<第1の実施形態>
第1の実施形態について、図1ないし図10を用いて説明する。まず、本実施形態の画像形成装置の概略構成について、図1を用いて説明する。
[画像形成装置]
本実施形態の画像形成装置100は、装置本体110と、装置本体110の上部に装着された原稿読み取りユニット(画像読取装置)120と、装置本体110に対して着脱可能な外装構成200(図2、3など参照)を備える。このような画像形成装置100は、例えば外部のコンピュータなどの外部端末から送られてくる画像情報や、原稿読み取りユニット120で取り込んだ画像情報に基づいて、用紙などのシートに画像形成を行う。
このために装置本体110の筐体内(装置本体内)には、シートに画像を形成する画像形成部10と、シート給送部20と、定着部30と、シート排出部40が設けられている。画像形成部10は、回転駆動される感光ドラム11と、帯電ローラ12と、露光装置13と、現像装置14と、転写ローラ15と、クリーニング装置16とを有する。回転する感光ドラム11の表面は、帯電ローラ12により均一に帯電され、帯電された表面には、上述の画像情報に基づいて露光装置13により露光されることで、静電潜像が形成される。
具体的には、画像情報は、露光装置(レーザー発光書込ユニット)13により光変調情報に変換され射出される。露光装置13から射出された光変調情報は、感光ドラム11の回転軸線方向(主走査方向)に走査されながら、感光ドラム11上にスポット状に結像される。回転されることによって副走査方向に移動される感光ドラム11上に照射された光スポットは、主走査方向に往復走査され、それによって感光ドラム11上に、上述した画像情報に対応した静電潜像が形成される。
そして、感光ドラム11上の静電潜像に対して、現像装置14から現像剤(トナー)が供給されることによって、静電潜像がトナー像として可視化される。なお、現像装置14にはトナーボトルユニット17から現像剤が補給される。
次いで、感光ドラム11上に形成されたトナー像は、感光ドラム11と転写ローラ15との間の転写ニップ部に搬送されたシートに転写される。具体的には、感光ドラム11の回転方向に関して現像装置14の下流側には、感光ドラム11の表面に接触するように転写ローラ15が配置され、感光ドラム11と転写ローラ15との間で転写ニップ部を形成している。転写ローラ15には転写バイアスが印加され、その転写バイアスによって、感光ドラム11に形成されたトナー像が転写ニップ部でシート上に静電的に転写されるようになっている。転写後に感光ドラム11に残ったトナーなどは、クリーニング装置16により除去される。
一方、シート給送部20は、転写ニップ部にシートを搬送する。シート給送部20は、カセット21、給送ローラ22、搬送ガイド23、レジストレーションローラ対24などを備える。カセット21は、装置本体110の下部に配置され、規定のサイズに裁断された用紙などのシートを積層して収容可能に箱状に形成されている。カセット21は、装置本体110に対して紙面垂直方向に着脱自在となるように装着されている。また、カセット21には、支持板21aが配されており、支持板21aは、加圧バネ21bにより上方に向かって付勢されている。これにより、カセット21内に積層されたシート束の最下面が支持板21aに支持されると共に、加圧バネ21bの付勢力により上方に持ち上げられた状態で保持される。
このように持ち上げられたシート束の最上面のシートが、給送ローラ22により給送され、搬送ガイド23に案内されてレジストレーションローラ対24のニップ部に到達する。そして、感光ドラム11上のトナー像が転写ニップ部に到達するタイミングに合わせて、レジストレーションローラ対24からシートが転写ニップ部に搬送される。
転写ニップ部でトナー像が転写されたシートは、転写ニップの上方に配置された定着部30に向かって搬送される。定着部30は、加熱手段としての定着フィルム31が環状をなすように配置されていると共に、その定着フィルム31に対面する対向手段として加圧ローラ32が配置されている。そして、定着フィルム31及び加圧ローラ32の定着ニップ部における加圧・加熱作用に基づく定着作用によって、シート上のトナーが融解され、シート上にトナー像が定着される。
トナー像が定着されたシートは、定着部30の出口部から装置上方側に配置されたシート排出部40に搬送される。シート排出部40に搬送されたシートは、排出ローラ41により排出トレイ42に排出される。両面印刷を行う場合には、排出ローラ41によりシートをスイッチバックして両面搬送路43に搬送し、表面と同様にシートの裏面に画像を形成する。また、シート排出部40の上方に上側シート排出部44が配置されており、排出トレイ42の上に別途、積載ユニットなどを装着した場合には、上側シート排出部44からシートを排出可能である。
[外装構成]
ここで、画像形成装置100の外装は、内部の各種装置を覆うと共に、各部分の機能に合わせて適宜分割された複数のカバーにより構成されている。例えば、外装は、開閉動作を行う部分、組み立て時に分割される部分などの機能に合わせて構成されている。
本実施形態では、このよう画像形成装置100の外装のうち、図2及び図3に示すように、後カバー201、右後カバー202、左後カバー203により、外装取外し構成又は外装装着構成としての外装構成(外装)200を構成している。これら後カバー201、右後カバー202、左後カバー203は、装置本体110に対して着脱可能である。また、後カバー201と右後カバー202、及び、後カバー201と左後カバー203は、それぞれ互いに係合可能となっている。これにより互いの位置決めを行って、互いの部材同士の合わせに段差をできにくくできる。
また、図3(a)に示すように、後カバー201は、装置本体110に対して矢印αで示す第1方向及び第3方向に着脱可能である。これに対して、図3(b)、(c)に示すように、右後カバー202及び左後カバー203は、装置本体110に対して、後カバー201の着脱方向である第1方向と異なる第2方向及び第3方向と異なる第4方向(矢印βで示す方向)に着脱可能である。
したがって、本実施形態では、後カバー201と右後カバー202、及び、後カバー201と左後カバー203は、それぞれ第1方向及び第2方向に装着可能、及び、第3方向及び第4方向に取り外し可能としている。そして、後カバー201と右後カバー202、及び、後カバー201と左後カバー203は、それぞれ互いに係合した状態で互いの位置が規制され、それぞれの表面同士の合わせが整合されるようになっている。なお、右後カバー202及び左後カバー203は、後カバー201の両側に装着されるものであるため、本実施形態の場合、第1方向と第2方向、及び、第3方向と第4方向は、互いに直交する方向である。
[比較例]
上述のように、外装(カバー)同士に係合をもたせて外装表面の合わせを整合しようとすると、複数の方向に規制する必要が発生するため、係合部の構成(係合構成)によっては着脱性が低下する。例えば、比較例として図4及び図5に示すような係合構成を考える。図4に示すように、カバー401は、カバー402と係合構成403によって、X方向、Y方向及びZ方向の位置が規制されるように係合されている。
係合構成403は、スナップ411、凸部412、当接部421、挿し込み孔422とから構成される。スナップ411は、カバー401からX方向に突出するように形成され、先端に引っ掛け部411aが形成されている。凸部412もカバー401からX方向に突出するように形成されている。当接部421は、カバー402に形成され、スナップ411の引っ掛け部411aが当接する。挿し込み孔422もカバー402に形成され、凸部412が進入可能である。
図5(a)に示すように、X方向にカバー401とカバー402とを係合させようとする場合、まず、凸部412が挿し込み孔422に挿し込まれる。同時に、スナップ411の先端が当接部421に当接し、撓みながら挿し込みが進む。スナップ411が当接部421を乗り越えたところでスナップ411の撓みが元に戻り、引っ掛け部411aが当接部421に引っ掛かって、図4に示す状態になる。この結果、引っ掛け部411aと当接部421との係合、及び、凸部412と挿し込み孔422との係合により、カバー401とカバー402とのX方向、Y方向及びZ方向の位置が規制される。
このような比較例の係合構成403の場合、カバー401とカバー402との係合は、図5(a)に示すようにX方向に可能であるが、図5(b)に示すY方向には不能である。即ち、カバー401をカバー402に対してY方向に係合させようとすると、凸部412が挿し込み孔422の周囲部分423と干渉し、凸部412を挿し込み孔422に係合させることはできない。
したがって、比較例の場合、カバー401とカバー402を装置本体に装着する際には、まず、カバー402を装置本体に装着した後に、カバー401をX方向にカバー402と係合させつつ装置本体に装着する必要がある。一方、カバー401とカバー402を装置本体から取り外す際には、まず、カバー401をX方向に移動させてカバー402との係合を外しつつ装置本体から取り外してから、カバー402を装置本体から取り外す必要がある。このように比較例の場合には、装置本体に対するカバー401、402の着脱順序が決まってしまい、例えば、カバー402のみを取り外したい場合でも先にカバー401を取り外す必要があり、作業性が良くない。
このような着脱性の問題を改善するために、周囲部分423を切り欠くことも考えられるが、その場合、Y方向の規制が無くなるため、外力が加わるとスナップ411の引っ掛け部411aが当接部421から脱落し、係合が外れてしまう。このように比較例の構成の場合、複数の方向に規制するための係合構成が、カバー401、402の着脱順序によっては着脱動作を阻害してしまい、着脱の作業性が良くない。
[本実施形態の係合構成]
そこで、本実施形態では、以下のような構成により、複数のカバー(外装)同士を係合させる構成で、カバーの着脱順序に拘らずカバー同士の取り外し及びカバー同士の装着を可能としている。即ち、2つのカバーのどちらから装置本体に取り付けてもカバー同士の係合が成り立ち、装置本体から取り外す場合も2つのカバーのどちらからでも取り外せるようにしている。このためには、係合を保持するための構成を、2つの方向からの組立にそれぞれ対応して撓むようにし、係合が完了した後は取り外し方向の外力に対して適度な保持力を持つ構成にする。
このような本実施形態の係合構成210について、図6ないし図10を用いて具体的に説明する。なお、後カバー201と右後カバー202、及び、後カバー201と左後カバー203の係合構成210は同じであるため、以下、後カバー201と左後カバー203の係合構成210について説明する。
第1外装としての後カバー201には、第1係合部としての係合ピン220が設けられている。一方、第2外装としての左後カバー203には、第2係合部としての係合板部230が設けられている。係合ピン220及び係合板部230は、少なくとも一方が弾性変形することで、係合ピン220が係合板部230に対して第1方向及び第1方向と異なる第2方向に係合及び係合解除すること可能に構成されている。即ち、係合ピン220は、後カバー201が第3方向へ移動することで左後カバー203に係止された状態から後カバー201を取り外し可能であり、後カバー201が第1方向へ移動することによって左後カバー203に係止され、後カバー201を装着可能である。また、係合板部230は、左後カバー203が第3方向とは異なる第4方向に移動することで後カバー201に係止された状態から左後カバー203を取外し可能であり、左後カバー203が第1方向と異なる第2方向へ移動することによって後カバー201に係止され、左後カバー203を装着可能である。本実施形態では、第1方向及び第3方向がX方向、第2方向及び第4方向がY方向である。したがって、第1方向と第2方向、第3方向と第4方向は、それぞれ互いに直交する方向である。図6及び図7に示すように、係合ピン220と係合板部230とが係合することで、後カバー201と左後カバー203とは、X方向、Y方向及びZ方向の位置が互いに規制される。
図8に示すように、係合ピン220(突出部)は、後カバー201からX方向に突出するように後カバー201と一体に形成されている。このような係合ピン220は、自由状態で略円柱状に形成されており、X方向に沿ってスリット221が形成されている。即ち、係合ピン220は、上半部220aと下半部220bとで構成され、上半部220aと下半部220bとの間にスリット221を有する。したがって、係合ピン220は、このスリット221の間隔が変化する方向(Z方向)、即ち、上半部220aと下半部220bとが近づく方向に弾性変形可能である。また、係合ピン220は、後カバー201と同じ樹脂製で、後カバー201の成型時に形成される。
なお、係合ピン220が弾性変形する方向は、係合ピン220を後述する係合板部230の係合孔231にX方向に係合させることだけを考えれば、Z方向でなくても例えばY方向であっても良い。但し、本実施形態では、係合ピン220を係合孔231に対してY方向にも係合させるため、仮に係合ピン220が弾性変形する方向をY方向とした場合、係合ピン220がY方向に弾性変形しても係合孔231のY方向に開放した切り欠き232を通過しにくい。したがって、係合ピン220が弾性変形する方向は、Z方向とすることが好ましい。即ち、係合ピン220が弾性変形する方向は、第1方向(第3方向)及び第2方向(第4方向)にそれぞれ直交する方向とすることが好ましい。
一方、係合板部230は、左後カバー203からY方向に突出するように形成された板状部材で、X方向に貫通した係合孔231と、係合孔231の周囲の一部を切り欠いた切り欠き(開放部)232とが形成されている。係合板部230は、左後カバー203と同じ樹脂製で、左後カバー203の成型時に形成される。係合孔231は、係合ピン220と係合板部230の少なくとも一方が弾性変形することで係合ピン220がX方向(第1方向及び第3方向)に進入及び離脱が可能である。即ち、係合孔231は、係合ピン220が第1方向に進入可能で、且つ、第3方向に離脱可能に形成されている。
係合ピン220の外周面の一部には、突起222が形成されている。突起222は、係合ピン220の先端寄りで、スリット221を挟んで両側にそれぞれ形成されている。即ち、上半部220aの上面と、下半部220bの下面とにそれぞれ突起222が形成されている。第1係止部としての突起222は、係合板部230と係合した状態で係止され、後カバー201が第3方向に移動することで、係合板部230との係合が外れ、後カバー201が第1方向に移動することで、係合板部230と係合した状態で係止される。また、突起222は、係合ピン220を係合板部230からX方向に沿って係合を外す方向(第3方向)に対して、係合ピン220が係合板部230と係合した状態で係合板部230の一部と引っ掛かることで係合板部230に係止される。言い換えれば、突起222は、係合ピン220が係合孔231に進入した状態で、係合ピン220が係合孔231からX方向(第3方向)に離脱する際に係合孔231の周りの一部と係止するように形成されている。
このような突起222は、係合ピン220と係合板部230の少なくとも一方が弾性変形することで、係合板部230との引っ掛かりが外れるようになっている。具体的には、係合ピン220がスリット221の間隔が狭くなるように弾性変形することで、突起222が係合孔231を通過可能である。そのために、図9に示すように、スリット221の自由状態での間隔Sは、突起222の高さH1、H2の合計よりも大きく(S>H1+H2)している。
また、突起222は、図9に示すように、X方向両側(第1方向又は第3方向において両側)にそれぞれ端部に向かう程高さが低くなる傾斜面222a、222bを有する。即ち、突起222の第3方向側には傾斜面222bが、第1方向側には傾斜面222aがそれぞれ形成されている。傾斜面222a、222bは湾曲面であっても良い。このため、係合ピン220を係合板部230の係合孔231にX方向(第1方向)に挿入する際には、傾斜面222aが係合孔231の周縁部と係合する。一方、係合ピン220を係合孔231からX方向(第3方向)に抜き出す際には、傾斜面222bが係合孔231の周縁部と係合する。このように係合ピン220の挿入及び抜出動作に伴って、傾斜面222a、222bが係合孔231の周縁部と係合することで、係合ピン220が弾性変形して突起222が係合孔231を通過し易くしている。
更に、係合ピン220の先端部外周面には、先端に向かう程径が小さくなる方向に湾曲した案内面223が形成されている。案内面223は、先端に向かう程スリット221側に傾斜した傾斜面であっても良い。係合ピン220を係合孔231にX方向に沿って挿入する際には、案内面223が係合孔231の周縁部と係合することで、係合ピン220が係合孔231内に案内されるため、係合ピン220のX方向への係合の作業性が良い。
一方、係合ピン220は、係合板部230の係合孔231に対して、切り欠き232を介してY方向(第2方向及び第4方向)にも進入及び離脱が可能である。このために切り欠き232は、係合板部230のY方向先端側に形成され、係合孔231の一部をY方向に開放している。したがって、係合ピン220と係合板部230の少なくとも一方が弾性変形することで、係合ピン220が切り欠き232を介して係合孔231に対してY方向に進入及び離脱が可能である。即ち、切り欠き232は、係合ピン220が係合孔231に対して第2方向に進入可能で、且つ、第4方向に離脱可能に形成されている。
このために切り欠き232を形成する対向部232a、232bの間隔は、自由状態での係合ピン220の突起222から外れた部分の外径よりも小さく、且つ、弾性変形した係合ピン220のこの部分が通過可能としている。即ち、係合ピン220をY方向(第2方向)から係合孔231に進入させる場合、係合ピン220が係合孔231からX方向に脱落しないように、係合ピン220の突起222よりも基端側部分を切り欠き232に進入させる。即ち、係合孔231が切り欠き232を介して係合ピン220を受け入れる。したがって、対向部232a、232bの間隔は、スリット221の間隔が小さくなるように弾性変形した係合ピン220の突起222よりも基端側部分が通過可能な間隔としている。
また、対向部232a、232bの間隔は、自由状態での係合ピン220の突起222よりも基端側部分の外径よりも小さくしている。これにより、切り欠き232を通過して係合孔231内に進入し、弾性的に復元した係合ピン220が切り欠き232から脱落しないようにしている。したがって、第2係止部としての対向部232a、232bは、係合ピン220を係合孔231からY方向に沿って係合を外す方向(第4方向)に対して、係合ピン220が係合板部230と係合した状態で係合ピン220の一部と引っ掛かることで係合ピン220に係止される。
なお、対向部232a、232bは、係合ピン220と係合板部230の少なくとも一方が弾性変形することで、係合ピン220との係止が外れるようになっている。即ち、対向部232a、232bは、係合ピン220と係合した状態で係止され、左後カバー203が第4方向に移動することで、係合ピン220との係合が外れ、左後カバー203が前記第2方向に移動することで、係合ピン220と係合した状態で係止される。具体的には、上述のように係合ピン220がスリット221の間隔が狭くなるように弾性変形することで、係合ピン220が対向部232a、232bの間の切り欠き232を通過して、係合孔231から抜け出ることが可能である。
また、係合ピン220の外周面のうち、係合ピン220を係合孔231に対してY方向に挿入及び離脱させる際に、対向部232a、232bと対向する部分には、X方向に沿って案内面224がそれぞれ形成されている。即ち、案内面224は、係合ピン220の上半部220aと下半部220bとにそれぞれ形成されている。上半部220aの案内面224は、突起222を挟んだY方向両側に、それぞれY方向端部側に向かう程下方に向かって傾斜、或いは、湾曲するように形成されている。下半部220bの案内面224は、突起222を挟んだY方向両側に、それぞれY方向端部側に向かう程上方に向かって傾斜、或いは、湾曲するように形成されている。
このよう案内面224は、係合ピン220をY方向に切り欠き232に進入及び離脱する際に、対向部232a、232bと係合する。そして、係合ピン220の挿入及び抜出動作に伴って、案内面224と対向部232a、232bとの当接により、係合ピン220がスリット221の間隔が小さくなる方向に弾性変形する。この結果、係合ピン220が切り欠き232を通過し易くできる。
また、係合板部230のY方向先端部には、切り欠き232と連続し、且つ、切り欠き232から離れる程間隔が大きくなるように傾斜した案内部としての切り欠き案内部233が形成されている。切り欠き案内部233は、係合ピン220のY方向から切り欠き232への進入を案内する。即ち、係合ピン220を係合孔231にY方向に沿って挿入する際には、係合ピン220の外周面が切り欠き案内部233と係合することで、係合ピン220が切り欠き232内に案内される。このため、本実施形態の場合には、係合ピン220のY方向への係合の作業性も良い。
[係合動作]
次に、後カバー201と左後カバー203との係合動作について具体的に説明する。まず、図10(a)に示すように、後カバー201を左後カバー203に対してX方向(第1方向)に係合させる場合、係合ピン220を係合板部230の係合孔231に向けて図の矢印方向に進入させる。この際、係合ピン220の先端の案内面223により係合ピン220の先端部が係合孔231に案内される。係合ピン220を更に進入させると、突起222の傾斜面222aが係合孔231の周縁部と係合することで、係合ピン220がスリット221の間隔が狭くなる方向に弾性変形して、突起222が係合孔231を通過する。すると、係合ピン220が弾性的に復元し、図6に示した状態となる。
この際、後カバー201の端部からX方向に突出する突出部201aと、左後カバー203の係合板部230と連続して形成された壁部203aとが当接する。また、係合ピン220の突起222と係合板部230の係合孔231の周縁部との係合により、係合ピン220が係合孔231からX方向から抜け出ることが規制される。これにより、後カバー201と左後カバー203とがX方向に位置決めされる。更に、この状態では、係合孔231と係合ピン220の突起222よりも基端側の外周面との係合により、後カバー201と左後カバー203とがY方向及びZ方向に位置決めされる。この結果、係合ピン220と係合板部230との係合動作が終了し、後カバー201と左後カバー203との表面同士が段差なく整合する。
次に、図10(b)に示すように、後カバー201を左後カバー203に対してY方向に係合させる場合、係合ピン220を係合板部230の切り欠き232に向けて図の矢印方向に進入させる。この際、係合板部230の切り欠き案内部233により係合ピン220が切り欠き232に案内される。係合ピン220を更に進入させると、係合ピン220の案内面224が対向部232a、232bと係合することで、係合ピン220がスリット221の間隔が狭くなる方向に弾性変形して、係合ピン220が切り欠き232を通過し、係合孔231に進入する。すると、係合ピン220が弾性的に復元し、図6に示した状態となり、係合ピン220をX方向に挿入した場合と同様に、後カバー201と左後カバー203とがX方向、Y方向及びZ方向に位置決めされる。そして、係合ピン220と係合板部230との係合動作が終了し、後カバー201と左後カバー203との表面同士が段差なく整合する。
このように、係合ピン220を係合板部230に対してX方向に係合が可能なことによって、左後カバー203が先に装置本体に固定されている状態でも後カバー201を装置本体に取り付けることができる。また、係合ピン220を係合板部230に対してY方向に係合が可能なことによって、後カバー201が先に装置本体に固定されている状態でも左後カバー203を装置本体に取り付けることができる。即ち、後カバー201と左後カバー203との装置本体への装着順序に拘らず、後カバー201と左後カバー203との係合が可能となる。
[係合を外す動作]
次に、後カバー201と左後カバー203との係合を外す動作について具体的に説明する。まず、後カバー201を左後カバー203に対してX方向に係合を外す場合、図10(a)の矢印とは逆方向に、係合ピン220を係合板部230に対して移動させる。この際、突起222の傾斜面222bが係合孔231の周縁部と係合することで、係合ピン220がスリット221の間隔が狭くなる方向に弾性変形して、突起222が係合孔231を通過し、係合ピン220を係合孔231から抜き出すことができる。そして、係合ピン220が弾性的に復元し、係合ピン220を係合板部230からX方向に係合を外す動作が完了する。
次に、後カバー201を左後カバー203に対してY方向に係合を外す場合、図10(b)の矢印とは逆方向に、係合ピン220を係合板部230に対して移動させる。この際、係合ピン220の案内面224が対向部232a、232bと係合することで、係合ピン220がスリット221の間隔が狭くなる方向に弾性変形して、係合ピン220が切り欠き232を通過して、係合孔231から抜け出る。そして、係合ピン220が弾性的に復元し、係合ピン220を係合板部230からY方向に係合を外す動作が完了する。
このように、係合ピン220を係合板部230に対してX方向に係合を外すことが可能なことによって、左後カバー203を装置本体に装着した状態のまま後カバー201を装置本体から取り外すことができる。また、係合ピン220を係合板部230に対してY方向に係合を外すことが可能なことによって、後カバー201を装置本体に装着した状態のまま左後カバー203を装置本体から取り外すことができる。即ち、後カバー201と左後カバー203との装置本体への取り外し順序に拘らず、後カバー201と左後カバー203をそれぞれ装着又は取外すことが可能となる。
また、係合ピン220を係合板部230に対してX方向に係合を外す際に、突起222の傾斜面222bが係合孔231の周縁部と係合することで、係合ピン220がスリット221の間隔が狭くなる方向に弾性変形するため、特に工具を使わずに容易に係合を外すことができる。また、係合ピン220を係合板部230に対してY方向に係合を外す際にも、係合ピン220の案内面224が対向部232a、232bと係合することで、係合ピン220がスリット221の間隔が狭くなる方向に弾性変形するため、特に工具を使わずに容易に係合を外すことができる。
このように本実施形態の場合、後カバー201と左後カバー203とをどちらからでも装置本体に装着、又は、装置本体から取り外すことができる。このため、装置のメンテナンスなどの外装の着脱時における作業性を向上させられる。また、後カバー201と左後カバー203とを互いに係合させる構成であるため、カバー同士の合わせに段差ができにくく、外観の品位を良くすることができる。
なお、図9に示したように、突起222の高さH1とH2の合計は、少なくともスリット221の自由状態での間隔Sより小さくしている。但し、突起222の高さH1とH2が小さ過ぎると、係合動作時の手応え(クリック感)が小さくなったり、係合状態の保持力(係合保持力)を十分に確保しにくくなったりする。したがって、突起222の高さH1とH2はある程度の高さを確保することが好ましいが、十分な高さを確保できない場合、何れか一方の突起222を省略して、他方の突起222の高さを確保するようにしても良い。
また、上述の実施形態では、後カバー201と左後カバー203との係合を、係合ピン220と係合板部230との係合構成210で行った構成について説明したが、この係合構成210とは別に、後カバー201と左後カバー203とを装置本体に対して位置決め、或いは、固定しても良い。例えば、上述の実施形態の場合、後カバー201と左後カバー203との装置本体への最終的な固定は、ビスで行う。
<第2の実施形態>
第2の実施形態について、図11ないし図19を用いて説明する。本実施形態では、後カバー201Aの組み付け性を考慮して、係合ピン220Aの形状を第1の実施形態の係合ピン220に対して変更している。また、本実施形態では、係合ピン220Aと係合板部230との係合保持力よりも高い係合保持力を有する係合孔部材310と係合突部320を備えている。その他の構成及び作用は、第1の実施形態と同様であるため、以下、第1の実施形態と異なる点を中心に説明する。
図11に示すように、本実施形態の場合も、後カバー201A、右後カバー202A、左後カバー203Aにより、外装取外し構成又は外装装着構成としての外装構成200Aを構成している。これら後カバー201A、右後カバー202A、左後カバー203Aは、装置本体110(図1、2参照)に対して着脱可能である。また、後カバー201Aと右後カバー202A、及び、後カバー201Aと左後カバー203Aは、それぞれ互いに係合可能となっている。
また、本実施形態の場合、図12に示すように、後カバー201Aには、係合ピン220A及び係合突部320が、それぞれ右後カバー202A側と左後カバー203A側とに設けられている。一方、図13(a)に示すように、左後カバー203Aには、係合板部230及び係合孔部材310が後カバー201側に設けられている。同様に、図13(b)に示すように、右後カバー202Aには、係合板部230及び係合孔部材310が後カバー201側に設けられている。
本実施形態では、第1係合部としての係合ピン220Aと第2係合部としての係合板部230との係合構成を第1係合構成210A、第3係合部としての係合孔部材310と第4係合部としての係合突部320との係合構成を第2係合構成300とする。後カバー201Aと右後カバー202A、及び、後カバー201Aと左後カバー203Aの第1係合構成210A及び第2係合構成300は同じである。
[第1係合構成]
まず、本実施形態の第1係合構成210Aについて、図14及び図15を用いて説明する。後カバー201Aと左後カバー203Aが大型の部品の場合、係合が1箇所では足りずに複数必要になる場合も想定される。その場合、係合ピンと係合板部を複数並べて使用することも可能である。3つ以上並べて使用する場合、これらを直線上に配置する必要はないが、取り付け方向に対して垂直な平面上に配置する必要がある。
ここで、1つのカバーに複数の係合ピンを配置する際、そのカバーの取り付け軌跡によっては部分的な干渉が発生する場合も考えられる。したがって、1例として、図14(a)、(b)を用いて、第1の実施形態のように、係合ピン220として、上半部220aと下半部220bの長さが同じである場合の問題点について説明する。なお、図14(b)では、上半部220aの突起222を省略して示しているが、上半部220aに突起222が設けられていても同様である。
図14(a)に示すように、係合ピン220が設けられた左後カバー203Bの下端を予め装置本体に装着された下後カバー204に突き当てて、この突き当て位置Dを中心に回動させることで、左後カバー203Bを後カバー201Bと係合させる場合を考える。この場合、係合ピン220は、突き当て位置Dを回動中心とした軌跡上を通る。この際、図14(b)に示すように、後カバー201Bに設けられた係合板部230の係合孔231から外れた部分に係合ピン220の上半部220aが突き当たり、係合ピン220が係合孔231に進入できない場合がある。
したがって、本実施形態の場合、図15(a)に示すように、係合ピン220Aの上半部220cの長さを下半部220bよりも短くしている。また、上半部220cを短くしたため、上半部220cの突起222を省略している。この場合でも、下半部220bの突起222の高さを十分確保していれば、係合保持力を十分に確保できる。
このように係合ピン220Aの上半部220cを短くすることにより、左後カバー203Aを、図14(a)と同様に、突き当て位置Dを中心して回動させて係合動作を行っても係合ピン220Aを係合孔231に進入させることができる。即ち、図15(b)に示すように、まず、下半部220bの先端部が係合孔231に進入し、更に回動させると、下半部220bが弾性変形することで突起222が係合孔231を通過しつつ、上半部220cが係合板部230の係合孔231から外れた部分と干渉することなく、係合孔231に進入する。そして、図15(c)に示すように、係合ピン220Aが係合板部230と係合する。
係合ピン220Aと係合板部230との係合を外すべく、左後カバー203を図14(a)と逆方向に回動させた場合は、まず、係合ピン220Aの上半部220cが係合孔231から抜け出しつつ、下半部220bが弾性変形することで突起222が係合孔231を通過する。そして、係合ピン220A全体が係合孔231から抜け出て、係合ピン220Aと係合板部230との係合が外れる。本実施形態では、このような回動方向が第1方向及び第3方向に相当する。
なお、本実施形態では、左後カバー203Aを回動させることで後カバー201Aと係合させる場合について説明したが、右後カバー202Aを回動させて後カバー201Aと係合させる場合も同様である。また、本実施形態のように、上半部220cの長さが短い係合ピン220Aを用いた構成であっても、第1の実施形態と同様に、X方向に係合ピン220Aを係合板部230の係合孔231に対して進入及び離脱が可能である。したがって、本実施形態の場合、X方向が第1方向及び第3方向であっても良い。
また、後カバー201Aを下後カバー204に突き当てて、同様に回動させることで、左後カバー203A又は右後カバー202Aを係合させる場合もある。この場合、後カバー201Aに設けられている係合板部230の切り欠き案内部233が、切り欠き232から離れる程間隔が広くなるように形成されているため、このような回動の際には、切り欠き案内部233が係合ピン220Aと係合する。そして、この係合により係合ピン220Aが切り欠き232に案内され、係合ピン220Aを係合孔231に進入させることができる。本実施形態では、このような回動方向が第2方向及び第4方向に相当する。但し、係合板部230は第1の実施形態と同様に、Y方向に係合ピン220Aと係合及び係合を外すことが可能であるため、Y方向が第2方向及び第4方向であっても良い。
[第2係合構成]
次に、本実施形態の第2係合構成300について、図12及び図13を参照しつつ図16ないし図19を用いて説明する。係合ピン220Aと係合板部230との係合だけでは、係合が不十分な場合がある。例えば、左後カバー203Aや右後カバー202Aには、装置本体に各種コネクタを装着するために凹みが形成される場合がある。このため、この凹みに人が手を掛けた場合などに係合が外れる方向に強く外力が作用する場合がある。この場合、係合ピン220Aが係合孔231からY方向に抜ける可能性がある。このために本実施形態では、上述の第1係合構成210Aに加えて、第1係合構成210Aよりも係合保持力が大きい、第2係合構成300を設けている。
図13(a)、(b)及び図16(a)〜(c)に示すように、左後カバー203A及び右後カバー202A(一方の外装)には、それぞれ第3係合部としての係合孔部材310が設けられている。係合孔部材310は、係合板部230と同様に、左後カバー203A及び右後カバー202AからY方向に突出するように形成された板状部材で、X方向に貫通した進入孔311と、進入孔311のY方向先端側に設けられた当接部312とを有する。
進入孔311は、係合板部230の係合孔231とは異なり切り欠きが形成されておらず、後述する係合突部320の一部である係合壁部321がX方向(一方の方向)に進入及び離脱が可能である。当接部312は、進入孔311に進入した係合壁部321がY方向(他方の方向)に離脱する方向に、係合壁部321と当接する。この結果、係合壁部321が進入孔311に進入した係合孔部材310と係合突部320との係合状態で、Y方向に対して、係合ピン220Aと係合板部230との係合保持力よりも高い係合保持力を確保できる。
また、係合孔部材310のY方向先端部にはリブ部313が形成され、係合孔部材310の剛性を確保するようにしている。また、図16(c)に示すように、係合孔部材310のY方向先端部でリブ部313とは反対側の面は、Y方向先端に向かう程リブ部313に向かう方向に傾斜した傾斜面314としている。このような係合孔部材310は、係合板部230と同様に、左後カバー203A及び右後カバー202Aと同じ樹脂製で、左後カバー203A及び右後カバー202Aの成型時に形成される。
一方、図12及び図17(a)、(b)に示すように、後カバー201A(他方の外装)の左後カバー203A側と右後カバー202A側とには、それぞれ第4係合部としての係合突部320が設けられている。係合突部320は、係合ピン220Aと同様に、後カバー201AからX方向に突出するように形成され、係合孔部材310と係合自在である。このような係合突部320は、係合壁部321と、係合壁部321からY方向に延出されたリブ部322とから構成される。リブ部322は、X方向側の端部を左後カバー203A又は右後カバー202Aが係合する方向に向かう程高さが高くなるように傾斜した乗り越え案内部323としている。このような係合突部320は、係合ピン220Aと同様に、後カバー201と同じ樹脂製で、後カバー201Aの成型時に形成される。
後カバー201Aを左後カバー203A又は右後カバー202Aに対してX方向(第1方向)に係合させる場合には、係合突部320の係合壁部321が係合孔部材310の進入孔311にX方向に進入することで、係合突部320と係合孔部材310との係合が完了する。同様に、後カバー201Aを左後カバー203A又は右後カバー202Aに対してX方向(第3方向)に係合を外す場合には、係合壁部321が進入孔311からX方向に抜け出ることで、係合突部320と係合孔部材310との係合が外れる。前述の図15で説明したように、後カバー201Aを下後カバー204に突き当てて回動させる場合にも、同様に、係合壁部321が進入孔311に進入或いは抜け出ることで、係合及び係合を外すことができる。
一方、左後カバー203A又は右後カバー202Aを後カバー201Aに対してY方向(第2方向)に係合させる場合には、まず、係合孔部材310のY方向先端部に形成された傾斜面314が係合突部320の乗り越え案内部323と当接する。左後カバー203A又は右後カバー202Aを更にY方向に移動させることで、係合孔部材310の傾斜面314が乗り越え案内部323に案内されて、係合孔部材310が弾性変形する。
ここで、係合孔部材310は、Y方向に相対移動して係合突部320と係合する際には、当接部312が係合突部320を乗り越えるように弾性変形可能である。したがって、係合孔部材310の当接部312が乗り越え案内部323と連続した係合壁部321の先端を乗り越えることで、図18(a)〜(c)に示すように、係合壁部321が進入孔311に進入し、係合突部320と係合孔部材310との係合が完了する。左後カバー203A及び右後カバー202Aを後カバー201Aに対してこのように係合させることで、図19に示すような外装構成200Aが得られる。
これに対して、左後カバー203A又は右後カバー202Aを後カバー201Aに対してY方向に係合を外す場合には、左後カバー203A又は右後カバー202AをひねりながらY方向に移動させる。例えば、左後カバー203A又は右後カバー202AをZ方向を軸として、係合孔部材310が係合壁部321から離れる方向(X方向)に回転させつつY方向に相対移動させる。これにより、当接部312が係合壁部321を乗り越えて、係合孔部材310と係合壁部321との係合が外れる。
即ち、本実施形態の外装構成200Aは、係合孔部材310と係合突部320との係合状態から左後カバー203A又は右後カバー202Aを後カバー201Aに対してY方向(他方の方向)に相対移動させて係合孔部材310と係合突部320との係合を解除する際に、係合孔部材310が係合突部320に対してX方向(一方の方向)に移動して係合孔部材310と係合突部320との係合が解除されるように構成されている。
前述の図15で説明したように、左後カバー203A又は右後カバー202Aを下後カバー204に突き当てて回動させて係合させる場合にも、同様に、係合孔部材310が弾性変形することで当接部312が係合壁部321を乗り越えて、係合壁部321が進入孔311に進入する。そして、係合孔部材310と係合突部320との係合が完了する。また、このような回動により係合孔部材310と係合突部320との係合を外す場合には、このような回動に加えて、左後カバー203A又は右後カバー202AをZ方向を軸として、係合孔部材310が係合壁部321から離れる方向に回転させることで、同様に、係合孔部材310と係合突部320との係合を外すことができる。
本実施形態の場合、このように第2係合構成300を設けることで、Y方向に対して、係合ピン220Aと係合板部230との係合保持力よりも高い係合保持力を確保できる。この結果、外力が作用しても左後カバー203Aや右後カバー202Aが後カバー201Aから不用意に外れることを防止できる。
また、係合ピン220Aを上半部220cが短い形状としているため、図15に示したように、左後カバー203A又は右後カバー202Aを下後カバー204に突き当てて回動させる場合にも、係合ピン220Aと係合板部230とを係合させる、又は、係合ピン220Aと係合板部230との係合を外すことができる。
このように、係合ピン220Aを係合板部230に対してX方向に係合を外すことが可能なことによって、左後カバー203A又は右後カバー202Aを装置本体に装着した状態のまま後カバー201Aを装置本体から取り外すことができる。また、係合ピン220Aを係合板部230に対してY方向に係合を外すことが可能なことによって、後カバー201Aを装置本体に装着した状態のまま左後カバー203A又は右後カバー202Aを装置本体から取り外すことができる。即ち、後カバー201Aと左後カバー203A又は右後カバー202Aとの装置本体への取り外し順序に拘らず、後カバー201A、左後カバー203A又は右後カバー202Aをそれぞれ装着又は取外すことが可能となる。
また、係合ピン220Aを係合板部230に対してX方向に係合を外す際に、突起222の傾斜面222bが係合孔231の周縁部と係合することで、係合ピン220Aがスリット221の間隔が狭くなる方向に弾性変形するため、特に工具を使わずに容易に係合を外すことができる。また、係合ピン220Aを係合板部230に対してY方向に係合を外す際にも、係合ピン220の案内面224が対向部232a、232bと係合することで、係合ピン220Aがスリット221の間隔が狭くなる方向に弾性変形するため、特に工具を使わずに容易に係合を外すことができる。
このように本実施形態の場合も、後カバー201Aと左後カバー203A又は右後カバー202Aとをどちらからでも装置本体に装着、又は、装置本体から取り外すことができる。このため、装置のメンテナンスなどの外装の着脱時における作業性を向上させられる。また、後カバー201Aと左後カバー203A又は右後カバー202Aとを互いに係合させる構成であるため、カバー同士の合わせに段差ができにくく、外観の品位を良くすることができる。
なお、第2係合構成300は、第1係合構成210AよりもY方向の係合保持力が大きければその構成は問わない。例えば、上述の説明では、第2係合構成300の係合孔部材310は、進入孔311に切り欠きがないように形成されているが、係合孔部材310のY方向先端側にY方向に開放する切り欠きを設けても良い。但し、この切り欠きの間隔は、係合板部230の切り欠き232の間隔よりも小さくする。これにより、Y方向に対して、第2係合構成300の係合保持力を第1係合構成210Aよりも大きくできる。
また、このように係合孔部材310に切り欠きを形成すれば、第1係合構成210AよりもY方向に係合を外す力を要するが、第2係合構成300についてもY方向に係合を外すことができる。即ち、左後カバー203A又は右後カバー202AをひねることなくY方向に移動させるだけで、第1係合構成210A及び第2係合構成300の係合を外すことができる。
また、後カバー201Aの右後カバー202A或いは左後カバー203Aと係合する側に係合ピンを複数設ける構成の場合、何れかの係合ピンについては、上半部及び下半部の突起を省略しても良い。例えば、後カバー201Aと共に係合ピンを成型する際に、他の部分と干渉して突起を形成できるような型の製造が難しい場合がある。この場合、その部分のみ、突起がない係合ピンとし、他の部分を上述のような突起のある係合ピンとしても良い。突起がない係合ピンであっても、係合ピンと係合板部の係合孔との係合により、カバー同士の位置決めには有効である。また、本実施形態のように、第2係合構成300を設けることで、突起がない係合ピンがあっても、カバー同士の係合保持力を確保できる。
また、上述の説明のように、後カバー201Aを下後カバー204との突き当て位置を中心として回動させることで着脱する構成でなければ、係合ピンは、第1の実施形態と同様の構成であっても良い。
また、第2係合構成300は、カバーの形状などによって外力によりそのカバーが外れ易い方向に係合保持力が大きくなるように設ける。上述の説明では、右後カバー202A及び左後カバー203Aが外力によりY方向に外れ易くなる可能性があるため、Y方向の係合保持力が大きくなるように設けた。これに対して、例えば、後カバー201Aが外力によりX方向に外れ易い形状であれば、係合孔部材310を後カバー201Aに、係合突部320を右後カバー202A及び左後カバー203Aに設けて、X方向の係合保持力を大きくする。
また、X方向及びY方向の係合保持力を大きくしたい場合には、それぞれの方向の係合保持力が大きくなるように2つのカバーの係合部分に2個の第2係合構成300を設けても良い。例えば、後カバー201Aが外力によりX方向に外れ易い形状を有し、右後カバー202Aも外力によりY方向に外れ易い形状を有する場合を考える。この場合、後カバー201Aに係合孔部材310及び係合突部320を設け、右後カバー202Aに後カバー201Aの係合孔部材310と係合する係合突部320と、後カバー201Aの係合突部320と係合する係合孔部材310を設ける。
<他の実施形態>
上述の各実施形態では、係合ピン220、220Aを後カバー201、201Aに、係合板部230を右後カバー202、202A及び左後カバー203、203Aに設けたが、これらを入れ替えても受けても良い。即ち、係合ピン220、220Aを右後カバー202、202A及び左後カバー203、203Aに、係合板部230を後カバー201、201Aに設けても良い。この場合、第1方向がY方向、第2方向がX方向になる。
また、上述の説明では、第1係合部としての係合ピン220、220Aが弾性変形して第2係合部としての係合板部230の係合孔231に係合及び係合が外れるとした。但し、係合板部230が弾性変形して、或いは、係合ピン220及び係合板部230の両方が弾性変形して、これらの係合及び係合を外すことを可能としても良い。
また、第1係合部は、係合ピン220、200Aのような形状に限らず、例えば、スリットをX方向に直交する断面で交差するように2本設け、ピンを4分割するような形状としても良い。或いは、スリットを設けずにゴムなどの弾性変形し易い弾性材により形成された円柱状のものであっても良い。この場合でも、ゴムに突起を形成して係合孔231に引っ掛かり易くすることが好ましい。
また、第2係合部は、係合孔231を有する係合板部230のような形状に限らず、第1係合部とX方向及びY方向に係合及び係合を外すことが可能で、係合した状態で第1係合部をY方向及びZ方向に位置決めできるものであれば良い。例えば、2つの部材を対向配置し、少なくとも何れかの部材の対向部分に凹部を形成することなどのより第1係合部がX方向に進入可能な隙間を形成する。そして、第1係合部がこの隙間にY方向から進入及びこの隙間からY方向に離脱する場合に、2つの部材が弾性変形して互いに離れるようにする。
また、上述したような外装構成は、画像形成装置以外の他の装置の外装構成にも適用可能である。要は、複数の外装を組み合わせて装置本体に着脱する構成であれば、本発明を好ましく適用できる。