コースのなかから魚の姿焼きを行う調理コース(以下、「姿焼きコース」という。)を選択した場合について説明する。
使用者によって「姿焼きコース」が設定され、調理室4a内に収容された調理物Fの調理が開始されると、制御部11は、予め設定された「姿焼きコース」の調理工程及び温度検知部4eで検知された調理室4a内の温度に基づき、第1の加熱部6及び第2の加熱部7に供給される電力をデューティ制御することで、第1の加熱部6及び第2の加熱部7の出力を制御し、調理皿5に載置された調理物Fを加熱している。
具体的には、図5及び図6に示すように、調理室4a内に収容された調理物Fの調理条件として、使用者によって「姿焼きコース」が設定されると、制御部11は、予め設定された「姿焼きコース」の調理工程に基づき、調理室4a内に収容された調理皿5の予熱及び調理室4a内に収容された調理皿5に載置された調理物Fの負荷量の判定を行う予熱工程と、調理室4a内に収容された調理皿5に載置された調理物Fを加熱する加熱工程と、を実行する。
本実施の形態において、予熱工程は、調理室4a内の温度を予め設定された第1の所定温度T1まで上昇させる第1の予熱工程と、調理室4a内の温度を第1の所定温度T1から予め設定された第2の所定温度T2まで上昇させるとともに、調理室4a内の温度が第1の所定温度T1から第2の所定温度T2まで上昇する時間から調理皿5に載置された調理物Fの負荷量を判定する負荷量判定工程と、調理室4a内の温度を第2の所定温度T2から予め設定された第3の所定温度T3まで上昇させる第2の予熱工程と、から構成されている構成について説明する。
第1の予熱工程において、制御部11は、1周期を16秒とし、1周期のうち第1の所定時間t1の間、第1の加熱部6に第1の電力W1を供給するデューティ制御を行うことで、第1の加熱部6の出力を制御している。また、第1の予熱工程において、制御部11
は、1周期を16秒とし、1周期のうち第2の所定時間t2の間、第2の加熱部7に所定の定格電力W0を供給するデューティ制御を行うことで、第2の加熱部7の出力を制御している。なお、本実施の形態においては、第2の加熱部7として、定格電力が1200Wのヒータを使用した構成について説明する。
ここで、調理室4a内の温度を短い時間で第1の所定温度T1まで上昇させるという観点からは、第1の所定時間t1、第1の電力W1、及び第2の所定時間t2が第1の加熱部6及び第2の加熱部7の出力を大きくなるように設定されていることが好ましい。
そこで、本実施の形態においては、第1の所定時間t1を16秒、第1の電力W1を1300W、第2の所定時間t2を15秒としている。これにより、第1の予熱工程における1周期あたりの第1の加熱部6の出力は、W1×t1/16秒=1300W×16秒/16秒=1300Wとなる。また、第1の予熱工程における1周期あたりの第2の加熱部7の出力は、W0×t2/16秒=1200W×15秒/16秒=1125Wとなる。
制御部11は、温度検知部4eで検知された調理室4a内の温度が第1の所定温度T1に上昇するまで、第1の電力W1及び第1の所定時間t1にて第1の加熱部6に供給される電力をデューティ制御するとともに、所定の定格電力W0及び第2の所定時間t2にて第2の加熱部7に供給される電力をデューティ制御し、第1の予熱工程を実行する。
これにより、調理室4a内の温度を短い時間で第1の所定温度T1まで上昇させることができるため、第1の予熱工程を短い時間で実行することができ、加熱調理器100の使い勝手を向上させることができる。
制御部11は、温度検知部4eで検知された温度が第1の所定温度T1に到達すると、第1の予熱工程を終了し、負荷量判定工程を実行する。なお、本実施の形態においては、「姿焼きコース」の第1の所定温度T1を100℃としており、制御部11は、温度検知部4eで検知された温度が100℃に到達すると、第1の予熱工程を終了し、負荷量判定工程を実行している。
負荷量判定工程において、制御部11は、1周期(16秒)のうち第3の所定時間t3の間、第1の加熱部6に第2の電力W2を供給するデューティ制御を行うことで、第1の加熱部6の出力を制御している。また、負荷量判定工程において、制御部11は、1周期(16秒)のうち第4の所定時間t4の間、第2の加熱部7に所定の定格電力W0を供給することで、第2の加熱部7に供給される電力をデューティ制御する。
ここで、調理皿5に載置された調理物Fの食味を低下させることなく、調理室4a内の温度を短い時間で第2の所定温度T2まで上昇させるという観点からは、第3の所定時間t3が1周期の半分程度に設定されていることが好ましい。また、第2の電力W2は、第1の電力W1と略同一となるように設定されていることが好ましい。さらに、第4の所定時間t4は、第2の所定時間t2と略同一なるように設定されていることが好ましい。
そこで、本実施の形態においては、第3の所定時間t3を8秒、第2の電力W2を1300W、第4の所定時間t4を15秒としている。これにより、負荷量判定工程における1周期あたりの第1の加熱部6の出力は、W2×t3/16秒=1300W×8秒/16秒=650Wとなる。また、負荷量判定工程おける1周期あたりの第2の加熱部7の出力は、W0×t4/16秒=1200W×15秒/16秒=1125Wとなる。
制御部11は、温度検知部4eで検知された調理室4a内の温度が第1の所定温度T1から第2の所定温度T2に上昇するまで、第2の電力W2及び第3の所定時間t3にて第
1の加熱部6に供給される電力をデューティ制御するとともに、所定の定格電力W0及び第4の所定時間t4にて第2の加熱部7に供給される電力をデューティ制御し、負荷量判定工程を実行する。
これにより、負荷量判定工程において、調理皿5に載置された調理物Fの食味を低下させることなく、調理室4a内の温度を短い時間で第2の所定温度T2まで上昇させることができる。そのため、負荷量判定工程において、調理物Fの食味が低下してしまうことを防止することができるとともに、負荷量判定工程を短い時間で実行することができ、加熱調理器100の使い勝手を向上させることができる。
温度検知部4eで検知された温度が第2の所定温度T2に到達すると、制御部11は、第1の所定温度T1から第2の所定温度T2に上昇するまでの時間から調理皿5に載置された調理物Fの量や大きさなどの負荷量を判定する。そして、制御部11は、負荷量判定工程で判定した調理物Fの負荷量に応じて、加熱工程における第1の加熱部6及び第2の加熱部7の出力、調理物Fを調理する時間を制御し、最適な火力、調理時間で調理物Fを加熱している。
なお、本実施の形態においては、「姿焼きコース」の第2の所定温度T2を165℃としており、制御部11は、温度検知部4eで検知された温度が165℃に到達すると、第1の所定温度(100℃)から第2の所定温度(165℃)に上昇するまでの時間から調理皿5に載置された調理物Fの負荷量を判定している。
温度検知部4eで検知された温度が第2の所定温度T2に到達し、調理皿5に載置された調理物Fの負荷量を判定すると、制御部11は、負荷量判定工程を終了し、第2の予熱工程を実行する。
第2の予熱工程において、制御部11は、1周期(16秒)のうち第5の所定時間t5の間、第1の加熱部6に第3の電力W3を供給するデューティ制御を行うことで、第1の加熱部6の出力を制御している。また、第2の予熱工程において、制御部11は、1周期(16秒)のうち第6の所定時間t6の間、第2の加熱部7に所定の定格電力W0を供給するデューティ制御を行うことで、第2の加熱部7の出力を制御している。
ここで、調理皿5に載置された調理物Fの食味を低下させることなく、調理室4a内の温度を短い時間で第3の所定温度T3まで上昇させるという観点からは、第5の所定時間t5は、第3の所定時間t3以上、かつ、第1の所定時間t1以下となるように設定されていることが好ましい。また、第3の電力W3は、第1の電力W1よりも小さくなるように設定されていることが好ましい。さらに、第6の所定時間t6は、第2の所定時間t2以下となるように設定されていることが好ましい。これにより、第2の予熱工程における1周期あたりの第1の加熱部6の出力を第1の予熱工程における1周期あたりの第1の加熱部6の出力以下とすることができるとともに、第2の予熱工程における1周期あたりの第2の加熱部7の出力を第2の予熱工程における1周期あたりの第1の加熱部6の出力以下とすることができ、調理物Fの食味を低下させることなく、調理室4a内の温度を短い時間で第3の所定温度T3まで上昇させることができる。
そこで、本実施の形態においては、第5の所定時間t5を11秒、第3の電力W3を1000W、第6の所定時間t6を15秒としている。これにより、第2の予熱工程における1周期あたりの第1の加熱部6の出力は、W3×t5/16秒=1000W×11秒/16秒=約688Wとなり、第1の予熱工程における1周期あたりの第1の加熱部6の出力より小さくなる。また、第2の予熱工程おける1周期あたりの第2の加熱部7の出力は、W0×t6/16秒=1200W×15秒/16秒=1125Wとなり、第1の予熱工
程における1周期あたりの第2の加熱部7の出力と同等となる。
制御部11は、温度検知部4eで検知された調理室4a内の温度が第2の所定温度T2から第3の所定温度T3に上昇するまで、第1の加熱部6及び第2の加熱部7に供給される電力をデューティ制御し、第2の予熱工程を実行する。
これにより、第2の予熱工程において、調理皿5に載置された調理物Fの食味を低下させることなく、調理室4a内の温度を短い時間で第3の所定温度T3まで上昇させることができる。そのため、第2の予熱工程において、調理物Fの食味が低下してしまうことを防止することができるとともに、第2の予熱工程を短い時間で実行することができ、加熱調理器100の使い勝手を向上させることができる。
制御部11は、温度検知部4eで検知された温度が第3の所定温度T3に到達すると、第2の予熱工程を終了し、加熱工程を実行する。
ここで、本実施の形態においては、負荷量判定工程において調理皿5に載置された調理物Fの負荷量が大きいと判定された場合と、負荷量判定工程において調理皿5に載置された調理物Fの負荷量が小さいと判定された場合とで、加熱工程に移行する温度、すなわち、第3の所定温度T3を変更しており、負荷量が小さいと判定された場合に加熱工程に移行する温度が、負荷量が大きいと判定された場合の加熱工程に移行する温度よりも低くなるように設定している。なお、本実施の形態においては、負荷量が大きいと判定された場合は、第3の所定温度T3を175℃とし、負荷量が小さいと判定された場合は、第3の所定温度T3を165℃としている。
これにより、調理皿5に載置された調理物Fの負荷量に関わらず、第2の予熱工程において、調理物Fの食味が低下してしまうことを防止することができるとともに、第2の予熱工程を短い時間で実行することができ、加熱調理器100の使い勝手を向上させることができる。
加熱工程において、制御部11は、加熱工程における第1の加熱部6及び第2の加熱部7の出力が第2の予熱工程における第1の加熱部6及び第2の加熱部7の出力よりも小さくなるように、第1の加熱部6及び第2の加熱部7に供給される電力をデューティ制御し、第1の加熱部6及び第2の加熱部7の出力を制御している。
図5に示すように、例えば、調理皿5に5匹の魚が載置されているなど、負荷量判定工程において所定の閾値よりの大きな負荷量が検知され、負荷量が大きいと判定された場合、制御部11は、加熱工程において、1周期(16秒)のうち第7の所定時間t7の間、第1の加熱部6に第4の電力W4を供給するデューティ制御を行うことで、第1の加熱部6の出力を制御している。また、負荷量判定工程において調理皿5に載置された調理物Fの負荷量が大きいと判定された場合、制御部11は、加熱工程において、1周期(16秒)のうち第8の所定時間t8の間、第2の加熱部7に所定の定格電力W0を供給するデューティ制御を行うことで、第2の加熱部7の出力を制御している。
一方、図6に示すように、例えば、調理皿5に1匹の魚が載置されているなど、負荷量判定工程において、所定の閾値よりも小さな負荷量が検知され、負荷量が小さいと判定された場合、制御部11は、加熱工程において、1周期(16秒)のうち第9の所定時間t9の間、第1の加熱部6に第5の電力W5を供給するデューティ制御を行うことで、第1の加熱部6の出力を制御している。また、負荷量判定工程において調理皿5に載置された調理物Fの負荷量が小さいと判定された場合、制御部11は、加熱工程において、1周期(16秒)のうち第10の所定時間t10の間、第2の加熱部7に所定の定格電力W0を
供給するデューティ制御を行うことで、第2の加熱部7の出力を制御している。
ここで、本実施の形態においては、加熱工程における第1の加熱部6の出力が第2の予熱工程における第1の加熱部6の出力よりも小さくなるように、第7の所定時間t7、第9の所定時間t9、第4の電力W4、及び第5の電力W5を設定している。また、本実施の形態においては、加熱工程における第2の加熱部7の出力が第2の予熱工程における第2の加熱部7の出力よりも小さくなるように、第8の所定時間t8及び第10の所定時間t10を設定している。
また、本実施の形態においては、負荷量判定工程において、調理皿5に載置された調理物Fの負荷量が小さいと判定された場合の加熱工程における第1の加熱部6の出力が、負荷量判定工程において、調理皿5に載置された調理物Fの負荷量が大きいと判定された場合の加熱工程における第1の加熱部6の出力よりも小さくなるように、第7の所定時間t7、第9の所定時間t9、第4の電力W4、及び第5の電力W5を設定している。
具体的には、本実施の形態において、第7の所定時間t7は、第5の所定時間t5よりも小さくなるように設定されている。また、第9の所定時間t9は、第7の所定時間t7よりも小さくなるように設定されている。さらに、第4の電力W4及び第5の電力W5は、第3の電力W3と同等となるように設定されている。また、第8の所定時間t8は、第6の所定時間t6よりも小さくなるように設定されている。さらに、第10の所定時間t10は、第8の所定時間t8よりも小さくなるように設定されている。
なお、本実施の形態においては、第7の所定時間t7を8秒、第8の所定時間t8を11秒、第9の所定時間t9を2秒、第10の所定時間t10を10秒、第4の電力W4を1000W、及び第5の電力W5を1000Wとしている。
これにより、負荷判定工程において負荷量が大きいと判定された場合の加熱工程における1周期あたりの第1の加熱部6の出力は、W4×t7/16秒=1000W×8秒/16秒=500Wとなり、第2の予熱工程における1周期あたりの第1の加熱部6の出力よりも小さくなる。また、負荷量判定工程において負荷量が大きいと判定された場合の加熱工程における1周期あたりの第2の加熱部7の出力は、W0×t8/16秒=1200W×11秒/16秒=825Wとなり、第2の予熱工程における1周期あたりの第2の加熱部7の出力よりも小さくなる。
また、負荷量判定工程において負荷量が小さいと判定された場合の加熱工程における1周期あたりの第1の加熱部6の出力は、W5×t9/16秒=1000W×2秒/16秒=125Wとなり、第2の予熱工程における1周期あたりの第1の加熱部6の出力、及び、負荷量判定工程において負荷量が大きいと判定された場合の加熱工程における1周期あたりの第1の加熱部6の出力よりも小さくなる。また、負荷量判定工程において負荷量が小さいと判定された場合の加熱工程における1周期あたりの第2の加熱部7の出力は、W0×t10/16秒=1200W×10秒/16秒=750Wとなり、第2の予熱工程における1周期あたりの第2の加熱部7の出力、及び、負荷量判定工程において負荷量が大きいと判定された場合の加熱工程における第2の加熱部7の出力よりも小さくなる。
制御部11は、負荷量判定工程で判定された調理物Fの負荷量に応じて設定された加熱工程の時間、及び、調理物Fを調理するために適した温度に基づき、第1の加熱部6及び第2の加熱部7に供給される電力をデューティ制御している。すなわち、制御部11は、温度検知部4eで検知された調理室4a内の温度が調理物Fの調理に適した第4の所定温度T4となるように、負荷量に応じて設定された加熱工程の時間が経過するまでの間、第1の加熱部6及び第2の加熱部7に供給される電力をデューティ制御し、加熱工程を実行
している。なお、本実施の形態においては、負荷量判定工程において負荷量が大きいと判定された場合は、「姿焼きコース」における第4の所定温度T4を210℃とするとともに、負荷量判定工程において負荷量が小さいと判定された場合は、「姿焼きコース」における第4の所定温度T4を190℃としており、制御部11は、負荷量判定工程で判定された調理物Fの負荷量に応じて、温度検知部4eで検知された温度が第4の所定温度T4となるように、負荷量に応じて設定された加熱工程の時間が経過するまでの間、第1の加熱部6及び第2の加熱部7に供給される電力をデューティ制御し、加熱工程を実行している。そして、制御部11は、負荷量判定工程で判定された調理物Fの負荷量に応じて予め設定された加熱工程の時間が経過すると、加熱工程を終了し、調理工程を終了する。
この構成により、少なくとも2種類の金属を含むクラッド材で形成された調理皿5を用いて調理物Fを調理した際に、加熱工程において調理皿5の温度が調理物Fの調理に適した第4の所定温度T4以上に上昇してしまうことを防止することができる。そのため、調理皿5に載置された調理物Fの水分が過度に失われてしまったり、調理皿5に載置された調理物Fが焦げてしまったりするなど、調理物Fの食味が低下してしまうことを防止することができ、調理物Fの食味を向上させることができる。
また、加熱工程において、調理物Fの調理中に発生する煙の量を十分に抑制することができるため、調理物Fの調理中に調理物Fから出た油が調理皿5に焦げ付いてしまうことを十分に抑制することができる。そのため、調理庫3及び調理皿5の清掃性を向上させることができ、加熱調理器100の使い勝手を向上させることができる。
さらに、本実施の形態において、制御部11は、負荷量判定工程において、調理皿5に載置された調理物Fの負荷量が小さいと判定された場合の加熱工程における第1の加熱部6の出力が、負荷量判定工程において、調理皿5に載置された調理物Fの負荷量が大きいと判定された場合の加熱工程における第1の加熱部6の出力よりも小さくなるように、第1の加熱部6の出力を制御している。
この構成により、調理皿5に載置された調理物Fの負荷量が小さい場合であっても、調理皿5の温度が調理物Fの調理に適した第4の所定温度T4以上に上昇してしまうことを防止することができる。そのため、調理皿5に載置された調理物Fの水分が過度に失われてしまったり、調理皿5に載置された調理物Fが焦げてしまったりするなど、調理物Fの食味が低下してしまうことを防止することができるとともに、調理皿5に載置された調理物Fの負荷量に応じて、調理物Fを最適な温度で調理することができ、調理物Fの食味を向上させることができる。
なお、上述した実施の形態1においては、加熱工程における1周期あたりの第1の加熱部6及び第2の加熱部7の出力が第2の予熱工程における1周期あたりの第1の加熱部6及び第2の加熱部7の出力よりも小さくなるように、第1の加熱部6及び第2の加熱部7を制御する構成について説明したが、制御部11は、加熱工程における第1の加熱部6の出力の合計及び第2の加熱部7の出力の合計が第2の予熱工程における第1の加熱部6の合計及び第2の加熱部7の出力の合計よりも小さくなるように制御していることが好ましく、加熱工程の時間は第2の予熱工程の時間よりも短くなるように設定されていることが好ましい。
この構成により、調理皿5の温度が調理物Fの調理に適した温度以上に上昇してしまうことを防止することができるため、調理皿5に載置された調理物Fの水分が過度に失われてしまったり、調理皿5に載置された調理物Fが焦げてしまったりするなど、調理物Fの食味が低下してしまうことをより確実に防止することができ、調理物Fの食味を向上させることができる。また、調理物Fの調理中に発生する煙の量を十分に抑制することができ
るとともに、調理物Fの調理中に調理物Fから出た油が調理皿5に焦げ付いてしまうことを十分に抑制することができるため、調理庫3内に形成された調理室4aや調理皿5が調理物Fから発生した煙や油によって汚れてしまうことをより十分に抑制することができ、調理庫3及び調理皿5の清掃性を向上させることができる。
以上、本発明の加熱調理器の実施の形態1について説明したが、本発明の加熱調理器は上述した実施の形態1の構成に限定されるものではない。
例えば、上述した実施の形態1においては、予熱工程において、調理皿5に載置された調理物Fの負荷量を判定する負荷量判定工程を実行する構成について説明したが、予熱工程は、調理室4a内に収容された調理皿5の予熱のみを実行するように構成されていてもよい。この構成においても、制御部11は、加熱工程における第1の加熱部6及び第2の加熱部7の出力が予熱工程における第1の加熱部6及び第2の加熱部7の出力よりも小さくなるように、第1の加熱部6及び第2の加熱部7に供給される電力をデューティ制御し、調理皿5に載置された調理物Fを加熱することで、上述した実施の形態1と同様の効果を奏することができる。
また、上述した実施の形態1においては、負荷量判定工程において調理皿5に載置された調理物Fの負荷量が小さいと判定された場合であっても第2の予熱工程を実行する構成について説明したが、負荷量判定工程において調理皿5に載置された調理物Fの負荷量が小さいと判定された場合は第2の予熱工程を実行せず、負荷量判定工程終了後に加熱工程を実行するように構成されていてもよい。
この構成により、調理皿5に載置された調理物Fの負荷量が小さい場合の調理工程の時間を短縮することができ、加熱調理器100の使い勝手を向上させることができる。
さらに、上述した実施の形態1においては、負荷量判定工程において負荷量が小さいと判定された場合、制御部11は、負荷量判定工程において負荷量が小さいと判定された場合の加熱工程における第1の加熱部6及び第2の加熱部7の出力が、負荷量判定工程において負荷量が大きいと判定された場合の加熱工程における第1の加熱部6及び第2の加熱部7の出力よりも小さくなるように、第1の加熱部6及び第2の加熱部7を制御する構成について説明したが、制御部11は、少なくとも負荷量判定工程において負荷量が小さいと判定された場合の加熱工程における第1の加熱部6の出力が負荷量判定工程において負荷量が大きいと判定された場合の加熱工程における第1の加熱部6の出力よりも小さくなるように制御していればよい。
この構成においても、上述した実施の形態1と同様に、調理皿5に載置された調理物Fの負荷量が小さい場合であっても、調理皿5の温度が調理物Fの調理に適した温度以上に上昇してしまうことを防止することができる。そのため、調理皿に載置された調理物Fの水分が過度に失われてしまったり、調理皿5に載置された調理物Fが焦げてしまったりするなど、調理物Fの食味が低下してしまうことを防止することができるとともに、調理皿5に載置された調理物Fの負荷量に応じて、調理物Fを最適な温度で調理することができ、調理物Fの食味を向上させることができる。
(実施の形態2)
本発明の加熱調理器の実施の形態2について、以下、図7及び図8を用いて説明する。なお、以下の説明では、上述した実施の形態1と同一または相当部分には同一符号付し、重複する説明は省略する。
図7は、本発明の実施の形態2において、調理皿に載置された調理物の負荷量が大きい
場合の第1の加熱部及び第2の加熱部への電力供給状態を示す図である。また、図8は、本実施の形態2において、調理皿に載置された調理物の負荷量が小さい場合の第1の加熱部及び第2の加熱部への電力供給状態を示す図である。
図7及び図8に示すように、本実施の形態においては、調理庫3内の調理皿5に調理物Fとして魚が載置され、予め設定された複数の調理コースのなかから魚の姿焼きを行う調理コース(以下、「姿焼きコース」という。)が選択された場合、制御部11は、予め設定された「姿焼きコース」の調理工程及び温度検知部4eで検知された調理室4a内の温度に基づき、第1の加熱部6及び第2の加熱部7に供給される電力をデューティ制御し、調理皿5に載置された調理物Fを加熱している。
また、図7及び図8に示すように、本実施の形態においては、使用者によって「姿焼きコース」が設定されると、制御部11は、予め設定された「姿焼きコース」の調理工程に基づき、調理室4a内に収容された調理皿5の予熱及び調理室4a内に収容された調理皿5に載置された調理物Fの負荷量の判定を行う予熱工程と、調理室4a内に収容された調理皿5に載置された調理物Fを加熱する加熱工程と、調理室4a内に収容された調理皿5に載置された調理物Fを再度加熱する再加熱工程と、を実行している。
図7に示すように、負荷量判定工程において所定の閾値よりの大きな負荷量が検知され、負荷量が大きいと判定された場合、制御部11は、再加熱工程において、1周期(16秒)のうち第11の所定時間t11の間、第1の加熱部6に第6の電力W6を供給するデューティ制御を行うことで、第1の加熱部6の出力を制御している。また、負荷量判定工程において調理皿5に載置された調理物Fの負荷量が大きいと判定された場合、制御部11は、再加熱工程において、1周期(16秒)のうち第12の所定時間t12の間、第2の加熱部7に所定の定格電力W0を供給するデューティ制御を行うことで、第2の加熱部7の出力を制御している。
また、図8に示すように、負荷量判定工程において所定の閾値よりの小さい負荷量が検知され、負荷量が小さいと判定された場合、負荷量判定工程において所定の閾値よりも大きな負荷量が検知され、負荷量が大きいと判定された場合と同様に、制御部11は、第1の加熱部6及び第2の加熱部7に供給される電力をデューティ制御し、第1の加熱部6及び第2の加熱部7の出力を制御している。
ここで、本実施の形態においては、再加熱工程における第1の加熱部6の出力が加熱工程における第1の加熱部6の出力以上となるように、第11の所定時間t11及び第6の電力W6を設定している。また、本実施の形態においては、再加熱工程における第2の加熱部7の出力が加熱工程における第2の加熱部7の出力以上となるように、第12の所定時間t12を設定している。
具体的には、本実施の形態において、第11の所定時間t11は、第7の所定時間t7以上となるように設定されている。また、第12の所定時間t12は、第8の所定時間t8よりも長くなるように設定されている。さらに、第6の電力W6は、第4の電力W4と同等となるように設定されている。
なお、本実施の形態においては、第11の所定時間t11を8秒、第12の所定時間t12を15秒、第6の電力W6を1000Wとしている。
これにより、負荷量判定工程において負荷量が大きいと判定された場合の再加熱工程における1周期あたりの第1の加熱部6の出力は、W6×t11/16秒=1000W×8秒/16秒=500Wとなり、負荷量判定工程において負荷量が大きいと判定された場合
の加熱工程における1周期あたりの第1の加熱部6の出力と同等となる。また、負荷量判定工程において負荷量が大きいと判定された場合の再加熱工程における1周期あたりの第2の加熱部7の出力は、W0×t12/16秒=1200W×15秒/16秒=1125Wとなり、負荷量判定工程において調理皿5に載置された調理物Fの負荷量が大きいと判定された場合の加熱工程における第2の加熱部7の出力よりも大きくなる。
また、負荷量判定工程において負荷量が小さいと判定された場合の再加熱工程における1周期あたりの第1の加熱部6の出力は、W6×t11/16秒=1000W×8秒/16秒=500Wとなり、負荷量判定工程において負荷量が小さいと判定された場合の加熱工程における1周期あたりの第1の加熱部6の出力よりも大きくなる。また、負荷量判定工程において負荷量が小さいと判定された場合の再加熱工程における1周期あたりの第2の加熱部7の出力は、W0×t12/16秒=1200W×15秒/16秒=1125Wとなり、負荷量判定工程において調理皿5に載置された調理物Fの負荷量が小さいと判定された場合の加熱工程における第2の加熱部7の出力よりも大きくなる。
制御部11は、負荷量判定工程で判定された負荷量に応じて設定された再加熱工程の時間が経過するまで、第1の加熱部6及び第2の加熱部7に供給される電力をデューティ制御し、再加熱工程を実行する。そして、制御部11は、再加熱工程の時間が経過すると、再加熱工程を終了し、調理工程を終了する。
以上のように、本実施の形態において、制御部11は、加熱工程の終了後に、調理皿5に載置された調理物Fを再度加熱する再加熱工程と実行しており、制御部11は、再加熱工程における第2の加熱部7の出力が加熱工程における第2の加熱部7の出力以上となるように、第2の加熱部7を制御している。
これにより、調理物Fの表面に適度な焦げ目をつけることができ、調理物Fの食味をさらに向上させることができる。
なお、上述した実施の形態2において、負荷量判定工程において負荷量が大きいと判定された場合の再加熱工程と負荷量判定工程において負荷量が小さいと判定された場合の再加熱工程とで、第11の所定時間t11、第12の所定時間t12、及び第6の電力W6を共通して設定し、第1の加熱部6及び第2の加熱部7に供給される電力をデューティ制御する構成について説明したが、第11の所定時間t11、第12の所定時間t12、及び第6の電力W6は、負荷量判定工程において負荷量が大きいと判定された場合の再加熱工程と負荷量判定工程において負荷量が小さいと判定された場合の再加熱工程とで個別に設定されていてもよい。また、この場合、負荷量判定工程において負荷量が小さいと判定された場合の再加熱工程における第1の加熱部6及び第2の加熱部7の出力が負荷量判定工程において負荷量が大きいと判定された場合の再加熱工程における第1の加熱部6及び第2の加熱部7の出力以下となるように、第11の所定時間t11、第12の所定時間t12、及び第6の電力W6が設定されていることが好ましい。
これにより、調理物Fの負荷量に応じて調理物Fの表面に適度な焦げ目をつけることができ、調理物Fの食味をさらに向上させることができる。
(実施の形態3)
本発明の加熱調理器の実施の形態3について、以下、説明する。なお、以下の説明では、上述した実施の形態1及び実施の形態2と同一または相当部分には同一符号付し、重複する説明は省略する。
本実施の形態において、制御部11には、調理庫3内の調理皿5に載置された調理物F
である魚の姿焼きを行う「姿焼きコース」の「標準コース」と、「姿焼きコース」よりも短い時間で魚の姿焼きを行う「姿焼きコース」の「お急ぎコース」とが記憶されている。
使用者によって「姿焼きコース」の「標準コース」が選択された場合、制御部11は、上述した実施の形態1と同様に、加熱工程における第1の加熱部6及び第2の加熱部7の出力が第2の予熱工程における第1の加熱部6及び第2の加熱部7の出力よりも小さくなるように、第1の加熱部6及び第2の加熱部7に供給される電力をデューティ制御し、第1の加熱部6及び第2の加熱部7の出力を制御する。
一方、使用者によって「姿焼きコース」の「お急ぎコース」が選択された場合、制御部11は、加熱工程における第2の加熱部7の出力が第2の予熱工程における第2の加熱部7の出力以上となるように、第2の加熱部7に供給される電力をデューティ制御し、第2の加熱部7の出力を制御する。
具体的には、使用者によって「姿焼きコース」の「標準コース」が選択された場合、制御部11は、上述して実施の形態1と同様に、負荷量判定工程において判定された負荷量に応じて、加熱工程における第1の加熱部6の出力が第2の予熱工程における第1の加熱部6の出力よりも小さくなるように、第7の所定時間t7、第9の所定時間t9、第4の電力W4、及び第5の電力W5を設定し、第1の加熱部6に供給される電力をデューティ制御している。また、使用者によって「姿焼きコース」の「標準コース」が選択された場合、制御部11は、上述して実施の形態1と同様に、負荷量判定工程において判定された負荷量に応じて、加熱工程における第2の加熱部7の出力が第2の予熱工程における第2の加熱部7の出力よりも小さくなるように、第8の所定時間t8及び第10の所定時間t10を設定し、第2の加熱部7をデューティ制御している。
一方、使用者によって「姿焼きコース」の「お急ぎコース」が選択された場合、制御部11は、負荷量判定工程において判定された負荷量に応じて、加熱工程における第2の加熱部7の出力が第2の予熱工程における第2の加熱部7の出力以上となるように、第8の所定時間t8及び第10の所定時間t10を設定し、第2の加熱部7をデューティ制御している。
すなわち、使用者によって「姿焼きコース」の「お急ぎコース」が選択された場合の第7の所定時間t7は、使用者によって「姿焼きコース」の「標準コース」が選択された場合の第7の所定時間t7よりも大きく、かつ、使用者によって「姿焼きコース」の「お急ぎコース」が選択された場合の第5の所定時間t5以下となるように設定されている。また、使用者によって「姿焼きコース」の「お急ぎコース」が選択された場合の第9の所定時間t9は、使用者によって「姿焼きコース」の「標準コース」が選択された場合の第9の所定時間t9よりも大きく、かつ、使用者によって「姿焼きコース」の「お急ぎコース」が選択された場合の第7の所定時間t7よりも小さくなるように設定されている。さらに、使用者によって「姿焼きコース」の「お急ぎコース」が選択された場合の第4の電力W4及び第5の電力W5は、使用者によって「姿焼きコース」の「標準コース」が選択された場合の第4の電力W4及び第5の電力W5と同等となるように設定されている。また、使用者によって「姿焼きコース」の「お急ぎコース」が選択された場合の第8の所定時間t8は、使用者によって「姿焼きコース」の「標準コース」が選択された場合の第8の所定時間t8よりも大きく、かつ、使用者によって「姿焼きコース」の「お急ぎコース」が選択された場合の第6の所定時間t6以上となるように設定されている。さらに、使用者によって「姿焼きコース」の「お急ぎコース」が選択された場合の第10の所定時間t10は、使用者によって「姿焼きコース」の「標準コース」が選択された場合の第10の所定時間t10よりも大きく、かつ、使用者によって「姿焼きコース」の「お急ぎコース」が選択された場合の第6の所定時間t6以上となるように設定されている。
なお、本実施の形態においては、使用者によって「姿焼きコース」の「お急ぎコース」が選択された場合、第7の所定時間t7を11秒、第8の所定時間t8を15秒、第9の所定時間t9を3秒、第10の所定時間t10を15秒、第4の電力W4を1000W、及び第5の電力W5を1000Wとしている。
これにより、使用者によって「姿焼きコース」の「お急ぎコース」が選択され、負荷判定工程において負荷量が大きいと判定された場合の加熱工程における1周期あたりの第1の加熱部6の出力は、W4×t7/16秒=1000W×11秒/16秒=約688Wとなる。そのため、使用者によって「姿焼きコース」の「お急ぎコース」が選択され、負荷判定工程において負荷量が大きいと判定された場合の加熱工程における1周期あたりの第1の加熱部6の出力は、使用者によって「姿焼きコース」の「標準コース」が選択され、負荷判定工程において負荷量が大きいと判定された場合の加熱工程における1周期あたりの第1の加熱部6の出力よりも大きく、かつ、使用者によって「姿焼きコース」の「お急ぎコース」が選択され、負荷判定工程において負荷量が大きいと判定された場合の第2の予熱工程における1周期あたりの第1の加熱部6の出力と同等となる。
また、使用者によって「姿焼きコース」の「お急ぎコース」が選択され、負荷量判定工程において負荷量が大きいと判定された場合の加熱工程における1周期あたりの第2の加熱部7の出力は、W0×t8/16秒=1200W×15秒/16秒=1125Wとなる。そのため、使用者によって「姿焼きコース」の「お急ぎコース」が選択され、負荷量判定工程において負荷量が大きいと判定された場合の加熱工程における1周期あたりの第2の加熱部7の出力は、使用者によって「姿焼きコース」の「標準コース」が選択され、負荷判定工程において負荷量が大きいと判定された場合の加熱工程における1周期あたりの第2の加熱部7の出力よりも大きく、かつ、使用者によって「姿焼きコース」の「お急ぎコース」が選択され、負荷判定工程において負荷量が大きいと判定された場合の第2の予熱工程における1周期あたりの第2の加熱部7の出力と同等となる。
さらに、使用者によって「姿焼きコース」の「お急ぎコース」が選択され、負荷判定工程において負荷量が小さいと判定された場合の加熱工程における1周期あたりの第1の加熱部6の出力は、W4×t9/16秒=1000W×3秒/16秒=約188Wとなる。そのため、使用者によって「姿焼きコース」の「お急ぎコース」が選択され、負荷判定工程において負荷量が小さいと判定された場合の加熱工程における1周期あたりの第1の加熱部6の出力は、使用者によって「姿焼きコース」の「標準コース」が選択され、負荷判定工程において負荷量が小さいと判定された場合の加熱工程における1周期あたりの第1の加熱部6の出力よりも大きく、かつ、使用者によって「姿焼きコース」の「お急ぎコース」が選択され、負荷判定工程において負荷量が小さいと判定された場合の第2の予熱工程における1周期あたりの第1の加熱部6の出力よりも小さくなる。
また、使用者によって「姿焼きコース」の「お急ぎコース」が選択され、負荷量判定工程において負荷量が小さいと判定された場合の加熱工程における1周期あたりの第2の加熱部7の出力は、W0×t10/16秒=1200W×15秒/16秒=1125Wとなる。そのため、使用者によって「姿焼きコース」の「お急ぎコース」が選択され、負荷量判定工程において負荷量が小さいと判定された場合の加熱工程における1周期あたりの第2の加熱部7の出力は、使用者によって「姿焼きコース」の「標準コース」が選択され、負荷判定工程において負荷量が小さいと判定された場合の加熱工程における1周期あたりの第2の加熱部7の出力よりも大きく、かつ、使用者によって「姿焼きコース」の「お急ぎコース」が選択され、負荷判定工程において負荷量が大きいと判定された場合の第2の予熱工程における1周期あたりの第2の加熱部7の出力と同等となる。
制御部11は、「姿焼きコース」の「お急ぎコース」の負荷量判定工程で判定された調理物Fの負荷量に応じて設定された加熱工程の時間、及び、調理物Fを調理するために適した温度に基づき、第1の加熱部6及び第2の加熱部7に供給される電力をデューティ制御している。すなわち、制御部11は、温度検知部4eで検知された調理室4a内の温度が調理物Fの調理に適した第4の所定温度T4となるように、負荷量に応じて設定された加熱工程の時間が経過するまでの間、第1の加熱部6及び第2の加熱部7に供給される電力をデューティ制御し、加熱工程を実行している。そして、制御部11は、負荷量判定工程で判定された調理物Fの負荷量に応じて予め設定された加熱工程の時間が経過すると、加熱工程を終了し、調理工程を終了する。
以上のように、本実施の形態において、制御部11は、負荷量判定工程で判定された負荷量に応じて、使用者によって「姿焼きコース」の「お急ぎコース」が選択された場合の加熱工程における第1の加熱部6の出力が、使用者によって「姿焼きコース」の「標準コース」が選択された場合の第1の加熱部6の出力よりも大きく、かつ、「姿焼きコース」の「お急ぎコース」が選択された場合の加熱工程における第1の加熱部6の出力以下となるように、第1の加熱部6に供給される電力をデューティ制御し、第1の加熱部6の出力を制御している。また、本実施の形態において、制御部11は、負荷量判定工程で判定された負荷量に応じて、使用者によって「姿焼きコース」の「お急ぎコース」が選択された場合の加熱工程における第2の加熱部7の出力が、使用者によって「姿焼きコース」の「標準コース」が選択された場合の第2の加熱部7の出力よりも大きく、かつ、「姿焼きコース」の「お急ぎコース」が選択された場合の加熱工程における第2の加熱部7の出力以上となるように、第2の加熱部7に供給される電力をデューティ制御し、第2の加熱部7の出力を制御している。
これにより、調理皿5に載置された調理物Fの負荷量に関わらず、使用者によって「お急ぎコース」が選択された場合には、使用者によって「標準コース」が選択された場合よりも短い時間で調理物Fを調理することができる。そのため、調理皿5に載置された調理物Fの食味を低下させることなく、調理皿5に載置された調理物Fをより短い時間で調理することができ、加熱調理器100のさらに使い勝手を向上させることができる。
以上、本発明の加熱調理器の実施の形態1〜実施の形態3について説明したが、本発明の加熱調理器は上述した実施の形態1〜実施の形態3の構成に限定されるものではない。
例えば、上述した実施の形態1〜実施の形態3においては、第1の所定時間t1〜第12の所定時間t12、第1の電力W1〜第6の電力W6、及び第2の加熱部7の定格電力W0として、具体的な数値を例示して説明したが、第1の所定時間t1〜第12の所定時間t12、第1の電力W1〜第6の電力W6、及び第2の加熱部7の定格電力W0は、第1の予熱工程、負荷量判定工程、第2の予熱工程、加熱工程、及び再加熱工程のそれぞれにおける第1の加熱部6及び第2の加熱部7の関係を満たすように、調理皿5に載置された調理物Fの種類や負荷量に応じて適宜設定されていればよい。